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アースクライシス2019⑰〜屍山にて待つ

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #戦神アシュラ #神の空間

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「戦神と呼ばれる存在は様々な世界に数多いるであろうが……私個人としては、この女神はまさに邪道と称したいところだ」
 嫌悪を隠しきれぬように、仙堂・十来は眉を寄せた。戦神アシュラの居場所が発見され、彼女を討ち取るために集まった猟兵達にも、同様の思いを抱いた者はいるのではないか。
 神の強大なる力をただ個人の武勇――むしろ端的に言ってしまえば殺戮の能力のみに費やし、そこに相手への敬意も死者への尊厳もなく己の拠点たる『阿修羅城』に屍を積んでいる。オブリビオンとなる以前からその残虐さと邪悪ゆえに処刑されたという戦神アシュラに、邪神ではなく邪道という言葉を用いたことが、その嫌悪を如実に現していた。

「阿修羅城への到達にはパンゲア大空洞で発見された石版を解析することが必要だったが、既にグリモアベースからは阿修羅城に転移できるように準備してある。ゆえに戦神アシュラとの戦いにのみ注力してもらえればありがたい。――無論、そうせねば勝てぬような強敵でもある」
 彼女が持つユーベルコードは『戦闘用の機能しか持たない武器に対して無敵となる』『目にした者の戦闘行動を封じる』『相手の攻撃を軽減しつつ全てを断つ刃を振るう』といった完全に強力なものである。このユーベルコードとそれをフル活用しての先制攻撃に対応できない限り、勝機はないと言えるだろう。
「おそらくは非常に危険な戦いになるであろうが……かの邪道を滅ぼすことのできる機会を逃すべきではないように私は思う。ただ犠牲者を増やし、戦いの力を持たぬ民であろうが構わず殺戮するような女神だ、どうか、これ以上犠牲になる者を増やさぬため、協力を願う」
 普段より幾分、敵への怒りを顕にしながらそう言うと、十来は猟兵達を見回して深く頭を下げた。


炉端侠庵
 こんにちは、炉端侠庵です。
 オブリビオンになる前から残虐すぎて処刑されたってどういうことなの……と思いつつゴリゴリ純戦でお送りいたします。

 戦神アシュラは必ず猟兵達の行動よりもユーベルコードを先制使用した上で、さらに猟兵がユーベルコードを用いるより前に先制攻撃を試みます。
 ユーベルコードは全て自己強化ですが、それぞれトリッキーな効果がありますので有効な対処法が編み出せればプレイングボーナスが付与されます。
 ちなみに敵は『猟兵がプレイング送信時に選択したユーベルコードの能力値』に対応するユーベルコードを使用します。他のユーベルコードを併用するプレイングでも、あくまで送信する時に選んだ能力値になります。ここんとこ今回間違えるとめっちゃしんどそうなので気をつけてくれよなっ!

 というわけで、ガチバトルの気合満々でお待ちしています。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『戦神アシュラ』

POW   :    戦女神光臨
【悪の『戦女神』としての神性】に覚醒して【戦いのためだけに造られた武器への無敵状態】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    阿修羅三眼装
【額の第三の眼を開く】事で【目にした者の戦闘行動を封じる『終戦神』】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    阿修羅破界撃
対象の攻撃を軽減する【神気を纏った『戦勝神』】に変身しつつ、【六刀本来の姿たる全てを断つ『破壊神』の刃】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
SPDだから戦神の行動は「目にした者の戦闘行動を封じる」ね。

初手で煙玉や煙幕弾をばらまいて視界を封じる。
見えない相手の行動は封じることができないんじゃないかしら?

