その雑居ビルは入居者すらいない廃ビルと地域の住人には思われている。
しかし薄暗い階段をあがり、点滅する蛍光灯に照らされた廊下を抜けた先。如何にも怪しげな六芒星や古代文字のようなものが古びたドアに貼られており。
こつこつ、とノックは二回。僅かに開いた隙間から覗く視線に向けて、
『――――』
……と、符牒を告げれば。扉は大きく開いて訪れた者を招き入れるだろう。
見れば、これまた怪しげなローブやヴェールを身に纏った男女が長机を並べ、パイプ椅子に腰掛けて――まるで何かの講習会のよう。
世に災厄を。怨恨の念を捧げよ。祝いを呪いに。
『恋するひとの相手も、社会的な地位も。人生は椅子取りゲームと一緒さ』
だから、奪え。
『ライバル達を蹴落とせばね、お前達が彼らの代わりになれるんだよ』
だから、呪え。
『だから私が手解きをしてあげるよ。その欲望を剥き出しにするだけ。簡単でしょ?』
呪術師は楽しそうに嗤う。彼が呪いを授けるのはただの素人だ。愚かな人間達は呪いをかけられているとも知らずに悦んで呪いを用いるのだ。最後にその呪いが自分自身を蝕むとも知らずに。
『なりたい自分になるといいよ』
なりたくないものになる布石として。
●
「呪いの講習会――と言うと昭和の怪奇小説のタイトルみたいかねぇ」
早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)はグリモアベースに集う猟兵達を前にそう口を開く。UDCアースで一仕事頼みたい、とそう告げて。
講習会そのものが呪われていると言っても間違いではない気もするが。邪神教団によって開かれているセミナーがどうやら呪術を教える類いのものらしい。
「集められた人々は最終的には邪教の信者になるか生贄にされるかみたいさね。素質が無きゃ大体後者らしいけど」
定期的に行われている秘密講習会ではあったが、幸いにもその情報を得る事が出来た。
人が集まり開始される前、敵が油断しているであろう時を狙って襲撃することで邪神教団の拠点を潰す事が出来るはずだ。
「一般人が来る前、そして敵オブリビオンが部屋に集まりだした頃を見計らって転送開始するからさ。皆は小細工無しに突撃してオッケーなんで」
最初に部屋にいるのは子供の姿をしたオブリビオン達。講習会では助手役を務めている彼らだが、見た目に寄らずに呪いの力は侮れない。
「そして本命は少し遅れてやってくる呪術師。こいつが謂わば黒幕」
言葉巧みに嘘を吐くのは言霊の呪いをも巧みに操る証拠。決して油断はならない相手。
そいつさえ倒せばこの拠点は確実に崩壊する。
「――で。終わったらなんだけどさ」
物凄く唐突に翼は言い出す事は。
「実はそこの近くのホテルで評判のスィーツビュッフェがあるらしくて」
世はクリスマスシーズン。月替わりのビュッフェも今月12月はスィーツ主体。
ホテル自慢のパティシェ達が作り出す、ケーキを初めとした様々な甘味やフルーツなどが好き放題に食べ放題。勿論、珈琲紅茶にジュースにと飲み物もおかわり自由。
「呪いに触れた後には祝いを。聖夜の祝福。ちょっとしたご褒美さよ」
UDC組織が費用持ってくれると思うし、と翼は微笑みながら。
頃合いを見て突入して貰うから、と準備を促すのであった。
天宮朱那
天宮です。
素敵なケーキに目が泳ぐ季節。
人々に呪いを授けて呪いをかけている邪神教団のセミナーを潰す任務。
一章は集団戦、二章はボス戦、三章は日常章となります。
三章のみの参加も勿論大歓迎。お一人様でも問題無く。
スィーツビュッフェで甘い物食べて打ち上げ的な。
お声かかれば翼がちょっかいかけに行きます。
会話相手やツッコみ欲しい時はどうぞ。
団体様は三人組まで。迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載のご協力を。
技能の『』【】等のカッコ書きは不要です。技能名並べたのみ、は割と描写があっさりします。具体的な動きあると描写でも結構動きます。
各章開始には導入が入る予定です。プレイング受付は基本それから。
受付開始や締切についてはマスターページやTwitterなどで告知しますので随時ご確認頂きますよう宜しくお願いします。
第1章 集団戦
『怪奇少年・走二』
|
POW : キシシ… 呪いあれ…!
【藁人形 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : ヒヒ…女の生き血をチューチュー吸ってやるっ…
自身の身体部位ひとつを【牙の生えた吸血ヒル 】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : ふふふ…バーちゃん!タスケテー
【走二の祖母(モンスターペアレント) 】の霊を召喚する。これは【釘を何本も加えて飛ばす遠距離射撃】や【老婆とは思えないほど強い《たいあたり》】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
昼でもなお薄暗い廊下を猟兵達が進む。
如何にもな風合いの怪しげな紋章や文字はまるで秘密結社のアジトのようだ。
軽く扉をノックすれば、軋む音と共に僅かな隙間が生まれる。
『……まだ時間には早……』
符牒を確認する前に向こうが何かを言いかけたが、そもそも向こうのルールに従う必要もないのであって。無理やりその隙間を押し広げるのに造作は無い。
『お前らは……!?』
藁人形を手にした少年姿のオブリビオン達が慌てふためくのが見てとれる。
室内に雪崩れ込んできた者達が、この呪いのセミナーを受講しに来た憐れで愚かな一般人では無いというのは明確。
『どうやってここを嗅ぎ付けてきたかは知らないけど』
『僕達の呪いの力を見せてやろうか』
『大先生が来る前にケリつけてやるよ!』
怪奇少年達は生気の無い顔に引き攣ったような笑みを浮かべて口々にそう告げた。
夜羽々矢・琉漣
今日も今日とてお仕事お仕事、っと。
悪い子には黒いサンタさんがやってくるんだよ!(ドイツの伝承)
(UCを発動すると全身暗色系になるのでそれっぽいかな、とか思っている)
UCを発動して、噛みついてくるヒルの頭部を躱しながら大鎌「Averla」でヒルの頭部を切り落としにかかる。
ついでに、鎌が届かない場所にいる相手のUCに、思考入力にはなるけど【ハッキング】を仕掛けて、ヒルの頭部に変化させた部分が周囲に無差別攻撃をするように仕向けてみよう。相手の気が一瞬でも逸れれば儲けもの。
ほらほら、「悪い子」には「再びの死」をプレゼントしようね!
師走となっても今日も今日とてお仕事の時間だ。
「全く、クリスマスも近いのに呪いとか物騒なことしてるね?」
夜羽々矢・琉漣(コードキャスター・f21260)は目の前に立つ陰気な少年達に視線を向けるとわざとらしく肩を落として見せた。
『ヒヒ……幸せな連中を呪ってやる楽しみ、おにーさんにはわからないだろうね』
「解りたいとも思えないね。悪い子には黒いサンタさんがやってくるんだよ?」
琉漣の言葉に、何ソレ……と少年達が呟いたのもつかの間。
青年の身を黒いライダースーツが包み込む。まるでドイツの伝承に出てくる黒きサンタクロースの如く。戦闘式・人機駆動――パワードスーツのシステム起動開始。
『なんだよそれ、格好良いじゃん!』
『キヒヒ……女じゃないけど吸ってやるよ!』
その手をヒルの頭部に変じさせ、怪奇少年達が飛びかかり襲い来るのを琉漣はさっと回避し、手にした大鎌でその顎をさくっと斬り落とす。
『うぎゃあああっ!!?』
即ち手首を落とされた少年は失った箇所から血が噴き出る痛みに悲鳴を上げる。
更に――。
『う、うわ、どうなってる……!?』
琉漣の鎌が届かない位置にいた少年の一人が叫ぶ。腕のヒルの制御を失い暴走させて周囲の仲間に無差別攻撃を開始した。
呪いとは術式であり、ある種のプログラムだ。琉漣が思考より呪いをハッキングして書き換えてやれば雑魚の呪いを機能不全にするくらいならどうにでもなる。
「ほらほら――『悪い子』には『再びの死』をプレゼントしようね!」
黒きサンタからの贈り物は始まったばかり。
成功
🔵🔵🔴
日東寺・有頂
おじゃましまーーーー!
遠慮無うドア思いっきり足蹴てガキンチョ潰しつつ乱入しちゃりますー。巷はジングル浮かれとるんに呪いや何やとせがらしか!サブいけんお還り下さい。
絶対コロス形態に変化させた武装で坊主らに先んじて一撃見舞えるようしてぇばいね。
藁人形は見切りで何とか避けたいが、当てられたら宣告ルールなるべく守りつつ果敢に攻めるばい。
ヒル攻撃はキモいけん喰いかかってきよった頭部にキックでカウンター。グチャッとやりつつ生命力吸収返ししたろ!
バーちゃん釘はこっちも手裏剣みだれ迎え撃ちで相殺するとよ。しっかしこんバァちゃんフィジカルつよいな…
封印解いた武器初めて使うたんばってん、痛いけんはよ倒そ!
城島・侑士
アドリブ・連携◎
(怪奇少年の群れを見て)
気持ち悪いな、こいつら
…と思わず口に出してしまう
まぁオブリビオンだし仕方ないよな
無垢そうな瞳でウルウルしてくるようなタイプじゃなくてよかった
基本的に前衛タイプへの援護射撃や咎力封じでのサポートで行動するが
他の仲間が後衛や援護型に偏っていたら拷問具スレッジハンマーでの近接攻撃に切り替えて前衛に上がる
怪奇少年が吸血ヒルに変化したら二回攻撃で容赦なくヘッドショットする
ていうか生意気に吸血攻撃なんて使うのかよ、気持ち悪いな
ダンピールがこんな吸血方法じゃなくてよかったと心から思う
見た目的にも食いたくないから回避するかオーラ防御で防ぐ
…さてボスはどんな奴なんだろうな
「――気持ち悪いな、こいつら」
城島・侑士(怪談文士・f18993)は、つい本音を口に出してしまい、その事に思わず苦笑いを浮かべてしまう。
怪奇少年とは良く言ったものだ。可愛げの無い表情のクソガキが同じ顔して群れを成している様子はオブリビオンだし仕方ないとは言え。
「無垢そうな瞳でウルウルしてくるようなタイプじゃなくてよかった」
容赦無く倒してやる事が出来るから。
ガシャ、と手にしたショットガンに弾籠めの音が鳴ったその時。
「おじゃましまーー!」
元気一杯に部屋の扉が開いたかと思いきや、ガスンとそのドアの背後にいた怪奇少年が壁に挟まれ潰される悲惨な図が見えた。
「巷はジングル浮かれとるんに呪いや何やとせがらしか!」
足蹴にしたドアを今更のようにノックしつつ、乱入男――日東寺・有頂(手放し・f22060)は中を軽く見、笑みすら浮かべ、しゃあしゃあと九州系訛りで言う。
「サブいけんお還り下さい!」
何処に、と言われれば恐らく骸の海。有頂は早速己の武器の封印を解き放ち、凶悪なフォルムに変形させた所で怪奇少年に向けて躍りかかる!
