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冬のお宿を血に染めて

#サムライエンパイア

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●ただただ、好奇心
 冬、寒さ漂う宿場町。そこにほど近い丘の上、『妖狐』小町は鬼を従え宿場町を見下ろしていた。
 時刻は夕方。逢魔が時。眼下の宿場町ではまだ人々の営みが見える。
「さて」
 静かな声で小町は熟考する。
「どうなるでしょうか」
 今この鬼の集団を眼下の宿場町に解き放ったら、どうなるか。しかし分かりきった話である。皆死ぬ。けれど、もし、何か違うものが見れるのなら。誰かもしや名のある侍がたまたま居合わせ、切った張ったしてついには鬼を退治するやもしれない。ただの虐殺でなく、そういった予想外の何かが見られるなら、とても楽しみだ。
 だから、
「この鬼を解き放ったら、どうなるでしょう」
 答えの分かりきった問いを発する。そうして鬼達は解き放たれ、案の定宿場町は血に染まり、人っ子一人居なくなった。
「つまらない・・・」
 結局思った通りの答え。妖狐のオブリビオンは口をとがらせ呟いた。
「つぎは、何か面白いものがみれるでしょうか」
 そういって鬼達と狐は別の町を目指し去って行った。

●宿場町に平穏を
「好奇心だけで宿場町が全滅するたぁ笑えんの」
 ココココ、笑いながらアイリ・ガング―ルはグリモアベースに集まった猟兵達に声を掛けた。
「宿場町をな、妖狐のオブリビオンが襲うとしておる。『小町』というやつらしいの。好奇心旺盛なようで、今回の興味は、『なんの変哲もない宿場町を襲ったら果たしてどうなるだろうか』とからしい。これといって特別な守りもない宿場町じゃ。襲われたら当然全滅する。で、当然の事が起こったのでつまらないらしく、何か変わった展開を見る事が出来るまで只管宿場町を襲っていくそうじゃ」
「好奇心で宿場町を全滅させていかれては溜まらん。故に鬼と妖狐の襲撃を撃退して、宿場町を助けれくれ、という訳じゃ」
 そう言いながらアイリは地図を広げた。
「連中、宿場町のほど近い丘の上から坂を下ってやってきよる。まずは棍棒鬼共の撃破じゃな。1体1体は首魁の妖狐、小町より弱いとはいえ、数が多い。怪我するでないよ。」
「そしてそいつらを倒した先、丘の上に妖狐『小町』が居る。こいつが今回の事件の原因故。倒すのじゃ」
 そう言ってバッと婆とでかでか書かれた扇子を振りながらさらにアイリは言葉を続ける。
「特に気を付けるべきは、巻物じゃな。これでユーベルコードを防御すると、それで写し取り一度だけ借用できるらしいの。ま、そこらへん気を付けるとよいよ」
「オブリビオンとしてであうが妖狐がこんな騒がしい真似したらみどもら今を平穏に生きとる妖狐にも良い迷惑じゃ。サクッとやってくれると嬉しいぞ」
 ココココ、煙管を片手にアイリは笑った。


みども
 冬のお宿に攻めてくる妖狐を被害が拡大する前に撃退しましょう。
 皆様のプレイング、お待ちしてます。
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フォーネリアス・スカーレット
「どうなるか、だと。決まっている。全部死ぬ」
 特に遠距離攻撃も無い、力押しで来る集団戦か。私向きの状況だ。炎剣二刀を構えて距離を詰め、竜の跳躍で一度頭上を飛び越えながら炎剣を投擲して殺す。そのままチェーンブレードを無尽の鞘から抜き、袈裟斬りに振り下ろしから横薙ぎに振り回しバラバラにして殺す。逃げようものならそのままチェーンブレードを投げつけて殺す。私の武器は量産品だ。別に使い捨てても問題は無い。怨念の塊に変えるというのはよく分からないが非実体化の類か。なら千撃ちで撃ち殺す。
 多少の反撃はあるだろうが知った事か。全員殺す。


蒐集院・閉
ただ退屈で命を奪うなど。とじにはあまりにも残酷に思えます。
しかし、まずは鬼。眼の前に集中しましょう。

鉄塊と黒剣を用い、一体一体確実に仕留めていきましょう。
鉄塊の名、伊達でないと証明しましょう。敵の攻撃を受け流しながら反撃を狙います。(「怪力」「武器受け」「見切り」「カウンター」「激痛耐性」)
受けるダメージは敵より補います。(「生命力吸引」)

【灼熱地獄】も解き放ち、追撃とします。味方の方を巻き込まないよう注意しつつ、炎を中で戦いましょう。(「火炎耐性」)
遠距離よりの攻撃は炎で対応します。

現世に鬼は必要なし。地獄に送り返しましょう。



「知らん。殺す」
 夕方、まだ雪も降りやらぬ宿場町。人々の営みを前に駆け降りる鬼たちを前に、二つの影が遮った。
「おや・・・」
 脅威であろうか。一端妖狐は鬼たちを留めた。もし、鬼の襲来を防ごうとする者ならば、それはつまり。
「どなた、でしょうか」
 雪のような白い肌に、血の半月が浮かぶ。ついつい嬉しくなって口元がほころんだ妖狐、小町は相手を見定めようと目を凝らす。丘の頂上に立つ彼女にとって、その姿はまだ小さいものだった。
「殺す」
「スカーレット様・・・ッ!?」 
 影の一方、比較して背の高い方はただそれのみを伝えて、一方が止める間もなく走り出した。
 そもそも結果など走り出した女、フォーネリアス・スカーレットにとって分かりきった話だった。
「どうなるか、だと。分かりきっている。全部死ね」
 眼前には鬼の集団。遠距離攻撃もないのであれば、スカーレットは鏖殺の意思をもって敵を睨む。構えるは炎剣二刀。跳躍し、
「ですから、スカーレット様・・・!」
 白と黒の影、蒐集院・閉が追いすがり
「あら・・・」
 妖狐も驚いたように巻物で口元を隠す。
「ですから、」
「「そんなに高く跳躍されては弓矢で迎撃されますよ!!」」
 敵味方が同じ答えを口にして、当然の如くスカーレットは跳躍の最大到達点で弓矢に迎撃された。鬼たちによる【死武者の助太刀】だ。召喚された【落ち武者】たちの弓がスカーレットに降り注ぎ、体勢を崩し敵中に落ちる。
「つまらないですね・・・」
 復讐に目が曇っていたのだろうか。遠距離攻撃は無いと見て突貫してきた敵中に倒れ伏す女を見て、妖狐はそう結論付けた。もはや死に体だろう。そう『答え』を出して、妖狐は鬼の集団に接敵する少女を見やる。
「貴方は、どうでしょうか」
 その顔には、まだまだ集団の長であるが故の余裕が漂っていた。
「くっ・・・!」
 倒れ伏すスカーレットを見やり、しかし次の瞬間、眼前の鬼の方へ閉は視線を合わせた。どうやら鬼は彼女に興味を持たないらしく、皆が皆こちらを見ている。
 ただの退屈、好奇心で命を奪うなど、閉にとってはあまりにも残酷に思える。故に此処で討つ。けれど、今は、
「鬼、ですね・・・!」
 気合一閃。接敵してきた鬼の一閃を鉄塊で受け流す。巨躯の剛力を自身の怪力と見切りで躱す。筋肉が軋むが奥歯を噛み締める事で耐えた。そのまま黒剣を目に突き刺し、鬼は震え、息絶えた。
「いち」
 刃を抜き、倒れた鬼を踏み倒し、新たな鬼の棍棒が襲い掛かる。左右からは落ち武者の刃が迫ってくる。加えて頭上からは弓矢。どうやら先ほどスカーレットに弓を放った落ち武者達が放ったものらしい。
「これは、辛いですね」
 なので一歩下がりまずは鬼の金棒を避けた。めり込む金棒に軽く乗り、目測を見誤った落ち武者の刃が閉の両腕を傷つける。だから、
「ここに、灼熱の炎を、復讐を。さぁ、閉の、地獄です」
 傷口から炎が巻かれ、嵐となり頭上から襲ってきた矢がことごとく燃やしつくされた。
 自身の金棒に立った少女から炎が巻き起こり、鬼は顔面を炙られ思わず悲鳴を上げて後ずさる。斬りかかった落ち武者達は当然の事として炎に巻かれ焼き尽くされていた。
「お静かに。鬼が現世で騒ぐものではありません」
 炎から黒き刃が突き出され、生命力を吸いあげると共に鬼の命を終わらせる。
「これで、よん」
 ポツリ、呟き閉は、【灼熱地獄】を顕した閉は進軍を始める。炎の範囲を少し広げ、鬼たちが炎に巻かれながら閉の前に現れる。鉄塊と黒剣を構え、
「さぁ、鬼は現世に必要なし。地獄に送り還しましょう。」
 剣戟と断末魔が、炎の中で響き渡り、地獄がじりじりと、僅かに歩を進め出した。
「ころす」
 ピクリ、悲鳴を聞いて女の声が上がる。妖狐は確かに女の行いの答えを出した。弓兵を考慮しない愚かな跳躍。けれど妖狐は、女の。女が抱くオブリビオンへの復讐心を見誤っていた。だから、結局は間違えていた。
 炎の地獄が顕現して、その中に巻き込まれた落ち武者、棍棒鬼、どちらもただ断末魔を上げるのみ。それを見て小町は楽しげに微笑んでいた。
 なるほど、これは楽しい。まさか一方的に町人たちを蹂躙するはずの鬼たちが少女の見た目の、雰囲気からしてヤドリガミによって押しとどめられるとは。どのような術理であろうか。知りたい。識りたい。生きたまま捕えたい。
 炎の嵐、確かに恐ろしいがこちらも十分以上に鬼は従えていた。ましてやその鬼が落ち武者を召喚しているのである。確かに今は一方的だろうが何時かは倒れるだろう。炎の嵐が矢を防ぎ、鬼を焼こうとも、まだまだ、数はある。疲れたならば捕えよう。捕えたならば開こう。何、ヤドリガミなら死にはすまい。死なないという事は死ぬまで研究できるという事だ。愉しみ。
 一番最初に気付いたのは、そのような無邪気な悦に浸っていた小町だった。
「あら?」
 最初、弓で迎撃され、倒れ伏したドラゴニアンの女から、何やら言葉に出来ない「圧」が、湧き出たような・・・。
 疑問はすぐに氷解した。
「わたしが殺すと言ったっだろうが!!!!」
 スカーレットが矢を抜き体から血を吹き出しながら叫び、起き上がる。その勢いで炎剣を投擲。鬼が一体倒れ伏した。既に死に体。そう高をくくっていた鬼たちが俄かに浮足立つ。今まで眼前より迫りくる炎の嵐に備えていたのだ。完全な奇襲だった。
「殺す、必ず殺す。全部、まとめて、一匹残らず殺し尽くす!!!!!」
 雄たけび。チェーンブレイドが無尽の鞘から物理法則を無視した形で引き抜かれ、そのまま刃を今度は召喚されていた落ち武者の血に染めた。
「さぁ、敵はどこだ。いや、いやいやいやいや。はは、はははは。違う。違うな?敵は居る。ココに。いる。総てが居る。ああ、殺す。殺すぞ貴様ら。総て殺すぞ貴様らぁ!!!!!」
 もはや半ば理性がないかのような叫び。『オブリビオンへの殺戮衝動の為に不利な行為を行うと身体能力が増大する』という特性を最大限に発揮した【殺戮衝動】がスカーレットを限界まで強化していた。
 そのままチェーンブレイドすら切り殺し、投げ捨てる。殺せるならなんだっていい。あくまで持ち合わせの武器も量産品だ。だから今度は棍棒鬼の金棒を奪い取り、その脳天に返してやった。武器と同時に鬼が霧散する。自身の血と鬼の血が混ざりあい、陣中に血の嵐が巻き起こった。
 前方から迫りくる炎の嵐に突然陣中に沸いた暴虐の嵐。一気に鬼たちの陣形が崩れてゆく。なれどまだまだ数は多い。ただでさえ多い鬼が落ち武者を召喚しているのだ。一部は逃れ、活路を見出すために町へと降りようとしている者たちも居る。
「じゅうく!」
 炎の中、鬼を上段から袈裟懸けに切り倒した閉は一息ついた。まずは気配からスカーレットが元気にやっている事を察する。正直どうしようかと思ったので安心だ。とはいえ戦況はまだまだ安心できない。炎の嵐で閉じ込めるにも敵が多すぎる。暴虐の嵐が巻き起ころうとも所詮は個人だ。結局のところ、数で負けている。
 だから、
「頼みましたよ、他の方々」
 自分は自分の出来る事をするだけだ。嵐が頂上を目指し僅かにでも昇って行く。共に戦う猟兵をを信じ、今は自分の出来る事を成すだけだ。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

