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剣の先の栄冠

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 アックスアンドウィザード世界の片隅にある巨大闘技場。
『さあいよいよ始まります、春の剣闘大会!
 集まったのはいずれも腕に覚えのある、粒ぞろいの戦士たち。
 優勝者には賞金と、その武功を称えて金の宝冠が送られます!』
 魔道具に乗って響く解説者の声に、ニヤリと口をゆがめる金仮面の男が一人。
「フシャ~ッシャッシャッ! 賞金! 宝冠! 全てこのカツィカ盗賊団が頂くぜェ~」
 高笑いを上げつつ、男は他の剣闘士と一緒に入場。運営のいう事に素直に従い並ぶ。
 その後ろでげんなりとした表情でひそひそ話を交わす貧相な男たち。
「なぁ――なんで俺達、盗賊なのに真面目に闘技大会に参加してるんだ?」
「わからねぇ、あの仮面をかぶってから、親方も頭のネジが一本外れちまったからなぁ」
 手下の溜め息もどこ吹く風と金仮面の男は笑いつづける。
「フシャ~ッシャッシャッ! この世のお宝は全部オレ様の物なんだよ!」


「アックスアンドウィザーズ世界でオブリビオンを撃破するチャンスが来る。
 連中、闘技大会の賞品目当てに大会に出場するつもりらしい」
 山賊の割に行儀がいい――と肩をすくめるのはディスターブ・オフィディアン。
「予選のバトルロイヤルでボスを手下が守りながら連係。他の選手を蹴落として決勝戦に上がるメンツを独占し、賞品や賞金を独り占めにするつもりらしい。
 単純ではあるが有効な手段だ。そこにお前たちの様な手練れが混じっていなければ、な。

 叩き潰すのは簡単だ。同様に闘技大会に参戦し、バトルロイヤルの中で、敵オブリビオンの手下を倒す。
 護衛役を潰してしまえば、後は敵の首魁への集中攻撃で撃破してしまえばいい。
 後は――そのまま本選に出場して戦っても良いし、見物や賭けに回っても構わん」
 そこでディスターブは言葉を切り、集まった猟兵たちの顔を見回した。

「知らしめてくるがいい。
 お前たちの剣、そして技が、決して侮れるものではないという事を」


雲鶴
 マスターを務めさせていただく雲鶴です。
 さて今回は実況付きオサレバトルinアックスアンドウィザーズになります。

●第1章
 バトルロイヤル前半戦、オブリビオン配下との集団戦になります。
 プレイング内に【実況でこう紹介されたい】【こんな決めポーズをとる】という内容を仕込んでおくとオサレポイントが稼げるかもしれません。

●第2章
 バトルロイヤル後半戦、ボスオブリビオンとの戦闘になります。
 リンチ描写を避けるため、猟兵への反撃やダメージ描写が少なからず発生します。
 プレイング内に【被弾時のリアクション】を仕込んでおくとオサレポイントが(以下略。

●第3章
 猟兵vs猟兵の決勝戦となります。判定値に合わせて勝敗ダイスを振り勝者を決定したいと思います。性質上、アドリブが増えますのでご了承ください。
 オサレポイント的にUC連打よりは、ここぞというときのUCの一撃の方が(以下略。

●なおリプレイ作成タイミングが基本土日祝日だけとなる都合上、プレイングの受付のタイミングが変則的になります。マスターページなどで情報発信しますので、ご確認いただければ幸いです。
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第1章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アーサー・ツヴァイク
※アドリブ大歓迎

【フルスピード・スカイドライブ】で空中から飛来。バトルロイヤル会場の上空でライドランから【ジャンプ】で飛び降り、会場のど真ん中にスーパーヒーロー着地だ!

急に出て来て何だって感じだろうが…山賊どもは分かるはずだぜ、俺が敵だってのがな!

左腕からフラッシュブレードを取り出して、剣術勝負といこうか! 相手の攻撃を【武器受け】で受けつつ、他の一般出場者を【かばう】ようにこっちの技に巻き込まれない位置に誘導。山賊を周囲に集めたら【サウザンド・フラッシュエッジ】で一網打尽にしてやるぜ!




『えー選手入場が終わりましたが一名遅れているようです。登録番号41番――、』
 解説の声を遮って、コロシアム中に響き渡る飛翔音。
 晴天に蒸気の軌跡を描きながら、空を駆け抜ける赤いバイク、その座席から飛び降りた人影が、轟音と共に闘技場へ着地する。
 巻き上がる砂煙、その中で立ち上がったのは真紅のマフラーをたなびかせた1人の青年。
『41番! ドーンブレイカー、アーサー・ツヴァイク(f03446)選手!』
 派手な登場に一気に沸き立つ観客席、これを逃すまいと解説者が声を張り上げる。
『それでは改めて、春の闘技大会、予選バトルロイヤル、開始です!』
 鳴り渡るゴングの音、同時にアーサーへと群がるように近づく山賊たち。
「随分と格好良い登場じゃねぇか、色男さんよ」
「あれでお前たちにも分かっただろ? 俺が敵だって事がな!」
 言ってアーサーが左手を握りしめれば、籠手から突き出すフラッシュブレード。
 切りかかってくる山賊の一撃を光の刃で受け止めて、迫りあいをしながらアーサーは周りに視線を走らせる。
――狙い通り、山賊は俺の所に集まってきてるな、他に巻き込みそうなのは……。
 目についたのは、アーサーに剣を向けて歩み寄ってくる1人の女戦士、そしてその後ろでナイフを振り上げる一人の山賊。
「まずいっ!」
 女戦士に向けて踏み込むアーサー。突き出された切っ先をいなして体を入れ替え、山賊のナイフから庇うように右手をかざす。
 アーサーの装甲が山賊の刃を受け止めるのと、女戦士の首元にフラッシュブレードが付きつけられたのは同時だった。
「……参った。降参だ」
『32番降参、アーサー選手、一瞬の早業で彼女を仕留めました! しかし身代わりのように受けたナイフの一撃、これが今後の戦いにどう響いていくのでしょう!』
 周りを山賊に取り囲まれ、アーサーは先の山賊を睨み付ける。
「さっきの一撃、殺すつもりだったな」
「へっ、ここで死んだって事故だよ、事故」
「その言葉、後悔するなよ!」
 言って、アーサーが左手をベルトの前にかざした瞬間、無数に分裂するフラッシュブレード! 1600に及ぶ光刃を前に山賊たちの顔から血の気が引く。
「もう巻き添えの心配はない――全員まとめて、ぶった切るぜ!」
 逃げ出そうとする山賊たち、その背へ放たれた光刃が彼らの全身を切り刻む!
『おっとアーサー選手! 囲まれていた苦境から一転! 反撃の刃でまとめてノックアウト!! これは強い!』

「急所は外しておいた――お前達とは違うからな」
 床に突っ伏して呻く山賊たちに言い置いて、アーサーは次の敵へと向かっていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
闘技場の土の状態を確かめる
「これなら充分走れそうだね」
【影】達を【目立たない】よう召喚し、6つの目で背後の視覚もカバー
多量の情報量は【学習力】で補う
「本番が楽しみだ。ほんと楽しみだ。どこまで試せるかな」

POW
基本は盗賊を焦らして斬りかかったところをいなし、隙を作って斬る
たまに【残像】を織り交ぜ惑わせたり、【ダッシュ】で翻弄する

死角の背中から斬られてもまるで見えているかのように(見えてますが)自然に躱す
驚いて距離を取ろうとした盗賊には同じスピードで近づいて等距離を保ち恐怖を煽る

「おっと、あの一角はなんだ。盗賊達が逃げ出し始めているぞ。いや逃げられない。いつの間にかそこに!」




 闘士たちが争う闘技場を、狼達が駆けぬける、誰の目にも止まることなく、影のように。
 漂う血臭に鼻をひくつかせ、踏みしめた土の感触を彼らの召喚主に伝える。その瞳がとらえたのは盗賊と向き合う主の姿。
『おっと向こうで2人を相手にしているのは、観察する人、仁科・恭介(f14065)選手!』
「この土の状況なら、十分走れそうだね。さて――私は2人掛りでも構わないよ」
 狼達と共有した五感を通じて、盗賊に囲まれた自分の姿を見る。通常の数倍の情報量、常人であれば耐えられないそれに、恭介は見事な学習力で対応してのけた。
 今、恭介を狙っている盗賊は3人、その内2人は見せびらかすようにナイフをちらつかせ恭介の前後で威嚇し、1人は離れた場所に潜んでいる。その全てを狼の目が捉えていた。
 目の前の盗賊が雄たけびを上げ、同時に背後の盗賊が突進。背中へ突き出されたナイフを、無造作に恭介は躱して見せる。
「よけやがったかっ、運のいい野郎だ!」
 盗賊達から2人掛りで放たれる斬撃を1度、2度と躱し続けて6度目、振り下ろされた一撃を恭介が残像で回避した瞬間、3人目の盗賊が動いた。音もなく投げ放たれた短刀、それは一直線に恭介の側頭部へ向かい、切っ先が耳元に触れる寸前、恭介がその柄を掴み取る。
「少し借りるよ」
 切り上げる盗賊のナイフを逸らし短刀で胸元を切り裂く、そのまま反転してダッシュ、
飛び退っていたもう一人の盗賊に空中で追いつき、その喉元にナイフを突き立てる。
『5番、そして9番、まとめてKO! 仁科選手、鮮やかに挟み撃ちを切り抜けました! 一体彼に死角はあるのか!』
 そしてゆっくりと恭介は3人目の盗賊の方へと向き直る。ひきつった悲鳴と共に駆け出す盗賊。それを追って駆けだす恭介。