神経に刺さる痛みに耐えながら先んじた一撃食らわせた所で、単調な動きは攻撃の餌食。
『キシシ……僕達に近付くな……!』
藁人形が有頂に触れる。命じたルールは既に至近距離まで接近している彼に更に痛みと苦痛を与えるもの。
「こんの……!」
「そこの青年、下がれ!!」
侑士が放った銃弾が怪奇少年の頭部を撃ち抜いた。術者より引き離すのが先決と判断した侑士は躊躇いなく引き金を弾いていた。
「さぁ、この不良少年達。俺がさっさと更正の機会を与えてやろうか」
『ヒヒ、余計なお節介だよオジサン!!』
その両手を吸血ヒルに変じて向かってくる敵の少年達。舌打ち一つ、侑士は銃口を素早く頭部に向け、そして告げる。
「お兄さん、だ。言葉には気を付けろ」
実態が三児の子を持つ父親であるとしても、初対面のクソガキに言われたくない。
続けざまに放たれる銃声は二つ。頭を木っ端微塵に吹っ飛ばすも、吸血ヒルがそのまま迫るのを紙一重で回避しつつ、侑士は大きく溜息一つ。
「ていうか生意気に吸血攻撃なんて使うのかよ、気持ち悪いな」
見た目的にも食らいたくない攻撃だった。ああ、ダンピールの吸血がこんなじゃなくて本当に良かった、なんて心底思いながら。
「威勢の良い青年、立てるか?」
「封印解いた武器初めて使うたんばってん、痛いけん……」
「ならば速攻、だな」
有頂が動ける様子を見、侑士は小さく頷く。まだ敵の数はいる。
「……さてボスはどんな奴なんだろうな」
楽しみだ、と侑士は呟きながらまずは目の前の怪奇少年に向け、再び銃を向けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
ボスはマクベスに呪いをかけた相手か。
呪い師を名乗るならよっぽどの馬鹿でない限りは俺が加護を与えたことには気付いてるだろうが…。対峙するに当たってもう一度。
この美しく強い命に私の加護を(破魔を付与)
外見はともかくオブリビオンであるならば問題はないな…倒してしまえばいい。
炎の神鞭を【属性攻撃】炎で強化。力強く振るって【恐怖を与え】つつ攻撃。
敵UCは【オーラ防御】でダメージを減らす。
UC【業火の槍】の【属性攻撃】炎で強化し一掃。
あぁ、マクベスの呪い。必ず断ち切ろう。
マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
あの野郎…怪しげなセミナーなんか開きやがって
まったくほんと迷惑なやつだな
オレたちで二度とそんな真似できなくしてやろうぜっ
アイツが来る前にまずは手下たちだな
綺麗さっぱり掃除してやるよっ
魔装銃に風の精霊の力を借りて
【先制攻撃】でUCを使用
風【属性攻撃】の弾丸での【範囲攻撃】を
お見舞いしてやるぜ!
敵のUCは【オーラ防御】で防ぎつつ
たいあたりは【フェイント】で回避する
そんな霊よりも、オレの愛しい神様の方が強いぜ?
グラナトさんの炎に合わせて
起こした風で更に【傷口をえぐって】やるよ
これが終われば、妙な呪いからも開放されんのかね…
ま、グラナトさんと一緒なら心配ねぇけどなっ!
月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブ等歓迎
雑魚に用なんざねェ
用があるのは俺らの大事な可愛い弟分に
ふざけた呪いをかけたくそ野郎なんでなァ
さっさとその大先生とやら連れて来いカス共!
氷月、前衛任せた!
カルタとガランサスで【目潰し・部位破壊】を狙って【援護射撃】
氷月と俺に向かって来る攻撃は【見切り】つつ【念動力】とサイキック【オーラ防御】で跳ね返して【カウンター】
【P. granatum】発動
氷月と味方は【スナイパー】の意地で避けてやるけど
後のことなんざ知るか
【乱れ撃ち】で当たれば燃やす
当たらなくても地形ごと燃やす
幽霊だろうが燃やす!!
【覚悟】の決め方が違ぇんだよ
消し炭になって二度と出直して来んな!
氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎
はいはーい
怪しい講習とやらは休講になりましたー、なんてね?
大人しく、大先生とやらを連れて来るつもりねェだろうし?
俺らの大事な可愛い弟分を呪いやがった
大先生の連帯責任っつーコトで
――テメェら纏めて、焼死&感電死確定ってなァ!
ゆーくん、後衛はヨロシク!
【先制攻撃】【鎧砕き】【部位破壊】を併用した
『紅雨』を使いながら、ダガーによる斬撃、投擲で相手を牽制
敵のユーベルコードで召喚された霊も含めて
楪に近付こうとする素振りを見せたら
即座に『紅雨』による赤雷を落として、動きを止めさせる
呪いだかなんだか、知らねェケドな
クソガキ風情の呪いなんかで
俺達の【覚悟】が折れる訳がねぇだろ
魔装銃より解き放たれた風の弾丸はいつも以上に威力を増してオブリビオンを撃ち抜いた。崩れ落ちる気味の悪い少年姿の怪を一瞥し、マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は小さく舌打ち一つ。
「あっの野郎……! こんなクソ怪しげなセミナーなんか開きやがって……!」
全く実に――本当に迷惑千万にも程が有る。
「オレたちで二度とそんな真似できなくしてやろうぜっ!!」
そして少年にはこの主催者たる敵には充分過ぎる程、覚えがあるが故に。
「――マクベスに呪いをかけた相手、か」
グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)は改めて確認するように呟くと、少年はああ、と短く返事を返した。
その呪いを受けたが最後――二十歳までに呪いを解かねば、その名の如きメインクーンとなるだろう――。
「ったく、ふざけんなぁぁぁっっ!!!」
「落ち着けマクベス。焦っては事をし損じる」
思い出せば今にも冷静さを失いそうな少年に対し、炎神は帽子の上より彼の頭に手を乗せて低い声で宥める。
「安心しろ」
その声は少年の心に強く強く響くかの如く。
「呪い師を名乗る相手であれば――よっぽどの馬鹿でない限りは俺がお前に加護を与えたことくらい気付いているだろう」
「グラナトさん……」
「だが、対峙するに当たってもう一度」
グラナトは少年の額にかかる髪を大きな手で払いのけると、そっと己の額を合わせるようにくっ付けた。熱が、彼の力が触れた先から伝わるのを少年は感じる。
「この美しく強い命に、私の加護を」
天蝎宮に輝ける紅き炎の星の如く。戦神の加護こそ今、此処に相応しきものはない。
『クヒヒ……何だよイチャイチャしやがって……』
『バーちゃん、バーちゃーーん!!』
怪奇少年達は声を上げ、周囲に同じ様な面構えの老婆を喚び出した。似たり寄ったりな力を有した霊体である祖母達は孫のピンチにまるで鬼女の如き形相で襲いかかってくる。
「外見は兎も角、だ」
少年と老婆。人で有れば庇護すべき存在なのだろうが、両方ともその頭には怪奇の二文字がもれなく付いてくる。オブリビオンであれば倒すだけのこと。グラナトは炎の神鞭を力強く振るう。彼の属性たる炎は生き物であれば恐怖を覚えることだろう。
『ひいぃぃぃっっ!!』
『ウチノ孫ニナンテコトヲ!!』
「ったく過保護なバァサン達だな!」
アイツが来る前にまずはこの手下達を何とかせねばならない。マクベスは敵の群れを見据えると両手の銃を構えて相手に向ける。
「綺麗さっぱり掃除してやるよっ!」
向かってくる老婆の突進は竜の翼を羽ばたかせてふわりとかわし、お返しとばかりに風の弾丸が二丁の銃口から次々に放たれ敵を穿つ。
『ヒギャアアぁぁぁっ!?』
悲鳴をあげる怪奇少年と怪奇婆に向け、更にグラナトが追い打ちとばかりに炎の槍を放てば、飛ばしてくる五寸釘も宙で燃え尽きる。
「そんな霊よりもオレの愛しい神様の方が何万倍も強いぜ?」
『ばーちゃん、一旦態勢を整えるよ!!』
祖母の霊と共に出口に向かおうとした怪奇少年達。
だが――それは許されない。
「はいはーい、怪しい講習とやらは休講になりましたー、なんてね?」
「正直、雑魚に用なんざねェ。失せるなら今のうちだ」
不敵な笑みを浮かべるは氷月・望(Villain Carminus・f16824)、そして月待・楪(Villan・Twilight・f16731)の二人の青年が挟み討つ様に敵の集団を待ち構えていた。
「兄貴達っ!!?」
二人の登場にマクベスは驚いた表情。二人とも少年が兄貴分と慕う、頼れる男達だ。自分の為に?と尋ねるような視線に答えるように二人は鼻を鳴らし返事一つ。
「俺達の大事な大事な可愛い弟分にふざけた呪いをかけやがったクソ野郎にきっちり挨拶しなきゃあと思って、な?」
楪がそう告げれば、望もその手にダガーを構えてニッと笑みを見せ。
「右に同じく。ま、大人しく大先生とやらを連れてくるつもりねェだろうし?」
堕ちろ――その言葉を口の中で滑らせながら、彼の爪先は床を蹴り出す。
「テメェら纏めて、焼死&感電死確定ってなァ!」
――氷月、前衛任せた!
――ゆーくん、後衛はヨロシク!
