●奪われる光
ざくざくざく。
ざくざくざく。
鉱山の奥深くの闇の中、何者かが土を掘る音がする。
ざくざくざく、ぼりぼりぼり。
ざくざくざく、ぼりぼりぼり。
鉱石を掘り出しては喰み、掘り出しては喰み。
“そいつら”は、山を喰らい尽くしていく。
●闇へと挑め
「アックス&ウィザーズの鉱山が、オブリビオンに荒らされちゃうんだ」
グリモア猟兵の影守・吾連(f00374)が、予知した事件の内容を猟兵たちへと伝え始める。
「その鉱山は、魔力を帯びた色とりどりの鉱石が取れる場所でね。麓にある村では石の採掘と、マジックアイテムへの加工を生業にしてるんだ」
つまり、オブリビオンを放置してしまえば、村の人々の生活に直接的に響いてしまうのだ。猟兵たちが出向き、早急に止めねばならないだろう。
「予知で山を荒らしてたのはね、小さな子どもの竜。“戯れる仔竜”って呼ばれる個体だよ。そいつらが群れで現れて、鉱石を掘り起こして食べちゃうんだ。竜は宝石を好むって伝説、聴いたことはあったけど……実際にこんなことも起こるんだね」
幸いにも今から現場に向かえば、被害が出る前には討伐できそうだと吾聞は続ける。
「それにしても……いきなり鉱山の中に仔竜の群れが現れるなんて、おかしいよね。仔竜を何処からか連れてくるか、召喚するかして使役してるボスもいるはず。そいつも見つけ次第、やっつけないといけないね。それじゃ、行こうか」
仲間たちへ頷いてテレポートの準備に取り掛かろうとした吾聞が、何かを思い出した様子で振り返る。
「あ、そうそう。鉱山の麓の村について、1つ伝えるの忘れてたよ。あそこには独特の風習があってね……」
その村では、売り物にならない鉱石を川に撒いて採るという催しが定期的に行われている。採った石には願い事をして、また川に流したり。小瓶に入れて持ち歩いたり。思い思いの方法で願掛けに使うのだという。
「鉱石を川に撒くことで、銀河に見立ててるんだって。星を……希望の光を自分たちの手で掴みに行くって意味が込められてるんだってさ。ちょうど今は、その催しが行われてる時期なんだ」
無事に事件を解決したら参加していくのもいいだろう、と吾聞は仲間たちに微笑んだ。
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
村の人々の生活を守るべく、猟兵の皆様の力をお貸しいただけますと幸いです。
第1章は戯れる仔竜との【集団戦】、第2章は黒幕との【ボス戦】です。
オブリビオンの討伐に成功すれば、第3章で麓の村での鉱石採りの催しを楽しめます。
●鉱石採りの催し
売り物として使えない鉱石を川に撒いて採り、それに願掛けを行うという村の風習です。採った石は小瓶に詰めて持ち帰るもよし、また川に流してもよし。ご自由に願い事にお使いください。
鉱石の色や形状は好きに指定していただいて構いません。
複数人参加の場合、【お相手の名前とIDorグループ名】の明記をお願いします。
※アイテムの自動発行はありません。
※第3章のみの参加も可。
●グリモア猟兵について
影守・吾聞(f00374)は、第3章でお誘いプレイングを頂いた場合のみ登場します。
第1章 集団戦
『戯れる仔竜』
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POW : じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●邪念なき悪
転移した猟兵たちが現場へと向かうと、坑道の入り口より幾人かが慌てた様子で駆けて来る。
話を聴くと、彼らは麓の村人たち。採掘中に突然に沸いて出た仔竜の群れに襲われ、命からがら逃げ出してきたのだとか。
自分たちが退治に向かう旨を伝えると、彼らは安堵した様子で村への連絡役を買って出てくれる。これで、戦場へと迷い込む人間はいなくなるだろう。
坑道の中は薄暗く、冷やりとした空気が立ち込めている。村人たちが放置したランプの明かりで、視界の確保ができているのは猟兵たちにとって幸いか。
しばらく足を進めると。
ざくざくざく。
ざくざくざく。
奥深くの闇の中、何者かが土を掘る音がする。
警戒しつつ、音のする方へと近づくとーー。
『グルル……』
『ギャウ!』
『ガァッ!!』
闇の塊のような仔竜たちが、土に塗れた姿で振り向く。鋭い爪で掘り起こされた場所からは、ごく僅かながら鉱石の光が見て取れる。しかし、まだ彼らの口には入っていないようだ。
悪戯を見咎められたかのように、可愛らしく尻尾など揺らして上目遣いでこちらを見上げていた仔竜たちだったが、程なくその瞳を爛々と輝かせ。
『『『グオオオォォォ!!!』』』
猟兵たちへと一斉に牙を剥いた。
赭嶺・澪