 息せき切らして逃げる盗賊、後ろから一定の間隔で響く恭介の足音。それは徐々に徐々に近づいて、やがて足音は盗賊のすぐ背後に迫り――。
「来るんじゃねぇっ!」
 絶叫、盗賊が振り向きざま振るったナイフが空を切り、同時に足音が途絶える。盗賊の視界に映ったのは、仁科が残した足跡と彼とは無関係に戦う戦士だけ。
 思わず盗賊が息を吐いた瞬間、彼の真後ろで足音が響き、恭介が姿を現す。
 悲鳴を上げる暇も無く、恭介が放った斬撃が盗賊の背中を切り裂いた。
『仁科選手、14番をKO! しかし最後の一瞬、いつの間に背後に回り込んだのでしょう?』
 崩れ落ちる盗賊に背を向けて恭介は狼と共に次の相手を探す。
「さて、本番が楽しみだ。ほんと楽しみだ。どこまで試せるかな」

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・クリスティア
バトルロイヤル……乱戦ですか。なるほど。
一対一の戦いより、私にとっては余程戦いやすいですね。

私の得物はライフル。とてもじゃないですが、接近戦には向きません。基本は逃げ、です。
【目立たない】よう、【地形を利用】……と言うより戦況ですかね。
私を狙っている人がいるのであれば、他の乱戦に紛れ込んでその相手を巻き込み、いないのであれば乱戦目掛けて銃を叩き込みます。
私の銃で仕留める必要はありません。
多少体勢を崩せば、対戦相手がその隙をついて仕留めてくれることでしょう。
この辺りは【戦闘知識】ですね。
ほんの少しずつ流れを操作して、皆さんに数を減らしていただくとしましょうか。




 闘技場に響く銃声と、立ち上る白い硝煙。放った銃弾が山賊の目元を抉り、東方の剣士が山賊を切り捨てる。
『37番、サムライソードで18番をKO! 寸前、隙を作ったのは43番! ファントム・バレット! シャルロット・クリスティア(f00330)選手! 本大会唯一、ライフル銃の使い手です』
 煙に紛れて移動しながらシャルロットは次弾の準備をする。素早く内部の薬莢を排出し、加熱された銃身をルーン魔術で冷却して弾道のずれを最小限に。そして次弾を装填。彼女の足元に落ちた薬莢がチャリンと音を立てた。
「ふう、こういった乱戦の方がやはり戦いやすいですね。おっと――見つかりましたか」
 シャルロットの目の前に立ち塞がる一人の山賊、威嚇するように彼女へ切っ先を突き付ける。
『おっと9番がシャルロット選手にナイフで挑む! ライフルという近接戦に不向きな武器で、どう立ち向かうのか!』
「遠間から邪魔してきやがって、てめえのせいで負けた兄弟の仇取らせてもらうぜ!」
 振り下ろされるナイフを躱し、シャルロットは射撃体勢をとる。銃口は山賊の眼前。そのまま照準を合わせてトリガー。銃弾が放たれる直前、山賊は跳躍し射線を逃れる。山賊の顔に下卑た笑みが浮かび、――遠くコロッセオの反対側で悲鳴が上がった。
『おっと2番KO、運がない! シャルロット選手の流れ弾に当たり怯んだ瞬間に一撃!』
「流れ弾じゃねぇ……てめぇ狙いやがったな!」
 立ち込める白い煙、その中に消えるシャルロットの会心の笑みが、回答だった。舌打ちと共に山賊が目を閉じて耳を澄ませ、排莢の音を探ろうとする。
 白煙の中で果たして響く薬莢の落下音、瞬間、山賊がナイフを振るう。舞い散る血と男の悲鳴。
「あのガキじゃねぇ!?」
「――いってぇな、何しやがる!」
 山賊が切りつけたのは皮鎧の軽戦士、足元の空薬莢を踏みつぶして山賊へと切りかかる。その連撃を山賊は必死で躱し、いなし、ナイフで切っ先を受け止めた瞬間、横合いからナイフを弾かれる。宙を舞うナイフと、その根元に突き刺さったライフル弾。
 発射元へ目を向けた山賊が最後に見たのは、立ち上る白煙に紛れるシャルロットの会心の笑み。そして軽戦士の斬撃が彼の体を切り裂いた。
『おっと9番、白煙の中で敵を間違えたか。34番の軽戦士に挑んで返り討ち!』
 軽戦士が山賊の見ていた方向に視線を走らせる。白煙が晴れた時には既にシャルロットの姿は消えていた。

「煙で身を隠し、音に頼った相手はダミーの薬莢で攪乱する。
 上手くいきましたね。この間の授業で練習した甲斐がありました」
 次弾の装填を終え、シャルロットは再び乱戦の中に紛れこむ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクトリア・アイニッヒ
狙いはまぁ、分かりますが…姑息な振る舞いという印象は否めませんね。
そんな相手ですが、オブリビオン絡みであるならば油断は禁物。
後の憂いを断つ為に。猟兵として、力を尽くしましょう。

風に靡く白銀の髪を手で抑えつつ、神官騎士の出で立ちで戦場に立つ。
纏う鎧は白銀の甲冑。手には愛用の斧槍を携えて、信仰する神への祈りの言葉を口にする。
鎧姿は勇ましいが、華奢で戦場とは縁遠く見える美女。
実況の紹介や観客の歓声には、常の微笑を浮かべて応える。

まずは守備重視。積極的には目立たない様に振る舞う。
程よい所で、斧槍の石鎚を地に突き立てる。
聖気を地に満たし、攻勢へ。斧槍を振り回し、取り巻きの一層を狙う。

※アドリブ歓迎です




 風にたなびく銀の髪、華奢な体に白銀の甲冑を纏い、白磁のかんばせに浮かぶ敬虔な表情、春の日差しの元、斧槍を掲げて祈る姿は一幅の絵画の如く。
『さてもう少し全体を見ていきましょう。あちらの壁際で祈りを捧げているのは、44番、陽光の信徒、ヴィクトリア・アイニッヒ(f00408)選手。誰一人戦いを挑まないのは彼女の美しさに気圧されているのか?』
 アナウンサーの言葉に柔和な微笑で応えるヴィクトリア。その姿に近くの観客から歓声が上がる。思わず苦笑を浮かべた彼女の目が、遠く山賊たちの頭領――金仮面を被ったカツィカとその取り巻きの姿をとらえる。
 数にものを言わせて他の選手を脱落させ、時折、御為越しのように山賊とカツィカが刃を交えるが、明らかに両者ともやる気がなく、あたりにブーイングを起こしている。
「狙いはまぁ、分かりますが……姑息な振る舞いという印象は否めませんね」
 思わず頭を抱えるヴィクトリア、しかし油断は禁物と気を取り直し、愛用の斧槍を手に、近くの山賊の元へと向かう。
 彼女に気付いた山賊が2人、互いに目くばせをしながらヴィクトリアに切りつけてくる。
『ヴィクトリア選手に切りかかったのは7番、そして13番!あーっ、場内に物を、物を投げないでください!』
 たちまち観客席に巻き起こるブーイングとヴィクトリアコール。
「女一人に2人がかり? 臆病者ー!」
「負けるなー、別嬪さん!!」
 声援を背に山賊たちへと斧槍を構えるヴィクトリア。切り付けてくるナイフの一撃を柄で弾き、受け止め、牽制するように石突の突きを繰り出す。そうして守備に入りながら、ヴィクトリアは山賊たちに問いかける。
「あなた方は悔い改めるつもりはありませんか? 山賊としての生き方を捨てて地道に生きる道もあるでしょう」
 頷けば無益な暴力を振るわずに済む――そう願っての彼女の言葉への山賊の回答は、ナイフでヴィクトリアへと切りかかる事だった。
「そうですか。あくまでも人々を暴力で虐げようというなら、最早容赦はしません!」
 キリと眦を決して山賊たちを睨みながら、ヴィクトリアは斧槍の石突を地面に突き立てる。瞬間、波紋のように広がる聖気、放たれたオーラが山賊たちの刃を防ぐ。
 足元から立ち上る金色の光に照らされて、ヴィクトリアは山賊たちへと一気に踏み込む。
 気合一閃! ヴィクトリアが放った槍斧の薙ぎ払いは、受け止めようとしたナイフの刀身ごと、山賊たちの体を切り裂いていた。
 沸き起こる喝采と歓声の中、ヴィクトリアは祈りを捧げる。
「主よ、彼らの魂に、どうか安らぎのあらんことを」

成功 🔵​🔵​🔴​

アネット・レインフォール
▼心情
ふむ…他の仲間達は順調に敵の数を減らしているようだな。
なら俺は、少し一般の参加者をフォロー(と言う名の教育)しておこう。
未来の優勝候補の一助になるかもしれないからな。

▼行動
【POW】※霽刀を主軸

闘技場の一角で一般参加者達と対峙。
最初は相手の癖や打ち込みを冷静に把握を。
途中から徐々に鍛錬の足りない所や変な癖を指摘し
教育的指導をしながら頃合いを見て手刀で気絶させよう。
(踏み込みが甘い、余計な動作がある等)

ん、盗賊?
視界に入ったら当然倒すぞ。
変な横槍を入れられると一般参加者達も困るだろうし
遠近問わず【雷帝ノ太刀】で不可視の居合をさり気なく飛ばそう。
…ま、指導中は邪魔だしな。

▼他
アドリブ歓迎


ニノマエ・アラタ
三百六十度から人が見ている。…これは、やりずらいな。
山賊との戦いは暗殺術を応用しようと考えているからだ。
常の殺気は抑え、ふらりと棒立ちする。
目標以外からの攻撃は、のらりくらりとかわし。
乱闘の中で動かず目立たず。
山賊の連携を見極める。
…壁役を崩すか。ボスを守るためにたいして動かないと予想する。
そして、ボスが誰かを見定めておく。
他の連中の戦いに気をとられている隙に、
相手とのすれ違い様、ただ歩をすすめる自然な動きから。
UCで速度をあげてガントレットで一撃喰らわす。
実況からの視点でみた場合、気がついたら闘技場の人数が減っている。
そういうのがベストだけどな?
最後に残るまで、誰だっけでいい。それで、いい。




