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アースクライシス2019⑧~渦巻く地底湖を渡れ!

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #センターオブジアース

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 そこには、一面の地底湖が広がっていた。
 色は青から緑のグラデーション。水平線が見えるほどに大きな湖面を、信じられないものが泳いでいる。
 首長竜と呼ばれる恐竜の一種。
 獰猛な牙と滑らかなヒレを持つ、水中の覇者たちだった。

「皆さんのおかげで、モニュメントバレーが制圧できました。まずは、お疲れさまです。そして、新たなお願いです」
 プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は猟兵たちを出迎え、次なる戦場の説明をはじめた。

 モニュメントバレーに出現した洞窟の先に繋がっていたのは、パンゲア大空洞と呼ばれる未開の地底洞窟。
 まるで熱帯のような樹々が遥か彼方まで生い茂り、恐竜たちが我が物顔で闊歩している。
 あるものは翼で飛び、あるものはヒレで水中を泳ぐ。そしてあるものはその牙で他のものを襲い、肉を食む。
「調査によると、このパンゲア大空洞のどこかにセンターオブジアースに繋がる『鍵の石版』が隠されているようなのです。そのうちのひとつが、この広大な地底湖を越えた先にある浮島に確認できました。ただし、『鍵の石板』の持つ魔力によってこの湖には常に巨大な渦が逆巻くようになってしまいました」
 通常の手段で湖を渡ろうとすればこの大渦に飲み込まれてしまうだろうが、そこは猟兵たちの腕の見せ所である。

「皆さんなら、この渦を越える方法をお持ちかと思います。ただ、この湖に棲む恐竜たちが探索の邪魔をしてくるので、もしかしたらそちらの対処の方が大変かもしれません。どうか、お気をつけてください」
 うまく恐竜たちを味方につけたり、あるいは追い払うことができれば探索するのも随分と易しくなるだろう。
「それでは、皆さまを大空洞までお送りします。猟兵探索隊の結成ですね!」


ツヅキ
 恐竜だいすき。ツヅキです。
 出てくる首長竜は幾つか種類がいますが、だいたい10m~20m程度の大きさになります。
 こちらのシナリオでは「邪魔する恐竜を対処しながら湖を渡るためのプレイング」をおかけください。シナリオが成功した場合、1つの『鍵の石板』を入手することができます。

 プレイングの受付は11/11朝頃までの予定です。
 頂いたプレイングはまとめて判定・執筆いたします。
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第1章 冒険 『パンゲア大空洞の大冒険』

POW   :    探索の妨害となる恐竜を力づくで排除しつつ、正面から探索する

SPD   :    見つからないように移動するなどして恐竜に邪魔させず、周囲の状況を良く確認し、探索を有利に進める

WIZ   :    知恵を駆使して恐竜を懐柔あるいは排除し、探索の為の作戦を考案する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユリウス・リウィウス
ここの石版は浮島の上か。必ずしも泳ぐ必要は無いのがありがたい。
悪魔召喚。ガミギン、来い。
俺とお前の屍術を掛け合わせて幽霊船を呼び出すことは可能か?
死霊の霧・亡霊騎士団・悪意の怨霊を俺が使い、ガミギンには朽ちてなお沈まない船体を用意させる。
無事に幽霊船が作れたなら、周囲を霧で包んで目的の浮島まで航海といこう。
途中現れる首長竜には、「恐怖を与える」「精神攻撃」の虚空斬を一撃お見舞いしよう。それでくたばるほど柔でもなかろう。なあ、おい?

湖面の渦潮は出来るだけ避けていくが、突っ込んだところで船体が更に壊れるだけだろうしなあ。必要なら渦に突っ込んで渡るか。
それくらいの強度はあるんだろう、なあ、ガミギン?


ナイ・デス
渦は空……空でいいのでしょうか。まぁ、飛んでいけばいいとして
問題は恐竜、ですか
道案内とか、して貰えると、助かりそう、ですね?
……仲良くも、してみたい、ですし……!

