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醒めない悪夢に暁鐘を

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●声なき声
 草木も眠る丑三つ時。静寂に包まれたこの街は、文字通り全てが眠っている。人も、獣も、虫も、草も、建物さえも。
 そうだ、眠ってしまえ。何も知らないままに果てるがいい。どうせ死にゆく運命のこの世界、それが少しばかり早まるだけ。夢の中で死ねるなら、上等な死に方だろう。
 例えそれが、悪夢だったとしても。例え全てが、仕組まれたものだったとしても。

 ――だれか、たすけて。

●迫る刻限
「緊急事態よ!急いで敵を倒してきて!」
 夜半も過ぎ、集まった猟兵達に声をかけるのは、グリモア猟兵のイデア・ファンタジア(理想も空想も描き出す・f04404)だ。普段の快活な姿は鳴りを潜め、その顔には焦燥が浮かんでいる。
「このままだと街一つが滅んじゃうの。それも、次の夜明けと共に」
 告げられた猶予は、余りにも短すぎた。思わず時計を確認する猟兵達。今すぐ現場に飛んだとして、状況次第では間に合わないのではないか。
「不幸中の幸いだけど、状況は全部分かってる。一度しか言わないわ、よく聞いてね」

 グリモアベースが夜の街を映し出す。明かりの一切が消えた街は、全てが死に絶えてしまったかのよう。いや、このままでは実際にそうなってしまうのだ。
「この街は今、住民全員が醒めない夢に囚われているの。辛く苦しい悪夢にね」
 それはそれで問題なのだが直近の脅威はそれではない。イデアは街の中央を指し示す。
「ここに建ってる時計塔の最上階、鐘のあるフロアにファンガスっていう茸型の魔獣がひしめいてるの。こいつらが夜明けと共に毒の胞子をまき散らし、何もかも苗床にしてしまうわけ」
「見ての通り現場は真っ暗。もちろん時計塔の中もね。おまけに奴らに荒らされたのか、足場が悪くなってたり、通路が塞がってたりするわ」
 数々の障害をはねのけて最上階へ急ぎ、魔獣を残さず殲滅しなくてはならない。さもなくば手遅れとなってしまうだろう。

「魔獣を倒しても、まだ元凶が残ってるわ。逃がさないよう住民を悪夢に閉じ込め、時計塔にファンガス達を移した黒幕。幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』が」
 その時、驚きの声を上げた猟兵がいた。いわく、パラノロイド・トロイメナイトには以前対峙したことがある。死の淵にいる者に安らかな最期を与える、心優しい存在だった。こちらの言葉に耳を傾ける様子さえ見せていた、それがこの事件の黒幕だなんて。ショックを隠せない猟兵に対し、悲しげに答えるイデア。
「その子は、生前にとても近い存在だったのね。でも……オブリビオンだから」

 オブリビオンとは、死者蘇生の奇跡ではない。過去の存在の姿を借り、必ず世界を滅亡に導く、世界の敵なのだ。生前がどんなに高潔な人物であったとしても、ひとたびオブリビオンとして受肉すれば、その本性が残虐なもので塗り替えられてしまうこともある。今回の個体は、そうした一つなのだとイデアは告げる。
「あたしもあなたも猟兵で、幻想術師はオブリビオン。だからあたしはこう言うわ」
 この敵を、倒してきて。


渡来あん
 初めましての人は初めまして、お久しぶりの人はお久しぶりです。
 渡来あんです。
 今回は敵を倒し街を救うシナリオです。よろしくお願いします。

 すべき事ははっきりしています。
 ですが、すべき事が出来る事の全てではありません。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『時計塔』

POW   :    大胆に進む

SPD   :    慎重に進む

WIZ   :    アイテムを活用

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

徳川・家光
 パラノロイドも気にはなりますが、まずはファンガスをどうにかしないといけませんね。そのためには、この時計塔を踏破しなくては。ああ忙しい……。
 幸い敵はいないようですから、後に続く皆様の為、「道」作りに勤しむとしましょう。
 眠る街のお家に無断侵入して、甲冑や鍋釜などを集めてきましょう。それをつかって、「羅刹大伽藍」にて甲冑ロボに変形! 大伽藍に乗り込んで、パワーを追加した大工工事にて、端正だが崩壊の危機にある時計塔をトンテンカンテンと修繕し、頑丈な道を作ってしまいます。本職じゃないので見てくれは最悪ですが、なーに、安全ならばなんでも良いのですよ!


黒城・魅夜
悪夢――!
私の顔はきっと蒼褪めているでしょう。かつて、まさに「悪夢」の中に囚われていた私には、この事件を見過ごすことはできません……!

とはいえ、この暗闇は厄介です。ダンピールである私は他の人より夜目は効くはずですが(【暗視】)、さらに【第六感】を重視して、障害物・遮蔽物をできるだけ回避していきましょう。(【SPD】による行動)

そして、【紅き胡蝶は赤き闇夜に舞い狂う】を使用。追跡対象は私自身。つまり、周囲を見通す私の五感そのものを倍増させ、踏破を容易にできないかという試みです。

これで一刻も早く時計塔を突破し、「悪夢」を終わらせないと。
――ええ。私は、私こそは、「悪夢の滴」なのですから……!


