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弐凶覚醒

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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「今回の依頼は、ある輸送戦艦の救援だ」
 サク・スミノエ(人間の電脳魔術士・f02236)は、集まった猟兵たちを見て、淡々とした飾りけのない口調で依頼の説明を始めた。

「理由は不明だが、帝国軍の宇宙船がこの戦艦を狙って後をつけている。あちらの方が足が速く、このままでは追い付かれるだろう。その前に輸送戦艦へ君たちを送るので、これを阻止してもらえるか?」
 ただ、とサクはゴーグル越しの眉をひそめてみせた。
「何か、釈然としない感じのする事件だ。周囲には他にも船がいたにも関わらず、帝国軍はこの輸送戦艦に狙いをしぼって追跡している。何か、この船には秘密があるのかもしれない」

 現在、輸送戦艦を標的としている帝国軍船は二隻。その詳細は不明だが、少なくとも輸送戦艦を撃墜するような気配はない。
 問題の輸送戦艦はまだこれらの追跡に気が付いていないらしく、のんびりと悠長に宇宙航行を続けている。一応の兵装は持ち合わせているものの、あくまで輸送用の宇宙戦艦だ。もしこのまま帝国軍船の攻撃を受けた場合、自力で凌ぎきるのは難しい。救うには、猟兵の助けがいる状況だ。

「今のところ、帝国軍船の目的はあくまで輸送戦艦への侵入、占拠のようだな。事情が分からない以上、現場では何が起こるか分からない。十分に気を付けるように――と、わざわざ言うまでもないな。やり方は任せるので、すぐに向かってくれ」
 頼んだ、とサクは言葉短かに説明を終えた。


ツヅキ
 このシナリオでは、オブリビオンと化した帝国軍に狙われた宇宙船の救援とその原因の排除を行います。
 まずは、第1章となる帝国軍侵入阻止のためのプレイングをかけてください。作戦が成功した場合、第2章以降に続いていきます。
 事件の状況や敵の情報などは以下をご参照ください。

●狙われた宇宙船
 中型の輸送戦艦。同じ宙域には他にも宇宙船が航行しているため、なぜ帝国軍が他でもないこの船を狙っているのかは不明。追跡されていることに気が付いていない。

●帝国軍船
 二隻が上記の輸送戦艦を狙って後を追跡している。まだ距離が離れており、肉眼では確認できない。
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第1章 冒険 『帝国の侵入を阻止せよ』

POW   :    宇宙船の周囲を足で稼いで警戒する。数打てば当たる、体力勝負だ。

SPD   :    宇宙船のどこを警戒すべきか? あたりを付けて警戒する。見張りにだって、有効な技術がある。

WIZ   :    宇宙船のセキリュティやセンサーを有効利用し、警戒にあたる。動く必要はないが、頭は使う必要がある。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月守・咲凛
「私の名前は咲凛、この艦は狙われています! 帝国軍に」
とりあえず乗組員と話を付けなければどうしようもありませんので、先ずは艦の人に帝国から狙われている事を伝えて、狙われるような心当たりがないかを聞いてみましょう。積み荷とかに変なものありませんか?
聞いた話は他の人達にも伝えて共有します。

状況がすぐに動くようであれば、エアドックの前で待機して敵艦の発見と同時に出撃、UCで武装を斉射して敵の出撃口を潰します。



●第1章 『謎の標的』
「私の名前は咲凛、この艦は狙われています! 帝国軍に」
 早速、件の輸送戦艦に移転した月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)が乗組員たちにそのことを伝えると、兵士たちは一様に動揺して互いの顔を見合わせた。
「すぐに、迎撃用意!」
 伝達は瞬時に艦内を伝わり、厳密な索敵によって敵船の位置が判明する――四時の方向、仰角30度。二隻か、と艦長がうめいた。
「しかし、なぜこの艦を狙っているのだ?」
「心当たりはないのですか? 例えば、積み荷とかに変なものがあったりなど……」
「積み荷だと?」
 その時、明らかに艦長の顔色が変わった。
「な、なにを馬鹿なことを……我が艦はただの輸送戦艦だ。エネルギーや弾薬などの戦闘支援物資しか積み込んではおらん!」
「――艦長! 敵が急接近を始めています!」
「くそ、砲塔を回せ!!」
 接近に気づかれたと知った帝国軍船が急発進して、見る間に距離を縮めてきた。輸送戦艦は艦砲で迎撃するが、敵はものともせずに昏い漆黒の宙海を突き進む。
「私も迎撃に力を貸します! エアドックはどこですか?」
 とっさに叫び、案内役の兵士とともに急いだ。既に敵船の存在はレーダーが伝えている。
 咲凛はゆっくりと開いていく天蓋の真下にたたずみ、UCの安全装置を解除。同時にエンジンを始動。軽装騎兵として単身出撃した咲凛は、その機動力をもって敵の砲撃をかいくぐり、船の出撃口目がけて全武装の砲門を開いた。
「覚悟してください!」
 目に焼きつくほどの、眩く激しい一斉掃射――!!
 損傷を受けた帝国軍船内部では、破壊された出撃口の修理が直ちに始められた。一方で、彼らは邪魔者を排除するため、その照準を輸送戦艦から猟兵へと変更したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
お、始まりましたね!
どこからともなくわらわらと、相変わらず鬱陶しいですねぇ。
さぁ、踊りましょうか!

兵士さん達の間をすり抜けながら、エアドックに急ぎますよ。
俺も出ます、ドックのハッチを開けてください!

鎧装を纏い、俺の相棒NoChaserに跨り、宇宙に飛び出しますよ!
ほぅ、そちらも機動力はそこそこの様で。
だが、俺の速さに勝てますかねぇ!?
行くぞぉ!マキシマム、グッドスピィィィィド!!

最大速度で帝国軍船に接近、暴れてやりますよ!
俺の操縦技術をなめるな、そんな砲火が当たるかよぉ!
出鱈目な軌道・速度で飛び回って撹乱。
隙を突いて接近し、ブラスターやプラズマブレード、胸部のビーム砲等で攻撃を仕掛けますよ!



戦闘の余波によって、輸送戦艦がぐらりと揺れた。トルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は危なげなく船の中を駆けながら、緊急体制に入る兵士たちの人波をかきわけて声を上げる。
「俺も出ます、ドックのハッチを開けてください!」
「あ、ああ! 頼む、助けてくれ!」
 兵士は泡を食ったような顔で頷き、急いでハッチを操作した。
「さぁ、出番ですよNoChaser。踊りましょうか!」
 サングラスによって目元が隠されようとも、その自信に満ちた微笑みによってトルメンタは兵士たちに安心を与える。
「気を付けてください。敵の船は小回りの利く駆逐艦のようです。それに、二隻います。一隻はさきほど飛び出していった猟兵の方が出撃口を潰してくれましたが、もう一隻は未だにこちらを狙っていて――うわっ!?」
 まるで兵士の言葉を裏付けるように、敵の砲撃が輸送戦艦の腹部を掠めていった。
「出ます!」
 トルメンタは返事を待たず、鎧装姿で艦外へと飛び出した。
 ブォン、とNoChaserのエンジンが吹いて、急加速。
 こちらの出撃を確認した帝国軍船は、接近戦は不利とばかりにいったん後退。そこそこ機動力はあるようだ、とトルメンタは顎を引く。
「だが、俺の速さに勝てますかねぇ!?」
 自らの装備の一部でもある相棒のグリップを回して、更に加速。
「行くぞぉ! マキシマム、グッドスピィィィィド!!」
 観測する者がいれば、光の尾を引く彗星に例えたに違いない。持ちうる限りの最大速度で帝国軍船に接近したトルメンタは、己を狙う砲撃を螺旋のような軌跡を描きながら回避――オレの操縦技術を舐めるなよ、と勝気な瞳が敵船を間近に捉えた。彼女が描く軌道はあまりにも法則性を欠いており、帝国軍船の照準器が右に左にとぶれた。敵の裏をかき、背面へと回り込んだトルメンタの胸部が開いて嵐のようなビーム砲を叩き込む。
「遅いですよ!」
 帝国軍船は慌てて回頭するも、トルメンタは体勢を立て直す隙を与えることなくAureole・肩口から出現させた高出力のプラズマブレードの翼で飛翔するように敵の主砲を斬り落とした。

成功 🔵​🔵​🔴​

徳川・家光
「盤面は立体ですが、戦術は比較的修めている方かと。でも、この機械はどうやって……」
 セキュリティセンサーを利用した警備に専念します。が、そのうち機械のわけわからなさに音を上げて、
「だめだ、ぜんぜん分からない! 僕の言う事を聞いてくれ〜」
 とボヤいてしまいます。

