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出来損ないの夜

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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「ダークセイヴァーで奇妙な集落が見つかった」
 集まった猟兵たちへ、タハニ・クルツリンガー(乱暴者は乱舞する・f03635)はそのように説明を始める。
 村にも満たない集団が、森の中に小さな家のようなものを作って暮らしているようなのだが、彼らは一様に不仲なのだという。
「どこかの町が襲撃されて逃げ延びてきた集団、っていうのは協力し合って生きていくのが多いって聞くんだが、こいつらにそれは当てはまらないらしい」
 不自然な点は他にもある。
 彼らは怪我を負っているのだが、その怪我がどれも深く、そして意図的なものになっているのだという。
「腕がなかったり、目がなかったり。暮らすのに支障が出るレベルの怪我を全員が負っているってのも変な共通点なんだよな」
 似た境遇同士で連れ立って逃走したというのなら、やはり彼らの不和がおかしいことになる……何かを隠しているだろう、とタハニは言う。
「裏にオブリビオンが糸を引いている可能性があるんだが、どうして不仲なのかの原因が分からねえと、その対処も難しい。調査を進めていくうちに、オブリビオンへの手がかりも見つかるはずだ」
 まずは調査で、彼らの不仲の原因を探る。
 そして原因に対する対処をし、その問題をある程度解決してからオブリビオンとの戦いに挑む……そうした流れが良いだろう、とタハニは言って。
「集団も12人と多くはねえからな、調査自体は苦労はしないはずだぜ」
 そう言って、猟兵たちの転送を開始するのだった。


遠藤にんし
今回はダークセイヴァーです

●状況
 森で12名が集落のようなものを作って暮らしています
 全員が不仲で、言葉を交わす気配もない状態です
 集団にリーダー格はおらず、姿を見せないオブリビオンが影から支配していると考えられます

 12名は全員、身体的に欠損を負っています(手足、目、耳などが欠けています)
 すべて、生まれつきではなく後天的な欠損のようです

第一章は不仲の原因を探り、
第二章は原因となっているものへの対処、
第三章は不服従の賢王との戦闘です。

皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
98




第1章 冒険 『村を覆う不協和音』

POW   :    力量を見せて人々を安心させます

SPD   :    村の中を走り回って、不和の証拠を探します

WIZ   :    知恵を絞り、人々を安心させたり、情報を得たりします

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フルール・トゥインクル
WIZを使って考えてみるですよ

まずは一人一人に話を聞いてみるです
こういうところにいるってことは意味があるはずですし、ご飯とか困ってることがあるなら力になるですよって明るく声をかけてみるのです
怪我が酷そうなら薬草だって探してくるですよ
すぐに信用されないのは承知で粘り強く関わって何があったか探るのです

それと近くに動物さんがいそうなら、声をかけてお話ししてみるです
もしかしたらここにいる人たちが来た時のこと知ってるかもしれないですからね


三枝・にひろ
ぼくなんてメカに腕の補助をさせてもまだ足りないというのに
生活が不便ならば仲の良い悪いは置いといて協力し合って不思議はないのにね
不仲、というのは適切?
あるいは意図的な不干渉とか?

とにかく、聞いて廻るしかないね
ぼくの身分はどうしよう…尋ねられたらただの旅人と答えることにしよう

SPDを駆使してとにかく色んな人に話を聞こう
【コミュ力】が活きればいいんだけど

生活に不便はないの?とか
あなたがたは寄り集まってるようだけど、お互いを助け合おうという感じはしないね。何があったの?とかね
できればその欠損のさせ方に共通点がないか見ておきたいな
許可が下りれば【撮影】も行いたいね、現場でじっくり観察は難しいだろうから



「ぼくなんてメカに腕の補助をさせてもまだ足りないというのに」
 三枝・にひろ(creatio ex nihilo・f10706)は言いつつ、この集団の在り方の不自然さについて考える。
 生活が不便ならば仲の良し悪しは置いておいて協力し合う方が自然だ。
「そうなると、不仲、というのは適切? 意図的な不干渉?」
 同じくフルール・トゥインクル(フェアリーの精霊術士・f06876)も考え込んでいたが、考えているだけでは埒があかない。まずは一人一人に話を聞いてみることにした。
「ご飯とか困ってることがあるなら力になるですよ」
 明るく声をかけられ、住民は困ったようにうつむく。
 ……見れば、彼は右腕が肩からバッサリと斬り落とされているようだ。傷はすっかり塞がっているが、それでも痛々しい。
「痛くないですか? 薬草でも探してくるですよ」
「……」
 何かを言おうと口を開きかけて、また閉ざす。
 喋ることが出来ないというわけではなく、喋らないようにしているという様子だ……そんな彼の様子を気にしつつ、フルールは薬草を探しに森へ分け入る。
 その間に情報を集めるのはにひろ。
「生活に不便はないの?」
「……アンタら、何者なんだ」
「えーと……ぼくはただの旅人だよ」
 そんなことより、とにひろは更に質問する。
「あなたがたは寄り集まってるようだけど、お互いを助け合おうという感じはしないね。何があったの?」
 初対面でぶつけるには少々不躾にも感じられる質問だったが、にひろのコミュ力のお陰か、話し相手が気分を害した様子はない。
「何もない。……これから起きるんだ」
「?」
『これから起きる』。
 その言葉の意味を知ろうとにひろは言葉を変えて何度か尋ねて回ったが、それですら話し過ぎたと思ったのか、それ以上の言葉を聞くことは出来なかった。
 これ以上の会話は難しいと思って、にひろは彼らの観察に徹することにした。
 撮影は断られてしまったので、その分目に焼き付けるように、彼らの欠損を見つめるにひろ。
(「傷口が綺麗だな……」)
 一番に目立つ共通点はそこだった。
 目や耳がない者、腕や足がないものなど、欠損部位は様々。
 しかし、欠損は一か所のみに限定され、他に目立つ傷は見当たらない。
 戦いによって斬り落とす必要があったのであれば他にも戦闘の痕跡が残るはずだがそういったものもないので、欠損は事件や災害によるものではなく、何らかの意図をもって斬り落とされたものだということが分かった。
 そして、傷口が綺麗ということは一息にやられたものだということ。怪我を負わせる過程でいたぶる目的があったのではなく、欠損させることそのものが目的だった、という見方も出来るだろう。
(「誰かが欠損を『させた』と考えた方がいいのかな」)
 そしてそれは、ほぼ間違いなくオブリビオンだ――にひろは、そのように考えるのだった。