そしてこちらはユーベルコード【錬成カミヤドリ】。
45個の青金剛石を面状に均等配置して前進させる。
何かに触れたらそこにいるのが敵よ。

「煙の中で見えないのはお互い様だけど、こちらは直接触れることができる」

攻撃系のスナイパー49、誘導弾27、2回攻撃20、鎧無視攻撃15、鎧砕き12を活用して弓で射撃するわ。



 持ち主の名を冠した阿修羅城は、また主の趣向に相応しく、唯一の『装飾』で満たされていた。
 即ち戦果――己が殺した者達の屍にて。
 死と血臭で埋め尽くされたその場所で待ち受ける戦神の視界を、突如として厚い煙幕が遮った。

「見えない相手の行動は封じることができないんじゃないかしら?」
「ハッ、小癪な手を使うね小娘が!」
 多めに用意した煙玉や煙幕弾、発煙筒は十分に効果を発揮していた。風に散らされることのない屋内での煙幕効率は極めて高い。そして煙幕を挟んでアシュラと対峙するヴィオレッタ・エーデルシュタインは、宝珠を本体とするヤドリガミであった。
 もちろん煙幕は音を遮ることはなく、ゆえに見えずともアシュラが床を蹴り己との距離を詰めようとするのはわかる。けれど既に、ヴィオレッタ側の準備は終わっている。
 ユーベルコード『錬成カミヤドリ』。かつては破滅をもたらすと噂された青金剛石、不純物なき無色透明よりも希少かつ貴重とされる輝き――ヴィオレッタの『本体
』の45個複製、それを面状に均等配置して前進させる、いわば接触センサーとしての利用だ。
「煙の中で見えないのはお互い様だけど、こちらは直接触れることができる」
「チィッ!」
 互いに視界を確保できぬ中で気配を探るならば、戦いのみに特化し神格としての力を持つアシュラが上だろう。が、宝珠の接触した場所を撃つならば予測によるブレとタイムラグがない分、ヴィオレッタに軍配が上がる。
 接近される前に矢を同時に2つ番え、強力な合成弓を引き――触れた、と思った瞬間には放つ。構わず近づいて来るのを金剛石の動きと気配から感じ、飛びすざって距離を取ると同時に複製を再配置、前進――繰り返す。相手の高速軌道ゆえに一撃離脱に近い状態だが、それでもひたすらに見えぬ敵を撃ち抜く。その手応えを感じ続ける。
 煙幕が薄れ始めるまで繰り返し――アシュラの輪郭が見えた、と思った時には、弓を引く手が封じられたかのように動かなくなるのを感じてヴィオレッタは身を翻す。一番槍ならぬ一番弓として十二分の働きができたと、手応えははっきりと感じていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
戦闘行動は封じられても問題ないのでそのまま受けつつ早業でUCを発動。
さぁ、アリスと遊びましょ♡
非戦闘行動に没頭することが必要なこの技ならほら、戦闘行動封じられても平気でしょ?顕現した星辰界で周囲の死体の幽霊さん達を妄想世界と一緒に具現化するわ♪不謹慎?サイコパスはそんなの気にしなーい☆
アシュラを薄い本みたいな妄想世界に巻き込んで幽霊さん達と一緒に快楽と精力を貪るわよ♡なお、これは私には食事みたいなものなので非戦闘行動よ☆そして、行為に没頭してる間は攻撃を遮断しまーす♪
真面目に戦え?でも戦闘行動封じたのはそっちだし。これ解いたらあなたに殺されちゃうし。だったらもうめいっぱい遊ぶしかないわよね☆



「さぁ、『アリスと遊びましょ♡』」
 戦神アシュラを前に、アリス・セカンドカラーの戦いが始ま……らなかった。
 いやユーベルコードは発動してるのである。アリスも。アシュラも。
 その証拠にアシュラの第三の目はバリッバリに見開いてるし、アリスの戦闘行動はばっちり封じられてるし、でもってアリスの能力で星辰界が顕現し妄想世界は具現化し、何なら周囲の死体の幽霊達まで具現化しているのである。
「不謹慎? サイコパスはそんなの気にしなーい☆」
 アリス、渾身のイイ笑顔であった。
 まぁ敷き詰めたり積んでおくよりはきっと不謹慎じゃないだろう。多分。
 というわけでアリスの妄想世界――詳細はこの報告を確認している皆さんの想像力にお任せしたい。
 いわゆる『薄い本みたいな』『エロ同人みたいに』とかそういうアレだと思ってほしい。
 というわけで音声のみでお送りします。
「ちょ、あ、アタシにそんな小細工が効くものかよ! たたっ斬んぞ小娘!」
「いやぁん怖ぁい♡でも私が非戦闘行動に没頭してると攻撃を遮断しちゃうー♪」
「はっ刃が通らないだと!?」
「でも別のものは通るのよねー快楽とか♡」
「やめろおおおお」
「あと精力も貪っちゃうけどこれって私には食事みたいなものだから非戦闘行動☆」
「流石に卑怯じゃないかい!?」
「いっただっきまーす♡」
「真面目に戦え!!!」
「でも戦闘行動封じたのはそっちだし。これ解いたらあなたに殺されちゃうし。だったらもうめいっぱい遊ぶしかないわよね☆」
「ちょ、ゃ、エナジー減ってるからこれ戦闘行動! 明らかに戦闘行動! 封印!!」
「アリスは遊んでるだけよ♡」
「あ゛ーーーーーームカつくなそれ! 超腹立つ! あと変なとこさひゃんにゃっ」
「ふふふいい声出るじゃなぁい☆」
「んにゃろおおおおお!!!」

