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来りて笛を吹く者は

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 寝静まった街、夜鷹すらも立たない時刻。笛の音が、闇夜に響く。
 擦れた音による、リズムが一定とならない不気味な演奏。それが暫く続いたところで、家屋の戸が開いた。迷惑を訴える為に大人が出てくるかと思えば、そうではない。出てきたのは、子供だ。
 複数の家屋より出てきた彼ら彼女らは、覚束ない足取りで歩き始める。声も出さず、顔を見れば虚ろな目、或いは眠ったままで。皆が同じ場所を、笛の音の発生源、街の出入口を目指して進んでいた。
 子供達が集う場には、フードを目深に被った人影。怪しいそれは、笛を吹きながら街の外へと出立する。子供達を率いて。
 やがて日は昇り、街は目を覚ます。寝てる間に子供の姿が消えた家庭の嘆きが響くが、そこに含まれる感情の多くは諦めのそれだ。
 街から子供が消える。それは、これが初めての事ではなかった。

 キーア・エントール(完全聖・f02455)は、集まった猟兵達を見るなり頭を下げた。挨拶よりも早くにだ。
「ようこそお集まりくださいました」
 顔を上げながらの言葉。直立の姿勢に戻るとともに、グリモアベースに立体映像が投影される。
「今回の事件は、ダークセイヴァーでのものです」
 映し出されたのは街、それなりに栄えた規模の大きいものだ。
「とある街で、子供たちが居なくなる事件が起きています」
 町の映像が夜のものへと切り替わる。映し出されるのは、虚ろな顔の子供達と、怪しい人影だ。
「深夜の内に、笛の音で子供達を操り、街の外へと攫っているようです」
 予知の段階で既に何度目かの事件であり、今までに居なくなった子供達は誰一人帰ってきてはいないという。
 更には、街の自警団が夜に警備をすればその日に事件は起こらず、警戒が緩んだところでまた子供達が攫われる。事件の夜には、不思議と大人は起きていられないそうだ。
「街の住人達は、既に半ば諦めてしまっています。日々夜を恐れ、朝起きれば自分の子供が居なくなっていないことを祈るばかりです」
 子供が居なくなるということは、未来が無くなるに等しい。
 故に、彼らの未来を護ってあげて欲しい。キーアは再度頭を下げながら、猟兵達を送り出した。


ももけも
 どうも、ももけもです。
 今回はダークセイヴァーでの事件となります。
 子供達を攫い、未来を奪うということを防いでください。

 プレイングを送ってくださる際には、「アドリブ歓迎」「絡みOK」などに順ずる言葉を入れて頂ければ、考慮してリプレイを作成いたしますので、ご一考ください。
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第1章 冒険 『闇夜を切り裂く断末魔』

POW   :    不審な人影を取り押さえる

SPD   :    町人に聞き込みを行う

WIZ   :    囮となって切り裂き魔をおびき寄せる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天星・暁音
…子供は、護ってあげないとね。
子供を連れ去られた親御さんの為にも間に合うのなら助けられる子だけでも…助けないと…

感じる悲しみと恐怖をほんの少しでも減らせればいいのだけど…

相手は子供を拐うのだから、俺は囮として充分機能すると思うんだけど…



武器【共苦】による感じる悲しみと恐怖を減らせる用に【勇気・覚悟】で囮になろうとします。

それとは別に念の為に【追跡者】に町の子供達を見張らせて拐われそうになったら追跡させます。


アドリブ・共闘可


乙雪・柚佳
何も知らない罪のない子供たちを誘拐するなんで許せない。
そう意気込んで今回の調査に参加する

事件の解決が第一!協力歓迎臨機応変に対応していくよ!

SPD
まずは聞き込みかな?もう少し詳しい情報が無いと、いざ出くわした時にちゃんと捕まえられないからね!

「もしもしこんにちは、私たちはこの町と子供たちを守るために来ました、協力させてください。」
警戒させることなく、かつこちらに有益な情報を貰えるといいんだけど…。



「……子供は、護ってあげないとね」
 日の高い時刻、街の表通りに立つ天星・暁音(貫く想い・f02508)の口から、ふと言葉が漏れた。
 かつて家族に虐げられた暁音は、子供が自分と同じような目に合うのを嫌っている。大人に対しては含むものがあるものの、子供たちの為だと一つ言い訳を自分にして、大人も含んだ街の人々全ての為にと意気込んでいた。
 暁音は自身が子供であることを利用し、囮になろうとしていた。人目の付く場所に一人で居ることで、狙われやすい対象を装っている。
 勿論のこと、有事への備えはしていた。聖痕へ集まる人々の苦痛に意識を向けつつ、その質を吟味する。召喚した追跡者を自身の影へ潜ませ、周囲への警戒を行う。特に警戒を強めているのは、出歩いている子供達の周辺だ。子供の数が少ないことは、警戒し続けることを楽にしていたが、暁音はそれを『よかった』とは全く思いたくなかった。
 そうして静かに事に当たる暁音とは対照的に、とにかく自分から動いて情報を集めんとしているのが乙雪・柚佳(シトロンスカイ・f01966)だ。
「もしもしこんにちは! 私たちはこの町と子供たちを守るために来ました!」
 生来の明るさと人見知りをしない性格を活かして、目についた人へ片っ端から声をかけている。少し間を開けて同じ人に声をかける程積極的であり、一人佇む暁音に声をかけては「僕に声をかけてどうするの!」と追い払われることすらもあった。
 いきなり声をかけられ、街の住人は面食らうところもあった。が、柚佳の人懐っこい笑顔は警戒心を緩めさせる効果がある。暗い気持ちのまま突き放すにも罪悪感が沸き、適当に言葉を交わすうちに親身となり、街の事情を訊き出すことに成功した。
 曰く、最初に姿を消したのは、孤児の類であった。次に貧民層の子供ときて、最近では中流階級の子供もだ、と。
 そして、上流階級と、加えて警備兵の子供も。まだ被害が出ていないというそうだ。
 有力な情報を仕入れた柚佳は「ありがとー!」と言ってその場を離れる。その後も聞き込みを続ける中で暁音に接触し、情報を共有した。
 ひとつ頷き、聖痕に集まる苦痛から対象を絞って吟味する暁音。
「当たりだ」
 上流階級や警備兵、それらの抱える苦痛や恐怖に、明らかに他とは質の異なるものが混ざっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夷洞・みさき
どこかの世界の御伽噺にあったかな。
あれは親側にも非はあった話だけど。