 薬草を取りに森へ入ったフルールは、見つけたリスと会話をする。
 ビーストマスターとして動物と話せるフルールをリスが警戒することはない。リスは、彼らがここへ来たときの状況を話してくれた。
「ええとね、ここに来た時は普通だったよ。ここに来てすぐに、脚とか手を切ってたよ」
「切っていたのは、自分で……ですか?」
「ウン。そうしなきゃ大変なことになるって、言ってた」
 欠損させられた身体の部位は、夜、リスが寝ているうちにどこかへ持って行かれたらしい。
「お話ししないのも、それが原因かもしれないですね」
「お話しはね、しちゃダメって言われたわけじゃないんだよ。ただ、みんな怖がってしないんだよ」
「怖がって?」
 リスも全てを観察していたわけではないのか、曖昧な部分は多い。
 それでも、『欠損はこの森に来てから、誰かの指示で行った』『会話は禁じられたわけではなく、何かを恐れて自発的に会話をしなくなった』という情報を得ることが出来たのは大きな収穫だった。
「ありがとうございました、助かるですよ」
「ウン!」
 お礼に木の実を分けてあげて、フルールは村へと急ぐ。
 得た情報をもとに、引き続き彼らと関わって言葉を引き出したかった――すぐに信用されないことは承知の上。
 それでも、フルールは彼らの恐怖を取り除きたかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栖夜・鞠亜
まりあも人付き合い、苦手。
でもオブリビオンが関わってるなら見逃せない。
人目を憚るように隠れているのなら、よそ者への警戒、強そう。

まりあはあまり人と話すの得意じゃない。
ユーベルコードでメイドさんを呼んで手伝ってもらう。
ヘンリエッタ、頼りにしてる。

身体が壊れてるみたいだけど、なぜ壊れたのか気になる。
何か欠損の手掛かりになるようなもの、探す。

まさかとは思うけど、不和だからって傷つけあってる?



(「不和だからって傷つけあってる?」)
 まさかと思いつつ、栖夜・鞠亜(ダンピールのマスケッティア・f04402)にとってそれは見過ごせない可能性だった。
 ――とはいえ、鞠亜自身は人との会話が得意ではない。どうやって情報を集めたものかと考えを巡らせて、鞠亜はユーベルコードを発動する。
「来なさい。まりあの侍女、ヘンリエッタ」
「はい、お嬢様」
「ヘンリエッタ、頼りにしてる」
 気の利くしっかりしたメイドさんを召喚して、彼らとの会話はヘンリエッタへ任せることにした。
 ヘンリエッタと鞠亜は大きく離れることは出来ないので、彼らとの会話は余さず聞くことが出来た。何人かに話を聞き終えて、鞠亜は考えを纏める。
 今回、一番大きな情報だったのは、彼らが不和で傷つけあったわけではないということだった。
 おまけに、ヘンリエッタがそのように訊いた時、「そんなわけない!!」と強い言葉での否定が返ってきた。会話がないなりに、それでも彼らはお互いを憎み合いながら暮らしているわけではないようだった。
 欠損の手がかりとなるような言葉を引き出すことは出来なかったが、辺りを歩き回っていて、巨大な包丁のようなものが見つかった。それは元の色が分からなくなるほど血を浴びていて、おそらくこれで欠損を作り出したのだろう、と鞠亜は感じた。
(「なぜなのか、気になる」)
 どうして彼らは欠損を作ったのか。
 彼らに欠損を命じた者は、なぜそれを命じたのか。
 まだ、そこに至るまでの情報は得られなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

モルツクルス・ゼーレヴェックス
【WIZ】
こういう【情報収集】って得意っすよ!

