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アースクライシス2019⑫~ヒロイック・ペディメント

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #センターオブジアース #夕狩こあら #レディ・オーシャンのクローン

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 パンゲア大空洞で『鍵の石版』を発見した猟兵達は、石板の力を用いて『センターオブジアース』への道を開いた。
「大空洞を敢然と進んだ君達は、その炎と燃える勇気によって、間もなく知られざる文明――神々が住まう“地球の中心”に到るだろう」
 快絶の進撃を見せる猟兵達を、誇らかに迎える枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
 幾許か快哉に持ち上がった花唇は言を続けて、
「センターオブジアースは、巨枝が密と繁る世界樹に、数多の『神の神殿』が果実の様に連なっており、それらが世界を守護してきた」
 其々の神殿が、様々な神を祀り、祈りを捧げられた神々が文明を護ってきた。
 今、その神々が危険に曝されているとは、帷の表情で察せられよう。
 猟兵の視線を受け止めた彼女は静かに頷いて、
「この神聖なる神の神殿の一部がオブリビオンに奪われ、幾つもの『オブリビオン神殿』が建立されている」
「こんりゅう」
「ああ、連中は元々そこに在った神殿を破壊し、その上に新たな神殿を建てたんだ」
 柳眉を顰める猟兵も居るのは、オブリビオンの冒涜的行為にであろう。
 勃然と義憤を萌す彼等に対し、帷もまた忌々しげに説明を続けて、
「然も彼奴等は、地球のエネルギーそのものである『不死の怪物』から、無尽蔵のパワーを供給されており、精悍なる君達でも手強い相手である事は間違いない」
 センターオブジアースでは、燃え盛る『不死の怪物』が焼べられ、絶え間なき炎と生命力に溢れているのだが、これが敵に巨大なエネルギーを与えてしまっているのだ。
「戦闘を有利に持ち込む手立ては一つ。其の厖大なエネルギー源を断つ事だ」
 敵のパワー供給源を断つ――。
 猟兵は、敵が建てた『オブリビオン神殿』を破壊し、敵のパワー供給源を絶って、敵の超絶パワーアップを食い止めぬ限り、勝利は難しい。
「悪しき神殿を破壊し、オブリビオンを撃破した後、元の神殿に戻す事が出来れば、センターオブジアースを救う事が出来るだろう」
 ――ここで気になるのが「元の神殿」だ。
 ふと疑問符を浮べる猟兵を前に、帷は答えて、
「オブリビオンに蹂躙される前は、此処には『闘争の女神』を祀る『ヘカトンペドス』(百の柱を持つ神殿)が建てられていた。女神は闘争を愛し、英雄を好んだので、人々は英雄像を彫ったり、英雄譚を歌にして捧げたり、屈強な男達を戦わせるレスリングの様なものを神事として行っていたらしい」
 もしか、破壊された神殿に祀られていた女神の力を呼び起こすような戦い方やパフォーマンスをすれば、元の神殿の力が蘇り、オブリビオン神殿を崩壊させる事が出来るかもしれない。
「神殿の破壊方法は君達に任せよう」
 巨大建造物を破壊するに相応しいユーベルコードを用い、戦いつつ神殿を破壊するか。
 闘争の女神の力を呼び起こす様なパフォーマンスを以て、神力で神殿を崩壊させるか。
 いずれも有効な戦い方につき、好みで選んで欲しいという帷。
 ここまで言うと、彼女は繊麗の指を弾いてグリモアを召喚し、
「私達は神に非ず。冒瀆の罪を犯した者を赦さず、たっぷりと荊をくれてやれ」
 と、精悍なる猟兵を光に包んだ。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 このシナリオは、『アースクライシス2019』における第十二の戦場、センターオブジアースにて「オブリビオン神殿」を破壊し、主犯オブリビオンを撃破する一章のみの戦争シナリオ(ボス戦)です。

●敵の情報
 神々さえもその発祥を知らぬ、大いなる「海を統べる者」レディ・オーシャンのクローン体。ドクター・アトランティスの『クローン装置』によって本人と同体に複製されています。

●プレイングボーナス『敵のパワー供給源を断つ』
 このシナリオには特別な「プレイングボーナス」があります。
 これに基づく行動をすると、戦闘が有利になります。
 様々な方法でアプローチが可能となっておりますので、ご自由な発想で挑戦して下さい。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 団体様は【グループ名】を冒頭に記載願います。
 複数での参加者様は一括採用のみで、個別採用は致しません。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 ボス戦 『レディ・オーシャンのクローン』

POW   :    リヴァイアサン
無敵の【海水の身体を持つアトランティスの守護竜】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    オーシャンアーマー
自身に【清浄なる海水の鎧】をまとい、高速移動と【金属をも断ち切る高圧水流の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    海を統べる者
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:hina

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオン神殿の床面に跫が響く。
 高踵靴(ハイヒール)に灰白色の石を打って主廊を歩く凄艶――レディ・オーシャンの複製体は、ベネチアンマスクに隠した魔瞳を周囲に巡らせた。
『イイ感じですよん、新しい神殿☆』
 実に佳い仕上がりだと、嘆声を零す。
 その妖艶なる眼差しには、既に暴虐の限りを愉しんだ恍惚の余韻も含んでおり、また蹂躙し尽された女神に対する嗤笑を滲ませていた。
 更に美唇は蠱惑的な聲を転がし、新たに建立された魔神殿を讃える。
『嘗ての神殿の要素を取り入れつつ、斬新さを忘れない……わたしの神殿☆』
 荘厳で厳粛、そして何より“冒涜的”。
 比較的に古風な文明を好むというセンターオブジアースの雰囲気に馴染む、石造りの円柱が雄壮と並び立つ神殿――ギリシアのパルテノン神殿の様な風格を備えた其は、先に蹂躙と破壊を尽した「神の神殿」とよく似た造りをしているのだが。
『ペディメント(破風)に、わたしと海の魔物が彫られているんですよん☆』
 然う。
 決定的に前の神殿と異なるのは、ポルティコ(柱廊玄関)上部に位置したペディメントに、リヴァイアサンら海の魔獣と大海嘯、そして「海を統べる者」としてのレディ・オーシャンが彫刻として装飾されている事だ。
 懐古的ながら革新的な神殿は、床面より伝わる厖大なエネルギーを円柱に伝わせ、この神殿全体を超パワーで満たしている。
 故に凄艶は凄まじい邪のオーラを迸らせ、
『今ならジャスティス・ウォーでお披露目した大海嘯を引き起こし、かる~く一回、世界を滅ぼしてみたくなりますよん☆』
 と、艶麗に語尾を転がした。
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
力業ではありますが、神殿の破壊を狙いましょう。

ハイパー・ガーディアン・モードを発動。
最大速度で可能な限り高く飛翔して、緑の大盾を構えて
最大速度で急降下して神殿に激突するのを何度も繰り返します。
隕石落としと言うには質量が足りませんが、
その分はマッハ約4.5に至るスピードで補えるでしょう。
衝突の衝撃は「オーラ防御」で防御力を高めてダメージを抑えつつ
「激痛耐性」で堪えます。

敵の攻撃は、「第六感」で予測しつつ軌道を「見切り」、
緑の大盾で確実に「盾受け」します。

敵のパワー供給が弱くなったら攻勢です。
緑の斧槍を構えて猛スピードでの飛翔からの「ランスチャージ」で
敵の「串刺し」を狙います。


栗花落・澪
奏でましょう、英雄譚を
語りましょう、【祈り】のために

自前の翼の【空中戦】で
極力一定距離を保ちながら【歌唱】
幸い数多の戦場を賭けてきて
英雄譚には困らない

この地で共に戦ったヒーローの話?
闇に閉ざされた世界で危険を知りながら勇気を振り絞り
共に戦ってくれた村人達の話?

それとも…僕達自身の話?

想いが神様に届くまで何度でも
敵には【催眠術】効果も乗せて惑わせつつ、奏で続ける

無粋な邪魔をしようとするなら
★杖から放つ雷の【高速詠唱、属性攻撃】で感電による足止め
今大技が来たら防ぎきれないかもしれない
だからお願い神様、手伝って…!

【オーラ防御】を纏いながら【指定UC】
攻撃を極力回避しながら【破魔】の雷の【全力魔法】


泉・火華流
「何か気の合いそうな神様多いわよね…」
闘争とか鍛冶とか火とか…


戦闘
レガリアス・エアシューズに指定UC使用
ナイトメア・シザーズ(二刀形態主体)と機動力を武器にヒット&ウェイや回避重視の戦闘【ダッシュ】【逃げ足】

守護竜はグラビティ・アンカーチェーン投擲で縛り上げて動きを封じる【ロープワーク】

不意にナイトメア・シザーズ(ブーメラン形態)を低めに投げて足を狙う
相手が跳躍したら、【ジャンプ】して【踏み付け】るようにこ降下式の飛び蹴りを放ったり、【スライディング】で転倒させて、脚狙いの降下式の飛び蹴りで足を殺したりする

海を統べる者を使ってきたら、その攻撃を必死に回避して、遠近問わず一撃いれて制御を乱す


セゲル・スヴェアボルグ
屈強な男……まぁ、俺がそれに該当するかはわからんが、要は腕っぷしを見せればいいってことか?
それなら神殿を破壊しながらでも何とかなりそうだな。
普段なら敵を掴むUCだが、ちょいと今回は新田そのものに使って見るとしよう。まぁ、対して固定されていないような部分なら容易にはがせるだろうしな。
神殿がエネルギーを供給しているのなら、それがものすごいエネルギーを持っているのだろう?
だった、それ同士をぶつけ合えばよかろう。
出来る限り大きな場所を引っぺがして、解体作業と行こうじゃないか。
守護竜とやらが妨害してくるだろうが、こちとら今は破壊竜なんでな。
邪魔をするなら柱でもぶつけてやるとしよう。


神羅・アマミ
スナック感覚で世界を滅ぼされてたまるかー!
目元隠して胸元隠さず、あんなおっぱいオバケは即刻塵に還してくれるわー!

