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正月の悪魔 〜もちつけぺったん〜

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「大変にゃ! 大変だにゃ!!」
 わたわたと大慌てでグリモアベースに駆け込んできたのは、ケットシーのグリモア猟兵、藤乃・ゴン(猫の見習い陰陽師・f10283)。
 身繕いする間も惜しいとばかりに、毛並みを乱したまま予言の書––––グリモアを開いて掲げ持つ。まるでその内容を余すことなく猟兵に伝えようとするかのような姿勢で、言い放って曰く。

「野生の鏡餅が暴れてるのにゃ!!」

 間。

「嘘じゃないにゃ! ほんとにゃ!! 信じてほしいにゃ!!」
 その場に一瞬の空白ができたのを察して、必死に言い募るゴン。言っている内容が違っていれば緊迫感に充ち満ちているのだが。

「鏡餅が暴れてるのにゃ!!」
 これである。信じろと言うほうが難しい。

「うにゃぁ〜、悲しいにゃ、ぼく嘘は言ってないにゃ……。でもぼく諦めないにゃ! 誰かが退治してくれるって信じてるのにゃ!!」
 そう、いくら頼りなさげでもゴンはグリモア猟兵。戦える猟兵たちに予知を伝えオブリビオンを討伐するお手伝いをするのがお役目。気を取り直し、ゴンを微笑ましそうに見守る視線を振り切るようにキリッとした顔を作った。

「世界はサムライエンパイア、場所は放棄されたお城跡。天守閣は崩れちゃってもうないけど、塀とお堀は健在にゃ。鏡餅は何をしたいのかわかんにゃいけど、天守閣があった場所に陣取ってお餅をばら撒いてるにゃ」
 まるで紙吹雪か何かのように餅を打ち上げてばらまく巨大鏡餅の図。シュールの極みである。

「お城が放棄されて結構時間がってるから、周囲に村とかはないにゃ。でも、野盗とか、妖とかのオブリビオンが巣食ってる可能性はあるにゃ。向かう場合は十分注意してほしいにゃ」
 そこまで言って、ゴンは何かを思い出したかのように顔を上げ、目をパチクリと瞬かせる。

「そうだった、実はあの鏡餅、あの世界では縁起物らしいのにゃ。鏡開きすると––––要するに割ると、ご利益があるとかなんとかいう話にゃ」
 だから盛大に割るといいにゃ、と、なぜかゴンが胸を張った。

「にゃ? 行ってくれるにゃ?! よかったにゃ、どうかあの鏡餅を退治してほしいのにゃ!」
 鏡餅討伐に向かうと名乗りを上げた猟兵にぱっと輝く笑顔を向けて、ゴンはぶんぶんと嬉しそうにもふもふの手を振る。尻尾はピンと伸びて、感激したようにふるふるしていた。

「いってらっしゃいにゃ! 怪我しないよーに気をつけてにゃーん!!」


広並 整
 どーもどーも整ちゃんでーっす!!

 このシナリオは要するに「鏡餅の怪異をぶっ倒せ」ってことだね! 鏡餅に到達するまでに邪魔が入ったりもするけど、全部なぎ倒して鏡開きしてね!!

 あ、そうだ。
 話は変わるんだけど、お遊び全力なプレイングとか、整ちゃん、好きよ?

 それではよろしくお願いしまっす!!
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第1章 冒険 『向こう岸へ』

POW   :    泳いで渡る、簡易的な橋を作る

SPD   :    船や代わりになりそうな物を探す、流れの緩やかな場所を探す

WIZ   :    聞き込みで情報を得る、アイテムを活用する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クロ・ネコノ
[SPD]
鏡餅のオブリビオン・・・
「食べ物を退治ってのもなんだか気が抜ける話だね」
でもまあ道中は色々出るかもらしいし、鏡餅に会うまではしっかり注意していこうかな。
で、さすがに川を泳いで渡るのは嫌だから別の手で行こう、濡れたまま歩き回るの嫌だしね。

『少し高い位置から【千里眼射ち】でロープを括りつけた矢を対岸の低い位置に飛ばして固定、
【ゴム体質】で柔らかくした腕を布で覆った後、くくって輪っかをつくり対岸に滑り降りるよ。(自分の腕を使ったターザンロープ的な感じです)』
「あ、これ楽しい!」

『』が行動内容です。
<ギャグ系のノリ好きです!>



ひゅうるりと乾いた風が吹き抜ける。現在の季節、真冬。肌を刺す風は冷たく、木っ葉を巻き上げては淀んだお堀の水面を揺らしていた。長年放置されていたお堀の水は緑色に変色し、ともすれば腐ったような臭いすら漂ってくるよう。
 昔橋が架かっていたであろう場所には、朽ちた木片が散見されるのみ。経年劣化か別の要因か、とうの昔に落ちてしまったらしい。
 さて、どう渡るか。

「さすがに、これを泳いで渡るのは嫌だな……」

 荒れたお堀を覗き込んでぼやくクロ。そのぼやきに応えるように、水草の繁殖した水面が波打った。跳ねた水滴に「うぇー」と顔をしかめて、クロはすっくと立ちあがる。

「そんじゃま、行きますか!」

 その腕にあるのは、愛用の弓。番えられた矢にはロープが取り付けられており、鏃の形も少々特殊。どうやらそれを飛ばして向こう岸に引っ掛けようという魂胆らしい。
 幸いというか、お堀の対岸にはそれなりに高い塀が続いている。うまく引っ掛けることができれば、お堀を渡る手段の一つになり得るが……。

「えいっ」

 ヒュ、と風を切って矢が飛んだ。
 それなりに太いロープが繋がった矢は、危なげなくお堀の向こう側へ到達し。

「よっ、と! うん、ちゃんと固定されてる!」

 運良く何処かへ鏃が引っかかったらしい。クロが縄を引っ張ってもビクともしない。
 縄の逆側は近くの木にしっかりと固定され、即席の橋となった。
 そうしてクロは、縄が己の体重に耐えることを確認すると。

「ヒュー!」

 己の肉体を変質させて布で保護し、輪っかを作って縄に引っ掛け、公園遊具のターザンロープのように飛んだ。
 布とロープが勢いよく擦れる音がお堀に響く。縄をたわめながら滑空するクロの瞳はらんらんと輝いていた。

「これ楽しい!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ファランス・ゲヘナ
【心境】
「野性の鏡餅がいるなラ、飼鏡餅とかもいるのカ?」
居ないのカ…そうカ…。
目的としては鏡餅の中身が気になるので確認ダ。
海賊らしく中身を貰っていク。
【行動】
気を取り直しテ…ダ。
向こう岸…カ。この橋わたるべからズ…なら楽だったんだがナ。
POW:『泳いで渡る』ナ。
これでも『水泳』はそれなりに得意ダ。
体の一部を腕のように伸ばしてバタフライ泳法ダ…。