 完全に相性で勝敗が決まることってさ。あるよね。うん。
 ちなみに具現化された幽霊さん達は最終的には結構満足げな顔でなんか浄化されていったことをお伝えしておこう。
 無残に殺されるしかなかった彼らにとって、復讐の機会が与えられたことはその魂の救済に繋がったと考えられる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリロット・エカルネージュ
破壊と殺戮しか出来ない力が貴女の力なら

ボクは命を紡ぐ事も出来る力で

餃心拳の使い手として
貴女を止めるっ!

●POW:UC対策
『オーラ防御』と『属性攻撃(氷菓)』込めた『残像』を敵の攻撃を『第六感』で『見切り』つつ

ばら蒔き回避と『盾受け』に利用

隙を見付けてボクも『早業』でUCで変身

戦いの為だけの武器に対し無敵らしいけど

この力もシャオロン(麺棒モード)も
戦いの為だけの力じゃない

ボクの有り様全てが
貴女に対する対策だ

時間稼ぎに使った技能で撹乱しつつバニラバリアを

シャオロンに込め『鎧無視攻撃』と『怪力』と『属性攻撃(氷菓)』込めて力を強化して『グラップル』を『早業』で畳み掛けるよ

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


鳩麦・灰色
協力アドリブ歓迎


ウチの武器、改造しとるけどまだ元の用途にも使えるしある程度効くか?
まぁダメやったら援護に徹する、やね

使う技は、人前で使うん初めてやけどコレしか無いな
敵さん強そうやし迷ってられへんね


敵が強化済である事を考慮し
常に【クライミング、ダッシュ、地形の利用】で壁も利用し速さを活かして全力で回避重視

その上で距離で空砲銃と鉄パイプを使い分け牽制しつつUCの為に接近を狙う

【見切り、情報収集、戦闘知識、視力】を活用し目標の僅かな隙を見つけ
【第六感、カウンター】で最接近
敵の体のどこかへ触れつつUCを発動する事が目標

UC発動後はその効果を最大限活用し、武器での攻撃と即離脱を味方に合わせて繰り返す



「破壊と殺戮しか出来ない力が貴女の力なら――ボクは命を紡ぐ事も出来る力で!」
 紅いポニーテールと同じ色彩の毛並みが竜種の特徴を色濃く宿した身体を覆う――エミリロット・エカルネージュは、びしりと手にした麺棒を突きつける。
「餃心拳の使い手として貴女を止めるっ!」
 かつて自分の名前の他には全てを忘れたまま、他の世界からの神隠しに遭ってこのヒーローズアースへと現れたドラゴニアンの少女がいた。
 餃心拳の伝承者たる老師に拾われた少女はめきめきと健やかに育ちまた拳法をも体得し、老師亡き今は奥義をも伝授された餃心拳の継承者として今、ヒーローズアースの危機に立ちはだかったのだ!
 そしてその様子を彼女とは対照的な紫の毛並み持つ人狼――鳩麦・灰色は、熱いなぁ、という視線で眺めつつ、手にした鉄パイプ――彼女お手製の音波振動鉄パイプをぽんと肩に担ぐように乗せた。
 目の前で構えを取るエミリロットはほぼ灰色の半分の年齢、その若さ元気さがちょっと眩しい。いや彼女もまだ25歳だがそれはそれとして、だ。
(しかしウチの武器、改造してるけど元の用途にも使えるしある程度効くか? まぁ駄目やったら援護に徹する、やね)
 改造を施したとは言っても、何らかの管として繋げば使える鉄パイプである。
「ハ、正面からかかってくるってか! いいよ、来な!」
 エミリロットの口上を受け止めたアシュラがニィと笑う。次の瞬間、戦女神としての神性が空気すら変えるほどの勢いで膨れ上がるのを感じ、エミリロットと灰色は打ち合わせもなくそれぞれ逆方向へと跳んだ。
 六腕で繰り出される攻撃に、オーラ防御を応用するように作り出した多数の残像を狙わせつつエミリロットは駆け抜ける。後ろに回り込んだ灰色が空砲銃を数発背中に撃ち込めば、ワープでもしたのかという速度で今度は灰色へとその刃が迫った。接触を狙いたいがこのタイミングは無理だ、先にたたっ斬られる、と音波振動を籠めた鉄パイプで刃を纏めて受け流すと、ジャンプと同時に高圧縮の空弾を叩き込んで距離を取る。
 ――そのほとんど数秒にしか満たぬ攻防が、エミリロットに対しての隙となった。