【念動力】で浮遊、自身【吹き飛ばし】て飛翔【空中戦】し、浮島へと向かいます
【第六感】で恐竜に気付き【覚悟】自分から近づいて
邪魔してくるのを、地縛鎖巻きつけた腕で【かばい】受け
【激痛耐性】痛くない、痛くないと、慣れてて平気な顔で、撫でながら
【動物と話す】話しかけます。にゃーん
鍵の石板を探している。大渦の原因を取り除きにきた
仲良くしましょう?浮島まで案内してくれませんか?
という内容のお話
敵わないと諦めてくれるまで、そう話しかけ続けてみます


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

サファリハットに双眼鏡、探検隊の恰好をして洞窟探検に出発だよ♪
艱難辛苦の冒険の末、ティエル隊員の見たものは!!
うん、ここが予知にあった地底湖だね♪

ふむふむ、ボクが飛んで行って渦が弱い場所がないか探してくるよ♪
背中の翅を羽ばたいて「空中浮遊」、湖の上を飛んで「情報収集」するね!

湖の上を飛び回ってたら20m近い影が……これが噂の恐竜かな?
水面から顔を出してボクを食べようとしてきたから、レイピアでチクチクするけどあんまり効いてない?
ようし、それじゃあ、お腹の中からチクチクしてやるぞーと大きく口を開けたところを中に飛び込んじゃえ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


闇之雲・夜太狼
ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!

湖の先にあるのはさしずめ宝島だね
いざ、大渦攻略!

自身の体に【念動力】を働かせることで【空中浮遊】をして
この状態で湖の表面を少し浮くくらいの高さで渡っていこう
本当はもっと高く飛べるけど、翼竜に目を付けられたりでもしたら
場合によっては湖に落とさなくちゃいけないからね

さあ、渡りながら水中の恐竜の対処だよ
こっちに浮上してくる影が見えたら、ガオウ丸で雷【属性攻撃】を帯びた液体を流してあげる(【マヒ攻撃】)
原液から希釈されるし、体も大きいから俺が離れた頃には痺れもなくなると思うよ♪

島に着いて探索する時は【第六感】を頼りに探そう


宇冠・龍
由(f01211)と参加

浮島への調査
これは元冒険者として興味が惹かれます
アックス&ウィザーズでは浮島は至る所にありましたからね

【蛟竜雲雨】による10体の霊で編隊を組み、その背に乗って空を飛んで浮島まで移動しましょうか
とはいえ、ここに生息する恐竜たちにも興味あります

翼で飛ぶ種もいるみたいですし、もしかしたら私たちを狙ってくるかもしれませんね
とはいえ野生生物なら敵性の群れにいきなり襲い掛かってくることはしないはず
視界の悪い森林ならともかく、開けた空の上なら、群れが来ても最初は様子見が鉄則

私は霊の隊を操って牽制しつつ、交渉はお話できる由に任せましょう
一番の問題は、浮島のどこにあるかですけど


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

私は空飛ぶヒーローマスク
空中戦は大の得意
地獄の炎で身体を出して、お母様と一緒に空旅と洒落込みましょう

向こうは原初の存在
火事はともかく、空飛ぶ炎は見たことはない
いきなり食べかかる、なんてことはしないと思います
私の地獄の炎は燃え移ることはないので大丈夫ですけど

恐竜が近づいてきたら、ビーストマスターの力でお話してみましょう
持ってきたお菓子やお肉を投げてもみます
肉食でなければ、【可愛いは正義】で呼び出した小鳥たちを近づけてお友達に

もしも浮島の存在を知っているなら案内もしてもらいましょうか
一緒に旅ができたら、最後に恐竜さんたちにきちんとお礼を言います
淑女たるもの礼節は大事です


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
匡/f01612と

大渦の回避と恐竜の手懐けと……
どっちもやるとなると、そうだなあ
……飛ぶか

幻想展開、【怒りに燃えて蹲る者】
でっかいタクシーだとでも思って乗ってけよ、匡
いや、こっちも格好良いなって最近思ってさ……

同じくらいの大きさになっとけば、上手いこと恐竜たちとも仲良く出来ねえかな
分類的には同じ爬虫類だし
まあ肉食っぽい見た目だし、怯えて逃げるなら逃げるでも成功だけど
匡、牽制任せて良い?
私の爪使うと、ちょっと殺しちまいかねねえ

浮島に着いたら人型に戻る
探索っても、こういうの不得意なんだよな
匡の目を頼りに進む
第六感がここだって言うとこは重点的に
私の方は見ての通りって感じだけど
お前の方はどうだよ、匡?


