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アースクライシス2019⑦アンダーサブウェイ・ゲームズ

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ダストブロンクス

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●澱む人魚
 ヒーローズアース、ニューヨークの動乱を防いだ猟兵達。
 彼らが次に向かうは「肥溜めの王」スカムキングの本拠地であるダストブロンクスへの侵攻。

「うーん。ちょっと汚いですけど折角の力を自分で試すのもいいかもしれませんわね。うふふっ」
 ダストブロンクス市街。華やかなる世界の裏側を象徴するかの様に広がる下水道迷宮。
 むき出しのコンクリートに突き刺したパイプから垂れ流される悪臭放つ液体が絶えず流れる中、それは歓喜の声を漏らす。
「あらあらこれは……あは! 力漲っちゃうぅ! あーん癒されちゃうー♡」
 ダストブロンクス内に響き渡る艶やかな嬌声と破壊音。
 彼女の体、下半身を構成する『鞭』のようなそれが配管を薙ぎ払い、轟音が響き渡ると同時にパイプから汚染水が溢れだす。
 汚染水を浴びながら彼女、モンスターメイカー『ドクター・エキドナ』は嗤っていた。

●グリモアベース
「集まってくれて……そして、ニューヨークでの暴虐を防いでくれてありがとう」
 グリモア猟兵セラフィナイト・クォンタムシリカは各地で繰り広げられているアースクライシス2019の資料を手にしながら礼をする。

「皆にはこれからニューヨークでの動乱の裏にいた『肥溜めの王』スカムキング、彼の本拠地ダストブロンクスへと向かってもらいたい……反撃開始、だね」
 ダストブロンクス、巨大な下水道迷宮の上層から更に下層へ。
「といっても流石に『汚い』真似をしてきそうでね」
 猟兵達の侵入ルート、オブビリオンとの戦闘が予想されるエリアを映しながらセラフィナイトはため息をつく。
「どうやら肥溜めの王は本気。汚れた下水によってダメージを回復するオブリビオンを君達とぶつけ徹底抗戦の構えをとるつもりのようだ」

 セラフィナイトが予言したオブビリオンはモンスターメイカー『ドクター・エキドナ』。
「自らの体躯からモンスターを産み出し、時にはミュータントまで作り出す。正に狂的科学者(マッドサイエンティスト)と呼んでいいだろうね」
 そして、スカムキングが彼女を猟兵達の前に立ち塞がらせる理由をセラフィナイトは説明する。
「敵地には汚染水が無限にある、と言ってもいい。それが一定間隔で皆が戦うことになるダストブロンクス市街の数カ所から噴出される」
 汚染水を浴びることによって回復しようとドクター・エキドナが行動しているのを予測したと付け加えた。
 隙あれば噴き出す汚染水を求め、負った傷を癒すために戦場を縦横無尽に駆け回るドクター・エキドナ。
「対抗手段はシンプル。『敵を汚染水から引き離す』。……君達の自由な発想で倒してほしい」

 セラフィナイトはダストブロンクスへの転送ゲートを作りながら振り返る。
「……君達なら、倒せると信じているよ猟兵達(ヒーロー)」


硅孔雀
 ヒーローズアースで僕と戦争です。
 よろしくお願いいたします。
 ダストブロンクス上層でスカムキング配下のオブリビオンと戦います。

●補足
 猟兵の1行動につき1ターン敵は「汚染水に近づき回復しよう」とします。その際「敵を汚染水から引き離す行動」を行うことによりプレインボーナスが発生します。放置すると攻撃が完全無効レベルで回復し行動が失敗する可能性があります。
 戦場はダストブロンクス上層、ばっちい場所です。下水道の割れ目やマンホールやパイプ等、あらゆる場所から汚染水が漏れ出します。どこから洩れるかも合わせて対策を練ってください。
 このシナリオは1章で完結します。少数人数での採用になる可能性が高いです。
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第1章 ボス戦 『モンスターメイカー『ドクター・エキドナ』』

POW   :    魔獣創造(モンスターメイカー)
戦闘用の、自身と同じ強さの【多頭の巨犬】と【多頭の大蛇】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    突然変異体(ミュータント)
いま戦っている対象に有効な【能力を備えたミュータント】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    狂的科学者(マッドサイエンティスト)
技能名「【遺伝子工学】【改造手術】【オカルティズム】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。

イラスト:えな

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は河津・跳太郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

