7
いにゅいにゃいばぁ

#UDCアース #【Q】 #UDC-P


 神を喚べないならば作ればいい。とある製薬会社に務める邪教の研究者が考えた。研究熱心なのは良いことだが、往々にしてそういう輩はやり過ぎる。結果、いにゅいにゃいが現れたのであった。現れた? いや、これはいにゅだが、いにゅはいにゃいので、実際の所それは『無』なのであった。『無』が現れるとはこれ如何に。いにゅいにゃいは現れない。ならば、目の前のこれは何か。これはいにゅですがもしかしたらはむすたーでさいあくのばあいは――で、さらにかんがえるならはめつてきなやまいでかしょくがしれません。
 いにゅいにゃいは食べる。食べる。食べる。機械も食べるし人も食べるしエネルギーも食べる。いにゅいにゃいは増える。増える。増える。どんどん増えて、増えて、増えて。
 気付いた時には、大量のいにゅいにゃいがそこに。
 その中で、1体のいにゅいにゃいが仲間になりたそうにこちらを見ている。いや、みんながこちらを見ている。みんながこちらを見ているが、その中に1体だけ助けを求めるかわいいいにゅいにゃいが居る。居る? 否。いにゅはいにゃでいにゃいのでいにゅいにゃいをたすけてください。

「本気でこいつを仲間にするのか?」
 普段は無表情で、仕事の為なら何でもする男が目に見えてドン引きしている。グリモア猟兵の望月・秀は米上を揉んだ。
「確かに、オブリビオンとして『破壊の意志』を持たない者を『UDC-P』と呼ぶ。だが、よく考えて欲しい。『UDC-P』の『P』は『Peace』だ。こいつは『Peace』か?」
 とってもピュアな猟兵から、見た目で判断しちゃダメというお叱りの声が飛ぶ。その無邪気さに秀は目を見開く。
「見た目で判断せざるを得ない『見た目』だぞ!? 私は予知を見て以来、こいつが夢に出てきて寝不足だ」
 ぱっと見が怖すぎる。こいつのぬいぐるみを作ったら子どもが泣く。流石はUDCだ、狂気が過ぎる。秀は力説するも、途中でがっくりと肩を落とした。
「分かっている。任務だ。……君たち猟兵はこのUDC-Pを探し出して救助して、……救助の必要性を感じないが、ひとまず救助してUDC組織に連れ帰って欲しい。そしてその際、君たちの手で可能な限り正確な『UDC-P対処マニュアル』を作って、UDC-Pと共に職員に引き渡して欲しい」
 UDC組織もいきなり謎のUDCを渡されて、はいさよならでは困ってしまう。そもそも対処ができるのか? という疑問もあるが、そこはそれ、猟兵として何とかして欲しい。
「それに、良く見たらかわいいかもしれない。……かわいいかわいいい」
 虚ろな目をした秀はドン引きする猟兵たちをとある製薬会社の研究施設へと送り込んだ。


こふ
●マスターより
 マスターのこふです。よろしくお願いします。
 今回はUDCの狂気じみたギャグです。ギャグなのかちょっと微妙なラインかも知れませんが、『解剖台のミシンと傘の偶然の出会い』はシリアスと言うよりはギャグ寄りだと思いますので、ギャグとしておきます。
 施設内どこかに居る(居る?)UDC-Pを保護し、その後予め作成した『UDC-P対処マニュアル』と共にUDC組織に引き渡すシナリオです。

●補足
 第1章 施設内は自由に移動していただいてオッケーです。培養液だらけのラボとか破壊されたモニタールームとか。登場人物も指定していただいてオッケーです。研究員でも神でも。どこにでも行けますし、行かなくてもいいです。誰にも会わなくてもいいですし、何にでも会えます。ただ、まぁ、誰もがなかなかに狂気しておりますので、それが現実とは限りませんけども。
 第2章 大量のいにゅいにゃいとのバトルです。その中に、1体だけ助けを求めるかわいいいにゅいにゃいが? 猟兵たちはUDC-Pだと一目見れば分かるらしいので、分かってください。狂気とシュールとギャグは紙一重だと先人が明らかにしています。
 第3章 いにゅいにゃいの『トリセツ』を作成してください。どうあってもいにゅいにゃいは見た目狂気なのですが、何と言ってもかわいいUDC-Pです。UDC組織職員を狂気に陥れないためにも、なにとぞ可能な限り正確な『UDC-P対処マニュアル』を。
19




第1章 冒険 『白い檻の中の神』

POW   :    下働きのアルバイトを装う

SPD   :    隠密し潜入する

WIZ   :    研究者や被験者を装う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 ここはとある製薬会社の研究施設。白く無機質な空間を蛍光灯が照らし出す。研究施設と言うからには多くの研究者が居るはずなのだが、あまり人の気配を感じない。
 猟兵たちが周囲を警戒しながら歩を進めると、ドアの向こうに人の気配。耳を当てると話し声がした。気が狂った者の独り言でないのならば、壁一枚向こう側には複数人が居るようだ。
「私は神を作りたかっただけだ!」「神とは何だ? 定義が必要だ」「あんな化け物が生まれるなんて聞いていないぞ!」「生まれる? どこから?」「どうするんだ、扉の向こうはあいつらで一杯だ」「どこだそれは。居る? 本当に?」「居るじゃないかそこに!」
 さて、どうするか。この施設の何処かに、保護すべきUDC-Pが、いにゅいにゃいが居るはずだ。……居るのか? 本当に? いにゅはいにゃいのに?
 思考を侵す何かを振り払い、湧き出る無限の疑問を捻じ伏せ、猟兵たちは。猟兵たちは……?
 かわいいいにゅいにゃいをたすけてくれます。
伊美砂・アクアノート
【SPD オルタナティブ・ダブル】
にゃはは! アタシの脳内全人格会議では多数決で「いにゅいにゃいはカワイイ」との多数決が出たのでな!(賛成:21 反対:19 棄権:45 そんなことよりパスタ食べたい:2) 待ってろよー、カワイイ猫ちゃ…猫か? いにゅ? いにゅいにゃい?
オルタナティブ・ダブルで分身し、ツーマンセルで潜入。【第六感、鍵開け、聞き耳、視力、情報収集、忍び足、暗視、ロープワーク】で、ばっちりこっそり音をたてないように隠密するぜぃ。ふはは!本職シーフを舐めるなよ…! アタシはピストルと鉈を手にして前衛、分身したオレはショットガンと鎖を持って後方警戒。研究員の声に聞き耳たてて進みまっす!