どんな理由があれ、これはただの誘拐だしね。
やっぱり、犯人に聞くのが早いね。落ち込んでいる街の人に尋問するわけにもいかないし。
警備の隙間とか全員眠るなんて内部に協力者がいるような気もするんだけどね。

WIZ
誘拐犯だけじゃなくて、危ない人も現れるようだけど、犯人は猟兵がいることを知っているのかな。

迷子の娘か花売り辺りに変装しよう襲いやすそうな感じでね

切り裂き魔に【恐怖】【踏みつけ】【呪詛】を与えつつ情報を得る
UC:「君の探しているのはこんな顔かい?」
驚いたなら捕縛も楽だし

猟兵とバレなければ危ないけど、誘拐先の情報を手に入れに行こう。



「どこかの世界の御伽噺にあったかな」
 日の差さない裏路地にて、夷洞・みさき(海に沈んだ六つと一人・f04147)は呟く。
 その身は、安っぽい生地で作られた露出の多い衣装に包まれている。青褪めた貌も合わせれば、一晩幾らの女とも見せられる恰好だった。
 警備兵に狙いを絞ったみさきは、花売りとして声をかけられるのを待っていた。まだ明るいが、真面目でない者ならば引っ掛けられるだろうと期待してだ。
 そして、その期待通りに一人の警備兵がみさきに声をかける。内容も注意喚起ではなく客としてのものだ。
 好機と捉え、警備兵の足を払う。倒れた身体の胸を踏みつけ、驚く顔に拷問具を突きつけて、詰問。引き攣った表情で、知らないと答える警備兵。
「ふーん、そう。じゃあ、いただきます」
 興味なさげに、拷問具を持った手の指をひとつ伸ばせば、それは龍とも魚ともつかない顎へと変性する。悲鳴を上げようと開かれた口を更に覆うように齧り付けば、生命力を吸い上げて気絶まで追い込む。
「お、やっとだ」
 生命力と共に吸い出した記憶の断片。子供が攫われる夜、警備兵に渡された手紙と小瓶。
 手紙の差出人の名を把握したみさきは、倒れた警備兵を背後へと片手で放りなげる。
 そこには、数人。既に同じ目に遭わされた警備兵たちが、折り重なって倒れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アネット・レインフォール
◆心情
ふむ…笛の音で子供を、か。
昔聞いた童話にそんなのがあった気もするな。あれは確か――。

◆行動
【POW】
一応、基本的なことも確認しておこう。
複数の子供の足跡を辿れるようなら確認して追跡を。
犯人の居場所とまではいかなくても街の外の大まかな方角でも探っておきたい所だな。

基本は木々など障害物を利用し息を殺して周囲を警戒するが、
不審者が目についた時は遠慮なく葬剣を鋼糸にするか暗糸で捕らえよう。

仲間の行動によると内通者がいそうなので、何らかのタイミングで犯人とコンタクトを
取っていた場合はその機を狙うことも視野にいれよう。
本格的な戦闘になりそうなら深追いはせず情報共有を優先。

◆他
アドリブ・連携は歓迎



ところ変わって街の出入り口。アネット・レインフォール(剣の家庭教師・f01254)は、そこから街の外側へと目を向けていた。
 現時点で、内向きの調査は順調だ。なればこそ外向きの調査も、基本的なことの確認だけになろうとも、しておくべきだと考えたからだ。
「昔聞いた童話にそんなのがあった気もするな。あれは確か――」
 アネットも、他の猟兵と同じものを連想しているかは定かではないが、覚えのある童話から考えを巡らせている。それから目的地を割り出そうとすれば、山か川なのだが、この街の近辺に山は無い。川は在るが、浅いそれだ。童話に倣っているとしても、害する目的として選ばれるかは疑わしかった。
 思考を続けながら、アネットは目を向ける方向をずらす。その先には、大きくはないが、深くて暗い森。木を隠すならと言われるが、人を隠すにも適していそうだった。
 アネットは森へと向かう。子供攫いの起きる日は散発的であるため、足跡を追うことはできなかったが。人が通るための道は整えられていた。
「なるほど、な」
 森の入り口、とある木から伸びた枝。そこに、布の切れ端が引っ掛かっている。質感からして、上衣。高さとしては、子供の胸から肩の辺り。
 近々に、この森へ子供が入ったであろうという証拠だ、と捉えられるものだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アンテロ・ヴィルスカ
方針は【SPD】