ミカゲ・フユ
この世界は悪夢のようなもの
生きることすら辛くて、苦しくて、優しい夢の中にいた方が倖せです

けれど、そこにあるのが更なる悪夢なら――
そして誰かが助けを求めているなら、僕たちは立ち向かいます

【SPD】
いつも『春彩の秘蹟』は発動しています
だから死霊のハルお姉ちゃんとはずっと一緒

暗闇を払う為に魔術杖に光を灯して慎重に進みます
時計塔の中はかちこち、ちくたく音がするのかな
それとも、塔も村と一緒で眠らされているのかな

異様な物音は警戒
崩れている所を見つけたら
持参した蝋燭に火を灯して置いて、危ないよって目印にします
もし塞がれてどうしても先に進めない所があったら……
お姉ちゃん、やろう。僕たちの法力でどかーん、です!



静寂に満ちた時計塔の中を急ぐダンピール、その名は黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)。かつて『悪夢』に囚われていた彼女にとってこの街の惨状は他人事ではなく、まさか見過ごすことなど出来ない。もしもこの場が明るかったならば、その蒼褪めた表情がはっきり分かったことだろう。
「一刻も早く悪夢を終わらせないと……!」
 自前の明かりこそ持っていないものの、魅夜の足取りに迷いはない。窓から差し込む月明かりさえあれば、その目は不自由なく先を見通せる。さらに言えば、彼女の目は二つではなかった。
 『紅き胡蝶は赤き闇夜に舞い狂う』(ラ・ヴィ・アン・パピヨン)。五感を共有する蝶によって死角を補うことで、瞬時に障害物の少ないルートを見つけ出す。触媒となる血を用意するために己を傷つけることになったが、この程度、人々の苦しみに比べれば何でもない。
「――ええ。私は、私こそは、『悪夢の滴』なのですから……!」
 だが、彼女の快進撃は三階を目前に止まることとなる。

 時は少し遡る。
 ミカゲ・フユ(かげろう・f09424)は慎重な足取りで一階を進んでいた。手には光を灯す魔術杖。背後には姉と慕う春色の髪の少女の姿。そして隣には――自身の倍以上もある甲冑の姿。
「いやぁ僥倖でした。何とか甲冑は手に入ったのですが、塔の中が予想以上に暗く……ミカゲさんに会えて本当に良かったです」
「そんな、大したことじゃないですよ、家光さん。……あの、上様って呼んだ方がいいですか?」
「いえいえ、好きに呼んでくださって結構ですよ。同じ猟兵同士じゃないですか」
 徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)である。緊急事態ゆえと衛兵の詰め所から拝借した甲冑により、羅刹大伽藍の姿を取っているのだ。二人は道すがら言葉を交わしていく。
「まずはファンガス、それからパラノロイドもどうにかしないといけませんね。人々を悪夢から解放しなければ」
「――この世界自体、悪夢のようなものですよ」
 家光の何気ない言葉に声を固くするミカゲ。チラと後ろを振り返れば『ハルお姉ちゃん』が心配そうに浮かんでいる。
「生きることすら辛くて、苦しくて……優しい夢の中にいた方が倖せです」
 それは12歳の少年が放つには重い言葉だ。そしてその夢とは一体何を指しているのか、彼は黙して語らない。
「……では、なぜここに?」
「声を聞いた気がしたんです。たすけて、って。だから僕たちは立ち向かいます」
 塔には二人の足音が響くばかり。時計の歯車さえ眠りについたこの街で、あるはずのない声を上げた誰かとは。家光は考えこもうとして、前方の異変に気付いた。
「見てください。天井が崩れてしまっています」
 そして彼らは、彼女と出会うことになる。

 魅夜は困り果てていた。前方の階段は瓦礫で塞がれ、さらにそこへの通路は完全に崩落してしまっている。ここの他に階段は無く、この状況を打開する術を彼女は持っていない。妖刀の力を借りてもこの距離は越えられないだろう。後続を待つしかないと諦めかけたところへ、階下から声がかけられた。
「そこな方。もしやこの先に進みたいのですか?」
「あ、はい。えっと、貴方がたは?」
 自己紹介と情報共有を済ませる面々。問題への対処法はすぐに見つかった。
「階段の瓦礫は僕とお姉ちゃんで吹き飛ばせます」
「道についてはお任せください。大伽藍の力、お見せしましょう」
 家光の羅刹大伽藍がその力を発揮する。周囲の瓦礫をかき集めてトンテンカンテン、組み立てれば石段の完成だ。不格好だがしっかりしたそれで全員が二階に上がればもう一仕事。
 作ったばかりの石段をよいしょと持ち上げ横に置く。ばらして組み換えアーチを成せば、向こうへ渡る橋となる。
「見てくれは最悪ですが、なーに、安全ならば何でも良いのですよ!」
 その言葉通り、橋はちょっとやそっとでは崩れそうにない。これなら誰もが安心して渡れるだろう。そして、階段については。
「お姉ちゃん、いくよ!」
 ミカゲの言葉と共に、少女の霊が光を放つ。ミカゲが常日頃から送り続けている法力が、かつて彼が持っていたものと同質の光となり眼前の障害を消し飛ばす。
「やりました!僕たちの法力でどかーん、です!」
 『ハルお姉ちゃん』もダブルピースで喜びを表している。これで先に進めるだろう。