「「「【自己複製】っす!手分けしてみんなに話をきくっす!」」」

もちろん不気味がられちゃまずいんでバラけて行動するっすけどね

どうにも、何かが怖いから話せないって感じっすね……上手く安心させたいっす

「どうもどうも、自分達、旅をしながら困った人達に力を貸してるんす!皆さん、お話し聴かせてほしいっす!」

【存在感】と【礼儀作法】で丁重で、強そうな印象を与えたいっす!

しかし【コミュ力】で親しみ易く、小気味良くトークっす!

「……分かってほしいのは、自分達に出来るのは力を貸すこと。……助かりたいなら、あなた方自身の勇気が必要っすよ」

気持ちを込めて【鼓舞】するっす!


マリス・アップルズ
WIZと技能の礼儀作法と医術を使い
診察の名目で人の怪我を診て。情報を引き出しましょう。
欠損箇所を装備の薬草酒で消毒して。話を聞いて行きます。

「私は旅の医者よ。辺境を回って見聞を広げているわ。
集落に居る人の怪我について詳しい話をしてくれるなら、無償で応急手当をするし。
賊か化物に脅かされているというなら腕の立つ狩人を紹介してもいいわ」


元拷問官の知識として、身体を欠損させる刑罰は昔からある。
彼らが何かを恐れ今の生活を強いられている可能性を考えてみます。


ニュイ・ルミエール
WIZ

UCで欠損部の回復は出来ないかな?
無理でも痛みは和らげられるといいな

優しさ
掃除
救助活動
手をつなぐ
祈り
を使って傷ついた人達のお話を聞いて回るよっ

ちょっと人数多いけど…でも、がんばる、ねっ

呪詛
世界知識
学習力
呪いをかけられてた痕跡あれば
破魔
呪詛耐性
で解析解呪

それと
料理
世界知識
使って暖かいご飯作るねっ

食材は
怪力
グラップル
体の形状変換で運んでくるよっ

美味しいお料理を囲んで食べれば
皆も笑顔になるに決まってるもんっ

不安なのって誰も皆…苦しいもんね…

にゅいにたくさんの力は無いけど
一緒にいてあげられることは出来るよっ

だから
だいじょうぶ、だいじょうぶっ♪


……こんなに傷だらけにして
犯人さん
にゅい、怒ってるから



「「「【自己複製】っす!手分けしてみんなに話をきくっす!」」」
 自己複製により三人になったモルツクルス・ゼーレヴェックス(影を扱き使う・f10673)は散会、持ち前の存在感を放って彼らの前に立つ。
「どうもどうも、自分達、旅をしながら困った人達に力を貸してるんす! 皆さん、お話し聴かせてほしいっす!」
 礼儀作法のお陰かそれともコミュ力か、彼らは突然現れたモルツクルスに対して、頼もしさを感じたようだった。
「……だが……」
 それでも迷った様子で口ごもり、やはりあっさりとは話してはもらえなそうだ。
 そんな彼らの様子にマリス・アップルズ(血嗅ぎの跳梁者・f06184)は用意した薬草酒を手にして見せ、彼らに話しかけた。
「私は旅の医者よ。辺境を回って見聞を広げている」
 集落にいる人の怪我について詳しく話してくれるなら無償で手当てをする、何者かに脅かされているなら狩人を紹介する――そうマリスが話すそば、ニュイ・ルミエール(神さまの遊び場・f07518)は彼らの手に寄り添って祈りを捧げ、話を聞く用意を整える。
「……怪我は、自分たちでやったんだ。誰かにやられたわけじゃねえ」
 ニュイの放った生まれながらの光は彼らの欠損を修復することは出来なかったが、痛みだけは取り除けたらしい。ぽつぽつと、彼らから言葉が返ってくるようになった。
(「身体を欠損させる刑罰は昔からある、何かを恐れ今の生活を強いられている……?」)
「なるほどなるほど、どんな人がそんな命令をしたっすか?」
「それは……言えねえ」
 小気味よく頷くモルツクルスの問いに、口を重そうに閉ざす村人。
 そこへニュイは温かい料理を作り、彼らに食べるように促した。
「にゅいにたくさんの力は無いけど、一緒にいてあげられることは出来るよっ」
 食べて食べて、とブラックタールの体を揺らして誘い掛けるニュイ。
 ――食事と薬草酒が功を奏したのだろうか、ぽつぽつと、彼らは語りだした。
「もうすぐなんだ……もうすぐアイツが戻ってくる」
 俺たちの村を滅ぼしたアイツが。
 俺たちの手足を奪ったアイツが。
 震える声で語られる言葉に、三名は静かに耳を傾け。
「……分かってほしいのは、自分達に出来るのは力を貸すこと。……助かりたいなら、あなた方自身の勇気が必要っすよ」
「だいじょうぶ、だいじょうぶっ♪ にゅいたちが助けるからねっ!」
 モルツクルスの鼓舞、ニュイの優しさあふれる言葉。
 それらを受け、久しぶりの満腹にもなったからだろうか。彼らは一人、また一人と眠りに落ちていく。
「……こんなに傷だらけにして」
 両ひざの下がない者を見つめて、ニュイは呟く。
 這うようにして暮らしているのか、腕は擦り傷だらけになっていた。脚さえあれば負わずに済んだ傷――そう思うと、ニュイの中で怒りが滾る。
「だけど、貴重な情報が手に入ったわ。次の手を考えましょう」
 マリスは言って、彼らの言葉を思い起こす。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『贄の祭』