猟兵でもなければ、余所者の我々が一番の不審者だがねぇ
笛吹きのフードの人物とやらが気になるな

消えても誰も困らない、身寄りのない子供から消える…
ヴァンパイアが絡んでいるとして、貴賎を気にするものだろうか?
力で脅して差し出させても、良さそうなものだが

子供によく関わっていた人物がいれば、話を聞いてみよう

立場の善悪は問わないよ
人買い、子の親、警備兵…
穏便に済まないならば、【殺気】の一つでも

アドリブ歓迎



アンテロ・ヴィルスカ(白に鎮める・f03396)が向かうのは、教会だ。正確に言えば、そこに併設されているだろう孤児院が目的だった。
 攫われたのが子供ならば、親が居るはずだ。親でなくとも、保護者にあたるものが。居なくなったのは孤児からだが、それだけで事は収まっていないのだから、確実に。
 攫われた子の親を探すのは難しい上、数も多い。効率を考えれば、向かう先は自ずと定まった。
「どうも、こんにちは」
 年配の修道女に、笑顔で声をかける。一瞬だけ殺気を向けることで意識を惹きつけ、人当たりの良い笑顔を張り付けて対面する。
「ここ最近で、何か変わった事はあっただろうか」
 軽口を抑え、丁寧に尋ねる。不審がる修道女の目に映るよう、胸元で組んだ手から白銀のロザリオを覗かせる。たまたま訪れた街の様子が暗いので、せめて祈りを捧げたい。言葉と共に寄付として金貨を手渡し、巧みに警戒心を解いた。
 それならば、とアンテロは教会内へと案内された。礼拝堂に向かう最中、最近の様子を訊き出して、気になったことがひとつ。
『子供達が居なくなる前に、孤児院の支援者である貴族が直接視察に来た』
 この手口、ヴァンパイアが絡んだものでは無い可能性があるな。アンテロは完璧な祈りの姿勢を取りつつ、内心ではそのような考察を行っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アンテロ・ヴィルスカ
他の猟兵達が得た情報からみても、支援者の貴族とやらが怪しいのは間違いなさそうだね。
警備兵や上流階級の者を黙らせられるくらいだからね、支配者層だろう。

しかし、未だ現れていない切り裂き魔が少し気になる…。

無情な事の多い世だ。
切り裂き魔とやらが、差し出された子供の成れの果てではない事を願おうか…

街で聞きいた風を装って、修道女に再度切り裂き魔について尋ねてみよう。
誘拐された子供に加え、被害者にも【祈り】を捧げようじゃないか。

話の途中、町や森で異変が起きれば【ムスタ・タンマ】を召喚してすぐに駆けつけるよ。

仲間の猟兵と積極的な情報共有・連携を心掛けて、手早く真相に迫りたいところ…
(アドリブ歓迎)



「支援者である方について、もう少しお聞かせ願えないだろうか」
 祈りを終えたアンテロは、修道女に問いかける。
「街の方では、攫われた子供達は低い身分の者だけ。これを機として、身分の高い者への疑いと不満が高まっているみたいなのです」
 教会と孤児への支援をしてくださる方が、そのような謂れを受ける理由は無い筈。民もわかった上で、何処かに責任を負わせないと耐えられないのでしょう。踏み込んだ質問を、そのようにフォローする。
 修道女は悲しそうな表情をし、答えた。
『彼の方は、森で妻子を失って以来、孤児や教会の支援を篤く行うようになった』
『少し前、森で再び獣が出た騒ぎがあった為、私兵を出して退治してくださった』
『最近では、他の富裕層の方ともよく会食をし、寄付を募ってくださっている』
 アンテロは修道女の話から、それらの内容に注目をする。他の猟兵達が集めた情報と合わせれば、点から線へ。
 アンテロは一つ礼をして、教会を後にした。他の猟兵達にも連絡を入れ、集合場所を示し合わせる。
 気づけば、日も傾いていた。答え合わせの時は、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 日も暮れて長く、昏い夜。
 とある屋敷より出てくる、怪しい人影。足を引きずるように歩くそれが門を潜るのを、門番の兵は下唇を噛み締めながら見送った。
 怪しい人影は街を進みながら、懐より笛を取り出す。今回の狙いである子供達が多く住む中流階級の住宅地にて、足を止めずに演奏を始めた。
 笛の音に操られる子供達。怪しい人影はそれを率いて街を出て、森の方へと向かう。
 森の入り口。今までならばただ通過していただけの場所。怪しい人影はそこで初めて足を止めた。
 猟兵達だ。
 怪しい人影を阻むように、立ち塞がっている。或いは、今回攫われようとしている子供達に紛れた者が、間に割り込み護ろうとしていた。
 演奏が止む。口元から離された笛は頭上に掲げられ、ぼうっ、と火が点けられた。
 照らし出された怪しい人影の顔は、肉の削げ落ちた亡者のソレ。
 猟兵達の息を呑む音が、静寂に響く。同時に、背後とする森からおぞましい気配。
 見れば、子供達を引き連れていたソレと同じようなモノが、次々と森から出てきている。
 掲げられた篝火に照らし出されたその場は、まるで一つの地獄のようだった。
 子供達は未だに虚ろな顔をしたまま。彼らが目覚めた時に見る光景が、こんなおぞましいものであってはならない。
 そう決心した猟兵達は、死を振り払わんと武器を構えた。
アネット・レインフォール
◆心情
ふむ…件の人影は既に人外のものとなっていたか。
しかし下手に動き回ると子供達を巻き込んでしまう可能性がありそうだな。
ここは一つ、策を練るか。

