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湯煙浪漫の欲望と殺人

#UDCアース #呪詛型UDC

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●呪いか殺人か
 山梨県、N市某所。

 夏はキャンプ場、冬はスキー客で賑わう山間のログハウス有田山荘は、雪が本格的に降り出す前の晩秋という中途半端な時期であるにも関わらず、五名の宿泊客を迎え入れていた。
 彼らはN市役所の観光推進課に所属する公務員で、N市が数年前から力を入れている大正浪漫風の温泉街への客足誘致活動に向けて、下見の為の視察旅行として有田山荘に宿を取っていたのである。
 宿泊一日目の夜、観光推進課の担当課長、栗山修は課員の上田雄一、木島春香、荒井俊雄、真嶋恵理の四人を有田山荘一階の食堂へと呼び集めた。
 翌日以降のスケジュールを確認し、各自の分担する内容に漏れが無いかをチェックする為だ。
 ところが、約束の時間になっても全員が揃わない。木島春香だけが、待てども待てども、一向に姿を現さないのである。

「ちょっと見てきます」

 同室の真嶋恵理が、席を立った。
 それから五分後、その真嶋恵理が階上から甲高い悲鳴を漏らしてきた。
 何事かと顔を見合わせた栗山担当課長以下三名は、慌てて階段を駆け上り、廊下を走った。途中から、ログハウスの主人である有田勇司も加わり、都合四名は真島絵里と木島春香が宿泊しているふたり部屋の前へと到達した。
 真嶋恵理は、室のドアを開け放ったまま、廊下にへたり込んでいた。
 何が起きたのかと室内を覗き込んだ一同は、同時に声を失った。
 木島春香は、確かにそこに居た。
 彼女は、裸で壁に張り付いていた。それも、血まみれになって。
 全身に凶器不明の傷跡が無数に、そして深々と刻まれている。木島春香の死因は恐らく、ショック性出血死だろう。
 だが一体誰が、何の為に?

●偶然か必然か
 N市観光推進課がサンプルとして印刷した大正浪漫風温泉街のパンフレットを、アルディンツ・セバロス(ダンピールの死霊術士・f21934)は愛用のティーカップ片手にじっと見つめていた。
 オブリビオンが役所の課員五名の旅行という日常(といっても半分は仕事だが)に突如割り込んできた。恐らくそれ自体は別段不思議ではなかったのだが、セバロスにはどうも、このオブリビオン出現が偶然だとは思えなかったのである。
 グリモアベースの小さな会議室に呼び集めた猟兵達に対して、セバロスは作為的なものを感じる、と素直に吐露した。

「日常を送る一般人に対してUDCが呪いを発動させるってことは、珍しくない。でもねぇ、何か違うんだよね……何っていうか、誰かがわざわざこんな危なっかしいところに呼び込んだっていうか」

 だが、有田山荘なるログハウスでは過去にUDC事件の舞台になったという話も聞いたことが無い。
 では何故、この時に限って有田山荘が惨劇を招く場所に選ばれたというのだろうか。

「誰かが一般人を襲う呪詛型UDCを、意識的に誘い込む段取りを取ったのかもね」

 そんなことが、あり得るのだろうか。
 説明を受けた猟兵達は疑問に満ちた表情を互いに向き合わせる。
 いや、或いは可能かもしれない──邪神教団の教徒が何食わぬ顔で、この有田山荘内、或いはその周辺に潜伏して呪詛型UDCを招き入れるという算段を取っていれば。


革酎
 こんにちは、革酎です。

 UDCアースで敢えてミステリーという暴挙に出ました。
 遺体発見までの経緯は御覧の通りですが、猟兵の皆さんが現場に到達する頃には当然、山梨県警が捜査に動き出していますし、観光推進課の四人や有田山荘の主人に対する事情聴取も終わっています。
 観光推進課の残りの四人は同僚の死にショックを受けながらも、予算申請までの期日が余り無いことから、何とか自分達の職務を遂行しようとしています。
 ですが、呪詛型UDCは確実に、少しずつ接近してきています。
 何とかこのUDCを呼び寄せた犯人を炙り出し、UDC自体を接近戦に引きずり出して下さい。

 第一章では、先ずは現場検証と事件関係者への接触から入ります。有田山荘で情報を集めつつ、呪詛型UDCの接近に備えて下さい。
 第二章では、呪詛型UDCを呼び寄せる切欠となった大正浪漫風温泉街へと出向きます。一部は既に開業していて、ここでもUDCの攻撃が密かに進行しています。
 第三章では、問題の呪詛型UDCとの対決です。この時点になれば、誰がこのUDCを招き入れようとしていたのか、事件のおおよそのあらましも明らかになっているでしょう。
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第1章 日常 『山間のログハウスで一時の休息を』

