アースクライシス2019⑧~石英の庭
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グリモアベース内部。
洞窟の調査を終えて集まった猟兵たちの前に、一つの画像データが提示された。映っているのは一枚の石版。形状は、十の戒律を記したと言われる石の板とよく似ている。
「これは鍵の石版と呼ばれるものです。皆さんの調査によって判明したパンゲア大空洞、そのあちこちに隠されている不思議な石で、一定の枚数を集めると、センターオブジアースへの道が開くとされています」
プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)の手によって、映像が切り替わる。
次に出てきたのは、パンゲア大空洞内部の様子だ。石版によって不思議な力が満ちる空間では、恐竜たちが闊歩し、巨大化した植物たちが幅を利かせている。
「今回の探索は、この鍵の石版を発見することにあります」
プルミエールの指がとある一点を指し示す。
「石版はこの巨大樹の森の奥にある、石英の庭と呼ばれる場所に隠されています」
石英の庭。地中から成長した水晶がブッシュのように並び、地面を埋め尽くしている場所だ。森の奥にあって静謐さを湛えるその場所は、実に幻想的な輝きを放っている。
「ですが、庭へ辿り着く前に皆さんが通らなければならないこの森は、大樹の枝葉を食べる恐竜、ブラキオサウルスやトリケラトプスたちの餌場にもなっています」
恐竜たちは普段こそ大人しいが、自分たちの縄張りへ入ってきた異物には容赦がない。
また、森に生育している植物は、視界を遮るほど大きく肉厚なものが多いので、うっかり足で踏み抜いたり、棘に触れたりしないように注意する必要がある。
食虫植物にも注意が必要だ。
「恐竜の大きさは一番小さいものでも三メートルはあります。大きいものだと……最大三十メートルになる生体もいるようですね」
恐竜に関しては、力の差を見せつけたり、ある程度ダメージを与えれば逃走させる事が可能だ。また、上手く立ち回れば手懐けることも出来る。
だがいずれにせよ、探索を行う場合には、充分に気をつける必要がある。
映像を閉じたプルミエールは猟兵たちへ向き直り、恭しく頭を下げた。
「センターオブジアースへの道が開かれるか否かは、皆さんに掛かっています。モニュメントバレーの戦闘を終えたばかりでお疲れだと思いますが、どうぞ宜しくお願いします」
ユキ双葉
今回のシナリオは『アースクライシス2019』に関連した内容です。
構成は一章のみで、石版の発見が目的となっています。
また今回のシナリオフレームには、プレイングボーナスがあります。
●プレイングボーナス
恐竜を無力化する/仲間にする。
恐竜は自分のテリトリーに入ってきた異物を好ましく思わず、襲い掛かってきます。
力の差を見せ付けるか、ある程度のダメージを与えることで、恐竜は逃走します。
なお、当シナリオで発見できる「鍵の石板」は一つのみとなります。
第1章 冒険
『パンゲア大空洞の大冒険』
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POW : 探索の妨害となる恐竜を力づくで排除しつつ、正面から探索する
SPD : 見つからないように移動するなどして恐竜に邪魔させず、周囲の状況を良く確認し、探索を有利に進める
WIZ : 知恵を駆使して恐竜を懐柔あるいは排除し、探索の為の作戦を考案する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
亜儀流野・珠
ほう、石英の庭!
綺麗なんだろうな。捜索ついでに少し楽しませて貰うとするか!
とは言えまずは辿り着かんとな。
目的地は分かっていることだしサクっと駆け抜けるとするか!
薙刀「狐の爪」を持ち、「風渡り」にて空を蹴り空を駆け障害を回避しながら進もう!
どうしても邪魔な枝葉やツタ等あれば薙刀で裂き。
怒った恐竜あれば縄張りに入り込み済まない、この先に大事な用がある、すぐ抜けるから許してくれ!と【動物と話す】を駆使し声掛けだ。あっちからしたら普通に俺が侵入者だからな!
それでも襲って来るなら避けて逃げて進もう。
難しそうなら火を吹く扇「尾踊」で炎の風を眼前に起こしびっくりさせて足止めだ!勿論当たらんように加減するぞ!