POW   :    贄となる人間を周りの村民から身を呈して守る

SPD   :    処刑から贄を連れて逃げ回る、背後などを取って気絶させる

WIZ   :    言葉巧みにこの行いをやめるよう説得

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 苦戦🔵🔴🔴
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ここまでに得た情報を、猟兵たちは整理する。
 まず、彼らの抱える欠損は、彼ら自身の手で為したものだ。
 誰かに傷つけられたものではなかったが、彼らが自らを傷つけたのは、彼らを影で操るオブリビオンの命令とみて間違いないだろう。
 ――そして、大切なことがもう一つ。
 彼らが不仲――会話をせず、助け合いもしないのは、この中から一人を贄として選ばなければならないから。
 贄は彼らが、彼らの中から選ばなければならない。それで人々は疑心暗鬼になり、互いを避けるようになっていたのだ。
 贄は、彼らの手によって石を投げられ、殺される運命にある。
 贄の命尽きた後、生き残った人々を救ってやると、尊大にもオブリビオンは語って聞かせたらしい。

 ――間もなく夜が明ける。
 村人は誰からともなく、最も遅く目を覚ました者を贄とすると決めていて。
 両足のない青年が、贄として選び取られた。
ニュイ・ルミエール
PAW(能力値はWIZ参照

モルツ(クルス)おにーちゃんと協力



――司祭様は何を考えておられるのだ!

気味が悪い……

この化け物がぁっ!



飛んでくる石ころ1つ1つに

万倍の痛みとして

億倍の重みとして

拭い切れない悪意が重なる

心が潰れ
立ち上がれなくなる


――だけど今は

「っ!……う、うんっ!」

独りじゃない!


激痛耐性
呪詛耐性
で緩和

防具改造
盾受け
かばう
で召喚したUCの分体で囲み
背から開いた水翼に弾力を持たせ
二重におにーちゃん達を守る

憶えてるんだ
昨晩の
あのホッとした寝顔を――

だから

もうにゅいは逃げないって決めたんだ!


だからっ!


だから、皆も目を逸らさないで!

自分から、自分の事を逃げ出さないでっ!

優しさ
祈り
込め言葉を続ける


モルツクルス・ゼーレヴェックス
【WIZ】
ニュイ殿と協力

青年を庇ってもらい自分は説得

「ニュイ殿、怖いかもっすけど、石を投げてる人達の目を見てあげて下さいっす……自分達で助けるっすよ」

ニュイ殿と自分を【鼓舞】し

彼女に群衆が怯んだタイミングで

「見ろ!目を逸らすなっ!見ることも出来ないんなら止めるっす!」

【存在感】あるデカイ声

「もう一度よく見るっす。例え今日を彼の犠牲で乗り切っても、いつか訪れる貴方の末路を」

心に響くよう【コミュ力】で上手に間をとって、一人一人の目を見て

「彼の命と貴方の良心を犠牲にして、得るのは過去の犠牲への義理?それとも安堵っすか?」
【祈り】を込め

「……未だ生きてる人を助けるっす。勇気を出して」



「気味が悪い……」
「この化け物がぁっ!」
 夜が明けて、集落には悪意だけが満ちていた。
 飛んでくる石のひとつひとつが贄の体に当たり、赤い腫れを、傷痕を作っていく。
 痛みそのものよりも、拭いきれない悪意の重なりの方が痛々しい……目を伏せそうになるニュイへと、モルツクルスは言う。
「ニュイ殿、怖いかもっすけど、石を投げてる人達の目を見てあげて下さいっす……自分達で助けるっすよ」
 悪意の言葉に口を汚しながら、彼らの目は怯えていた――こんなことをする自分自身にすら恐怖しているように見えて。
「っ! ……う、うんっ!」
 モルツクルスに鼓舞されて、ニュイは贄へ覆いかぶさるようにして彼を庇った。
 それでも石も悪意も止まらない。激痛耐性と呪詛耐性で堪えるニュイはRemplir la terre.によって作り出したプチスライムで二重の護りを作り出しながら、昨夜のことを思い出す。
 ――安心して眠っていた、あの寝顔を。
「だから、もうにゅいは逃げないって決めたんだ!」
 声に、投石が止まる。
「だからっ! ――だから、皆も目を逸らさないで! 自分から、自分の事を逃げ出さないでっ!」
「見ろ! 目を逸らすなっ! 見ることも出来ないんなら止めるっす!」
 存在感のある大きな声でモルツクルスも言葉を続ける。
「もう一度よく見るっす。例え今日を彼の犠牲で乗り切っても、いつか訪れる貴方の末路を」
 今度はゆっくりと、言い聞かせるように、モルツクルスは彼らに言葉を届ける。
 心に響いてほしいという願いを込めて、彼らの目を見て。
「彼の命と貴方の良心を犠牲にして、得るのは過去の犠牲への義理? それとも安堵っすか?」
 言葉には祈りを込めて。
「……未だ生きてる人を助けるっす。勇気を出して」
 誘いかける言葉に、沈黙が落ちる。
 ――逡巡。その果てに、返答は。
「私達には……アレには、逆らえないんだ」
 悔恨と、恐怖から声を絞り出し。
 それでも彼らは、石を握ろうとはしなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栖夜・鞠亜
こんなもので自分を傷つけても、何も解決しない。
この包丁は没収。

説得したい、けど。 直接話すのは難しいから、メイドさんに隠れながら呟くように言ってみる。

今日ひとり殺したところで、終わる訳無い。 自分が選ばれる日が伸びただけで結局みんな、死ぬ。 それがこの世界に住む人間の運命、今まで何度も見た光景。 違う?