POW   :    一休み、もしくは一眠り

SPD   :    飲み物や料理で一息つこう

WIZ   :    自然を眺めてリラックス

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

葡萄原・聚楽
【POW】

しっかり事件化済か、厄介だな。
いや、それより手引した人間が問題か。

バイト代貯めて旅行に来た、童顔の大学生設定で潜り込む。
普段より口調は柔らかくな。

のんびり休める場所探してだらけつつ待つ。
接触できたら微笑みつつ挨拶。
この美少年顔の威力はすごいからな。

大正浪漫に惹かれて来たとか、休める場所のいいとこ悪いとことか正直に言う。

その後、軽く事件の話振って、同僚だったの聞いたら慰める。
無理せず、折角だからあなたも休んだりしようって。

実際、こんなのに巻き込まれればキツイだろうし、多少心配してるのは本心だ。
…ただの被害者であればだけどな。

※アドリブ・絡み:歓迎
技:誘惑、情報収集、言いくるめ、コミュ力



 事件現場となった有田山荘は、当然ながら完全封鎖となった。
 山形県警N署の捜査第一課の刑事や制服警官が大挙して押し寄せ、山荘とその周辺はものものしい雰囲気に包まれている。
 林道を歩いてきた葡萄原・聚楽(Uvas Machina・f10987)は、立ち入り禁止と記された黄色いテープの手前で立ち止まり、山荘へと続く細い私道を遠巻きに眺めた。
 聚楽は、その気になれば猟兵としての立場を公にして事件に関与することも出来たが、今回は違った。彼はこの日、バイト代を貯めて旅行に訪れた童顔の大学生という体で有田山荘前に姿を現したのである。
 普通の大学生だから当然、事件に直接関与することは出来ない。だが聚楽には、この事件に関わることが出来るという絶対の自信があった。
(ま……最初は挨拶からだな)
 そんなことを考えながら、聚楽は有田山荘に隣接する、赤いウッドデッキが特徴的なカフェへと足を踏み入れた。
 そこに、恐ろしく疲れた様子の、ひと組の男女が居た。
 聚楽はカウンター席に陣取ってコーヒーを注文してから、ストゥールをくるりと廻して、件の男女が座っているガラステーブルに、魅惑的な微笑を湛えた面を向けた。
「あ、こんにちは……ちょっと良いですか?」
 柔らかな口調の聚楽に、男女は憔悴し切った顔を向けた。男の方は訝しげな視線を返してきたが、女の方は一瞬驚いた様子から、すぐに親しみの籠もった笑顔に変じた。
 それは、聚楽の持つ魔力──驚く程の童顔の美貌が、相手の警戒心を幾らか解きほぐした結果であった。
「実はこの近くの、大正浪漫風温泉街ってのに釣られて来たんですけど」
 そのひと言で、男の方も表情が幾分柔らかくなった。ふたりは、自分達がN市の観光推進課に属する職員だと名乗った。男の方は上田雄一、女の方は真嶋恵理。いずれも二十代後半見当である。
 最初、聚楽は温泉街の良いところや残念な部分を極力客観的に語って、ふたりの関心を買った。聚楽の美貌と滑らかな語り口に、上田も真嶋もすぐに打ち解けた様子を見せるようになっていた。
 そろそろ頃合い良しと判断した聚楽は、何気ない風を装って有田山荘の方へと面を向けた。
「そういえば、お隣のログハウス、随分大変なことになってるみたいですけど、何かあったんですか?」
「いや、それが実は……」
 上田は相手がただの大学生であることに躊躇したのか、言葉を濁らせた。ところが真嶋の方はすっかり聚楽の容姿や甘い声音にKOされていたらしく、上田が制止する前にぺらぺらと喋り始めた。
「実はね、あたし達の同僚が隣のログハウスで、とんでもない殺され方をしちゃったんだ……昨夜からずっと警察の事情聴取の連続で、もうくたくた」
 それでも、自分達は本来の職務、即ち温泉街の視察には出向かなければならないのだという。
「それは……本当に大変な話ですね。無理せず、折角だからあなた方も休んだらどうですか?」
 聚楽のこの言葉は、本心から出たものである。実際、こんな事件に巻き込まれれば、一般人ならばすぐに参ってしまうだろう。幾ら職務だからとはいえ、同僚の死を目の当たりにして尚、視察を続けなければならないというのは、ある種ブラック企業に近しいものがある。
 だが真嶋は疲れたような苦笑を浮かべつつ、小さくかぶりを振った。
「それがね、そうもいかないのよ……うちの課は今が山場でね、何としてでも結果を出さなきゃなんないの」
 だから休むことは出来ない、と真嶋は溜息交じりに答える。
 これはいよいよ大変だな、と聚楽は心底、気の毒になってきた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「UDC絡みの殺人事件ですか。
これは猟兵として放置しておくことはできませんね。
電脳探偵の推理力をお見せしましょう!」

まずは現場検証が第一ですね。

【チューリングの神託機械】を起動。
電脳空間の万能コンピューターにアクセスし、情報処理能力を向上。
事件現場の解析をおこないます。

UDCが関わる事件なら、警察では分からない何らかの痕跡が残されているはず。
第二の事件を防ぐためにも、犯人の目的をはっきりさせなくては。

UDCが絡む事件ならば、殺人の仕方に何らかの意味があるかもしれません。
過去のUDC事件で似たものがなかったか調べましょう。

何か手掛かりが見つかったら、他の猟兵にも連絡して情報を共有しましょう。


十文字・武
WIZ
邪神教団てならまずは人が現地に出向き何事かを細工するって点が良くある話だが。有田山荘と観光推進課どちらが狙いだかをはっきりさせねぇと

山荘の主人に情報収集と行こう。彼らが泊まる前に泊まった客。或いは最近で近くに不審な人物・物体が現れなかったか
推進課の人等にも同様に、今、彼らが手がけている仕事―観光推進てんなら地域の触れてはならぬモノに手を出してしまった可能性もある―に、常識では考えられぬ異変を感じた事はないか

全身の傷は解る。が、なぜ木島は裸だった?約束を忘れて風呂に入ろうとした訳でもないよな?
或いは彼女が呪詛とやらに触れてしまったせい?
同室・同僚の真島なら、最近の彼女の様子も知ってるか?



 有田山荘内は、どこもかしこも山形県警N署の署員で埋め尽くされている。
 そんな中、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)と十文字・武(カラバ侯爵領第一騎士【悪喰魔狼】・f23333)のふたりが肩で風を切る勢いで颯爽と姿を現した。
 現場責任者である初老の部長刑事が、畏まった様子で直立し、ふたりに敬礼を送った。その部長刑事は、片山と名乗った。
 アイと武は片山の名刺を受け取りながら、それぞれ名乗って、手短な挨拶だけを交わした。
「わざわざ猟兵のおふた方が出てこられたということは……本件は邪神なる存在が絡んでいると?」
「少なくとも、私達はそのように見ております」
 凛としたアイの応えに、片山部長刑事はやっぱりそうですか、とがっくり項垂れる様に溜息を漏らした。
 人間が引き起こした事件ならば彼ら一般警察の出番であり、何者にも縄張りを荒らさせはしないのだが、相手が邪神ともなると話は別であった。如何に勇猛で恐れを知らぬ刑事といえども、猟兵の露払いに徹しなくてはならなくなるのである。
「事件現場の方は、もう見させて頂いて宜しいですか?」
「はい、既に鑑識の作業は終わっておりますので……」
 アイは片山部長刑事に案内を請い、事件現場となった客室へと足を向けた。

 一方、武は一階の食堂へと赴き、有田山荘の主人である有田勇司への聴取を申し入れた。
(邪神教団てなら、先ずはひとが現地に出向き、何事かを細工するって点が良くある話だが……有田山荘と観光推進課、どちらが狙いだかをはっきりさせねぇとな)
 観光推進課の職員には後で話を聞くとして、先に有田勇司への聴取を選んだのは、たまたま刑事からの事情聴取が先に終わり、彼の体が空いていたからに過ぎない。
 有田勇司は四十六歳、長身でがっちりとした体格のスポーツマンタイプだ。武は思わず見上げるような姿勢になった。ふたりはテーブル越しに向き合って木製の椅子に腰を下ろした。
 武の聴取は淀みが無く、実に簡潔だった。
 観光推進課職員が宿泊する前に、現場の客室に泊まった客について訊いた。どうやら事件前、最後にあの部屋が使われたのは二カ月も前の話で、宿泊者は子連れの母子だったという。また、最近近くで不審な人物や物体は見かけなかったかとも訊いたが、そんなものは全く見た覚えが無い、と有田は疲れた様子で答えた。
 だが有田勇司にしてみれば、何よりも困るのは今後の風評なのだという。
「もうあの部屋は、客室としては使えません。隣室も同様です。せめてもの救いは、あの部屋が角部屋だったことぐらいで……」
 なるべくなら、事件現場となった事実を伏せておいて欲しいとも語ったが、流石にそれは無理であろう。有田自身もそのことはよく分かっているらしく、しゃあないですわな、と力無く項垂れていた。