 もし、この船のコンピュータに音声認識システムがついていれば、それで僕と対話してくれるかもしれません(笑)。もし対話してくれるようなタイプのコンピュータだったら、コンピュータの「人となり」を尋ね、「得意と不得意」を尋ね、「得意なことだけに機能を集中してもらう」ようお願いします。
 戦略とはこれ適材適所。苦手な事は、他の猟兵にお願いしましょう


テスアギ・ミナイ
艦長さん。先ほど、戦闘支援物資を積んでいると仰いましたね。
それを使いましょう。ええ、もちろん惜しみなく。

エネルギーや弾薬、乗組員の命、この艦を守る為に。
そして他にも、奪われてしまっては困るものがあるのでしょう?
……シラを切られると、ついじっと見つめてしまいます。

さて、私は猟兵らしく猟兵の援護に向かわねば。

【SPD】
先陣を切った猟兵の死角を遠隔から警戒。
エアドックに集まっている敵の注意の裏をかけるポイントへ移動し、
狙撃。狙撃。

猟兵ならば、こちらにも居ますが。


メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】で参加……ん……帝国軍船二隻…これなら…電子・情報戦しかけるね……
相手のハッキング攻撃の警戒はヤタに任せて……帝国軍船のレーダー類と照準、敵味方識別システムを潰しに行くよ……
…ハッキング中に帝国軍船の作戦情報を手に入れたりするかもだけど……事故事故……(ハッキング・情報収集・時間稼ぎ)

ハッキングに成功したら……アルフレッドに合図するよ……【現実を侵せし狩猟団】でガジェットを召喚してアルフレッドの援護に回すね……(援護射撃・かばう)

………で。船員が船外の戦闘に気をとられてる隙に、こっそり輸送船のデータから積荷調べるよ……何積んでるかな…(ハッキング・物隠し)


アイン・アブソリュート
「飛空戦艦ワンダレイの皆が今度は宇宙を舞台に大暴れだよっ☆駆逐艦二隻相手の激闘をリアルタイムでお届けっ!配信スタートッ♪」
後ろ暗くなければ配信しても問題ないよね

咲凛の要請で【飛空戦艦ワンダレイ】の皆と参加

【エレクトロレギオン】の『ムニ』達を2手に分けて縦横無尽の【空中戦】と【残像】を残すような機動で敵を翻弄しつつメンカルのハッキングする【時間稼ぎ】をするね

撃退出来るなら勿論撃退するよ

それと平行して敵の狙いを【情報収集】するよ

もしも情報を封印しているようなプロテクトがあれば【封印を解く】で解除してみるね

魔法的な手段なら案外上手くいくかも

アドリブ歓迎だよ


目面・真
【POW】
さて、なぜこの艦が狙われているのかはワカラナイが、外で警戒に当たろう。
その前に、本当に帝国軍に狙われる理由を知らないのか?
できれば乗組員に聞き取りをしたいね。事と次第では、艦内を改めさせてもらうぞ。

と、釘を刺しておいて。艦外で戦闘に当たろうか。
笄を放り投げて周辺警戒の補助をさせよう。
空中戦技能を駆使して飛翔、後方の帝国艦との距離を目視確認。
攻撃を受けるようなら距離を取ってアームドフォートで応戦する。
必要に応じてフルバースト・マキシマムによる狙撃を行う。

まだいるのか。厄介な連中に目を付けられたモノだよ。


アルフレッド・モトロ
「咲凛! 無事か!? 助太刀に来たぜ!」団員咲凛の要請で【飛空戦艦ワンダレイ】団長(艦長)の俺、参上!

積み荷、なんだか怪しいな?
輸送船長に「なぁに隠し事してんだ!?正直に吐いておいた方が身のためだぜ?」
と悪役まがいのセリフを吐いちゃおう

その後、メンカルのハッキングを待って【ヘルカイト】に【騎乗】し
咲凛たちが応戦してる船とは別の船の方を警戒したい
索敵も終わってるし【SPD】判定で頼む

もし敵機が何かビーム系の武装で攻撃してくるようなら【プロトステガ】でシールド展開
【カウンター】で跳ね返せないか試してみたい

撃ってこないならUC使って【怪力】で【ワンダレイ・アンカー】をぶちかまして【先制攻撃】!


リュラ・シバネ
「あぁ、船ってやっぱり、狭くていやだね」
揺れる船体の中を駆け、船窓から見える味方の猛攻に舌を巻く。ありゃすごい。
私じゃ、あそこには行けないね。それより、この船がロックされている原因がわからずじまいじゃ困る、物資が詰め込まれた場所に行きがてら、船内を廻って気になる点に目星をつけてみるよ。



 艦外でしのぎを削り合う戦いが繰り広げられている頃、艦橋の中枢部に展開する勢力図のモニターを見上げた徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は、「はて」と首を傾げた。
「盤面は立体ですが、戦術は比較的修めている方かと。でも、この機械はどうやって……」
 モニターの中央で輝くひときわ大きい光点がこの輸送戦艦を示しているのは言わずもがな、後方から急速に近づきつつある二つの赤い三角形は帝国軍船を示す印だ。
「セキュリティセンサーの感度調整は、と……これじゃなくて、これでもない……だめだ、ぜんぜん分からない! 頼むから僕の言う事を聞いてくれ~」
 ああもう、と家光はお手上げとばかりに諸手を放り出した。
「手に負えそうか?」
 声をかけるのは、大太刀を腰に佩いた目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)だ。彼は艦長へ詰め寄るテスアギ・ミナイ(さがさないでください・f04159)とアルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)を肩越しに見やりながら、ため息をついた。
「さっきから二人が詳しい話を聞き出そうとしているが、どうもきな臭い。見ろ、艦長の動揺ぶりを」
 口髭を生やした初老の艦長は、冷や汗をぬぐいながら二人をなだめるように両手を掲げてみせた。大仰な身振りから、彼が心底から困っていることが見て取れる。
「わかった、わかった! この艦に積み込んだ支援物資はいくらでも使ってくれて構わん!」
「ご理解を頂けて助かります」
 この艦を守るため、それらを惜しみなく使うように進言したテスアギは心からの感謝を述べた。
「エネルギーや弾薬、乗組員の命、この艦を守る為に必要なことです。そして他にも、奪われてしまっては困るものがあるのでしょう?」
 じっと静謐な瞳に見つめられて、艦長はあからさまに言葉につまった。
 その態度を見逃さず、アルフレッドがにじり寄る。
「なぁに隠し事してんだ!? 正直に吐いておいた方が身のためだぜ?」
「だ、誰が隠し事など! いったい何を根拠に私を疑っておるのかね!?」
「そりゃあ、この船が運んでる積み荷だよ。なんだか怪しいな?」
 アルフレッドの悪役紛いな微笑を前にして、艦長の動揺がいっそう激しくなった。遠目にも、がくがくと足が震えているのがわかる。
「積み荷、ですか……」
 何気ない家光の呟きに、ドォンッ!! という轟音を伴う揺れが被さった。
「ちっ、被弾しやがった!」
 すかさず、アルフレッドが叫ぶ。
「メンカル、外はどうなってやがる!?」
『ん……現在、帝国軍船のレーダー類と照準、敵味方識別システムにハッキングを試行中……乗っ取り完了まであと四十六秒』
 戦況を伝えるのは、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の茫洋とした応答だ。
『輸送戦艦を掠めたのは、魚雷の流れ弾ね……主砲が既に破壊済みでよかった……』
 それを聞いた真が、近くにいた乗組員の胸倉を掴み寄せた。
「本当に帝国軍に狙われる理由を知らないのか?」
「し、知らない……少なくとも、わ、私は何も知らない……」
「事と次第では、艦内を改めさせてもらうぞ」
 剣呑な眼差しで釘を刺してから、真は「俺も出るぞ」と言いおいて艦橋を出ていった。自動で扉が開閉する音と前後して、女性の声を模した電子音声が家光の弄っていた操作盤から放たれた。
「艦橋よりアクセスを確認しました。何をお望みですか?」
「おや、あなたは誰ですか?」
「私はこの船に搭載された自律型のAIです。セキュリティに関するご要望を承ります」
「なるほど、こうやって対話することで意思の疎通ができるというわけですね」
 家光は両手をすり合わせながら、ゆったりとシートに座り直した。得意とする分野を前にして、自然と口元が綻んでいる。
「さきほどAIと名乗られましたが、あなたはどういった方なのです? まるで若い女性のように話されますね」
「お望みでしたら、口調と音声は変更することが可能です。ご案内いたしましょうか?」
 それだけのやり取りで、このAIの『人となり』が率直かつ勤勉であることが推測できる。家光は彼女の申し出を断り、また別のことを尋ねた。
「いいえ、だいたい分かりました。ならば、あなたの得意とするものは何ですか?」
「それはセキュリティに関するご質問でしょうか」
「ええ。敵はこの船に狙いをさだめています。振りきるために、あなたのできる最も得意なことを答えてください」
「それは、形状制御技術による防衛です」
 AIが即答する。
 家光は、見た目こそ幼さを残す横顔に笑みを湛えたまま、鷹揚に告げた。
「ならば、そのことだけに機能を集中してもらえますか? 戦略とはこれ適材適所。苦手な事は、他の猟兵にお願いしましょう」
 目配せに気が付いたテスアギは、しっかりと頷いてその意図を汲み取った。
「かしこまりました」
 AIが了承するのと同時に、輸送戦艦はそれまで行っていた砲撃をぴたりと取りやめた。
「な、なにをしている!?」
 驚く艦長へと、彼女は端的に告げる。
「攻撃を中止して、全てのリソースを防衛に回します。エネルギー節約のため、艦内照明をオフ。非常電源に切り替えます」