「いにゅいにゃいはカワイイ」
 賛成:21。反対:19。棄権:45。そんなことよりパスタ食べたい:2。
 民主主義においては数こそが正義。脳内全人格会議にて、僅差で確定した事実に伊美砂・アクアノートは笑う。いにゅいにゃいはカワイイのだ。にゃはは!
「待ってろよー、カワイイ猫ちゃ……猫か? いにゅ? いにゅいにゃい?」
 伊美砂の藍色の瞳がぐるりぐるりと回る。そこにもうひとりの自分が現れた。ハイタッチを交わした二人は、ツーマンセルで潜入を開始する。身に付けたスキルフル活用で、ばっちりこっそり音をたてないように隠密するぜぇ。
 前衛の伊美砂はピストルと鉈を手にして身構え、後衛の伊美砂はショットガンと鎖を持ち警戒する。そして、アタシとオレは口を揃えて笑うのだ。ふはは! 本職シーフを舐めるなよ……!
 廊下中に研究員の声が響いていた。どこに居るのか居ないのか。伊美砂と伊美砂は聞き耳を立てて進む。
「神は居る!」「いにゃい」「化け物が居る」「いにゅ」「みんな食べられてしまった……」「誰に? 君に?」「そこに居るよ」「否。居ぬ」「たすけてください」「たすけてください」「たすけてください」
 二人は扉の前で立ち止まった。前衛の伊美砂が扉を一気に開け放つ。そこには大量のいにゅいにゃいが居た。居た? いや、これはいにゅだが、いにゅはいにゃいので、そこに居たのは『無』。……『無』が居る? 否。いにゃい。
 かわいいいにゅいにゃいを伊美砂がたすけにきてくれました。やったぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜田・鳥獣戯画
しまった!!!別の依頼に入ろうと思っていたのになぜ私はここにいるのだ!!!
かわいいだと!?冗談ではない、私は帰らせてもらうぞ!!
だが来てしまった以上そうもいくまい!!

【POW】掃除のバイトを装い潜入し、まずはその犬だか居ぬだかを探そう。
所内を歩いている白衣を着た人間を職員とみなし、
最近食材か人員が大幅に減った部署がないか遠回しに聞くが、話が通じなければ神はどこかと問う。
不審がられたら紙のゴミを掃除に来たのだと誤魔化そう。

先陣の猟兵がUDC-Pを既に見つけているようであれば補佐にまわる。
いざとなれば戦闘も辞さないが、できればあれがひしめき合っている様など見ずに済ませたいものだ… 無理か 無理だな



「かわいいだと!? 冗談ではない、私は帰らせてもらうぞ!!」
 桜田・鳥獣戯画は戦慄する。別の依頼に入ろうと思っていたのに、何故私はここにいるのだ!? さっさと踵を返したい所だが、否、否。来てしまった以上、そんな訳にはいかないのであった。
 鳥獣戯画は掃除バイトを装い、研究施設に潜入した。まずは犬だが居ぬだかいにゅだかを探そう。いにゃいかもしれないけど。施設内を彷徨くと、ふらふら歩く白衣を着た人間を発見。貴様を職員とする。
「最近、転職が流行ってるとか、フードファイトが流行ってるとか、ないか?」
「最新トレンドは『無』。無が在る状態は是か非か?」
 迂回路を経由した質問は失敗。そこで鳥獣戯画は、神はどこかと問う。すると職員は不信丸出しの目で彼女を見るではないか。宗教ですか? 間に合っています。
「い、いや、紙のゴミを掃除に来たのだ」
「ああ、神のゴミ。あそこの部屋に纏めてある。掃除してくれるなんて願ってもない。……む? あるのかないのか?」
 上手い事誤魔化した鳥獣戯画は首を捻る職員を捨て置き、問題の部屋を睨む。先陣の猟兵がUDC-Pを既に見つけているようであれば補佐に回るつもりだが、果たしてどうだろう? いざとなれば戦闘も辞さない。しかし……。彼女は手袋に包まれた拳を強く握る。できれば、あれがひしめき合っている様など見ずに済ませたいものだ……。無理か。無理だな。
 諦念の息を零した鳥獣戯画は、覚悟を決めて扉を開け放つ。そこには予想通りの光景が広がっていたのであった。なんとまぁ、見事にひしめき合っているではないか。
 かわいいいにゅいにゃいを鳥獣戯画がたすけにきてくれました。やったぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

回々・九流々々
「え……え? 何ですかこれは。はい。かわいいですね?」
愉快な仲間達を召喚しますが何故か彼等もいにゅです
いにゅなので潜入捜査に向いています
存在と呼ばれるトンネルを掘りながらいにゃいの『音』を認識します
音を認識したらいにゅいにゃいは必ず存在しますのでくるくる回りながら遊びましょう。
「え。はい。僕はきっといにゅいにゃいの羅列に塗れてランデブーしながら高速回転するコーヒーカップなのです??? 僕は神に遭いましてついでに神は存在しなかったのでないと定められた無色透明のモザイクなのですよ??? はい。はい???」
愉快な仲間達と一緒に『かわいいい』いにゅいにゃいを救出するのです。それは絶対に為すべき事文字数



 回々・九流々々は愉快な仲間たちを召喚したが、何故か彼等はいにゅであった。……いにゅはいにゃいのに?
「え……え? 何ですかこれは。はい。かわいいですね?」
 しかし、いにゅは潜入捜査に最適であったので、存在と呼ばれるトンネルを掘りながら聞き耳を立ててみた。いにゃいの『音』さえ認識してしまえば、いにゅいにゃいは必ず存在する。助けを求める声と共にくるくる回りながら遊びましょう。
「え。はい。僕はきっといにゅいにゃいの羅列に塗れてランデブーしながら高速回転するコーヒーカップなのです???」
 九流々々はくるくる回って誰かとお話する。いにゅ? いにゃい? はたまた、いにゅいにゃい? 目にも鮮やかな虹色が網膜に焼き付いた。誰の?
「僕は神に遭いましてついでに神は存在しなかったのでないと定められた無色透明のモザイクなのですよ???」
 なんと九流々々は神に遭ったと言う。それを知ったら研究者は色めき立つだろう。しかし、彼女は同じ口で神は存在しなかったと言う。それを知ったら研究者は肩を落とすだろう。無色で透明なタイルを寄せ集めて嵌め込んで、できたそれはいにゅいにゃい?
「はい。はい???」
 九流々々は愉快な仲間たちと一緒に『かわいい』いにゅいにゃいを救出する。それは絶対に為すべき事だと以下略。必ず存在するいにゅいにゃいを僕と愉快な仲間たちが救出するのは、僕がくるくる回るコーヒーカップである事くらい明白です。はい。
 だって、トンネルの先には大量のいにゅいにゃい。
 かわいいいにゅいにゃいを九流々々がたすけにきてくれました。やったぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧城・ちさ
可愛いは人それぞれですわね。にゅいにゃいさんもきっと可愛いと思う方がいますわっ
私は研究者を装うことにしますわね
確認するふりをしてにゅいにゃいさんについて聞き出せば情報が得られるかもしれませんの。
その生態には私も興味がありますしもっと詳しく!ですわね
にゅいにゃいと戦うことになった場合のために弱点とかわかると助かりますわね
にゅいにゃいさん、凶暴でなければいいですわね……

アドリブや連携は大丈夫ですわっ



「『可愛い』は人それぞれですわね」
 霧城・ちさは慈愛の微笑みを浮かべる。いにゅいにゃいさんの事も、きっと可愛いと思う方がいますわっ! 『蓼食う虫も好き好き』を美しい絹で包む。それそこが彼女の優しさなのであった。
 研究者を装ったちさは研究者を探した。そして、進捗を確認するフリでいにゅいにゃいについて聞き出そうと試みる。戦う事になった場合のために、弱点があるのなら知っておきたい。いにゅいにゃいさん、凶暴でなければいいですわね……。
 第一研究者発見。
「ごきげんよう。いにゅいにゃいさんについてご存知でしたら、教えてくださらないかしら?」
「知るわけないだろう! いにゅなどいにゃい」
 ダウト。ちさは微笑みを浮かべ、首をほんの少し傾けると無言で続きを促す。なんと優雅な有様。焦った研究者は早口で喋り出した。
「いにゅなどいにゃい。だからいにゅいにゃいは実際の所『無』でしかなくて、でも目が二つ在ってこちらを見ている。足も在るし尾も在るし、あれ、そう言えば口がにゃい。どうやって食べるんだ?」
 研究者は見事な困惑顔。好奇心に瞳を輝かせたさちは、もっと詳しく! した。いにゅいにゃい、その謎の生態に迫る――。
「案外まつげが長い。あっよくみたらかわいいかも。かわいいかわいいい」
 なんと研究者こそが『蓼食う虫』であったのだ。彼は小躍りしながら扉を指差す。かわいいいにゅいにゃいが君の助けを待っているぞ!
 結局何も分からなかったけれど、仕方がない。『可愛い』を前にすると人は語彙力を失くす。
 ちさはぐいぐい来る勢いに押され、仕方なく扉を開けた。
 かわいいいにゅいにゃいをちさがたすけにきてくれました。やったぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴夜・鶯
ボクにはまだターゲットが認識出来てない

