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アースクライシス2019⑬~文房具は剣よりすんごい強い

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ラグランジュポイント

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 ヒーローズアースのはるか上空、宇宙空間には宇宙船をはじめとした様々な構造物がごちゃ混ぜに寄せ集めたような『島々』――ラグランジュポイントが存在する。
 そのラグランジュポイントはオブリビオンに支配され、元々の住民である宇宙人たちは過酷な労働を強いられていた。
「くっ、何故このようなことをしなければならないのだ……」
 捕虜のひとりが苦しそうに呟きながら重く引き締められた木材のレバーを両手で掴み、半径5mほどの円を描くように歩いていた。
「あれあれ? 文句があるのかな?」
 人々の作業を監視する体操服にブルマといったトラディショナルな格好のオブリビオンが、明るい口調で苦言を呈する捕虜に問う。
「そ、それは……!」
 逆らえばどうなるかは、最早言うまでもないことを彼は知っている。
 だが、それでも。
「俺は……一体何をさせられているのか……それだけ、それだけでも教えてくれ!」
 ぐるぐる回すレバーの中心には数mはあるだろう支柱が立てられており、その頂点には鳥を模した彫刻が据えられていた。
 しかも一周回るとぴよぴよ鳴く。
「それだったら私も、これに何の意味があるんだ!?」
 もうひとりは長い箸を使って小さな豆のようなものを右の皿から左の皿に延々とと移し替え続けているようだ。
 他にもこの場にいる元・住民たちは輪っか状のものを腹筋に強く押し当てることで目の前のメーターがぐるぐるまわる装置やストロー様のもので細長い紙らしきものに液体を垂らしては「くしゅっ」とさせる作業など、一見すると……いや、穴が開くほど見つめて熟考しても何の意味があるのかさっぱりな作業ばかりさせられている。
「って言われてもねぇ」
 最初に問い質したオブリビオンは同じ姿の別個体に肩をすくめる様子を見せる。
「おまえたちが知る必要はありません」
「だって! まあ頑張ってねー」
 ぴしゃりと言い放つもうひとりの監視オブリビオンは「きっちり働け」と念を押し、明るい個体と共に立ち去った。
「……そういえばこの辺りには『アレ』があったはずだが……」
「よせ……! あれは私たちが戦って勝てる相手ではないだろう……!」
「そ、そうだな……」
 労働部屋にはぴよぴよと鳥の鳴き声が虚しく響いた。

「皆さん、今回の戦いもバリバリ頑張っているっスね! お疲れさまっス!」
 片手に2つの30センチ定規を持った文坂・いち子(人間のサイキッカー・f13991)は猟兵たちを迎えると、ぺこりと大きく頭を下げた。
「皆さんはビームハイウェイを突破してラグランジュポイントに到達したわけっスけど、ここがまた大変なコトになっていたんスよ!」
 いち子はいくつもある島のそれぞれで住民たちが謎の強制労働させられていること、その監督や監視をしているオブリビオンがそれなりの規模の隊を配置していることを説明する。
「謎の労働は本当に謎なんスけど、それらの作業が謎のプロセスを経て一人用UFOとかが製造されるっス」
 謎なら仕方がない。
 とにかくオブリビオンの戦力増強を阻止するため、なにより無辜の住民を救い出すためにも早急に攻略する必要がある。
「ただ単に乗り込んで叩き潰してもいいんスけど、ここで耳寄りな情報が」
 この島にはなんと宇宙人の謎の兵器が隠されているのだという。
「その名も『スペースステーショナリー』!!」
 直訳すると宇宙文房具……何かの暗号だろうか。
「色々な文房具の形をしたスペースなウエポンっス!」
 そのままだった。
 おそらく見た目は普通の文房具なので武器とは見なされずオブリビオンに放置されていたのだろう。
「元々はこの島で作成や運用がされていたようっスから、これを使って戦えばきっと住民の皆さんも喜んでくれるに違いないっス!」
 それだけではなく猟兵が宇宙文房具を用いて優位に戦えば住民のテンションは爆上がりからの反撃の狼煙を上げ、猟兵と共に戦ってくれるかもしれないのだ。
「もちろん私たちに比べれば個人の戦力としてはそれなりかもしれないっスけど人数は多いし、それにここは彼らの家みたいなもの。戦力以上の大きな恩恵があるハズっスよ!」
 うまく住民を味方に付けることが肝要だという。
 そのためにも猟兵にはスタイリッシュな文房具使い、スーパーステーショナリーアクションを期待したい。
「おっ、皆さんそろそろ文房具が武器に見えてきたといった目をしているっスね? うんうん、いい感じっス! その調子でガツンとよろしくお願いするっス!」
 いち子は定規をそれぞれ左右の手で掴むと、まるで二振りの剣を扱う剣士のような格好をとりながら猟兵を見送った。


黒柴好人
 定規をつい逆手に持っちゃう人ー?
 黒柴です。

 このシナリオは戦争シナリオにつき、1フラグメントで完結します。
 参加者様が多い場合は全ての方のプレイングを採用できない可能性がありますのでご了承ください。

●プレイングボーナス
 島にある謎兵器を使うことでプレイングが大きく有利に働きます。
 当シナリオでは文房具型の個人携行兵器群です。
 文房具だと思われるものであればなんでもあります。
 攻撃方法も自由! ビームも出る! かっこいい!

