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アースクライシス2019⑧~深緑の迷宮を越えて

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #センターオブジアース

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●――失われた恐竜達の楽園
 モニュメントバレーを制圧した猟兵達が見付け出した、洞窟の奥に広がる大空洞。
 その内部には巨大な植物が生い茂り、周囲を絶滅したはずの恐竜達が闊歩する地底の楽園。
 パンゲア大空洞と名付けられたこの地を探索し、センターオブジアースへと繋がる「鍵の石版」を探すのが今回の目標だ。
 必要数の「鍵の石版」を集める事で、センターオブジアースへの道が開かれるだろう。
 しかし道中では様々な恐竜達が待ち受けている。
 猟兵達の行く手を阻む彼等だが、周囲の変化と縄張りへ侵入する異物への警戒で殺気立っているだけなので、極力殺傷は避けるのが望ましい。
 仮に彼等恐竜達を手懐け協力を得られたのならば、周囲の探索は容易になるかもしれない。
 また「鍵の石板」には大きな魔力が宿っており、その周囲に不思議な現象を引き起こす事が確認されている。
 多種多様な現象ではあるが、それらの元に石版が有るので臆せず進んでもらいたい。

●――作戦会議
「と言う訳で、皆さんには恐竜達とキャッキャウフフと戯れながら石版を捜索して頂く事になります!」
 上機嫌で説明をする巫女、望月・鼎。
 いつも使っているホワイトボードには妙に上手い恐竜のイラストが描かれている。
 首長竜、三角竜、鳥翼竜などなど、実に様々だ。
「今回皆さんに探索して頂くエリアは入り口から出て東側、三時の方向ですね。此方側には如何にもと言った見た目の植物が生い茂っています。再現CGとかでよく見る巨大なシダ植物やめっちゃ太いパイナップルの木みたいな感じのやつですね」
 ペンを取りホワイトボードにきゅっきゅと、これまた妙に上手い絵を描いていく巫女。
 中生代や白亜紀と言った言葉が似合いそうな植物だ。
「周囲の分布図から見てもこの付近だけ植生が異様な感じになっているので、恐らくこの先に石版が有るのだと思われます。それで、皆さんの前に立ち塞がって来そうな恐竜の情報なんですが、此方になります」
 そう言って鼎は手書きのプリントを配り始める。
 三本指の足に細長い腕と首、そして鳥に似た頭を持つ恐竜が描かれている。
「知っている人も居るかもしれませんね。この恐竜はオルニトミムス。白亜紀後半に出現した恐竜で、その姿からダチョウ型恐竜なんて呼ばれ方もしていますね。足が早く雑食性で、木の実なんかを好んで食べるようです。性格は比較的大人しい方なんですが、まぁ縄張りに侵入する事になるのでこっちに攻撃を仕掛けて来ると思います。そんなに力は強く無いのでねじ伏せるのは簡単でしょうけど、なるべくなら平和な方法で仲良くなれると良いですねぇ♪」
 絵を見る限りはそれほど強くは見えない。
 昔のアニメ映画に出て来ていた時も、温厚で人懐っこい描写をされていたのを何人かの猟兵は思い出せるかもしれない。
「で・す・が、くれぐれも命に関わる怪我を負わせたりはしないでくださいね? 図体の大きい犬猫みたいなものですから、殺しちゃったりはダメダメです!」
 胸の前で両手を交差しバッテンを作る巫女。
「ではそんな感じで石版を探してきてください! ファイトですよーぅ♪」


一ノ瀬崇
 やはり恐竜はロマンですね。
 こんにちは、一ノ瀬崇です。
 今回は大空洞で石版探しですね。
 どんな恐竜が出て来るかも楽しみですが、出て来る恐竜が被らないかも若干ドキドキだったりします。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『パンゲア大空洞の大冒険』

POW   :    探索の妨害となる恐竜を力づくで排除しつつ、正面から探索する

SPD   :    見つからないように移動するなどして恐竜に邪魔させず、周囲の状況を良く確認し、探索を有利に進める

WIZ   :    知恵を駆使して恐竜を懐柔あるいは排除し、探索の為の作戦を考案する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルパート・ブラックスミス
神の国へと続く竜の楽園、か。
興味深いが戦時中だ、手早く突破しよう。

UC【現を彷徨う幽騎】で姿を消し、青く燃える鉛の翼で【空中浮遊】しつつ大空洞内に突入。
特殊な植生が顕著な地域を調査し探索の指針にしよう。(【地形の利用】【失せ物探し】)

