2
アースクライシス2019⑧~天空竜舞う大空洞

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #センターオブジアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ヒーローズアース
🔒
#戦争
🔒
#アースクライシス2019
🔒
#センターオブジアース


0




「皆、お疲れ様。アメリカ各地での戦いも終わって、戦争は第二段階――敵地への突入の足掛かりの準備といった所かしら。」
 そう言ってアイリーンは、まだまだ精力に溢れる者、疲れの色が見え始めている者、疲労が限界突破し過ぎて逆にハイになっている者――三者三様の猟兵達に向かって、次段階の戦争の概要を伝える。
「そんな中で私達が向かうのは、制圧したモニュメントバレーに現れた洞窟の奥深く、その名もパンゲア大空洞よ。」
 パンゲア大空洞。そこはまるで、切り取られた遥か古代の時がそっくりそのまま貼り付けられたかのような現代の太古。かつて繁栄を極めた巨大シダ植物が大半を支配し、それを喰らう草食恐竜、更にそれを捕食する肉食恐竜などが闊歩している。
「今回の作戦内容は、そんなパンゲア大空洞のあちこちに隠された石版、『鍵の石版』を探し出してきて欲しいの。」
 この『鍵の石版』、どうやら全部で50個程あれば、敵の拠点の一つ、『センターオブジアース』への道が切り開けるらしい。
「そして私達が石版を探しに行くのはここ。大空洞の中に穿たれた、巨大な陥没よ。」
 グリモアを通して映し出されるのは、見渡す限りの広さと、底が何処まであるのかわからない程の深さの大陥没だった。だが、かといって全くの空虚な空間という訳でもない。その陥没口付近では、人一人立てる程度の小さな無数の岩がふわふわと浮かんでいるのだ。
「どうやら、石版に込められた莫大な魔力が原因の様ね。そして目的の石板は、この岩場のどこかに一つあるらしいわ。」
 足の踏み場の大きさがギリギリな上、気流の影響でその移動速度や岩場間の距離は目まぐるしく変わっていき、迅速な判断と行動が強く求められる。ならばその上を飛行すればよいのでは?とある猟兵がそう提案するも。
「残念ながら難しいわね。数m程度の距離をジャンプするなら問題ないけれど、長時間滞空していればその強すぎる気流に煽られて最悪、墜落する可能性があるわ。」
 だが、全く不可能という訳ではない。グリモアに映る映像を切り替えれば、そこには巨大な翼竜の群れが映し出されていた。
「ケツァルコアトルス。アステカ神話の神の名を冠した、10mを超える翼長を誇る大型の翼竜よ。」
 正確には、非常に酷似したこの地由来の種であるが。どうやらこの辺りを縄張りにしているらしく、探索の際には、テリトリーに侵入した猟兵を排除すべく襲ってくる彼らへの対処は必須となる。
「ちなみに彼ら、オブリビオンじゃない本物の生物だから、極力殺すようなことはしないようにね。」
 力量差を見せつけたり、少し攻撃するだけでも十分追い返せるが、上手く良好な関係を築ければ、掴まって上空からの探索も可能となるだろう。
 果たして、未知の領域で猟兵達はどのような冒険を繰り広げるのだろうか。今、猟兵達の地底探索の旅が、始まろうとしていた。


橘田華佗雄
 十四度目まして、橘田華佗雄 です。地底に恐竜と聞いて思い浮かぶのは、地底旅行派?それとも竜の騎士派?
 以下、ちょっとした補足になります。

●探索場所について
 オープニングに記載されている事がほとんどです。
 足場に関しては、巨大なウォーマシンの方でも十分乗ることは出来ますが、例え小さなフェアリー同士でも、二人以上同時に立つことは出来ません。
※なお、おそらくいないと思いますが、穴の底はセンターオブジアースはおろか、生存可能な環境であるかどうかも保証されないため、穴の底に落ちるプレイングがあれば部分的にカット、或いは不採用とさせていただきます。

●ケツァルコアトルスについて
 非常に巨大な翼竜です。攻撃力はあまりありませんが、無策では探索の邪魔になることが確実になる程度に痛みを感じる位はあります。
 なお、なんやかんやで強い揚力や脚力を持っているので、巨大なウォーマシンの方が足に掴まっても問題なく飛行できます。

