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退廃たる美食

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●退廃たる美食
 さぁ、さぁ。
 前菜は何にしよう。子供の足ではハムにはならぬ。
 しかしやせ細った男の腹でもうまくない。ここは柔らかな女の腹あたりが良いだろう。
 前菜と合わせる酒は、そうだ。その場で首を撥ねた血を酒精の高い酒で割ってあわせるか。
 いや、これは食前酒のほうが良いだろうか。迷いどころだな。良い酒があればそちらにしよう。
 前菜の次はスープにするか。うぅん、これは迷う。肉ばかり続くのはよくないだろう。野菜をいれるか……いや、そんなもの入れストも我の作るスープの最上を振舞えばよい。
 とろとろになるまで煮込んだスープだ。生きたままの人間を鍋に放り込み、時間をかけてじっくりと。隠し味は、その人間を好いているものも時間差で投げ入れること。
 悲しみと恐怖と。煮える様を見せつけて。
 そして肉が蕩けて消え去る迄時間をかけて。この仕込みは早速しなければならない。
 透き通るような色のスープは、しっかりと絶望と愛とが染み出した味が出ている。
 シンプルなスープのできあがりだ。
 さてさてメインの料理は――そうだな、久しぶりに丸焼きなどどうだろう。
 生きたまま、悲鳴をあげさせて。ああ、恐怖も良いスパイスだ。肉はきっと引き締まる。
 丁度よい余興にもなるだろう。
 もう一品くらいメインはあった方がよいだろうか。いやいや、食べ過ぎもよくない。
 それにデザートだ。これは二つ用意しようか。
 新鮮な、赤子たちの血のシャーベット。それにふるんとした脳のババロア。
 うん、良い。とても良い。
 ああ、メニューが決まれば材料がいる。
 子飼いの人攫いたちに材料を集めろと、命じなければ。
 それから――食事を振舞う場所を決めなければ。

●予知
 頼みがあるんだけど、と淡々と。
 赤い毛並みの妖狐の少年――終夜・凛是(無二・f10319)は猟兵たちを呼び止めた。
「飯くえなくなったらごめんって先言っとく。行先はダークセイヴァー」
 多分、人を料理するヴァンパイアの一幕を見たと凛是は言う。
 見えたのは断片的に色々と。
 楽し気に料理を考える様。すごく楽しそうだった。
 赤い水に囲まれた、立派な城。おそらく、主の部屋にて散らばっている書きなぐられたレシピ。
 うっすらと輪郭だけみてとれたヴァンパイアが、子飼いの人攫いたちとの連絡方法を確認する様。
 そして、どこかへ出かけていくヴァンパイア。
「どこいったかわかんないから、まず情報収集だと思う」
 俺は真っ赤な水に囲まれた城の前には送れると思う、と。だがその城の跳ね橋は上がっている。まずは侵入しなければならない。
 そして、ヴァンパイアの行方はわからないが、子飼いの人攫いたちとの連絡方法を確認していたのだから、それから見つけることも可能だろう。それは主の部屋にあるはずだ。
 そして、子飼いの人攫いたちをみつければ、そこからヴァンパイアに繋がる情報もでてくるのではと凛是は言う。
「情報探したり、そういうの大変だと思う。けどやって。俺いけないし」
 頼むとしか言えないのはちょっと悔しいと零し、凛是はほかに聞くことはない? と尋ねつつ掌の上でグリモアを遊ばせる。ああ、そうだと紡ぐ。
「主の部屋にあるレシピは、あんまりよく見ない方が良いと思う。できたら、燃やして」
 決して気分の良いものではないからと。
 それ以上何も言わず、凛是は猟兵たちをダークセイヴァーへと送った。


志羽
 お目通しありがとうございます、志羽です。
 OPかくのたのしかった。

●シナリオについて
 第一章:冒険(不夜城に攻め入れ!)
 第二章:冒険(???)
 第三章:ボス戦(自称美食家ヴァンパイア)
 以上の流れとなっております。

●プレイングについて
 今回、一章と二章については志羽の主観になりますが、このプレイングとても良い、印象に残る、想定外で面白い、といった感じで選ばせて頂こうと思っています。
 最初のプレイングが来てからおおよそ一日~一日半後くらいから執筆をします。
 描写されない方もでてくると思いますが、ご理解の上でご参加ください。

 以上です。
 プレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『不夜城に攻め入れ!』

POW   :    力づくで侵入する。

SPD   :    隠密に侵入する。

WIZ   :    侵入の経路を探す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●赤い水に囲まれた城
 目に入った城の、その姿は。
 荘厳であるがどこか異質で冷たい印象を受ける。そして臭い、草臥れたような、饐えた匂いがまずその鼻を突いてきた。
 それはあの赤い水からしているのだろう。
 城を囲む赤い水――それらにはわずかに流れがあるので、城より流れ出ているようだ。ぐるりと城の周囲を回ってみれば案の定、人一人がなんとか、通れるくらいの排水溝がある。
 そこから内部に入る事ができるかどうかは、向かってみなければわからない。もしかしたら行き止まりかもしれないのだから。
 堀の深さはわからないが、幅にはムラがある。
 なんとか飛び越えることも出来そうだが、その先はすぐ石壁の城壁。着地のできる足場はない。
 そしてその城壁の高さも、多少の差異はあるが4メートル程だろうか。城壁は石のブロックを積み重ねて作られている。まったくとっかかりのない壁、というわけではない。
 そして城の正面。そこにある跳ね橋はあがっており、使う事は今は不可能。
 しかし誰か一人、中に入ることができればこの跳ね橋を下ろすこともできるだろう。
 猟兵たちの前に静かに佇む城は訪れた者達を静かに拒んでいた。
一文字・八太郎
食べる楽しみは拙者も良く知っている
だが、これは余りにも悪食が過ぎるでござるな
止めねばなるまい

【POW】
拙者は排水溝より侵入しよう
小柄な体躯、このような時に活かさずしてどうするか
道が細くなろうと多少ならば進める筈

ヒゲに感じる空気の流れや匂いで方向を読み進む
耳もすませれば人攫い達や
まだ生きているかも知れぬ誰かの声を拾えるやもしれん
そして何より血の匂いがより酷い方向が
おそらくは内部に近しいのではなかろうか