畔扉・瑞
……変わった展開を見たいが為に宿場町を襲うとは。

小町とやらの好奇心を満たしてしまうのは腹立たしいことですが。
人々が殺されるのを見過ごすわけにはいきません。
宿場町をお守りしなければ。

ふう、少し気を落ち着けましょうか。
怒りは判断を鈍らせてしまいます。

さて、まずは鬼退治ですね。

【巫覡載霊の舞】で【衝撃波】をくらわせ【なぎ払い】ましょう。

周囲に複数の鬼がいるなら【範囲攻撃】で【吹き飛ばし】ますね。
暑苦しいので囲まないでいただけませんか?

弓矢の攻撃がきたら【衝撃波】で【吹き飛ばし】てみましょう。
近接攻撃は【武器受け】後【カウンター】で対応します。
大きなダメージを受けそうな攻撃は【第六感】に頼り避けたく。


七星・桜華
「つまらない理由で町を襲撃するなら反対に潰される事も道理だ。」

鬼達が下ってくる坂の前に立ち塞がり濃密な【殺気】で存在を知らせながら多数の【残像】を発生させて本体への攻撃をさせずに【力溜め】【範囲攻撃】【鎧無視攻撃】【なぎ払い】【2回攻撃】を駆使してユーベルコードを使って鬼だけを指定して攻撃する。

危険な攻撃は【残像】【見切り】【第六感】【野生の勘】で回避する。


宇瀬・和迦
さてさて、小町さん…だっけ?
面白いのが好きなのは分かるんだけどねー。でも、これは面白くないかな。
思惑に乗ることになるのが癪だけど、さくっとお説教に行こうかな。

ということで。ボクの狐火が火を噴くよ!
接近はなるべく避けて、突破しそうなのとか、隙を付いてる鬼を優先して狐火で攻撃。
近づいてきたら剣で対応するけど、上の小町さんが本命なんだから、他のみんなの消耗を抑えられるように狐火で上手く立ち回れたらベストかな。
さぁて、お説教にいくよーっ!



 赤と紅。血の嵐と炎の嵐。二つの嵐は確かに鬼たちの脅威となり、宿場町への侵攻を押しとどめていた。けれどしかし、鬼と落ち武者の数は多く、それ故にあふれ出る者たちも居る。
 だからそのあふれ出た者の侵攻を押しとどめる必要があった。つまりは、
「ボクの出番だね!」
 赤い髪に金の瞳。巫女服をアレンジしたような服に身を包んだ妖狐の少女が宿場町にほど近い坂の終わりで元気にそう宣言する。
 手で以て印を組み始める。幸い嵐から逃れ出た鬼や落ち武者は数が少ない。つまり自分の【フォックスファイア】で十分に対処ができる数だ。
「さぁて、予想外を見せて思惑に乗るのは癪だけれど、これは面白くないからね!」
 快活な瞳。その虹彩をがキュと獣ように絞られて、印が結び終えられる。
「さぁさ、背後に立ちやる宿場町。之の七難を退けたまえ!我が尾より産み出されし狐火共よ!」
「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女!!」
 切るは早九字。それに合わせて九つの狐火が湧きおこり、
「破邪顕正!急急如律令!」
 一斉に鬼や落ち武者に襲い掛かった。顔に当たれば顔を焼き、足に当たれば足を焼く。撃破に至らないが嵐から漏れ出た鬼や落ち武者は完全に足を止めた。つまりは宿場町を襲う事は無い。ならば自分の役目は果たせている。
 ふふん、妖狐の少女が胸を張り。
「これでよし!よろしくね、畔扉くんに七星ちゃん!」
 元気に声を掛ければ、
「承知したよ。」
 女のさばさばとした声に
「承りました。いきますよ、みなも。」
 男の柔らかな声が応えた。

 次の瞬間、朱い影が稲妻のように疾(は)しり、炎に巻かれて立ち往生している鬼と落ち武者の右半分を吹き飛ばした。
 同じ瞬間、蒼い影が水のように吹き荒れて、炎に巻かれて立ち往生している鬼と落ち武者の左半分を吹き飛ばした。

「さぁて、つまらない理由で町を襲うなら、反対に潰されるのも道理。」
 そう言いながら残心して、再び刃を構えて鬼と落ち武者の集団に【殺気】を飛ばし、『我はここに在り』と告げるのは七星・桜華だ。
「人が殺されるのを見過ごす訳にはいきませんね。お守りしなければ。とはいえ、元凶の好奇心を満たすのは癪ですが・・・。」
 そういって、冷静になろうと怒気を深く息から吐き出すのは畔扉・瑞。
「ですが、その好奇心のお代は小町本人から頂戴しましょう。」
 そして薙刀、ミナモを構えなおす。体がかすかに蒼の燐光に包まれているのは【巫覡載霊の舞】によって【神霊体】となった証である。

「それでは、七星さん。手筈通りに」
 静かな瑞の言葉に
「おう!おねーさんは心配ないよ。ま、お互いの第六感を信じようや。」
 自分より一回りは年の若い瑞に笑いかけ、
「では、いきますよ!」
 そう言って瑞が前方、炎の嵐がカバーしきれていない鬼の群れへ駆けだすと同時、
「それじゃあ天魔御剣流』免許皆伝、七星・桜華、参ろうかね!」
 同じように桜華も駆けだした。
 