とは言え、破壊活動をしろと言うなら妾も喜んで行うぞ!
周囲の地形もろとも巻き込むおあつらえなコード『板付』にて、乗っ取られた神殿を尽くブチ壊してくれよう!
景気のよさにテンションマックスな女神が覚醒し、妾にアゲアゲな庇護を与えてくれること間違いなし!

敵が想像する守護竜もひたすら拳をブチ込み続ける。
衝撃で破砕したところで何度も再生されるかもしれぬが、こういうのは気圧されたら負けじゃ!
「妾は一生こうしててもえ~んじゃぜ~?」と余裕の態度に、相手が僅かでも肝を冷やせばそこがつけいる隙となろう!


シキ・ジルモント
◆POW
レスリングに似た神事の再現を試み、神殿の力を蘇らせたい
適しているのは肉弾戦での交戦か…仕方がない、ユーベルコードを発動してより向いている獣人の姿をとる

守護竜に正面から接近戦を挑む
神事再現の為、ナイフと近接戦闘を主体に戦う

戦いながら敵の攻撃が通りやすい弱点箇所を見極め、『挑発』を兼ねてクローンへ言葉をかけ守護竜の弱体化を図る
「無敵?俺一人倒せずによく言もえたものだな」

神殿の壁や柱等を背にして敵の攻撃を誘導、『見切り』回避する事で神殿を攻撃させる
主人の神殿を傷つけさせて竜の隙を作れればいい
見極めた弱点へ攻撃して竜の動きを止め、そのまま『ダッシュ』でクローンに接近して体勢を整える前に追撃する


オリヴィア・ローゼンタール
伝説に曰く、偉大なる民族の族長は、神と格闘で勝利し、聖なる御名を賜ったと

敢えて半身たる聖槍を地に突き刺し封じる
氷の加護(属性攻撃・オーラ防御)を身に纏う
異教の神なれど御照覧あれ! 我が武の舞いを!(パフォーマンス・存在感)

突撃してくる守護竜を強化された【視力】で【見切り】、躱しながらガントレットで触れて【氷獄滅塵葬】
【怪力】を以って持ち上げ【投擲】
自重と投擲の勢いを合わせて粉砕する
砕けろぉぉおお!

【ダッシュ】で間合いを詰めて格闘戦を仕掛ける
拳打、肘打ち、蹴撃、投擲、次なる守護竜を創造する隙を与えない連続攻撃(グラップル・踏みつけ)
振り抜く手足で【衝撃波】を起こして神殿の破壊も行う(破壊工作)


夏目・晴夜
それでは、盛大に派手に暴れましょうか


という事で、神殿は物理で壊します。ニッキーくんが
神聖な場での暴力は良くないのかも知れませんが、
私自身が偉大で至高で正義ですから何も問題ありません
【力溜め】で好きなだけ殴って壊していいですよ

高速移動で迫る敵は、妖刀で【武器受け】又は【カウンター】
一瞬だけでも敵の動きを止められたなら、
その隙に腕なり足なりをニッキーくんに掴ませ
勢いと【怪力】のままに神殿へぶん投げ叩きつけさせます
神殿を壊す為の道具とニッキーくんの遊び相手になって下さるとは有難い
このハレルヤの人徳というやつですね!

高圧水流の刃は側面の部分から妖刀で切り裂くか、
斬撃から【衝撃波】を放ってぶつけて相殺を


マリス・ステラ
「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身に纏う光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』

「灰は灰に、塵は塵に」

弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
響く弦音は『破魔』の力を宿して敵の動きを鈍らせる

負傷者は『かばう』と同時に【不思議な星】
緊急時は複数に使用

「たとえ壊せても、無かったことにはできません」

『封印を解く』ように"神"に呼びかける
"神"よ、あなたの求める英雄譚がここにいる
彼らに祝福を
光には影が寄り添う
あなたが望むなら私が影になりましょう

「我は汝、汝は我」

聚楽第の白い翼を広げ輝きと"神"の力を束ねる
星の『属性攻撃』は巨大な光弾を放つ

「光あれ」

世界が白に染まる


ラナ・アウリオン
神殿の破壊――
少々乱暴になりマスが、やむを得ないのデス。

ユーベルコード起動。
事象〈大地の渦潮〉を定義――発動。
地面そのものを攪拌して、構造物を崩壊させるのデス。

おそらくは、途中で敵オブリビオンによる妨害がなされると予測されマス。
デスが、大規模な崩落・倒壊を防ぐとなれば、相応のリソースが必要なものと判断できマス――具体的には、自由に動かせる水が、相当量失われるはず。

元より単独での防衛戦だったのデス。手数と戦術の幅を失って、そう永く保つものではありマセン。

当戦場におけるラナの役割は、破城槌。
大将首は、他の方にお任せしマス!


マギア・オトドリ
ラックラ・ラウンズ(ID: f19363)と同行

神殿の、破壊……分かりました。優先事項を考慮し、行動。
それと案山子さん、たぶん間違っている、かもです

案山子さんが戦っている間、ローブの隠密術式を発動。敵に見つからぬよう、神殿に移動。
移動後、『code=A』を発動。発生する激痛を、敵を打ち倒す【覚悟】の元、歯を食い縛り耐えます。
鋼鉄結晶や右腕に残された特殊術式に、崩壊術式を付与。そのまま結晶や己の拳(グラップル)を持って、神殿に敵の装飾が施された箇所を中心崩壊させていきます。

敵の行動が弱まってきたら、足音を立てぬ様【忍び歩き】の技術を用いる走法で接近、敵に暗器を突き刺し、行動不能に陥らせます。


ラックラ・ラウンズ
マギア・オトドリ(ID:f22002)と同行

なるほどなるほど!つまりは堂々と戦えばよいのですねぇ!
え、違う?

ま、それは兎も角。神殿破壊も良いですが、私は堂々と戦いましょうか!その方がその神様にとっても良さそうですしねぇ!

召喚された水の竜が発生させる、海水の奔流や水を圧縮された牙や尾の攻撃に対し、巨盾による【シールドバッシュ】でいなし、致命傷となる攻撃は巨砲を叩きつけ爆発の反動で跳躍、空中で姿勢に気を付けて回避しながら接近します。

ある程度まで近づいたら、被弾覚悟で巨盾による突進を敢行。海水だけですし水を叩きつけたように穴が出来る筈、そこに術となる核を貫手で突き刺し破壊し、女神復興の前座とします。


ナミル・タグイール
キラキラ神殿に金ぴか林檎にゃー!
金ぴかはいっぱい貰ってくにゃ!もぎもぎにゃ!

キラキラ神殿は綺麗だけどー金ぴかじゃないしにゃー。
ぶっ壊しちゃうにゃ!
自慢の金ぴか斧でどっかーんにゃ!

海水なんてしょっぱいだけで怖くないにゃ!突撃にゃ
真っ向勝負にゃ!斧どっかーんしてその衝撃で水もぶっ飛ばしてやるデスにゃ【捨て身】
ちょっとくらい当たってもただの水にゃ!きっと大丈夫にゃ。
斧で【呪詛】ばらまきながら敵と神殿一緒にぶっ壊してやるにゃー!
水より金ぴかのほうが強いにゃ!常識デスにゃ。


荒谷・ひかる
……聞こえる。
『不死の怪物』……おっきな大地の精霊さんの、苦しそうな声が聞こえるんだよ。
待ってて……いま、助けるから。
……行こう、精霊さんたち。

小さな大地の精霊さん(いつも頼ってるお友達の方)を通じて、おっきな大地の精霊さん(『不死の怪物』)にパスを繋げてもらい、祈りを捧げ応援(鼓舞)してこちらにもパワーを回してもらう
(可能であれば敵側に簒奪されているラインから抜いて弱体を兼ねるのが理想)
その上で【本気の大地の精霊さん】発動
敵を巻き込む大地震を起こし、オブリビオン神殿の崩落と
敵コードで起きると思われる海関係の現象と敵本体を地割れに呑み込む事を狙う
発動までは無防備なので、可能な限り隠れて行動


バーン・マーディ
英雄を祝福する女神か

ならば…我が騎士達もまた英雄
死して尚戦い続ける事を選んだ勇者達である

そして今尚弾圧に抗う我らもまた…英雄であると断じよう

…此処での英雄はヒーローではないからな

悪には悪の…英雄が在る!