◆行動
【POW】霽月一刀で攻撃

生命力吸収を併用し長期戦を視野に入れておく。
なるべく敵を囲むように葬剣を鋼糸に変えて木々に張り巡らし、
その糸上を移動しながら攻撃を加えていこう。
子供達が邪魔な時は鋼糸で掴み移動させることも検討。

篝火の影には細かい移動やフェイントで気を配るが、
リーチのある覇剣や暗糸等に換装したり仲間と連携することで対策とする。
意識が飛びかけたら剣で腿を切るなどして対処。

仲間が狙われた時は武器を投擲しフォローを。

◆他
連携・アドリブは歓迎


天星・暁音
全くもって、子供に見せるには適さない光景だよね。
でも…君達もちゃんと魂を束縛するその呪縛から解放して眠らせてあげないとね。
ごめんね。状況が状況だから余り優しく浄化してあげる時間はないんだ。
少し痛いだろうけど…我慢してね。

 子供たちを護るという【勇気・覚悟】を決めて亡者たちの進路を塞ぎます。
【全力魔法・範囲攻撃・高速詠唱・祈り・破魔】で亡者たちの冥福を祈りつつ砲撃して子供たちな近づけないように行動します。
もしもの時は【かばい】ます。


乙雪・柚佳
やっとお出まし、こんばんわ!

子供たちをどこへ連れてこうとしてるのかな?
こんなにたくさんのお仲間まで出てきて、全員捕まりたい?

まずは子供たちの安全かな。戦闘に巻き込まれないような位置まで連れて行ってあげて、その後、にっくき悪党を懲らしめてあげよう。

笛とか楽器っていうのはね、こういう悪いことじゃなくていろんな人を幸せにするために使って欲しいなぁ!
できるだけ敵の攻撃に注意して怪我人がなるべく出ないように声をかけてまわるよ!

(ユーベルコード使用で梟の力により暗闇でも視界あり/共闘に協力的・アドリブ歓迎)



「輝け!」
 略式詠唱。暁音の叫びと共に、強い光が立ち昇る。
 子供に紛れていた為に、暁音の立ち位置は亡者と子供達の境であった。故に、術によって発生した光は壁となり、子供達を護るものとなる。
 大多数の子供達は、これにより一定の安全を確保できたと言えた。しかし、心神喪失であった子供達は、全員が纏まっていたわけではない。光の壁により護りから、はみ出してしまう者も少数存在した。
 それらの子供達を素早く掴み、上空へと飛ぶのは柚佳だ。梟が獲物を捕らえる為に使う超感覚、そして無音飛行。それらを駆使して一人、また一人と光の壁の内側へと運んでいく。
 亡者もそれを黙って見過ごそうとはしない。手に持つ篝火を振りかざし、襲い掛からんとする。空から事を為す時だけ地に降りる柚佳、腰を据えて術を紡ぐ暁音。どちらも亡者一体ずつならば、容易に対処はできる。しかし、問題は数だ。幾ら亡者どもの動きが鈍かろうと、柚佳と暁音が自分の得手を活かして戦えようと、数の多さだけで、それを覆される時が訪れるのが目に見えていた。
「笛とか楽器っていうのはね、こういう悪いことじゃなくていろんな人を幸せにするために使って欲しいなぁ!」
 意識して明るく大きな声を出し、自らを鼓舞する柚佳。その言葉に反するように、目の前で燃える笛を振りかざした亡者の、動きが止まった。
 その一体だけではなかった。暁音へ群がっていた亡者も含め、猟兵達と打ち合っていたものの大半が、何かに縛られたかのように固まっている。
「すまない、遅くなった」
 群れの中から、声が響く。アネットが、月を背にして浮いていた。
 正確には、森の木々や亡者を支点として張り巡らせた鋼糸の上に立っていた。暁音や柚佳が立ち回って亡者を引き付けている間に、アネットは闇に紛れ糸を手繰っていたのだ。
 そして、この時に。場は整った。子供達は全て光の護りの内側に。大勢の亡者は動けない。
「反撃だ」
 アネットが指を折りたたみ、糸を引けば。群れの半数が一斉にと、バラバラに切り裂かれる。
 人型を残したままの亡者は、動けぬままに。音も無く首を落とされ、五体満足を損ねていく。闇夜に紛れた柚佳による、上空からの強襲。鈍い亡者が更に縛られていれば。避けられる筈も無し。
 斃れる亡者達。意図してか一矢報いようとせんか、取り落とした篝火により鋼糸を熱し燃やさんとする。
 糸を伝う炎はその繰り手へと辿り着かんと八方より伸び進んで、降り注いだ光によって消し飛ばされた。
「傷んだらどうする」
「そんな場合じゃなかったよね!?」
 文句を言うアネットに思わず言い返す暁音。その頭上には巨大な魔方陣。星の如き光球を従え、今にも天が墜ちんとする様相だ。
「一旦離脱! ちょっと我慢してね!」
 袖口に鋼糸を収めたアネットを不意打ち気味に捕まえ、光の護りの内側へと飛び込む柚佳。
 慌て気味の柚佳と、抵抗せず大人しくしたアネット。二人が安全圏に入ったのを確認した暁音は、結びの呪文を紡いだ。
「星の光よ集え。我が意を持ちて流星と成し悪しきを散せ。走れ魔法陣。輝け!裂光流星!」
 光。星の光。瞬くそれは墜ちて、墜ちて、雨のように降り注ぐ。
 無数の光は、地に散りつつも蠢き続けていた亡者の断片を正確に穿ち、焼き尽くし、消失させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蘇芳・玄馬
【POW】アドリブ歓迎
話は聞かせてもらったぁ!
この先に親玉がいるんだろ? もうほとんど残ってねぇみてぇだが、その方がありがてぇ
残りは俺に任せろ。子供は頼んだぜ!

