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アースクライシス2019⑫~歌え、踊れ、神の宴

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #センターオブジアース

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「皆さんお疲れ様です! ええと、集めて頂いた鍵の石版の力によって、遂にセンターオブジアースへの道が開かれたようです」
 グリモアベースにて、詩音・マコトが明るい笑顔で語る。
 センターオブジアースとは、ヒーローズアースの世界を守護する『世界樹』。巨大なその樹に実るようにして連なる『神の神殿』の力により、かの世界は守られていたのだ。
 だが現在、その『神の神殿』はオブリビオンに破壊され、それを上書きするように新たな神殿が造り上げられている。そしてあろうことか、世界を破滅へと導くオブリビオンに膨大な力を供給する存在と化してしまった。
「皆さんには敵の造った神殿、『オブリビオン神殿』を破壊し、敵の力の供給源を断って頂きたいのです」
 マコトは真剣な顔になってそう言うと、がさがさと何か紙のようなものを取り出した。
「物理的な破壊で制圧するのも手ですが、『元々祀られていた神』を呼び起こすという手もあります」
 ばっ、と広げられたのは大きな楽譜。内容こそかなり単純で演奏しても数十秒あるかどうかといったところだが、その楽譜はやけに古めかしくボロボロになっていた。
 さらに譜面だけでなく、ところどころに神秘的な人物の絵も描かれている。マコトはそれが『演劇の神』であると言ってさらに続けた。
「……この楽譜は、神に祈りを捧げる為の歌を記したものだそうです。今回攻め込んでいただく神殿は元々この『演劇の神』のもの――つまり、歌や踊りを披露することによって目を覚ましてくれる筈なのです」

 つまり歌い踊りながら戦うことによって、自然とオブリビオン神殿を崩壊させることができる、ということ。マコトはその楽譜を複製したものを猟兵に渡しながら、ふわりとグリモアを浮かべた。
「これを使うかどうかは皆さんにお任せします。敵も強力ですから、余裕がなければバンバン物理的破壊に走って頂いても構いませんよ」

 そしてマコトはグリモアの光を強め、準備の整った猟兵を転送する。視界がふっと光に包まれる中、神々しく威厳のある声が何かを歌ったような気がした。



 ヒーローズアースへと転送された猟兵が辺りを見渡せば、そこは演劇舞台のように高く大理石が敷かれた神殿であった。
 突如、上空から大理石の舞台へと『何か』がひらりと降り立つ。
「……?」
 可愛らしいウサギが彫られた真っ黒な杵を担ぎ、猟兵を見てこてんと首を傾げるのはオブリビオン『アクロラビット』。
 この演劇の神殿を支配しているのは自分だ。そう言わんばかりにウサギはぴょこんぴょこんと踊るように跳ね回って杵を振り回し――そして、猟兵へと敵意を向けていた。


みかろっと
 こんにちは、みかろっとと申します。今回はセンターオブジアースに連なる神殿の一つをオブリビオンの手から解放する、というシナリオです。
 こちらはアースクライシス2019の戦争シナリオで、ボス戦一章で完結です。
 このシナリオで『敵のパワーの供給源を断つ』つまり神殿を物理的にドーンと破壊するか、歌や踊りで元々の神を呼び起こし崩壊させるかのどちらかを行って頂ければプレイングボーナスとなります。
 皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『アクロラビット』

POW   :    ラビットスタンプ
【ウサギ印のスタンプ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象の所有するユーベルコードのコピー】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    スピットスタンプ
自身からレベルm半径内の無機物を【ウサギのスタンプで刻印して無数の機械兵器】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    ラピッドワイヤー
【青いワイヤーロープによる拘束】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【にワイヤーを縦横無尽に張り巡らし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:茶犬

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ヴィル・ロヒカルメです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーナ・シェフィールド
アドリブ連携歓迎です♪
【WIZ】

歌や演奏、踊りを捧げることで、神様が目覚めるのですね。
わたしの全身全霊を込めて、奉納の祈りを捧げましょう。

「みんな、お願いね♪」
楽譜をしっかり覚えたら、【悠久に響く幻想曲】で楽団を召喚。
イーリスをマイクスタンドに立て、インストルメントを両手でしっかり構えたら、ツウィリングス・モーントで音を増幅しつつ、わたしの歌唱とオーケストラの演奏を神に捧げましょう!

「邪魔はさせない!」
邪魔をしてくるウサギさんに対しては、シュッツエンゲルを展開してワイヤーを受け流して防御、近寄ってくるウサギが居たら、モーントシャインの輝きを纏ったシュッツエンゲルをぶつけて弾き飛ばしますよ。


轟・やゆよ
その古代の歌舞をできるだけ再現して神さまを呼び起こそうとしてみるのよさ
技能の歌唱、パフォーマンス、楽器演奏、ダンス、祈りも使えるなら使って
演劇の神さま…どうか力を…

ついでに歌をサウンドオブパワーにしてオブリビオンと戦うみんなにも力を貸したいだわさ

敵のワイヤーは…ダンスのステップでかわせればいいんだけどねぃ…

さて、演劇の神さまはあたしたちに味方してくれるのかしら?

