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まほろばのユメ(作者 軒星
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●キョウエン
 まっかな花が狂い咲いている。
 まっしろな女は、狂ったように涙を零し。
 まっくろな男は、狂う素振りもないまま哂っている。
 ――誰も、彼も、居ない場所で。


 「ダークセイヴァーのとある村に急いでほしいの」
 開口一番、この招集を掛けたグリモア猟兵――亀甲・桐葉(往瑠璃揚羽・f18587)が、ささめく人波を切り裂くように告げる。

 彼女の見た悪夢のような予知は、もうとっくに手遅れになった村だったと云う。

 通りみち全てを塞ぎ蠢く大きな紅花。
 その村に放たれた炎の中を踊り狂う、白い女に操られた白い幽霊。
 何もかもが眼中に無いまま、炎など物ともせず村中を壊して回る黒いな影。

 極めて俗な言い方をするならば、『地獄』であっただろう。
 それでも、終わった悲劇ならばまだ良かったのだ。此処で締めくくられる惨劇ならば、急ぐ必要もなかった。けれど、血塗れた舞台は閉幕を知らない。

 「何故だか知らないけれど、其処にいるオブリビオン同士で争い続けて――放っておけば、周りの村も炎の海に沈む。これ以上、いたましい苦しみを拡げたくないんだ」

 眉根を寄せて吐き出した桐葉は、おねがい、と己が知りうることを丁寧に伝えていく。予知の後にデータベースを漁って手に入れた、『いきた』情報だ。


 ――同族殺し。
 それが此度の敵、オブリビオンにすら忌み嫌われる存在の名だ。
 自身の目的のためならば同じオブリビオンをも殺し、屠り、喰らう。目的もないまま、狂ったように殺しを続ける者もいるらしい。理由は判明しておらず、ただ分かることといえば『オブリビオンが殺し合う』ことがある、というだけ。巻き込まれる領民は堪ったものではない。
 これ以上放置すれば多くが巻き込まれるだけではなく、それに便乗したものを含めて、周囲一帯が大混乱に陥るだろう。


「予知したオブリビオンは皆とても強大だけど、村人がみんな死んでしまってからも啀み合ってくれたおかげで、決して斃せないわけじゃない。今しかないの。……私がみんなを送り届けられるのは村近くの街道までで、そこから先はきっと、沢山の邪魔が入る。それでも、後顧の憂いを全部断って――どうか、ひとつの悪夢に幕を下ろして」

 おねがい。
 痛切な声でそう零した桐葉は、指先に留まる蝶のグリモアを羽搏かせる。星空のような鱗粉を残して、猟兵たちは常夜の世界へと跳んでいった。


軒星
 おはようございます、こんにちは、こんばんは。
 初めましての方は初めまして。マスターの軒星です。
 伍度執りました筆は、ギミック増し増しでお届けする疑似高難易度シナリオです。

●シナリオ概要
 既に滅んでしまった村で、戦いを続けるオブリビオンたちを鎮圧することが目的です。
 このままでは近隣の村々をも戦火に巻き込まれて犠牲になる恐れがある為どちらかが斃れるのを待ってはいられない、切迫した状況を想定しています。
 戦闘描写をゴリゴリ入れていく予定ですが、プレイングは心情オンリーでも可能です。
 以上ご了承いただける方のみ、ご参加ください。

●敵概要
 第壱章:集団戦 / 目標:『死花』ネクロ・ロマンス
 第弐章:ボス戦 / 目標:裏切りの聖女
 第惨章:ボス戦 / 目標:『享楽の匣舟』ノア
 それぞれ、猟兵には開始時点で判明している敵能力を説明し終えている想定です。
 厳しい戦闘が予想されますので、事前の準備を万全にしていて良いものとします。

★注意
 特殊な戦闘状況を前提としています。
 敵は、プレイング送信時に指定したユーベルコードの能力値に対応したコードを使用します。
 対象コードもしくは章ギミックに対応していないプレイングは原則として【苦戦】判定でお届けする予定です。
 わざと苦戦したい場合などは、下記記号を冒頭に入れて頂けますとさいわいです(成功以上の判定で負傷描写をお届けします)。

★特殊な追加要素
 苦戦/負傷描写『可』の場合は『☆』を、苦戦/負傷描写『希望』の場合は『★』を、それぞれ冒頭にお願いします。その他マスターページ記載の記号と併用して頂いてもかまいません。
 章ごとに負傷を治してから進行することは無く、持ち越し前提のシナリオです(ユーベルコードによる回復は可能)。
 基本的には帰投時に手当を致しますので、後遺症等を勝手に描写することはありません。


-!お願い!―――
 異質なシナリオをお届けする都合上などで、今回【再送が前提】となります。
 一度頂いたプレイングは大切に保管し、執筆目途が経った段階で、グリモア猟兵である亀甲・桐葉からお手紙を送らせて頂きます。
 お気持ちにお変わりなければ、その段階で再送して頂けますとさいわいです。
 (代わりにはなりませんが、原則として全採用の予定です)
―――――――――

 以上、長々と失礼致しました。どうぞ此度も宜しくお願い致します。
 それでは、宵居のままに。
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第1章 集団戦 『『死花』ネクロ・ロマンス』

POW ●パイル・ソーン
【既に苗床となったヒトの手による鷲掴み】が命中した対象に対し、高威力高命中の【背から突き出す血を啜る棘を備えた茨の杭】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD ●フラバタミィ・ニードル
【体を振い止血阻害毒を含んだ大量の茨棘】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ ●バイオ・ビュート
レベル×5本の【木属性及び毒】属性の【血を啜る棘と止血阻害毒を備えた細い茨の鞭】を放つ。
👑11

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 きらめく鱗粉にいざなわれ、猟兵たちはダークセイヴァーの地でその目を開くことだろう。少し離れた街道の真中から村を注視すれば一面の――赤。紅。緋。ざわめき揺れるそれは、近づけば近づくほどに大きく見える。
 これが夏の向日葵畑であれば、ただ綺麗な花々であれば、どれほど良かったか。その茎へと絡めとられ、操り人形のように擡げられる肢体は、人間のものだった。中には、この地に根付くさまざまな種族の姿もある。だらんと垂れた狼の耳が、欠け落ち役目も果たさぬ鋭い牙が、羽を毟られた鳥のような翼が――傷を作り、血の気を失くし、なおも良いように扱われる、青白い皮膚が。すべてが、この惨状を物語っていた。

 ずるり、と。凄惨の限りを尽くしたはずのあかい花が、厭な音を立てて君たちを『見た』。
 途端に根茎は姿を変え、刃と化した鉄色が、猟兵に向かって襲い来る。

 この村の本来の住人を、こんな形で放ってはおけないという猟兵も居るだろう。これから強大な力を持ったオブリビオンふたりと同時に相対するというのに、討ち洩らしては後に響くと合理を採る猟兵も居るだろう。何を考えたとしても、思うところがあったとしても、もう命を救うことは叶わぬ者たちだ。

     イェーガー
 さあ――猟 兵ならば。
 その手で未来を、切り拓け。
!CAUTION!
▼特殊状態:苗床
 人型の肢体は最早抜け殻。彼らをどれだけ穿とうが切り刻もうが、本体である死花が再生し続けるため敵性反応が減ることはありません。
 プレイングボーナスの対象:『『死花』ネクロ・ロマンス』の本体を狙って攻撃する。
 苦戦判定、負傷描写の対象:わざと『『死花』ネクロ・ロマンス』の本体を避けて攻撃する。
 マスターコメントにある『☆』『★』記号や描写のあるプレイングの場合、上記を無視して負傷描写を設ける可能性があります。