ここでぶっ倒しても、骸の海とやらに還るだけだろうが、せめて今だけは祈ってやる
さぁ、気合い入れろよ亡者ども。一人残らず、俺の拳であの世に叩き返してやる!
一体ずつ、至近に潜り込んで【灰燼拳】でぶっ飛ばす!
数がまだ多いなら、一体ずつ仕留めながらだ
子供には近づけさせねぇ!

さっきから見てりゃ分かる。ただの亡者が子供を集めて、何する気だ
お前らも、子供らと同じだ。誰かに使われてるんだろうな
さぁ、夜は亡者も生者も寝る時間だぜ。とっとと解放されて眠りな!



 一掃されたかに見えた亡者達だが、それが全てではなかった。森の奥から追加されるように這い出てきた亡者は、最初の数ほどではないが猟兵達より多く群れている。
 疲弊が見える猟兵達に、緩やかに圧殺を仕掛けようと進む亡者の群れ。それを前にして、跳び出した影が一つ。
「残りは俺に任せろ! 子供は頼んだぜ!」
 威勢のいい言葉と共に亡者の顔を殴り抜いたのは、蘇芳・玄馬(羅刹の破戒僧・f12665)だ。
 聖者としての素養を活かし、己の肉体を高める為に修行を積んだ玄馬。その得意とするところは、先のような大規模な浄化ではない。身一つで戦い抜き、拳を以て救済を為すことだ。
 手近な亡者から順に、一人一人を丁寧に浄化していく玄馬。その拳が朽ちた肉体へと触れる度に、遺された思念の欠片を感じ取る。
 様々な人々だった。善人も悪人も、そうでない人もいた。そして、それぞれの人生と、そこに添えられた小さな幸せがあった。
「……さぁ、夜は亡者も生者も寝る時間だぜ。とっとと解放されて眠りな」
 祈りを込めて。不浄の器に縛られた魂を解放していく。こんな手荒な方法でしかできなくてごめん、と。申し訳なさすらも感じながら。
 少しして、場に群れていた亡者は居なくなった。肉体は浄化され尽くし、残ったのは纏った襤褸と笛の燃え滓のみ。
 静けさが戻った夜。耳に痛い静寂のなか、不意に。
『ありがとう』
 猟兵達の耳に、そんな言葉が聴こえたような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『子ども遣い『チャイルドマン』』

POW   :    理不尽な言いつけ
【攻撃】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    財産喰らい
自身の身体部位ひとつを【対象の親もしくは同じくらい信頼している人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    操り人形
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【一時的に幼い頃の姿】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はステラ・リトルライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「いやいや、よくやったものだよ。腹立たしさも通り過ぎて、感心感心」
 静けさが戻ったはずの夜に、嫌に軽い言葉が響いた。
 森の奥。亡者達が這い出ていた方から、一人の男が歩いてくる。
「結構慎重にやってたつもりだったんだけど、こうバレちゃったんだもんなあ」
 気味の悪い笑みを浮かべながら、独り言のように語りかけてくる。
「イイ感じの家を選んで乗っ取って、孤児院支援しながら品定めをする。傭兵雇ってどっか適当な人気の無い場所に送り込んで、殺して手下に変えちゃう。街の上側にも顔通して、半ば黙認で事を進められるようにする」
 楽しそうに、愉しそうに。
「上手くいくはずだったんだけどなあ、前の街では上手くいったんだけどなあ」
 一通り笑ったあと、猟兵達を見回す。
「まあ、大分極上の子もいるみたいだし、それで十分にチャラになるか。対策は次の街で考えよう」
 聞き捨てのならない事を言い、両手を広げる。
 森の奥から出てきたのは、翼を生やした男一人だ。生きていて、一人と数えられるのは、彼だけだった。
 人形。子供の人形。沢山の人形。男の、仮称『チャイルドマン』の指先から伸びた糸に操られた、小さな人型。
 その見ればわかる質感、動く際の肉を擦る音。ナニが元かは明白に過ぎた。
アネット・レインフォール
◆心情
現れたか…しかし解せないな。
手下を作るなら殺害以外にも方法はあっただろうに。
…まあ、敵の心の在り処を理解しようというのは無理な事かもしれないが、
戦闘中に余裕があれば聞いてみたものだ。