もし道阻むものが鉄柵程度であるのならば
刀にて切捨て前へと進みたいところでござるな
だが完全な行き止まりであった場合は素早く引き返し仲間へ報告

無事潜入できたとすれば
跳ね橋下ろして皆を招き入れるでござる




 食べる楽しみは良く知れども――だが、これはあまりにも。
「悪食が過ぎるでござるな。止めねばなるまい」
 排水溝――ゆるゆると赤い水が流れる場所へと一文字・八太郎(ハチ・f09059)は金の瞳を向けていた。
 小柄な体躯、今活かさずしてどうするか。
 人一人がなんとか、という狭さでも八太郎であれば少し余裕もって進める。
 赤い水から立ち上がる匂いは濃く澱んでおり、一歩進むごとにしゃぷしゃぷと小さな水音が無意味に響き続ける。
 ぴんと張ったヒゲがひくりと動いたのは空気の流れを感じたからだ。
 空気の流れがあるということは――内部に繋がっている可能性がある。
 すんと鼻を鳴らせば、嫌な臭いも一層強まっている。鉄錆の、しかしそれだけではない腐ったような。
「……血の匂い」
 排水溝は一本道、ただまっすぐ続いて――やがて終わり。
 鉄柵程度であれば刀にて切り捨て前へ、と思っていたのだが。
「さすがに石は難しいでござる」
 こん、と鞘で目の前の行き止まりをつつく。薄い石壁であれば八太郎は切っていたかもしれない。しかしこれは切るには難しい厚さだと、音の響きから感じる。
 あるいは、切るではなく砕く術があれば、内部へと達していたかもしれない。
 だが、無駄足ではなかった。
 城壁の一部として作られた排水溝――水を廃する場所であるがゆえに完全に塞がれているわけではない。上部にはその手が通るほどの空間がある。そこから内部の様子が見て取れたからだ。
 内部の様子を伺えば寂れた庭園だろうか。どうやらここは、庭園の水の排出先のようでもある。草木は枯れてなにもない。ただ、赤い水の流れる水の庭園。
 八太郎が右、左と視線を向ければ――跳ね橋が見えた。その周辺に動くものの姿はない。しばらく観察してみても、跳ね橋周辺も目の前の庭のあたりも見回りにくる者もいない様子。
 不気味なほどに、静かだった。
 そんな、跳ね橋周辺の情報をもって八太郎は急ぎ、仲間達の元へと引き返していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

玖・珂
料理の材料をブタやウシに掏りかえれば同じ事
戴くとはそういうものだ

しかし其処に恐怖や絶望は不要
悦楽の儘に生命を狩る輩は好かんな

堀の幅が狭い場所を選び城壁から侵入を試みるぞ

赤い水……単純に推測すれば血だろうが
一体どれだけの無念が流れているのだろうな

長杖の羽雲で水面を指し氷の風を注ぎ込む
広範囲で無くても構わぬ
氷堤が出来たならその上を歩き城壁へ接近

城壁の上に糸雨を引っ掻けられる場所があれば
鳥姿の羽雲に運ばせ、鋼糸を支えに登るぞ
良い場所が無ければ石の隙間に黒爪をかけてクライミングしようか

……此の様な城、壊してしまっても良かったのだがな

無事に登ったなら城壁の上をつたい
跳ね橋を下ろしに行こう




 料理の材料をブタやウシに掏りかえれば同じ事。戴くとはそういうものだと――玖・珂(モノトーン・f07438)は思う。
 しかし其処に恐怖や絶望は不要と羅刹の女は零した。
「悦楽の儘に生命を狩る輩は好かんな」
 主であるヴァンパイア――決して好意の持てぬ相手の情報を得るべく、まず侵入しなければならない。
 黒い瞳は細められ、ふと堀へと落とされる。
「赤い水……一体どれだけの無念が流れているのだろうな」
 単純に推測すればそれは血としか思えぬもの。
 堀の幅が狭い場所を探しながら歩く珂はここだなと、その場所を見定めた。
 見回せば、それは排水溝の近くだ。そしてタイミングよく、八太郎がそこより出て来る。
 八太郎の得てきた内部の情報を得て、それならばと珂は手にした長杖、羽雲で水面を指し氷の風を注ぎ込む。
 それは広い範囲ではなく、ぱきぱきと硬い音を立て、赤い氷堤を作り出す。
 すべてを凍らせる必要はない。珂はその上を歩き城壁の傍へ。近づいてみれば、しっかりとしたつくりなのが一層よくわかる。
 中に見張りの者もいないのなら、鳥姿の羽雲が糸雨の端を運んでも見つかることはない。
 珂の手の内にあった長杖――羽雲は白い猛禽となり強くしなやかな鋼糸を運び、城壁へとひっかけた。
 数度、その感触を確かめた珂はそれを支えに城壁を登る。
 石の隙間に黒爪をひっかけても登れそうだったかと思いつつ、城壁の一番上へ辿り着く。
 ひゅうと冷たい風の吹く城壁の上に達すれば、隠されていた城の姿が珂の前に現れる。
 その姿を一瞥し、今は跳ね橋の方へ。
「……此の様な城、壊してしまっても良かったのだがな」
 城壁の内側に降り、跳ね橋の絡繰りを動かせば鈍い音と共に橋が下りていく。
 誰も招かぬ城の入り口が開かれたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​


●城の探索
 城への道は開かれた。しかしまだそれだけ。
 ヴァンパイアの情報はまだ何も得ていない。
 城壁の中――城の周囲、庭園等には何者の気配もない。
 城の形はほぼ正方形だろうか。いくつもの窓はあるが、内部を窺えるものとそうでないものがある。
 城の中心は一階層、さらに高く作られているようだ。四隅には塔、そして跳ね橋の正面にある大きな扉。これが正面入り口だろう。
 その扉は鍵が開いており中をそっと伺う事が出来た。
 まず広間。そして正面、二階へと続く階段があり、その先に一際豪奢な扉。鍵穴が見受けられ開いているかどうかはわからない。位置的におそらく中心の――一階層高く続く塔への道だろう。
 だがその広間を亡者たちがさ迷っているのが見て取れる。場内をうろうろとしているのだろう。決して規則正しいものではなく、広間に何者もいないという時間はわずかだ。何か大きな音がすれば、亡者たちがやってくるかもしれない。
 予知した者の話では、主の部屋と思われる場所には書きなぐられたレシピが散らばっているはず。
 そして、その部屋のどこかにはヴァンパイアの子飼いである『人攫いたちの情報』もあるだろう。それは次への手がかり。
 まずは――『その部屋までたどり着く』事を達さねばならない。
斎部・花虎
【WIZ】
何ともまあ、悪食だな
悍ましいものは燃すに限る――おれも同意見だ、凛是

