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果たされぬ邂逅

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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 その日。その宇宙船は久しぶりに他の宇宙船と交流をするはずだった。帰る星を失ったスペースシップワールドの人類にとって他の船との交流はとても貴重な体験となる。
 異なる文化の触れ合いがあるかも知れない。珍しい物品の取り引きがあるかも知れない。離れて暮らす友人との再会もあったかも知れない。
 しかしその機会は永遠に訪れない。
 始まりはシステムエラー。どよめく船内はまたたく間に鮮血に染まり無人の船となる。交流会の為の飾り付けは原型を留めず、物資は破壊され、そこに人々が住んでいた光景はどこにもない。
 そして現れるであろうもう一隻の船を待つ死の箱となり宇宙を漂うのだった。
 宇宙船で何が起きたのか。人々は何を見たのか。なぜこのタイミングなのか。その真相を暴ける者がいるとすれば、それは猟兵だけなのだ。


「というわけで! 宇宙戦争じゃーい!」
 先程から要領を得ないブリーフィングをしていた東雲・ゆいはいつものオチャラケた調子で声を張り上げ締めくくった。
 まとめると、宇宙船間の交流会の為に待機していた船が突如システムを停止し、身動きが取れなくなった隙に潜入していたオブリビオンが殺戮を行うという内容だった。
 しかし予知できたものは潜入していたオブリビオンが交流会のタイミングを見計らって襲撃したということだけだ。敵の詳細や潜伏場所までは予知できていない。
「船の中で何が起きたのかってとこまではわかんないんだけど、なんかシステムがどうとか言って騒いでるのは見えたんだよね」
 襲撃が始まる前にシステムエラーが発生し、船内で暮らす人々に混乱が生じている光景をゆいは予知していた。一部の区画の環境維持機能にも障害が起きている。このまま放置すれば命に関わる。
 辿り着いた猟兵達には人々の救助も求められるが、同時にシステムや損傷箇所の修理も求められる。またシステムエラーにオブリビオンの潜伏場所を探る手がかりがあるかも知れない。余裕があるならばそれも視野に入れておくといいだろう。
「そっから先は気付いたら全部終わってるって感じだったよ」
 ともかく、敵が何者でどこから現れるのかもわからない現状では、現地で情報を手に入れ解決に向かう以外に方法はない。
 その際の手段は問われない。調査によって得られる手がかりもあるかも知れない。あるいは人命救助や宇宙船の修理によって得られる手がかりもあるだろう。
「なんかいっつもフワッとした予知でごめんね~。それじゃ宇宙船に転送するから~! 宇宙空間に放り出したりしないから安心して~!」
 笑えないジョークを飛ばすゆいはさておき。もしオブリビオンの目論見通りに事が進めば交流を求めてやってくる船まで襲撃される未来が待っている。
 この血塗られた未来を覆せる者はグリモアと共にある君達猟兵しかいない。


空飛ぶ毬藻
 このような毬藻で申し訳ございません。
 お楽しみいただけましたら幸いです。
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第1章 冒険 『宇宙船を修復せよ!』

POW   :    崩落した区画の民間人の救助を行う。落ち込んだ民間人を気合で励ます。力を生かして修理する。

SPD   :    素早さを生かして危険区域の民間人を救出。手品や曲芸で民間人を励ます。手先の器用さで宇宙船を修理する。

WIZ   :    魔法などで民間人の救出。魔法の効果で炊き出しなどする。魔法を使って修復を手伝う。治療を行う。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

佑・盾
うーん、これは遊んだりできる状況じゃないなぁ……
よーし、頑張って皆が安心できる状況を作ろう!
遊ぶのはそれから!!

【ストーカーハンド】で周囲の【情報収集】をしつつ、怪我人を見つけたら【生まれながらの光】で治療していくよ。
集めた情報の中に今回の原因になりそうなものがあればいいんだけど……




 船内は既に混乱の最中だった。居住区の近くを走る長い通路、管理区画などの重要な区画とも繋がる通路区画の一部がシステムエラーにより機能停止。
 安全装置によって即座に防護ドアが作動したものの、不幸中の幸いか閉じ込められた人はいなかった。しかし問題の隔離された区画は重力や空調などを維持する機能が停止したままで、放置すれば宇宙船全体がシステムエラーにより機能を停止してしまうだろう。
 丁度問題の区画の前に転送されたドラゴニアンの少女、佑・盾(BurstBinder/JUNE・f11075)は、目の前に広がる惨状に面食らう。
「これは遊んだりできる状況じゃないなぁ……よーし、頑張って皆が安心できる状況を作ろう!」
 普段は無邪気で元気いっぱいな盾も、混乱した人々を前にすれば一肌脱がねばと意気込んだ。まだ幼さが残る盾だったが、猟兵としての頼もしい姿に気付いた人々は次々と助けを求め始めるのだった。
 盾よりも背丈のある女性が負傷した息子を差し出す。事故の衝撃で体を強打したのだろうか、腕が真っ赤に腫れ上がっている。
 短い髪をサラッと揺らし、大丈夫だよと微笑んだ盾は聖なる光を放ち、その腕をたちまち治療していく。生まれながらの光による高速治療は見る者誰もが目を疑う奇跡じみた能力だった。
 その奇跡の代償として盾には相応の疲労が蓄積されていくのだが、そんなものは気にも留めずといった満面の笑みで次の負傷者を回復していく。
 治療する中で盾は情報収集も欠かさなかった。人々の会話からその時の出来事を調べ、同時にストーカーハンドと呼ばれる人間の手の形をした情報収集用ドローンを使用し、現場の状況から手がかりを探し出す作戦だ。
 事故の瞬間を覚えている人物が言うには【突然、激しい揺れがあって、宇宙船が致命的なエラーを検出した。気付いたら防護ドアが閉まっていた】という。
「うーん、それだけじゃわかんないなぁ」
 とは言え、致命的なエラーと激しい揺れは重要な手がかりになることは間違いない。
 うーんうーんと頭を抱えて悩む盾の元に情報を収集し終えたストーカーハンドが戻り、五本指をカサカサと揺らし合図をした。どうやら手がかりを掴んだらしい。
 盾が確認した内容は【防護ドアを作動させた安全装置は問題の区画に穴が空き空気漏れが発生していると感知した】というものだ。
 しかし盾は首をかしげる。何故なら隔離された問題の区画は宇宙船の内部に存在し、ここに空気漏れが起きるほどの穴が空いているのならば周囲の区画にも損傷がなければならないからだ。
 そしてドローンが持ち帰ったもう一つの手がかりがその矛盾を明確にする。【周囲の区画にはエラーがない】という手がかりだ。
「周りは平気なのにここだけエラーが出てる。怪しいー!」
 手がかりは新たな疑問を生み、真相を遠ざける。しかし盾の調査は確実にオブリビオンの秘密計画に迫っている。何より盾が施した治療のおかげで多くの負傷者が救われたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​


さて、判明した手がかりを再確認しよう。
 まず宇宙船は激しい揺れと共に致命的なエラーを検出した。それは隔離された問題の区画に穴が空き空気漏れが発生しているという内容だった。
 しかしその区画は宇宙船の内部にあり、かつ周囲の区画にはエラーがないという矛盾も生じている。
 これは問題の区画に何らかの工作がされている可能性を示唆するものだろう。
 調査の手段は問われない。人々の中には重要な手がかりを持つ者もいるだろう。
 船内のシステムは回復しておらず、激しい揺れによる損傷もある。負傷者もまだいるはずだ。
 まだまだこの船は猟兵を求めている。
川内・岬
「今回はおちゃらけてる場合じゃなさそうね……では、少し本気で真面目に参りましょうか」

「初めまして、皆様方。通りすがりの猟兵でございます」
メイド服でカーテシーを決めて仕事開始。
怪我人には生まれながらの光。
後で幾らでも休みますとも。今は疲労を無視して踏みとどまる所です。
システムにアクセスして【情報収集】【ハッキング】。
エラーの精査、システム面の調査や修復、応急処置を試みます。
例え私自身が判らなくとも、【誘惑】で同伴頂いた詳しい人に動いてもらいますので心配無用です。
「お見事です」とさりげない接触で励まし甘やかしましょう。

原因を突き止めたら
「さて……招かれざるお客様の様ですが。如何いたしますか?」


グロリア・グルッグ
「システムエラーと聞くとまたバグかと思っちゃうんですよね。電脳ハッカーもとい星船の制御が本職の電脳魔術士として、よそ様の船ですが緊急対応に入ろうと思います」

WIZ行動

電脳魔術と【ハッキング】【高速詠唱】【早業】を組み合わせてシステムエラーの修復をします。
その際は【メカニック】【情報収集】【世界知識】を駆使してエラーの原因を解明しつつ、オブリビオンが介入した痕跡などを探します。

システムが復旧すれば環境維持機能などを正常に戻し、他の猟兵のサポートも出来るように【気合い】を入れておきます。

「仕事を増やしてくれた敵はいったい何者なのでしょうね。後で絶対に砲弾をぶち込んでやりますよ絶対に逃がさない」


赭嶺・澪
【POW】崩落した区画の民間人の救助を行う。

まずは『情報収集』で崩落した区画の状態を確認しましょう。
『救助活動』『怪力』はあるから、声で誰か居ないか呼びかけながら、瓦礫の下敷きになっているかもしれない人を助けましょう。

救出したらアイテム『応急医療キット』を使っての治療。
動けるようなら、安全な場所に避難する様に指示ね。




 船内には被害にあった区画がまだ存在しており気を許せる状況ではなかった。問題の隔離された区画以外にはまだシステムエラーは出ていないものの、激しい揺れによる損傷は無視できない。
 更にシステムエラーをこのまま放置すれば予知にあった通りに船全体のシステムが停止してしまうだろう。その原因こそまだ不明だが事態は急を要する。
 だがその心配は杞憂に終わるかも知れない。船内に転送された新たな三人の猟兵がいた。
「初めまして、皆様方。通りすがりの猟兵でございます」
 やや開放感のあるメイド服を着こなす妖狐の女性。川内・岬(妖狐の戦巫女・f07682)が現れて早々に両手でスカートの裾をつまみ少々持ち上げ、片足を交差させ頭を深く下げて一礼した。
 その一連の礼は高貴で上品な振る舞いだったが、意図するものは主人への忠誠を誓うメイドの志そのものだ。文化が異なる人々にも思いが通じたのか、すぐに助けを求める声が向けられた。
 後ろではスペースシップワールド出身の電脳魔術士。セーラースーツを纏った女性、グロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)がこれから相手をするであろうシステムエラーに鍛えた技術を振るおうと準備をしていた。
「ご安心ください。これよりシステムの緊急対応に入ります」
 ラプラスと呼ばれる超高度コンピューター内臓のゴーグルを装着し、念を入れ制電回路も間に噛ませる。これは攻撃性を持ったプログラムの類から身を護る為のパーツだ。
 グロリアが準備する傍らで長い黒髪の少女、赭嶺・澪(バレットレイヴン・f03071)が混乱する人々を落ち着かせ崩落した区画の情報を確認していた。
 どうやら近くの居住区は先程の激しい揺れによって大きな棚などの重量物が倒れ散乱し、まだ救出できていない人がいるかも知れないとのことだ。
「瓦礫の下敷きになっている人がいるかも知れない。助けに行くわ」
 それを聞いた澪は猟兵の二人に合図をすると単独で居住区へ向かうのだった。