でも今は、違う。 対抗し得る力が、まりあ達がいる。
少し考えなおしてみて。


三枝・にひろ
一縷の望みにかけて生贄を選んだことを責めやしないけど
まず間違いなく一人捧げましたハイおしまいってことはないよね
自らを傷つけてまで従うことを選んだ彼らには悪いけど、邪魔させてもらうよ

SPD重視で贄の彼を背負って逃げ回るよ
人一人担げば大分遅くなるけれど【逃げ足】には自信がある
追いかけてくる人がいるならフック付きワイヤーで足をひっかけて転んでもらう
こないだ不自由の身になったってならバランス崩せば簡単に転ぶでしょ
「みんなわかってるだろ! 一人犠牲にしてさ、これで全部おしまいみんな安全ってなるわけないだろ!?」
これくらいは言っておくべきだよね
「『そいつ』がやってきたならぼくが…ぼく達が倒してあげる!」



彼らはもう石を持ってはいなかったが、何かがあればまた贄を打つことが始まりそうな、そんな緊迫感があった。
 鞠亜は集落の近くに落ちていた包丁を没収して傷つけあうことのないように気を配り、にひろは状況の打開のために贄である青年を背負って走る。
「に、逃げるな!」
「贄を返せ!」
 人ひとりを担いで走るというのはにひろの負担にはなるが、にひろの逃げ足は早い。
 追いかけてくる人もいたが、フック付きのワイヤーを仕込んでいたから彼らは転倒し、にひろを追うには至らなかった。
「くそ……、くそっ!」
 彼らが欠損してからまだ日が浅く、不足のある体で動くことには慣れていないらしい。
 転倒から立ち上がることもままならない彼らへ向けて、にひろは声を張り上げる。
「みんなわかってるだろ! 一人犠牲にしてさ、これで全部おしまいみんな安全ってなるわけないだろ!?」
 体の欠損を、贄を殺すことを強要したオブリビオン。
 奴の言葉に従ったところで、彼らに安全も平和も訪れるわけはないとにひろは感じていた。
「今日ひとり殺したところで、終わる訳無い」
 召喚したメイド、ヘンリエッタの後ろで、鞠亜は呟くように言う。
「自分が選ばれる日が伸びただけで結局みんな、死ぬ。……それがこの世界に住む人間の運命、今まで何度も見た光景」
 ――違う?
 感情の薄い眼差しが彼らを追い詰める……「でも」と鞠亜の言葉は続く。
「今は、違う。対抗し得る力が、まりあ達がいる」
「『そいつ』がやってきたならぼくが……ぼく達が倒してあげる!」
 鞠亜とにひろ、二人の言葉に、彼らが息を呑むのが分かった。
 痛みを除き、励まし、食事を供した猟兵たち。
 彼らへの信頼があったからこそ、ほとんど初めてといっていい希望が、彼らの胸に湧いた。
「助けて……くれるのか」
「誰も殺さずに」
「これ以上、何も失わずに……」
 彼らの言葉に、涙が混じる。
 すべての言葉に、二人はうなずいて見せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『不服従の賢王』

POW   :    贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠揺歌語・なびきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


贄の命は救われた。
 何も心配はいらないと悟ってか、彼らは互いに言葉を交わし、穏やかな表情を見せるようにもなっていった。
 それに猟兵たちは安堵して、彼らにそのような命令を下したオブリビオンの話を聞く。
『不服従の賢王』。
 フクロウの姿をするオブリビオンは、いつもどこからか彼らを監視しているのだという。
 ――ならば、猟兵たちの行いも不服従の賢王は見ているはず。
 ――ならば、不服従の賢王は猟兵たちを排するべく姿を見せるはず。

 猟兵たちは彼らの集落からは離れた土地にて、不服従の賢王の到来を待つ。
栖夜・鞠亜
SPD

まだ? 見られるだけはもう飽きた、出てきなさい。
後はオブリビオンを倒せば、素敵な幕引きになる。

まりあは狙撃銃で戦う。 選ぶのはkar98k
あまり遮蔽物があったりしない開けた場所なら当てやすい、けど。

遠くからユーベルコードの狙撃で的確に打ち抜く。
翼があるなら、飛べなくしてあげる。 飛べない鳥はただの・・・ローストチキン。

【闇の嘆き】には狙撃で距離をおくからあまり当たらなそうだけど、接近してくる事もある、はず。 オブリビオンの羽を折れないうちは走っても、無駄。 追いつかれる。 属性攻撃で風の魔法、使う。 風で飛行を阻んで距離を取る。


三枝・にひろ
お楽しみは邪魔してやったんだ、仕返しにでも来たらいんだ
到来をただ待つのも芸はないし罠の一つも仕掛けておこうか
それこそ、引っかかったら石でも飛んでくるようなね