単身故、正面から往くには不安が残る
……お出で、おれのかわいい獣たち
影より呼び出したる獣のかたちをした何か
この子たちに「レシピ」を追跡して貰おう

繋がった五感でレシピの在る主の部屋までの障害物、ルートを測る
影を先行して走らせながら、おれも後を追う
巧いこと部屋を見つけられたら、まずは連絡方法の確認
及びヴァンパイア本人について、何ぞ解るものの捜索
誰かと共闘出来れば手分けもするさ

レシピを辿れずとも、侵入する上で安全なルートが見つかれば重畳
この場合もそこを踏襲して城へ入り、中で主の部屋を探すよ


クロード・ロラン
胸くそ悪いヴァンパイアだな
そもそも気分のいいヴァンパイアとは会ったことがねえけど……
そんな中でも、こいつは特上の悪趣味野郎だ
早いところぶっ飛ばしてやりたいな!

跳ね橋下ろしてくれた仲間に感謝しつつ、忍び足で城の中へ
俺とは離れた場所へ石を投げ、亡者達の意識を向けよう
その隙に素早く広間へ入り身を隠し、奥へ
本命は二階、だろうが。鍵がかかってる可能性が高いから、俺は広間周辺を調べよう
引き出し、壁の収納、見落としがないよう注意深く見ていく
隠し収納の可能性も想定しよう

俺が亡者に見つかった時は、囮役に切り替え
できる限り多くの亡者をひきつけて、広間から離れよう
やべえ、見つかった!と焦る演技も忘れねえ


アルノルト・ブルーメ
本当は余り時間を掛けたくはないけれど
焦って逆に長丁場になってしまう事こそ避けたいね

亡者の周回する感覚を暫く観察し
凡その時間ややってくる方向を把握した後
広間に誰も居ないタイミングで城内へ

もしも、すでに亡者との戦闘が行われていた場合は
申し訳ないけれど陽動として動いて貰おう

二階へと迅速に移動して、扉が開いているか確認し
開いていない場合はレプリカクラフトで鍵を模倣出来ないか試そう
大きな音を立てて無理に破壊する事で亡者を呼ぶ必要もないだろうから

扉が開いたら、広間で亡者を相手取っている仲間に声掛け
必要であるならば、Viperで戦場離脱の支援
不要であれば、先に進ませて貰おう

目指すは、情報の宝庫である主の部屋


アール・ダファディル
他の者が探索を済ませる迄の間に亡者を釣り出す陽動としよう。
何、動かせる駒は存分に活用するさ。

内部を窺える窓のうち内から目に付きにくい場所を複数確認しておく。
その中でも一番広間から離れた場所で時間を稼ぐとしよう。
俺自身は隠密を徹底。見つかっては意味がないからな。
【錬成カミヤドリ】で生み出した分身に鈴を持たせ全て窓から投げ入れる。
窓が閉じているようなら割るさ。どうせ音を立てるからその方が手早い。
「さて、奇想曲と洒落込もうか」
分身を操り、視界の範囲内で逃げ回らせ、かつ、調度品を壊させる。
兎に角、音を出させて動いて邪魔だと認知させる。
大多数の分身が潰えたら、他の目星を付けた場にて同様の事を起そう。