 それではよい文房具ライフを!
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第1章 集団戦 『ブルマニオン・ソルジャー』

POW   :    ソルジャー一斉格闘
【周囲の味方との連携による格闘戦】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    目標確保
【周囲の味方との連携によって】【素早く目標を取り囲み】【ソルジャー達による抑え込みによる拘束】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    エマージェンシーコール
自身が戦闘で瀕死になると【新たなるブルマニオン・ソルジャーの増援】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ウィーリィ・チゥシャン
いや、本気でオブリビオン達は何させてるんだろ。
一度このプロセスを最後まで通して見てみたいところだけど、これ以上島の人達が苦しむのを放っておく訳にはいかないよな。

見た目はアレだけど、攻撃の手段が増えるってのは有難いな。
んじゃ俺はこの分度器っぽいので。
両手にそれぞれ構えて円弧の部分からビームの刃を形成し、戦扇の様に【二回攻撃】で斬りつけたり【盾受け】で敵の攻撃を受け止めたりする。
そして二つ合体させて円盤状にし、投擲して敵群を薙ぎ払う。
足並みが乱れたところを見計らって【飢龍炎牙】で一網打尽!


フィリオ・グラースラム
にゃにゃ。この文房具が武器なのですか
騎士として、剣や槍で戦えないのは複雑ですが…
人々を助けることこそ騎士の役目!フィオにお任せですの!

使う文房具さんは直感で決めるにょです
そう、この四角い子がフィオを呼んでいるような気がしますのよ!
この文房具さんは、下敷き…と言いますの?
縁の下の力持ちになれそうな、頼もしいお名前の文房具なのです

手にした時に分かりましたわ
これは、ビリビリの稲妻を発生させる雷撃の武器!
(下敷きにじゃれる)
チャージも満タン、雷のブーメランを喰らうがいいにょです!

一杯チャージして、どんどん投げていきますの
この下敷きに触れたが最後、
二度とドアノブには触れないと覚悟なさいませ!


ウィリアム・バークリー
目的地にひっそり上陸して。
文房具かぁ。まあ、素人でもボールペン一本で人が殺せますからね。

収容所の扉をまず先端をとがらせた鉛筆の雨あられ(Icicle Edge)で打ち破って、解放作戦を始めましょう。

え、槍を使ってるように見えるって? やだなぁ。棒の先にコンパスをくくりつけただけじゃないですか。あれの支点になる棘って、最初から凶器ですよね?
コンパス槍で打ち合いながら、敵の足下に接着剤を撒いていきます。その上で、Slip!
強力接着剤ですから、倒れた人はもう立ち上がれないですよ。

理不尽に囚われていた皆さん、もう大丈夫です。共に戦いたいという人は、ぼくの背負ったバックパックから武器を調達してください。


ツムギ・オーギュスト
(アドリブ・連携歓迎)
はい!みなさんこんにちはー!今回ご紹介するのはこちら!
この文房具、ただの文房具とはひと味違うんです!早速実演しながら紹介していきましょう!

おっと!どうしたのかな兵隊ちゃん!…敵がこっちに来てる?
大丈夫!これを渡すからみんなで協力して、ソルジャーちゃんの足元とか進む先に塗ってごらん!
…そう!これノリなんです!こんなに透明で目立たない!すぐ乾いて粘着力抜群!
だからこんな急な時にも役立つんです!長年の研究成果と技が光ってますねぇ!

さあ狙いやすくなったところで…ぐーんと伸びてぎゅんっと戻る!柔肌に当たるとすっごく痛いぞ!
みんなで放つ輪ゴム鉄砲乱れ撃ちでシメましょう!ごきげんよー!