 隔離された区画の防護ドア。その横には小さな操作パネルがあった。当然それはドアの開閉を操作するだけの単純なものだったが……。
「では、少し本気で真面目に参りましょうか」
 岬が操作盤を取り外せば数ある配線の中からシステムを管理するコンピューターに繋がるものを探り当て、ハッキング技能を使いシステムに侵入を試みた。
「電脳ハッカーもとい星船の制御が本職ですからね。こちらも準備万端です」
 グロリアも周囲に電脳世界を展開させハッキングを開始する。グロリアにとっては初めて乗る型式の船だったが動力となるコアマシンはあらゆる場合で共通であり、使用できるシステムにも共通性が生まれる為、例えその船独自のシステムであったとしても当たりをつけて侵入できる。
 システムに侵入した岬は羅列するエラーコードに渋い顔をして睨み読み解いていく。確かに【問題の区画には損傷と空気漏れを表すエラーが発生している】ようだ。しかし周囲の区画にエラーがないことからそれが矛盾しているのも先の調査で判明している。
 更に読み進めるとエラーの解消法が表示された。どうやら検査シークエンスをクリアしコンピューターが安全だと判断すればシステムエラーは解消されるようだ。
 試しにシステムの自動検査を作動させると、大半の項目はクリアしたが気圧チェック、つまり空気漏れがエラーとして検出されてしまう。続いて損傷を表すエラーも検出された。
 自動検査が正しければ【問題の区画のエラーは現実に起きている】のだろう。
 その結果を見たグロリアはシステムのソースへ潜り込む。ソフトウェア診断が当てにならないのならその裏を覗いてしまえばいいという判断だ。
 ソースへの侵入は高度なハッキング技能を要するのだが、本職のグロリアが更に多くの技能を駆使するならば造作もない。
 翻訳されていないコンピューター言語そのままの情報に目を走らせると事故当時のタイムラインが目についた。まず問題の区画に損傷が生じ、次に【区画に空気を配給するパイプの気圧がゼロ】となる。それをきっかけにシステムは空気が漏れていると判断し防護ドアを作動。
 しかし同時に矛盾がある。もし区画に損傷があり空気が外部へ漏れているのならば、【区画の気圧が先にゼロになり、パイプの気圧はその後にゼロにならなければ順序がおかしい】のだ。
「現場が見られれば手っ取り早いのですけど」
 システムエラーと格闘している岬も矛盾に気付いたようで、一向に進展しないエラーについぼやいてしまう。
「あら。見てみますか?」
 その声を聞いたグロリアはソースの中から問題の区画の設計図を探し出し、周囲に浮かぶ電脳画面の一つに表示させ岬の元へ滑らせた。
「まあ便利」
 自身もハッキング技能を扱う岬だったが本職の技を目の当たりにすると思わず感心する。設計図を見た岬は一つ面白いものを発見した。
「通路区画の隣は配管をまとめたスペースがあって、まるで【小さな通路】みたいになってますね」
「そこがエラーの原因になっているのは間違いなさそうですね」
 二人は共通の見解に到ったようだ。

 一方、居住区で逃げ遅れた人々の救助をしていた澪はその惨状に頭を抱えていた。
 そこは様々な家具が設置された区画だったのだが、家具はどれも地面や壁、あるいは天井に固定されていたはずだったのに目の前には無残に散乱する家具がまるで瓦礫のように積み上がっていた。
「誰かいませんか。いたら音を立ててください」
 澪が呼びかけると剥がれ落ちた壁材の下から微かだが物音がした。家具の山をかき分け音がした場所まで行くと、持ち前の怪力で壁材を払いのける。
 するとそこには一人の男性がうずくまっていた。
「助けに来たわ。もう大丈夫」
 長く真っ直ぐ伸びた黒髪をかきあげ男性の容態を確認する澪。その頼もしい姿に男性は心を落ち着かせたのか、他にも下敷きになった仲間がいるとその場所を指差す。
「必ず助けるから、今は動かないでね」
 下敷きにしている別の家具も取り払い救助活動を終えると澪は応急医療キットを取り出し応急処置を施した。幸い動けないほどの怪我ではなかった男性は澪に促され自力で安全な場所まで避難した。
 その後も澪は倒れた家具を取り払い、懸命に救助活動を続けた。中には骨折して動けない人もいたがそこは持ち前の怪力で岬達が待つ場所まで運ぶ。
 人々からは何度も感謝の言葉を述べられ、次々と救助をする姿は混乱した人々を元気付けた。
 そして何度も居住区を行き来する澪はある手がかりに気がついた。
 居住区の壁。その一箇所だけ出っ張っている。まるで【向こう側から叩きつけられた】ような跡だった。
 最後の一人を救助し、抱えて岬とグロリアが待つ部屋まで戻ると、岬が救助された人々の怪我を治療しているところだった。
 生まれながらの光。岬が放つ聖なる光は自身の疲労と引き換えに高速治療を実現する奇跡のユーベルコードだ。
「私なら大丈夫です。あなたのお体が最優先です」
 怪我人に跪き寄り添う姿は主人に甲斐甲斐しく奉仕するメイドそのものだ。その献身に誰もが心を奪われ、周囲の混乱も収まろうとしていた。
「あなたこそ平気?」
「無理はいけませんよ」
 目に見えて疲労が蓄積している岬の身を案じる二人だったが、当の本人は後で幾らでも休みますとも、と自らを鼓舞した。

 救助と治療も一段落したが、システムエラーは解消できず問題の区画は環境維持機能も回復していない。
 グロリアと岬はエラーの詳細こそ突き止めたのだが、なぜシステムが【空気が外に漏れたと判断しているのか】が掴めずエラーを解消できずにいた。
 そもそも問題の区画は空気漏れなどしていなかったのだ。区画自体の気圧は正常。異常値を出しているのは空気を供給するパイプ。
 ならばシステムはパイプに異常があると判断すべきであり、防護ドアを閉じる必要などないのだ。
「まるでバグのようなシステムエラーですね」
 グロリアが呟く。二人があれでもないこれでもないと思案する中、澪が救助した男性がポツリと言葉を漏らした。
『そういやぁ、このシステム様は矛盾したエラーが重なるとバグっちまうんだよなぁ』
 その言葉にグロリアは何度も頷き、おもむろに問題のパイプの空気配給を停止させた。
 するとものの見事に致命的なシステムエラーは解消され、損傷のエラーだけが表示された。同時に環境維持機能も起動する。
 問題の区画の気圧と酸素レベルを見比べ安全を確認した岬が防護ドアを開放し、ようやく問題の区画は隔離状態を脱するのだった。
「お見事です」
『い、いやぁそんなぁ』
 ピンポイントにヒントを出した男性に岬がさり気なく肌を触れさせご褒美と言わんばかりに甘やかした。妖狐である岬に誘惑された男性はまんざらでもなさそうだ。
 ともあれ、澪が男性を救助していなければシステムエラーの解消は間に合わず、宇宙船全体のシステムが停止していたことだろう。
 まさに三人の力と、先の猟兵による調査が合わさり解決に向かったものと言える。
「そういえばなんだけどね」
 体が動くメカニック達が問題の区画の損傷具合を確認する中、澪は先程見た居住区の壁について話し出す。
 設計図を見た岬とグロリアは確信を得たようで、問題の区画の破壊された壁を拝みに行った。
 想像通り、そこには人間一人分が通れるだけの穴が空いていた。激しい揺れの正体はこれだったのだ。
 この配管をまとめたスペースの向こうは居住区。出っ張った壁はここを破壊する際に生じたものだろう。
「さて……招かれざるお客様の様ですが。如何いたしますか?」
 岬は笑みを向け二人を伺う。その笑みの裏にどのような感情が隠されているのかは本人のみぞ知る。
「これだけ手間をかけさせたのよ。お礼をしないといけないわ」
 銃の手入れをしながら澪は静かに答える。戦闘狂の血が騒ぐのだろう。
「仕事を増やしてくれた敵はいったい何者なのでしょうね。後で絶対に砲弾をぶち込んでやりますよ。絶対に逃がさない」
 怒りを覚えたのはグロリアも同じで、アームドフォートの整備を欠かさず行っていた。
 人々の救助とシステムの復旧を終えた三人の猟兵。ひとまずシステム停止の危機から脱し大きく息をついた。
 宇宙船の人々は猟兵達が来なければオブリビオンの襲撃を受けていたとも知らずに思い思いの称賛を送るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


致命的なエラー。それは区画内の気圧と空気を配給するパイプの気圧に矛盾が生じ、かつ特定のエラーが重なった際にのみ発生する、極めて稀なバグによるものだった
 その原因となるソースコードはともかく。無事にシステムエラーを解消させたが、未だに通路区画の壁は損傷したままであり、オブリビオンの潜伏場所やその目的は判明していない。
 あともう一押しだ。
タイタス・レイヴン
【SPD】
「直接怪しい区画に行く必要があるかもしれないな。必要ならばそこで修理しなければならないだろう。」
直接、怪しい区画に宇宙バイクで移動、その際人々に何か手がかりが無いか聞き込みも行う。
「潜入しているオブリビオンが潜んでいるのか?行け、シャドウレイヴンッ!我が目、我が耳となり周囲を索敵せよ!」
念の為、影の大鴉の召喚でシャドウレイヴンを召喚して周辺の索敵を行わせて異変を調べさせる。
区画にて設備を【メカニック】【ハッキング】技能で調査及び修理を試みる。オブリビオンが潜入していた場合は仲間に連絡を入れる。