 闘技場の一角、互いに切り結ぶ2人の剣士。一瞬の交錯の後、1人が倒れ伏す。
『激しい攻防を制し、39番を下したのは、剣の教導者、アネット・レインフォール(f01254)選手! 防戦から徐々に切り返し、一転勝利をつかみ取りました!』
 倒れて呻く剣士へとアネットが声をかける。
「筋は悪くない、だが全体に踏み込みが甘いな。刀相手に切っ先から逃れようとするな。いっそ懐に飛び込んだ方がいい。特に攻撃を仕掛けるときにはな」
 言い置いて、アネットは周囲の戦況を見渡す。山賊たちも徐々に減ってきているようだ。
「ふむ……他の仲間達は順調に敵の数を減らしているようだな。
 なら俺はこのまま一般参加者の教育をしよう。――ん?」

 アネットから少し離れた場所で、ずかずかと徒党を組んで進む一般参加者たち。向かう先にいるのはカツィカ率いる山賊たちだ。
『おっと10人程の選手がカツィカ選手達へと突っかかっていく。やはり今までの戦い方は誰もが腹に据えかねているか! 乱闘に参加しているのは34番、そして――、』
 たちまちはじまる大乱闘。その中に一人、アナウンサーに名を呼ばれることもなく紛れ込んだのはニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)。
 巻きあがる土煙の中、怒号と雄たけびが沸き上がり、剣と剣が火花を散らす。その中をニノマエは無造作に歩き手近な山賊をガントレットの一撃で仕留めていく。1人、2人と仕留めて3人目、突き出されたナイフを左手で払って踏み込み、服が擦れ合うほどに接近、すれ違いざま山賊の鳩尾に拳を当てて寸勁。くずれるように倒れて悲鳴も上げられず悶絶する山賊を残し、ニノマエは何事もなかったように歩き始める。
『おやまた1人倒れております! 3番KO! この乱闘でまた1人、脱落者が出ました!
 おっとカツィカ選手が、とうとうその場を逃げ出していく!』
 下手人として名を呼ばれなかった事に満足し、ニノマエは軽く息を吐く
「しかし360度から人が見ている。……この状況は、やりずらいな」

「おいそこのお前。さっき何をした?」
 言ってニノマエへとサムライブレードの切っ先を突き付ける東方の剣士。
「何のことだ。俺は乱闘に巻き込まれていただけだ」
「嘘をつけ、さっきの乱闘、誰の攻撃も受けずに倒れた山賊が3人いた。――お前の仕業だろう。その魔技を破り、糧としてやる」
 肩をすくめ立ち去ろうとするニノマエへ剣士がサムライブレードで切りかかり、その一撃を割り込んだアネットが弾いた。ニノマエとアネットの視線が一瞬交錯し、ニノマエはカツィカを追うように歩んでいく。そして剣士の前に立ちはだかるアネット。
「止めておきな。アイツに挑むにはまだ早い。――だが気付く分だけ見込みがあるな。
一つ指南してやろう」
「知った口をっ!」
『おっと37番がアネット選手に挑む! 奇しくも刀使い同士の立ち合いになりました!』
 上段から振り下ろされる唐竹割を愛用の『霽刀』の切っ先で円を描く様に受け流して縮地、すれ違いざまに放った逆袈裟の一撃が剣士の首筋を撫ぜ、肌を切り裂くことなく産毛だけを散らした。剣士が慌てたように後方へ跳ぶ。
「ふむ、お前、我流だな? 動きに隙が多すぎる」
 剣士の顔から焦りが消え、気を鎮めるように中段正眼へ構える。対するアネットは霽刀を鞘に納め腰溜めに、居合の構えをとる。
 張り詰めた空気にアナウンサーが一瞬言葉を失い、ごくりと唾をのむ。瞬間、剣士が弾かれたように跳躍。放たれた袈裟懸けにアネットは居合切り、抜き打ちの一閃で斬撃を逸らして踏み込み、剣士の側面へと回り込む。
「踏み込む時に足元で音を立てるな、切りかかると教えるようなものだ」
 剣士は刃を返して反転、振り向きざまの逆袈裟切り。そこへアネットは霽刀を下段から跳ね上げ、峰を使っての小手打ち。切っ先がアネットの左耳を掠め、空気を切り裂く音がした。間合いを取ろうと剣士が後ろに跳躍、アネットはそれを追うように疾走、遠ざかる距離を一瞬にして詰めて、当て身の一撃で失神させる。
「きちんと系統立てて技を学べ。まずは基礎の鍛錬からすることだ」
『37番KO! 達人同士の戦いはアネット選手が勝ち抜きました!』

 一方、遠くから彼らの戦いを見て話をする2人の山賊。その背後にニノマエは無造作に歩み寄って行く。
「おっかねぇ。何だよあれ」
「ああ、親方でも相手はきついんじゃねぇか。おい、どうした急にしゃがん、で……」
 バタリと倒れ伏す山賊たちをよそに歩み去るニノマエ。
『おっと、またいつの間にか二人ほど倒れております。相打ちでしょうか。4番と25番、KO!』
 実況者も観客もいまだに彼の活躍に気付いてはいない。
 ――うまくいっている。最後に残るまで目立たず、誰だっけでいい。それで、いい。
 ニノマエはそう独りごちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
※アドリブ・連携歓迎です

闘技場参加は初めてですね、
なんだか多くの人に見られるのは緊張ですが

「森から出てきたパワフルヒロイン:ユーフィ・バウム」
なんて実況さんに紹介されれば、
「がんばり、ますよっ!」なんて力こぶポーズを取るかも

バトルロイヤルですが
【なぎ払い】、【衝撃波】での【吹き飛ばし】を駆使し
一度に多数の敵から攻撃を受けないよう注意します

仲間の猟兵とは連携し、狙いを合わせ
確実に山賊の数を減らしていく
敵の攻撃は【見切り】、避けることで消耗を抑える
避けきれない時は【オーラ防御】で真っ向から受ける
「こんなもの、効きませんっ!」

敵の隙をついて懐に潜り込み【力溜め】ての
《トランスバスター》で倒しますね!


柊・明日真
【アドリブ絡み歓迎】
余計なこと考えなくていいからな…こういうのは楽で助かる。

まずは両拳を打ち付けて【気合い】を入れるぜ!

数が減るのを待つつもりも無い、初っ端から仕掛けに行くぞ。
【見切り】で囲まれないよう周囲を確認しつつ、目についた奴に攻撃だ。
他の奴らだって馬鹿じゃない、程々にぶっ飛ばされりゃ近寄っては来ないだろ。

例の山賊どもは…あの叫んでる奴らか。殴ってくれって言ってるようなもんだな。
《瞬電の刻印》で動きを止めて【ダッシュ】で接近、切り込むぞ!
奴らが調子付く前に【なぎ払い】で一気に片付けてやる!




「うっし、行くぜ!」
『さあ両拳を合わせて気合を入れる、刻印の剣、柊・明日真(f01361)選手!』
 そのまま明日真は真紅の大剣を抜き放ち、近くにいた大男に切りつける。振り下ろす一撃を大男は棍棒で受け止め、そのまま迫り合いとなる。膂力の勝る明日真が押し込んで行き、不意に力を逸らして弾かれるように飛び退る。直後、明日真のいた位置に降りかかる巨大なハルバード。
 地に突き刺さった穂先を、金属甲冑に身を包んだ大男が持ち上げる。
「小僧、今の一撃をよけるか」
「ま、隙だらけだってのは分かってたんでね。警戒もするぜ」
 明日真が甲冑男へ向き直った隙に、棍棒男が彼の背後に回り込もうと一歩踏み出す。
「てぇええええいっ!」
 そこへ掛け声とともに小柄な少女――ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)が乱入。
 飛び込みざまに彼女の放った拳の衝撃波が棍棒男の体を軽々と吹き飛ばし、同時に明日真が動く。剣の腹を甲冑男へと叩きつけ、力任せに振りぬいて甲冑男を弾き飛ばす。
『重量級の戦いに割り込んだのは、森のパワフルヒロイン! ユーフィ選手! 柊選手ともども見かけに似合わぬ剛腕で、重量級2人をノックアウト!』
「がんばり、ますよっ!」
 湧き上がる歓声にユーフィは力こぶを作ってアピールをして見せる。
「数が減るまで待っててもしょうがねぇ、仕掛けに行こうぜ」
「はーい、行きましょうか、明日真さん!」
『さあユーフィ選手と柊選手、2人もまたカツィカ選手の元へと向かっていく』
 駆けだす2人。さっきの光景を見て挑みたがる物好きもない。遮られることなく近づく2人にカツィカが金切り声を上げる。
「来るんじゃねぇよ、猟兵ども! お前達! やっちまえ!」
 2人を押し包むように取り囲む4人の山賊たち、互いの死角を補うようにユーフィと明日真は背中を合わせる。
 四方から2人に向けて入れ代わり立ち代わり降り注ぐ斬撃、受け止めて反撃しようとする頃には別の山賊が切りつけ対応する間に、さっきの相手は距離を置いている。野生動物の狩りのように、無理をしない狡猾な立ち回りで2人のスタミナ切れを狙っているのは明白だった。
『柊選手、ユーフィ選手、2人とも防戦に徹しながら、粘り強い戦いを見せています! 囲んでいる4人も苦しそう。彼らの方が先にばててきて――おっと一撃をユーフィ選手が受け止めた!』
「こんなもの、効きませんっ!」
 ユーフィはオーラで山賊のナイフを受け流し、お返しとばかりに正拳突き。当たる寸前もう一人の山賊がタックルを仕掛けて仲間を庇う。山賊の斬撃をはじき返し、返す刃で明日真が振り向く様に大剣を振り下ろすが、その切っ先を受ける前に山賊たちはさっさと距離を取っている。
「らちが明かないな。ユーフィ、オレが合図したら跳べるか?」
 こくりと頷くユーフィ、2人の様子に反撃の気配を感じ取ったか、雄たけびを上げて殺到する山賊たち。迎え撃つように明日真は懐から帯電したナイフを取り出し投擲、投げつけられた山賊がとっさに飛び退き、同時に明日真とユーフィが跳ぶ。
 直後ナイフが地面に突き立って放電、周囲の山賊たちを感電させて動きを止める。そして着地した瞬間、明日間は緋焔の剛剣を、ユーフィはディアボロスと銘打たれた大型武器をそれぞれ振りかざして――。
「はああぁっ!」
「やーーぁっ!」
 息を合わせ寸分違わぬタイミングの薙ぎ払い、2人の一撃が周囲の山賊を弾き飛ばす!
 そして唯一、電撃を受けず薙ぎ払いを避けた盗賊の懐にユーフィがダッキングのように飛び込み――、地を踏み鳴らして全力のトランスバスター! 撃ち込んだ拳が山賊の体を吹き飛ばし、放物線を描く様にカツィカの頭上へ落下させる。受け止めもせず逃げ出すカツィカ。
『剛腕炸裂っ! 柊選手とユーフィ選手、2人の一撃に4人の体が宙を舞った!』
 パンっとハイタッチをする二人の姿に近くの観客達が歓声を浴びせたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『さあ予選バトルロイヤルもいよいよ佳境! ここでもう一度各選手の紹介を、――おや数人の選手がカツィカ選手に食って掛かっています。仲間割れでしょうか?』