鳴宮・匡
◆ニル(f01811)と


冒険、とかではしゃぐ歳じゃないけど
この景色はなんか、圧倒されるよな

……お前さ、最近割と吹っ切れてきたよな
じゃ、お言葉に甘えて背中借りるぜ

ニルの姿見て仲間だと思ってくれるか、逃げるなら逃げるでいいけど
襲ってくるようならこっちで対処を請け負う
射撃で牽制しつつ追い払うよ
弾が身体に残ると命に関わるだろうから
攻撃が必要な場合は必ず“掠める”程度に留めるか
“必ず貫通する”と思われる箇所だけを狙撃
悪いな、ちょっと散っててくれよ

浮島に辿り着いたらあとは探索か
他の猟兵たちと手分けしながら探そうぜ
眼は割といい方だ、逐一周囲の景色を確認しながら進むよ
ニル、そっちはなんか変わったものあった?


月守・咲凛
アドリブ共闘OK
きょうりゅうさんが居るのですね。……きょうりゅうさんは渦だいじょぶなのかな?
フヨフヨと通常飛行で浮島に向かいながら、恐竜の事を少し心配します。
渦で危なそうな恐竜が居たら、念動力で掬い上げて、渦の範囲から離れた場所に移してあげるのです。
私は泳げないので水中には入りたくないですけど、どうしても水中を移動しなければならない時はユニットシフトで飛行ユニットを戦闘機に変形させて更に高速飛翔モードを発動、フルブーストで加速して加速力の力押しで一気に突き抜けるのです。


パウル・ブラフマン
地底湖!コレはツアー前に事前調査しなくっちゃね♪
石板捜索?モチ!忘れてないよ☆

あの浮島に向かえばいいんだよね?
アーイ!行くよGlanz、水陸両用モード☆
愛機を変形させ水上バイクよろしく湖を滑走。
調査手段に困ってる猟兵さんが居たら
さりげなくフォローを。良かったら、後部座席に乗ってく?

渦巻き地点に突入したらUC発動!
回転する水力に逆らわず
浮島側への推進力を利用し【ジャンプ】で脱出を。

ダイナソーさん達も
オレのスピードには付いてこれないっしょ?
渦巻地点で窮地に陥ったダイナソーを発見したら
Saugerを巻きつけて救出したいな。
もし仲良くなれたら
石板の在処の手がかりを聴いてみよっと♪

※絡み&アドリブ大歓迎


境・花世
イア(f01543)と

図鑑の中で幾度も見た恐竜たち!
はしゃぎたい気持ちを押さえて、
イアの眠らせた子を記憶消去銃で気絶させよう

おいで、わたしの可愛い子

涜葬で操る一匹の首が下ろされたなら、
きみと一緒に迷いもなく飛び乗って
悠々と泳ぐその背から湖を見渡そう

近寄ってくるほかの子らがいるなら、
今はきみたちの仲間だよと笑いかけて、
怖がりもせずに鼻を擽るように撫で

大きないきものたちを見上げながら、
雄大な湖面をどこまでもゆく旅は
まるで時の狭間に迷い込んだ刹那の夢――
けれど繋ぐきみの手が握り返してくれるから、
これはきっと、ほんものの冒険だ

醒めぬまま笑い合ってどこまでも行こう
きみとふたり、世界の果てさえ越えて


イア・エエングラ
花世/f11024と

どこかで啼く声聴こえたならば
花世の開いて見せた頁の世界
何度も確認した姿認めて
怖がらせてしまう前に瓊翠でもっておやすみよう
あとは作戦通りとお任せしたら
夢に見たような冒険へ花世と背なへと駆けだそう

漣ゆく背の大きなこと
悠々としたおてての見事で
ねえ、お前、とても泳ぎが上手ねえ
首元撫でるように撫でながら
周りの子らはお友達かしらと

ねえ、ね、あの子も図鑑で見たねえ
まるで入り込んでしまったようね
過る風の心地よさに飛沫跳ねる水面に
楽しいね、とつなぐ手を振りたい心地で握るなら
煌めくあなたの眸が雄弁にお返事してくれるよで
こぼれる笑みと冒険の先、頁を捲る世界の先へ
ねえ、どこまで行こうかしら


