アースクライシス2019⑨〜Take me highe
「頼むぜ、ヒーローたち……!」
「ああ、俺たちには彼らを信じるしかできないからな」
エリア51。米軍基地。管制室に集まった軍人たちが機材のコンソールを叩き、ラグランジュ・ポイントへの道筋であるビームハイウェイを作り出していた。
「……まるで天のきざはしだな」
「ハハ、こんな時でなけりゃア記念写真の一枚でも……おい、待て。ありゃあなんだ」
レーダー担当官が異常に気付く。ハイウェイ内に“巨大な”反応。悲鳴をあげる警報音。管制室に戦慄が走る。
「……計器の故障か?」
「違う……!機材は正常だ。機械が壊れたんじゃない、『敵がデカい』んだ!」
「猟兵たちに伝えろ!敵が待ち構えている!」
「……よう。みんな。調子はどうだい。お疲れのとこ悪いけど、次の戦場が待ってるよ」
九条・救助(f17275)は猟兵たちを見渡した。
「みんなに向かってもらう戦場は、宇宙文明ラグランジュ・ポイントに向かう航路だ。アメリカ軍の人たちがビームハイウェイっていう光の道を用意してくれてるから、それを辿れば進路に迷うことはない。プルトン星人から接収したUFOがあるでしょ。あれで目的地までひとっ飛び……の予定だったんだけど、そーいうわけにはいかなくてね」
救助はホワイトボードにペンで図を書いていく。あんまり上手ではない絵で、『ひーろーずあーす』『らぐぽい』『びーむ』などの文字を書き添え、そして図中の『びーむ』の中に赤でマルをつけた。
「ここに敵がいるのさ。しかもふつうのオブリビオンじゃない。でかいんだ。20メートル級のキングサイズだね。……冗談じゃねえ。マジだぜ」
そう。ビームハイウェイの中で、猟兵たちの進攻を妨害すべく巨大なオブリビオンが待ち構えているのだ。
「敵は巨大で強大だ。しかも戦場は上空。かなり厳しいミッションになるね。だけど、オレたちがやんなくっちゃいけない」
プルトン人の1人乗りUFOを上手く使うか、自分が飛行能力をもっているならそれで戦うか。上手いこと工夫しながら戦わなくてはならない。
「とはいえ、敵にも弱店がある。スゲーデカくてパワーもあるんだけど、そのかわり小回りがきかないんだ。上手く立ち回れば優位に立てるはずだよ」
説明は以上だ。救助は天井を仰いだ。
「やることのおさらいね。プルトン星人のUFOでラグランジュポイントを目指す。そしたら敵が待ち構えてるので、空中戦でやっつける。以上。こう言っちゃえばシンプルだね」
ほかにもう質問はないね?救助は最後に確認をとると、グリモアを輝かせるのであった。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
戦乱に乗じ、侵略活動を続けさせていただきます。よろしくお願いします。
このシナリオにはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
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プレイングボーナス……華麗な空中戦を展開する(UFOは使わなくても可)。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「アースクライシス2019」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
第1章 ボス戦
『マガツアレス』
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POW : 王邪ノ風
【結晶剣『アレスフィア』から放たれる念動波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を汚して悍ましい黒色飛蝗の眷属を解き放ち】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 放ツ狂風
【内蔵された変異念動増幅器『賢王の宝石』】から【都合の悪い事象を覆す冒涜的な波動】を放ち、【邪神『第七の飛蝗』の名状し難い恐怖】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 禍ツ竜巻
全身を【触れると意識を乗っ取られる邪神の気配】で覆い、自身の【星すら震わす念動力と卓越した宇宙剣技】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠虻須・志郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ガーネット・グレイローズ
宇宙文明か。私の住むスペースシップワールドにも
未知の生命が存在する可能性もあるかもしれないな
で、20メートルの敵だったか?
悪いがそんなサイズの敵とは戦い慣れてるんだよ
<メカニック>知識でUFOの性能と装備を確認。攻撃機能があれば活用
【ブレイカーシップ・ブレイブナイツ】を使い、自律式宇宙船を
58隻召喚。冒涜的な波動のタイミングを<第六感>で予知して見切る
アクロバティックに<操縦>し、機体を素早く旋回させて死角に回ったり
宇宙船を囮役にするなどして的を絞らせない。
首の後ろは外骨格で保護されているか。なら、触角と眼を狙い
まずは感覚器官を潰す!
<空中戦><援護射撃>で搭載されたビーム兵器を発射
フィランサ・ロセウス
空は飛べないから、UFOを借りるわ
エリア51で何度も乗ったし、操縦の仕方もバッチリ覚えたわ!
ともかくどんなに大きくても、人の形をしているなら死角と体を動かせる範囲はそう変わらないはずよ
横や後ろ、手足が届きにくい範囲を飛んで撹乱しながら攻撃するわ
更にUCで鉄格子の迷宮に閉じ込めてしまえば、折角の飛翔能力も活かせなくできそうね
だけど、味方の動きを邪魔するなら使わない方がいいかしら?
邪神の気配は【狂気耐性】【呪詛耐性】である程度は軽減出来そう
それじゃあ、大きな花火をあげましょうか♥️
イヴ・シュプリーム
心情:20m……? 宇宙戦艦よりや外宇宙生命体より小さいのなら……十分対処は可能ね……
それに……陸も海も空も……そして宇宙でも……『魔導士』に活動できない場所は無いわ……
戦術:【空中浮遊】と【空中戦】にて単身飛行。
まずは体格差を活かして飛び回って【フェイント】を行い、大振りな攻撃を【おびき寄せ】ます
その隙を【見切り】、選択UCにて一気に肉薄。【全力魔法】での<魔導レーザー>の【一斉発射】を放ちます
防御については【狂気耐性】の他に、<魔眼>と<魔法:精神操作>を利用した【精神攻撃】により、念動増幅器の効果を低下させることを狙います
「……大きいだけでは……無意味、よ……?」
(アドリブ等可)
アリシア・マクリントック
重力下での空間戦闘……私は飛べないのでUFOを使うことになりますね。初めての経験ですが、がんばります!