デュナ・ヴァーシャ
ふむ、召喚獣か……この場では少々厄介だな、囮にされてその間に回復されては堪らん。さっさと片付けねばな。

権能を発動したら、召喚された多頭蛇の方に狙いを定めて一気に接近する。いくら多頭とはいえ、頭と頭の間には死角があるはず、その間を駆け抜けて間合いに入り込む。首の付け根の当たりに力任せに指を突き立てて掴んだら、豪快にぶん回す。ムチのように操ってエキドナの移動を妨害しながら、多頭犬をなぎ倒して邪魔を排除し、最後はエキドナめがけてぶん投げてぶつけてやろう。

ダメージで召喚が解除されたら一気に近づいて、同じように本人の胴も抱えてぶん投げてやるとしようか。なかなかつかみやすくて投げやすそうではないか?



●世は肉に満ちて
 その身は荘厳、剛健、かつ豊穣。即ち人を超越した高次の存在である肉体。
 人を創り出した時、デュナ・ヴァーシャ(極躰の女神・f16786)は自らのもつそれを惜しみなく与えた。
 創造者たる彼女の金の瞳はダストブロンクス、不安定な足場の上に『脚』を絡めとりながら立つドクター・エキドナの姿が写っていた。
「あららん。神様と戦えるなんて……でも、魔獣創造は私の方が上! なんちゃって!」
 ぼこぼこと『脚』が揺れ、胎から産み出されるように召喚される多頭の巨犬と多頭の大蛇。
「ふむ、召喚獣か……」
(この場では少々厄介だな、囮にされてその間に回復されては堪らん)
「さっさと片付けねばな」
 そう言い終えると同時に神の脚を持つ肉体がダストブロンクスの床を蹴った。
 デュナの体が向かう先は──ドクター・エキドナの召喚した多頭の大蛇へと、一直線に。

 むわりと澱み汚染された空気が一変し強い風が吹いた。
 あまりにも速く、世のあらゆる技を実現し得る、機能的な肉体が高速で動いた時に風が生まれたのだ。
「特別に見せてやろう。神の肉体とはいかなるものであるかを」
 神として自身に課した制約を外し、肉体の神としての神格を高め己の肉体の潜在能力を最大限に引き出す権能:神の肉体(ザ・ボディ)。
「そのまま噛み殺せ!」
「キシャーーーッ!!」
 多頭全ての鎌首から牙が、異様に長い舌がデュナの体を覆いつくす──その寸前。
「悪いな、この『首』もらったぞ!」
 多頭の大蛇。
 生物として無理に造られたそれの大きな弱点は各頭と頭の間。
 デュナは確実にその首の付け根を、力を完全に開放したその指がめり込むほど掴み掲げる。
「な……なんですって!」
 ダストブロンクス内に響き渡るのは『鞭』をしならせ、叩きつける音。
「これで貴様の産み出したモノも片付けようぞ……!」
 エキドナがヒステリックに産み出した多頭の巨犬をけしかけるが、『鞭』を手にしたデュナの攻撃は確実に多頭の巨犬にダメージを与える。
(これで汚染水にも近寄らせない──もうすぐだな)
 『鞭』の蛇の体、多頭の巨犬も無数の打撃痕から崩れていく。

「くっ……おのれ、このまま押しつぶしてやる!」
 召喚したモノが消え無防備になったエキドナがダストブロンクス、にむきだしに設置してある配管を伝いデュナへと接近を始める。
 デュナの神たる肉体、精神は一歩も動じない。
 むしろ──。
「我に力で挑むのか。いいだろう、同じように本人の胴も抱えてぶん投げてやるとしようか」
 エキドナより圧倒的なスピードでデュナは近づき、蛇にも似たエキドナの胴を両手で掴む。
「……が、がぁぁぁぁぁぁ!」
「ほう。なかなかつかみやすくて投げやすそうではないか?」

 究極の筋肉。強靭の極みたる肉体。
 その荘厳は汚染水溢れる場所を物ともせず、哀れな蛇はのたうち回った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード


正直こういう臭い所は苦手なんだよねえ。
さっさと片付けて帰らせてもらうよ。

さて、相手は召喚された巨犬と大蛇ね。
まあ、どれだけ頭数が多くても、丸ごと吹き飛ばしてしまえば大差ないよね。
斧を思いっきり振り回してなぎ払って、衝撃波で犬と蛇を吹き飛ばすよ。
体が大きい分足止め程度にしかならないだろうけど、まあ十分。
犬と蛇が動きを止めてる間に、【埋根伏蔦】でコンクリートの下を通して
足から生やした根を本体に絡みつかせて、持ち上げて地面に叩きつけるよ。