●プレイングボーナスについて
 本シナリオにおいて、翼竜を無力化する、または仲間にするプレイングも行った場合、行動が有利になるボーナスが得られます。探索だけでなく、彼らへの配慮も念頭に置いた方が良いです。

 今回のシナリオは、摩訶不思議なエリアを己の知恵と勇気で駆け巡る、由緒正しき冒険活劇なシナリオとなっております。
 それでは、皆さんの参加を、心よりお待ちしてます!
14




第1章 冒険 『パンゲア大空洞の大冒険』

POW   :    探索の妨害となる恐竜を力づくで排除しつつ、正面から探索する

SPD   :    見つからないように移動するなどして恐竜に邪魔させず、周囲の状況を良く確認し、探索を有利に進める

WIZ   :    知恵を駆使して恐竜を懐柔あるいは排除し、探索の為の作戦を考案する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

笹鳴・硝子
※常にほぼ真顔・声の調子も平坦

翼竜と心を通わすとか、ちょっとロマン感じますよね
ほらあれですよ、「モ〇ラを助けて下さい」みたいな

まずは愛用のペンデュラムでダウジングして、どの足場に石板があるか目星をつけましょう
(技能【追跡・失せ物探し】)
目星がついたら、翼竜へ捧げる歌(シンフォニック・キュア)を歌いましょう
大きくて立派
強そう
羽が素敵
大体こんなステキポイントを上げていく歌です
これで煽て「ん”ん”っ」友好度を上げておまけで癒してあげれば、きっと手伝ってくれるはずです
おまけに怪我をした人がいたら治せます
イケるイケる、絶対石板見つけられます
大丈夫ですよ
(技能【おびき寄せ・言いくるめ・騎乗・失せ物探し】)



「翼竜と心を通わすとか、ちょっとロマン感じますよね……あれですよ、『モ〇ラを助けて下さい』みたいな。」
 果たして、「そうだそうだ」とケツァルコアトルスも言っているのか。そんなことはさておき、突風吹き荒れる大陥没の壮景を前に、笹鳴・硝子は表情一つ、声の抑揚も変えず呟く。一見無機質な印象を与える彼女ではあるが、しかしその胸の内は、これから成さんとする事への情緒に浸っていた。
「ではまずは……よろしくおねがいしますね、凝(こごる)。」
 そう言って懐から取り出すのは、銀の鎖で繋がれた、稲妻痕の残る水晶のペンデュラム。掴んだ右腕を伸ばせば、彼女はその掌から石先を零し、鎖を介して地に向け垂らす。
「さぁ、指し示して下さい。私の求めている、探し物の行方を……。」
 意識をペンデュラムに集中し、石版の場所を探ろうとする硝子。ゆらり、ゆらりと揺れる雷水晶は、やがて石版を求めるという彼女の確固たる意志に応えるかのように、ある方向を向いたままぴたりとその先をしかと定める。
「なるほど。これである程度の目星はつきましたが、さて。」
 行くべき道が分かれば、次に必要になるのはそこまでの手段。ペンデュラムを今一度懐に収めると、硝子は天を仰ぎ、その薄唇から、旋律を伴った歌声を響かせる。
 ――勇猛なる空の覇者よ
 ――その雄々しき翼を翻し
 ――我の前にその巨躯を表し給え
 これだけ煽てて調子に乗らせるような「ん”っ!ん”っ!」おっと、失礼。友好と尊敬の意を示した歌を送れば、やがて歌に惹かれたからなのか、どこからともなくケツァルコアトルスが一羽、巨大な翼をはためかせ近寄ってくる。
「――? 何やら様子が……。」
 よく見れば、他の同種との喧嘩故か、所々に細かい傷跡が見て取れる。硝子はその声先を先の翼竜へと向けると、その旋律による癒しの力の焦点を絞り込み、治癒の力を高めていく。
「――! ――ガァッ!」
 みるみるうちに傷が癒えてゆくケツァルコアトルス。自らの身に起きた不可思議な出来事に戸惑いを見せるも、それが先程から共感を覚える歌を奏でる何者か――硝子によることを本能的に察した彼の者は、彼女の前に悠然と、そして雄大に降り立つ。しかと目と目を合わせ、その真意を探り合うかのように、しばし無言で語らう二人。やがてケツァルコアトルスは硝子に背を向けると、身を屈め中腰の状態――ちょうど、彼女がその背に乗るのに適した高さへと姿勢を変える。
「これは――うん、これならイケるイケる。絶対、石板見つけられますよ。」
 眉一つ動かさず、だが心底では確かな驚嘆と強い確信に満ちる硝子。その背に跨り、独特の質感の肌にしかと掴まれば、彼女は大空へと舞い上がる束の間の友と共に、見定めた道の先へと天を駆けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
最大級の翼竜か…いいな。翼竜もカッコいい…。

