アースクライシス2019⑦~汚染水の王
●ヒーローズアース
ニューヨークの動乱を防いだ猟兵達は、スカムキングの本拠地であるダストブロンクスへと攻め込む事になった。
しかし、『肥溜めの王』スカムキングは、汚れた下水によってダメージを回復する特徴を持つ配下のオブリビオンをダストブロンクス上層に配置し、徹底抗戦の構えを見せた。
●ダストブロンクスのクローン
「ンンッ! このニオイ、タマらねぇな! やっぱり、ここは落ち着くぜ!」
ダストブロンクスのクローンにとって、そこは聖地であった。
むせ返るほど濃厚な下水のニオイが、鼻の穴を通り抜けるたび、眩暈にも似た感覚に襲われ、気持ちがハイになった。
ここまで汚染された下水は、どこを探しても、他にはない。
そう思えてしまう程の汚水にまみれ、ダストブロンクスのクローンが恍惚とした表情を浮かべた。
「ねぇ、あんた。ちょっと、吸い過ぎじゃないかい?」
体内から愛人である破壊魔術師アシュリーが現れ、心配した様子でダストブロンクスのクローンに声を掛けた。
「おいおい、これがイイんじゃねぇか。それに美味いモノほど、身体に悪い! 逆に、俺からすれば、これは薬だ。身も心も癒される」
ダストブロンクスのクローンがクールな表情を浮かべ、噴出した汚染水を全身に浴びた。
「まぁ、ほどほどにね。そろそろ、敵も来るようだしねぇ」
そう言ってアシュリーが、やれやれと溜息を漏らすのだった。
●ガジルからの依頼
「これから行く場所は、ちょっと臭うかも知れないんだよ」
ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)がゲンナリとした表情を浮かべ、今回の依頼を説明し始めた。
今回の目的は、ダストブロンクスのクローンを倒す事。
ただし、ダストブロンクスのクローンは、汚染水を浴びるため、ダメージを回復するようである。
しかも、ダストブロンクスのクローンは、噴出する汚染水の場所を予測して、そこに移動しようとするため、それを阻止して戦う必要があるようだ。
汚染水は一定時間ごとに、戦場内の数カ所から噴出するため、完全に阻止する事は難しいかも知れないが、仲間達と協力してダストブロンクスのクローンを倒して欲しいという事だった。
ゆうきつかさ
この依頼は戦争シナリオです。
基本的にOPに書かれていない事は、自分にとって都合よく解釈してかまいません。
汚染水は戦闘開始後、毎ターン、戦場内の数カ所から噴出します。
敵は、噴出する汚染水の場所を予測して、そこに移動しようとするので、それを阻止して引き離す事ができれば、有利に戦えるでしょう。
第1章 ボス戦
『スカムキングのクローン』
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POW : キングスレイジ
【自分よりも美しい存在への妬み】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : アシュリー・ストライク
【体内から愛人である破壊魔術師アシュリー】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : スカム・パレード
自身が【敵への殺意】を感じると、レベル×1体の【汚染物質の肉体を持つヘドロ生命体】が召喚される。汚染物質の肉体を持つヘドロ生命体は敵への殺意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:V-7
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アイシス・リデル
あなた、わたしとおんなじだね
くさくて、きたなくて
だけど、あなたは独りじゃないんだね
いいなぁ
まずは汚染水が噴き出るところを探す、ね
見つけたら、不浄の器の力で、わたしの中に汚れを取り込んで
敵が回復に使えないように、きれいな水にお【掃除】しちゃうから
わたしには【毒耐性】があるから大丈夫、だよ
そうやって取り込んだ……「食べた」汚染水の毒で
【暴食者】を使って、わたしの身体をおっきく、つよくして戦うね
敵がおっきくなるなら、それよりももっとおっきくなる、よ
そのための毒なら、いっぱいあるもん、ね
わたしはきれいなんかじゃない、けど
きれいなものを見るのが、好きだから
それを守りたいから、戦うの
だから、やらせない、よ
雨音・玲
【共闘歓迎】
うっ、ぷっ、、、マジか他の場所と比べれねぇぐらい最大級にくせぇし
やべぇ目がいてぇ…
ダストブロンクスのクローンに正直近づきたくない!!
吐き気が酷いし、むしろ触りたくない!!