 船内の混乱も随分と収まり人々は事故原因が気がかりになる頃、一人の長身の男が宇宙バイクと共に転送された。
 整えられた逞しい髭を携え船内を行くその者こそサイボーグのタイタス・レイヴン(復讐の大鴉・f06435)だ。
 タイタスが問題の区画へ向かおうと宇宙バイクに乗りかけたところで横を通り過ぎる船員がいた。未だオブリビオン追跡の決定的な手がかりを得ていない猟兵達にとって些細な手がかりであっても見逃せないだろう。
 船員を呼び止めるとタイタスが猟兵であると気付いたようで快く見聞きした情報を話してくれた。先の猟兵達が残した情報も含め、問題の区画にできた損傷に目星つける。
「直接怪しい区画に行く必要があるかもしれないな」
 宇宙バイクに乗り現場へ急行。到着するとそこは激しい揺れによって崩落した居住区などを修復する船員達で溢れかえっていた。その隣にある問題の区画でタイタスはシステムエラーの原因となった損傷箇所を目の当たりにする。
 それは損傷というにはあまりにも大きすぎる穴だった。タイタスはまず穴の断面に注目する。
「こいつはこじ開けられたのか?」
 綺麗な切断面ではなく、しかし力任せに破断された跡とも言えない。切れ味の悪い刃物で強引に切り開かれたような跡だった。
 続いてこじ開けられた壁材に目を移す。中央に綺麗な凹みがある。こじ開けられたあとに壁ごと吹き飛ばされた痕跡だとタイタスは判断する。空気を配給するパイプはその時に巻き添えとなって破損したのだろう。
 しかし不可解な点にタイタスは気付き眉をひそめる。吹き飛ばされた壁はパイプを破損させるだけでは留まらず、その向こうにある居住区の壁を凹ませるほど押し付けられたのだ。ならば吹き飛ばした際の痕跡がはっきりと残っていなければおかしい。
 吹き飛ばされた壁は手や足、あるいは武器の跡はなく。ただ綺麗な凹みがあるだけだ。
「……何か、念動力の類だな」
 確証はないが、直接的な手段を必要としない攻撃が行われたのだろうとタイタスは推測する。
「どうであれ、この配管通路を探るしかなさそうだな」
 結論はとうに出ていたが、現場を調査して改めて見解に到る。
「行け、シャドウレイヴンッ! 我が目、我が耳となり周囲を索敵せよ!」
 召喚された影の大鴉はタイタスの命令に従い区画に空いた穴から配管通路へ飛び込み索敵と異変の調査を開始する。
 それはただの影の大鴉ではない。タイタスと五感を共有し文字通り目となり耳となるのだ。
 配管がひしめき合う通路は狭く大人一人がようやく通れるスペースしかなかったが、暫く進むと地面を走る配管にできた足跡のような凹みをタイタスは見逃さなかった。まだ真新しくつい最近にできたものだとわかる。
 次なる手がかりを探ろうとしたところで配管通路は一度行き止まりとなる。しかし天井の蓋を開ければ上の通路へ抜けられるようだ。
 タイタスは集めた手がかりから推理する。オブリビオンはどこかから潜入しこの区画の壁を破壊、配管通路を通りどこかへ向かった。
 問題は目的だ。タイタスはメカニック技能で近くの端末を操作可能にしハッキングを試みる。周辺の設計図を確認する為だ。配管通路の先に何があるかわかればオブリビオンの目的も掴めるだろう。
「こいつはまずいな」
 設計図を見たタイタスは明らかになったその目的に緊張を覚えた。通路の先にあるもの……それはコアマシンと繋がるメインコンピューターがある最重要区画だった。
 オブリビオンの狙いに気付いたタイタスはすかさず仲間達に連絡を入れる。狙いがコアマシンならば一大事だ。一刻も早く猟兵達を集めオブリビオンの策略を阻止しなければならない。
 今すぐにでもオブリビオンの追跡を開始したいタイタスだったが、目の前で虚しく空気を垂れ流すパイプを放置するわけにもいかない。いつ再び致命的なエラーを起こすかもわからない原因は今のうちに処理しておくべきだと冷静に判断した。
 持ち前のメカニック技能でパイプの空気漏れを的確に修理していく。完璧な修理には部品そのものを交換する必要があり応急処置に近いのだが、事が終われば本格的な修理もできるだろう。
 影の大鴉を飛ばし他の損傷箇所も探し出し、配管通路の修理は間もなく終わる。
 問題の区画のエラーは解除され、この宇宙船は致命的なエラーの危機から脱したのだ。
 その手際の良さにメカニックの船員達は声を上げ称賛した。船員達は居住区の修復を終わらせ、船内にはつかの間の平穏が訪れようとしていたが、猟兵達の戦いはここから始まるのだった。
 タイタスは通路の向こうを睨む。鋭い眼光はその先に潜むであろうオブリビオンを見据え、決して逃さぬ強い意志を表していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『重要管理区画への侵入』

POW   :    セキュリティや敵の攻撃を力づくで排除し進む

SPD   :    セキュリティや敵の配置の穴をつき素早く進む

WIZ   :    セキュリティは解除し、敵を避けながら慎重に進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 無事に宇宙船のシステムエラーを解消し、システム停止の危機を完全に解消した猟兵達だったが、オブリビオンは未だ健在であり策略は順調に進んでいることだろう。
 しかし先の猟兵達の活躍によりその狙いも明確になりつつある。猟兵達はオブリビオンよりも先に宇宙船の最重要区画であるメインコンピュータールームへ向かわねばならない。
 これ以上宇宙船を傷つけるわけにもいかない現状ではメインコンピュータールームへ正面から突破するしかない。しかし正面の通路は多くのセキュリティによって守られている。
 熱線のビームを放つ自動銃。侵入者を拘束するビームサークル。重力操作による移動妨害。他にも多種多様なセキュリティがあるのだろう。
 猟兵達にとってはどれも致命傷を与えるほどのものではないが適切な処理ができなければ突破に手間取るかも知れない。
 また事態は急を要する。セキュリティの破壊は同意を得ている為、遠慮はいらないとのことだ。
 それぞれの得意分野を用いて行く手を阻むセキュリティを突破しメインコンピュータールームを目指せ!
川内・岬
なるべくセキュリティは解除し、敵を避けながら慎重に進みたい所ですが……
急がば回れとも言いますし、動く前に【誘惑】【情報収集】【ハッキング】を使ってセキュリティ自体が少ない最速経路やセキュリティの特性・死角、パスコード、上位権限など解除の為の情報を取得していきましょう。

「では、参りましょう」
解除に時間がかかる場合はフォックスファイヤと衝撃波での破壊もやむなし。
重力操作に対しては薙刀で壁をついたり壁に刺したりして移動できますねぇこれ。


「あまりにも解除に時間がかかるようなら、オペレーターに回った方が良かったかもしれませんね…」


佑・盾
セキュリティ達に罪はないわけだけど、このままじゃ本当に危ないから。
出来る限り再利用できる形で止めてあげたいけど……
ボクの可能な範囲で無力化を狙ってみよう。

まずは【ストーカーハンド】を放って【情報収集】、セキュリティを確認しておくよ

【BB/GadgetToolUnit】の工具付きロボットハンド群をさらに【BurstBinder/code:TECHNIC】で複製&操作して【メカニック】【ハッキング】【破壊工作】の技能を使って適切にバラしたり、部分的に弱いところを狙ってみるよ!
出来るだけ、少ない部品の交換だけで彼らが元のお仕事に戻れるような状態で倒してあげたいからね




 オブリビオンの狙いがコアマシンにあると判明した今、猟兵達に一刻の猶予もない。
 メインコンピュータールームへ繋がる唯一の正規ルートを正面突破しようと船内を走るドラゴニアンの少女。佑・盾(BurstBinder/JUNE・f11075)がアームドフォート【BurstBinder】を携えセキュリティが張り巡らされた通路へ辿り着く。
 その横には魅力的なメイド服を纏う妖狐の川内・岬(妖狐の戦巫女・f07682)が同じくセキュリティの群れと対峙する。
 二人はあらかじめセキュリティの詳細を各々の技能を用いて解析していた。盾は情報収集用ドローンであるストーカーハンドにセキュリティに関する情報収集を行わせ、見事その設計図や配置などの情報を獲得していた。
 岬は更にハッキングも行いセキュリティの死角を探し、あわよくばパスコードや上位権限といったセキュリティ解除の手段も調査したが、先のシステムエラーに伴い緊急事態モードに移行したセキュリティの解除方法は限定的であり、情報は得られてもどれも実現は難しいものだった。
 しかしセキュリティの詳細は盾が得た情報と合わせ、その大部分を明るみにした。これならば強引に突破するよりも効率的な作戦実行が可能となるだろう。
「なるべくセキュリティを解除しながら慎重に進みたい所ですが……」
 黒い髪を揺らしながら壁にある操作盤をハッキングしセキュリティの解除を試みる岬。完全な解除は困難だがその動作を妨害するくらいならお手の物といったところだ。
「セキュリティ達に罪はないわけだけど、このままじゃ本当に危ないから」
 真剣な顔つきで電脳サイドから解除を試みる岬の隣では、盾が【BB/GadgetToolUnit】と呼ばれる工具付きロボットハンドを展開、更にユーベルコード【BurstBinder/code:TECHNIC】によって15個に複製し念力による操作を可能にする。これは電脳ではなく物理的な解体を目的としたものだ。
 やがて周囲の壁から大量の駆動音が鳴り響く。本来ならば侵入者へ向けられるセキュリティマシンが猟兵達をターゲットとし攻撃を開始する合図のようだ。
 壁、床、天井、いたるところから自動銃がその銃口を覗かせ二人へ容赦なくビームを放つ。先手を取られた二人だったがそのビームはかすりもしなかった。岬が照準機能を解除したからだ。
「では、参りましょう」
 岬の落ち着いた言葉に合わせて盾がロボットハンドを展開させ素早く自動銃を解体していく。
「出来る限り再利用できる形で止めてあげたいけど……」
 そう言う盾は天真爛漫な笑みの奥に慈悲深さを感じさせる。破壊ではなく無力化を狙うその行動からは、心を持たないセキュリティマシンにも情けをかける優しさが溢れていた。
「次、左です」
 操作盤からセキュリティの動きを盗み見る岬が作動準備に入ったセキュリティの場所を的確に読み上げていく。そこに盾のロボットハンドが集結し早業で解体する。二人の連携の前にセキュリティは完全に無効化されたかのように思えた。
 だが次から次へと作動するセキュリティの数には手数が足りず、甘んじて攻撃を受けるときもあった。
 後方から発生したビームサークルが人知れず迫り、奇襲される形となった二人はその体を何重にも拘束されてしまう。
「あ、くっ……」
 岬は自由を奪われ、その表情はやや苦痛を訴えていた。
「岬ちゃ、うあぁっ!」
 ロボットハンドを念力によって操作していた盾も不意をつかれ思わず声を上げた。
「お任せください」
 岬は拘束されながらも周囲に大量の狐火を放ち、その衝撃波によって二人を縛り上げるビームサークルを容易く吹き飛ばした。
 実のところ猟兵である二人には大したダメージでもなく、体の自由が戻れば残りの狐火が後方のセキュリティマシンを破壊し奇襲の可能性を潰していった。
「助かっちゃった!」
 満面の笑みを見せる盾に岬も思わず笑顔になり、意気投合した二人は目の前で次々と作動するセキュリティマシンへ向き直る。
 岬のハッキングによる的確なオペレーションがセキュリティマシンの位置を予測し、そこに盾の【BB/GadgetToolUnit】が待ち構えすかさず解体、あるいは破壊していく。処理が追いつかなければ岬もフォックスファイアの狐火で対処した。
 ようやく終わりが見えそうといったところで再び二人は自由を奪われた。しかし今度はビームサークルではない。突如通路全体が無重力となったのだ。
「わわわっ!?」
 突然の出来事にワタワタと取り乱す盾。念力による操作もおざなりになってしまう。
「情報にあった重力操作ですね……」
 対して重力操作のセキュリティを予見していた岬は落ち着いて薙刀を壁につきバランスを取る。そして操作盤からのハッキングを再開し問題の重力を操作するセキュリティマシンの位置を割り出した。
「足元です!」
 合図と同時に岬は手を伸ばし、盾の腕を掴みバランスを取らせる。無重力に慣れてしまえばこっちのものだと盾はニヤリと無邪気に笑い、ロボットハンドの群れを足元の小型マシンへ密集させた。
「遊んであげるよ! それそれそれー!」
 最小限の破壊で重力操作の機能を停止させ通路の重力は元に戻る。一通りのセキュリティマシンを体験し手の内を知った二人はその後も危なげなく通路を進んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

タイタス・レイヴン
【SPD】
「コアマシンが狙いならば非常に不味いな。応急処置は済ませたが、重要区画が破壊されてしまえば終わりだ。急がねば」
入手した周辺の設計図と影の大鴉の召喚で得られた情報を参考にセキュリティを【メカニック】【ハッキング】技能で把握しや敵の配置を穴をついて先を急ぐ為、宇宙バイク(ライドトルーパー)に【騎乗】し、サイバーヘルムの【操縦】【見切り】【先制攻撃】技能とプロビデンスで視覚情報の解析【鍵開け】【暗視】【視力】【第六感】を活用する。
無駄な戦いはアームドエクゾスカルの【迷彩】機能で避けるが避けられない戦いはプログラムド・ジェノサイドで手早く片付ける。
必要な情報は他の仲間にも伝え、活用して貰う。


リズ・ルシーズ
【全世界サイボーグ連盟】と連携

【SPD】

ボクも行こっかな

【迷彩】状態のまま、タイタスが得た周辺の地図を元に【情報収集】して【地形の利用】をしながら進むよ!足元への攻撃は【空中戦】で浮いて、他の銃撃は【残像】【見切り】で避けながら進むね!重力操作の罠は【重力制御装置】の重力【属性攻撃】で打ち消しが出来ないか試してみるよ!熱線は【火炎耐性】で防げると良いんだけど。

重力操作の罠っか、ボクのとどっちが高性能かな?