二人の間に言葉は要らない。視線が合えば、この位の事は十二分に通じ合う。
望の放つ言霊に呼応して雷が怪奇少年捉えた所にダガーの一薙ぎが血を花と咲かせる。
楪が向けた二丁の銃が火を噴けば、鉛玉が怪奇婆の霊体を吹き飛ばす。
『痛い痛い痛いっ!!』
『ヒギィィィ!!』
攻撃にのたうち悶える怪奇少年達に対し、望は思い切り蹴りを一つ入れて吐き捨てるように告げる。
「クソガキ風情の呪いだかナンダカ如きで俺達が折れると思ったか?」
「覚悟の決め方が違ぇんだよ」
楪も手の中で銃を廻しながら、敵に対する怒りと苛立ちを隠せずに告げた。
「消し炭になって二度と出直して来んな!」
「俺らの大事な可愛い弟分を呪いやがった大先生の連帯責任っつーコトでな!」
紅き雨が降り注ぐ。それは敵を貫く雷の槍。
朱き果実が降り注ぐ。それは敵を穿つ炎の弾。
二人の青年の攻撃は情けも容赦もありはしない。望の着実な一撃が次々と刺さり動きを封じ。楪の乱撃がオブリビオンも喚び出された霊体も、敵対する全てを燃やし尽くす。
「さっさとその大先生とやら連れて来いカス共!」
辛うじて逃げ出す数体は深追いはせず、楪は敵の背中に向け中指立てながら見送った。
「望兄ちゃん! ゆー兄ちゃん!」
「猫助の為なら一肌脱ぐのは当たり前だからな」
「そそ、カチコミに参加するのは当然ってな」
駆け寄って来た弟分に青年二人は笑みを向け。そんな仲睦まじき様子を炎神は温かく腕を組んで見守る。良き仲間を持った彼に安心するかのように。
「これが終われば、妙な呪いからも開放されんのかね……」
まずは奴を倒してから――そうでなければ始まらない。
「ま、グラナトさんと――そして兄貴達と一緒なら心配ねぇけどなっ!」
心強き仲間に助けられていることに感謝しつつ、マクベスは決戦を前に気合いを入れ直すのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
レン・デイドリーム
邪神のセミナーか、そういうのに手を出しちゃう人がいるのは悲しいな
せっかく楽しい年末も近いのに
それに呪いは容量用法を守って正しく使わないとね
とりあえず僕なりにお手本を見せてみよう
呪詛を籠めたサモニング・ガイストで古代の戦士の霊を召喚
少年達へとけしかけていくよ
彼らが呼び出すおばあちゃん……?の霊もまとめて攻撃してみようか
槍で各個撃破させるように指示していくね
僕はオーラ防御で身を守りつつ、衝撃波で戦士のサポート
第六感も交えて相手の怪しい素振りを見張ろうか
釘なら衝撃波や戦士の霊で撃ち落とせる
体当たりは見切れるように頑張ってみようか
「祝いを呪いに」なんて、逆の方が楽しいと思うけどね
藤代・夏夜
残念だったわね走二ちゃん
こちとら毎日萌えを摂取して生命力が漲ってるオタクよ
呪詛耐性と合わせてオタクパワーで呪いなんて…
えっバーちゃん?
んもーしょうがないわね
まずは走二ちゃんのお祖母ちゃん!勝負よ!
釘は機械の腕で顔や体をカバーしつつ
第六感のままに動きながら接近を試みるわ
こういう時、アレコレ考えてると動きや反応が鈍くなりそうだもの
体当たりしに来たら全力で踏ん張って
乙女ゲーのスチルのようにしっかりと受け止めるわ
年々参加者数が増えているイベントの超混雑と比べれば
お祖母ちゃんの体当たりなんて屁でもないわよ多分
接触出来ればこっちのもの
UCをバチッとかますわ
ウフフ、貴女のお爺さんじゃなくてごめんなさいね
『クソ、あいつら……!』
『きっと大先生が返り討ちにしてくれるよ!』
呪い講習会が開かれる大部屋は猟兵達の襲撃に遭い、殆どの怪奇少年達は駆逐された。だが、隙を見て辛うじてその場から逃げ出した個体が数人、ビルの外に逃げ出すべく下り階段に向けて廊下をひた走っていたのだが……。
「残念だったわね、走二ちゃん」
無機質な銀色の手を壁に付いて待ち構えるように立つ青髪の青年が一人。フェミニンな言葉遣いにギョッとして立ち止まる少年達を藤代・夏夜(Silver ray・f14088)は微笑みながら見据えていた。
「邪神のセミナーか。そう言うのに手を出しちゃう人がいるのは……悲しいな」
壁にある呪いの講義案内の張り紙を片手で破りながら別の通路より現れたのは、藍の髪持つ青年――レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)の姿。
「楽しい年末も近いのに。クリスマスにお正月……素直に楽しめないのかな」
「ふふ、有明の冬の祭典だって忘れちゃいけないわよ?」
「……それについては僕はちょっとわからないけど」
夏夜の相槌に軽く首を傾げつつ。レンは少年達に向けてゆっくりと一歩二歩と距離詰める。
『くそ、こんなところで待ち構えやがって……』
『呪ってやる……! 全力で呪ってやるんだからな……』
手にした藁人形を千切れそうな程に握りしめ、怪奇少年は呪いの言葉を何やらブツブツと口にし出した。
「――とりあえず僕なりにお手本を見せてみようか」
レンが指を軽く鳴らせば、彼の操る呪いの力を有した古代戦士の霊が場に召喚され、陣形を組んで構えた。
『こっちこそ呪いの力、ナメんな! ばーちゃん、ばぁちゃぁぁん!!』
少年達の声に呼応するように老婆の霊が姿を現す。
「バーちゃん? んもーしょうがないわね!」
釘を放ってきた老婆の攻撃。夏夜は金属製の腕による手刀で払い落とし、顔や胴を防御して耐える。レンも戦士達の霊に盾なって貰う事で身を護り、即座に反撃を開始する。
「槍で各個撃破してくれるかい?」
老婆の体当たりを回避しながら、戦士に向けて指示一つ。少年とその祖母達を纏めて貫き薙ぎ払い、次々と屠っていく戦士達のなんとも頼もしいことか。
「走二ちゃんのお祖母ちゃん! 勝負よ!」
『ウチノ孫ニナニスルンジャア!!』
夏夜は向かってくる老婆の体当たりを真正面から受ける。実体持つ霊を全力で踏ん張って受け止め、機械に置き換わったその掌より迸る高圧電流が悪霊を焼き、その動きを完全に停止させた。
「ふふ、痺れたかしら? 貴女のお爺さんじゃなくてごめんなさいね」
その間にもレンの放つ衝撃波と戦士達の攻撃は呪術を操る少年オブリビオン達を葬り去り、次々と骸の海へと還していった。
「呪いは容量用法を守って正しく使わないとね」
「流石レンちゃん。スマートにキメてみせたわね」
「そちらこそお婆さんの攻撃を引き受けてくれてありがとう。だけど平気?」
呪われてなければ良いけど、と心配そうに視線を向けるレンに対し、夏夜はクスッと笑みを浮かべ、平気よ、と返答一つ。
「年々参加者が増えてるイベントの超混雑と比べたら屁でもないわよ♪」
「イベント……? 良く解らないけど大丈夫そうなら、いいか」
この改造人間である青年が謎に漲った生命力を有していることだけは間違い無い。
二人はセミナー会場から脱してきたらしきオブリビオンがもう居ない事を確認すると、急いで他の猟兵達に合流すべく廊下を進み出す。
(「祝いを呪いに、なんて――逆の方が楽しいと思うけどね」)
レンはそんな事を心の中で思う。ここを潰せば、いずれ講習生である人々が呪いを祝いに変えることが出来ると、そうなることを祈って――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『甘い囁き『呪い師の宇羅』』
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POW : 呪い返ししてあげようか
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【ドクロ杖へ吸収し、その口】から排出する。失敗すると被害は2倍。
SPD : ほらほらお前たち、出番だよ
戦闘用の、自身と同じ強さの【爪と牙に猛毒を持った大型の屍犬】と【噛み付いた相手を石化させる大蛇】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : お前に呪いを与えてやるよっ!
【ドクロの杖】から【青白い炎】を放ち、【『なりたくない』ものへの変化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:由無古十
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「マクベス・メインクーン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――急に、空気が変わったと誰もが感じた。
怪奇少年達は全て倒し、部屋には攻め込んだ猟兵しかいない。
床に散乱した長机やパイプ椅子の隙間に、薄らと紫色の光が浮かび上がったかと思いきや、それは線となり四方に延びて円形を描き、中央には紋様らしき絵が浮かぶ。
『おやおや……随分と乱暴な受講生さん達がおいでのようだね』
魔方陣がその上にあった机や椅子を吹き飛ばしながら光の柱を形成する。
眩しいその光が収束した先に、その男は立っていた。
獣の骨を仮面のように被り、手にした杖の先には人間の頭蓋骨の如きもの。
如何にも呪術師めいた佇まいの男は、周囲を見渡すと小さく肩を落とし呟く。
『嗚呼、これでは今日の講義は延期確定かな。残念だ』
ちっとも残念そうに思えない笑みを顔に貼り付け、男は言う。
『殆どが初めましてだから自己紹介させて頂くよ。私の名は宇羅。呪い師だ』
簡潔にそう告げると宇羅は髑髏の杖を掲げ、口の端を吊り上げた。
『特別授業を始めよう。受講料はお前達の命。強大な邪神復活の贄に相応しい』
呪い師は嗤う。呪いと言う名の祝福を授ける愉悦に心躍らせながら。
城島・侑士
アドリブ・連携◎
真の姿で
こいつが黒幕か
悪いが贄にはならねぇよ
相手してやるからかかってきな
口では煽るし骸骨の杖が武器とか色々ベタすぎると思わなくもないが一応首領相手なので侮らずにいこうか
…でもあんな不気味なガキの集団を部下にするのはどうかと思う
戦闘ではUCや二回攻撃で急所(頭、手足)狙っていく
宇羅がご自慢の蛇や大蛇を召喚してきたら部屋に散乱した長机やパイプ椅子を盾代わりにして攻撃を凌ぐ
特に大蛇の一撃には石化効果があるので直撃は防ぎたいところだな
念のためオーラ防御も併用しとくか
うまく隙をついて宇羅を狙い召喚の解除を狙う
ご自慢のペットは退場したみたいだな
ちゃんと躾をしとかないとだめなんじゃないのか?