本体が傷を受けると召喚した奴は消えるし、
根が絡みついた状態なら汚染水を浴びに行くことなんてできないよね。

ま、作り物相手にはこの体はそうそう遅れは取らないよ。


月宮・ユイ

*器に<誘惑の呪詛>宿す呪:呪詛操るヤドリガミ

敵のホームグラウンド故の強みですね
肉体改造も辞さない狂的科学者…
下手に時間をかけては回復能力を発展されかねませんね

相手に利するなら此方には害の可能性も
<念動:オーラ>纏い汚水の付着防ぐ。
《静寂雪原》<生命力吸収の呪、属性攻撃:水・氷>乗せ効果増大
地の利を奪いにいく
割れ目を氷で覆い、パイプやマンホールも氷で塞ぐ。
周囲の熱エネルギーを捕食し続け、
もし汚水漏れても氷結、汚水成分に触れさせない。
加え、周囲の壁を氷の槍に変え串刺し狙う
都市の下水故変化素材の無機物には困らない。
蛇の性質そのままとは思いませんが、
世界を蝕む冷気、いかがですか?

*金、銀の異色虹彩



●地の利を得て
 瓦礫から舞い上がる粉塵がより一層ダストブロンクスを空気を澱ませる。
「敵襲あり、ね……でも!」
 オブビリオン、ドクター・エキドナが大げさに両手を広げ、下半身をくねらせると汚染水が噴き出す。
「あはは! まだまだよぉ!」

 その器は<誘惑の呪詛を宿す呪い呪う呪詛操るヤドリガミ。
 金と銀の異色虹彩の瞳を細め、月宮・ユイ(捕喰連星・f02933)は粉塵漂うダストブロンクスを歩く。
「敵のホームグラウンド故の強みですね」
 どこからか響くぼこぼこという音は、恐らくオブビリオンが自らの体を癒し……否、肉体改造も辞さない態度であることを察する。
 正に狂的科学者だ、と息を漏らそうとした時であった。
「正直こういう臭い所は苦手なんだよねえ。さっさと片付けて帰らせてもらうよ」
「……あの」
「ん?あぁ、猟兵さんとご一緒かあ。よろしくね」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)の蛇の瞳と山羊の瞳が細められる。
 あ、名前が呼びにくい?ならペトでいーよ。
 ペトはのんびりとした様子で愛用の武骨な巨大斧を担ぎ上げる。
「それにしても困っちゃうね、汚染水を放置していたら」
「はい、下手に時間をかけては回復能力を発展されかねませんね」
 笑い声の響く方へ慎重に足を進める月宮とペト。
「汚染水……恐らく、噴射した状態が一番危険でしょう」
「汚い雨は勘弁だね。だとすると……よし、汚染『水』をどうにかすればいい、って感じ?」
 あたしはそうしてみるよとペトが答えると、月宮も頷く。偶然にも二人の汚染水への対策の方向性は一致していた。
 そして、その偶然が産み出すのは当然敵への苛烈なる攻撃であった。

 汚染水を浴び、ある程度回復したオブビリオンドクター・エキドナが二人の猟兵を視野に入れ、厭らしく嗤う。
「餌が今度は二体。ふふ、それじゃあ1匹づつ仕留めてあげようかしらね!」
 魔獣創造(モンスターメイカー)、多頭の巨犬と多頭の大蛇が一瞬にして現れ二人を襲う。
「さて、相手は召喚された巨犬と大蛇ね」
 月宮の一歩前に出るようにペトが斧を構える。自分自身は戦わないで回復狙いかあと付け足す。
「……汚染水、その地の利を奪いに行きます」
 一瞬周囲の空気が冷えたことにペトは笑みを浮かべ、召喚された怪物へと向かっていく。
 揺れるダストフロンクス。薄いオーラを纏いながら服を汚さないよう月宮は立つ。
 鉄筋がむき出しになったコンクリート、錆びたパイプ、天井から唸り声を上げるダスト。
「(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。無限連環増幅術式起動。共有同調、対象・効果指定。領域形成)世界よ止まれ……」
 月宮を中心に産み出されるのは白く、冷たい粒だ。
 ユーベルコード:静寂雪原(コキュートス)が汚染水を、否、無機物を周辺空間毎全てを喰らい自軍の力とする氷雪に変換し、操作する。
「……!」
 最初にその異変に気が付いたのは、その身を蛇の性質へと変化させたドクター・エキドナだ。
「ど、どこっ! 汚染水は……っ!」
 雪原空間自体は拡大を続け、生み出される冷気は世界を侵す。
 蛇の身が、ゆっくりと気温の低下、周囲の熱エネルギーが奪われる事に警鐘を鳴らす。
「そうら……っと!」
 主人の生命力に比例するかのように、動きが鈍くなった多頭の巨犬と多頭の大蛇を衝撃波で壁に叩きつける。
 そのタイミングに合わせ月宮が周囲の壁を氷の槍に変え、二頭を串刺しにする。
 悲鳴を上げながらその巨体を前に斧を握りなおすペト。
「なにやってるのよ! 早くそんな斧砕いてしまいなさい!」
 ヒステリックに声を上げるドクター・エキドナを前にペトは仁王立ちで衝撃波が生まれんばかりの勢いで二頭の攻撃を受け続ける。