「うわー、なにあれ!? 戦艦の外装が形を変えてく――ッ!」
 漆黒の宇宙空間に解き放たれた撮影用万能ドローンの『ユーイ』が、アイン・アブソリュート(大空の王を目指す・f06053)の驚嘆に呼応して艦体をズームアップする。
 外装の内部に砲台を格納して、代わりにシールドと思われる装甲を胴体に被せていく輸送戦艦の姿がモニターに映し出された。
「……敵レーダーから輸送戦艦の艦影が消失……ステルス性の防御形態、ってところかな……」
 ハッキングに成功し、敵船の索敵能力を無効化したメンカルが淡々と応答する。繋がった回線から敵側も逆ハッキングを試みるものの、情報収集・巡回用の自作精霊AI――【ヤタ】がそれらの侵食を全て水際で遮断。
(「ん……これは……?」)
 偶然――メンカルはついでの事故だと言い張る――入手した帝国軍船の作戦情報に目を通した途端、彼女は顎に指を当て、しばしの間黙り込んだ。
「どうかした?」
 こちらは『ムニ』と呼ぶエレクトロレギオンの群れを二手に分けてメンカルが敵を掌握する時間を稼いでいたアインが、小首を傾げて尋ねる。
「……ちょっと……気になる情報を見つけた……詳しいところは更に暗号化されていてわからない。そちらに送るから、解読を試みてもらえると助かるよ……」
「了解だよっ!」
 アインは笑顔で請け負い、電脳ゴーグル越しの片目を軽やかにつむってみせた。
 続けて、メンカルは艦内にいるアルフレッドに回線をつなぐ。
「敵へのハッキング完了……アルフレッド、今だよ……行って……」
「待ってましたァ!!」
 艦橋でアルフレッドが吠えた途端、彼の装備が瞬く間にバイクへと変形して甲高いエンジン音を轟かせた。
 ――フルスロットル!!
 思いきり唇の端をつり上げたアルフレッドは、威勢よく騎乗したヘルカイトを限界速度まで駆り立てて出撃する。
「な、な、な……――」
 あっという間に敵の目をくらませ、その攻撃から免れるように手配を済ませてしまった猟兵たちの手腕に艦長は言葉を無くして肩を震わせた。
「た、確かにこの船は輸送する荷物を守るために何重もの防衛設計を施されてはいるが……守るばかりでは、一向に敵は倒せんぞ!?」
「そのために、私たちがいます」
 テスアギは静かに自分の手のひらを胸元へと置いた。
 その背後に投影される、巨大な立体スクリーン。
 艦橋の音響をジャックしたアインが、元気よく声を張った。
「飛空戦艦ワンダレイの皆が今度は宇宙を舞台に大暴れだよっ☆ 駆逐艦二隻相手の激闘をリアルタイムでお届けっ! 配信スタートッ♪」
「な――」
 スクリーンに映し出されたのは、いままさに目の前で繰り広げられている帝国軍船と猟兵たちの交戦状況だった。
『咲凛! 無事か!? 助太刀に来たぜ!』
 アルフレッドは要請を受けた団員の名を呼び、彼女が応戦しているのとは別の軍船目がけて突っ込んだ。スクリーンの字幕には、【飛空戦艦ワンダレイ】という旅団名がデフォルメされた字体でもって鮮やかに迸る。
 画面奥手には、黒鉄色の甲冑を纏い矢のように戦場を駆ける真の姿が見えた。まるで折り紙のように小さな笄型偵察機からのフィードバックを受けて、敵船までの距離を目視確認。アームドフォートが攻撃形態に移行すると同時に、その手で構えた砲塔から十数連もの砲撃が放たれた。
 この集中砲火に対して、メンカルの手によって索敵及び照準機能を潰された帝国軍船側は弾幕すら張ることができない。
『撃ってこないならぶちかましてやるぜ!!』
 半壊して傾きつつ、制御を失っていく帝国軍船の眼前にアクセルを吹かしたアルフレッドが滑り込んだ。
『おらァァァッ!!』
 ワンダレス・アンカーを掴んだ両手が唸りを上げて旋回。
 力任せにめり込んだ錨が船体を押し潰し、ひねり千切り、ぱっかりと二つに割り開いた。至る所で誘爆を起こしながら、オレンジと白銀の炎に呑まれていく。
「…………」
 呆然とスクリーンを見上げる艦長へと、乗組員が報告した。
「艦長。この映像はどうやら、この艦だけでなくもっと広範囲に流されているようですが……」
「なんだと!?」
 だが、ワイプで映ったアインは「後ろ暗くなければ配信しても問題ないよね」とばかりに舌を出している。
「援護します」
 艦橋を後にして自らも宇宙に出たテスアギは、交戦中である猟兵たちの背面を警護するかのようにできるだけ広域を視界に収めた。
 そこではちょうど、残る一隻の帝国軍船がハッキングの影響から逃れるために各種武装を手動に切り替えているところだった。無論、テスアギの存在には気づいていない。
「猟兵ならば、こちらにも居ますが」
 すぃ、とテスアギの片目が閉じられた途端、凍てつくような氷の視線が帝国軍船を射抜いた。狙撃。それも、敵の注意の裏をかいた完全なる不意打ちの。

「ありゃすごい。私じゃ、あそこには行けないね」
 輸送戦艦の窓から戦いの光芒を眺めていたリュラ・シバネ(観測者・f12014)は、内心で肩を竦めた。船の圧迫してくるような狭さも気が滅入るが、それ以上に猟兵たちのあの戦いぶりには舌を巻いてしまう。
「さて、と。彼らが戦ってくれているうちにこの船がロックされている原因がわかるといいんだが……貨物室はこっちか?」
 リュラが手探りで艦内を探索している頃、同じくこっそりと輸送戦艦のデータにアクセスしていたメンカルは自身の推測を裏打ちする情報を掴んで「やはり……」とつぶやいた。
 そこへ、アインが繋いでくる。
「メンカル? さっき頼まれた情報が解けたんだけど、これって――」
「……積荷の中身、ね……?」
 そう、とアインが頷いた。
「帝国軍船の目的は、どうやら『奪還作戦』らしいね。どういう経緯かはわからないけど、あの輸送戦艦は手に入れた帝国軍の秘密兵器を極秘に持ち帰ろうとしてたみたいだよ」
「……そして彼らはそれを取り戻そうとしていた……」
 不意に鳴り響いた電子音が、メンカルのつぶやきをかき消した。
「救援信号?」
 同じ通信を受け取ったアインが目を瞬かせる。
「な……なんだこれは?」
 一方、輸送艦内を見回っていたリュラは頭上で赤い警告灯が回る中、惨殺された乗組員たちの死体を目の当たりにしていた。
 傍に膝をつき、傷口を検分する。
 外傷はないのに、体中の穴という穴から出血している。まるで、見えない波動に体内から潰されたような――。
 はっとして、腕に巻いた増幅器に触れながら彼らが警備を行っていた場所を覗き込んだ。開いた扉の脇に背を預け、ちらりと視線を向けた先は貨物室の中だ。
「くそ、もぬけの殻か!」
 だが、そこにあったのは中から破壊された冷眠器のような装置と天井に開いた大きな穴。何かが、あそこから逃げ出したのだ。