◆行動
【POW】葬剣・霽刀を主軸。

これ以上、死者に負担を強いるのもな?
先の亡者戦と同様に葬剣の鋼糸を足場にする方法をフェイント目的で利用しつつ、
遠距離から【雷帝ノ太刀】で少しずつ間合いを詰めていき【零斬】で居合斬りを叩き込もう。
必要なら【雷刃衝】で敵の注意を引く事も視野にいれておく。

敵の能力で刀剣を封じられた場合、単車から別の武器を射出して換装を。

◆他
連携を重視、アドリブ歓迎


宝座・四季
オブリビオンってやつらは、大抵歪んじまってるもんだが、こいつは格別だ。
腐り過ぎてて臭ってきそうだ。

ケガレを清めるのも陰陽師の仕事。さくっと『掃除』させてもらうぜ。

【財産喰らい】で回復されるのは面倒だ。噛みつき攻撃ってことは近接攻撃のはず。銃で距離を取りながら戦おう。

【護法装填】で強化した【破魔】の銃弾を【2回攻撃】の連射で撃ち込んでいく。

厄介なのは【理不尽な言いつけ】だ。
奴の攻撃が命中した際、ルールを口にする前に攻撃でけん制し、喋らせないようにしてみるか。


人形遊びの時間は終わりだ。
後片付けして、家(ジゴク)に帰りな。


蘇芳・玄馬
【POW】

まずは深呼吸。心頭滅却。明鏡止水。
雑念は振り払う。純粋にやつをぶん殴ることだけ考えようぜ

さっきの亡者は、さしずめ、その人形にされた子供か?
答えは、要らねぇ。さっきのテメェの言葉で、ぶん殴るには十分な理由だ

戦法は単純。真っ直ぐ行ってぶっ飛ばす!
人形が邪魔するだろうが、掌底か、服を引っ掴んでぶん投げて道を開ける!
操り糸が気になってな。対策はしてるだろうが、他の糸に絡むように投げたら、多少は操りづらくなるんじゃねぇか?
当たりならガンガンやるぜ!

敵の言いつけは、無視する!

あいにくと、俺は聖者らしくてな。治すのは得意なんだよ
この程度の痛み、もう慣れっこなんだよ!

さぁテメェの番だ。覚悟しやがれ!



「しかし解せないな。手下を作るなら殺害以外にも方法はあっただろうに」
 戦端を開く前に、アネットがそう声をかける。
「うん? そうかな? 意思なんて持ってる手下とか面倒臭いでしょ。変なことされてバレたら困るよね。死体だとその辺楽だし、なにより僕の楽しみを分けてあげる必要もないし」
 チャイルドマンは、嗤う。何処までも利己的に。自分にとっての人間は2種類、自分の玩具か、障害物かのみだと。
「そうか、ありがとう」
 如何に内容が不快なモノであろうと、返答して貰ったからには礼をするアネット。
「楽に時間が稼げた」
 口にした時点で、ソレは出来上がっていた。
 鋼糸展開。先に見せたように、捕縛と斬撃を同時に行うもの。構築に時間がかかる点を除けば、利点が非常に多い技だ。
 語っている間に縛られたチャイルドマン。しかし特に表情を動かすことも無い。
「ああこれ、さっき手下を縛ってたやつかあ。うん、厄介だね。だから」
『糸を使うな』
 発せられた言葉は、指向性を以てアネットを襲った。痺れたように、指が動かせなくなる。いや、正確には。指を動かそうと知れば、脳が全力で警鐘を鳴らすようにされた。
 張り巡らされた鋼糸がたわむ。それを見て満足げに頷いたチャイルドマンは、今度は自分が指を動かし、糸を手繰った。
 ぎこちなく動き出し、歩み始める肉人形。その手には、小さな背丈に似合わぬ武骨な武器。猟兵達へと近づきながらそれは大きく振りかざされて。
 銃声。砕かれ、弾き飛ばされる武器。
「人形遊びは一人でやってくれ」
 硝煙を吐く銃口を上に向けながら、宝座・四季(なんとなく団長・f04244)が吐き捨てた。
「ああ臭い、腐り過ぎてて匂ってくる」
「そうかな、結構気を付けて保存し」
 再度、銃声。
「黙ってろド腐れ」
 片手で頭を掻き毟りながら、銃口をチャイルドマンへ向ける四季。陰陽師である彼は、この場における歪みと穢れを強く感じ取ってしまっていた。
 オブリビオンとはそういうモノだ、と頭では判っている筈の四季だが、それでも強い苛立ちを感じる。これは、あんまりにも、あんまりだろうと。
「祓い給へ、清め給へ」
 祈りを言霊に載せ、引き金を引く。狙いは肉人形の四肢、ではなくそれに結ばれた糸だ。
「前に出る! 背中は任せた!」
 この機に乗じ、玄馬は前へと飛び出す。糸に繰られた肉人形達が立ち塞がり、その身に纏わりつこうとも。ただただ前だけを見て駆ける。
「ふぅぅぅぅ……」
 心頭滅却、明鏡止水。意図して思考を制限しても、吐く息に籠る熱は隠せない。
 玄馬は聖者だ。人に寄り添い、癒しを与える存在だ。故に、この悲劇を赦すことはできない。
 掌底、投げ技、或いは発剄。修めた体術の中でも肉体を壊さない打撃を選び、纏張り付く肉人形を剥がしつつ前進。少なくない傷をその身に刻みつつも、動きに一切の翳りなし。
 遂に、玄馬はチャイルドマンの眼前へと辿り着いた。腰を落とし、腕を引き絞り、構える。
 無論、ただそれを眺めるチャイルドマンではない。アネットへやったことと同じように、言葉で縛ろうとする。
『手を使』
 銃声。言葉を止め首を振ったチャイルドマンの頬に、一筋の傷。
「黙ってろと言っただろうが」
 四季による援護射撃。反撃の芽を潰されたチャイルドマンの眼前で、玄馬が爆発する。
「テメェの番だ! 覚悟しやがれぇえええええええ!」
 抑えつけていた感情は拳に載せられ、全力で振りぬかれる。ここにきてチャイルドマンの顔から始めて笑みが消えた。咄嗟に直撃を避けようと半身になりながら片腕が突き出され、そして砕かれ跳ね上がる。
「貰った」
 追い打ちをかける声。
 チャイルドマンが背後を向けば、そこにはアネットの姿。
 糸を封じていたはず、と疑問に思えど。その手にある今にも鞘に納めんとされた剣を見て理解する。
 何も不思議なことは無い。糸ではなく剣で斬られた、それだけのこと。
「肆式・零斬」
 剣が鞘に納められる音が響く。砕けたチャイルドマンの片腕が宙を舞い、落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宝座・四季
「そこの羅刹の兄さん(蘇芳)、さっきはいい動きだったな。
もう一度、あいつに行けるか?
俺も後ろから『やる』からさ」