「やめだやめだ! もうあんたには付いていけねぇ!」
「あんな連中と戦えるかよ!」
「勝負を降りて、適当な村でも襲ったほうがずっと楽だぜ」
 カツィカを囲んで喚きたてる山賊たち。カツィカは宥めるように両手を開き盗賊たちへと向ける。
「分かった、分かった。降参でも何でも好きにしろよ」
「へっ言われなくったって。おーいレフリー!」
 審判に手を振る山賊たち。その姿にカツィカは金仮面の奥の目を細め、口元をゆがめる。
「――できる物なら、な?」
 瞬間、カツィカの両掌から黒い波紋が放たれ、盗賊たちの体に触れる。痺れたように動きを止める盗賊たち。カツィカの放った呪詛が盗賊たちを呪縛し降参の言葉を許さない。
「降参しないのか? なら勝負続行ってことだ、なぁっ!」
 言ってカツィカは近くの盗賊の頭上に跳躍、全体重を込めて盗賊へと両手の爪を叩きつける。断末魔の如く響く地の砕ける轟音、立ち上る砂煙が収まった後にはひび割れ隆起した地面と、その真ん中にできた赤い染み。
「おっとやり過ぎちまったか。ま、事故だよ、事故」
 カツィカの金仮面が返り血に染まり、黒い旋風の如き呪詛を放つ。呪いを全身に纏ってカツィカは疾走、彼が駆け抜けた後で一人また一人と山賊たちが倒れ伏す。いつしかカツィカの全身は剛毛に覆われて、獣の如き異形へと変化していた。その姿に観客席から悲鳴が上がる。
「ひっ、助けてくれっ!」
 一人駆け出し、助けを求める山賊。その進路を遮るようにカツィカが着地し、爪を一閃。
 倒れ伏す山賊、勝ち誇り笑うカツィカ、その姿に怯えるように、解説の声が響き渡る。
『エントリーナンバー1番! 綺麗な物はオレの物! 呪飾獣、カツィカ! 優勝の栄冠はこの男の物になってしまうのか!?』
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
POW
UC対象をカツィカに設定
【携帯食料】を食み全身の細胞を活性化し準備を整える
UCを通して流れ込んでくる俺様気質の感情に呼応
「何寝言いってんだ、てめぇにはやんねぇよ。宝冠は俺のもんだ」

戦闘中は【学習力】で周囲の状況、相手の攻撃から最適なパターンを選択
相手の攻撃を誘い【残像】で躱すなど相手をイラつかせるように動く
「てめぇはただの肉塊か。屁でもねぇな」
ある程度焦らしたら【目立たない】ようにマフラーを懐にしまい、【ダッシュ】で加速し連続攻撃
この程度かと思わせた所で、UCを乗せた【ダッシュ】で加速後、【鎧無視攻撃】で斬る

「テンションに乗って口が悪くなるとか…乗りすぎるのもね」


アネット・レインフォール
▼心情
ふむ…金仮面か。
呪いの品は古今東西、色々あると聞くが
やはり対象が破壊されるのを嫌がったりするのだろうか?

…しかし解説員も大変だな。
状況が落ち着いたら、後で様子を見に行ってみるべきか。

▼行動
【POW】霽刀を主軸

あの爪の一撃は油断できないだろう。
フェイントや連続剣戟を与えながら、冷静に敵の動作や癖を把握していく。
隙があればこの間に仮面にも攻撃を試みる。

爪の一撃が来たら【無刀閃】で相殺を狙ってみよう。
動作を読めた場合は、更に前に踏み込み、
威力を回転力に変えて切れ味の増したカウンターを放つ。

もし連携上、時間稼ぎが必要なら敵の足場(地面)を狙い、
破壊するなどしてフォローを。

▼他
連携、アドリブ歓迎


シャルロット・クリスティア
仲間すら平然と切り捨てますか。
……愚かなことを。

真の姿を解放。刺剣を抜き、旗を手に取ります。
我が旗の加護には呪詛など恐れるに足らず。
【勇気】を以て先陣に立ち、その行動にて仲間の【鼓舞】とします。

旗を槍に見立てて、槍と刺剣の二刀流です。
【視力】を凝らし、正確に急所を射抜く。【スナイパー】としての心得はこちらでも変わりません。
もっとも、本来は専門外ですから、仲間が【目立たない】ように【時間稼ぎ】が出来れば十分と言ったところでしょうか。

人は一人で生きるに非ず。悪党であってもそれは不変。
それを見失った時点で、貴方の滅びは決まったと知ることですね。


アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可

まだ生きている山賊がいるなら、ボスの攻撃から【かばう】ように割り込み、相手の攻撃を盾モードのバスターホーンで【盾受け】する。
盾越しとはいえ、爪の直撃を受けるのでダメージは入るだろう。蝕む呪詛は【激痛耐性】と【気合い】で耐えるが、変身解除に追い込まれるかもしれない。
だが、どんなに苦しい状態でも立ち上がってこそのヒーローってもんだぜ。

まあ……テメェには生まれ変わっても分からないことだろうがな!

もう一度変身したら、バスターホーンをハンマーモードで構えなおし、【ダイナミック・ストライク】をぶちかます!


ヴィクトリア・アイニッヒ
…姑息である。それだけならばまだしも、降参しようとした『仲間』を騙し討ち、ですか。
卑劣、非道とは、まさにこの事。その悪意、我が主に代わりて討ち祓ってみせましょう!

様子見から始まった先ほどとは打って変わって、激しく攻め立てる。
目にも止まらぬ突き、斬撃、払い、斧槍という武器の特性を活かした変幻自在な攻めを見せる。

相手の攻撃は致命的な物だけは見切りつつ、それ以外の物は敢えて無視。
纏う鎧とオーラの守りで攻撃を凌ぎつつ、槍の切っ先には魔を祓う聖気、破魔の力を込める。

「その程度の力、その程度の呪詛で……我が主の威光を退けられると思わないことです!」

裂帛の気合と共に、戦場に聖気を満たし、呪詛を塗り潰す。


ユーフィ・バウム
※アドリブ・連携歓迎です

強力なオブビリオン!
狙いを集中して一気に撃破ですね!

【戦闘知識】【野生の勘】何よりともに戦う仲間を信じ戦います!
基本は【グラップル】での肉弾戦
【怪力】を生かし仲間と連携し隙を見て打撃を打ち込みます
敵の反撃は【見切り】致命的な攻撃を避けますが

避けきれない場合は【覚悟】をもって【オーラ防御】で耐える
「きゃぁっ……!」
悲鳴が上がりダウンしても、【激痛耐性】で
踏ん張り、必ず起き上がってみせる!

強力な相手でも、【戦闘知識】を生かし隙を伺います
【野生の勘】で何か閃けば嬉しい

敵に隙を見出せば、【ダッシュ】で寄り
【力溜め】ての渾身の《トランスクラッシュ》!
体を力強く浴びせていきますよ!


ニノマエ・アラタ
…綺麗なもの。生命の輝き、は。俺の黒が飲み込むぜ。
UC発動。
止まるか、飛ぶか。次の動きを予想しやすくするため、
拳銃片手に足元を狙い連続で射撃し、移動を封じる。
地形破壊が起これば、隆起した地面を盾に身を隠して撃つ。
呪詛で動けなくなったら囮ってことで構わない。
テメェの一撃がどんなもんだか、やってみろってんだ!
……ッ(ニヤリ。笑ってみせる。激痛の感覚はショートしている。)
他が動けなくなった場合は、
呪縛からの一撃と読んで、直撃阻止のため
側面からカツィカをガントレットで殴り、吹っ飛ばして軌跡を変える。
カツィカの技の出かかりがぶれ、足元がふらついたら、
こっちも踏み込んで脳天めがけ大上段から捨て身の一刀だ!


柊・明日真
【アドリブ絡み歓迎】
山賊連中に同情する義理も無いが…お前のやり方は気に入らんな。
徹底的に叩き潰してやる。
…降参してくれるなよ?