「まったく、厄介な連中に目を付けられたモノだよ。だが、これで終いだ」
 テスアギの狙撃にあえなく武装を破壊された帝国軍船は、反撃らしい反撃も行えないままに真のフルバースト・マキシマムによって宇宙の海へと沈んでいった。
「ったく、しつこい奴らだったぜ」
 アルフレッドが舌を打ち、テスアギは無表情のまま船の最後を見送る。三人の元に輸送戦艦からの救援信号が届いたのは、その時だった。
「はァ!? なんで船ん中からそんなモンが送られてくんだよ?」
「ワカラナイ。だが、急いで戻らなければ」
「ええ」
 何か、胸騒ぎがする。
 テスアギは頷き、ふわりと向きを変えて皆の手で護り抜いた輸送戦艦を振り仰いだ。外からは何の異変も見てとれない。
 その内部で、惨劇は既に幕を開けていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『救援要請』

POW   :    障壁および施錠などを破壊し、生存者の捜索を行います。

SPD   :    現場および記録などを調査し、情報の収集を行います。

WIZ   :    状況および情報などから推理し、原因の特定を行います。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●第2章 『畏れ、蠢く』
 突然の警報に輸送艦内は騒然となっていた。敵が何か、どこに逃げたのかも分からないまま、乗組員たちは手に武器を取って警戒を強めることしかできない。
 艦内は広く、『それ』が逃げ込む場所などいくらでもあるのだ。
 果たして『それ』はどこにいるのか。
 そして、『それ』は一体なんなのか?
 不明が、彼らの畏れを増大させてゆく……――。
テスアギ・ミナイ
緊急呼出、想定外の事態……厄介とはこの事をいうのでしょうか。
……すべき事が明確でよろしいかと。

【SPD】
艦内の破損箇所が物語るもの、犠牲者の遺した声なき声……、
小さな情報も漏らさぬよう、丁寧に調査します。
破壊された部分の残熱や血痕の乾き具合を見れば足跡を追えるでしょう。
姿が見えずとも、ここに存在するのなら見えているも同然。
丸裸にしてあげるわ。

情報を得たら他の猟兵に伝達し、
必要な情報があれば探し、
けれど私の事は教えない。

……ところで『それ』は、
誘拐されて怖かった?
奪われて怒っている?
それとも意図して侵入を図ったのでしょうか。
ただただ機械的に動いているだけなら、
壊し甲斐がありませんね。


目面・真
今度は輸送艦内でトラブル発生か?
実情も掴み切れていないってのに、随分と振り回してくれたモノだよ。
帝国軍艦を相手にしていた宇宙空間から急いで帰還しなくてはな。

それにしても、輸送艦の形が変わってしまっているね。どういうコトだ?
誰か応えてくれ。どこから入るんだ?

艦内に戻ったら義光を使う。入り組んだ場所で火砲を使うのは避けたい。
笄も使って、片っ端から居住ブロックを探し出して乗員の捜索だ。
生存者を発見したら、艦内で起きたコトを聞き出す。
情報の有無は問わず、安全な場所に避難するよう促そう。捜索していない場所は危険だ、オレ達に任せよ。

危機と遭遇したら大太刀で対処に当たる。剣刃一閃も交えてな。


トルメンタ・アンゲルス
どうやら、船内で動きがあったようですねぇ。
急いで戻りませんと!

◆SPD

エアハッチを開いてもらって突入。開けられなきゃ突き破る!
それと同時にマシンベルトを起動。
『MaximumEngine――HotHatch』(ベルトの機械音声)
変身!アクセルユニゾン!
スピードに乗ったまま、バイクを防御力重視の装甲として変身合体。
そのまま船内に入りますよ。
先ずは船外に出れるであろうドックを捜索してみましょうか。
近くに船員がいたら、話を聞いてみるのもいいでしょう。

現場には他の人がいるでしょうし、記録を探りますか。
警備システムにハッキング。
標的が引っかかればよし、引っかからなければ、その目が無い所を探りましょうか。


リュラ・シバネ
なんてこった、一足遅かったね。
現場としては最前に近そうだ。
なら猟兵達に無線で状況報告、その後単独…といっても、視野と手足は欲しいからね、UDC達といっしょに周辺の調査、生存者の確認をするかな。【第六感】を使って『それ』の気配も探ってみるよ


月守・咲凛
【飛空戦艦ワンダレイ】のみんなと共に行動。
「ほ、ホラー系は、ちょっとだけ苦手なのですよ……?」
戦闘から戻ったら暴走していた艦長の後ろに隠れながら探索、聞き耳を立てたり暗視を含めた視力で情報を収集して生存者を探します。
「あ、そこの壁、錨が通りまーす」
艦長が壊しそうな壁の向こうに予め声を掛けておきます。
「艦長、あっちです!」
メンカルさんと通信が繋がったら、艦長が暴れてるので方向を教えてくれるようにお願いします。
見つけた生存者の人にはできるだけ一纏めになって貰って護衛、場合によっては囮になって敵を引きつけて生存者を護ります。


アルフレッド・モトロ
突然の救援信号に驚きつつ、とにかく仲間の無事を確認したい。
何があった!?咲凛、メンカル、アイン!応答してくれ!

とりあえず近場に居る咲凛と合流。メンカル、アインと通信しながら船内を探索する。

暗い船内は、UC【航路照らす光明】を応用。
船外に待機させた【飛空戦艦ワンダレイ】のサーチライトで少しでも明るくしたい。ブレイズフレイムの炎も使う。

仲間たちに居場所を聞き壁をアンカーでぶっ壊しながら一直線に向かう(鎧砕きと吹き飛ばし)
自分で壊した穴にはマンタのマークを書き込む、迷子にならんようにな

連絡がつかないなら【野生の勘】で少しでも気配を感じる方向へ突き進んでいくぞ。

皆、無事でいてくれ…

(アドリブ大歓迎)


メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】で参加。
…ん、混乱しかねないから…通信を使ってみんなと連絡取るね……
船外に出てるアルフレッドたちには現状を伝えて…合流を助けるよ……
そのまま艦橋でオペレートの合間に自律AIと対話
今の状況と…困難を伝えて…AIの優先順位の変更を試みる…
具体的に機密保持の優先順位を下げて『積み荷』の情報を提供して貰う…逃げ出した時の決まりがあればそれも…
(ハッキング・コミュ力・情報収集・言いくるめ・世界知識)
AIに協力して貰えたら…船内をスキャンして、みんなの位置を把握しつつ案内するよ…生存者も怪我人も取り合えず艦橋に集まって貰う…

…ワンダレイが近くに居るし最悪の時は船捨てて乗り移りも考える…


アイン・アブソリュート
「どうやら帝国の秘密兵器が機動しちゃったみたいだねっ!まず現場に行って調査したら乗組員の安全確保に動くねっ☆」
【飛空戦艦ワンダレイ】の皆と参加