 同じ頃、アイはまだ血糊がべったりと壁や天井、床にこびりついたままの事件現場に足を踏み入れていた。
「矢張りどう見ても、UDC絡みの事件ですね……これは猟兵として放置しておくことは出来ません」
 室内をぐるりと見渡すなり、アイは電脳空間へと意識を繋げ、ログイン後、すぐさま演算オペレーションを開始した。
 呪詛型のUDCが関わる事件ならば、絶対に何らかの痕跡を残している筈だ。それも、警察では到底見抜けられないような何かが。
 第二の事件を未然に防ぐ為にも、犯人の目的をはっきりさせなければならない。
(UDC絡みの殺人ならば、コロシの方法や状況に何らかの意味があるかも知れません)
 ここでアイは、データベースにアクセスして過去に同様の事件が無かったかを探った。検索は、ものの数秒で終わった。
 同様の事件が、実は三カ月前に発生していた。場所は、大阪の新今宮。事件現場は簡易宿泊所。所謂、路上生活者御用達の安宿だ。
 犠牲者は住所不定無職の老人。殺害方法と現場状況が、今回犠牲となった木島春香と酷似していた。
 現場となった客室の壁の隅には邪教の紋様が記されていたらしく、その為、当該の事件はUDC組織預かりとなったということらしい。だが、その後はほとんど捜査に進展は無いままだという。
 肝心の呪詛型UDCがそれっきり、何の動きも見せなくなったからだった。
(もしかして、その時のUDCがここに現れた……?)
 可能性は大いにあり得る。だが、理由が分からない。何故大阪から、わざわざ山梨へ移動してきたのか?
 アイは事件現場の室内を隈なく捜索し、そしてクローゼット奥の壁面に、件の紋様が隠れるように記されているのを発見した。
 矢張り、間違いない。何者かが事前にこの紋様を記し、UDCの呪詛を誘い込んだのだ。
「……成程、これは挑戦ですね。受けて立ちましょう。この電脳探偵の推理力、とくとご覧あれ」
 誰に語りかけるともなく、アイは気合の籠もった低い声を漏らした。

 武は有田勇司の聴取を終えると、今度は観光推進課職員の二名と顔を合わせる為に、二階の四人部屋の客室へと足を運んだ。
 が、廊下で思わず足を止めた。室内から、ふたりの男が罵り合う声が飛んできたからだ。
「あんたの所為だ……あんたが無理矢理、春香をこんなところへ連れてきたりするからッ!」
「馬鹿も休み休みいえ。それに君はもう彼女とは別れていたんだろう? 男の嫉妬はみっともないぞ」
 激高している方が若い男のようだ。恐らく、荒井俊雄という職員だろう。そうなると、もうひとりは栗山担当課長だろうか。
 武は、ふたりの会話からおおよその事情を察した。
 死んだ木島春香は、以前は荒井と付き合っていた。だが現在は栗山担当課長の恋人らしいのだが、武が片山部長刑事から聞いた話では、栗山担当課長は妻帯者の筈であった。
 つまり、栗山と木島は不倫関係にあったということになる。
(成程……木島が裸だったのは、もしかすると栗山との情事の後だったのかもな)
 真嶋という同室者が居るにも関わらず、随分と大胆な話だと呆れた武であったが、男ふたりがこの状態では到底まともな聴取は出来ない。
 ここは一旦引き下がり、彼らが冷静になるのを待つしか無さそうであった。
 場が落ち着くのは、この有田山荘では無理だろう。
 であれば、彼らの本来の職務──大正浪漫風温泉街の視察に同行し、それぞれから事情を聞き出すしか無さそうであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『大正猟兵浪漫譚』

POW   :    大正時代なんて知るか! いつもどおりの自分の姿で調査をする。

SPD   :    大正時代の雰囲気に合わせた格好で、観光客として街のなかを調査する。

WIZ   :    大正時代の雰囲気に合わせた格好で、商店や旅館などの奉公人に紛れて調査する。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 木島春香は、死んだ。
 それでもN市役所の観光推進課職員四名は、大正浪漫風温泉街の視察へと出向かなければならない。
 四人は、有田勇司の運転するバンで有田山荘を出た。
 同時に猟兵達も、山梨県警N署の刑事達と共に、大正浪漫風温泉街へと向かう。そこに、今回の事件の手がかりが隠されているように思われたからだ。
 一体誰が、何の為に呪いの紋様を書き記したのか。
 それは、この温泉街での調査の末に明らかとなるだろう。
十文字・武
さて、現状を見るに今んとこ一番怪しいのは木島と関係あった栗山と荒井ってとこか?
不倫関係にあった栗山なら関係が上手く行かず殺害。UDC関連のなんらかの伝があるなら、警察に疑われた所で知らぬ存ぜぬ
逆に荒井が犯人なら嫉妬からの敢行。後に栗山もってなとこか
本命栗山対抗荒井って感じに調べるか

UCで猫騎士を召喚
呪詛紋様の匂いは覚えたな?栗山と荒井の仕事先周辺を探れ
どちらかが次のターゲットかも知れん

オレは本命栗山に接触。やる気のない捜査員を装い、イィ女だった木島と関係があった荒井を疑っていると軽口交じりに。警戒されんよう栗山との関係は知らぬ振りだ
3ヶ月前どちらかが大阪に出てることでも解れば話しは早いんだがな


葡萄原・聚楽
【SPD】

大正浪漫に惹かれてって言ったし、楽しんでないとおかしいな。
貸衣装とかあるならそこで(書生服とか)借りて、店見て観光してる風にしつつ。
職員こっそり追って、色々盗み聞きさせてもらうよ。
ついでに店の方で、最近のこのあたりでのコトだの聞けるしな。