 そうして鬼の嵐に新たな暴虐が加わる。蒼の嵐は薙刀から衝撃波を生み出し、そこかしこの敵へ、血の嵐と炎の嵐に当たらぬように配慮しながらも敵をバタバタと薙ぎ払っていく。
 朱の嵐もまた、同じように敵を薙ぎ払う。やはり血の嵐と炎の嵐に当たらぬよう配慮して、幾多の残像を生み出し的を絞らせず、力を貯めた刃が翻り、こちらも敵を切り裂いていく。
 朱の嵐と蒼の嵐。どちらも炎の嵐と血の嵐に配慮しながら、けれどお互いには一切配慮していなかった。
 そのため、
「!?」
 薙刀の衝撃が桜華を掠る。
「・・・!」
 薙ぎ払った刃の衝撃が瑞の鼻先を横切った。
 けれど互いに止まらず、敵を討つ事、炎と血に配慮する事のみを意識する。
「さぁ行くよ大技!我が闘気を解き放つ!」
 桜華が叫び、無差別に【フルバースト・オーラデストラクション】が放たれる。対象を無差別に攻撃する【神魔の融合した闘気】は確かに瑞も捕えていたが、しかし、
「中々、危ないなっ・・・っと!」
 避けた。ニヤリ、私よりかなり若いのによくやる。ついつい桜華の頬が吊り上がる。そう、もとよりこの二人、『乱戦中の範囲攻撃においてお互いの事を意識していない』。既に血の嵐と炎の嵐が吹き荒れているのだ、その中に入っていって、『お互いに攻撃を当てないようにしよう』という配慮は負担だ。だからこそ、それぞれが互いの【第六感】による回避を信じて、一切気にせず攻撃を放つ。
 お互いの技術に頼ったこの行為は、けれど互いにうまくいっていた。血と炎の嵐に攻撃が行かないように配慮は必要だ。けれど、『それ以外に味方を考慮する負担がない』のなら全力が出せる。
 瑞に四方八方から金棒、落ち武者の刃が襲い掛かる。集中する事で伸びた時間の中、新たに桜華の刃が滑りこんでくる事を【第六感】が告げる。だからためらわず、まずは落ち武者の刃を薙刀、みなもを使って絡めとり、態勢を崩させる。迫りくる桜華の刃は落ち武者に吸い込まれ、そうして労せずして一体撃破。そのまま空いた穴から包囲を抜け出し、薙刀が衝撃波を振るう。
 その衝撃波を【第六感】で以て察知していた桜華今度は偶々分身でなく本体に向かってきた鬼の金棒を受け止めようとせず、バック転で避け、瑞の衝撃波を鬼に直撃させる。
 そういった風に蒼と朱の嵐は、お互いを見ずとも感じ、鬼の軍勢にさらなる消耗を強いていた。
「そろそろいいでしょう」
「だな」
 そうして暴虐を振るった後、まだ鬼の軍勢は健在ながらも、瑞と桜華は頂上を目指し始めた。
「はて」
 上り来る二つの姿を見て、小町は首を傾げた。おやおや。鬼の軍勢はまだ健在。確かに血と炎の嵐はとどまっているけども、下で妖狐の少女が宿へ向かおうとしている鬼を押しとどめているけれども、まだ確かに鬼は残っている。なぜこちらに向かって来るのか。
「どうしてですか?」
 分からない。のが楽しいから、微笑みながら小町は問いかけた。
「そりゃ勿論お前さんを倒さなきゃならんからね。」
 一筋の血も流さず、桜華は笑いかける。
「それに鬼も、どうにかしますよ。なにせ」
 ユーべルコードの代償として寿命を削られているが故に荒い息を吐きながら瑞が言葉を続けた。
「俺たちが、これだけだと思ったか?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

照崎・舞雪
「敵の数が多いなら、その多くの敵を一度に攻撃すればよいのです」
「私の凍気は、地獄の業火すら凍らせるのです。実際にやったことないですけど」

祭礼剣ネプトゥナリアの刀身を氷雪の花びらに変え
半径20m内の棍棒鬼とそれが召喚した落ち武者を次々と攻撃していく

冬の霊気と雪花繚乱の霊気で棍棒鬼の持つ金棒も極度に冷たくなり
あるいは手に張り付いたりと地味にダメージが発生するかも

「吹雪く百花に見惚れたまま、凍てつくといいのです」

(後で温泉に入ってあったまりたいですねー)


玄崎・供露
はん、なんの変哲もない宿場町で鬼を放ったらどうなるか、ね。……その結果ァ、眉間に突き付けて教えてやんなきゃな、丁寧に

数で攻める相手にはそれを上回る数で押し潰すに限る。……ユーベルコード『軍勢跋扈』発動。できるだけ多くを対象に入れる為に敵陣のど真ん中に突っ込む。ダメージは受けるだろうが「捨て身の一撃」のつもりで、殴られる前に「先制攻撃」する。一応「激痛耐性」に連中お得意の怨念なんかにたいする「呪詛耐性」もある。

好奇心は鬼くらいなら殺せちまうんだな。気を付けるよ、俺も


※アドリブや絡み、ダメージ描写等大歓迎です。ご自由にお願いします


夷洞・みさき
お楽しみを邪魔するのは悪い事だけど。
これから君達に楽しんでもらうわけにもいかないんだ。
この世はこの世の者が楽しむべきだし。
そうでない者は、その隙間で楽しませてもらう程度で我慢しないとね。

だから、僕は、僕等は君達の邪魔をして海に還そう。

【WIZ】
同胞達を呼び、霊に対応
自身は本体狙い
霊でも手足を捥いだら、刀も弓矢も使えないよね。

霊からの攻撃は「呪詛耐性」で軽減を狙い、手足を車輪で「踏みつけ」「傷をえぐり」武器を使えなくする。
「恐怖」「呪詛」、「深海の冷気と重圧」を召喚主に与え、行動にデメリットを与える。

鬼たちが、宿場町を狙ったら、
そこは御仕置場と成り果てた…って所かな

同道アレンジお任せします



「そういう事ですね」
 声が宿場町から響き、楚々とした雰囲気に藍色の髪をした少女が坂を上って歩いてくる。
 そうして妖狐の少女が横を通り過ぎ、狐火で足止めされている鬼が苦し紛れに金棒を振り下ろせば、
「おどきなさい」
 祭礼剣ネプトゥナリアの青く透き通る刀身が翻り、一刀の元に切り伏せた。
 炎の嵐も横切って、静かに鬼を斬り捨てながら唯々歩いていく。
 当然鬼の軍勢の中に入って行く訳だから、攻撃は正面ばかりではない。進んでいく後ろ、後方からの攻撃は
「さすがに女の子が1人入って行くのを見過ごすわけにはいかないんだよ、ね!」
 いずこからか現れた黒刃を持った少年によって防がれた。
「何と、私の方がお姉さんですのに」
 プクーっと少女、照崎・舞雪の頬が膨れる。
「そういう事言ってる暇が・・・ッ!?《正刻印/プラスドライバー》!!」
 新たに振り下ろされた棍棒を手で受け止めれば、血を代償に棍棒が吸収されていく。
「あると思ってるのかよ!?」
 そう言いながら黒髪で口元を黒いマスクで隠した女装の少年、玄崎・供露は抗議した。
 その様を見て舞雪は一つ頷き、
「なさそうですね」
「ねぇよっつって!っとぉ!」
 さらに襲い掛かる棍棒に刃。幸いにして受け止める事が出来た。また《正刻印》。
「平常心ですよ、玄崎さん」
 一方の舞雪は涼しい顔で鬼を斬り捨てる。なお迫りくる落ち武者の対処は玄崎に任せていた。
「こにゃろ・・・!」
 言いたい事は無限にあったがそれを言ってもしょうがない。故に玄崎は集中する。目指すは敵陣ど真ん中だ。
 そうして進んでいけば、当然の事として今度は矢が射掛けられる。気付けば鬼は居らず、周辺を落ち武者で固められていた。これなら矢を射掛けられても被害は召喚した落ち武者の霊だけで済む。
「おい!?どうするよお姫サマ!」
 皮肉げに照崎へ伝えると
「むぅ・・・仕方ないのです。本当は敵陣ど真ん中で一気に攻撃して殲滅したかったですが・・・」
 そう言って迫りくる矢を前にユーべルコードを使う準備を始めた。
 しかし、
「大丈夫だ。そのまま進めばいいよ。」
 
 二人に新たな声がかかり、そして祝詞が響き渡る。

「澱んだ海の底より来たれ」
 舞雪と供露は在り得ない筈の匂いを感じた。。海の匂い。しかし澱んだ、磯臭さ。

「身を裂け、魅よ咲け。我ら七人の聲を、呪いを、恨みを、羨望を示そう。」
 そうして次に感じるのは冷気だ。その供露はただ単に寒さとして感じ、舞雪はその能力故に自身の常日頃感じる冷気とはまた違った種の、雪や氷とは違う、まるで深海のような重く、澄んだ寒さを感じる。