「こいつが黒幕、か」
ふん、と鼻を鳴らして城島・侑士は目の前に現れた呪い師を名乗る男を見据えた。成る程、口も達者であれば手にしたその骸骨の杖が武器としては余りにもそれらしい。
(「けど一応首領だしな」)
その出で立ちが色々とベタだと思っても侮ってはいけない相手だと言う事は充分感じる。
「悪いが贄にはならねぇよ」
『ほぅ?』
「相手してやるからかかってきな」
不敵な笑み浮かべた侑士は弓を持たぬ手を軽く掲げるとくいっと手招きするように告げた。明らかに挑発。勿論、それくらいで激昂する相手とは思っていない。
『余裕なんだね。良いだろう、お前から個人授業開始だ』
宇羅は静かに笑みを浮かべると杖を掲げて何やら口訣を紡ぎ始めた。
何かを喚ぶ気だ、と察した侑士は手にしたロングボウを向けると素早く矢を放つ。
『――っ!!』
続けざまに飛んで来た矢は顔面に向かってきた。首の動きで躱しつつも集中を削がれた呪い師は表情を曇らせる。
『折角呪いの実演をしてやるのに。邪魔はしないで頂きたいな』
「これは失礼。このくらい平気だと思ったんだがな?」
悪びれもしない侑士の返し。表情をそのままに宇羅は再び呪文を唱えるとその場に二つもの魔方陣が形成され、そこから浮き出るように大型の屍犬、そして不気味な大蛇が喚び出された。
「っと……気持ち悪いもん喚びやがって」
襲いかかってくる犬や蛇の攻撃をまともに受けてはエラい目に遭う。部屋に散乱した長机を咄嗟に盾にし、パイプ椅子を空いた手で掴むと振り回し牽制しつつ間合いを取る。
『ほら、どうしたのかな? 逃げてばかりじゃ終わらないよ』
「は、解ってらぁっ!」
大蛇の牙をオーラによる防御で凌げば、その身が石化する事も免れる。
侑士は攻撃の合間と二体の召喚生物との隙間を縫うように、手にした弓を術士に向けた。
その刹那、侑士の藍色の瞳が真紅に燃える――呪いに対抗するかのように、真なる彼の呪われた血がその力を増す。
放たれた矢は正確無比に呪い師の腕に突き刺さる。その痛みに呼応するかの如く、動きを止めた犬と蛇は溶けるように床に消えていく。
「ご自慢のペットは退場したみたいだな」
『……!』
「躾が足りなかったようだな。ああ、そもそも――」
からからと笑う侑士は首を傾げながら言う。
「あんな不気味なガキの集団を部下にするのはどうかと思うな」
先程の怪奇少年達を思い出しながら助言でもするかのように彼は告げたのだった。
成功
🔵🔵🔴
日東寺・有頂
涙目なっとー内に走ちゃんら倒されとった…
本命の呪い師さんばいね。
折角名乗って頂いたけん
宇羅さん!!て名字ですと?(どうでもいい)
不意に呼びかけ視線お迎え行くばい。
宇羅さんの視力が奪えたら一先ず杖をバキッとネ。華奢な脚にゃローキックかましてこかし、宇羅さんの頭蓋ごと悪趣味な被りモンもグシャっとね。
UC封じれんかったら召喚犬&蛇の動きにそれぞれ十分気ぃ払うばい。
噛みついてくるワンコの顎にカウンターで生命力吸収付き前蹴り。可哀想ばってん盾にしながら大蛇の石化を防ぐとよ。
隙見て宇羅さんに手裏剣みだれ撃ち浴びせちゃる。UC解除させて接近&肉弾戦たい。こう見えてキレキレに応戦してきたらどがんしよ…
「涙目たっとー内に、走ちゃんら倒されとった……」
既に散々暴れた猟兵達のお陰で滅茶苦茶に散乱している机や椅子の隙間から様子を窺うように日東寺・有頂は呟いた。
「あれが本命の呪い師さんばいね……折角名乗って頂いたけん」
有頂には何やら策があるようで。
意を決して影から躍り出るや否や、持ち前の大きな声で叫ぶ。
「宇羅さん! って名字ですと!?」
『――は?』
割と間抜けな質問に対し、名を呼ばれた宇羅は訝しげに叫んだ青年の方を睨み付けた。
――それこそが有頂の狙い。あのデカイ声から彼のユーベルコードが始まっているとは誰が想像するだろう。視線を合わせた事で一時的に視力を奪うことが彼の力だなんて。
『!!? 見えない!?』
突然視界が奪われた宇羅は動揺を隠せない。その間に有頂は傍に駆け寄ると、その杖を押しのけて脚に向けてキックを放ち、ついでに頭突きも食らわせる。
振り払うように宇羅は後ろに飛ぶと杖を翳して素早く術を発動させる。
『――ちっ――』
呪い師が舌打ちしたのは術が一時的に封じられた事を認識した為。視界が戻りつつある中でも生じた魔方陣は一つ――屍犬を喚び出すに止まった。
有頂は向かってくる犬の顎に前蹴りを叩き込み、その尾を掴んで宇羅に投げつける!
「そっちに行くとよ!」
『!!』
割と無茶苦茶なその攻撃は辛うじて躱すより他ない術士。そこに更に追い打ちとばかりに巨大な手裏剣が轟と音を立てて宇羅の身を切り裂けば、召喚物は床に溶けるように消える。
「今ばい……!」
更に近付いて殴りかかろうとする有頂に対し、宇羅も髑髏の杖を掲げてその攻撃を食い止めた。
『なかなか面白いことをしてくれるじゃない?』
「ちょ、肉弾戦もこなすと?」
『舐めて貰っても困るんだよね』
追撃を戻った視界で受け止めながら宇羅は笑う。まだ余裕が窺える笑みだった。
そう、まだまだ戦いは始まったばかり――。
成功
🔵🔵🔴
藤代・夏夜
無傷でいるのは難しそうね
致命傷を避けられるようまずは第六感で距離を取るわ
攻撃受けた時、少しでも早く立て直せればって事で呪詛耐性も
『なりたくないもの』で浮かぶのは転売屋や徹夜組
だけど手は機械から人の手に変わってて
スーツはブレザーへ
視界も今よりちょっと低い
…ああ。これ、高一の時の私だわ。
若い時の姿になりたくないなんて・って疑問を抱かせる為
敢えて伝えたそれが上手く行けば、答えも教えてあげましょ
この時の私は猟兵でも何でもないただのオネエ高校生
出くわしたUDCに友達が襲われてる間、
なぁーんにも出来なかった私!
オネエのハートに土足で踏み込んだ分は
宇羅ちゃん自身に支払ってもらいましょ
触手ちゃん、食事の時間よ
「無傷でいるのは難しそうね」
藤代・夏夜は眉を顰めながら呪い師の一挙一動を見極めつつ前に進み出た。
『……また随分と大勢で来て頂いてるようだね』
次は君かな?と宇羅は小さく口の端を釣り上げると、髑髏の杖を片手に距離を詰めて来た。勘を働かせ、咄嗟に夏夜が回避するも。呪い師は次の攻撃を開始していた。
『さて、君は何に“なりたくない”?』
弾ける青白い炎が夏夜を包み込む。呪いが彼の腕に、足に浸透するかの様に――。
「――これ、って――」
膝着いた夏夜が思い浮かべていたのは有明の祭典を穢す輩達……だったが。
その程度では収まらぬ、許されない存在がそこにあった。
「……ああ、これは……」
『ほぉ?』
夏夜の姿は然程変化がないようにも見えた。ぱっと見だけは。
だが彼のその手は、銀色に輝く機械ではなく生身の手。血の通う手。
衣服もスーツからブレザーに。背丈もほんの少し低く。
「高一の時の、私だわ――」
『普通、人間って若返りを求めるのに。それがイヤだなんて』
宇羅は興味深いと一言呟き、そして不意に気がつく。
何故、高校一年生と明確に時期を把握しているのか……?
そう疑問を得た瞬間。紫色の塊が突然現れ、呪い師に向かいその触手を飛ばした!
『ぐっ……!?』
「そうよね、普通そう思うわよね。でも私はそうじゃないの」
この姿は――罪を犯した自分。
「この時の私はね、猟兵でもサイボーグでも何でもない、ただのオネエ高校生」
ゆらりと立ち上がって、少しだけ若い、生身の夏夜は告げる。
「出くわしたUDC怪物に友達が襲われている間、なぁーんにも、出来なかった私!」
夏夜の叫ぶような声。その怒りは自分に自身に向けられていた。
力が無かったなど、彼に取っては言い訳に過ぎない。
あの時の不甲斐ない自分がイヤでイヤで仕方ない。
――きっと今の夏夜を形作る切っ掛けとなったあの日の自分が、こうして今ここにいる。
『そうか、何も出来ない君、ね――』
「ええ、そうよ。オネエのハートに土足で踏み込んだ分は、宇羅ちゃん自身に支払って貰いましょうか?」
指を鳴らす。あの時の少年の姿で、少年には無かった力が敵を蝕む。
「触手ちゃん、お食事の時間よ」
『――ッガアァっ!!?』
紫色の触手が呪い師に喰らい付く。その様子を見詰める青年の四肢は気がつけば元の銀色の無機質なそれに姿を戻していたのだった。
成功
🔵🔵🔴
レン・デイドリーム
こんにちは、受講生だよ
と言っても呪いは自分で勉強した分で事足りているんだ
セミナーは今日でお終いだよ
相手の攻撃は【オーラ防御・狂気耐性・呪詛耐性】で受け止めよう
それでも影響は出るかもしれない
僕がなりたくないもの……それは『ボロボロに朽ちた姿』かな
けれど変化させられても耐えてみせよう
こんなヤツの呪いに負ける訳にはいかないんだ
必要なら【呪詛】の力だって使うよ
上手く攻撃を耐えたのなら反撃開始だ
相手の呪いに打ち勝ったなら【恐怖を与える】事も出来るんじゃないかな
だってセミナーを行うくらい自信があったみたいだからね
その心の隙を利用してUCを発動
シュエ、一気に切り刻もう
決着をつけたい人の道を切り開けますように
「こんにちは、受講生だよ?」
レン・デイドリームは人を食ったような笑みを浮かべ、講師たる呪い師に視線を向けた。
「と言っても……呪いは自分で勉強した分で事足りているんだ」
『独学に限界を感じて本職たる私に指導を受けに……という訳でも無さそうかな?』
「ああ、全くそのとおり。セミナーは今日でお終いだよ」
余裕すら感じるレンの笑みに対し、宇羅は小さく鼻で笑い飛ばす。
『ならば受けてみるかい? 私の得意な呪い、お前に与えてやるよ』
向けられる髑髏を模した形状の杖の先より、青白き炎が放たれる。
オーラによる防御を展開させたレンだったが、呪いに対する耐性すらも突き抜けて、その呪詛が蝕むのを彼は感じていた。
「くっ……これ、は……」
呪いによって変じる、なりたくないもの――レンは己の四肢が、球体関節で構成されたそれが朽ちてボロボロに変じて行くのを見て顔をしかめた。その顔にもまた、乾いたヒビが走るのを感じる。力を失った足から崩れるように膝を落とす。
ミレナリィドールたる彼は人間とはまた違う。老いる事は無い代わりに、死を迎えるとすれば、その身が劣化し朽ち果てて砕け散る事であろうか。
『はは、君は生き人形だったのか。面白い――そのまま朽ちて壊れ果てるかい?』
呪いを受けた者によっては、己の姿に絶望してそのまま死す者もいるかも知れない。しかし――宇羅が呪いを与えた相手は、それくらいで心砕ける相手では無い。
「ああ、こんなヤツの呪いに負けるような僕じゃないんだよね――」
呪詛には呪詛を。死者使役に長けたレンには対呪詛の術もお手の物。
朽ちて軋んだ音立てていた指先が再び滑らかに動き出し、透明な触手――シュエが姿を現してレンの身を支える様に立ち上がらせる。
『何……!?』
「悪いね、僕には完全には効かなかったらしい」
薄く優しげな笑みで告げたレンの表情は、呪いを一度受けたとは思えない程。
それに動じた宇羅の心の隙をレンは見逃す事は無い。
「シュエ、一気に切り刻もう」
一言レンが告げれば、彼の背後に存在する半透明の触手が素早く動き、その先を刃と変えて呪い師を名乗る男に襲いかかる!