職員に会った時、誤魔化しも会話もしやすいから、大学生の演技のままで行く。
スマホあるし他の猟兵に伝えたほうが良いことあれば伝える。

荒井と栗山はそんなのだったのか。
…恋敵じゃなくて女が殺されてる…真嶋と上田は、巻き込まれただけだろうか。
そっちの関係、少し気になるな。

※アドリブ・絡み:歓迎
技:追跡、忍び足。聞き耳、視力。情報収集。言いくるめ、演技、コミュ力



 大正浪漫風温泉街という売り文句は、決して大げさではなかった。
 宿屋や湯場、石畳の小路、そこかしこに立ち並ぶ瓦斯灯等、全てが大正時代からそのまま風景を切り出したような風情を見せている。
 特に猟兵は、サクラミラージュという世界を知っているだけに、この温泉街の再現度が非常に優秀であることが、ひと目見て分かった。
(こいつぁ、なかなかどうして……大したもんだ)
 相変わらず観光客の大学生を装っている葡萄原・聚楽(Uvas Machina・f10987)は、貸衣装屋で借りた書生服をすらりと着こなしつつ、歴史を感じさせる街並みを左右に見渡しながらゆったりと歩を進めていた。
 UDC絡みの殺人事件の捜査でなければ、本当に数日遊んでいきたいと思わせる温泉街だ。が、今はN市観光推進課の面々から注意を逸らす訳にはいかない。
(荒井と栗山は、被害者と三角関係だったのか……恋敵じゃなくて女が殺されたってところが妙な話だが……そう考えると真嶋と上田は単に巻き込まれただけだろうか)
 そうともいえるし、そうでないともいえる。
 判断材料が少ないだけに、何ともいいようが無かった。
 兎に角、地取り捜査を進めるしかあるまい。既にN署の捜査員が色々と聞いて回っているようだが、聚楽は矢張り何といっても猟兵だ。人間の刑事とは比較にならない程の情報収集能力を持っている。
 例え大学生を装っているといっても、彼の捜索力は存分に発揮されることだろう。
 一方、十文字・武(カラバ侯爵領第一騎士【悪喰魔狼】・f23333)の方は最初から猟兵としての立場を明らかにしている為、こちらは真正面からの捜査活動に従事することが出来た。
(さて……現状を見るに、今んとこ一番怪しいのは木島と現在進行形で関係のあった栗山と、恋敵の荒井ってなところか?)
 N署の捜査専用車から石畳の小路へと降り立った武は、頭の中であれこれと推測を巡らせながら周囲をゆっくりと見渡した。
 硫黄の匂いが微かに鼻を衝く。温泉宿から湧き上る湯気が幾つもの白い柱を立ち昇らせ、山間の温泉街特有のしっとりとした情景が視界に飛び込んできた。
 武は考える。不倫関係にあった栗山が犯人ならば、木島との関係に亀裂が入ったことへの愛憎から殺害。UDC関連の何かに伝手があるなら、警察に疑われたところで知らぬ存ぜぬを押し通せば良い。
 逆に荒井が犯人であれば、嫉妬からの蛮行とも取れる。木島の後に栗山をも始末するという思い切った犯行に出ることもあり得るだろう。
(本命栗山、対抗荒井ってな感じで進めるか)
 武は裏路地へそっと滑り込むと、声を低くして召喚の儀を施した。
「カラバ侯爵が第一の部下が命じるッ! 出でよ、我が騎士達ッ!」
 召喚文言を口走りながら、こんなんで良かったっけ、などと自身無さげに内心で頭を掻く。程無くして、長靴を履いた猫小人軍団が、空間の中から滲み出るようにして姿を現した。
「よぉーし、猫騎士諸君。呪詛紋様の匂いは覚えたな?」
 武が問いかけると、猫小人達は一斉にうみゃーっと応じて柔らかな肉球を天に突き上げた。

 聚楽は、上田と真嶋のペアと再び接触した。
「やぁどうも。またお会いしましたねぇ」
 愛嬌のある美貌に朗らかな笑みを湛えて軽く手を上げると、上田と真嶋のふたりも幾分表情を和らげて聚楽に会釈を返した。
 同僚の惨殺死体を目の当たりにした翌日だというのに、真嶋はもう立ち直っているように見える。これはこれで少しばかり臭わなくもなかったが、聚楽は素知らぬ風を装って、何気なく肩を並べた。
 しかし、会話を交えて分かった。矢張りこのふたりは精神的にかなり動揺している。平静を装って視察を進めているものの、かなりの部分で神経をすり減らしていることが、聚楽には手に取るように分かった。
「あのログハウス……有田山荘でしたっけ。あそこには誰かの紹介で?」
「手配をしたのは栗山さんです。温泉街近くに手頃な宿を見つけたっていってました」
 真嶋の答えに頷きながら、聚楽は小首を傾げた。何となく、作為的なものを感じたからだ。
 実は聚楽、このふたりと再び遭遇する前に、ある程度の情報は仕入れていたのである。有田山荘の主人と栗山が、実は大学の同期であり、同じサークルに所属していたことも分かっていた。
 なのに栗山はまるで有田山荘の存在を知らなかったように、手頃な宿が見つかった、などと説明している。これはどうも腑に落ちない。
 そして有田山荘はここ数年経営が右肩下がりで、資金繰りにも難儀していたという話だった。
 聚楽がそれらの情報をまた聞きだと断った上で何気なく口にしてみると、上田も真嶋も驚いた様子で顔を見合わせていた。
 この瞬間、聚楽は上田と真嶋がシロだと睨んだ。ふたりは本当に、何も知らない様子だった。

 武は栗山担当課長に同行して、温泉街を散策していた。
 普通ならば猟兵である以上、捜索にもっと熱心な態度を見せるべきなのだが、ここでは武は敢えて昼行燈的な素行を見せた。
「課長さんの前でこんなことをいうのも気が引けるんだけど……あの荒井って職員、何かちょっと臭いんだよねぇ」
 死んだ木島と良い仲だったのが気に入らないと口走りつつ、武は栗山の反応を見た。栗山は努めて平静を装っているらしく、余り興味が無さそうな様子で黙然と頷き返すばかりである。
 ならば、と武は切り口を変えた。
「そういやぁ、似たような事件が大阪でも起きてたって話もありましてねぇ」
 その瞬間、栗山はぎょっとした様子である方向に視線を走らせた。
 栗山の瞳が向いた先に立っていたのは、土産物屋の店先をぶらぶらしている有田勇司であった。
 一瞬、意外な反応を見せた栗山に気を取られかかった武であったが、ここでふと、有田勇司を聴取した際に危うく聞き逃しそうになった台詞を思い出した。
 有田は、しゃあないですわな、とぼやいていた。さらりと当たり前のような調子で漏れ出たイントネーションには何の淀みも無かった。
 武は思わず、息を呑んだ。
(あれは確かに……関西弁だった)
 ここで俄かに、大阪の新今宮で起きた事件というものが頭に焼き付いて離れなくなった。
 死んだ木島の部屋に自由に出入り出来たものは、彼女と不倫関係にあった栗山と、同室宿泊者の真嶋のふたりだけだと思っていたが、最も自然に入室出来る者が居た。
 有田だ。
 彼は有田山荘の主人である以上、全ての客室に自由に出入り出来た筈だ。
 だが、もし彼が犯人ならば、動機は一体何なのだろう。
 武の前にまたひとつ、大きな壁が立ちはだかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイ・リスパー
「他の皆さんの調査によると、山荘の主人の有田さんもきな臭いようですね」

