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アースクライシス2019⑨~カロリー・ハイ!

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ラグランジュポイント

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●生活習慣病には気をつけな!
「と、いうことでですね。UFOに乗っていただきます。」
 予想よりも――はるかに、状況は刻一刻と変わっていくものだから。
 ヘンリエッタ・モリアーティ(Uroboros・f07026)は仲間たちの前に姿を現した。
 右手には、ピザを持っている。
「すみません、お腹すいちゃって。」
 一口噛んで見せて、もぐもぐと咀嚼。おおよそ細い女性一人が食べる量ではないというか、彼女の背丈よりも積まれたピザの箱にはすべて中身が詰まっているらしい。
 食欲のそそる香りに抗えないながらに、猟兵たちにも「よかったら持って行っていいですよ」なんていいつつも作戦の話を始めた。いつも通り、小さく円になって――中心に皿を置く。
「間違えた。」
 今度こそ情報タブレットを置いた。

「これから、皆さんにはUFOに乗っていただき――ラグランジュポイントを目指していただきます。」
 ラグランジュポイントまでの道のりは、米軍が「ビームハイウェイ」という光線を照射してくれているために、迷わないだろうとも黒の女は告げる。Lサイズのピザをあっという間に食べつつ、オーソドックスなUFOの画像がきっと猟兵たちの前に現れた。
「UFOです。乗るのが一番いいかもしれませんが、自前の羽やペットなどをお持ちの方はそちらを使っても構いません。せっかくの手柄ですからね、活用したほうが充実感はあるかと。」
 二つめの箱を開ける。マルゲリータピザが姿をあらわにした。
「ラグランジュポイントは――ぜひとも押さえておきたいところではありますね。ただ、そこにたどり着くまでにオブリビオンが現れます。」
 それが、今回の予知なのだと。
 一枚まるごとかぶりついて、みるみるうちに飲み込んでからクッキーのように胃の中へとしまっていく。

「超巨大な、オブリビオンです。」

 ――カロリーデリバリー『ファット・ボーイ』。
 女性も男性もそうでない心を持つ人だって、きっと彼の脅威は想像できるだろう。
 早い・安い・美味いの3拍子の裏側で高カロリー、添加物マシマシのジャンクフードで結果にコミットさせないふくよかさをモットーにしたジャンクフードの申し子と言っていい不健康そのものの悪意である。

「体高はだいたい20m近く。一発一発は――カロリーも凶悪でしょうが。攻撃も強力ですね。ただし、小回りは利かないようなので是非華麗な飛行テクニックで翻弄してやってください。」
 三つめの箱が空いたと見せかけて、四つ目である。
 黒の女がふわりと己のそばで食事風景を眺めていたのやらわからぬ蜘蛛の巣型をしたグリモアを展開させる。大きな赤が――きっと猟兵たちを包もうとしたのだ。

「カロリーにはカロリーをぶつけてもいいかもしれませんね。パイ投げとか好きですか?私は好きですが。」
 ご飯で遊んじゃいけません。としめやかに彼女の腰にいた黒竜が唸る。
 颯爽と飛行し、通り過ぎざまに一撃というのは理想かもしれぬと――いう意見もあっただろうか。

「皆さまなら、お腹いっぱい戦ってくださると思います。猟兵(Jaeger)。どうか、ご武運を。」
 赤い光が――猟兵たちをUFOの眠る格納庫に連れていくのを見送りつつ。
 タブレットに話しかける女の声が聞こえただろうか。

「ああ、すみません。注文よろしいですか? 」


さもえど
 おいしいものがいっぱいたべたい。
 十五度目まして、さもえどと申します。

 今回のシナリオは戦争シナリオになります。
 超巨大化したオブリビオンを華麗なドライブテクニックで翻弄していただくことでプレイングボーナスをこちらからお渡ししやすい、空中戦シナリオとなっております。
 イメージ的にはパイ投げとかそういうちょっとギャグよりなのですが、うるせー!真面目に戦うぜ!!という人がいてもいいと思います。

 また、今回は全員採用がお約束できません。★を拘束させていただくのも申し訳ないので、スムーズに完結させていただき、また戦争シナリオは励みたいと存じますので何卒ご容赦をお願いいたします。
 それでは、お目に留まりましたら、どうぞ皆様の素敵なプレイングをよろしくお願い致します!
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第1章 ボス戦 『カロリーデリバリー『ファット・ボーイ』』

POW   :    カロリーマスター
【カロリー消費モード】に変形し、自身の【コレステロール】を代償に、自身の【攻撃力と早食い・調理速度】を強化する。
SPD   :    注文から30分以内にお届けします!
全身を【黄金のオーラ】で覆い、自身の【誓約を守る為の使命感】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    さあ!高コレステロール食を食べるんだ!
【領収書(レシート)】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。

イラスト:sio

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピオニー・アルムガルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●適度な運動が大事!!!!!!

 生活習慣病は、健康における大問題である。
「はァーーーい!!猟兵諸君!!!ここからは通さないよ――ッッッ!!!」
 ずうん、と。
 空間が揺れたやら、それとも迫力に気圧されたのか。
 たっぷりとしたふくよかな体が震えて、猟兵たちをじっとりとした空腹の目がにらむ。
 ――オブリビオン・カロリーデリバリー『ファット・ボーイ』!!

「君たちには、おなかいーーっぱいになって落っこちてもらうからね――ッッッ!!!」
 ピザの箱を構えた彼がわさりとその蓋を開く。
 ――チーズ・オン・チーズ・オン・チーズマルゲリータ!!
 ――シーフードミックス・マヨネーズ・タラコミックス!!
 構えられた二つの円盤はきっと猟兵たちの乗ったUFOすらも薙ぎ払う大きさである!

「 ハ ッ ピ ー ・ カ ロ リ ー ! ! ! 」 

 夜空に舞うチーズの粘液。うーん。なんとも太りそう。
 黄金のオーラをまとって猟兵たちのルートに立ちふさがる健康への悪意である!!これはいけない!!倒したほうがいい!色んな意味で!!
 さあ、ぎとぎと油にまみれた料理はおいしいけれど、みんなの健康と己の健康――健やかな未来のために、戦え!猟兵!!
鳴宮・匡
戦うのは構わないんだけど
これ、相手のノリに合わせなきゃまずい?
……まあいいや(思考の放棄)

UFOを一基借りていこう
操縦は……何度か潜入任務はしたし覚えてる
小回りが利かないらしいから
細かく左右に振るような動きを織り交ぜながら
こちらの動きを捉えられにくいように立ち回るよ

……オブリビオンの生態はよく知らないけど
まあ普通は、カロリー消費中は腹減るだろうし
他のやつが投げた高カロリー食に気を取られることもあるだろ
多分 いやわかんないけど
まあとりあえずなにがしか隙を見せたところに側面か背面から素早く接近
【終幕の雨】を叩き込んで即座に離脱

なんか、戻ったらメシでも作るか……
空腹とか、なくなったと思ってたんだけど


国栖ヶ谷・鈴鹿


【カロリーメイド】
パテシエイルの腕の見せどころだね!
ぼくにいい考えがあるんだ。

相手がカロリーを摂取しようとするなら、ぼくのお手製のパフェーで気を引いて、UCで合体した紅路夢と一緒に高速移動で相手の死角を取っていく作戦!
あと、相手のピザ🍕を奪ったりして、慌てて取り返そうとしてるところを狙って行ったりするよ!

【アイアンメイデン】
『POW』

太っちゃうのはヲトメとしては気にしちゃうけど、美味しいものや甘いものはつい夢中になっちゃうのもヲトメのサガなんだよね。

できればカロリーを消費出来るように、必要以上に動き回ろうか!
敵をやっつけるのに運動するの、流行ってるしね!


薄荷・千夜子
なんて魅力的、ではなく脅威を感じる敵なのでしょう!!
あれはマズイです、放置していたら大変なことになってしまうやつです!
至急なんとかいたしましょう!!