 この二体、猟兵達は自分ではなく召喚した魔獣に攻撃を集中させている。
(あの冷気から離れれば、汚染水は浴びられる……あはは! 私が傷つかない限り)
「限り?」
「へ?」
 間抜けな声、どうして私の考えが分かる──そうドクター・エキドナが思考を巡らす前に喉から出たのは絶叫。
「あたしの体が変われるのは、動物だけとは限らないんだよねえ」
 コンクリートの隙間からミシミシと、それは蠢き、進み、確実に遠距離の敵を掌に収めるために動いていた。
 ペトニアロトゥシカのユーベルコード:埋根伏蔦(クリーピング・プラント)が、彼女の足の裏からコンクリートの道を見えないように這い進み、その体を掴み上げ空中で握りつぶす。
 本体が攻撃され、召喚された二頭が消え、この場には二人の猟兵と一体のオブビリオンが哀れに宙に浮くのみ。
 ぐえ、とオブビリオンの肺から空気が漏れると共にペトは息を吐く。
「根が絡みついた状態なら汚染水を浴びに行くことなんてできないよね」
 ま、作り物相手にはこの体はそうそう遅れは取らないよ。と間延びした声とは裏腹に、根はミチミチと締め付けを強くする。
「えっと、キミのさっきのやつと合わせた方が効果的かな」
「そうですね、幸いここには」
 月宮は周囲を見渡し、映る無機物を氷の槍に変化させる。
「無機物には困りません──世界を蝕む冷気、いかがですか?」

 四つの瞳が見つめたのは、氷の槍へと身を叩きつけられ、貫かれる哀れな蛇であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アマルガム・デルタ
「にがさない たべる まち まもる」
「かいぶつ つくる ゆるさない!」

液状の自分の身を下水管に流し込みUCを発動して下水を吸収しながら流れる下水の代わりに自分自身で満たしていき敵に向けて進んでいきます。
会敵後は細胞分裂の加速によって増えた体を敵に向けて流し込みながら下水処理もしていきます。

敵と的UCで作られた存在には技能:怪力でしっかり捕まえて食べていきます。
捕食優先順位は汚染水(汚染水の噴出場所)>敵UCで作られた存在>敵 です。

一人称は「ぼく」と「わたし」でごちゃまぜでしゃべる言葉は全部ひらがなです。

絡み、アドリブOKです。


アイシス・リデル
みんな、こんなくさくてきたないところはいやなのかな、って思ってたけど
あんな風に楽しむ人……ううん。オブリビオンもいるんだ、ね
わたしは、大丈夫
慣れてるもん、ね

汚染水が流れてくる方に向かって、進んでいく、ね
流れてるのも全部、不浄の器の力で、わたしの中に取り込んで
敵が使えないように、きれいな水にお【掃除】しちゃうから
わたしには【毒耐性】があるから大丈夫、だよ

そうやって取り込んだ……「食べた」汚染水の毒で【暴食者】を使って
わたしのからだをおっきく、つよくして戦う、ね
それに、おっきくなったからだで、道を防いじゃえば
あなたももう、逃げられない、よね?
犬と蛇と戦ってる間に、逃げられないように捕まえちゃう、よ