蘇芳青年に即席のコンビ持ちかけ。
敵に突っ込む彼の背後の影に隠れて、俺も敵に肉薄する、という意図を先の言葉と目配せで伝える。

彼が派手に動いて敵の意識を集めてくれる隙に、その陰から【忍び足】を用いつつ接近。
敵さん、俺が後方支援系だと思って、接近してくるとは思わないだろうしな。

そして。不意をついて敵に【七星七縛符】を込めた符を貼り付け、敵の【財産喰らい】を封じる。
腕を失うほどのダメージを受けたんだ、次にヤツは回復を図ろうとするはず。それを先に封じさせてもらう。

今だ! 羅刹のにいさん!


蘇芳・玄馬
【POW】
「お。陰陽師のおっさん(宝座)。そっちもいい腕だ。助かったぜ。……何かあるんだな。何度でも行けるさ! 任せろ!」

陰陽師さんの提案は一も二もなく承諾だ。敵には具体的な策を悟られないように、陰陽師さんの動きから、俺が囮と壁になるのを把握

大連珠を回転させ、気を練って戦闘力を高める
そして回転を維持したまま、さっきと同じように突っ込むぜ!
今度は切断された腕のない方から突入だ!

人形は掌底と投げで吹き飛ばすのは変わらず、大連珠の回転を上げて派手に陽動!

さぁ行くぜ! 
陰陽師さんが上手く不意をつけるように、見せつけるように羅刹旋風!

陰陽師さんの合図に合わせて、俺も叩き込むぜ!
今度こそ覚悟しやがれ!



「羅刹のにいさん、さっきはいい動きだったな」
 一撃を入れ後退する玄馬の耳に、声が届いた。その方を向けば、肩に張り付いた紙の人型。四季の陰陽術によるものだ。
「陰陽師のおっさんか。そっちもいい腕だった、助かったぜ。……で、何かあるんだな」
 賛辞には賛辞を返し、本題を促す。わざわざ術を使って指定して話しかけてきたのだ、作戦があるのだろう、と。
 問いに対し、何事かを小声で返す四季。玄馬が背後を見れば、無言で頷く姿が見えた。
「何度でも行けるさ! 任せろ!」
 気合いの一声。チャイルドマンへと向き直り、玄馬は再度突撃する。
 先と異なるのは、首に下げていた大連珠を片手に掲げ、それを大きく振り回している事だ。頭上にて行われるそれは目を惹くと共に、一転毎に纏う清浄な気が強まっている。
 判り易い脅威に対し、チャイルドマンも対処へ動いた。隻腕となれど、人形繰りの腕は衰えず。先の数よりは少ないが、多くの人形が再び立ち上がり玄馬へと殺到する。
 奇しくも、チャイルドマンと玄馬は両者とも片腕のみで対処する形となった。互いに精彩を欠いた動きとなり、先程の焼き直しとなるような攻守が繰り広げられる。
 再び、傷を負いつつもチャイルドマンの正面に立った玄馬。頭上で清浄な気を蓄え続けた大連珠を、一気に振り下ろした。狙いは、無事に残ったもう片方の腕。
「ばかだなあ」
 言葉通りに嘲る表情で、半歩身体をずらすことで回避するチャイルドマン。
「お前がな」
 突如として響く声。身を潜め、玄馬の背後へ張り付くように動いてきていた四季が機を見て跳び出した。
 狙いは玄馬と同じく無事な片腕。後方射撃を主としていた先程とは打って変わった近接戦、零距離射撃。
「ほんとうにばかだなあ、浅はかだなあ! こそこそ相談してたのに気付かなかったとでも思った!?」
 腕に銃口を突きつける寸前で、四季は地に倒れ伏す。一連の流れを予見していたチャイルドマンは腕を引いて回避しつつ、その際の身体を回す動きから繋げた回し蹴りを、四季の顔面に叩きこんだのだ。
 追撃をかけようと、チャイルドマンは四季に掌を翳す。顔を覆わんと広げられたそれは大きく形を崩して変形し、何者かの顔へ。
「それじゃあ、いただきます!」
 噛みつき、咀嚼。五体満足という財産を奪わんという食らいつき。目を背けたくなるような食事を始めたチャイルドマンは、しかし程なくして突如と動きを止めた。
「同じことを何度も言いたくは無いが、馬鹿はお前だよ」
 憐れむような四季の声、しかしそれは倒れ伏した身体の方からではない。
 痺れる身体で、なんとか目だけでもと声を方を見やるチャイルドマン。そこには、更に気の強まった大連珠を振り回し続ける玄馬と、紙の人型から大の大人へと変身する四季の姿。
「今だ! 羅刹のにいさん!」
 合図と共に、再度大連珠を振り下ろす玄馬。チャイルドマンは何とかして回避しようにも、変形させた腕が大量の札にて縛られ、逃げ切ることができない。
 地を砕く轟音、そして絶叫。
 子ども遣い、チャイルドマン。彼の者はその所以となる業を為す両腕を失った。その場に残ったのは、子どもへ妄執する邪悪な人型のみ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天星・暁音
やっとお出ましって訳だね。
一度上手くいったからって繰り返すとか全く持って愚かだよね。
何度も繰り返せばバレやすくなるに決まってるのに…
まあ、君に次何てないから言っても意味ないけどね。
まあ、アレだね。やれるものならやってごらん?
俺は簡単には折れないから…