SPD重視で愛用のクランケヴァッフェの複合機能捕獲装置「アブダクター」で攻撃していくよ
爪で切り裂いて、牙で齧り切ってやるんだ
ユーベルコード【S.C.R.プロセス】で相手のユーベルコードを封じるのも狙ってみようかな
見事に封じられたら「やあ、ちょっと不自由になったんじゃないかい?」なんて挑発してみよう
とはいえ単独で戦い抜けるでもなし、他の人と連携して【援護射撃】もやるよ
みんなでズタボロにして、賢王とやらを贄にしてやらなきゃ


モルツクルス・ゼーレヴェックス
ニュイ殿と協力

「賢王とか御大層っすけど……そんなしかめっ面にゃあ負けないっす!」

機動力ありそうっすけど

【物質変換】を【範囲】を広げ【高速】で撃ちまくりダメージを狙いつつ周囲の地形を自分達有利に変えるっす!
それに対応する敵の動きという【情報】を【学習】して【戦闘知識】で活用!
造り出した【地形を利用】して追い詰めるっす!

「ニュイ殿!今っす!」

【コミュ力】で連携!

「油断は無しっす!全力っすよ!」

自分もニュイ殿も【鼓舞】するっす!

【存在感】ある自分は狙われそうっすけど【オーラ防御】とニュイ殿を頼るっす!

「自分は笑うっすよ!はっはっは!人助けって楽しい!仲間がいて嬉しい!」

負ける気しないっすね!


ニュイ・ルミエール
WIZ
モルツおにーちゃんと協力

怪力
グラップル
おにーちゃんのUCで掘り返された石木を掴み投げ飛翔範囲を制限
学習力で精度を高める

こそこそ隠れてないで出てきなよ!

頭にきてる

優しい人達をあんなになるまで追い詰めた事!

にゅい、フクロウさんの事大っ嫌いっ!


黒百合の花びらは
空中戦で開いた雨雲の翼に
防具改造
呪詛耐性
激痛耐性
を重ね
盾受けでおにーちゃん達をかばうよっ

恐いよ
戦うことも
傷つくことも

死んじゃうかもしれない

そんな事を思うと
手足が震えて声が引きつっちゃう


でも

逃げない!

絶対に逃げはしない

守りたい笑顔があるからっ!


神さま
この地にどうか、希望の光をお恵みください……!

召喚された蛇の塊ごと
破魔
祈り
込めUCを撃ち注ぐ



不服従の賢王の目論見は打ち砕いた。
「仕返しにでも来たらいんだ」
 怒気を含んでにひろは呟き、敵が来るまでの時間を使って罠を仕掛けておくことにした。
 引っ掛かれば石が飛んでくるように準備をして、待つ……なかなか姿を見せない賢王に焦れて、ニュイは辺りの石木を掴んで投げる。
「こそこそ隠れてないで出てきなよ!」
 地形を歪めて石や木を露出させたモルツクルスも、眼鏡の奥の瞳を細めて天を仰いでいた。
「まだ?」
 鞠亜は狙撃中『kar98k』を手に、声を上げる。
「見られるだけはもう飽きた、出てきなさい」
 静寂が辺りを覆った――かと思えば、羽ばたきが天上から聞こえてきた。
「……愚かな見世物、大儀であった」
 天上から見下ろして、あるいは見下して、賢王は告げる。
「だが、思いの外退屈であった。失せるが良い」
 暗闇かのような黒百合が落ちるのを合図に、猟兵たちは戦いを始める。
 黒百合の姿を認めて真っ先に動いたのはニュイ。呪詛と激痛の耐性を活かして雨雲の翼を開き、仲間たちの盾となって攻撃を受け止めた。
 黒百合がにひろの仕掛けた罠にかかり飛んできた石を避け、賢王は猟兵たちを嘲るかのように彼らの周囲を飛ぶ。
「賢王とか御大層っすけど……そんなしかめっ面にゃあ負けないっす!」
 機動力はあるようだ、と判断し、モルツクルスは高速で周囲を物質変換。
 周囲の木々を押しやり、足元を平板に。戦いやすく変えられていく地形に対応しようとでも言うのか賢王も飛翔の位置を変えながら猟兵たちに迫るが、そんな賢王へ向けて鞠亜は狙撃する。
 心臓を撃ち抜くのはあまりにも難しいから、鞠亜が狙うのは両翼。狙いすましての弾丸が賢王の羽根を散らすが、まだ撃墜するには至らない。
「翼があるなら、飛べなくしてあげる」
 飛べなくなってしまったのならばただのローストチキン。そうなれと念じるように鞠亜が弾丸を込める間、にひろは複合機能捕獲装置「アブダクター」を伴って跳躍、賢王へ迫る。
「命の保証はしないけど、きっと役に立てるから、協力してね」
 捕獲ユニット二機と拘束ユニットを一機。
 拘束ユニットが賢王の嘴を中心とした頭部を多い、視覚の不便を誘う。
 死角からの攻撃を避けるためか賢王は急上昇し、その動きを漏らすことなく見つめるモルツクルスは情報を活用、地形を更に歪め、背の高い木々で賢王の頭上を覆って上昇を妨げる。
「――小賢しい」
 拘束を解き、賢王は低く滑空しながら再び黒百合を撒く。
「……っ」
 存在感あるモルツクルスへの攻撃を受け切るニュイ、木陰に隠れてやり過ごすにひろは避けきれず、闇の具現のごとき百合に腕を侵食される。
(「走っても、無駄」)
 にひろの様子を見る限り、翼を折ることの出来ていない今、走って逃げても追いつかれる。
 鞠亜はそう判断し、風の属性魔法で黒百合を巻き上げ、己への護りとした。
 依然として賢王は低空飛行。これなら攻撃が届くと判断し、モルツクルスは叫ぶ。
「ニュイ殿! 今っす!」
 モルツクルスの言葉を受けるニュイは、盾となり黒百合を受け止めていたからこそ全身に傷を負っていた。
 耐性を得ていても痛みはある――戦うことも傷つくことも、死んでしまうことも怖くて、考えただけで手足が震えて声は引きつる。
 でも。
「油断は無しっす! 全力っすよ!」
 モルツクルスはオーラ防御で自身へ向けられた黒百合を防ぐ。
 鼓舞の声に続くのはにひろの援護射撃。
「みんなでズタボロにして、賢王とやらを贄にしてやらなきゃ!」
 賢王の飛翔範囲を制限するかのようなにひろの弾幕に感謝の念を抱きつつ、ニュイは煌めく翼を広げた。
「神さま。この地にどうか、希望の光をお恵みください……!」
 光と水が煌めく。
 優しい人々をあんな風に追い詰めたことへの怒りは冷めることなく燃え続けていた――彼らの笑顔を守りたいとニュイは思った。
 祈りを込めての一撃に、絶えず地形を変形させるモルツクルスは笑い声を上げる。
「自分は笑うっすよ! はっはっは! 人助けって楽しい! 仲間がいて嬉しい!」
 負ける気なんてしないのだから――そんな気持ちが通じたのか。
 乾いた発砲音が響き渡り。
「……当たり」
 鞠亜の弾丸が、左翼を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