【武器受け】で急所を守りつつ接近、なるべくこっちの隙を見せないよう手堅く攻めていくか。
奴の大技を誘って、【気合い、激痛耐性、呪詛耐性】片腕を使って受け止める。致命傷さえ避ければ安いもんだ。
攻撃を受け止めた隙に《復讐の刻印》をぶち込む!




 異形へと変貌したカツィカ、その体からまき散らされる呪詛を貫き、切り込んだのは、戦旗を掲げた金髪の少女。
『先陣を切ったのはファントム・バレット、シャルロット・クリスティア(f00330)選手!
 頭上に白い戦旗をはためかせ、カツィカ選手へと一直線! 刺剣を抜刀し、近接戦の構えだ!』
 鋭く磨かれたフラッグモールはスピアの穂先の如く。シャルロットが勢いのまま放った戦旗の刺突。カツィカは穂先を左手ではじき、身を低くしてシャルロットの懐に飛び込もうと隙を伺う。シャルロットはオースレイピアで牽制するように連続突きを放ち、カツィカの気が逸れた瞬間、戦旗で薙ぎ払うように一撃、闘技場に赤い血が舞い、たまらずカツィカが後ろへ跳ぶ。
「仲間すら平然と切り捨てますか。……愚かなことを」
「いつ裏切るかも分からない連中だぜ? 切り捨てて当然だろ?」
 シャルロットの碧眼がカツィカを射ぬく。そしてカツィカの言葉に憤りを覚えたのは彼女だけではなかった。

「何を馬鹿な、裏切ったのはあなたの方でしょう」
 言葉と共にカツィカへ振り下ろされる槍斧、その刃をカツィカが両手の爪を交錯させて受け止める。
『カツィカ選手へ挑む選手がもう一人! 陽光の信徒、ヴィクトリア・アイニッヒ(f00408)選手! 信仰深き彼女にとってやはりこの邪悪は見過ごせないか!?』
 カツィカの爪が槍斧を弾き、ヴィクトリアとカツィカは仕切りなおすように後ろへ跳ぶ。
「……姑息である。それだけならばまだしも、降参しようとした『仲間』を騙し討ち。卑劣、非道とは、まさにこの事」
 くるりと斧槍を反転させヴィクトリアは穂先をカツィカへと突き付ける。
「その悪意、我が主に代わりて討ち祓ってみせましょう!」
 闘技場に響き渡る玲瓏とした声、その言葉に観客席から応援の声が上がり、カツィカが苦々し気に唇をゆがめ、両掌をヴィクトリアへ向ける。そして放たれる漆黒の呪詛が駆け出したヴィクトリアの身動きを封じようとし――斧槍による破魔の一撃がその呪いを切り破る!
「なにぃ!?」
 驚愕の叫びをあげるカツィカ、踏み込んだヴィクトリアの返す刃がその体を切り裂いた。

『次々に攻撃を受けカツィカ選手苦しい。やはりバトルロイヤルで目立つのは厳しいか』
「くそっ、もっと数が減れば、バトルロイヤルが終わって、猟兵同士の潰し合いになるってのに」
 そう呻くカツィカの目に写ったのは、まだ残っていた一般参加者達の姿。
「そうだ……どうせ全員に狙われるなら、弱い奴から潰していかねぇとな!」
 叫びと共に跳躍、高く飛び上がったカツィカが爪を振りあげ、一人の戦士に飛び掛かる。
「ひっ、助けてくれぇっ!」
 振り下ろされる爪を受け止める赤い盾――バスターホーン。
『あっと36番を庇うように、ドーンブレイカー、アーサー・ツヴァイク(f03446)選手が割り込む! そのまま反撃、カツィカ選手が身をかわして距離を取り――33番へと飛び掛かる! カツィカ選手徹底して猟兵との戦闘を回避する!』
「あっ、待て! 卑怯だぞ、オレと戦え!」
 次々に一般参加者を狙い跳びまわるカツィカ、その一撃を残さずアーサーは受け止めていく。もしも彼がそうやって他の参加者へ気を回さなければバトルロイヤルは早々に終わり、カツィカに各個撃破の機会を与えていただろう。
 カツィカの爪がアーサーが掲げたバスターホーンを叩く。響き渡る衝撃音の中にミシリと軋む音が混じった。

 それに続く乾いた発砲音、よろめくカツィカの足元へ撃ち込まれる銃弾。
『三白眼のダークヒーロー! ニノマエ・アラタ(f17341)選手が動いた! いよいよ謎に包まれたその実力が明かされるか!』
「……綺麗な物はオレの物、か」
 先のアナウンサーの言葉を思い返しながら、ニノマエはカツィカの逃げ道を封じようと銃口を向ける。
 カツィカは唸り声を上げながらニノマエに飛び掛かり爪を振るう。銃撃によって軌跡を誘導された単純な攻撃、それを1度2度とニノマエは躱して見せる。
 3度、爪が振るわれる寸前、カツィカの両手から放たれた呪詛がニノマエの体を捕らえる。身動きのとれぬニノマエにむけて振り下ろされるカツィカの爪、それを前にニノマエは不敵に叫ぶ。
「テメェの一撃がどんなもんだか、やってみろってんだ!」
 衝撃、振り下ろされた五指の爪がニノマエの体を切り裂き、溢れ出る赤い血と黒い粘液。引き裂かれた痛みに耐えながら、ニノマエは呪縛を破って跳躍、銃弾に粘液を纏わせてカツィカへと叩き込む。着弾、カツィカの悲鳴、同時に粘液を通じてニノマエはカツィカの体力を吸収する。
「お前の生命の輝きは。――俺の黒が飲み込むぜ」
 そう言ったニノマエの傷の出血は、すでに止まっていた。

 距離を開けたニノマエと入れ替わるようにカツィカへと切りこむ一つの影。一足で間境を踏み越え、手にしたサムライブレイドで袈裟掛けに切り下す。
『観察する人、仁科・恭介(f14065)選手、カツィカ選手へ一撃! そのまま刺突の構えに入り――、こちらは受け止められた!』
 爪と刀の鍔迫り合い、恭介の目の前でカツィカが喚き散らす。
「畜生、どいつもこいつも邪魔しやがって! あの宝冠は絶対に渡さねぇ!」
「はっ、何寝言いってんだ、てめぇにはやんねぇよ」
 恭介の言葉に苛立ち、まき散らされるカツィカの呪詛、恭介はそれに抗うのではなく共鳴するように全身の筋肉を活性化させていく。
「宝冠は俺のもんだ!」
 爪が刀を弾き、恭介は後ろへ跳ぶ。カツィカが威嚇するように咆哮を上げ、その感情の昂ぶりが恭介の全身に力を与える。再度の踏み込みは先ほどよりも早く鋭く。カツィカがそれを受け止めようと手をかざすが――。
「遅せぇよ」
 振るった一撃はカツィカの爪に防がれることなく、その腕を切り裂いていた。悲鳴を上げてカツィカが高く跳躍。

 カツィカはそのまま一人の少女へと狙いを定めて爪を振りかざす。振り下ろされる寸前少女が動いた。爪での一撃をを内側に入ることで躱し、そのまま正中線に拳を叩き込む。
『おっと、セイヴァー、ユーフィ・バウム(f14574)選手の鮮やかなカウンターが決まった! 悶絶するカツィカ選手にそのまま猛攻を仕掛ける!』
「強力なオブビリオン! 狙いを集中して一気に撃破ですね!」
 カツィカの振るう爪を見切り、払い、受け流し、あるいは野生の勘のままに躱しながらユーフィは怪力を生かした一撃を叩きこむ。
「ぐぅっ……、なめるんじゃぁねぇっ!」
 ユーフィが一撃を放った瞬間、カウンターのように振るわれるカツィカの爪、その衝撃にユーフィは歯を食いしばる。ユーフィの体に突き立てられたその爪は、彼女のオーラにさえぎられて僅かな傷を付けるにとどまる。
「お返しですっ!」
 ユーフィの放った後ろ回し蹴りがカツィカの顎を捉え、その体を吹き飛ばした。

『カツィカ選手ふっ飛ばされた! その先で待ち構えるのは、刻印の剣! 柊・明日真(f01361)選手!』
 明日真もまた、その瞳に怒りを浮かべてカツィカを見据える。
「山賊連中に同情する義理も無いが……お前のやり方は気に入らんな。徹底的に、叩き潰してやるっ!」
 カツィカが着地する瞬間、明日真は叩き込むように緋焔の剛剣を振り下ろす。その一撃を、カツィカは剣の腹を殴りつけて逸らす。反撃に振るわれる爪を明日真は剛剣で受け止めて、刃を返して刺突を放つ。
 長大な刀身を時に盾にし時に武器とする明日真の堅実な戦術。カツィカが振るう爪も剛剣に阻まれて明日真の急所を捉えられず、薄皮一枚を削ぐばかり。そして明日真が傷を負う度に、彼の刻印の一つが少しづつ輝きを増していく。
「何を企んでやがる、小僧!」
「言えないね、言ったらお前、降参するだろう?」
 カツィカの目が怒りに染まるが、すぐに警戒するように目を細める。直後、明日真の放った薙ぎ払いを爪で受け、カツィカが後方に跳躍し距離をとる。