アドリブ、絡み歓迎


橘・揚羽
※アドリブ・連携歓迎
これが演劇の神殿……まるで古代ローマの舞台のように荘厳です
見たことはありませんけど
それにしても敵は――月のウサギ?
かわいらしいけれど、武闘派みたいですね
これでも巫女として育ったんです
神様の奉納は完遂させてもらいますよ!

『揚羽』をメインに行動
神殿を取り戻すために歌を担当します

まず、渡された楽譜や資料を【言語知識【翻訳者】】で解読、正確な内容を【情報収集】し把握して味方に伝えます
儀式手順と【礼儀作法】に則りながら、神と味方へ【指定UC】の力と【祈り】を込めて【歌唱】を行います

歌と踊りを愛し司る其の神よ。我らの演技に光あらば応え給え
此は汝が舞台。其の御姿の輝きは、此にあればこそ!



「これが演劇の神殿……まるで古代ローマの舞台のように荘厳です」
 橘・揚羽がそう呟き、神殿を見渡す。古代ローマの舞台を直接見たことこそないものの、伝承や古い資料に目を通していれば想像は容易だ。
 そして、その中心でぴょこんと跳ね踊る黒いウサギ『アクロラビット』。可愛らしい姿をしているが、ブンブンと杵を振り回して今か今かと攻撃のタイミングを狙っている様子は、あまり可愛らしいなどとは言っていられない。
 何より世界を破滅から救う為、そして神に神殿を返す為。巫女として大切に育てられてきた揚羽は、神を目覚めさせる歌へと意識を向けた。
「――神様の奉納は完遂させてもらいますよ!」
 揚羽は出発前に受け取った楽譜を広げ、その旋律を読み取る。音の流れや詞の意味、そして神殿に祀られていた神が人々に与えた恵みの数々――。
「あの空の向こうへ――この手を伸ばし続ければ――」
 それらを読み解いた揚羽はアクロラビットの動きに注意しつつ周囲の猟兵達へと内容を伝え、自らもユーベルコード『不屈の歌』と共に歌を奏で始めた。

 それを聞いたフィーナ・シェフィールドは、ふっと楽譜に視線を落とす。
「歌や演奏、踊りを捧げることで、神様が目覚めるのですね。わたしの全身全霊を込めて、奉納の祈りを捧げましょう」
 描かれた神の姿に静かに祈りながら、フィーナはユーベルコード『悠久に響く幻想曲』を発動した。
「みんな、お願いね♪ ――想いを、響き合わせて……♪」
 神殿の舞台上、彼女の背後に現れたのは可愛らしい小人の音楽隊。揚羽の歌を追うように高い笛の音が少し響いた後、小人たちは一斉に楽器の音を重ねていく。
 フィーナはそれに合わせて純白のマイクイーリスをスタンドへ固定すると、両手でインストルメントを構えて祈りの歌を奏でた。
 響く歌は宙を舞うスピーカードローン、ツウィリングス・モーントによりさらに音量を上げていく。

 そして猟兵、轟・やゆよもまた、古の人々が神に捧げた歌舞を再現しようとしていた。
「演劇の神さま……どうか力を……」
 やゆよは楽譜を手にすると、周囲で響く音楽に合わせて祈りの歌を静かに口ずさむ。小さな声はみるみるうちに神殿へ響く歌声となり、彼女のユーベルコードとして広がっていく。
「――世界の危機なんだわさ。だから……神さま、あたしたちの味方に」
 たん、と大理石を鳴らす。祈りを籠める歌が、こんなにも大きく激しく響いている。
 やゆよはくるりとターンを決めると、歌に合わせてらんらんと踊りながら神への祈りを捧げていった。

 揚羽、フィーナ、やゆよの歌声が重なり、美しく混じり合う。その瞬間ゴゴゴと神殿の舞台が揺れ、ぴょこぴょこ飛び回っていたアクロラビットが突如ダン! と大きく地面を蹴った。
「……!!!」
 ここは自分の神殿だ、邪魔をするな――彼が思う言葉はそんな具合だろうか。神殿の神を呼び起こそうとする三人へと、アクロラビットが襲い掛かる。
 ギュィンと伸びる青いワイヤーが歌の源、猟兵達のその首を絞めんと空気を鳴らした。

「邪魔はさせない!」
 歌をなんとか続けながら、フィーナがワイヤーを跳ね返す。彼女は宙に浮かべた数十枚のプレート『シュッツエンゲル』を操りながらバリアを展開した。しかしアクロラビットも一撃では終わらない。外したワイヤーを再度持ち上げ、やゆよの足元へとギュンと振るう。
「――っ、♪」
 やゆよは踊るように――ダンスの流れの一つに動きを取り込むように、ワイヤーの上をぴょこんと跳ねる。青いワイヤーはそのまま大理石の溝にきゅうと絡まってしまった。
「……!」
 ワイヤーを手放し、タン、タン、タンとアクロラビットがフィーナへと接近する。よく見れば彼の足元には先程弾かれたワイヤーが張り巡らされ、それを踏むことによって跳躍力を高めているようだった。
 あの勢いのまま接近を許すのは危険だ。フィーナはシュッツエンゲルに月の光を纏わせ、アクロラビットへ飛ばす。
「――!」
 アクロラビットはひらりひらりとそれを躱していくが、肝心の猟兵へ近づくことが出来ない。無機質な顔からでも分かる苛立ちが見えた時、揚羽がすうと一際大きく息を吸い――強い祈りを天へと叫んだ。
「歌と踊りを愛し司る其の神よ。我らの演技に光あらば応え給え……此は汝が舞台。其の御姿の輝きは、此にあればこそ!」
 ぐらり、と舞台が激しく揺れる。アクロラビットはその手に携える杵を高く振り上げ、無理やりにでも猟兵達を止めようとする――が。