今回は遠距離攻撃である「虚空一閃」を主軸に立ち回ります
只心配なのは、これだけ変な匂いがする場所だ
発火性のガスが充満してて、火属性の技で引火大爆発とかねェよな…
…いや、大丈夫だろ、可能性はあくまで可能性…
さくっと嫌がらせと撃退して帰ろう。シャワー浴びたいし
野生の勘+地形の利用+情報収集を屈して
クローンが汚染水に移動しようとしたタイミングで
「虚空一閃」を放ち移動を妨害します
…クローンってことは本体が居るのか
マジ嫌だな…
エメラ・アーヴェスピア
猟兵だから仕方ないとはいえ、ここは本当にキツイ環境ね…
でも一度はクローンとはいえ、スカムキングを偵察しておきたいし…我慢しましょう
それじゃあ、作戦開始よ
殺意を感じると召喚される…?あら、もしかして…?
『この場は既に我が陣地』
戦闘地域の各所に砲撃が命中した時に汚染水の場所から引き離せるようにに砲台を設置よ
場所が分からないのなら【情報収集】してからね
発射条件は敵を感知した時…完全にオートね
…さて、問題よ。敵を見つけたら撃つだけの只の砲台が、殺意なんて抱くかしら?
…まぁ、もし距離を取って離れている私と合ってしまったら、私は追跡するでしょうけど
その時は再び離れて迎撃すればいいだけよ
※アドリブ・絡み歓迎
ミルケン・ピーチ
SPDで行きます
17歳ボディの桃姫で出撃
アシュリーさん動けたんですね…なんとなくそこから出られないかと…
ともかく、相手のアシュリー・ストライクに合わせてこちらも【アナザーミルクプリーズ】を発動、2対2の状態に持ち込みます
幼女ボディのぺしぇが「おばちゃん」連呼して【挑発】しアシュリーを引きつけ、私はスカムキングに殴りかかります
【狂気耐性】や【毒耐性】で汚さに耐えながら【グラップル】で掴み、【怪力】で下水のない方へ投げ飛ばします
同時にぺしぇもアシュリーを同じように投げ飛ばし、丁度ぶつからせ、さらにそこから挟みこむように二人で追撃の【2回攻撃】
そのまま挟み撃ちして逃がさないようにします
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「なるほどスカムキングのクローンなのね」
前哨戦としては申し分ないけど、戦場は最低の場所ね
■作戦
弟と連携して汚染水を凍結し、氷壁でを囲って敵を汚染水から隔離する
■行動
「さすがに『肥溜めの王』と言われるだけはあるわね」
汚染水を浴びて平気な相手に呆れつつフォーカスでロックオン。
弟の妨害UCに続いて[全力魔法]で【フィンブルの冬】を発動。
[範囲攻撃]で氷雪の竜巻を戦場全体に広げ広範囲の汚染水を凍結させる
「フォルセティ、いつものアレお願い」
【フィンブルの冬】で攻撃を続けながら弟に氷の迷宮を作り出してもらい、
敵を汚染水から隔離して回復手段を遮断する
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「これちょっとってレベルじゃないよー」
鼻が曲がるほど臭ーい! ガジルさんに騙されたー
フィオ姉ちゃんと一緒に、スカムキングのクローンを汚染水に触れさせずに倒すよ
【行動】()内は技能
「うわー、汚いからこっちこないでよ」
敵が動き出す前に(先制攻撃)でバーラ・スーペルノーバだよ
汚染水の場所に簡単には移動させないよ。
フィオ姉ちゃんの吹雪の攻撃で視界が悪くなった隙に、
「氷の迷宮に閉じ込めちゃえー」
(高速詠唱)でラビリント・ネプトゥノを発動
狭い場所だから迷宮効果は薄いけど、汚染水から隔離する狙いだね。
ヘドロ生命体が襲ってきたらロンギヌスの槍で一網打尽だよ
尾守・夜野
くせぇ…行きたくねぇ
うぐ…無理…きぼちわるい
入口にすら入れないかもしれない
うん
凄く遠くになんかでかくなってる敵が見えるかも知れんけど…
吐き気でそれどころじゃない
今の俺の状況見て、美しいとか思えると思うか?
汚ぇ虹がうちあがっとるわ
汚水がいくら好きな敵でも…寄りたいとは思わんのでは?
来るとしたら相当特殊な性癖と認識するぞ
どうにかこの臭気をするためにUC発動
壁や床を元に、【汚水適応】特性をつけた植物を生成
定期的に溢れる?