望月さんから話を聞いた時から違和感があったんだ、研究者によって見える人と見えない人がいる点が特に
だから望月さんが絵を描き始めた時もあえて見なかった
陰陽師としてのボクの予想が正しければ…
ボクの能力と似た感じかな?
見えるまでの手順があって最終的に形を認識したらダメなんだと思う
取り敢えず潜入して
障害は桜の癒やしで眠らせて
研究者資料を漁ってみるよ
きっと形を与えた、要因の絵か像が出てくると思う
見えるようになったら
苦笑いを浮かべて言っちゃうかな?
こんにちはー予想より割と普通なんだね?って



 鳴夜・鶯は、まだターゲットを認識していない。
 そもそも話を聞いた時から違和感が在った。研究者によってターゲットが見える人と見えない人が居る。だから、グリモア猟兵が絵を描き始めた時も敢えて見なかった。
「陰陽師としてのボクの予想が正しければ……ボクの能力と似た感じかな?」
 おそらくその姿が見えるまでの手順があり、最終的に形を認識したらダメなのだろう。
 施設に潜入した鶯は資料室を探した。途中で出くわした研究員は桜の癒やしで眠らせる。
 あっさり見つかった資料室には綺麗にラベリングされた資料がずらり。鶯は奇妙に明るい空間で資料を読み漁った。きっと形を与えた要因の絵か像が出てくる。その予想通り、子どもの落書きに似た犬の絵が出てきた。これこそが真実。彼女はいにゅいにゃいの真の姿を認識したのであった。……本当に?
 皆が幻想を見ていて、唯一鶯だけが真実を見ている? 仮にそれが『真』であるとして、それを観測する者が一人だけの場合。果たしてそれは真実に『真』であるのか? 観測できない大多数にとっては『真』こそが幻想ではないか? それともそれとも、最初から鶯は彼女だけに見える世界に居た? 方違えもせずいつの間に。
 グリモア猟兵はいつ絵を描いた? いつ研究者の話をした? 猟兵はいついにゅいにゃいを認識した? 『音』が聞こえたのなら知っているはずだ。いにゅいにゃいは必ず存在すると。
 ターゲットが見えるようになった鶯は苦笑いを浮かべて話し掛ける。誰に?
「こんにちはー予想より割と普通なんだね?」
 彼女だけに見える『子どもの落書きに似た犬』は、ゆっくりと立ち上がって扉を開ける。その先には……?
 かわいいいにゅいにゃいを鶯がたすけにきてくれました。やったぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茜谷・ひびき
「邪教の研究者がやらかした施設に乗り込み、UDC-Pを保護して、対処マニュアルを作る」
内容自体は至って普通の依頼なのに何だこれ?
いにゅ?いない?かわいい?
……とりあえず頑張るか

施設に乗り込む前にUCを使って気合いとか覚悟とかを決めておく
運送業者のバイトのフリでもしておくか
UDC組織に制服やら偽の荷物は用意してもらえるか?
あんなの保護してこいって言うんだからそのくらい頼まれろよ!

適当な部屋に荷物を運び込むフリをしつつUDC-Pを探すぜ
その辺の研究員に「なんか動物の鳴き声とかするけど実験動物でもいるんですか?」とか聞いてみよう

あと犬?なら体毛とかも落ちてないか?
……落ちてたとしても睫毛かもしれねぇ



「邪教の研究者がやらかした施設に乗り込み、UDC-Pを保護して、対処マニュアルを作る」
 至って普通の依頼だ。しかし。茜谷・ひびきは遠い目をする。何だこれ? いにゅ? いない? かわいい? ……とりあえず頑張るか。
 気乗りしないが刻印を活性化させ、気合いとか覚悟とかをキメたひびきは突然気づいた。運送業者のバイトのフリをするには、制服や偽の荷物が必要では? 弾かれたように振り返るも、転送ゲートはすでに閉じている。
 あんなの保護してこいって言うんだから、そのくらい準備しとけよ! ひびきはUDC組織への不満を内に秘め、取り敢えず手持ちのスクールバッグを小脇に抱えて施設を歩き回った。ちょっとした宅配物に見えなくもない、よな?
 適当な部屋を覗き込むと、研究員がマレー熊のようにウロウロしている。ひびきはお荷物でーすと言いながら部屋に入った。
「なんか動物の鳴き声とかするけど実験動物でもいるんですか?」
「動物の鳴き声なんて聞いた事がないなぁ。助けを呼ぶ声なら聞こえるけど」
 実験動物なんていにゃいんじゃないか? そう言って研究員は再び右往左往を始める。だめだこりゃ。
 再びUDC-Pを探して歩き出したひびきは、ふと思い付いて床に視線を走らせた。犬? なら体毛とか落ちてるんじゃないか? 彼の脳内にいにゅいにゃいが現れる。……体毛あるか? 脳内のいにゅいにゃいがゆっくりと瞬きをし、黒くてふさふさした睫毛が上下した。あー、睫毛ならあるなぁ。
 再び遠い目をしたひびきは、視界の隅に黒くてふさふさした毛を見つける。それは道標のように長く続き、彼をとある扉へと導いたのであった。
 かわいいいにゅいにゃいをひびきがたすけにきてくれました。やったぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛籠雄・九雀
SPD

無は在るのか無いのか。『無として観測されている』以上は『存在している』のではないか。
考えは尽きぬが、さて。

助け…助けてもよいのであるか? 本当か? いや、やれと言うのであればやるが。本当か?
連れ帰ったらUDC職員ちゃんたちが軒並み発狂するというような事態にならぬであろうな?
オレは責任が取れんであるぞ。

ま、まあよい。【ジャンプ】とオキザリス・パルマで適当に開いていそうな窓でも探し、【忍び足】で潜入する。その後は適宜研究員ちゃんたちを一人ずつ【おびき寄せ】し、なけなしの【コミュ力】で会話、あるいは武器で脅すなどしてUDC-Pの居場所を聞きたいが…

…会話が成立するのであるか…?