「『Chilled Revolution Standby!』餃菓……転身!」
 そう、彼女こそは餃心拳継承者にしてギョウザライダー、そしてこれこそがエミリロットの最新の興味たるスイーツ餃子を反映したフォーム――『ギョウザライダー・アナザーチルド』!!
 端的に言って美味しそうである!
「この力もシャオロンも、戦いの為だけの力じゃない――ボクの有り様全てが、貴女に対する対策だ!」
 麺棒の形態を取ったシャオロンに、防護すら意味を為さぬほどの強い氷菓の冷気を籠めて。甘味にぴったりの香草バニラの力をバリアにして。
「フン、だから何だという話さ、小賢しい攻撃が『通る』ことと『通す』ことは――違うんだよ!」
 鼻で笑ったアシュラの六臂フル回転と言わんばかりの連撃を、再び残像と今度はバニラバリアを盾代わりに自分からも攻めへと転じるエミリロット、それにかえって楽しげに笑った戦神の剣戟がさらに激しさを増す、無論敵が1人ではないことを忘れるようでは戦神の名がすたるというもの、周囲へも近づきがたき剣舞の盾を繰り広げ――、
「捕まえた」
 鉄パイプの直角となる部分でアシュラの剣を引っ掛けて、空いた隙間に滑り込んでその脚へと右手を触れさせた灰色が口角を上げた。
(人前で使うん初めてやけど……コレしか無いな、敵さん強いし迷ってられへんね)
 ぶっちゃけ最終手段、パワーはあるが代償もデカい、というか痛い。が、この瞬間のためにここまで接敵を狙ってきたのだ。
「『零番』――!」
 灰色の炎が『冷たく』燃えた。
 グローブとパーカーできっちりと覆われた右腕の肘下、そこから布地を透過するように燃え上がった炎は、灰色の全身を包み込む。その名前と同じ、色彩なき冷たい炎。
 奥歯を噛み締める。炎の源から伝わる痛み、けれどそれを背負ってすらも明らかに力が増すのを感じる。発動した瞬間の敵との『近さ』が戦闘力の増強へと比例するユーベルコード、ゆえにアシュラの肉体に触れての発動に成功した『原音型”零番”』は最大効率で灰色の力を高めている。
 振動を纏わせた鉄パイプを思い切りアシュラの腹に向けて振り抜いて、打撲の衝撃をそのまま生かして『飛ぶ』。半ば反射的に振るったはずの刃が空振る感触に舌打ちしたアシュラに、パワフルなシャオロンの打撃が防戦に回った刃すら折らんばかりの勢いで叩きつけられる。
「よそ見してる暇はあるのかな!?」
「意気がるんじゃないよ神ならざるもの如きが!」
 既にアシュラの言葉の方が、虚しく響くことに本人は気付いているだろうか。
 エミリロットの連撃が息すらつかせぬ間に、空砲銃でのフェイントを交えつつのヒットアンドアウェイで灰色の鉄パイプが襲いかかる。どちらに注意したところで反対側が隙となる。
 ――最終的には、確かに2人を防御の隙を突いた細かな傷を重ね、撤退まで追い込みはしたものの。
 示し合わせたわけでもなく戦術の好相性と抜群のコンビネーションを発揮したエミリロットと灰色に肩で息するほどまで追い込まれ、矜持を潰されたアシュラは怒りに6つの拳を握りしめるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヨナルデ・パズトーリ
気に入らぬ
同じ戦を司る者として斯様な暴虐の徒は気に入らぬ!
犠牲になった者の為にも妾、テスカトリポカの名に懸け汝を討とう!