件の恐竜を見つけたら観察し【情報収集】。
食べる木の実を把握したらそれを事前に収集、探索の道中で邪魔になる恐竜の近くに【投擲】し【おびき寄せ】てその間にすり抜ける。
対話能力があれば手懐けられたろうが、自分にそのような真似はできん。
単身手探りだ、慎重かつ迅速に動くとしよう。

【アドリブ歓迎】


ティエル・ティエリエル
WIZで判定

オルニトミムス……恐竜さんの餌付け用のご飯を【フェアリーランド】に詰め込んで出発だよ♪
恐竜さんを見つけたらさっそくご飯を取り出して餌付けしていくね♪
「動物と話す」「コミュ力」を使って話しかけて、ボクに協力してくれたらもっといっぱい食べさせてあげるよって説得!

無事説得出来たら、恐竜さんの背中に飛び乗って石板に向けて出発だ~♪
今日のボクはキョウリュウライドでGOGOだよ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


フィランサ・ロセウス
オブリビオンでもない恐竜が生き残っているなんて驚きね!

平和的に解決?まかせて
オルニトミムス?が襲ってきたらUCを発動して、背中に乗せてもらうわ
向こうは当然振り落とそうと暴れるでしょうけど、
がっしりとしがみついて離さないわ❤
どれだけ時間がかかるかわからないけど、
こちらが危害を加えないと理解したら大人しくなる…はず
失敗しても追い払えるなら良しとしましょう

恐竜を何とかできたら、言われた通り植生が変わる場所を探してみましょうか
どこか高い岩場や樹があれば、上にのぼって見渡すことが出来そうね


アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可
【WIZ】判定

おいおい、今回はぶっ飛ばしちゃダメなの? ふぅむ…どうするかな

いや、待てよ…
UDCアースの文献で見たことがある。かつてUDCアースでは魔獣を捕獲し、携帯するという文化があったらしいが…捕獲する際には、エサを投げて注意を引いたとか何とか…

そうだ、エサだ!

俺の所持品の中にある【蜜ぷにシロップ】、こいつを近くの木の実にかけて【おびき寄せ】だ! 世界を超えたコラボレーションだぜ!
こいつで注意を引いている間に、死角から一気に飛び込んで恐竜ちゃんの背中に【騎乗】し、【怪力】で抑え込むぜ!
消耗した分は【サンライト・ヒーリング】で回復してやるから、少し我慢しな!


夢咲・向日葵
●探索
・レッツゴーひまちゃん探検隊。今日の舞台は地下世界なの。
・とりあえず、プリンセスチェインとかを使いながら、地面に対して情報収集するよ。地面の声を聴くのも大地の魔法王女の役目だからね。
・恐竜さんはなるべく大人しく帰ってくれるといいんだけどね。無理かなぁ。無理だったらちょっと脅かしちゃおうかな。かるーく地面を揺らしたり、大岩を地面から当たらないようにつき出したりして、ビックリさせるよ。仲良くできそうなら、木の実とかを鎖や盾を使って回収して、それをあげるね。
・通れなさそうな道は地面を操作して石で橋とか作って通れるようにするよ。
・地下世界はいいね。どこまで行っても地面なの。


九条・救助
ふえー。恐竜なんかいたのかこの世界。いろんなことがあるんだなあ。
おー!オルニトミムス!昔の映画でみたなー。
餌付けとかできねーかな。ほーら、こわくなーい。こわくなーい。そのへんの木の実とかでコミュニュケーションとれっかな……。
なるべく刺激しないようにね。安心して安心して。
まあ、お友達になれなくても敵対だけしなきゃオッケーさ。

それじゃ探索続けようか……。
生き物がいるってことは、獣道みたいのがあるってことでしょ。それを通っていこう。
見つかんなかったらもう【神格共鳴】で飛んで上から探すしかねーかな……。
ウルトラサウルスあたり乗っけてくれたりしねーかな。あの大きさなら上に登って周りを見渡せそうだけど。


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
こういう場所は慣れた物だし、まあ何とかなるかな。

で、オルニトミムスかー。
まあ、軽く叩けば追い返せるだろうけど、縄張りに入ってるのはこっちだし、
できるだけ穏便に済ませようか。
好物の木の実を渡してやれば、とりあえず大人しくなるかなー。
【超軟体化】で蛸足を伸ばして、
普段は取れない高さに成ってる木の実を取って渡してあげよう。

どうしても木の実の数が足りなかったら、【豊穣樹海】を使うって手もあるけど、
生態系を崩しそうだから最後の手段かなー。

あんまり縄張りに長居しても悪いし、ささっと石板を見つけられたらいいんだけどねえ。
第六感が頼りだけど、まあ何とか探し出そうか。


アリス・レヴェリー
恐竜って聞いてもっといかついのを想像してたけれど、この子達はなんだか可愛らしいわね!
……でもなんだか怒ってるみたいだけど!そ、そんなお顔をしてたら可愛くないわ!