 ラグランジュポイントに浮かぶ島のひとつに無事潜入を果たした猟兵たち。
 道中オブリビオンに発見されることもなく必要な装備を入手し、そして住民たちが強制労働させられている施設の前まで辿り着いていた。
「にゃにゃ。この文房具が武器なのですか」
 見た目は一般的に流通している筆記用具のそれと変わりがない宇宙人の謎テクノロジーで作成された謎兵器『宇宙文房具』を手に取り、興味深く眺めるフィリオ・グラースラム(煌氷の刃・f10324)。
「まあ、これが宇宙文房具ではなくてもボールペン一本で人が殺せますからね」
 そういった意味では文房具を模した武器というのも違和感がないかな、とウィリアム・バークリー(ホーリーウィッシュ/氷の魔法騎士・f01788)は鉛筆を手にとる。
 鉛筆と対になる消しゴムサイズの鉛筆削りを用いて先端はやけに鋭い。
「準備はいいですか?」
「……人々を助けることこそ騎士の役目! フィオにお任せですの!」
 根っからの騎士たるフィリオとしては騎士の象徴ともいえる剣や槍で立ち回ることができないのが少しもやもやするが、だからとて目の前の救える命を見捨てることこそ騎士道に反するというもの。
 いつでも構わないとフィリオはウィリアムに頷き返す。
 首肯を受け取るとウィリアムは指を3本立て、1本ずつ折り曲げていく。
 全ての指を握り込んだ瞬間――ウィリアムは幾本もの鉛筆を労働施設の重厚な扉へと次々と射出。
 少し強引なノックと共に扉には人が数人並んで通ることのできる程の穴が穿たれた。
 大きな音に驚いたのか、中からは「うわっ!!」「なんだぁ!?」と混乱する声が溢れてきた。
「大丈夫、安心するですの! フィオたちは皆さまを助けに来ましたの!」
 部屋の中に素早く入り、小さな身体を思い切り飛び跳ねさせて住民らを落ち着かせようとするフィリオ。
「ぬ、ぬいぐるみ……?」
「違いますにょー!」
 ぷんすかするフィリオの姿に和んだ住民は落ち着きを取り戻したようだ。
「あの扉を破ってきたということは……もしかして本当に……?」
「その通り!」
 住民の消えかけていた希望は、今まさに確信へと――。
「はい! みなさんこんにちはー! 今日もはじまりましたオーギュストショッピングのお時間です!」
 通販番組ってたまにだらだら観ちゃうときない?
 あるよね。
「今回ご紹介するのはこちら!」
 MCを務めるツムギ・オーギュスト(dance legerement・f19463)の目の前にはいい感じにカメラで撮影しやすい高さの台に乗せられた幾つもの文房具が。
「文房具……?」
 その単語に住民のひとりが頭を上げた。
「この文房具、ただの文房具とはひと味違うんです! 早速実演しながら紹介していきましょう! というわけでフィリオちゃん、どれか気になるものはない?」
「フィオですの?」
 突然呼ばれたフィリオは、そういえばまだ武器を選んでいなかったことに気付きツムギのもとへとやってきた。
「にゃ!? この子……」
 台上の文房具を目で追うフィリオ。その動きがぴたりと止まった。
「そう、この四角い子がフィオを呼んでいるような気がしますのよ!」
「おっとお目が高い! それは『下敷き』ですねぇ!」
「この文房具さんは、下敷き……と言いますの?」
 手にしてみるとふよんふよんしているが、しかし芯のある堅さを維持し続ける……半透明やキャラクターのイラストが描かれている不思議な板。それだけに過ぎないのだが、とてつもない安心感を感じる。
「下敷きさん……縁の下の力持ちになれそうな、頼もしいお名前の文房具なのです。そう、これはビリビリの稲妻を発生させる雷撃の武器!」
 フィリオがほっぺに下敷きをすりすりすると弾けるスパーク。
 みるみるうちに下敷きは金色に発光していく――!
「おっと! どうしたのかな兵隊ちゃん!」
 そんな中、ツムギは彼女のユーベルコードで喚び出された玩具の兵隊が慌てたような身振り手振りをしていることに気が付いた。
「敵がこっちに来てる?」
 さすがにこの騒ぎに気付いたオブリビオン、ブルマニオン・ソルジャーがもうすぐそこまで迫っているようだ。
 動揺する住民を片手で制すツムギはニヤリと笑った。
「それは好都合! フィリオちゃん、早速その下敷きを使ってごらん!」
「了解ですの! チャージ満タン! 全身の毛が逆立ちますの!」
 瞬間。猟兵たちが突破した扉とは別の扉が開き、次々とブルマニオン・ソルジャーが流れ込んできた。
「侵入者だ! かかれかかれー!!」
「侵入者も労働者も、逆らうなら命は無いと思え!」
「そうはいきませんのよ! 雷のブーメランを喰らうがいいにょです!」
 弓のように身体をしならせ、下敷きサイドスロー。
 かくや雷神の右フックか。大きな弧を描きながら雷をばらまき飛翔する下敷き。
「「「あががががががが!?」」」
 次々とソルジャーの頭髪を重力に逆らう形にしていく。
「この下敷きに触れたが最後、二度とドアノブには触れないと覚悟なさいませ!」