「ふむ…金仮面か。呪いの品は古今東西、色々あると聞くが、やはり対象が破壊されるのを嫌がったりするのだろうか?」
 言ってカツィカへと一足跳びに駆け寄り、刺突を放つ一人の青年。
『待ちかねたとばかりに動いた! 剣の教導者、アネット・レインフォール(f01254)選手! 達人の剣がカツィカ選手を狙う!』
 カツィカは身を翻してアネットの刺突を躱し、すれ違いざまに貫手。その一撃をアネットは手刀で叩き落とし、振り向きざまカツィカの後頭部へと霽刀を一閃、その切っ先が金仮面の表面を掠めてかすかに火花を散らす。果たして効果は覿面、慌てたようにバランスを崩し、アネットへと向き直るカツィカ。
 一合二合と剣戟を重ねる2人、アネットはすぐに、カツィカが金仮面を庇うように行動していることに気付いた。
 アネットはこれ見よがしに霽刀を振り上げて金仮面へと振り下ろす。カツィカがそれを防ごうと両手を上げた瞬間、切っ先が軌跡を変えてカツィカの肩口に突き刺さる。
 悲鳴と共に振るわれるカツィカの爪、合わせてアネットは刃を振るい、一撃を弾く。
「斬りそびれたか。だがその一撃、次は切るぞ」
 ひたりと切っ先をカツィカへ向けるアネット。

 たまらず飛び退ろうと振り向いたカツィカの前に翻る白い旗。そして彼を囲む猟兵たち。
『とうとう、カツィカ選手追い込まれた! 8人の猛者達がカツィカ選手を囲んで総攻撃だ!』
「さあ、もう逃がしませんよ!」
 まき散らされる呪詛を突き破りながら刺突を放つシャルロット、カツィカは一撃を受けながらも突進、彼女の懐に飛び込もうとし、その足元をアネットの斬撃が崩す。動きが止まった瞬間、ニノマエが跳躍、ガントレットの一撃を叩き込む。跳び退るカツィカへ、明日真が追撃、剣を振り上げたところをカツィカの放った呪詛にとらわれる。反撃に振るわれる爪、その一撃を受ける寸前、ヴィクトリアが聖気を開放して呪いを破り、ユーフィがカツィカの腕をからめとって投げ飛ばす。着地より早く恭介が切りつけ、逃れようとするカツィカの一撃をアーサーが盾で受けて――軋む音と共に、バスターホーンが砕け散る。そしてカツィカの爪がアーサーの胸元を刻んだ。
『アーサー選手に爪が直撃! 大丈夫でしょうか! おやアーサー選手の姿が、変わっていく……?』
「くそ、変身が解けちまったか」
 胸元から血を流しながら立ち上がるアーサー。全身を覆う赤い装甲が消え、今の彼は普段の白いコート姿。立ち上がったところへカツィカが踏み込み爪を振るう。アーサーは腕を交差させて爪を受け止めようとするが、受けきれず後方へと吹き飛ばされる。
「ばかな野郎だ、人を庇って自分がその様か」
 見下し笑うカツィカをアーサーは睨み返す。
「そうさ、そこに助けを求める人がいるなら……オレは何度だって手を伸ばす! どんなに苦しくたって立ち上がって見せるさ!」
 殴り掛かるアーサーをカツィカが跳ね飛ばす。そのまま止めを刺そうと爪を振り下ろした先、ヴィクトリアが斧槍を突き入れる。
「邪魔するんじゃねぇ!」
「お断りします、善人を見捨てるのは教義に反しますので!」
 この機を逃すまいと嵩にかかって攻めたてるカツィカ、無数に放たれる爪の連撃をヴィクトリアは槍斧で払い、受け止め、切り返すように薙ぎ払う。時折カツィカが呪縛を仕掛けようと彼女へ向けて呪詛を放つ。それも彼女の動きを封じるには至らない。
「その程度の力、その程度の呪詛で……我が主の威光を退けられると思わないことです!」
 同時に放たれるヴィクトリアの聖気がカツィカの呪詛を塗りつぶし、彼女へ反撃の機会を与える。槍斧の穂先がカツィカを捉える、響く悲鳴。
 同時にヴィクトリアの放つ聖気はアーサーの腰に巻かれたベルトを柔らかい光で包んでいた。
「これは……? オレと同じ太陽の力、これなら!」
 アーサーが再び変身、ベルトから広がる光が彼を再び真紅の戦士ドーンブレイカーへと変え、その全身をさらにヴィクトリアの放った聖気が覆う!
 舌打ちと共に放たれるカツィカの貫手、その一撃をアーサーは盾で軽々と受け止めて、そのままバスターホーンを巨大なハンマーに変形、お返しとばかりにカツィカの頭上へ振り下ろす!
 その威力に受け止めたカツィカの足が地面にめり込んだ。

 そこへ飛び込むユーフィ。気合と共に地面を踏み鳴らし全体重を乗せたトランスクラッシュの一撃をカツィカの鳩尾へ叩き込む。カツィカの顔が苦悶にゆがみ、直後に吐血。そのままさらにもう一撃を叩き込もうとして、カツィカの反撃の一撃をまともに食らう。
「きゃぁっ……!」
『ユーフィ選手、跳ね飛ばされてダウン! 場内から悲鳴が上がる。カツィカ選手が追撃に走り、仁科選手、彼女を守るように立ちはだかった』
「そう簡単にはやらせねぇぜ!」
 恭介はカツィカの攻撃を妨害するように切り払う、反撃に振るわれる爪も彼の体を捉えるに至らない。
「どうした、てめぇはただの肉塊か。屁でもねぇなっ!」
 カツィカの感情に共鳴し、全身の細胞を活性化させながらも、恭介は冷静にカツィカの動きを観察する。二度三度と斬撃を放つ内、カツィカは恭介の速度に慣れて対応していく。
 四回目、袈裟懸けに放った恭介の斬撃をカツィカは爪でしのいで後ろに跳躍、着地際、身をよじり渾身の一撃を放とうとした瞬間、恭介が懐に飛び込んでいた。切り上げる一撃がカツィカの脇腹を切り裂き、カウンターで放たれた一撃が恭介の首筋を狙い――。
「やらせませんよ!」
 傷ついた体に活を入れ、ユーフィが立ち上がった。カツィカの手首を殴り飛ばして軌跡を変える。爪の先が恭介の目の前を掠めて、彼の前髪を宙に舞わせた。

 恭介とユーフィがカツィカから離れるように後退、追いすがろうとするカツィカをニノマエが銃弾で阻み、その隙に明日真が踏み込む。
 一合二合と刃を合わせるうちに、カツィカの顔に焦りが浮かぶ。明日真の戦いぶりは先ほどと同じ刀身を盾にする着実な戦法、違いはカツィカの流血、このまま血を流し続ければ、いずれ体力を失いカツィカは骸の海へと帰るだろう。
 誘うように明日真が大きく剛剣を振り上げた瞬間カツィカが猛ダッシュ、振り下ろされるより早く剣の根元へ体当たりを仕掛け、勢いのまま叩きつけるように爪を振るう。
 その一撃に明日真は左手を差し出すように受け止める。衝撃、爪が肉を裂き血の匂いがあたりに舞う。
「これくらい、安いもんだ!」
 そして明日真の刻印が輝き、受けた傷の分だけ彼の力を増強させる!
 反撃に薙ぎ払った緋焔の剛剣がカツィカの腹を撃ち、突き出した切っ先がその肩を貫く。踏み込んでくるカツィカへ剛剣を叩きつけ、直後、体力を使い果たして明日真が膝から崩れ折れる。
 すかさずカツィカが飛び込み左の爪を振り上げた瞬間、その顎へニノマエがガントレットで一撃、脳震盪を起こしよろめくカツィカ。
「そこだっ!」
 ニノマエは踏み込んで抜刀、牽制するようにカツィカが右の爪を振るい、ニノマエはその一撃を躱しもせず手にした妖刀――輪廻宿業を大上段から振り下ろす。同時に上がる二つの血飛沫、カツィカの右爪がニノマエの腹を引き裂き、そしてニノマエの振るった妖刀がカツィカの右腕を切り落としていた。
 カツィカが咆哮と共に左腕を振るい、ニノマエたちを吹き飛ばす。踏み出した先にアネットが斬撃を放って大地を砕き、足が止まったところにシャルロットが戦旗とレイピアの連続突きで牽制、仲間達が態勢を整える時間を稼ぐ。カツィカが振り上げるように放った一撃が戦旗を捉え弾き飛ばす。ここぞとばかりにカツィカがシャルロットへと踏みこみ、シャルロットが後方アネットの元へ跳び退る。カツィカの爪が振るわれるより早く、シャルロットはアネットの手を借りて大きく跳躍、同時にアネットはカツィカへと踏み出し居合抜刀、薙ぎ払う爪を迎撃するように刀を振るい、その左腕を切り落とす。
「言ったはずだ。次は切る、とな」
 悲鳴を上げて空を見上げたカツィカの目に映ったのは、空中で戦旗を掴み穂先を向けて落下してくるシャルロットの姿。逃げ出そうと踏みだしたカツィカの足が地面に埋まった。
 その目の前でアネットが、大地を切り裂いたばかりの霽刀を鞘に納める。
「逃がすつもりはない。そこがお前の墓場だ」
 そしてシャルロットの旗が、カツィカの胸を貫いた。
『カツィカ選手、脱落! まさに死闘! これで本戦への出場者が決定しました! おっと幾人かの選手が審判に駆け寄り――どうやら辞退を申し入れているようです』

「人は一人で生きるに非ず。悪党であってもそれは不変。
 それを見失った時点で、貴方の滅びは決まったと知ることですね」
 アナウンサーの声が響き渡る中、シャルロットはそう呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『円形闘技場の剣闘試合』

POW   :    剣闘試合に参加する。対戦相手は正面からねじ伏せてこそチャンピオンだ。

SPD   :    剣闘試合に参加する。戦いは華麗に、蝶のように舞い、蜂のように刺すのさ。

WIZ   :    さあて、誰に賭けようか、大穴狙いで一儲けか? それとも堅実に行くか?