『う、ぐっ、ああっ!!』
セミナーを行うくらいに自信のあった相手だからこそ、呪いを破られた事に対する恐れを抱くのは当然と踏んでいたが。
「さて、僕よりももっと君をどうこうしたい人もいるみたいだし」
決着を付けるのは自分ではない。だが、望むべき者への道は切り開いた。
大成功
🔵🔵🔵
マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
はっ、てめぇの特別授業とやらも今日でお終いにしてやるぜ
あの時の何もなかったオレとは違う
今は戦う覚悟も力も、それに大切な人たちがいる
負ける要素は一切ねぇ!
小刀に雷の精霊を宿して先制攻撃
雷属性攻撃で鎧無視攻撃で骨の髄まで痺れさせてやるよっ
動きが鈍くなった所を狙って、グラナトさん!
敵の攻撃はフェイントで回避
避けられない攻撃は
グラナトさんから貰った加護を使って
オーラ防御と破魔で打ち消す
こっちにも、神様がついてんだぜ?
グラナトさんの攻撃に合わせてUCを使用
全力魔法を小刀に乗せて風の刃で叩き斬る
ふふんっ、グラナトさんと兄貴達がいるオレは無敵だぜ♪
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
マクベスを呪った相手だな。
俺はマクベスに加護を与える「神」だからな。
マクベスにかけたその不愉快な呪い断ち切らせてもらう。
【戦闘知識】で敵行動を観察。マクベスとの連携を意識。
敵が呪術師なので【呪詛耐性】を意識。
蠍の剣に【属性攻撃】炎と【破魔】【毒使い】で毒を付与して攻撃。
【威厳】で【恐怖を与える】
面倒な技だ杖ごと燃やしてやろう。
【全力魔法】でUC【柘榴焔】発動。
【属性攻撃】炎で威力をあげ焔に【破魔】をのせ一斉に【焼却】だ。
マクベスを呪った事後悔しながら朽ちるといい。
月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブetc歓迎
よーやくおでましか、クソヤロウ
…ま、実物見て安心した
これなら、アイツが負けるワケねェな
聞いてなかったか?
今日の講義は休講だ!
トドメは可愛い弟分に
代わりに退場までの花道でも作ってやるよ!
氷月ィ上手く踊れよ?
カルタとガランサスで【クイックドロウ・制圧射撃】
【乱れ撃ち】状態でも俺のパートナーなら上手くかわして踊ってみせるだろ?
弾切れになったらストックポーチからリロード【2回攻撃】
【Villains party】発動
鉛玉に紫電と蒼炎の弾丸の雨
ハッわかってんじゃねーか、氷月
犬も蛇も俺の紅雷に触れさせるかよ
俺のモンに手を出した代償はデケェぞ!
躍り狂え、クソヤロウ!
氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎
延期も何も
テメェの講義とやらは一生休講確定だっつーの
ま、美味しいトコは弟分に任せるとして……精々踊ってもらおうか?
――って、俺もかよー!
解ってはいるし、笑いつつ前衛に回る
弾丸の雨を上手く躱しながら、『Malice』のフックで
【フェイント】込みの【鎧砕き】【部位破壊】で防具破壊を狙う
なりたくないもの、ねぇ……
生憎、俺には二人分の御守りがあるんでね
燃やされて、化物になったとしても……もう、俺自身を見失ったりしねぇ
【呪詛耐性】【覚悟】
つーか、勝手に燃やしてんじゃねぇよ!……なんつって?(楪を見つつ)
『緋戌』の雨で喉笛を貫いてやるかね
派手に踊りな、呪い師サンよォ!
猟兵達の攻撃に晒され続ける呪い師。彼に引導を渡すべく――少年は愛用の二振りの小刀を手に男の前に立つ。
「はっ、てめぇの特別授業とやらも、今日でお終いにしてやるぜ」
『――お前には既視感を覚えるね? 何処で会ったか――』
「なぁに、思い出すのも時間の問題だと思うぜ?」
あの呪術師が目の前にいると言うのに、マクベス・メインクーンはどこか冷静な自分に驚いていた。
そう、あの時あの頃の、何も無かった己とは違う――今は、戦う覚悟もその為の力も手に入れた。それに大切な人達が自分を支えてくれている。
「マクベスを呪った相手だな」
その一人であるグラナト・ラガルティハは低い声で呪い師を見やりながら確認するように問う。彼は炎と戦いの神であり、マクベスに加護を与える神。少年がここまで生き抜き、戦い抜けたのも、彼の存在あってのこそ。
「よーやくおでましか、クソヤロウ」
「待ちくたびれたぜ?」
月待・楪と氷月・望の二人の青年達もマクベスの為に馳せ参じた頼もしき男達だ。鋭い剃刀の如く放つ気迫は、二人が大事な弟分の刃とならんとする思いを示している。
『待って頂いたなら残念。講義なら延期と先程申し上げたろうに』
「聞いてなかったか? 今日の講義は休講だ!」
「延期も何も、テメェの講義とやらは一生休講確定だっつーの」
売り言葉に買い言葉とばかりに。挑発には挑発で返すのが彼らの流儀。
(「……ま、実物見て安心した」)
楪は心の中で安堵する。これなら、アイツが負けるワケねェな――と。
感じる敵の気配。強い魔力めいたものは感じるが、圧倒される程でもないのだから。
「グラナトさん、望兄ちゃん、ゆー兄ちゃん――」
自分の為に共に戦ってくれる三人に視線を向け、マクベスは強い確信を覚えた。
負ける要素なぞ、そう、一切微塵も無い!
『――思い出した。あの可愛い猫竜くんか』
宇羅は合点がいったような表情を見せる。同時に少年が自分に仇のような視線を向ける理由も理解する。
『もっと可愛い姿にしてあげようと思ったんだよ。その名の通り、ね』
悪びれる様子もなく宇羅は告げる。
『近くて遠い未来に怯える者の恐怖心こそ、呪いに相応しい糧だからね』
「ああ、確かに最初はてめぇの呪いに怯えてビビってたさ。でも今は違う」
言葉に臆する事も無く、マクベスは雷の精霊宿した小刀の切っ先を呪い師に向ける。
もう恐れない。恐れる理由など何処にもない。
「オレの未来はオレ自身の手で切り開き取り戻す! 覚悟しろ――!」
放たれる雷撃が宙を斬り裂いて宇羅に向けて突き刺さる。
それが戦闘開始の合図ともなった。
「氷月ィ上手く踊れよ?」
楪が手にしたカルタ&ガランサス――二丁の銃が紫と蒼、二色の牙を剥いた。
「――って、俺もかよー!」
自分には当たる筈もないと解ってはいるが。望は楽しげに笑みを浮かべながら敵に向かってその身を躍らせる。
勿論、楪もパートナーに当てる気は毛頭無い。そして上手く躱して踊って魅せてくれると信じているからこそ、彼に前を任せた訳で。
『お前たち――出番だ』
弾丸の雨から身を護る為に宇羅は咄嗟に召喚円を二つ床に描く。その間にも雨の隙間を縫って望の手にしたワイヤーの先が頭に被る動物の骨を砕くが、呪い師もまた髑髏の杖を彼に向けて青白き炎を撃ち出していた。
屍犬と大蛇が喚び出され、弾丸をその身を以て受け止めるのと、炎を受けた望の姿を認めて楪は一旦銃撃を中止し叫ぶ。
「氷月ッ……!」
「うっ……ぐ……!」
呪いが青年を蝕む。なりたくないもの――それは――。
――いや、有り得ない。俺には二人分の御守りがあるのだから、もう『化物』なんかになる筈がない。そんな訳ない。
たとえ、それが燃やされて灰になって、化物と成り果てたとて――もう俺自身を見失ったりは――。
「つーか、勝手に燃やしてんじゃねぇよ!!」
「おおっ?」
「……なんつって?」
その額には多くの汗が滲んでいたが、望の強い意志と覚悟は呪いを打ち破った。向けられたその視線に楪は安堵したように笑みを零さざるを得ず。
「ハッわかってんじゃねーか、氷月」
『くっ、この――』
呪いを打ち破られた宇羅が犬と蛇に命じ、望にその双牙を向けさせるも。
「どっちも俺の紅雷に触れさせるかよ!」
楪が吼えると同時に双銃が咆吼を上げた。紫電と蒼炎纏いし弾丸が曲線を描きながら雨霰と降り注ぎ、屍犬を燃やし、大蛇を焦がし、そして本体たる呪い師にその鉛玉を叩き込んだ!