「くっ、悪魔のような考えを!」
「いやいや強制労働させる方がよっぽど悪魔だろ」
 難を逃れたソルジャーに対して的確なツッコミを入れるウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)。
「この労働、一体島の人達に何をさせて……何のためにこんなことをしていた!」
 その勢いで気になっていたことを聞いてみるウィーリィ。
「見てわかるでしょ?」
「わかるか!」
 UFOができるプロセスを一から十まで全て見学してみたいものだが、ウィーリィは頭を振って住民を助けることに専念する。
「武器は……っと、んじゃ俺はこの分度器っぽいので」
 ツムギの台から少し大きめの分度器を2つピックアップする。
 不思議なことに昔から使い込んだ得物のように使い方が頭に浮かぶ感覚を覚える。
 両手に分度器を構えると、ウィーリィは円弧側からビームの刃を形成。
「見た目はアレだけど、思ったよりもしっくりくるな」
 名付けるならば分度器戦扇といったところか。
「そんな妙な武器を手にしたところで!」
「我々ブルマニオン・ソルジャーに勝てるとでもっ!?」
 敵ながら一糸乱れぬ連携でウィーリィを囲むソルジャー。
 全周囲からの一斉殴打が襲い掛かる――。
「分度器ひとつでは180度までしか測ることができない。でも俺には2つの分度器がある! 360度からの攻撃なんて……」
 分度器戦扇を組み合わせて円盤にすると迷わず投擲。
「効くかよー!」
 円盤は巨大なエネルギーの渦を纏わせながら襲い掛かる全てのソルジャーを薙ぎ払った。
「なあ、あの武器ってまさか……」
 住民のひとりがツムギに話しかけようとした、が、倒しても次々と湧いて出てくるソルジャーがいてはそれどころではない。
「まずは労働者を確保しろ! いざというときはアレしても構わない!」
「うわっ、こっちに来る!?」
 しかも猟兵から住民へと矛先を変えようとしている。
「大丈夫! これを渡すからみんなで協力して、ソルジャーちゃんの足元とか進む先に塗ってごらん!」
 ツムギは笑顔を湛えたまま住民たちにスティック状の何かを手渡した。
 キャップをきゅぽんと抜いて反対側を回転させると半透明の円筒が伸び出る。
「これって……ノリ?」
「そう! これノリなんです! こんなに透明で目立たない! イヤなニオイもしない優れモノ!」
 だから緊急時にも役に立つのだと、住民に床に塗り付けるように促す。
 こうなればやるしかない、と住民たちは急いでノリを塗りたくっていく。
「うおおおお! 持ち場に戻れええええ……え!?」
 そこへ拳を振りかざしながら走ってきたソルジャーが踏み込むと、その刹那足と床が接着!
「ぶへー!」
 突然足の動きを止められたために勢いが殺せずソルジャーは前のめりに倒れ込んだ。
「このようにすぐ乾いて粘着力抜群! 長年の研究成果と技が光ってますねぇ!」
 などとツムギが感慨深そうにノリのパッケージを眺めている間にも次々とソルジャーがホイホイされていく。
 が、そろそろ異変に気付きだしたようで。
「こ、これ以上進むなー! 何故か動けなくなるぞー!」
「まぁまぁ、そんなこと言わずにもう一歩前にどうぞ?」
「うわ、ちょ、何を……ぐへあ!」
 そんな賢いソルジャーも、背面に回り込んでいたウィリアムの槍の一突きによりあえなく床とお友達に。
「槍に見えますか? やだなぁ。棒の先にコンパスをくくりつけただけじゃないですか」
 合金をも容易に貫くほど鋭く頑強な針が光るコンパスを「やっぱり文房具と暗器は相性がいいですね」と無垢な笑顔で眺めるウィリアム。
「そのノリは超強力ですから倒れた人はもう立ち上がれないですよ」
「そういうわけなんですねぇ! これはすごい!」
 あれよあれよとソルジャーの動きを阻害していく猟兵たち。
「理不尽に囚われていた皆さん、もう大丈夫です。共に戦いたいという人は、ぼくの背負ったバックパックやツムギさんから武器を調達してください」
「ケガをされていたり疲れたりしている方はどうぞフィオのうしろへ! この下敷きさんでお守りしますの!」
 猟兵は知ってか知らずか、自分たちが誇りにしていた文房具武器を使いソルジャーを倒してくれた。
 そして見ず知らずの者のために戦ってくれた。
「そこまでしてくれたら、な」
「我々も戦うぞ!」
 その場にいたほぼ全ての住民が文房具武器を手にし、ソルジャーへと向けた。
「おーっとこれは完売御礼、といったところでしょうか! それではみんなの一斉攻撃、そして輪ゴム鉄砲乱れ撃ちでシメましょう!」
「よし、一網打尽だ。俺に続け! ――喰らい尽くせ、炎の顎!」
 ラグランジュポイント奪還作戦はド派手な一手からはじまるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エミリロット・エカルネージュ
【なめろう餃子】で参戦