「ありがとうございます。私一人ではどうしようもない所でした」
 頭を下げる魅夜に対し、同じく頭を下げるミカゲと家光。
「魅夜さんが三階へ向かおうという時、僕はまだ一階の途中でした。魅夜さんの速さこそ今一番必要なものです」
「僕なんてミカゲさんに出会えなければどうなっていたか。ですがこうして出会えたのですから、今はそれを喜びましょう」
 こうして彼らは三階へと共に足を踏み入れた。最上階まではまだあるが、もう何事にも屈することはないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ギャンビット・メレナス
次の夜明けまでとハ、兎に角スピードが重要ということか、タル。

外壁から見て2階から先ほど舞った砂埃。先行しているメンバーがいて、今しがた3階に着いたとみるべきダ。凄まじいスピードだが、既に夜半をとうに過ぎていル。茸との戦闘も考えると1分も無駄にできないナ。

『もはや飛ばすしかなイ』

オレは塔の外から自動巻き取りが可能なワイヤー銃を届く限界の高さに打ち込んで上昇し、超熱線銃で壁に穴をあけ内部に侵入すル。ライター銃で照らして広い場所に青の宝石箱を置ク。逆の方法で地上に戻り、踏破済の道を急いで仲間と合流。赤の宝石箱に直に触れることで、WIZ「秘密の散歩道」を発動。後続を含む全員でのショートカットを目論ム。



 三人が階段を登り始めた同時刻。外から時計塔を見上げるギャンビット・メレナス(変幻自在の怪盗紳士・f05402)の姿があった。
「今の砂埃は二階、いや三階カ。凄まじいスピードだナ。だが夜明けはもう間もなク……もはや飛ばすしかなイ」
 おもむろに取り出した銃から放たれたのは、銃弾ではなくワイヤーアンカーだ。上階の外壁に固定されたワイヤーが巻き取られる。月明かりに照らされて、夜より暗い黒色が音もなく昇っていく。
 昇りきると今度は別の銃を取り出した。愛用の超熱線銃はたちまち外壁に穴をあけ、ギャンビットはスルリと忍び込む。
「ここならちょうど良い、タル」
 さらに取り出すは青い宝石箱。明かりと共に安置すると、怪盗紳士は再び地上へと戻っていった。

 ここからが本番だ。即座に時計塔の中を駆け、先行組を追いかける。先人達が残していった跡を辿れば追い付くことは決して不可能ではない。そして道中出会った仲間達に差し出すのは赤い宝石箱だ。
「今夜ばかりは種明かししてやろウ」
 彼の『秘密の散歩道』(シークレット・プロムナード)は、赤から青へのテレポートを可能にする。テレポートの有用性は猟兵なら誰でも知っているだろう。彼は最初から仲間の為に行動していたのだ。

 そうして進み続け、とうとう先程の場所まで辿り着いたギャンビット。
「これで全員カ?……進めば分かるナ」
 最上階まで、あと少し。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィン・スターニス
悪夢を現実にさせる訳には行かないです。
パラノロイドの企みは、何としても阻止しないとです。

時間に余裕があるとは言えませんし、
先行している方達に追い付く為にも、急いで最上階に向かいましょう。

暗視で多少は夜目が効きますが、
外から最上階の鐘、
又はファンガスの一部が見えるでしょうか?
視認ができ、射程(324m)内であれば、
鐘(又はファンガス)を対象にし、第三災禍・黄の拒絶を使用して、
外側から最上階へ跳びましょう。

無理そうなら、時計塔内部から昇ります。



 フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)が現場に駆け付けたのは、先発より大幅に遅れての事だった。彼女の名誉のために述べておくが、決して彼女に非があった訳ではない。ただただ巡り合わせが悪かったという他ないだろう。だが刻限は待ってはくれない、見上げれば既に東雲が近い。通常の手段で昇ったのでは間に合いそうになかった。
「諦めません。悪夢を現実にさせる訳にはいかないです。何としても阻止しないと」
 猟兵として、何より七彩龍の巫女として、情けない姿は見せられない。眼帯の奥から時計塔を観察し続けた彼女は、この状況を打開する術を見出した。目的地である最上階は吹き抜けとなっている。ならば。
「封印解除。黄色の魔力を糧とし、第三の災い、此処に発現せよ!」
 それは彼女自身に封じられている魔法。七災人形フィンスターニスが持つ、七つの災禍が一つ。
 『第三災禍・黄の拒絶』(ドリット・ユーベル・ゲルプ・ヴァイゲルング)。空間が捻じ曲がり、彼女と鐘の距離が零になる。

「!!!」
 最上階に一番乗りした彼女が捉えたのは、一面にひしめき合う茸の姿だった。右を向いても左を向いても、茸、茸、茸。そして――目が合った。
「っ、雨月様!」
 すぐさま戦闘態勢に入るフィン。彼女が幸運だったのは、先発より大幅に遅れたことだ。数の暴力が襲い掛かる直前、猟兵達が次々に最上階へ到達してきたのだ!
 仲間がいるならば恐れることは無い。一瞬の静寂の後に、戦いの始まりを告げる鐘が音もなく鳴り響いた。

●何処かの誰か
 ――たすけて。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ファンガス』

POW   :    胞子散布
予め【胞子を周囲に撒き散らす】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    闘虫禍争
自身の身長の2倍の【虫型の魔獣(形状は毎回変わります)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    毒の胞子
【口や茸の傘】から【胞子】を放ち、【毒】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒城・魅夜
これはこれは、大群ですね――なればこそ、好都合。乱戦は私の得意とするところですもの。

瞬刻を争うスピード勝負。様子見などするつもりはありません。【先制攻撃】が可能ならば仕掛けます。
【範囲攻撃2】【なぎ払い】【二回攻撃3】の技能と共に、我が呪われた鋼鎖が暴風のようにファンガスたちに襲い掛かるでしょう。

【第六感2】【見切り】【残像】は攻撃回避のために使おうと思いますが――

けれど、もしや、この【第六感】が『何か』を捉えたりはしないでしょうか。
どこかで、誰かが、か細く微かに訴えているような、声にならない声を。
助けを求めるような震える意思を……?