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森を見下ろせる崖の上。胡坐を掻いている亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)は、両手で即席の望遠鏡を象って森全体を眺めていた。
「あの中に石英の庭があるのか。きっと、綺麗なんだろうな。探索ついでに少し楽しませてもらうとするか!」
感興に満ちた尻尾がぽふぽふと揺れる。と、呼応するように地面が低く揺れた。森から伝わってくる低い振動は、恐竜たちの足音だ。
珠は思い切り伸びをして立ち上がった。
「とは言え、まずは辿り着かんとな。目的地は分かっていることだし、さくっと駆け抜けるとするか!」
薙刀を構えて崖からジャンプした珠は、そのまま空中を蹴り続けながら森へ近付いて行った。
眼前に迫る巨大樹の森。珠は一段上へ高く跳び、木々に行く手を阻まれることを回避する。それでも、育ちすぎた枝葉が足に引っ掛かることもある。そんな時は薙刀を大きく振り、枝葉を伐採して進んだ。
「ふむ」
眼下を過ぎる森を見ながら、珠はあることに気がつく。近くで見ると分かるが、森にも高低差がある。その周囲より少し低い場所へ差し掛かった時。
「!!!」
枝葉の隙間からぎょろりとした目がこちらを覗いた。ブラキオサウルスの黒目だ。
珠の姿を確認したブラキオサウルスは、瞬く間に警戒態勢へ入り咆哮を上げた。珠は思わず足を止め、近くの太い枝へ着地する。
「そっちにしたら普通に俺が侵入者だもんな」
恐竜が怒るのは当然だ。しかも、よく見ると親子連れである。珠は急く気配を押しとどめて、ゆっくりと母サウルスへ話し掛ける。
「不用意に近付いて済まない、この先に大事な用がある。すぐ抜けるから許してくれ!」
『……GOAAAAAA!!』
恐竜は鼻息荒く吼えた。子を守るため、過度の興奮状態にあるらしい。
「駄目か、っとぉ!」
母サウルスが珠のいる樹へ体当たりしてきた。珠は素早く飛び上がり、二度、空中を蹴って上空へ回避する。
それでも母サウルスは執拗に追いかけてきた。長い首が珠の尻尾へ食いつこうと伸びてくる。
「ごめんな。でもここはどうしても通らなきゃいけないんだ!」
空中で身を翻した珠は取り出した扇を広げる。『尾踊』。その絵柄は今燃え盛る炎――。
「はっ!」
扇を一払いすると、恐竜の鼻先で竜巻のような炎の風が巻き起こった。無論、恐竜に直撃しないように火力は調整済みだ。
母サウルスは驚いたように進撃を止めた。遠ざかる景色の中で、母サウルスは頭を振って火の粉を払い、踵を返していった。
「それじゃ、一気に行くか!」
恐竜の脅威を払いのけた珠は、再び目的地を目指して進んだ。
大成功
🔵🔵🔵
ロア・メギドレクス
GgGgRRrrRwWwWW!!
余の咆哮を聞け、竜ども!我が眷属どもよッ!
余こそいにしえに星を統べし万竜の支配者!王竜メギドラウディウス・レックスが化身であるぞ!
王に手向かうとは何事だ!頭が高い!頭を垂れよ!伏して恭順を示せ!
【恐怖を与える】。余の【威厳】が支配する!逆らう者には容赦せぬ。余はもとより暴君である!
【王は此処に在りて】、汝らに王命を下す!これより余に同道し、石板探索に尽力せよ!
特にトライセラトプス!汝らの体躯の力強さは敬服に値する。故に、余の乗騎を命じよう。
あとは蛇の道は蛇。竜の道は竜よ。原生の竜どもに案内役を任そう。適材適所であるな。
うむ、大儀であった。褒めて遣わそう。
●
上から行くもの在れば、真正面から堂々と進むもの在り。
不気味に絡み合う大樹の根、行く手を阻む食虫植物、鬱蒼と視界を遮るシダの葉。それら全てに臆せず、ロア・メギドレクス(獄竜暴君・f00398)は獣道を進んでいく。
当然、恐竜たちにとってそのような横暴は許されない。恐竜たちはロアを追い立てようと周囲に集まってくる。だが、ロアは臆することなく恐竜たちを睨みつける。
「GgGgRRrrRwWwWW!!」
大地にまで響く咆哮が、巨大な木々を揺らし葉を散らせる。ロアの咆哮は恐竜たちにも威圧感を与えた。
びくりと身を竦ませる恐竜の群れへ、ロアは立て続けに大きな声で一喝してみせる。
「余の咆哮を聞け、竜ども! 我が眷属どもよッ! 余こそいにしえに星を統べし万竜の支配者! 王竜メギドラウディウス・レックスが化身であるぞ!」
びりびりと周囲に轟く覇気は、この近隣では見かけない肉食恐竜のそれと同じだ。ロアが恐竜たちに与えたのは、捕食される恐怖。
それでも、ロアへ向かってくる一体がいた。トリケラトプスの中でも一番大きな個体。ロアは逃げもせず堂々と言い放つ。
「王に手向かうとは何事だ! 頭が高い! 頭を垂れよ! 伏して恭順を示せ!」
トリケラトプスはそれ以上、距離を詰めることが出来ない。群れが見守る中、土を削ってじりじりと後退したトリケラトプスは、徐々に膝を折った。
暴君の如く振舞う一方、ロアは自分が堂々と立ち振る舞った時間を計算していた。森の奥を目指すには十分な時間だろう、と。
頃合を見計らって、ロアは恐竜たちに命令を下す。
「汝らに王命を下す! これより余に同道し、石板探索に尽力せよ! 特にトライセラトプス! 汝らの体躯の力強さは敬服に値する。故に、余の乗騎を命じよう」
先程、勇敢にも向かってきた一体へ近付く。
すぅと下がったトリケラトプスの頭を見たロアは、当たり前のように角へ手を掛け、ゴムのように張りのあるフリル部分を越えていった。
ロアがせっせと背中へ登っている間も、トリケラトプスは微動だにしない。完全なる服従だ。トリケラトプスの背中へ跨ったロアは、周囲の景色を見渡して言った。