【第六感】で岩場の目星を付けつつ気流と距離を【見切って】移動していく。
どこまで通用するか気にはなるが、翼竜対策は【存在感】を消し【目立たない】ようにして。
落ちそうになったらUC空翔で持ち直す。

岩場を渡る前に翼竜と相対できるなら、【動物と話す】で会話を試みる。
自分たちは縄張りをどうかしたいわけじゃなく、ここにある石板が欲しい事。それが手に入れば縄張りを侵す事もないと。
仔竜の伽羅も一緒に説得を試みる。
竜は厳密には恐竜ではないけど、大雑把な括りで爬虫類系になるだろうから親近感を持ってもらえたらなーって。
あと翼竜に運んでもらいたいという好奇心は抑えきれない。



「最大級の翼竜か……いいな。翼竜もカッコいい……。」
 結わえられた銀髪を突風に揺らされながら、黒鵺・瑞樹は少なくない興奮を覚えていた。時折見え隠れする、この大陥没に生息するという大翼竜。既に成人しているほどの齢とはいえ、未だ何処かに童心が残っているのか、
「さて……どこまで通用するか、気にはなるけれども。」
 先程までと打って変わり、まるで波打っていた水面が静かに湛えられるかのように、昂ぶっていた意識を落ち着かせる瑞樹。やがてその身から発する覇気は次第に抑えられ、彼がそこにいるという認識が容易に感じ取れなくなるほどにまで希薄になっていく。そして目の前に流れる乱気流、それに乗り複雑な動きを見せる岩場をしかと見定め、一手、また一手と、確かに少しずつその歩を進めていく。それから暫しの後。当てもなく探索を続ける瑞樹であったが、次の足場へと飛び移ろうと踏み出した瞬間、思わぬ上昇気流に見舞われる。
「!うぉっと!?」
 想定外の出来事に、体勢を崩される瑞樹。崩れたのはほんの足一歩分。だがその一歩は踏むべき足場ではなく、空を切る空場にあった。
「この……よっ、と!」
 間一髪、瑞樹はその空を蹴り上げる術により耐性を持ち直し、元の足場へと戻る。一体何だったのか。すかさず周囲を見れば、そこには翼を羽ばたかせ、その巨体を彼の前に晒す、ケツァルコアトルスの姿があった。どうやら、彼の彼の存在に気付かぬあまり、出会い頭のニアミスをしてしまったらしい。
「えぇと……こんにちは?」
 拙いながらも、瑞樹は必死で対話を試みる。自分達は縄張りを荒らしに来たのではない事。ここにある不可思議な石板が欲しい事。それさえ見つかれば、それ以上縄張りを侵すつもりもないという事。果然通じているのか、少々の不安に駆られる瑞樹であったが。
「――きゅ?」
 懐から顔を覗かせるのは、金目と黒鱗の体を持つ龍の仔、伽羅であった。
「……そうだ。伽羅、手伝ってくれるか?」
 ここまでのやり取りをすでに察していた伽羅は小さく頷くと、自身も鳴き声を上げ、説得を補佐しようと必死に訴えかける。果たして鱗を持つ者同士、通じ会うことは出来るのか。人と違い表情の変わらぬケツァルコアトルスを前に、遂に瑞樹は、最後に自身の素直な欲求を彼にぶつける。
「ケツァルコアトルス、その、俺を……背中に乗せて、運んでもらえないか?」
 内容はどうであれ、嘘偽りない率直な好奇心をつまびらかにする瑞樹。一瞬、まるで考えるかのような仕草をするケツァルコアトルスであったが、突然その大嘴を開くと、瑞樹をはさみあげ、大きく振り投げる。だが、それは決して乱雑という訳ではなく。
「これは……ありがとう、ケツァルコアトルス!」
 配慮を以って、ケツァルコアトルスは己の背に瑞樹を持っていき、しかと座らせる。そして彼がしっかりと掴まったのを確認すれば、ケツァルコアトルスは瑞樹と共に、石版を見つける束の間の冒険に飛び立つのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
なーるほどー
飛行主体の僕にはちょーっとキツイ場所だね
でもバランス感覚には自信あるよ
【ダンス】で体幹鍛えてるしね