ユベコ発動

全てを滅ぼす大概の主よ

母なる海である事を忘れた哀れな女神よ
今ここに我らが引導を渡してやる

【戦闘知識】で敵の動きと周囲の神殿の構造を把握

己は正面からぶつかり
敵の攻撃は【オーラ防御・カウンター・怪力・生命力吸収・吸血】で反撃し死角から騎士達の猛攻
更に届かぬ騎士は容赦なく神殿の破壊を敢行する

英雄達よ
偽りの神殿を粉砕させ今こそ闘争の女神に
己達の叛逆
闘争を我と共に魅せよ

己の生命が続く限りぶつかり



 先に祀られていた神を淘汰し、その神性を踏み付けた靴底より伝わるは、『不死の怪物』より伝わる無尽蔵のパワー。
 足元だけでは無い。
 百余と聳立する円柱は、床面より伝わる超パワーを汲み上げて大理石の屋根まで昇り、神殿全体を異様なオーラで満たしていた。
『ためしに他の神殿をこわしてみるのもいいですね~☆』
 柱の間より顔を覗かせ、果実の如く連なる「神の神殿」を眺めるレディ・オーシャンの複製体。
 全ての神殿を掌握すれば――と野望が萌(きざ)した時だった。
『……やはりきましたね☆ ちゃあんとしってましたよん☆』
 マスクに隠した双眸がスッと細む。
 視線の先には、世界樹の巨枝を伝って趨る猟兵。
 空白期間に現れたという新世代が、我が野望を阻みに来るとは想定済みだったが、些か予想外だったのは、神殿に向かうその時から攻撃を始めていた事である。
「力業ではありますが、神を踏み躙った邪神殿の破壊を狙いましょう」
 此処から、とやや距離のある裡から翠玉の瞳を射る騎士が一人。
 要は城攻めと一緒だと凛然を萌したウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)は、【ハイパー・ガーディアン・モード】――エメラルド色に輝くオーラを迸らせるや、世界樹の頂に迫る高さまで飛翔し、『緑の大盾』を構えながら急降下する。
「隕石落とし、と言うには質量が足りませんが。威力はスピードで補えるでしょう」
『――!!』
 最大速度5,400km/h、マッハ4.5に届く超音速流。
 世界や他者を護ろうとする意志の強さによって強靭を増したウィルヘルムは、火矢や大砲より重く鋭く、神殿の屋根に墜下した。
『!! 天井がぐらぐらと……もう攻撃がはじまっている……?』
 レディが衝撃に砂を零し始める屋根を仰ぐ。
 蓋し神殿全体が超パワーに漲っている今、直ぐに崩壊する事は無いだろう。
 寧ろ其の頑健は体当たりを敢行したウィルヘルムに同程度の衝撃を返すが、彼は翠光と漲るオーラと、騎士の鎧の耐久性を以て激痛を凌ぐ。
 ウィルヘルムが空中から仕掛けるなら、ラナ・アウリオン(ホワイトアウト・f23647)は地面から。
「ラナの職務は、神殿の破壊――少々乱暴になりマスが、やむを得ないのデス」
 此度のミッションを受諾した、と透き通った佳聲が言うや、彼女は速やかに任務を遂行すべく、藍の麗瞳を地面に滑らせる。
「周辺環境走査。世界律へのアクセス権を確立。現象の新定義を形成――実体化」
 対オブリビオン決戰兵器として造られた人型の器には、厖大な魔力を備蓄・増幅できる機構があり、其を最適に用いる知識・思考も備えてある。
 ラナは玉臂を動かすや地面を荒波の如く隆起させ、
「地面そのものを攪拌して、構造物を崩壊させるのデス」
 発動、【最新鋭の創世神話】(ジェネリック・ジェネシス)――!
 事象「大地の渦潮」を定義したラナは、繊指に方向を示すや渦潮を邪神殿に叩き付け、超パワーに満ちた列柱を烈しく揺すった。
 ズゥゥウウン……と建物自体が唸る音を聴いたレディは、麗瞳を曇らせて詰り、
『わたしのりっぱな神殿をみないでこわすなんて……』
 とは言うもの、彼女こそ其の妥当性を理解していただろう。
 何も猟兵達は礼儀正しく建物に入ってから破壊を始める必要はない。
 城攻めがそうである様に、先ずは飛び道具を駆使して神殿を脅かした彼等は、当初から超パワーで堅牢を増した邪殿を大いに揺るがした。

 侵入前から行動を始めたのは、マギア・オトドリ(MAG:1A・f22002)とラックラ・ラウンズ(愉快口調の荒れ案山子・f19363)も同様だったろう。
「敵のパワー供給源を断つ為に、オブリビオン神殿の、破壊を優先し、行動……」
 此度のミッションを確認しながら巨枝を走(たばし)る少女の小さな歩幅に合せ、長い脚をカクカクと動かしながら後を追うラックラ。
 佳聲に紡がれる優先事項を共有した彼は、搖れる帽子のブリムを押えつつ是を添え、
「なるほどなるほど! つまりは堂々と戰えばよいのですねぇ!」
「――案山子さん、たぶん間違っている、かもです」
「え、違う?」
 背越しに注がれる紫瞳に、朗らかに語尾を持ち上げる。
 然しこの会話で戰術を共有した二人は、ラックラは巨大な大砲を喊ばせて開戦を告げ、盛大な砲音に円柱を撃つ間、マギアは紫色のローブに隠密の術式を施し、壊れた柱の間を擦り抜ける。
「“私は”堂々と戰った方が、闘争の女神様にとっても良さそうですねぇ!」
 少女が目立たぬよう、己こそ派手に戰う可きと咲みを深めた案山子は、間もなく迎撃に来るリヴァイアサンの猛牙をタワーシールド『祈り宿す巨盾』に往なし、戰塵に紛れる影を見送る。
 一方、神殿内部に潜入したマギアは、策戰を履行し、
(「案山子さんが、敵を惹き付けてくれる間に……神殿を破壊、します」)
 移動完了、【術式解放:code=A】(コード・アライブ)発動――。
 右眼と右腕に巻かれた『封呪包帯』を解き、身を削ぐような激痛と共に暴かれた「崩壊術式」を、一対の巨大な鋼鉄の結晶と、右腕に残された特殊術式に付与する。
(「狙いは――敵の装飾が施された、箇所を……中心に!」)
 華奢の躯に疾走する激痛に柳眉を顰めつつ、桜唇を引き結びつつ。
 全ての痛みを敵を打ち倒す覚悟と變えて――結晶の鋩をペディメントに衝き入れる。
 然れば海の魔物の彫刻は、幾千年と時を経た様に形を崩し、砂塵となって解けた。
「敵の彫刻を破壊すれば、女神様も胸が空くでしょうねぇ!」
 マギアの機智に快哉の聲を置くラックラ。
 少女と距離は隔てたが、必ずや佳い働きを為てくれようと、信頼の絆に奮起した彼は、大口を開けて迫る海竜に鐵鉛を呉れてやる。
『ゲェァアッッ!!』
 爆発の反動で跳躍したラックラは、宙を踊るように躯を旋回して突進を躱すと、今度は近距離から背鰭に二撃目を彈いた。
『ギィィイイイッッッ!』
 敵の目を惹き付けるという点に於いては、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)も頗る派手な立ち回りを見せたろう。
 白磁の繊指は嚇怒を握り込めるや凶悪な鐵塊と成り、
「スナック感覚で世界を滅ぼされてたまるかー!」
 神速の拳打で円柱を破壊する。
「目元隠して胸元隠さず、あんなおっぱいオバケは即刻塵に還してくれるわー!」
 堅強の拳打で壁画を破壊する。
 瞳に映る全てをブチ仆(のめ)して呉れると、緋眼を炯々とさせたアマミは、神殿中に【板付】(イタツキ)を叩き込み、周辺の装飾諸共、灰燼と帰していく。
 その剛毅なる戰いぶりは、マスク越しにレディの目も惹き付けたが、それ以上に放逐されし女神を惹き付けるとは、彼女自身が狙った事だったろう。
 力帯『第捌歩“不問”』に締まる身は、気合と覚悟を昂揚させながら佳聲を発し、
「景気のよさにテンションマックスな女神が覚醒し、妾にアゲアゲな庇護を与えてくれること間違いなし!」
 破壊活動を愉しんでいるのか――美し桜唇が不敵に持ち上がった。

 ――時に。
「キラキラ神殿には金ぴか林檎がいっぱいにゃー! 実もたわわにゃー!」
 世界樹の枝葉より零れる陽光にオッドアイを細めながら、欣喜猫躍と神殿にやってきたナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は、此処に財宝があると期待していた。
「金ぴかはごっそり貰ってくにゃ! もぎもぎにゃ!」
 もぎもぎ、と大きな手を動かしながらポルティコを潜り抜ける巨猫。
 然し彼女の瞳に飛び込んだのは、禍々しくも美しく整列した大理石柱――金ぴかでジャラジャラした装飾は見当たらない。
 ナミルは少し口を尖らせ、
「綺麗だけどー金ぴかじゃないにゃー。ぶっ壊しちゃうにゃ! どっかーんにゃ!」
 彼女は頗る見切りが早い。
 要らない、と即断したナミルは、黄金の巨斧『カタストロフ』を大きく振り被るや、樵の如く水平に一閃ッ!
「てぃんばー(timber)にゃー! たーおれーるにゃー!」
 いや、傾く瞬間も無かったろう。
 ナミルの【グラウンドクラッシャー】は円柱に直撃するや全てを粉砕し、凄まじい衝撃が美しい毛並みを撫で付けた。