 嗚呼――祈、る者、へ――祝福、を――

 それは壊れかけた音楽プレイヤーのように、ぶつり、ぶつりと途切れて響く。猟兵達がはっと上空を見上げれば、何故か真っ黒な雲がひと塊だけぽつりと浮かんでいた。

 ――嗚呼――――

「……ッ!!!!」
 アクロラビットはぞわりと背筋を凍らせ、咄嗟に後ろへ跳ぶ。しかしなんということか、真っ黒な雲はふわりとアクロラビットの頭上へと滑り――激しい雷鳴を轟かせた。

「か、神さま……だわさ?」
 じゅうと焦げるアクロラビットを見て、やゆよが目を丸くする。
 きっとまだ不完全な状態ではあるのだろう。しかし確かに今猟兵の味方として天を動かした『演劇の神』へ、フィーナと揚羽、そして驚くやゆよも声を揃え、祈りの歌の終わりを歌い上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
音楽なら任せてもらうよ!

譜面の内容を暗記し【指定UC】
【聞き耳】で周囲の音を聞き分け
敵の位置だけでなく敵の力で動き回る物の位置、動きを把握
そちらに気を取られ過ぎなくても反射で回避可能に

【ダンス】のステップで華麗に舞い
敵の攻撃の回避行動にも応用しながら
敵を【催眠】にかけるほどの【優しい】歌声で
譜面に記載された内容を【歌唱】
…多少のアレンジなら、神様も許してくれるよね

★Venti Alaに魔法を宿し纏った風の【属性攻撃】で
かわしきれない攻撃は暴風により敵本体の方に弾き飛ばす【パフォーマンス】
更にバトン状に回す★杖から炎の【高速詠唱、範囲攻撃】

元々の神様に届くよう【祈り】を捧げます
起きて、神様…!



「音楽なら任せてもらうよ!」
 出発前に受け取った楽譜をそらでも歌い上げられる程に暗記した栗花落・澪は、きらきらと琥珀の瞳を輝かせて舞台へ降り立ちユーベルコードを発動する。
「僕の舞台へようこそ!」
 ぱぁっと明るい声と言葉に、心なしか神殿に差す光がすっと強く、暖かく変わる。オブリビオンに支配されていようとやはりこの場は『演劇の神殿』なのだろう。アクロラビットがぴょぴょんと飛び跳ねる姿に雲が影を落とせば、まるで澪にスポットライトが当たっているかのようにも見えた。

「――ッ!」
 アクロラビットはウサギの彫られた杵をブンブンと振り回す。この神殿の支配者は自分だ、お前なんかに渡さない! そう怒るように高く跳び、辺りに転がる小さな石へと杵を振り下ろした。
 途端、杵と同じウサギの印を刻まれた小石はロボットのような姿に変わり、ガシャガシャと動き始める。そして彼等は澪に向かって、捨て身の勢いで突進を始めた。
「……多少のアレンジなら、神様も許してくれるよね」
 そう呟き、澪は小さなロボット達の動きに注意しながら、たたんと軽いステップで舞台を駆け回る。アクロラビットも負けじとくるりくるりと宙返りを打つが、日陰の黒ウサギの姿はなかなかに映えない。

 澪は大理石の舞台を軽やかに舞い歌う。神殿の中でで真っ白な翼をふわりふわりと広げ、神へ祈る姿は――まさに、天の御使いと呼ぶに相応しかった。
 優しく響く歌声は、ロボットやアクロラビットの動きを僅かに鈍らせる。古の歌を少しずつ盛り上げながら、澪は足元の『Venti Ala』に風を纏わせた。
「歌を 踊りを 僕らに恵みを与えてくれた 貴方の元へ――」
 澪は鈍くも突撃してくるロボットを風で弾き飛ばす。歌の合間、くるくるとバトンのように杖を回しながら素早く炎の魔法を口ずさめば、小さなロボットたちは忽ちその熱に焼かれてしまう。

 消滅したロボットに、アクロラビットがダダンと舞台を蹴って怒る。そして歌い続ける澪へ駆け出して杵を振り上げると、アクロラビットに掛かっていた影が彼を追って滑った。
「起きて、神様……!」
 澪は『演劇の神』へ届くよう祈る。暗い影が澪にも覆いかぶさった瞬間、神殿はズン、と重く低い振動を響かせた。

 ――嗚呼、私は――、力を貸そう――

 どこからともなく語りかける、神々しい声。澪がはっと顔を上げれば、アクロラビットは杵を振り上げたままぴたりと停止していた。
「……神様!」
 ぐぐぐとアクロラビットは金縛りから抜けようとするが、敵わない。澪は至近距離でくるりと杖を回すと、再び炎の魔法を詠唱した。
「――――――!!!」
 爆炎に呑まれたアクロラビットは、黒い体を更に真っ黒に焦がす。
 澪が杖を収めて歌の最後を歌い上げれば、それに礼を言うかのように上空から小さな羽が一枚落ちてくるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレク・アドレーヌ
あー…容赦なくぶっ壊していいってんだったら気兼ねなく行けるな