アドリブ連携歓迎



 葛籠雄・九雀は『無』について考える。無は在るのか無いのか考える。『無として観測されている』以上は『存在している』のではないか? そう、いにゅいいにゃいが『存在している』ように。さてさて、考えは尽きぬが、まずは任務を遂行せねば。そう思ったものの、彼は新たな疑問にぶつかったのであった。
「助け……助けてもよいのであるか? 本当に?」
 九雀はポツリと呟く。いや、やれと言うのであればやるが……本当か? 連れ帰ったらUDC職員ちゃんたちが軒並み発狂する事態を招くのではないか? 彼の脳裏に浮かぶのは総職員発狂バットエンド。オレには責任が取れんである……が、まあよい。よいとする。
 不吉な想像を振り払い、九雀は空中を飛び跳ねる。お誂え向きに開いた窓が一つ。おいでませ研究施設。
 難なく潜入した九雀は研究員を誘き寄せにかかった。幸いな事にここは放送室。彼はマイクを握る。
「いらっしゃ〜い、いらっしゃ〜い。神様を呼び出せるお薬『カミスグデール』であるぞ〜。今なら大特価980円〜。数量限定、お早めに〜」
 釣られた研究員が一人、また一人と放送室を訪れる。九雀は彼らとお話をした。それはそれは友好的に、なけなしのコミュ力で頑張った。しかし、彼の予想通り、研究員とは会話が成立しないのであった。誰もが口を揃えていにゅなどいにゃいと言う。
 埒が明かないので、九雀は武器で脅してみた。しかし、誰一人UDC-Pの居場所を話さない。だっていにゅはいにゃいから。
 仕方がないので、九雀は自分の足で探す事にした。彼は外に出るため部屋に一つの扉を開ける。すると、そこには大量のいにゅいにゃい。
 かわいいいにゅいにゃいを九雀がたすけにきてくれました。やったぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『いにゅいにゃい』

POW   :    いにゅ
全身を【否、周囲の存在を『いにゅ』】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    いにゃ
肉体の一部もしくは全部を【いにゃ】に変異させ、いにゃの持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
WIZ   :    ない
【狂気】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【終】から、高命中力の【精神を喰らう『無』】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

 扉の向こうで待っていたのは大量のいにゅいにゃい。視界は見渡す限りいにゅで埋め尽くされ、いにゃい以外何も見えないのであった。みんながこちらを見ている。そして、みんなお腹が空いていた。何故ならばはめつてきなやまいでかしょくがしれませんから。
「たすけてください」
 さぁさぁ猟兵。かわいいいにゅいにゃいをたすけにきてくれたやさしい猟兵。分かるあなたこそが猟兵。分からないあなたは誰?
「たすけてください」
 目が在り、耳が在り、足が在り、尾が在る。胴体と頭を繋ぐ部位が在り、しかしいにゅはいにゃいので在るのは『無』。むむむ、これは困った。どうやって『無』を倒してかわいい『無』を助け出そうか。否、否。いにゅはこうして目の前に居るではないか。それともあなたの前にはいにゃい?
「たすけてください」
 さぁさぁ猟兵、さぁさぁ。大量の『無』の中に居たとしても一目で分かるかわいいいにゅいにゃいがあなたの助けを待っている。
伊美砂・アクアノート
【SPD オルタナティブ・ダブル】
にゃっふー! 古代シュメール人みたいな目をしやがって! 良えよ、助けを求める声があれば駆けつけるのが猟兵! 勢いよく飛び込んでおいで! さぁ、かまーん! アタシはニコニコ笑いつつ鉈をブンブン振って近づいて行くよー。
ボクはショットガンを構えつつ、アタシが敵に接触できるか観察しておこう。ほら、物理的に干渉できるなら銃弾も効くでしょ?(適当) 逆に、無が無であって無ならば、別のアプローチをするしかないね。否定神学はご存知ですか? いにゅいにゃいは神では無いので、UDC-Pのいにゅいにゃい(仮称:ポチ)はペットにできるのでは? よし、毎日遊んであげるからウチにおいで!



「良えよ、助けを求める声があれば駆けつけるのが猟兵! 勢いよく飛び込んでおいで! さぁ、かまーん!」
 にゃっふー! 古代シュメール人みたいな目をしやがって! 伊美砂・アクアノートは、かわいいいにゅいいにゃいに向かってニコニコと笑う。
 飛び込んでおいでと言いながらも、二人の伊美砂のうち、アタシの伊美砂は鉈をブンブン振って自分から接近するのであった。一方、ボクの伊美砂はショットガンを構えながら、物理的に干渉できるのかどうか、アタシを観察中。鉈が当たるのなら、ボクの銃弾も効くでしょ? 適当? いいじゃんいいじゃん。
 鉈が当たったのか良く分からないうちにいにゅいにゃいはいにゃに変異してしまった。いにゃは伊美砂の隙間に入り込む。むむむ、これでは攻撃ができにゃい。
 無が無であって無ならば、別のアプローチをするしかないね。否定神学をご存知ですか?
「否定の蓄積が層と成り、人の思想の外に居る神の存在を肯定する。『無』を否定の一般化と仮定して大量の『無』を積み重ねた所で、居るのに居ない、輪郭が曖昧な貴方では神には成れません」
 そうとも、いにゅいにゃいが神ではない以上、それは無に等しい被造物。かわいいいにゅいいにゃいをペットにだってできるのでは?
「よし、毎日遊んであげるからウチにおいでポチ!」
 アタシが呼びかけた相手はUDC-P。しかし、彼女の隙間から顔を出したいにゃが鳴く。たった今、それは『ポチ』に成った。
 隙間には居られなくなったので、ポチは伊美砂から這い出す。ボクは輪郭が明確なポチに向かって、ショットガンをぶっ放した。
 存在を否定されたポチは『ポチ』ではなくなり、しかしながらすでに『無』でもない。なんでもなくなったいにゅいいにゃいは、溶ける様に消えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

回々・九流々々
「無が飛んで精神を貪るのですか僕の心は全部あげちゃうので埒外の暴力を叩き込んでやりますよ。其処に無が存在するならば即ち『無機物』なのでコーヒーカップの材料ですなのでいにゅいにゃいを遊園地に招待します。触手が総てを巻き込んで高速回転するので酷く吐きそうなくらくらに違いありません。さあ、そこのPさんは早く逃げてください。僕自身もリバースしそうなのでいや本当誰か止めてください目が回りますよ!!! ごほん。これでいにゅいにゃいのない目玉はぐるぐるするに決まっていますよはい??? さあ、さあ、さあ――僕がいにゅでもいにゃでも関係ありません。何せ総てが回転して見せられないレインボーに墜落するのですから!」



 回々・九流々々はくるくる回る。いにゅいいにゃいから『無』が飛んできて精神を貪るのだとしても、僕の心は全部あげちゃうので引換に埒外の暴力を叩き込むだけのお話です。はい。どうぞどうぞ。
 否、否。そもそも、すでに狂々してる彼女に狂気の感情を与えられるのか? 果たして、いにゅいいにゃいは『終』を召喚できたのか? しかし、それは詮無き疑問。何故ならば、其処にはすでにこんなにたくさんの『無』が存在する。ならば、それ即ち『無機物』の山。イコール、くるくる回るコーヒーカップの材料。今こそいにゅいにゃい御一行を遊園地へ招待する時だ。
「さぁ、そこのPさんは早く逃げてください」
 かわいいいにゅいいにゃいへ警告を飛ばし、九流々々はコーヒーカップたちと共にぐるぐる回る。触手が総てを巻き込んで高速回転するので、酷く吐きそうなくらくらが訪れるに違いない。
「僕自身もリバースしそうなのでいや本当誰か止めてください目が回りますよ!!!」
 ごほん。九流々々は咳払いをする。つまり、気を取り直したのであった。
 さあ、さあ。これでいにゅいにゃいの目玉はぐるぐるするに決まっていますよ。はい? 目玉ないんですか?? はい、なくても平気です。ない目玉だってぐるぐるします。はい???
 さあ、さあ、さあ。僕がいにゅでもいにゃでも九流々々でも関係ありません。
「何せ総てが回転して見せられないレインボーに墜落するのですから!」
 視界は総じてくるくる回る虹色のコーヒーカップ。触手と触手が手をつないでランデブー。綺羅びやかな怪異は愉快な眩暈を運び入れ、禁則事項の虹色へと到達する。嗚呼、なんて綺麗な暴力。
 くらくらでふらふらなのに尚もくるくる回り続ける九流々々の側には、もう何も残っていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴夜・鶯
よくわからいのが大量にいるなぁ~
いにゅいにゃいはこの子なのに?
案内してくれた『子どもの落書きに似た犬』を優しくなでます

うん?このいっぱいいる奴らはボクに敵意があるみたいだ
う~ん…『犬くん』?君に追加の役割を与えてあげる
しばらくボクのナイトになってくれないかな?