UFOも心は惹かれますが、私は彗がいますからね
他の手段を使うわけにはです
UCを使用して巨大化した相棒の彗に騎乗
さぁ、空中戦と参りましょう!!
【罠使い】で激辛タバスコガンかけピザ(偽物)を用意し【早業】【投擲】で顔面目掛けてガンガン投げていきます
本物は申し訳ないですからね、帰ってから食べましょう
あちらから仕掛けられるカロリーは【見切り】で避けていきます
あれを避けるのは!!心苦しいのですけども!!!!


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
マルゲリータ!!(デスボイス)(挨拶)

自分の翼で飛ぶぞ
その図体では小回りもきくまい
出しうる全速力をなるべく維持したまま飛び回り挑発
相手の攻撃は第六感で見切る
蛇竜を黒槍に変え、呪詛を載せてあらゆる方向から串刺しにしてくれよう
槍を刺したら手を離し、蛇竜に変化させて手元へ戻せば、速度を落とさず飛行出来るであろう
的が巨大であればあるほど攻撃は当てやすいものだ
逆に小さいものには当てづらかろうなァ
ふはははは!貴様がピザになるが良いこのピザめ!!
食ってやっても良いが全額貴様持ちだ!!

運動をしていないからそうなるのだ
脂肪はすぐ裏切るが筋肉は裏切らないのだぞ
健康食を食って運動しろ運動!!





「いや、――戦うのは構わないんだけど。」

 彼の心は、いつだって凪いでいるべきだった。
 鳴宮・匡(凪の海・f01612)はみょんみょんと独特の音を鳴らすUFOを、どうしたものかと触りながら巨体と対峙する。
 ――サイレント機能があるのだろうか、とか。最新のものならもしかするとステルスなんてものもあるのだろうかとどこか冷静な自分もこの空間にいる反面、座席シートが暖かいことに気が付いた。
 標高――おおよそ、高すぎる山の上といった具合か。なるほど、寒いなだなんて口から白い息を吐きながら分析を始めていたのだけれど、だからこそ突っ込まざるを得ないところが数多くあったのだ。

「相手のノリに合わせなきゃまずい? 」
「ムムッ!!! キミ、少々理想的な体系すぎるぞ!! 」

 ――匡は、つとめて「普通」であることを心掛けている。
 目立っては隠密を得意とする彼にとっては面倒なことになるし、奇抜であればあるほど「殺しにくい」のだ。
 人を殺すことに特化している彼が――なにかを仕留めるこの力で、人の命を助けられることができるのならと思って、この依頼に挑戦をしてみたのだけれど。
 まあ、UFOに乗っちゃってる時点で割とめちゃくちゃどうでもよくなっているのである。
 は~……と一つクソデカため息をついてみて、改めて目の前にいる脂肪の塊を見てみた。狙いやすすぎて、逆にどこが「あたり」かわかりにくい。つまり、匡一人ではだいぶとやりにくい敵なのだ。

「なんて魅力的、ではなく脅威を感じる敵なのでしょう!! 」
「なるほど、なるほどー!倒しがいがありそうだよ!! 」
 そんな匡が――もう攻略方法は見つけたといわんばかりにカクカクと左右に揺れながらUFOを操縦していたときに声を拾ってしまうのだ。いくらフルパワーで体感ハイスピードで殴ろうとしたところで、冷静な彼にはちっとも届かないのだなと思っていたときである。
 上空にて――大きな鷹が一匹。
 ふわふわとした鷹の背に乗ったのは、どうやら少女二人である。
 その鷹の名は、彗という。薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)の相棒にして、今や【彗翔一閃】にて大きく翼を広げる雄々しい姿だ。高所すぎるところまで飛ばしてしまうのはやや千夜子も憚れて、UFOに乗るかどうかというのも考えたのだけれど、相棒は任せてくれと言わんばかりに鳴いてくれる。
「私には、彗がいますからね。」
 そう――絆を確かめ合うようにして、そのくちばしと額をひっつけてやったのならば、「ぼくも乗せてくれないか! 」とやってきたのが国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)だ。
 鈴鹿は、どうやら話を聞くところの【ジイニアス】というやつで、なんでも彼女にはいいアイデアがあるのだという。
 それは心強いと思って――快く小柄な彼女が増えたところで全く動じない彗の背中に乗せてやり、現在。
「あれはマズイです、放置していたら大変なことになってしまうやつです! 至急なんとかいたしましょう!! ねっ! 国栖ヶ谷さん!! 」
「うん! もちろんだよ。さて、それでは僕の腕のみせどころだ!! 」
 何かを起こす気だとは。
 ――下のほうでかくかくとレバーをタイミングよく切ってやる匡も悟れるくらいに楽しげであった。

「ずいぶんと、この戦場には腹空かしたやつが多いな。」
 きらきらとした瞳でよだれをこらえているらしい千夜子の顔もよく見える。
 ――空腹なんていう感覚は、匡にはなかったはずなのだけれど。さきほどから「むきー!」とか「うおー!」だとかいって暴れている巨体の持ち主が垂らし散らすバターの香りはいつも鼻を通り過ぎるものよりダイレクトに伝わってくる。
 何気なく、皆が腹に手を置いた時である。おなかすいたね。

           よ   ろ   し   く   お  ね  が  い  し  ま  す  
「 マ゛ル゛ゲ゛リ゛ィ゛イ゛イ゛ィイ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛タ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!゛ !゛ 」
「いやニルもかよ。」

 そこにやってきたのは地獄の――いいや、呪われし邪竜のおにいさんニルズヘッグ・ニヴルヘイム(竜吼・f01811)!!
 【済生】によって翼に飛翔能力を得た彼は今、数多の寒さをつっきって空間に顕現してみせたのだ!!ぶわりと舞った雪の粉たちは爆ぜて――巨体を凍てつかせる!
「うわあ! 寒い! さむいよっ! 」
「ふ ふ ふ ふ は は は は は は は ッ ッ ッ ! ! !  貴様がピザになるが良いこのピザめ!! 悔しかったら脂肪を燃やしてみろ!! さあ! 運動だ!! 」
「ピザか……? 」
 スラングというやつである。
 匡が首をかしげながらかく乱している間に、千夜子もううう、とたまらず唸って彗による作戦を始めようとさらに上空をとっていた。

「準備はよろしいですか――鈴鹿さん! 」

 千夜子が、構える。
 彼女とて、はっきり言うのなら乙女で食べ盛りなのだ。まだ齢にして十八歳、食べたいものも盛りだくさんで胃もまだまだなんでも受け付けられる彼女は戦う猟兵さんでもあるのだ。ぎらりとした翠の瞳には戦意と少しばかりの食欲が灯って、彼女の両手に円盤を乗せる。

 そう、両手にピザである。

 真っ赤に塗られた表面!! まさに地獄の味!!

「ぬっ!? そ、それは――!! 」
「 い い え ! ! ケ チ ャ ッ プ で す ! ! ! 」

 びくついた巨体が舌から感じられる痛みを思い出して顔をしかめたのだけれど、押し通す。

「えっ?」
「ですから、トマトケチャップです。」

 いいえ、激辛タバスコデスソースピザです。
 しかし、嘘も方便。お前の顔面をピザだらけにしてやって窒息させてやりますから!という勢いと剣幕で押し切る千夜子にはさすがにファットな心を持つパーフェクト・デブのファット・ボーイも主張を折るしかなかった。思えば、この時から勝敗は決まっていたのかもしれない。
「この僕に食べ物で挑もうとは――猟兵たちにもなめられたものだね!! 」
「えーい!! 隙ありッッッ!! 」
「でぶッ!!!!???? 」

 横 っ 腹 に 拳 が 突 き 刺 さ っ た の は 【 鋼 鉄 の ヲ ト メ ゴ コ ロ 】 ! ! 

 巨体すぎる彼の片足が浮いてしまうほどの一撃は、天 才たる鈴鹿が己の愛機である百弐拾伍式・紅路夢と合体したロボ姿による圧力の一撃!!しかし――脂肪がわずか一歩、かのパーフェクト・ノンインスリン・デブのファット・ボーイを横転させるには至らなかった!