地味に面倒なことやれってわけでもないなら使用を躊躇うUCも気兼ねなく使えるというもの(ただし結構躊躇なく普段から使ってはいるのだが)

もっといえば相手も最初から神殿狙いだってわかってれば妨害をかけてくるだろうがこっちの攻撃に加えて相手の攻撃も神殿破壊の一手に有効活用させて頂こう

UCを使い身体能力を高めるとともに飛蝗の群れを呼び一旦飛蝗をけしかけて神殿破壊に向かわせます
相手の攻撃に関しては【見切り】【ジャンプ】にて回避しつつ敵の攻撃をもこっちの足場かつ神殿破壊の攻撃手段に利用。

微々たるものかもしれないが使えるものは何でも使う。目的の為なら



 元いた『演劇の神』が目覚め始める神殿。徐々にオブリビオンへの天誅や神殿の崩壊は始まっているが、やはり『物理的破壊』も必要なところだろう。
「あー……容赦なくぶっ壊していいってんだったら気兼ねなく行けるな」
 アレク・アドレーヌは神殿を見渡しつつ、軽く依代の腕を回す。壊してはいけないものといえば元々の神にまつわる物だが、それも今は既にオブリビオンに破壊されている。つまり、市街地や屋内では使用を躊躇うような攻撃も今は可能、ということだ。
 ――尤も、彼は普段から攻撃を躊躇うことは殆ど無いのだが。
「出来ればこいつだけは使いたくなかった……これを使わせたことを地獄で後悔しろ貴様ら」
 そう言ってユーベルコードを発動した瞬間、アレクの周囲からぶわりと凄まじい数の飛蝗が現れた。目を塞ぎたくなるような虫の群れが、耳を劈くような無数の羽音を響かせて神殿のあらゆる方向へと散っていく。

「……!!」
 完全にブッ放す勢いのアレクに、アクロラビットは長い耳をぴぃんと立てて跳び上がる。力強く駆けだすその姿には、ここは自分の神殿だ、破壊なんてさせない――そんな意思が込められているような気がした。
 アクロラビットはヒゥン、と青いワイヤーを伸ばし、アレクへと襲い掛かる。
「それも有効活用させて頂こう」
 アレクがワイヤーをひらりと躱せば、ワイヤーは思い切り大理石の舞台を叩く。かなりの力が込められていたそれは舞台に大きな溝を刻み、しっかりと傷をつけていた。
「――――――!!」
 なんてことを! といった様子でアクロラビットがダダンと床を踏みつける。だがこのワイヤーは攻撃を外したとしても自分の足場となり、自身の強化に繋がる。たかが傷一つ、さっさとこいつを蹴散らせば――と、顔を上げれば。

 遥か上空、アクロラビットのワイヤーを利用して高く跳び上がったアレクが大きな翅を広げて陽の光を遮っていた。
 不意にガゴン! と神殿の舞台が激しく音を立てる。よく見ればアレクが呼び出した飛蝗たちが無数の小さな傷を刻んでおり、ワイヤーが付けた傷がトドメとなって大きく亀裂が入ったようだった。
「……!?」
「使えるものは何でも使う。目的の為なら」
 アレクはヒーロー映画のクライマックスのように、翅をぶわりと動かして急降下する。アクロラビットが慌ててぴょぴょんと逃げてもそのまま一直線、彼の脚はひび割れた舞台へと突き進む。

 アレクのキックが大理石に命中し、激しい衝撃音を響かせて粉々に砕け散る。
 元いた演劇の神もこれには涙目――かと思いきや、壊れたオブリビオン神殿の舞台の下から何か石板のようなものがちらりと覗く。不思議な模様が刻まれたそれにアレクが気づけば、どこからともなく『ありがとう』と低い声が響いてくるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アララギ・イチイ
あらら、歌も踊りも出来ないわねぇ
仕方がない、戦後に備えて全部綺麗に更地にして都市開発の下地にしてあげるわぁ

翼を広げて上空に飛行、【選択UC】発動よぉ
取り出した広範囲を爆砕する膨大な量の子爆弾を神殿周囲に降り注がせて【範囲攻撃】、敵のUCで展開したワイヤーも含めて綺麗に吹っ飛ばしてあげるわぁ

ついでに複数のチェーンガンと榴弾砲、も【念動力】操作で展開、垂直発射式ミサイルの【誘導弾】攻撃も含めて、【一斉発射】の【乱れ撃ち】、こちらは敵にダメージを与える事を目的としての攻撃で、敵の動きを【見切り】の面での【制圧射撃】で攻撃よぉ

一応、味方が上記の攻撃に巻き込まれない様に注意喚起しておくわぁ



「あらら、歌も踊りも出来ないわねぇ」
 出発前に渡された楽譜をぱたんと閉じ、アララギ・イチイはオブリビオンの作り上げた神殿に視線を向ける。
「仕方がない、戦後に備えて全部綺麗に更地にして都市開発の下地にしてあげるわぁ」
 そんな呟きに反応して、アクロラビットは耳を真っ直ぐに立てて杵を構える。そして彼だけでなく、どこからか『せめて私の神殿は残してくれないか』と懇願する声が聞こえた――ような気がした。