●POW
使う文房具は【宇都宮餃子消しゴム】コレを近接攻撃用に一つ取っ手おいて、後は飛び道具として使っちゃうよ

具体的には『早業』でUCを使用して、餃子消しゴムに【チョコ餃子の乱気流 ※UCによるモノ】と『属性攻撃(バニラ)』と『追跡』する『誘導弾』を込めて『範囲攻撃』で敵群に『乱れ撃ち』

チョコ餃子にはバニラアイスのトッピングが付き物だからね

『念動力』で遠隔操作して
前で戦うビスマスちゃんの後ろから援護射撃だよ

後ろや、ビスマスちゃんを抜けてきた敵には【緋色の炎の龍】
を込めた餃子消しゴムで『属性攻撃(シナモン)』を込め一閃するよ

ほぼ突きと変わらないけど

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


ビスマス・テルマール
【なめろう餃子】で参戦です

●POW
使用文房具は箸型シャープペン2本で、敵達に対し『属性攻撃(なめろうの食材)』を込め、空中に

なめろうの食材を『早業』で書き、実体化させたソレを『誘導弾』を込め『一斉発射』で解き放ち

具体的には鮪、ズワイガニ、鯵、秋刀魚、飛び魚、南瓜、茄子、羊、鶏、馬(桜肉)、アボカド等々

解き放ったなめろうの食材や、
エミリさんの援護に紛れて『残像』で撹乱しつつ箸の様に持った箸型シャープペンで掴んで投げたり、突いたり『なぎ払い』したり

UCで生成した【ハワイアンなめろうビーム芯】をシャープペンに入れて出したビーム芯で、なめろうを作るみたいに敵を『料理』します

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



「ビスマスちゃんのそれ、お箸?」
 エミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)はビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)が手にしているものを見て小首を傾げる。
 どこをどう見てもビスマスは箸のような棒を2本、つまり1膳持っているのだが……まさか文房具武器の中に食器武器が混入していたのだろうか。
「そう見えますよね。実はこれ、シャープペンなんです」
 そう言いながらおしりの部分をカチカチと数回ノックすると、なんと箸の先端から芯が出てきた!
「なるほど、勉強しててお腹がすいたらすぐにご飯を食べられる文房具なんだねっ!」
「その通りです。あ、ちゃんと芯は閉まってからにしないと体に悪いですからね」
 たぶんちがうきがする。
「エミリさんは餃子……の形をした消しゴムですか?」
「そう! 宇都宮餃子消しゴム!」
 よもや宇都宮餃子が宇宙まで進出していようとは。
 いや、一説によると宇都宮駅前にある餃子像は餃子の皮に包まれたビーナスというのは意図的に流布されたカバーストーリーであり、実際には宇宙人の技術を用いられた小型餃子型宇宙船の模型なのではないかとも囁かれている。
 ゆえに宇都宮餃子が宇宙に存在するのは自然な事象なのではなかろうか。
 え、そんなことない?
「あ、しかも香りまで再現されているんですね」
「勉強中にも餃子のことを忘れないで、という熱いメッセージを感じるよ」
「なめろうねりけし、というのもアリですね」
 学校によっては匂い付き消しゴムの持ち込みが禁止されているところもあるという。
 謂わば禁断のアイテム。
 だからこそ強力な対価が得られるというものだ。
「こっちにも侵入者が! 全て排除しろ!」
 と、悠長にもしていられないようだ。
 瞬時に戦闘体勢に切り替える2人は、あらためて文房具武器を構える。
「このシャープペンは、空中に描いたものを実体化させます!」
 描いたものをより理解していればいるほど実体化されるものの精度も向上する仕組みのようだ。
 しかし完全に細部を『理解』することは想像以上に難しい。
 だがどうだ。ビスマスの描くそれは。
 鮪、ズワイガニ、鯵、秋刀魚、飛び魚、南瓜、茄子、羊肉、鶏肉、桜肉、アボカド……。
 そのどれもが本物と寸分違わず精巧に描写されている。この間数秒。
 だとしても、どうして食材を……。
 違う。
 この食材だからこそ描かなくてはならないのだ。
 エミリロットもまた、消しゴムにユーベルコードで練り上げたチョコ餃子の乱気流、そしてバニラの属性をもりもりに盛り込んでいく。
 これもまた餃子への理解と愛が完成形に大きな影響を与える。
 一瞬でも餃子以外のことが頭を過ぎれば……。結果は言うまでも無いだろう。
「なめろうの食材たち……わたしに力を。解き放て!」
「チョコ餃子、乱れ撃ちー!」
 戦場を飛び交うなめろう食材と甘い餃子。
 歓待する客にはおいしさを、招かざる客には身を以て味わってもらおうという粋な計らいだろう。
 誘導され1発、また1発と食材たちがソルジャーに炸裂する。
 それでも撃ち漏らした敵は。
「お帰りはあちらですよ」
 ビスマスが箸シャープペンで掴み取り、放り投げる。
 その先には。
「安心して、ボクがお土産を用意したからっ!」
「ぐあっ!?」
 手元に残しておいた餃子消しゴムを握りしめるとシナモン属性を付与し、一閃。
「なめろうも忘れずに持って行ってくださいね」
 なめろうの気を帯びた『ハワイアンなめろうビーム芯』をシャープペンに装填。
「ぎょ、餃子だのなめろうだの……」
 エミリロットの突きにより空の旅を強制されたソルジャーはペンより発射されたなめろうビームによって、
「一体なんなんだー!!」
 ご当地食材の星となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
ふふっ、凄く凄く素敵ね、その武器
よかったらあたしも混ぜて欲しいな

UC第二人格【昨夜】で戦闘
文房具で倒される敵なんて超!痛快じゃん!
私普段盾は使わないんだけど……三角定規の大きいやつ盾にして、片手に鉛筆剣にする!