どうしても当たりそうなときは、レプリカクラフトで壁を作って防ぐよ。粗悪品でも弾除けにはなるんじゃないかな。
他の猟兵がセキュリティに狙われてたら【援護射撃】してセキュリティの攻撃を妨害するよ!


クネウス・ウィギンシティ
全世界サイボーグ連盟で参加

「自分はタイタスさんのサポートに回りますか」

以下で隠密しながらセキュリティ突破。
・【SPD】
・方針:メインコンピュータルームに「タイタス・レイヴン(復讐の大鴉・f06435)」を送り届ける。触れて双方を透明化させる。

(対 映像認識)
「ユーベル・コードの透明化で回避しますか」

(対 熱・音感知)
「ドローン(【メカニック】)経由の【ハッキング】で解除しますか」
「ある程度の生物大の熱・音でないと反応しないはず、ネズミ等にも誤反応するので」

(対 メインコンピュータルームゲート)
「ゲートの周りの電源コードを引き出して無理矢理通電させれば(【メカニック】【鍵開け】)開きますかね」


河原崎・修羅雪姫
全世界サイボーグ連盟(全サ連)の仲間たちと参加

POW
セキュリティや敵の攻撃を力づくで排除し進む

「どーれーに、しーよーうーかーなぁ♪」
破砕された宇宙船の内壁の中から、大きさ2mくらいのものを選びだし、
サイボーグの超体力、【怪力41】【鉄塊剣】を使い、即席の盾を切り出す。

その盾を機動隊やガンダ〇のように構え、目的地へ強硬突破。

途中のセキュリティの大半は、全サ連の仲間が無力化してくれている。
私は、大安心にて悠々と前進できるわけぇ。

それでも無力化しそこねている障害物は、
愛用の巨銃【20mm口径リボルバー】に、【特殊弾】爆烈弾を装填して、
文字通り【吹き飛ばし】ていくわぁ。

あとで修理を手伝おうと思う。


ウィンディ・アストレイ
全世界サイボーグ連盟の皆さんと参加。アドリブ&絡み歓迎です。

【WIZ】セキュリティを回避しつつ前進したり、真正面から突撃する方の支援を行います。
適当な端末や壁内の通信系ケーブルに、ハッキングツールで潜り込んで
艦内の『情報収集』をしながら
『ハッキング』『メカニック』『罠使い』を駆使して、
回避困難だったり発動すると時間を浪費しそうな
セキュリティやトラップ等の解除やクラックを行います。

大方の人が通路を抜けたら、通過した方にメインコンピュータを操作して貰って
セキュリティを停止させ、ボクもコンピュータルームへ向かいます。
「とりあえずの難は避けましたが…すぐに次の『難』に、行き当たりそうですね…」


グロリア・グルッグ
「敵の狙いはコアマシン。ここで後れを取っては騎兵の名折れですね……よし、あの手で行きますか」

SPD行動
アドリブ歓迎

ユーベルコードで宿敵の帝国サイバーエージェントを召喚。
一緒に電脳魔術を使って【ハッキング】と【情報収集】をしながら迅速に進むとしましょう。
単純に二人で作業をすれば効率が良いのと、私とは『別の視点』で物事を見てくれる相棒はとても便利だと思っています。
まぁ因縁の敵だけあって仲は悪いのですがそこはそれ。
お互いの『腕』は認めているのでビジネスライクにこなしますよ。
警備の敵とまともに戦うのはロスなので、【高速詠唱】電脳魔術で【マヒ攻撃】となる雷の【属性攻撃】を当てて無力化しましょうか。




 侵入者を感知したセキュリティは激化し留まるところを知らない。コアマシンという唯一の命綱を守るべく仕掛けられたセキュリティの数は膨大である。
 しかし猟兵とて後手に回るわけにはいかなかった。通路を前に六人の猟兵達がセキュリティを突破しオブリビオンよりも先にメインコンピュータールームへ到達しようと攻略を開始していた。
「コアマシンが狙いならば非常に不味いな」
 機械化した肉体を従わせるサイボーグの男性、タイタス・レイヴン(復讐の大鴉・f06435)は自律宇宙バイク・ライドトルーパーに跨がりまだ作動していないセキュリティがひしめく通路を睨んだ。
 その視線の先にあるものはメインコンピュータールーム。コアマシンが収められたこの区画がオブリビオンの手に落ちれば宇宙船は宇宙の藻屑同然なのだ。
 タイタスの周りには全世界サイボーグ連盟の仲間が既に準備を完了している。
 Rシリーズと呼ばれるサイボーグの女性、リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)はその高い機械化率によって得た技能を振るいセキュリティを打破せんと待ち構える。
「自分はタイタスさんのサポートに回りますか」
 鋼鉄の鎧の纏う男性。同じくサイボーグのクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)はタイタスを目的地まで送り届ける算段をしつつ作戦開始の合図を待っていた。
 ハッキング等の技能で支援を行おうとする大人しそうな少女はサイボーグのウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)だ。近くの操作盤をハッキングし準備万端といった様子の少女は静かに佇む。
 そして全世界サイボーグ連盟を束ねる者。かつての姿からは想像もできないほどの強化された肉体を手にしたサイボーグの少女、河原崎・修羅雪姫(スノーブラッド・f00298)がいた。
 五人は誰もが何らかの方法により肉体を強化したサイボーグだった。中には望まぬ形で力を手に入れた者もいるだろう。しかしいかなる過去から得た力であろうとその矛先は待ち構えるであろうオブリビオンへ向けられる。
 その中に唯一機械化されていない体を持つ女性がいた。電脳魔術士のグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)は全世界サイボーグ連盟の一員ではなかったがこの場に居合わせた猟兵の絆に所属は問題ではなく、電脳魔術を展開しハッキングの準備を整えている。
 猟兵達の目的はメインコンピュータールームへの到達。そして船内に潜むオブリビオンの目論見を阻止することだ。その為ならば本来猟兵達へ向けられることのないセキュリティにも残念だが停止してもらう他ないのだ。
 やがてタイタスの宇宙バイクが唸り行動開始の合図となる。セキュリティも異常を感知し通路のいたる所から次々とその姿を現した。
 壁から伸びた自動銃が狂ったように銃口を巡らせ猟兵達に照準を合わせる。しかし同時にウィンディが自動銃のプログラムを書き換え照準を乱した。事前の情報収集によって船内の地図やシステムのみならず、技術者にしか伝わらないであろうソースまで調べ尽くした猟兵達にとってセキュリティはまるで子供の玩具のようだった。
 その横でグロリアがユーベルコードによってサイバーエージェントを召喚する。現れたその姿に猟兵達も思わず身構え凝視した。なぜなら現れたそのエージェントは滅んだはずの帝国の技術者の姿をしていたからだ。
 それが姿を似せただけなのか、あるいは亡霊なのか、はたまたオブリビオンなのかは恐らく誰にもわからないのだろう。しかしグロリアの因縁の敵でもあるサイバーエージェントは猟兵達と敵対する素振りも見せず、グロリアと何らかの契約を結ぶと無言のままセキュリティのハッキングを開始した。
「契約成立です。使えるものは何でも使いますよ」
 一時走った緊張感はグロリアとサイバーエージェントの割り切った関係性に和らぎ、この場限りではあるものの協力者だと認められたようだった。
 二人と一人によりハッキングされたセキュリティは一時的だがその挙動が止まる。そのタイミングを見逃さないタイタスは強化外骨格型アームドフォートに内蔵された迷彩機能を発動させ宇宙バイクを急発進させた。
 そこにクネウスがすかさず手を携える。
「光学迷彩を展開、隠密行動を開始する」
 ユーベルコード【INVISIBLE-GHOST】によってタイタスとクネウスは透明となり、足音と宇宙バイクの駆動音だけが残る。
 迷彩と透明化によって文字通りセキュリティの目を欺くタイタスは配置の穴をつき一足先に通路を走る。それでも僅かな情報を頼りに狙いをつけるセキュリティマシン達もいたが見切りによって回避され、タイタスの勢いは何者にも止められなかった。
 同じく透明となり視覚情報を奪ったクネウスが自動哨戒型飛行ドローン【D6ID】を飛ばしハッキングを開始する。高度なAIを搭載したドローンはそのハッキングの角度を広げセキュリティの沈黙を図った。
 緊急事態モードとなったセキュリティの完全解除は困難だったがタイタスを送り届けるというクネウスの目的を果たすには充分な効果を生んだようだ。通路に送り込まれるセキュリティマシンの数は確実に減少している。
 しかしいくら妨害したとしても闇雲に放たれる熱線のビームが無力になったわけではない。自動銃が放ったビームが偶然にもクネウスに向けて直進する。
 眼前に迫るビームよりも早く何かが盛り上がり視界を奪っていく。それはリズがレプリカクラフトによって作り出した即席の防壁だ。
「粗悪品でも弾除けには充分だね」
 精巧な模造品ではないがビームを数発防ぐくらいなら役目は果たせる。リズが銀色の短髪を揺らし体勢を変え構えると人工的に作られた刻印が体表に浮かび上がり、刻印から発射されたレーザーがビームを乱射する自動銃を見事に破壊していく。
 先陣を切る猟兵が曲がり角に差し掛かろうとした時、ハッキング中のウィンディが大量の反応を検出した。それは新たなセキュリティマシンが動き出した証拠であり、これまでハッキングしていた部分とは別口のセキュリティであることを示していた。
「そっちはどうですか?」
 ウィンディが声を向けた先ではクネウスとそのドローン【D6ID】が同じく新たなセキュリティの解析を行っていた。高度に効率化されたハッキングだったが先の情報にはなかったソースを割り出すには時間を要する。
「重力を操作するトラップのようですね」
 メガネの位置を直しながらクネウスが解析したての情報を共有すると、人工筋肉を弾けんばかりに強張らせたリズが跳躍し距離を詰めつつ小型の重力制御装置を発動させる。同時に壁に埋め込まれたセキュリティマシンが通路の重力係数を倍増させ進行を阻もうとしたがリズの重力制御によって効果を発揮せずに終わった。
 しかし離れた壁からも重力操作のセキュリティマシンが作動しようとしていた。だがいつまで経っても重力操作は発動しない。
「進捗どうです?」
 グロリアの問に言葉も身振り素振りもなく、ただ結果だけを返すサイバーエージェントの電脳画面にはセキュリティの一部を妨害するプログラムが表示されていた。
 その間にウィンディも罠使いの側面から次なるセキュリティマシンの作動場所に当たりをつけ、そこからソースを逆読みし放たれるはずだったビームサークルを動作不能に追い込んだ。
 タイタスが充分に前進したことを確認した修羅雪姫はその贅沢な肉体美を揺らしつつ悠々と前に出る。
「どーれーに、しーよーうーかーなぁ♪」
 戦闘によって破砕された壁材をもぎ取り、持ち前の超強化された怪力で鉄塊剣を豪快に扱い壁材を加工すると即席の盾を作り上げた。
「私達も前進よぉ」
 その盾は即席であったが全身を覆い隠すほどのそれはタワーシールド同然だ。先行する猟兵に追いつかんと混乱するセキュリティマシンを弾き飛ばしながら強行突破する!
 まるで通路ごと押し潰す修羅雪姫の進軍に残ったセキュリティマシンは面白い具合に一掃され、後方支援をしていた猟兵達は安心して曲がり角まで到達する。
 しかしそれもハッキングによってセキュリティを無力化していたからこそ成せる荒業。まさに猟兵達のチームワークなのだ。
 猟兵達が進軍する最中にも後方からセキュリティマシンが壁から這い出てその背後を狙わんと銃口を向けたが、今の猟兵達にとって死角などないのだ。
 後ろを見るまでもなくグロリアは異様な速さでコードを走らせプログラムを起動させる。またたく間に電脳魔術が発動しエネルギーを雷属性に変換した放電攻撃がセキュリティマシンをショートさせていく。
 その一方で天井のセキュリティマシンが放ったサークルビームがリズを捉えていたがその姿は霞のように消え去る。それは残像。そして見切り。ハッキングによって得た情報を共有する猟兵達に死角はなく容易く回避していく。
 そのセキュリティマシンのセンサーを停止させたのは透明化しているクネウス。狙われるリスクが少ないクネウスはハッキングと味方のサポートに専念できていた。現れる後続のセキュリティマシンは姿を現した途端にセンサーを停止され機能を失っていくのだ。
「バレバレです」
 その言葉と共に人知れず再度作動しようとした重力操作のセキュリティマシンはウィンディが的確に破壊していく。船内の情報を随時収集しているウィンディがいる限り不意打ちなど不可能だろう。
「あらぁ。撃ち漏らしねぇ?」
 そして破壊し損ねたセキュリティマシンは修羅雪姫が愛用する巨銃【20mm口径リボルバー】から放たれた爆烈弾に吹き飛ばされ根絶やしにされるのだった。