★Venti Alaに風魔法を宿し跳躍力も強化
距離感図るのもお手の物
時にはじっくりと待ち
時には勢いのまま流れるように
足場の動きを【見切り】的確に移動

【聞き耳】で翼竜の動きを感じ取り
攻撃は一旦高ジャンプかしゃがみで回避
戻ってくる前に奏でる【催眠歌唱】の子守唄
眠らせるためじゃなく気を鎮めるために

同時に★Candy popの甘い香りと【指定UC】で【誘惑】
大丈夫、大丈夫だよー
敵じゃないからね
幸せな気持ちになる魔法を込めた飴玉を翼竜の口へ

いくつでもどうぞ
その代わり…ちょっとだけ、運んでくれる?



「なーるほどー。飛行主体の僕には、ちょーっとキツイ場所だね。」
 乱れ狂う疾風、そしてその下に広がる暗黒を前に、栗花落・澪は思慮を働かせる。この強風の前では、飛行を得意とするオラトリオも彼でも、その翼では制御が効かず、深淵へと歿してしまうだろう。ならばひとまずは、己の脚を頼りにするのみ。
「バランス感覚には、自信があるからね。」
 ダンスで鍛え上げた体幹を示すかのように、その場で軽くステップを決める澪。そして彼の靴――『Venti Ala』が地を華麗に蹴る度、風の魔力が蓄えられていき、次第に小さな羽が生え始める。
「それじゃ……行ってみようかな!」
 十分な魔力を乗せ、準備を終えれば、澪は意気揚々と踏み出し、宙舞う岩場を跳ねまわっていく。だが、それは決して自分本位なものではない。流れが静まればそれに合わせじっと待ち、苛烈になればその激流に身を任せ次々に移り回っていく。岩の流れに逆らわず、あるがままを受け止め、身を任せる。まるで、空中に作られたステージを舞っているかのようだ。
「――!」
 そんな中、彼の耳に突如入る風切音。上か、下か。澪は咄嗟の判断でその場にしゃがみ込むと、間一髪、頭上スレスレを『何か』が勢いよく通り過ぎていく。それこそ、この大陥没を根城とする、史上最大級の翼竜――ケツァルコアトルスであった。だが、縄張りに侵入してきた者を容易に見逃すことなく、ケツァルコアトルスは彼方から大きく旋回し、再び澪の元へと突撃をかけようとする。
「待って!僕は君と争いに来たんじゃないんだ!」
 ひとまず、澪は興奮冷めやらぬ大翼竜を大人しくするべく、子供をあやすかのような唄を奏で、荒ぶる心を鎮めようとする。優しく、包み込むような歌声に、次第にその勢いを落としていくケツァルコアトルス。やがてその移動は緩やかになり、彼は澪の前に浮かぶ岩場へと降り立つ。
「大丈夫、大丈夫だよー。敵じゃないからね。」
 天使の様な――ある意味、天使そのものであるが――無垢な笑みと共に、小瓶から取り出した飴玉を渡そうとする澪。甘い香り、魅力的な声、そして煌めくような笑顔。澪の甘美な誘惑を前に、ケツァルコアトルスの唯でさえ少ない思考は淀んでいき、気付けばその嘴の中では飴玉がころころと転がっていた。
「いくつでもどうぞ。その代わり……ちょっとだけ、運んでくれる?」
 もう、後はなすがままである。数刻後、そこには澪を背に乗せ、宙を舞うケツァルコアトルスの姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

亜儀流野・珠
恐竜に風吹き荒れる巨大な穴か。危険だらけだな!
まあそれでも行くしかない!さっさと石板見つけてしまおう!

岩の上にあると言うが……岩、多すぎるな!
なら大勢で一気に捜索だ!奥義「千珠魂」……俺たち、召喚だ!
皆で手分けして岩を渡り捜索だ。「俺たち」は少々体は小さいがそれでも俺だ。岩を軽く渡り行く身体能力、状況を【見切る】力は有る筈だ!