「……ふむ。あとは蛇の道は蛇。竜の道は竜よ。原生の竜どもに案内役を任そう。さぁ、余を石英の庭とやらまで案内するが良い!」
ロアの声を合図に、恐竜たちは一斉に走り出した。巨大な昆虫の下を勢いよく掻い潜り、何食わぬ顔で口を開いていた食虫植物を蹴散らし、複雑に絡み合った大樹の根は勇ましく踏み越えていく。
周囲の景色は徐々に移り変わっていった。まばらに花開く石英。それらが徐々に増え、サイズも大きなものを見かけるようになった頃、急に視界が開けた。
恐竜たちは徐々に減速し、足を止める。
「……ここが石英の庭とやらか」
トリケラトプスの背中から見える景色は幻想的だ。
七色に輝く大地は、恐竜たちに踏みつけられた石英が砕けて地面を覆っているからだ。大樹から生えた石英は、螺旋階段のように下から上へ駆け上がっている。
新しく出現したのだろう石英は、小さいものから大きいものまで、中に蓄えた成分によって色が違う。
トリケラトプスの足元にあるのは金色の輝きを放っている。まるで王冠のようだった。
「うむ、大儀であった。褒めて遣わそう」
暴君から偉大な君主へ。ロアは自分をここまで連れてきた恐竜たちを、しっかりと労った。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
うわぁ、綺麗な場所…
とはいえ不用意に動き回るのは危険だね
恐竜の群れに気づかれないよう一度隠れる
周囲の動きには注視し
食虫植物らしきものには近付かないように
ブラキオサウルス1匹だけをどうにかおびき寄せたいね
【聞き耳】で近くをうろつく恐竜の足音を聞き取り
確実に一匹だけのタイミングで★Candy popを出し
風魔法で恐竜の元に香りを送る【誘惑】
引き付けたところで姿を現し
【指定UC】の【優しい】笑顔を向けながら
少しでも口が空いてたら口の中に飴を入れてあげる
幸せな気持ちになる甘い味
探したいものあるんだけど
ここに住んでる君達なら地形も把握してるでしょ?
僕にはここ危険だからさ…背中、乗せてくれないかな
●
「うわぁ、綺麗な場所……!」
森の奥、その場所へ辿り着いた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、思わず感嘆の声を上げた。
七色の大地に石の花が数多生えている。石英の庭。樹齢を感じさせる大樹にそっと寄り添う石英たちは、各々が取り込んだ成分により多様な色を演出していた。
澪は大樹の根元を伝い、慎重に石英へ近付いた。自分よりも大きい結晶は、近くで見ると思いのほか表面が滑らかだった。
淡いシェルピンクの表面をそっと撫でる。まるで永遠に枯れない花のようだ。見惚れていると恐竜たちの足音が響いてきた。
「石版を探したいけど、不用意に動き回るのは危険だね」
澪はすぐにその場を離れた。身を隠すのにちょうど良い場所を探す。見つけたのは倒木の隙間。群生する石英の間をかいくぐり、澪はそっと隙間へ入り込んだ。
やがてブラキオサウルスたちの群れがやってくる。澪には気がついていないようだ。恐竜たちは、澪が綺麗だと感じた石の花を無慈悲に踏みつけ越えていく。
小さな石英は、恐竜たちの重さに耐え切れず、ビキビキとひび割れ砕けてしまった。粉々になった石英は時期外れの雪みたいに、地面へ降り注ぐ。
澪が触れていたシェルピンクの石英も砕けてしまった。少しだけ悲しくなる。
ブラキオサウルスたちは、首を伸ばして高い場所にある枝葉を食べていた。
「この子たち、大きいなぁ。この子達の背中に乗って石版を探索できたら、少しは安全かな? ここの庭も結構広そうだし」
出来れば懐柔したい。そのためには、まず一匹だけを確実におびき寄せる必要がある。
澪は引き続き、恐竜たちの動向を観察した。注意深く耳を立てて目を凝らす。やがて、食事を終えたブラキオサウルスたちは、その場を離れていった。
「あっ」
澪は思わず声を上げていた。食い意地の張った一匹が、最後まで残っていたのである。
一匹は物足りないと言いたげな仕草で大樹を見上げていた。食べ盛りの若い恐竜なのだろう。
「よし、今かな」
澪はキャンディの入った瓶を取り出して蓋を開いた。キャンディの甘い香りが、澪の風魔法に乗ってふわりと舞う。
『!』
匂いを嗅ぎ付けた若いブラキオサウルスがこちらを振り返った。甘い匂いを果実と勘違いしたのか、ブラキオサウルスはのっそりと移動してくる。
「ふふっ、こんにちは!」
タイミングを合わせて倒木の下から抜け出る。
恐竜は突如現れた澪を前に動きを止めていた。警戒態勢へ入る前、一瞬の間、即ち驚きだ。恐竜がこちらを異物と認識して襲ってくる前に、澪は天使のような笑顔と共に催眠効果のあるオーラを纏わせて、恐竜の敵意を削いだ。
恐竜の口がぼんやりと開いている。すかさず、飴玉を一粒放り込んだ。
味を気に入ったのだろうか。恐竜は飴玉を飲み下し、ぐぐーっと首を下げてきた。襲ってくる気配はない。澪は恐竜の鼻先を撫でてやりながら、自分の気持ちを伝えた。
「あのね、探したいものあるんだけど、ここに住んでる君達なら地形も把握してるでしょ? 僕にはここ危険だからさ……背中、乗せてくれないかな?」
長い首が緩く弧を描き、澪の前に差し出される。気持ちが伝わったのかもしれない。
「いい子だねー、ありがとう」
恐竜が驚かないように、硬い皮膚へゆっくりと足を掛け背中へ登っていく。澪が背中に跨ると、恐竜はぐんと体を持ち上げた。
視界が広くなる。これなら石英や大樹の隙間に隠れている石版も見つけやすい。
「それじゃ、よろしくね」
澪が声を掛けると、恐竜はゆっくりと歩き出した。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
こういうところって楽しいですよね!