敵攻撃は【第六感】で【見切り】定規を盾にし敵を受け止め、盾を媒介に【全力魔法】の【衝撃波】で吹っ飛ばすよ
そのまま【念動力】で定規ブーメランでガンガン切り刻む!
鉛筆は間近の敵ぶっ刺そうかなあ

あっチョークあるねー
これ爆弾の中に詰め込んで敵陣真ん中で大爆発させる【念動力罠使い破壊工作】
粉だらけで真っ白で見えませんーってしたい。あとけむい。
空気吸ったらごほごほしそうね。


水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
文房具型武器…あくまで武器なのですね
どうしてその形にしたのか伺いたいところですが…先ずは敵を片付けてからですね

先ずは糊型瞬間行動阻害薬『アロンオメガ-コスモEX-』を毒属性の触手で解析&量産
攻撃を仕掛けてきた相手の足元に向けて放出します
「瞬間接着剤というよりトリモチでは…便利ですけど」
若干腑に落ちない様子で押し出し鉛筆型ガトリングガン『迸るロケペンサンダー チョコの香り』のスイッチを押します

…弾数10発のみ、手動補充だけど貫通力が凄まじいですね
飛び道具や増援、ジャンプしてきた敵は風属性で撃ち落とし同じように動けなくしてから銃撃します
※商標にご注意下さい



「文房具で倒される敵なんて超! 痛快じゃん!」
 仲間たちの戦いっぷりに笑いの止まらない鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、そう思わない? と近くにいた水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)に視線を送った。
「痛快というより興味深いですね。どうしてその形にしたのか伺いたいところですが……」
 ふと、怜悧は息を細く吐き出す。
 2人に気付いたソルジャーたちが群れを成して近付いてきているようだ。
「状況が状況です。まずは敵を片付けてからですね」
「ふふっ、いいタイミングじゃない? そろそろあたしも混ぜて貰いたかったところだしね!」
 言うや志乃は数歩駆け出すと、思い切り白いチョークをソルジャーの群れに投げ込んだ。
 時限信管式チョークはソルジャー集団の真ん中で炸裂すると、大量の白い粉を巻き散らかした。
「スモーク!? ……げほっ、うぇっほぉ!!」
「なんだか懐かしみを感じる匂いが……ぅごほっふぁ!」
 突然のホワイトアウトに、ソルジャーたちは混乱し足を止めた。
「そうそうこれこれ! これをやってみたかったんだよねー! げふんごふん!」
 チョーク粉塵は志乃の気管も刺激していた。
 十分に気をつけて黒板消しをぽふぽふしても何故か自分に向かって粉が飛んでくるあの現象であろう。
「げほっ、侵入者は目の前だ……! このまま突き進めー!」
 どうやら勇ましいソルジャーもいるようだ。
 目は見えずとも志乃の声のした方に走れば……。
 だが、そのソルジャーの脚は動かない。まるで脚と地面が縫い付けられたような。
 やがて粉が晴れたとき、ソルジャーはその理由を知ることになる。
「こ、これは!? 何かが脚にまとわりついている!?」
「糊型瞬間行動阻害薬『アロンオメガ-コスモEX-』……なるほど、その効果は確かなようですね」
 チューブ状文房具のラベルを読みながら、結果に満足し頷く怜悧。
 本来は数十グラム程度の用量しか入っていないチューブ内のゲルっぽい触感のコスモEXを触手で成分解析。
 本物と遜色ないコピーを量産し、それをチョークまみれになっているソルジャー集団目がけて放出していたのだ。
「しかし瞬間接着剤というよりトリモチでは……便利ですけど」
「細かいことはいいじゃん! それよりナイス援護!」
「志乃さんの煙幕のおかげですよ。コスモEXは既に固まっています。今なら踏み込んで一方的に戦えますよ」
「そういうことなら、これで!」
 志乃は鉛筆を剣に、学校の教師が使うような巨大サイズの三角定規を盾にソルジャー群へと突っ込んだ。
 上半身は動けるソルジャーは、接近してきた志乃にどうにか反撃を試みるが。
「足が動かない程度、どうということはない!」
「そういう態度、嫌いじゃないけどねー」
 ソルジャーの強烈な拳を三角定規盾でいなし、お返しに大きな隙のできた胴体を鉛筆剣で貫く。
「たまには盾を使うのも悪くはなさそうね」
 ざくざくとソルジャーを刻んでいく志乃の様子を見ていた怜悧だが、そろそろ接着剤の効果も限界が近いことを察する。そして。
「思ったより早く敵の増援も来ましたね」
 ブルマニオン・ソルジャーは次々と応援を呼ぶ特性を持つゆえか、一個集団を行動不能にしてもゆっくりと料理させてくれる時間は与えてくれないようだ。
 そうだとしても志乃は、そして怜悧もまったく慌てた様子は見せない。
 いや、この時を待っていたとでも言わんばかりの余裕さがある。
「それならまとめて……吹っ飛べ!」
 ようやくコスモEXから解放されたソルジャーを、そして現れた増援を十分に引きつけ――志乃は構えた盾から自己最大級の魔力を衝撃波として放射する。
「なっ……! 耐えきれないっ!?」
 風に舞う木の葉のように宙へと放り出されたソルジャー。向かう先は。
「そっちいったよー!」
「弾数10発……十分ですね」
 怜悧が構えたのは鉛筆とシャープペンシルを掛け合わせたと表現すべきだろうか、指先ほどの芯のカートリッジ――銃弾か、あるいはロケットのような形をしている――がペンの中でいくつも連なった素敵筆記用具。
 先が丸くなって書きにくくなった芯は新たなカートリッジを、あるいは古いカートリッジをペン後部の装填部に押し込むと新たな芯がにょっきりと出てくる優れものだ。
「押し出し鉛筆型ガトリングガン『迸るロケペンサンダー チョコの香り』……発射」
 鋭い芯はソルジャーを一度に数体貫くに十分な貫通力を備え、撃たれた者をチョコの香りがほんのり甘く包み込む。
「なんという威力……! 隠れろッ!」
「残念ながら隠れてもこういうのもあるんだよねー」
「えっ、定規が飛んで……!?」
 ロケペンの射線外にカバーした敵は志乃がサイドアームとして忍ばせていた斬れ味抜群の定規ブーメランの餌食となるところまでセットでお楽しみいただけます。
 丁度怜悧が全ての芯を撃ち切ったところで、彼らの周囲にいたソルジャー全ての殲滅を確認したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パトリシア・パープル
武器っぽくない物を武器にする
わたしの得意な戦い方だわ