 アクロラビットは先手必勝、とばかりに素早くワイヤーを伸ばす。ワイヤーでの攻撃を諦めたか、彼はヒュンヒュンとアララギの周囲へ足場を張り巡らせていった。
 アララギは黒ウサギも変な声も全く意に介さない様子で、龍の翼を大きく広げる。周囲の猟兵に離れるよう小さく合図を送りながら上空へと飛び上がると、彼女はユーベルコードを発動した。
「全弾発射ぁ、盛大な花火を打ち上げましょうかぁ♪」

 最早ボロボロになっている舞台へ、アララギは容赦なく無数の爆弾を落とす。
「ッ!!!」
 アクロラビットはワイヤーを蹴って逃げようとするが、広く爆炎の上がる神殿には既に逃げ場など無い。ズガン、ドゴンと上空から降り注ぐ炎の雨は、アクロラビットと彼のワイヤー、そして神殿全体を破壊していった。

 そしてなんということだろうか、アララギの攻撃は未だ終わらない。足掻き逃げ惑うアクロラビットへ狙いを定めると、アララギはふわりと念動力を使ってチェーンガンと榴弾砲を浮かべる。
「綺麗に吹っ飛ばしてあげるわぁ」
 アララギは残酷な笑顔でアクロラビットに銃口を向けた。
「……--ッ!」
 ズダダダン! と射撃音が鳴り響く。体中を撃ち抜かれるアクロラビット、そして次々に破壊され炎を上げる神殿――傍から見ればどちらが世界を救おうとしているのか判断できなくなりそうな光景かもしれない。

 ――やっと炎が消えた頃。
 オブリビオン神殿は壊滅状態と化し、不思議な模様が描かれた建造物が不完全ながらも姿を現し始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
神の神殿を不法占拠とはふてえ野郎だな。
オブリビオン神殿だかなんだか知らねえがとっととぶっ壊してやろうぜ。
っと、この配られた楽譜の通りに歌ったり舞ったりすりゃ元々の神様がお出ましするんだっけか?
「・・・神様に奉納する舞なら得意分野。」
おうよ、任せたぜ相棒。

あのオブリビオンも注意しねえとな。
千刃桜花で武器を全部桜吹雪に代えてあの兎野郎を迎え打つぜ。
敵の攻撃を見切りながら千刃桜花で迎撃しつつ『神楽鈴』を持った相棒がこの神殿の神様に奉納舞を舞うぜ。
呼び出せりゃ後は神様が大暴れって寸法だろ?

さあ、神様が観ている舞台で華麗に舞ってやろうぜ、相棒ッ!


【技能・見切り、ダンス】
【アドリブ歓迎】


鍋島・小百合子
SPD重視

演劇の神に芸を捧げるのであればわらわも舞を披露せねばな

「では古き神々に捧げるといたそうか。ご照覧あれ!」
UC「群制御動陣」発動
召喚した60人の苦無装備のメイドを戦闘知識込みで指揮
わらわも含めた芸能を披露する猟兵達の警護と敵の足止め並びに機械兵器の排除を命ず
わらわは巫女装束に早着替え、祭祀扇片手に演劇の神に奉ずる舞を披露
我流なれど力強くしなやかに、この地に住む者達を守れる勇気を奮い立たせるように舞う(ジャンプ、パフォーマンス、ダンス併用)
祭祀扇の一振りから放つ衝撃波にて敵を攻撃(範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視攻撃併用)
残像で惑わしを見せつつ舞ながら戦おうぞ

他の猟兵との合わせ芸も歓迎



 アクロラビットはふらふら立ち上がり、杵を高く掲げる。もう一度オブリビオン神殿を、そしてオブリビオンに力を――そんな思いに瀕死の神殿が応えたか、僅かながらゴンッと小さなオブジェが一つだけ蘇り、アクロラビットは再びぴょぴょんと跳びはね始めた。

 軽やかなステップで神殿の力を我が物にせんと跳び回るアクロラビット。敵の踊る荒れた舞台へ、神代・凶津と鍋島・小百合子が揃って足を踏み入れた。
「神の神殿を不法占拠とはふてえ野郎だな。オブリビオン神殿だかなんだか知らねえがとっととぶっ壊してやろうぜ」
 依代とする巫女少女の顔の上で、凶津がそう声を上げる。少女の手がふっと動き、出発前に受け取った楽譜を広げれば、凶津は思い出したように言葉を続けた。
「っと、この配られた楽譜の通りに歌ったり舞ったりすりゃ元々の神様がお出ましするんだっけか?」
 少女はこくりと頷き、黒髪をふわりと揺らす。
「……神様に奉納する舞なら得意分野」
「おうよ、任せたぜ相棒」
 妹を想う兄のような、凶津の強く優しい声。彼の依代の巫女少女”桜”はすうと息を吸い、『神楽鈴』を手にして舞う構えを見せた。