こちらに襲いかかってこようとする恐竜たちに向けて、視線をそらさず手を広げて身体を大きく見せるわ!ほら!

こちらを窺う為に隙を見せたら、【動物と話す】要領で説得よ!
仲良く!仲良くしましょ!おやつの果物とかも上げるから!ね?
突っつかれても【シンフォニックキュア】で歌って回復しながら和解をめざすわ。

分かってくれた……?あっ、ちょっと!襟の後ろを咥えてどこに連れて行こうっていうの!めっ!めーっ!


ネメシス・インフィニー
【心境】
「恐竜の中ではプテラノドンが一番好き~。あとウルトラサウロスも~」
(注1:翼竜は恐竜じゃないよ)
(注2:ウルトラサウロスは現在無効名)

【行動】
恐竜の背中に移動ってスリリングでドリーム。
おいら頑張っちゃうぞー。
友好的な『存在感』を垂れ流しつつ、レッツ探検開始うさ~。
おいらはとても良いウサギうさ~。おいでー。友達ナロー
おっと、そのおいらは『存在感』有る『分身』だうさ~。
おいたする恐竜さんにはお仕置きうさ~。
精神コマンド手加減込みのユーベルコード:ウサギの心は鋼の魂で投げ飛ばすうさ~。
力の差がわかったうさ~?ならおいらと友達になるうさ。
これがアメリカ仕込みの平和的な話し合いうさ~(ぇ)


マギア・オトドリ
怪我は負わせないように、ですね……頑張ります。

ひとまずは周囲の地形をある程度把握、周囲に巨大な植物や森が広がっているならば、鋼鉄結晶を浮かしつつそれを足場に木々に上り、安全を確保し木々を飛び移りながら移動。木々など高所の上れる物がないならば、草からの奇襲に警戒しながら進みましょう。

巣の周囲に近づいたら、石板の魔力と思わしき痕跡がないかを調査しましょうか。説明にあった件の恐竜に対しては、ユーベルコードの光を当てて眠らせていき襲われないようにします。協力は難しくとも、無力化はしていきましょう。もし傷ついた子がいるなら治癒し、何とかして協力を得れればと思いますが……そこらへんは他の方にお願いします。


バル・マスケレード
……ハシャいでる心が伝わってくる宿主の方はともかく、
俺ァ動物と仲良しこよしなんて柄じゃねェんだ。

抜き足差し足【忍び足】、【目立たない】行動を心がけるが、
奴らも野生、縄張りの侵入者を見つけてくるのもいるだろ。
俺ァ地球の出身じゃねェが、恐竜の絶滅要員ぐらいは知ってらァ。
羽毛もねェ恐竜である以上、寒さに弱いハズ。
状態異常力、すなわち凍結に特化させてUCを発動。
【属性攻撃】の応用で氷属性の出力も自由自在。
霜の鎧を纏い、周囲に凍える冷気を発生させれば向こうから逃げてくだろうさ。

木も多い地形、武器である伸縮自在の棘を駆使した【ロープワーク】で移動も楽々。
邪魔者追っ払い、じっくり探索と洒落込むかね。


ルカ・ウェンズ
了解、恐竜と戦わなければいいのね。
【行動】
私は宇宙昆虫に【騎乗】してショボーン(´・ω・`)と一緒に石版を探すわ。
オルニトミムスを見つけたら【残像】を使って躱してたり宇宙昆虫には木の実取ってきてもらって…(´・ω・`)には踊り、これでオルニトミムスを【誘惑】してもらうわ。

もし大型恐竜と出会ったらホテル・コリタスを発動!攻撃を遮断!そしたら私は恐竜を部屋から楽しく観察して、宇宙昆虫と(´・ω・`)に石版を探してもらうわ。

これはサボリじゃなくて…恐竜を傷つけずに無力化し、その間に信頼している相棒の貴方達に残像の見えるよう速さで石版を探してもらう、誰も傷つけないための作戦なのよ!!