護る為の勇気と覚悟で立ち向かい。
味方を鼓舞し癒やします。
必要なら時に誘惑やおびき寄せで注意を引き味方の動きを支援しますが自分が完全に標的になまでは回復役としてしません。
可能であれば戦闘後に人形にされた子供達の為に安息と鎮魂の歌と舞を捧げてあげたいです。



「くひ、ひぃっひひひひぃっ」
 口から洩れるのは呻き声か笑い声が区別がつかない、そのような様相のチャイルドマンを前にして、暁音は一歩前へ踏み出した。
 言動の端々から子供への異常な妄執が滲み出るそれを前に、少しでも間を詰めるというのはとても勇気の要る行動だった。現に、相当の覚悟を決め、相手が手負いであると理解していた暁音でさえも、袖口に引っ込められた手は全力で握られ、血が滲んでいる状態だった。
「こ、こどもっ! こども! ぼく! こども!」
 暁音を認識したチャイルドマンは、狂喜的な声を上げる。周囲に倒れた人形から嫌な音が発せられた。
「手! 手! ぼく! いっぱい 手つ!」
 千切り取られた小さな腕が大量に宙を舞い、腕の無いチャイルドマンの肩へと接合されていく。
 それだけでは収まらなかった。無数に増えた腕は次々とその先端を、誰とも知らぬ人間の顔へと変化させていく。
 おぞましい姿となったチャイルドマンは、奇声を上げながら暁音へと突進を始めた。
「僕は、折れない」
 街に居た時から。その一人称は暁音がどれだけ本気かを表していた。迫る異形に抱くのは、最早恐怖ではない。
 短節詠唱。星光、一射。
 手早く発動された魔法にて、チャイルドマンはあっさりと斃れる。一度、倒れる。
「おおおおおおおおおおおお!」
 負の感情が煮詰められたような叫びと共に、倒れたチャイルドマンの身体を糸が覆い、締め付け縮めていく。形作られたのは、小さな子ども。
「おおおおおおとおさああああん! おかああああああさああああん」
 叫びながら、尚這って近づくその姿に、暁音が感じたのは果たして憐憫か。
「祈りを此処に、妙なる光よ。命の新星を持ちて、飛び立つ翼に闇祓う祝福の抱擁を…地に伏す翼に安らかな眠りの抱擁を」
 謡うように、呪文を唱える。本来のものから改変した、鎮魂と葬送を為すものを。
「神聖なる祈りの抱擁」
 白い羽根が降り注ぐ。触れたものを優しく抱きしめるように、光が包み込む。
 暁音の呪文が終わるころには、奇声は止まり、場は静寂に満ちていた。全てのものが光に包み込まれていき、命無きものだけが光と共に消えていく。
 やがて光は消え、夜の昏さが戻ってくる。残されたのは命在るものだけ。人形とされていた子供達も、その繰り手も、もう居ない。

 街に朝が訪れる。
 今までと同じく、子どもを失った嘆きの喧騒から始まろうとして、そうはならない。
 その日に居なくなったと思われた子ども達は、全員無事に、街の入り口の広場に座り込んで眠っているのが見つけられたのだ。
 安堵と喜びの声が響く。そして、暫く後にはいつも通りの一日が始まる。
 こうして、事件は終わりを迎えた。この街で今後、同じような事件は起こることは無かった。
 喪われ、戻らなかったものは在る。だが、猟兵達の尽力によって、喪われなかったものも、確かに在る。
 街には今日も、明日も。子どもの笑顔があるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月30日


挿絵イラスト