テケリリケテルリリ・テケリリテケリャア
「「「テケリ・リ!!!」」」
相手が魔獣を召喚するならば複数のショゴス(同類)と力を合わせよう
相手が多頭ならば、此方は不定形の粘液の群れ。噛み付かれても再生すれば問題ない
汚染水から引き離す為に突撃し、物量で相手を後退させる
勢いが凄まじければ『何処から噴き出しても』すぐに離す事が出来る筈
怪力で引き剥がしたならば取り込むように粘着して【大食い】する
基本形態の『大剣』で尻尾を切断したらみんなで食事会だ
最後に頭部を包み込んで、じっくりと融解させてやろう

数も力も此方が上回れば容易いものだ
もしも逃れられた場合は大連珠を握り締め、殴り飛ばす
そうして相手を自身で包み込み、己が汚染水を塞ぐのみだ



●綺麗で汚くて▼△▼な汚染水。それとお食事会。
「……あはっ」
 汚染水がオブビリオンに僅かながら降りかかる。
 手をつき立ち上がるオブビリオン・モンスターメイカー『ドクター・エキドナ』。
 恍惚の笑みを浮かべ、めり、めり、めり。
 無理矢理体をこねくり回し身を持ちなおそうと蠢くが、その体からは黒い瘴気が漏れ続け汚染水と交じり合う。
「ふふ、ふふふふ、ふふふふ……コロスコロスコロス」
 ダストブロンクス内に響き渡る悪臭、唾棄すべき悪、悪意。

 汚染水が流れてくる。その道を辿って辿って、流れていく方に向かって進むのはアイシス・リデル(下水の国の・f00300)。
 どろりと不意に汚染水の中に混じっていたそれを不浄の器は受け入れ、思わずふへへと笑う。
 笑い声が聞こえる。
 汚い場所で、嗤っている。
「みんな、こんなくさくてきたないところはいやなのかな、って思ってたけど」
 アイシスが遡る水の道、黒とも緑とも言い難いそれが一瞬清らかな水と化す。
「あんな風に楽しむ人……ううん。オブリビオンもいるんだ、ね」
 わたしは、大丈夫。 
 どろどろ流れるくさくてきたないもの。
 わたしは、わたしの中に取り込んで。
 生まれ持った聖者としての浄化体質が汚染水を清らかに、敵が使えないように、きれいな水にお掃除しちゃうから。
 身を焦がし猛烈に溶かしつくすような酸を含んだ毒ですらアイシスの体はそれを掃除する。

「にがさない たべる まち まもる」
 アイシスの耳に笑い声とは違う別の声が不意に聞こえた。
「ぼくはきらい わたしはきらい たおそう たおそう」
「……誰?」
 それは汚染水の中に潜む──正確には汚染水の中に溶け込んでいた。
 ざぱん!と音を上げそれが姿を現す。赤い瞳に漆黒の肌、その特徴はまるで──。
「ブラックタールさん?」
 もぞもぞと動くそれはぐにゃりと体を曲げたかと思うと、ぶんぶんとふる。
「ちがうよ ぼくは つくられて ぼうそうして おなか すいています」
「ご、ごめん……わたしはアイシス。あなたはくさくてきたないところにいて大丈夫なの?」
「わたし てき きらい おくに いるの わるい かいぶつ!」
 アマルガム・デルタ(バイオモンスターのダークヒーロー・f16424)は憤りを隠せないように大きく体を膨らませる。
「おなかすいた たべる ふえる おなかすく たべる ふえる おなかすく おなかすいた いっぱいたべる」
 汚染水に触れた部分から、或いは空中に触れた──アマルガムの体を構成する何かが揺れ動く。
 ユーベルコード:ごはんのじかん。元素は何処にでもあり、全身の細胞分裂が活発化する。
 蠢くアマルガム。
 お腹がすいた。増える。アイシスは並べられた単語を脳内で纏め上げた後。
 笑顔をアマルガムに浮かべた。
「あなたは食べておおきくなるんだねぇ。わたしはアイシス。私もここで『食べている』から一緒……かな?」
 汚染水混じりの下水が漆黒に染まる。アマルガム自身の細胞で下水道を満たしながら二人は進む。

「はらぺこさんなんだね。くさくてきたないの一緒に分けっこだ」
 アイシスとアマルガムはお互いの『ご馳走』を食べられるよう距離をとる。
「くうき おいしい きたない おいしい わたし おなかいっぱい ぼくで ここがいっぱい」

