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アースクライシス2019⑦～泥レスファイトふぁいなる

作者：蒼汁の人

　ニューヨークの動乱を防いだ猟兵達は、スカムキングの本拠地であるダストブロンクスへと攻め込む事になりました。
　しかし、「肥溜めの王」スカムキングは、汚れた下水によってダメージを回復する特徴を持つ配下のオブリビオンをダストブロンクス上層に配置し、徹底抗戦の構えを見せています。
　汚染水は戦闘開始後、毎ターン、戦場内の数カ所から噴出します。
　敵は、噴出する汚染水の場所を予測して、そこに移動しようとするので、それを阻止して引き離す事ができれば、有利に戦えるでしょう。

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「リアクション芸が尽きた」
　アリス・セカンドカラー（不可思議な腐敗の魔少女・f05202）が訳のわからないことをい言い出した。
　なんのことはない、またまたダストブロンクスへカチコミかけようぜ☆　という予知を見て、そこにまたまたヒーロー・コンプレークスがいる、というだけの話である。つまり、
「またまた泥レスよ」
　とはいえ泥レス以外のヒーローシチュエーションを提示すればヒーロー・コンプレークスはノリノリで乗ってくれるだろう。そして、それこそがヒーロー・コンプレークスの最大の弱点なのだ。
「例によって例のごとく、『なんやかんやで苦戦しつつも最後には必殺技で大逆転』なヒーローシチュエーションを演じれば有利に戦える筈よ」
　それこそ、汚水で回復出来るなんてことも忘れて没頭することもあるだろう。
「では、頼んだわよ。いってらっしゃい」
　アリスは頭を下げると猟兵達を送り出した。

第1章 ボス戦 『ヒーロー・コンプレークス』

POW   :    ああん♪こんなのがいいかもー♡ 無敵の【妄想シチュエーション】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。 SPD   :    あなたの相手はこれね☆ 【妄想シチュエーション】から、【妄想のシチュを再現】の術を操る悪魔「【対象の掛け算に相応しい相手】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。 WIZ   :    ああ、あんなことやこんなことなシチュがみたい☆ 自身が【妄想シチュみたいなことしたいという妄想】を感じると、レベル×1体の【具現化した妄想のシチュ】が召喚される。具現化した妄想のシチュは妄想シチュみたいなことしたいという妄想を与えた対象を追跡し、攻撃する。 イラスト：しらゆき 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　相手はヒーロー大好き。つまり……性癖以前に熱血展開シチュも大好物と見た！　秋山・軍犬（悪徳フードファイター・f06631）は説明を聞いてそう考えた。
「という訳でこのBGMをくらえっす！」
　そんなわけで軍犬はとあるアニメの曲を流し始めた。マスクが外れるとあかんことになる超人が主人公のプロレスアニメの曲だ。そのBGMをバックに軍犬はナレーションを始める。
「
　第514話 清らかなる湖上の死闘！
　汚染水などどいうものは一滴もない
　マジで汚染水など完璧に存在しない！
　透き通るような清らかな湖にリング上で
　悠然と待ち受けるのは、完璧妄想オブリビオン
　コンプレークス！