「演劇の神に芸を捧げるのであればわらわも舞を披露せねばな」
 小百合子は力強く舞台を踏み、そしてユーベルコードを発動する。
「では古き神々に捧げるといたそうか。ご照覧あれ!」
 そう宣い手を掲げれば、小百合子の周囲に苦無を手にしたメイドが現れる。数にして六十、バックダンサーと言うには多いが――この場に限っては、大いに越したことは無い。
 小百合子はひらりと巫女装束へと着替え、鮮やかに鶴の描かれた祭祀扇を手に構える。彼女は力強くしなやかに、そして勇ましく心を振るい立たせるように舞い始めていった。

 祈りの歌の旋律はそのままに、しかしどこか奥ゆかしく舞う二人。清らかな鈴の音や沢山の踊り子も相まって演劇の神も心を揺り動かされたのか、天高く輝く陽の光がぱあと明るく舞台を照らしていく。
 アクロラビットはダン! と舞台を蹴って跳び上がると、神へ舞を捧げる桜と小百合子に杵を振り上げ襲い掛かった。

 杵はブン! と振り抜かれ、小百合子に――彼女の残像に、直撃した。大きく隙を見せたアクロラビットを迎撃するべく、小百合子のメイド達が舞いを止めて苦無を構える。凶津と桜はユーベルコードを発動し、舞台へ近づけさせまいと無数の桜花弁をぶわりと飛び立たせた。
「……いけ、千刃桜花」
「細切れになっちまいなッ!」
 桜一色に染まる視界、突き刺すような痛みがアクロラビットを襲う。しかし怯みつつも足元にワイヤーを張って突き進もうとするアクロラビットへ、更に小百合子が大きく祭祀扇を振った。
「――ッ!」
 小百合子の放った衝撃波が桜の刃を素早く飛ばせば、それがアクロラビットの身体を貫くと同時に遠くへと跳ね返していく。

 ――舞台上に残るは二人の黒髪巫女少女。彼女らはひらりひらりと桜吹雪の舞う中で、神への祈りを込めながら踊り続ける。

 アクロラビットがぐらりと立ち上がり再び猟兵へと駆け出した瞬間、遂に『異変』は起きた。
 ――人の子の祈りは届いた、ならば私は――
 煌々と舞台を照らしていた陽の光が、更に強く、眩しく広がっていく。怒る黒ウサギの姿すら見えなくなった直後、真っ白な視界でズドン! と激しい衝撃音が響いた。

 ふっと光が消える。小百合子と凶津、そして桜がゆっくり目を開ければ、地に伏してじゅうじゅうと焦げるアクロラビットの横、砕け散ったオブリビオンのオブジェが視界に入るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
オブリビオン神殿……なんと度し難い……!

怒りに支配されそうになるが、ギリギリで堪える
代わりに【属性攻撃】【オーラ防御】で聖槍と四肢の武具に怒りを込めた灼熱を纏う

演劇……ならば、敵を打ち倒す活劇と勝利の歌を捧げましょう
【歌唱】で高らかに歌いながら、踊る(ダンス)ように聖槍を振るう
天より御照覧あれ、我らが勝ち戦!
神の鎧に身を包み、御魂の槍ぞ振るいける!

【全力魔法】で最大強化した炎を纏い、【怪力】の【熾天流星脚】を放ち【吹き飛ばす】
延焼した聖なる炎でオブリビオン神殿を焼き尽くし、神の復活を【祈る】
聖なる、聖なる、聖なるかな! 天上の炎で――地を照らしたまえ!


ヘルガ・リープフラウ
※アドリブ・連携歓迎

神聖なる神の領域を汚すとは、何と罰当たりな!
この場所は、元々祀られていた善き神のもの。オブリビオンの好きにはさせませんわ。

【奇しき薔薇の聖母】に変身し、敵の攻撃は茨とベールで防ぎます。
神を奉じ人を救うは聖者の使命。多少の傷は覚悟の上。激痛にも耐えて見せますわ。
巫女の如く歌うは【英雄騎士団の凱歌】
歌や技芸を司る神であれば、世界を救い神々に愛された英雄の物語はきっとお喜びになることでしょう。
旧き神に祈りを捧げ、勇気と優しさを込めた歌唱で仲間を鼓舞
傷ついた仲間は【シンフォニック・キュア】で回復を

今ここに集いし猟兵たちは、誇り高き英雄の再来。
皆様、存分に力を奮いなさいませ…!



「神聖なる神の領域を汚すとは、何と罰当たりな!」
 ヘルガ・リープフラウは神殿を見渡し、思わず声を震わせる。その視線の先には、未だ神殿を我が物顔でふらふら跳ねるアクロラビットの姿。破壊され荒れた光景こそ猟兵の攻撃や神の天誅によるものだが、その原因、オブリビオン神殿を作ったのは目の前の黒ウサギだ。

「オブリビオン神殿……なんと度し難い……!」
 オリヴィア・ローゼンタールは激しい怒りを覚えながらも、それを灼熱の炎に込めて感情に飲まれまいと耐えていた。聖槍と四肢の武具へと炎を纏わせ、オリヴィアは舞台へと上がる。
「演劇……ならば、敵を打ち倒す活劇と勝利の歌を捧げましょう」
 炎の煌めく聖槍を掲げ、神の復活を祈りながら――オリヴィアは大きく息を吸った。
「天より御照覧あれ、我らが勝ち戦! 神の鎧に身を包み、御魂の槍ぞ振るいける!」