 タイタスが壁を蹴り角を曲がると大量のセキュリティが出迎えビームの祝砲を放つ。透明化しているタイタスを的確に狙うそれはどうやら熱源探知も搭載しているようだ。
 宇宙バイクを巧みに操縦し、事前に得ていたセキュリティマシンの配置場所と自身の見切り技能によってビームの嵐をかいくぐる。そしてタイタスが攻撃するまでもなくセキュリティマシンの自動銃はうなだれるように銃口を下げ動かなくなる。
 クネウスが熱源探知の条件を一時的に書き換えていたのだ。あり得ないほど高温の熱源にしか反応できなくなった自動銃は目標を見失っていた。
 その後もハッキングよる支援を受けて進み最後の角を曲がると目的のメインコンピュータールームのゲートが目に入る。しかし同時に天井から転がり落ちる巨大な球体をタイタスは目にした。
 それはまるでダンゴムシが動き出すかのように展開すると全身に装着された銃を向け、更にビームなどのエネルギー兵器を防ぐ盾を構え、タイタスの熱源を侵入者として認識すると熱線のビームによる無機質な攻撃を開始するのだった。
 宇宙バイクを操縦していたタイタスは不意をつかれ回避行動を取れず被弾を覚悟したが、発射されたビームは直前にしてタイタスを避けるように曲がり周囲の壁に傷を残す。
「面白そうだね。ボクとどっちが高性能かな?」
 リズの重力制御装置が既のところで発動しビームの弾道を捻じ曲げていた。そしてゲートの前に立ち塞がる大型セキュリティマシンと対峙するのだ。
 尚も撃ち乱れるビームを前に突如視界が覆われる。
「はぁいお待たせ♪」
 修羅雪姫が切り出した壁材のタワーシールドが文字通り防壁となりビームを受け止めていた。更に追いついた他の猟兵達も解析を始め情報を共有すれば、各々の電脳空間やゴーグル、あるいはモニターといった形でタワーシールドの向こうを筒抜けにした。
「情報出ます。……屋内銃撃戦に特化した自律型マシンです」
 ウィンディが静かに言葉を紡ぐと猟兵達に大型セキュリティマシンの情報が共有される。狭い通路などといった屋内戦で効果を発揮するスペックであることがわかる。まさにこの局面においてカタログスペック通りの働きをするのだろう。猟兵達がいかに策を練ろうとも通路全体をまんべんなくカバーされては逃げ場がない。
「さてどう思います?」
 再びグロリアはサイバーエージェントに問いかける。やはり言葉はなく、代わりに電脳空間にハッキングで得た大型セキュリティマシンの仕様書が送られ、そこに書いてある【ただし接近戦での性能は保証しない】という文面にチェックマークがつけられていた。
「なるほど。実は私も同感でした」
 グロリアも同じようにして全く同じ仕様書を相手の電脳空間へ送りつけた。敵でも味方でもなく、あくまで契約と技術提供でのみ繋がる二人は互いに張り合うようにして同一の見解へ到ったようだ。
「重要区画が破壊されてしまえば終わりだ。急がねば」
「そうねぇ。派手に暴れましょお?」
 タイタスはくすぶっていた宇宙バイクを唸らせ壁材のタワーシールドの脇を抜け通路を走る。修羅雪姫が合わせて【20mm口径リボルバー】から爆烈弾を撃ち大型セキュリティマシンに衝撃を与えその攻撃に若干の隙を作った。
 更に一瞬だが爆烈弾によって熱源探知が乱れ、透明化したタイタスはそのセンサーから完全に消える。タイタスはそのまま大型セキュリティマシンの懐に飛び込むとプログラムド・ジェノサイドを発動。予めプログラムしていた超高速連続攻撃が繰り出され敵の防御をくぐり抜け無防備な胴体に誰にも止められぬ攻撃を打ち込んだ!
 それを追ってリズが駆け抜ける。大型セキュリティマシンも銃口を向けビームの雨を浴びせるが通路という地形を活かし壁と天井を蹴り回転するように迫るリズに照準が追いつかないのだ。足元を狙えば即座に飛び、胴体を狙えば見切りによって回避され残像だけが虚しく残る。例え命中したとしてもリズが持つ火炎耐性を貫通するなど初めから不可能だったのだ。
 そしてリズが持つ武器の一つ。高分子ネイル……殺傷能力のある爪が大型セキュリティマシンの盾を捉え、粉砕する!
「今だよ!」
 リズの合図を受け透明化によって接近したクネウスが敵の後方に忍び寄る。同時に透明化を解除し疲労のデメリットを除去し、その背後にある配線からハッキングを開始する。
 大型セキュリティマシンもすぐさま動き出しそのハッキングの猶予は短かったものの、クネウスによって敵の照準機能は無力化されるのだ。
 本来ならばここのセキュリティはゲートの前でスクラップになろうとしている大型セキュリティマシンだけではなかった。通路の全方位から、あるいは後方から湧き出たはずの大量のセキュリティマシンをハッキングで破壊していたのはウィンディだった。
 黙々とプログラムを実行するその表情はやや険しさもあったが、まだまだ序の口と言ったところなのだろう。
 それもそのはずだ。このセキュリティシステムは区画によって発端となるソースが異なるだけで、そのコード自体は共通であり一度攻勢プログラムを組んでしまえばあとは流用で対応できるとグロリアが見抜いていたのだ。
「この雑なセキュリティはなんですか。作り直さないと気が済みません!」
 今は妨害となっているが本来は味方の船のセキュリティだ。こんな簡単にハッキングされるようではこの先が思いやられるとまくし立てるグロリアにウィンディも静かに頷き。
「このままだと、不安ですね……」
 自らがハッキングし破壊しているセキュリティシステムに湧き出る問題点を頭に並べていた。
 守りを固めていた修羅雪姫も頃合いを感じ、ここまで使い古しボロボロになった即席のタワーシールドを投げ捨てるとその驚異的な脚力で通路を走り抜け大型セキュリティマシンの銃をへし折りながら重く激しい剣撃を繰り出しその攻撃手段を尽く潰していく。
 そして大型セキュリティマシンのコアに【20mm口径リボルバー】を突きつける。
「避・け・て・み・て♪」
 至近距離で撃ち込まれた弾丸は心臓部を貫き、その衝撃によって跡形もなく吹き飛ばされるのだった。

 ゲートまで到達したウィンディがすかさず手に入れていたセキュリティコードを入力しシステムを通常モードへ移行させ、グロリアがこの戦闘でのログを改ざんしセキュリティが起動しないよう細工をする。
 その横ではクネウスがゲートの制御盤を引き剥がしメカニック技能によって強制解錠させていた。緊急事態モードになった現状では特定の船員が持つ生体データの承認でしか解錠されないと猟兵達は事前に知っていたからだ。
 ついにオブリビオンが狙うメインコンピュータールームへ到達した猟兵達。
 失うものはなかったが、破壊してしまったものは後ろの通路に無残に転がっている。
 それをまじまじと眺める修羅雪姫はあとで修理を手伝おうと心に決めていた。
 しかし、いずれにせよ宇宙船の心配は正体不明のオブリビオンを撃破してからだ。さもなくばこの船は虐殺によって無人の死の箱となり宇宙空間を漂う結末が待っている。
 還る星を失い、逃げ場のない宇宙船だけが故郷となった彼らの未来を取り戻せる者は、猟兵だけなのだ。
 ゲートは開かれた。もう後戻りはできない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 コアマシンが収められたメインコンピュータールームで猟兵達が見たものは、ただじっと佇む一人のオブリビオン……。
 漆黒の衣に身を包み、念動力の剣を携え、深淵のオーラを纏うその者こそ、滅んだはずの帝国に仕えていた騎士だった。
 オブリビオンとして過去より蘇った帝国騎士は猟兵達など視界にも入らずといった具合でメインコンピューターのモニターを見下ろし、暫しの沈黙のあとマスク越しに口を開いた。
「……私が辿り着いた時にはデータロックが仕掛けられていた。セキュリティを避け潜り込もうとした際に発したエラーによるものだろう」
 淡々と語るその声はマスクによってくぐもっていたが、口調からは怒りと虚しさが現れていた。
「この船を奪取し、他の船を誘き寄せ人類共を排除するつもりだった。しかし通信どころか船の座標すらロックがかけられた」
 突如怒り狂いモニターを強打する。三度拳を振り下ろすとモニターは火花と共に暗転する。
「そして貴様らが来た。これが何を意味するかわかるか」
 ようやく猟兵達へ向き直る帝国騎士はゆらりゆらりと歩み寄る。その左手は怒りに震えていた。
「私がこの世界に蘇ったことも運命だったのだ」
 そして念動力の剣を作動させ、構える。
「貴様ら猟兵を殺し、帝国への忠誠心を示す!」
 オブリビオンとなった今も忠誠心が為に剣を振るう者。その怒りは猟兵達へ向けられたものか、あるいは己の運命に向けられたものか。
 その真実は誰も知らず、そして知る手段も無いのだろう。
 しかし一つだけ確かなことは、今この場でオブリビオンを倒さねばこの宇宙船に平和は訪れないということだ!
 安全な区画に避難した船員達も猟兵達の勝利を祈っている。
 勝利以外は許されない。それは相手も同じ。互いに退路なき戦い。
 猟兵よ、過去を葬り! 未来を掴め!