大きさの差もそうですが、こちらの操縦技術も未熟……であれば戦術はシンプルに行きましょう。ヒット&アウェイです。
相手の体の近くをかすめるように真っすぐ飛んで、すれ違いざまに攻撃して離脱です!体の構造上反撃しにくいのは首元、足の付根あたりでしょうか。そこが狙い目ですね。
当然戦いながら敵の観察も続けて、狙いやすい場所や弱点を探ります。
無傷で戦い続けるのは不可能ですから、戦闘継続が困難になったら弱点か首元に向かってUFOを突撃させて最接近したところで降りて変身!ティターニアアーマーの拳を叩きつけます!
『来たか、猟兵ども』
光さす空。雲海を遥か下方に見下ろす成層圏。空と宙の狭間で、それは待ち受けていた。
マガツアレス。
その身に邪神を宿せし異形の戦騎は、その背に開いた二対の翅で宙を舞う。
『我は災い。我は凶兆。我は汝らに終焉を告げる者』
君臨せしその巨躯は、光の道を進む猟兵たちのUFOを見下ろした。そして、ぎち、と音を鳴らして刃を構える。
『汝らの道は、既に途絶えた』
見下ろすオブリビオンは嘲笑うように二対の翅を震わせた。
『滅びには抗えぬ』
念動!思念波が物理的な衝撃を伴って周囲の空域に放たれる。巨大さに見合った破格の威力だ。衝撃が猟兵たちを襲う!
「なるほど、サイズはなかなかのようだ」
ガーネット・グレイローズ(f01964)は機体を旋回させ回避機動をとる。乗機のスペックは事前に確認済みだ。操縦桿がどれほどセンシティブに反応するか。旋回性能、機動性、加速力と最高速度。ガーネットはそのUFOにできうる最高速度で反応し、思念波を躱した。
「しかしね。悪いが、その程度の敵とは戦い慣れてるんだよ」
「宇宙戦艦や外宇宙生命体より小さいのなら……十分対処は可能ね……」
イヴ・シュプリーム(f13592)がガーネットの機体の影から姿を見せた。魔術とサイキックを行使する彼女は念動力による単独での飛行が可能だ。ガーネットに並ぶように宙を駆ける。
彼女たちの故郷であるスペースシップワールドにおいて、20メートル級といえば中型クラスの機動兵器に相当する。200メートル級の戦艦が撃ち合う艦隊戦や、小惑星級のクエーサービーストとの戦闘を繰り広げているスペースシップワールド出身者にとっては20メートルサイズなど彼女たちの常識に照らせばむしろ小さいくらいだ。恐れるには足らない。
「ともかくどんなに大きくても、人の形をしているなら死角と体を動かせる範囲はそう変わらないはずよ」
「はい、私も同感です」
「意見が合うわね❤️」
「ええと……」
フィランサ・ロセウス(f16445)とアリシア・マクリントック(f01607)はそれぞれ1機ずつUFOを駆り、戦闘空域へと到達した。モニターに映し出される敵の姿を見据える。
「と、とにかく、がんばりましょう!」
「今日はマリアちゃんはいないの?」
「残念ですがお留守番です。1人乗りでしたから……」
『黙れ』
マガツアレスの身体に力が滾る。邪神の力だ。瘴気めいて黒く揺らめくオーラを手にした剣に収束させ、指向性をもって放つ!
「来たわ!躱すわよ!」
「は、はい!」
2人はUFOの操縦桿を押し込んで黒い波動から逃れる。直撃を受けていたらUFOはたちまち落とされていただろう。長引かせれば不利だ。彼女たちはあらためて戦闘態勢に入った!
「そっちの2人。仲良しはいいが、しっかり頼むぞ」
「油断、禁物……」
「わかっていますよ。油断はしません!」
「大丈夫よ!操縦の仕方もバッチリだもの!」
4人は広域回線で通信を送り合いつつ、反撃へと転じる。まずガーネットは空へとサインを送った。【ブレイカーシップ・ブレイブナイツ】。彼女の指示に従い、戦域へと飛来する機影の群れ。50隻を越える自律型無人戦闘スペースシップである。
「光もたらす我が英雄騎士団よ。全機に通達する」
ガーネットは彼らに通信を送る。攻撃指令、対象は大型オブリビオン。
「撃滅せよ」
短い号令と共に、展開した騎士たちは光の剣を抜き放つ。即ち、主砲ビームカノンの一斉射である。
『無駄だ』
マガツアレスの外殻表面で光が弾ける。しかし、その身に纏う邪神の瘴気がその威力を減衰させていたのだ。
「さすがに強敵のようですね……!」
「恋は1日にしてならずよ。アプローチは焦らずじっくり、ね❤️」
無人艦隊のビーム砲撃を目眩しに、アリシアの機体がマガツアレスの首筋を掠める。フィランサもまた敵の眼前をすり抜けるように駆け抜けてから、股下に潜り込み更に上昇。惑わすように背面へと回り込んだ。
『小癪な……!』
念動!空気が震える。瘴気が染み出す。マガツアレスは迎撃すべく思念波を練る!
「……大きいだけでは……無意味、よ……?」
『なに……!』
PSY!強力な念波がそれにぶつけられる!イヴだ。彼女は魔導士であるとともに強力なサイキッカーである。その精神感応波の出力は物理的干渉を引き起こすまで可能なほどだ。その念がオブリビオンの思念波と打ち消し合い、相殺したのである。
「どこを見ている」
戸惑うマガツアレスへと更に自律艦隊のビーム射撃が襲いかかる。しかし、敵は念動力を高めオーラ防壁を形成し遮った。だが、それもまた注意を引くためのフェイントに過ぎない!