「何をするんだ、キミ――!! 」
「おまちどおさまです!! カロリーメイドたる僕お手製のパフェです!! 」

 態勢を取り戻したついでに匡を踏み抜こうとした足が――からぶったのは。
 匡が勿論するりと出し抜いてやったのもあった。
「ぱふぇ。」
 そして、この目の前にある巨大パフェのおかげでもある。巨体が間抜けな声を出して、白いそれに釘付けになっていた。

「あーあー! いいな、いいなー! ずるいです。私もあんなにパフェが食べてみたい……。」
 上空にてぐぬぬと唸る千夜子もいれば。
「む。あれは糖分が高すぎるぞ!! よくないなァ、脂肪の素だ! 」
 乙女の心にわりとぐっさり来ることを言っちゃう甘いものがそんなに好きではないニルズヘッグもいて。
「太っちゃうのはヲトメとしては気にしちゃうけど、美味しいものや甘いものはつい夢中になっちゃうのもヲトメのサガなんだよね。」
 と、鈴鹿がロボットのコクピッドにて頭部パーツをやれやれとさせて。
「なんでもいいよ!! はやくちょうだいよ!! 僕のピザもあげるから!! 」
 うわぁんとファット・ボーイが嘆いたものだから。

「――どうでもいいよ。」

 匡が上空での喧騒にはそろそろ聞き分けるのも疲れてきていて、UFOの操作も不安であったのに慣れ切ってしまっている自分もいて余計に何もかもが、どうでもよくなってきた。
 自分の得物である冷たい処刑道具を構える。弾がちゃんと込められていることを、念のために確認して上から落ちてくるピザソースを躱した。

「そろそろ終わりにしようぜ。」

   フ ル バ ー ス ト
 【 終 幕 の 雨 】 ! !  

「ぎッ――――!!? 」

 騒がしくしていた三名の活躍で、すっかり匡のことなんて目の前のピザとパフェと筋肉お兄さんに奪われてしまい忘れていたファット・ボーイなのである。
 やはり――「普通」とはとても融通がいいなと思いながら、その右のかかとから添うように肩まで通り抜ける匡が至近距離で撃った!! 徒競走にも何事にも、始まりの合図というものは必要であろうとして、不意打ちに巨体がこんどこそ動揺したのを確認して、彼は右肩から脂ぎった耳をかすめ、さっさと通り過ぎていく。

「く、っそ――あの、スリム・ハンサムめ!! 」
「えええい!! 」
「ぎゃーーーーーーーッッッ!!!? えっ なにこれっ 痛ァ!!!!!!!!! 」

 そう、もはや皮膚から痛いのだ。
 赤く塗りたくられたソースでいっぱいのピザが無数に顔面にぶつけられていく。鈴鹿としてはこの彼のカロリーに甘えてもよかったのだけれど、ニルズヘッグの宣告もあってぐううと我慢しているのだ。
「食べ物の恨みは!! 恐ろしいですよ!! 」
「いやいやいやちょっとちょっとちょっと、痛い痛い痛い!!!! 」
 べち、べち。
 ささやかな攻撃ではあるのに痛みとしては根性焼きくらいである。
 ひいひいと嘆く巨体が混乱し始めたのなら――次はその巨体をがっちりと羽交い絞めにするロボットがいた!

「ぐあああああ!! 折れる!! 折れちゃう!! 中身が出る!! 」
「なんだ、だらしのないやつめ――。」
「いっぱい食べたなら、運動だよっ! 」
 カロリーが服を着ているようなものではないか、とため息を吐くのは竜たるニルズヘッグである。鬼教官のような顔をしているが、彼はわりと皆の健康に気を遣うようないい竜でもあるのだ。
 そして、そのサポートととして活躍するのが鈴鹿の動かすロボットである。往生際の悪い脂肪のかたまりをがしりとつかんで離さない。

「運動をしていないからこうなるのだ。まったく、情けない! 」
「カロリーを消費出来るように、必要以上に動き回ろうか! 敵をやっつけるのに運動するの、流行ってるしね! 」
「えっ!? 何、何だよ!! この僕に何をさせようっていうんだ!! 僕は決して動かないぞ!! 僕こそカロリーの化身なんだ!! 」
 ――言ってて悲しくないのだろうか、とちょっと思いながら彗と千夜子がカロリーに敗北した彼の姿を見届ける。上空で旋回しながら、これから己らも気をつけねばなるまいと思って、ごくりとつばを飲み込んだ。

「筋トレだ。」
「えっ」
「 お 前 に は ! ! 筋 肉 が 足 ら な い ! ! 」

 ――筋肉キャラではないのだけど。
 事実、ニルズヘッグの指摘通りむちむちのぽいんぽいんなわがままボディである。
「なんだそれは!! 尻と太ももが同一化しているではないか!! ゾウさんか!! 槍投げ250回!! 」
 鈴鹿もロボに乗ってうんうんと頷きながら――ニルズヘッグが顕現した黒槍から巨体が逃げないように、投げられる槍をどうにかして躱そうとする姿を見ている。
「ぐおおおおお!!!! 」
 削れていくのは皮膚と脂肪!! 血も出てる!! でも割と少量なのは結構が悪いからであろう。
「胸よりも腹のほうが出てるぞ!! さァ走れ!! 」
「追いかけるので、精いっぱい逃げてくれるといいよー。」
「――ひぃいいいいいいッッッ!!! 」
 ハイ・テクノロジヰな脚ふみペダルをコクピッドの中に顕現させたのなら、それをえっさほいさと鈴鹿がこぐ。
 そうすると、信じられない速さでクロスチョップをしたままロボットが脂肪に飛び込んでいたのだった。

「こ、これが――脂肪燃焼キャンプ……なんと恐ろしい!! 」

 食べすぎはよくないのである。
 う、っとあまりにも過酷なダイエットの様相にやはり気を付けようと千夜子が唸ったところで、励ますように彗が鳴いたのだった。

「脂肪はすぐ裏切るが――筋 肉 は 裏 切 ら な い の だ ッ ッ ッ ! ! ! 」

 しごくだけしごいて、ではさらば!! と進んでいった猟兵たち。
 ちょっと縮んだらしい姿を遠くで匡がUFOの後部座席に頭だけひょこりと見せていて、なんとなく確認ができた。

「……なんか、戻ったらメシでも作るか……。」
「おお! いいな!! 作れ作れ!! 」

 体によさそうなやつ。
 ――爆速で飛んでいく親友と、カロリー燃焼の偉大さを知った千夜子と、巨大パフェはなんだか可哀想だったので巨体の顔に塗りたくってやった鈴鹿が目的地へと目指しだす。
 猟兵と言えど明日は我が身。みんな、健康には気を付けるように!
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
空は飛べないから、UFOを使わせてもらうわ
エリア51で何度も乗ったし、操縦方法はバッチリね!

それにしてもあらゆる意味で大きいわね、もはや地形だわ
ファットボーイ山脈……なんちゃって

ともかくどんなに大きくても、人の形をしているなら死角は一緒よ
UCで反応速度を強化した上で、横や後ろを取るように飛んで撹乱しながら攻撃するわ
…そういえばこのUFO、攻撃方法はあるのかしら?
まあそれっぽいボタンを押せば何か出るでしょ!


ナイ・デス
戦争中、ということで。敵を経光(生命力吸収光で)摂取するばかり、でした
この料理……とっても、美味しそう……!
いただきます!です♪

UFOに乗って移動していましたが、ご馳走を前にUFOオートパイロットで帰還モードにして
宇宙服から光を放って自身を【吹き飛ばし】【空中戦】飛び出します
食欲のまま華麗に【念動力】も放って【ダッシュ】したり、ジャンクフード次々引き寄せて、もっきゅもっきゅ!
太らない。食べて食べて体内の光が【生命力吸収】で胃を空にしてどんどん入る
溢れ出る『生命力吸収光』が口にする前から消していく

もっと食べたい、です♪
【範囲攻撃】ファットボーイにも光が
消滅は無理でも、脂肪を減らす
【恐怖を与える】


ルルリラ・ルル

(平仮名多め)

るるピザ食べたい!