 パンゲア大空洞。
 そこには雄大な自然と生命の息吹が溢れる原風景が広がっていた。
 周囲には昔のままに闊歩する恐竜の姿が有り、その手の研究者が涎やら涙やらの体液を流しながら勇んで研究データを漁り回る事は請け合いである。
「神の国へと続く竜の楽園、か」
 ルパート・ブラックスミスも興味深げに呟きながら足を進める。
 太古の昔に消えてしまった生き物が眼前で動き回っていると言う事にロマンを感じない訳では無いが、今は生憎と戦時中。
 時間が有るならじっくりと堪能してみたい所だが、今は手早く突破する事にした。
 足元には木の根や低木から伸びる枝が張り出しておりお世辞にも進み易い道とは言えない。
 と言うよりは、恐竜が通った獣道以外に道らしき道が存在していない。
「っと、前方に複数の気配です」
 数分進んだ所でマギア・オトドリが声を上げる。
 透かさず身を低くするルパートと、バル・マスケレード。
 その素早い身のこなしは中々のものだが、ヒーローマスクであるバルの宿主は間近に迫る恐竜に内心の昂揚を抑え切れずにいる様だ。
 自分の意思とは無関係に高まっていく宿主の動悸に、彼は嘆息にも似た思いを抱く。
(……ハシャいでる心が伝わってくる宿主の方はともかく、俺ァ動物と仲良しこよしなんて柄じゃねェんだ)
 恐竜との接触に備え、いつでも動き出せる様に踵を少し浮かせておく。
 がさりがさりと草木を掻き分ける音と共に、茂みの向こうで動く影が見えた。
 鳥を思わせる嘴が付いた顔と、細長い首のシルエット。
 オルニトミムスだ。
(怪我は負わせないように、ですね……頑張ります)
 マギアは警戒を前方に向けたまま周囲の地形を掌握する。
 右側には大きな倒木、左には張り出した巨木群。
 回り込んで動くには少々面倒臭さそうだ。
 となると進路は上か。
 幸い、オルニトミムスは此方の気配には気付いているが正確な位置は解っていない様子。
 持ち込んだ『鋼鉄結晶』を浮かべて足場にしつつ、木々の枝へと跳び移って行く。
 幹に隠れながら移動した為、まだ見付かってはいない。
 そっと覗き込んでみれば茂みの向こうの原にオルニトミムスが五体程見える。
 ハンドサインを送り、下で待つ二人へ情報を伝える。
 先ず動き出したのはルパート。
 茂みに近付きオルニトミムスの様子を観察する。
 内一頭がやや離れた場所の低木に頭を突っ込んでいるのが見える。
 何をしているのかと思えば、如何やら生っている実を食べているらしい。
(赤い実か……)
 視線を右に向ければ手の届く距離に、同じ様な実が生っている低木が有る。
 枝ごと毟り取って見れば、コクワに似たものらしい事が解った。
 幾つか採取し、原の中央へと投げ込んだ。
「キュィィ?」
 突然の物音に身構えるオルニトミムスだったが、それ以上の物音が無い事と投げ込まれたのが好んで食べる実だった事から早々に警戒を解いた。
 直ぐに皆が集まり実を啄ばんでいく。
 それを見て、バルへ頷く。
 バルはユーベルコード【トリニティ・エンハンス/アナザー】を発動。
 氷の魔力を使いじわじわと周囲の気温を下げていく。
 明らかにヒヤッとした空気を流すのではなく、何となく冷えてきたかなと思わせる程度にゆっくりと。
(俺ァ地球の出身じゃねェが、恐竜の絶滅要因ぐらいは知ってらァ。羽毛もねェ恐竜である以上、寒さに弱いハズ)
 恐竜は爬虫類の多くがそうであるように変温動物だ。
 外気温の変化には余り強く無い。
 人間には鋭敏に感じられない程の温度変化で有っても、彼等に取っては大事だ。
 木の実を食べつつも忙しなく周囲をきょろきょろと窺い出す。
 それを見て、最後にマギアが動いた。
「……太陽よ、我が声に応え、庇護すべき方々を癒したまえ」
 ユーベルコード【陽光の庇護】の発動。
 暖かい陽だまりの光が原の右側へと降り注ぐ。
 オルニトミムス達はふらふらと誘われるようにそちらへ向かう。
 光がぽかぽかと彼等を包み、同時に心地良い眠気も齎していく。
 くぁぁ、と大きな欠伸を一つ残して彼等は暫しの睡眠を得る。
 周囲の気配を探ってみるが、他に逸れたオルニトミムスは居ないようだ。
「……おっけーです」
 無力化を済ませた事を確認して、マギアが木の幹をするすると降りてくる。
 入れ替わる様に、今度はルパートが空へと舞い上がった。
 ユーベルコード【現を彷徨う幽騎】を使い自身と装備を透明化する。
 他の恐竜に発見されるリスクを回避して『青く燃える鉛が形成する翼』をはためかせ上空へ。
 翼を持つ種族程に上手くは飛べないが、ほんの僅かな時間滞空するには十分。
 上空から見た地形を記憶して二人へ伝え、いざ出発。
「石版本体は見えなかったが、やはりこの方向で合っているようだな」
「どんどん植物が派手と言うか、自重を忘れて育っていってますものね……」
 巨大な花弁や突き出た枝、倒木に自身の背丈よりも高い張り出した根が行く手を阻む。
 そんな状況でも比較的軽快に進めているのはバルが先を行き道を作ってくれているからだろう。
 伸縮自在の『久遠の棘』を使い一足先にルートを構築し、二人が続き易いように手近な所に生えている蔓植物を使い手摺代わりに渡して行く。
「先は長いだろうが、じっくり探索と洒落込むかね」