「五感を潰させてもらう!」
ガーネットは巧みな機動で敵の後頭部から眼前まで回り込み、火器管制システムを起動。UFO搭載のラグランジュ・ポイント文明に由来するビーム兵器を頭部の目と触角めがけて発射した!
『ヌウウーッ!』
爆ぜる!火花を散らしながらマガツアレスは身をよじった。破壊には至らなかったものの、かなりの打撃になったのは間違いない。
「威力は上等だな。……これが宇宙文明か」
この機体を作り上げたラグランジュ・ポイントの技術力はなかなかのものだ。ガーネットは感心するとともに、故郷の世界へと想いを馳せる。スペースシップワールドにも、このような未知の文明が存在するのだろうか。
『お、のれ……猟兵どもめ』
「なるほど、あれが弱点ですか」
頭部の感覚器官――なるほど。頭を潰せば、とはよく言ったものである。アリシアは思案した。
「行く?」
フィランサは一度息を吸い込んで精神を集中させる。操縦席の中で、纏う空気が熱を帯びた。ユーベルコードが励起する。
「はい、行きます」
「それじゃあわたしもいっしょにいくわ☆ 大きな花火を上げましょうか❤️」
【愛の監獄迷宮/ラビュリントゥム・アモーリス・カルケレム】!虚空を貫き無より生み出される鉄格子!複雑に絡み合いながら現れる愛の監獄は戦場全域を閉ざすように包みこむ。
「よいしょっ!」
フィランサは機体から降りると鉄格子を蹴ってアリシアのもとへ走った。コクピットハッチを開いたアリシアの手を引き、そして再び走り出す。
「足場というわけですね……助かります!」
飛行能力を持たず、また、UFOよりも自分で戦った方が強いアリシアにとってこれは有用であった。フィランサはぱちりとウインクを返しながら監獄迷宮の支配権限で鉄格子を開き、アリシアを連れてまっすぐ敵の頭部を目指す。
『このようなもので、我が身を縛ったつもりか……!』
【禍ツ竜巻】!マガツアレスの纏う瘴気が膨れ上がった。それは異界の邪神の気配である。触れればその精神を犯す。
「あれは……!」
「だいじょうぶ。安心して」
しかして、フィランサは構わず走った。フックシューターを射出し、マガツアレスの頭部に引っ掛けると一気に接近し、取り付く!
「わたしが破壊(あい)してあげる❤️」
ポケットから玄翁とバールのようなものを引っ張り出す。D.I.Y!そして邪神の気配にも構わず迫り、甲殻に覆われた中では比較的やわらかな眼球めがけて叩きつけた!
『グオ……蛮勇め……!』
しかし、不用意に接近したフィランサに邪神の瘴気がまとわりつく。まとわりつく。まとわりつく。まとわりつく。ぶうん。まとわりつく虫の声。まとわりつく虫の声。まとわりつく虫の声。まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声。まとわりつく虫の声。精神に染み入り、壊し、意識を支配する邪神の指先がフィランサの内的宇宙へ忍び寄り――
「そういうのはもっと先に進んでからよ❤️」
フィランサはガン無視してブン殴った。
彼女は狂っていた。ハナからである。
『あり得ぬ……!』
マガツアレスに動揺が走る。『狂わせた』ことはあっても、『狂ってる奴に襲われた』経験はない。それは彼にとって久しく感じる感情であった。纏う邪神の気配が散る。
「今よ!」
「はい!」
その一瞬にアリシアは走る!その腰でベルトが輝いた。セイバークロス!蒼白の光が彼女を包み込み鎧を形成する!
「ティターニア!」
二段変身!更にコマンドワードに呼応して展開するのは重装形態ティターニアアーマーだ。威力は折り紙つきである。
「受けよ、巨人の一撃!」
【スター・ブレイカー】!フィランサの開いた道を一気に走り、その拳を叩きつける!轟音!硬質な体組織が砕け散る音!
『グア……!』
四つの赤い瞳のうちのひとつが、叩き潰された。さしもの巨大オブリビオンも、到底無視できないダメージである!
「下がりましょう。手負いの敵は危険です」
「おっけー!」
2人はリスクを避けてすぐさま後退!監獄迷宮を崩しながら、再びUFOに戻る。
『我に傷をつけて……これで済むと思うか……!』
激昂!残る三つの瞳を怒りに赤く光らせながらマガツアレスは反撃の構えに出る。腹部に埋め込まれた念動増幅器、賢王の石が鈍く輝く。
「駄目よ……そうされると、困るもの……」
だが、再びそれを打ち消す精神感応波。イヴが再び力を行使する。
『貴様……!なんなのだ、この力……いったい、何者だ!」
「『魔導士』、よ」
イヴは飛んだ。崩れ落ちる鉄格子の残骸をすり抜けながら更に加速。【刻ヲ駆ケル魔導ノ翼/アクセラレイト・ウィング】。
「そして……陸も海も空も……そして宇宙でも……『魔導士』に活動できない場所は無いわ……」
光の翼を開きながら、爆発的な速度で空を駆け、オブリビオンの眼前へ。かと思えば側面。背面。再び目の前へと現れる。分身で包囲するようにマガツアレスを惑わした。
『なに……!』
「後悔しても……遅い、からね……」
そして、閃光。空中に無数の魔法陣が展開する。オブリビオンを捕らえる檻のように広がった無数の陣は、更に光を放ち青白く魔法の光を放った。魔導レーザーの一斉射!