鷲生・嵯泉
……成る程
中々見応えの有る景色ではあるが、悠長に眺めている余裕は無いか
こうも広大な地とあらば、探索するにも時間が掛かるだろう
先の攻略の為にも出来得る限り急がねばなるまい

此れならば宙を行った方がマシと見える
騰蛇を召喚して使うとしよう
野生の生き物であれば火を纏うものを恐れる筈
だがもし近付く恐竜があれば
傷付けん様に加減した衝撃波を水面や手前の空間に撃って下がらせ
出来た合間を騰蛇にすり抜けさせる
……構うな。あれ等は敵では無い。全力で抜けろ

騰蛇には浮島の端にて待機させ、徒歩で探索に周る
大渦を起こす程の魔力ならば、強い流れの様なものがあるだろう
第六感にて其れを探し辿って行くとする
確保が叶えば長居はするまい


ヒルデガルト・アオスライセン
やっぱり未開の大自然とダイナソーの驚異を知らしめる為
血気逸った若者が真っ先に犠牲になって情報を伝えるべきだと思うんです
行きます

塔に幽閉されていた頃から
あれをやってみたかったんですよね
イカダ作りましょうイカダ
例え無残に壊れようとも
試行錯誤した体験は消えないんだ!

湖畔の樹木を伐採し
表面と寸法を軽く整え
ツタで括り付けます

想定より大きくなりましたね
これをオーラで全体を防御、出来ない…

意気揚々と湖へ繰り出し、敵情視察です
イーコアで渦の規模、流れの強さ
群れの総数、特徴を探り記憶
閃光瓶、香水瓶を投げつけて怯ませ
対象を傷つけずに逃げましょう

不利なフィールド下では敵わないので多班に伝達、合流します
※諸々ご自由に


ヴィクトル・サリヴァン
首長竜かあ。陸の方の有名なのは草食だけど水中のは肉食なんだっけ?
あと家族愛も強いって説も見たような。
流石に恐竜に対処しながら大渦越えは厳しいし、どうにかしないと。

歌唱と楽器演奏…シャチの歌で湖の恐竜を誘き寄せてみる。
来たら動物会話でまず自分に敵意が無い事を話し、困ってる事ないか聞いてみる。
例えば大渦、うっかり家族が巻き込まれちゃうんじゃないかと聞き、大渦に邪魔だとか否定的な印象もってるならそれを消してこようか?と交渉。
少なくとも邪魔しないでくれるならできるけど、と。
渡るのはUCで空シャチ召喚。浮島まで水面すれすれで並んでもらい、その上を渡っていこう。
…白兎じゃないけども。