溢れた側から植物は吸い尽くすだろう
…そして汚物に濡れた敵もまたこの植物にとっての飯だ。養分だ
勝手に繁殖して向かっていってくれると思われる
…吐き気が酷くて俺動けないけどな!
フェイルシア・インパーサ
下水道!なんだか昔の冒険を思い出してワクワクしますわね!
●戦術
選ぶ魔力は【水の魔力】
強化するのは【攻撃力】
本当は防御力を強化したいですがこのフィールドでしたら長期戦は厳しいですわね
かなり気が立っているでしょうし[フェイント]をかけて攻撃を誘導し
[見切り]ながら[カウンター]を狙いましょう
ある程度のダメージは[激痛耐性]で頑張ります!
相手が汚染水に移動するのでしたら
そちらに向けて[高速詠唱]後「冷気」を込めた[属性攻撃]を放って凍結させます
攻撃力を強化しているのでトゲトゲの氷柱になるでしょうね
先手を打てるように
余裕があれば事前にいくつか汚染水が出そうなところを凍らせてしまいますわ
ヒルデガルト・アオスライセン
汚染と不浄には慣れております
その物体に抱くのは殺意ではなく、日々当たり前のように過ぎ去る顔も憶えていない通行人のような無関心さです
それでもヘドロ生命体が飛んで来るようなら
属性攻撃から氷のオーラ防御、凍結爆弾瓶を生み出し、纏めて凝固・無力化させ
これに破魔の刃を突き立て砂に還します
影の追跡者を召喚し
スカムキングの位置情報確認、脚への執拗な攻撃で機動力を落とし、回復へ向かわせないように時間稼ぎをさせます
私はそれとは別に
スカムキング付近の汚染噴出孔から氷の魔法で塞ぎ、地道に一つ一つ浄化の刃で清め、清潔無害な水に変化させていきます
ヴィサラ・ヴァイン
うわぁ、すっごい臭い…正直あまり長居はしたくないよね…なるべく近付かずに対処したいところ
汚染水の噴出場所に向かうスカムキングを【メドゥーサの魔眼】で遠くから足止めするよ
これで回復させずに済む…ってめっちゃヘドロ生命体が追って来てる!?
そういえばスカムキングって、しょうもない命令とか非道な命令をしてた奴だ
クローンだけど油断しちゃいけないよね…あまりに汚い場所で忘れてたよ
逃げ回るついでに[目立たない]ように、[第六感]で汚染水の噴出場所を察知してなるべく先に石化させて回るよ
早く終わらせて一旦お風呂に入りたい…
バーン・マーディ
恐るべき相手だが挑まずに何がヴィランか
【戦闘知識】で冷徹に汚染水の吹き出す場所と敵の動きからタイミングの把握
ユベコ発動
(かつて猛威を振るったスピード怪人と瓜二つで服等が黒くなってる怪人が現れる
さて…嘗てのお前を超えるやも知れぬ存在だが…やれるな?
【オーラ防御】展開
可能な限り汚染水の吹き出さないポイントで激突
敵の攻撃に対し【武器受け】で受け止めダメージの軽減狙
【カウンター・怪力・生命力吸収・吸血】で正面から反撃激突
怪人
狭くて臭いですね此処は(暴風で身を護
【超々高速機動戦術】で回避
【二回攻撃】【笑う竜巻】で汚染水を吹き飛ばしたり移動しようとするのは須らく妨害
更にアシュリーに対しても竜巻で巻き込む!
●汚泥の中に潜むモノ
「……この先か」
バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、デュランダル怪人「速さの極を求めし者」(ハヤサヲモトメシスピードカイジン)を召喚し、荒れ狂う暴風で身を守りながら、仲間達と共に下水道の中を進んでいた。
下水道の中は沢山のゴミが浮かんでおり、ぬかるんだ汚泥に何度も足を取られそうになった。
「狭くて臭いですね、此処は……」
かつて猛威を振るったスピード怪人と瓜二つのデュランダル怪人が、警戒した様子で辺りを見回した。
下水道の奥に進むにつれ、何かが腐ったようなニオイが、身体に纏わりつくようにして、ネットリと漂ってきた。
「確かに、すっごい臭い……。正直、あまり長居はしたくないよね……。なるべく近付かずに対処したいところだけど……」
ヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)が複雑な気持ちになりつつ、下水道の奥に進んでいった。
その間も、ネバりつくような腐臭が、身体に纏わりついてきたため、それを払い除けるようにして、さらに奥に進んでいった。
「うぐ……無理……きぼちわるい」
一方、尾守・夜野(墓守・f05352)が青ざめた表情を浮かべ、下水道の壁に手をつき、口元を押さえようとした。
何とか頑張って奥まで来たものの、下水道の壁はヌルヌル、手もベットリしていて臭かった。
この時点で、此処に来た事を後悔したが、いまさら帰る訳にも行かないほど、奥まで進んでいた。
「うっ……ぷっ……、マジで他の場所と比べれねぇぐらい最大級にくせぇし……。やべぇ、目がいてぇ……」
雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)もブルーな気持ちになりながら、今にも倒れそうな勢いでフラついた。
だが、此処で倒れる訳には行かない、マジ汚いッ!