 何ともまあ、悪食だなと。
「悍ましいものは燃すに限る――おれも同意見だ、凛是」
 斎部・花虎(ヤーアブルニー・f01877)はここへ送った少年に向け独り言ちて、城を見上げた。
 しかし、単身で正面から往くには不安が残る。
 花虎の碧翠の眸は一瞬、己の影の上を撫で。
「……お出で、おれのかわいい獣たち」
 誘い招く声に影より獣のかたちをした何かが音も無く、傍に。
 獣たちは極めて発見されにくい特性を持つ。するりと、小さな音たてて開いた正面の扉から、亡者たちがいない隙に入り込ませた。
 花虎と獣たちの五感は共有されている。
 視線は低くなるような感覚。中に入れば空気が変わったような気配がある。
 広間をそっと抜け二階扉の前へ。
 前脚で押してみるが開かない。かっちりと、鍵が閉められているような感覚があった。
 この扉を開くには鍵が必要な様子。何か方法があるか、それとも壊すしかないか。
 しかし影は――実体など無いのだ。するり、と扉のわずかな隙間から先へ。
 そこにある光景が花虎に伝わる。
「階段……」
 先に、と思えば続く階段を颯爽と駆けあがる感覚。
 邪魔をするものはおらず、しばらくしてたどり着いたのは塔の最上部だろう。
 そこにある部屋は一つ。
 その部屋にもまた実体のない獣のかたちをした何かにとって侵入は容易い事。しかし鍵が掛かっていないらしく扉が開いた。
 その部屋入れば、一目瞭然。
「嗚呼、ここだな」
 視覚情報として入ってくる。そこには――床に散らばるレシピ。事前に聞いていた通りだ。
 探していた主の部屋に間違いない。
 見渡せば豪奢な机がまず目に入る。その上には重なった紙束。そこは雑然としているように見えるが、整っているようでもある。
 そして壁際には歯抜けのように満たされぬ本棚が壁際に。
 この部屋を獣たちと繋がった己の感覚だけで探すのは――少し骨が折れるだろう。
 しかし、ここには他の猟兵たちがいる。
 花虎は戻っておいでと、獣のかたちをした何かを呼び戻す。
 その間に、他の猟兵たちへとやはりあの扉の先が主の部屋なのだと伝えたのだ。
 その話を聞いて、余り時間を掛けたくはないけれど、焦って逆に長丁場になってしまう事こそ避けたいね、とアルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)は自身もまた中を観察していたのだと告げた。
 亡者の現れる間隔はまちまち。
 捕まれば面倒なことはこのうえ無いだろう。
「ではしばしの間、陽動を引き受けよう」
 俺には亡者を釣りだす手があるとアール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)は紡ぐ。
 アールもこの間に内部を窺ってきた様子。
 城の周囲を回り、内部を窺える窓を見つけたのだ。
 そこから見る限り、目につきにくい場所はいくつかある。
 隠密で隠れながら陽動ができるだろう。一番広間から離れた場所で時間を稼ぐとしようと琥珀色の瞳に自信を滲ませた。
 猟兵達から離れたアールが向かうのは正面のほぼ裏手。
 そこは廊下が見える場所で、いくつか連なった窓の中に、ひびが入ったものがひとつある。
 ひびがある窓なら割るのも簡単だ。どうせ音をたてるのだから、とガシャンと音たてて窓を割ると、生み出した分身に鈴を持たせその中へ。
「さて、奇想曲と洒落込もうか」
 さぁさ、思い通りに動いておくれと分身を操ればりんりんと、鈴の音。
 先程割った音と相まって、亡者たちがゆるゆると集ってくるのが外より窺えた。
 廊下の一角でのおいかけっこ。
 亡者が捕まえようとすればぴょんと飛んでかわして。
 目についた調度品を叩き落し、壊して荒らしていく。
 しかし、亡者たちが集ってくればその数に押され分身たちもかき消されていく。
 さぁ次はどこで、どんな曲を編み上げようかとアールは最後の一体を操りながら考えていた。
 その頃――広間からは亡者の気配は消えていた。
 そっと忍び足で城の中へ。
 クロード・ロラン(人狼の咎人殺し・f00390)は大丈夫そうだとアルノルトと花虎へ目配せする。
 しかし、二人と取る行動は別。
 クロードに鍵を開ける術はないので広間周辺を調べてこようと請け負ったの。
 胸くそ悪いヴァンパイアだな、と――広間から続く廊下を進みながら零す。
「そもそも気分のいいヴァンパイアとは会ったことがねえけど……」
 そんな中でも、こいつは特上の悪趣味野郎だ、と先の光景にクロードは眉顰めた。
 アールがうまく気を引いてくれているようで亡者の気配なく、近くの部屋にはいればそこは食堂だった。
 そして、その先にあるのは厨房。
 調理台の上に置かれているのは、すでに形を留めぬ躯。
 ああ、試作したなと思わせる惨状だ。
 クロードは舌打ちし、今はと気になった場所を調べていく。
 食堂と厨房からは、ヴァンパイアがどれほどの事をしているのか――それが如実に見て取れる。
 ここから得られるのはこれだけかとクロードはまた廊下にでて別の部屋へ。
 次に入った部屋は応接室のようだ。
 ソファやローテーブルなどが置かれており、調度を置く棚などもある。
 その引き出しを開けてみるが、中には何もない。
 調度品は使っている様子がなく、ただ置いているだけのようだ。
 つまり、この部屋はあまり使われていないのだろう。
 もしここに誰かを招いたりしているなら埃などつもらないだろうと、窓の淵を撫でる。
 そして調査を終えて廊下に出ると――運悪く、そこには亡者がいた。
「やべえ、見つかった!」
 クロードが声をあげたのはわざとだ。亡者は声に惹かれるように近づいてくる。
 焦ったような声は演技で、クロードはついてきているかちらりと視線向けた。
 大丈夫だ、ちゃんと自分を意識している――そう確認をして向かうのは、広間から離れた場所。
「早いところぶっ飛ばしてやりたいな!」
 このまま奥へ。もうひとり、囮をかって出たアールのいるである、音のする方向へと向かいながら、クロードは言葉吐き出した。
 どんなヴァンパイアなのか――その一端が垣間見えた相手へ。
 一方、アルノルトと花虎は二階へ向かう。
 亡者たちを広間から引き離してくれている間に、扉の前へ。
 ドアノブを回せば――話に聞いていた通りがちゃりと音がして止まる。
「しっかり閉まっているね」
 けれど、打てる手はある。
 レプリカクラフト――鍵を模倣できないだろうかとアルノルトはその鍵穴にはまる鍵を思い浮かべ、鍵の偽物を作る。
 鍵穴に突き刺さった、偽物の鍵を思い描いて。これは仕掛け罠と思えば、それは形となっていく。
 作りは荒いが鍵穴に突き刺さり現れる鍵。
 それを回せば鍵は回りきらない。しかし、手応えはある。
 数度かちゃかちゃとやってみれば、やがてきちっとはまる感覚がありガチャリと、鍵の開く音が小さく響いた。
「開いたね。陽動のふたりは――いや、来れるなら来るかな」
 その言葉に花虎はそうだなと頷いて、このまま真っすぐ、一本道だと告げる。
「情報の宝庫なんだろうね」
 この先にある部屋は――と、アルノルトは穏やかに紡いだ。
 階段を上がりきり、アルノルトと花虎が入った部屋には誰の気配も、その気配の残り香のようなものもない。
「まずは連絡方法の確認、か」
 手分けをし、二人はそれぞれ探り始める。
 机の上を最初にみてアルノルトはおや、と零す。
「不用心なのか、それとも誰もここへ来ないと思っていたのか」
 机の上にぺらりと置かれていた紙には子飼いの人攫いの情報が書かれていた。
 人攫いたちの、拠点の場所が。どうやって連絡しているのかまでは書いていないが、そこに赴けばまた新たな情報が得られるだろう。
 それからヴァンパイア本人について、何ぞ解るものもと、花虎が視線向けたのは足元だ。
 散らばる、レシピ。
 その一枚を手にしてみれば――嗚呼、これはと。
 これは、悪食よりもなお悪いと思わせるような。
 そんな内容が楽し気に書かれているのは、文字の踊り具合でわかる。
 足元にあるどれも、まるで傑作と言わんばかりの様子。
「どんな顔をしているのだろうな」
 その顔を拝むのが楽しみだと淡々と、何の色も無くぽとりと花虎は零す。
 けれどその時は、ヴァンパイアの最後の時にもなるのだが。

 やがて情報を持ち、猟兵たちは撤退する。
 そしてヴァンパイアの子飼いの人攫いのもの達の所へ向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『悪鬼の食事処』