あたしは銃の利点を生かすために距離を取って回避を優先しつつ、技能『2回攻撃』『スナイパー』と、攻撃回数重視のUC『アサルトブラスター』で対応。
場合によっては技能『援護射撃』で味方のフォローもしましょう。
特に『じゃれつく』はまともに食らったらただじゃすまなそうね。
でも距離さえとってしまえば問題ないから、近づかれない様にしましょう。
もし距離を詰められた場合は、技能『零距離射撃』『2回攻撃』、攻撃力重視にしたUC『アサルトブラスター』を叩き込んでやるわ。
紫谷・康行
背後には何がいるんだろうね
あまり気にし過ぎてもいけない
仔竜を観察しながら戦えば狙いくらいはわかるだろう
希望の光か、信じることは時として力になるだろう
それが本物の星でも光でもなかったとしても
守りたいね
鉱山の物陰に潜み地形を盾にしながら戦う
松明をいくつか持って行き、潜んだ場所から見やすいところに置いておく
移動時以外は自分の明かりは消す
【無言語り】を使い、近づいてきた仔竜に言葉をかけられたものの存在を消す虚無の言葉を浴びせ攻撃する
「お前たちはここにはいない存在だ、そう元よりここにはいなかった。ただ、もとに帰るだけ。」
時々隠れる場所を変えながら戦い、仔竜達がどこからやってきているかを確かめようとする。
ファン・ティンタン
竜の、子供、ね…
一方的な自己満足なんだろうけど、声かけはしておこうか
戦闘前、【動物と話す】感じで子竜達に【コミュ力】を行使
あなた達が誰かに唆されてここに来たのなら…出来れば、自分の意思で立ち去ってくれないかな
少なくとも、今ここでは戦わなくて済む、私にはそれしか言えないけど…
敵意を向けられれば、意識を切り替える
戦うなら、相手するよ
私はもとより、その為の“刃”だから
【覚悟】は、出来てる
【殺気】を孕んだ【残像】を駆使して敵の意識を撹乱、攻撃の的を絞らせない
特に爪撃を警戒、至近距離での戦闘は避ける
UC【天羽々斬】による天華(複製)操作で中距離から鱗の無い目や未発達な羽を狙い行動力を削ぐ
アドリブ・共闘可
●
「信じることは時として力になるだろう。希望の光、守りたいね……今は気にし過ぎてもいけないが、この子たちは何処から来たんだろうね」
にじりよる群れを前に、紫谷・康行(f04625)は胡桃製の杖を握る。守るべきものへ想いを馳せながらも、やはり敵軍の出処が気に掛かる。
「あなた達が誰かに唆されてここに来たのなら……出来れば、自分の意思で立ち去ってくれないかな」
無為な殺生は避けられぬかとファン・ティンタン(f07547)は仔竜たちへ呼び掛ける。だが、こちらを見つめ返す無垢な瞳から、闘争心は消えない。束の間、哀しげに目を伏せるファンだが、すぐに真っ直ぐに顔を上げる。
「あの爪……まともに食らったらただじゃ済まなそうね」
硬い土をも掘り返す強靭な爪に警戒を示すは赭嶺・澪(f03071)だ。間合いの維持に、敵への攻撃に味方の補助。己にできる戦術を、頭の中で素早く組み立てた彼女が銃を構えた瞬間。
『ギャウ!』
一頭が吠える。それを機に仔竜たちは大きく息を吸いーー身体と同じ、闇色のブレスを繰り出した。
散開し、ブレスを躱した猟兵たち。いち早く攻撃に転じたのはファンである。もとより覚悟はできている。自身はそのための“刃”なのだから。
「天翔る羽よ、斬り給え」
祈りと詩を重ねた、白の一振り。ファンの原点たる刃が幾重にも数を増し、敵群へと飛んでいく。鱗のないやわらかな部分や未成熟な羽を狙った攻撃は、的確に突き刺さり仔竜たちの動きを鈍らせていく。そこへ撃ち込まれる銃弾。緋と碧の瞳をすっと細めて、自身の最も得意とする距離から澪が行う狙撃は、仔竜を一頭、また一頭と苦しませることなく永久の眠りへ付かせていく。攻撃を掻い潜り爪を立ててきた個体には。
「……モードチェンジ」
零距離距離からのアサルトブラスターを、黄泉路への手土産に。
『グゥゥ……』
数を減らし、悔しげに唸る仔竜たち。その様を、物陰へ潜んだ康行が観察する。
(遭遇してから、頭数が増えてはいないようだね)
仔竜たちは突然湧いて出てきた、とは村人の言。猟兵たちが通ってきた道から、新たに仔竜が入って来ている様子もない。ともすれば、何者かに召喚された可能性が高いだろうか。
「……! 見つかってしまったかな」
視線を向けていたのとは別の方から殺気を感じ振り返ると、範囲攻撃を逃れた仔竜が鋭い眼で睨んでいてーー康行へと闇の波動を放つ。間一髪でそれを躱し、彼が浴びせるは。
「虚ろなる眼窩に見出された全き無。お前は世界に在る真なる虚。在ることは無く、虚ろにして全。残るはただ静寂のみ」
言葉を掛けられたものの存在を消す虚無の言葉。一瞬、はっと円な瞳が見開かれたかと思うとーーその近くにいたはずの仔竜たちごと、もう何処にもいない。
「お前たちはここにはいない存在だ、そう元よりここにはいなかった。ただ、もとに帰るだけ」