まるで汚染された水が『おいで、おいで』しているような状態になっているものの、そのまま流れに身を任せて突っ伏したら、最後。
意識を取り戻したのと同時に、過去の自分を恨むほどのトラウマを負ってしまう事だろう。
「……と言うか、これ……ちょっとってレベルじゃないよー。鼻が曲がるほど臭ーい! ガジルさんに騙されたー」
フォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)が魂の抜けた表情を浮かべ、ガジルの顔を思い浮かべた。
おそらく、ガジルレベルにとっては、序の口。
悪食ガジルからすれば、可愛いモノなのかも知れない。
一体、何と比べているのか分からないが、喉の中に異物が入ってくるような感じで、異様なニオイが纏わりついてきた。
「猟兵だから仕方ないとはいえ、ここは本当にキツイ環境ね……。でも、クローンとは言え、スカムキングを偵察する事が出来るのだから……ここは我慢よ……」
エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が、激しい眩暈に襲われながら、自分自身に言い聞かせた。
それだけで納得する事が出来ない程、異様なニオイが纏わりついてきたものの、心を無にする事によって何とか回避する事が出来た。
「確かに、普通と比べて臭いかもしれませんが、慣れてしまえば問題ありませんわ」
それとは対照的にヒルデガルト・アオスライセン(リベリアス・f15994)が、まったく気にしていない様子で答えを返した。
元々、汚染と不浄に慣れているせいか、表情ひとつ変えず、下水道の奥に進んでいった。
「それに、ワクワクが止まりませんわ! 何だか昔の冒険を思い出しますわね」
フェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)がハイテンションで、下水道を駆け抜けた。
その途端、フェイルシアの視界に飛び込んできたのは、汚染水にまみれたスカムキングのクローンであった。
「おうおう、ここが何処だか分かっているのか! ここは俺の縄張り……。何の許可もなく、足を踏み入れてイイ場所じゃねぇぞ!」
その途端、スカムキングのクローンが、殺気立った様子で猟兵達を睨みつけた。
「ええ、分かっているわ。ここには戦うために来たのだから……」
フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)が、スカムキングのクローンと対峙しながら、少しずつ間合いを取った。
前哨戦としては申し分ないが、戦場としては、最低最悪。
故に、汚染水にまみれたスカムキングのクローンが、意思のある汚物のように見えてきた。
「なるほど、戦うため……か。でも、それはちょっと違うなぁ。戦うためじゃねえ。死ぬ……ためだ!」
スカムキングのクローンが滝のように流れ落ちた汚染水を浴びながら、猟兵達に対してクサイ息を吐きかけた。
「さすがに『肥溜めの王』と言われるだけはあるわね」
それを目の当たりにしたフィオリナが、呆れた様子でオートフォーカスをロックオン!