「簡単には死んでくれるなよ……イェーガー!」
川内・岬
さぁ、招かれざるお客様のおもてなしのお時間です。
「お客様、こちらは立ち入り禁止でございます。総力を以ておもてなし致します故、速やかにお引き取りくださいませ……!」

メインはフォックスファイア。
船に影響出そうな燃え方をしたらすぐに消せますし。薙ぎ払いや衝撃波に乗せて撃ちだすのもアリですかね。
基本は小細工なしのぶつかり合いですが、まぁいいでしょう。
「もてなすのは私一人ではありませんし、ねっ!」
デキるメイドは挑戦と他人の連携・フォローも忘れません。
「ではごきげんよう、騎士様。とこしえにおやすみくださいませ」


はー疲れた。真面目モードは疲れるわー。
そんなわけでゆっくり休ませてもらいマース!


河原崎・修羅雪姫
全世界サイボーグ連盟(全サ連)の仲間たちと参加

「以前、別の帝国騎士と戦ったときも感じたのだけど、
滅んだ帝国に忠義を捧げ続けるなんて、滑稽を通り越して悲しいわぁ。
オブリビオンの妄執、全サ連が晴らしてあげるぅ!」

全サ連メカニック班の誇る「コタツ兵器群」、突撃よ!
私は後ろから号令をかける役。
皆に見せ場をあげなくちゃ、ねぇ♪

騎士の●インペリアルブレイドが来たら、
こちらも【内蔵ロケットワイヤーアンカー】を騎士に絡ませ、
チェーンデスマッチの様相を見せる。

【捨て身の一撃】を使い、騎士に切られたらブレイズフレイムUCを使用。
「あは、肉を切らせて骨まで焼き尽くしてあげるわぁ」

戦闘後、力仕事で修理を手伝う。


タイタス・レイヴン
『全世界サイボーグ連盟の一員として参加』
「再び滅びる。残念ながらそれが貴様の運命だ。Let's morphing !」 変身コールにより完全戦闘形態へと変身。 レイヴンウィングで飛翔【空中戦】し帝国騎士に奇襲、ツイン・フォース・スピアのスピアモード【串刺し】【槍投げ】とサイズモード【なぎ払い】を巧みに使い仲間と協力して応戦。 「そろそろ頃合いか?コンビネーションで行くぞ!コタツ戦車 MARK IIの力をお見せしよう!コタツ、ショーターイム!!」全サ連備品のコタツメカと合体する事によりロボに変貌、四つの砲門とブラスタープレートによる熱線で【一斉発射】を仕掛ける。
戦闘後は宇宙船各所の修理を行う。


佑・盾
「そんな事をしても何にもならないよ。誰もあなたを褒めないし称えない、ただの自己満足でしかない。そんな下らない理由で沢山の人を傷付けるのなら、もう一度終わらせてあげる!」
【ドラゴニアン・チェイン】をぶつけてオーラの鎖で繋げ、相手を【怪力】で動きをある程度制限。【BB/RocketBooster】で加速するパンチやキックを使った【捨て身の一撃】を【勇気】と【覚悟】を持って相手にお見舞いするよ。他の猟兵が攻撃を仕掛けてくる場合は相手の動きを止められるように踏ん張るね。


リズ・ルシーズ
全世界サイボーグ連盟で連携

【SPD】

蘇った敵!ボクの名前はRe-Zって言うんだけど。再び終わりにって意味があるらしいよ。じゃ、彼にも再び終わりを与えなきゃね

【地形を利用】し【フェイント】を交え擬似刻印で【零距離射撃】を繰り返すよ、【空中戦】で空に逃げたり【見切り】で避けたりしながらね!皆の攻撃までの【時間稼ぎ】だね!

コタツの出番と聞いて!行くよMARKIII皆と一緒に!

他コタツ召喚と連携、UCで炬燵を召喚!炬燵に乗って擬似刻印のレーザーによる光【属性攻撃】で攻撃、【援護射撃】も忘れないよ。フラッグが立ってたらコタツを突撃させて破壊を試めすね

それが寄る瀬かな、ちょっと分かりやす過ぎないかな?


ウィンディ・アストレイ
全世界サイボーグ連盟の皆さんと参加。アドリブ&絡み歓迎です。

「貴方の矜持の為に、戦う気はありませんが…言われずとも。貴方などに殺されるつもりは、欠片もありません」
基本的にボクはアームドガーダーを構えながら(盾受け)
射撃での支援(先制攻撃&援護射撃&一斉発射)を行います。

但し騎士がダークフォースバリアを発動させたら、
ボクもUCサイキックブラストを放ち、最低その速度を殺す事を試みます。
「貴方の矜持が、帝国の為に戦う事なら…ボクの矜持は、その為に消えようとする命を。護る事です」

戦闘後は、船内の修理とシステム復旧。
そして電子戦中に見つけたシステム欠陥を技術者に進言、
新しいセキュリティ構築を手伝います。


クネウス・ウィギンシティ
全世界サイボーグ連盟として参加
「タイタス・レイヴン(f06435)」と「リズ・ルシーズ(f11009)」フォーメーション

「旅団から持ち込んだMARKⅠを使うことになるとは......。全機、フォーメション:レイヴンクロー」

後方から【スナイパー】として【先制攻撃】、 火器をUCに合うよう【メカニック】で【武器改造】し、 味方への【援護射撃】、ここまでが【時間稼ぎ】。

「KO・TA・TSU、 ファイナルフュージョン、承認!!」

ラストはタイタスのMARKⅡをメインに、
コタツ3台を合体させて全装備【一斉発射】。
「団長殿の許可を得た以上、遠慮はしない」

「これが封印されし黒歴史の力……やったか!」


グロリア・グルッグ
「戦いに大それた理由なんて要らないんですよ。私は余計な仕事を増やしてくれたあなたを地獄に送り返すだけなので」

電脳魔術士として他の猟兵達の戦いをバックアップしましょう。
サイバーロッドの【封印を解く】ことで雷の精霊を呼び出し、電脳魔術の出力などを高めます。
【高速詠唱】【全力魔法】で雷の【属性攻撃】を行い、即座には打たず【力溜め】をし、帝国騎士の動きを【戦闘知識】【スナイパー】等で先読みしてから【誘導弾】として【カウンター】で【一斉発射】します。
十分な電撃が命中すれば【鎧無視攻撃】の【マヒ攻撃】となり【時間稼ぎ】にもなるでしょう。
そうして敵の動きが止まったらランサー・ジョストを打ち込みます。