杖を構え直した康行の元へファンと澪も合流し、大幅に戦力を減らした敵群へと向き直る。
戦術が上手く嵌ったか、幸運の女神が微笑んだか。仔竜の群れの半数程が一気に消し飛んだ。
猟兵達に遥かに有利なこの状況でも、闇の塊どもは戦意をまるで失っていない。ただ、本能のままに襲い掛かってくる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
真宮・響
まあ、仔竜達は本能の赴くままに行動してるだけなんだろうけど、いたずらが過ぎたようだ。小さいからって容赦はしないよ。おいたをした子はお仕置きが必要だ。
爪の攻撃は奏(f03210)に任せて、後方支援を瞬(f06558)に委ねて、【目立たない】と【忍び足】で敵の視線からはずれながら、【先制攻撃】で竜牙を叩き込むよ。【2回攻撃】で攻撃回数も増やして、【範囲攻撃】も使おうか。
真宮・奏
綺麗な石をみるとカジカジしたくなる仔達なんですね。何だか可愛らしいですが、大事な資源をまるごと食べられる訳にはいきませんので、対処しましょうか。
私は爪の攻撃範囲にあえて入って信念の盾を使用した上で【オーラ防御】と【盾受け】【武器受け】でじゃれつきに耐えます。【拠点防御】も併用してブレスと自然現象による攻撃にも耐えてみせますよ!!
神城・瞬
まあ、仔竜達は好奇心の赴くままに行動しているだけでしょうが・・・戯れが過ぎたようで。子供であれ、容赦はしません。これ以上被害が広がる前に対処させて貰いますね。
仔竜のブレスによる高速移動を牽制する為に【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の矢で【範囲攻撃】。自然現象で戦況が酷くなる前に【2回攻撃】も併用して早急に数を減らしましょう。
●
「小さいからって容赦はしないよ。おいたをした子にはお仕置きが必要だ」
仔竜は本能の赴くまま行動しているだけなのだろう、そう直観しつつも、真宮・響(f00434)が武器を下ろすことはない。
「綺麗な石をカジカジ……可愛らしいですが、大事な資源をまるごと食べられる訳にはいきませんので」
真宮・奏(f03210)も母である響の言葉に頷いて、その心根を映したような真っ直ぐな瞳で敵を見据える。
「戯れが過ぎたようで。これ以上被害が広がる前に、対処させて貰いますね」
響と奏。二人に寄り添うように、神城・瞬(f06558)も並び立つ。豪快で猪突猛進なところもある彼女らは、自分が支えねばとの想いを胸に。
成すべきことはわかっている。家族たる三人の猟兵が、仔竜への“お仕置き”のために動き出す。
『グ、ガゥゥ!!』
ぴょい、っと仔竜が跳ねてじゃれついてくる。それだけなら可愛げもあるのだが、瞳に浮かぶ戦意と鋭利な爪は、紛れなく人への脅威たるもの。
「奏、任せたよ!」
「ええ! 目の前のものは、絶対護ってみせますよ!!」
響に託され、あえて仔竜の爪の攻撃範囲に飛び込んでいく奏。盾と武器を構え、護り抜くという信念を力に変えて。己の全てを掛けた防御は、竜の爪をも通さない。
奏の堅牢さに攻撃を弾かれ、幾頭もの仔竜が地にころころと転がる。無防備に晒されたやわらかそうな腹を、攻撃態勢を整えた響が裂く。
「この一撃は竜の牙の如く!! 喰らいな!!」
響の心に応じて光を増す刃は、竜の牙にも匹敵する威力を生み出す。大きく振りかぶって放たれた斬撃は、彼女の周りにいた仔竜をざっくりと薙いでいく。
あと、残りは何体か。響が考えるよりも早く。
『『『グオオオォォォン!!』』』
咆哮とともに、闇の波動が迫り来る。ごうっと音を立て、黒い色をした波が猟兵たちを呑み込まんとする。ぱっと後ろへ下がる響、防御の姿勢を崩さぬ奏。
「……くっ」
否、姿勢を崩せない。ここで自分が動いたら、家族が攻撃を食らってしまう。
「……いたずらが過ぎるね」
苦々しく呟いて、響は敵群を睨みつける。今は接近戦に持ち込むのは下策であろうーーそれでもまだ、彼女ら家族には手がある。
「詠唱、完了ーーさて、これを見切れますか‽」
瞬がいるからだ。奏と響が生み出した時間で詠唱を終えた瞬が、百に近い数の氷属性の矢を仔竜どもへと放つ。
闇の波動をも穿ち、一本また一本と群れの残党へと矢が突き刺さっていく。
『ガゥ……』
全ての矢が地に刺さった時、動いている仔竜は一頭もいなかった。
一先ずの脅威が去ったことを確かめ、瞬は気遣わしげに響と奏の方へ視線を送るーー母も妹も、無事らしい。
ほっと彼が安堵の息をついた、刹那。
『てめえら……なんだてめえらあああああぁぁぁぁぁ!! なんてことしてくれやがったんだ!!!』