「成る程。盛大に派手に暴れたら良いんですね」
 夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は跪く脚を持たねば、祈りに合せる手も持ち合わせてはいないが、暴力を振るうなら丁度良いものを持っている。
 彼は言い終わらぬ裡に繊指に嵌めた『十環』を動かすと、銀糸を繋いだ先に巨大な絡繰人形『優しく可愛いニッキーくん』を操り、其の朴訥に優艶の流眄を注いだ。
「ニッキーくん、躊躇う事はありません。偉大で至高で正義である私が許可しますから、好きなだけ殴って壊していいですよ」
 元の神殿なら、晴夜も靜謐くらいは守ったろうが、これは神聖を踏み躙った邪殿。
 破壊するに全く問題無し、と白手袋に包んだ手を差し向けた晴夜は、【愛の無知】――直ぐにも眼前の円柱に雑味の無いストレートを打ち込み、続いて鞭の様に撓るフックを叩き込むニッキーくんの剛拳に麗瞳を細めた。
「これは佳いコンビネーションパンチ、ですが……柱が脆いのがいけませんね」
 物足りない、と柳葉の眉が顰められた時、厖大なるエネルギーを汲んでいた円柱の一つが衝撃に爆ぜる。
 レディは吃驚に開く口元を隠しつつ、ニッキーくんの粗相を詰った。
『乱暴はやめてくださいね~? 破壊はわたししかしちゃいけないんですよん☆』
 語尾を彈ませ、胸元で繊手を動かす。
 すると忽ち海水が溢れ、床一面を覆い尽し――荒海が飛沫を上げた。
『お仕置きですよん☆』
 言い終えぬ裡に五百重波が逆巻き、波濤となって猟兵に襲い掛かる。
 然れば刻下、己が『レガリアス・エアシューズ』に【スチームエンジン】を搭載した泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)が、大波を蹴り上がった。
「……慥かこの神殿に祀られていたのは、闘争の女神、だっけ? 他にも鍛冶とか火とか……何か気の合いそうな神様が多いわよね……」
 こんな戰い方は女神は気に入るだろうかと、華奢な躯を翻した少女は、巨鋏『ナイトメア・シザーズ』を二振りの刀と變えて左右の手に握り、海嘯の壁を断つ。
 そして時を置かず蒸気エンジンを逆噴射すれば、反撃の波にも捕まるまい。
 火華流は機動力を活かした立ち回りによって、大きく迂曲(うね)る荒波の中を巧みに動き回った。

 ――扨て。
 猟兵による破壊活動と、レディとその守護竜が妨害の撃を衝き入れる動乱の中、荒谷・ひかる(精霊ふれんず癒し系・f07833)は吹き荒ぶ暴風に雪白の三つ編みを揺らしつつ、列柱の間に身を隠していた。
 直接の戰闘能力は殆ど無い少女だが、その聡い耳は劔戟と衝撃に掻き消される「聲」を拾っており、それ故に胸を痛めている。
「聞こえる……『不死の怪物』……おっきな大地の精霊さんの、苦しそうな声が聞こえるんだよ」
 世界樹が根を張る大地の奥部で、今も焼べられ続ける『不死の怪物』の聲を聴く。
 この邪神殿は『不死の怪物』のエネルギーを汲み上げ、レディに超パワーを与えているのだが、ひかるは長い睫を持ち上げると、琥珀色の麗瞳に凛然の光を萌した。
「待ってて……いま、助けるから」
 ひかるにとっては、不死の怪物も大きな大地の精霊。
「……行こう、精霊さんたち」
 少女は既に絆を結んだ精霊(ふれんず)と共に床面を駆けると、中でも心配そうな様子を見せる大地の精霊に、こっくりと首肯を添えた。
「小さな大地の精霊さん、おっきな大地の精霊さんに祈りを捧げて、応援してもらおう」
 邪悪に利用されているエネルギーを、こちらに回して貰う――。
 小さな精霊の取り次ぎにより、レディに流れ込む超パワーを阻もうと目論んだ少女は、慈愛の心で必死に祈りきった。
「敵に踏みにじられたのは、闘争の女神だけじゃないから……!」
 発動、【本気の大地の精霊さん】(アース・エレメンタル・オーバードライブ)――!
 祈りに合せていた両手を広げ、純白の小袖を翩翻と翻す。
 然れば刻下、少女が真赭の鼻緒を踏み込めた直下から石床に亀裂が走り、居並ぶ列柱がグラグラと揺れ――大地震が起きる。
『ッ、床が、われて……!』
 影を映す程に磨き上げた床面を惜しむ余裕は無い。
 レディは巨樹が枝葉を広げるように疾走る地割れに足場を奪われると、ピョコピョコとジャンプして回避した。

 仲間の猟兵が次々と冱撃を衝き入れて邪殿を破壊する中、マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)は戰場の烈風に黄金色の艶髪を梳りながら、繊手を合わせて祈る。
「主よ、憐れみたまえ」
 狂邪に神殿を破壊され、居を喪った女神を憐み給え。
 女神の為に闘争の牙を剥く猟兵を赦し給え。
 そして、正義の牙に屠られる狂邪を慰み給え。
「……エリ、エリ(主よ、主よ)」
 深く祈りきったマリスが長い睫を持ち上げるや、その瞳に星型の聖痕『星辰』が顕れ、聖性の光が彼女の躰に満ち溢れる。
 星瞳に凛然を萌した優艶の聖者は、耀ける繊手に巨弓『星屑』を構えると、破魔の弦音を震わせて流星を射た。
「灰は灰に、塵は塵に」
 重厚なる円柱の中核を貫穿した鏃は、爆風と轟音に包んだ後、其を砂塵に還した。
 斯くして元の『ヘカトンペドス』(百の柱を持つ神殿)を再現したオブリビオン神殿は、次々に柱を砕かれ、猟兵が侵襲して四半刻の後には、滔々と流れ込む超パワーを唯の爆発のエネルギーと變えてしまっていた。

  †

 多くの猟兵がユーベルコードを駆使してオブリビオン神殿を破壊する一方、元々祀られていた神の聖性を鼓舞せんと動く者も居た。
 シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)も其の一人。
「――レスリングに似た神事の再現を試み、闘争の女神を呼び覚ます」
 竜虎相搏、兵戈槍攘を好む女神を悦ばせるには、肉彈戦での交戰が最適か――。
 シキは「仕方ない」と嘆息すると、【アンリーシュブラッド】――冴月の如き銀の毛並みを輝かせる狼獣人と變じ、近接戰に特化した攻撃力と瞬発力、敏捷性を得て疾駆した。
「想像から“無敵”が創造されたのなら、想像の欠陥を衝くしかない」
『グルァァアアッッッ!!』
 角逐――ッ!
 守護竜リヴァイアサンの突貫に併せて爪先を彈き、迫る猛牙にリバースグリップで握った『ナイフ・ツインアイズ』を咬み合せる。
 焔色と月色の宝石がギチギチと色を揺らす中、シキは手首を回して角度を變え、合金竜素材の鋭刃を海竜の咥内へと沈ませた。
『ゲェア!!!』
 竜が海水を繁噴き、シキが腕を鮮血に染め――美しく磨かれた床面に残滓が零れる。
 其は正に闘争の景と、漆黒の瞳に仲間の勇戰を映したバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)も動き出す。
「英雄を祝福する女神か。ならば……我が騎士達もまた英雄。死して尚、戰い続ける事を選んだ勇者達であり、今尚彈圧に抗う我らもまた……英雄であると断じよう」
 端整の唇を滑るカヴァリエ・バリトンは儼肅にして冷艶。
 決して饒舌では無いが、一語にも空音は語らぬとは其の神気が示そう。吹き荒ぶ烈風を『十字の障壁』に蹴散らしたバーンは、再び口開いて真実を告げた。
「……此処での英雄はヒーローではないからな。悪には悪の……英雄が在る!」
 下命、【デュランダル騎士団招来】(セイシヲコエキタルエイユウキシタチ)――!
 闘気と殺気が渦巻く風に『逆十字のマント』を翻したバーンは、その背に英霊――志半ばに斃れたデュランダル騎士団の精鋭を喚び、隠れた女神の視線を惹き付ける。
 死して尚、共に在る忠臣を揃えたバーン自身も雄壮。
 彼は仲間が邪神殿を破壊し、其を妨害する海竜と戰う中、更なる干渉を企てるレディに正面からぶつかり、魔劔『Durandal MardyLord』の劔閃に邪を禦した。
『あなた一人じゃ、わたしにはかないませんよ~☆』
「……一人ならな」
 須臾の時間差で、死角から騎士達が不滅の刃を、混沌の槍を突き入れる。
 危うい気配に高く躍動し、辛くも劔戟を遁れたレディだが、他の猟兵の破壊活動を止めんと動く余裕は無かろう。
 彼女はバーンと「デュランダル騎士団」の騎士達によって血宴に縫い留められ、見す見す己の神殿の破壊を許してしまった。