光の鎖をロープワークの要領で、木から木へと巻き付けて念動力で動かしてブランコみたいに進んで行きましょうか
ん? 恐竜?
手近な岩でも動かして私と恐竜の間にどっせい☆って落とします
巨大なやつがいいですねー、無理なら攻撃してきたヤツを念動力で浮かします♪
はい、ちょっとそこ避けてねー
……相手オブリビオンじゃないし、いける、よね?(不安)
第六感と全力魔法で、石板のある位置を探知しますよ
サクサク進めないとね
はーあー、戦争中じゃなければなー、もっと探索するのに
恐竜だってこんな手荒な方法とったりしないよ。本当、残念。
●
巨大樹、メンガリスの森。鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、その森を見事なロープ捌きで進んでいく。
「こういうところって楽しいですよね!」
正確にはロープではなく鎖だ。光の鎖をロープに見立て、太くしなやかな枝へ念動力で巻きつけて、森の中を進んでいるのである。
「よっ、はっ」
枝が最大限にしなる状態を見計らって、次の鎖を前方の枝へ巻きつける。同時に今握っている方の鎖を解き、大きく漕いだブランコから飛び降りる要領で、次の鎖へ飛び移った。
景色はめまぐるしく通り過ぎ、餌を頬張る恐竜たちも志乃には気がつかない。が、稀にタイミング悪く鉢合わせる事もあった。
「ん? 恐竜?」
志乃の目が恐竜を捉える。大きなブラキオサウルスが、たまたま首を伸ばしていた。両者ともに目が合い――。
『GYAAAAAA!!!』
恐竜が叫び声を上げる。バサバサと鳥たちが飛び去り、周囲は俄かに騒がしくなった。
「うーん、困りましたね。戦闘になるのも困るし、何か投げるのにちょうど良いもの……あっ」
周囲とは明らかに違う色の地面が目に止まった。こんもりと盛り上がり、苔がびっしりと生え揃っている。
「ちょうどいいのを発見です!」
念動力を駆使し、地中に埋まっていた岩を持ち上げる。岩を持ち上げた下には、ぼっこりと巨大なクレーターが出来ていた。
「それっ!」
頭の中で巨大な岩を放り投げるイメージを浮かべると、実際の岩もその通りに動いた。岩はドオオオンと大きな音を立てて、恐竜の前へ落ちた。
恐竜は一瞬だけ立ち止まる。が、またすぐに志乃を見つけ向かってきた。
「うーん、駄目ですか。それなら」
今度は恐竜へ意識を集中させた。頭の中では思い切り恐竜を持ち上げている。
「はい、そこ避けてねー!」
志乃の想像よりやや重かったのか、実際の動きは違っていた。恐竜を完全に持ち上げることは出来なかったが、恐竜の前足は僅かに浮き上がっていた。
慌てた恐竜はバランスを崩して転倒する。長い首が若木をなぎ倒して土煙を上げた。恐竜は何が起こったのかわからない顔をしている。
「すいませんねー、通らせてもらいますよ」
戦争中でなければ、恐竜にだってこんな手荒な方法は取らない。志乃は恐竜へ謝りつつも、再びロープワークを駆使して奥へと進んでいく。
やがて勢いよく視界が開けた。目的地へ着いたのだ。
「わぁ、綺麗ですねー!」
志乃を出迎えたのは光り輝く大地。時間があれば、もっとゆっくり探索できるのだが。
「さて、石版のある位置を探知しましょうか。サクサク進めないとね」
強化した第六感を駆使し、石版の気配を辿る。不思議な力の強い場所。もっと奥へと誘われる感覚。
自身の感覚を信じ、志乃は導かれるまま庭の奥へ進んでいった。
大成功
🔵🔵🔵
バーン・マーディ
恐竜たちか
原初の地球にて生きた者達との邂逅はある意味
感動も呼ぶな
事前
恐竜達の性質についてきちんと把握しておく
その上で主食となる物を確認し可能な限り確保しておく
ユベコ発動して騎士達にも協力して貰う
探索
手分けしての探索開始
但し騎士達にはけして戦闘は行わず恐竜を発見したら我に伝えるように言明する
そして見つけた物についても細かくメモしてマッピングを行う
対恐竜
【オーラ防御】展開
その上で恐竜の突進は正面から受け止め
絶対に反撃は行わず敵意が無い事を伝える
【動物会話】でコミュニケーションを取り
お前達はずっとここに住んでいるのか
こんな石板を見た事は無いか
そう伝えつつ食材も提供する
では往くとしよう
可能なら恐竜達と
●
ズシン、ズシンと歩き回る音が聞こえる。
樹の幹を通して伝わってくる振動は、トリケラトプスの足音だ。彼らは今、森の中を闊歩し、比較的低い場所に生え揃っている草や、葉を食べている。
それらを樹の上から見ていたバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、感慨深げに呟いた。
「恐竜たちか……。原初の地球にて生きた者達との邂逅はある意味、感動も呼ぶな」