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その後、予選を勝ち抜いた猟兵たちは闘技場の控室へ。慇懃に出迎えて一礼する大会スタッフ。
「皆さま、バトルロイヤル勝ち抜きおめでとうございます。それではこれから先の進行についてご説明させていただきます」

「本選についてですが、一対一のリーグ戦となります。武器などにつきましては、闘技大会の趣旨に則ったもの――、使い手の力、速度、知略を問われるものであれば構いません。
 今までに使われているものであれば、特に問題はないかと思われます。
 またしばらくこの街は観客目当ての屋台や出店などでにぎわいますので、宜しければ観光などお楽しみください。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
以下MSより補足
・試合に参加する場合、判定用の能力に制限はありません。Pow,Spd,Wiz全て使用可能です。一人一試合、猟兵対猟兵を想定しています。

・また試合とは別に、街の出店や屋台などのお祭りへ遊びに行くことも可能で、
 試合の出場辞退も可能となっています
ニノマエ・アラタ
…本選へ出場だ。
このまま勝ち抜いてみるのも悪くない。
倒した相手への礼儀でもある。

どんな攻撃も当たらなければ無意味。
相手に自分への狙いをつけさせない。
打刀は攻撃をさばきくのに使いながらもUC発動の媒介にする。
刀身を無数の桜の花びらへ変え、目くらましに使う。

近距離なら一刀振り下ろし相手を防御させた瞬間に、
遠距離ならカツィカが変化させた地形を盾に攻撃をしのぎ、
相手の位置を把握してからUC発動、一気に間を詰め。

桜吹雪の間隙を縫い、狙撃手の眼で相手の動きをしっかりと追い。
素早く銃口を頭につきつける。
次の動きを許さない殺気をこめて。

賞金等は、カツィカ山賊団に苦しめられた者たちがいれば
それらへ届けてもらう。


仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
「さて、私がどこまでやれるか…試す機会だね」

SPD
剣豪だが今回は無手で行こう
間合いはこれくらいと両拳と両足の範囲を確認
「よろしくお願いします」
【礼儀作法】通り一礼して【携帯食料】を口に放り込む
この感に攻撃されても良いよう油断はしない
UC対象を対戦相手に設定し、軽く攻撃しながら【学習力】で相手を観察
「この感じで受ければなんとか行けるか」
「本当に嫌な攻撃をする…が、それは予測済み」
「すでに見られている。なら基本に忠実に」
基本は誘って殴る
【残像】【ダッシュ】で相手を翻弄し、隙ができたところを【鎧無視攻撃】
奥の手はUCを乗せて更に加速し蹴りを見舞う
「視認外からこの一撃で決める!」


ヴィクトリア・アイニッヒ
無事に務めは果たせましたね。まずは一安心。
大会の方は残すは本選。猟兵としての活動とは無関係ではありますが……折角の機会ですから、挑戦してみましょう。
今の自分がどこまでやれるのか。それを知る好機ですしね。

装備品などは先程のまま。戦い方も守りを重視する戦い方は変わらない。
守りを固めつつ対戦相手の行動をしっかり見極め、好機と見ればカウンター。
…距離を取られたら? 光剣もありますが、これは奥の手。使い所を見極めなければ、ですね。

同質の力を持つ猟兵を相手に、私の力がどこまで通じるか。
結果がどちらに転ぶにせよ、今後の糧としたいところですね。

※アドリブ歓迎です。


シャルロット・クリスティア
(真の姿解除 旗も消失済)
さて……と。
任務も無事済んだことですし、屋台で軽食でも買ってのんびり観戦と行きましょうか。

……試合ですか?あぁ、私は辞退しました。
見ての通りの銃使いですから、正面切っての一対一はどうも苦手で……。
私は本来、奇襲や騙し討ちが本業です。とてもじゃないですが敵いませんよ。
あの旗も、いつも使えるというわけではないですし。
目的が達せたのなら、ここで私の戦いはもう終わり、です。

……とは言え、戦術を学ぶのは大事ですからね。
こう言う戦い方もある、と言うのを知っておけば、似たような先方への対策も立てやすいですし。
せっかくの機会です。いろいろ見て勉強していきますよ。


アネット・レインフォール
▼方針
本戦への出場は辞退。
解説員が大変そうなので、差し入れの珈琲を片手に様子見に行こう。
可能ならそのまま解説員の特別ゲストとして参加。

▼行動
辞退の理由とか聞かれたら少し面倒だな…。
まあ、無難に見所のある若者を見る事が出来たと返答しておこう。

本戦の開始、又は幕間で解説員の実況をサポート。

他の猟兵達の技を冷静に分析したり、
性格や武器の特徴等の情報を交えながら解説を。
余裕があればオッズの比率とかも確認。

正直、誰が勝ってもおかしくないが個人的な所感も述べておこう。
(力で○○、速さなら××/いいセンス/最大の武器は胆力/連戦で体力面が懸念…等)

▼他
絡み、アドリブ歓迎
解説中は冷静に「です、ます」口調


アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可

オブリビオンとの戦闘で負傷したので本選は欠場と言うことで
屋台で甘いもんをたらふく買って、おもむろに解説席に座ってっと…
えっ何してんのって? いやいや、この戦いは猟兵達のガチバトル。同じ猟兵が戦いの解説をした方がいいと思って
ほら実況さん、もう戦い始まるよ。集中集中!
まあ、こんな感じで観戦してますわ。

戦いが終わったら【サンライト・ヒーリング】で出場した猟兵達の回復をするぜ。俺の疲労分は甘味で補えるからドンドン戦ってこいよ!


柊・明日真
【アドリブ歓迎】
【試合に参加:POW】
お手柔らかに、ってのも野暮だよな。加減無しで頼むぜ。

今更小細工も面白くないしな…
ここは一気に畳み掛けてみるとするか。
【ダッシュ】で懐に潜り込み、青嵐の手甲でラッシュを仕掛ける。
このまま圧倒されてくれりゃいいが、そうも行かんだろうし反撃は【見切り、武器受け】で警戒しておくか。
一発いいのが入るか、こっちから距離を取ろうとした所を狙って《烈震の刻印》でKOを狙う。
外したらこっちがやばいからな…ぶちかますタイミングはよく狙って行かないとな。


ユーフィ・バウム
※アドリブ歓迎

よい機会ですので、同じ猟兵の皆さんと手合わせを
剣闘試合に参加・蛮人らしく「正面からねじ伏せて」
みせましょう

基本は愛剣ディアボロスでの【なぎ払い】で押す
【衝撃波】【吹き飛ばし】も交え、アウトレンジで
圧しつつ、距離が近づけば【力溜め】、
【怪力】を生かしての《トランスバスター》!
【鎧砕き】と防御を許さぬ勢いで一撃を食い込ませます

対戦相手よりの攻撃は基本【見切り】【ダッシュ】で
避けつつ、避けきれないものは【オーラ防御】で凌ぎます
【苦痛耐性】などの耐性で耐え抜いて、
反撃で仕留めて見せますとも!

勝負が終われば、手合わせに感謝いたしますと挨拶を。
さすが皆さん、強い。まだまだ鍛錬しなければです。




 熱気に包まれた闘技場を、初夏の風が吹き抜けていく。場内割れんばかりの歓声に、それに負けじとかき鳴らされる鼓笛隊のマーチに乗って、魔道具に拡大された実況の声が響き渡る。
『さあ、いよいよ始まります、春の剣闘大会、決勝リーグ! 残念ながら3人の選手が出場を辞退し、5人の選手が優勝を争います。しかし今回の解説は一味違う!
 ご紹介しましょう! 予選突破選手にして剣の教導者! アネット・レインフォール選手(f01254)です!』
『先ほどの予選では、熱い声援ありがとうございました。第1試合解説を務めさせていただく、アネット・レインフォールです』
『またドーンブレイカー、アーサー・ツヴァイク(f03446)選手にも順次解説をお願いする予定です』

「みなさん一体何をやってるんですか……」
 アーサーやルドルフの自己紹介を聞きながら、シャルロット・クリスティア(f00330)が観客席でうめき声を上げた。そのままポフりと石造りの椅子に腰かけて、屋台で買ってきたサンドイッチにかぶりつく。

『早速ですがアネットさん。今回の決勝リーグ、優勝するのはどなたでしょうか?』
『そうですね。正直、誰が勝ってもおかしくないです。
 フィジカルで上を行くのは、怪力と刻印術の搦め手を持つ柊・明日真(f01361)選手と俊足で掻きまわして相手の対応を学習していく仁科・恭介(f14065)選手。メンタル、というより胆力と突進力があるのはユーフィ・バウム(f14574)選手。テクニックでは斧槍を変幻自在に操るヴィクトリア・アイニッヒ(f00408)選手。
 対人戦闘のプロ、未だに底を見せないニノマエ・アラタ(f17341)選手。
 しかも全員が全員、鬼札を持っている』
『なるほど、なるほど。ありがとうございました』