『馬鹿な……!』
膨大な光が押し潰すようにマガツアレスへと殺到する。爆轟めいて弾ける光。イヴは光を背にして距離をとった。
『我を、これほどまで手こずらせるとは……』
しかして、光が晴れた中にその姿は健在である。間違いなく甚大なダメージを与えられてこそいるものの、まだ致命傷には至らない。
「しぶといわね……」
「問題ない。このまま押し切れる」
「それじゃあ、もーっと破壊(あい)していいのね!」
「ええと……はい!いいですよ!」
猟兵たちは態勢を整えながら、再び敵の姿に向き合う。
高度数千メートルにおけるビームハイウェイでの戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
成功
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トリテレイア・ゼロナイン
どうやってあの巨体を浮遊させているのか…
いえ、重要なのはどうやって巨体の攻撃を掻い潜り打ち倒すかですね
天への階を掛ける為、巨人退治と参りましょう
UCの飛翔能力で接近しますが、剣から放たれる念動波は厄介
腕の動きから攻撃範囲を●見切り回避しセンサーでの●情報収集で飛蝗の眷属の追撃を躱しながら格納銃器での●スナイパー●武器落としで迎撃しても手詰まりですし…
敵の直上に向けこれ見よがしに急速上昇
当然、敵は予測上昇位置に攻撃して阻止して来る筈
その際に装甲を展開しスラスターをオフ
急上昇から急降下で敵の攻撃を躱し、攻撃直後で小回りの利かない敵に向けて再加速
●怪力のシールドバッシュをお見舞いしてやりましょう
甲斐・ツカサ
いざ翔け上がれ、宇宙へ!
ロケット型UFOで一気に上空へ!
攻撃されれば"Ray-GuSTAR"射出!
それも撃墜されるなら、オレが飛び出すだけさ!
むしろ、それからが本番!
ワイヤーを引っ掛け、"Syl-Field"から放った空気を足場に、風の外套から放つ圧縮空気の勢いを利用して…オレには空を駆ける手段が幾らでもある!
むしろ、的が小さくなる分、戦いやすいよ!
遥か上空の風を受けたオレは気分最高、星空見上げて勇気百倍!
恐怖なにそれ美味しいの?
頭上を取れば、それは都合が悪いよね。
つまりオレは落下する。
その勢いでブッタ斬る!
ジューリョクカソクドだ!!
ひとまず宇宙とはお別れ、でもすぐに行くから待ってろよ!!
ヴィクティム・ウィンターミュート
──オイオイ、デカけりゃ強いとか言い出すのか?
分かってねーな
強さってのは"対応力"なんだよ
あらゆるものに弱点はある
──では、ラン(実証)だ
パクったUFOを【ハッキング】、出力オーバーロード
高速操縦でターゲットの側面や背面に回り込むように移動し、身を乗り出して──右腕の仕込みクロスボウを展開、ボルトを射出
向こうの波動は予備動作を【見切り】、範囲外へ逃げよう
これをひたすらに繰り返す
…サイズがデカいなら耐久力も高いだろう
この程度じゃ碌なダメージにもならんが…
"エクスプロシヴ・ボルト"
任意で起爆できる、爆発性のボルトだ
今までお前に突き刺した分、全部起爆してやる
さらにダメ押し、『Dead Mark』だ
アララギ・イチイ
ふむ、空中戦かぁ
楽しそうだわねぇ♪
翼を広げ、【空中戦】技能で補正して飛行するわぁ
同時に航空兵装と戦闘人形を【武器改造】で合体させて、護衛機としてホーミングレーザーの【誘導弾】と、電磁投射砲の【スナイパー】で私を【援護射撃】させるわぁ
私自身は【念動力】で操作した複数のチェーンガンで【乱れ撃ち】の【制圧射撃・範囲攻撃】で攻撃を加えつつ、敵からの距離を維持して敵の攻撃を【見切り】、【早業】の【ダッシュ】で緊急回避するわぁ
まぁ、上記の行動は【時間稼ぎ】なんだけどぉ
その間、【選択UC】で発動したサターンⅤロケットを敵に目掛けて打ち上げて、そのまま燃料を満載した質量爆弾として敵に突っ込ませるわぁ
『おおおおおおお』
咆哮。ビームハイウェイの光差す空域に、オブリビオンの声が木霊する。
「あんな翅だけであの巨体を浮遊させているのですか……」
トリテレイア・ゼロナイン(f04141)は【全サ連メカニック班謹製追加機動装甲】を展開し、戦場である成層圏空域へと到達していた。装甲に付随するスラスターの出力で姿勢を維持しながら戦闘態勢へと移行を開始する。
「あのサイズの敵と空中戦かぁ……楽しそうだわねぇ♪」
翼をはためかせる音。アララギ・イチイ(f05751)である。彼女もまた自身の翼で戦闘空域へと飛び込んだ。
《システム起動》
《空戦機動プログラム、正常に作動しました》
彼女に随伴するのは2機の自律型戦闘人形フギンとムニンである。事前に航空戦闘用の兵装を装備させ、空戦用のチューニングを済ませている。彼女にとっては心強い味方であった。
「いざ駆け上がれッ!」
轟速!雲間を裂いて突っ走る機影!甲斐・ツカサ(f04788)はUFOの操縦桿を押し込みフルスロットルで上空へと到達すると、モニターに敵の姿を捉える。
「なるほど、随分とデカいじゃねーか」
ヴィクティム・ウィンターミュート(f01172)もまた空域に到達する。システムをクラックしてリミッターをカットした過剰出力で機体を操り、ヴィクティムは更に高度を上げた。
『猟兵どもめが……!汝らは既に終焉を迎えているのだ。我を滅ぼすことはできぬ』
猟兵たちへ向けて敵意を示すマガツアレスは、その身に邪悪の力を纏う。
「──オイオイ、デカけりゃ強いとか言い出すのか?……分かってねーな」
「だね。力がすごいってだけで勝てると思ってるなら……」
「はい。それが誤りであることを教えて差し上げましょう」
「いいわよぉ。それじゃ、始めるわねぇ♪」
《Ready》
翼を翻しながら、2機の戦闘人形を従えてアララギが飛ぶ。亜空間ストレージへとアクセスし、虚空から引き抜くように12.8mmチェーンガンを現出させる。その数8挺。念動力によって保持し、巨大オブリビオンへと急襲する!斉射!