『ワード・マスター』を使用
ギターを取り出し「楽器演奏」でリズムを刻み
よくわからない大量の敵に
「歌唱」で底上げした歌声を聞かせ

「歌詞に載せた言霊を具現化した攻撃」で
『犬くん』?の存在を自身の都合のいいように強化
(※彼らの天敵であり一撃で蹴散らせるなど)
即席の歌で操りながら攻撃を仕掛けます

狂気?そんなもん歌に集中してるから気にもならないよ_



「よく分からないのが大量にいるなぁ~」
 いにゅいにゃいはこの子なのに? 鳴夜・鶯は首を傾げ、ここに導いてくれた『子どもの落書きに似た犬』を優しく撫でる。彼女だけに見える存在は、嬉しげにそれを享受した。
 どうやら、この大量に居るよく分からない奴らはボクに敵意を持っているらしい。う~ん……。鶯は『犬くん』に視線を合わせ、追加の役割を与えたのであった。しばらく、ボクのナイトになってくれないかな?
 刻まれるギターのリズムと共に、『犬くん』は彼女にとって都合のいい姿に変貌する。『犬くん』は奴らの天敵であり、奴らを死滅させる習性を持つ存在である。そうあれかしと彼女が望んだので、そのように成った。
「ボク、794のマジ歌聴かせてあげるよ!」
 鶯の歌声が、魂の音楽が全てを満たす。即席の歌ではあるが、歌詞が言霊と成り、具現化の力を持つ。力を与えられた『犬くん』が次々と奴らを蹴散らしていった。
 果たして、鶯は『狂気』を得たか?
 歌に集中する鶯は理解しない。目前の敵は『よく分からないの』なので、そちらに『いにゅいにゃい』は居ない。
 果たして、鶯へ『無』は飛んだか?
 けれど、鶯は理解する。いにゅいにゃいは『犬くん』なので、こちらに『いにゅいにゃい』は居る。
 果たして奴らは何? いにゅ? いにゃい? いにゅいにゃい? 否、否。そちらに居るのは『よく分からないの』だ。そのように、ボクが定めた。かわいいいにゅいいにゃいを『犬くん』と定めたように。
 歌を終え、演奏を終えた鶯は一礼し、視界を閉ざす。1、2、3。再び開かれた視界から奴らの姿は消え、『犬くん』だけがそこで彼女を待っていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧城・ちさ
かわいいにゅいにゃいさんを助けるために力を尽くしますわね
攻撃は自身の動きとユーベルコードでの強化で加速して避けますわね
かわいいのを探してみつけたら巻き込まれたり間違って攻撃したり他の『無』から守るために拠点防御を行ったりオーラ防御で耐えますわね
他の猟兵さんへのフォローもしっかりして多くいる敵から死角からの攻撃を警戒して庇ったりしていきますわっ

他の猟兵さんとの連携などは大丈夫ですの


葛籠雄・九雀
SPD

一体何を指して無と称しているのか?
混乱してきたである。観測できる無は無と称して良いものか。あるいは無であるために観測ができない?
であれば、オレはこれをどうやって観測しているのであろうか。観測しているというのは事実であり、否、事実ではないのか。
研究員ちゃんたちはどこにもいないと言った。
無は遍在するのか。

…何にせよ、『わかる』のであるよな。オレが猟兵である以上。『無』であっても、世界の法則には従うはずである。

どこにもいないいにゅいにゃいに、【投擲】+ダチュラを使う。狂気によって性質が損なわれれば、出てくるやもしれぬ。
オレの正気?
この状況でそれを問うても、今更であるよな…。

アドリブ連携歓迎



「かわいいいにゅいにゃいさんを助けるために、力を尽くしますわね」
 それに、他の猟兵さんへのフォローも必要ですわね。今の所、視界はいにゅいいにゃいで埋め尽くされているが、きっと他の猟兵も来ているはず。霧城・ちさは意気込んだ。彼女はうさぎさんの杖を天高く掲げる。
「風の精霊さん! その力を私に貸して欲しいですの」
 大切なお友達の力で、ちさは風の精霊へと変身した。風の力を纏った彼女は凄まじいスピードでいにゅいいにゃいの隙間を駆け回り、かわいいいにゅいいにゃいを探す。探す。探す。居た。
 戦いに巻き込まれたりしないように。間違って他の猟兵たちに攻撃されたりしないように。そして、他の『無』から守るために。ちさはかわいいいにゅいいにゃいを背に庇った。
「絶対に守ってあげますわ」
 ちさは優しく微笑むと、周囲に気を配った。なんせ敵は多い。死角からの攻撃があるかもしれない。彼女は警戒を強め、仲間を探したのであった
 一方、葛籠雄・九雀は視界を埋め尽くすいにゅいいにゃいを前に混乱中。
 観測できるいにゅいいにゃいは『無』と称して良いものか。観測できる時点でそれは『無』ではないのではないか? 一体何を指して『無』と称しているのだ? あるいは、『無』であるためにそれは観測ができない? であれば、オレは目前のいにゅいいにゃいたちをどうやって観測しているのであろうか。そもそも『観測している』というのは事実、否、事実ではない?
 いにゅはいにゃい。研究員たちは言った。どこにも居ないと、そう言った。ならば、目前のこれは何か? ……『無』とは遍在する?
 むむむ。混乱の極地と成った九雀は首を振る。……何にせよ、『分かる』はずだ。九雀は猟兵である。そして、猟兵には分かる。それは確定した真実。何もかも不確かなこの場において、それだけは確固たる事実。例えそれが『無』であっても、世界の法則には逆らえない、はず。
 九雀は一本の針を取り出した。どこにも居ない、しかし、観測はできるいにゅいいにゃい。狂気によって変質すれば、何か変わるかもしれない。彼は針を投擲する。勢いよく飛んだ針は、いにゅいいにゃいに飲み込まれるように消えた。
「は?」
 今更ながら、九雀は己の正気を疑う。だって、いにゅいいにゃいがいにゃへと変異したのだ。いにゃ? そう、いにゃ。オレにはそれが『分かる』。これはいにゃだ。あれ、いにゃはいにゃいのではなかったか?
 いにゃは九雀の隙間に入りたい。立ち尽くす九雀はそれをじっと見ていた。
「危ない!」
 その時、ちさが舞い降り、いにゅいいにゃいと九雀の間に割って入った。彼女が身に纏ったオーラに弾かれたいにゃは、否、いにゅいいにゃいだ。いつの間にか、いにゃはいにゅいいにゃいに成っていた。いにゅいいにゃいはぶるぶる震えると、ちさ目掛けて『無』を飛ばす。ちさは風の力で加速し、攻撃を避けた。
 更に激しく震えるいにゅいいにゃいを警戒しつつ、ちさは未だに立ち尽くす九雀に声を掛ける。
「大丈夫ですの?」
「ああ……うむ……ええと……ああ、助かったのである」
 九雀は激しく首を振り、正気に戻ろうとする。ただし、彼の言う正気が一般的な『正気』であるかは、また別のお話。
 彼なりの正気に戻った九雀はちさに礼を言うと、震えるというよりもはや振動するいにゅいいにゃいを見た。
 いにゅはいにゃい。はずだった。しかし、どうやらいにゅは居る。いにゅはいにゃいではない。ならば、『無』ではない? にゅはいにゃでいにゃいからいにゅいいにゃいで、だからこそ『無』だったはずでは。
 針の一撃で変質し、曖昧な輪郭を明確にしたいにゅいいにゃい。しかし、その結果は存在の自己否定。もはや存在できなくなったいにゅいいにゃいは、二人の前でゆっくりと崩壊していったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜谷・ひびき
……UDC-Pが助けを求めてるなら仕方ない
何とかする……何とかするぜ!