栗山さんが怪しいのは間違いないですが、有田さんと共犯関係の可能性があります。

真犯人に『犯人はお前だ』という役は他の方に任せて私は電脳探偵として裏を取りましょう。
情報収集ならお任せください。

【チューリングの神託機械】で電脳空間にアクセス。
ハッキングなどあらゆる手段を用いて有田さんと3ヶ月前の事件の関係や邪神教団との繋がりなどを調べます。

山荘の経営が厳しいという件も気になりますね。

「栗山さんと有田さんが大学時代に所属していたサークルが邪神絡みで、今回の事件が栗山さんから有田さんへの依頼殺人なら話は簡単なのですが、さて……」



 湯煙が立ち上る風情豊かな街並みの中で、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)はひとり、小難しい顔のまま腕を組んで佇んでいる。
 その視線の先には、浮かない顔の栗山担当課長と、素知らぬ顔でぶらぶら歩いている有田勇司の姿。
 アイは、木島春香を巡る痴情のもつれという線の他に、有田が何らかの形で関与する全く別の動機による線の両輪で捜査を進めるべきだと考えていた。
「栗山さんと有田さんが大学時代に所属していたサークルが邪神絡みで、今回の事件が、栗山さんから有田さんへの依頼殺人なら話は簡単なのですが、さて……」
 栗山と有田が共犯の関係にある可能性。更に、有田の山荘が経営難に陥りつつあるという現実。ここに、何らかのヒントが隠されているように思えた。
 アイは路地裏へと滑り込み、その場で電脳空間へとアクセスした。その視線は尚も栗山と有田を捉え、ふたりを常に視界の中へ置いたままの情報収集へと入る。
 膨大なデータ量がアイの頭脳を駆け抜けてゆくが、それらを幾つかの検索キーワードでふるいにかけ、欲しい情報だけを的確に抜き出してゆく。
 最初にヒットしたのは、有田の人間関係であった。過去に、彼の友人が邪神教団に入会していた事実が浮かんだ。その教団では、呪詛型UDCを招致する悪魔の紋様を極意中の極意として、優秀な教徒に伝授していたという。
 まさにその紋様が、木島春香殺害の客室に記されていたあの紋様と一致した。
 この教団の本部は大阪にあったらしいが、現在は解散しており、元教徒は全国に散らばっているらしい。そして三カ月前に新今宮の呪詛型UDCによる殺害事件では、現場の目撃者のひとりとして、有田勇司が事情聴取されていた事実が浮かび上がった。
(三カ月前に例の事件に関わった可能性があったのは、栗山さんではなく、有田さんの方……ッ!)
 では矢張り、木島の客室にあの紋様を描いたのは有田だったのか。
 いや、そこにひとつの大きな疑問が残る。
 鑑識に再度調べさせたところによると、インクの乾き具合から見て、例の紋様は木島が殺害される数分前に描かれたらしい。その時間、有田は厨房で料理をしており、食堂に居た栗山らに給仕していた。
 つまり、最も怪しいと思われていた有田には鉄壁のアリバイが存在した。
 アイは内心で僅かに動揺したが、しかしまだ情報が足りない。今度は木島春香自身の過去を覗いてみる必要がある。
 木島は大阪市内の芦原橋出身。新今宮とは目と鼻の先だ。
 そして驚いたことに、木島は死の直前に妊娠していたことが発覚していた。この妊娠を切欠として、栗山との関係が急に悪化し始めていたのだという。
 では矢張り、犯人は栗山なのか。しかし栗山には食堂に居たというアリバイがあるし、大阪との接点は何ひとつ見られない。
 ここでアイは、最も注目すべき情報を掴んだ。木島の妹もまた、件の邪神教団の元教徒だったというのだ。
 複雑な糸が徐々にほころび始めている。少なくともアイは、この事件の底が見えたような気がした。
 ところで──有田は今のログハウスを処分し、この温泉街に新たに宿を開こうと準備を進めているらしいことも分かった。銀行からの融資と、その内容から判明したことだ。
 つまり、彼の山荘が経営難に陥ろうがどうなろうが、将来的には有田勇司には何の痛手にもならないということになる。
 寧ろ、木島が呪詛型UDCに殺害されたという風評被害を受けることで、有田は収入保障保険の保険金を受け取ることが出来る立場にあった。
 ここまで情報が集まったところで、アイは軽い頭痛を覚えて電脳空間へのアクセスを中断した。
(真犯人に、犯人はお前だ、って指差す役目は他の方に任せますけど……電脳探偵として裏を取るのも、中々楽じゃないですね)
 だが、必要な情報は大半が出揃った。
 後は推理を進めるばかりであろう。
 犯人は、誰なのか。動機は何か。そして、共犯は居るのか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四宮・刀真
俺は小説家だ。探偵ではない。
だが、これまでに開示された情報から「物語」を組み立てることは出来る。
そう、「これまで開示された情報を元に推理小説を書くことで、完成品から逆算して事件の全体像を推測する」ことは可能だ。