『蚊蜻蛉が!』
しかしてマガツアレスは強烈な思念波を放ち、邪悪の気配を纏う!手にせし結晶剣に刻まれし銘はアレスフィア。強力な念動波を放った!弾丸の威力を削ぐ壁となり、更にチェーンガンを繰るアララギの念動力と打ち合う!8挺のうちひとつが撃ち落とされた。
「流石の威力……重要なのはどうやって掻い潜り、打ち倒すか、ですね」
トリテレイアは思案する。手持ちの火器をただ撃つだけではパワー不足が否めない、と彼は判断した。
「いいや、イケるさ。……強さってのは"対応力"なんだよ。あらゆるものに弱点はある」
ヴィクティムはUFOのコクピットハッチを開き、半ば身を乗り出しながら浮かぶ敵の姿を視認した。サイバーアイ・『バロール』の瞳が情報を収集し、電脳が分析する。
「作戦があるんだね?」
ツカサのUFOがその横を通過した。広域回線で通信を送り、「先に行くよ」と伝える。
「オレとあっちのおねえさんで敵の目を引きつけるよ。作戦は任せた!」
「こっちも奥の手を用意してあるわよぉ。それじゃ、二面作戦といきましょうか♪」
「了解だ。始めていくぜ──では、ラン(実証)だ」
「はい!天への階を掛ける為、巨人退治と参りましょう!」
『小賢しいッ!汝ら弱き者どもが……!』
マガツアレスは剣を掲げ念動波を放つ!4人は散会してそれを躱しながら再び戦闘機動へと移った。まず飛び出したのはツカサだ。UFOを急加速させ、搭載したビーム砲塔で攻撃を仕掛ける。
「頭が弱点なのは、さっき見てたからね!」
『我を侮るな!』
だが、マガツアレスは咆哮する。念動増幅器によって練り上げた念動衝撃波が指向性をもってツカサを襲った!躱しきれない!機体に強烈な衝撃が走り、たちまち航行不能にされる──だが!
「いくよ、Ray-GuSTAR!」
黒銀が空を駆ける!外装をパージするようにUFOの中から飛び出したのはツカサの愛機レイガスターだ!【悠久の蒼穹呼ぶ風の外套/ファーマメント・マント】で風に乗る。成層圏の風を受ける翼が空を駆けた。
『ふざけた真似を……。もう一度撃ち落として』
「はいはーい。こっちも忘れないでほしいわぁ?」
《攻撃指令を受諾》
《強襲開始》
再びツカサに視線を向けるマガツアレスへとアララギが再度仕掛けた。
「いかにあなたが強大であろうと、我々は決して屈しません!」
更にトリテレイアが両肩・両腕の砲門を展開し援護する。爆轟!甲殻の表面で爆ぜる弾頭。しかし、オブリビオンは揺るがない。
『愚かな……!』
しかして、ダメージは決してゼロではないのだ。痛痒を不快とし、マガツアレスは3人を排除するべく視線を向ける。
それを目眩しにするように、ヴィクティムが機体を加速させ接敵する。死角である後腰部へと忍び寄った。
「サイズがデカいなら耐久力も高いだろう」
火砲と念動衝撃波が交錯し、高層の風吹き荒れる戦場の只中にあっても、彼の電脳は冷静に演算する。機体から身を乗り出したヴィクティムは、右腕に搭載したサイバネ機器からクロスボウを展開する。矢に乗せてボルトを射出。甲殻を砕き、突き立てる。
「これひとつ刺さった程度じゃ痛くも痒くもないんだろうな」
だが、それがその身を滅ぼすのだ。ヴィクティムはそうして更に機動。次は背面。次は後頭部。味方が敵の注意を引いているうちは楽なものだ。『仕込み』は上々である。
「そろそろだ。チェックをかけるぞ」
「了解しました」
「OK!」
「それじゃ、こっちもいくわねぇ♪」
『何を──』
「"エクスプロシヴ・ボルト"」
ヴィクティムは口の端を吊り上げる。
彼がクロスボウで敵に突き立てたボルトはその全てが爆発性である。猟兵たちが敵の意識を引いている間に、彼はそれこそ無数のボルトを仕掛けていたのだ。
爆轟。
それが一斉に起爆した。それは装甲を砕き、突き立てたボルトの数だけ傷を刻む。
『ヌウウーッ!』
「では、こちらも仕掛けましょう!」
「オレもいくよ!」
更にトリテレイアとツカサが更に上方へと駆け上がる。そして2人はそれぞれに武具を構えた。
『グ、オ……!小癪な……!』
炎を振り払いながら、マガツアレスは呻き、そして見上げる。弱き者どもめ!どこまでも我に刃向かうとは!殺意を込めた意志を思念波として放とうとした、その時である。
「そろそろねぇ」
『……ムウ!?』
下方より、急速で迫る物体がある。
それはかつて、宇宙へと至る夢を描いた歴史の再現だ。米軍基地設備を利用した射出した宇宙ロケット。それこそが【追加装備 アポロ・ザ・リメンバー】。アララギの準備していた奥の手である。
『このようながらくたで、この我を……!』
それを見下ろしたマガツアレスは剣を振る。念動衝撃波を伴う剣閃がロケットを迎撃する。しかし、それもアララギの計算のうちだ。
「可燃性の燃料をねぇ、たっぷり積んでおいたのよぉ」
『な……!』
即ち、それそのものが巨大な爆弾のようなものである。
爆散するロケットが燃え上がり、オブリビオンを包んだ。
「見下ろせばでっかい花火。上を見れば星の海。……いー気分だね。最高!」
上空で姿勢制御するツカサはその手に蒼く輝く剣を握る。AZ-Light。膨れ上がる冒険心が、その刃を力強く輝かせた。
「雲が流れる青き空。星が瞬く黒き宙……美しい光景です」
『猟兵どもオオオオオオオオッ!!』
爆炎の中から翅を震わせ飛び出すマガツアレスが、上昇しながら2人へと追い縋る!