 ――力強い声が神殿に響く。オリヴィアは高らかに祈りを歌い上げながら、聖槍を手に舞い踊った。

 アクロラビットはこれ以上神を蘇らせるまいと、ウサギ印の杵をオリヴィアへ振るう。オリヴィアは身を捻り――直撃こそ免れたが、彼女が纏う服の裾にふっと杵が掠った。
「……♪」
 攻撃を外した筈のアクロラビットが、無機質な顔で笑ったような気がした。すると突如、ぴょこぴょこと跳ねるアクロラビットの脚が炎に包まれる。
「あれは……!?」
 ヘルガはアクロラビットの脚とオリヴィアの聖槍を交互に見る。両者が纏う炎の輝きは瓜二つ――つまり、敵はオリヴィアの力を模して利用しているのだと気づいた。
「大地の恵みと生命を司る慈悲深き聖母様、どうかわたくしに、人々を守るための奇跡をお与えください……!」
 アクロラビットが炎纏う蹴りを放つ直前、ヘルガがユーベルコードを発動する。神へ歌を捧げているオリヴィアを囲むように、無数の茨がぐるりと伸びた。
 邪魔をするなと言わんばかりにアクロラビットの矛先がヘルガに向く。
「神を奉じ人を救うは聖者の使命。多少の傷は覚悟の上……!」

 ヘルガがアクロラビットの攻撃を耐える中、オリヴィアの歌が更に力強く、そして高く高く響いていく。神を侮辱する者の分際で『聖なる炎』を模し振るうオブリビオンへ、オリヴィアは真なる『聖なる炎』を纏い――ユーベルコードを発動した。
「猛き炎よ、我が脚に集い、破邪の流星となれ――!」
 たん、とオリヴィアが跳び上がる。上空から狙いを定め、彼女はアクロラビットへと思い切り跳び蹴りを放った。
「――――!!!」
 アクロラビットは炎に包まれながら軽々と飛ばされていく。ガゴン! と神殿の柱にその体が衝突すると同時、アクロラビットを燃やしていた炎がぼうと周囲へ広がった。
「聖なる、聖なる、聖なるかな! 天上の炎で――地を照らしたまえ!」

 みるみるうちに炎が神殿を呑みこんでいく。そして、更にヘルガが追い打ちを掛けるようにユーベルコードを発動した。
「いざゆけ、志し高き勇士達よ。我等は希望の光なり。魍魎悪鬼も恐るるに足らず。無辜の願いと明日のために、共に手をとり立ち向かえ!」
 途端、神殿を包む炎は更に強く強く燃え盛っていく。

 ――聖なる炎が『世界を滅びに導く者』を灼いていく。
 神罰にも等しいその光景の中、オブリビオン神殿は遂に轟音を立てて大きく崩壊していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「なんだー? 敵も踊ってるのか?」
踊ってるように見えるだけ?
じゃあ踊らせてみるか!

【空中浮遊】して【空中戦】だー!
空中で【ダッシュ】したり【スライディング】したりして、狙いをずらしたり、隙間抜けを行って回避アップ!

被弾してしまった場合は【オーラ防御】バリア展開!
【気合い】を込めたバリアで拘束をこじ開けて脱出!

ロープが張り巡らされたら!
【はじまりを刻む地の新星】を発動!
【全力魔法】の波動でロープを魔力生命体に変換し、操るぞ!

にょろにょろロープ達を交えた【ダンス】【パフォーマンス】で、神を呼び起こしてやろうじゃないかー!
縦横無尽ロープの大暴れには、敵も逃げに徹さざるを得ない!?
よーし、踊れ踊れー!



オブリビオン神殿がその姿を消せば、残るは元あった演劇の神の神殿。この場を再び『世界を守護する神殿』へと戻すためには――神を完全に呼び起さなければならないだろう。

 アクロラビットは真っ黒に焦げた体をぶるぶる震わせながらも、未だ諦めずトン、トンと足を踏み鳴らす。ここを支配するのは自分だ、演劇の神に成り代わるのは自分だ。そんな感情を滲ませる黒ウサギの前へ、フィロメーラ・アステールがきらきらと星のように降り立った。
「なんだー? 敵も踊ってるのか?」
 よろめきながらとてんとてんと動き回るアクロラビット。それなら踊らせてみるか、とフィロメーラはふわり空中を飛び回り始めた。
「……、……!!」
 ひらひら舞うフィロメーラへ、アクロラビットのワイヤーが伸びる。青い糸がヒュンヒュンと空気を鳴らし、外れる度にピンと強く張られていく。蜘蛛の巣のように立体的な足場を作ったアクロラビットは、ワイヤーを蹴ってフィロメーラへと接近した。

「よーし空中戦だー!」
 ワイヤーの上を駆け、更にアクロラビットは糸を振り回す。フィロメーラが素早く飛び回りワイヤーの隙間を縫って躱せば、段々と青い糸が絡まり動きを鈍らせていった。アクロラビットは絡まったワイヤーに行く手を阻まれ、苛立ったようにそれを千切ってフィロメーラを追っていく。