『野生の勘』と『第六感』を総動員し攻撃を回避しつつ自身の『殺気』と
『存在感』を弱め気配を『目立たなく』し逆に『存在感』を強め『殺気』を
持たせた『残像』を複数出し攪乱

並行で『高速詠唱』で『呪詛』を込めた煙の『属性攻撃』『全力魔法』を
『範囲攻撃』で叩き込む『目潰し』で更に攪乱する

凌げたらUC発動
『野生の勘』で敵の攻撃を『残像』で回避しつつ高速飛行の『空中戦』で肉薄

『怪力』の『鎧無視攻撃』をぶち込み『傷口をえぐる』様『高速詠唱』
『呪詛』入り『全力魔法』を『零距離射撃』の『二回攻撃』


村崎・ゆかり
『邪道』の体現ね。なるべく関わりたくないけれど仕方がない。
村崎ゆかり、陰陽師。いざ参る。

霧の「属性攻撃」と「目立たない」でアシュラの視界を避けながら、確実に「先制攻撃」できるところを探すわ。
気付かれて打ち込みを喰らったら、「全力魔法」の「オーラ防御」で、受けるのでなく流すように。まともに受けられる代物じゃない!

こちらも巫覡載霊の舞で対抗するわ。
搦め手は苦手なのよねと、不意を突いて七星七縛符。続けて不動明王火界咒と。いずれも「高速詠唱」「全力魔法」「破魔」を使って。

六振りの刀の間合いは、まさに刃の結界。薙刀一本でどう通すか。
あたしの身体を守る「全力魔法」の「オーラ防御」を得物に移し、全力投擲!


フェイルシア・インパーサ
●アドリブ・連携OK

始めに炎の[属性攻撃]を[フェイント]として放ちます
派手な攻撃ならブラフだとわからず向かってくるはず
すかさず[見切り]って[残像]を出し離れて[ダンス]を踊ります
剣は命を刈り取るだけのものではありません
時には神々や人々への祈りを捧げる道標でもあるのです

剣舞
[世界知識]と[学習力]で得たこの世界の他の神々への[祈り]を上げます
猟兵達のために[勇気]を出して[歌唱](うた)い[鼓舞](おど)ります

邪魔するならば風でそらし炎を巻き上げ
水を加えて水蒸気爆発で[衝撃波](ふきとば)してしまいますわ

【状態異常力】を強化したトリニティ・エンハンスなら
[火傷]させてしまうかも知れませんわね


九条・救助
真っ向から勝負を挑ませてもらうぜ、戦神!
敵は戦勝神態になり、強力な攻撃を仕掛けてくる……シンプルにバトルを挑むしかないか!
向かい来る敵へ向け氷矢レタルアイを生成し牽制射。これで少しは威力を削げるはず。オーラ防御は気休め程度だろうが……僅かでいい。動ける程度に体力が残ればじゅうぶんだ。
初手を凌いだら【神格共鳴】でオレも戦闘形態をとる。
そうさ、オレも神の血族だ!
クトネシリカで近接戦闘を挑む。
だが、敵の技は強力だ。オレの武具だって弾かれるかもしれない。
無手になったオレにとどめを刺そうとするだろう。
それが勝機だ。
叛逆剣ハウルブラッド。オレの武器は……ここにある!
捨て身の一撃ッ!至近から叩き込んでやる!