「派手に踊りな、呪い師サンよォ!!」
望は己のこめかみを撃つ仕草を見せ――その周囲には咲き乱れる緋色の花が生じる。
いつの間にか狐面が自分を見据えている事に宇羅が気がついたのは、赤い雷に貫かれていたのと、ほぼ同時――。
「俺のモンに手を出した代償はデケェぞ! 躍り狂え、クソヤロウ!」
追撃とばかりに楪は更に鉛玉の雨を注ぐ。いっそこのままトドメを刺そうか――いや、それは可愛い弟分の仕事。
「ま、美味しいトコは弟分に任せるとして……精々踊ってもらおうか?」
「代わりに退場までの花道でも作ってやるよ!」
二人の青年は身を退けば、そこに躍り出たのはマクベス、そして彼を加護せしグラナトの二人。
『随分とまぁ……余裕のようだね?』
炎と雷に穿たれながらも、杖を支えに宇羅は少年を睨み付けた。
『あの時の小僧が私をこんな目に遭わせようなんて。全く思いも寄らなかった』
それも自分の撒いた種か。肩を落としながら宇羅は呟く。
「そうだな、後悔させてやるぜ! てめぇの犯した過ちにな!!」
マクベスの手にした小刀より放たれる雷が抵抗すら無視して呪い師の身を貫けば、その骨の髄まで痺れる感覚が宇羅の動きを一瞬留める。
「グラナトさん!!」
少年の呼びかけに、炎神は蠍剣を手に距離を詰めた。
「マクベスにかけたその不愉快な呪い断ち切らせてもらう」
炎を纏い神威を籠めた一撃が呪い師の肩当てを砕き、その腕に刃と毒が食い込んだ。
『がぁっっ!!?』
衝撃に耐えきれず、呪い師の身体が倒れ伏す。だが、その目に諦めは無い。
『そう――お前をあの時、すぐに変えてしまえば良かったんだね』
お前のなりたくないもの、に。
宇羅はそのドクロの杖より炎を放つ。青白い炎はマクベスに向かい、そして彼を包み――弾けた。破魔の力が呪いに打ち勝ち払ったのだ。
『な、に……!?』
効かないことに宇羅は驚き目を見開き、そしてはたとグラナトの方を見る。
『――成る程、小癪な――!!』
「俺はマクベスに加護を与える神だがらな」
「その通り、こっちにゃ神様がついてんだぜ?」
自慢げに言い放つマクベスの言葉に唇を噛み締める宇羅。そこに炎神の低い声が響く。
「面倒な技だ。杖ごと燃やしてやろう」
『――!!?』
宇羅はグラナトに杖を向けるも、炎を司る神に向けて炎にて攻撃しようなど、身の程知らずにも程が有った。
柘榴の粒の如き炎がグラナトの周囲に燃え浮かんだかと思った瞬間、それは四方八方より呪い師に襲いかかり、手にした髑髏の杖を灰と成した。
「マクベス!!」
グラナトの促し。マクベスは小さく頷き、全力全霊の力を小刀に集中させた。
やっと、やっとここまで来た――この瞬間を待っていた。
思いを籠めたマクベスが放つ風の刃は喰らい付く。まるで野生の猫の牙の如く、その喉笛を噛み千切るかのように。
『――――ッ!!!』
避けられぬ斬撃にその身を鋭く斬り裂かれ、喉奥と肺に達した傷は呪い師の口よりごふっと鮮血を吐き出させるに至る。
「グラナトさんと兄貴達がいるオレは無敵だぜ!」
「マクベスを呪った事後悔しながら朽ちるといい」
引導を渡す時が来た。即ち、それはマクベスが宇羅より受けた呪いより解き放たれる時。
『く、ははは――』
「なんだよ、これから死ぬってのに何が可笑しいんだ!?」
『呪いは己に跳ね返るとは――良くもまぁ言ったものだと思っただけだよ――』
宇羅の身体が徐々に崩れていく。砂となり骸の海に戻って行く。
『最後にとっておきの呪いをくれてやるよ、可愛い子猫ちゃん』
――貴様は、その魂を死に至るまで愛に縛られ続ける。
『この呪いが解ける時は、お前が過去に成り果てた時――骸の海で待っているよ――』
宇羅が最期に告げるのと、マクベスの放った精霊弾がその頭部を撃ち抜いたのは同時。
そして――呪い師・宇羅は砂粒となり、そのまま跡形も無く消え去ったのだった。
「……マクベス、平気か」
「あ、ああ。いまいち呪いが解けた感じも受けた感じもしなかったけど」
「いや、最早お前の身より悪しき気配は感じられない」
そっと少年の頭に手を乗せ、炎神はそっと微笑みかけた。
「最後のあれ……なんだったんだ?」
「呪いと言うより祝福に近い気もするけど」
望と楪もマクベスの元に駆け寄ると首を傾げる。だがグラナトは答えを識っていた。
――愛とは、祝いであり呪いである、と。
(「だが、呪いにはさせん」)
「――グラナトさん?」
マクベスは彼に抱きつき、その表情を見上げて問うた。蠍をも司る炎神は、呪い師による最期の歪んだ祝福に苦笑いを浮かべていたが、マクベスの晴れ晴れとした笑顔を包むこむように優しく抱きしめ誓うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『スイーツ・バイキング』
|
POW : とにかく色々たくさん食べる
SPD : スピードを生かして、人気スイーツを素早く奪取
WIZ : 一品一品うんちくを語りながら味わう
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イルミネーションの光が鮮やかな道を進めば、小洒落たホテルの一階ロビーにて待つ青年の姿。いつものコートの代わりにジャケット羽織った早乙女・翼が戦い終えた猟兵達を出迎えた。
「お疲れ様。その様子だと無事にクソセミナーぶっ潰してきたみたいさね」
労いの言葉をかけると、こっちと彼が指し示す先からは甘い香りがほんのりと。
そこは様々な甘味が織りなす花と宝石の楽園――!!
白雪の如き、ふんわり生クリーム。
輝く琥珀のようなカラメルの結晶。
瑞々しい苺はルビー、葡萄の粒はアメジストかペリドットか。
チョコレートが噴水のように流れて落ちるファウンテン。
飲み物も定番の紅茶に珈琲の他、色々な珍しいお茶や飲み物、ジュースもある。アルコールの提供はスィーツを楽しむと言うコンセプトのために成されないのでご注意を。
甘味は洋風和風中華風と何でもあり。
セルフサービスなので自分で好きに取り分けて好きに美味しく召し上がれ!
カロリーとか脂肪フラグなんて気にするな!!
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
マクベスにかけられた呪いも解くことができたしマクベスにとっての不安が無くなったのならよいが…せっかくは今は祝うとしよう。
あぁ、翼も世話になったな。お前の予知のおかげでもある…感謝している。
スィーツビュッフェ…甘味を好きに食べられるのだろう?ならばマクベスの食べたいものを食べるといい。私はお前が食べているのを見ているだけで満足だからなコーヒーでも飲んでいるよ。
まぁ、お前が勧めるものがあるなら口にはするが…私にとってはお前に作ってもらった菓子が一番だからな。
(それでもケーキを口元に運ばれれば当然のように食して)
あぁ、なかなか美味いな。
マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
なんか最後に変な事言ってたなあの野郎…
まぁ無事に宿敵も倒せたし呪いも消えたし
打ち上げ的な感じでスイーツビュッフェ楽しもうぜっ♪
翼も一緒に宿敵討伐を祝ってくれよなっ!
ん~っ、やっぱ普段見ないスイーツ食べてみたいよなぁ
季節限定とか店オリジナルのとかっ!
あれ、グラナトさんは食べないの?
(オレが作ったお菓子が一番と言われて)
……グラナトさん、それは反則…
まぁお菓子はまた帰ったら作るね
んー、じゃあオレの少し食べてみる?
(フォークであーんと口元に持っていく)
ふふっ、どう?まぁまぁいけるでしょ
ホテルのエントランスに最初にやってきた二人は、少年と壮年の二人組。
特に少年の方がその表情は実に晴れ晴れとしているのが遠目でも充分解った。
「何だ、随分とご機嫌じゃね?」
案内するべく立っていた青年が問いかければ、少年――マクベス・メインクーンは大きく頷きを返した。
「そりゃ無事に宿敵を倒せたんだぜ? 喜ばないハズないだろ♪」
「おお?」
驚いたように翼は声を上げる。現場に転送する際、随分と神妙な表情で征く姿を見送った記憶はあるが――そう言うことか、と合点がいった表情見せ。
「確か……にゃんこになる呪い受けてたとか言ってたさよね?」
「ああ。だがその呪いも消えたぜ! これで無事に成人を迎えられるって訳だ」
溢れ出る笑みを隠せないマクベスは、確認するように隣に立つグラナト・ラガルティハに視線を向けると、炎神はゆっくり大きく頷きを返した。
「あぁ――翼も世話になったな。お前の予知のおかげでもある」
感謝している。グラナトが低い声で礼を述べると翼も軽く首を横に振る。大した事はしてない、と謙遜の一言を漏らすと。
「なぁ、翼も一緒に宿敵討伐を祝ってくれよな!」
と、マクベスが見上げながら二人の手を掴むとビュッフェ会場に向けて促した。
激しい戦いの打ち上げにも、少年の新たな門出を祝うにも相応しい。
「――ところで、さ」
ふとマクベスは思い出したように翼に告げる。
「あの野郎、なんか最期に変な事言ってたんだよな」
「変なことって……どんな」
「それがさ――」
少年が思い返して宇羅の最期の言葉を翼に教えようとしたその時。
「マクベス」
グラナトが遮るように声をかける。
「お前にかけられた呪いも解くことが出来たし、不安が無くなったのであれば充分だ」
彼が呪いから解放され、新たな呪いも付与された訳では無いのは神であるグラナトが太鼓判を押したのだから。
「今は祝うとしよう」
いずれ解るだろうか、解ってしまうのだろうか。あの言葉の意味に。
少年がそれを受け止められる強さを授け続けよう――炎神はあの時そう心に誓っていた。
広々としたビュッフェ会場はまるで色とりどりの宝石箱をそこら中に広げたかのよう。
「ん~っ、やっぱ普段見ないスィーツ食べてみたいよなぁ」
取り皿を手に右往左往するマクベス。季節限定とかホテルのパティシェオリジナルケーキとか、魅惑の文言が各スィーツの前に掲げられた小さな札に躍っている。
冬のこの時期、イチゴを使ったスィーツが一番種類豊富と見えて。二口サイズに丁寧に作られたイチゴのティラミスにイチゴのロールケーキ、口直しに丁度良いイチゴのソルベと季節のイチゴ三昧。
ほくほく顔で席に戻れば、そこにはコーヒーカップのみを前に置いたグラナトの姿。
「あれ、グラナトさんは食べないの?」
「私はお前が食べているのを見ているだけで満足だからな」
そう言ってカップを持ち上げ、ゆっくり口に運ぶ。
「甘味を好きに食べられるのだろう? ならばマクベスの食べたいものを食べるといい」
「えー、折角なんだしオレが見繕ってきてやるよっ」
「まぁ、お前が勧めるなら口にはするが……」
そう言ってたたっと駆け出す少年の優しさと健気さに、炎神はつい口元を綻ばせた。
戻って来たマクベスは早速とばかりに色々なケーキなどの甘味を口に運ぶ様子が何とも愛おしい。じっと見つめる視線を受けて、やはり食べないその様子に軽く首を傾げれば。
「私にとっては、お前に作って貰った菓子が一番だからな」
その発言に、マクベスも思わず口にした紅茶を噴き出しそうになり、真っ赤に染まった顔を覆った。
「グラナトさん……それは、反則……」
爆発しろと言われても仕方ない事をサラッと言ってのけた男は表情を全く変えない。流石は神だけある。
「まぁ、うん、お菓子は帰ったらまた作るね」
だからまずは、とマクベスはイチゴを乗せたスポンジを一口サイズにフォークで取り、
「オレの少し食べてみる?」
と、そっとグラナトの口元に持って行く。当然のように開けた口にそれを収めて貰ったグラナトはしっかり味わい飲み込んだ。
「ふふっ、どう? まぁまぁいけるでしょ?」
「あぁ、なかなか美味いな」
そう、末永くばくはt――幸せにと願わずには居られない優しい時間がそこには確かに存在していたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レン・デイドリーム
お、おお……
これがスイーツビュッフェ……
普段こういう所に来ないから感動しちゃった……どれも美味しそう
コーヒーを片手にケーキをのんびり頂こう
やっぱり王道のショートケーキからかな
それからタルト類も食べたいよね
あとは抹茶ケーキとかも……
シュエは僕と味覚を共有してるから、シュエが食べたいものもどんどん食べよう
ほら、チョコファウンテンとか凄いよ……!
適当に食事をしつつ翼さんにも声をかけよう
案内お疲れ様、おかげで事件を解決出来たよ
翼さんも何か食べているのかな
何が好きとか、どれがオススメとか、色々お話してみよう
それから飲み物も……珍しいものもあるらしいけど、何か飲んでみた?