三枝・にひろ
4人がかりでまだ倒れないか…もう一押し、やってみるしかないか
羽根がやられて機動力が落ちたならもう黒百合は怖くないかな?

SPD重視で、【プログラムド・ジェノサイド】で攻撃するよ
ぼくの「アブダクター」で徹底的に、【2回攻撃】で叩き込んでやる
ぼくの腕がやられたからなんだっていうんだ、本気の腕はこの子なんだ!

贄の叫びとかに構っている暇はちょっとないかもわからないな
【カウンター】で追い払えないかどうか試すくらいかな

なんとか、ここで決めきらないとマジでキツいよねこれ
それでも倒すと啖呵切ったんだ、やらなきゃ格好よく決めらんないんだよ


栖夜・鞠亜
これで多少は動きを制限できる、はず。
でもオブリビオンも必死になる、激しい戦いになりそう。

まりあは引き続き狙撃銃で攻撃する。 今度は魔法で弾丸に氷を付与して属性攻撃を試す。 羽を貫いた分、当てやすくなったはず。
氷の弾丸で傷口から体温を奪って、より動きが緩慢になる、かな?

【贄の叫び】で墓場の亡者が現れたら、属性の弾丸を氷から光に変えて亡者の背後上空めがけて、撃つ。 これは閃光弾代わり。

光で亡者の影ができたならこちら側へ影が伸びる、はず。
そこへユーベルコードを発動して、亡者の影から食らいつく腕を伸ばして足か下半身を切断する。 トドメは誰か、任せた。



「4人がかりでまだ倒れないか……」
 翼にこそ負傷しているが、いまだ賢王は動いている。
 ならばもう一押しと、にひろは脳にプログラムされた攻撃で賢王へと立ち向かう。
 バックパック型の複合機能捕獲装置「アブダクター」による立て続けの攻撃に、先ほど黒百合にやられた腕が疼く。
「……ぼくの腕がやられたからなんだっていうんだ、本気の腕はこの子なんだ!」
 アブダクターから伸びる腕が文字通りに牙を剥き、賢王の翼をかすめ、その頬へと深い傷を負わせる。
 ――賢王が回避しきれなかったのは翼の負傷のせいであり、今も絶え間なく狙う鞠亜の狙撃のためでもあった。
 氷の属性魔法を籠めた弾丸に当たれば、賢王は瞬く間に体温を奪われることだろう。そうすればより機動力を奪えると鞠亜は考えていたが、それは賢王も理解しているようで、狙撃に当たらないように用心しているようだった。
 そのせいでにひろの攻撃は命中、叩き落されるように落下しかかった賢王は途中で持ち直すが、体力の底が見え始めているようにも感じられる。
「おお……愚か者よ、愚か者よ……!!」
 不吉な声がこだまする――同時に、土が盛り上がったかと思うと墓場の亡者が姿を見せる。
「属性を、変える」
 鞠亜は身を低めて呟き、弾丸に光の力を籠めて撃つ。
 命中はしなかった――しかし辺りに満ちる閃光こそが鞠亜の狙い。
 亡者は弾丸を回避してにひろへと腕を振り上げる。賢王と亡者、挟撃を受けたにひろはカウンターを返すことしか出来ずにいるが、そこへ鞠亜の声が響く。
「彼我の溝に言葉は不要なればこそ、絶死を以て告げるまで」
 亡者の体から落ちた影。
 そこから、黒い腕が伸びて亡者の足を断つ。
 にひろの首めがけて攻撃しようとしていた亡者は足を奪われ、その場へ倒れ伏す。それでもにひろを狙って亡者は攻撃を繰り返すが、足を奪われた亡者の一撃を回避することは容易であった。
「ありがとう、鞠亜さん!」
「トドメは、任せた」
 鞠亜の声に大きくうなずいて、にひろは敵と向き直る。
 機動力が落ちたとはいえ、敵は二体に増えている。
「早いところ決めちゃわないと……!」
 呟きに力を籠めて、にひろは賢王へと向かって行く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セツナ・アネモネ
【SPD】
これまでの話はだいたい聞いた。
……自分の手は汚さない、ね。
狡くて賢いフクロウ狩り、成功させて帰ろうか。