撮影ドローン『ユーイ』を伴い貨物室の方へ向かう

暗くても【暗視】でバッチリ

『ユーイ』に被害者と貨物室の中の状況を撮影してメンカルにもデータを送り【情報収集】で得ている事から秘密兵器の詳細を探る

それと【追跡】を用いて逃走経路も割り出して他の猟兵達にデータを送ってみる

被害者の遺品になりそうな物を回収したらアル達と合流して生存者の捜索

ジャックしたままの音響から生存者には壁の近くには近寄らないように伝えておく

生存者を発見したら持ってきた【ドックタグ】で避難させる



「今度は輸送艦内でトラブル発生か?」
 目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)は肩を竦め、帰還すべき輸送戦艦の変わり果てた姿にまたしても面食らった。
「どういうコトだ? 誰か応えてくれ。どこから入るんだ?」
『……身を守るため、防御形態を取っただけ……近づけばドッグを開けてくれるって……』
 眠たげな通信はメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)からの連絡だ。艦長であるアルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)が息せき切らせて詳しい状況を尋ねた。
「メンカルか!? いったい、あの救援信号はなんなんだ? 咲凛、アインも無事なら応答してくれ!」
『ボクなら無事だよっ☆』
『私も、すぐ傍にいます』
 アイン・アブソリュート(大空の王を目指す・f06053)と月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)が相次いで交信に加わる。思わずアルフレッドが周囲を見回すと、咲凛らしき騎影が大きく手を振ってから加速して一行に合流した。
 アインは輸送戦艦から得た情報を皆と共有するため、【飛空戦艦ワンダレイ】以外の猟兵にも回線を繋げる。
『どうやら、帝国の秘密兵器が機動しちゃったみたいなんだっ!』
「秘密兵器だって? なんでそんなもんを積み込んでやがったんだよ」
『それは今、メンカルがAIから聞き出そうとしてるところだよ』
 ――照明の落ちた艦橋で、メンカルは周囲の喧騒を意に介することなく輸送戦艦に搭載されたAIとの交信を続けている。
「……外の敵はもういないよ……防御形態を解いて、代わりに機密保持の優先順位を下げて……『積み荷』の情報提供を希望するよ……」
「該当情報にエラー。お問い合わせされた積荷データは登録されておりません」
 すると、AIは検索結果に該当のデータがないことを告げた。
「そんなはずはない……実際、『積み荷』から逃げ出した『モノ』によって人的被害が出ている……逃げ出した時の決まりなどもあれば教えて……」
 持ちうる知識と技能を駆使してメンカルは情報を問い合わせるが、AIの返答は覆らない。
「再度検索しましたが、私の管轄内には該当データが登録されておりません。検索ワードを変えてもう一度お問い合わせください」
 まさか、とメンカルは口元に指を当てて考え込んだ。
(「本当に……AIは知らない……? それほどまでに、重要な秘密であるということ……?」)
 だとすれば、急ぐ必要がある。
「なら、船内をスキャンして……生存者も怪我人も取り合えず艦橋に集まって貰うように……案内できる……?」
「かしこまりました」
 了承と同時に艦橋の照明が復活して、緊急放送が流れた。
「スタッフは至急艦橋に集合してください……繰り返します。スタッフは階級に関わらず、動けるものはすべて艦橋に集合してください。怪我をしているものには救護を向かわせますので、応答を願います――」

 自らを守る盾のように展開していた防御壁を解除してゆく輸送戦艦のドックへと、トルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は一直線に飛び込んでいく。
『MaximumEngine――HotHatch』
 腰に巻いたマシンベルトが起動して、見る間にバイクがトルメンタを守る装甲へと変形。開いたハッチの中に帰還したトルメンタは自らの足で着艦すると、そのまま周囲の警戒に回った。
「例のモノがドックに近づいた形跡は?」
「今のところありません」
 武装した乗組員が首を振る。
「既に帝国軍船はあなたがたのおかげで大破しておりますので、外には逃げ場がないのではないでしょうか」
「なるほど。でしたら、警備システムにアクセスできる場所を教えてください。現場には他の人がいるでしょうし、記録を探りますかね」
「わかりました、こちらです」
 トルメンタと乗組員がやり取りする背後で、他の猟兵たちが次々と帰還する。騎乗していた戦闘機からひらりと飛び降りたテスアギ・ミナイ(さがさないでください・f04159)は、犠牲者の遺した声なき声に呼応するかのように天井を仰ぎ、そっと瞼を伏せた。
(「緊急呼出、想定外の事態……厄介とはこの事をいうのでしょうか」)
 やがて薄っすらと瞳を開き、可憐な唇に決意を紡ぐ。
「……すべき事が明確でよろしいかと」
「ああ。実情も掴み切れていないってのに振り回してくれるモノだよ」
 真は艦内にもどるなり、アームドフォートの形態を通常モードに戻して代わりに腰へと佩いた義光の柄に手をかけた。
「入り組んだ場所で火砲を使うのは避けたいからな。俺は片っ端から居住ブロックを探し出して乗員の捜索を行う。キミはどうする?」
「艦内のくまなき調査を。破壊された部分の残熱や血痕の乾き具合を見れば足跡を追えるでしょう」
「気を付けろよ」
「どうか、そちらも」
 貨物室に向かったテスアギは、そこで撮影ドローン『ユーイ』を使って貨物室の状況を記録しているアインと合流した。
「メンカル、そっちに情報を送るね」
『……了解……』
 すぐさま、メンカルが分析に入る。
「逃走経路は中二階で間違いないみたいだね」
 『ユーイ』を天井の穴から飛ばしたアインは、カメラ越しに得た情報を猟兵たちに送信。実際に、テスアギが天井の破損箇所に触れた指先にまだ乾ききっていない赤黒い血の跡が触れた。
「昇ってみます」
 テスアギは軽やかに跳躍して、暗闇に沈む中階層への侵入を果たした。随所に走ったパイプやコードの一部に、『それ』が逃げた時に引っかけたと思しき傷跡が刻まれているのを見咎める。
(「姿が見えずとも、ここに存在するのなら見えているも同然」)
 そう、確かに『それ』はここを通ったのだ。
「他の猟兵たちにも伝達してください。『それ』はここを通り、西側へ向かったようだ、と」
 単独で先行していたリュラ・シバネ(観測者・f12014)から通信が入ったのは、その時だった。
「こちらリュラ。逃げ遅れた生存者を発見。意識がなくて放送に気づくことができなかったようだ」
 リュラは自分のいる場所を見回すと、ここが食料プラントであることを知る。
「腹でも減ってた……わけはないか。だが、まずいな。ここから先は居住区だ。避難が間に合っていればいいんだが……お前たち、周囲を探ってみてくれるかい?」
 生存者の手当てをこなすリュラの手の甲から不気味な目玉――【夢邪鬼】たちが分離してひとつの個体となり、キロリと眼球を動かした。
 リュラもまた、息を止めて第六感を働かせる。
「近い……?」
 微かに、悲鳴のような音の残響が聞こえた気がした。

「あ、そこの壁、錨が通りまーす」
 咲凛が声をかけた直後、向こう側にいた乗組員たちがあたふたと逃げていった後で轟音と共にアルフレッドのアンカーが隔壁に大穴をぶち開けた。
「ここを通れば艦橋まで一直線だ! 早く避難しろ!」
「あ、ありがとう……!」
「できるだけひと纏めになって移動してくださいね」
 駆け出していく乗組員たちの避難路を、輸送戦艦の脇につけた【飛空戦艦ワンダレイ】のサーチライトが道標のように照らしている。
「メンカルさん、艦長が暴れてるので方向を教えてください!」
『ん……あとは……その角を右に曲がって……怪我をして動けない人がいるみたい……』
「こっちだな!?」
 アルフレッドの壊した壁にはいずれも目印としてマンタのマークが描き込まれていた。救出された乗組員たちはそれを頼りに次々と艦橋へ逃げ込んでいく。
「なんだったんだ、あれは!?」
 未知の畏れと遭遇した恐怖に打ち震える彼らを勇気づけるように微笑み、アインは避難を急がせる。
「もう大丈夫っ☆ さあ、このドッグタグに触れるんだ。飛空戦艦ワンダレイのホールに出られるよ」
「お、恩に着る……!」
『まだ艦内に残ってる人たちも、危ないから壁の近くには近寄らないでねっ!』
 乗組員たちを逃がしながら、アインは貨物室で亡くなっていた遺体から回収した遺品――カメラ機能付きのスコープに残されていた映像を見つめた。
「いったい、相手は何なんだろう?」
 そこには、脳を剥き出しにした顔のない異形が映っている。あまりにも奇妙かつ不気味で、不自然な生物の姿。
「ほ、ホラー系は、ちょっとだけ苦手なのですよ……?」
 アルフレッドの背中に隠れておそるおそる聞き耳を立てる咲凛は、それでも健気に生存者がいると思しき方向を指差して叫んだ。
 尖った耳の先が微かなSOSの声を捉え、ぴくりと震える。
「艦長、あっちです!」 
「皆、無事でいてくれ……」
 祈るように呟き、アルフレッドは行く手を阻む壁をアンカーで思いきり吹き飛ばした。まるで鬼神の如き剛力で、巨大な穴をそこに穿つ。
「――!?」
 開けた視界に、昆虫――それを模したメカ――の羽音と鮮血の色彩が躍っているのを、アルフレッドの身体から立ちのぼる血紅の炎が照らし出した。倒れ伏した男たちに群がる虫が牙を立て、肉を裂き、血を啜る。
「こいつらはッ……!!」
 あまりの惨状に歯ぎしりするアルフレッドの頭上で、影が動いた。
「艦長!!」
 とっさに、咲凛がその身を挺して囮となった。
「その人たち、まだ生きてます! 今のうちに助けてあげてください――きゃっ……」
 不可視の波動が、横殴りに襲いかかる。
「させません!」
 果敢に叫び、咲凛は姿勢制御用の機甲翼を広げて応戦体勢に入った。
「――見つけました!」
 アルフレッドたちが『それ』と遭遇したのとほぼ同時に、警備システムをハッキングしていたトルメンタもその存在を見つけ出した。
「居住区の第4ブロック、西側通路です!」