「忘却した者達に懇願の祈りを込めて」
 そうして【言葉/祈り】は結ばれ、

「《忘却祈願・我は我等なり》」
 宣誓が世界に響いた。

 瞬間、舞雪と供露の周囲に咎人殺しの霊が6つ、召喚される。そしてその、【頭、手足、胴体、心臓を引きちぎる暴力】で以て、迫りくる矢を打ち払った。
 そのまま、6つの霊は舞雪と供露の周囲を暴れまわり、鬼の軍勢を打ち払ってゆく。まるで軍勢の中心点へと二人を誘うように。
 突然、集団で敵が現れた事で鬼と落ち武者は浮足立ち、その間隙をぬって舞雪と供露の元へ現れたのは、磯臭い臭いを纏い、蒼褪めた様相の上に楽観の笑みが浮かべた女、夷洞・みさきだった。
「僕も混ぜてくれないかな?」
 にこやかに二人に声を掛ける。
「助かりました」
 それににこやかに舞雪が返せば、
「サンキュー、けれどぐずぐずはしてらんねぇぞ」
 急かすのは供露だった。
 二人の振る舞いにみさきは一層笑みを深くして、
「その通りだ。この世の楽しみはこの世の者たちだけのものだ。そのおこぼれで我慢できないようなら、海に還さないとね」
 そうして3人は6つの霊の暴力を以て蹴散らしてゆき、ついには鬼の集団の中心点へ至った。

「さて、お二人とも、ここまでありがとうございます」
 ペコリ。鉄火場に相応しくない丁寧さで舞雪が頭を下げた。
「俺も舞雪もやりてぇは一緒だ。言われるまでもねぇよ。いくぞ」
「せっかちなんですから」
 プクー。
「ああそうだよせっかちだよ!・・・みさきもありがとうな」
 その言葉にみさきは笑みを深くする。周囲は依然としてみさきの召喚した霊に蹂躙されていた。
「じゃあ、いくぞ!舞雪!」
 そう言って舞雪と供露、2人してそれぞれ中心点から左右に駆けだす。
 ある程度距離が離れた段階で、それぞれがそれぞれ、なすべきことを成した。即ち、
「吹雪く百花に見惚れたまま、凍てつくといいのです」
 そう言って舞雪の手に持つ祭礼剣ネプトゥナリアが輝く氷雪の花弁となれば
「対象確認、蹂躙しろ」
 という供露の言葉と共に無数の自立戦闘兵器がどこからともなく現れて、
「《雪花繚乱/セッカリョウラン》」
 氷雪が舞い踊り、舞雪の周辺の敵を悉く凍らせて
「《軍勢跋扈/レギオンレイド》ォ!!」
 自立戦闘兵器が供露の周囲の鬼たちを悉く殲滅した。
「やはり敵の数が多いなら、一度に多くの敵を攻撃すればいいのです」
 フフン、と舞雪が胸を張る。鬼はほぼ撃破した。もう脅威にならない。なら後は小町だけだ。終わったら、おふろはいりたいですねー。
「そりゃ数で来るならこっちも数で押しつぶすに限る・・・なぁ?」
 そう言って供露は小町を見上げた。
「宿を襲ったらどうなるかだって?」
 そうして右手を銃の形にして、
「その結果ァ、眉間に突き付けて教えてやんなきゃなぁ、丁寧に」
 撃つ真似だ。その様を見て、これから襲い掛かってくるであろう猟兵達がどのような攻撃を仕掛けてくるか、未知に喜びを感じていた筈の小町の背に、確かな怖気と寒さが走った。恐怖だ。しかしなぜ。ハッとしてニコニコと微笑む磯臭い女を見る。
「感じたかい?それが今から君が還る海の寒さだ。さぁ、骸の海に沈んでいこうか」
「ふ、フフ」
 楽しい。怖いのが。ああ、どうしてくれるだろうか、この猟兵達は。だから残りの鬼を殲滅して、駆けあがってくる彼らに両手を広げる。
「さぁ、おいでなさいな」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『妖狐』小町』

POW   :    妖狐の蒼炎
【青白い狐火】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    クイックフォックスファイア
レベル分の1秒で【狐火】を発射できる。
WIZ   :    コード転写
対象のユーベルコードを防御すると、それを【巻物に転写し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠暁・碧です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルーナ・ユーディコット
好奇心で人を殺す
どこにでもいるんだね、こういうの

こういう悪が私は一番嫌い
この命を燃やしてでも首を狙う理由になる
「その笑みを……穿つ」

強化系のユーベルコードは、コピー出来ないかもしれない
孤狼【彗星】を発動し戦う
高速移動に【ダッシュ】を合わせ距離を詰め、【捨て身の一撃】で敵を【串刺し】にする
【2回攻撃】を追撃の為に行う、前のめりに戦う

私には傷を厭わない【覚悟】がある
人狼病になる以前は村娘だった私が思いつく、そして出来る最善を為すためにこの偃月刀を全力で振るう

例えこの全力が、首に至らないとしても
私のユーベルコードの輝きが、何らかの形で勝利を兆すものになるなら構わない


玄崎・供露
さて、答え合わせの開始だ。精々頭に刻んでくたばるこったな――

変に属性の付与されてねェ単に熱くて燃えるだけの狐火なら刻印の魔力ブンまわして正面で『激痛耐性』で受けてそのまんま返してやれる。ユーベルコード『二度手間』発動……だ。

そんで借用分は相手が例のコード転写をするときに撃ち返してやるよ。速度のあるユーベルコードはこういうときに便利だよなァ

※借用したユーベルコードは瞳前に現れた魔法陣から発動されます

※アドリブや連携など大歓迎です



「その笑みを……穿つ!!!」
 両手を広げ、迎え入れるような体制を取った小町にまず突撃したのは、ルーナ・ユーディコットだった。
 まだ巻物は広げられていない。つまりは巻物でコピーする事は出来ないだろうと踏んでの速攻。
「月桂樹!」
 腕に巻き付いた緑色のドラゴンがそのまま偃月刀となり、青い炎のような魔力が体の周囲を覆い、さらに加速してゆく。
「だい・・・きらいよ!」 
 好奇心で命を奪うなんて悪、一番嫌いだ。ならばこそ、命を懸ける理由にもなる。《孤狼【彗星】/コメット》を発動した視界が赤く染まる。高速移動を可能とした代償に、寿命が削られて行っているのだ。けれどいい。なにせこの悪、命を燃やしても首を狙う理由になる・・・!
 丘を駆けあがってくる青い彗星に、妖狐『小町』は朗らかに笑みを浮かべた。ああ、なるほど。これは早い。対処できないだろう。私なら。だから、
「おいでませ。さぁさ冥府よ骸の海よ。蒼き炎で悪意を迎え入れましょう。御代は結構。貴方様の命故。躍りましょう躍りましょう」
 パンッ!柏手一つ。
「《妖狐の蒼炎》」
 瞬間、小町の周囲を炎が舞った。半径40メートルの範囲に居る敵を容赦なく炎が襲い掛かる。つまりはルーナと、
「なめんじゃねぞ・・・!」
 炎に巻かれながら歯を食いしばり、ルーナと同じようにいち早く小町の元へ、坂を駆けあがりだしていた玄崎・供露だ。
 【激痛への耐性】がある故に怯まず駆け上がる。
 まだ小町と、もはやそこにほ
ど近いルーナは遠い。だが、《呪刻印/ヘックスドライバー》は神秘を捕えた。故にただただ駆け上がって行く。
 それをしり目に、蒼炎に巻かれながらも【覚悟】を持ってそれを突き破ったルーナはついに小町の眼前に立った。蒼炎はその役割を果たしルーナの足を少し鈍らせた。 その間に準備は出来ている。既に数々の狐火が周囲を舞い、手には巻物が広げられている。
「ようこそ。貴方様。歓迎いたしますわ」
「そうかい。」
 そっけなく返して偃月刀を構える。手には巻物。さて、身体強化のユーベルコードなら、コピーは出来ないだろうか。一瞬疑問がよぎるが、それを消し去る関係ない。 大事なのは、目の前のこいつを倒す事。首を取れるなら、それを厭わない。だから、
「命燃やす孤狼の疾駆、宵闇を切り裂く彗星と知れ・・・!」
 構え、一瞬で距離を詰める。衝撃波が襲い掛かる狐火を吹き飛ばし、けれど眼前に巻物が広がる。止まれない。巻物の裏、首があるであろう場所に叩き込まんと偃月刀を振るう。
「さぁ、楽しみですね。貴方の力を私が写し取れるのか。答えを得ましょうか。」
 楽し気な、童女のような声。
「その前に俺の答えを頭に刻んで精々くたばれや」
 刃が巻き物に触れる瞬間、それより先に青い狐火が巻物を襲い掛かり、炎で包む。
「なっ!?」
 不思議とその炎はコピー出来ず、小町は疑問の声を上げた。動揺をよそに、刃が炎に巻かれた巻物を切り裂き妖狐を襲う。ほとんど反射だった。どうにか首を狙うそれを後ろ手に飛んで避けた。けれど完全にはよけきれず、胸元を切り裂き血が舞う。
「はっ!流石に自分の狐火をコピーはできねぇか!」
 快哉の声を上げるのは供露だ。瞳の前に現れた魔方陣が煌々と輝いている。先ほど受けた蒼い狐火をそっくりそのまま返したのだ。
「自業自得ってなぁ!」
 《二度手間/ダブルクリック》。奇しくも妖狐、小町と同種のユーベルコードは、仲間が居た事。そして供露自身が巧みだったのだろう。小町のそれの出鼻を挫き、確実に発動した。
「ひ・・・どい、ですね。」
 巻物の一部が火に焼け、淡い白地だった服も血に染まっている。けれどまだまだ小町も体力はあるようで、抗議するようにルーナと供露を睨みつけてくる。
「首には至らなかったか・・・」
 ポツリ、ルーナが呟く。それが残念だった。
「そう言う事もあるだろうよ。」
 以前、瞳の前に魔方陣を浮かび上がらせ、供露が答える。それにフと笑みをこぼし、
「そうね。けれど、小町の首は確実に近くなった」
「ああ。なら、まず俺たちが次にすべきは・・・」
 眼前、無数の狐火が小町の感情に呼応するかのように浮遊している。《妖狐の蒼炎》だ。
「とりあえず他の連中が攻撃しやすいように、こいつを引きつけることだ・・・な!」
 瞬間、炎の波濤が襲い掛かる。供露とルーナは、それを引きつけ真っ向から受け止める為に各々武器を構えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蒐集院・閉
とじは、私は、出来る事をするまで。
最期の戯れ、お気に召すままお楽しみを。私はただ殺すまでです。