何者かの声が坑道内に轟く。酷く荒々しく、嫌な気配を纏った声ーー闇の最奥に、先程まではいなかったはずのモノがいる。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『呪飾獣カツィカ』
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POW : 呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナミル・タグイール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●諸悪の根源
それは、悪魔めいた金の獣頭を持っていた。
『あああああ、台無しだよ! てめえらのせいで台無しだよ!! 見ろよ、一頭も残ってやしねえ!!!』
呪いが形作ったかのような身体、その太い腕をどすりと地面に突き刺して。その何者かーー呪獣は、仔竜の亡骸が大気に溶け入るように消えていく様を嘆く。
『チビどもに石食わせて、魔力溜めてよぉ。ころっころに太らせてよぉ……何処ぞにけしかけるなり、売り飛ばすなりするはずがよぉ!!!』
何と身勝手な理由であろうか。
もっとも、呪獣に自覚などありはしないのだろうが。
『腹の虫が収まんねえ……てめえら、覚悟はできてんだろうなぁ? あぁん?』
目の前の外道に報いを与えられるのは、猟兵たちのみだ。
真宮・響
こいつが黒幕か・・・まあ、分かりやすい俗にまみれた屑だね。こいつに仔竜達は利用されたと。命は道具じゃないんだ。身を持って思い知らせてやる必要がありそうだね・・
敵の攻撃の性質から接近戦は難しそうだ。奏(f03210)に護りを任せて、【目立たない】と【忍び足】で敵の視線から逃れつつ、【槍投げ】で遠距離から攻撃。上手く槍が当たったら、ドラゴニックエンドで攻撃するよ。
真宮・奏
仔竜達はこの人に利用されたんですね・・・まあ、ボコボコにする理由が出来ましたね!!貴方の事情なんて知った事じゃないです。命を道具としてしか考えていない奴は討伐です!!
流石に信念の盾で動けなくなることは危険ですので、トリニティエンハンスで防御力を高めるのを選択。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で爪と移動攻撃は防いでみせます。放射攻撃と呪詛攻撃は【拠点防御】【かばう】も併用して響母さんと瞬兄さんの代わりに受けたいですね。攻撃手の2人が呪縛で動けなくなると大変ですので、私が盾になりますよ。
神城・瞬
仔竜が闇の波動を発してきたので不審に思ってましたが・・・もしかしてそれも貴方の責任ですか?貴方のような身勝手な悪逆非道の輩に利用された仔達が可哀想です。命を何だと思っているのですか?絶対許さない。
奏(f03210)の負担が大きいので、【高速詠唱】【全力魔法】で多数の氷晶の矢を生み出し、容赦なく敵の身体を貫いて敵の動きを鈍らせます。本命は響母さん(f00434)のドラゴニックエンドですので、確実に当てれるように敵に隙を作らせましょう。
●
「……まあ、分かりやすい俗に塗れた屑だね」
猟兵たちを威嚇するように大振りに肩を揺らし迫る巨体にも、響は全く怯まない。思わず零した言葉には呆れの色すら混じっている。
『屑だぁ? 金儲けに俺が何を利用しようが、俺の勝手だろうが。あ?』
自身の行いをまるで問題視などしていない。呪獣のそのあんまりな振る舞いに、奏は怒りに身を震わせる。
「貴方の事情なんて知ったことじゃないです。仔竜たちを……命を道具としてしか考えていないなんて!」
妹の激昂に瞬もまた静かに頷き、外道へと問う。
「仔竜が闇の波動を発してきたので不審に思ってましたが、それも貴方の責任ですか?」
『あ? あー、どうだろうなぁ? そういやチビども捕まえた時にゃ、一頭ずつ違う色のブレス吐いてやがったな。すぐにどれも真っ黒になっちまったが』
首を傾げつつも、素直に答える呪獣。頭はあまりよくないのかもしれない。
「貴方のような身勝手な悪逆非道の輩に利用された仔達が可哀想です……命を何だと思っているのですか」
呪獣を射るような視線で見つめる瞬、奏、響ーー家族の心は、一つ。
「「「絶対に許さない」」」
『ああ? 許しを乞うのはてめえらの方だろ? 俺の金ヅルども、どうしてくれんだあああああ!!!』
咆哮と共に呪獣の腕をぶわりと闇が覆う。仔竜たちが操っていたものより遥かに禍々しいその力を宿した爪が、力任せに振るわれる。
「母さん、兄さん。離れてください!」
トリニティ・エンハンスを発動した奏が進み出る。持ちうる防御の術の全てを駆使し、呪獣の爪を真正面から受け留める。ぼこりと抉れた二人の周囲が、ぶつかり合いの衝撃を示す。
目の前の奏に狙いを定めた呪獣が、両掌に呪祖を集め始めているのを見て。
(……奏! あの子に負担が少しでも掛からぬうちに!)