執筆を開始し、様々なパターンの可能性を書き上げ、それら全体を通して最も妥当的な可能性を執筆する。
それは、真実に限りなく近い筋書きの物語となるだろう。



 大正浪漫風温泉街の風景に、実にしっくりくるひとりの男。
 それが、四宮・刀真(大正世界ライトノベル作家 CV中村悠一・f23833)である。刀真は、これまでに他の猟兵達が掻き集めた情報を統合し、これを頭の中で一本の小説として筋書きを描いた。
 自分は探偵ではなく、小説家だと自負している。だから敢えて真犯人を突き止め、その場で推理を開陳するなどという真似はしない。
 あくまでも、既に開示された情報から物語を組み立てるだけだ。だが刀真にとっては、それだけで十分であった。推理小説という形で完成品を構築し、そこから逆算してゆくことで事件の真相を見抜くことが出来るというものだ。
 後は、敵の出現を待てば猟兵としての仕事は終わったといって良い。
 細かな表現は後日推敲を重ねるとして、今は時間が無い。先ずは兎に角、物語として一本の筋を描き切ることが重要だった。
 手近な喫茶店に腰を落ち着け、物凄い速さで原稿用紙を埋めてゆく。
 と、そこへ片山部長刑事が刀真の存在を聞きつけて姿を現し、興味深そうに次々と仕上がってゆく原稿に目を通していった。
 その片山部長刑事の顔色が、にわかに驚愕の色へと変じてゆく。
 原稿用紙に描かれた事件の真相は、片山部長刑事の想像の及ぶところではなかったのだろう。

 刀真の小説は、木島春香と栗山担当課長の不倫が破局に終わったところから始まる。その原因は、妊娠した木島が栗山担当課長に認知を迫ったからだ。
 栗山は、簡単にいえば木島を捨てた。家庭を守りたかったのだ。木島にすれば、栗山は身勝手な裏切り者であったし、事実その通りであったろう。
 木島には妹が居た。妹はかつて邪神教団の教徒であり、呪詛型UDCを呼び出す紋様の描き方を知っていたという。木島は妹から、その紋様の描き方を学んだ。同時に彼女は、妹の伝手から有田と接触を取った。有田にも件の邪神教徒との繋がりがあり、そこからふたりの接点が生じた。
 有田は、現在のログハウスを何とか処分して温泉街に新しい宿を開きたかったが、ログハウスには借金が積み重なっており、簡単に手放すことが出来なかった。
 そこへ木島が、UDCによる殺人という被害を受けることで保険金を受け取り、同時にログハウスを閉鎖する方法について持ち掛けた。
 有田は、その話に飛び乗った。

 片山部長刑事は、その場に凝り固まっていた。震える手で、原稿用紙をテーブルに戻す。
「……つまり、あの紋様を描いたのは木島春香自身だった……という訳ですか」
 しかし、何故、と低く呻く。その理由についても、刀真は明快な答えを持っていた。
「今回の呪詛型UDCは呪い殺した被害者を、自分の仲間に引き入れることが出来る。木島春香からすれば、自分を裏切った栗山に不倫相手の惨殺死体という衝撃を与えると同時に、自分自身がUDCと化して栗山に復讐する力を得ることが出来る、と考えたのだろうな」
 その時、温泉街が突如闇に覆われ始めた。
 遂に、呪詛型UDCの群れが姿を現したのである。
 ここから先は猟兵の仕事だ。UDCの撃退こそが彼らに課せられた使命なのである。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『強欲の傀儡『烏人形』』

POW   :    欲しがることの、何が悪いの?
対象への質問と共に、【自身の黒い翼】から【強欲なカラス】を召喚する。満足な答えを得るまで、強欲なカラスは対象を【貪欲な嘴】で攻撃する。
SPD   :    足りないわ。
戦闘中に食べた【自分が奪ったもの】の量と質に応じて【足りない、もっと欲しいという狂気が増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    あなたも我慢しなくていいのに。
【欲望を肯定し、暴走させる呪詛】を籠めた【鋭い鉤爪】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【欲望を抑え込む理性】のみを攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ねぇ、栗山さん。
 見てよ、この姿。おぞましいでしょう?
 でもね……あなたが悪いの。
 私がこんな風になったのも、全部あなたの所為。
 だから、分かるわよね。

 ……死ね。このクズ野郎。
アイ・リスパー
「なるほど、栗山さん憎さからの犯行でしたか、木島春香さん――いえ、すでにUDCとなったあなたをその名で呼ぶのは相応しくないですね」

UDCを速やかに撃破するのが私たち猟兵の仕事。
そこに私情を挟む余地はありません。

【マックスウェルの悪魔】で炎の矢を生成して攻撃します。

「『欲しがることの、何が悪いの?』ですか……」

質問とともに放たれたカラスに攻撃され身体が傷ついていきます。
その攻撃で倒され瀕死になったとき。

【シュレーディンガーの猫】により現れた
平行世界の無傷の私が炎の矢を放ちます。

「愛を欲しがったあなたは悪くないでしょう。
でも、一つ大きな間違いを犯しました。
罪のないお腹の子供の命を奪ったことです!」


十文字・武
<アド連携詠唱略ok>

人として生きる事だけでなく、人として終る事すら捨てて、復讐を願うか
悲しいヒトだな、木島さん
男のオレにゃ気持ちは解るなんてとても言えないが、同情はするよ
が……、UDC、オブリビオンに墜ちた以上、アンタは敵だ。ここで始末する
……せめてその魂が永劫の闇に囚われんよう祈るよ

さて、戦闘だが
呪詛型UDCの群れか。カラスは良いが、鉤爪の追加効果は厄介だな
オレにとっちゃ、それは天敵過ぎる
UC【悪喰魔狼と狼少年】にて高速移動。近寄らせずに斬撃を飛ばし対処する