(アドリブ共闘歓迎です)


ミカゲ・フユ
わわ、敵がこんなにたくさん
大丈夫ですか皆さん。油断しないでいきましょう

これまでも協力してこれたから、次だって……!
『春彩の秘蹟』でハルお姉ちゃんに僕の法力を分けて
僕自身は魔導書を広げて魔力を溜めていきます

――謳う音は、雨のいろ。降りそそげ森の詩
魔導書から紡ぐのは水属性の魔法弾
お姉ちゃんに聖光と十字で攻撃して貰って僕も魔力を放ちます
僕たちはふたりでひとつ。だけど攻撃は二連続です

ふわあ、茸ばっかりで何だか目が回りそうです……
でも、これを倒して進まなきゃこの街も塔も眠ったまま
僕は時計塔が目覚める音を聴きたいです
こんな世界にも夜明けは来るんだって、告げて欲しいから

だからお姉ちゃん、いっぱい頑張ろう!



 鋼鎖の伸びる音が静寂を破る。機先を制したのは黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)だった。塔こそ昇り切ったが状況は依然厳しいまま、ならば様子見など不要と己のユーベルコードを解放する。大小長短様々な108条の鎖が一斉に敵へと降っていく様は、さながら篠突く雨のごとく。オブリビオンという罪に罰を与えるべく、呪われた嵐が吹き荒れる。
「最果て知れぬ悪夢の深淵から滴り落ちたのは私?あなた?…それとも?」
 胞子を放つ間もなく魔獣達が一気に捕らえられる。その数は十を超す。代償は決して軽くない、通常の数倍の勢いで彼女の存在が蝕まれていく。だが、彼女は一人ではない。

「――謳う音は、雨のいろ。降りそそげ森の詩」
 身動きの一切を封じられたファンガス達へ聖光と十字が、そして水属性の魔法弾が次々と撃ち込まれていく。ミカゲ・フユ(かげろう・f09424)と彼の『ハルお姉ちゃん』による、法力と魔力の連続攻撃だ。
「敵がこんなにたくさん。大丈夫ですか魅夜さん」
 雨森詩編をその手に次々と敵を倒していくミカゲ達。捕らえられた魔獣達が、そしてミカゲ達の周囲が一掃されるまでそうかからなかった。
「ふふ、ミカゲさんにはまた助けられましたね」
「いえいえ、こちらこそです」
 一時の余裕を得て和やかな空気が流れかけたが、それもつかの間。『ハルお姉ちゃん』に袖を引っ張られて振り返ったミカゲが見たのは、こちらに向かってくる巨大な虫と、その背に生えた茸だ。そこから胞子が撒き散らされ、たった今倒したばかりの残骸を餌に新たな茸達が生えてくる。
「ふわあ、茸ばっかりで何だか目が回りそうです……」
 それでもミカゲは挫けない。頭上には時計塔の鐘が、激しい戦いの余波を受けてなお沈黙を保っている。事件の元凶を止めなければ街も時計塔も眠ったままなのだ。
「僕は目覚めの音を聴きたいんです。こんな世界にも夜明けは来るんだって、告げて欲しいから」
 姉の微笑みに見守られ、少年は前へと踏み出した。白み始めた空がその目に映る。
「だからお姉ちゃん、いっぱい頑張ろう!」

 頼もしい仲間の姿に負けじと再び鎖を放つ魅夜だったが、その思考の片隅には一つの気掛かりがあった。塔を昇っている間にその話を聞いてから、彼女の第六感が訴え続けていること。
(どこかで、誰かが、か細く微かに訴えているような……?)
 音は無い。先ほどまでは猟兵達の塔を昇る音、そして今は戦いの音。それだけがこの眠った街で唯一の音だったはずだ。だが魅夜は、声なき声を聞いた気がしてならない。
(助けを求めているような……一体誰が?)
 猟兵達はまさに助けに来たはずだ。このまま敵を倒せば、それで街は救われるはずだ。だというのに、まだ何かが足りないような感覚が消えることは無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィン・スターニス
思っていたより数は多いですが、
誤差の範囲内部です。
時間も残り少ないですし、
迅速に狩り尽くしましょう。