翼竜が現れたなら【動物と話す】で会話を試みよう。俺達はこの地を含むこの世界の為に動いている。テリトリーに入り込んでおいてすまんが手伝ってはくれないか?
もし協力して貰えるなら俺は翼竜と共に上空からの探索を。俺たちは引き続き岩を渡りながらの探索だ!



「恐竜に、風吹き荒れる巨大な穴か。危険だらけだな!」
 吹き荒れる風、乱れ狂う足場、そして点を舞う翼竜。見渡す限りの荒々しい様を前に、亜儀流野・珠はきっぱりと言い放つ。だがこの先――センターオブジアースへの道行きを切り開くためには、この場を切り抜けるのみである。
「まあそれでも行くしかない!さっさと石板見つけてしまおう!」
 そして珠は改めてこの場の状況を確かめる。目の前には、宙に浮かぶ一面の、岩、岩、岩……
「……岩、多すぎるな!」
 ごもっともである。だが、この中のどこかに探し求めている石版があるのも確かな情報。ならば、圧倒的な手数による虱潰しの創作で捜し当てるまで。
「奥義『千珠魂』……俺たち、召喚だ!」
 印を結び、周囲に方陣が開かれれば、サイズは小さくはあるものの、珠にそっくりな分身達が、十、二十、百……辺りを覆い尽くさんばかりに、次々と呼び出されていく。
「よぉし、『俺たち』!皆で手分けして岩を渡って、石版の捜索だ!」
 おー!と、小さくとも元気よく応える分身達。そして彼女達は思い思いに、広がる方々の岩場へと勇んで駆け出していく。一見、見た目相応に頼りなく感じさせてしまう分身達。だが、彼女達はなりは小さくとも立派な珠の分身。彼女由来の軽やかな跳躍力、そして岩場の流れを読み、それに乗れるだけの洞察力は健在であった。徐々にその遠見姿が小さくなっていき、そろそろ俺もかと珠が踏み出そうとしたその時、足元に巨大な影が現れ、しかもそれは、次第に大きくなっていく。
「おぉ、あれが話に聞いた恐竜かぁ!」
 その影を落とす主を拝もうと見上げれば、そこには巨大な翼竜、ケツァルコアトルスの姿があった。不意に現れた侵入者を見定めようというのか、ゆっくりと珠の前に降り立つケツァルコアトルス。その視線は、珠の目を――その奥底を探るかのように、じっと捉えて離さなかった。
「――なぁ、恐竜。俺達は、この地を含むこの世界の為に動いている。テリトリーに入り込んでおいてすまんが……手伝ってはくれないか?」
 同じく、ケツァルコアトルスの目を真っ直ぐに捉え、心の底からの、取り繕いのない真摯な訴えかけをする珠。しばしの沈黙、見つめ合い。果たして彼女の思いは伝わったのか、ケツァルコアトルスは、嘴先を珠に示し、次いで背へと向ける。
「!感謝するぞ、恐竜!」
 やがてケツァルコアトルスは珠を背に乗せ、大空へと舞い上がる。全ては、己が護るべきもののために。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
んー、気流の関係でちょっと空を飛ぶのは難しそうか。
まあ、それならそれで何とかしてみようか。

岩を跳んで渡るのは、気流を野生の勘で見切って普通にジャンプして行こうか。
多少なら目標にした岩からずれても、
出糸突起から糸を出して岩にくっつければ挽回できるし。

後は、ケツァルコアトルスだっけ。
確か、魚か小動物を食べてたんじゃないかって言われてるんだよね。
【混獣生成】を使って魚や小動物を生み出して、
餌付けできないか試してみようか。
もし無理だったら普通に殴って追い返すけど。