POW   :    人攫いを倒す、体を張って情報収集する。

SPD   :    迅速に人々を保護する、特技で情報収集する。

WIZ   :    人攫いを騙す、賢い方法で情報収集する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●子飼いの人攫いたち
 情報で得た場所に向かう――そこはどんよりとした靄のかかった湖の傍にある、薄汚れた小屋。
 小屋は、二つある。
 わいわいと賑やかな声がする小屋と、しんと静まっている小屋。
 賑やかな声がする小屋は人攫いたちが集って宴会をしているのだろう。もう一つには、見張りがふたりついているが、小屋の外に焚火をしつつ数時間に一度交代しているようだ。
 見張りがいる、ということは小屋の中に人々がいるのだろう。攫って来た人々が。
 やらなければいけないことは『人攫いたちからの情報収集』と『攫われた人々の救出』のふたつ。
 賑やかな小屋には酒や食事をとりながら馬鹿みたいに騒いでいる男達が五人程だろうか。大声で話している為、小屋の外に張り付けば彼らが話していることは十分聞こえる。
 彼らが『旦那』と呼んでいるのはおそらくヴァンパイアの事。『運び先』などという言葉もかすかに聞こえるのでどこにいるのかも知っているのだろう。
 そしてもう一つの小屋――入口の前では焚火が行われ、やせ細った気弱そうな男と恰幅の良い不機嫌そうな男が見張りをしている。
 気弱そうな男はもう一人の様子を窺いつつ過ごしている。人攫いの手伝いをしているのは本意ではないのかもしれない。
 もう一人の男は、早く交代して楽し気な声の聞こえてくる小屋に戻りたいのだろう、そわそわとしている。
 二人が見張りをしている小屋からは何も音がしてこない。ただ時折、恰幅の良い男は中の様子を窺っているようではあった。賑やかな小屋からの音が聞こえてくるとはいえ、こちらは静かなもの。
 だが周囲は靄が立ち込めており、ふたつの小屋それぞれで何かが起こっても、簡単に視認できない。何か異変が起こっても、すぐにはわからないだろう。大きな音がたてば、さすがに気づきはするだろうが。
 困ったふりをして、小屋の見張りをしている男に接触しても良いだろう。
 おそらく、獲物が増えたと喜ぶだろうから。
 そのまま賑やかな小屋へと力づくで乗り込んでも良いだろう。
 人攫いたちもそこそこ戦えはするのだろうが――今は酒も回っており十分に戦える状態ではない。制するのはそう難しくないだろう。
 得られる情報は色々あるだろうが聞き方、やり方次第。
 倒さねばならぬヴァンパイアへの道筋を得られるかは、この場での行動次第。
アルノルト・ブルーメ
先に救う方が確実ではあるだろうけれど
数が多過ぎれば流石に気付かれるかもしれないね
であれば……先に倒す事にしよう

人々の救出と見張りからの情報収集は任せて
人攫いが酒盛りしている小屋へ

血統覚醒を使用してヴァンパイア化し
奴の使いもしくは仲間を装い訪問

小屋の扉を開けて貰えるのであれば僥倖
疑われるならば、扉を蹴破って強襲

放ったViperで敵を拘束し詰問
あぁ、答えたら身の危険があるから答えられない?
大丈夫大丈夫、教えても奴は報復には来ないから
でも、答えなければ今ここで君達の命は終わる

この意味くらい判るだろう?

判らないなら教えてあげるよ
腕や足を一本二本、折ってしまっても事故だよね?

人攫いは拘束して小屋に放置


玖・珂
悪食よりも悪い催しか
人攫い共には是が非でも情報を吐いて貰おう

見張りに気付かれぬよう忍び足で賑やかな小屋へ近付き
先ずは情報収集

人攫いの素行、雰囲気を掴んだら
同業者の振りをして扉を叩くぞ

多くの材料が必要だと噂で聞いた
売りたいモノがある、城主にはどうやったら会える?
勿論、仲介料は払う

……やはり斯様な細工は苦手だ
交渉は他の者に任せるのも手か

人攫いが少しでも訝しんだら
ダッシュして早業で高位の者を人質にとるぞ

腕を抑え首元に黒爪を少し刺し
ヴァンパイアの居場所、材料の運び先を尋ねる

素直に答えぬなら樹枝の紋様を伸ばし
人攫いの足元に白炎を咲かせて更に恫喝
……お前たちが代わりの食材になるか?
情報を吐いたら炎は消すぞ


ヴィゴ・ストーム
動機や理由が何であれ、他人を不幸に陥れた非道の報いは受けて貰います。

【POW】
賑やかな小屋を訪れます。
静かな小屋の見張りにも気付かせ動揺を誘う為に敢えて物音などは抑えません。
襲いかかってくるなら無敵城塞を発動して暫し受身に回り、
暴れ疲れた頃合いを見て反撃に転じます。
逃走されないように扉を背に、窓があれば警戒を怠らず。
攻撃は鞘に収めたままの長剣で深傷を負わせないように。
一番強そうな相手を判別出来たら、戦意を喪失させる為その人をまず制圧します。
それでも挫けない様子ならライオンライドで獅子を召喚して威嚇します。

ヴァンパイアの居場所を教えてください。
途上の罠や仕掛け、伏兵の有無なども知りたいので是非。


アール・ダファディル
賑やかな小屋に居る人攫いらから情報を得よう。
『旦那様付の小間使い兼食材』な設定で演じ【言いくるめ】るか。

「追加納品遅れが出ている為、確認に来た」
代表を呼ぶよう指示。
不審がる様には「訊いていないのか?」と逆に訝しむ素振。
「伝達ミスか。このままでは調理に支障が出る」
最悪は我々が皿に並ぶぞ…と
発破掛けながら偽の追加納品依頼行い救出時間を稼ぐ。
『追加食材代』と賄賂も手渡し、
運命共同体だという事を暗に主張。

「まだ間に合う。
旦那様は此度の宴を大層楽しみにしていらっしゃるのだ」
気遣いつつ『再度ミスが無いよう確認』という名で、
「吸血鬼の居場所」「連絡手段」など【情報収集】を行おう。