「気に入らぬ……」
 普段から鋭き眼光をさらに怒りへと燃え上がらせ、ヨナルデ・パズトーリは表情こそ大きくは変えずも眉尻を上げて黒曜石の斧の柄頭を床へと叩きつけた。
「同じ戦を司る者として斯様な暴虐の徒は気に入らぬ!」
「まさに『邪道』の体現だものね。なるべく関わりたくないけれど仕方がない」
 軽く頷いた村崎・ゆかりが続けて肩を竦めた。漂う死の気配濃厚な阿修羅城、未だ戦神の座する間には到達せずとも向こうも気付いているのだろう、ひしひしと猟兵達の身に殺気が伝わってくる。
 先に戦った猟兵達によって力は削がれていても、むしろその怒りが殺意となっているのやもしれない。
 あと、おそらくは数十歩も行かぬ先。
 フェイルシア・インパーサが豊かな縦ロールを揺らし、こくりと頷いた。うなずき返した九条・救助が次の瞬間には床を蹴った。
 ここまで来た地点で、覚悟などとうに決めている。戦神アシュラ討伐の呼びかけに手を挙げた、頷いた、誰もが。
「真っ向から勝負を挑ませてもらうぜ、戦神!」
「――来なよ」
 鮮やかに赤い舌が、手にした刃を妖艶に舐める――その神格がはっきりと破壊神の力を宿す間に空気中の水蒸気から生成した氷矢レアルタイが、そしてそれに続いてフェイルシアが解放した炎の魔力が、アシュラへと飛び、爆ぜた。
「犠牲になった者の為にも――妾、テスカトリポカの名に懸け汝を討とう!」
 駆け出したヨナルデの小柄な身体が、分身したかのように幾つもの残像を伴って駆ける。はっきりと殺気を向けた何人もの彼女を鋭い剣戟が消し飛ばしていく――が、全て、残像だ。本物は、存在感を上げた残像の中で、逆に目立たぬように殺気と存在感を薄めながら超高速の詠唱を終えている。呪いを籠めた煙がアシュラを中心に湧き上がり、その視界を塞ごうとする。
 ――それでも。
 氷の矢を叩き落とし、炎と煙を物ともせずに救助のオーラ防御を一撃で破ると二撃、三撃、目で追うことすら難しいほどの攻撃を、何とか救助は再度レアルタイの牽制発射を交えて凌ぎ切る。
 その間に逆の三腕が、霧の魔力を纏って攻撃の隙を探していたゆかりへと振り向けられる。咄嗟に魔力の全てを集め、受け止めるのではなく相手の力をいなすように、何とか流しきってゆかりはすぐさま後ろに跳んだ。
「まともに受けられる代物じゃない……!」
 一撃が重い。なのに速い。瞬間で張れる魔力を全て突っ込んだ防御は、それでも真っ向から受け止めたら最遅でも二撃目では割れていただろう。
 ――けれど。
 猟兵達の攻撃も、ここまでは撹乱でありフェイントなのだ。
「剣は命を刈り取るだけのものではありません、時には神々や人々への祈りを捧げる道標でもあるのです……」
 炎、氷、風、三属性の魔力を纏いつつ、この世界の神々への祈りをフェイルシアは歌と、ルーンソードでの剣舞に籠めた。ヒーローズアースはとかく神々の数多き世界ではあるが、予習は万全だ。そして。
「ここからが本番さ。いくぜ……カムイライズ!」
 ユーベルコード『神格共鳴』――彼がヒーローネームとして『ウェンカムイ』、悪神を意味する言葉を名乗る由来だ。
 雪と氷を司る悪神の血を、あまりにも色濃く引いた先祖返り。しかし『災厄の子』と呼ばれた救助は、師となったヒーローに導かれて力のコントロールを身に着け、そして同じ道を歩み出したばかり。
「そうさ、俺も神の血族だ!」
 氷杖クトネシリカを握り、絶対零度の暴風を纏うと救助――ヒーロー・ウェンカムイは空を裂き駆けた。六振りの剣を縫い、杖術で弾き、一撃を突き入れようと試みる。
 それに、祈りを捧げられるべきこの世界の神はもう1人――もう1柱、と言うべきか。
「我ジャガーにして煙吐く鏡、テスカトリポカにしてケツァルペトラトルたる者! 民と共に在った嘗ての我の猛き力、目に焼き付けるが良い!」
 ん、あれ、1柱換算していいのかな……まぁいいか、あくまでヒーローズアースの神話形態である、うん!
 ともあれ!