約1名がなにやら作業しているのを横目に、たぷん、と身体を揺らすものが一人。

「……野性の鏡餅がいるなラ、飼鏡餅とかもいるのカ?」

 口元に手をやって難しい顔をしながら、真剣にそんなことを考えているファランス。仮に飼鏡餅がいたとして、飼う気なのだろうか。

「……マァ、オレには関係ないナ。バケモノ餅の中身にハ、多少なり興味があるガ」

 そんなことを呟きながら、伸びて縮んで、なにやら準備運動らしき行動をとるファランス。どうやら彼はこのお堀を泳いで渡る気らしい。それほどの距離でもないし、ファランス的には濡れたところでそこまでのデメリットが生じない。なにをためらうことがあろう。

「この橋わたるべからズ……なら楽だったんだがナ」

 かぶっている海賊帽が汚れないよう気にしつつ、ブラックタール特有の流動的な肉体をぐんと伸ばして変形する。

「これでも水泳は得意、ダ」

 クールな目をキランと輝かせ、勢いよくお堀に飛び込んだ。帽子は濡れないように身体を伸ばして保護した。抜かりはない。
 ざぶんざぶんと水面を波打たせてお堀を渡るファランクスの上空を、上機嫌な人影が「ヒュー!」とか言いながら全力滑空していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バッカンボー・パディストロー
オー、ココがサムライエンパイアのお城跡なのですネー!時間があれバ観光モしてみたかったですガ、今回ハ城攻めのお仕事デース!ガンバリマショー!

ワタシは【破城麦】の麦稈ロールをお堀に沈めテ、簡易的な足場を作れないか試してみマース。普段ハ地形を変えるぐらい全力でブン投げますガ、今回ハゆっくりそろーり沈めまショウ。水被ったらサムーイですからネー!

足場が出来ても出来なくても、今度は【破城麦】を塀に向かって、今度は全力でブン投げマース!名前の通り、城を破壊出来る又とないチャンスデース!塀が壊せたら、後の人が楽にナルカナーという気持ちもチョットありマース!

「ハッハー!ミーの渾身の一撃をくらいなサーイ!」



「オー、ココがサムライエンパイアのお城跡なのですネー!」

 他方、全力ガッツポーズなどする人影あり。麦稈ロールを肩に担いだバッカンボーだ。いくら麦藁とはいえ、麦稈のロールはかなり大きく重そうなのだが、バッカンボーは気にした様子なく軽々担いでいる。強い。

「時間があれバ観光モしてみたかったですガ、今回ハ城攻めのお仕事デース! ガンバリマショー!」

 そんなことを言いつつ、バッカンボーは担いでいた麦稈をおもむろにお堀へと投入する。そっと繊細に沈められた麦稈ロールは緑色の水の中に沈んでいき……数センチを残して止まった。どうやらこのお堀、色がアレなせいで分かりづらいが、あまり深くないらしい。とは言っても、ロールの大きさもかなりあるのでなんだかんだ成人男性の胸あたり程度の深さはあるようだが。

「オー! ファンタスティック!! これで濡れずに渡れマースね!」

 いい笑顔で次々と麦稈ロールを沈めていくバッカンボー。これで即席の橋ができた。後続の猟兵は以降これを使うことができる。

「最後の仕上げはこれ、デス!」

 そして、塀に近づいたところで巨大な麦稈を投擲用意。

「ハッハー! ミーの渾身の一撃をくらいなサーイ!」

 おおよそ人間が投げられる限界を超えているように見える麦稈ロールが塀に激突した。ユーベルコード【破城麦】––––その破壊力は、いとも簡単にお堀を破壊したことからも察せられるだろう。
 すでに廃墟とはいえ、お城を破壊できたバッカンボーはご満悦であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

唐木・蒼
ふむ…時期的には鏡開きって丁度いいわね。今年は色々動き回ってお餅も食べてないし、バラ撒いてるってお餅を回収しつつ新年の行事を片付けるとしましょう!
【POW】
さてと、橋を造ってくれた人がいるからもう渡れるけど、折角だからこう、カッコよくと言うか凄いって言われるような渡り方してみたいわね。
そうだな…近くで大きな木を1本へし折って持ってきて、槍投げみたいに持ったまま狐火ブーツでお堀の際まで「ダッシュ」、勢いのまま「ジャンプ」したら木を空中の足場にして更に「ジャンプ」!って感じで向こう側を目指してみよっと。
失敗したらおとなしくできてる橋を使わせてもらおうかな。



「……ふむ」

 麦稈でできた即席の橋を横目に見つつ、蒼は顎先に手を当てて考え込む。

「……これを渡ってもいいけど……。折角だからこう、カッコよくと言うか凄いって言われるような渡り方してみたいわね」

 またロクでもな……失敬、好奇心旺盛かつチャレンジ精神満載なことを思いついたものである。そういうのとてもいいと思う。
 さて、思い立ったが吉日とばかりに、蒼はキョロキョロと周囲を見渡し、何か使えそうなものがないか探し始めた。
 程なくこちら側から対岸につながった一本の縄を見つけたが、いまいちピンとこなかったので却下する。縄の他には特にめぼしいものはないように見えるが。

「そうだ!」

 ピコン、と蒼の頭上に豆電球が点った。
 ウキウキ顔の蒼が向かった先は、ちょうどよく立ち枯れているそれなりの太さの木。それを唐突に、根元から足技でへし折った。
 ドウ、と土煙を巻き上げて倒れる大木。それを好奇心で目を爛々と輝かせながら持ち上げ、投擲しやすいように抱える蒼。
 ふんす、と鼻息荒く気合いを入れると、お堀へ向かって一気に駆け出した!
 そしてお堀の淵に差し掛かったあたりで力強くジャンプ!! 蒼、丸太を持ったまま空中へ飛び出す! そのまま濁った水に落ちてしまうのかと思われたところで、なんと! 持っていた丸太を足場にして! 足場に、足場……。

「あ」

 丸太を足場に多段ジャンプ作戦は、「手に持った丸太に飛び乗るのってとっても難しい」という教訓を得る結果となった。南無三。
 向こう岸まで渡ることはできなかったが、なんとか丸太を蹴り飛ばすことで軌道修正することはできたため、緑色に淀んだ水の中に落ちる事態は避けられた。
 降り立ったのは、麦稈でできた即席橋の上。