 ――時を同じくして。
 血闘の庭に踏み入ったオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、敢えて我が半身たる『破邪の聖槍』を床面に突き刺し、凛然に色を挿す美唇に冷儼と囁(つつや)いた。
「伝説に曰く、偉大なる民族の族長は、神と格闘で勝利し、聖なる御名を賜ったと」
 格闘とは即ち無手――。
 自身もまた英雄に倣わんと、耀ける黄金の穂先を封じたオリヴィアは、氷の加護を纏って凛々淸冽、何処(いずく)にか隠れた女神に喊ぶ。
「異教の神なれど御照覧あれ! 我が武の舞いを!」
 爪先から指先ひとつにも鋭気を漲らせ、武舞を奉じる――。
 その力強さは歴史に刻まれた英雄に劣らず、精強を好む女神を大いに奮わせた。

「奏でましょう、英雄譚を。語りましょう、勇者を愛する女神のために」
 神殿の屋根より高い空より、淸澄の旋律を奏でるは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
 彼は我が純白の翼に風を掴みつつ、繊指に拡声マイク『Angelus amet』を握って譚歌を歌い紡ぐ。
 数多の戰場を馳せた身なれば、英雄譚には困るまい。
「この地で共に戰ったヒーローの話? 闇に鎖された世界で、危険を知りながら勇気を振り絞って戰ってくれた村人達の話? それとも……僕達自身の話?」
 斯く言う澪自身も実にヒロイックであったろう。
 繊麗の躯に豪華絢爛なドレスを纏い、花弁を舞い散らせながら穹を翔る――【マジカル☆つゆりんプリンセスフォーム】の美しさには、闘争の女神も瞳を細めたに違いない。
『ギシャァァアアッッ!!』
「……無粋な海獣。邪魔をするなら――!」
 円柱の間を潜った海の魔物が、宙を泳いで嚮い来れば、澪は聖なる杖『Staff of Maria』を振り翳し、天より閃雷を繋いで感電させる。
「あなたの心が奮い立つように……!」
 澪はきっとまだ近くに居る女神の為に、譚歌も戰いも捧げた。

「闘争の女神は屈強な男を好む……まぁ、要は腕っぷしを見せればいいってことか?
 それなら神殿を破壊しながらでも何とかなりそうだな」
 武舞は踊れぬし、譚歌を奏でる咽喉も持たぬが、腕には覚えがある。
 失意にある女神とやらを悦ばせてやろうと、竜の加護を受けし帆套『ソール』を翩翻と翻してやって来た竜人、セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)は、精悍なる躯をポルティコに潜らせた。
 いや、跫音は其処で止まり、上部に設えられたペディメントを仰ぐ。
 少し笑ったか――鋭牙を秘めた口角は僅かに持ち上がって、
「見事な装飾だが……この部分、容易に剥せるだろう」
 言うや迫り出すは【心胆ヲ握緊メル腕】(ゲレパ・アンデ)。
 握れば拳、開けば掌――全てを手中に収めた怪腕が、其処に刻まれた海の魔物や荒波を薙ぎ払い、掌手に掴んだ彫刻群を唯の石片と變えていく。
「解体作業といこうじゃないか」
 胸の空くような豪快は、女神が見たなら快絶の咲みを浮べたろう。
 一方、我が彫像の砕け散る瞬間を視たレディは、柳葉の眉を顰めて詰る。
『折角こんりゅうしたわたしの神殿を……こんなにぐちゃぐちゃにするなんて……』
 唯だ、猟兵達の様々な破壊活動に興味を持ったのも事実。
 元々、破壊や蹂躙を好むレディは、全身に漲る超パワーに煽られて身を乗り出し、
『おもしろそうだから、わたしもを全力をだしますね☆』
 と、溢れ出る魔力を海水に變え、床面いっぱいに海を敷いた。

  †

 レディが淸浄なる海水の鎧を纏うや、高圧水流の刃を放つ。
『みなさん、簡単にしなないといいですね~☆』
 言は柔かくも、迸る鏖殺の気は狂刃の如く鋭く危うい。
 レディを中心に放射状に放たれた水の刃は、螺旋を描いて錐の如く猟兵の兵装を砕き、肌膚を裂き、朱々と鮮血を躍らせた。
「ぐッッッ!!」
「痛、ァ――!」
 気圧されぬはナミルくらいだったろう。彼女は自慢の巨斧で両断せんと振り被り、
「海水なんてしょっぱいだけで怖くないにゃ! 突撃にゃ!」
 だが然し。
 向かい来る水の刃の間際を縫った彼女は、その肩口を掠める刃撃に毛を切られた!
「ハッ……ハゲたにゃー!!」
 折角のフワフワ冬毛に地肌が見える脅威。
 一瞬、瞠目して吃驚を見せたものの、「また生えるからいいにゃ」と気を取り直す――立ち直りが驚異的に早い。
 然し皆が皆、彼女の様に冬毛が生えている訳では無かろう。
「ッ……それなら、こんなのはどう?」
 回避の為の距離を十分に取りながら、火華流が『ナイトメア・シザーズ』をブーメランと變じ、身を屈めて水平に投げ入れる。
 低く旋回する其が鋭い弧を描いてレディの足元を脅かし、相手の跳躍を狙う筈だったが、足元は海水が幾つも大渦を作っており、ブーメランの軌跡を荒波に揉消した。
 ならばスライディングで転倒をと爪先を彈けば、海水は狂濤を成してレディの影を隠し――射線を遮られた火華流は、瑪瑙と耀く麗瞳で水の巨壁を睨める。
「クローンと言っても、流石はレディ・オーシャンの同体……!」
『ドクター・アトランティスは天才科学者ですからね~☆』
 塊麗の微笑を零したレディが、クローン技術を誇る様に猛攻を仕掛ける。
 床面に海水が滑り、大波と蜒(うね)る中、高圧水流の刃は劔となって猟兵の肉を裂いた。
「痛ッッ……!」
 裂帛の音も一瞬、小袖を斬られたひかるの巫女装束にも朱が滲む。
 少女を取り巻く精霊達が咄嗟に巨柱の陰に匿い、辛うじて深手は遁れたものの、神殿内は忽ち血煙に満ちた。
「っっ、っ……!!」
「ぐっ、ぁ!」
 多くの猟兵が激痛に膝折りそうになる処、須臾に庇い出るはセゲル。
「闘争の女神が見てると思えば、ここは“進む”べきだろうな……ッ」
 逃げず、立ち止まらず、踏み出る――!
 己の負傷を顧みず、他者を護る事のみを希って鍛えた濤鎧『スィーケルフェスニング』を纏い、身ごと盾と前進した竜人は、その魁偉に裂傷を疾らせつつ、激痛に耐え抜く。
「――私も痛みを負いましょう」
 この時、マリスは自身も血を流しながら進み出て、神父が神に祈る様に手を広げると、全身から星の輝きを迸らせて皆々の創痍を癒した。
「――私のためではなく、あなたのためではなく、私たちのために」
 柔かく温かく降り注ぐ光は【不思議な星】(ステラ・ミラ)。
 マリスの躯から溢れ出る星光が裂傷に触れるや、流血は止まり、疼痛が慰められた。