暴力?それは最終手段だとも。


斎部・花虎
【POW】
…、うん
おれは静かな小屋の方へ赴こう

おれは乱暴な手を使う、
故に他の誰かが慎重に聞き出そうとしているなら、それを待つ
靄の向こう、物陰に身を隠して
遣り取りが途切れた辺りで動き出そう

仲間の動きを阻害しないよう気を払いつつ
見張りの男の首根を叩いて気絶させに行く
相手は恐らく一般人故、組み付いてしまえば巧く行くのではと思っているが
…必要そうであれば【マヒ攻撃】を
暫し眠っていてくれ

仲間とも調子を合わせ、攫われた人々の救出を
怪我人や具合の悪い者が居れば、その者たちを最優先に

――安心しろ
おれたちはおまえたちを残らず掬いに来たんだ
誰も死なせるものかよ


一文字・八太郎
霧に紛れて向かうは賑やかな小屋の方へ
彼らがヴァンパイアの居場所を知っていると良いのでござるが

酔っていようが腑抜けていようが、はたまた正気で居ようが
刃物を突きつけられてまで忠誠心が保てるでござるかな?
怪我させぬ程度に小屋の中のものを斬り捨てよう
必要あれば柄での打撃も辞さない
この程度で脅しになれば良いのだが

――逃げれば次は貴殿らの首がこうなる
人を殺めるのは好まぬが
それが出来ぬほど拙者は優しい訳でもないぞ

さぁ教えておくれ
貴殿らが『旦那』と呼ぶヴァンパイアの居場所を
攫った子らを運ぶその先を

この場で答えるのであれば命を奪うつもりはない
貴殿らの悪行ををここで責める気もない
拙者らは悪趣味な宴を止めに来たのみ



●静かな小屋
 他の猟兵たちは賑やかな小屋へ。
 花虎は、おれは静かな小屋の方へ赴こうと別れた。
 靄濃い中、息をひそめて花虎は近付いていく。
 すると、ぶつぶつと零される文句が聞こえてきた。
「見張りふたりなんてよぉ、必要ねぇのになぁ。俺もあっちでバカ騒ぎしてぇ」
 今回はハズレをひいた、と愚痴っている。ああ、もう酒が無いと言いながらがしゃんと、物が割れる音がした。酒瓶でも投げ捨てたのだろう。
「交代まであと何時間だぁ? なぁ!」
「えっ、す、すみません、わかりません……」
「だよなぁ、お前はずっとここだもんなぁ!」
 はははと笑う男。伝わってくる空気は歪だ。そしてもう一人の態度に悦に入ったのか男は饒舌だった。
「にしても、お前も災難、いや幸いかぁ?」
 男の声色が変わる。それはにやにやといやらしい響きを含んでいた。
 まるで嘲るような、そんな声色。
「食材選びから外れて、俺達に使われてるんだからなぁ。食われず、しあわせだぁ! ま、今回は人数が少ないからお前みたいなやつは出ないだろうが」
 息を飲むような、そんな空気。一方はただ悦に滲んでおり、一方は凍りついている。
 途切れた話――思う所はあったが花虎は静かに、とんと地を蹴った。
 おそらく一般人、しかし話しぶりからみて仕留めそこなえば痛手を負いそうな気がした。
 靄は幸いなものだ。先に気付かれる可能性は低い。燃え上がる焚火は目安となり、近づけば体格差で明確にわかる狙うべき相手。
 ひゅ、と花虎の動きを風が追いかける。その揺らめきを感じたか男は、ん? と不思議そうな声を零した。
 しかし男が花虎の動きを見止め瞳見開くより早く、首根に花虎の手が向かう。
「暫し眠っていてくれ」
 マヒの一撃が鮮やかに入った。男はうごっと呻き声を上げて崩れ落ちた。
 もう一人――花虎が逃げられる前にと動こうとしたが、その必要はなく男に触れる寸で動きを止めた。
 男は茫然として、けれど躊躇うように花虎の姿を見ている。
 そこに敵意の色はない。ただ窺う様な不安げな色があるだけだ。
 騒ぐでもなく、逃げるでもなく。
 がたがたとその膝を振るわせながらもしっかりと視線を合わせてきた。
 その瞬間、花虎はかけねばならない言葉を察した。
「――安心しろ」
 その言葉に、男はきょとんとして。
 嗚呼、と。
 声を零しその場に崩れ泣き始めた。
 やっと、終わると思ってよいのだろうかと。
 そしてその時――もう一方の小屋から大騒ぎするような音が響いてきた。
 しかしその音もすぐに収まる。
 男はおろおろとしていたが花虎があちらも終わったようだと零したことで何かを察したらしい。
 男はそこでふと、我に返ったのか背後の小屋の扉を開けた。
 ゆっくりと、少しずつ。
 そこには小さなランプの灯り一つをすがるように囲み、不安げにしている者達。
 夫婦だろうか。恋人同士だろうか。
 親子だろうか。兄弟だろうか、姉妹だろうか。
 見ず知らずの者同士なのかもしれない。
 それでも身を寄せ合って、僅かにその心うちにある何かへと縋るように支え合っていた。
 花虎は彼らの前に立って、彼らへもまた紡ぐ。
 安心しろ、と。
「おれたちはおまえたちを残らず掬いに来たんだ」
 あっちも、もう終わっている。お前たちは自由だと告げる。
 おそらく失敗していることはないだろう。していれば、こんなに静かではない。もうここへあちらにいた者たちが騒ぎながら来ているはずだ。
 小さな少女がふらりと立ち上がって、花虎の前に立つ。そして、帰れるの? と呟いた。
 花虎が頷けばそっかぁと弱弱しくはあるが、柔らかに少女は笑う。
 その笑みはそこに生きているからこそあるものだ。
 何かが変わったのだと幼いながらに理解した少女はおうちにかえろうと、家族だろうか。年上の少女の元へ戻り抱きついた。
 抱きつけば、ぎゅうと抱き返して。それぞれ、少しずつ安堵を零していく。
「誰も死なせるものかよ」
 その姿を目にぽつりと、花虎は呟きそっと瞳を伏せた。