トリケラトプスたちは周囲の草木を食べ尽くし、次の餌場を求めて移動を始めた。彼らの姿が完全に見えなくなってから、バーンはデュランダルの騎士たちを呼び出す。
「来たれ我に忠を尽くし者達よ。我は此処に居る。我は此処に在る。この場こそ我が領域なり」
フォン――……と静かな音を立て、周囲に数十人の騎士が現れる。バーンは必要事項を彼らに伝えた。
「今回の目的は鍵の石版を探すことだ。故に、余計な戦闘を回避する必要がある」
手段としては、こちら側の敵意がないことを恐竜に伝えるため、彼らが好む餌を集め懐柔する方法を選んだ。
「幸いにも、恐竜たちが主食としている葉はそこら中にあるようだ。見つけにくいものがあるとすれば、無花果とよく似た実だろう」
トリケラトプスたちは、メンガリスの葉やシダ植物を食べる合間に、低木に成った実を食べていた。その実が無花果とよく似ているのである。
「見ろ。葉は食べ残しがあるが、実は全て食い尽くされている。恐らく生育場所が限られているのだろう。故に必要なことはメモを取り、情報を共有して探すぞ」
他にも恐竜を見つけたら戦闘は避け、自分へ伝えるように明言した。バーンの意思を汲んだ騎士たちは静香に頷く。
「では探索に行こう」
バーンの言葉を合図に騎士たちは活動が可能な範囲へ散開する。バーン自身も恐竜たちとの接触を避け、探索を開始した。
道中、いくつか分かったことがある。
恐竜たちは食虫植物が生い茂る場所にはあまり近付かない。また、餌を求めてうろつく以外は、森の中の小さなオアシスや、石英が生える場所を寝床にしている。おそらく侵入者から身を守るためだろう。
餌を集め終えたバーンたちは、トリケラトプスが眠る水辺へ向かった。森の中に沸く小さなオアシスだ。
トリケラトプスたちは石英の影でまどろんでいた。騎士の一人が、手近にあった木の枝を折ってわざと音を出す。
トリケラトプスの目が次々と開いていく。特に、真っ先に目を覚ました若く体の大きい成体は、体を起こすや否やいきり立ってバーンへ突進してきた。
『GUUUAAAA!!!』
恐竜からの攻撃は想定内だ。バーンは瞬時にオーラで守りを固める。
コンマ数秒後、バーンはトリケラトプスの巨体を真っ向から受け止めた。巨大な鉄球をぶち当てられたような衝撃がバーンの全身を襲う。
『GUUU!! GOAAAAA!!!』
突進の勢いは止まらず、バーンは五十メートルくらい後退させられた。摩擦で地面が焦げている。それでも絶対に攻撃の意思は見せなかった。
巨体を押し留めつつも、ゆっくりと静かに話し掛ける。
「我々は石版を探しにきただけだ。お前たちの領域を侵すことは無い。その誠意を見せよう」
バーンの言葉に合わせて、騎士たちが集めた餌を地面へ広げていく。恐竜たちが食べやすいように、小さな山を作る気遣いまでしてみせた。
最初の一体に続いて突進してきそうな勢いだった他の恐竜たちも、餌の匂いに釣られてのそのそと寄ってくる。一体が食べ始めると、他も勢いよく餌を食べ始めた。
恐竜たちが食事へ夢中になっている間に、バーンはこちらの意思を伝える。
「お前たちはずっとここに住んでいるのか」
一匹がこちらを見た。通じているのかどうかは分からないが、もう敵意は感じない。バーンは続けた。
「先程伝えたとおり、我々は石を探している。……こんな石版を見たことは無いか」
掲げられたメモ。そこにある石版の絵をじーっと見ていた一体が、その場で不意に咆哮を上げた。バーンは咄嗟に耳を塞いだ。空気が激しく震え、大地が揺れている。
やがて、トリケラトプスはゆっくりと立ち上がり、森の奥へ向かって歩き出した。あらかた餌を片付けた他の恐竜たちも移動を開始する。
『…………』
最初に歩き出した一体が、ちらっとこちらを振り返った。その仕草はまるで、着いて来いと言っているようだった。
「……そうか、では共に往くとしよう」
頷いたバーンは、騎士たちと共に歩き出す。森の奥、石英が埋め尽くす大地を目指して――。
大成功
🔵🔵🔵
九十九・静香
※連携アドリブ可
まあ、恐竜というのは存じてはいましたがまさかこんな世界にも来られるとは
桜の世界にいた頃には考えられませんでしたね
筋肉令嬢姿に変異して探索しましょう
重厚な植物は下が見えにくいものは◆怪力で持ち上げたり
筋肉◆ジャンプして飛び越えましょう
食虫植物は食べられる前に断武流でつっかえをしてその間に脱出しましょう
恐竜様と遭遇したら
マッスルポージングを◆パフォーマンスします
カリスマオーラ(筋肉)の効果で魅了度を上げつつ
圧倒的な筋肉量と筋肉美、UCで伝える筋肉愛はきっと恐竜様でも伝わるはず
筋肉に種族の差など無いのです!