 今が耐え時と誰もが歯を食いしばるが、返報が儘ならぬとは歯痒い。
「ッ、ッッ……眞面(まとも)に受けては刀劔も断ち切られてしまうでしょうね」
「戰陣が崩れぬよう、寸導(せめて)往なす――ッ」
「佳い的にならぬよう、絶えず動いて反撃の機を探ります」
「――合せよう」
 藍天鵞絨の外套を翻し、側面から妖刀『悪食』を衝き入れる晴夜と、デュランダル騎士団の英霊に劔鋩での防禦を命じるバーン。
 水の刃を手折るつもりが、軌道を變えるのが精一杯かと唇を引き結んだ二人は、須臾、更に視界を過る脅威に息を飲んだ。
『守護竜さんも、がんばってくださいね☆』
 レディが妖しい微笑をひとつして、我が躯の周りを廻っていた海竜を使嗾する。
「――不味い、マギアさんは私の巨盾の後ろに」
「案山子さん――!」
 隠れろと言うより隠した方が早いか。
 素早くマギアを盾に引き込み、聖なる加護に包んだラックラだったが、危殆を挿した聲に間もなく痛痒が滲む。
「……ッ!」
 主の命を受け強靭を増したリヴァイアサンは、一瞬で距離を屠るや尾鰭を打ち振るい、ラックラの巨盾を重い衝撃に押し込んだ。
 マギアが其の威力に息を飲むが、大いなる海を統べる者の脅威はまだ続く。
 レディはニッコリと哂って繊指を動かし、
『一体ときまっているわけではありませんよん☆』
 想像から生み出される守護竜に限りは無い。
 今度は神殿の屋根から――長大なる躰を大きく波打たせた海竜が降下し、鞭の様に側面を叩き付けて猟兵を薙ぎ払った!
「ッ、ッッ!!」
「く、っ!!」
 精悍なる猟兵も激痛を噛み締め、灰白色の石床に血斑を染ませる。
「此方も力押しなら、向こうも力押し、と……!」
 畢竟、力と力。
 強者が弱者を淘汰するのが“闘争”か。
 ウィルヘルムはラージシールドを構えて冱撃を禦ぐが、数多の戰場を潜って培った戰闘勘で軌道を見切り、確実に盾の中心で受けても、衝撃が躰の幹を脅かす――純然たる強さに言葉を失う。
「破砕した処で再生される。数も自在。だが、こういうのは気圧されたら負けじゃ!」
 女神が司る“闘争”とは、心に拠るものが大きかろう。
 故に退いてはならぬ。
 アマミは旋回を繰り返しては躯を叩き付ける海竜に、全き本能の勘によって拳を閃かせるが、両拳が鮮血淋漓しても決して押されはせぬ、と鉄下駄の鼻緒を踏み締める。
『でも、いたいものはいたいですよね~☆ 泣いてもいいんですよー☆』
『シャァァアア!!』
 鈍い音が神殿に響く中、佳聲を転がすレディと、雄叫びを挙げるリヴァイアサン。
「~~~ッッ!!」
「く、っ!!」
 猟兵が続々と痛撃を絞る中、急旋回した海竜は、今度は銀の尻尾を揺らしたシキに目掛けて猛牙を剥くが、凄まじい突進の後に噛み砕いたのは――超パワーを流す円柱。
「邪殿の破壊に協力して貰おうか」
『ガァッッ!!』
 常に円柱を背にしていた彼は、海竜の牙を間際で躱すや一柱を崩させ、彼の竜を想像より創造した主のパワーアップを妨害する。
 破壊の衝撃を目尻に遣り過したシキは、僅かに鋭牙を覗かせて、
「無敵? 俺一人倒せずによく言えたものだな」
 と、魔竜の悲鳴に冷たいハイ・バリトンを置いた。
『ギィィギギギッッ!!』
 悔し気に尾鰭を波打たせた守護竜は、邪殿を高速周回すると、次いでオリヴィアの鑒識(めがね)を隔てた金の麗瞳に魔眼を繋ぐ。
『ギシャァァアア!!』
 突貫――ッ!
 長大にして巨大なる魔竜は、質量だけでも聖女を圧し潰せたろうが、活眼を開いて軌道を見切ったオリヴィアは、躱し様に鰓を掴み、怪力を以て吊り上げる!
『ゲヒッ!!』
 この時、海竜に触れた『ホーリーガントレット』が白銀の光を零し、漸う冷たく淸かに――時すら凍てる永劫の縛鎖に躯を包み始める。
「海水にも熱がある。これより其の熱と呼吸を奪う」
 顕現、【氷獄滅塵葬】(コキュートス・パニッシャー)――!!
 美し修道女は、絶対零度の氷獄に囚えた海竜の鰓を掴んだ儘、円柱に叩き付けた。
「砕けろぉぉおお!!」
『ゲェァァアアッッッ!!』
 更に一柱が破砕し、支えを乏しくした屋根が大きく揺らぐ。
 其は神殿に漲る超パワーの供給が危ぶまれた瞬間でもあったろう、上空で英雄譚を歌い続けていた澪は、多くの仲間が血を流し、苦境にある今こそ祈りを強くする。
「皆が戰って、痛みに耐えて、あなたを踏み躙ったオブリビオンを、邪悪な神殿を倒そうとしているから……!」
 繊指を組み、丹花の唇に希う。
「お願い、女神様、手伝って……!」
 力を貸して欲しい――。
 きゅう、と瞳を閉じた澪であったが、再び長い睫を持ち上げて視た光景は――言葉通り“神懸って”いた。
「っ、これは……」
 瞬刻。
 衝撃が龍尾と疾走って屋根を裂き、破砕した石材が溢れる光に掻き消される。
 神殿の床面から其を仰いだ猟兵達は、瓦礫が我が身を打つこと無く宙に浮かび上がり、光の波濤に揉まれ、露と消える不思議に瞠目したろう。
「これが、闘争の女神の力……?」
「――ああ、違いない」
 多くの者が女神の復活を、存在を肌膚に感じ、その協力に瞳を細める。
 彼女もまた闘争の炎を、悪に抗う心を萌したのだと、屋根を抜いて現れた碧落を仰いだ英雄達は、義気雄渾と流血を拭った。
 降り注ぐ祝福の光に、泉に浸した様な透徹の髪を輝かせたラナは、此処に儼然と告ぐ。
「戰術を、判断を見誤りマシタね。レディ・オーシャンの複製体」
『なっ……』
「此処は超パワーの供給を維持する為に、相応のリソースを――自由に動かせる海水を割いてでも、大規模な崩落・倒壊を禦ぐ可きデシタ」
 畢竟、レディは逸ったのだと図星を突く。
 邪神殿の崩壊と、闘争の女神の復活を視認したラナは、猟兵が戰局を掌握すると同時、レディの決して覆らぬ劣勢に終焉の到来を見る。
 超パワーを失った代償はあまりに大きい、と――。
 その場に居揃った猟兵の凄まじい覇気が、レディの敗北を暗示する様だった。