周囲の存在をいにゅにされたとしてもその「周囲」がピンチならきっとこいつらもピンチになる
だからUCの炎でいにゅいにゃいの周りを燃やしていくぜ
無敵が解けた時に周囲が燃えてるなら燃えるだろ……
UDC-Pと味方は巻き込まないように気を付けないとな
っていうか「いにゅ」ってなんだ?

【覚悟】をキメて【野生の勘】も研ぎ澄ませつついにゅいにゃいの動向には注意しておこう
だってこいつら何してくるか分かんねぇし

ああ、UDC-Pがつぶらな瞳をこっちに向けている
守ってやるから無垢な目で俺を見るな
……かわいくみえてきて怖いんだよ!!



 ……UDC-Pが助けを求めているなら仕方ない。仕方ないのだ。茜谷・ひびきは覚悟をキメる。何とかする……何とかするぜ! 彼は自分の体を斬り裂いた。血が流れるべき傷口からは、赤々と燃え滾る『地獄の炎』が噴出する。
 ひびきは鋭い眼差しをいにゅいにゃいに向けた。何を考えているのか、何をしてくるのかさっぱり理解できない。それに、理解できてはいけない気もする。彼はいにゅいにゃいを警戒しつつ、UDC-Pへと視線を向ける。巻き込まないように気を付けないと。
 かわいいいにゅいいにゃいは……嗚呼、つぶらな瞳をこちらに向けているではないか。微妙に視線を逸したひびきは、ゴクリとつばを飲み込む。
「守ってやるから、無垢な目で俺を見るな」
 ……かわいく見えてきて怖いんだよ!! かわいいいにゅいいにゃいの視線を振り切ったひびきは、紅蓮の炎でいにゅいにゃいの周りを燃やしていく。周囲の存在をいにゅにされたとしても、その『周囲』がピンチならばきっとこいつらもピンチになる、はずだ。
 っていうか『いにゅ』ってなんだ? 彼は疑問に思った、と同時に理解した。研ぎ澄ました鋭い勘で理解してしまった。いにゅいいにゃいの『周囲』には、自分も含まれる。
 いにゅは顔を上げた。炎。ピンチだ。否、大丈夫。燃えない。何故ならいにゅは無敵だからだ。しかし、無敵が解けた時に燃えていたら……? いにゅは燃える。燃える。燃える。燃え……る……? いにゅは気付いた。いにゅは燃えている。しかし、『自分』は燃えていない。
 ひびきは目を固く閉じ、大きく息を吐いた。心臓が激しく動いているのが分かる。そう、分かる。俺はいにゅじゃない。
 いにゅは燃え、いにゃいは燃え、いにゅいにゃいは燃える。大炎上するいにゅいにゃいは、ゆっくりとその輪郭を曖昧にしていく。ひびきが炎を消し去った後には、かわいいいにゅいいにゃいだけがそこに残ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『UDC-P対処マニュアル』

POW   :    UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す

SPD   :    超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す

WIZ   :    UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 かわいいいにゅいにゃいをたすけてくれてありがとう!
 かわいいいにゅいにゃいは見た者に不可解な恐怖を呼び起こす。しかし、かわいいいにゅいにゃいは『UDC-P』で、『UDC-P』はUDC組織に引き渡す必要がある。
 かわいいいにゅいにゃいは猟兵を見る。かわいいいにゅいにゃいは助けてくれた猟兵に感謝しているので、マニュアル作りにとても協力的なのであった。
 どうすればいいのか分からないかわいいいにゅいにゃいだが、正直な所、猟兵もどうすればいいのか分からない。
 とりあえず、この『見た目』をどうにかしたらいいんじゃないかな……? 誰かが言った。一堂なんとなく納得する。マニュアル第一項は『見た目について』。
 あとは? あとは……。猟兵はかわいいいにゅいにゃいを見た。かわいいいにゅいにゃいも猟兵を見る。……あとは大丈夫! だって良く見たらかわいいもの! かわいいかわいい!
 禁止事項その一は『見つめ合う事』に決定。
霧城・ちさ
にゅいにゃいさんといろいろな事をしてみますわね
一つでも新しい事を情報としてまとめますわっ
どんな手触りがするのかずっと気になっていたので触ってみたいですわね
どこを触ると喜ぶかとか苦手なところがないか気を付けて触りますの
なんでも食べてしまうみたいですが食べないものとかも調べてみたいですわね
なんでも食べてしまうとどこかへいってしまいそうで心配ですの
どのくらいの早さで動くかも確認するのに遊んでみたいですわっ
犬とか猫と違う生き物なのか、なるべく快適に過ごせるようにしっかり反応をチェックしますわね

アドリブや連携は大丈夫ですの


葛籠雄・九雀
SPD

マニュアル、マニュアルであるかぁ。
しみじみと『無理難題を…』という気持ちになるであるよ。
…オレは見つめ合わぬ。見つめ合わぬぞ。オレが辛うじて獲得している『可愛さ』の定義が根底から揺らぐ。他人との会話が困難になるのでやめて欲しいのである。切実に。

とは言え、マニュアルは作らねばならんのであるし…ふーむ…観察してみるであるが…正気か。正気か? ぐ、こ、こちらを覗き込まれても顔を逸らす。
…とりあえず、見た目がまずいのであれば、布でも被せてみればどうか。白い布を被せて…こう…。

それと、名前を付けておれば、無にもならぬのであろう。適当に名を付けてやれば良かろう…オレは思いつかんが…。

アドリブ連携歓迎


茜谷・ひびき
よし、なんとかUDC-Pは保護できたな
あとはマニュアル……
いにゅいにゃいがどうやって生活してるかとかが謎だよなぁ

まずは何を食べるかだ
とりあえず手持ちのおにぎりやおはぎを差し出してみる
毒になったらまずいから、少しずつ様子を見ながらだな
人間と同じ食べ物でそれなりの値段のものを食べて生命維持出来るならありがたいな
…………口ってどこだ?

あとは目は普通に目として機能しているみたいだから、耳や尻尾も普通の動物と同じように機能しているか調べてみるか
…………肌触りってどんな感じだ?