「これを守るのが、我々の使命!」
トリテレイアは不意にブースターの出力をゼロにした。重力に従い自由落下。仕掛けようとしていた敵の不意を突き、マガツアレスの下方へと回り込む!
『なに……!!』
「こっちも忘れないでくれよ!ジューリョクカソクドだ!!」
『しまっ……!』
上方のツカサ。下方のトリテレイア。どちらを叩くか逡巡したその一瞬は致命的な隙となった。レイガスターのシートを蹴る。重力によって加速し、更に風を纏ったツカサが蒼く輝く剣を以って、邪悪の化身へと強烈な刃を刻んだ!
「ブースト!」
そして、トリテレイアはスラスターを噴かす。回り込んだ下方より見上げる先。刃を受け、もがくマガツアレスへと。前面に構える重質量の大型シールド!重量級のその躯体が砲弾めいて加速する!
「この加速度……!流石の全世界サイボーグ連盟メカニック班の技術力、良い仕事ぶりです!」
そして、激突!
『グオアアアアアアアア……!』
衝撃が巨大オブリビオンの全身を貫いた!甚大なダメージにさしものマガツアレスも悲鳴をあげる!
『馬鹿な……!わ、我が、我がこれほどまで追い詰められるだと……!?』
落下しかけた身体はそこかしこが悲鳴をあげている。しかし、マガツアレスは瞳を赤く光らせた。まだだ。まだ終わってはいない。執念がその翅に力を取り戻させる。
……まだ、致命傷ではない!
『オオオオオオオオオオオオオオ!!』
《敵エネルギー反応、増大》
《一時後退を推奨》
「同感だ。こっちも機体のエネルギーが無え」
「こちらも厳しい状況です」
「そうねぇ、ここまでやれば十分かしらぁ……?」
「わかった、なら一旦お別れだね」
ツカサはほんの少し名残惜しく、成層圏の先に広がる宇宙を見る。
「……でも、すぐに行くから待ってろよ!」
こうして、二度目の交錯もまた猟兵たちの優位に終わる。
この戦闘空域における戦いは、収束に向かいつつあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
虻須・志郎
ユーノ(f06261)と
こんな所に居やがったか七番目……
しかも随分デカくなりやがって、いいぜ
クライマックスにゃ相応しい!
ユーノのクルセイダーに同乗し
後に訴えられない様姿勢には気を付け
戦闘空域に到達したら離れる
ユーノがばら撒く武装や
空域に漂う残骸に対して
内蔵無限紡績兵装で生成したワイヤーを引っかけ
ロープワークで三次元戦闘を試みる
同時に機神覚醒――機能拡張した代償の流血を
王者の石で吸い取って冒涜的な波動に対抗する
俺も持ってんだよ! 王者の石を最大稼働
その呪詛や狂気に耐える覚悟はある
ワイヤーの不規則な軌道で攻撃を躱しつつ
部位破壊、賢王の宝石がある腹部へ
捨て身で殴りかかってその生命を喰らい尽くしてやる
ユーノ・ディエール
志郎(f00103)と
騎乗したクルセイダーにブースターを付け後ろに志郎を乗せる
飛ばしますからね、振り落とされない様に!
敵は巨大怪人……なだけじゃない
あの剣の結晶は私の物と、同じ?
成れの果てとでも言うのですか――だとしても!
エンゲージ! 志郎、奴は小回りが利きません
私の武装を広域展開し引き付けます
その隙に喰らわせて下さい!
武装コンテナである鎧装、対艦突撃槍、二振りの大刀
更にクルセイダーと、全武装を増幅した念動力で遠隔操作
群がる飛蝗の群を押し退け奴の目の前を飛び回り
攻撃の的を定めさせません
私自身も念動力と空中戦の要領で
敵の攻撃を引き付けて躱しつつ隙を探ります
本命はデスワーム……今です、喰らいつけ!
エダ・サルファー
私らはこれからもっと高いとこまで行かなきゃならないんだよ。
こんな途中で立ち止まってられないんだ。
だから、そこ、どいてもらおうか!
高い空の上でデカいオブリビオン退治!
ならば巨人式の出番だな!
デカさは強さだが、強さはデカさと限らないんだぜ?
近くでUFOから飛び出して、出来る限りの速度をつけてぶん殴ってやる!
しかしこいつ、剣士っぽい風貌だけど遠隔攻撃もこなすみたいだな。
とすれば距離を置いてヒットアンドアウェイをやるよりも、体格差を利用して至近距離を飛び回った方が嫌がりそうかな?
うん、近くで攻撃を避けつつ、隙を見て殴ったり蹴ったりしていこう!
飛行速度は出来るだけ緩めず、撹乱するように飛び回ってやるぜ!
神羅・アマミ
UFOに乗せられデカブツと華麗な空中戦を演じろとはまた無茶を申すものよ。
しかし為せば成る、成さねばならぬ何事も!
狙うべきは増幅器とやら。
奴の何処に内蔵されておるのか発動時のサイン…例えば一部から光を発してくれるとかが楽なんじゃけど…等から探らねば。
それまではコード『操演』にて蜘蛛型ドローンのオクタビアスくんと共にスキャン&サーチしつつ、攻撃すると見せかけのらりくらり回避に専念!
目星がつけば、奴の波動にあてられた時おとなしく「や~ら~れ~た~」とか言いながら錐揉で落下しつつドローンを投擲!
20mもあるなら敵本体へ取り付いた後、装甲の隙間から潜り込めるじゃろ。
そこから増幅器へ一刺しを狙ってもらう!