  †

『そ、んな……わたしの神殿が……超パワーが……』
 覚えずレディが背進する。
 其処に彼女の慥かな動揺を見たマリスは、血斑の染む白皙に凛冽を萌して言った。
「仮令(たとえ)神殿を壊せても、神を無かったことにはできません」
 神殿が潰えても神は滅びず。
 マリスは銀の鈴の如く澄んだ聲で告ぐと、其を証せんと天穹を仰ぐ。
「――闘争の女神よ、あなたの求める英雄がここにいる。彼らに祝福を」
 悠久と枝葉を広げる世界樹の更に上、透徹なる碧落に“神の光”を視たマリスは、此処に星々の煌きを編んだ白翼『聚楽第』を広げた。
「光には影が寄り添う。あなたが望むなら、私が影になりましょう。
 我は汝に、汝は我に――」
 然れば如何だろう。
 穹から女神の頬笑みが、祝福が光と降り注ぎ、マリスの躯に収斂されていく。
 双翼の輝きと女神の力を束ねた彼女は、其を星属性の巨大な光彈と變じ、
「光あれ」
 言うや瞬刻、世界が白む。
 全ての色を光に浮き立たせたマリスは、尊厳と矜持を取り戻した女神の力を合わせて、彗星の如き光彈を放った。
『ッッ、くいとめなければ……!』
 闘争の女神の復活を認める訳にはいかない!
 猟兵の強さを認める訳にはいかない!
 きゅ、と唇を引き結んだレディは、両腕で渦を描くと、再び海嘯を引き起こす。
 水の壁に星彈の光を乱反射させた彼女は、威力を削いで致命傷は遁れたようだが、ラナが再び発動した「大地の渦潮」が、攻勢に転じる事を許さない。
「当戰場におけるラナの役割は、破城槌。必ず果たしマス」
 対象を變更しても任務は變わらず。
 荒れ狂う怒涛にぶつかった渦潮もまた強く激しく、猛然と抗衡して被害を抑えた。
「元より単独での防衛戰だったのデス。手数と戰術の幅を失って、そう永く保つものではありマセン」
 轟音が犇く中、ラナが囁(つつや)いた佳聲が間もなく「真実」になる。
 悔しさに美唇を引き結んだレディは、間髪入れず飛び込む光矢――いや、翠光を迸って疾駆したウィルヘルムの鋩に、一瞬、時を止められた。
「パワー供給が弱くなった今が攻勢です。畳み掛けましょう」
『――ッ!!』
 柄を緑に塗り込めたハルバードを握り、身ごと鋭槍と化した騎士が、五百重波を次々と破って突貫する。
 皮肉にも己が生み出した海嘯の壁によって視界を狭めたレディは、咄嗟に引いた右の肩口を、美し血花に飾った。
『ッッまさか、わたしの魔力が……やぶられるなんて……』
 レディの心の動揺を隙と見たのはシキ。
 強さへの疑念を衝くのは今だと、強靭な脚力で床面を蹴った彼は、一気に肉薄して海竜に鋭刃を突き立てる。
『ギャヒッ、ッッ!!』
「俺は代償を支払った。等価とは言うまいが、そっちも切り崩して貰おうか」
 ガンナーが射的距離を代償に近接戰を強化し、獣人の姿を暴く事を極力避けていた男が其を呑んだ――全ては、闘争を好む女神の為。
「無敵の敗北を、仕事の報酬として頂く」
『ギッ……ェア……ッッ』
 弓張月と閃いた刃鋩が海竜の躯に沈み、長大なる躯が大きく震える。
『わたしのリヴァイアサンが……っ』
 海竜を助くべく更なる海竜を生成せんと差し出る腕は、然し間に合わない。
「次なる守護竜を創造する隙を、想像する余裕すら与えない――!」
 脇が空いた瞬間に敵懐を侵略したオリヴィアは、脇腹に蹴撃を衝き入れるや高速の拳打を打ち込み、レディの繊躯を折り曲げた瞬間には肘を落して床に蹲わせる!
「破邪の祈りを籠めしグリーブで、踏み付ける――!」
『んぁあっ! んンンンンーッ!!』
 決死の巴投げでオリヴィアを振り払ったレディだが、後方に宙返りして壁面を背にした瞬間には、当に其処に影を滑らせたマギアが暗器『翠顎毒牙』を衝き入れ、白肌の見える鎖骨より神経毒を注ぎ込む。
「痛みと毒で、軈て身体は石の様に動かなくなる――」
『痛ッ、アッッ!』
 主の悲鳴に呼応した守護竜が直ぐさまマギアの喉元に迫れば、時を殺して射線に割り込んだラックラが、身ごと巨盾と成って脇腹を強襲した!
「ハロー、レディの下僕! 死に晒せやぁ!!」
『ギャヒッ、ッッ――!』
 剔抉、【殺意の成果】(エクスキューション)――!
 海水から創られた竜なれば、水を叩きつけた様に穴が出来る筈だと読んだラックラは、貫手を刺突して創生術の「核」を破壊し、魔竜を元の海水に戻す。
「女神の復活、神殿復興の前座になりますよう!」
 快哉の聲で笑顔を零す案山子、其の白面が輝いたのは気の所為ではない。
 これら連携の瞬間を、女神は極上の闘争と讃えたか――海水と血滴の零れた床面が燦然と輝き、光の粒子を立ち昇らせて猟兵の勇姿を映えさせた。
「女神様も、力を貸してくれているから……!」
 躯に力が漲るのが理解る、と琥珀色の瞳を輝かせるは澪。
 彼は繊指に握る杖に霹靂を喚び、天地を紫電に結んで破魔の檻を成すと、レディを囲繞してその場に留め置いた。
『ッ、わたしがうごけなくても、リヴァイアサンは、あと一体、いますよん……っ』
 然しレディは狼狽えつつも強気を崩さない。
 主の代わりに自由に屠れと、美唇はクッと口端を持ち上げたが、それも一瞬の事。
「じゃあ、こっちも動けなくすればいいよね!」
 この時、火華流が『グラビティ・アンカーチェーン』を投擲し、海水の躯に重力の鎖を巻き付けると、神殿内を思う儘に泳ぐ守護竜の自由を奪った。
 斯くして主が囚われ、己も掣肘されれば、後は猟兵に屠られる儘に成ろう。
 傷口からボタボタと海水を零して逃げ回る守護竜は、金ぴか斧をブンブン振り下ろして追い立てるナミルに捕まり、
「真っ向勝負にゃ! 海竜も神殿も、まとめてぶっ壊してやるにゃー!」
『ギャァァアア!!』
 尻尾を切られ、避けても斧撃の余波に傷を負わされる。
 ナミルは烈しく飛び散る海水を被り、濡れ猫になりながらも闘志は凄まじく、
「水より金ぴかのほうが強いにゃ! 常識デスにゃ」
 ふんす、と事実を諭す様に言ってみせた。
「がっはっは! 中々に面白い光景だな」
 守護竜が主を護りもせず、怯懦して逃げ回るとは、と大口を開けて嗤笑うセゲル。
 彼が役儀を手放したなら、役に立って貰おうと怪腕を迫り出した竜人は、海竜の鰓を攫んで勢い良く大理石柱にぶつけた!
「こちとら今は破壊竜なんでな」
『ギシャァァアアッッ!!』
 無敵のリヴァイアサンが海水と飛び散り、巨柱がボキリと「く」の字に曲がって傾く。
 其は隣の石柱に倒れ込み、超エネルギーをぶつけ合って大爆発を引き起した。
『きゃぁあああっっ!!』
「超パワーとやらが暴発したな。もう供給は出来まい」
 衝撃に押されるレディに、セゲルの逞しいカヴァリエ・バリトンは届かない。
『っ、っっ!』
 無敵の海竜を突破され、守護を失ったレディは、もう二度と海水で竜は造れぬだろう。
 何故なら彼女は背進した矢先、追って懐に飛び込んだアマミに捕まり、海水の鎧の上から構わず叩き付けられる血拳に、ゾクリと悪寒を疾らせたからである。
 堅牢の鎧に威力が往なさようと、只管にブチ込まれる拳は鬼気迫り、
「妾は一生こうしててもえ~んじゃぜ~?」
『手負いの戰士によゆうはない、はず……!!』
 己の強さに疑念が疾る。
 同時に、猟兵の強さに恐怖が差す。
 レディの動揺は、熾烈な拳打が躯にダメージを積む毎に大きくなって――心の機微に敏く、多感なひかるには慥かに伝わったろう。
 少女は人が「懼れ」と呼ぶ感情を掴むように佳聲を発し、精霊に好機を告いだ。
「お願い、大地の精霊さん! 最後は全力でいっちゃって!」
『――ッッ!!』
 今度は一直線に、自身の草履とレディの高踵靴を結ぶ地割れを疾走らせる。
 一筋ながら大きく深く床面を削った地走りは、レディの左脚を聢と捉え、芙蓉の顔(かんばせ)を蒼褪めさせた。
 斯くしてレディの動きが止められた瞬間に晴夜が動く。
「ニッキーくん、腕なり頭なり掴みなさい」
『きゃあッッ!』
 須臾、ニッキーくんの掌手が轟ッと風を切り裂いてレディの腕を掴む。
 幼子が玩具を弄ぶ様に粗雑(ぞんざい)に、繊躯をぶうらりと宙に吊り上げた怪力は、そのまま居並ぶ彫像群へ叩き付け、緻密に彫り込まれた海の魔物達を粉々に砕いた。
『いったぁい!』
 婀娜なる聲を絞ったレディが、屈強な傀儡越しに晴夜を睨める。
 然れば彼は艶麗にも不敵な微笑を浮かべ、
「神殿を壊す道具に、ニッキーくんの遊び相手になって下さるとは有難い。其も全ては、このハレルヤの人徳というやつですね!」
 敵が痛撃を喊ぶほど上機嫌に、繊指は滑らかに動いてニッキーくんを遊ばせる。
『んンッ! いやぁ、はなしてッ!!』
 蓋し愛情を示すにも不器用なニッキーくんは、淸海の鎧が海水と解けるまで、レディをべっちんべっちんと柱に床に叩き付けた。
 最早、先のジャスティス・ウォーで最大最悪の被害を齎した海の女王の姿は在るまい。
「母なる海である事を忘れた哀れな女神よ。今ここに我らが引導を渡してやる」
 バーンは儼然と告ぐと、精鋭なる騎士団を連れて突貫し、雄々しき喊声、壮烈なる劔戟にレディを押し込んだ!
「英雄達よ。今こそ闘争の女神に、己達の叛逆、闘争を我と共に魅せよ」
『――ッ、ッッ!!』
 己の生命の限り、意志の炎と燃ゆる限り、力を振り絞る――!
 神の一柱と成った男と英雄達の劔鋩は、レディの肌膚と臓腑を穿ち、邪の中心を剔抉して天に掲げた――!
『ズ、ッ……アァァア……!!』
 佳聲が滲み、軈てか細く――事切れる。
 女の影を失って、唯の海水と解けるまでを聢と見届けた猟兵は、ここでやっと膝を付き、安堵と疲労の滲む溜息を吐いた。
「……勝った……」
「――――終わった」
 緊張を解いて元々の表情を取り戻した瞬間こそ、彼等の一番の魅力であったか。
 個性豊かな笑顔を見せる猟兵達に、闘争の女神が微笑む様に光を降り注いでいた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
どもー!エイリアンツアーズでっす☆
愛機Glanzで乗り付けながらも
神殿建築には思わずときめいちゃうよね…!

ヒーローズアースの図書館で
読んでた文献の中にも
確か女神に捧げる英雄譚の歌があったっけ。
よっしゃ!再現なら任せて♪
Herz握り締め、UC発動―MC jailbreakいっきまーす☆

敵の起こす自然現象を
自慢の【運転】テクで躱しながら
古より伝わる闘争の賛歌を【歌唱】。
現代を生きるヒーローや猟兵達を【鼓舞】する
リリックも織り交ぜて
皆を…眠っている神様も応援出来たら嬉しいな♪

【地形の利用】を念頭に
走行&仲間の【援護射撃】を行いつつ
ピンチ時には【かばう】等フォローに回るね!

※絡み&アドリブ&同乗歓迎!


ヴィクティム・ウィンターミュート
オーケー、オブジェクトをぶっ壊せばいいんだろ?
それならいくらでも手はある──アバズレの新居解体といこうじゃねえか
さっさと立ち退かせて、こう言ってやる
『お呼びじゃあないぜ』ってな

いいか?何もでけえハンマーだの、ダイナマイトだのは必要ない
こんなものはデリートの実行と同じだ
不要なデータはパッと消しちまうに限る──こんな風にな
セット、『Void』
周囲に味方がいないかどうか確認、あるいは一時退避してもらって…位置調整、発動
『消し飛ばす』だけだ
このプログラムに出来ることはそれだけ、シンプルだろ?
じゃ、神殿も消えたし次はお前の番だな
俺に消されるか、鉛玉を喰らうか…あるいはボルトか、ナイフか
選べよ、アバズレ


アリス・フェアリィハート
アドリブや連携も歓迎です

レディ・オーシャンさんの
クローンさん…
強大な力を感じます…
けど
世界の為にも…!