と◆動物と話す感覚で訴えて協力を取り付け共に石板を探して頂きます
リヴェンティア・モーヴェマーレ
アドリブ、他の方との連携オッケーです
WIZ
恐竜さん達とお友達になりたいのデス!!
動物使いや動物と話すを全力で使ってお友達になりたい事をアピールでス!
お肉で分かり合えそうなら料理スキルを使って恐竜さんが好きそうな調理を
お友達になれたら嬉しい気持ち
「恐竜さん、恐竜さんご飯を食べながらお話でもいかがですカ?」
後は聞き出せたら石板の場所を聞き出して探索を楽に進めていきたいナ
無理なら失せ物探しのスキルで怪しい場所…話を聞いた恐竜さん達の動向をよく観察して場所を絞っていきたい気持ち
エレクトロレギオンで高い所や狭い場所なども念入りに探していきますネ
後、恐竜さんみたいなカッコいい方に乗ったりしてみたい気持ち…
日向・史奈
こんなに自然が多い所、珍しいですね…怪しいものや危ないものに触れてしまわないように気を付けないと
攻撃する気はないと【動物と話す】力で手懐けられるのが一番ですが…
襲ってきてしまうのなら、迎え撃つまでです
炎を操って攻撃してきた恐竜に迎撃
言うことを聞いてくれたらすぐに攻撃を止めますので、そうしたらすぐに石版探しに戻りましょう
【アドリブ歓迎です】
●
深い森の中。入り口でたまたま居合わせた三人は共に行動していた。
探索の指針としては不必要に恐竜を刺激しないこと。そのため、慎重に行動している。それでも不測の事態は起こるものだ。
「こんなに自然が多い所、珍しいですね……怪しいものや危ないものに触れてしまわないように気を付けないと。きゃっ!」
獣道を進む日向・史奈(ホワイトナイト・f21991)の足に、何かが引っ掛かった。
史奈を転ばせたものの正体は木の根だ。よく見れば、大樹の根がいたるところから顔を出している。
「大丈夫デスか?」
「あ、ありがとうございます」
リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)の手を借りて体を起こした史奈は、服についた土を払った。
「あら?」
九十九・静香(怪奇!筋肉令嬢・f22751)が声を上げた。リヴェンティアと史奈の頭上に揺らめく影がある。見上げれば、白くて可憐な五枚の花弁を持つ花がゆらゆらと揺れていた。
「ワァ! キレイですネぇ」
「えぇ、少し大きいですが……」
不思議な力で巨大化しても花は美しい。ただし、普通の花であればの話だ。
「! お二人とも! 危ないですわ!」
死角から近付く影へ真っ先に反応した静香が声を上げる。前方に張り出していたシダ植物を隠れ蓑にして、ハエトリグサが口を開いたまま近付いていた。
「静香さん!?」
「くっ!」
反射的に二人を庇った静香がハエトリグサに捕らわれる。
「ああっ、そんナ!」
「ご安心くださいませ……!」
ハエトリグサの中で静香は優雅に微笑む。葉は閉じていなかった。車椅子のパーツを組み合わせて作った重量級両極槌、通称『断部流』がつっかえ棒の役割を果たしていたからだ。
「フウウウウン!!!」
静香の上腕二頭筋が火を噴く。メキメキと葉を左右へ押し広げ、蝶が羽化するように脱出する。ついでに、粘液でベタベタの『断部流』を引き抜いた後は、大地を踏みしめハエトリグサを引っこ抜いた。
顔は清楚だが、その肉体は筋肉令嬢である。実に頼もしい。
「静香さん、すごいですネ!」
リヴェンティアは目をキラキラと輝かせていた。
「ありがとうございます、助かりました。私も、静香さんのように強くなれたら良いのですが……」
史奈の溜め息を、筋肉への憧れを静香は聞き漏らさなかった。正確には少し違うのだがそれは些細なことだ。がっしりと史奈の手を取った静香は、嬉々として言った。
「では、わたくしと一緒にレッツ筋肉タイムですわ!」
「えっ?」
「まずは腹筋を鍛えましょう! お腹、つまり丹田は全ての動作に通じる大事な場所ですわ! そこを鍛えることによって体幹が定まり、これから成長させる全ての筋肉を滞りなく使えるようになるのです!」
「ふ、腹筋ですか?」
ドンッ、と地を踏み鳴らす音が響いた。騒がしくしすぎたのだろうか。三人は慌てて身を低くした。
音が聞こえてきた方向を見遣ると、立ち木の向こうを恐竜の影が通り過ぎていった。こちらには気がついていないようだった。三人はほっと息を吐く。
「……恐竜というのは存じてはいましたが、まさかこんな世界にも来られるとは。桜の世界にいた頃には考えられませんでしたね」
静香の言葉にリヴェンティアが頷いた。
「遠くから見てもすごく大きいデスね。私、恐竜さん達とお友達になりたいのデス!! お肉を上げたらお友達にナッテくれるでしょうカ?」
史奈が一つの案を提示する。
「そうですね、手懐けることが出来れば、余計な戦闘も避けられます。何を食べるのか少し観察してみましょうか」