瞬は高速で言霊を紡ぎ終える。悠長にやっている時間はない。今度は、己の全力も乗せて。
「さて、呪獣よ……これを見切れますか‽」
生み出した数多の氷晶の矢、狙うは外道の身体一つ。
『ぐ……あああ!? 邪魔すんじゃねえ!!』
ぐさりぐさりと呪獣の肉を矢が貫く。氷の塊を全身にぶらさげ、地へ足を縫い止められた今なら、敵もまともな動きはできぬだろう。
「よし、狙い通り。本命は……母さん!」
「合点承知、ってね!」
奏と瞬を信じ、渾身の一撃の準備を整えていた響がからからと笑うーーああ、頼もしい。本当によくできた子たちだ。
「さて、黒幕よ。身を持って思い知る覚悟はできたかい?」
『……あ?』
金の獣頭がぎろりと睨んだ先には、大きく槍を振りかぶった響の姿。
「覚悟は、できたかってーー」
全力込めて投擲された槍が、呪獣の腹を貫いて。
「ーー聴いたんだよ!!」
貫いた傷から溢れだした幻影竜がとぐろを撒いて呪獣を絡め取っていき、その首筋にがぶりと噛み付いた。
『ぐ、あああああ!?』
その場に膝を付く呪獣。巨体に無数に刻まれた傷からは赤い液体でなく、闇が溢れ出している。
『クソが……てめえら、ただじゃおかねえ』
そこまで傷を負ってでも、呪獣はまだ立ち上がる。誇りも誓いも何も無く、ただ怨みを晴らすため。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紫谷・康行
【コール・ミーミトリィ】を使い黒い梟のような精霊ミーミトリィを呼び出し戦わせる
相手の動きを距離を取って観察しながら、相手の目の前にミーミトリィを呼び出し奇襲する
その後、相手の攻撃をわざと受ける位置に隙を見せる感じでミーミトリィをおき、攻撃を受ける直前に元にいた世界に返す
こっそりミーミトリィを相手の死角に召喚してから
「まあ、おまえくらいなら俺一人で十分だね。」と強がる感じで挑発して呪文を詠唱するふりをする
相手が乗ってきたら大げさな身振りで術を使うふりをしつつミーミトリィを奇襲させる
はったりは本気でやらなきゃ意味が無い
一撃食らうくらいは仕方ない
それくらいやらなきゃ、嘘はほんとにならないからね
ファン・ティンタン
勝手に説明ありがとう
話す事はもう、無いよ
私の知らない所で誰が何をしていてもそれは与り知らぬ事
けど、あなたは出てきた
詰まる所、あなたも子竜達と同じ
運がなかったんだよ
懐の手鏡が、クスクスと嗤ってる
【千呪鏡『イミナ』】の所持者としての呪いが【呪詛耐性】になって、ある程度敵の攻撃を和らげてる気がする
イミナ、もしかして張り合ってる…?
相手も荒くれ者、なら…【砕牙】、餌だよ
獣の牙を模す大型で肉厚な片刃の黒剣で突貫
呪詛系の軽減はイミナに、物理ダメージは被弾【覚悟】で【オーラ防御】任せに押し通す
突貫で相手を【恫喝】出来れば好機
【番い燕】の砕牙Ver、上下段から間髪入れず2連閃で剪断する
獣相手には、獣の牙で…ね
●
「諸々、勝手に説明ありがとう。話すことは、もう無いね」
呪獣を睨みつけるファン。その赤い瞳の奥に疼くは嫌悪だろうか、諦観だろうか。
『ああ、そうだなぁ? てめえらの口、二度ときけねえようにしてやるよ!!』
一つ言えるのは、仔竜たちと違ってこの外道には交渉を考える必要すら無いということだ。
「まあ、おまえくらいなら俺一人で十分だね」
『んだと!?』
挑発するように呟いて、呪文の詠唱を始める康行。
「全き闇よりも深いナダキの森に住み、不安を見透かし絶望を糧とする黒き羽のミーミトリィよ。契約に従い我がもとに来たれ」
呪獣と目を合わすこともない、その価値すらないといった態度に。
『ああ、決めた。てめえから潰してやるよ!!』
叫んだ獣頭から金色の光が溢れ、呪獣の身体を包み込んでいく。身体から流れ出る闇と光が混ざり、外道はより禍々しい呪詛の塊と化す。
「……ミーミトリィ」
術者に応え現れた、黒い梟の姿をした精霊が呪獣の頭をかち割らんと舞い降りる、が。
『くくく、甘えんだよぉ!』
大きく振るわれた爪撃に巻き込まれ、姿を消してしまう。爪に宿った呪祖は、そのまま猟兵たちへと襲いかかる。
「“イミナ”お願い!」
呪いを宿した手鏡を懐に、肉厚な黒剣を手に。ファンが康行の前に出て攻撃を庇う。呪祖は鏡に、物理的な衝撃は剣に軽減され、猟兵たちへのダメージを抑える。
「イミナ……もしかして、張り合ってる?」
手鏡に釣られるように、ファンもまた僅かに口角を釣り上げて。
「さて、反撃。獣には獣の牙で……“砕牙”餌だよ」
黒剣とともに呪獣へと突貫していく。
『は? 馬鹿じゃねえの?』