悪いピザ屋さんをやっつけてピザをうばうお仕事と聞いて来るました
ちがう?まあいいでし

るるね、UFOであちこち飛び回って、おさかなばくだん投げて困らせてやるます
まんまるピラニアのおもちゃに見えるけど、ぽっちゃりおなかにがぶがぶしてどかーん!てするますよ
間違えて食べるともっと痛い目にあうのでし

えへへ。あのおっきなピザをむしゃむしゃしたらきっと
おいしくて、
おなかいっぱいになって、
あんなふうにぽっちゃりおなかになって、
なって……

やだーーー!!!

はらぺこピラニアのみんな、ピザもピザ屋さんもやっつけるます!
おっきいピザもみんなで分けっこしたら怖くないでし。るるは賢いのでし





「あらゆる意味で大きいわね、もはや地形だわ……! 」
 絶句とともに、顔にパフェを塗りたくられたうえにしごくだけしごかれてぐったりと脂汗をかく敵を見下ろしながらフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)はつぶやくのだ。
 UFOの運転はもはや使いこなしたものである。今回のヒーローズ・アースにおける彼女の活躍というのもまた目まぐるしい。さんざん奪取してきては減罪――それはそれは、恐ろしくも愛に飢えた犯罪者であったから――のネタにしながら得た経験が確かに生きていた。
 がちゃがちゃと一本のコントロール・レバーを動かしながら、もう片方の手でパネルに触れる手つきは触診と同等程度に慣れたものである。
 ナースめいた姿でちょっと今日はわりと「まとも」側の判断ができていた。くいくいと小刻みにじぐざぐ動きながら消滅していない対象の反応を見る。

 ぴくり。

 ――指先が、確かに動いた。
「ファットボーイ山脈……なんちゃって。」
 ぐらりと、起き上がる巨大は顔面に塗りたくられた巨大パフェのクリームを両手を使いかき集めて口の中に収めていく。
 見ようによっては醜悪で、それでいておそろしいものだったから――たまらず、フィランサの顔を少しだけこわばらせながら「それもまた、いとおしい」ものとして頭が処理させていたのだ。
 
「僕と、カロリーをコケにしたなぁ……? 」
「山なのに喋っちゃだめだよ! ここで、愛いっぱいでおなか一杯にして寝かせてあげる! 」

 方や、食欲に飢え。
 もう一方は愛に飢える女の瞳でまみえたのだ!! UFOに攻撃手段がないかどうか確認しながら、おのれの魔導をめぐらせて確かに笑う。
 ――さあて、どう愛してやろうか。
 ぎらりと煌めいた真っ赤な瞳でかのカロリーの暴虐たる象徴、ピザの猛攻は果敢に躱す。左右非対称の感覚でパターンを作らずに動き回る円盤は赤の軌跡を描いていた!
「どこまでそれがもつかなァ――!! 」
 大きく腕が振るわれるたびに、どうやらチーズとソース、時に大きすぎる具が散っては空へと舞うらしい。不法投棄も甚だしいが確かに空間を掌握するにはピザのカーテンもにくらしいものであった。
 UFOをからめとらんと上空から降る黄色の粘膜が憎らしい。夜空に広がるミルキーウェイなんかよりもたしかにはっきりと見えたその姿に――内心フィランサが胸やけを起こしそうになったところで。

「――いただきます! です♪」

 光が、「食った」。
 その光は――そういう宿命であるのだと光りながらも、どこか生き生きとしていたのである。
 彼の存在に、正体というものはないのだ。ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は本体をどこかにやってしまったヤドリガミである。
 ヤドリガミの唯一の弱点といっていい「本体」を持たないということは、無敵でありながらも予期せぬ損失を常に恐れねばならないのだ。逆に、死ねない不幸というものもある。
 地獄を見てきた。
 壊れても壊れてもたちまち戻ってしまうおのれの体で知ったのは、生まれた痛みばかりでどうしようもなかったのに――彼は、生命力を「食らう」こともできる存在なのだ。
 円盤から飛び出してしまったのは「ごちそう」をの目で見たからだ! フィランサに降りかかろうとするチーズ束にそうはさせぬととびかかる姿は機敏で、かつ輝いている。【生命力吸収光】は加減の難しいものでありながら、確かに黄金のカーテンをまるっと平らげていった!
「とっても、美味しい……!」
 ぱ、っと一度光を消して――宙に舞う姿は少年のそれである。眩さに目を瞬いたフィランサには彼の姿が夜に浮かぶ大きな一等星そのものであっただろう。
「あ、――あっぶないですよー! 」余計な損失を出すにはいかぬと、【クロックアップ・スピード】でフィランサがUFOごと加速させる!ぐりりと赤いナースシューズで踏み込んで、宙を舞う白い彼を円盤で拾った。
 円盤の端につかまって、「もっと、たべ、ます! 」と食欲の沸いた――本能からかもしれないが――食いしん坊の少年に、「ちょっと待ってくださいね! 」と優しく微笑んで静止をかけてやる。
 どうせ食べさせてやるのなら、効率のいいほうがいい。

 ――どんなに大きくても、人の形をしているなら死角は一緒よ。

 愛に飢えて、愛に狂うからこそ。
 フィランサの脳はけしておろかにはなれない。なぜならば、「恋愛」というのは「頭」で勝敗を決するからだ。
 ならばとUFOはわざわざ正面にまでやってきてやって、ファット・ボーイの注意を惹く。
「こんのぉ~~~!! そろそろ、結果にコミットするのをやめたまえ~~!!! 」
「お断りよ! だって――そんなことになっちゃったら、可愛がってもらいにくいじゃない! 」
 アクセルは、フィランサの指をはじく音とともにより加速を働かせる!! 空気を裂きながら飛んでいくUFOはファット・ボーイの振り上げた右腕が届くよりも早く、その大きな腹から急降下して――またぐらをくぐってやったのだ!
 太い足を潜り抜ける最中で、ナイに赤い瞳が振り向いて合図する。己にはない色を持ったフィランサの瞬きに、何をしたらいいかは純粋なナイだからこそ理解したのかもしれなかった。

「む――!? 」

 目の前で消えた、愛の化身である。
 どこに行ったのだといちいち探す姿すら、どうみてももったりしていてコスチュームに汗じみを作り始めるくらいに暑苦しいものであった。
 それを見ていたのが、純真無垢な子供のまなこである。ルルリラ・ルル(ちびうお・f06618)は肉食魚なのだった。

「るるピザ食べたい! 」

 果たして――案内人であったあの黒の女が、ルルの言葉を聞いてピザを与えたのかどうかはともかく。聞こえていたのならば与えてやったかもしれないが、どちらにせよルルは「食べる」魚なのだった。
 ピラニアである。
 肉食魚の特性を持った彼女は、体の中に常、栄養を巡らせているからはっきりと言ってしまえば常に栄養が必要なのだ。早い話が、くいしんぼうである。そだちざかりだし。
 ――悪いピザ屋さんをやっつけてピザをうばうお仕事と聞いて来るました。ちがう?まあいいでし。
 ぅゎ、ょぅじょしょぅじき。
 緑色の視線が向かう先には、宙を舞う肉汁とかチーズでいっぱいなのである。そりゃあ、ピザもたべたくなっちゃうのだ。だって、ピラニアようじょだもの。
「えへへ。あのおっきなピザをむしゃむしゃしたらきっとおいしくて、おなかいっぱいになって、――。」
 想像力が豊かである。まだまだ夢見る小魚なのだ。
 自分の小さな体がわかっているからこそ、あのいっぱいある――チーズを食べたのならばどうなってしまうだろう、と考えるのはわくわくとした冒険心にちがいなかった。
 腹ペコであるルルもそうなら、きっとこの暴虐なる食事の前に猟兵たちのほとんどが食欲をそそられているはずなのである。
 目の前で光がまたたいて、またチーズの塊をばくりと食べたから。「ああ、いいなあ」とシンプルに思ってしまうルルの心はどこまでも欲に正直だ。
 ――だからこそ。
「あんなふうにぽっちゃりおなかになって」
 もし、食べていいものを――あんなにたべてしまったのなら。
「なって……」

 どてんとした胸より大きな腹。
 尻と同化した太もも。
 ゆれるたゆんたゆんのふりそでに――ひざの埋まった足!!