炎の嵐は止めません。寧ろ、より強く。
真の姿を開放し、【黒風鎧装】も使用し、より強く炎を吹き上げて、
接近し敵より生命力を奪いながら戦います。(「怪力」「生命力吸収」)
蒼炎も狐火も、私には問題ではありません。(「見切り」「武器受け」「激痛耐性」「火炎耐性」)

どんな炎も、私には生温い。
地獄と溶け合い、慣れてしまったこの身には。
真似るのであればどうぞご自由に。それは誰にも救えない復讐の炎、憤怒の風。
ヒトガタの内に収める他無かった、呪いの一欠片。
身を、書を焦がさぬよう、お気をつけを。


畔扉・瑞
ふふ、少し気が高ぶってしまいましたね。
平常心に努めなくては。

知っていますか?好奇心は猫を殺すそうですよ。
あなたは狐ですが、おろかな好奇心を持ったのが運の尽き。
ここで殺されてください。

狐火を放ってくるようで。
ならばこちらは水で対抗しますね。
【殲滅の鋭雨】を浴びせましょう。

攻撃されたら【第六感】で回避を。

近接戦闘が出来るようでしたら、
隙を伺い【忍び足】で近づきます。
【なぎ払い】【武器受け】【カウンター】【第六感】を使い
「みなも」を振るうのに合わせて
水の槍を放ってみましょうか。

攻撃は他の猟兵さんたちに当ててしまわないよう気をつけます。

もし巻物に写されてしまったら……すみません、皆さん、避けて下さい。


七星・桜華
「ようやくかい?やる気になったのかい、小町?つまらない理由でアンタは私に斬られるんだよ…小町を斬りたいって理由でね!」

鬼達との戦闘の合間にも小町を観察して、予め危険と知らされていた巻物にユーベルコードを防御されずにダメージを与える方法に気づく。

極々近距離、言い方を変えれば零距離からの攻撃で巻物が無い上に致命傷にあわよくば一撃必殺となる場所を探す。

攻撃に使用技能【力溜め】【鎧無視攻撃】【2回攻撃】【生命力吸収】【フェイント】

回避に使用技能【残像】【ダッシュ】【フェイント】【見切り】【野生の勘】【第六感】

攻撃部位を探す事に使用技能【見切り】【野生の勘】【第六感】

(アドリブ、掛け合いもOKです)


フォーネリアス・スカーレット
「すぅー、ふぅー……」
 まずは深呼吸と連動する自己治癒魔法で仮初に傷を塞ぎつつ殺意を燻らせる。炎は派手だが瞬時の輝きだ。だが、熱は簡単には収まらない。復讐には炎ではなく熱を用いるべきだ。
「よし、殺す」
 ちょろちょろと逃げ回りそうな奴だな。まずは足を止めるか。左手で丸盾を構えて狐火を防ぎつつ、右手でフックロープを手繰り動きを封じる。上手く拘束できればそのまま盾打撃に繋げるが、出来なくても巻き上げ機構を使って強引に距離を詰めて再度の打撃を狙う。
 そういえばコピーをするそうだが、別にできるのならやってみればいい。自分の技への対応位考えてある。


シズル・ゴッズフォート
遅れました。
元放浪騎士シズル・ゴッズフォート、これより楯として参戦致します。

盾が実家由縁の工廠で整備中だったのは痛手でしたが……なに、この身を盾とすれば良いだけの話です。

コードの反射を警戒し、手持ちのバスタードソードによる通常の斬撃が主な攻撃手段。
攻撃よりも、「無敵城塞」を用いた他のキャラクターへの攻撃の妨害、防御を優先。
必要とあらば、己を囮とすることも厭わない。
この戦法上、他キャラクタとの共闘を前提に。