自分に向かってくるのは、やすやすと捻り潰せそうな小娘一人。回避などする必要もないだろう。呪いの咆哮を食らわせてやれば、ひとたまりもなく。
「……掛かったね」
大きく息を吸い込んだ呪獣の視界を遮る黒い影ーー康行の招来した精霊、ミーミトリィだ。
先の攻撃を受ける直前に還され、今いちど招来されていた精霊は、見事に敵の奇襲に成功する。
精霊の二つ名を現したかのような康行の慧眼の成果もあって、ファンの一閃が綺麗に決まった。否、まだ終わらない。
「一度で足りるとは思っていないよ、その為の二の太刀だから」
間髪入れず、下段からもう一閃。呪獣は砕牙にとって、どんな味がしたのだろう。
『ガ、ァ……ユル、サネェ』
深い傷を負い、自身の術で寿命をも削り。それでもまだ息がある呪獣。邪悪さのみでなく、執念も人の域を超えているらしい。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
神城・瞬
往生際が悪いですね・・・響母さん、奏、下がっててください。トドメは僕がやります。同じ術士として、悪の道に堕ちた輩に終わりを。確実に仕留める為に、本気で行きますよ・・・(真の姿解放。両目が赤くなり、銀髪になる)
攻撃が積み重なる前にすばやく【高速詠唱】【全力魔法】でエレメンタル・ファンタジアを撃ち、氷の津波を引き起こし、氷漬けにしてしまいましょう。こちらが攻撃を受ける場合は【見切り】で対処したいですね。その醜い心ごと、無様に凍り付け!!
紫谷・康行
しぶといね
ならその執念そのものに退場願うことにするかな
「お前は何を呪っているのか、お前がそれを望んだ先に、何があるというのか。気にならないか、もし、それを手に入れてもお前自身が全く満たされないのではないかと。お前の欲しいものはこの世界にはもうないのではないかと。もうすでに手遅れではないのかと。取り戻そうとしても手に入らないのではないのかと。」
【無言語り】により相手の執念、よくそのものに虚無を入り込ませ虚しさを覚えさせようとする
虚しさは隙を生み、気力を蝕み、自己認識を歪ませる
せめてその亡念を消すことができれば少しは安らかに眠れるだろうというのは
俺の驕りだろうけど
言葉に込めるのはかの者の安らぎを
●
「しぶといね」
「ええ、まったく。往生際が悪い」
未だ立っているのが不思議なくらいの呪獣の様に、康行と瞬は呆れの色を混じえて呟く。
前線で身体を張り続けた母と妹に下がるよう促し、瞬が前へと進み出でて。
「……本気で行きますよ」
その真なる姿を解放する。両の瞳を赤に、金の髪を銀に染める。全てはより確実に敵を仕留めるため。
『ク、ククク……ムシケラドモガァ』
目前で力を増した瞬に反応したか。呪獣は両の掌に呪詛を集め、ひどく乱暴に投げつけてくる。もっとも、狙いなど全く定まっていない。既に戦いの判断を行う理性すら、残ってはいないのかもしれない。
「悪の道に堕ちた輩に終焉を……その醜い心ごと、無様に凍り付け!!」
六花の杖を突き付けて。瞬が放つは、全力のエレメンタル・ファンタジア。至近距離より迫り来る氷の津波から逃れる術は呪獣にはなく。金の獣頭部分を僅かに残し、その全身が凍てついた。
瞳に恐怖を浮かべ動けずにいる呪獣に、引導を渡すは康行。
「お前は何を呪っているのか、お前がそれを望んだ先に、何があるというのか」
紡ぐ言霊は虚無そのもの。
「もし、それを手に入れてもお前自身が全く満たされないのではないかと。お前の欲しいものはこの世界にはもうないのではないかと」
執念に満ちた呪獣の瞳から、少しずつ光が消えていく。
「もうすでに手遅れではないのかと。取り戻そうとしても手に入らないのではないのかと」
『テオクレ。オレハ……俺、は』
金の獣頭、その視線は天を仰ぐように。
(驕りだろうけど……せめて、少しは安らかに眠れますように)
『俺の、欲しかった、のは』
康行が祈った刹那、呪獣は霧散する。まるで、そこには始めから誰もいなかったかのように。
戦いの後、現場を調べた猟兵たちだったが、呪獣が何処から来たものか、はっきりとしたことは分からなかった。
ただ一つ。呪獣が最期を迎えた場所には、黒く染まった鉱石の入った小瓶のみが落ちていた。
大成功
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第3章 日常
『輝石の星掬い』
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POW : 地道にザルを使って宝石を浚う