「 や だ ー ー ー ! ! !  」
「た、タイヤキ!!!?タイヤキが降ってきた!!? 」

 いいえ、ピラニアです。
 【プレンティー・ナッテリー】――空飛ぶピラニア爆弾が脂肪でおおわれるファット・ボーイの体を襲う!どうもうな牙を隠しもしないで襲い掛かる魚たちに「ひいい」と今度こそ脂ぎった唇から悲鳴を上げたのだ。
 しかし、恐れたいのはルルも同じである――健康的でないおねえさんぼでぃが手に入らないのは、魚としても生き物としてもいろいろと夢が損なわれてしまう!!
「ぐわあああああああああ!!! 」
 どーんとか、ばーんとか。
 健康であるべきだといわんばかりにあわや、ょぅじょの素敵な将来を脂だらけにしてしまうところだった不健康の塊を燃やしていくのである!!

「もっと食べたい、です♪」

 そして――混乱するファット・ボーイはおのれの体がどんどん小さく削られて行っていくことに気づいただろうか。
「わあ!! ここからビーム出るのね!!? ――余すことなく愛してあげる! 」
 いつの間にかフィランサが押してみたボタンから放たれたUFOのビームが、光の屈折とともに無数に分かれているのだ。
 そして、その光線を放射に分けたのは――ナ イ の 光 で あ る ! !

「いただき、――ます♪」
「ぼ、僕が――食べられる、だとぉっ!!!???? 」

 どんどん体を削られる、中の内臓脂肪まで燃やされて、みるみるうちに強みであったはずの脂肪たちは分解されて行ってしまうのだ!!

「るるは、知ってるますよ! 」
 爆炎による体内の燃焼、そして光による脂肪分解!結果にコミットせざるを得ないダイエット真っ青の強制スリム化計画に彼もたまらずおのれのピザを食べるが間に合わない、間に合わないのだ――!!
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!! やめ、ろぉおおお!!!!!! 」
「おっきいピザもみんなで分けっこしたら怖くないでし。るるは賢いのでし!! 」
 ぅゎ、ょぅじょかしこい――!

 どかん、と大きな爆発がしてこんどこそずずんと巨体が倒れたのを確認できたのなら。
 ちょっとばかりおなかも膨れたらしいナイを、フィランサが拾ってやったところで――。

「うん、素敵になったね――♡」

 いささかスリムになった巨体に、きっと毒々しい女が笑いかけてやったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
残 念 僕 は 少 食 だ ! !

奪う時に散々乗って来たからね
UFOの操作はほぼお手の物

敢えて窓を開けさせてもらうね
普段から翼での【空中戦】を主体としている身
敵の攻撃時に生じる僅かな風切り音を【聞き耳】で感知し
風の揺らぎを読み反射で動いた方が早い場合もあり得るってこと

敵の攻撃をかわしつつ常に背後を取るよう機敏に動き
UFOに備わった光線で敵に攻撃

パイ投げてもいいと聞いたので!
敵が振り向いた瞬間顔面に全力【投擲】
視界を奪いレシートなんか吹き飛ばす勢いで
風の【高速詠唱、属性攻撃】を操りつつ一瞬UFOから離脱
【催眠歌唱】で操る【指定UC】の【範囲攻撃】で斬撃を喰らわせ
またUFOに戻って目的地目指します


六条寺・瑠璃緒
何てことだ
坊や、其の年で其の体型はいけない
成人病まっしぐらじゃないか

少しカロリーを消費しようね
UCで自己強化
「ろくな食育を受けて来なかったんだろうね…」
此れは絶対にフライドポテトは野菜だとか云っちゃう手合いに違いない
色んな方向に不憫過ぎて多分僕今相当速く翔べる気がする

接敵したらRequiemの血刃で吸血と生命力吸収を
ピザを投げつけられたらキャッチ…は出来ないや、透過した後にでもNocturneでキャッチ
「食べ物を粗末にしてはいけません」
あと、ごめん、一回云ってみたかったんだ
カウンターの様にピザを投げ返しながら精神攻撃マシマシで
「ピザでも食ってろデブ」

…言われ慣れてる?
あ、そう


ミスト・ペルメオス
【POW】
また面妖な。…ともかく、押し通るッ!

UFOは不要、愛機たる機械鎧を駆って参戦。
空間戦闘こそ鎧装騎兵の本領、後れを取るつもりは無い。
戦闘領域に到達と同時に【フォースド・アサルト】起動、限界稼働状態に移行。
念動力を最大限に。デバイス等を介して機体をフルコントロール。
サイキック・フィールドとエネルギーバリア、2種の防壁を展開しつつスラスター最大出力で突貫。
巨大な料理による攻撃は…可変速ビームキャノンで焼き払い、立体的な回避機動で避け、或いは防壁やシールドで凌ぎつつ。
機を見て全ての射撃兵装を駆使、適正な相対位置を保ちつつ弾幕のような連続射撃を仕掛けて叩きのめす。

※他の方との共闘等、歓迎です。





「――なんと、また面妖な。」
 ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は黒い鎧に全身を包む機械鎧の使徒である。
 己に課せられた使命に対して、猟兵としては新人ながらに軍人気質でもあり――人間として使えるものはフルに使いながらも任務に飛び込む少年だ。
 まだ、齢にして十七歳の少年である。
 だからこそ、――この事態には、ぶっちゃけだいぶ驚いていたのだ。いや、なんだこの厚み……すべて脂肪なのである!!
 大きさといえばミストが乗る機体よりもずっと数十倍ある姿で、地面に倒れていたそれがおもむろに起き上がり「くやしいい~~~~!!!」とかいいながら自己強化を始めた時だった。
 無機物に身を包んだミストのことなどは気にしていないようで泣きじゃくりながら大粒の涙とともにしょっぱそうな頭の上にあったポテトとハンバーガーを貪り食っていた。

 ――なんだこいつ。

 真面目なミストからすれば、何もかもが言語道断である。
 戦場でジャンクフードを貪り食うことも。あまつさえ泣きながら駄々っ子の様に暴れていることも、こうして敵たるミストの反応など気にしていないことも。
 なにひとつ、なにひとつとしてわからぬ。
 
「……ともかく、押し通るッ!」

 黒い機体のコックピッドにて。
 ぶんぶんと首を左右に振ったまだ若き生真面目な少年の受難は始まったばかりと言えた――。

「何てことだ。坊や、其の年で其の体型はいけない。」
 さて、ミストが攻撃の機会をうかがいながら、この脂肪の塊がエネルギーをためているのであろう数値を計測させながら射撃座標を割り出しているのをよそに。
 ふんわりと浮いたのは、皆がうらやむ美少年のからだである。
 はっきり言うのならば、この時点でファット・ボーイは彼との間に確かな「敗北」という溝を感じたのだ。
「え――?? 」
 ファット・ボーイも、まあ少年である。
 少年っていうかだいぶおデブな少年である。この存在が過去のものではなくて、もしかして「未来」にあったのならばきっと――もはやこの体系では悲惨な未来は免れないのだろう。
「成人病まっしぐらじゃないか。可哀想に。碌な食育を受けてこなかったんだね。」
 それを想像して、組んだ両腕のうち右腕で頭をささえながら、くてりと首をうなだれさせた六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)だ。
 瞳には哀れみしかない。だって瑠璃緒は神なのだ――神の前ではどんな美しいものも醜いものも等しく愛すべきもので、見守らねばならぬものである。まあ、天罰だって時には与えていいのが常だ。仏はきっちりしているけれど、神はざっくばらんなのである。
「憎らしくてやけ食いをしてしまうのは結構だけれど。ああ、ちょっと」
 神、わりと真面目に哀憫の顔をしているのだ。
 ばぐばぐと瑠璃緒を見て嫉妬に狂うようにやけ食いを繰り返すファット・ボーイに両手で落ち着くよう恭しくアピールをしてみるけれど、展開されるのは臭気である。あぶらくさい。
「うるさいなぁ!! お前に何がわかるんだよこのパーフェクト・ヒューマン!!! 」
「人間じゃないかなぁ。何もわからないけれど悲しんでいることはわかるよ。どうして、悲しいのかな?」
 教えてごらん、と瑠璃緒が腕を大きく広げてみて、寛大な心をアピールしてみるのである、実際神様は寛大なのだ。神様ってわりと何でも許しちゃうのである。