「それは、まさに誉め言葉だな。お前達も幸せだろ? こんな天国みたいな場所で死ぬ事が出来るんだから……」
スカムキングのクローンがニンマリと笑い、自信に満ちた表情を浮かべていた。
そんなスカムキングの言葉を祝福するようにして、沢山のハエが一斉に辺りを飛び回っていた。
「何が天国だ! 地獄の間違いだろうが! 嘘だと思うんだったら、今の俺を見ろ。これが幸せそうに見えるか? 汚ぇ虹が打ち上がっとるわ」
夜野が朦朧とする意識の中で、スカムキングのクローンを睨みつけた。
「よく見れば、お前……美味そうだな? おおっと勘違いするんじゃねぇぞ! お前が考えている方の意味じゃねえ」
スカムキングのクローンが、まるで品定めするようにして、夜野の身体を舐め回すようにして視線を送った。
(「……と言うか、どっちだ!」)
そのため、夜野は混乱した。
どちらにしても、とにかくヤバイ。
スカムキングのクローンが、相当特殊な性癖を持っている事は間違いない。
そういった意味でも、近寄り難い雰囲気が漂っていた。
「正直、近づきたくないんだが……」
そんな空気を察した玲も、必要以上に距離を取った。
その間も、吐き気を催すほど濃厚な臭気が辺りに漂っていたため、スカムキングのクローンに攻撃する事すら躊躇う程になっていた。
もちろん、戦わなければ、帰れない。
その事が分かっていても、近づく事が出来ない程、玲の前に見えない壁が出来ていた。
「つーか、お前ら纏めて食っちまうか……なーんてな!」
スカムキングのクローンが猟兵達の顔を近づけ、黄ばんでネバついた歯を見せた。
「うわー、汚いからこっちこないでよ」
これにはフォルセティもドン引きした様子で全身に鳥肌を立たせ、バーラ・スーペルノーバを発動させると、銀河を象った魔道帽から漆黒の魔力弾を次々と放ち、その場に超重力の磁場を発生させた。
「な、なんだ、こりゃ! 随分と乱暴な挨拶だなッ!」
その影響でスカムキングのクローンが膝をつき、恨めしそうに猟兵達を睨みつけた。
その気持ちを代弁するようにして、沢山のハエが抗議のダンスを踊っていた。
「あなた、わたしとおんなじだね。くさくて、きたなくて……。だけど、あなたは独りじゃないんだね……いいなぁ」
そんな中、アイシス・リデル(下水の国の・f00300)が、羨ましそうにスカムキングのクローンを見た。
「だったら、俺の仲間になれ。嫁は何人いても、困らねぇしな!」
スカムキングのクローンがゲスな笑みを浮かべ、自分の身体にアイシスを取り込もうとした。
「ちょっと、あんた! 浮気は駄目だよ!」
その途端、スカムキングのクローンと同化している破壊魔術師アシュリーが、イラついた様子で釘をさした。
「だ、駄目か。俺としては、理想的な形だと思ったんだけどなあ」
その答えを聞いたスカムキングのクローンが、ションボリとした様子で肩を落とした。
「……と言うか、アシュリーさん動けたんですね。なんとなく、そこから出られそうな感じですが……」
ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)が驚いた様子で、アシュリーをマジマジと見つめた。
「誰だい、あんたは? まあ、どうでもイイ事だけど……。出るも何も、あたしらは一心同体。こうやって、身体の中を出たり入ったり出来て当然だろ」
アシュリーがスカムキングの体内を出入りしながら、ミルケンに対して答えを返した。
「お、おい、やめろ。こんな時に恥ずかしいじゃねえか!」
そう言ってスカムキングのクローンが、恥ずかしそうに頬を染めた。
その間にミルケンがアナザーミルクプリーズを発動させ、幼女ボディのぺしぇを呼び寄せた。
「でも、若い娘には勝てなかったようね、おばちゃん」
ぺしぇはアシュリーを見下した様子で、禁断の言葉を吐き出した。
「いま、なんて言ったんだい?」
その言葉が引き金となって、アシュリーがこめかみをピクつかせた。
『おばちゃん』と言う言葉で、心がえぐり取られたのか、イイ笑顔を浮かべつつ、スカムキングのクローンがドン引きするほどの殺気を漂わせた。
「えっ? おばちゃんに、おばちゃんって言ったら駄目なの? だって、おばちゃんでしょ?」
ぺしぇが穢れのない円らな瞳で、アシュリーに問いかけた。
「ちょっと、あんた! それは聞き捨てならないねぇ! しばき倒してやるから、そこで大人しくしておきな!」
その答えにアシュリーがブチ切れ、スカムキングのクローンから飛び出した。
「おばちゃん、おばちゃん、おばちゃん」
その間、ぺしぇはアシュリーを挑発しながら、楽しそうに辺りをバシャバシャと飛び跳ねた。
「あんただけは……ぶっ殺す!」
それと同時に、アシュリーの中で何かが壊れ、鬼のような形相を浮かべて、ぺしぇの後を追いかけ回した。
一方、ミルケンはスカムキングを牽制しつつ、隙を見て殴りかかった。
「それじゃ、さくっと撃退して帰るとするか」
玲が虚空一閃(コクウ)を発動させ、燃える拳の炎を圧縮すると、高速で打ち出した熱線で、アシュリーを攻撃した。
それと同時に、玲が放った炎が引火性のガスに引火し、大爆発を起こしてアシュルーの身体を炎に包んだ。
間一髪で猟兵達は物陰に隠れる事が出来たものの、アシュリーは瀕死の重傷ッ!