世話してる最中に何か困ったことがあればそれも記録していこう
お前も何か困ったら教えてくれよ
……やっぱりこうして見るとかわいい、かも?



「よし、なんとかUDC-Pは保護できたな」
 茜谷・ひびきは安堵の息を吐く。あとはマニュアルだなぁ……と遠い目をする彼に、葛籠雄・九雀もしみじみと同意する。
「マニュアル、マニュアルであるかぁ。また、無理難題を……」
「だよなぁ……いにゅいにゃいがどうやって生活してるかとか、謎だよなぁ」
「とは言え、マニュアルは作らねばならんのであるし……」
 二人はいにゅいにゃいを見た。いにゅいにゃいも二人を見たので、彼らは慌てて目を逸す。九雀は天を仰ぎ、ブツブツと呟いた。……見つめ合わぬ。見つめ合わぬぞ。オレが辛うじて獲得している『可愛さ』の定義が根底から揺らぐ。他人との会話が困難になるのでやめて欲しいのである。
 ひびきは、九雀のあまりに切実な声に同情の眼差しを送る。苦労してんだろうなぁ。
 途方に暮れる二人とは対象的に、霧城・ちさは大いに張り切っていた。
「いにゅいにゃいさんがなるべく快適に過ごせるように、一つでも新しい情報をまとめますわっ」
 いにゅいにゃいさんといろいろな事をお話してみますわね。にこやかに積極的な彼女に感化され、ひびきと九雀も覚悟を決めていにゅいにゃいに近寄る。
 九雀は、目線が合わないように気を付けながらいにゅいにゃいを観察した。彼は長い手足を半端に曲げた中腰で、首を45度程に傾ける。いにゅいにゃいがこちらを覗き込むようならば、即座に体ごと顔を逸らせるように。傍目、実に不審である。
「……とりあえず、見た目がまずいのであれば、布でも被せてみればどうか」
 白い布を被せて……こう……。身振り手振りで説明する九雀に、ひびきは思案顔を、ちさは悲しげな顔をする。
「見えないほうが、逆に想像を掻き立てられないか? それに、布の向こうに居るか居ないか分からなくて不安だ」
「ぐ、最もである」
「いにゅいにゃいさんがかわいそうですわ」
「そうであるか。……そうであるかぁ?」
 更に首を傾ける九雀。ひびきは思案顔のまま、二人に提案する。
「『目』は普通に目として機能しているみたいだから、耳や尻尾も普通の動物と同じように機能しているか調べてみるのはどうだ?」
「良い考えだと思いますわ。わたくし、いにゅいにゃいさんがどんな手触りなのか、ずっと気になっていましたの」
「触る? 触るのであるか?」
「あら、気になりませんこと?」
「気になるも何も……正気か?」
「実は俺も気になってた」
「なん……だと……」
「いにゅいにゃいさん、撫でても構いませんこと?」
 ブルータスお前もか。驚愕する九雀と素知らぬ顔のひびきをそのままに、ちさは手を伸ばして問い掛けた。その声に反応し、いにゅいにゃいはちさを見る。彼女はそっと視線を外し、不躾でごめんなさいね、と謝った。
 いにゅいにゃいの回答は是であると『認識』したちさは、ゆっくりといにゅいにゃいを撫でる。ゴワゴワするような、ザラザラするような、なんとも言えない感覚。事前に『想像』していた通りの感触が手に伝わった。彼女は優しく語り掛ける。
「撫でて欲しい所とか、触られたくない所とか、もしあるようでしたらおっしゃって」
 いにゅいにゃいからの返答はなかったが、ちさはいにゅいにゃいの喜ぶ箇所を『想像』して撫でた。そして、いにゅいにゃいが喜んでいると『認識』する。
 興味深そうなひびきと恐ろしげな九雀がちさを見詰めた。彼女は自分の『認識』を二人と『共有』する。それを受け、話し合った三人はいにゅいにゃいとの接し方について、ひとまず犬や猫に対するように振る舞おうと決めた。実際のところ、それらと全く違う生き物なのかもしれないが、判断基準にはなるだろう。
 ちさはいにゅいにゃいを撫で続ける。いにゅいにゃいは犬や猫のように耳や尾を動かした。九雀もぎこちない手付きでいにゅいにゃいを撫でる。
「名前を付けておれば、『無』にもならぬのであろうか?」
「あら、素敵なアイディアですわね」
「適当に名を付けてやれば良かろう……オレは何にも思い付かんが……」
「なにがよろしいかしら」
 二人に撫でられて嬉しそうないにゅいにゃいに、ひびきは和む。そして、スクールバックから購買で買ったおにぎりとお気に入りのおはぎを取り出した。
「人間と同じ食べ物で、それなりの値段のもので生命維持できるならありがたいんだが」 
 そう言いながら、それらを小さく千切っていにゅいにゃいに差し出したところで、彼の動きが止まる。……口ってどこだ?
 固まるひびきに気付かず、ちさは撫でる手を止めて憂い顔をする。彼女はいにゅいにゃいの『食べないもの』が気になった。何でも食べるいにゅいにゃいは、UDC施設の壁だって食べてしまうかもしれない。
「いにゅいにゃいさん、どうか食べないものを教えてくださいませんこと? わたくし、あなたがどこかへ行ってしまいそうで心配ですの」
 憂い顔のちさは『想像』する。何でも食べるいにゅいにゃいの食べないもの。例えば……。
 いにゅいにゃいはちさを見た。いにゅいにゃいは彼女の『想像』を、『認識』を肯定し、確定する。猫のように前足で顔を洗ったいにゅいにゃいは、ちさがこれから確定させる未だ未確定の何かを食べないだろう。今後、誰かにその『認識』を覆されない限り。
 いにゅいにゃいは九雀を見た。九雀は勢い良く顔を逸らす。しかし、優しい手はいにゅいにゃいを撫で続けた。犬のように尾を振ったいにゅいにゃいは、彼が望まない限り『無』にはならないだろう。
 いにゅいにゃいはひびきを見た。手から忽然と消えた食べ物に呆然としていたひびきは、苦笑していにゅいにゃいを撫でる。彼は毒になった困るからと、再びおにぎりとおはぎを千切って差し出した。何か困った事があったら教えてくれよ。そう言う彼は、いにゅいにゃいをかわいいかも? と思っている。だから、いにゅいにゃいは『かわいい』のだ。
 かわいいいにゅいにゃいは「にゃわん」と鳴いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

伊美砂・アクアノート
【SPD オルタナティブ・ダブル】
あ゛? なんでだよ、こんなに可愛いのに『見つめ合う』のが禁止とかワケわからん…。なぁ、お前もそう思うだろ、タマ(仮称)?
オレがいにゅいにゃい改めUDC-Pのタマちゃん(仮称)と戯れている間に、僕は真面目にマニュアル作成を試みますね…。…視認がトリガーなのか、それとも『それ』に関する情報子(ミーム)が伝達されるだけで駄目なのか…。とりあえず僕は目を塞いで、オレと僕で情報の伝言ゲームを試します。 失敗したら人格シャッフルして再試行、再思考だよーーー次の私とアタシは上手くやるでしょう! さあ、フレッド(仮称)の特徴を教えて、私! 触感は、匂いは? 表現してみて!