「君には……わからないよ……。」

 くしゃりと――むちむちの赤ちゃんのような関節で、確かにジャンクフードの包装紙は握りつぶされる。
 その一瞬で、いろいろな推測が瑠璃緒の脳内を駆け巡っていった。彼もまた、オブリビオンであれど「昔は」瑠璃緒が観測すべき生き物だったのかもしれない。
 もしこのオブリビオンが生まれつき肥満児で糖尿病だったから腎臓が悪くてうまくご飯が食べれないとかそういうのだったら――最近読んだ本とかそういうストーリーだったし。ちょっとほろりときてしまいそうであった。神様は割とすぐに涙する。

「僕にとってはポテトだってジャガイモからできてるから野菜だし怪物系ラーメンは主食だしこの程度のカロリーなんておやつと一緒なんだよ!! 理想的な体しやがってこのチート美少年ッバーーーーーーーーーカ!!!!!!!! 」

 びち、と。
 食べていたらしいピザのソースが瑠璃緒のほほを僅かにはねていって地上へと落ちて行った。

「――少しカロリーを消費しようね。」

 笑んだ顔は、きっと昏い笑みがあったのだろうか。神様、怒るとめっちゃこわいのである。でも大丈夫、今の瑠璃緒は哀れみのほうが勝ってるから――大丈夫だよね!?

「い、いやぁー。これはこれは、圧巻だなあ。」
 わめき散らす声すらなかなかに大きい。栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が少々顔をしかめてから――見上げた。
 どうやら見目麗しい少年に対して嫉妬をまき散らしているようである。確かに嫉妬されてもおかしくないくらい美しい外見をしているのは澪にだって理解できるけれど、それにしても情けない豚のような悲鳴だなぁとも思う。
 UFOの操作は内部から窓を開いて、相手を眺める程度慣れたものである。49ers入りを果たしているのもあって、経験がものをいう。操縦程度は苦労しなかった。
 さて、相手はどうやらそろそろ正気を保つのも苦しいらしい。
「あれだけ食べてて、まーだカリカリしてるんだ。救えないなぁ。」
 やれやれと肩をすくめて、澪の声は拾えぬだろう怒りに燃える巨体がくらりと傾いたのを見た。
「わ。」

 慌ててレバーを握って、細い指が素早く動いたのなら――澪の旋回していた場所に巨体が空中で一回転していたのである。

「目標、補足!!最大稼働ッ――行くぞッ!」

 このふざけた戦いなど早く終わらせたいのであった。
 機械鎧で唸ったミストが【フォースド・アサルト】でどっせいと一発みぞおちめがけてエネルギーをサイキックをもとにした二重バリア構造にて突貫!!
 ごうううと唸ったスラスターが青白い炎を吹き出して、大気を焼きながらその脂肪に期待を食い込ませる!!
「っなに――。」
「うははははは!! 残念だったね、僕のほとんどは脂肪だよ!! 衝撃なんて筋肉にも骨にも届かないのさ!! 」
「いや、それは憂うべきだよ。」
 ならば削ってやろうではないかと――その顔面に死角から潜むことに成功した澪がぱぁん、と巨大なパイを大きく振りかぶって――UFOから乗り出した上半身で投げつけた!!
 そう、サイズとしては普通の大きさだ。
 この程度、このファット・ボーイにはなんてこともない。狙うところが大事なのだ。橙色の瞳には確かに「狙った」場所があった――。

「う、うわああああ!! 目が!! 目が!!! ぁあああっ!!!」

 マスクで覆われた顔――その隙間たる目に直撃させた!うーん!!目がしびしびする。糖分は粘液をまとうところにくっついちゃうと割と激痛を発生させたりもするのだ!鼻の粘膜とかとくにね!
 悶絶を繰り返してじたばたと両足を踏もうにも、攻撃に出るはずだった体は宙に浮いて臨戦態勢だったのだ。

「このやろーーーーっっ!! 」
「させん――!! 」

 振りかぶった巨体が両手にしたピザをでたらめに振り回すというのなら、それを撃ち抜くのがビームキャノン!!
 目の前で散っていくチーズの束になんの食欲もそそられぬ、と――鎧が唸ったのならば。

 とどめとして現れるのは、瑠璃緒である。


「食べ物を粗末にしてはいけません。覚えておくといい。」

 すっかり食欲もうせてしまっていたのだ。
 はあ、とため息をついた完璧な美少年たる彼が合図をすれば、血刃たちは唸りその油まみれの体をまるで裁断するかのようにふかくふかく切り刻んでいく!!

「がは――なぜ、僕に攻撃が、届く!!? 」
「そりゃあ脂肪を覆ってるのは皮膚だからだよ!! 痛覚くらい――生きてるで、しょっ。」
「ぶ!!!!!! 」

 でたらめな動きを止めて、メインウェポンであろうピザも失った。
 ここが好機と――澪が円盤から飛び出して、美しい音波を喉から放つ。それに身構えるのは、生物としてのおそれだろうか、それとも下すべきオブリビオンとしての本能だろうか!!

「なんでだよ、なんで――君たちだってカロリー好きだろう!!!??? 」
「残 念 僕 は 少 食 だ ! !」

 ぶわー。
 ややエコーかかった渾身の叫びとともに花びらが散って、巨体が花びらに切り刻まれて小さくなっていった。
 赤いコスチュームがさらに真っ赤になったのを知って、追撃が来るのを理解している三人は振り返ることもない。
 澪が風をまとってUFOにまた着陸を果たしたのならば、円盤と鉄の鎧は先導して空を駆ける。ぶっちゃけデブの相手をしている場合ではなかったのだ!

 それで、あまりにも哀れで花びらに散る巨体を見下ろしてやりながら、冷たい瞳の色をした瑠璃緒が――宣告したのである。

「ピザでも食ってろ、デブ。」

 【古き銀幕の活劇譚】にてすっ飛んでいった美しい軌跡を、きっと脂質まみれで覆われた瞳は見ることもかなわなかったのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鬼柳・雄
※アドリブ絡み歓迎

今度はUFO乗ってデカブツと空中戦かー(もらったピザをもっちゃもっちゃ食いながら)

あんだけデカいなら的に困らねえな。シア(悪魔のマルコキアス)も飛べるし、俺はUFO乗って指示出しながらシアに戦わせるか。

自分への攻撃は回避重視。当たりそうになったら「オーラ防御」で凌ぎつつ様子をうかがって「情報収集」で相手の攻撃パターンを読み、契約悪魔のシアを召喚して戦わせます。ホットなパイとクールなパイをお届けだオラァ!

「シア、ジャンクフードだが食い放題だぞ。カロリー?太る?悪魔でもそんな事気にすんのか……なら運動して発散しろ。食いながら運動とかヨユーだろ!」


鎧坂・灯理
すごい食べてた……(素のつぶやき)
(深呼吸)よし、倒そう

まずUFOに乗って突撃する
ピザをぶつけられたら直撃前に『白虎』で脱出
【月呑み大蛇】を奴の背後から召還し、巻き付けて拘束させる
それから念動力で、どでかいピザを掴むだろ?

叩きつける!!
ヘイ!!客!!ご注文のクソデカハイカロリーピザだ!!
オラ食え!!顔面に直で叩きつけてやる!!
おかわりいかがだオラァ!!!!グラッツェ(ご注文ありがとうございました)!!!