※アドリブ絡み等お任せ



●第1章 『猟兵探検隊出動!』
「ここの石板は浮島の上か」
「はい。ここはやはり、血気逸った若者が真っ先に犠牲になって先遣隊の役目を果たすべきでしょうね」
 ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)の呟きにヒルデガルト・アオスライセン(リベリアス・f15994)は颯爽と湖畔の樹木を伐採して集めた丸太をツタで括り付けていく。
「なにをしてるんだ……?」
「イカダ作りです! 未開の大自然を往くのであればやはりこれですよね。昔、塔に幽閉されていた頃からやってみたかったんです」
 ヒルデガルトの瞳が活き活きと輝き、まるで夏の陽のような美しさでユリウスを見た。
「ったく、俺には眩しすぎるな……。ガミギン、来い」
 面倒くさそうに頭をかき回し、ユリウスは死霊の大侯爵に船を容易できるかと尋ねた。その間にもユリウスを中心として不気味な霧が辺りを包み始める。やがて、鬱蒼と茂る樹々の合間から数十人規模の亡霊騎士団が船頭として働くために姿を現した。
「お! すごい幽霊船だ♪」
 空から探索していたティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)はサファリハットを手で押さえ、双眼鏡を覗き込む。背中で蜉蝣のように繊細な羽がはばたき、湖に近づいてゆく。
「ふむふむ、確かにこれははた迷惑な大渦だ……!」
「渦、そのものは……空を飛んでいけば問題ない、ですが……浮島の周囲には、きっと、恐竜たちが……います、よね? 道案内とか、して貰えると、助かりそう、ですね?」
「その通り!!」
 ティエルはぴっと指を立て、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の提案に頷いた。
「それにティエル隊員が観察したところ、この渦は時間によって流れや大きさが変わるようだ。うまくタイミングを取れば、きっと楽に渡れるよ♪」
「なるほど、です……! 湖に棲む恐竜、たちなら、そのタイミングを知っているかもしれませんね?」
「そういうこと! そうと決まれば話は早い。さっそく噂の恐竜を探してみよう☆」
 先行する2人のやや後方を、きょろきょろと心配そうに湖を見渡す月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)と湖の少し上を浮遊して、水面を滑るように飛ぶ闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)が続いた。
「あんまり高く飛ぶと、今度は翼竜に目をつけられそうだからね」
 洞窟の高い天井を仰ぎ、夜太狼は興奮ぎみに黒い尾を揺らめかせる。
「湖の先にあるのはさしずめ宝島ってところかな。なんだかわくわくするね」
「うん……でも、おっきな渦があるんですよね? きょうりゅうさんはだいじょぶなのかな」
 咲凛は不安そうに首を傾げた。
「もし、巻き込まれていたりしたら助けてあげたいです」
「なるほど。その可能性は確かにあるね」
 頷き、夜太狼はあらためて湖面を見晴るかした。
 その時、不意に頭上に影が落ちる。
「まさか、翼竜――?」
「ああ、驚かせてしまってすみません。この子たちなら害はありません。由、振り落とされないように気をつけなさいね?」
 風を切って飛翔する10匹にも連なる蛟竜の正体は、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)によって呼び出された霊龍たちであった。
 宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は――その地獄の炎からなる体で後ろに乗る龍の娘は、一緒に冒険できるのが嬉しくてしかたないといった様子で頷いた。
「大丈夫ですよ、お母様。私は空飛ぶヒーローマスク。空で遅れはとりません」
「頼もしいですね、由」
 龍は昔を思い出すように微笑みながら、「見なさい」とささやいた。
「翼持つ太古の竜たちもあなたの炎に怖じいてこちらの様子を窺っていますよ」
「ふふ。火事ならともかく、私のような炎なんて見たことはないでしょうからね。大丈夫、燃え移ることはないので安心してください」
 由の言葉通り、翼竜たちは初めて見る空中の炎を不審がって遠巻きに眺めているようだった。

 そして、もうひとつ――いや、“ひとり”か――その身に注目を集める存在が翼を広げて風を掴む。
「……お前さ、最近割と吹っ切れてきたよな」
 親友の申し出に甘えて背中を借りた鳴宮・匡(凪の海・f01612)は、緑と土の匂いに満ちた原初の景色に圧倒さえ覚えつつ、口を開いた。
「いや、こっちも格好良いなって最近思ってさ……」
「それで、でっかいタクシー代わりってわけか?」
「ふはは。なかなかいい乗り心地だろう、匡」
 その身を赫色の瞳と角持つ黒竜の姿へと変化したニルズヘッグ・ニヴルヘイム(竜吼・f01811)は冗談めかして空を駆ける。
「まあな。竜騎士にでもなった気分だ」
 匡もまた戯言で返し、ふと顔を上げた。
「見ろよ。あいつら、ニルの姿を見て戸惑ってるみたいだ」
「襲ってきそうか? 仲良くなれたらそれに越したことはないんだが、なにしろ肉食っぽい見た目だからなあ」
 長い首をもたげ、ニルズヘッグが振り返ると目が合った途端に翼竜たちが激しくいなないた。
「匡、牽制任せて良い? 私の爪使うと、ちょっと殺しちまいかねねえ」
「ああ。致命傷は与えずに追い払ってやればいいんだろう? お安い御用さ」
 アサルトライフルを構えた匡の感覚が限界以上に研ぎ澄まされ、弾丸を撃ち込むのにもっとも有効な“1点”を導き出す。
「――――」
 音はない。
 いつ、引き金を引いたのかすら不明。
 だが――。
「ギャィンッ!」
 威嚇していた群れのリーダーと思われるとびきり大きな翼竜のこめかみを掠めた銃弾は、翼の骨と骨の間に張られた被膜のみを貫通していた。