 アルフレッド達とは逆方向から居住ブロックの捜索を行っていた真は、逃げもせずに個人用端末から何らかの通信を行おうとしていた生存者を見つけた。
 偵察機である笄が探知した船室の奥から、低い話し声が聞こえてくる。
「何をしている?」
「あ――……」
 足元に落ちた端末から、男の声が漏れ出した。
『大佐? 応答せよ。積荷はどうした? 事故で漂流していた帝国軍船から見つけた例の兵器だ。こちらに持ち帰って分析を試みるという話だったはず……』
 それを聞いた真は眉をひそめ、「どういうことだ」と男に詰め寄った。
「通信の内容は本当か? いったい、艦内で何があったんだ?」
「し、知らない……私は、言われた通りにあれをこの船に積み込んだだけで……それは艦長も承知している。まさか、途中でアレが目覚めて人を襲うなどとは思いもせず――……」
 そんな馬鹿な話があるか、と真は呆れて言った。
「敵はオブリビオンだぞ。そんな危険なモノを持ち帰ろうとするのが間違っている」
 ――そこへ、トルメンタの通信が入る。
『見つけました! 居住区の第4ブロック、西側通路です!』
 真は男に艦橋へ逃げるように伝え、背を翻した。
「後はオレ達に任せよ」
 答えを聞かぬまま、走り出す。
 行先はそこからほど近い、乗組員用の船室が左右に並ぶ細い通路だった。反対側から駆け付けたリュラは、遂に遭遇した敵を見て呻いた。
「なんだ、こいつは……?」
 それは、あまりにも自然からかけ離れた生命体。
 培養液に浸かった脳は、なぜか『二つ』あった。それを支える細身の身体はほとんと四つん這いになって重い頭を支えている。
「我々は、ドクター・ジェミニィブレイン。この船を我々に明け渡せ。我々は実験のための設備を必要としている」
 ぞくり、とテスアギは背筋に悪寒が奔るのを感じた。『それ』から感じるのは恐怖でも怒りでもない、邪悪な好奇心そのものだ。
「……ただただ機械的に動いているだけよりは、壊し甲斐がありますね」
 眼前に構えた弓矢の弦に指をかけ、宣戦布告のように囁く。
「ああ、この剣刃一閃――躱せるものなら躱してみるがいいさ」
 真の構えた義光がサーチライトを反射して白銀に輝き、神速の一太刀を『それ』――ドクター・ジェミニィブレインと名乗る異形の兵器に浴びせかかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ドクター・ジェミニィブレイン』

POW   :    喰らえ!ブレインコントロール!
見えない【超強力な脳波】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    出でよ!ビッグブレインロボ!!
自身の身長の2倍の【戦闘用殺戮巨大ロボ】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    喰らいつけ!メカニカルバグズ!
レベル×1体の、【体】に1と刻印された戦闘用【昆虫型ロボ(昆虫の種類は毎回変わる)】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は暴星・メテオです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●第3章 『弐凶覚醒』
 我々は、かつて2人の研究者だった。
 我々は、この世に互いほど賢いものはいないと思った。
 我々は、飽くなき実験と発明を繰り返す。
 我々は、ドクター・ジェミニィブレイン。目覚めし至高の頭脳――。
テスアギ・ミナイ
とても重たい頭をしているようです。
倒れぬように手を着いているのですか。
ならば、そうですね、折ってみますか?
脚は3本が安定すると記憶しています。
でも私のお気に入りは、私の姿の通り、2本です。

ええ、私も実験は好きです。
あなた方も同じ趣味ならば、是非お付き合いいただければと。
あなた方にとても興味があるので、いろいろ試してみたいのです。
どんな経験を経てきたのか。どんな実験を思いつくのか。

はい、あなた方はご自身を
そのような姿に作り直したとお見受けしました。
こういうケースでは
元の姿、あるいは理想に近い姿にする傾向があると認識していましたが……。
……。

(絡み・アドリブ歓迎)


メンカル・プルモーサ
……ん、それじゃあ……私も救援に……
【現実を侵せし狩猟団】でガジェットを出して先行させる……
ガジェットにはみんなへの援護射撃・防護と……メカニカルバグズの迎撃を命令しておく……(援護射撃・時間稼ぎ・かばう)

……移動中にAIと協力して……ドクターの攻撃を方法を分析しておく……(情報収集・世界知識・コミュ力)
戦場にたどり着いたら……【崩壊せし邪悪なる符号】で……脳波に逆位相の波をぶつけて相殺……ウィザードミサイルを叩き込む……(属性攻撃・高速詠唱)
……天才のわりに……やることが粗雑すぎない……?

全部終わったら……AIに後始末と報告はお願いする……密輸とか密輸とか…



(「なんて、重たそうな頭」)
 異形の化物兵器へと己自身を作り替えたという元帝国軍研究者の成れの果てを見据え、テスアギ・ミナイ(さがさないでください・f04159)は微かに――本当に少しだけ、震えるほどの微量。眉をひそめた。
「倒れぬように手を着いているのですか。ならば、そうですね、折ってみますか?」
 凶悪なる脳波の照射を軽やかに躱したテスアギの眼前、彼女を守る盾のように出現した水晶のような腕がある。
 その数――裕に数十本。
「脚は3本が安定すると記憶しています」
 テスアギの呟きに答えるかのように、月の男らの精悍なる腕は我先にとドクター・ジェミニィブレインの足元へ殺到する。
「……ぐ、ぬぬ……!?」
 その体を強引に取り押さえ、中央右側にあった脚を――もぎ取った。
「き、貴様よくも――!!」
 己の体を破損させた者への怒りを露わにしたドクター・ジェミニィブレインは通路いっぱいに昆虫型のロボを召喚して迎撃を目論む。
「――!」
 それらに囲まれたテスアギを守ったのは、現を狩りとりし電霊の狩猟団。艦橋から駆け付けたメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の召喚するガジェットの群れだった。
「……ん、間に合ってよかった……」
 指先で押し上げる眼鏡のレンズに流れていく情報を、メンカルは素早く読み取った。それはここへたどり着くまでにAIに手伝わせて解析した、ドクター・ジェミニィブレインに関する詳細な分析結果だ。監視カメラが捉えた攻撃の様子を元に、その脳波と逆位相の波をぶつけて相殺する――!!
「ひががっ!?」
 己の放った脳波がメンカルに届くことなく消失したことが信じられず、ドクター・ジェミニィブレインは愕然となった。
「な、なぜなのだ? どうして我々の攻撃が当たらない?」
「……これは、情報を分解する魔術……さて、ドクターさん……プルモーサの魔女に……勝てると思って……?」
「ぐぬぬ……!」
 攻撃を二つまで封じられ、脳を浸す保護液が憤怒と屈辱にぐつぐつと泡立った。
「救援感謝いたします。助かりました」
 メンカルの隣にまで下がったテスアギが囁くように告げる。
「……ん、いまのうちに……畳みかけるよ……」
「一気呵成、ですね」
 テスアギの瞳が再び敵を捕らえた瞬間、凍てつきし腕たちが残る脚へと絡みついた。
「や、やめろやめろやめろ!」
 だが、腕の触れたところから広がる凍傷がドクター・ジェミニィブレインの脚を腐らせていく。ボキリと嫌な音がした。
「これで、2本。ようやく多少は人間らしくなりましたね」
 おのれ、と唸る相手にテスアギは平静な声で続けた。
「私も実験は好きなので、いろいろ試してみたいのです。あなた方がどんな経験を経てきたのか。どんな実験を思いつくのか」
「ならば貴様も理解できるであろう? この理想なる姿、至高の脳を合体させることで得た完全なる存在を!」
 ふっ、とテスアギの唇から吐息がこぼれた。
 それは彼らの悪趣味に対する憐みであったのか、それとも、本能的な厭忌であったのか。いずれにしても、彼女の態度は揺らがない。
「かわいそうなひと」
「こざかしいわ!!」
 だが、怒り紛れに放たれた脳波は待ち構えていたメンカルの魔術によって崩壊する。
「……天才のわりに……やることが粗雑すぎない……?」
 ふわりと白いローブの裾が風をはらんで広がった。脳波を無効化されてがら空きになった敵の元へ、メンカルの紡いだウィザードミサイルが一斉に降り注ぐ。
「なっ……!」
 紅蓮の矢々が、ドクター・ジェミニィブレインの驚きによって発された悲鳴ごと彼を射抜いて苛烈なる炎獄のただ中へと突き落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルフレッド・モトロ
【ワンダレイ】の皆と行動。

かー!鉢合わせちまったか!こうなりゃ仕方ねえやるぞ咲凛!
くっそ頭が痛え…お前の仕業かダブル脳ミソ野郎が!!