また、剣を構えたまま跳躍し、その状態で「無敵城塞」と化して突撃する「生きた弾丸」のような運用も視野に入れる。


「矛破りの盾」とも言われたこの身の【無敵城塞】、そう破れると思わないで頂きたいですね



「猫でなくとも、好奇心は時として災いとなるようで。」
 《妖狐の蒼炎》を既に相対していた二人に差し向けた瞬間、他への注意がおろそかになったその隙に、まず仕掛けたのは畔扉・瑞だった。
 振るわれるは《殲滅の鋭雨》、何本もの魔法によって形作られた水の槍が、小町を襲い掛かる。
「怖いですね!」
 迎え撃つのは《クイックフォックスファイア》だ。先ほど焼き焦げた巻物では広範囲に広がるそれを防御しきれない。わずかな意識の隙間に放たれたそれは《妖狐の蒼炎》で防ぐのも難しい。ゆえに秒間40個もの狐火が魔法の槍をを迎撃する。量を量で覆いつくした。魔法の槍は狐火で相殺され、むしろ数で凌駕した狐火が瑞に襲い掛かる。
「おっと!」
 まさか撃ち負けるとは、さすがはオブリビオン。それでも瑞に動揺はない。それくらいのことは【第六感】が告げていた。慌てず狐火を【薙ぎ払い】、そうして接近。みなもをふるう。
「いたいけな少女に刃物を向けて!」
 血が舞った。呪術であるらしい。ふわりと浮遊して、突き出されたみなもを左半身になって避けようとした妖狐は、けれどよけきる事が出来ずその服にさらに傷を増やした。
「は、はは。いたいけな少女とは」
 追撃。薙刀を、みなもを振るう。
「俺の前に立っているのは、宿場町を滅ぼそうとする狐しかいませんね。しかも愚かな好奇心を持った化け狐。おとなしくここで殺されてください。」
 横薙ぎ。浮遊したまま宙がえりで避けられる。相手もさるもの。浮遊してことで地に足をつけず足運びからの回避予測を困難なものとして、致命だを避けていた。
「愚か、ですか。なら逆に、その愚かさで殺されてくださいね」
 ほかにも敵はいる。だから眼前の美少年にばかりかかずらわっている訳にはいかない。それに相手はどうやら勘違いしてるらしい。
「略!」
 しかし余裕もない。柏手一つ。
「《妖狐の蒼炎》!」
 これは別に、一度しか使えぬ技ではないゆえに、再び無数の蒼炎が呼び出され、瑞に襲い掛かる。難なく避けた。しかし代わりに眼前に炎の壁が出来上がった。さらに《クイックフォックスファイア》。弾幕が厚い。自分一人で突破するのは難しそうだ。
だから、
「殺す!」
「自分から提案したことですが、これは、これはなかなか!!!」
 青い盾を携えた復讐者に任せることにした。
 時間は少し巻き戻る。瑞が小町に攻撃を加えていた頃。復讐者、フォーネリアス・スカーレットは鬼どもを殲滅し、元凶たる小町を睨みつけながら深呼吸をして、矢傷を回復させようとしていた。
「すぅー、ふぅー・・・・・・」
 深呼吸と連動して自己治癒魔法が仮初でも傷をふさぐ。出遅れた。それがくすぶった熱をさらに高めていく。炎のような一瞬の煌めきでなく、一たび開けば燃え盛るような熱。それこそがフォーネリアスにとっての復讐の容だった。
「よし殺す。」
 傷もある程度回復した。さて殺そう。立ち上がったフォーネリアスに、声をかける者がいた。
「遅れました。元放浪騎士シズル・ゴッズフォート、これより盾として参戦致します。」
 青い女だった。全身青ずくめ。ただ、だからこそ金の瞳に金の髪。そして焦茶色の肌が映える女でもあった。
「そうか。殺す。」
「私をですか!?」
 引いた。戦闘時のフォーネリアスは概ね殺伐としすぎていて言葉が直截すぎた。
 そんなやり取りをしていると、小町が《妖狐の蒼炎》で壁を作り、しかも《クイックフォックスファイア》で弾幕を作り出してた。なるほど。あの中を突破するとなると傷を負うだろう。関係ないが。前傾姿勢を取り、フォーネリアスは突撃する寸前だった。
「お待ちくださいフォーネリアス殿!」
 スルーされた。オブリビオンを殺す以外さしたる興味もなかった。
 シズルはさすがにカチンと来たがしかし、彼女の中の飢えた空虚が、この復讐者の乗りこなし方を知っていた。
「…私を利用すれば、あの炎の中に突っ込んでもおそらく無傷で突破出来ますよ。そうなれば怪我無く攻撃出来ますから、もっとより確実に殺せますよ。」
「教えろ。」 
 神速の手のひら返しだった。
 そうして今、シズル・ゴッズフォースは《無敵城塞》を発動させながらフォーネリアスに抱えられて炎の中へ突っ込んでいく。あらゆる攻撃に対してほぼ無敵になる代わりに全く動けなくなる《無敵城塞》、ならば他人に動かしてもらえばいいのだ。
とはいえ、本当に扱いが荒い。炎が襲い掛かってくる度、その方向へ自分を振り回す
けれどそれが、シズルにとっても心地が良かった。扱い自体ではなく、そこから感じられる獣のような復讐心が、自分のどこか飢えた部分と共感する気がして、なんとも。
「突破しましたよフォーネリアス殿!」
 《妖狐の蒼炎》の壁と狐火の弾幕を突破した。《無敵城塞》を解除。いうが早いかフォーネリアスが徐にシズルを下した。地面に立ち、衝撃に備え再度《無敵城塞》。
 今しがた突破してきて、後方から襲い掛かろうとしている分の蒼炎は、瑞が《殲滅の鋭雨》を使って消し去ってくれている。 
 だから前方に集中。《クイックフォックスファイア》の炎の雨が襲い掛かる。けれど大丈夫だ。その程度では揺るぎもしない。
 そうして弾幕からの盾として、隙間からフォーネリアスがフックロープを射出。
「きゃあ!?」
シズルに躍起になっていたところに襲い掛かってきたそれに見事に足を取られ、小町が引きずられてくる。
「やれ、シズル」
 静かな、けれど決断的な声。
「承知!」 
 心の奥底で悦びが上がる。ああ、護るばかりの身に斯様な慈雨が。奥底の渇きがバスターソードを握る手に力をもたらす。そして、フックロープで眼前まで来た小町を思いっきり切りつけた。
「グゥ!!」
 深く腕を切りつけられ、小町が吹き飛ぶ。浅い。いや、防御態勢を取られた。そうであるがゆえに本質的には怪物となっているオブリビオンの命を取るまでに至らなかったのだ。
「なら!」
 心の奥底、どこか逸る気持ちを感じながら追いすがる。フォーネリアスもフックロープを巻き取りながら近づいていくが、ロープ自体を狐火で焼き切られた。《クイックフォックスファイア》の弾幕が襲い掛かる。シズルは《無敵城塞》で防ぎ、フォーネリアスは所々、炎でけがを負いながらも盾を前にそのまま進軍してゆく。
「殺す」
 盾は狐火で熱されて熱かった。そのようなもので打撃されては。冷汗が流れる。腕から血を流しながらも小町は起き上がり、それを回避した。
「お・・・恐ろしい真似を・・・!」
 《クイックフォックスファイア》。炎が襲い掛かる。傷が増える。知らない。そして浮遊するのも気に入らない。だから思いっきり、地面に押し付けるように、丸盾で腕を殴ってやった。
「ぐ・・・ああああ!!!ああああああ!!!《妖狐の蒼炎》!!!!!」
 腕の傷が焼ける。痛い。つらい。もはや本能の域で《妖狐の蒼炎》を発動し、近くにいたフォーネリアスと、小町すらも吹き飛ばした。さらにダメージが蓄積する。
焼けただれた腕の傷で集中できない。半自動的に敵を攻撃できる《妖狐の蒼炎》ならともかく、《クイックフォックスファイア》はもはや使うことは出来ないだろう。けれど今吹き飛ばされた事で距離が稼げた。逃げよう。無理だ。もはや答えは出た。ここにいては殺される。骸の海から出でた自分はここで終わる。終わりたくない。
ふらふら、どうにか浮遊して逃げようとする小町に、フォーネリアス達からずっと近く。ちょうど逃げようとした前方から声がかかった。
「どちらに、おいでになるので?」
 発動したままの《妖狐の蒼炎》を差し向ける。
「無駄です。《黒風鎧装》」
 襲い掛かる蒼い炎を、より一層黒く燃え上がる炎の嵐が迎え撃った。蒼い炎が巻かれ、そして消えてゆく。
「な、なぜ・・・」
 どうして?小町はオブリビオンよりよみがえって初めて、恐怖心から疑問を抱いた。
「なぜ、ですか」
 炎をまとった少女、蒐集院・閉は静かに言葉を復唱した。
「なぜ、ならば」
 一歩、踏み出す。浮遊している小町が、一歩後ずさった。
「これは地獄だからですよ」
 ふわり、閉が答える。
「そう、地獄。だれにも救えなかった復讐の地獄、憤怒の嵐」
 たとえこの小町が未だ人々を襲い、殺していなかったとしても、成そうとしたのはそういう事である。そして今回はあくまで事前に自分たちが防ぐことが出来たが、しかし今も世界のどこかで防ぐことのできなかったオブリビオンによる悪夢もあるはずなのだ。そういた者たちの復讐の念が、炎となって渦巻いている。
もう一歩近づいた。小町は焦げ付いた巻物を取り出した。
「そうですか。真似るのならば、ご自由に。けれど」
 少女の微笑み。
「その身、書を焦がさぬよう、お気を付けを」
 そうして展開された巻物が、閉の炎を防いでいった。その間にも蒼い狐火が襲い掛かる。それを閉の炎が巻き上げ、無効化し、そして、小町にとって無限にも思える時間が経った後、
 閉の炎が止んだ。
「は・・・はは。やりま、した!やりましたよ!」
 そうしてそのまま閉へと巻物を向け、
「どれだけ脅かそうと所詮は貴方の炎も私の!私の知りたい欲求には勝てなかったようですね!」
 勝ち誇ってさぁ!ユーベルコードを返そう!そういった風情の小町に首を傾げた。
「勝てない?いいえ。勝つ必要がないので、やめただけです。」
「そういう事さね」
 新たな女の声がかかり、赤い風が小町の視界を塞いだ。トン、と女が巻物を持った小町の手に手刀を当てた。ごく僅かな力が手に加わり、巻物が手から落ちる。
「炎よ」 
 落ちた巻物に閉が一言呟くと、炎が燃え広がり、巻物が燃え尽きた。
「勝ててませんでしたね」
 静かに、けれど皮肉気に閉が指摘する。
「・・・~~~ッ!」
 もはや言葉もない。痛む腕で柏手一つ。《妖狐の蒼炎》。炎が眼前の、七星・桜華に殺到する。
「こんな近い距離でそんな技使ってどうするよ」
 逃げるのではなく、より近づき、【残像】による分身が小町を囲む。炎は七星を襲うとするも、分身により的を絞り切れず、当たりかけた攻撃は【第六感】により避けられて、むしろ当たらなかった先に小町が居り、誤爆するありさまだった。
「くぅ!」
 切りつけられる。痛い。今までの攻撃よりもさらに鋭さが増した攻撃だ。さらに切られるたびに本質的な、根本的な何かが吸い取られ、背中におぞけが走る。【鎧無視攻撃】、それはオブリビオンとして本質的には異形となっている小町の体の表面すら貫いて肉に届く【生命吸収】の一撃。『天魔御剣流』の面目躍如だ。
 もはや死に体。体中のいたるところを切りつけられ、炎に巻かれ、小町はただただ、荒い息を吐くのみだった。
「なぜ・・・なんで」
 どうして、小町の胸中を疑問が渦巻く。だって私はただ、
「宿場町の人間を殺そうと襲ったら、どうなるか知りたかっただけなのに・・・」
 つ、と小町の頬を涙が伝った。
「だからに決まってるだろうがアホが」
 そんな場違いな干渉を桜華は切り捨てる。
「んな好奇心で無限によそ様の命を奪おうとするあぶねぇ奴を生かしておけるかい。・・・そうね。私個人で言うなら、つまらない理由ではあるけどね。そんなこと言う小町、あんたを切りたくなったていう、理由でね!」
 もはや囀らせる必要もないだろう。眼前、分身を一瞬で消し、眼前に現れる。いきなり数多存在した分身が消え、目の前にいきなり女が現れたのだ。瞬間、攻撃や逃走するより先に小町は情報を収集するために隙を作った。本質的に戦闘者でなく、知識の蒐集者であるが故の隙だった。
「散れ!星屑のように!」
 超近接。30センチ以内。刃が翻る。逆袈裟。肉を断った。骨も割った。命が裂けた。
「『天魔御剣流』、《破突刃・零式/はとつじん・ぜろしき》」
 そうして小町は倒れ伏して、消えていった。
「お見事、ですね」
 閉が声をかけてくる。
「はは、以前だったかね。一緒にやったときは締めはやったんだ。今回はこっちが締めさせてもらたからね」
 チン、金属音を立て残心の後、鞘に刀をしまって悪戯げに桜華は閉に答えた。
 それに閉もまた微笑んで。
「いずれにせよ、これでこの町は助かったのですね」
「そうさね。あー、疲れた疲れた」
 伸びをする。せっかく来たんだから温泉でも入りたいねぇ。そう桜華が思ってると丘の下、宿場町が騒がしい。これだけ暴れたのだ。あちらも事態は認識しているのだろう。なら、きっとお礼くらい期待したっていいはずだ。
 これからの酒と温泉と美味の気配に、桜華はついつい、今まで以上に顔が綻んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『街道沿いの旅籠で宴会』

POW   :    酒だ!肉だ!舞妓さんに芸子さんだ!ひゃっほう!