「――始まったか。私も出来得る限り急がねばな」
 見たこともない大きさのシダ植物が遮る上空に盟友と思しき翼影を見つけた鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は、跨った騰蛇の背を撫でると速やかに離陸を命じた。
 嵯泉の駆る騰蛇の炎が湖面に揺らめき、それに誘われた首長竜の影が見る間に浮上する。
「あれが話に聞く水棲恐竜か。騰蛇、……構うな。対処は私がする。お前はただ、全力で抜けろ」
 主の命に騰蛇は炎粉を舞い散らし、ただひたすらに浮島を目指して中空を駆けた。
「これでも食らえ!」
 夜太狼の怪奇銃から静電気を帯びた液体が湖面に流れ込んだ途端、感電に驚いた首長竜の一種が水面から顔を出して激しく暴れる。
「そーれ! チクチクチクチク!!」
 ティエルが小さなレイピアで恐竜の顔面を思いっきり突き刺すと、怒って水をかけてくる。
「ぷはッ! よくもやったなー!?」
「まあまあ、両者とも落ち着いて。話せば分かるんじゃないかな?」
 両手を広げ、かんかんに怒ったティエルはヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が止めるのも聞かずに襲いかかってきた恐竜の口に自分から突っ込んでいった。
「あッ」
「せーの!」
 お腹の中に入ったティエルがレイピアを適当に突き刺した途端、恐竜は我慢できないほどの激痛にのたうち、参ったとばかりに腹を見せた。
「勝利☆」
 ティエルは元気に恐竜の中から飛び出してVサイン。涙ぐむ恐竜を慰めるのはヴィクトルが奏でる歌の調べだ。
「肉食なのを逆手にとられたって感じだね……大丈夫? 俺たちは別にキミたちの棲み処を脅かしに来たんじゃないんだ。じゃあ何をしに来たんだって? あの大渦の原因に関することだよ」
 すると、周りに集まってきていた群れのひとつがヴィクトルの話に耳を傾け始めたのだ。何でも、あの大渦には彼等も困っているらしい。
「なら、私たちと、目的は……同じ、です……!」
 地縛鎖を巻き付けた腕で別の恐竜の襲撃を受け止めたナイは、痛みをおくびにも出さずに自分を噛む相手の頭を優しく撫でた。
 きょとんと目を見開く恐竜に、動物と話す要領で語りかける。
「浮島にある、鍵の石板……あれが、大渦の原因なのです。あなたたちは、あれのせいで発生した大渦に、困っている。私たち、は、その原因である石板を探しにやってきた……仲良く、できませんか?」
 ナイが顔を覗き込むと、恐竜はゆっくりと顎を開いて噛みついていた腕を放した。鼻を鳴らして謝るようにすり寄る頬にナイは自分の頬を当て、「気にしないで」と微笑む。
「じゃあ、俺たちであの大渦を消してこようか?」
 できるのか? と首を傾げる恐竜たちにヴィクトルは頷いてみせた。ただし、と条件をひとつだけつける。
「少なくとも邪魔しないでくれるなら、ね。交渉成立かな?」
 互いに利を生むであろうヴィクトルの申し出に、今度は恐竜たちが頷く番であった。

 何処からか、薄っすらと翠色がかった霧が熱帯のような湿地を包み込む。恐竜と思しき鳴き声が止み、体を横たえる時の微かな地響きがイア・エエングラ(フラクチュア・f01543)の毀れてしまいそうに繊細な足元から伝わってきた。
「わあ、花世の開いて見せた頁そのままの世界ね。葉の緑も、大地の匂いも。そしてこの大きな子らも――」
 イアは空気を震わせるように感嘆の声を漏らし、深い眠りについた首長竜の一匹の首元へとしゃがみ込む。
「花世、あとは作戦通りに」
「うん。わたしに任せて? 大丈夫、痛くないからね」
 境・花世(*葬・f11024)は伸ばした手に触れた鱗の感触に驚いて指を引っ込め、高鳴る鼓動を抑えつつ、眠る額に当てた銃の引き金を引いた。
「おいで、わたしの可愛い子」
 気を失った恐竜の首に指先を這わす花世の、その右目に咲く花から無数の花弁が零れ落ちる。
 巨躯を苗床にして揺り籠のように狂い咲く百花の王。
 その傀儡とできる時間は、たった1日だけ。
「いこう、イア!」
「ええ、花世」
 花世に手を引かれ、イアは首を下ろして待つ恐竜の丸い背中へと2人一緒に飛び乗った。
 すぐさま体が浮き上がるような揺れが起こって、湖に入った恐竜はいとも悠々と泳ぎ出した。
 肌を刺すように冷たい水飛沫が頬を掠め、イアは思わず歓声を零す。
「ねえ、お前、とても泳ぎが上手ねえ。花世、あの子も図鑑で見た子かしら? ふふ、まるで僕たちのほうが本の世界に入り込んでしまったようね」
 握り締めて繋がる指先。
 伝わるのは、至極なる時間のもたらす歓喜と驚嘆。
 花世は「うん」と顔を綻ばせ、顔を寄せた別の子の鼻先を指で擽るように撫でた。
「今はきみたちの仲間だよ」
 喉を鳴らして甘えるのが、何ともかわいらしい。
「周りの子らはお友達かしら?」
 そうだと伝えるように、長い首が低く垂れる。
 とても大きな、かつて地上に栄えたいきものたち。その無垢な顔越しに雄大な湖面を往く旅は、ふたりを時の狭間に迷い込んだ刹那の夢へと誘うかのようで――。
「ねえ、どこまで行こうかしら」
 けれど、握り返すイアの指先が教えてくれる。
「どこまでも!」
 煌めく花世の眸と微笑みが、頁を捲る世界の先への道標。
 これはほんとうの冒険だ。
 決して醒めることのない、過去と未来の狭間における――今だけの。世界を区切る境界すらも、ふたりの前にはかたなしだった。
 