手数を増やす為、龍神降臨で雨月様を呼び、協力して貰います。
普段は自由に動けない分、
思う存分に暴れて下さい。

私は、薙刀でのなぎ払いを中心に攻撃を行います。

敵からの攻撃は、第六感、見切りで対応し、
可能ならカウンターで反撃します。

視界は暗視で確保。
毒耐性がありますが、
念の為に口元を布で覆っておきます。



「思っていたより数が多いですね。ですが誤差の範囲内です」
 かつて過ごしていた神社の奉納品、薙刀【白霧】で敵を薙ぎ払いながら、フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)はそう呟く。
 確かにファンガスの数は多く、先ほど見せたその繁殖力には侮れないものがあるが、ならばこちらの手数を増やせばいいだけの事。フィンもまた一人ではない、七彩龍の巫女には頼れる存在がついている。
「迅速に狩り尽くしましょう。雨月様、思う存分に暴れて下さい」
 巫女の祈りに応え、龍神がその本性を顕わにする。普段は小さな姿で、あるいは七色の光を纏う槍の姿で彼女を助ける龍、その御名を『雨月』。宙を駆け、不届き者共をいとも容易く引き裂いてゆくその雄姿は確かに神を冠するに相応しい。

 龍神が巻き起こす騒動に紛れ、一匹の虫の魔獣がフィンの背後に勢い良く迫っていた。走る凶爪、だがフィンはそれを振り返ることなく躱すと、お返しとばかりに薙刀を突き入れる。自重を利用された虫は瞬く間に絶命し、宿主を失った茸も萎びていく。
 周囲の茸達もそれぞれが毒の胞子をまき散らし対抗しようとしているが、それでフィンの動きが鈍ることは無い。元々耐性は備わっているし、対策も施してある。恐れる理由など一つも無い。
 やがてどれほど経っただろうか、視界を埋め尽くす程の茸の群れは、いつしか数えられる程度までその数を減らしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ギャンビット・メレナス
仲間のあの動き......、やはり何かを気にしているのか?タル。だが解明には至っていないようダ。何か、更に糸口があれバ。

ン?こいつ、別の魔獣を召喚して騎乗するのカ。この機動力、そしてこの茸はパラノロイドと接触し、多くの情報を知っている可能性があル――。使わない手はなイ!

オレは攻防において状況次第で仲間と連携しつつ、SPD:「見抜かれた自由への渇望」を茸の騎乗体の影に放ち、その元個体の記憶まで持ったコピーを味方につけ、違和感の正体解明への協力を促ス。

違和感の正体がここにいない可能性も考慮して、必要ならば一時茸を従えて戦線を離脱することも辞さなイ。



 ギャンビット・メレナス(変幻自在の怪盗紳士・f05402)は観察していた。この分ならファンガス達の殲滅は刻限に間に合うだろう。そうすると気になってくるのは仲間の動きだ。
 共に戦う猟兵達の幾人かが何かを気にする素振りを見せている。しかしそれが何なのか自分でも分かっていないらしい。ギャンビット自身にはそのような覚えは無いが、ここまでを共にした仲間達を疑うことなどあるはずも無かった。

「何か糸口があれバ……ン?こいつら意外と機動力があるのカ。タル」
 白み始めた空により、猟兵達が用意した明かりにより、この場には微かながらも影が存在する。ならば利用しない手はない。虫の魔獣の影に短剣が突き刺さる。
「自由が欲しくはないカ?ならば、共に来イ」
 『見抜かれた自由への渇望』(シャドウスティール)。ギャンビットの語りかけに応じた影が本体より離反する。実体を得た影へと飛び乗ったギャンビットは、茸の残党をあしらいつつ情報を引き出そうとした、が。
「……何も知らないようだナ」
 分かったのは、少なくともファンガスに裏はないという事だけだった。

「仕方ない、事ここに至っては戦線離脱も辞さなイ……おヤ」
 気が付けば茸達は全滅していた。あれだけ舞っていた胞子は既に無く、後は蝶が舞うばかり――
「っ、気をつけロ!」
 蝶の舞う先を追えば、そこには鳥籠を持つ者の姿があった。
 それは、世界の敵。それは、醒めない悪夢をもたらすもの。それの名は――

●助けて
 騒がしいと思えば猟兵共め、あと少しだったというのに余計な事を。
 だが、まぁいい。ファンガスなどいくらでも増やせる。こいつらを叩き潰した後で、またじっくり進めるとしよう。どうせ誰も目醒める事など出来はしないのだ。
 そうだ、何匹か生かしておいてこの街が滅びる様を見せつけ――

 たすけて!

●醒めない悪夢に暁鐘を
 その時、猟兵達は確かに聞いた。空気でなく魂を震わせるその声を。
 それは、悪意に上塗りされたもの。醒めない悪夢に囚われて、助けを求める声の主。
 それの名は――パラノロイド・トロイメナイト。
 夜明けの鐘は、未だ鳴らず。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』』

POW   :    記録■■番:対象は言語能力を失った。
【夢幻の眠りを齎す蝶の幻影 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    記録■■番:対象の肉体は既に原型を留めていない。
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【数多の幻想が囚われた鳥籠 】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    記録〓編集済〓番:〓編集済〓
対象のユーベルコードに対し【幻惑し迷いを齎す蝶の群れ 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鶴飼・百六です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒城・魅夜
撃ち出そうとした鎖を咄嗟に引き戻します。
オブリビオンである以上、いずれは散らすべき相手。その判断に迷いはないとしても、それは今ではないのかもしれません。
かつての私と同じように悪夢に囚われ、悪夢に苦しみ、悪夢に怯え、悪夢を憎むのであれば、それは私の同胞です。たとえ今だけであっても。

ですが、あなたからも手を伸ばしてください。あなたもまた戦うのです。
憎むべき「悪夢」を相手に!