「……うん、計画通りよ!」

 耳の先を真っ赤に染めて力強く頷いた蒼を、先に上陸していた猟兵たちが温かい眼差しで見守っていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アンジェリカ・ヘインズビー
お仕事です、頑張りましょう。
普通にバッカンボーさんが作ってくれた麦稈ロールの橋を使ってお堀を渡り、バッカンボーさんにお礼を言います。
「・・・助かりました」



 さて、周囲一帯に響き渡るような轟音を聞いて、何事かと様子を見に来たアンジェリカ。
 見れば、無残に破壊されたお堀があった。どんな力がかかったらそうなるのか、お堀側面の石垣は崩れ、塀も一部が倒壊している。破壊されて間もないそこはもくもくと土煙を吹き上げており視界が悪い。
 人影が土煙の向こうに見えた気がしたが、誰だか判別はできなかった。
 なかなかにデンジャラスな様子にしばし見入るアンジェリカ。

「……おや?」

 ふと、お堀の中に足場があることに気が付いた。麦藁をギュッと押し固めたロールが淀んだ水から頭を出している。誰かが廃城に入りやすいよう道を作ってくれたらしい。

「これはこれは。ありがたいです」

 コクリ、と一つ頷く。麦藁の上に飛び降りれば、とす、と軽い音が鳴った。
 とすとす、さくさく。まだ水を吸っていない藁が軽快な音楽を奏でるのがなんとなく楽しい。きちゃない水に触らずにお堀を渡れたアンジェリカはご機嫌だ。

「到着、と」

 崩れた漆喰を踏み分けて敷地内へと侵入を果たす。
 なんとなく達成感に浸りながら周囲へ視線を巡らせたアンジェリカは、ふと一人の男性と目があった。
 麦稈帽をかぶったその姿に、土煙の向こうで見た影を思い出す。

「あの、もしかして、橋をかけてくださったのはあなたですか?」
「うん? オー! かわいらしいお嬢さん、ミーの橋を使っテくれたのデスカ?」

 声をかければ、思いの外フレンドリーに応対された。なんとなく太陽の沈まぬ国を彷彿とさせるノリに、ちょっとだけ面食らう。
 が、それも一瞬。気を取り直して、アンジェリカは橋のお礼をすべく、男性––––バッカンボーにぺこりと頭を下げた。

「えっと、……橋、助かりました。ありがとうございます」
「ノンノン、そんなに畏まらずとも大丈夫デース! デモ、お礼、嬉しい。こちらこそアリガトウ!」

 アンジェリカのかわいらしい姿に、バッカンボーはちょっぴり照れくさそうに、けれど嬉しそうに笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛月・朔
桐箪笥のヤドリガミ、肉体が参加
ネタ依頼大好きです

心情
野生の鏡餅が現れた!…って言われても「?」ですが、猟兵としてグリモア猟兵さんの言葉を疑わずに、すぐに問題解決のために建設的な思考をするように慣れなければ
でも一言ツッコミたい、いったい何がしたいんですかその鏡餅は

行動
SPD
堀の浅い場所、流れの緩やかな場所を探す。見つけたら【錬成カミヤドリ】を発動、器物の桐箪笥の複製を複数精製
木製なので引き出しを抜いて軽量化すれば水に浮くと思う
【水に浮かべた複製に肉体を乗せ、複製を操って向こう岸に行く】
無理なら
【複製を向こう岸まで並べてその背を飛び石のように移動(複製の数が足りなければ後方の複製を前方に移動)】



「あれ……? よくよく考えたら野生の鏡餅ってなに……?」

 バッカンボーとアンジェリカが親交を深めているのとはほぼ真逆の位置にて、朔はお堀を見下ろしていた。浅い場所がないかとお堀の周囲を見回っていたのである。残念ながら、水が濁っているせいで見ただけではお堀の深さはわからなかった。
 距離が離れているために、お堀が破壊された音は聞こえなかったらしい朔。水の深さはわからなかったが、淀んでいるお堀は流れがほぼないため、朔の思惑はなんとか達成できそうだ。

「んー、もうここでいいか……」

 渡る方法が見つからないなら、作ればいいじゃない。
 と、いうわけで、朔は自身の能力をフル活用して己の本体たる桐箪笥––––の、複製品を作成した。
 箪笥は木でできている。桐は軽い木材である。ひきだしを全部取り出した箪笥は船に見えなくもないかもしれない。

 つまり 箪笥は 水に 浮く 。

「おお……」

 仕切りのついた四角い箱が濁った水の上に浮かんでいるさまを、なんとなく感慨深いような感覚で見つめる朔。水の色が濁りすぎて桐箪笥が若干緑色に色付いているのがなんとも言えない。
 ところで、箪笥はどうあがいても箪笥であるので、船ではない。
 つまり、防水加工等は一切されていないわけで。

「わっ、水が……! 早く渡らないと」

 板のつなぎ目から水が染み出してくるのである。幸い、すぐ沈むようなことはないので今回お堀を渡る程度なら問題なく使えそうだ。

「っとと」

 朔はぴょいっと浮かんだ箪笥に飛び降りると、念力で箪笥を動かしてお堀を渡る。
 浮かんだ箪笥から岸に飛び上がる時、バランスを崩して箪笥が水没したが、木だから問題なかろうとそのまま放置したのは内緒の話だ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『腐怪の蟲』

POW   :    腐敗の瘴気
【腐敗の瘴気 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    粘着糸
【尻尾から発射する粘着糸 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    腐敗の溶解液
【口から発射する腐敗の溶解液 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を腐らせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 無事にお堀を渡り終え、荒ぶる鏡餅目指して廃城を進む一行。
 塀を乗り越えれば、天守閣のあった場所で餅をばらまく鏡餅が見え隠れする。見ている分位は何やらめでたさすら感じるが、これでもれっきとしたオブリビオン、この世界に相容れない存在は割らねばならない。
 早々に鏡開きと洒落込みたいところだが、そうは問屋が卸さないようだ。

「rrrrrr……」

 にちゃり、と不快な音がした。
 水の入った革袋が地面をのたくるような、なんとも言えない擦過音がそこここから聞こえてくる。
 不穏な気配を感じた猟兵たちが、情報を得ようと白い漆喰で補強された塀を見渡した。特に不審な部分はないように見えるが……。

「……ぅげ」

 と。
 情報を得ようと、高所へ登っていた猟兵が心底嫌なものを見たかのような声をあげた。
 何事か、とその猟兵へと視線を向けると、引きつった顔で天守の方を指差して曰く。

「なんか、めちゃくちゃでかい芋虫が、大量にいる」

 ……どうやら鏡開きの前に、餅にたかる虫を駆除しなければならないらしい。
バッカンボー・パディストロー
ムムム……虫は見慣れていますガ、コレはちょっといただけないですネー。お餅な気分ニなれまセーン!