「ア、アシュリー!」
それに気づいたスカムキングのクローンが、即座に駆け寄ろうとしたものの、ミルケンが様々な耐性をつけて、汚れに耐えながら行く手を阻み、グラップルで掴むと、力任せに投げ飛ばして、アシュリーにぶち当てた。
「ひ、酷いよ、あんた……」
その一撃を喰らったアシュリーが、ドロドロに溶けるようにして息絶えた。
「ア、アシュリィィィィィィィィィィィィィイイイ!」
それを目の当たりにしたスカムキングのクローンが、信じられない様子で悲鳴を上げた。
「お前ら、許さねぇ! どうせ、俺が汚ねぇから! 自分達がきれいな存在だと思っているから、排除してぇだけだろ!」
次の瞬間、スカムキングが自分よりも美しい存在への妬みの感情を爆発させ、殺意のオーラを身に纏うようにして戦闘能力を増大させた。
「……随分と気が立っているようですわね」
それを迎え撃つようにして、フェイルシアがトリニティ・エンハンスを発動させ、水の魔力で自らを強化し、攻撃力をアップさせた。
「でも、大丈夫。みんな綺麗にしちゃうから」
その間にアイシスが不浄の器の力で、自分の中に汚染水を取り込み、毒耐性で中和して、綺麗な水に変えた。
「てめぇ! 何をしてやがる!」
その事に気づいたスカムキングのクローンが、危機感を覚えてアイシスに殴りかかった。
「邪魔をしてもらっては困りますわね」
すぐさま、フェイルシアがスカムキングのクローンにフェイントを掛けつつ、その動きを見切るようにして死角に回り込み、カウンター気味に攻撃を繰り出した。
「わたしはきれいなんかじゃない、けど……。きれいなものを見るのが、好きだから、それを守りたいから、戦うの。だから、やらせない、よ」
それと同時にアイシスが母なるアイシス:暴食者(マザー・アイシス・グラトニー)を発動させ、自らの体内に取り込んだ汚染水から生成された毒液で、自身の体積を増加させ、戦闘力を増加させた。
「こ、こりゃ、マズイ事になったな。お、俺も汚染水でパワーアップしねえとな!」
その途端、スカムキングのクローンが身の危険を感じ、汚染水を浴びるため、慌てた様子で走り出した。
それに合わせて、ヒルデガルトが影の追跡者(シャドウチェイサー)を召喚し、目立たないようにしながらスカムキングのクローンを追跡させた。
「そうはさせませんわ!」
その間に、フェイルシアが高速詠唱で冷気を込めた属性攻撃を放ち、吹き出した汚染水を一瞬にしてトゲトゲしい氷柱に変えた。
「畜生ッ! 余計な真似をしやがって!」
スカムキングのクローンがイラついた様子で踵を返し、別の汚染水を浴びるため、全速力で走り出した。
「……そこか」
バーンがオーラ防御を展開すると、先回りするようにして噴出口の前に陣取り、大量の汚染水を全身に浴びた。
次の瞬間、大量の汚染水が噴き出してきたものの、バーンがそれを塞ぐようにして壁になった。
「……少し大人しくしていてくださいね」
続いて、ヴィサラがメドゥーサの魔眼(ペトロゲイズ)を使い、両目から魔力を込めた視線を放ち、スカムキングのクローンを石化した。
「畜生ッ! 間に合わなかったか!」
石化は一時的なモノであったが、その間に汚染水の噴出が止まってしまったため、スカムキングのクローンが悔しそうに足踏みした。
「何度やっても無駄よ。もう準備が整っているから……」
即座にエメラがこの場は既に我が陣地(シェリングテリトリー)を発動させ、305体の小型戦闘用魔導蒸気砲台を召喚し、一斉砲撃によってスカムキングのクローンを汚染水の噴出孔から引き離した。
「さて……、嘗てのお前を超えるやも知れぬ存在だが……やれるな?」
そんな中、バーンがデュランダル怪人に声を掛け、スカムキングのクローンと戦う意志があるのか念のため確認をした。
「ええ、もちろん」
その気持ちに応えるようにして、デュランダル怪人が荒れ狂う暴風を身に纏った超々高速機動戦術で、スカムキングのクローンの攻撃を回避しつつ、「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣の二回攻撃で反撃した。