 あ゛? なんでだよ。伊美砂・アクアノートは非常にドスの利いた声を発した。
「『見つめ合う』のが禁止とかワケわからん……。なぁ、お前もそう思うだろ、タマ」
 いにゅいにゃい改めUDC-Pのタマ(仮称)は伊美砂を見た。伊美砂もタマを見る。そして、かわいいかわいいこんなにかわいいのに、と呟いた。
 オレが戯れている間、もう一人の伊美砂である僕は真面目にマニュアル作成を試みる。……視認がトリガーなのか、それとも『それ』に関するミームが伝達されるだけで駄目なのか……。
 僕は目を塞ぐ。そして、オレと情報の伝言ゲームを試みた。
「さあ、オレ。タマちゃんの事を教えてください」
「かわいい。かわいいかわいい」
 失敗。まぁ仕方ない。僕とオレはすでに『いにゅいいにゃい』を認識している。さぁ、人格シャッフルして再試行。再思考。次のアタシと私は上手くやるでしょう!
 アタシは目を塞いだまま、同じく目を塞いでいるはずの私へ声を掛ける。アタシと私は僕ともオレとも情報共有していない。そして、脳内全人格会議も棄権による不参加。認知しているのはたったの二つ。UDC-Pのフレッド(仮称)を保護した。今から彼のマニュアルを作る。
「さあ、フレッドの特徴を教えて、私! 触感は? 匂いは? 表現してみて!」
「えー、誰も居なくない? あれ、居るかな?」
 仮定その一。視認しないと存在が確定しない。
「OK、目を開いてみて!」
「えー、UDC-Pって感じ」
 仮定その二。『見た目』は視認者の知識・思考から形成される。
「OK、実はそのUDC-P、手が四本あるの!」
「あ、手生えた」
「OK、オレと情報共有して!」
「うわ、こわ。これがいにゅいにゃい?」
 仮定その三。認識に依って『見た目』が変わる。
 こんなところかな? アタシは目を開く。目の前には『UDC-Pって感じ』で『手が四本ある』フレッドが居た。彼女は彼ににっこりと笑って、マニュアル作成を他の人格にぶん投げる。あとよろしく! 脳内で非難の声が湧き上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

回々・九流々々
【WIZ】
「対処法?? かわいいいから対処する必要なんてありませんよ何せいにゅいにゃいはむしむしと虫を食べるかもしれませんが無視する事は絶対にできませんので?? あ。僕は正気を取り戻しましたよ? はい。兎に角。見つめる。見つめないの問題じゃないと考えられます。やはり此処は『ともだち』として。『仲間』として認識するのが正解でしょう。僕達がいにゅいにゃいを狂気と『定めている』からダメなのです。いにゅいにゃいはいにゅいにゃいなので、きっと人間と同じ種族なのですよ。ほら。彼等もそう言っています――結論。いにゅいにゃいは『いにゅいにゃい』として管理する。確実に『在る』ものとして世界に認識させるのですよ」



「対処法??」
 かわいいいから対処する必要などないと思っていた回々・九流々々は、とてもとても驚いた。何せ、何でも食べるいにゅいにゃいはむしむしと虫を食べるかもしれないが、観測者を無視する事だけは絶対にしないはずだから。
「あ。僕は正気を取り戻しましたよ? はい。」
 誰ともなく自らの正気を宣言し、九流々々は自信たっぷりに頷く。兎に角、いにゅいにゃいの対処なんて不要で、だから禁止事項なんてものも不要で、やっぱり『見つめる』『見つめない』の問題ではないと考えられるのだ。
「やはり此処は『ともだち』として、『仲間』としていにゅいにゃいの事を認識するのが正解でしょう」
 そうなのだ。僕たちが、皆がいにゅいにゃいを狂気と『定めている』からダメなのだ。そんな有様だから、いにゅいにゃいは狂気と観測されてしまっている。いにゅいにゃいはいにゅいにゃいなので、きっと人間と同じ種族だ。
「ほら。彼等もそう言っています」
 九流々々はいにゅいにゃいを指し示す。いにゅいにゃいは九流々々を見た。九流々々もいにゅいにゃいを見る。彼女はいにゅいにゃいを狂気と定めない。だから見つめ合っても正気のままだ。……他人が何と言おうと、彼女は自分が『正気』だと確定する。
「――結論。いにゅいにゃいは『いにゅいにゃい』として管理する。確実に『在る』ものとして世界に認識させるのですよ」
 僕たち観測者がいにゅいにゃいを『在る』と認識し、『狂気』ではなく『ともだち』、『仲間』として存在を確定する。
「それだけでいいのです。対処法なんて必要ありません」
 九流々々はくるりと回り、いにゅいにゃいにぺこりと頭を下げた。ようこそUDC組織へ! これからどうぞよろしく。彼女に倣うように、いにゅいにゃいもぺこりと頭を下げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴夜・鶯
794「いにゅいにゃい」報告書

予測から確認を行った結果
ボクが認識していた「いにゅいにゃい」
他の猟兵が認識していた「いにゅいにゃい」との差異が見受けられ
そのことから「いにゅいにゃい」は不特定多数が存在を共有することで
その存在、外見を固定化しているものと推測出来ました。

『UDC-P』「いにゅいにゃい」を収容する方法は
居るという事だけを伝えた認識していない職員を複数準備し
無害な姿、能力の方向性を与え
その姿を共有することで固定化を進めれば
安全に確保できると考えられます。

ふぅ…こんな感じかな?
「犬くん」から他のみんなが見ている
「いにゅいにゃい」の姿になった子を眺め

みんなと仲良くなれたらいいねと微笑みます



 以下、猟兵『鳴夜・鶯』が作成し、UDC組織に提出した『794「いにゅいにゃい」報告書』より抜粋。
 予測から確認を行った結果、ボクが認識、観測していた『いにゅいにゃい』と他の猟兵が認識、観測していた『いにゅいにゃい』との間に差異が見受けられました。その事から『いにゅいにゃい』は不特定多数が観測し、認識を共有する事で、その存在、そして外見を固定化しているものと推測できます。
 その推測を元に、UDC組織において『UDC-P・いにゅいにゃい』を安全に確保、収容する方法を提案します。
 現在『いにゅいにゃい』は研究施設職員及び、保護に尽力した猟兵の認識によりこの様な外見(添付資料)を持っています。大多数の共通認識に依り『見つめ合う事』もできません。このままでは『いにゅいにゃい』の研究は難しいでしょう。
 そこで、まずは『いにゅいにゃい』を認識する前の、そこにUDC-Pが『居る』という事だけを伝えた職員を複数準備します。そして、彼らに『UDC-P・いにゅいにゃい』の無害な姿、能力の方向性を与えるのです。
 彼らが認識を共有した後に『いにゅいにゃい』を観測する事で、『UDC-P・いにゅいにゃい』は固定化されます。認識を共有する人数が増えれば増えるほど固定化が進み、より安全性が高まっていくものと考えられます。

「ふぅ……こんな感じかな?」
 書き上げた報告書を見直した鶯は、ナイトとして活躍してくれた『犬くん』、否、他のみんなと共有した認識の『いにゅいにゃい』を眺めた。いやぁ、ほんと、すごい『見た目』。彼女は苦笑し、でも、と思う。観測者次第で『見た目』は変えられる。『いにゅいにゃい』は『いにゅいにゃい』のまま、狂気を与えない『見た目』に成れる。
 どんな『見た目』でも『いにゅいにゃい』だが、どうせならかわいい方がいいだろう。
「みんなと仲良くなれたらいいね」
 鶯はかわいいいにゅいにゃいに優しく微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月06日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
🔒
#【Q】
🔒
#UDC-P


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト