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誰がために攻略するのか?

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 アルダワ魔法学園にある、とある学園迷宮。その最奥で立ち上がる影があった。

「――――」

 ゴウン、と蒸気機関の作動音をさせながら立ち上がったのは魔導技術と蒸気機械の粋を集めて作られた魔導ゴーレムトレジャリーガードだ。
 本来なら宝物殿の番人として知られるこのゴーレムだが、その部屋には宝物など影も形もない。言わば、何の見返りもない危険極まりない存在が居座っているだけという場所だ。
 そこに至るために難関を突破し、このトレジャリーガードを倒す者に掴むものがあるのか? それは、今はわからない……。


「とはいえ、アレがオブビリオンであるのなら猟兵として見過ごせまい」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、厄介な事じゃ、と言い捨てる。
「アルダワ魔法学園にある、とある学園迷宮にオブビリオンが出現するようになったのじゃ。このまま放置すれば、迷宮に挑んだ者が犠牲になるじゃろう」
 猟兵としては、それを放置出来ない。迷宮を突破し、トレジャリーガードを倒すというのが今回の目的なのだが……。
「どうやら、迷宮は大きく分けて三つのフロアに分けられておるようじゃ。まず一つ目が、扉が大量にある迷宮じゃ」
 開く扉、鍵のかかって開かない扉、罠がかかった扉――とにかく、大量の扉が鍵となる迷宮だ。
「二つ目は、鏡張りの迷宮じゃ」
 天井・壁・床まで全面鏡張りの迷宮は方向感覚を狂わせる。そこをどう突破するか、考える必要がある。
「三つ目は魔導ゴーレムトレジャリーガードが控えるフロアだ。ただ広いフロアじゃな。ヤツ以外に、何もない」
 宝物庫の番人として有名なトレジャリーガードだが、番人しかいない部屋である。実入りがない強敵というのは、迷宮としていかがなものかと思うのだが――オブビリオンにその手の常識を求めても仕方がない。
「猟兵でしか、オブビリオンに対抗できんからの。よろしく頼むぞ、みんな」


波多野志郎
TRPGでこんな実入りのないダンジョンには挑みたくないと思います。どうも、波多野志郎にございます。
今回はオブビリオン退治に、迷宮に挑んでいただきます。。

まずは、扉が大量にある扉の迷宮に挑んでいただきます。


金銀財宝が目的でないのならば、何故迷宮へ挑むのか? そのあたりを追求していただければ、ロールの助けになるかも知りません。振るって、ご参加くださいませ。
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第1章 冒険 『終わりなき扉の続く道』

POW   :    そこに扉があれば、突き破るのみ

SPD   :    卓越された鍵開け技術を披露するチャンス

WIZ   :    そもそも扉に鍵はかかっていない、開け方が間違っているだけ

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

清水寺・大牙
「そこに迷宮があるからさ…とでも言っておこう」

【目的】
最終的にはオブリビオンの撃破だが、当面は迷宮の突破だ

【動機】
冒険者なら迷宮の奥にある財宝、或いは踏破による名誉・名声だろう
だが俺は猟兵だ、そこにオブリビオンが居るならそれだけで目的になる
まぁ力試し、鍛錬と言う事もあるがな
お宝が無い方が集中できる、と言うのもある

【行動】
とは言え探索はあまり得意ではない
ここは立ちふさがる扉はすべて切り開いて、虱潰しに奥を探すとしよう
ああ、切り開くとは文字通りの意味だ、この愛刀でな


リィン・エンペリウス
なんで迷宮に挑むのか?かぁ…ボクは見たことないものを見てみたいからかなぁ。未知への興味だと思うよ。

今回は初めて、団長の「神久・紅玉」と行動するよ。
扉があればどんどん突き破ってご~ご~なボクだけど、紅玉と一緒に行動すればきっと安全に、どんどん進めるんじゃないかなってボクは思うよ。
「紅玉、一緒に迷宮攻略頑張っていこうね♪」

ダンジョンは広そうだし、紅玉とライオンライドのライオンくんに【騎乗】しながら移動しようかな?
壊せる扉はライオンくんとボクの【2回攻撃】で壊しちゃおう!
紅玉の知恵を借りながら【地形の利用】と【情報収集】、【ジャンプ】を利用してどんどん進んでいこう!


神久・紅玉
リンさん(f01308)と一緒に今回は大冒険をしますよ!
ふふ、一緒に頑張りましょうね!
沢山扉がありますね、どうしましょうか……リンさん
わ、すごいですね!ライオンさんもパワフルで頼りがいがありますよ!お姉さんも頑張らないとです!
むむー、意地悪な扉が出ました。鍵もないし押し破るのも難しいです
あ!確か以前仲良くしていたキマイラさんがしてくれたなぞなぞにこんな扉がありました
持ち前のコミュ力で仲良くなった知り合いからのお話を思い出して解決です
押しても引いても横にも動かない扉は……
下から上に持ち上げるのが正解なのです!シャッターですね、これは
他の猟兵さんとお話するのもここにないお喋りや行動も大歓迎ですよ!


エダ・サルファー
お宝のないダンジョン、かぁ。
冒険者としてだったら入らないだろうけど、猟兵のお仕事なら報酬もあるわけで。
それなら単純に迷宮突破を楽しもうじゃないの!
普通に冒険者をやってたら出来ない経験だもんな!

さて、まずは扉の迷宮の対処だけど、ドワーフの間にはこんな言い伝えがある。
「罠ははまって踏み潰す」
つまり、扉も力づくで突破するのがドワーフ的に正しいのだ!
(言い伝えが実在するかは不明です)
そんなわけで、鍵も罠も気にせず、力づくで扉を突破する方針で進もう。
なかなか破れない扉は、この聖拳突きで破壊するってことで。
……いや、もちろん無闇矢鱈に破壊する気はないから、どの道が正解かなー、ってのは考えながら進みますよ?


天御鏡・百々
【WIZ】
【開く扉は人形部隊で手数を増やして人海戦術】
【我自身は開かない扉を調査】

ふむ。これだけ扉が多いとなると、少々骨が折れるな

手に持つ人形兵の左右に鏡を召喚
そして合わせ鏡に映った鏡像兵達を鏡の中から呼び出す

単にそのまま開く扉ならばこやつらで十分だな
扉の先が一つであればよいが、おそらくは行き止まりも多いのだろう

我自身は開かぬ扉を調べてみようか
単に押す引く扉ではなく、左右や上下にスライドする引き戸もあるのではないか?
また、別に開けるための仕掛けが隠されているのやも知れぬ。「第六感」で探してみるか
簡単な構造の鍵であれば「念動力」で開けることも可能であろうか

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎


神羽・リオン
高鳴さんと一緒に行動よ。
迷宮って初めて入るからドキドキするわ。
(少し童心な面持ちで大量の扉に触れながら歩き、気になる扉を見つけたら彼にコレコレ!と自信たっぷりで指差し)

開けた瞬間に何かが飛んでくるかもしれないし、警戒しましょ?
(というわりに思い切り、片足のみ上げてキック。蹴破ろうとして失敗。足がじーんと痛くなって涙目。頭にきたのか装備している銃の通常モード《片手銃の状態》で何度か撃ちこむ……けれどやっぱり失敗!)

高鳴さんも試していいわよ?
(悔しそうに順番を譲ってからは、彼の横で興味津々な様子で観察)

(開けられたら大はしゃぎで、ぴょこぴょこジャンプ)
すごい、すごい!!


高鳴・不比等
神羽リオンと参加。

そんな焦りなさんな、転んで怪我しても知らないですよ?

迷宮ね…オレは盗賊や冒険者じゃ無いんだがま、お嬢が望むなら付き合うまでだ。お嬢が楽しそうだしな。

おっと気を付けろよ、何が出てくるかわかん無いからな…ってお嬢何やってんの!?あーもーちょっとお嬢はステイ!

ドアのタイプと鍵穴の形状を調べて、SPDを活かしてピッキング出来そうならピッキングで、無理そうならドリルで穴開けるか扉を壊す。ダイヤル式は回数試すしか無いよなぁ。
まぁ、取り敢えず開けれそうな奴をかたっぱしから開けてくか。

(開けれたら)よっし成功。はは、これくらいそんな大したもんでもねーですよ。

しっかしなんでこんな扉があるんだ?


レイ・キャスケット
金銀財宝とか伝説の武具とか、そういうスパイスはあったほうが楽しいけど…
ボクが迷宮に求めるモノはワクワクする冒険とか未知への探求というか…
とにかく知らないものがそこにあるっていうのが一番の理由かな?ほら、そこに迷宮があるからってやつだよ!

【WIZ】
一応扉に罠がないかの確認は…ボクが出来るのって明らかな目視で分かるものか魔力起動系のトラップの感知くらいだけどね?
鍵がないのに開かない扉があるって?ほら、よく言うでしょ?押してダメなら引いてみろって。
上下左右にスライド式の引き戸だったり、実は回転扉だったり、音声認証の暗号扉だったり。
最終的にどうやっても開かなかったら扉を物理的に“吹き飛ばし”ちゃう。


ベルリリー・ベルベット
なぜ迷宮に挑むのかって?
金銀財宝がないのなら、そりゃあもうロマンしかないんじゃないかしら。
何かのために迷宮を攻略するんじゃなくって、迷宮を攻略するっていう行為自体が目的なのよ。
もしくは写真を撮って、ウワサのSNS映えを狙うのもいいかも。なーんて。

【SPD】
そんなわけで、リリはロマンのために挑むわ。
やっぱり鍵がかかってない扉を進んでもつまらないわよね。
鍵がかかった扉を選んで開けていくわ。
『鍵開け』は子供の頃からよくやっているから慣れているの。

扉を開ける前や開けた後には、小石か何かを『投擲』して罠の有無を確かめるわ。
もしも罠が発動してしまったら、『見切り』や『ジャンプ』で回避しましょう。



●理由を胸に
 入り口の扉を開けたら、そこに更に大きな扉があった。しかも、正面だけではない。入ってきた入り口以外、三方にあるのだ。
「沢山扉がありますね、どうしましょうか……リンさん」
 神久・紅玉(つま先立ちの林檎・f03420)の問いかけに、リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)は一つうなずいた。
「それじゃあ、ライオンくんに頑張ってもらおうか」
 リィンはライオンライドの呼びかけに応えた黄金のライオンが、当然のように地に伏せる。リィンはライオンの背に乗ると、紅玉に手を差し出した。
「紅玉、一緒に迷宮攻略頑張っていこうね♪」
「ふふ、一緒に頑張りましょうね!」
 リィンの手を取って、紅玉がライオンの背に乗る。すると、ライオンが立ち上がった。普段よりも高い視線と、感じる力強さに紅玉が口元を綻ばせる。
「わ、すごいですね! ライオンさんもパワフルで頼りがいがありますよ! お姉さんも頑張らないとです!」
「じゃあ、行こうか!」
 リィンと紅玉を乗せて、ライオンが駆け出した。

「なんで迷宮に挑むのか? かぁ……ボクは見たことないものを見てみたいからかなぁ。未知への興味だと思うよ」
 探究心、それこそがリィン・エンペリウスが迷宮へと踏み入る理由だった。

 神羽・リオン(OLIM・f02043)は駆けていくライオンを見送り、高鳴・不比等(鬼人剣・f02226)を振り返る。
「私達も行きましょう! 迷宮って初めて入るからドキドキするわ」
「そんな焦りなさんな、転んで怪我しても知らないですよ?」
 今にも走り出しそうなリオンに、不比等は歩を早めずに続く。

「迷宮ね……オレは盗賊や冒険者じゃ無いんだがま、お嬢が望むなら付き合うまでだ。お嬢が楽しそうだしな」
 共に挑む者がいるから、それが高鳴・不比等にとって迷宮に挑む理由だ。

「金銀財宝とか伝説の武具とか、そういうスパイスはあったほうが楽しいけど……ボクが迷宮に求めるモノはワクワクする冒険とか未知への探求というか……」
 扉の迷宮を見回し、レイ・キャスケット(あれもこれもそれもどれも・f09183)はその『問い』に答えた。
「とにかく知らないものがそこにあるっていうのが一番の理由かな? えーと……」
「そこに迷宮があるからさ……と言うところか」
 清水寺・大牙(人食い虎・f06778)のフォローに、レイはコクコクとうなずく。
「そうそう、そこに迷宮があるからってやつだよ!」
 そこにあるのなら、挑まない理由はない――それで十分だとレイ・キャスケットと清水寺・大牙は語った。

「なぜ迷宮に挑むのかって? 金銀財宝がないのなら、そりゃあもうロマンしかないんじゃないかしら」
 ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)は、その『問い』に一切迷う事なく、真っ直ぐにそう答えた。
「何かのために迷宮を攻略するんじゃなくって、迷宮を攻略するっていう行為自体が目的なのよ。もしくは写真を撮って、ウワサのSNS映えを狙うのもいいかも。なーんて」
 ベルリリーは冗談めかして、そう笑う。ロマン、形のない物に人は生命を懸けられるのだ、と。

「お宝のないダンジョン、かぁ。冒険者としてだったら入らないだろうけど、猟兵のお仕事なら報酬もあるわけで」
 エダ・サルファー(ドワーフのクレリック・f05398)は、だからこそその『問い』に、こう返す。
「それなら単純に迷宮突破を楽しもうじゃないの! 普通に冒険者をやってたら出来ない経験だもんな!」
 職務でやるなら楽しもう、それがエダ・サルファーの迷宮に挑む理由だった。

 猟兵達は、それぞれの理由を胸に扉の迷宮へと踏み入っていった。

●扉、扉、そして扉
「ふむ。これだけ扉が多いとなると、少々骨が折れるな」
 天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は周囲を見回し、そう呟いた。
 百々が扉を開けた先にあったのは、やはり扉だらけのフロアだった。自分がどの扉から来たのか、方向感覚さえ失いそうな扉地獄に、しかし百々は慌てない。
「我が眷属、合わせ鏡に果てなく映りし鏡像兵よ、境界を越え現世へと至れ」
 手に持つ人形兵の左右に鏡を召喚、合せ鏡の中から大量の鏡像人形部隊が溢れ出す――百々のユーベルコード合わせ鏡の人形部隊(アワセカガミノニンギョウブタイ)だ。
「単にそのまま開く扉ならばこやつらで十分だな。扉の先が一つであればよいが、おそらくは行き止まりも多いのだろう」
 対象の数に、数で対抗する――ふと、百々が左側へ視線を向けた。
「どうやら、あれは普通に開かないようだな」
「ほら、よく言うでしょ? 押してダメなら引いてみろって」
 レイの言葉に、百々も首肯する。ドアノブこそあるものの、鍵は見られない。そうなると、どう開ければいいのか? ふと、思いついたようにレイはドアノブを捻って――左へと、滑らせた。
「あ、やっぱり!」
 ガシャン、という音がして、扉は引き戸のように開いた。それを見て、百々も納得する。
「どうやら、開閉式の扉だけではないようだ」
 扉という形にとらわれていては開かない、そういう仕掛けらしい。ご丁寧に魔法によって加工され、意識しなければ上下左右のスライドは出来ないようになっている。
「こうなると、他の『開け方』――」
「こうなるだろうな」
 カチン、と刀の鯉口を切ったのは、大牙が音もなく踏み出した。
「探索はあまり得意ではない。ここは立ちふさがる扉はすべて切り開いて、虱潰しに奥を探すとしよう」
 キン! と壁ごと大牙の居合いの一閃が、扉を横一文字に断ち切る! カチャリ、と再び刀を納めた直後、ズルリと扉がずれて落下した。
「ああ、切り開くとは文字通りの意味だ、この愛刀でな」
「うんうん、ドワーフの間にはこんな言い伝えがある――『罠ははまって踏み潰す』、つまり、扉も力づくで突破するのがドワーフ的に正しいのだ!」
 そう言い切ったのは、エダだ。幸か不幸か、この場でツッコミを入れられるドワーフはいなかった。
「くらえ必殺! 聖拳突きぃっ!」
 エダの祈りを込めた拳が、真っ直ぐに突き出される。その刹那、錆色だった扉が灼熱色に染まった。触れる者を焼く灼熱のトラップは、エダの必殺聖拳突き(ヒッサツセイケンヅキ)によって粉微塵に粉砕される!
 エダは満足げな笑みで、言った。
「次、行くよ!」
 ――その頃、黄金のライオンに乗ったリィンと紅玉が迷宮内を疾走していた。
「お願いね」
 リィンの指示に、ライオンはその爪で扉を破壊していく。まさに、黄金の暴風だ。その上で、紅玉が道を確認した。
「向こうは一回、行った方ですね」
「なら、あっちへ行こうか」
 二人で情報を統合しながら、先へと進んでいく。扉は有限であり、ギミックのある扉もそれほどの数ではない。
 だからこそ、彼らの破壊活動には大きな意味があった。ルートを絞り、正解へとたどりつくために。

●最後の扉
「押しても引いても横にも動かない扉は……下から上に持ち上げるのが正解なのです! シャッターですね、これは」
 以前、以前仲良くしていたキマイラがしてくれたなぞなぞを思い出して、紅玉が上へと扉を持ち上げた。
 その部屋は、たった一つの扉しかなかった。しかし、今までの扉と明確に違うことがあった。今までの鍵付きの扉についていた鍵穴は一つのみだった、しかし、この扉には鍵穴が二つあったのだ。
 扉の前で、不比等が目を細める。
「こいつは……」
「開けた瞬間に何かが飛んでくるかもしれないし、警戒しましょ?」
おっと気を付けろよ、何が出てくるかわかん無いからな……ってお嬢何やってんの!?」
 今までになかった扉とあって、リオンが目を輝かせて近づく。そして、リオンの足が鋭く扉を蹴ったのだ。しかし、今までの扉とは強度が違う。蹴った足に、激痛が走った。
「あぐ!? この!」
「あーもーちょっとお嬢はステイ!」
 不比等が止める間もなく、ガガガガガガガガガガガガ! とリオンはKBN18‐00Diabolosを変形させ、銃弾を扉へ撃ち込んでいく。しかし、扉に当たった銃弾はわずかな凹みを作るだけで、潰れてパラパラとその場へ落ちていった。跳弾さえしない、どうやら魔法的な防護が施されているようだった。
 破壊は不可能ではないが、かなり骨だろう。リオンはKBN18‐00Diabolosをしまうと、不比等をいい顔で振り返った。
「……高鳴さんも試していいわよ?」
「おう」
 不比等が扉へ近づくと、同じように部屋にたどり着いたベルリリーが覗き込んだ。二人はほぼ同時に、その鍵穴のトリックに気づいていた。
「どっちにする?」
「下で。大丈夫か?」
「『鍵開け』は子供の頃からよくやっているから慣れているの」
 不比等とベルリリーは、短いやり取りを終えそれぞれが担当する鍵穴へ針金を差し込んでいく。
 カチャリ、カチャリ、カチャリ、不比等の後ろでリオンが目を輝かせていた。
「これ、どういう鍵なの?」
「同時にピッキングが終わらないと開かない扉だよ」
「……はい?」
 リオンが目を丸くすると、ベルリリーはクスリと微笑んだ。確かに、一つの事実に気づかなければ意味がわからないだろう。

「そもそも、この扉の鍵ってあると思う?」
「――あ」

 ベルリリーの言葉に、リオンが今度こそ納得した。そもそも、オブビリオンの出現と同時に変質したこの迷宮の扉に、正式な鍵など必要ないのだ。だから、本来ならあったはずの「同時に鍵を差し込み、開ける」という方法は使えないのだ。
 だから、同時にピッキングが終わらないと開かないと不比等が言ったのだ――鍵開けの技能を持つ者が二人いなければいけなかった、かなりあくどいトラップだ。
「……いいか?」
「ええ、3、2、1――」
 ベルリリーのカウントダウンに合わせ、同時に鍵を開ける。ガチャリ、と扉がゆっくりと開いていくのを見て、リオンが歓声を上げた。
「すごい、すごい!!」
 ぴょこぴょことジャンプしながら大はしゃぎするリオンに、不比等は口の端に笑みを浮かべる。
「よっし成功。はは、これくらいそんな大したもんでもねーですよ」
「この先は、階段ね」
 ベルリリーは、扉の向こうにある下へと降りる階段を見て言った。間違いなく、この扉こそが下へと続く唯一の道だ。

 猟兵達は最後の扉を抜け、次の階層へと踏み入っていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『誰の為の鏡』

POW   :    鏡を割っていく、鏡酔いを克服する。

SPD   :    急いで駆け抜ける、鏡酔いを無視する。

WIZ   :    鏡を塞ぐ、鏡酔いを対策する。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鏡の迷宮
 暗闇に包まれた階段を下っていくと、そこは一面純白の世界だった。
 いや、正確にはあらゆる物が鏡で出来ている迷宮だ。壁はもちろん、天井や床も鏡製だ。合わせ鏡はもちろんの事、あらゆるものがここでは本当か嘘かも、定かではない。

 この鏡の迷宮で、本当の道を探し出さなくてはならない。それがどれほど困難な事か、それを猟兵達は身をもって知る事となる……。
天御鏡・百々
なるほどな。鏡でできた迷宮、普通の者であれば惑わされよう
しかし、我は「鏡」のヤドリガミ
同族相手に酔うことなどありえぬ

我自身鏡であるが故、鏡面を認識し
ただの迷路と同じように抜けることはできるであろうか?

それが無理であるならば、
鏡面に右手で触れた後、
そのまま右手で鏡面に触れたまま、壁をたどって進むとするか
右手法というやつだな
目で見ていては惑わされる
確実に存在する壁を認識し進めばよいのだ

どちらにせよ
なるべく他の者に先行して迷宮を抜けるとしよう
力づくで破壊して進むものもいるやも知れん
同族が壊れるのを見るのは忍びないからな

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎


エダ・サルファー
うむ、戦略はさっきと同じ、力づくでの突破だ!
とはいえ、通路すべてを破壊し尽くすってのはあんまり効率的ではないよなぁ。破片が飛び散ればそれなりに危ないだろうし。
よし、気合いで狂った感覚が落ち着かないか試してみよう。
感覚が落ち着けば、あとは普通の迷路みたいなもんだしな。
そうなればあとは通路の様子や空気の流れ、音の響きなどから情報収集しつつ、正しそうな道を進んでいくだけだ。
行き詰まったらまあ、拳で通路破壊するんだけどね。

感覚を落ち着けるのが駄目そうならしょうがない、鏡を全部破壊して進むよ。


レイ・キャスケット
わー!すごいすごい!万華鏡みたい!
色々ポーズしてみたり飛び跳ねたりー…
(ふと視線を足元に、何かに気付いて急に大人しくなる)

せーいっ!
メイスに紐を括り付け振り回し鏡を割りながら進むよ
ボクは壁より床の鏡を重点的に叩き割っていくね
壁面の鏡はみんな意識的に割るでしょ?他意はないよ?ええ全然

他の人の足元をちらちら気にするような人が居たら
あっごっめーん、手が滑っちゃった☆ とか言って間の床にメイス振り下ろす
ダメ、絶対 何が? さぁ、なんでしょう


【付与の羽衣】
(鏡酔い耐性、視覚情報の補正)
発動条件は事象の体験、一度鏡酔いになる描写は必要
水晶のような外套を身に纏い、壁面などの境がはっきり認識できるようになる)


神威・くるる
巨大迷路とかわくわくするなぁ
ちぃちゃいとき絵本で読んだ鏡張りの迷路に女の子が迷い混むお話、あれ、めっちゃ好きやってんよ

まぁ、それはそれとして
自分で挑むんはしんどいさかい
ちょっとだけズルさせてもらお

大きな猫ちゃん召喚して背中にのってお昼寝、お昼寝
滅多に味わえへん珍しい景色
酔わへん程度に堪能させてもらいまひょ
分岐路は【第六感】で

迷路から出れたら
猫ちゃんにちゃあんとご褒美あげるさかい
おきばりやすー


リィン・エンペリウス
うん!無事に階層をクリア出来たね。これも紅玉の指示のおかげだよ。紅玉、引き続き一緒に頑張っていこうね。

うわ~…鏡だらけの場所なんて初めてみたよ。これを見にきただけでも来たかいがあるってもんだね。
さてさて、どうしようか紅玉?
ん?トイピース?いつも紅玉が持ってるやつだよね?そんな使い方が出来るんだね、すごいや!
よ~し、それじゃあライオンくん、今回も【騎乗】で紅玉を乗せて指示を出してもらいながら進んでいこうか。鏡にぶつからないよう【野生の勘】【地形の利用】、【情報収集】を利用して素早く進むよ。
もし迷っている仲間がいたら【救助活動】、【聞き耳】で合流して鏡に印をつけて進んでることを教えてあげようか。


神久・紅玉
引き続き一緒に頑張りましょうね!リンさん。
わぁ……何だかとっても幻想的な雰囲気ですね!
だけどこれは難しいわね、うーんどうしましょうか。
そうだ!ええ、良い事を閃いたわ!
『トイピース』を組み立てて、『変幻自在の道具箱』!
ふふー、マーカーを作りましたよ!これで鏡に印を付けながら進めば、他の猟兵さんとも協力できるはずです!
直接協力しあうだけが『コミュニケーション』じゃないですしね!
良かったらまたライオン君に乗せてもらえませんか?リンさんとライオン君と一緒ならあっと言う間です!
やっぱり迷宮はわくわくしますね!私もここに来たのはリンさんと同じ理由ですよ
他の猟兵さんとの絡み・アドリブや改変も大歓迎ですよ


高鳴・不比等
神羽リオンと引き続き参加。
ん?そりゃ前見て歩きますけど…気をつけろよ…ってほら、言わんこっちゃない。良い音したけど大丈夫か?
鏡の迷宮か…、そういやお嬢レーダーとか家から持ち出せません? なんなら持ってたりしません?
あ、イケる?というかレーザーレーダー持ってる?しかも使い方わかる?マジか、めっちゃ助かるわ。
んじゃ、それでマッピングしてくれませんかね。オレがその通りに進んで状況を確認するんで。
こうすれば鏡を見ずにというか、周囲を見ずに進めるでしょ?酔いも何もしないし楽出来る訳。
んじゃ、行こうぜお嬢。(リオンの手を引いて、リオンからの指示通りに、危険物、トラップ等がないか先行して確認して進む。)


神羽・リオン
高鳴さんと一緒に行動

床も鏡だと気付けば慌ててスカートを引っ張り、尻尾で隠して
「高鳴さんは前だけ向いて歩くように!」

平衡感覚を失い、散々頭をぶつけた後は涙目で堪えつつ
「この部屋で頼るべきは自分の感覚じゃないわね」
高鳴さんに言われてやっと気付き、KBNヴォラク(装備品)を手に持つと地形や空間情報をレーザースキャン。
電子情報で鏡の奥を探りながら高鳴さんと協力して正解を探すわ。

モタモタしていたら手を引かれて動揺して赤面
「……えっ、エェェッ!?」なのに
「今は仕方ないわね」と平静を装い

【装填式魔弾】を機械銃で鏡に撃ち込むわ
鏡をガラスへ変化させることが狙いよ
反復するパターンを壊す鏡酔い対策に

アドリブ歓迎


ベルリリー・ベルベット
あら、ここは全部が鏡なの?
ダンスの練習をするのにちょうど良さそう。
とても綺麗な場所だけれど、突破するのは骨が折れそうね。
酔っちゃう前にさっさと突破しましょう。
一人で進むと迷った時に困るから、他の皆と行動するわ。

とりあえず、方向感覚が狂ってしまってはいけないと思うの。
最悪、同じ場所をぐるぐるしちゃうかもしれないし。
というわけで古典的な手だけれど、進みながら目印をつけていきましょう。
お化粧ポーチから濃いピンクのリップを取り出して、それを使って近くの壁に印を付けるわ。
進むたびに、1、2、3……って数字を増やしてカウントしていくわね。
その方が、元の場所に戻った時に位置関係を把握しやすいかもしれないし。



●それが鏡にとって正しいのなら
 迷宮というのが人を迷わせるためにあるのならば、確かにそこは迷宮だったろう。
「あら、ここは全部が鏡なの?」
 目の前の鏡を見て、ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)が片足の爪先だけで立ち、クルリと回転する。艶やかな仕草や表情まで綺麗に映した鏡に、ベルリリーは満足そうに言った。
「ダンスの練習をするのにちょうど良さそう」
「そうだな、鏡とはそのためにある」
 天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は、ベルリリーの感想にそう答える。姿を映し、確認する――鏡としては、正しい使い方だ。
 だから、これは違うと百々は思う。人の役に立つための鏡を、人を惑わせるために使われているのだ。
 百々は右手を壁に触れ、歩き始める。そのまま右手で鏡面に触れたまま、壁をたどって進む――右手法という有名な迷宮攻略法の一つだ。
「目で見ていては惑わされる、確実に存在する壁を認識し進めばよいのだ」
「そうね、古典的な方法だけどこういうのが一番よ」
 ベルリリーは、お化粧ポーチから濃いピンクのリップを取り出し、鏡の壁に数字を描いていく。進むたびに、1、2、3……って数字を増やしてカウントしていく。もしも迷って戻ってしまった時に、どこに戻ったかすぐにわかるように、だ。
「じゃあ、急ぎましょう。ね?」
「……ああ」
 ベルリリーには、百々がどこか先を急いでいるように感じられた。その理由を問おうとはしない……それが百々にはありがたかった。
(「力づくで破壊して進むものもいるやも知れん……同族が壊れるのを見るのは忍びないからな」)
 鏡のヤドリガミである百々は、そう思いながら足を早めた。


●邪悪な鏡――特に床部分――
「わー! すごいすごい! 万華鏡みたい!」
 その場で色々なポーズを取れば、鏡の中に映る無数の自分も同じポーズを取る――レイ・キャスケット(あれもこれもそれもどれも・f09183)は、ピョンとジャンプする。上下左右、あらゆる方向の鏡によって造られた万華鏡の迷宮。レイの表現は、的確だ。
「すご――あ」
 ふと、足元に視線を落して、レイは何かに気付いて急に大人しくなる。上下左右、壁も天井も床も鏡なのだ。飛び跳ねれば足元に何が映るのか、レイは把握したのだ。
「…………」
 レイは、無言でメイスに紐をくくりつけた。キュ、キュ、としっかりと結びつかれているのを確認すると、ブンブンブン……! と紐でメイスを振り回し――。

「せーいっ!」

 可愛らしい声とは裏腹に、豪快に床の鏡を粉砕していった。バキバキ、と鏡を踏み砕きながら、レイは割った鏡の上を歩き出す。
「壁面の鏡はみんな意識的に割るでしょ? 他意はないよ? ええ全然」
 誰にともなく言い訳すると、レイは邪悪な鏡面の迷宮――特に床部分――を徹底的に破壊して進んでいった。

●尻尾にはバランスを取る役割があります
 そんな迷宮の悪意に気付いたのは、レイだけではなかった。
「……どうした?」
 振り返って問いかける高鳴・不比等(鬼人剣・f02226)に、神羽・リオン(OLIM・f02043)は真っ赤になって叫ぶ。
「高鳴さんは前だけ向いて歩くように!」
「ん? そりゃ前見て歩きますけど……気をつけ――」
 リオンの言葉の途中に、ふらりと足を滑らせたリオンが、鏡の壁に頭をぶつけた。ゴッ、と洒落にならない音がしたのは、当たるまでまったく気付いていなかったからだ。
「あう!?」
「――ろよ……ってほら、言わんこっちゃない。良い音したけど大丈夫か?」
「この部屋で頼るべきは自分の感覚じゃないわね……」
 涙目で呟きながら、リオンはスカートを引っ張り、尻尾で隠す事忘れない。ただでさえ周囲の鏡で方向感覚を失っているのに、尻尾までそんな使い方をしていればバランスが崩れて当然だ。
「鏡の迷宮か……、そういやお嬢レーダーとか家から持ち出せません? なんなら持ってたりしません?」
「あ……」
 不比等に言われ、リオンはようやく思い出したという表情でKBNヴォラクを取り出した。レーザースキャナー搭載で地形や空間情報を電子化できる、PC・通信機能付小型メカだ。
「あ、イケる? というかレーザーレーダー持ってる? しかも使い方わかる? マジか、めっちゃ助かるわ」
「ま、まぁ、このぐらいはね」
 不比等の手放しの称賛に、リオンは胸を張ってみせる。まさか、鏡の床にパニックになって頭から抜け落ちていたとは言い出せない。
「んじゃ、それでマッピングしてくれませんかね。オレがその通りに進んで状況を確認するんで」
 不比等はそう言うと、自然な仕草でリオンの手を取った。これに混乱したのは、リオンだ。
「……えっ、エェェッ!?」
「こうすれば鏡を見ずにというか、周囲を見ずに進めるでしょ?酔いも何もしないし楽出来る訳――んじゃ、行こうぜお嬢」
 不比等が、リオンの手を引いて歩き出す。しっかりと握られている自分の手を睨むと、リオンは赤面した顔を俯かせ、震える声を押し殺して言った。
「今は仕方ないわね」

●英気を養う者
 柔らかな感触に埋もれながら、神威・くるる(神の威を狩る黒猫・f01129)が背伸びをした。
「巨大迷路とかわくわくするなぁ。ちぃちゃいとき絵本で読んだ鏡張りの迷路に女の子が迷い混むお話、あれ、めっちゃ好きやってんよ」
 空想の果てに至るはずの鏡の世界に、自分の足で歩いてきたのだとくるるは小さく微笑む。天井の鏡には、寝転んでいる自分と自分のベット替わりになって歩いてくれる黒猫の姿があった。合せ鏡で無限に続く自分達の姿に、くるるは上機嫌で呟いた。
「滅多に味わえへん珍しい景色、酔わへん程度に堪能させてもらいまひょ」
 ちょっとぐらいズルしてもええどすやろ、と黒猫游戟闊歩(ベイビーキャットウォーク)で召喚した黒猫の背中で丸くなる。それは、まるで猫の親子のようなほのぼのとした光景だ。
「にゃー」
 黒猫の鳴き声に混じった不満に、ひらひらとくるるは手を振った。
「迷路から出れたら、猫ちゃんにちゃあんとご褒美あげるさかい。おきばりやすー」
「にゃー」
 黒猫の鳴き声を了承と受け取って、くるるは自分達のファンシーな姿を眺め続けた……。

●鏡面駆ける獅子
「わぁ……何だかとっても幻想的な雰囲気ですね!」
 果てのない鏡面の迷宮を見て、神久・紅玉(つま先立ちの林檎・f03420)が目を輝かせる。非日常、決して自然では見られないという意味では、まさに人の想像が生んだ幻想と言うのがふさわしいだろう。
「うわ~…鏡だらけの場所なんて初めてみたよ。これを見にきただけでも来たかいがあるってもんだね」
 リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)も絶景にそうこぼして、改めて紅玉と向かい合った。
「さてさて、どうしようか紅玉?」
「これは難しいわね、うーんどうしましょうか」
 リィンの問いに、紅玉は考え込む。どこに道があるのかも不確かな鏡の迷宮に不用意に踏み込めば、方向感覚を失って迷うのは必至だ。
 紅玉は考え込む事しばし、ある事を思い出した。
「そうだ! ええ、良い事を閃いたわ!」
 紅玉が取り出したのは、詳細不明の金属のガジェット――トイピースだ。
「ん? トイピース? いつも紅玉が持ってるやつだよね?」
「こんなときはこれですね! ふふ、困ったときはお姉さんにお任せですよ」
 リィンの問いかけに紅玉は満面の笑顔を見せると、ユーベルコード変幻自在の道具箱(ピースクラフト)は、トイピースの組み合わせによって一つの機械を生み出した。
「ふふー、マーカーを作りましたよ! これで鏡に印を付けながら進めば、他の猟兵さんとも協力できるはずです! 直接協力しあうだけが『コミュニケーション』じゃないですしね!」
「そんな使い方が出来るんだね、すごいや!」
 感心した、と目を丸くするリィンを紅玉はマーカーを手に見上げた。
「良かったらまたライオン君に乗せてもらえませんか? リンさんとライオン君と一緒ならあっと言う間です!」
「よ~し、それじゃあライオンくん。行こうか!」
 リィンのライオンライドで召喚された黄金の獅子が、リィンと紅玉を乗せて走り出す。二人と一体は、鏡面の迷宮を駆け抜けていった。

●押しても駄目なら、更に押せ

「むむむむむむむむむむむむむむ!!」

 エダ・サルファー(ドワーフのクレリック・f05398)は、精神を集中していた。どこからどう見ても腰を落した体勢で両の拳を握りしめているようにしか見えないが。

 ――よし、気合いで狂った感覚が落ち着かないか試してみよう。

 エダは、気合を信じた。気合があれば、何でも出来る。鏡の迷宮に狂わされた感覚も、気合で落ち着けられるはずだ。
 感覚さえ落ち着けば、後は普通の迷路みたいなものだ。そうすれば通路の様子や空気の流れ、音の響きなどから情報収集しつつ、正しそうな道を進んでいくだけだ。
 エダの考えは、正しい。視覚情報は、五感の中でももっとも情報量の多いものだ。だから、鏡という虚実入り交じる空間が視覚情報に負荷をかけ、より迷宮を複雑なものにしているのだ。
 なら、その負荷を取り除けば普通の迷宮と同じ攻略法が通用する――そう、取り除ければ。

「むむむむむむむむむむむ――ふう」

 エダは、一つ息をこぼすとニコリと微笑んだ。
「うん、無理だね」
 気合で落ち着かない事を悟ったエダは、必殺聖拳突き(ヒッサツセイケンヅキ)を迷わず突き出した。
 エダが通った道が、切り開かれていく。
 もう一度言おう、視覚情報の負荷を取り除けば普通の迷宮と同じ攻略法が通用する。エダが通った後は、まさに一本の道が出来上がっていた。

 ――こうして、猟兵達は鏡の迷宮を抜けていく。リィンや紅玉、ベルリリーが残したマーキングを目印に、エダやレイが鏡を破壊して進みやすくなった迷宮を攻略していった。 だからこそ、再び猟兵達葉たどり着けた。最後のフロア、魔導ゴーレムトレジャリーガードが待つ部屋へと……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『トレジャリーガード』

POW   :    ロケットパンチ
【剛腕】を向けた対象に、【飛翔する剛拳】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    コアブラスター
【胸部からの放つ熱線】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    マジックバーレッジ
【自動追尾する多量の魔力の弾丸】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【絶え間ない弾幕】で攻撃する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●守るべき物なき守護者
 鏡の迷宮を抜けた先には、扉があった。その扉の向こうにあるのは、ただ広いだけの部屋だった。

「――――」

 ゴウン、と蒸気機関の作動音をさせ魔導ゴーレムトレジャリーガードはそこに立っている。守るべき宝物を持たない、守護者がそこにいた。
 倒したとしても、得られる物はない。誰がために攻略するのか? ――それでも、そこに意味を持つ者達がここへ集ったのだ。

 ならば、選択は一つ――『戦う』だ。
 その覚悟を持つ猟兵よ、今こそ得るものなき戦いへと挑むのだ……。
エダ・サルファー
迷宮の突破も楽しかったけど、やっぱりこういうのが私には向いてるな。
つまり、殴り合いだ!
力づくってやり方の本領発揮でもあるし。

戦略としてはとにかく近づいて格闘戦に持ち込むことだな。
相手は遠距離攻撃が豊富みたいだし、私の場合距離を取っても有利にならないしなぁ。
近寄るまでは気合いで避けたり受けたりするよ。
近寄れたら殴ったり蹴ったりしつつ、隙を見て組み付き、聖職者式脳天逆落としを喰らわせてやろう!
多少デカかろうが重かろうが、技術とパワーと気合いと祈りで乗り越える、それが私の格闘術だ!


天御鏡・百々
【敵の行動を観察、機を見て幻鏡相殺で敵の攻撃を無効化】

迷宮の果てにありしは戦いか
なれば、全力で相手をさせてもらおうか

我が幻鏡相殺を十全に扱うには、敵の攻撃手段をしっかりと確認しておく必要がある
先ずは味方の援護をしつつ敵の行動を観察だな
神通力(武器)による障壁(オーラ防御12)で味方を護るとしよう

味方が致命傷を受けかねない場面、
もしくは攻撃の相殺で敵に隙ができる場面で
幻鏡相殺を使用し、敵の攻撃を打ち消してやろう
攻撃手段を確認した上であれば失敗することもあるまい

敵の攻撃は防いだ! さあ、今が攻め時ぞ!

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎


リィン・エンペリウス
やっとボスとご対面って感じだね。
強そうだけど、紅玉とライオンくんと協力して敵を倒すよ!

今回もライオンくんに活躍してもらうよ。
ボクと紅玉がライオンくんに【騎乗】して敵の攻撃を【見切り】つつ攻撃していくよ。
見切れずに敵の攻撃が当たりそうな状況になったらSPDと【残像】、【野生の勘】で敵の攻撃を回避するよ。
仲間の攻撃や、敵に隙が出来たらボクとライオンくんの【2回攻撃】と紅玉の合わせ攻撃で敵を攻撃しようか。

戦闘が終わったら今回活躍したライオンくんをいっぱいなでなでもふもふしてあげようかな。
あと初めて依頼を一緒してくれた団長の紅玉に
「すっごく楽しかったよ、また一緒に冒険しようね♪」って伝えるよ。


神久・紅玉
ついにゴーレムさんとの戦いですよ
最後も一緒に頑張りばしょうね、リンさん!ライオンさん!
……そしてゴーレムさんにはゆっくり休んでもらいましょう
その為にも全力でお相手をさせてもらいますね

『コミュ力』のお陰か、すっかりお友達のライオンさんに乗って一緒に戦います
ライオンさんの気持ちを読み取って、対話をする様に息を合わせます
当然、リンさんも大切な友達ですから。バッチリ連携しちゃいます
『トイピース』を使い『変幻自在のおもちゃ箱』で槍銃を制作
槍の間合いでは馬上攻撃の要領で、離れた時は銃として攻撃

戦闘が終わったらライオンさんにお礼とブラッシングを
ふふーふ、素敵な冒険がありましたね!リンさんとの大切な思い出です


高鳴・不比等
神羽・リオンと参加・連携。
オレ?オレは仕事…ひいては金の為ですかね?あとはまぁ…(ちらりとリオンを見る。)だいたいそんな感じかね。

本来ならお嬢には下がってて欲しいんですけどねぇ、って話聞いてないし。ま、いいか。降りかかる火の粉はオレが払えばいい。
分解ね、コイツはちょっと七面倒な注文をしてくれるもんですわ。中々骨が折れそうだ。
あんま守ってる暇もなさそうだが・・・行くぜ、お嬢。遅れんなよ?
部位狙いで攻撃。刀(包丁)による剣刃一閃で敵や相手の攻撃を斬りふせる。 残像で敵の攻撃を躱し、可能ならリオンを攻撃から守る。

いいや、お嬢が行くなら何処へでも付いていきますよ。オレはお嬢の護衛なんでね。


神羽・リオン
◆高鳴不比等と連携
他の皆とも協力

誰がため?簡単よ。
新たな対オブリビオン兵器を作るため!
……そう我が社の為に決まっているじゃない。
魔導技術と蒸気機械の粋を集めて作られたというそのカラダ、
宝物なんかより価値があるわ

対敵
ユーベルコードは武器を経由して使用
部位の破壊後に奪取が可能なら狙うつもり
【早業】で剛腕を避けて狙われない様注意するわ
【一斉発射や2回攻撃】でより多くの攻撃を

アナタのパーツを1つでも持ち帰ることが出来れば
我が社の研究部は大喜びよ。頂戴ッ!少しでいいの

◆戦闘後
武器の実践データも取れたし大満足よ
高鳴さんが一緒で心強かったけれど、それは言わないでおくわ
「私と一緒に挑むのは、もう懲りた……?」


ベルリリー・ベルベット
出た出た。
ダンジョンの最深部には、やっぱり親玉がいなくちゃね。

ここは味方と協力して倒しましょう。
リリは素早い動きで華麗に敵を翻弄するわ。
ワイヤーを引っ掛けながら『ジャンプ』で空中を移動して、得意の『空中戦』を仕掛けるの。
囮になって味方の攻撃チャンスを作れたら儲けものね。

隙を見つければ遠距離から【早撃ちシンデレラ】で攻撃よ。
『2回攻撃』で手数も増やして。

敵の攻撃は『見切り』で回避。
ロケットパンチは命中が高いから、障害物の後ろに隠れて防ぐわ。

ボスを倒したら、得もいえぬ達成感に浸るわ。
この厄介な迷宮を見事踏破したのね、リリ達。
あー、楽しかった。

◆アドリブや絡み歓迎



●守るべきは――
 扉を開けばそこは、ただの広いフロアだった。金銀財宝などどこにもない、ただ脅威があるだけだ。
「やっとボスとご対面って感じだね」
「ついにゴーレムさんとの戦いですよ」
 リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)の言葉に、神久・紅玉(つま先立ちの林檎・f03420)もうなずいた。ズン……と、石畳に振動が走る。見上げるほどの巨体、蒸気と炎をあげる魔導ゴーレムトレジャリーガードが踏み出してくるのを、ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)はクスリと見上げた。
「出た出た。ダンジョンの最深部には、やっぱり親玉がいなくちゃね」
「迷宮の突破も楽しかったけど、やっぱりこういうのが私には向いてるな」
 エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)も、聖職者の拳を握りしめる。やる事は決まっている――つまりは殴り合い、力づくこそ彼女の本領だ。
 トレジャリーガードが、ゆっくりと歩を進める。守るべき物のない、ただ障害として存在する強敵。この眼前の敵を倒す理由、それを神羽・リオン(OLIM・f02043)は高らかに言ってのけた。
「誰がため?簡単よ。新たな対オブリビオン兵器を作るため! ……そう我が社の為に決まっているじゃない。魔導技術と蒸気機械の粋を集めて作られたというそのカラダ、宝物なんかより価値があるわ」
 だから無価値ではない、とリオンは言い切る。その隣で、高鳴・不比等(鬼人剣・f02226)は言った。
「オレ? オレは仕事……ひいては金の為ですかね? あとはまぁ……」
 ちらり、と不比等はリオンに視線を送る。そして、小さく笑った。
「だいたいそんな感じかね」
 ズン、ズン……と地響きの感覚が、短くなる。一歩一歩が速く、加速しているのだ。その動きを真っ向から見て、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)が告げる。
「迷宮の果てにありしは戦いか。なれば、全力で相手をさせてもらおうか」

 その直後、トレジャリーガードの胸部からコアブラスターが放たれた。

●ゴーレムとの戦い
 トレジャリーガードの熱光線が、迷宮の扉を破壊する。起こる爆音、吹き荒れる爆風に乗って金色のライオンが跳躍した。
「紅玉! ライオンくん!」
「ええ!」
 黄金のライオン、その背に乗っていたのはリィンと紅玉だ。紅玉がライオンの背を撫でると、意図を察してくれたのだろう。着地と同時に、トレジャリーガードへと迫った。
「行きます!」
 ガシャン! と『トイピース』が変幻自在のおもちゃ箱(マルチトイウェポン)によって合体変形、槍銃となる。槍銃を小脇に抱えた紅玉が、ランスチャージの要領でトレジャリーガードへと突撃した。
 ギギン! と紅玉の一撃とトレジャリーガードのガードした豪腕が火花を散らす。それに合わせ、リィンが火狐印の調理包丁を、ライオンが爪を振るった。
「本来ならお嬢には下がってて欲しいんですけどねぇ」
「何言ってるの、ぐずぐずすると置いていくわよっ」
 不比等が言い切るより早く、KBN18‐00Diabolosを構えたリオンが引き金を引き射撃していく。それを見て、不比等は小さくため息をこぼした。
「って話聞いてないし。ま、いいか。降りかかる火の粉はオレが払えばいい」
 不比等は一気にトレジャリーガードへと駆け込むと、サムライブレイドを居合いの要領で薙ぎ払う! ギン! と脛を切りつけられたトレジャリーガードは、即座に自動追尾する多量の魔力の弾丸を撃ち放った。
「おっと」
 その弾丸の雨を切り裂きながら、不比等は間合いをはかる。対して、構わず真っ向から突っ込んだのはエダだ。一つ目を聖職者の拳で弾き、ニつ目を抜きざまの鉈で断ち切り、三つ目を滑るような足取りでかいくぐる。そして、聖職者の拳で全力でトレジャリーガードを殴打した。
「堅い……!」
「離れて!」
 殴打した拳から伝わる感触にエダが言い放つと、頭上から声がした――ベルリリーだ。天井にくくりつけたワイヤーで上方向へ上昇、ベルリリーは手品のように投げナイフを手に構える。
「ダメよ、目をそらしちゃ」
 ヒュガ! と素早く腕が二回閃き、早撃ちシンデレラの投げナイフが、トレジャリーガードの右肩の関節へと突き刺さった。
 トレジャリーガードがドン! と豪腕を飛ばし、ベルリリーを狙う。ベルリリーは、素早く身を捻る。避けきれない、誰もがそう思えた動きだ。しかし、ロケットパンチはベルリリーの眼前で大きく軌道を逸らされた。
「させるはずがないだろう」
 百々の神通力による、オーラ防御だ。それを理解していたからこそ、ベルリリーは最小の動きで逃れたのだ。
 だが、ロケットパンチは壁をガリガリガリ! とえぐりながら再びトレジャリーガードの元へと帰ってくる。百々はロケットパンチの手応えに、小さく呟いた。
「やはり、一発が重いな」
「リリは、スリルがあっていいと思うけど」
 クルリと回転、音もなくベルリリーは着地する。ステージに舞い降りるような優雅さで着地したベルリリーは、自分に意識を向けるトレジャリーガードへ言った。

「さぁ、もっともっと――楽しみましょう?」

●それは値千金の
 トレジャリーガードが暴れる度に、石造りの部屋は破壊されていく。無意味に、無価値に、ただ破壊されるのみ――何故なら、トレジャリーガードが猟兵達を捉えきれないからだ。
「リンさん! ライオンさん!」
 ダダダダダダダダダダダダッ! と槍銃の銃撃で攻撃する紅玉の声に、リィンと黄金のライオンは応える。大きく回り込んでからの、火狐印の調理包丁と爪の攻撃が、トレジャリーガードの脚を切り裂いた。
 度重なる攻撃に、ついにガクンとトレジャリーガードが片膝を付く。そこへ、ベルリリーがワイヤーを用いた高速機動で、ナイフを構え――。
 直後、トレジャリーガードが胸部装甲を展開した。充填させた熱エネルギーを、一気に発射しようと言うのだ。しかも、ただの熱光線ではない。体を回転させての、横薙ぎのコアブラスターだ。

「幻なれど鏡は鏡、映りしは鏡像なれど同じ力、相殺できぬ道理はあるまい」

 部屋全体を手当たり次第に薙ごうとするその一撃を、百々の幻鏡相殺(ゲンキョウソウサイ)が迎え撃つ。トレジャリーガードと幻鏡に映した鏡像の熱光線が空中で激突、凄まじい爆発を巻き起こした。
「敵の攻撃は防いだ! さあ、今が攻め時ぞ!」
 百々の激励に、ベルリリーが即座に応えた。
「そこよ」
 ベルリリーの早撃ちシンデレラが、正確無比に投げ放たれる。ついたままだった片膝の関節に投げナイフが刺さり、トレジャリーガードの体勢が大きく崩れた。
 その倒れる先に待ち構えていたのは、エダだ。
「掴んだ! 決める!」
 トレジャリーガードの腰を掴んだエダは、その重さに押し潰されそうになる。しかし、エダは歯を食いしばって叫んだ。

「多少デカかろうが重かろうが、技術とパワーと気合いと祈りで乗り越える――それが私の格闘術だ!」

 ヴン! とトレジャリーガードの巨体が、弧を描く。エダの聖職者式脳天逆落とし(セイショクシャシキバックドロップ)、祈りを込めた跳躍式バックドロップが見事に炸裂! トレジャリーガードの後頭部を、床へと叩きつけた。
「アナタのパーツを1つでも持ち帰ることが出来れば、我が社の研究部は大喜びよ。頂戴ッ! 少しでいいの」
 すかさず、リオンがKBN19Lachesisを手に駆ける。だが、まだトレジャリーガードは停止していない。ゼロ距離で、ロケットパンチを放とうとして――。

「やらせるか」

 剣刃一閃、神速の動きで間合いを詰めた不比等が、ロケットパンチを両断した。そして、リオンはKBN19Lachesisのグリップを操作、魔術攻撃用コアから無数の狐火を射出。トレジャリーガードを、完全に破壊した。

●――こうして、一つの冒険が終わる。
「ふふーふ、素敵な冒険がありましたね! リンさんとの大切な思い出です」
「すっごく楽しかったよ、また一緒に冒険しようね♪」
 ライオンの撫で、ブラッシングしてあげながらリィンと紅玉が笑い合う。どんなに厳しく辛い冒険も、笑い合えれば最高の思い出になる――その結末は、値段がつけられるものではないだろう。
「この厄介な迷宮を見事踏破したのね、リリ達。あー、楽しかった」
 ベルリリーも達成感に、満足げに笑った。楽しい、そう心から思えるのは幸いだ。
「どうでした? お嬢」
「武器の実践データも取れたし大満足よ」
 不比等の問いかけに、リオンはうなずく。不比等が一緒で心強かった、その事は彼女は言い出す事は出来なかった。
 だから、代わりにこんな言葉が口をつく。
「私と一緒に挑むのは、もう懲りた……?」
 リオンの言葉に、不比等は小さく肩をすくめた。
「いいや、お嬢が行くなら何処へでも付いていきますよ。オレはお嬢の護衛なんでね」
「……そう」
 不比等の答えに、リオンもようやく綻ぶような笑顔を見せた。

 こうして、一つの迷宮が攻略された。そこに、徒労はない。金銀財宝はなくとも、理由を持って挑み、踏破したのだ。確かに、そこに意味も価値もあったのだから……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日


挿絵イラスト