持てるだけの文房具型武器を持って戦場へ
巨大な三角定規型で【盾受け】しつつマシュマロ食べて肉体強化

近づく相手には万年筆からのインク飛ばしでバイザーを真っ黒にする【目潰し】を食らわせ、画鋲を拳にテープで貼ってメリケンサック代わりにしてやつでブン殴る!

擦れ違い様に瞬間接着剤で敵と敵をくっつけてやるのも面白そう
輪ゴムでペンを繋いで作ったクロスボウに、コンパスを矢として乗せて発射したり

トドメは巻尺を使用
【ロープワーク】で自分の得意武器であるヨーヨーっぽく操り、相手の首に巻き付けてから、そのまま引っ張り上げて絞殺するわ
「ふっ……南無阿弥陀仏、なんてね♪


辻・莉桜
文房具…ならばこれを使うしかないわね
今、またUDCアースで脚光を浴びている万年筆
いえ、万年筆型のマジックソード…!

敵の連携を断ち切るように線を描き、斬るのは序の口
蒼のインクの万年筆は冷気を司り
紅のインクの万年筆は炎を司る
緑のインクなら風を舞い上げ翻弄するの

なにより…これが一番の武器
色とりどりのインクを目の前にして
その色を綺麗と思ってしまったら最後…
敵を引きずり込むのは「インク沼」!
それは、多くのインクを集めたいと思う欲望…
あなたをその沼に引きずり込み動けなくしてあげる

トドメは金軸での一突き
文房具は正義と楽しさのためにあるもの
きっとここの住民の希望になるに違いないよね

絡み、アドリブ歓迎です


祓戸・多喜
いやなんで!?
アタシでもツッコミ所多く見えるけど…そうなるならそうなの?
うん、納得する事にして文房具っぽいので戦えばいいんだね。
JKだから使い慣れてるよ!

手に取ったのは分度器。
ここをこう捻ると…ビームが出てラウンドシールドになる!
格好よく見せるのに丁度いいオブリビオン。
UC発動し目の前の障害達に剛弓で矢の雨を降らせて攻撃。
動きは犠牲になるけどガンガン行けるね!
でも向こうの連携も上手いだろうし、近づかれて格闘戦…動き遅いから逃げられずピンチ!
でもそんな時、鼻で掴んだ分度器シールドで華麗に受け流し弾いた所に矢をシュート!
スタイリッシュに見えたかな?(決めポーズとりつつ)