「オブリビオンでもない恐竜が生き残っているなんて驚きね!」
「恐竜の中ではプテラノドンが一番好き~。あとウルトラサウロスも~」
「俺は恐竜は余り詳しくないな」
 別ルートからの探索を試みる猟兵達。
 フィランサ・ロセウス、ネメシス・インフィニー、アーサー・ツヴァイクのヒーロー三人からなる即席チームだ。
 持ち前の運動神経と体力で悪路をずいずいと走破していく。
 行く手を遮る植物を薙ぎ倒して道を切り開きながら進む姿は、宛ら人力ブルドーザー。
 暫く進んだ辺りで漸く木々が途切れ、背の低い草が茂る原っぱへと辿り着く。
「あ、見て! 恐竜達よ!」
 フィランサが指差す先には三頭のオルニトミムスが走り回っていた。
 彼等も此方に気付いた様子で、遠巻きに警戒しながらゆっくりと距離を詰めてくる。
「今回はぶっ飛ばしちゃダメなんだっけ? ふぅむ……どうするかな」
 腕を組んで頭を悩ますアーサー。
 何か妙案は無いかと記憶の引き出しをがっちゃがっちゃ開けていると、ふと昔に読んだ文献の事を思い出した。
 かつてUDCアースでは魔獣を捕獲し、携帯するという文化があったらしい。
 捕獲する際には、エサを投げて注意を引いたとか何とか。
「そうだ、エサだ!」
「良い考えがあるうさ~?」
「私にいい考えが……ってフラグになりそうだな」
 そう言いつつアーサーが懐から取り出したのは『蜜ぷにシロップ』と書かれたラベルが貼られた瓶。
 とても甘い蜜を近くに生っていた木の実に塗してみる。
 周囲にねっとりとした甘い香りが漂い始め、それはオルニトミムスの鼻腔を擽る。
 興味を示し顔を持ち上げたのを見て先頭に居る奴の鼻先へ投げ込んでみると、反射的に口を開いて食い付いた。
 反応は劇的。
「キュイィィ♪」
 美味しそうな声を上げて咀嚼するオルニトミムス。
 それを見た後ろの二頭は興味深げに此方を覗き込んでいる。
 追加で二つ投げ込んでやると、二頭も恍惚とした様子で食べ始めた。
「よし、今の内に」
「おいら頑張っちゃうぞー」
「うふふ、お友達になりましょう?」
 オルニトミムス達が口の中に広がる幸福に気を取られている隙を突いて、三人は彼等の背中へと飛び移った。
「キュィィ!?」
 突然背中に乗られた事で暴れ出すオルニトミムス。
「おいらはとても良いウサギうさ~。友達ナロー」
「キュィ!」
「おわっとー」
 激しく跳ね回るように身体を揺らして抵抗され、ネメシスの体躯が離れていく。
 程近い場所に着地した彼を狙って、オルニトミムスは突進を仕掛けに行く。
 が、その攻撃は彼を通り過ぎていく。
「おっと、そのおいらは『存在感』有る『分身』だうさ~」
 ネメシスの姿が掻き消え、別の場所から存在感を放つネメシスが現れる。
 体験した事が無いだろう光景にオルニトミムスは混乱状態だ。
「おいたする恐竜さんにはお仕置きうさ~」
 軽い調子でユーベルコード【ウサギの心は鋼の魂】を発動。
 いきなり胴体を持ち上げられ原っぱに転がされたオルニトミムスは目を白黒させている。
 そんな彼を覗き込む笑顔のネメシス。
「力の差がわかったうさ~? ならおいらと友達になるうさ」
 言葉は解らずとも意図する所は伝わった。
 オルニトミムスは大人しくなって背中にネメシスを乗せる。
「これがアメリカ仕込みの平和的な話し合いうさ~」
「アメリカが誤解されそうな交渉術だな……そう言えばフィランサはどうなった?」
「はぁい♪」
 名前を呼ばれたフィランサがにこやかに手を振っている。
 彼女はオルニトミムスに乗っているのだが、どんなに暴れ回ろうともその背中にぴたっとくっ付いて離れない。
 鞍で固定しているかの様な安定性だ。
 オルニトミムスは如何にか跳ね除け様と試行錯誤しているのだが、フィランサは涼しい顔で軽々と乗りこなしている。
 常人ならいざ知らず、ユーベルコード【クロックアップ・スピード】を発動した彼女を捉えるのは至難の技だ。
「ふふ、がっしりとしがみついて離さないわ❤」
「キュイィ……」
 一向に振り落とせる気配が無いフィランサに根負けして、オルニトミムスは大人しくなった。
 危害は加えられ無さそうだし、いっそ気にしない方向にしたらしい。
「見事なもんだな。っと、序に回復してやるか」
 アーサーがユーベルコード【サンライト・ヒーリング】を発動し優しい太陽の光を放つ。
 光に当てられたオルニトミムス達は疲れが癒えていくのを感じて、一層大人しくなった。
 ちなみにアーサーが乗っている個体は更なる蜜掛け木の実としがみ付く怪力の飴と鞭で懐柔済みだ。
「これで探索はし易くなったか?」
「徒歩で移動するより随分楽うさ~」
「道中よろしく頼むわね?」
 力量さを示しオルニトミムスを従えた三人は深くなって行く森林を進んでいく。