鬱陶しいメカニカルバグズには【ワンダレイ・アンカー】を豪快に振って【吹き飛ばし】て、他の猟兵達への被害を減らしたい。

番長(ヒカル)登場後、「でっかいロボ転ばせ作戦」に参加。
牽引用ワイヤーで倒れそうなロボットの脚に対し
ダメ押しで【怪力】の発勁!後はゴリ押しだ!

アンカーにブレイズフレイムを纏わせて、限界まで【力溜め】
【超強力な脳波】は気合で我慢して進む。鼻血が出るかもな。
【怪力】で大きく振りかぶったアンカーの【捨て身の一撃】で引導を渡してくれる!!


月守・咲凛
【飛空戦艦ワンダレイ】のみんなと共に行動。
「なるほど、天才科学者さんなのですね。でも、悪い事したらお仕置きです」
言葉は緩いですが、既に敵と認識しているので躊躇はありません。
仲間の後ろから、大型ロボにはライフルを連結させた大型ライフルで関節部などをスナイピング、昆虫型ロボにはミサイルやガトリングで範囲攻撃、念動波はとりあえず使うのが見えたら仲間に声をかけて注意を促し、動かした物は壊して良い物ならそのまま撃ち落とします。撃ち落としてはいけない物は素直にヒョイっと回避。
基本的に空中で動き、敵に狙われたら見切りと残像で回避、味方を巻き込まないタイミングを見計らってUCを撃ち込みます。


アイン・アブソリュート
【ワンダレイ】の皆と参加
「衝撃の事実発覚っ!帝国軍船の秘密兵器を密輸っ!?今回の騒動の元凶はっ?」
と撮影ドローン『ユーイ』で敵を撮影を頼みつつ大佐がしていた通信記録を動画で流しちゃうよ

戦闘は【ダッシュ】と急停止で【残像】が残るほどの緩急で敵を翻弄しつつ敵の隙を作るね

ヒカルの作戦に合わせて【ジャンプ】で頭上から【空中戦】を仕掛けてサポート

アルの捨て身の一撃には装備にかけてあるリミッターの【封印を解く】で得た超スピードと【スカイステッパー】で軌道を読ませない突進で挟撃を仕掛けるよ

二人の意思は一つの体にあるなら挟撃に対して別々に動こうとして一瞬の隙が出来るハズ

その一瞬に全てをかけるよ

アドリブ大歓迎


トルメンタ・アンゲルス
大分距離がありますね、急いで到着しませんと!
……いや、逆にこれを利用しましょうか。

現場についたら接近せず、対象がギリギリ視認できる距離で停止。
第一リミッター、解除。
真の力の一部を解放。
次いで、マシンベルトを起動。
『ModeShift――Formula』
装甲を攻撃力重視に組み替え。

そこから右足を後ろに引いてクラウチングスタートの体勢を取り、
『OverDrive――Thunderbolt』
右足の装甲を展開し、エネルギーを集中的に充填。
限界まで充填し、余波が放電し始めたら、用意。
対象の周囲に味方がいない一瞬を狙って始動、最大加速。
雷光の様に速く、出鱈目に、敵を狙い、
追撃のブリッツランツェで蹴り穿つ!


リュラ・シバネ
醜いなぁ。
ユーベルコードで応戦。おそらく、同種の力で拮抗するだろう。それを【2回攻撃】【衝撃波】で押しつぶす。その後は、お先さんが文字通り足を奪ってくれてるから、とりあえず変形させたサイコキャノンで冷凍ビーム。頭冷やせよ、なんて。


星群・ヒカル
【ワンダレイ】のみんなを助けに宇宙バイク「銀翼号」で駆けつけたぞ
ここまでの道すがらで、こいつがどんなことをやらかしたのかはわかってる
……おれたちがいるからには、もうこんな惨劇は二度と起こさせないッ!
覚悟しやがれ、銀河帝国のクソ野郎!

●行動:SPD
でっかいロボになるってことは、的もその分でかいってことだ
「迷彩」使いつつロボの足元に牽引用ワイヤーをこっそり貼って転ばせたら
「超宇宙・真正面墜星撃」で真っ正面から勝負を決めに行くッ!

ロボから出てきたらさらに追撃で、培養槽まで叩き割ってしまえ!
うるせぇ、てめーみたいなの相手に卑怯も何もねぇよ!


目面・真
変わった四肢だな。まるで手じゃないか。
ひとつの体にふたつの思考。ならば意志はふたつか?
バランスの悪さは体形だけではなさそうだな。元通りのふたつの体にお別れするがイイ。この大太刀の力でな。

こういう神経戦が得意な輩に小細工は逆効果だな。義光による斬撃で片をつけるがイイだろう。
脳味噌を横薙ぎに半分にすれば、元の個々に戻れるのだろうか。
荒っぽいやり方だが、ヤツには致命的ではナイかな?
ふたつの脳で意志の交換が出来なくなれば、ヤツの訳の分からない攻撃も弱くなると思うんだが。

機を見て剣刃一閃による斬断をお見舞いしよう。
覚悟するがイイ。先の一撃とはひと味違うぞ?



(「戦場までは大分距離がありますね……ならば、逆にこれを利用しましょうか」)
 ドックから急ぎ駆け付けたトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は、真っ直ぐに伸びる通路の向こうに敵を見据え、足を止めた。
 第一リミッター、解除。
 ヴン――と、トルメンタの全身が〝唸り〟を上げた。真なる力の覚醒による、高エネルギー放出。マシンベルトが点灯してアナウンスが流れる。
『ModeShift――Formula』
 甲高い電子音が告げた瞬間、その全身を鎧う装甲が次々と組み変わって形状を変化させる。
 攻撃力を最優先で確保、あとは――そのタイミングを狙うだけだ。すっと右足を引き、両手を軽く床の上につく。
「醜いなぁ」
 呟いたのは、短い髪をかきながら呆れた様子のリュラ・シバネ(観測者・f12014)だ。冷ややかな拒絶と明らかな嘆息が生み出す波動を、Elementary ability――不可視のサイキックエナジーという。ぎょろりと手の甲の眼球が敵を捉え、その掌から放たれた波動が業火に溺れるドクター・ジェミニィブレインを更に追い込んだ。
「ぐはっ――!」
 助けを求めるように天へと伸びる手が、上から抑え込むリュラの波動と拮抗して激しく振動する。
 ――シュッ。
 その時だ。
 炎が、まるで紙のように断たれた。
「え?」
 ドクター・ジェミニィの声が驚愕にうわずる。
 なぜ、我々の手の先がなくなっているのだ?
「あああああっ!!」
 斬られた腕の断面から青い体液が噴水のように吹き上がるのを、真は端然と見届ける。手には抜き身の大太刀。
「変わった四肢だな。まるで手じゃないか」
 そう、彼が切ったのは〝腕〟ではなくて〝肢〟だった。
「ひとつの体にふたつの思考、とくれば意志はふたつか?」
 ならば、と真は再び大太刀を構えた。
(「こういう神経戦が得意な輩に小細工は逆効果だな」)
 間合いを計り、じり、と摺り足でタイミングを計る。
「あの敵。バランスの悪さは体形だけではなさそうだ。脳味噌を横薙ぎに半分にすれば、ヤツの訳の分からない攻撃も弱くなると思うんだが」
「なるほど。試してみる価値はありそうだ」
 にやり、とリュラが笑った。
「ちょうど、お先さんが文字通り足を奪ってくれてる状態だからね」
 そう簡単には躱せまいというリュラの推測は的中する。彼女が差し伸べるように手を掲げると、手首に嵌めていた腕輪が変形して砲口と化した。
「頭冷やせよ」
 吐息混じりのサイコキャノンは、凍てつく絶対零度の光線――!!
「ぐぎぎぎぎ、貴様ぁあああ……」
 みるみるうちにドクター・ジェミニィブレインの身体が凍り付いていく。真の手が大太刀の柄を握り締め、音もなく床を蹴った。
「覚悟するがイイ。先の一撃とはひと味違うぞ?」
 ――オレに応えろ、義光。
 研ぎ澄まされた刃が真横に薙がれた。
 それは、剣刃一閃。触れた敵を切断する剣豪が極めし奥義のひとつ。凍気によって脆くなった保管器は中に収めた頭脳ごと真っ二つに割られていった。
「ぎあああああああっ!! 我、我……もうひとりの我が、死っ……死死死死死……!!」
 狂ったように叫ぶドクター・ジェミニィブレインの残ったもう一つの脳へと、恐るべき量のエネルギーが収束していく。
 とっさに下がった真の脇を、まるでその機会を待っていたかのように突き抜ける一筋の雷光があった。
『OverDrive――Thunderbolt』
 マシンベルトのアナウンスが告げる通り、爆発的なエネルギーの発動によって光速にも等しいスタートを決めたトルメンタの右足はまさに〝雷光〟としか言いようのない黄金色の輝きを纏い、恐るべき推進力で迸った。
「な――……!!」
 攻撃態勢に入っていたドクター・ジェミニィブレインは咄嗟に反応できない。
 ゴゥッ――と真正面から体当たりされたまま、十数メートルを押され飛ぶ。出鱈目に突進したトルメンタは止まる暇もなく、物理法則では有り得ない重心移動からの蹴りを叩き込んだ。
「ごふっ……」
 容赦のない追撃によって、ドクター・ジェミニィブレインが床の上をのたうち回る。
「おのれ、おのれぇ……!!」
 剥き出しになった脳は既に細胞破壊が始まっており、三本目までも損傷した肢ではその体を支えることもままならない。
 よって、ドクター・ジェミニィは最後の手段として〝それ〟を召喚する。
「皆殺しだ! 全員、死んでもらう!!」
 まるでワープのように床の下からせり上がってきた【戦闘用殺戮巨大ロボ】の背に騎乗したドクター・ジェミニィブレインの喚き散らす声が戦場にこだました。