「では、浮島は西南の方角にあるのですね?」
 持ってきたお菓子の包み紙を開けながら、由は仲良くなった恐竜にもう一度その場所を確かめた。
「みゅん」
 鼻を鳴らし、長い鼻先を水面から出した恐竜の口へと食べ物を投げ込んでやるとおいしそうに咀嚼する。
「ついてこいということですか?」
 お腹いっぱいになった恐竜が再び水中に潜り、移動を始める。いったん水面に浮かび、ついてこいとでも言いたげに尾を振るので、龍はその健気な仕草に微かな微笑みをこぼした。
「いい子たちですね。さあ、石板を探しに参りましょう」

「そらよ」
 また別の方向から飛びかかってきた鋭い歯を持つ恐竜の群れを目がけ、ユリウスは手にした黒剣を無造作に薙ぎ払った。
「下がれ。こちらに戦う意思はない」
 騰蛇に騎乗する嵯泉もまた、相手を傷つけないためにわざと水面だけをなぞるようにして、彼の本気からすれば随分と緩い衝撃波を奔らせる。
「それでくたばるほど柔でもなかろう。なあ、おい?」
 ユリウスは怯んだ相手が水中へ消えるのを船上から眺め、こきりと首を鳴らしながら亡霊たちに船速を上げるよう指示を出した。
「そのままいくと渦にぶち当たりますよ!?」
 自前のイカダに乗って大渦の様子をイーコアに情報収集・分析させていたヒルデガルトが声を張り上げた。
「構わん。それくらいの強度はあるんだろう、なあ、ガミギン?」
 できないとは言わせない。
 有無を許さぬユリウスの命令に幽霊船は覚悟を決めたかのように大渦へと乗り出した。
「どうせぼろい幽霊船だ。多少壊れたところで今更だろうよ」
「なんて強引な……!」
 亡霊たちが操舵する帆船は、渦に船体を砕かれながらも渦巻く湖面を乗り越えていく。高波の余波をイカダにしがみついて耐えたヒルデガルトは、首長竜を追い返すための閃光瓶を手に立ち上がった。
「私も他班と合流、得られた情報を伝えに行きましょう。あッ……」
 だが、あと少しというところで無残にもイカダの限界を超えてしまう。湖面に投げ出されそうになったところへ、疾走する水上バイクよろしく変形した愛車に跨ったパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が通りがかりに口笛を吹いた。
「良かったら、後部座席に乗ってく? あの浮島に向かえばいいんだよね」
 思いもよらぬ申し出にヒルデガルトは長い睫毛を瞬き、パウルの伸ばす腕を取った。
「あの超でかいイカダ、ヒルダちゃんがひとりで作ったの? すごくない?」
「はい。想定より大きくなってしまったので、あの全体をオーラで防御するのは難しく……でも、形は壊れても試行錯誤した体験は消えません!」
「ははッ♪ そーゆー考え方、後悔しない感じでいいね! このままあの渦巻を超えるから、しっかり掴まっててよ!」
「はい! イーコアによると、あの大渦は数分ごとに渦巻く向きが変わるのです。ですから、その切り替え時を狙えば――」
「楽に飛び越えられるってことだね!」
 空に――大空洞の開けた湖上の空間に、大きな弧を描いてバイクが跳んだ。虹のように水飛沫が架かる真下を、ヴィクトルが因幡の白兎もかくやの方法で移動している。
 浮島まで等間隔に並んでいるのは、伝説のサメならぬシャチだ。
「おや?」
 ヴィクトルが何かに気づいた。
「あれ、大渦に巻き込まれた恐竜じゃない?」