SPD   :    舞妓さんや芸子さんから芸事の手ほどきを受けてみよう。優美な気分になれそう。

WIZ   :    和風建築やサムライエンパイア流の宴会の催し方に興味津々。本陣の主人にいろいろ聞いてみよう。

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七星・桜華
「ふぅー…流石に疲れた…ん?この匂いは…肉を焼いているし酒の匂いもする!」

温泉に入りダラダラと身体を温めながら筋肉を休ませていると美味そうな良い匂いが鼻に届く。
温泉から出て手早く着替え等を済ませて匂いを辿りながら場所に到着する。

「肉に酒!…それに綺麗な女性陣!!ここな場所で呑んで食べて騒がないなんて信じられないね!」
肉にかぶりつき酒を呑みながら綺麗な女性陣にお酌をしてもらい時折、手持ちの煙草に火をつける。

平和な場所でのどんちゃん騒ぎにの中で脳裏に浮かぶ先程の戦。
血が滾り、生死をかけたやり取り。…そして一緒に戦った猟兵達
「平和な場所には…戦場が無いんだねぇ…」

次の戦を考えるも空気に流されて楽しむ


ルーナ・ユーディコット
偶にはこういう違う世界の話をちゃんと聞いてみようかな
殆ど木で出来た家、料理、宴席
……そもそも私の故郷は宴席とは縁のないところだったけれど
植物、魚にしても知らないものばかり
それに出汁?がいい香り……

いつ何が起こるかわからない身であまり愛着を持つような事をするべきじゃないのかもしれない
でも、振り返ったとき何も知らないのはそれはそれでよくないと思うから
少しは知っておこう
私たちの戦うこの世界を

それにいつか滅んだ故郷へ訪れた時、こういうのは手向ける話にもなるかな
今の戦い方だと先に倒れるかもしれないけどね

出来るなら変装の代わりに真の姿を解放
真の姿は黒い髪に赤い瞳の人間
人狼の耳はあまり見られたくはない


宇瀬・和迦
お?お?宴会?宴会?
いいねー!町守れて良かったなー!
やー、郷は出たけどこういう文化は好きだし。ていうか宴会は大好き!!

と、そんな感じで飲めや歌えや(※ジュースです)してたら、あそこ居るの舞妓さんじゃない?
わー、舞妓さんきれーだなーっ!!
あんなきれーな女性になってみたいけど、うむむ...ボクにあんな女子力あるだろうか...。
...え、教えてくれるの?やりたい!やりたいゾ!
えへへ、憧れてたんだー。きれーな服着て、優雅に舞って!
うぅ、ゆっくりな動きが難しいけど。。。きれーになるためがんばるゾ!!
えへへ、少しはきれーになれたかなー


蒐集院・閉
住民の皆様には驚異が去った事をお伝えしておきましょう。あの騒ぎでしたから、既に知っていたとしても言葉にしませんと。
お騒がせして申し訳ありません。

…とじはヤドリガミ。人の為に尽くす道具です。ですので、その…
…礼を尽くされる事は、慣れておりませぬので…
…何か、何か出来ることは無いでしょうか?お困り事は?手が足りない場所は?とじが役立てる所はありますでしょうか?
…ああ、落ち着きません…

(アドリブ・絡み。自由にお任せします)


フォーネリアス・スカーレット
 殺すオブリビオンが居ないのであれば用は無い。次のオブリビオンを殺しに行かなくては……いや、少し血を流し過ぎたか。感覚が鈍い。少しだけ、休んでいく必要はあるか。
 サムライエンパイアには温泉があると聞いたのだが、此処にもあるだろうか。温泉はいい、傷の治りが早くなる。無ければ銭湯か。きちんと体を洗ってから湯に浸かろう……
 ……どうも、この時ばかりは気が抜けてしまうな。今オブリビオンが現れたら殺すのに少し手間取る。武器も無いしな……
 傷跡が、また増えるな。仮初の応急処置は戦闘継続には十分だが、所詮仮初だ。きちんと処置はし直す必要はある。


畔扉・瑞
ああ、良かった。
無事、宿場町をお守りすることが出来ましたね。
猟兵のみなさん、お疲れさまでした。

おや、宴会ですか。
では、少しおじゃまさせて頂ければと。

宴会では、お茶を飲みつつ、周囲の賑やかな様子を眺めます。
やあ、それにしても、みなさん楽しそうですね。
おれも楽しくなってきました、ふふ。

人心地ついたら、芸事の手ほどきを受けてみたく。
さきほどから三味線が気になっていました。
笛ならば習ったことがありますが、三味線は未知の世界です。
色々教えて頂ければ嬉しいです。


※食事に関しては、少食ですが、甘味は好んで食べます。


玄崎・供露
【SPD】個人的に舞妓サンとやらの芸事っていうのが気になる。手解き受けれっかどうかはともかくとしてな。振る舞いとかそういうのだ。舞台周りと合わせて『絵になるようなの』は出来る限り観ておきたい。

風呂は誰よりも先に入るか誰よりも遅く入るか個室ので済ますか。多人数のそれは苦手だ。マスク外せないし

※アドリブや絡みなどご自由にお任せします


照崎・舞雪
SPDで

舞妓、芸子さんと一緒になって艶やかに淑やかに舞っている
演出に、先の戦いでも使った雪花繚乱によって周囲に雪の華を舞い散らせ、幻想的な光景を生み出す
「さぁさ、踊れる人は共に踊りましょう」
「踊れぬ人も囃子ましょう」
「戦は終わり。平安願い」
「さぁさ、みんなで歌いましょう」


シズル・ゴッズフォート
ふぅむ……。

騎士としては礼の品等を受け取らないのは失礼に当たる、とは良く良く言われていた事。ですが、旅館の従業員としてはエンパイア流の宴会の催し方、客人の饗し方はこの機会に大いに学びたいものです。

少々無理を言う形になるかもしれませんが、ここの主人や使用人達の手伝いと、その技能・作法の「学び」を以て報酬とさせて頂きましょう。

どうしても、と固辞されるようなら流石に引き下がり、大人しく宴に混ざりますが。
……まぁ、その間も所作の一つ一つを見、観、後で自分なりに技術として吸収する分には文句も言われぬでしょう。
まさか、昔武の師から戯れにやらされた「見て覚える」が役に立つとは思いませんでしたけれども。