「レッツゴーひまちゃん探検隊。今日の舞台は地下世界なの」
「れっつごーよ!」
 グッと右手を握り込む夢咲・向日葵の隣で元気良く右手を挙げるアリス・レヴェリー。
 今回の探検で一番テンションが高いかもしれない二人だ。
「地下世界はいいね。どこまで行っても地面なの」
 大地をこよなく愛する向日葵は既にご満悦状態だ。
 前後左右所か上を見上げても大空洞と言う性質上天井と地面が一体化している。
 いっそホームグラウンドと言っても過言ではない。
「仲良くなれるかしら……!」
 アリスは未だ見ぬ恐竜達との出会いに胸と小鼻を膨らませてふんすふんすしている。
 一期一会かもしれないが新しい友達が出来る事に期待いっぱいの様子。
 いつもより歩く時の腕の振りも、ちょっぴり大きい。
「オルニトミムス……恐竜さんの餌付け用のご飯を【フェアリーランド】に詰め込んで出発だよ♪」
「了解、恐竜と戦わなければいいのね」
 その後ろで楽しげに周囲を見渡しているのはティエル・ティエリエル。
 彼女の隣では『宇宙昆虫』に跨り頭の上に(´・ω・`)な顔をした『ショボーン(´・ω・`)ぬいぐるみ』を乗せたルカ・ウェンズが近場の低木から木の実を採取している。
「いやー楽しみだね♪ 恐竜なんてアニメや映画くらいでしか見た事ないよっ☆」
「実際に見てたら凄い事よね?」
 ツッコミを入れつつ進んでいると突如ショボーンが頭から飛び降りて近くの茂みへと入っていく。
 このぬいぐるみ、原理は謎だがちょっとした自立行動が出来るらしい。
 がさがさと探索を終えて戻ってきたショボーンの腕には大量の木の実が抱えられていた。
「あら、こんなにいっぱい」
「お手柄だよー!」
 持ってきた木の実をフェアリーランドに収納しつつ、ティエルはショボーンを抱きかかえる。
 と言ってもフェアリーの彼女とショボーンの大きさはそんなに変わらない所か、もしかしたらショボーンの方が大きいかもしれない。
 抱えた手に返る肌触りは程好くもちもちだ。
「とても柔らかい……柔軟剤も使ったんだね!」
「どうかしら、知らない内に洗濯機に浸かってる時があるのよね」
 自立するぬいぐるみショボーン。
 彼の生態は謎に包まれている。
「ふえー。恐竜なんかいたのかこの世界。いろんなことがあるんだなあ」
「こういう場所は慣れた物だし、まあ何とかなるかな」
 最後尾で周囲の警戒を行いつつのんびりと歩くのは九条・救助とペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードの二人だ。
 予知に出ていたもの以外の恐竜が襲ってこないとも限らないので、念の為にいつでも動き出せるようにはしてある。
 そんな二人が交わすのは恐竜トークだ。
「オルニトミムスかー」
「おー! オルニトミムス! 昔の映画でみたなー」
「映画だと割と人懐っこかったけど実際は如何かな。出来るだけ穏便に済ませられればそれに越した事は無いけど」
「映画で出て来た他の恐竜と言えばあれだ、えーと、ヴェ、ヴェー……」
「ヴェロキラプトル」
「そうそれ! 前方の二匹が注意を引いてる隙に仲間がこっそり後ろに回り込んでたりなー!」
 救助の台詞に一同が足を止めてきょろきょろと周囲を見渡す。
 恐竜の気配は無いのだが、思わず気になってしまったのだろう。
「今の所は心配無さそうだけどねぇ」
 ペトニアロトゥシカが間延びした口調で言う。
 流石に気が逸り過ぎたと感じてか、皆は笑いながら探索を再開する。