トロイメナイトの攻撃を【見切り】【残像】【第六感】でかわし、攻撃を受けても【激痛耐性】で耐えながら呼びかけましょう。私たちだけでは、真なる敵の所在は掴みづらい。あなた自身も戦うのです、と!

(アドリブ共闘歓迎です)



 敵を討たんと放たれた鎖が止まる。迎え撃たんと放たれた惑わす紫の蝶は止まらない。たちまち蝶の群れに飲み込まれた黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、しかし迷わない。彼女は迷わず、攻撃しない意志を固めていた。
「オブリビオンである以上、いずれは散らすべき相手。ですが……」
 脳裏に浮かぶのはかつての己の境遇。悪夢に囚われ、苦しみ、怯えていた記憶。目の前の相手が同じように苦しんでいるのであれば、それは悪夢を憎む魅夜にとっては。
「あなたは私の同胞です。例え今だけであっても」
 同胞を救いたい。その想いで彼女は手を伸ばす。

 トロイメナイトは答えない。言葉はとうに失われ、意思もそのほとんどが悪意に塗り潰され。言葉を重ねる彼女を嘲笑うように夢幻の眠りが襲いかかる。本来周囲を無差別攻撃するその照準は、悪辣にも彼女ただ一人に合わされている。たちまち前へと崩れ落ちる魅夜は、しかし。
「こん、な……ものっ!」
 倒れる寸前、取り出した短剣を躊躇いなく己が足に突き刺した。鮮血が飛び激痛が走る。だがそれが一体何だというのか。目の前でもっと苦しんでいる相手がいるのに!そうして彼女は歯を食いしばり、地を踏みしめ、背を起こし、前を見据え叫ぶ。
「私たちも戦います!ですからあなたもまた戦うのです!憎むべき悪夢を相手に!」
 悪夢の滴は戦い続ける。その先に一筋の希望が差すことを信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィン・スターニス
生前の意識が残っているのでしょうか?
オブリビオンとなり、
望まぬ行動を強いられているのなら、
倒す事で、解放できるのでしょうか?

街の人達だけでなく、貴方の悪夢も終わらせましょう。
この災いを転じさせ、
彩りある幸いな未来へ向かう為に。

攻撃には、主に薙刀を使い、
突きとなぎ払い。
それに薙刀での攻撃をフェイントにし、
格闘を織り混ぜます。
その際に、第五災禍・青の拘束で、動きを止める事も試みます。

敵の攻撃からは、第六感、見切りで回避を優先。
避けきれない場合は、武器で受けを試みます。

幻惑が、精神に影響を及ぼす呪詛であれば、
呪詛耐性も少しは効果があるでしょうか。


ミカゲ・フユ
きみが……パラノロイド・トロイメナイト?
たすけて、って声はきみから聞こえたんですね

本当のきみは優しい子だって聞きました
それなら多分こんなことはしたくないはずなんだ
ハルお姉ちゃん、あの子を止めよう!

『春彩の秘蹟』で聖なる光と赦しの十字で
攻撃して貰いながら僕は魔術杖に力を込めます
十字に重なる歯車が廻っていく中、放つ魔力は二種類
聖属性と闇属性攻撃を折り混ぜて少しでも見切らせぬよう

相手が脱力している時は警戒して攻撃の手を止めます
蝶が舞う光景は幻想的だけど気は抜かずに

夜明けの鐘は必ず鳴らしてみせます
誰かを助ける事が僕たちの使命
きみも、みんなも……僕だって、救いを求めてるから

大丈夫、悪夢はここで終わりです



 幻想術師の姿を借りた悪意が再び夢幻の眠りを束ねた時、その背に薙刀が、赦しの十字が突き刺さった。
「本当のきみは優しい子だって聞きました。たすけて、って声はきみから聞こえたんですね」
「生前の意識が残っているのですね。オブリビオンとなり、望まぬ行動を強いられているとは」
 声の主はミカゲ・フユ(かげろう・f09424)とフィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)。彼らの決断は、この悪夢に一刻も早く目覚めをもたらすこと。そしてその対象はこの街だけではない。
「フィンさん、ハルお姉ちゃん、あの子を止めよう!」
「えぇ。この災いを転じさせ、彩りある幸いな未来へ向かう為に」

 ミカゲの『ハルお姉ちゃん』が先ほどの十字と共に聖なる光を放ち、その合間を縫ってフィンが薙刀【白霧】を突き入れる。相殺する蝶の群れは十字と光を打ち消すだけにとどまり、フィンの刃は遮られることなく存分に力を発揮する。先ほどとは別の群れ、幻惑の蝶が対抗するが、この程度ではフィンは止まらない。
 さらには、待機するミカゲの杖に、遊星機構に魔力が集中してゆく。先端のクロスした歯車が廻り始め、聖なる力と闇の力、相反する属性を一まとめに統合してゆく。誰かの助けとなる、それが彼の使命。己の意思で選び取り、己の足で歩む道。その為なら、不可能なんてきっと無い。

 ミカゲが放とうとしている力には、パラノロイド・トロイメナイトも気付いていた。直撃すればただでは済まない強大な力、しかし相殺の蝶は邪魔が入り届かない。
「封印解除」
 ならば利用してやろう。無効化し、逆に奴の大事な姉とやらへ放ってやればさぞ良い顔をするだろう。下種な考えに酔う悪意は、それ故に気付けなかった。
「青色の魔力を糧とし」
 七災人形の災禍を。眼前に突き入れられた切っ先の意味を。思わず体が硬直する。硬直してしまった。
 「第五の災い」
 とん、と体に触れられる。そこから惜しみなく注がれるのは、フィンが練り上げた青き魔力。体内で楔となり、対象の行動の一切を封じる魔法。
「此処に発現せよ!」