木島の狙いは栗山だろう。奴のもとへ急げ
どんなクズ野郎の命だろうと、オブリビオンからそれを守るのがオレらの使命だ



 大正浪漫風温泉街は、一気に地獄と化した。
 鋭い鉤爪を持つ、人間大の烏人形が群れを為して逃げ惑うひとびとに容赦無く襲い掛かる。
「早く逃げろッ!」
 得物を振るい、白刃を煌めかせつつ、十文字・武(カラバ侯爵領第一騎士【悪喰魔狼】・f23333)は喉を嗄らして叫んだ。
 なるべく大袈裟に立ち回ることで、敵の注意を自身に引き付ける。あの鉤爪は、武にとっては色々な意味で非常に脅威ではあったが、しかし今はそんなことはいっていられない。
 目の前で、観光推進課の荒井と上田、真嶋の三人が烏人形の群れに囲まれようとしていた。
「その三人を襲うのは、筋違いだろうがッ!」
 退魔刀が一閃し、三人に襲い掛かろうとしていた烏人形が忌々しげにひと声鳴いてから、上空へと退散してゆく。その間に武は解放された荒井、上田、真嶋に走れと鋭く吠えた。
 逃げてゆく三人を背中で庇うような形で仁王立ちになりながら、頭上とその周辺に集まりつつある烏人形に、武は鋭い視線を叩きつけた。
「……ひととして生きることだけでなく、ひととして終わることすら捨てて復讐を願うか。悲しいな、木島さん……男のオレにゃあ気持ちが分かるなんて台詞はとてもいえないが、同情はするよ」
 相手に伝わるかどうかは、分からない。それでも武は語り続けた。語りながら、妖刀を鞘から引き抜き、二刀流に構える。
「だがな……UDCに、オブリビオンに堕ちた以上、アンタは敵だ」
 ここで始末することが、せめてもの供養だ。
 狂い堕ちた木島春香の魂が永劫の闇に囚われぬことを、ただ祈るしかない。
 武は周囲に素早く視線を走らせた。
(栗山はどこだ?)
 木島春香の狙いは、自身を裏切った元不倫相手の栗山の筈だ。彼が真っ先に狙われるだろう。そう考えた時、視界の隅でその栗山を伴って駆けるアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)の姿があった。
 アイは、武が敵の注意を引きつけてくれている間に、何とか栗山を逃がそうとしていた。
 良い判断だ、と武は内心で頼もしく思った。アイは身体能力面ではお世辞にも優秀だとはいえないが、頭の回転の速さや機転の鋭さは猟兵としては一流だ。事実、アイは栗山を有田のバンに押し込み、運転席の有田に指示を出していた。
 バンは一瞬タイヤが空転したが、すぐに温泉街を飛び出していった。
 その音に、烏人形が気づいた。栗山を取り逃がした怒りと、その栗山を脱出させたアイへの憎しみが同時に炸裂した。
 アイは慌てて横っ飛びに飛んで、辛うじて鉤爪の攻撃を躱した。精一杯の回避運動だった為、着地の際の受け身が上手く取れず、肘や膝をすりむいてしまった。
 それでもアイはゆっくり立ち上がりつつ、憐れみを含んだ目で顔前の敵を凝視した。
「成程、栗山さん憎さからの犯行でしたか、木島春香さん……いえ、すでにUDCとなったあなたを、その名で呼ぶのは相応しくないですね」
 あの客室で紋様を描くことが出来た候補は他にも居たが、木島春香本人が描いたとなれば、全ての事実がすっきりと繋がる。
 だが、今のアイは探偵ではなく、猟兵だ。UDCを速やかに撃破しなければならない。そこには、私情を挟む余地は欠片も無かった。
「欲しがることの、何が悪いの?」
 一体の烏人形が若い女の声で問いかけてきた。途端に、黒い巨大な翼から無数の烏が出現し、アイに襲い掛かった。
 アイは炎の矢を形成して反撃に転ずるが、敵の数が多過ぎる。
「チッ……こいつぁ厄介だなッ!」
 武は二本の刀を鞘に収めると、徒手空拳の格闘技の構えを見せた。
「世界を騙せッ! 自身を騙せッ! オレは強くッ! 速くッ! ナニよりも悪喰な……ディスガイズ・ビーストッ!」
 その直後、武の表情がそれまでの武人から、まさに悪魔そのものへと変異した。獣のように爪が鋭く伸び、全身の筋肉が山の様に盛り上がる。
 と思った次の瞬間には、武の残像がそこかしこに出現した。武は文字通り、目にも止まらぬ速さで敵の間を瞬時に駆け抜け、地表近くに降下していた烏人形を次々と屠っていった。
「目には目を、歯には歯を、爪には爪を、ってな」
 更に、上空の敵に対しては再び引き抜いた刀を振るう。斬撃が鋭い真空波を伴って宙空を奔った。哀れ、その烏人形は斬撃をまともに浴び、胴を真っ二つに叩き割られて地上へと墜ちた。
 一方、アイは非常事態に陥っていた。炎の矢で対抗するも、敵の攻撃は手数に於いて圧倒的であった。全身を啄まれ、体のあちこちから鮮血が噴き出す。アイの瞳から精気が失せ、その場に倒れ込んだ。
 烏人形の群れがとどめとばかりに、一斉に降下してきた。
 だが、そこで異変が起きた。昏倒したアイの体躯の上で、空間が裂けた。その裂け目の中から現れたのは、もうひとりのアイだった。
「こちらの世界の私は、やられてしまったようですね……ですが、並行世界には無限の可能性があるのです」
 淡々と語る、もうひとりのアイ。その目が、一体の烏人形と視線を交錯させた。
「愛を欲しがったあなたは、悪くないでしょう……でも、ひとつ大きな間違いを犯しました」
 敵を断罪するもうひとりのアイは、圧倒的な迫力と鬼気をオーラの様に放っていた。見た目は同じだが、まるで別人であった。
 すっと右手を上げる。そこに何かの恐怖を感じたのか、烏人形の群れは慌てて上昇しようとしたが、間に合わなかった。その前に、もうひとりのアイが放った炎の矢が弾幕と化し、周辺の烏人形を片っ端から焼き尽くしていった。
「その間違いとは即ち、罪のないお腹の子供の命を奪ったことですッ!」
 もうひとりのアイの声音は、淡々としていながらも、怒りの念を静かに滲ませていた。
 烏人形の群れは、アイと武の活躍で半数以上、正確には三分の二近くが撃破された。たったふたりの猟兵ではあるが、決して臆することなく、果敢に立ち向かった結果である。
 残りはあと僅か。ここからが本当の勝負である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葡萄原・聚楽
【POW】

「戦闘食:UDC」を「爪の刻印:人形」で喰らってパペットに。
武器「鋼糸:人形操り」を繋げて、ユーベルC【葡萄酒】で強化もする。

糸のリーチ利用して、敵が近距離に迫る前にパペットでぶっ飛ばす。
数が多いなら、糸の部分で薙ぎ払う形で攻撃。

欲しがることは、普通だし、生きるためにも必要なことだ。
だが、害すること、奪うこと、その理由にならない。
そんだけだ。

俺は、そうやって奪うお前らが大嫌いなんだ。
奪われる痛み、味わってみるか?
パペットの牙で、食い千切ってやる。

ああ、しかし、赤子居たのか。
……流石に気分悪いな。
早く終わらせたい。

※アドリブ・絡み:歓迎
技:怪力、範囲攻撃、生命力吸収


四宮・刀真
アド連携OK

俺のユーベルコード――名前はまだないが――は「自分の執筆した物語に関する因果と概念を操る」ことだ。
そして、「木島春香を含めたこの事件の関係者」は「先程の執筆で俺の著作物の登場人物」となっている。
作者である以上、執筆した物語内の因果を操るのは容易い。木島を弱体化させて職員四人や有田、片山刑事も無事な因果を結ぶ。

そして、先程書いたのは推理小説だ。推理シーンも書いた。
推理小説で「犯人」は「推理が終わったら捕まる」、つまり「無力化」するが定めだ。
故に今回の犯人――呪詛型UDCに対する因果強制は強力。