まずはユーベルコード「プログラムド・ジェノサイド」、【二回攻撃】で攻撃。

反撃を【武器受け】……は、流石に無理があるか、なら少しでも撃ち落としてみるかな。

多少のダメージはこの際仕方ない、とにかく攻めに出よう。

(アドリブ、他者との絡み等々は歓迎です)


栖夜・鞠亜
まりあは墓場の亡者を足止め、する。


足は切断したけど、亡者だしすぐ再生するかもしれないから、早めに片づけたい。
光の属性を付与したままの弾丸でユーベルコードも使う。 起き上がられる前に、消し飛ばす。

懸念は亡者は賢王と同じ攻撃をしてくるらしいから、【葬られる孤独】の対処だけど。 足を失っている相手に恐怖するほど臆病じゃ、ない。 【有象無象の蛇のかたまり】をもし召喚されたら炸裂弾で処理、してみる。

あっちは大丈夫、かな?



 亡者の脚の切断に成功したとはいえ、鞠亜は気を抜くことなく狙撃中『L96A1』に弾丸を籠める。
 弾丸に光属性を与えたことに変わりはない。起き上がろうと地面に手をつく亡者めがけて、鞠亜は亡者めがけて発砲。
「吹き飛ばす」
 亡者の指先すれすれに着弾、土埃を巻き上げて弾丸が炸裂。飛び散る土くれは亡者へと降りかかって、亡者を埋葬する手間を省く。鞠亜は土の中に沈む亡者から賢王へと視線を移し、駆け付けたセツナ・アネモネ(記憶の果て・f04236)も同様に賢王を見上げる。
(「……自分の手は汚さない、ね」)
 亡者の対処をする間、賢王は滞空して有象無象の蛇のかたまりを木々から落として猟兵たちを絡め取ろうと迫る。
 ――セツナもこれまでにこの賢王が何をしてきたのかは聞いていた。この狡くて賢いフクロウの命はここで狩り取らなければいけない、そう思ってセツナは短機関銃を天に向け、連撃を発動する。
「逃がさないよ」
 初撃が命中し、立て続けの弾丸が賢王へと叩き込まれる。木々が揺れて蛇のかたまりが落ちてきてはセツナを狙うが、鞠亜がそこに炸裂弾を投げて破壊していく。
「こっちは、平気。撃って」
「助かるよ、ありがとう」
 交わす言葉は短く、視線が合うこともない。
 この賢王の打倒を狙う気持ちだけを重ねて、狙撃音は止むことがない。
 再び生み出された亡者と共に蛇のかたまりが湧き出ては二人を襲う。炸裂弾でも掃討が間に合わず、攻撃をすり抜けた蛇がセツナの脚を締め上げて骨が軋むが、セツナは賢王から狙いを変えずに撃ち続ける。
 鞠亜の射撃は賢王の上昇を阻み、左右に交互に撃つことによって左右への回避をも許さない。
 間断なく叩き込まれる弾丸を賢王が回避すれば鞠亜の餌食になるが、セツナは精度を上げて賢王へと迫る。蛇も亡者も、黒百合すら生む余裕を持たせずに、二人の張り巡らせた弾丸は賢王を追い込んでいった。
「小娘ども――!」
 怒気を孕んだ賢王が高く飛ぶ。
 阻む弾丸を数発受けることは覚悟の上か、それでもどちらかを確実に潰せる攻撃をしようと、賢王は大きく翼を広げた。
 ――視界全てを埋め尽くすかのごとく黒百合が満ちる。
 回避は不能。これら全てを受けては再起不能に陥るに違いない――その確信と共に二人は引き金を引く。
 乾いた音は重なって一つに聞こえた。降り注ごうとした黒百合は宙で分解され塵芥へ、セツナの脚へ絡む蛇は命を失って地面へ溶ける。
 重い音を立てて落下した賢王の体躯は、翼と脚を欠損した無残なものだった。
「……これで、終わったね」
「うん、終わり」
 血に染まったフクロウの姿が動き出すことは、二度とない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月11日
宿敵 『不服従の賢王』 を撃破!


挿絵イラスト