 捕らわれていた者達は、怪我などはなく。多少疲れてはいるものの、それはいずれ回復するもの。
 一番事情を知っていそうな男は、花虎へと自分の身の上を離した。
 嘗て同じ食材として捕まり。しかし選ばれなかった故に生きており、丁度良いと人攫いたちに使われていたのだと。
 逃げる事が出来ず、人攫いたちに命じられ。許されぬことを何度もしたが――あのヴァンパイアに仕返しができるのなら、何かしたいと言う。
 その瞳には、後ろ暗い鬱々としたものがあったが花虎はあえて見ぬふりをして何か知っているかと問うた。
「少し離れたところに馬車が……それで指定された場所へ向かうんです……そこで」
 ヴァンパイアが、とその先を飲み込む。言わずともその先のことは知っていた。
 そして男は――強い言葉で自分がそこまで運ぼうと申し出たのだった。

●賑やかな小屋
 賑わう小屋からは笑い声が響く。
 その笑いは一体、何からきているのだろうかとヴィゴ・ストーム(人間のパラディン・f09453)は思う。
 けれど、これはまっとうな理由ではないのだろう。
 そこにいるのは人攫いたちなのだから。
「動機や理由が何であれ、他人を不幸に陥れた非道の報いは受けて貰います」
 小屋の中ですでに仕事の成功を喜んでいるのだろう。
「悪食よりも悪い催しか」
 珂も八太郎と共に、人攫い共には是が非でも情報を吐いて貰おうとまず忍び足で小屋へ。
 ふたりはそっと小屋へと近づく。
 小屋には申し訳程度の貧しい窓。それはカタカタと揺れ、中の光を零していた。
「わははは!」
 聞こえてくるのは決して品があるとはいえない笑い声。
 酒が美味い、肉が美味いと豪勢な食事が行われている様子だ。
「今回の実入りは人数のわりにでかいよなぁ」
「材料の質が悪いって怒られねぇか?」
「大丈夫だろうさ、味見するわけでもない」
「だなぁ!」
「いつも通り、指定された場所へ運ぶだけさ」
 そしてまた、指示が来るまで待つだけと。
 げらげらと話す、その内容は決して気分良いものではない。
「どうやら居場所は知っているようでござる」
「そのようだな」
 善良とは言えぬもの達ばかりだと珂は思う。
 気は進まぬが、同業者のふりをするなら合わせていくべきかと珂は少しばかり考える。
 中から響く声は、緊張も何もなく。
 声の響きから、お頭と呼ばれているものがこの薄い木の壁一枚向こう側にいるらしい。
 この壁ならば、斬るのもたやすいと八太郎はそっと触れる。石の壁ではないのだから。
 おそらく誰かがここへ来るなどと誰も思っていないのだろう。
 油断も見て取れる。珂は一度その場を離れ皆の元に。
 八太郎はそのまま、そこで待機して機を待つ。
 先に救う方が確実ではあるだろうけれど、流石に気が付かれるかもしれないとアルノルトは思う。
 血統覚醒すればヴァンパイアとなる。真紅の瞳は輝く様に揺らめいていた。
 これで使い、もしくは仲間を装えるだろう。
 どんどん、と。
 強めに扉をたたく。すると笑い声が一瞬で収まり、中でがたがたと音がする。
 そしてゆっくりと、扉が開いた。
 様子を見に来た男は剣を持っている。だが最初にアルノルトを目にしてびくりとしていた。
 酒が入っていてもヴァンパイアがいるというのはわかったらしく、用心している様子。
 しかしその目が、アールに向くと男は怪しんでいることを隠さない。そこで淡々とアールは告げる。
「追加納品遅れが出ている為、確認に来た」
 代表を呼んでくれ、と告げるが男はそれに応じない。
 しかし、奥にいる男がなんだ? と声を上げているのは聞こえた。
「お頭、変なガキどもが」
 男の声に一緒にするなとアールは不満を零し、逆に訝しむ素振りで続けた。
「訊いていないのか?」
 何をだ、という男。アールは小さく舌打ちをし。
「伝達ミスか。このままでは調理に支障が出る」
 最悪は我々が皿に並ぶぞ……と小さく。けれど男の耳には届くように紡いだ。
 男はびくりとしつつ、珂へ視線を。それは、お前は何者だと問うようなものだ。
「私は同業者だ、人攫いの」
 お前が人攫いかと疑う視線を向けられてもそうだと頷いて返すだけ。
「売りたいモノがある、城主にはどうやったら会える? 勿論、仲介料は払う」
「旦那に? そいつに聞けばいいだろう」
 使いと言う。そして一緒に来たのだからと。
 男は視線でアールを示したがアールはふんと小さく吐息零し。
「情報は勝手に教えられない」
「この調子だ。だからそっと追ってきたら……ここについたわけだ」
 と、珂は苦笑してみせた。
 男は瞳を細め、確かにとっつきにくいと零す。
 アールはそれよりも、と話を切り替える。追加の納品依頼と切り出し、『食材代』だと賄賂をちらつかせた。
「まだ間に合う。旦那様は此度の宴を大層楽しみにしていらっしゃるのだ」
 再度ミスが無いように確認を、とアールは言う。
「居場所と連絡手段を確認しよう」
 賄賂を手に押し付ける。それをにまりと笑いながら男は受け取り、らちらりと後方へと視線を向けた。
 一番奥、偉そうに座った男はこちらを観察するように見つめている。
「んん~、もらうのは良いが本当に使いか? まぁ、材料として連れていけばいいか。確認にもなる」
 げらりと笑って、それでいいだろうと答える気はない。
 案外、口が軽くない。酒が入っていてもだ。
 用心深い様子に――はぁと珂は息を吐いた。
「……やはり斯様な細工は苦手だ」
 ぽつりと零す。最終手段かとアールも同調した。
 珂は男の首元掴み態勢崩し引き倒して、飛び越した。
 そのまま踏み込み、大きな音たてテーブルの上へ。料理踏み荒らしつつ一番奥の男へ向かう。
 その大きな音が外への合図となった。
 一瞬の遅れをもって他の男達も動いたが、それよりも早く薄い木の板に刃が走り中へと飛び込む影が一つ。
「酔っていようが腑抜けていようが、はたまた正気で居ようが」
 刃物を突きつけられてまで忠誠心が保てるでござるかな? と。