『我が、力……未だ……!』
瘴気が、空を満たす。
膨れ上がる邪神の力が戦域に再び満ちる。
『猟兵……イェー、ガー、どもおおおお!!』
強大な圧力!放たれるプレッシャーが大気を震わせた。
「こんな所に居やがったか、七番目……!」
虻須・志郎(f00103)はその少し下方より、戦騎の姿を見上げた。
「志郎!飛ばしますからね、振り落とされない様にしてください」
ユーノ・ディエール(f06261)が駆る機体、ディアブロクルセイダーの後部に志郎はタンデムしていた。後に訴えられないように、慎重に注意を払ってしがみつく。
「ああ。わかってる!しかし奴め、随分デカくなりやがって……いいぜ、クライマックスにゃ相応しい!」
『貴様――なんだと。貴様、“蜘蛛”か!何故ここに!』
「志郎、戦闘圏内です。手筈通り!」
「ああ!」
ユーノのディアブロクルセイダーは加速しながら成層圏を駆け抜け、敵を射程圏へと収める。志郎はシートを蹴立てて空中へと飛び出した。
「はー。こんなもんに乗せられ成層圏まで行かされて、しかもあんなデカブツと華麗な空中戦を演じろとは。また無茶を申すものよ」
「とか言っちゃって、案外楽しんでるんじゃない?」
その一方で、更に空域へと2機のUFOが突入する。神羅・アマミ(f00889)とエダ・サルファー(f05398)である。
「多少はの!ではゆくぞー!為せば成る、成さねばならぬ何事も!」
「成さぬは人の成さぬなり、だったっけ!」
「うむ。故に妾は為す!」
アマミの機体の上部には、【操演】のユーベルコードによって招聘された蜘蛛型ドローン・オクタビアスくんが鎮座している。オクタビアスくんは搭載された多くのセンサーとスキャナーによって敵の情報をサーチし、リアルタイムで術的反応やエネルギー量の増減を感知しているのである。
「奴のパワーの源を探らねばな」
あれほどの巨体を浮かべ続けるには、かなりのサイキックエネルギーが使われているはずだ。目星をつめたアマミは敵の弱点でもあるその部位を探る。
『小賢しい……!』
マガツアレスは戦域に突入した4人の猟兵たちの姿を捉える。ぶうん。翅を震わし、剣を掲げた。その切っ先で大気が揺らぐ。結晶剣アレスフィア。念動力と同調する剣が振動し、念動思念波を放つ。
「く、ッ……!」
ユーノは機体を操り、攻撃を躱しながらマガツアレスを仰いだ。その剣の輝きに目を奪われる。
「あの剣の結晶……!」
青白く光る結晶の刀身。それは彼女のもつサイキックコアと同質の念動増幅制御器官だ。
「……成れの果てとでも言うのですか――だとしても!」
私は――そうは、なりはしない!決意と共にユーノは機体の出力を上昇させ加速する!
「志郎!武装を展開します!」
「ああ!」
ユーノはディアブロクルセイダーに装着した鎧装クリスタライドブースターをパージ!そこから更に突撃盾槍インペリアルデトネイター、及び分離型大太刀スピリットオブスティールのふた振りが展開!念動!ユーノはそれらの武装全てに意思力を行き渡らせ、ビットめいて空中に機動させる。
「さあ、やろうじゃねえか!」
内蔵した無限紡績兵装はワイヤーを生成し、志郎はセスジアカムネグモのバルーニングめいて伸ばしたワイヤーをクリスタライドブースターに引っ掛け、空中での足場を得る。巧みな体捌きで勢いをつけ、機動!
『猟兵どもオオオッ!貴様ら、1人残らず叩き落としてくれる!』
「させないよ!私らはこれからもっと高いとこまで行かなきゃならないのさ!」
そして側面からはエダとアマミが接近する!
「そうじゃぞー!妾も宇宙から星を見下ろしてな、『見よ、人がゴミのようじゃ!』と……」
『ふざけるなッ!』
ぶうん。羽音とともに旋回しながらマガツアレスは切っ先を振るい、瘴気を放つ!
【王邪ノ風】!しかしそれは猟兵たちを狙ったものではない。その邪気は成層圏の雲を包み込みそしてそれを漆黒へと変じた。おぞましき黒は羽音を鳴らし、そして災いとなって顕現する!黒色飛蝗!マガツアレスが身に宿す邪神の眷属たちだ!
「出してきやがったか……!」
ワイヤー機動しながら志郎は振り返り、文字通りに雲霞の如く広がって襲い来る飛蝗の眷属を見遣った。
「こちらは任せてください!」
だが、それに向けてユーノは飛ぶ。そしてハンドサインめいて手を動かせば、虚空より異形がまろび出る。
《ぐもももも》
「なんじゃあれ!?」
『なんだあの化け物は!?』
「うわあ、すごいの出て来たね……」
轟音!ユーノの念動力によって雲海に暴れるその姿こそ、虚無モンゴリアンデスワームである!スペースシップワールド原産の宇宙モンゴリアンデスワームの亜種であり、あまねく存在を飲み込み虚無へと還すのだという。ユーノによく懐いた虚無モンゴリアンデスワームは咆哮をあげながら暗黒飛蝗の群れへと襲いかかり、その群体をまとめて喰い千切る!
『なんだ、あれは……!我の知らぬ神の眷属か!』
「いや絶対違うじゃろ」
「驚いてるうちにぶん殴っちゃおうか。アマミ、私は先に行くよ!」
虚無モンゴリアンデスワームの活躍にオブリビオンが動揺したその間隙。コクピットハッチを開いたエダが機体を蹴って空中へと飛び出す!【奥義・巨人式】!裂帛の気合がエダのドワーフちからを呼び起こす。ドワーフちからの発現は巨大な拳のカタチを取ると同時に、その身を覆う不可視の力場が身体を支え空中での機動を可能としているのだ。
「やあッ!!」
『ヌオ……!』
高速!弾頭めいて急加速し、エダはマガツアレスへと激突を見舞う!加速の勢いを乗せた巨拳の一撃!インパクト!顔面に強打をくらい、オブリビオンの巨体が揺らいだ!