「! もしかして、オレの後についてきてたやつかも――」
 パウルはとっさにフック付きのワイヤーを射出して、溺れかけていた恐竜の体に結び付ける。
「行くよGlanz!」
 ちょうど渦の逆回転が始まって浮島側への推進力が生まれた湖面に着水。同時に加速するが、さすがに重い――!
「いけるか……!?」
「お手伝いします!」
 ばっと両手を突き出し、咲凛は手のひらに念動力を集中した。
「ぜったいに、たすけます……!」
 次第に恐竜の体が渦から浮き上がり、完全に水中から出た途端にぐいっとワイヤーで引かれて浮島の波打ち際まで引きずられていった。
「無事ですか? よかったです」
 すぐさま傍まで降りてきた咲凛は、恐竜に怪我がないことを確かめて胸を撫で下ろす。
「オレのスピードについてこようなんて、無茶なダイナソーさんだね♪ でも、これでわかったっしょ? オレたちは敵じゃないよ☆ ところで、もし石板の在処の手がかりを知ってたら教えて欲しいんだけど……」
 気さくに尋ねるパウルをじっと見つめた後で、ワイヤーから解放された恐竜は浮島の方に顔を向けた。どうやら、あそこに何かあるということは理解しているらしい。
「一番の問題は、浮島のどこにあるかですね」
 乗っていた蛟竜をしまって飛び降りてきた龍の隣で、由はぺこりと案内してくれた恐竜たちに向かって頭を下げた。
「ありがとうございます。この御恩は忘れません」
 去ってゆく恐竜たちに手を振り、夜太狼はぴくぴくと耳を動かす。やはりこの浮島は普通とは何か違う。
「変な気配がするよ? 自然物とは違う、強い意図を発するものがある。俺の勘はあっちに何かありそうだっていってるよ!」
「確かに、あの奥から濃い魔力の流れが漂ってくるのを感じるな」
 浮島に降り立った嵯泉は右目を細め、ここで待っているよう騰蛇に言い含めた。陽が差さないほどの深い樹林を一瞥し、声を低める。
「ここからは徒歩でなければ探索も進むまい。それに、いつ何が起こるかわからんしな。急ぎ用件を済ませるとしよう」
「といっても、こういうの不得意なんだよな。匡、お前の目なら何か見えるか?」
 それぞれの方法によって次々と浮島へたどり着いた猟兵たちに混ざって人型に戻ったニルズヘッグは、後ろ頭をかきながらこういう密林は慣れているであろう匡の意見を伺った。
「……島の中心部に突き出した崖みたいなのが見えるな」
 匡がぽつりと言った。
「あそこを手分けして探してみよう。ニル、そっちはなんか変わったものあった?」
 崖に近づくごと、あれだけ茂っていた樹々は徐々に減って剥き出しの岩山ばかりが目立つようになる。
「私の方は見ての通りって感じだけど。お前の方はどうだよ、匡?」
「俺の方も今のところ――待て、あそこで何か光ってる」
 ふたりは顔を見合わせ、駆け付けた他の猟兵たちの手も借りて岩を砕き、慎重に掘り出した石板の泥で汚れた表面を指でなぞった。
「これだ!」
 居合わせた猟兵たちの間から感嘆と互いを労う言葉が交わされる。遂に目的のものを発見したのだ。
「長居は無用だ。急ぎ引き返すとしよう」
 帰路は嵯泉が先導し、猟兵たちは速やかに洞窟からヒーローズアースへと帰還する。パンゲア大空洞の探検を制した彼等の手には、確かに『鍵の石板』が掲げられていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月12日


挿絵イラスト