『あっ、試合の準備が整ったようです! それでは第一試合、仁科選手対柊選手、スタートです!』
 闘技場の中央、明日真と恭介が向かい合う。明日真は剛剣ではなく手甲を装備し、恭介も刀を持たず無手である。
「お手柔らかに、ってのも野暮だよな。加減無しで頼むぜ」
「勿論、私がどこまでやれるのか……試させてもらう」
 不敵に笑う明日真と慇懃に礼をする恭介、そして試合開始のゴングと共に明日真が駆けだし、恭介が携帯食料を飲み込んで迎え撃つ。
『おっと柊選手が一気に突撃! 試合開始から拳二つでラッシュを仕掛ける! 対する仁科選手も柊選手の連撃を躱す、躱す! 仁科選手、ダッキングから――反撃の右ストレート! その拳を柊選手がクロスアームで受け止める! ワン・ツー、続けざまのショートアッパー! 防御を割って――危ういスウェーバック、左アッパーが前髪を掠めた! 柊選手の赤い髪が宙に舞う! バックステップ!
 仁科選手は予選でも食事を取っていましたが、アレはいったい何なのでしょう』
『おそらく彼は食事で身体能力を高める技術を持っているのでしょう。食事をする前後で、技のキレや動きの速度が明らかに違う』
 アネットの言葉に感嘆したようアナウンサーが頷き、差し入れの珈琲でのどを潤す。
『さあ一度態勢を整えて、柊選手が再び挑みかかる! 様子見無用、ただ行くのみ!
 右のジャブ、左、右。左バックナックルッ、仁科選手の顔面を捉え――消えた!?』
『仁科は躱している、残像ですね。いよいよ2人とも鬼札を切る!』
 直後、明日真の青嵐の手甲に輝く刻印、それに共鳴し恭介の全細胞が活性化、彼の体が音をも超えた動作を可能にする。
――視界の外から、この一撃で決める!
 足音よりも早く明日真の背後をとる恭介、振り下ろすように跳び蹴りを放ち、明日真の目がその姿を捉える。
「待ってたぜ、その一撃!」
 瞬間、青嵐の手甲が鎧殻の戦斧に変形、明日真が振り向きざまの薙ぎ払いで恭介を迎え撃つ。響き渡る衝突音。
『仁科選手、ノックアウト!! 一瞬の攻防でした! 柊選手、背後からの不意打ちに、手甲を斧に変形させてのカウンター! どうですか、解説のアネット選手』
『柊の刻印術がうまくはまったという感じですね。柊はラッシュの中で仁科が間合いを取るタイミングを計っていたのでしょう。それが近づくところへのカウンターになったのは――仁科の速度のなせる技でしょうね』
『なるほど。それにしても素晴らしい、素晴らしい一戦でした。皆さん、両選手へもう一度、盛大な拍手を!』


『さあ、それでは引き続き第2試合。カードはヴィクトリア選手対ニノマエ選手。
 解説はアーサー選手です。えー、アーサー選手、その山の様なスイーツは一体』
 アーサーが解説席の目の前に積んだハニートーストにアイスクリーム、フルーツジュース、それを見てアナウンサーが呆然とした声を上げる。
『いやぁさっき大怪我したし、疲労回復用にね。ほら実況さん、もう戦い始まるよ。集中集中!』
 ゴホンと咳払いをする実況をよそに。ヴィクトリアとニノマエが向かい合う。
「倒した相手への礼儀でもある。このまま勝ち抜かせてもらう」
「今の自分がどこまでやれるのか。挑戦させてもらいます」
 ヴィクトリアとニノマエが挨拶を済ませて得物を構える。ヴィクトリアは愛用の斧槍、L'orgoglio del soleと白銀の鎧を身に着けた凛々しい戦装束。ニノマエは黒の外套に腰に拳銃を装着し、妖刀輪廻宿業を抜き放つ。
 向き合う2人、試合開始の合図とともにニノマエが懐に飛び込もうとし、ヴィクトリアが斧槍でそれを牽制。
『おや、ニノマエ選手距離を取りません。遠間から銃撃での決着を狙うのかと思いましたが、ヴィクトリア選手の鎧を気にしての事でしょうか?』
『ヴィクトリアさんは神官騎士だからね。遠くの敵を攻撃する技があってもおかしくない。それよりも刀の間合いに飛び込んで、斧槍の攻撃をしのぐつもりなんだろう』
『なるほど――ニノマエ選手の袈裟懸け、ヴィクトリア選手、オーラでこれを防ぐ。反撃の薙ぎ払い! 跳ね上げた切っ先が穂先を弾く、凌いだ! 刃を返して切り落とし――ヴィクトリア選手がバックステップで距離をとる。ニノマエ選手、残心を解いていない、そのまま追撃の片手突き! ヴィクトリア選手、斧槍の柄でこれを弾くが、再びニノマエ選手の間合いに入っているぞ』
『これは――ニノマエさんがうまいな。距離を取ろうとするたび、わざと銃を視界に入れて、間合いを取るのにブレーキをかけている。 とはいえヴィクトリアさんの守りがかなり硬い。不利な間合いを取られているのに、有効打を打ち込ませないどころか、しっかり反撃してる』
 感嘆するアナウンサ―の前で、アーサーは食べ終えたアイスクリームのカップを置く。
『さて、そろそろかな?』
 ニノマエが輪廻宿業を大上段から切りおろし、ヴィクトリアが斧槍で横に受ける。瞬間、輪廻宿業の刀身が爆ぜた。妖刀の生んだ桜吹雪が彼女を包み、その肌を切り裂く。
「この程度ならっ」
 ヴィクトリアの祈りに応えたのは、天から降り注ぐ光の剣。その切っ先が桜吹雪を貫いて大地に突き立ち――。ヴィクトリアの背後でうめき声が上がった。
 振り向くより先に頭部に銃口が押し当てられる感触。
「この状態でも引き金を引くのに不自由はない。降参しろ」
 敗北を悟ってヴィクトリアは軽く息を吐いた。
「ここまでですか。――この敗北、今後の糧にして見せます」
『ヴィクトリア選手、いま降参! 肉弾戦から一転、花びらと光剣が舞う中で決着がつきました!』
『これはニノマエさんの立ち回りがうまかった。あの桜吹雪を切り札じゃなくて、囮と目晦ましに使って、銃で決着を付けに行くとはねぇ。っと』
 そこまで言ってアーサーは解説席を立つ。
「じゃあ俺ちょっと二人の回復しに行ってくるから、次の試合の解説はよろしく。お菓子は食べててもいいけどオレの分も残しておいてくれよな」



『さあ折り返しの第6試合。試合開始直後からの猛攻をしのぎ切り、ヴィクトリア選手が粘り勝ちをおさめました!』
「うーんあの光の剣、どうやって凌ぐのが正解でしょうか」
 と、シャルロットは観客席で頭をひねる。
――別にみんなと戦うつもりはありませんけれど。知っておけば、似たような先方への対策も立てやすい。とはいえ。
「銃使いの私が、正面切っての1対1で勝とうという方が間違っているんですよねぇ。とてもじゃないですが敵いません」
 溜め息代わりにジュースを一口、特産品という触れ込みの屋台で買ったフルーツジュースの甘味が、彼女の心を和ませた。

『現状ニノミヤ選手が白星2つと一歩先を行っております。次の第7試合、ユーフィ選手と仁科選手は共に1勝1敗同士。ここで勝ってもう一つ弾みをつけたい所』
「おっといけない、せっかくの機会です。いろいろ見て勉強していきますよ」
 彼女が見下ろす先、円形の闘技場の真ん中でユーフィと恭介が向かい合う。恭介は相変わらずの無手、対するユーフィは愛剣ディアボロスの柄を握っている。
『さあ、第七試合スタート! 仁科選手は恒例の食事、ユーフィ選手は大剣を振りかざして一直線! 正面からねじ伏せてやるとばかりの薙ぎ払い、しかしやや遠いか。 おっと仁科選手がバランスを崩した。これは一体どうしたことでしょう』
「薙ぎ払いで生んだ衝撃波による吹き飛ばし、改めて見るとめちゃくちゃですね。刀身を当てているならともかく、風だけで人体を吹き飛ばす。 対応するタイミングは限られますね」
『仁科選手、壁を蹴って跳躍! ユーフィ選手の懐に飛び込んだ! そのままガントレットで、右ストレートッ、命中! 流血、しかしユーフィ選手、怯まない! お返しとばかりに渾身の左フック! そのまま突進、左エルボー! たまらず仁科選手が後ろに下がる。そこへ叩きつけるように、大剣の薙ぎ払い!』
「そう、狙うなら、このタイミングです」
 薙ぎ払いの後、刃を返す寸前に恭介が猛ダッシュ、一気に間合いを詰める。咄嗟に大剣を手放すユーフィ、大地を踏み鳴らし全力のトランスバスタ―! 命中の直前、恭介がさらに加速、拳より先に駆け抜けてユーフィの背後めがけて飛び蹴りを放つ!
『蹴撃一閃! ユーフィ選手ノックアウト! おや仁科選手もわき腹を抑えている。ユーフィ選手の最後の一撃が仁科選手の体を掠めていたようです』
「仁科さんとユーフィさんはほぼ互角。学習力で動きを見極めていた分、仁科さんが上回った感じですかね」
 そこまで言ってシャルロットは考え込むように首をひねる。
「ユーフィーさんのあの技、私が破るにはどうしましょうか。あの旗も、いつもは使えないですし……」
 彼女が見下ろす先でユーフィが目を覚まし、恭介へと一礼する。
「手合わせに感謝いたします。……さすが皆さん、強い。まだまだ鍛錬しなければ」


『最終試合、互いに2勝1敗同士、事実上の決勝戦が決着! 闘技場の真ん中に季節外れの桜が咲いた! 優勝争いを制したのは――ニノマエ・アラタ選手! 予選前半の静かな戦いが嘘のような暴れぶり!』
 戻ってきたニノマエにヒーローインタヴューとばかりにマイクを向けるアナウンサー。
『ニノマエ選手、優勝おめでとうございます。幾つかお話を伺いたいのですが――』
 問われる質問に短く淡々と答えていくニノマエ。
『賞金の使い道など考えていらっしゃいますか?』
『賞金。そんなものもあったか、考えていなかったが――』
 唯一その質問にだけニノマエは首を傾げて考え込み、暫くしてから口を開いた
『最近近くで山賊団が暴れていたと聞く。彼らに苦しめられた者たちへ届けてもらう』
 ニノマエの言葉に顔を見合わせる仲間たち。その後、近くの村に届けられた賞金は、1人分だけではなかったという。

 こうして8人の猟兵たちの活躍によって、この闘技大会は幕を閉じた。この後は、大会の収益金の一部が、近くで盗賊等に苦しめられている人々への義援金に当てられ、治安維持や周辺の開発に大きく寄与する存在に成長して行くこととなった。
 金銭欲に支配され、仲間に一顧だにくれぬ怪物は、討ち果たされたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月20日


挿絵イラスト