……あたしこんな姿してる割には動物と喋れないんだけど、
ボディランゲージで上まで連れてって欲しいってちゃんと伝わるかなあ。



「んー……この気流じゃあ、ちょっと空を飛ぶのは難しそうか。」
 頬を掠め、髪を撫でる風を感じ取りながら、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードは少なからず意気消沈していた。様々な生物の身体を内包する彼女の能力を以ってすれば、本来ならばこのような探索、背に翼を生やして飛び回れば、造作もないはずであった。そう、飛び交うものを根こそぎ叩き落さんとする、荒れ狂うこの乱気流さえなければ。
「……まあ、それならそれで何とかしてみようか。」
 気を取り直し、ペトニアロトゥシカはその視線を、天から地へと移す。空がダメなら、残されている足場を駆けるまで。内に秘められた野生の本能の訴えを頼りに、乱れる大気の流れを読み取りながら、不規則に居場所を変える岩場を跳ねる。
「! んぉっと。」
 だが、風は時に気まぐれに、その足場を突然ありえない場所へと運ぶこともある。だがそれにより足を踏み外しかけようとも。
「ふぅ、危ない危ない。」
 手首の突起状の器官から飛び出すのは、まるで蜘蛛の糸。その先を手近な岩場へと粘着させ、間一髪、ペトニアロトゥシカは地に足がつく場所へと復帰する。だが息つく間もなく、空から少しずつ、その巨大な影を濃くしながら接近するものがいた。
「あれは……ケツァルコアトルスだっけ。」
 そう、この大陥没を根城とする、巨大翼竜であった。まるで値踏みするかのように、彼女に眼光を飛ばしながら降りてくるケツァルコアトルス。思わず身構えるペトニアロトゥシカ。最悪、戦闘に持ち込んで追い返すという手もあるが。
「確か、魚か小動物を食べてたんじゃないかって言われてるんだよね。だったら。」
 ペトニアロトゥシカは先程と異なり、意識を外から内へ、何かを絞り出さんとするかのように力み始める。すると、彼女の身体の各所から、これまでに見聞きしてきた様々な魚が頭を、身を、尾を出し、足元へと落ちていく。
「さあ、動きだせ。」
 するとペトニアロトゥシカに応えるかのように、それまで死んだように微動だにしなかった魚達は息を吹き返したかの如く、その場でビチビチと跳ねだす。確かに魚の様な、でもそうでもないような。限りなく本物に近い偽物という不思議な物体を前に、ケツァルコアトルスは嘴でつつくなどして興味を示しだし、やがて一匹、また一匹と、口内に収めていく。
「……あたし、こんな姿してる割には、動物と喋れないんだけど。」
 そう呟きながら、彼女はコミュニケーションの取っ掛かりを掴めたこの機にと、身振り手振りを交え、己がここへ来た目的を必死で伝えようとする。果たして、彼女の熱意は伝わったのか。ケツァルコアトルスはその一羽ばたきでふわりと少し上昇し、ペトニアロトゥシカの頭上へと移れば。
「これって、OKってことでいいんだよね?」
 そこには、掴まれと言わんばかりに脚を垂らす、巨翼竜の姿があった。ペトニアロトゥシカがしかとそれに掴まれば、ケツァルコアトルスは彼女の体躯をものともせず、悠然と空へと舞い上がる。果たして、求める石板は何処にあるのか。一人と一匹は、雄大な虚空の何処かへと飛び立つのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃
ふむ、ケツバットナグルとは実に狂暴そうな名前なのだ。
だがわたしの甘いマスクの前にはたちどころにひれ伏すに違いないのだ。
見事怪獣を懐柔してみせるのだ!

え?翼竜と怪獣は違う?別物?

まずケットバスブンナグルとやらを探す。
そして出会ったら、さっそく挨拶。

やあ。会えると思っていたよ。
なぜなら翼竜とは。

良く会えるというからなあ!