 ミカゲの前で対象が拘束されている。それを成した巫女は自分の右に、大事な姉はその逆に。最早何の憂いも無く、魔力の発動は最終段階へ至る。激しく回転する歯車を前方に向け、全ての力を一点に凝縮する。零れた力の余波が風となり、まだ丈の合わない法衣が激しくはためく。
「街の人達だけでなく、貴方の悪夢も終わらせましょう」
 フィンの言葉は彼女だけの言葉ではなかった。ミカゲも、他の猟兵達も、共通して抱く想いだった。
「夜明けの鐘は必ず鳴らしてみせます。大丈夫、悪夢はここで終わりです」
 誰もが救いを求めている。人も、獣も、虫も、草も、建物も。猟兵も、オブリビオンも。そこに救いをもたらすのは何時だって人だ。救われて、救って、そうして世界は続いていく。

 払暁の一撃が放たれる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミカゲ・フユ
お姉ちゃん、きっと後もう少しだから
最後まで僕に力を貸して……!(『春彩の秘蹟』)
相手がどんなに強くても僕はお姉ちゃんがいれば頑張れるから

息が切れてもしっかり呼吸を整えて
痛い攻撃が来ても杖で受けて時には痛みを我慢して
いつかは絶対に巡り来る戦いの終わりと
そして、新しくはじまる朝の光に思いを馳せます

パラノロイド・トロイメナイト……
きみの存在はここに在ってはいけないものです
この力、本当はあんまり使いたくないけど……
僕の我儘よりも、きみや村の人達を助ける方が大事だから

魔力を紡いで発動するのは『異端審問』の力
世界の破滅を導く者に、異端なる存在に、裁きを
今です、お姉ちゃん。赦しの光と断罪の刃を重ねて――!



 莫大な魔力を放出し続ける反動が少年を押し返す。踏ん張りも空しく下がり始めたその体を、姉の霊が優しく受け止めた。ふわりと包み込む春の香りにミカゲ・フユ(かげろう・f09424)は活力を得る。
「僕に力を貸して……!お姉ちゃんがいれば、僕は、頑張れるから……!」
 太陽と見紛う程の光が辺りを照らす。一瞬とも永遠ともつかぬ時が過ぎ、光が収まった後に猟兵達が見た物は、彼方まで一筋に裂かれた雲だった。

「はあっ、はあっ……っ!?」
 倒れこむ体を支えられたミカゲが悪寒を感じ顔を上げれば、嗚呼、何時から拘束が解けていたのか、傷つきながらも未だ立ち続ける幻想術師の姿が。鳥籠に急速に溜まってゆくその力が解き放たれた時、彼らの旅は終わる。だが、それが現実となる事は無かった。

 鳥籠が開かない。膨れ上がる力を閉じ込めるようにガタガタと揺れ、ついには大爆発を引き起こす。一体何が起きたのか、猟兵達は直感していた。
(――戦っているんだ)
 そして少年は決意する。姉に注ぐ法力のいくばくかをせき止め、闇に傾けていく。唯一の拠り所を失いかねないこの技は、ミカゲにとって身を切るに等しい。それでも。
「僕の我儘よりも、きみや街の人達を助ける方が大事だから」
 永遠の夜をもたらす者へ、断罪の刃が振るわれる。そこに寄り添う光と共に。
「世界の破滅を導く者に、異端なる存在に、裁きを。そして、どうか赦しを――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケビ・ピオシュ
御機嫌よう諸君、遅くなってすまなかったね
微力ながら、死力を尽くさせて頂こう

背より伸び出る
掌型のクランケヴァッフェで自らを庇い、攻撃を敢えて受けよう
【捨て身の一撃】でユーベルジャック
攻撃をそのまま返す

君の力は優しかったのだな
私は君の意志を尊重したいと思う
君が守りたかった世界を、私達は守ろう

夜は明けるものだ、どんなに昏き夜でも
さあ、少年
合わせておくれ、私は朝を見たいと願う
きっと、それは君もだろう
パラノロイド・トロイメナイト!

トドメが叶うのならばプログラムド・ジェノサイド
クランケヴァッフェが伸びて、貫き、引掻き、叩きつけ、押さえ込み

おやすみ
ゆっくり眠ると良い
恨むなら恨んでおくれ

願わくば
ただ、安寧を


ミカゲ・フユ
きみの想い、感じます
助けてと求めるだけじゃなくて自分と戦ってる
だったら、僕だって!

『告解の封呪』を手にして呪われた魔力を解放
僕に呪力が満ちるほどお姉ちゃんだって力を得られる
今だよお姉ちゃん、聖なる光を!