よし帰るか
なんだカルラ、あれ食べたいのか?
やめとけ腹壊すぞ クチナは多分大丈夫だろ


ジャハル・アルムリフ
じゃんくふーどが、ましまし…?
個々の自由と思えども
主君の健康に日々気を払う身としては
実に看過しがたき敵である

なれば空中戦へ
でかい腹をしおって、甘やかしすぎだ
その運動不足、強制解消してくれよう

空中で【怨鎖】用い
攻撃を掻い潜りながら両手へと鎖を巻き付けたら
目の前で先ほど拝借した「ぴざ」をチラ付かせる

そら、手が使えぬなら全身で動くしかないぞ
上下左右と小刻みに逃げ回りながら翻弄
序でに一切れ頂戴しておく
実に罪深き味だ
もう一切れ貰っておこう
む――いつの間にか半分消えているとは

捕らえられそうになったら鎖で強かに顔面を打ち据えてやろう
痩せるまでおあずけだ
骸の海でも泳いでこい

はて、「こみっと」したのだろうか


ジャスパー・ドゥルジー
イメージと実際のスケール違いすぎねェか!?
あのデカすぎるピザはどこで売ってンだよ!?
色々と頭が追いつかねェぜ

それにしてもUFOはおもしれェな
急な方向転換も何のそのだ
俺の自慢の羽だってここまで機動力高くねェぞ
こういう技術力はSSWが随一なのかと思ってたが
この世界もすっげーな!楽しくなってきたぜ

急な後退にワープ走行
ありとあらゆる機能を遊び……試しながら敵に接近
どォもイェーガー・デリバリーっす
俺はこう見えて極東の国の生まれでね
ジャパニーズ・カロリーをお届けにあがりやっした
砲口から勢いよく射出されるは

\テンプラ/\トンカツ/\イタリア都市風ドリア/

いいんだよ最後のだって日本生まれだ
大事なのはカロリーだ




 竜というのは、だいたい食いしん坊であるからして。
「すごい食べてた……。」
「あーな、めちゃくちゃ食ってたな。さっきの人旦那なの?」
「旦那ァ?嫁じゃなくかァ?」
「じゃんくふーどが、ましまし……?」
 最後約二名はまぎれもなく竜の血が混じり、それでいて素のつぶやきをしてしまった女も最近は竜になっちゃって、そんでもって黒くて短い髪がつんつんとした男しか実は人間のいない空間である。
 それぞれ多種多様な反応を見せながらも、目の前の肉塊が散っていくさまをUFOで横並びに並走して眺めてみる。
「うー」とか。「ぐぬぬー」とか言っている顔面がちょっと泣いていてかわいそうな気もしてきた。
 一切れくれよと言ったらなぜか「じゃあ男の人なんで」と5箱くらい渡されてしまった鬼柳・雄(チンピラサマナー・f22507)が眉根を下げる。
 不良といえば、弱いものはいじめないのである。

「UFO乗ってデカブツと空中戦かーって思ってたけど……なんかちょっとなァ。」

 美しい肢体に嫉妬したり、切り刻まれたり顔面にパイがあったり、散々な目にあっているのを見下ろして――どうしたもんかねとピザのよく焼けた耳をかじる。
 ふわっと広がるチーズの香りと、歯で挟んだままの生地にとろりと伸びる黄金がまたおいしい。カロリーを精一杯口の中で楽しみつつも、雄は思案を続けた。

「チックショーーーーー!!!!!!! デブにはデブのプライドがあるんだよーーーーッッッ!!!!!! アーーーーッッ!!!! カロリーが食べたい!!!!!!!!!!!!!!! 」
「おっ、なんだやる気はあるんだな?」

 がばりと宙に漂っていた巨体に寝転がれたままでは困るのである。起き上がったさまが起き上がりこぼしのさまを思い出させて、いいやむしろダルマかと――鎧坂・灯理(不死鳥・f14037)はとうとう思考の整理もとい飛躍を始めている。
 なんの、これぞマルチタスクなのだ。一つのことから色々なことを連想しちゃうのである。
「デブのプライドってなんだ?私にはわからん。そもそも脂肪というのは過剰な栄養をため込んでいるものであってお前は過剰な栄養によって体を蝕まれているということであって」
「うるせーーーー!!! オブリビオンになってんだよこちとら!!! そんなことどうでもいいんだよ!!! 」
 灯理には、デブの心がわからぬ――。
 なぜなら彼女、生まれてこの方太ったことがない。雨の日も風の日も意志で家を飛び出したといえど泥水をすすり生ごみを食べて時には何日だって食べれなくて水で過ごすこともあったのだ。
 というか最近までそのツケもあって体が小さかった彼女である。全く以て読んで字のごとく「贅沢」を知らぬ生き物であるから、理解に苦しんで顔が梅干しのようになっていた。

 ――さっっっぱり、わからんッッッ……。

 プライドがあるというから、まず真正面から対峙してそのうえで倒し方を決めてやろうとはしていたのだ。
 円盤の座席シートがやけに高級でちょっとイラッとしていたのだけれど、今はもはやこの目の前にいる自暴自棄かつ自業自得で自縛によるゆるやかな自殺をもくろむ生命体のことが一切理解できない。
 ので。

「よし、倒そう。」
「お?やる感じか。――よォし、じゃあシア、頼んだぜ。」

 ――【悪魔召喚「マルコシアスⅡ」】。
 思考を放棄もとい計算を終えた灯理の脳がぷすぷすといい始める前の処置として、戦意を紫に宿した探偵を合図に雄が相棒を呼び出してやる。
 蒼と黒を引き連れた麗しの美少女が顕現して、たちまちその羽を大きく広げて空間を割いて顕現した。
 ぐるるとうなる喉と雄々しい耳から感じられる獣性に、「ほお」と灯理も興味深げに見上げる。
 雄は、弱いものに手を出さない。それはすなわち、「かっこわるい」のだ。チンピラだけれど弱きに集るのはチンピラ以下で、だから彼は手を下さない。
「シア、ジャンクフードだが食い放題だぞ!! やっちまえ!! 」
 そして、悪魔使いである彼もよくよくその「強さ」と引き換えにすべき代償のことはよくわかっているのだ。
 雄が戦意とともに吠えてやれば、ぎちりと刃を重なり合わせた「シア」が牙を――。

「カロリー?太る?」

 むかなかった。
 くるりと雄のほうを向いてぶんぶんと首を横に振る。

「悪魔でもそんな事気にすんのか……。」
「気にするんじゃないか、乙女だし。」

 灯理からのツッコミ(?)には乙女か……?と雄がまた「シア」を見る。
 いやどう見ても美少女ではあるけれど、それこそ恐れるべき悪魔、時に文献では地獄の伯爵だとか言われてしまうような「マスコシアス」である。
 というかぶっちゃけ文献では犬畜生なのだ。それこそがつがつと貪り食いそうなものなのに――ざんねん、シアちゃんはおんなのこだ。

「なら運動して発散しろ。食いながら運動とかヨユーだろ!」

 デリカシーのない、という犬のジト目ににらまれながらも、UFOから指示をだす雄の命令には従ってやろうと――仕方ないとばかりに飛び出していった。

「なんなんだシアのやつ、悪魔のくせして……。」
「いやいやいや何適応してンだよイメージと実際のスケール違いすぎねェか!?」

 飛び出していったシアと大きすぎる「ファット・ボーイ」を比較したら、前者が蚊で後者がヒトである。
 悲鳴めいたツッコミを上げたのはこの場の空気があまりにも順応しすぎていて全身ロックなジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)だ。
 反骨――いっそこの場では常識的ですらある判断を下して、二人の目を覚まさせようと「しっかりしろ!! 」と呼びかける!!
「あのデカすぎるピザはどこで売ってンだよ!? 色々と頭が追いつかねェ……!! 俺は馬鹿になっちまったのかァ!!?? 」
「案ずるな、俺にはお前がまともに見えている。」
 本当かよ。
 ――大真面目な顔をしてジャスパーを励まそうとする正直すぎるゆえに凶星であるジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)がいたもので。
 明らかにこの場で一番「天然」に「ヤバそう」なやつに肯定されたような気すらして、一番ヤバい外見のはずであるジャスパーも思わず固まってしまったのである。
 この事態、絶対にヤバい。成程確かにノッてしまうほうが心の健康にも体の健康にもよさそうである。いくら被虐趣味のある彼とはいえ、太るという被虐行為にはどうしてもありとあらゆるリスクが付きまとうものだから、それならいっそ食べずにやせ細った痛々しさのほうが興奮するのだ。
 うーんうーんとフェチズムの壁に挟まれながら頭を抱えたジャスパーにうむうむと頷いてやりながら、ジャハルが視線を移す。