 ビュンビュンと更に滅茶苦茶にワイヤーが張り巡らされていく中、フィロメーラはユーベルコード『はじまりを刻む地の新星』を発動した。
「目覚めろー! 愉快な仲間たち!」
 ワイヤーの中心でぶわりと力を放つフィロメーラ。彼女を囲む青い糸は突如、にょろりと生き物のように蠢いた。
「――!?」
 アクロラビットはびくりと驚き警戒して逃げようとする。しかし、最早迷路のようになったワイヤーを抜けるのは簡単ではないだろう。
 フィロメーラがぱあっと元気に舞いだすと同時、ワイヤーもにょろにょろと踊るように大きく動き始めた。
「よーし、踊れ踊れー!」
 アクロラビットはぴょんぴょんと逃げ回る。彼がワイヤーを踏もうとすればぐにゃりと足場が崩れ、抜け出そうとすればばばっと逃げ道を塞がれ、ひいひいと右へ左へ駆け回ることしか出来なくなっていく。

 アクロラビットに神殿を乗っ取られていた演劇の神もこれにはにっこり。ワイヤーと共に踊るフィロメーラはふと、どこからともなく静かな低い笑い声と拍手が聞こえてくるのを感じるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミルケン・ピーチ
SPDで行きます

歌い踊りながら戦う、ですか
それでは【アナザーミルクプリーズ】で幼女ボディのぺしぇを召喚
二人で歌いながら戦いましょう

二人で二重奏しながら戦闘
しっとり、ゆっくり目のパートでは桃姫が歌い、【見切り】からの【カウンター】で踊りながら機械兵器を落とし
早い、明るいパートではぺしぇが歌い跳ね回りながら【範囲攻撃】や【捨て身の一撃】で大暴れして兵器もろともオブリビオン神殿を壊しまくります
メインパートじゃない方は目立ちすぎないよう少し下がって歌っています

最後は二人で敵を挟み、徐々に声量を上げていきながら攻撃機していき、両側から同時に全力で攻撃する【2回攻撃】でフィニッシュ



 アクロラビットはもうかなりの満身創痍。姿を現した演劇の神の神殿は、あと少しで完全に復活を遂げようとしている。
 神を呼び起こす為に必要なのは『歌や踊り』。桃姫を依代として駆け付けたミルケン・ピーチは、神殿の舞台上でユーベルコードを発動した。
「特盛おかわりいっぱいぱい! アナザーミルクプリーズ!」
 現れたのはミルケンピーチのもう一人の依代、ぺしぇ。可愛らしい六歳の少女と共に、ミルケンピーチは神へ祈る歌を奏で始めていく。
「――さあ 祈りの歌を――」
 桃姫がしっとりと声を響かせれば、神殿の空気が微かに揺れる。瓦礫の中から元の形を取り戻した神殿は、オブリビオンに支配される前――神が祀られていた正しい姿を思い出す様に震えていた。

 アクロラビットは散らばる瓦礫をウサギ印の杵でダダンと叩く。捨て身の勢いで次々にユーベルコードを発動し、舞台の上には少し大きめの機械兵器が現れていった。
 むくりと起動し、煩くガシャガシャと動き回る機械兵器。ぺしぇと声を重ねながら、ミルケンピーチは機械兵器の突進をひらりひらりと躱して歌う。
「木々は茂り 鳥は歌う この幸せに何を返そう――」

 神の加護や天の恵みへ古の人々が感謝を伝えた歌は、段々と明るく楽しく移り変わる。機械兵器の猛攻の中、静かな旋律を歌い切った桃姫が後ろへ下がり、ぺしぇがぴょこんと前に出て跳ね回った。
「恵むあなたが望むなら 私たちは歌を 踊りを!」
 そんな元気な歌声を響かせながら、ぺしぇはずがんすがんと機械兵器に拳を叩き込んでいく。小さな少女の手はめりめりと容易く兵器を歪ませ、次々に潰してしまった。
 瓦礫に戻り散っていく機械兵器に、アクロラビットはダン! と床を蹴りミルケンピーチへ突進する。明確な敵意と殺意を露わにする黒ウサギは、突如ビシ、と動きを止めた。
「…………!!!!!」
 アクロラビットが顔を上げれば、彼はそれが『金縛りなどではない』ことに気づく。幾度も幾度も祈りの歌を捧げられた『演劇の神』は遂に――ようやく、姿を現したのだった。
 『演劇の神』はアクロラビットを念動力のような力で縛り付けながら、感謝しきれないといった顔で微笑む。

 二人のミルケンピーチはアクロラビットの両側へと回ると、歌う声をさらに高く大きく響かせながら全力で駆けていった。
「祈り届き この先も 世界に光のあらんことを――!」
 ズン、と二人の同時攻撃を喰らい、アクロラビットが潰れて消え去る。するとオブリビオン神殿の残骸も溶けるように消滅していき、辺りの光景は綺麗で荘厳な神の神殿へと変わっていくのだった。



 静かになった神殿で『演劇の神』は猟兵にゆっくりと礼を言い、輝く腕を天へ掲げる。すると神殿の上空はふっと暗転し、黄金の月が浮かぶ藍色の空へと表情を変えた。
 きらり、きらりと星が瞬き、そして神殿へと光の粒が降り注ぐ。幻想的な夜を演じた『演劇の神』は、猟兵達への感謝を歌いながらすうと姿を消していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月18日


挿絵イラスト