「ふぅ~良い湯だねぇ」
 戦いの後、そう言って脱力しきって風呂に浸かるのは七星・桜華だ。
「な?あんたもそう思うだろうよ」
 ふと視線を向けた先、視線の先には金髪。体の調子を確かめているフォーネリアス・スカーレットが居る。
 その質問には答えず、ただ自分の体に出来た傷を確かめ、ぽつりと一言。
「お前が、殺したのか」
 にやり、桜華は笑う。
「そうさね。ここら辺は時の運。すっぱり命、絶たせてもらったよ」
「そうか」
「何さ?獲物を取られて残念だったかい?」
「いや・・・」
 大事なのはオブリビオンが死ぬ事だ。過程はどうでもいい。ただの確認だ。
「そうかい」
 そのそっけなさを特に気にした風もなく、桜華はふと顔を上げ
「おやおや、肉に酒の匂いじゃないさ!こうしちゃいられないね。お先!!」
 それだけ言うと勢いよく湯船から上がり、出て行った。
 無言でそれを見送り、フォーネリアスは無言で自分の体の調子を確認する。やはり怪我を治すのに湯治はいい。この時ばかりは、普段オブリビオンを前にした時のひりつくような復讐心もなりを潜め、少し気が抜ける。
「いかんな」
 自戒。武器もない。今オブリビオンが唐突に眼前に現れたとして、殺すのに手間どってしまう。とはいえ、次、殺すために今ここに居るのだ。なら、
「・・・」
 そのままフォーネリアスは次の戦場の為、無言で深く肩まで湯船に浸かった。
「では蒐集院殿!あの炎の嵐はは蒐集院殿が巻き起こしたもので!?」
「え・・・ええ、ごめんなさい」
「いやいや、何をおっしゃいますやら。幸い炎の嵐はあくまで妖を倒したのみで町に被害もなく。お気になさる必要はございません。ささ、どうぞどうぞ」
「あ、その。閉は・・・いえ、ありがとうございます」
 宴会の場。脅威がさったと知った旅籠の店主が、せめてものお礼にと猟兵達を誘っての宴会を始めたのだ。妖怪が襲ってきたことは派手に戦闘も行っていたのでその店主以外、町の皆も知るところとなり、それなら自分もお礼をしたい、俺も俺もという風に人々が寄り合い、ついには大宴会となった。芸妓が舞い、三味線や琴が鳴る。温泉に浸かる者、料理に舌鼓を打つ者、そしてせっかくなのでこれ幸いと芸を習おうとする者。
 めいめい楽しい時間を過ごす中、ひっきりなしにお世話をされて、蒐集院・閉はただ只管におろおろしていた。ヤドリガミの閉はそもそも人に尽くす事を本分としている為、自分が尽くされる事になれていなかった。ロジックエラー。落ち着かない。さりとて周囲の町人たちは完全な善意で自分を遇してくれているわけで。
「どこか、どこか手伝う場所は、何か、やるべきこと、は・・・」
 きょろきょろ。町人たちが他の猟兵に移ったタイミングで所在なさげに周囲を見渡す。すると、
「手伝って」
 黒い髪に赤い瞳の少女が声を掛けてきた。
「・・・ルーナ様?」
 人狼の姿とかけ離れたそれに、閉は首を傾げた。
 喧騒が遠い。閉とルーナの二人は、隙を見計らって渡り廊下にやってきていた。
「助かりました。ルーナ様」
「いいよ。私も、騒がしいのは嫌いだから」
 そう言って欄干に肘をついたルーナ・ユーディコットの手にはお椀に入った味噌汁。あまり仰々しくされるのも苦手だ。変装のつもりで真の姿である黒髪赤目の少女の姿に。お椀に入った味噌汁を啜り、少し微笑む。知らなかった場所の知らなかった食材で作られた味。外は寒く、だからこそ暖かいものが胸に染みる。
「初めてだけれど、美味しいわね」
 微笑む。ルーナは、暖かいものが好きだった。
「それはもう、町人の方々が丹精込められて作られてらっしゃいますから。・・・ああ、閉も。閉もそれを手伝う事が出来れば・・・!」
「そんなに手伝いたいの?」 
 苦笑。確かヤドリガミだったか。それにしたって真面目である。
「勿論ですとも。閉はそれが存在意義ですから」
「存在意義、か」
 自分のそれは、なんだろうなとふと空を見上げる。寄り道、なのかもしれない。いつ何が起こるか分からないこの身、愛着を抱くべきではないのかも、と。けれど、とも思う。故郷に居るだけでは知らなかったこの地の事。故郷は滅んだ。もはや自分しか生き残りはいない。だからこそ、こういった話位は、手向けにしたい。
「おや、閉殿にルーナ殿。もう宴会はよろしいので?」
 味噌汁を見つめ微笑んだルーナに、後ろから声がかかる。振り返ってみれば何やら配膳の為にお盆を持ったシズル・ゴッズフォートが居た。
「ああ、私は騒がしすぎるのは苦手で・・・」
「シズル様!?何故、なぜ配膳などを!?」
 ルーナの言葉に被せるように閉が叫んだ。問う声も強く、圧がある。
「ああ、これはですね、手伝わせて頂いているのですよ。確かに騎士として与えた恩に返される礼を受け取らぬのは失礼です。けれど私としては花の涯の従業員として、エンパイア流の本式のもてなしを学べるまたとない機会。故にそれを学ばせていただく、すなわち手伝う事それそのものを『お礼』とさせていただいたのですよ」
 ちょっと強くお願いしましたがね?と悪戯げにシズルは微笑んだ。
「な・・・んと。なんと、閉の時は皆手伝わせてくれないのに、どうして・・・」
 少し大袈裟なくらいに閉が落ち込んでいた。
「そうですね、閉殿は、押しが少し弱かったのでしょう。大方断りきれなかったのでは?」
「まことに、まことにその通りです。閉。閉は・・・押しが弱かったのでしょうか・・・」
 何故かルーナの方に問いかけてきた。普段は静かなその瞳が濡れているのに少しドギマギしながらも、
「いや、知らないよ。けどもうシズルも手伝ってるんだし、手伝わせてもらったら?」
 そっけなく答えた。
「その通りですね!さぁシズル様!一緒に閉も!閉も手伝いますので!どうか!どうか!」
「おっとぉ!?閉殿!?お盆!お盆がこぼれますので!」
 姦しく少女二人が去って行く。
「まったく、こっちがアンニュイな雰囲気になってる、っていうのに」
 力の抜けたルーナの笑みが、そこにあった。

「よーし!!踊っちゃうぞー!!!」
 宴会場の舞台の上、妖狐の少女が楽し気にそう宣言する。そうして、宇瀬・和迦は舞を始めた。今しがた、いいなー・きれいだなーとみていた芸妓さんに教えてもらったそれを、見よう見まねで舞ってみる。 
 町を守れてよかった!嬉しい!踊り楽しい!感情を心に込めて。手足の先の動きは素人だったが体幹、重心の位置の運びは流石猟兵として日々戦っているだけあってしっかりしていた。細かい所の素人加減が全体的なダイナミックな動きで補われ、町が守られたという事で行われている宴会に来ていた町人達も、こりゃ素人じゃねぇな、と息を飲みながら囃し立てる。
「これは、これは。私もお一つ、手助けになれば」
 舞う少女の周囲に光り輝く雪の華が飛び交い、舞台の上、踊っている和迦と対になるように舞いながら、照崎・舞雪が舞台に入り込んでくる。こちらは以前から舞い慣れているのだろう。少女のダイナミックな、動きに対してこちらは指先まで精緻。
 丁度、和迦が赤い暖色系の色合いであるのに対し舞雪は青い寒色系の色合い。赤と青、暖かと寒さ。大胆さと精緻さ。相反する二つの要素が雪の華に見守られながら舞台で舞い踊る。
 それが綺麗だったからだろう。町人達も固唾をのんで見守ってる。
「さぁさ、踊れる人は共に踊りましょう」
 舞雪が囃し立てる。三味線が鳴り出す。畔扉・瑞のそれだ。
(いやはや、これは舞台に負けてしまいそうな・・・)
 以前から三味線には興味があったのだ。だからせっかくなら、と舞台で三味線を演奏してた『お姉さま方』に借りて、つい先ほどまで手ほどきを受けていたのだ。恩人でありそもそも瑞の顔はとても良い。そういう訳で頼んだら二つ返事。やけに熱い視線で見られはしたが、それはそれとして鳴らしてみると、なるほど。指の運びの難しさを感じる。 
 そういう風に三味線を弄んでいると、和迦と舞雪の舞いに歌である。素人が、と思わないでもなかったが、興が乗ってしまった。【第六感】が導くままに弦を鳴らす。幸い、舞台で舞い踊る二人のお陰もあるのだろう、習ったばかりの少年の三味線に、違和感を感じる者はいないようだった。
(楽しいねぇ・・・)
 綺麗なお姉さんと躍り、先程まで共に戦っていた少年の優雅な三味線の音色すら響く。
(やっぱり宴会は大好きだ!)
 楽しいからこそ、和迦はついつい笑顔になる。けれど、
(少しはきれーに、なれたかな)
 自信なさげに少し眉根がよる。ついつい、一緒に踊る『きれーなお姉さん』に目をやると、
「踊れぬ人も囃子ましょう」
 微笑み頷いてくれた。だから一生懸命、心の赴くまま、体の赴くままに舞う。
「戦は終わり。平安願い」
 三味線に手拍子が加わった。少年は照れくさそうに笑いながら弦を鳴らす。赤い少女は笑みを濃くし、青い少女はふんわりと微笑み、さらに華を増やした。
「さぁさ、みんなで歌いましょう」 
 青い少女がそう宣言する。佳境だ。人々の手拍子もさらに大きくなり、音が響き、風が舞い、赤と青が踊る。
「綺麗なもんだねぇ」
 そんな様を舞台の少し離れた所から見て、
 玄崎・供露はポツリとつぶやいた。先に1人でお湯を済ませて今はラフな浴衣姿。 眼前には平和な光景が広がっている。 
 両手を使ってファインダーのように四角を作り、じっと見つめる。まるで一枚の絵のよう。それをしっかり『瞳』に焼き付ける。大切な何かの為に。それがきっと、自分に出来る事であるから、と。
 フ、と笑みがこぼれる。きっとそれは感傷でしかない。けれど、
「ま、俺も楽しいしね」
 そういう事であった。
 そうして歌が終わり、踊りも終わる。
 きっとあまりに出来過ぎていたからであろう。誰もが口を閉じて、静寂が広がった。
「おいおいおい!どうしたさね!?もうお開きかい!?」
 皆が皆、今見た舞と音楽の後、どうすればいいのか分かりかねていた。だから桜華が芸妓にお酌されながら出てきて一声、その静寂を破るかのように上げた声に皆が助かった。
「お、おうおうそうよ!猟兵様達ももっと楽しんでくだせぇ!」
 豪放磊落、まさに英雄と言った風情の桜華にまた町人たちが群がり、音が再開し、宴はまだまた続いていくようだった。
「さて、それじゃあ俺も、美味いものでも食べますか」
 黒い少年はそうして人の波に入って行く。そうだ、何やら怪しい雰囲気のお姉さまがたに絡まれてる青い少年をからかってやるのも面白いかもしれない。
 笑う。護った平穏が、そこにあった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月19日


挿絵イラスト