レディ・オーシャンさんの
パワー供給源を断つべく
戦闘しつつ
UCで神殿を破壊

『闘女神さん…神殿を壊しちゃってごめんなさい…でも、これも敵さんの力を削ぐ為…』

攻撃及び戦闘手段は
自身の剣
『ヴォーパルソード』に
各属性を纏わせての
【属性攻撃】【なぎ払い】等の
剣戟や
剣からの光焔の
【衝撃波】【誘導弾】
等の遠距離攻撃
UC使用時には
凄まじい風雷の竜巻を
発生させます

敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】
【オーラ防御】等で
回避や防御

『レディ・オーシャンさん…この神殿は、元の持ち主の闘女神さんに…返してもらいます…!』



 神殿を壊され、新たな邪神殿を建立された元の神は、何処(いずく)に在ろう。
 流涕して地中に沈んだか、失意の裡に空へ消えたか――とまれ、闘争の女神たる彼女の力も借りて、邪神殿を破壊せねばならない。
「どもー! エイリアンツアーズでっす☆」
 世界樹の巨枝に愛騎『Glanz』の蒼き光線を疾らせてやって来たパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は、前の様式を踏襲したという壮麗な神殿建築に、思わず冒険心が擽られた。
「……女神さまの神殿も立派だったんだろうね」
 嘗ての姿あってこその雄大と勇壮。
 正に此処で、闘争を好み、英雄を愛した彼女の為に武舞や譚歌が捧げられたという――彼女もまた人々に愛されたのだろうと瞳を細めるパウル。
 慥かヒーローズアースの図書館で読んだ文献の中にも、女神に捧ぐ英雄の歌があったか――嘗ての記憶を辿った彼は、指貫きグローブにハンドマイク『Herz』を握り込めた。
「よっしゃ! 再現なら任せて♪ MC jailbreakいっきまーす☆」
 発動、【サウンド・オブ・パワー】――!
 無垢の咲みを挿した端整の唇が開くや、歌い紡がれるは古より伝わる闘争の賛歌。
 其は英雄の勇姿を鮮やかに蘇らせながら、現代を生きるヒーローや猟兵達を鼓舞するリリックも織り交ぜ、高らかに誇らかに澄み渡る。
『まあ、きれいなうたですね~☆』
 白磁の繊指を頬に宛て、ほう、と嘆声を零すレディ・オーシャンのクローン体。
 唯、其が既に放逐した女神の為のものと知れば、聞き惚れている訳には往くまい。
『ざんねんながら、わたしのための歌じゃなさそうですねん☆』
 そっと柳葉の眉を顰めたレディは、玉臂を動かすや床面に海を喚び、大渦を為すや狂濤を起して襲い掛からせた。
『もずく? もくず? とにかく、海の何かになれたらいいですね~☆』
 其は“海を統べる者”の海嘯。
 凄まじい波の壁がパウルに影を差し、真白の泡に呑み込まんとするが、彼は愛騎の戰闘機エンジンをフルスロットル、大いなる迂曲(うねり)を躱して疾走する!
「波乗り、爽快ィ!」
『!! そんな……!』
 レディが瞠目したその時である。
 再びパウルに襲い掛からんと引いた潮は、そのままモザイクを掛けた様にチラつくと、半分、そのまた半分と消えて、元の石床を現した。
『これは、どういう……?』
 己の魔力は『不死の怪物』から超パワーを供給されて満ち満ちているのに、其を具現化した海水が膝下にも満たぬ不可解に首を傾げる。
 其の不思議を解き明かしたのは、ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)の凛冽たる聲。
「オブジェクトだろうとユーベルコードだろうと、面倒なものは有無を言わさず消しちまえば良い。デリートコマンドの実行と同じようにな」
 セット、Vanish Program『Void』――。
 電脳ゴーグル越しに発動位置を調整した青瞳が炯光を放つや、また海水が消える。
 常にパワーが供給されている為、モザイクや走査線に拮抗の形跡が見えるも、「物質をデータ化して消滅させるプログラム」は、半径63m内にある全てを“消去”した。
『わたしの彫像が……海の魔物たちの壁画が……』
 ひどい、と詰るレディにヴィクティムは冷艶の視線を投げて、
「でけえハンマーだの、ダイナマイトだの、派手にやって欲しかったのか? いくらでも手はあったが、キレイに新居解体してやるんだ。さっさと立ち退かせてやる」
 気を遣うのは、仲間の位置だけ。
 不要なデータはパッと消しちまうに限る、と儼然と言い切ったヴィクティムは、大きなスペースが出来た今こそ流し込めとばかり、アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)に流眄を注いだ。
 然ればこくん、と頷いた少女は、鈴を振るような佳聲に凛然を萌し、
「レディ・オーシャンさんのクローンさん……この場所は、元々祀られていた闘女神さんに……返してもらいます……!」
 顕現、【ワンダーランド・シンフォニア】――!
 万象を灼き斬り、無敵の怪物をも斃したという『ヴォーパルソード』は、可憐の繊手に握られて風と雷を紡ぎ、二属性を併せて竜巻を発生させる。
「神殿内がエネルギーに満たされて……強大な力を感じます……けど……闘女神さんの為にも……世界の為にも……!」
『こ、れは……ッッ』
 小さな躰から生成されたとは思えぬ厖大な魔力が、凄まじい旋風を立ち昇らせて迫る。
 其は整然と並ぶ円柱や彫刻装飾を砕きながら、レディの視界いっぱいに迫った。
『っでも、神殿内では、わたしの方がつよいですよん……っっ』
 脅威を感じつつも、強気を崩さず相殺を図るレディ。
 繊手が円を描き、その通りに渦を巻いた潮汐が巨壁を成して竜巻にブチ当たると、相剋――! 熾烈な波動を突き上げて屋根を押す。
「――これは消さない方がいいな。そのまま駆け登って……突き破れ!」
 身を切り裂く烈風に、機装の腕を盾にしたヴィクティムが宙を仰ぐ。
 ビキビキッと亀裂を走らせた大天井が、今にも衝撃に崩れ落ちようとした、その時――パウルが瞳を瞠った。
「……瓦礫が、光に包まれて……消えていく……!」
 言って、「嗚呼」と咲みが零れる。
 闘争の賛歌を捧げた彼なら、突き抜けて見える蒼穹の向こうに、聖性の光に溢るる女神の微笑が見えたろう。
 アリスもまた細顎を持ち上げて光を仰ぐと同時、神殿に満ちていた超パワーが碧落に溶けていく感覚を得る。
「……これで、無尽蔵のパワーは……止められました……!」
『……くっ……!!』
 猟兵の強さを詰ろうか。
 闘争の女神の復活を恨もうか。
 終始、婀娜な頬笑みを浮べていたレディは、燦々と降り注ぐ優艶の光に勇姿を輝かせる猟兵に、初めて花唇を引き結んだ。

  †

「オーケー、これで新居の解体が済んだ訳だ。次はお前の番だな」
 ミッションを移行する、と淡然と視線を戻すヴィクティム。
 彼は左右の機械腕に内臓した攻守の兵装を展開し、殺意の波動を紫電と閃かせる。
「俺に消されるか、鉛玉を喰らうか…あるいはボルトか、ナイフか。
 ――選べよ」
 選ばせてやる、と。
 邪神殿の破壊時に己の恣意によってプログラムを履行した彼は、死に方くらいは希み通りにさせてやろうと選択肢を示す。
『……ッッ、ッ……!!』
 悔し気に歯切りするレディに、巧い返しは出来るまい。
 身構えるばかりの複製体に短い吐息を一つ挟んだヴィクティムは、高度学習機能搭載型生体ナイフ『エクス・マキナ・カリバーンVer.3』を左右の手に握り、疾風と化す。
「先ずは全ての攻撃が通るように――海水の鎧を斬る」
『ッッ、させない……!』
 レディは刻下、床面を蹴って高速移動しつつ、金属をも断ち切る高圧水流の刃を放射して距離を取る。
 だが其処にはパウルが『Glanz』を駆って回り込み、後輪で美し円弧を描きつつ、固定砲台『Krake』四門の発射方向を全てレディに向けた!
 極限まで凝縮された時の中、彼は吃驚に見開くレディに屈託ない笑みを注ぎ――、
「いっけぇ、全展開、一斉掃射ァ!!」
『きゃぁぁああっっ!!』
 閃光した刹那、鐵鉛火彈が大きく喊びながら躯を彈き飛ばす。
 裂帛の悲鳴が碧落に吸い込まれた瞬間には、闘争の女神も快哉の笑みを浮べたろう。
 猟兵を応援するかの様な、或いは彼等を勝利に導くような光は、アリスの花顔を美しく輝かせ――讃えた。
「闘女神さん……ありがとうございます……私、がんばります……!」
 空色の光焔を纏う姫英雄の劔を大きく振り被り、一閃する。
 龍が尾を疾らせる様に走(たばし)った衝撃波は、床面を鋭く削りつつレディの繊躯に飛び込み、腰から逆袈裟に血飛沫を噴かせた!
『……くッッ、ぁッ……!!』
 全ての攻撃を一瞬に収斂した猟兵が、戰術も強さも上回ったろう。
 ヴィクティムが海水の鎧を解き、パウルが前身を痛撃に楔打った処に、アリスの斬撃が閃く――これには闘争の女神も恍惚の表情を浮かべたに違いない。
『……ッ、ッ……――』
 レディは今際に聲を挙げる事も叶わず、元の海水と戻って床面を濡らす。
 蓋しその水分も、穹より降り注ぐ光に間もなく蒸発しよう。
 突き抜けた天井より透徹の空を仰いだ三人は、神殿の破壊に協力し、戰闘を鼓舞してくれた闘争の女神に、此度の勝利を捧げる事にした――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月23日


挿絵イラスト