※アドリブ絡み等お任せ🐘



 既に多くのソルジャーの撃破したが、まだまだこれでもかと沸いて出てくる。
 だがそれ以上に住民の士気は高く、陰ながら猟兵の支援をしてくれている。
「――っと、危ないところだったわね」
 パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)はそんな住民が隙を見せてソルジャーに襲われそうになっていたところを巨大三角定規シールドで受け止め、はじき飛ばす。
「あ、ありがとう!」
「気にしないで。こういう武器っぽくない物を武器にして戦うのは得意だから!」
 パトリシアが身を翻すと、がちゃりと全身に積載した文房具が音を立てた。
「もうその光景をツッコもうという気もなくなってきたよ……!」
 祓戸・多喜(白象の射手・f21878)は色々と状況が謎すぎてとことんツッコみたくて仕方がない状態だったが、さすがに目も慣れてきたというもの。
 少し象っぽい見た目ながらも普通の女子高生である多喜はとしては文房具は日頃から現役で使っているもの。
「だから扱いはお手の物、といいたいけど。けど!」
 ラグランジュポイント内で手に入れた分度器のちょっとしたでっぱりを捻るとビームが分度器の周囲に展開。真の姿たるラウンドシールドが完成した。
「こうなったら格好よくキメるしかないっ!」
「そうそう、こういうのはツッコミどころを飲み込んで思い切るのが大切ですね」
 指と指の間に数本の高級そうに光るペンを挟んだ辻・莉桜(花ぐはし・f23327)が多喜の決意を見届ける。
「それってボールペン……ううん、万年筆?」
「そう、万年筆です。あまり使われなくなっていた筆記用具だけど、だからこそ今またUDCアースでは脚光を浴びているの」
「へえ、そうなんだ」
「いえ、この場合は万年筆型の『マジックソード』……!」
 挟んでいた万年筆の1本を空中で掴み取るとキャップを開放。
 するとペン先から蒼のインクが線を引くように流れ出し――やがてそれは冷気を纏う刃となった。
「そっちに数体行ったわ、気をつけて!」
 パトリシアの声に多喜は一度分度器シールドをしまい、
「任せて! 近付かれる前に片付けるから!」
 ほぼ移動ができなくなる代わりに弓による狙撃能力を大幅に向上させるユーベルコードを発動する。
 能力を得た多喜は宣言通りに今まさに迫って来ようとするソルジャーを全て撃ち貫いていく。
「おっ、やるね♪ それじゃ後衛は任せようかな。わたしと莉桜さんは多喜さんまで敵が到達しないように援護、ということでどう?」
 莉桜と多喜はパトリシアの提案に同意すると、更におかわりとして出てきたソルジャーに対して早速フォーメーション攻撃を試みる。
「莉桜さんが万年筆を使うなら私も!」
 パトリシアはマシュマロをもぐもぐしながら――別におやつのつまみ食いというわけではなく、彼女のユーベルコードの効果を得るための対価としてもぐもぐしながら黒の万年筆を振るうと、莉桜とは違ってインクそのものが飛散する。
 飛散したインクは強い粘度を保ったままソルジャーのバイザーへと付着。
「なっ、前が見えないッ!」
「隙あり!」
 蒼の万年筆で一閃、凍り付いたソルジャーを「そりゃあ!」と画鋲メリケンサックで粉砕。木っ端微塵に。
 次なる万年筆、紅は炎の力を顕現させる。
「ほらほら、ついて来られる?」
 一方のパトリシア、今度は接着剤を取り出すと何人かのソルジャーの間をすり抜け駆け抜ける。
 いや、ただ駆け抜けただけではない。
 パトリシアの手に持つチューブからは強固な糸のように伸びる接着剤が伸び、それはついにソルジャーたちを絡め取った。
 炎を薙ぐ莉桜。
 炎は接着剤の糸を導火線のように渡り巡ると、その全てが燃え上がったところで大きく爆発した。
 更にもう一手、緑のインクは風を操る。
「莉桜さん、押し込んで!」
「万年筆に込められた風の力……舞い上がれ!」
 莉桜が万年筆を突き付けると、猛烈な風が突き抜ける。
 その風に乗せ、パトリシアは輪ゴムとペンを組み合わせ繋いだクロスボウから針の部分を伸ばしたコンパスを発射。
 速度がみるみる伸びた一矢は防御の上からソルジャーを砕き散らした。
「攻撃の多様性がありすぎる……!」
「しかし敵の攻撃ながら色彩に富んだ、なんとも……はっ!?」
 莉桜の操る万年筆はそれだけでも恐ろしい威力を、仲間と共に使えば更にその効果を伸ばすことができる。
 だが、真価はその先にある。
「色とりどりのインクを目の前にしてその色を綺麗と思ってしまったら最後……」
「床が黒い……いいや、様々な色の渦に……!?」
 ソルジャーの足は、いつの間にかまるで沼のようなものに、いや沼そのものに囚われていた。
 ありとあらゆる色のインクを集めたいと思う欲望……それこそが。
「あなたをその沼に引きずり込み動けなくしてあげる」
「う、うわああああ! 色が色々襲いかかってくる!!」
 インク沼である。
「文房具は正義と楽しさのためにあるもの。せめてここの住民の希望になれば……」
 神々しく光る金軸万年筆を掲げ、沼に引きずり込まれたソルジャーを貫いた。
 別のソルジャーも完全に沼に呑まれる前にパトリシアの巻き尺が首にきゅるりと巻き付き、介錯とした。
「ふっ……南無阿弥陀仏、なんてね♪」
 それと同時に後方から支援射撃を続けていた多喜。
「全ての犠牲はこの時のために……こいつを喰らえぇぃ!!」
「えっ、いつのまに!?」
 彼女は隠密に徹していたソルジャーの別働隊を白兵距離まで接近を許してしまう。
 目にも留まらぬ拳による不意打ち。
 普通の猟兵であれば防御が間に合わず大きな痛手を負っていたことだろう。
 しかし。
「クックック、手応えあった…………っんな!?」
 相手が悪かった。
 多喜は『鼻』を使って構えを解いていた分度器シールドを掴み取ると、やはり鼻をくねらせて死角からの攻撃を阻止。
「動きが遅いからって、何もできないと思ったの?」
「その鼻長過ぎ――」
「華のJKに向かって失礼じゃないのー!?」
 至近距離から弓道部仕込みの一引きをお見舞いする。
 空中に吹き飛ばされたソルジャーはそのまま爆発。炎の中に消えた。
「スタイリッシュに見えたかな?」
 爆炎の中にポーズを取るJKは実に、うーん、フォトジェニック。

 ――猟兵の機知と勇気により、一帯のオブリビオンは掃討された。
 多くの住民は猟兵に感謝し、そして新たな伝説を語り始めるだろう。
 文房具はかの侵略者より強かった、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月24日


挿絵イラスト