 わくわくは最高潮らしい。
 倒木や蔦の壁を越えて行くと、広々とした草原が現れた。
 そこには十頭を超える数のオルニトミムスがのんびりと日向ぼっこをしていた。
 群れの中には子供の個体も居る。
 小さな尻尾を振ってひょこひょこ歩く姿は何とも可愛らしい。
 と、此方の匂いに気付いてか親らしき個体が警戒した様子で起き上がる。
「恐竜って聞いてもっといかついのを想像してたけれど、この子達はなんだか可愛らしいわね! ……でもなんだか怒ってるみたいだけど! そ、そんなお顔をしてたら可愛くないわ!」
「恐竜さんはなるべく大人しく帰ってくれるといいんだけどね。無理かなぁ」
 一番前に居たアリスはちょっと腰が引けた様子。
 隣に居る向日葵は落ち着いたもので、冷静に彼等の出方を窺っている。
 一頭が頭を低くしながら此方にゆっくりと近付く。
 それを見てアリスは視線を逸らさず両手を広げて身体を大きく見せようとする。
 所謂アリクイのポーズだ。
 可愛らしいが威嚇としての効果は無い様でオルニトミムスは気にせず近付いてくる。
「ほら、おいたはダメなのよー」
 ユーベルコード【母なる大地の魔法王女】で変身した向日葵が、軽く踵で地面を叩く。
 すると周囲に小さな揺れが起き、オルニトミムスはバランスを崩す。
 身体が倒れたのを見計らって、顔の横に小さく岩を突き出させる。
 突然の事に吃驚したオルニトミムスは、後ろの群れも含めてすっかり大人しくなってしまった。
「これで一先ずは騒動にならなさそうなの」
 ふぃー、と流れてもいない汗を拭う仕草をする向日葵。
 ともあれ此処からは懐柔タイムだ。
 各々木の実や持ち込んだご飯を手に群れへと歩み寄っていく。
「早起きして作ったご飯だよ! ボクに協力してくれたらもっといっぱい食べさせてあげるよー☆」
 ティエルはフェアリーランドから色々な食べ物を取り出していく。
 雑食性と聞いていたので肉に魚に果物に穀物と、バリエーション豊かだ。
 実際に自分も食べてみせて警戒を解き、一品ずつ薦めてみる。
 お気に召したのは矢張り果物系。
 彼女が近付いた個体は中でも梨がお気に入りの様だ。
「キュィィ♪」
 しゃくしゃくと食べながらご機嫌な声を上げている。
「さっきはごめんね?」
 向日葵はこの群れのリーダーらしき個体に木の実を差し出した。
 真っ先に立ち上がり向かって来た勇気を讃えつつ頭を撫でてみると、オルニトミムスは何処か不思議そうに木の実を啄ばむ。
「別に敵対しようって訳じゃないのよ?」
 そのまま頭を撫でていると、小さな個体が寄って来た。
「あなたも食べる?」
「キュィ!」
 短く、元気良く答える子供のオルニトミムス。
 小さく笑みを零して木の実を差し出すと、それを美味しそうに食べ始めた。
「よし、オレもやってみるか! ほーら、こわくなーい。こわくなーい」
 救助が向かったのは一番身体が大きな個体。
 如何やら雌らしい。
 一家を取り纏める肝っ玉母さんと言うやつだろうか。
 木の実を差し出すと喜んで食べるが、彼女には少々物足りなかったらしく頭で救助の背中を押してくる。
「おぉう、もっとか?」
「いっぱい採ってきたよ」
 急かされている救助に木の実を差し出すペトニアロトゥシカ。
 ユーベルコード【超軟体化】で伸ばした蛸足で周囲の木から採取したものだ。
 高い位置に生っていたリンゴの様な木の実を、オルニトミムスは美味しそうに齧っていく。