ヨクリュウだけに、ヨクアエリュウ。

なんちゃって。

翼竜相手とはいえ動物と話す積んだし、何より気合いの入ったギャグが通じないはずがないのだ。

こうしてわたしのギャグに感動、あるいは精神攻撃を受け威圧感を覚えた翼竜を言いくるめて仲間にし(?)石板の探索は立ち合いは強くあたってあとは流れで。



「ふむ、ケツバットナグルとは、実に狂暴そうな名前なのだ!」
 ※ケツァルコアトルスです。
 盛大に間違えたその名にうんうんと頷きながら、大豪傑・麗刃は絶淵を前に仁王立ちで構えていた。吹き荒れる烈風、轟という音と共に時に激しくぶつかる岩礁、そして巨大翼竜達の不気味な鳴き声。これはもう、さぞかしスペクタクル感溢れるシリアスな感じになるに違いない。
「だがしかぁし!わたしの甘いマスクの前には、たちどころにひれ伏すに違いないのだ。見事、怪獣を懐柔してみせるのだぁ!」
 ※翼竜と怪獣は全然違う生き物です。
「え、そうなの?……まぁ、いいのだ。それよりもまず、ケットバスブンナグルとやらを探さねば。」
 ※だから、ケツァルコアトルスだってば。
 何はともあれ、まずは探索のためにも巨翼竜を見つけねば。そう思い立った麗刃は、どうすれば良いのか考えを深め……ることはせず、すぐさまその場で大声を上げる。
「さぁ来い、キットバスブンナゲル!わたしはぁ、ここにいるぞぉーー!!」
 何かアレな感じのオーラとかで存在感とかをアピるのを添えて、大々的に己の居場所を主張する麗刃。やがてそんな喧しい奴を放っておくわけにはいくまいと、血気盛んな翼竜の一羽が、彼をしかと眼中に捉える。鋭い眼光、猛る強声と共に、戦闘意欲増し増しで急降下を仕掛けるケツァルコアトルス。こんな展開。これで熱いバトルにならない訳が無い。
「やあ。会えると思っていたよ。」
 だがその巨翼に臆することなく、麗刃は涼しい顔で挨拶を交わす。
「ぬぁぜなら!翼竜とは!」
 一方のケツァルコアトルスもまた、そんなのお構いなしと、その速度を落とすことなく急接近を駆ける。一触即発の展開。これで血みどろの激しいシリアスバトルにならないとか、絶対にありえないだろう!
「――良く会えると、いうからなあ!」
 ……ハ?あまりに素っ頓狂というか、良い感じな空気をぶち壊すあんまりなギャグを前に、ケツァルコアトルスは思わず急停止をしてしまう。いや、今のは何かの聞き間違いに違いない。
「ヨクリュウだけに、ヨクアエリュウ。なんちゃって、あっはっは。」
 ……どうしてくれよう、この微妙な空気。折角熱くなってきた雰囲気が台無しになり、ケツァルコアトルスは何かいたたまれない気持ちで一杯になってしまう。
(翼竜相手とはいえ【動物と話す】を積んだし、何より!気合いの入ったギャグが通じないはずがないのだ!)
その一方で内心、どこから湧いてくるのか意味不明な自信で満ち満ちている麗刃。そんな彼はドヤ顔を決めながら、闘争心の炎が完全に掻き消され、脱力し切ってしまったケツァルコアトルスへずかずかと近寄り、顔面にずずいっと迫っていく。
「どうだね?感動しただろう、感銘を受けただろう、わたしの渾身のギャグにぃ!ならば行こう、友よ!石版探しの旅へぇ!」
 ……何かもう、どうでも良くなってきた。勝手にすりゃいいよ、もう。そんな心の声が聞こえそうな死んだ目をしながら、ケツァルコアトルスはもう、麗刃の成すがままにされる事を選ぶのだった。やがて麗刃は巨翼竜の長い首にぶら下がり、大陥没を前に叫ぶ。
「いざ行かん、我が親友よ!世界を救う大いなる旅へ、いざ、出発ぅ!」
 どっちみち喋れないが、ケツァルコアトルスはもう、ツッコむのを完全に放棄していた。そんな二人の珍道中は、ここから壮大な神話(サーガ)が始まったり、始まらなかったりするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​


 大陥没の中央。そこには、乱気流によって複雑にせめぎ合う岩場に囲まれる中、ひときわ大きな異様を放つ岩場が鎮座していた。風のその位置を乱されがちなはずの岩場群で唯一、その場から微動だにしない異質な場所。それこそ、この大陥没の形成に携わり、センターオブジアースへの道行きを開くピースとなる、鍵の石版の在処であった。
 だがそこは、不可侵の領域。地には跳んで行けそうな程の近さには岩場が一つもなく、天には舞う者を深淵へと叩き落さんばかりの乱気流が阻み、何人たりとも近づくことは絶対不可能、そのはずだった。
 しかし、そこへと臆することなく、接近する影があった。その数は六。揃いも揃って、圧巻の巨翼を翻すケツァルコアトルス、そしてそれにさまざまな形で騎乗する猟兵達だ。
 困難を越え、束の間の友とその地を目指した彼らはようやく、その手にこの世界を、ヒーローズアースを救う鍵の断片を収める事が出来たのだった。

最終結果:成功

完成日:2019年11月20日


挿絵イラスト