『おの、れ……!おのれ!猟兵ども……それに、“蜘蛛”めが!』
呪詛めいた呻き声!マガツアレスは態勢を立て直しながら視線を巡らせ、志郎の姿をその視界に捉えた。
『貴様から息の根を止め、そして喰らってくれる……!』
【放ツ狂風】!邪神の気配が膨れ上がる。瘴気を纏うその姿は漆黒に染まり、そして念動力を強く練り上げた。
「む……!」
アマミのオクタビアスくんが信号を送る。敵の中枢と思しき念動増幅器官の位置を検知。強烈なサイキックを繰るマガツアレスのもつ膨大なエネルギーの渦の中心、即ち『賢王の宝石』は――その腹部である!
『死ね、“蜘蛛”……!』
そして収束した念の力を放射する!強烈な破壊衝撃を伴う邪神の侵蝕波動!
「グアーッすごい威力じゃー!や~ら~れ~た~!」
巻き込まれたアマミのUFOはたちまち航行不能!しかしてアマミは機体を飛び出しながら油断なく視線を向け、密かにオクタビアスくんに指示する。指令を受けたオクタビアスくんは落ちるUFOの機体を蹴飛ばし、マガツアレスへと跳んだ。
「ぐ、ッおおお……!」
その一方で邪神の力を浴びせられながら、志郎は歯をくいしばる。悪しき瘴気の圧力に潰されそうになりながらも、耐え切らんと力を込める。
「無機の知性と有機の心、邪なる骸を屠り、三界に異を唱えん……」
【機神覚醒】。虻須・志郎はその身に宿せしものを呼び起こす。その身に降りた邪神の力を。その電脳に宿る叡知を。そして、抗う人間としての意志を。
「“王者の石”よ!」
そして、宿せし輝石が光を放つ。念動増幅。爆ぜる力が瘴気を散らした。
『なに……!?』
「おおおおおおおおおおおッ!!」
ワイヤー射出!無限紡績兵装をマガツアレスの腹部甲殻へと引っ掛ける。すぐさまワイヤーを巻き取り、志郎は飛んだ!
『愚かな……!』
それを迎撃すべく、マガツアレスは剣を掲げる!その刃を志郎へと向けて振り下ろし――
「させないよッ!!」
剣持つその腕へ、横合いから拳が叩き付けられたッ!エダの巨人式である!
『ヌウ……!?』
「私たちは決して、1人ではありません……!」
《ぐもももも》
咆哮!更にマガツアレスへと襲い掛かるのは虚無モンゴリアンデスワームである!ユーノとともにマガツアレスへと急襲するモンゴリアンデスワームはその甲殻に食らいついた!
『賢しい……ッ!』
しかし、それを受けて尚マガツアレスは剣を振り抜く!剣圧!その暴風めいた力が志郎の軌道を乱した。ワイヤーがブレ、勢いが殺される。速度を失った身体は宙空に投げ出されたまま落下を始めた。
「づ、ッ……!」
「まだ終わっちゃおらんぞ!!」
錐揉み回転しながらの自由落下を続けるアマミは上方の戦況を見上げながら声を張り上げる!マガツアレスの体表へと取り付いていたオクタビアスくんの瞳が輝き、内蔵したワイヤーを射出!志郎の身体へと巻きつけ引き上げた!
「弱点はそこじゃぜー!」
『ヌオ……やめ、ろ……ッ!』
アマミは今日一番のドヤ顔で頭上に見えるオブリビオンの巨体の腹部を指し示す。同時にオクタビアスくん内蔵武装である牙がパイルバンカーめいてマガツアレスの甲殻を貫いた!
「ああ、わかってる!『賢王の宝石』……砕かせてもらう!これで終わりだ、“七番目”ッ!!」
オクタビアスくんに取り付きマガツアレスの腹部へと至った志郎は、その傷口へと向けて拳を叩きつける!
『やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!』
「その生命を……喰らい尽くしてやる!」
『王者の石』は鈍く光を放ち、オブリビオンの傷口よりその血を喰らう。命を吸う。20メートルの巨体が苦悶に呻き、その身体に蓄えられたエネルギーが急速に縮小!全身の甲殻がひび割れ、そしてその命は消えてゆく!
『猟、兵……!蜘蛛、……おおおおおおおッ!!』
「これで……」
「とどめです!」
そして最後に、エダの拳が。ユーノの盾槍が力を失ったマガツアレスへと激突する。
『グアアアアアーーーッ!!』
巨体を貫く衝撃。そしてその打突の勢いに弾かれた身体が雲海へと沈み――爆発!轟音と共に砕け散り、そして消滅する!
「おおおおおおお!」
「お疲れ様でした、志郎」
爆散したマガツアレスから投げ出された志郎を、ユーノがディアブロクルセイダーの騎上で受け止める。人形のようにだらりと力を抜いた志郎は、しかして親指を立てながら格好をつけて笑んでみせた。
「おっと、危ない!こっちも拾わないと!」
「うむ!拾ってくれると思うておった!」
一方、エダは急降下してアマミとオクタビアスくんを回収する。
――なにはともあれ。こうして、成層圏での戦いのうち一つが収束し、そして1人の猟兵がひとつの宿業を断ち切ったのである。
青空を超えた先、見上げた空には光の道筋が続く。
それはまだこの戦いが途上であることを示していた。……次なる戦場は、宇宙文明ラグランジュポイント。
猟兵たちの戦いは、続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
最終結果:成功
完成日:2019年11月14日
宿敵
『マガツアレス』
を撃破!
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