三人は草や大樹の陰へ隠れながら、恐竜をはっきりと視認出来る範囲まで移動した。恐竜の後ろ姿が見える。ブラキオサウルスが数体。観察を開始する。
恐竜は長い首を伸ばして、大樹の枝葉を食べていた。鳥や足元を這う小動物には見向きもしない。肉食ではないようだ。
「お肉は食べないのデスネ……」
「でもアイデアはよいと思います。別の食べ物で釣ってみましょう!」
残念そうなリヴェンティアを、史奈はフォローする。
恐竜が去ったのを確認して今度は餌を探しに行く。草を掻き分け歩き続けると、何かを齧り取られた低木を発見した。何が在ったのかを確かめるため、別の低木を探す。
「あっ、アレをご覧ください」
静香が指を差す先には無傷の低木があった。恐竜たちには低木だが、猟兵たちにしてみれば通常の大木と変わりない。
「上る前にちょっと様子を見たいですネ」
リヴェンティアの手元からエレクトロレギオンが飛び立つ。
「アッ! 何か成ってますヨ!」
「あの実、無花果に似ていますわね。わたくしが取りに参りましょう」
ちょうどよい塩梅に、低木の周囲に石英が生えていた。巨大な石英を足場にして、静香は低木の上へ登る。その時であった。
樹木の間からブラキオサウルスがぬっと顔を出してきた。三人を見つけた途端、恐竜はけたたましく吼えた。どうやら立ち去ったわけではなく、食事がてら餌場の見回りをしていただけらしい。
「こ、これまずいですよね!?」
戸惑う三人をよそに群れは一心不乱に向かってくる。静香はまだ木の上だ。
「くっ……!」
恐竜たちを足止めするため、史奈は杖を振るい前方へ炎の竜巻を巻き起こした。突然のことに驚いた恐竜たちが足を止める。その間に静香は急いで実をもぎ取っていく。
「リヴェンティアさん! 受け取ってくださいませ!」
「オッケーでス!」
静香から実を受け取ったリヴェンティアは、恐竜の前に飛び出す。
「恐竜さん、落ち着いテ! ご飯を食べながらお話でもいかがですカ?」
もぎ取る際にひび割れたのだろう。不意に漂った甘い匂いに恐竜たちは気を取られたようだ。群れの何体かは既に実を食べ始めている。
それでも、残りの数体は未だこちらを警戒していた。ぎょろりとした目が三人を見据えている。
「ご覧くださいませ、恐竜さま!」
全ての実をもぎ終えた静香が木から飛び降りてくる。着地の衝撃で大地が震えた。静香は集めた実をすかさず恐竜へ差し出し、その場でサイドチェストを披露した。
「この筋肉があればこそ、恐竜さまのお食事を採ることが出来たのですわ! 全ては筋肉のおかげです! 筋肉に種族の差など無いのです!」
スーツ越しでも分かる完成された筋肉美。インナーマッスルからも溢れるカリスマオーラを前に、周囲はしぃん、と静まり返った。
一体の恐竜がおもむろに前へ進み出る。恐竜は長い首を下げ、頭を使って実を転がした。静香の足元へ実がころころと転がってくる。
何の意思表示だろうか。静香は別のポーズを取ってみた。アブドミナルサイ――下半身の筋肉美を強調してみる。すると、また一つ実を転がされた。
史奈は眼鏡を光らせる。
「こ、これは……!」
「もしかして、仲間だと思われてマスカ?」
リヴェンティアも首を傾げた。そんな中、静香はポジティブな解釈を見せる。
「いいえ、きっと筋肉の素晴らしさが伝わったのですわ!」
ともあれ、もう恐竜から敵意は感じない。三人はこちらの事情を恐竜へ伝えてみることにした。
「私たち、鍵の石版を探しているのデス。恐竜さんたち、何か知りませんか?」
恐竜はきょとんとしていた。
「えぇと、これ、こんな石版を見たことありませんか?」
史奈は枝を使って地面に石版の絵を描く。恐竜はそれをじぃっと見ていた。ややあって、恐竜たちはおもむろに踵を返した。途中、立ち止まり振り返る。
実を差し出した礼のつもりなのだろうか。どうも、自分たちを待っているような雰囲気がある。
「これは、付いて来いということでしょうか?」
「そのようですわね」
史奈と静香が頷き合う中、一人、そわそわと恐竜の背中を見ているのはリヴェンティア。史奈がリヴェンティアを振り返る。
「リヴェンティアさん?」
「恐竜さんの背中、カッコいいデス。ちょっと乗ってみたイ……ワッ!?」
「そういうことでしたら、わたくしにお任せくださいませ!」
憧憬の眼差しで恐竜の後ろ姿を追うリヴェンティアを、静香が軽々と肩へ担ぎ上げた。
助走を付けてホップ、ステップ、ジャンプ。恐竜の後ろ姿を目掛けて跳躍した静香は、恐竜の背中にリヴェンティアを下ろし、自身はそのまま地面へ着地した。
かくして、彼らは森の奥へ進む。石英の庭に隠された石版を目指して――。
大成功
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闇之雲・夜太狼
ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!