 黒曜石の鎧はジャガーを模し、どちらもその神格の権能に相応しくヨナルデの力を増している。無論同じ黒曜石で出来た斧も――そしてかつて捧げられた血と骨の翼が背に広がる。目の前の戦神とは確かに『死』に縁深いという共通点は持つ。けれど逆だ。ヨナルデのそれは死への敬意、アシュラのそれは死さえも冒涜する、ゆえにこそライバルですらない。敵でしかない。
 そして、満ちるこの世界の神気と共鳴するかのように、ゆかりも神霊体の姿を取っていた。『巫覡載霊の舞』、豪奢なる薙刀と金色の輝きを纏う姿で、高速機動でアシュラに迫る救助とヨナルデの間から七星の力を宿した符を投げ込む。
「そもそも搦め手は苦手なのよね……村崎ゆかり、陰陽師。いざ参る」
 名乗りつつ続けて不動明王火界咒。絡みつく炎に対抗しようとアシュラが気勢を上げようとした瞬間、その神気ががくりと落ちた。
「!?」
 ユーベルコードを封印する七星七縛符。オブリビオンに堕ちた神の絶大なる力とはいえ、既に猟兵達と『同じ土俵』だ。封じることは不可能ではない。
「おのれ小癪な……だが!」
 六刀が、先程までと遜色ない速度で閃いた。元々能力の上昇に特化したユーベルコード、ゆえに封じられても戦闘技術そのものは、剣戟の速さは変わらない。
「貴様らになんざ素で勝ってやるよ!」
 それでも、能力上昇を封じられ、逆にこちらは神威に満ちた状況である。
「……神、多すぎませんこと?」
 思わずフェイルシアもツッコミを入れてしまうほどだ。祈りの対象までの距離が近い。いや他の神々も含み汎神を対象にしてはいるが、それにしたって。
 とりあえず祈りに特化して一番脆そうに見えたのか、フェイルシアに向かってきたアシュラを風で押し止めるとそのまま炎と水の魔力を合わせた水蒸気爆発で撃退する。そこに隙を感じ取ったヨナルデが空を駆け肉薄したかと思えば防御を叩き壊さんばかりの斧の一撃、さらにその傷口から体内に直接叩き込まんばかりの神呪を連続で唱え、流し込む。
「ッ――ガァッ!」
 吼えるように叫ぶとクロスさせた双剣で斧ごとヨナルデを弾き飛ばし、振り向きざまに救助の杖を受け止める。その間にも投げ込まれるゆかりの不動明王火界咒をかわし、その炎を叩き消しながら。
 ――何度目ともつかぬ投擲の気配に、振り向きもせずにまた一刀だけ使って白紙のトランプに擬した符を、叩き落とそうとした刃が、空を切った。
「――!?」
 ついでに上手く絡め取った救助のクトネシリカを弾き飛ばし、一息の後には止めの一撃をくれてやろうと振りかぶった瞬間である。
 その脇を斜め後ろから反対側の脇腹まで、薙刀が貫通していた。
 持ち主たるゆかりは、符を投げていた場所から動いていない。
 つまり。
 ぶん投げたのだ。薙刀を。
 ついでに言うと本来ゆかり自身の防護に回している魔力や咒を薙刀に全載せして投げた。質量と魔力の量で微妙に符とは異なるタイミングと、『符であれば見ずに叩き落とせた』戦神の技量が仇となって。
 刃の防壁を、抜いた。
 一秒にも満たぬ、数瞬の隙。
 十分だ。
「叛逆剣ハウルブラッド――オレの武器は、ここにあるッ!」
 初撃を受け止め、さらに刀と杖を交える間に負った傷から流れる血が、集まりつつ凍結する。自らの血によって構成される、まさに最期への『叛逆』の剣。
 もはや技巧もなくただ、体重をかけて貫く。さらにフェイルシアの祈りに背を押され、時速300キロに迫る速度で突っ込んできたヨナルデの斧が背を抉る。
「――クソッ」
 武器に貫かれたまま血を吐いて膝を付いた戦女神の姿が、薄れゆく。
「自分が負ける戦いなんて真っ平御免だ、次こそ、は――」
 消える。戦神アシュラの姿も、神気も。
 かくして猟兵達は戦女神との真っ向勝負に勝利し、その存在そのものを削る一矢となったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月20日


挿絵イラスト