シカシ【破城麦】の麦稈ロールだと、腐敗液やら何やらデ色々マズい光景が広がりそうですネー。ココは遠距離から一旦数を減らしまショウ!

ミーは【汎用型戦場兵装召喚】で各種兵装を召喚、攻撃力重視でミサイルマシマシデース!召喚した対オブリビオン用ミサイルを構え、芋虫が密集している地点ニ発射しマース!他の方を巻き込まないよう、注意して取り扱いまショウ!

ミサイル発射後は、他の方ガ動きやすいようトリモチランチャーや状態異常弾で芋虫の動きを封じニ行きマス。芋虫の攻撃ハ厄介ソーデス、遠距離からの援護に徹しまショウ!


クロ・ネコノ
2プレイング
嫌なものが出てきたね、あれに接近戦はしたくないなぁ、

【SPD】 [援護射撃][時間稼ぎ][2回攻撃]
他の猟兵から距離をとってから『千里眼射ち』を使って攻撃!、
蟲達の意識がこっちに向いて、攻撃してきたら一度引くよ!

<攻撃されても味方に当たらない位置から弓で援護射撃、敵が来たら惹きつけつつ逃げます、アドリブ・他PCとの絡み歓迎!>


ファランス・ゲヘナ
【心境】
「虫は無視無視…というわけにはいかねーんだろうナ。」
あんまり好きじゃねーんだガ…害虫退治としゃれこみますカ。

【行動】
あんまりお近づきたくない敵だしナ。
宇宙バイク:龍星号に『騎乗』して距離を取りつつブラスター:戦士の銃で遠距離射撃で狙い撃ツ。『スナイパー』はお得意でナ。

UC:影分身を発動させル。【´・ω・】【 ̄Ω ̄】【・ω・`】な三体の分身を前衛にして後方から狙撃の『二回攻撃』ダ。


腐敗能力か…やっかいだガ。溶けるならお前が溶けていロ。


雛月・朔
心情
絶対に触りたくない、絶対にあんなのに触りたくない!近寄りたくもないです!!
あんなものの攻撃を受けたら肉体以上に精神的ダメージが深刻です
でも今回、武器は薙刀とUCしかないんですよね…
次の任務以降は絶対に遠距離用の武器も持参すると心に誓いました

行動
孤立しているようなので仲間と合流を目指す
合流前に敵と遭遇したら交戦より合流優先で行動
合流後は仲間と死角を補い合いながら戦闘
敵の攻撃は全力で回避します、回避せねば今後の活動に支障をきたすほどの精神的ダメージを負ってしまう
メインの攻撃手段はUC【錬成カミヤドリ】で本体の複製をぶつけて攻撃。薙刀は接近されれば使いますがそのような事態にならないよう願うばかり


唐木・蒼
いやー…ダメでしょこれ、キモい。食べ物とセットで出てきちゃいけない奴でしょー!なるべく触らないように何とかしよう、はぁ。
【POW】
前衛で近接戦闘…これ特化っていうのはこういう敵に遭遇しちゃった時に心底後悔するわ、いや現在進行形でしてる。とにかく大斧「衝撃波」「なぎ払い」で壁の方に吹っ飛ばすようにして処理を目指すわ。触りたくないし、行き返りで悲惨な地面の上を歩きたくないもの。壁際に寄せて、複数巻き込めるならUCで纏めて攻撃。
本体にも糸にも捕まるのはホント勘弁だから、ブーツ「ダッシュ」「ジャンプ」で動き回って攻撃を避けつつって感じで…むしろ避ける方に重きを置いて、合間を縫って攻撃しよう、うん。



「イヤァァァァァァァ!! ナニコレなにこれ何これぇぇぇええ!!」

 雛月朔は全力疾走していた。絹を引き裂くような悲鳴をあげながら、脇目も振らずに走っていた。

「絶対に触りたくない、絶対にあんなのに触りたくない! 近寄りたくもないッ!!」

 周囲にうごめく巨大芋虫の大群の中を、涙目で、全力疾走していた。涙目というか、すでに泣いていた。箪笥の船でお堀を渡り終え、塀を乗り越えた途端にこの惨状。なんのいじめだろうか。
 手に持った薙刀は振るわれることなく、まるでバトンの如く飾りと化している。だって触りたくない。アレに触ったら確実に死んでしまう。心が。
 なんで自分は薙刀を武器に選んでしまったのだろうか。侵攻方向でのたくっている芋虫を錬成した桐箪笥で弾き飛ばしながら思う。謎の液体が付着した箪笥は秒で捨てた。
 遠距離攻撃用武器を持とう。キラキラと散る涙の粒を風に遊ばせながら、朔は強く、それはもう強く決意する。

 とにかく一刻も早く他の猟兵たちと合流しなければ。そう考えながら走る朔の耳に、地面を震わせるような轟音が届いた。
 何事かと視線を向ければ、激しく土煙が立ち上っているのを発見する。塀を乗り越えれば現場が見えそうだ。

「ハッハー! イイ感じに吹き飛びまシたネー!!」

 見つけたのは、ランチャーを構えたバッカンボー。視線の先を見やれば、土煙の下にクレーターができていた。どうやらミサイルを叩き込んで虫を木っ端微塵に消しとばしたらしい。クレーターの端にえも言われぬミンチ状の何かを見た気がしたが本能的に理解するのを拒否した。

「虫は無視無視……といきたいところだガ、そういういうわけにはいかねーナ」

 ぽっかりと虫の空白地帯ができたそこへ、宇宙バイク『龍星号』に騎乗したファランスが影分身を繰り出す。なんとも味のある顔をした分身たちは、道中の虫を弾き飛ばしながら突き進んで行く。のったのった動く虫を弾き飛ばしていく様はさながら暴走族。
 一直線にジェットストリームアタックを繰り出す分身たちの通った後は、虫が弾き飛ばされて道のようになっている。

「あああああああ!! これ私完全に貧乏くじじゃない?!」

 そんなファランスが作った即席の道を、大斧を構えた蒼がひた走る。今回の即席パーティー、なんと前衛が蒼しかいなかったのだ。
 半分無意識でハウリングインパクトを繰り出しながら、大斧を薙ぎ払って衝撃波を発生させ虫を吹っ飛ばす。吹き飛ばされた虫は漆喰の壁に激突し、白い壁は虫の溶解液を浴びて黒く変色していた。蒼には虫の体液一滴たりとも付着していない。「虫には絶対に触れぬ!」という強い意志を感じられた。