 オブリビオン……帝国騎士はかつての姿のまま、かつての力のまま、かつての忠誠心を天高く掲げそこに立つ。それは骸と果てた後も尽きぬ野望。あるいは己を蝕む過去そのもの。
 対する猟兵達は今という時間から紡がれる果てなき未来を守るべくそこに立ち、這い上がる過去を打ち砕かんとそれぞれの構えをとる。
 しかし先手を切るのは帝国騎士だった。仮面に隠され窺い知れないその心に抱くものは怒りか、焦りとも思える念動力を宿した斬撃が猟兵達の陣形を乱すように貫いていく。
「お客様、こちらは立ち入り禁止でございます。総力を以ておもてなし致します故、速やかにお引き取りくださいませ……!」
 猟兵達が散り散りに飛び退け回避する中、魅惑のメイド服を纏い黒髪をなびかせる妖狐の女性、川内・岬(妖狐の戦巫女・f07682)がこれまでの振る舞いからは覗けなかった険しい顔つきで言い放ち、周囲に大量の狐火を滾らせ飛び交う斬撃を相殺していく。
 帝国騎士が放つ斬撃は念動力によって形を成している。ただの狐火であれば完全に防ぎ切ることは困難だったが、衝撃波を兼ね備える岬の狐火は斬撃に込められた念動力をかき消し骸へと返すのだ。
『まだまだ序の口。貴様ら烏合の衆に成せるものなどない!』
 しかし帝国騎士とて遅れを取る様子はなく念動力を乗せた斬撃は弧を描き猟兵達を襲った。岬の狐火も捉えきれず全ては落としきれない!
 その時、後方から空気を引き千切る轟音が鳴り船体は激しく揺れる。放たれた銃弾は狐火から逃れた斬撃の軌道上に吸い込まれそれを撃ち落とし、最後の一発は帝国騎士本体を目掛けて撃ち込まれる。
「命中。お喋りが過ぎますよ」
 アームドフォートから精密狙撃による援護を行う鋼の身体に鋼鉄の鎧を纏うサイボーグの男性はこの乱戦でありながら冷静に戦場を把握、そして支配する。その者はクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)。顔色一つ変えず次弾を装填するクネウスに死角はないのだろう。
『貴様ッ……!』
 狙撃は確かに直撃したが帝国騎士が纏う漆黒の衣には傷一つついていない。その身体を貫いていたはずの銃弾は帝国騎士が立っていた場所に転がっている。直撃する瞬間に念動力によって銃弾を受け止めていたのだ。
 しかしその銃弾は猟兵達個々が対等な存在であると認めさせるに足るものだった。
 念動力の剣がより一層ギラつき、たった一振りで視界を覆うほどの斬撃を掃射する。岬の狐火も負けじと斬撃を薙ぎ払い帝国騎士にもその炎は届き確かなダメージを与える。
 その炎を払う動作で念動力の剣からも追加の斬撃が放たれる。クネウスの狙撃が爆煙と共に斬撃を撃ち落とす横で凄まじい推進力と共に帝国騎士へ迫る少女がいた。【BB/RocketBooster】によって急加速し斬撃の隙間をくぐり抜け帝国騎士の胸元に飛び蹴りを食らわせたドラゴニアンの少女。佑・盾(BurstBinder/JUNE・f11075)は普段と変わらず笑みを絶やさなかったがその瞳の奥には絶対的な覚悟を感じさせた。
「そんな事をしても何にもならないよ。誰もあなたを褒めないし称えない! ただの自己満足だよ!」
 丁度爆煙の中から奇襲の形となった盾の一撃に帝国騎士も完全には受け切れず姿勢を崩し吹き飛ばされたが、その勢いを念動力による跳躍で受け流し立て直す。
 だが盾の追撃までは予測できなかったのだろう。勢いのまま帝国騎士の背後を取り繰り出される高速の拳が再び奇襲となる。しかし今度は念動力によって動きを逸らされ直撃はしなかった。だが着実にダメージを与えている!
『ぐぅッ……!』
 盾に翻弄され斬撃が止む瞬間を猟兵達は見逃さない。空を翔けて斬撃を回避したサイボーグの女性。リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は天井を蹴り自身の重量に任せて加速し帝国騎士の懐に急速降下。義体化された全身からいくつもの刻印が浮かび上がり帝国騎士にレーザーの零距離射撃を放つ!
「再び終わりにしてあげる。おやすみの時間だよ!」
 当然回避のしようがなく、ついに漆黒の衣は煙を上げ風穴を開ける。すかさず回避した帝国騎士だったが直撃は免れずもろにレーザーを受けていた。だがそれで終わるはずもなく、怒りと執念に任せた念動力の剣による直接攻撃に打って出た!
 しかし攻撃を予測し回避するのは帝国騎士だけではなく、見切りによって剣筋を予見したリズは再び床を蹴り空中へ退避する。高い義体化率を誇る身体はその重量にも関わらず軽々と風を切り天井近くまで跳躍する。
 帝国騎士が頭上のリズをマスク越しに目で追う。怒りに念動力の剣を震わせ、力任せに斬撃を飛ばそうと振りかぶる。だがそれを妨げる者……サイボーグの少女、ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)が多重積層装甲製の巨大楯を勢いよく叩きつけ念動力の剣を弾いた!
「貴方の矜持の為に戦う気はありませんが……言われずとも。貴方などに殺されるつもりは欠片もありません」
 言い終わるよりも先にブラスターによる銃撃を浴びせるウィンディに帝国騎士は念動力の剣を構え全て弾いてみせた。一対一の勝負であればその先読みと剣術はウィンディを圧倒する要素になり得たかも知れない。ブラスターに気を取られた隙に無情にも大鴉の如き黒翼レイヴンウィングによる直上からの一撃が降り注がれる。
 整えられた髭をなびかせサイボーグの男性、タイタス・レイヴン(復讐の大鴉・f06435)がツイン・フォース・スピアをスピアモードにし帝国騎士の頭部に刃を向け一直線に降下する。まさに奇襲。まだどこかに慢心がある帝国騎士はもろに直撃し串刺しになろうとしたところでなんとか念動力を使い防御する。
「防いでやった、と思っているのだろう?」
 言葉通り。その槍はただの槍ではない。変形可能な可動式光刃発振器。先程まで槍だったそれは大鎌となり帝国騎士を真っ二つにせんと刃を滑らせる。帝国騎士も念動力の剣で受け止めはしたが最後まで受け切れずついに漆黒の衣を突き破りその肉体に傷を残す。
『貴様ァァッ!!』
 怒りに支配された念動力の剣はまたもや戦場全体を覆い尽くすほどの斬撃を放ったが猟兵達もその軌道を見切り容易く回避していく。間合いを取る為の回避行動も兼ねた斬撃だったがもはや見飽きていたサイボーグの少女、河原崎・修羅雪姫(スノーブラッド・f00298)は筋肉隆々のボディを弾ませその脚力で一気に間合いを詰める。
「ほらほら捕まえちゃうわぁ!」
 余裕ともとれる口調で内蔵ロケットワイヤーアンカーを放ち帝国騎士に巻きつける。胴体に隙間なく巻き付いたワイヤーは念動力の剣でも切断は時間を要し修羅雪姫の怪力によって接近戦を強いられる。さながらチェーンデスマッチだ!
『おのれイェーガーッ!!』
 それでも帝国騎士はオブリビオンとなった今も尚誇りを持ち、そこから生まれ出るかつての剣術は本来ならば猟兵を圧倒してもおかしくはない実力を持っていた。接近戦に合わせた攻撃的なフォームを取り念動力の剣による直接攻撃を繰り出し修羅雪姫の腕に一筋の傷を残したが、それこそ修羅雪姫の狙いだった。
「あはっ! 肉を切らせて骨まで焼き尽くしてあげるわぁ」
 念動力の剣によってつけられた傷口から溢れ出るものは鮮血ではなく燃え盛る地獄の炎! 貪欲に獲物を付け狙う炎はワイヤーによって逃げ場を失った帝国騎士を飲み込むなど造作もなく、次の瞬間には帝国騎士の漆黒の衣は紅蓮の炎に包まれていた。
 ついに帝国騎士は衣を脱ぎ捨て拘束していたワイヤーから脱出する。衣に隠れていた数々の傷がこの戦いにおいて猟兵達が優勢であることを証明していた。
『まだだ。私の力はこの程度ではないッ! 何も背負わぬ貴様らとは雲泥の差があるッ!』
「戦いに大それた理由なんて要らないんですよ」
 なぜこれまで猟兵達は帝国騎士が扱う得体の知れない念動力を手に取るように回避できたのか、それは黙々と自身の役割をこなしていた電脳魔術士の女性、グロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)が電脳魔術によってその動きを予測し、他の猟兵達をバックアップしていたからだ。
 グロリアの周りに浮かび上がる電脳空間に走る戦闘プログラムがその技能の全てを一つの戦術に集約し、洗練された攻撃となる!
 小型のサイバーロッドの封印を解くとグロリアの周囲で雷の精霊がその力を発揮し電脳魔術の出力に変換し演算は更に加速した。その高速演算によって最大出力の放電エネルギーをチャージしたいところだが戦い慣れた帝国騎士はグロリアの表情から心を読み取りすかさず念動力の剣を振るう。グロリアもそれに合わせまだ完全ではないが過剰に蓄積した雷撃を放った!
 雷撃は帝国騎士の身体を縛り拘束したが帝国騎士も負けじと念動力によって雷撃を散らした。しかし確実にダメージは与え、そして追い詰めている。帝国騎士の動きは鈍り力任せになりつつあるのだ。
 飛び交う猟兵達へ念動力を込めた斬撃が繰り出される。その剣の大振りの瞬間、帝国騎士にとっても最大の隙でありクネウスの重厚な狙撃が更にグロリアの電脳魔術による補正値を受け取り無慈悲な銃弾を撃ち出す。加えてウィンディの先制射撃も帝国騎士の逃げ場を奪うように弾幕を展開し有効な援護射撃となり身動きを奪っていた。
『がはァッ……!』
 今度は正真正銘の直撃。念動力ですら防げないクネウスの一撃が帝国騎士の身体を抉る。帝国騎士もその衝撃に大きく後退したが勢いのまま跳躍し壁を蹴り猟兵達と距離を取る。そして念動力によって形成した帝国の旗を射撃体勢に入る猟兵達のど真ん中に投げつけた!
 そんな見え見えの攻撃を受ける猟兵はいなかったがそれは目的ではなく、戦場の中央に突き刺さり高々と広がる帝国の旗は戦場自体が帝国の領地であることをその場の全員に認めさせた。
『わかるか猟兵。これが私が背負う覚悟と使命!』
 帝国騎士の戦闘力がみるみる高まっていく。それは念動力を感じ取れない猟兵にも殺気として伝わっていた。
 そして壁を蹴り錐揉み状に跳躍しつつ、戦闘力に応じて刃が禍々しく変貌した念動力の剣を回転させデタラメに斬撃を放ち突進する! 岬の狐火が相殺し、クネウスとウィンディの援護射撃が撃ち落としたが猟兵達は回避を余儀なくされる。帝国騎士は旗の元へ着地すると念動力の剣を振りかざし怒号を放った。
『見ろ! 帝国の力だ!』
 立場が逆転する。ここまでは帝国騎士の猛攻が戦場を支配していたが繰り返される猟兵達の攻撃についに帝国騎士も守りを固めざるを得ない。帝国の旗……インペリアルフラッグを守るように立ち塞がり構えを取る。
 確かに帝国の旗は士気を高め戦闘力に繋がっただろう。しかし猟兵達の目には追い詰められているようにしか見えない。
「貴方の矜持は帝国の為に戦う事ですか」
 静かに、しかし力強く言葉を発したウィンディはブラスター銃に装填されたエネルギーを全弾一斉発射し先制攻撃を行う。琥珀色の瞳が狙うものは帝国騎士ではなく、その後ろにある帝国の旗だった。
 帝国騎士も予測していた為、念動力の剣は容易くブラスターを弾いたが続いて降り注ぐ空中からの大鎌の餌食となる! レイヴンウィングによる空中戦はいくら帝国騎士がかつて歴戦であっても対処のしようがないのだ。
「再び滅びる。残念ながらそれが貴様の運命だ。Let's morphing!」
 同時に変身コールにより完全戦闘形態へと変身したタイタスが放った大鎌の薙ぎ払いは先程の攻撃とはとても同一とは思えないほど速く、そして鋭く帝国騎士の胴体を切り刻んだ。しかし帝国の旗がある今、帝国騎士がどれほど血を流そうとその構えは揺るがず、より強大となった斬撃が放たれる!
「避けてください!」
 帝国への忠誠心と闇の力で増大した斬撃を電脳魔術で捉えたグロリアが叫ぶ。これは相殺も受け切ることもリスクが高すぎた。タイタスとリズは空中へ退避し斬撃を避ける。
「ばすとばいーんだー!」
 盾はアームドフォートの最大出力と【BB/RocketBooster】による爆発的な推進力で斬撃を交わした。だが卓越した回避手段を持たない猟兵は迫りくる斬撃を受ける他ない。
 後方からの援護射撃。クネウスの狙撃が斬撃の威力を僅かに減らしていく。更に岬の狐火が斬撃を薙ぎ払い、その衝撃波によって軌道をずらした。それでも念動力を宿した斬撃は衰えない。
 今回ばかりは被弾を覚悟する猟兵達だったが、斬撃を前に金髪を揺らし飛び込むウィンディがアームドガーダーを構え斬撃を弾き飛ばし、回避したはずの盾がドラゴンオーラを斬撃に命中させオーラの鎖で繋ぐとその怪力で振り回し吹き飛ばした!
 これほどまでに力を増した帝国騎士の攻撃も猟兵達のチームワークによって一つたりとも効果を発揮せずに終わる。
『まだ足りぬか……!』
 計画は己のミスで失敗し猟兵達には刃が届かずにいる。帝国の旗を受け渾身の一撃を放つも容易く撃ち落とされる。帝国騎士の口調にはもはや焦りしかない。
「滅んだ帝国に忠義を捧げ続けるなんて、滑稽を通り越して悲しいわぁ!」
 ウィンディの横を抜け修羅雪姫が再び内蔵ロケットワイヤーアンカーを帝国騎士に絡ませ、巻き付ける。今度は漆黒の衣もなくワイヤーから逃れる術はもうない。
『忠誠を持たぬ貴様らに、なぜ私が……!』
 焦り、怒り、迷い。猟兵達の哀れみが忠誠心に泥を塗る。帝国の旗によって得た力も猟兵達には通用せず、その身体はワイヤーに繋がれ逃げることもままならない。修羅雪姫の紅蓮の炎に焼かれながら帝国騎士は……その忠誠心の末路を垣間見た。