こんな風にまったりするのも楽しいね
「お、おお……」
レン・デイドリームは前に広がる空間に視覚も嗅覚も刺激されるのを感じていた。
「これがスイーツビュッフェ……」
普段来た事もないような場所。思わず感動に身も心も震えている。
「どれも……美味しそう」
生クリームはまるで白雪のようにふんわりと。やはりここは王道のイチゴショートからスタートすべきだろうか。
タルトも一口サイズのものから、大きなサイズのパイタルトまで多種多様。
変わり種としては抹茶や紅茶を使ったケーキも捨てがたい。
「シュエ、君はどれが食べたい?」
レンの背後から覗く、シュエと呼ばれた半透明の触手がいつもに増してうねうねしている。彼と味覚を共有しているそのUDC生物は女の子らしいのだが、どうやら世の女子と違わずに甘味が好きなのだろう。うきうきと踊っているかのようだ。
「ほら、チョコファウンテンとか凄いよ……!」
シュエと共に流れ落ちるカカオの香り。串に刺したイチゴやマシュマロを彼女にも持たせてあげてチョコの滝をくぐらせることの楽しいこと。自分達で好きに作って食べる楽しさもまた一興。
「あ、翼さん!」
「おや、ここにいたのか。シュエも元気そうさね?」
席についてコーヒーを口に運び、一息ついた所で通りすがった翼に声をかければ、にこやかに応じた青年はレンの正面、空いている席に腰を下ろした。
「案内お疲れ様。お陰で事件を解決出来たよ」
「皆の力があってこそさよ。俺こそ礼を言わせて貰う。ありがとうな」
お互いに礼を述べ合って、思わずクスクス笑ってしまう。
「ところで、翼さんも何か食べているのかな」
「そりゃ俺がリサーチして見つけた場所だしさ」
役得なんて彼は言って見せ。良く見れば取り皿の上にはスポンジの欠片やクリームの跡がしっかり残っている。
「既に色々食べたみたいだけど、翼さんはどんなケーキが好きとか、何かお勧めとか有れば聞かせて欲しいなぁ」
「んー、割と色々食べ比べてみたい方だけど。ブドウのタルトが結構イケるかな」
秋から出回るブドウも様々で。皮ごと食べられる種なしのブドウがたっぷり載ったのが割とお気に入りと語る。ちなみにどこぞのケットシーはチーズケーキとカスタードクリームに目が無いという話などしつつ。
「飲み物も珍しいものあるって聞いたけど、何か飲んでみた?」
「そうさね……コーン茶なんて面白いかも」
「コーンってトウモロコシのこと……?」
香りはまるでコンポタのようで、味はほのかに甘みがあると言う。試しに飲んでみれば、その優しい香りと味わいにレンもシュエも心が満たされる感覚を覚えていた。
「こんな風にまったりするのも、楽しいね」
ねぇシュエ? ゆらゆら動く半透明の触手に向けて微笑みかけながら、レンは手にしたカップを再び口に運ぶのであった。
大成功
🔵🔵🔵
日東寺・有頂
いやーシミったれとりましたばいねぇクソセミ。
うらぶれ宇羅さんも何やか哀れやったが…因果応報ちゅう事やんね。決着ついて良かやった。
おうおうこちらんホテルは打って変わって華やかたい!
甘いもんは大の好物とよ。
こがんに寒いけん、ようけ食うて蓄えんと冬が越せん。
ケーキもチョコレートも好いとうばってん、オイは和菓子をたらふくやりたい気分ばい。
みたらし団子に草団子と両手に持って交互に味わったらお次はどら焼き頬張ってな。練切りは品よく頂きます。
締めはフルーツあんみつでお口さっぱり。
クリスマスカラーのホテルビュッフェでボッチ食い倒れロンサム和菓子男子。うん悪くなか。悪くなか…
「いやーシミったれとりましたばいねぇクソセミ」
日東寺・有頂は服の埃をしっかり払いながら、件のホテルへ向かう途中に先の戦いを思い返しつつそう呟いていた。
「うらぶれ宇羅さんも何やか哀れやったが……因果応報ちゅう事やんね」
決着ついて良かやった。そう思いながらも到着したホテルは夜空に輝くイルミネーションの光がキラキラと訪れる者を歓迎していた。
「おうおうこちらんホテルは打って変わって華やかたい!」
キョロキョロと見回すその様子、珍しさもあるのだろうか。
案内されるままにビュッフェ会場に進めば、そこに広がる甘い香りについつい笑みがこぼれて落ちてしまいそう。何せ甘いもの大の好物な有頂故に。
「こがんに寒いけん、ようけ食うて蓄えんと冬が越せん」
まるで熊が冬眠前に沢山食べる習性のような事を言ってのけるのは、これから大量に食べることへの自分への言い訳。食べ過ぎて太ったとしてもそれは計画通りなのだから。
「ケーキもチョコレートも好いとうばってん……」
ついつい目移りする中をあちらこちらと動いてみれば。
「うん、オイは和菓子をたらふくやりたい気分ばい」
目についたのは和菓子のコーナー。餅に饅頭にと小豆を炊いた美味しい餡を用いたそれらは間違い無く日本人の心の原点。
みたらし団子の香ばしい甘辛醤油の味わいに、草団子から薫るヨモギの色はまだ来ぬ春を思い起こさせる。
ふんわり焼かれた二枚の皮でたっぷり粒餡を挟んだどら焼きを頬ばり、冬の季節を象った練り切りは品良くゆっくりと緑茶を添えて頂きます。
締めはフルーツあんみつ。このシロップの味はどんなジュースにも負けない甘さと酸味たっぷりで、いくらでも飲み干したい衝動に駆られつつも、お口さっぱりと。
クリスマスカラーのホテルビュッフェ。そこでたった一人で甘味食い倒れ。ロンサム和菓子男子――と自虐めいた思いで我が身を振り返るも。
「うん悪くなか。悪くなか……」
甘味をお腹いっぱい腹に収めた有頂は、温かなお茶を啜りながら一時の幸せな時間に浸っていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
城島・侑士
【城島父娘】
仕事が終わったあとは娘とケーキバイキング♪
待ち合わせ場所で待っている冬青を見つけると嬉しくて両手を広げて駆け寄る
おとーさんだよー!!
ん?娘が消えた?!
…っていつのまに背後に
うぅ父さんはまだ老眼って歳じゃない
まだ若いから!
上目遣いでケーキを強請る冬青が可愛い
本当に可愛い
うんうん
一緒にケーキ食べような!(デレデレ)
タダとはいえバイキングだ
元は取って帰りたい(皿にこれでもかというほど乗せる。そして全て食べる)
味はまぁ…旨いかな
でもこの間、冬青が作ってくれたマドレーヌの方が旨いよ
母さんか…誘ったんだがな
「ダイエットしてるのに誘惑しないで!」って怒られてしまって…
そうだな
土産を買って帰ろうか
城島・冬青
【城島父娘】
お父さんに誘われて学校帰りにケーキバイキングしに来ました
うわ
お父さんが最高にデレデレした顔で両手を広げてやって来る
友達に見られたら恥ずかしいのでハグは残像で回避
ごめんね
お父さん私はこっちだよ
目が悪くなったんじゃない?
それよりケーキ食べたいな
父の手を引いてお店に行きます
何食べようかな?
ショートケーキに
プリンに
ガトーショコラ!
んー!おいし〜!
でも折角なら私じゃなくてお母さん誘ってデートすればよかったのにー
ぁ…そういえばダイエットしてたっけ
お父さん痩せの大食いだから目の前で
ケーキぱくぱく食べられたらそりゃ拷問だよね…
確か豆乳プリンやおからのケーキも置いてあったからお土産に買って帰ろうよ
「あれ……城島センセ、ビュッフェ行かないの?」
ホテルのエントランスに佇む城島・侑士の姿を認め、案内すべきかと翼はゆっくり近付いて問いかけたところ。侑士は小さく笑って首を横に振った。
「娘を誘ってあるんだ。ホテルの入口で待ち合わせの約束をしてるからそろそろかと思うんだけども……」
若々しい見た目からはとても大きな娘さんがいるとも思えない。
さて侑士が入口に移動すると、学校帰りと思しき女子高生らしき少女が周囲を見回しながら、ゆっくりとホテルの自動ドアを抜けて立ち止まったところ。どうやら彼女が城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)――彼の娘らしい。
「冬青ーーっっ!!」
「――うっわ」
愛娘を見つけた侑士はダッシュで彼女の元に駆け寄る。両手を広げ、最高にデレデレした締まりの無い面構えで。
「おとーさんだよー!!」
思い切りハグしたその瞬間、抱きしめたハズの娘が消えた上に勢い余って自動ドアの横の壁に追突するパパさん。
「お父さん、私はこっちだよ」
「……って、いつの間に背後に」
「目が悪くなったんじゃない?」
クスクス笑みを向けた冬青だったが。その実は残像を伴う高速移動で回避しただけの事。娘も猟兵なのであればそのくらいどうってことない。
ちなみに何故ハグを拒否したかと言えば、友達に見られたら恥ずかしいと言う年頃の乙女心って奴である。まぁハグが成功してても、うっかり事案として通報されたらどうしようとか対処手順とかが脳裏を過ぎった――と後に赤髪の青年は語る。
「うぅ父さんはまだ老眼って歳じゃない……まだ若いから!」
「はいはい。それよりケーキ食べたいな。それで誘ってくれたんだよね?」
上目遣いに見上げてくる冬青。
可愛い。本当に可愛い。
「うんうん、一緒にケーキ食べような!」
デレッデレのパパさん。チョロいにも程がある。冬青はそんな父親の手を引いて、ビュッフェ会場へと一緒に向かった。
UDC組織の奢りとは言え、食べ放題とあるならば元を取りたいと思ってしまう侑士はこれでもかと取り皿の上に色々なケーキやデザートを載せて席に戻る。
「うわぁ、お父さん取り過ぎじゃない?」
「大丈夫大丈夫。このくらい食べれるさ」
働いてきてお腹も空いている事だし。そう告げた侑士のフォークを動かす手は止まらない。呆れたような感心したような視線を向けつつも冬青は自分の分を取りに席を立つ。
「何食べようかなぁ……?」
目の前に並ぶケーキは多種多様だ。
ショートケーキにプリン、ガトーショコラ。シュークリームにエクレアに、焼きたてバウムクーヘンとか自分で作れるソフトクリームとか。
「うう、目移りするなぁ」
その中でも特に気になるのを幾つかチョイスして戻って見れば、侑士の皿はすっかり綺麗に食べ尽くされていた。
「相変わらず早いなぁ……ちゃんと味わって食べてる?」
「味はまぁ……旨いかな」
口に紅茶を流し込みながら頷いた侑士は、でも……と言葉を続けた。
「この間、冬青が作ってくれたマドレーヌの方が旨いよ」
「本当? それじゃまた作ってあげるね」
誉められて悪い気はしない。ご機嫌な表情で自分の分のケーキを口に運ぶ冬青。
「んー、美味しい! そういえば……折角なら私じゃなくてお母さん誘ってデートすればよかったのに」
ふと娘としては夫婦仲も気になる所で。こんな素敵なシチュエーション、愛する夫婦同士の方が絶対お似合いだと思ったのだが。
「母さんか。誘ったんだがな。ダイエットしてるのに誘惑しないで!って……」
「あぁ……そういえば」
悲しそうな顔をする父を見て、安易に想像がついた。きっと怒られたんだろうな、と。まぁ痩せの大食らいであるこの父である。ブラックホールが如く食べても太らない様子を見せつけられたら、母もそりゃあ拷問だろう。
「ねぇ帰りにお土産買って帰ろうよ」
同じケーキがお土産用の販売もしているのを彼女は目敏く見つけていた。
「豆乳プリンやおからのケーキも置いてあったから」
糖質オフなそれらのケーキなら――。
「そうだな。母さんも喜んでくれるかな」
侑士は優しい娘の気遣いにも感謝をしつつ、二枚目の皿を山盛りにすべく立ち上がったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
藤代・夏夜
誰かとお喋りしたい気分だから
翼ちゃん(f15830)と一緒に楽しみたいわ
私はクレームブリュレにタルトにケーキ(全部複数個
苺盛り合わせ
チョコドーナツ3つ
生クリームとジャムを添えた焼きたてワッフル
一口サイズチョコは可愛い子を5つ程
他省略
まだまだ食べ盛りな26歳だからつい沢山取っちゃうのよ
翼ちゃんは何にしたのかしら?