闇に心が囚われそうになっても僕はひとりじゃない
一緒に戦ってくれるひとが、仲間が居てくれる
だから僕は、この世界の為に戦い続けると誓うことができます

――さあ、ふたたび『異端審問』を始めよう
トドメは共に戦う仲間と合わせて、一緒に
漆黒の十字はきみを葬送する道標
悪夢は醒ましてみせましょう。そして、昏き夜に暁鐘を

時計塔は動きはじめて、朝はきっと巡る
こんな世界でも希望はある
そう信じたくて、最期に祈りを捧げます


黒城・魅夜
「よくぞ、抗いました、トロイメライト。その姿、私には眩しく映ります。ええ、もうすぐ訪れる夜明けの光のように」

 満身創痍でしょうが、たとえ血にまみれていても、私は微笑むでしょう。そして、最後の力を振り絞ります。
 そっと呟くように、ユーベルコード、発動。

「……妖剣、解放」

 私の主武装は鋼鎖。しかし、拘束の象徴である鎖を捨て、今、私は剣を抜きましょう。この血塗られた短剣を、悪夢から解き放つ救いの刃へ変えることが許されますように――。



「よくぞ抗いました、トロイメナイト。その姿、私には眩しく映ります。ええ、もうすぐ訪れる夜明けの光のように」
 満身創痍だった黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は優しく微笑み、己が短剣を拭う。滴る血からは紅き胡蝶が次々と生まれ、研ぎ澄まされた彼女の感覚をさらに高めてゆく。肉体は既に限界が近く、しかし上がる悲鳴を聞き流し彼女は最後の力を振り絞る。全ては、あと一撃の為に。一筋の光となる為に。
「君の力は優しかったのだな。私は君の意志を尊重したいと思う。君が守りたかった世界を、私達は守ろう」
 微力ながら死力を尽くさせて頂こう。巨大な両手に包まれたケビ・ピオシュ(テレビウムのUDCメカニック・f00041)が続けた言葉と共に、その頭部に紫の蝶が映る。映像は現実へするりと抜けだして、未だ動かぬ歯車へと鐘へと飛んでゆき、悪しき眠りと対消滅を起こす。
「きみの想い、感じます。助けてと求めるだけじゃなくて自分と戦ってる……だったら、僕だって!」
 ミカゲ・フユ(かげろう・f09424)が手にした告解の封呪から呪われた魔力が解放されれ、桜色と空色の煌めきが少年と姉の力となる。例え心が闇に囚われそうになろうとも、仲間がいれば頑張れる。世界の未来の為に戦うと誓う事が出来る。そんな少年の姿を、何時だって姉は見守ってきた。そしてこれからも、彼が望む限り共にあり続ける。

 ギリリ、ギリリ。カチ、カチ。
 時計塔が目醒め始める。歯車が回り、針が進み、誰もが待ち望んだ朝がやってくる。明けない夜は無く、終わらない絶望も無いのだと、世界に希望を告げに太陽が山から顔を出す。そして今ここにある悪夢を終わらせ幻想術師に安寧を与える為、猟兵達は力を合わせ立ち向かっていった。

「どんなに昏くとも夜は明けるものだ。私は朝を見たいと願う。きっとそれは君もだろう、パラノロイド・トロイメナイト!」
「こんな世界でも希望はきっとあるって、そう信じたいから……だから、悪夢は醒ましてみせましょう。そして、昏き夜に暁鐘を!」
「……妖剣、解放。願わくば、私達があなたの救いとなれますように――!」
 ケビのクランケヴァッフェが幻想術師の胴を削ぐ。引っ掻き、押さえ込み、四肢を穿つ。術の起点たる鳥籠を失った悪意に抵抗の術は残されておらず、掌を模したそれの伸びるままに壁へと叩きつけられ、磔刑に処される。オブリビオンという罪人に、最後の審判が下される時が来た。
 ミカゲの再びの異端審問が漆黒の矢を放つ。その十字矢は哀れな死者へと送られる新たな墓標。突き刺さった矢が仮面を割り、トロイメナイトの素顔が露わになる。その顔は既に原型を留めておらず、しかし猟兵達は確かに視線を交わした。悪意と、善意と。相反する二つが同居する目が苦悶に歪んでいる。
 そして。肉体と精神、二重苦に苛まれるその者の心臓に慈悲の短剣が突き立てられた。全ての鎖を捨て去った魅夜が音より早く届けた福音。血塗られた妖剣は今この瞬間その過去から解き放たれ、聖なる一撃の為に振るわれたのだ。ユーベルコードは世界法則さえ覆す。そこに正しい意思があれば、救いにだって――。

●目醒め
 カラーン、カラーン、カラーン……

 かくして陽は昇り、街は目醒めの時を迎える。寝過ごした晩鐘は図らずも暁鐘となり、街に、世界に響き渡る。吹き抜けから陽光が差し込み、トロイメナイトの姿が溶けるように消えてゆく。全ては一夜の夢であったかのように、後には何も残らない。だが。

 ――ありがとう。

 その時、猟兵達は確かに聞いた。記録でなく記憶に残るその声を。
 それは、優しき心を持ったもの。声も姿も失って、それでも救い続けた慈悲の主。
 それの名は、パラノロイド・トロイメナイト。
 願わくば、いつかその者に真なる安息が訪れんことを。

●そして
「見たまえよ、朝焼けだ。綺麗じゃあないか。この世界も捨てた物じゃないだろう?」
「ええ、私も本当に――本当に、そう思います……」
「この光景に祈りを捧げましょう。かつて散った人達の為に、今を生きる人達の為に」
 世界は続く。続かせるのが猟兵の使命。それを知る彼らの歩みが止まることは、無い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月19日


挿絵イラスト