●忠誠心の末路

 誰もが決着を予感した。帝国騎士はついに膝をつき荒れ狂う斬撃はもう飛ばなかった。鎧はそこら中が欠け落ち纏っていたオーラも弱々しい。ワイヤーに繋がれ自慢の念動力による跳躍もかなわない。
 しかし、その忠誠心……いや、執念は戦いの中でこそ昇華される。猟兵達に追い詰められ帝国の力も打ち破られもはや信じる者は己の力のみ。
 帝国騎士は何を思うのか、怒りかそれとも諦観か、それは問題ではない。帝国騎士は静かに立ち上がる……全身からは先程のオーラとは違う、鮮血の如きオーラを纏う。
『許さんぞ……貴様らは帝国を侮辱した』
 次の瞬間、帝国騎士から赤黒い雷撃が放射される!
 ダークフォースバリア。それは寿命と引き換えに得られる能力。帝国騎士の切り札だった。猟兵達は素早く距離を取り回避し陣形を立て直す。
 帝国騎士は移動速度も増しているはずだが……。
「あらぁ。逃さないわぁ!」
 修羅雪姫のワイヤーは帝国騎士を捉えたまま移動を制限している。
「帝国の為? そんな下らない理由で沢山の人を傷付けるのなら、もう一度終わらせてあげる!」
 更に盾が放つドラゴンオーラが着弾し爆発を起こすと、帝国騎士を拘束するオーラの鎖が現れ二重で動きを封じた!
『なぜだ! なぜ何も背負わぬ貴様らが!』
 乱射される赤黒い雷撃をアームドガーダーで防ぎながらウィンディが突撃すると帝国騎士に向け高圧電流を放つ! 動きを封じられた上に感電によって雷撃の放射すら封じられ帝国騎士に打つ手はない!
 今こそトドメの時!
 修羅雪姫の号令によって全世界サイボーグ連盟が誇る兵器群が姿を現す。
「団長殿の許可を得た以上、遠慮はしない」
 クネウスがゴーグルの位置を直し家庭の暖房を守護する和の兵器を形作る。
「拠点絶対防衛兵器KO・TA・TSU、暖房備品ファイナルフュージョン、承認!!」
 高らかに宣言すると旅団から持ち込んだのであろうコタツと合体していく。クネウスはサイボーグであったがどのようにしてコタツと合体しているのかは全くもって不明である!
 唯一わかることは、そこにはクネウスの二倍の大きさのコタツ戦車が完成したということだけだった! その名もコタツ戦車MARKI!
『な、なんだこれは……!』
 帝国騎士が驚くのも無理はない。なぜならコタツなど初めて見るからだ!
「コタツの出番と聞いて! 行くよMARKIII、皆と一緒に!」
 続いてリズが乗り出しユーベルコードを発動させる!
「コタツ貸出申請、承認、展開! もう借りちゃってるんだからいいよね!!」
 同じく二倍の大きさの備品のコタツを召喚し、暖まるのではなく何故か騎乗した! しかも互いの戦闘力を強化し生命力まで共有しているようだ!
『い、いったい何が……!』
 謎の光景に驚愕を隠せない帝国騎士だったが、ワイヤーと鎖で繋がれしかも感電で身動きを封じられていては今はリアクションを取るしかなかった。
 そしてこれまでワイルドでスタイリッシュな風貌で熟練の戦士を思わせていたタイタスまでもが備品のコタツを取り出した!
「コタツ戦車MARKIIの力をお見せしよう! コタツ、ショーターイム!!」
 なんということでしょう。掛け布団はマントに、放熱板はブラスタープレートに、足を四つの砲門に。やはり備品のコタツと合体したタイタスは二倍の大きさのコタツ戦車に変形したのだ!
 待たせたなと言わんばかりの暖か具合で完成したそれはコタツ戦車MARKII! もはや原理などこの場にいる誰もがどうでもよかった。それほどまでにコタツだった。
 突如現れた三機のコタツ戦車に帝国騎士は恐れをなす。この状況でまさか家電を召喚するなど普通は思わないからだ。帝国騎士の目には掛け布団は未知の防壁に、ただの机は未知の装甲に、そして謎に包まれた中身から漏れる熱源は間違っても歩兵戦を想定した兵器ではないと悟る。
 しかしその予想はあながち間違いではないのだ。これはコタツであってコタツではない、コタツ戦車だからだ!
 当然、コタツを知らない猟兵もきっと恐らく多分同じような感想を抱いているのだろう。
 ツッコミ不在の間の後、誇らしく笑う修羅雪姫を横目にコタツ戦車三機が動き出す!
 しかし帝国騎士も感電から立ち直り念動力の剣と赤黒い雷撃によってワイヤーと鎖を断ち切ると拘束から逃れコタツ戦車と対峙する。それを待っていたかのように全ての演算を完了し極限まで雷撃をチャージしていたグロリアがその電脳魔術が破損しかねない極限の雷撃を放つ!
 その雷撃はサイバーロッドによって増幅された限界以上の電力と電脳魔術が扱える上限を遥か超えたエネルギーを帝国騎士の戦闘データをリアルタイム処理で未来予測し誘導弾と化した狙撃に乗せカウンターの要領で放電するという、まさに生粋の電脳魔術師でなければ到底扱えない演算処理の極みそのものだった。
 直撃すれば防御など不可能。感電によって身動きも取れず、戦場においては決着を意味する一撃だろう。帝国騎士もそれは予測していたようでダークフォースバリアによる赤黒い雷撃を放射し相殺を狙うが威力に差がありすぎるのだ。
 グロリアの雷撃は帝国騎士の雷撃すら飲み込み己の力とし直撃する!
『ぐ、ォォ……! この力が、低俗な兵器なぞに……!』
「私は余計な仕事を増やしてくれたあなたを地獄に送り返すだけなので」
 もはや帝国騎士が持つ無用なプライドにグロリアは耳を傾けない。それでも念動力の剣を構える執念は歪んだ誇りであろうと帝国を背負う者の証である。
「騎兵さん、やっちゃってください!」
 グロリアは畳み掛ける。隙だらけの帝国騎士に電脳魔術の騎兵槍を放つと召喚された電脳騎兵が群れをなし突撃し帝国騎士を飲み込んだ。ダメ押しとも取れる容赦ない攻撃に帝国騎士は生身の防御を取りなんとか耐えていた。
 続けてコタツ戦車MARKIIIに騎乗したリズが攻め入る。自身の名前が意味するように、骸より蘇った帝国騎士に再び終わりを与えるべくその身に仕込まれた擬似刻印からレーザーを放つ。光による攻撃は帝国騎士が纏う鮮血の如きオーラを浄化していく!
「コンビネーションで行くぞ!」
 コタツ戦車MARKIIとなったタイタスがコタツ戦車MARKIIIの前に飛び出し自らを足場としてリズを乗せたままコタツ戦車MARKIIIを帝国の旗へ突っ込ませる!
『お、おのれ……ッ!!』
 ついに帝国の旗もへし折られ、頼りのダークフォースバリアも打ち消された帝国騎士は満身創痍。しかしまだ念動力を込めた斬撃がある。直撃すれば爆発と共に念動力の鎖で繋ぐその斬撃はこの状況であっても起死回生の一手であることは変わらない。
 そこへコタツ戦車に対抗し推進力付きロボットハンド【BB/RocketBooster】を噴射させ高速で接近する盾がいた。
「ボクもいくよ! ばすとばいーんだー!」
 念動力の剣を回転させ全方位に斬撃を飛ばさんとする帝国騎士へ一直線に駆け抜けその急加速した勢いを乗せた拳を叩き込んだ! 技を繰り出す敵へ真正面から叩き伏せる捨て身の一撃。それを実行する勇気と覚悟が少女の心に宿るからこそ打ち出せる決死の一撃! 呪われた忠誠心などなくとも猟兵は命をかけられるのだ!
 その拳は念動力の剣を捉え、叩き割る!!
『貴様……ッ!!』
 攻撃手段を失った敵が取る行動……それは逃亡。しかしウィンディの射撃が逃げ場を奪い、修羅雪姫の逞しい身体が退路を塞いだ。
「いけませんお客様。もうお帰りは許されません」
 岬がくるりとメイド服を揺らし上品に振る舞うと帝国騎士を取り囲むように狐火が現れ徐々にその身を焦がしていく。
 そして唯一の退路だったダクトは音を立ててシャッターが下り、文字通り袋のネズミとなる。
「どこへ行こうと言うのです?」
 シャッターを下ろした張本人のグロリアは冷たい視線を向ける。あれほど忠誠心を誇らしく掲げ奮闘した姿は見る影もなくもはや呆れるほどだからだ。
「仕上げの時間だな」
 タイタスの合図と共にコタツ戦車三機が合体を遂げトリプルコタツ戦車が完成する。そして無情の一斉掃射が始まる。四つの砲門から対戦車用の砲撃が放たれ、ブラスタープレートからは熱線が放射される。クネウスのアームドフォートはコタツ戦車用に改造され安定した機体からは生身では扱えない規格外の砲撃を繰り出し、リズは光のレーダーを零距離射撃し貫いた。
 攻撃手段を持たない帝国騎士にはやりすぎた攻撃に思えるかも知れない。しかしこのオブリビオンを放置すればこの宇宙船だけでなく他の宇宙船まで一網打尽にされるところだったのだ。これは当然の結果だ。
「これが封印されし黒歴史の力……やったか!」
 爆煙に包まれた着弾位置から帝国騎士の姿は見えない。クネウスはそのあまりの火力に放心気味に感想を述べ、視界が晴れるのを待った。
 やがて煙が晴れる……そこには、尚も立ち続ける帝国騎士がいた。
 しかし、もう戦う意思は無いようで猟兵達へ向き直り、力ない声で語り始めた。
『……帝国は私の拠り所だ。それは今も変わりはしない。しかし帝国のように共通の忠誠心を持たぬ貴様ら猟兵もまた命をかける強さがあった。最後に教えてくれないか、その戦車の名前を』
 どこか清々しさを感じる口調だった。オブリビオンとなり忠誠心だけを支えに戦い続けたその運命を受け入れたのかも知れない。
「そうですね……帰る場所、でしょうか」
 そう言うウィンディの声は変わらず物静かだったが優しさを含んでいた。
「冷えた心を包むものですね」
 淡々と答えるクネウスだがその言葉にはコタツへの信頼があった。
「みんなで入ると楽しいんだよ」
 リズは目を輝かせる。コタツは団欒の象徴だ。
「同じコタツに入れば仲間だ」
 タイタスが言う。一度コタツを囲めば信頼が生まれる。それは合体した三機のコタツ戦車が物語っている。
「あなたにとっての帝国と同じねぇ」
 コタツ。それは帰る場所であり団欒の象徴。修羅雪姫は団員達を眺めそれを確信した。
 全世界サイボーグ連盟の一員ではなかった猟兵達も各々コタツへ思いを馳せた。中にはコタツを知らない猟兵もいたかも知れない。しかしその顔は安らぎを感じさせた。
『……そうか』
 帝国騎士は短く声を漏らし、そして念動力によって帝国の旗を形成し床に突き立てた。
『私の負けだ。しかし今この瞬間だけは、この船は帝国が支配した……さらばだ』
 猟兵達に見守られる中、帝国騎士はとっくに尽きていたであろう命が燃えつき、塵となり骸へと還る。
 帝国の旗はその身体が塵となった後も暫く立ち続け、やがて後を追うように消え去るのだった。
 忠誠心が為に滅び、忠誠心が為に蘇った者。オブリビオンが何を思い未来を喰らうのか……その答えはまだ無い。
 しかし一つだけはっきりしていることは、猟兵達は宇宙船に侵入したオブリビオンを撃破し、平和という未来を取り戻したということだ。

 振り返ってみれば猟兵達は誰一人傷つくことなくオブリビオンを撃破した。
 帝国騎士は強敵ではあったが、いくら忠誠心があれど猟兵達が作り出す絆の前では無力だったのだろう。
 かくして宇宙船には本当の平和が戻る。船員達は猟兵達を讃え一足早い宴会を開く勢いだった。
 しかし戦闘の傷跡は未だに残ったままだ。
「出来る範囲で修理をして行くか」
「そうねぇ。しっかり直してあげましょ」
 タイタスと修羅雪姫の提案に猟兵達は頷き船内を修理するメカニック達に混ざって修理を手伝い始める。
「はー疲れた。真面目モードは疲れるわーと言いたいところですけど、もうひと頑張りですね」
 仕事を終えお休みモードに入ろうとした岬も慌ただしく修理に励む船員達を見て放っておけず他の猟兵達の元へ向かう。
「ボク達はシステムの復旧ですね」
「それから最適化もしないと気が済みませんよ」
 すっかり意気投合したウィンディとグロリアは自分達がクラックしたシステムの復旧と、その残念なセキュリティの最適化に励むところだ。
 やがて彼らの活躍によりこの宇宙船は世界に誇る船の一つになるのだろう。そしてオブリビオンを撃破し人々を救ったその活躍はまたたく間に世界に広がり、オブリビオンと戦う人々を勇気づける英雄譚として語り継がれるのだろう。
 その話を聞いた誰かが新たな英雄として目覚めるのかも知れない。オブリビオンに立ち向かう始まりの灯火になるのかも知れない。
 しかし今は、この後開かれる宇宙船間の交流会の成功を願いつつ、コタツで暖を取ろうと誓う猟兵達だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月15日


挿絵イラスト