情報によると、なかなか大きな植物がたくさんあるってね
危険なものが混じってると危ないから、
自分に【念動力】をかけて少し【空中浮遊】をして足元の安全を確保
植物には直接手を触れないように、念動力でかきわけて進もう
恐竜に見つかって、こちらを攻撃しようと向かってくるようだったら
【全力魔法】で大型化させた選択UCを使って対処するよ!
魔法弾は直接当てないで、絡め取り効果のためにあえて外して地面でぶちまけさせよう
ぶちまけたネバネバは時間が経てば消えるから、その間に逃げちゃおうね~♪
石板は俺の【第六感】頼りに探せないかなぁ
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森の中、巨大なシダ植物が、ふわ、ふわ、と揺れている。風で揺れているのではない。闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)が念動力で植物を避けているのだ。
「ホントに大きな植物ばかりだなぁ。危険なものが混じってると危険だから、ちゃんと安全を確保しながら進まないとね」
夜太狼は足音も立てずに進んでいる。自身の体も念動力で浮かせているのだ。
大樹の根に引っ掛かることもなく、すいすいと森の奥へ進んでいく夜太狼を、食虫植物たちが名残惜しそうに見送っていた。
「今のところ恐竜はいないみたいだけど……ん?」
不意に自分以外の気配を感じた。前方、少し開けた場所に恐竜の影を発見する。夜太狼は慎重に先へ進んだ。
そこは恐竜たちの餌場だった。ブラキオサウルスの小さな群れが、枝葉を食べている。その向こう側に何か不思議な気配を感じた。
「うーん、どうしようかな」
夜太狼の第六感は、向こう側が怪しいと告げていた。どうやってこの先へ進むか。考えていると、一瞬だけ集中力が途切れてしまった。
途端、浮いていた体が沈む。集中を欠いたことで念動力が切れたのだ。足は地面と枯れ枝を踏み、パキッという小気味良い音が周囲へ響いた。
近くにいた恐竜が長い首をぐるりと振り向ける。
「やばっ! 見つかった!」
低い咆哮を上げ恐竜が向かってきた。夜太狼はすぐさま樹の上へ退避し、咄嗟に考えを巡らせた。
「そうだ! あれで上手く足止めできれば……!」
魔法の液体――スプラッシュボール。
夜太狼は球状にした魔法弾を幾つも生み出し、勢いよく全てを地面へ叩きつけた。
『!?』
バシャッと跳ね上がった液体に恐竜たちは驚く。それだけではない。粘性の液体は恐竜たちの足を絡めとり、その動きを封じた。
「それ、時間が経てば消えるから大丈夫だよ!」
その場でもがいたり、足をばたつかせる恐竜たちを尻目に、夜太狼はタイミングを見計らって一気に飛び出した。念動力も駆使して恐竜の上を飛び越えていく。
「おっ」
奥へ進むと徐々に視界が開けてきた。夜太狼を迎えたのはキラキラと輝く地面。数多の石英が埋め尽くす幻想的な庭。
周囲では、先に庭へ到着していた猟兵たちが探索を行っている。中には恐竜の背中に乗っている者もいた。
彼らと簡単な挨拶を交わしてから、夜太狼は石版の探索を開始する。
自身の第六感に従いながら、倒木の下や石英が重なっている隙間を覗いていく。木の上にも上り、鳥の巣の中も探した。
「ふぅ……」
そうこうしている間に、かなり奥まで来てしまった。すると、不思議なものが目に留まった。
「あれ、何だろう?」
樹氷のような木が生えている。夜太狼は首を傾げながら近付いた。
「これ……雪じゃないね」
近くで見ると、氷ではなく結晶だということが分かった。細く若い木に、小さくて細かな石英が生え揃っている。それらが白く輝いて、樹氷のような見た目になっていた。
「あっ」
夜太狼は思わず声を上げた。一際明るく明滅する場所があった。木の瘤に当たる部分。その瘤の中に石版が慎ましやかに鎮座している。
「これが鍵の石版……」
感慨深く呟いた夜太狼は、丁寧に石版を取り出した。そして、他の猟兵たちへ告げるため、小走りで戻っていった。
大成功
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