執筆が終わったら原稿を飛ばして用紙の中にUDCを封印して脱稿だ



 烏人形の数は、残り少ない。
 だが、例え一体でも取り逃がせば後々厄介だ。この場は全滅させる必要がある。
 葡萄原・聚楽(Uvas Machina・f10987)は付け爪の先から鋼糸を放ち、何も無かった空間に一体のパペットを出現させた。
「欲しがることは普通だし、生きる為にも必要なことだがな……」
 美貌を苦々しい感情に染めて、聚楽は周囲を取り囲む烏人形を左右異なる色の瞳でじろりと睨んだ。
 食物連鎖の頂点に立つ人間にとっては、他生物の生命を奪うことは種の維持に必要なことだから、そこは目を瞑るとしても、目の前のUDC共に関していえば、その理屈は通用しない。
 害することや奪うことだけを理由にして、他者を傷つけるべからず。
 聚楽の思想は至極単純で、そして一点の曇りも無かった。
「俺はそうやって奪うお前らが大嫌いなんだ……奪われる痛み、味わってみるか?」
 いうが早いか、パペットが間合いを詰めつつあった烏人形の一体に喰らい付き、獰猛な勢いで漆黒の翼を根元から食い千切った。
 その攻撃を見て烏人形共は警戒したのか、包囲陣形を取ったまま、聚楽に近づこうとはしなかった。が、この距離は寧ろ、聚楽の間合いだ。聚楽が軽く左手を薙ぐと、指先から伸びる鋼糸が烏人形共の胴を斬り付け、絡み取り、そして弾き飛ばした。
 烏人形共は口々にけたたましく鳴いた。その中に、赤子の泣き声のような声が響いていた。
 聚楽は露骨に顔をしかめた。
(赤子が居たんだっけな……流石に気分が悪い)
 こんな戦闘は長くは続けたくはない、さっさと片付けてやろう。聚楽は更に視界を広げて頭上や通路の先にも視線を転じた。
 もうひとり、猟兵が居た。四宮・刀真(大正世界ライトノベル作家 CV中村悠一・f23833)だ。
 刀真は左手に原稿用紙の束を鷲掴みにしている。一体、どのような技を使うのか──聚楽は少なからず、興味を抱いた。
「こいつらを始末するのに、どんなプランがあるんだい?」
「……俺は小説家だ。直接的な攻撃力は持っていない」
 聚楽の問いかけに、刀真は僅かに自嘲するような笑みを湛えて肩を竦めた。だが、その表情には自信が漲っている。物理的な戦闘能力は持たなくても、烏人形の群れに対処する力は十分に具えていると、刀真の笑みが雄弁に語っていた。
「先ずはこいつらを片っ端から叩き伏せてくれないか。後の始末は、俺がやる」
「なら、お手並み拝見といこうか」
 刀真に応じながら、聚楽はパペットを奔らせ、自らも跳躍した。
 烏人形の群れは残り数体。だが、こいつらは呪詛型UDCだ。全滅させても、誰かがまた、あの紋様を用いればどこかで復活する可能性がある。それをどうやって刀真は始末するというのか。
 否、考えるのは後だ。
 聚楽はその外観からは到底想像も及ばない程の怪力を発揮し、跳躍した先に居た烏人形を叩き伏せた。そして自由落下に身を任せる感覚が全身を包み込む寸前に、鋼糸の列を網の様にばっと広げ、残った全ての烏人形を捕獲した。
 そのまま地面に引き摺り下ろし、或いは叩きつけ、半ば以上を無力化すると、パペットが烏人形共の間を駆け巡って、とどめの一撃を次々と繰り出していった。
 烏人形の群れは、全て動かなくなった。
 そしてここからが、刀真の出番である。
「俺が手掛けた物語の因果と概念は、俺の手の中にある」
 既に刀真は、木島春香を発端とするこの事件を一本の小説として仕上げていた。登場人物は関係者全員。有田勇司や片山部長刑事も、例外ではなかった。
「推理小説では、犯人は推理披露の後に捕まる……つまり、一切が無力と化す訳だ」
 刀真の小説に於いては、無力化すべきは木島春香だ。その木島春香は呪詛型UDCと化している。
 客室で描かれたあの紋様を、別の人間が別の場所で用いれば、かつて木島春香だった烏人形は再び力を得て、誰かに必殺の呪詛を叩きつけることになるだろう。
 そのような未来は、看過出来ない。
「観光推進課の四名と有田勇司、そして片山部長刑事にはこのまま無事に退場願おう」
 事件の最終的な解決は山梨県警N署の面々に委ねれば良い。刀真がここで為さなければならないのは、呪詛型UDCの始末という、ただその一点であった。
 烏人形の一体が怒りと憎しみに満ちた鳴き声で、刀真を威嚇した。勿論、そんな威嚇など刀真にとってはどこ吹く風だ。
 刀真は右手に、ペンを握った。左手に鷲掴みとなっていた原稿用紙上にすらすらとペン先を走らせる。そこに綴られてゆく文字は、この悪夢のような事件のエンディングであった。
 烏人形を呼び出す呪いの紋様は、刀真の作品世界という封鎖領域の中でフィクションと化した。もう二度と、この化け物共があの紋様を介して、人間の手によって召喚されることはない。
 刀真は、執筆を終えた原稿用紙を烏人形共に向けて投じた。烏人形の群れは全て、その原稿用紙の中に吸い込まれるようにして姿を消した。

 温泉街は、不気味なまでの静寂に包まれていた。
 全ての人間が避難しており、この場に居るのは猟兵達だけだった。
 刀真は、烏人形を封印した原稿用紙を拾い集めた。聚楽も手近の数枚を拾い上げて、刀真に手渡す。
「終わったのかい?」
「完結だ……とはいえ、この作品はお蔵入りだな。とても公表出来るもんじゃない」
 薄く笑いながら、刀真は束ねた原稿をアタッシュケースの中へ無造作に放り込んだ。
 聚楽は、有田山荘のある方角を見た。
 現実の問題は、まだまだ幾つも残されている。だがそれはもう、役所や警察が負うべき仕事だ。聚楽や刀真の与り知らぬことである。
 後味の良い任務だったかと問われれば、そこは微妙なところではあったが、しかし猟兵としての任務は完璧に遂行した。
 大正浪漫風温泉街──外観こそはそのように謳えても、内実はどうなのか。
 そんなことを漠然と考えながら、聚楽と刀真は石畳を蹴るようにして、去っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月18日


挿絵イラスト