 くさくてきたないものの終着駅。
 ドクター・エキドナが見た光景。
 汚染水と見間違えそうな少女と、黒いナニカ。
「え……」
 呆然とした様子のエキドナは慌てて汚染水の方──己の身の回復のため駆け出す。
「くそくそくそがっ! 壊れろ! 汚れろ! 死ね!」
 絶叫と共に魔獣創造で生まれた多頭の巨犬と多頭の大蛇をアマルガムはちらりと見る。ぶるりと体が膨れ上がる
「かいぶつ つくる ゆるさない!」
 会敵、しかし冷静に汚染水の方に自分の漆黒、細胞分裂で増えた自身を伸ばし流し下水を塞ぐ。
「汚染水、塞いでくれてありがとう……じゃあわたしの番。いっぱい食べて、いっぱいおっきくつよくなる、よ。あの人みたいに」
 アイシスの笑みが深くなり、そしてアマルガムの半分にも満たない体が内側から溢れ出すように膨らんだ。みるみる内に同じ程の身長になる。
 ユーベルコード:母なるアイシス:暴食者(マザー・アイシス・グラトニー)。
 お腹いっぱい食べた毒の量と質、生成した毒液で自身の体積を増加させアイシスもまた、『たべる』者になる。
「な、な、なによ……」
 目の前の汚染水は黒く『変色』し、召喚した犬と蛇は少女が掌で弄べるかの如く相対的に小さく見える程に。
 ダストブロンクスの上層は確実に侵攻されつつあった。

 そして、終わりの侵攻が進行する。

「「「テケリ・リ!!!」」」
 汚らしい下水道迷宮の、上部を這いわたりながら。壁面を伝いながら。
 移動し攻撃のチャンスを伺っていた。
「成程、相手が魔獣を召喚するならば。同類と力を合わせよう」
 赤茶の髪が、湿った空気に揺れる。
 テケリリケテルリリ・テケリリテケリャア(ロード・ケテル・f16871)が地に降り立つ。
 共に腕があるはずの『そこ』から大剣のようなそれがぐにゃぐにゃと生える。
「少女、多頭相手ならば此方は不定形の粘液の群れ。噛み付かれても再生すれば問題ない」
 テケリリケテルリリが使役するそれはよくみるとチカチカと光っていた。
 その光の奥には、僅かな大きさの目が集合したかのようにも見え──。
「ありがとうございます。じゃあ、わたしは犬を」
「私は蛇か」
 ざぱん!
 溢れたアマルガムの漆黒がどこかで汚染水の放出の引き金となる。
 それに縋りつくかのように動くエキドナ。
 テケリリケテルリリが『大剣』を素早く動かし、多頭の蛇を切り落としながら駆けつける。
 多頭の犬をねじ切ったアイシスも手を伸ばす。
 もはや残骸と化した魔獣達をたべつくしたアマルガムが、汚染水に自らを送り込む。そこに広がるのは汚らわしさではなく。超越したナニカ。
 『『『『テケリ・リ!!!』』』』

 ドクター・エキドナの尾にナニカが当たり、激しい痛みが襲う。
(協力ご苦労。味? まあまあといったところか)
 斬られた。何に?顔を上げる。上げられない。何かに強い力で引かれる。
 光。巨大な少女。漆黒。光。
 熱い、熱い!あ、あああ、私の尻尾が!
 ユーベルコード:マッドネス・パレヱド(テケリ・リ)がテケリリケテルリリ『達』によって始められる。
 アイシスが壁となり、そこに物量でテケリリケテルリリがエキドナを後退させた後に行われたのは──。

「おいしいの?」
「わたし すき! てき きえた!」
「しかしまだ上半身が残っている」
「ぼく たべたい! たたかい おわった おなか すく!」
「上もぶつ切りなの?」
「おいしい きっと!」
「最後に頭部を包み込んで、じっくりと融解させてやろう」
「頭がなくなっちゃえば悪い事出来ないね。よかったね」
「よかった! おなかいっぱい! ぼくも よかった!」

「数も力も此方が上回れば容易いものだ」
 汚染水がちょろちょろと流れる中、テケリリケテルリリは自分を見上げる少女と目が合う。
「えっと、お姉さんは……」
「テケリリケテルリリ」
「テケテケケ……?」
「テケリリケテルリリ! おぼえた!」
「声帯構成が上手いのはそちらのようだな」

 オブビリオン、モンスターメイカー『ドクター・エキドナ』の脅威は消えた。
 残ったもの。汚い物。
 綺麗な水、漆黒、そして──。
 下水道迷宮の奥で粘液が。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月12日
宿敵 『モンスターメイカー『ドクター・エキドナ』』 を撃破!


挿絵イラスト