 虫の発する瘴気も、バッカンボーのミサイルがもたらした爆風である程度吹き飛ばされたため、猟兵たちに害がないレベルまで濃度が下がっている。意図していなかったが、もたらされた結果は絶大だった。

「わー、すごい、道になってる。よーし、私も負けてらんない!」

 飛んで跳ねてダッシュして、立体的に動きながら虫を退ける蒼の後を、後衛たちがついていく。クロも弓を構え、こちらに向かって糸を吐き出そうとしていた虫の頭を射抜いた。
 なにせ数が多い。前方の敵を蹴散らしても、後ろから回り込むように虫が湧くのである。バッカンボーがとりもちランチャーで妨害しているが、焼け石に水と言えた。
 とりもちに捕まってウネウネしている虫を見て、クロの表情筋が盛大にひきつる。

「あれに接近戦はしたくないなぁ……」

 たとえ溶解液や瘴気の件がなくとも、巨大芋虫に触りたくなどない。視界の端で蒼がアクロバティックな動きをするから何事かと思えば、ファランスの影分身たちが弾き飛ばした虫が体液を撒き散らしながら飛んできたのを避けたらしい。避けて着地した先にも虫がいて、物凄い形相で吹き飛ばしていた。ファランスはとても申し訳なさそうな顔をしていた。
 前衛は大変だな、とクロは引きつった顔で思った。

「ムムム……虫は見慣れていますガ、コレはちょっといただけないですネー。お餅な気分ニなれまセーン!」

 退けても退けてもどこからともなく湧いて出てくる虫に、さすがのバッカンボーも辟易しているらしい。ランチャーを構えたまま眉根を寄せ、難しい顔をしている。

「おわぁ……」

 とりもちに捕まってうねる芋虫に桐箪笥をお見舞いしつつ、朔は盛大に引きつった顔で言葉にならない声を漏らした。地獄絵図と言って差し支えない光景は精神的にクる。

「うン? あんた、大丈夫カ? 顔色が悪いゾ」

 塀の上で立ち尽くしていた朔に気付いたファランスが、龍星号にまたがって近付いてきた。朔を気にしながらも攻撃の腕は休めていない。

「……あの」
「ン?」
「……そのバイク、私も乗せていただいていいですか?」

 朔だって自分の身が可愛い。この状況で、ファランスの空飛ぶバイクはとても魅力的だった。
 快進撃を続ける一団の上空から桐箪笥を投げつけ援護するヤドリガミが爆誕するのはこの数秒後のことである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『野生の鏡餅』

POW   :    お年玉(餅)
【投げた紅白餅】が命中した対象に対し、高威力高命中の【巨大鏡餅落下攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    もち肌
自身の肉体を【柔らかいお餅】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    今年の運勢
対象の攻撃を軽減する【おみくじ体】に変身しつつ、【今年の運勢が書かれたみくじ紙】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はエミリィ・ジゼルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 一行が巨大芋虫を弾き飛ばしながら進んだ先に、その鏡餅は存在していた。
 天守閣跡付近は何らかの磁場でも発生しているのか、巨大芋虫の姿はない。そのことにホッと胸をなでおろしつつ、猟兵たちはふざけたオブリビオンを見上げた。

 見上げた––––そう、見上げるほど大きいのである、この鏡餅。その巨大な鏡餅が、手のひらサイズの丸餅をドッカンドッカン噴射しているのである。雨あられと降り注ぐ餅の弾丸は確かに驚異なのだが、漂うどこかおめでたい雰囲気に、猟兵たちの緊張感がゴリゴリと削り取られていく気がした。
ファランス・ゲヘナ
【心境】
「やっと会えたナ鏡餅。」
聞けば中身にご利益があるらしいナ。
ご利益が何か知らねーガ…海賊らしク、貰っていクッ!!

【行動】
さってト。真打登場ダ。征くゾ!!
UC:≪天通頑≫発動。
【∞ロ-ロ】の眼鏡を懐(⁉)から取り出シ、パワーアップ。
宇宙バイク:龍星号に『騎乗』、鏡餅を中心に円を描くように爆走しツツ、熱線銃:戦士の銃で射撃攻撃ダ。『二回攻撃』による連続射撃モ、結構乙なもんだロ。

おっと、攻撃が来たカ。龍星号ヨ風になレ『ダッシュ』で質量のアル『残像』というのカ。なんてナ。


雛月・朔
心情
帰りたい。あんな虫が出るなんて聞いてない、野生の鏡餅とかもうどうでもいいから帰りたい
…と、さすがに今回の主目的である鏡餅を前にしてはそんなことも言ってられませんね
手強い予感はしますがさっきの虫よりはマシです
精神的疲労により鏡餅へのツッコみは放棄します

行動
さっきは蒼さんに前衛をまかせきりでしたが、鏡餅相手ならば前に出れます
餅の部分で攻撃してくるようですが、土台の部分は敵の一部なんでしょうか?
もし土台にもダメージが入るなら、変幻自在の餅の部分より先に下の土台を攻めます
UCは回復系の【棚から牡丹餅】、鏡餅に傷つけられた仲間には牡丹餅をぶつけて回復
「攻撃を受けた方は声に出してください、回復します」


バッカンボー・パディストロー
オー、ファンタスティック!野生の鏡餅とハこんなに大きなモノだったのですネー!ミーも負けてはいられまセーン!鏡開き、達成してみせマース!

ミーは『農業用黒剣』を横槌に変形させ、【巨大藁人形召喚】使用。巨大な槌デ叩き割ってやりマース!

とは言ってモ、餅が降り注ぐ中単純に近づくのハ難しそうですネー。まずは降り注ぐ餅をハネツキのようニ相手にガツンと打ち返してみまショウ。例え巨大な鏡餅が降ってきたとしてモ、ミーのバッカンドールの力でホームランデース!近付けるような隙が出来たラ、単純に殴りに向かいマス!

……あの芋虫達、もしかして鏡餅目当てデ集まったのデショーカ。ソレで自衛のためニ餅をバラマキ続けていたとカ?