SPD : 希望の宝石に狙いを定めて採る
WIZ : 宝石のありそうな場所を予測して採る
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●意志と願いを
麓の村へ向かった猟兵たちを、村人より報告を受けていた村長が出迎える。
事件の一部始終を説明し呪獣の残した小瓶を見せると、村長は驚きと哀しみの入り混じった顔をした。
「そいつが何者かは存じませんが……過去にこの村で何かを願ったことがあるのでしょう」
願いを掛けて詰めた石が邪悪な意に染まるまで。その顛末を知る術は、今を生きる誰も持ち合わせていない。
話を終えて猟兵たちが催しの行われる川辺へ向かうと、そこには星を散りばめたように美しく輝く水面が待っていた。
さあ、何をどう願うも自由だ。
その願いがきっと、願った者のよき未来へ結びつきますように。
真宮・響
あの呪獣も堕ちるまえは望むものや願い事があったんだろうね。堕ちる前に遭いたかったかもね。まあ、過ぎたことだ。さて、星掬いとくれば地道にザルを使って採る方が浪漫があっていいだろ?奏(f03210)と瞬(f06558)の3人でならすぐ見つかるさ。
3人で仲良く探して、望みの宝石を見つけたら、記念品として持って帰ろうか。3人で頑張った結果だ。大事にさせて貰うよ。
真宮・奏
あの呪獣も邪心に侵される前は何を願ったのでしょうか?彼の獣の分まで願いを込めて宝石を探しましょう。あ、響母さん(f00434)、ザルで地道に掬って探すんですね?お宝探し、ワクワクします!!
地道に探すので、見つかるのは時間がかかるかと思いますが、見つけた時の嬉しさは倍増ですね。宝石に願うのは家族3人でずっと楽しい思い出を作れるように、です!!
神城・瞬
かつて彼の呪獣も何かを願った時があった。何故その想いが邪なものに染まってしまったのか。思いを馳せながら、星掬い、しましょうか。あ、地道にザルで掬って探すのですね。響母さん(f00434)がそういうなら、そうしましょう。
地道に探すのですから、星を見つけるのは時間がかかるでしょうが、見つけた時の喜びは格段ですね。母さんと奏の笑顔こそが僕の宝物。その笑顔がいつまでの続くように。それが僕の願いです。
●
輝く水面から、思い思いの方法で石を掬い上げていく人々。
小瓶に詰めて持ち帰る者。祈りを込めるように石を握って、また川へと還す者。
彼らは輝石にーー星に何を願うのだろう。
「あの呪獣、邪心に侵される前は、何を願ったのでしょうか?」
「さてねぇ……堕ちる前のあいつに会ってみたかったかもね」
相対した敵が堕ちる以前のことが気に掛かる奏と響。彼もここで願いを掛けた一人、きっと何か望むものがあったのだろうと。
(かつて、彼の呪獣も何かを願った時があった。いったい何故、その想いは邪なものに染まってしまったのだろうか……)
家族同様、瞬もまた。しばし思いを馳せていた彼の肩を、響が軽くぽんっと叩いて現実へと引き戻して。
「まあ、過ぎたことだ」
「……母さん」
「さて、星掬いだよ。というわけで、瞬も。はいこれ」
何かを手渡した。
「……これは?」
「ザルだけど?」
「ザル」
家族みんなでの星掬いは、地道にザルを使って行われることとなったらしい。浪漫があっていいだろうと、響がからからと笑う。
既にザルを手にした奏が、今にも川へと入りそうな勢いで母と兄に手を振っている。
「ふふ。私、何をお願いするかはもう決まっているんです。母さん、兄さん。早くはやく!」
子供のようにワクワクしている奏の様子が微笑ましくて。響と瞬は顔を見合わせて笑い、奏のところに歩いて行く。
家族三人で、仲良く川へ。三人でなら、きっとすぐに望みのものが見つかるだろうと。
数多の星がきらきらと輝く水の底から、そっとそれらを引き上げて。
それを幾度も幾度も繰り返す、望みの光が見つかるまで。
「むー、やはり地道に探すのは、時間がかかりますね」
でも楽しいです、と奏は笑う。そんな妹へ思わず笑みを零す瞬の瞳に、きらりと何か特別なものが映る。
「ん? 奏の足下に光っている、それは……」
「ああ、それ! 探してるやつじゃないかい?」
「あ、本当です! こんなところにいたんですね!」
そっと掬い上げたその鉱石は、確かにお目当ての輝きを放っていて。
「やったあ!」
一緒に宝を見つけた喜びを、家族みんなで分かち合う。
きらきら輝く三人だけの星の欠片は、小瓶に詰めて記念品として持ち帰ることとした。
「ねえ、兄さん。兄さんは何をお願いするの?」
「願い事は人に話さない方が叶う、と言いませんか?」