「旨いのかな?」
「中の大きな種は食べ辛そうだねぇ」
「アボカドみたいな大きさの種だな」
 目の前の恐竜も然る事ながら、目にした事の無い果実を見てテンションが上がる救助。
 ペトニアロトゥシカはと言うと、そのリンゴに似た木の実を持っているのがバレて周囲のオルニトミムスに集られている。
「予期せぬ大人気」
 ナンバーワンアイドルの握手会みたいな賑わいだ。
「こうして見るとこの子達も可愛いものね」
 ルカはショボーンと手分けして木の実を配っている。
 コクワに似た木の実が特にお気に入りらしく、此方も大盛況だ。
 ショボーンは時折珍妙な踊りでコミュニケーションを取りつつオルニトミムスと仲良くなっている。
 持っていた木の実を半分程配り終えた頃にふと首を向けてみると、オルニトミムスの背中に乗ったショボーンが此方を見ていた。
「もう仲良くなったの?」
『よゆう』
 文字が書かれたメモ用紙を掲げるショボーン。
 彼の生態は謎に包まれている。
「……ま、まぁ良いわ。それじゃ私はのんびりと付いて行きながら石版が見付かるのを待ちましょうかね」
 そう言ってルカはユーベルコード【ホテル・コリタス】を発動する。
 宇宙昆虫に騎乗しつつゆったりと過ごしている間は自身の周囲が豪華なホテルの一室のようになる。
 移動は宇宙昆虫に任せ、石版の探索はショボーンと他の宇宙昆虫にお任せ。
 まさに鉄壁の布陣である。
「これはサボリじゃなくて……、信頼している相棒の貴方達に残像の見えるような速さで石版を探してもらう、誰も傷つけないための作戦なのよ!!」
 ドヤ顔で胸を張るルカ。
 サボる気満々の彼女を、ショボーンは切なげな顔で見詰めていた。
 そしてアリスはと言うと。
「仲良く! 仲良くしましょ! おやつの果物とかも上げるから! ね?」
 同じくらいの背丈の、子供のオルニトミムスに囲まれていた。
 途中で採取した木の実と自分で持ってきたおやつの果物を配りながら親交を深めている。
 時折じゃれついて突っついてくる子も居るが、そんな時は【シンフォニックキュア】で落ち着くメロディを紡いで沈静させつつ突かれた傷を回復していく。
 なんだかんだ言いつつ、嘴は尖っているのでちょっぴり痛いのだ。
 それを繰り返している内にやんちゃをする子は居なくなり、皆楽しげに頭を擦り付けてくるようになった。
「分かってくれた……? これでお友達ね!」
 胸を張ってふんす、と笑みを浮かべるアリスだったがその背後に忍び寄る影。
「キュィィ♪」
「あっ、ちょっと!」
 この子達の母親らしき個体がアリスの襟を咥えて身体を持ち上げた。
 如何やら運んでくれるらしい。
「襟の後ろを咥えてどこに連れて行こうっていうの! めっ! めーっ!」
 ちたぱたと手足を振り回すがオルニトミムスは涼しげな顔。
 せめて背中に乗せて欲しいと言う願いも空しく、アリスはぷらーんと吊られて石版探しの旅に出る事となった。

 そうして石版を探して森を行く三組の猟兵達。
 迫り出す岩肌の様な大樹や一軒家程も有りそうな大きさの花弁が積もる場所を抜けて、漸く辿り着いた。
 ふわふわと空中に浮かぶ石版を見て世界の神秘を感じ取る猟兵達。
 紆余曲折は有ったが、無事に『鍵の石版』を入手する事に成功したのだった。

「そろそろ降ろしてー!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月14日


挿絵イラスト