私が取ってないのがあったら、この後=第二陣で取ってこなくちゃ
だって甘い物は別腹って言うでしょ?
そこに食べ盛りが加わったら最強なのよ♪
ちなみに、この後はあっちの中華系を攻めようと思ってるわ(キラ
嫌なセミナーだったけど
悪をボコした後に素敵なスイーツでリフレッシュとか、最高ね!
「誰かとお喋りしたい気分だったから」
藤代・夏夜は目の前に座らせた赤髪の青年を流し見て、ほぅと一息つくと珈琲カップを口に運んだ。アンニュイな視線を投げかけてくるのを翼は意図的に逸らす。
「やだ、目を逸らさなくても」
「前世レベルでオネエに好かれてるって占い師に言われたのを思い出しただけさね」
「あら、大当たりじゃない。今度紹介してよその占い師」
――多分今頃エンパイアに里帰りしてんじゃないかなその占い師というか陰陽師。
「……にしても随分食うんだな」
翼が見た先。夏夜の取り皿にはクレームブリュレ・タルト・ケーキが各種複数個。イチゴの盛り合わせにチョコドーナツは3つ。焼きたてワッフルは新鮮生クリームとパティシエ特製のジャムを添えて。一口サイズのショコラは可愛い形のが五つ程。
「ええ、まだまだ食べ盛りな26歳だもの。ついつい沢山取っちゃうのよね」
「……26?」
「そうよ?」
「何月生まれ?」
「七月よ。名前の通り、夏の真っ盛り」
それがどうしたの?と首を傾げれば、翼は軽くこめかみを押さえてぼそっと呟いた。
「同い年で学年も一緒なんだ……」
「あら奇遇。じゃあもっと仲良く出来そうね」
きっとサブカル方面の年代は完全一致。見て育ったアニメも特撮も映画も一緒の筈。
「で、翼ちゃんはケーキは何にしたのかしら?」
そう言って取り皿の上を覗き込めば、割とフルーツ系タルトが主体。
特にブドウのタルトが気に入ったらしいのか、複数個は持って来ているようで。
「これが結構美味しいさよ。甘さ強くてさっぱりしてて」
「あ、そのタルトはまだ取ってないわ。この後で取ってこなきゃ」
「まだ食う気!?」
驚きを言葉から隠せない翼に対し、夏夜は当然!とばかりにウィンクしつつ返事。
「だって甘い物は別腹って言うでしょ?」
「俺としてはそんなにカロリー摂取して太らないのか不思議でならないんだけど」
どーいう燃費してるんだ、とか。メカな手足にも食ったカロリー回ってるんだろうか、とか。改造した組織のメカニックに一度尋ねてみたいと思いつつ。
「そこに食べ盛りが加わったら最強なのよ♪」
「四捨五入したら三十路なんだからな、俺等……」
ぼそっと呟いたツッコミは本人には聞こえないほど小声だった。
「ちなみに、この後はあっちの中華系を攻めようと思ってるわ」
キラーン☆ 夏夜が視線を向けるその様は獲物を狙う狩人のようだった。
「悪をボコした後に素敵なスイーツでリフレッシュとか、最高ね!」
満足げに微笑む夏夜。
そうさねと同意する翼の食べるペースは何故か早くなっていく。
――その後。
二人の座るテーブルは回転寿司を食った後の如く山積みの空き皿が並ぶのだった。
大成功
🔵🔵🔵
月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブetc歓迎
うわ…すげーな
これ、好きに食っていいとか
…美味そうだけど、選ぶのめんどくせぇ…
とりあえず、席の確保
あー…んー……だめだ
やっぱ、選ぶの向いてねーわ
ってことで甘いもん選ぶのは氷月に任せる
氷月、洋菓子以外で適当に見繕って来てくんねェ?
その間に飲み物は取って来とくから
甘いもんばっかだし、俺はカフェラテにするけど
お前もコーヒーとかでいいだろ?
へぇ…立体ラテアート、な
…せっかくだし、俺のカフェラテに猫のやつやってもらうか
氷月が選んだなら間違いはねーだろうけど…なんか、食うのもったいないくらいファンシーなやつだな、それ
りょーかい、写真あれば似たようなやつ探しやすいしな
氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎
わーお、和風洋風中華に諸々エトセトラ!
こうやって見ると、中々壮観だケド……(ちらっ、とゆーくんの様子を見て
あはは……とりあえず、席確保しよっか?
洋菓子以外、ね
オッケー!適当に色々見繕ってくるよ
俺はブラックコーヒーでお願い、ホットで!
さて、どうするかな……
一口サイズの大福辺りを攻めるか、苺大福もいいかも?
あとは後学の為に……練り切りとかあるかね
動物の練り切りとかあんの!?へー、SNS映えにも良さそう……持って行くか
ゆーくん、お待たせー!
あはは、見た目可愛くて、つい……動物の練り切り多めに?
写真撮ってから、一緒に食おうぜ?
つか、料理技術磨いて俺が作るよ?(こくり
そう、そこは甘味の楽園(スィーツパラダイス)――。
「わーお、和風洋風中華に諸々エトセトラ!」
氷月・望は目の前のフルーツ達に負けないくらいに瞳を輝かせて声を上げた。幾つもの大きなテーブルに並べられた菓子は香りも見た目も鮮やかで、こうやって眺めてみれば壮観と言うより他は無い。
果たして相方はどんな表情をしているものかと望は振り返ってみると。
「うわ……すげーな。これ、好きに食っていいとかさ……」
月待・楪も甘味天国の眩さに圧倒されているのか、ぼそっとそう呟くのがやっとのよう。
「……美味そうだけど、選ぶのめんどくせぇ……」
「あはは……とりあえず、席確保しよっか?」
そりゃあこれだけ種類豊富であれば、どれを選ぶのか正解かなんてさっぱり解らない。流石に全ての種類を食い尽くす胃袋だって持ち合わせていない。
適当に、しかし何処に向かうにも行きやすそうな位置のテーブル席を確保して、楪は近くに見えるケーキの花畑をジッと睨み付けるように見つめては大きく息を吐いた。
「あー、んー、だめだ。やっぱ、選ぶの向いてねーわ」
「おいおい――早いな、諦めるの」
「ってことで甘いもん選ぶのは氷月に任せる」
手をヒラヒラ振って楪はそう頼むと、仕方ないなと苦笑い浮かべて望は問う。
「いいけどさ、これは苦手とか有ったら先に言えよ?」
「――洋菓子以外で適当に見繕って来てくんねェ?」
「洋菓子以外、ね。オッケー、適当に色々見繕ってくるよ」
そうなるとほぼ和菓子一択に近いな、なんて思いながらも望は取り皿を二つ用意して。すると楪の声が再び届く。
「その間に飲み物は取って来とくから。俺はカフェラテにするけど」
甘いもんばっかだしな、とぽつりと零した次には問いかけ一つ。
「お前もコーヒーとかでいいだろ?」
「ああ、ブラックコーヒーでお願い。ホットで!」
そして二人はそれぞれ食べるものと飲むものとを取りに行く。
「さて、どうするかな……」
頼まれたものの、どれにしよう。自分の分の洋菓子を幾つか取った上で、楪のために和菓子のコーナーを眺めながら望は軽く思考する。
一口サイズの大福を攻めるべきか。いや、苺大福も捨てがたい。
「練り切りとかあるのか……?」
彼が見つめた先。札は品名の札はあれども肝心のお菓子そのものが無い。無くなった所なんだろうか、と残念そうに思っていた所だった。
店のスタッフが和菓子のコーナーに追加の練り切り載った四角いお盆持って来て補充交換していった。それを見て望は感嘆の声上げた。
「!! なにこれ――!!」
所謂『SNS映え』する形状だ。……持って行こう。是非ゆーくんに見せよう。
望は迷う事無くその練り切りを選んでいた。
「へぇ、立体ラテアート、なぁ」
ドリンクコーナーではセルフサービスの他に、特別にラテアート職人が腕を振るっていた。女の子達が大喜びしながらクマさんの顔を作って貰ったりしているのを見つめていた楪に、どうです?と声がかかった。
「折角だし、お願いしようか」
氷月にも見せたいしな、と思いながら、彼はその作る様子を見つめていた。
「ゆーくん、お待たせ-!」
両手に皿を持って戻って来た望は、楪が何やらカフェオレのカップを指し示して小さく微笑んでいるように思えて首傾げた。まるで何か悪巧み仕掛けたような笑み。
「え、なに、って猫!?」
(=・w・=)ニャーン
カップの中から見つめられた。なにこれかわいい。
「ラテアートやってるらしかったんで頼んでみた」
「ぶっふ、マジかよ。お返しだ、こいつ見てみろよ」
そう言って望は先程の練り切り載った皿を楪の真正面にスッと置いた。
(・▲・)ジュリリ♪
冬の妖精シマエナガが愛らしい瞳を楪に向けていた。
「……なんか、食うのが勿体ないくらいファンシーなのが来たな」
「あはは、見た目可愛くて、つい……動物の練り切り多めに?」
そう言う望の皿の上にもネズミとかヒツジとか、可愛らしいのが幾つか。
「氷月が選んだなら間違いはねーだろうけど……」
「写真撮ってから、一緒に食おうぜ?」
すぐに食べるには余りに可哀想――じゃなくて勿体ないから。
二人でスマホ構えて練りきりとラテアートを写真に納め、保存された画像を眺めて楪が満足げに呟く。
「写真あれば似たようなやつ探しやすいしな」
「つか、料理技術磨いて俺が作るよ?」
その言葉に軽く目を見開いて相手を見つめる楪。色々と見て食べるのも後学の為と言いながら、望はケーキから口に運んだ。
外は鮮やかなイルミネーションが幻想のように広がる。
鮮やかな甘味の芸術は写真と共に二人の記憶に残り続けることだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年01月08日
宿敵
『甘い囁き『呪い師の宇羅』』
を撃破!
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