「やっと会えたナ鏡餅」

 ドゥルルルン、と龍星号がエンジン音を響かせる。
 バイクで虫の群れを超えたファランスは元気一杯だった。少なくとも、至近距離で虫の死骸を見せつけられてグロッキー状態の朔よりは元気だった。

「おあぁぁぁ……おふろはいりたい……早く帰って熱いお風呂に……ウッ」

 仲間が跳ね上げる虫の死骸だとか、射線を通すため超低空飛行した時に跳ね飛ばした虫の体液だとか、見るだけでも嫌なのである。しかも朔は高速で移動するバイクに相乗りしていたため、死体や体液を避けきれなくてかすったりもしている。もうここまできたら同じ空間で同じ空気を浴びるのも嫌なのだ。気分の問題なのだが。

「帰りたい……あんな虫が出るなんて聞いてない、野生の鏡餅とかもうどうでもいいから帰りたい……」

 何というか、顔が死んでいる。桐箪笥にもたれかかってさめざめ泣く様は絵になっていたが、その箪笥は謎の液体で汚れているので絵面は最悪だった。
 同じ条件下にいたファランスが元気ハツラツとしている故に、テンションの差で風邪をひきそうな具合である。

「オー、ファンタスティック! 野生の鏡餅とハこんなに大きなモノだったのですネー!」

 そしてこちらもテンションの高いバッカンボー。燦々と輝く笑顔が眩しい。両手を天空に突き上げて驚きと感動を体全体で表現している様は、虫の猛威に精神的消耗を強いられた面々には鮮やかすぎた。

「フン、聞くところによるト、こいつを倒せばご利益があるらしいナ。どんなもんだか知らねーガ、海賊らしク、貰っていク!」
「ミーも負けてはいられまセーン! 鏡開き、達成してみせマース! カモン、バッカンドール!!」

 テンションアゲアゲで鏡餅に宣戦布告する約2名。
 ファランスは懐らしき部分から「スチャッ!」っとメガネを取り出し装着。今どこからメガネを取り出したのだろうかこのブラックタール。きっと気にしてはいけないのだろう謎の多い種族ブラックタール。
 対するバッカンボーは巨大藁人形を召喚した。身の丈3メートルを越す巨大な麦稈人形は、やる気満々で両手を打ち付けるバッカンボーと同じ動作でやる気を示した。
 グロッキー状態の朔は自動的に非常時の予備要員になった。回復までもう少しかかりそうだ。

「真打登場ダ! 往くゾ!!」

 先に餅へと攻撃を仕掛けたのは、機動力に秀でたファランスだ。ナイスなメガネを装着した彼はそう、無敵。パラリラパラリラと龍星号で爆走し、餅をばらまく鏡餅へと接近する。餅の弾丸を避けるよう、鏡餅を中心に円を描くように動きつつ、熱線銃で攻撃を繰り出した。
 攻撃を受けた鏡餅はファランスを敵認定したらしく、無差別にばらまいていた餅をファランスへと集中させる。

「おっと、残念だったなそれは残像ダ……、なんて、へぶっ?!」

 銃を構えたファランスは迫り来る餅の弾丸を華麗に回避した。が、いつの間にか伸ばされていた餅の触手と接触事故を起こして飛んだ。それはもう華麗に美しく芸術的に跳ね飛んだ。

「ふぁ、ファランスさぁぁぁん?!」
「オーマイガッ!! 安心してくだサイ、仇はとりマース!!」

 単身で宙を飛ぶブラックタール、という衝撃の絵面にショック療法で正気を取り戻した朔が叫ぶ。バッカンボーは仇討ちに燃えて麦稈人形を餅へと走らせた。

 降り注ぐ餅の雨もなんのその。バッカンドールは麦稈の手に持った大槌で餅を打ち返し、鏡餅への攻撃手段へと変える。それを見た鏡餅は餅弾攻撃は無意味だと悟ったか、小さな餅を発射するのをやめ、「さぁ来い!」とでも言いたげにふにょんと揺れた。
 此れ幸いと、バッカンボーは大槌を振りかぶって鏡餅を殴りつけ––––ようとした瞬間、鏡餅がぽふんと音を立てて巨大なおみくじに変化した。

「What's?!」

 からぶった麦稈人形が体勢を崩す。そこへ追い打ちをかけるように、凶器と化した紙片が襲いかかってきた。どうやらこの鏡餅、おみくじになると葉っぱカッターならぬおみくじカッターで攻撃してくるようだ。ご丁寧なことに、全てのおみくじに「大凶」と書かれている。腹が立つことこの上ない。
 不幸中の幸いというか、元鏡餅現おみくじの発射したおみくじカッターは麦稈人形が受け止めたため、バッカンボーはかすり傷程度で済んだ。

「お二人とも、大丈夫ですか?!」
「チッ、油断しタ。問題なイ」
「大丈夫デース、ちょっぴり驚きましタ」

 ぽんぽんぽよんと跳ね転がって衝撃を殺したらしいファランクスと、体勢を立て直すために一旦引いたバッカンボーに、朔が駆け寄る。

「あの鏡餅、……鏡餅? おみくじ? ……どっちでもいいけど、ふざけた見た目をしている割に手強いですね」
「フン、それだけ得られるものも大きイ、ということだろウ?」

 回復用のぼた餅を召喚しながら呟いた朔に、ファランクスが不敵に笑う。

「あの、提案なんですけれど、餅部分ではなく土台部分に攻撃してみませんか? もしかしたら餅部分より攻撃しやすいかも……」

 一歩離れた場所から戦闘を観察していた朔の提案に、他の面々も同意を示す。餅部分にばかり目が行きがちだが、土台あっての鏡餅でもあるのだ。
 戦闘はまだ始まったばかり。これからが本番である。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

クロ・ネコノ
[POW]
「・・・鏡餅ってこんなに大きい物だったかい?」
こんなのに圧し掛かられたら伸しイカ、いや伸し餅にでもなっちゃいそうだね、餅だし鈍重そうだけど。
【制約の矢】[時間稼ぎ4]
【制約の矢】を放つよ、餅を飛ばしてきても大して痛く無さそうだし、気にせず撃とう。
当たったら私と相手に課すルールを宣告する。
「動くな!」
制限が大きいから大したダメージにならないだろうけど、隙が出来たら皆が大技叩き込んでくれるでしょ。

<グロイ芋虫の後にシュールな鏡餅のギャップで気が抜けている為、餅で攻撃されても気にせず【制約の矢】を使用、
  成功しようが【巨大鏡餅落下攻撃】に押し潰されます!アドリブ・他PCとの絡み歓迎!>



「……鏡餅ってこんなに大きい物だったかい?」

 降り注ぐ丸餅を眺めながら、クロは半ば呆然と呟いた。
 男性陣が何やら盛り上がっているが、クロとしてはもう少し様子を見たい。虫のグロさにやられている精神をもうちょっと回復したいという理由もある。グロの極致な虫地獄を抜けた先でふざけた鏡餅とご対面とか、ちょっとシュールすぎてギャップについていけない。
 それに、クロはアーチャーだ。まずは射線の確保をしたい。的は大きいが、降り注ぐ小餅が邪魔でなかなか射線が通らないのである。
 とりあえず高所へ向かおうと、塀の上に登った。ここからは戦場がよく見える。