えー、いじわるー! と少し膨れて見せる妹。無論、兄は彼女が本気で拗ねているわけではないと分かっている。
(母さんと奏、二人の笑顔は僕の宝物。その笑顔が、いつまでも続きますように)
内の心で、静かに呟く願い事。瞳を和らげた兄に微笑んで、妹もまた石へと願う。
(母さんと、兄さんと、私。家族三人でずっと楽しい思い出を作っていけますように)
自身も願いを掛けていたのだろうか、しばし小瓶を大事そうに握りしめていた響が口を開く。
「みんなで頑張った結果だ。大事にしようね」
母の言葉に、子供たちは笑って頷いた。
大成功
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ファン・ティンタン
……、無駄なことかも知れないけど、その石、貸してくれないかな
【付喪神ねっとわーく】を介して黒く染まった鉱石から【情報収集】出来ないか語りかけてみる
あなたに遺る何かがあるのなら、教えて
断片でもいい、何かがあるのなら…
結果はともあれ、石探し、しようか
【POW】地道にさらう
別段望みの石があったわけでもないから、気長に川底をさらう
場合によっては、輝石の類が手に入らなくても良いと思う
ぼんやりと、川底をさらう手を見る
仔竜を斬った手
呪獣を斬った手
人ならざるヤドリガミの手
川の清らかな水にさらされて、冷たくなっていく
温もりを自ら生み出すことは無い
…ん、もうこんな時間
帰ろうか
今日の事に、後悔は、無い
私は、刀だから
●
呪獣の残した小瓶を拝借し、ファンは静かにそれに語り掛ける。
しかし、黒に染まった輝石は何も応えない。それはまるで、魂の抜け殻のように。
何も残っていないことが分かったことは、見方を変えれば収穫ともいえるだろうか。
(……私も石探し、しようか)
ザルを手に川へと一人入っていくファン。
特別に望みの石があるわけでもないが、幾度も川底をさらってみる。
(石、手に入らなくても、それはそれでいいかな)
ぼんやりと川底をさらう己の手。
この手は仔竜を斬り、呪獣を斬った。人ならざる手、温もりを生まぬ手。
清らかなはずの川の水が、よりいっそう冷たく感じる。
それでもファンは今日のことをーー自身の在り方を後悔はしていない。
(……ん、だいぶ時間経ったね。そろそろ帰ろうか)
ぼんやりと、今いちど。冷えきった手で川底をさらう。
「……あ」
ザルの片隅に引っかかった石に気づけたのは、陽光がきらりと照らしたからか。
ファンが手に取ったそれは、彼女自身の瞳にも似た紅い石。
大成功
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紫谷・康行
星に願いを
願いたい理由なんて誰にでもあるもの
強く願うほどのものがあるのは幸せだってことでもある
あなたは何を願っていたのか
願いが自身を狂わせるほどだ
俺が狂わなかったのは、願いが強くなかったせいじゃないかって思うこともある
弔うのも悪くない
ただの感傷だけれど
何を願うか
ただあなたたちの幸せを
それくらいがちょうどいいだろう
できればあなたが、この世界が幸せであるように
俺が願うことは今は無いから
【wiz】を使う
見つかればよし
見つからないのもまたよし
願いをかけるならただの人として
運が良かったら見つかるだろう
「願う星」はね
村の様子をぼんやりと眺めたら
頃合いを見計らってそっと村を去る
●
(星に願いを。願いたい理由なんて誰にでもあるもの。強く願うほどのものがあるのは幸せだってことでもある)
言の葉を紡ぎつつ、康行は歩む。
(あなたは何を願っていたのか。願いが自身を狂わせるほどだ)
それが彼の在り方だから。それは何のためだろうか。
(俺が狂わなかったのは、願いが強くなかったせいじゃないかって思うこともある)
それは、誰かの願いを叶えるため。
(弔うのも悪くないーーただの感傷だけれど)
命を賭けて叶えるため。
そっと水面を覗き込み、川底を攫う。
康行の掌に、願う星がひとつ。
掛ける願いは、ただの人として。
(何を願うか、ただあなたたちの幸せを。それくらいがちょうどいいだろう)
(できればあなたが、この世界が幸せであるように)
(ーー俺が願うことは今は無いから)
川辺には未だ、願う星を求むる人だかり。
村の中心の方からは、石を加工する音が聞こえてくる。
それが、ここでの日常。
あと少しで失われるかもしれなかったもの。
これからも、続いていくもの。
大成功
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