「衝撃の事実発覚っ! 帝国軍船の秘密兵器を密輸っ!? 今回の騒動の元凶はっ?」
 艦内のあらゆる場所に、アイン・アブソリュート(大空の王を目指す・f06053)の展開する中継モニターが設置されていく。
 それらを総括する撮影ドローン『ユーイ』のレンズが、ドクター・ジェミニィブレインが操縦する巨大ロボットの全貌を余すことなく見つめていた。
「大佐の通信記録は……あったあった! これも動画と一緒に流しちゃおっと」
 艦内通信記録にアクセスしたアインは無邪気にコンソールを操作する。これで、艦長や大佐が秘密裡に遂行しようとしていた密輸作戦は公のものとなるはずだ。皮肉なことに、こうしてドクター・ジェミニィブレインが艦内で覚醒したことによって、敵の兵器を略取する行為の危険性が立証されたと言える。アインの中継する動画は今後の再発防止に役立つ事と思われた。
「かー! 鉢合わせちまったか! くっそ頭が痛え……」
 アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は脳波攻撃の余波に頭を抑えながら、件の敵を剣呑な表情で見やった。
「お前の仕業かダブル脳ミソ野郎が……って、そうなっちまったらもうシングル脳ミソ野郎も同然か。ったく、自業自得だぜ。にしても、でけぇロボットだな」
 4mはある、とアルフレッドは慎重に相手の大きさを計った。その手に構えていた錨を振り回して勢いを増しながら、威勢よく号令をかける。
「こうなりゃ仕方ねえ、やるぞ!」
「了解なのです」
 月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)が両手を広げると、纏っている外部装甲が次々と変形して収束火線砲と変調式火線砲を接続。大型ライフルと化した武装の安全装置が解除されるのと同時に、眩いばかりの閃光が放たれた。
「当たりました!」
 見事、攻撃態勢の準備動作として大きく振りかぶっていた右肩の接続部を射抜き、その駆動を止める。
「でかした咲凛!」
 すかさず、颶風の如く躍りかかったアルフレッドの【ワンダレイ・アンカー】がロボットの周囲を守るように浮遊する昆虫ロボの群れを蹴散らした。
 背後から、聞き慣れたバイクのエンジン音が近づいてくる。
「――よし、間に合った!」
 宇宙バイク『銀翼号』に乗って駆け付けた星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)の雄姿に気づいたアルフレッドが歓喜の声を上げた。
「待ってたぜ、番長!」
「……おれたちがいるからには、もうこんな惨劇は二度と起こさせないッ!」
 ヘルメット越しに敵を睨み付け、ヒカルは更に加速しながらバイクごと迷彩を纏って周囲の環境に同化する。
 目標を見失ったロボットの足元に滑り込み、牽引用のワイヤーを反対側の壁に撃ち込んだ。
「ほらほら、こっちだよっ!」
 敵がこちらの作戦に気づかないように、アインは戦場を縦横に駆け巡って注意を引き付ける。ロボットの手がようやく掴まえたと思った途端、捕獲したはずのアインの姿が残像となって消失。力強く跳躍して天井を背にすると、ロボットの頭に強烈な踵落としを食らわせた。
「来ますよ、気を付けてください!」
 直後、不自然な波動の発生を観測した咲凛は真っ先にそれを仲間に伝え、自らは空中で急制動をかけて後方へと退避する。
 直後、ドクター・ジェミニィブレインの脳波が戦場を迸った。
「このっ!」
 襲い来る剥がれ飛んだドアを、咲凛のライフルが破壊。残像で攪乱しつつ、小刻みな飛翔を繰り返して舞い散る破片から身を躱す。
「こんなモンは気合だ気合!!」
 不可視の波動に逆らってアンカーをぐっ、と振りかぶった途端、アルフレッドの鼻腔から血が噴き出した。構わず、血塗れになりながら渾身の力で獲物を振り抜く。
 避けようとしたロボットの脚がワイヤーに引っかかり、ぐらりと体勢を崩した。
「おらああああっ!!」
 アルフレッドはダメ押しとばかりに体ごと回転させて、ロボットの脚をアンカーで払った。ゴッと巨大な機体が宙に浮き、直後――轟音と共に倒れ込む。
「銀翼号、喧嘩形態起動!」
 ブルン、と唸りを上げて、ヒカルが回したグリップを基点にまるで〝籠手〟のようにバイクが折り畳まれていく。形態変化の完了と同時に自らの足でロボットの上に着地したヒカルは、雄叫びを上げながら握り締めた無数の拳を突き出した。
「オラオラオラオラァァァッ!!」
 ようやく鉄拳のラッシュが止んだ時、耐久度を上回った攻撃に激しい損傷を受けたロボットが沈むように消えていった。
「うあ、あ……」
 己の窮地を信じられないドクター・ジェミニィブレインの呻きに、咲凛の幼い声がたしなめるように告げた。
「いくら天才科学者さんでも、悪い事したらお仕置きです」
 瞬く間に、全武装ユニットが展開。
「全開放、撃ちます!」
「ひ、ひええっ!!」
 小さな体のあらゆる場所に実装された兵器の乱射に逃げ惑うドクター・ジェミニィブレインの背後で、指を鳴らす不穏な音がする。
「逃がすわけねぇだろ、銀河帝国のクソ野郎!」
「た、助け……っ、援軍を呼ぶなど卑怯――っ!」
 まだ残っていた培養槽のガラスを拳で粉々に粉砕して、ヒカルは啖呵を切った。
「うるせぇ、てめーみたいなの相手に卑怯も何もねぇよ!」
 鋼鉄で覆われた拳が殴り飛ばした先で、飛空戦艦ワンダレイの象徴ともいえる錨が勢いよく弧を描いた。みしりと音が聞こえるかと錯覚するほどの筋力を発揮したアルフレッドの一撃が、ドクター・ジェミニィブレインに襲いかかる。
「くっ――」
 死に物狂いで躱そうとするが、死角には既にアインが回り込んでいた。
「リミッター解除っ☆」
 もはやワープに近い高速移動によって中空を蹴ったアインは、ジャンピングボレーの要領で挟撃を仕掛けた。
 反対側からは、アルフレッドのアンカーが迫る。
「あ、ああっ……!!」
 前後から脳を潰され、ドクター・ジェミニィブレインは脳漿をまき散らしながら息絶えた。ぴくりとも動かなくなった後、高熱で炙られたかのように体液の一滴まで残さず消滅する。

 オブリビオンの覚醒と戦闘、及び救助活動に付随する破壊行動によって航行不能に陥った輸送戦艦は併走していた【飛空戦艦ワンダレイ】に改めて救援を求めると、艦内に残っていた乗組員の移送及び本艦の牽引を依頼した。内々で処理するには証拠が揃い過ぎている。おそらく、今回の密輸作戦を企図した者たちには相応の処罰が下されるはずだ。
 戦場にて邂逅した猟兵たちはその顛末を見届ける間もなく、それぞれの場所へと還ってゆく。
 事件解決という標が、星海の波間にまたひとつ、打ち立てられたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月19日


挿絵イラスト