影の追跡者もスカムキングのクローンの機動力を落とすため、執拗に脚を攻撃した。
「うぐぐ、邪魔だ! 退けぇ!」
スカムキングのクローンが、今にも消え去りそうな声で叫び声を響かせた。
「もう手遅れですわ」
ヒルデガルトが氷の魔法で汚染水の噴出孔を塞ぎ、浄化の刃で清めて、清潔無害な水に変化させた。
「俺の聖地がああああああああああああああ!」
それを目の当たりにしたスカムキングのクローンが、汚染物質の肉体を持つヘドロ生命体を何十体も召喚した。
「これで回復させずに済む……って、めっちゃヘドロ生命体が追って来てる!? そ、そういえばスカムキングって、しょうもない命令とか非道な命令をしてた奴だっけ? あまりに汚い場所で忘れてたよ」
ヴィサラがハッとした表情を浮かべ、ヘドロ生命体から逃げ回った。
そのドサクサに紛れて、目立たないようにしながら、第六感で汚染水の噴出口を察知しつつ、石化させて塞いでいった。
これも早く戦いを終わらせて、お風呂に入るため……。
身も心もリフレッシュするためには、必要な事だった。
「こんな事をしたところで、時間稼ぎにもなりませんわよ」
ヒルデガルトが凍結爆弾瓶を投げつけ、ヘドロ生命体を爆発に巻き込み、破魔の刃を突き立て砂に還した。
だが、ヘドロ生命体は次々と生み出され、猟兵達に襲い掛かってきた。
「いや、これで十分だ!」
スカムキングのクローンがヘドロ生命体を盾代わりにしながら、再び汚染水を目指して走り出した。
「汚染水の場所には移動させないよ」
それに気づいたフォルセティがロンギヌスの槍(ランサ・ロンギヌス)を発動させ、氷属性の魔法の槍でヘドロ生命体を倒していった。
「フォルセティ、いつものアレお願い」
その間に、フィオリナがフォルセティに合図を送り、スカムキングのクローンの行く手を阻むようにして回り込んだ。
「氷の迷宮で迷っちゃえー!」
それに合わせて、フォルセティがラビリント・ネプトゥノを発動させ、視界を遮る霧を発生させ、絶対零度の氷壁で出来た迷路にスカムキングのクローンを閉じ込めた。
「すぐに出る事が出来ると思ったら、大間違いよ」
続いてフィオリナがフィンブルの冬(インビエルノ・デ・フィンベル)を発動させ、光り輝く白銀のドレス姿に変身すると、凍てつく氷雪の竜巻でスカムキングのクローンを攻撃した。
「畜生! 畜生! 畜生!」
その事に腹を立てたスカムキングのクローンが、再びヘドロ生命体を召喚した。
「……さて、問題よ。敵を見つけたら撃つだけの只の砲台が、殺意なんて抱くかしら? つまり、いくらヘドロ生命体を召喚したところで、ただの的よ」
エメラが小型の戦闘用魔導蒸気砲台で、ヘドロ生命体を全滅させた。
「はあはあ……、さっきはよくも……やってくれたな。だが、これで終わりだ。お前達は……お終いだ」
その時間を使って、スカムキングのクローンが迷路から脱出し、荒々しく息を吐き捨てた。
既に息も絶え絶えではあるものの、全く戦意は衰えておらず、むしろヤル気になっていた。
「終わりなのは、お前だ! さぁ、収穫祭の始まりだ!」
次の瞬間、夜野が【襲】穫祭(ハーヴェスト)を発動させ、壁や床を元に、汚水適応特性をつけた植物を生成した。
「うわ、やめ、やめろおおおおおおおおおおお!」
それと同時に汚泥を栄養分にして急成長した植物が、スカムキングのクローンを養分にして取り込んだ。
そのため、スカムキングのクローンは、悲鳴すら上げる事が出来ず、植物の一部となって息絶えた。
「これで何とか倒す事が出来たようだが、こいつってクローンなんだよな。つー事は本体がいるって事か。マジで嫌だな」
そう言って玲が複雑な気持ちになりつつ、深い溜息を漏らすのだった。
大成功
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