「うぉおーい、頑張れシアー!! そこだッ! ジャブだジャブ!! 」
 雄がピザを振り回しながら使い魔に声援を送ってやりつつ指示を出す向こうで、灯理の瞳とジャハルの瞳がかちあった。

「個々の自由と思えども――主君の健康に日々気を払う身としては、実に看過しがたき敵である。」
「!! 」

 ここに、同じ言語でしゃべる生き物がいたことに――ちょっと感動した灯理である。
 そう、ジャハルは「守る」側の人間だ。防人といっていい。その彼は「主」たる存在のことも日々気にかけながら毎日かいがいしく世話をしている身でもある。
 灯理と竜の女とは確かに関係性の差異はあれど同じくらい「大事」にしていることには変わりない。だからこそ、灯理の「憂い」と「驚愕」を射抜いてしまった。

「あれだけ偏ったものを食べさせては、健康に悪い。」
「そうだろう!? 私のつがいの健康に悪い!! やっぱり殺そう!! 今すぐ!! 」
「うわァー、スイッチ入ったァ。」
「シアー! 今だ今!! そこでアッパーカット!!! 」

 ――そう。
 肥満というのは、日々の自己管理の怠りでもある。いくら今は誰もがうらやむプロポーションで常に運動を心がけているからといっても、生きている限り「太る」というリスクは付きまとって日々体を侵していくのがふつうなのだ。
 太りたくて太ったわけではない、空気を食べても太るのだ――だなんて世の困ったちゃんたちは言ってしまうのだけれど。

「 知 ら ん が な ! ! ! ! ! !  」 
「バブッッッッ!!!!!???? 」

 灯理のUFOが脂ぎった右ほほに直撃して――彼女がいつの間にか相棒たる二輪「白虎」に跨る間にジャハルの【怨鎖】がむちむちボディを締め付ける!!
 強く締めずとも皮膚と脂肪の膨張でおのずと肉を鎖の間に挟まれながら「いたいいたいいたい!! 」とわめく不健康体にゆらり、黒の竜が眼前へと降りた。

「でかい腹をしおって、甘やかしすぎだ。その運動不足、強制解消してくれよう――そら、動く時間だ。」

 ぎろりと睨み付けたジャハルのしなやかな尻尾が唸って。
 それから、その黒い体の向こうに灯理の白虎が空気を割きながらすべてを「足場」として浮いた。
「それにしてもUFOはおもしれェな――急な方向転換も何のそのだ。」
「ほんっと、すげぇ。これがSSWの技術じゃないっつーのも驚くね。」

 巨体が後ろを振り返る暇も与えぬ。その鼓膜に届いたのは、二人の男――ジャスパーと雄の確かな怒声だ!!!

「どォもイェーガー・デリバリーっす!! ジャパニーズ・カロリーをお届けにあがりやっした!! 」
「こちらはホットなパイとクールなパイをお届けだオラァ!!食らい――やがれェェェエッッッ!!!!! 」
「うごぉおおおおおおォオオッ!!!???ちょ、ちょ、ちょっとまって!!! 最後のはパイっつーかプリッツじゃぶーーーーーーッッッ!!!!! 」

 \テンプラ/\トンカツ/\イタリア都市風ドリア/
   ●=    ●=   ●=========皿

 ――最後のは実は極東にて生まれたジャスパーだからこそ知っている。いや、たぶんUDCアース日本出身の二人も知っていると思うのだけど税抜きだいたい300円くらいで食べれちゃう日本生まれの料理である。
 アッツアツの出来立てじゅわじゅわのカロリーをUFOから射出するジャスパーと、ここぞとばかりに「シア」が抜き放った二つのプリッツもとい、双剣でぶぉんぶぉん切り刻むさまはまさに圧倒的文字通り「カロリーで暴力」!!
 これには食べることの許されぬデブも防戦一方である!!むしろやけどしてる。とてもつらい!!これでは味もわかるまい!!

「や、やめろ!! せめて食べさせてくんない!!? そういうのよくない!! 」
「何を図々しいことを。そら、走れ走れ。」
「うわあああああ!!! ――アッ!!? 僕のピザ!! 」

 ジャハルが鎖でずるずると引きずりまわしながらアッツアツの油分で年末のコントよろしく真っ赤になりつつあるファット・ボーイが手にしていたピザなどは、とうの昔にジャハルが没収していた。
 痛みに夢中で気づかなかったらしい食欲の亡者に一瞥して、ぺろりとジャハルがまた一切れたくましい体の中に口から流し込んでいく。

「実に罪深き味だ。――もう一切れもらっておこう。お前もいるか。」
 こくこくと頷くシアが彼のところによっていったのなら、駄賃と言わんばかりに両手を差し出してねだった。
 悠々とした手つきでよくチーズの伸びるサルモーネを分けあって、竜と犬がむしゃむしゃと堪能するわけである。なぜならば勝者だから。
「エネルギーがなければ貴様もただ減っていくのみだろう。」
 ぺろりと平らげて見せる腹ペコ凶星のジャハルの胃に半分ほど質量が収まってしまったのを見せつけられて、唸る脂肪の塊だ。
「ち、ちくしょお――ッッッ!!! もっと、もっとカロリーがあれば……!! 僕は……!!」

 震える手は低血糖の証であろうか。不思議だけど太ってても低血糖にはなる。かなしい。
 右手で小さなジャハルを掴むことも構わぬ。彼を霞む視界で見上げながら――その場に「もう一人」がいないことを悟ったのは、やや遅かった。

「ヘイ!! 客!! ご注文のクソデカハイカロリーピザだ!! 」
「あッッッッッづぁあああああッッッッ!!!!!?????」

 そう、このファット・ボーイ、なんとピザをふた箱も抱えているのである!!
 ジャハルたちが楽しんでいるピザはひと箱ぶん――そして今!!灯理がその顔に叩きつけた巨大な円盤はふた箱目!!!

「オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!オラ食え!!」

 べちんばちん。
 いっそ餅つきの餅のほうがかわいいレベルである。「ヒュウ~~~」なんて言っちゃうジャスパーだけはこの光景に別のものを見出していた。なんだろう、真っ赤な桃とか。
「おかわりいかがだオラァ!!!!――なんだ、カルラ。」

 ごしゅじん、そいつもうしにそうです。 

 おもわずちろりと燃えた炎の竜がそう訴える目をしたところで、「やめとけ腹壊すぞ。」なんて言っちゃう灯理である。そう、灯理には獣の心がわからぬ。

  ご 注 文 あ り が と う ご ざ い ま し た
「 グ ラ ッ ツ ェ ! ! ! ! ! ! 」

――【召喚:月呑み大蛇】。
 脳震盪っていうかもう表情筋も頭蓋も爆発である。ミンチよりひでぇや。
 ハンバーグも真っ青な状態になった豚もといカロリーの化身を丸呑みして、大きな蛇が夜空を舞っていった。

「痩せるまでおあずけだな。骸の海でも泳いでこい。」

 空に舞う――蛇がまるで波のようでもあって。
 目を細めたジャハルの持ったピザを、俺も俺もと起用にUFOを運転してきた雄が手を伸ばしたのなら、やっぱ天ぷらだろ!?とジャスパーが訴える。
 召喚された「シア」がどちらを食べようか悩んで目線をうろうろしている内に、灯理は皆のもとにUFOで戻ってきて、げんなりした顔で頭を掻いていた。

「はて、「こみっと」したのだろうか。」首をかしげるジャハルに。
「――すっごく、どうでもいい。」灯理が思い出したくもないと紫を右でおさえた。

 わいわい、きゃあきゃあ。やっぱり健康じゃないと食べれるものもおいしく食べれないのだ。
 星々の光が近づくまで、きっと皆で和食と洋食のフルコースをしたことであろう。
 いっぱいたべたって、いいじゃない。 猟兵だもん。

 ――ごちそうさまでした!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月12日


挿絵イラスト