「うわちゃー、事故ってる……」

 隙を見て矢を撃ち込みたいのだが、やはり小餅がネックで。男衆の働きに期待していたのだが、たった今ファランスが鏡餅と接触事故を起こして跳ね飛んで行った。南無三。
 残りの面々も苦戦している様子。ふざけた見た目をしているがやはりオブリビオン、一筋縄ではいかないらしい。
 と、やきもきしながら隙を伺っていたら、急に鏡餅がおみくじに変身した。何を言っているかわからないと思うが、クロにも何が起きたかわからなかった。
 が、チャンスであることは確か。

「よし、今ならイケる! 【動くな】!!」

 無差別攻撃が止んだ瞬間を狙って制約の矢を放つ。まっすぐに飛んだそれは、巨大おみくじのど真ん中に突き刺さる。
 途端、おみくじが鏡餅に戻り、硬直した。
 チャンス到来である。

成功 🔵​🔵​🔴​

唐木・蒼
まあそうね、目標達成の為に困難が立ちはだかるのが冒険。だから最後は綺麗にハッピーエンドに。…そうでも思わないと割に合わない!何なのさっきの地獄絵図!
【POW】
力はパワー(錯乱)、この手で叩き割る!息を整えてたら遅れちゃったけどどうにもナイスタイミングみたいね?狐火ブーツ「ダッシュ」で急速接近して敵が動き始めるまでUCひたすら叩き込むわ。見えざる拳「鎧砕き」も併せて、朔さんの提案に乗っかって土台から狙ってみましょう!
動き始めたら一旦退避して体勢を整える。紅白餅は避け…軟らかい状態で食べるのが一般的だけど餅の時点で固くても食べる事はできるはずね?色々疲れたし栄養補給もしないとね??



 唐木蒼は憤慨していた。
 虫の死骸が宙を舞い謎の液体が漆喰の壁を汚す地獄絵図を無事突破したものの、精神に甚大な被害を負ったのである。訴えたら勝てる気がする。どこに訴えればいいのかわからないが。

「ゼェ、ハァ、こうなったら力こそパワー、あの鏡餅この手で直接叩き割って憂さ晴らしよ!!」

 地獄を覗き見てSAN値ピンチ状態らしい蒼、ついにご乱心。若干不定の狂気に陥っている気がしないでもない。
 あの距離を大斧ぶん回して走り抜けてきたため、蒼のスタミナはだいぶ削れている。が、チャンス到来となればそれを逃す愚は犯さない。
 せっかく仲間が作ってくれたチャンス、活かさずしてなんとする。

「ッハァァァ! くらえ、これが黄金の右ストレートッ!!」

 ゆーベルコード【二連拳骨】発動。クロが鏡餅の動きを止めてくれた機に乗じてダッシュで一気に距離を詰め、その土台に拳を叩きつける!

「オラオラオラオラァッ!」

 打つ、打つ、ぶちかます! 拳の力強さに軋んで悲鳴をあげる木製の土台。拳の破壊力に慄いたのか蒼の気迫に慄いたのかはわからないが、怒涛の連撃に鏡餅がブルブルと震えている。
 それを見た蒼、連撃の合間にポツリとつぶやいて曰く。

「……そういえば、これもお餅だし、食べれるはずよね?」

 鏡餅は今度こそ恐怖に慄いた。何を隠そうこの妖狐、フードファイターでもある。ついでに現在、不定の狂気発症中。

 のちに、蒼は「もちもちしてたけど味がしなかった、美味しくはないけど食べられなくもなかった」と供述したとだけ伝えておこう。哀れな鏡餅に黙祷。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロ・ネコノ
(アンジェリカ(f11144)とセットでお願いします)
まだあの鏡餅元気そうだね、早いとこ片をつけようか。
「アンジェ!私が援護するからデカイの一発お願い!」
<もう一度隙をつくらせる為に【降り注ぐ矢の雨】で攻撃、その後は【ゴム体質】でアンジェリカのジャンプ台代わりになります、アドリブ歓迎!>


アンジェリカ・ヘインズビー
(クロ・ネコノさん(f06406)と一緒にして下さい)
餅は嫌いではありません、…でも虫は嫌いです、早く倒して帰りましょう。
ゴムのクロさんを踏み台にして跳躍、落下しながら鏡餅、もしくはおみくじに対して、愛用のウォーハンマーで【グラウンドクラッシャー】を使用します。



「おわぁ……」

 触手のように伸びた餅に食いつかれて「指をクワガタに挟まれた人」みたいにブンブンぶん廻している鏡餅に、クロは形容し難い表情を向けた。
 不定の狂気こわい。まるで顔にそう書かれているようなわかりやすい表情をしつつ、それでも攻撃の手は緩めない。
 鏡餅が蒼に気を取られている隙に、と降り注ぐ矢の雨、レインアローを展開する。

「質より量って場合もあるよね!」

 クロが弓を引き絞ると同時に、番えた矢が発光する。ギリギリと音を立てて限界まで引き絞られた弓は、発光する矢を勢いよく空中へと押し出して。
 放物線を描いて鏡餅の本体へと飛んだ矢は、その上空付近でふと分身するように枝分かれし、無数の矢の雨を降らせた。
 ひるんだように鏡餅が身を縮こめる。

「よし、アンジェ! 今のうちにでかいの一発お願い!」
「はーい」

 クロの呼びかけに応じたのは、あの虫地帯を抜けてきたアンジェリカ。長い金髪を風になびかせ、身体をゴム化させたクロへと一直線に駆け寄っていく。

「行くよ!」
「おねがいします」

 トン、と軽く地を蹴って、投擲姿勢で構えるクロの手へと足をかけ、高く高く飛ぶアンジェリカ。太陽を背に逆光となって、鏡餅の真上へと到達すると、愛用のウォーハンマーを上段に大きく振りかぶった。

「いきまーす、【グランドクラッシャー】!」

 太陽の光を武器に宿しながら、高高度からウォーハンマーを振り下ろす!
 重力に引かれて威力の倍増した一撃が、鏡餅へと吸い込まれるように到達。『バキッ!!』といい音を響かせて鏡餅の表面にヒビを入れた。
 餅が、痛みに身をよじるように紅白餅を吐き出した。