　しかし連日の依頼参加でダメージの蓄積した軍犬の姿はまだ見えない！
　いや……何かが水中から？　軍犬か？」
　そのナレーションに変態神の妄想がびんびんに刺激され、その通りのシチュエーションが具現化する。ぶっちゃけリングだけでも足りる気がするが、清らかな湖面が具現化したこのステージに汚染水が入り込む余地はなくなった。
「ケキキーー！！」
　その湖面から一人の少女が飛び出して来てリングインした。その少女は一見戦闘力など皆無に見えた。しかし、その姿を見た軍犬から驚愕の声があがる。
「お、お前は！　悪魔フードファイター グルメ姫！　まっまさかこれはカッコいい激闘の末にタワー〇リッジとかで熱く決める流れ！？」
　完全に解説者ポジションに納まった軍犬の前で、死闘の始まりを告げるゴングの音が鳴り響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「……えぇ……コンプレークスって、あのマジカの同類か？　……いかん、この時点で既に嫌な予感が」
『妄想を具現化ですって？！　ちょっと貴方、相談があるんだケド♪』
　辟易とした声を出すルトルファス・ルーテルガイト（ブレード・オブ・スピリティア・f03888）とは対照的に嬉々とした声を出すロベリア嬢。不穏なことを言い出した大精霊を召喚主であるルトルファスは思わず二度見する。ヤバい、これは確実にヤバい。
　しかし、大精霊からは逃げられない！
「やめろぉ？！」
　どんなに叫んでも、拘束され身動きの取れないルトルファスにはもはやどうすることもできない。諦めたまえ色男。
　ともあれ、召喚主を放置してロベリア嬢は性癖神と不穏な相談を始めた。
『……って感じのシチュエーションなんだけど、どう？』
「おお！　その発想はなかった、あなたが神か！」
『神はあなたでしょう、私は大精霊よ』
「そうだった。でも、お兄さん争奪♪　快楽責め合戦なんて私じゃ思い付かなかったよ」
　そんな会話をしてる間にもロベリア嬢は影の分身を放ち汚染水の噴出口を封鎖していった。そして、性癖神はロベリア嬢に吹き込まれた妄想シチュエーションを具現化する。
『一度やってみたかったの♪』
　ロベリア嬢が楽しそうで何よりです。
「『ヒーローとヴィランのどっちが好きなの？！』」
　ともあれ、そんな感じに迫る大精霊と性癖神に辟易するルトルファスであった。
　なお、最終的には媚薬まで使いだしマスターごと性癖神を生命力吸収したロベリア嬢の一人勝ちであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「泥レス……？　何か分からんが、それに乗って相手が油断するならそれもありか」
　中條・竜矢（変化する竜騎士・f03331）は泥レスがどのようなものかは知らなかったが、泥の中での戦いだということは理解した。汚水もあるような場所だ、どんな戦い方をしても汚れるし、泥にまみれても気にしない。そんな覚悟を決めて戦場に向かう。
　空中戦を得意とするドラゴニアンにとって足場の悪さは問題にはならない。空中から振り下ろされるドラゴンランスの猛攻を凌ぎきるのは困難だ。だが、敵もさるもの、泥を巧みに使って滑るように移動し、ランスを伝って組つこうとしてくる。
「こんな力の使い方もある。ドラゴンの牙よ！　噛み砕け！」
　しかし、竜矢相手に組技など悪手もいいとこであった。体の一部をドラゴンの頭部に変形できるのだ、肌に触れようとすれば腕を食いちぎられる。そして、片腕になればより一層竜矢の猛攻を凌ぐのは難しい。回復をしたくともその隙がない。
「はぁはぁ………積極的だね、そんな貴方に相応しい掛け算の相手はコレ☆」
「はっ？　掛け算の相手……？　相手が増えようが手は抜かんぞ」
　そんな竜矢相手に性癖神は妄想の存在を召喚する。それは逞しい肉体をもった竜派ドラゴニアンであった。
『あら、かわいらしいぼうやだわ。ねぇ、私と掘レーニングしましょ♡』
　それがくねくねとシナを作り裏声でそんな風に竜矢に話しかけてきた。激しい悪寒に襲われる竜矢。本能が理解する、アレに近付いてはダメだ、特に後ろをとられるのダメだ。だが、性癖神が捨て身でドラゴンランスを押さえ込んできた。その隙に妄想ドラゴにバックを取られてしまう、竜矢のお尻がかつてないピンチに陥った。
「な、舐めるなぁ！」
　だが、尻尾をドラゴンの頭に変形することによって難を逃れたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「私の親友にこんな相手させられるか！！　志乃は下がってて、私がやる」
　鈴木・志乃（ブラック・f12101）の第二人格、昨夜が意識へと浮上してくる。自身の得意な得物である光の鎖を手に性癖神に挑む。しかし、その鎖を性癖神に奪われ昨夜は逆に拘束されてしまう。もっとも、ひっじょーーーーに不本意だけど苦戦を演じることにした結果なので規定路線ではある。
「くっくっく、いい様じゃないか」
　それはそれとして、めちゃくちゃ調子に乗っている性癖神が非常にうざかった。
　うざくはあったがやりやすくもあった。念動力でピアノ線を操り捕縛トラップを仕掛けていることに気づかれる様子もない。
　身を捩り責めから逃れるように這い、こっそりと罠の場所へと誘導していく。なんというか、性癖神はとてもチョロかった。チョロすぎて簡単に誘導できてしまった。あまりもチョロすぎて一瞬罠を疑ってしまったがそんな様子もなかった。ともあれ、絶好のチャンスなので念動力で罠を起動し、性癖神を捕縛して吊り上げた。その下に破壊工作用の爆弾を仕掛けていく。
　そうして、仕掛け終えると距離をとり起爆した。更に念押しとして全力魔法の衝撃波も叩き込んでおく。この破壊で出来た諸々で汚水の噴出口を塞ぐつもりではあったがそこまでする必要はなさそうだ。
　念のため、もう少しだけ全力魔法を叩き込んでおいたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年11月15日