「よし」
「よし、じゃない! 退避、退避ー!!」

 ぐっ、と片手でガッツポーズを作るアンジェリカの襟首を掴んで大慌てで駆け出すクロ。が、至近距離で鏡餅の攻撃を浴びたため、避けきるのは至難の技であるわけで。

「あいたァ?!」
「あらら」

 まるでバラエティー番組で金盥を落とされたように、クロの頭上に大きな鏡餅がクリーンヒットした。アンジェリカはそれを見上げ、赤い目をパチクリさせてうずくまるクロの頭をよしよしと撫でた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ファランス・ゲヘナ
【真の姿】
発動。どこが変わったっテ?二重になってるだろ…
【心境】
「朔の意見を採用ダ。」
将を射んと欲すれば先ず馬を射ヨって奴だナ。

【行動】
土台を集中攻撃に決定。
一時距離を取ル。
そしてUC:大軍団を発動。かつテ、とある宇宙攻撃軍総司令官が言っタ。「戦いは数ダ」とナ。
増殖した分身を囮…げふんげふん…もとい前衛に配置し鏡餅の注意を引ク。
逝ケ、力の1号、パワーの2号、ストレングスの3号以下省略。


後衛に配置したオレは土台に向けて熱線銃で『スナイパー』的に射撃で分身の『援護射撃』を行ウ。

土台が崩れてきたらトドメに征ク。流星号に『騎乗』すると『勇気』を持って神風アタック…轢き逃げで鏡餅を見事鏡開きしてやるゼ。



「かつテ、とある宇宙攻撃軍総司令官が言っタ。『戦いは数ダ』とナ」

 ドゥルルルン、と低い駆動音が空間を揺さぶる。真空の宇宙で活動するそのバイクは、空気ではなく空間自体に干渉してその存在感を世界に知らしめるのだ。

「将を射んと欲すれば先ず馬を射ヨ。先人の教えハ実体験に基づく成功譚の塊ダ……朔の意見を採用ダ。あのスカした餅野郎の神輿、木っ端微塵にしてやろウ」

 チャキッ、と力強く太陽の光を照り返すサングラス。その存在の偉大さを世に知らしめるかのように堂々とした黒光りする姿。頭上に輝く海賊帽は、その者が真の漢であると堂々たる様で示している。
 漢ファランス・ゲヘナ。たった一度の苦戦に折れるほど、ヤワな鍛え方はしていない。猛る戦意を存分に漲らせ、発動するはユーベルコード【大軍団】。ファランスの姿を写し取った分身が、軍団となって立ち並ぶ姿は圧巻だ。その全てが「やるゾー」「いくゾー」「いてこましたるゾー」とやる気満々。

「逝ケ、力の1号、パワーの2号、ストレングスの3号……」

 以下省略。
 ファランスの号令と共に一斉に動き出した分身達を隠れ蓑に、熱線銃で威嚇しながらおののく鏡餅に接近し。

「フッ、鏡開きダ!」

 そのボロボロになった台座へと、龍星号でダイレクトアタックをかました。
 衝撃に耐えきれず、鏡餅の台座は木っ端微塵に砕けとぶ。宙を舞う鏡餅(本体)は無防備。
 さぁ、トドメのチャンスだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バッカンボー・パディストロー
先程の攻撃にハ驚かされまシタ!サスガ、野生に生きる鏡餅ハ一味違いますネー!シカーシ!ミーもやられたままでハ終わりまセン、リベンジマッチデース!

ミーは【破城麦】を使用しマス!バッカンドールの攻撃ハ上手く躱されてしまいましたガ、今は他の方の活躍デ相手も弱っていマス!今度ハ、更にパワフルな一撃を決めてみせまショウ!

例え餅が降ろうト、柔らかくなろうト、オミクジに変身しようトモ!この場ノ天守閣たるその身体、ミーの麦稈ロールの一撃で今度こそ打ち砕いてみせまショウ!
(基本的に麦稈ロールの投擲で攻撃することを考えていますが、鏡餅を待ち構えて直接一撃をかます事も考えています)

「コレがミーの、全力の一撃デース!」



「先程の攻撃にハ驚かされまシタ! サスガ、野生に生きる鏡餅ハ一味違いますネー!」

 HAHAHA! とあっけらかんと笑い飛ばし、気持ちを切り替えるバッカンボー。顔は笑みの形を象っていても、その眼光は鋭く、熱い。
 鋭い眼光の先には、鏡餅に黒い雪崩となって突撃していくファランスの姿。ボロボロになった台座に、この長い戦いの終わりを察せる。

「シカーシ! ミーもやられたままでハ終わりまセン、リベンジマッチデース!」

 そう、この戦いに終止符を打つ時が来たのである。
 ファランスの攻撃によって宙を飛ぶ鏡餅を見据え、バッカンボーは腹と両足に力を込めて大地をしっかりと踏みしめた。

「たとえ餅が降ろうト、柔らかくなろうト、オミクジに変身しようトモ! この場ノ天守閣たるその身体、ミーの麦稈ロールの一撃で今度こそ打ち砕いてみせまショウ!」

 この大一番、彼が放つと決めたのは自身の代名詞とも言える【破城麦】。文字通り破城の意思を込めた麦稈で以って、鏡餅を打ち砕こうというのだ。

「コレがミーの、全力の一撃デース! レッツゴー、バッカンロール!」

 豪、と音を立てて放たれた麦稈の塊。それはまっすぐ空へと飛んでいき、放物線を描いて落下してきた鏡餅(本体)へと吸い込まれるように接触。餅のくせにワタワタと慌てた様子の鏡餅(本体)は、ミサイルの如き勢いで飛来した麦稈に押しつぶされたようになり。
 パッカーン! と軽妙な音を立てて、鏡餅が割れた。

「オー! アメイジング!!」
「鏡開き達成、だナ」

 幾多の困難を乗り越えて達成された鏡開きに、猟兵たちは感慨深げに空を見上げる。割られた鏡餅はなぜかおみくじへと姿を変え、ハラハラと雪のように降り注いでいた。
 あれだけ大量に散らばっていた小餅も降り注ぐ紙片も、キラキラとした破片になって消えていく。ある種幻想的な光景の中、一人の猟兵がひらひらと落ちてきたおみくじを手に取ると、大きな文字で「大吉」と書かれていた。

「なるほど。つまり今年一年の幸運祈願ですか」

 鏡餅を割ると大吉のおみくじが大量に降り注ぐ。確かに縁起がいいのかもしれない。地面に接触すると消えてしまうおみくじだったが、猟兵が手にしたものは別らしく、持ち帰ることもできるようだ。

「なんダ、お宝ではなかったのカ」

 海賊であるファランスは少々残念そうな顔をしていた。

 何れにせよ、これにて一件落着。
 猟兵たちはグリモア猟兵の力を借り、虫地獄を再び目にすることなくグリモアベースへと帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月20日


挿絵イラスト