 八太郎の金色の瞳が射抜く。
 突然の背後からの奇襲に男は驚くが、逆にこれは逃げ道ができたと思ったようだ。
 入口からは珂がテーブル超えて近づき、周囲の部下たちもアールとアルノルトが制している。扉からは新たに一人、ヴィゴが。
 となれば、男が向かう先はひとり相手をするだけでいい八太郎の方へと自然となる。
 ヴィゴの瞳には男が八太郎へと向かうのが見えていた。
 そして珂が引き倒した男が慌てて起き上がり剣を振り下ろしてくるのが次に映る。
 ヴィゴは鞘に収めたままの長剣でその攻撃を受け流した。
 男は舌打ちし、その隣を抜けようとする。内部はすでに乱戦。酒が回っていようとも、そのあたりの者よりは強いと自負があるのだろう。
 しかしヴィゴは逃がさないように扉の方を背に。
 戦意を喪失させるには、一番強い相手を挫くのが良いだろう。
 それは先に入った仲間達が。それなら他の者を逃がさぬ為にも、此処を守らねばならない。
「このっ! のきやがれ!」
 振り下ろされる剣。しかしそれはヴィゴには意味がない。
 あらゆる攻撃に対しほぼ無敵。けれど全く動けなくなる――というのは、この背後の扉を守る今、利点でもあった。押しのけることができないのだから。
 この目の前の男は何か知っているだ折るかと、ヴィゴは茶の瞳を向けて。
「ヴァンパイアの居場所を教えてください」
「居場所? 教えるわけがねぇ! お得意様だぜ!」
「そうですか、お得意様……といえば、お付き合いも長そうです」
 それなら色々なことも知っているでしょうとヴィゴは問う。
「途上の罠や仕掛け、伏兵の有無なども知りたいので是非」
 だが男はその言葉に頷く事など勿論なく。
 仕方ないと、ヴィゴは傍らに黄金のライオンを召喚した。
 驚く男は、そのライオンが軽く飛びかかり抑え込む。
 その様を見下ろし、自分たちの状況はわかっていますか? とヴィゴは告げた。
 そして、八太郎へと向かった男は足をよたりとさせながら近くにあった酒瓶を掴んで振りかぶる。
「そのようなもので拙者はどうにもできんよ」
 気が高ぶっている相手には刃の煌めきが見えていないのだろう。
 柄を滑らせ、大きく振った隙にその懐を突くがうめいてまだ意識はある。
 だがここに居るのは独りではなく。
 逃げようとする男――その腕を珂が右手で掴み、抑えて。
 首筋に左手五指を覆う鐵の鋭き先が、硬く浅黒い肌を突くその寸前で止められている。
 見事、とその止めを見た八太郎は呟き、男が先程まで持っていた酒瓶を目の前で放り投げた。
 ひゅっと――風を切る一閃。
 しゃんと音たてて酒瓶は真っ二つに分かれ男の目の前に落ちる。
「――逃げれば次は貴殿らの首がこうなる」
 八太郎は刀をしまい、男を見やる。
「人を殺めるのは好まぬが、それが出来ぬほど拙者は優しい訳でもないぞ」
 その言葉はやけによく響いた。
 それぞれ、内部にいた者達を抑えこみ、彼らに戦う気力はすでにない。
 片が付いたのは一瞬の事だった。
 アルノルトの、毒蛇の異名を持つ頑丈かつ軽量なワイヤーで今、人攫いたちは縛られている。
「さぁ教えておくれ。貴殿らが『旦那』と呼ぶヴァンパイアの居場所を、攫った子らを運ぶその先を」
 八太郎は静かに問うが、男たちは何も言わない。
 その様子に八太郎は答えるのであれば命を奪うつもりはないと続けた。
「貴殿らの悪行をここで責める気もない。拙者らは悪趣味な宴を止めに来たのみ」
 ただそれだけなのだと。
 するとそこへアルノルトが一歩進み出て。
「あぁ、答えたら身の危険があるから答えられない?」
 アルノルトは大丈夫大丈夫と言葉続ける。
「教えても奴は報復には来ないから。でも、答えなければ今ここで君達の命は終わる」
 この意味くらい判るだろう? と、それはいつもと変わらぬ調子だった。
 判らないなら教えてあげるよと、アルノルトの一層穏やかで冷ややかな声が響く。
「腕や足を一本二本、折ってしまっても事故だよね?」
 が、それくらいでは喋らないという事か。誰も何も言わない。
 そこで多少、身の危険を感じてもらうべきかと珂も動く。
「素直に答えた方が良いと思うが……」
 珂の足元より樹枝状晶の黒い紋様が男たちのもとへと伸びていく。それは男たちを包むように伸び――白炎の炎を咲かせた。
「ひぃっ!」
「お、お頭!」
「さわぐんじゃねぇ!」
 今まで傷つけられない、殺されないと高をくくっていたのだろう。
 しかし、珂の炎によって実際に煽られればその心は脆く崩れ去る。
 配下達はばたばたと暴れるが主格の男は揺らがない。それでも答えぬ様に珂は炎の行く先をさらに伸ばした。
「……お前たちが代わりの食材になるか?」
 情報を吐いたら炎は消すぞと珂は口の端上げて笑いかける。
 すると我慢ならなくなったのだろう。主格の男はともかく、他の男たちが口々に零し始めた。
「お、お前ら!」
「だってお頭よぉ……」
「どうせ死ぬならまともに死にてぇ! あんなのはごめんだ!」
 旦那――ヴァンパイアは、真っ黒な調理服で料理をする。
 人を使った料理を、ひどく楽しそうに。
 他のヴァンパイアを招待して料理を振舞うが、それは仕込みが済んでから。
 材料配達の日に他のヴァンパイアを呼ぶことはまずない。
 場所は――気に入りの屋敷がいくつかあるのだがその一つ。巨大な鍋のおける竈のある屋敷だ。
 それは先に調査をした城から東のあたり――今いる場所からは一日程の場所だった。
 納品日に合わせてあと数時間で出発の予定だったと言う。
「お前ら簡単にしゃべりやがって……だがそれを知ってどうする! 門は簡単には開かねぇ! ははは!」
 と、男は強がっていたが――しかし顔色を変える。
 もう一方の小屋、花虎が男を引きずって合流し、その傍にやせ細った男がいたからだ。
 その男は、どうすればいいのか知っていた。
 すべて、知っている。今までずっと、共に行わせてきたのだから。

 ヴァンパイアの居場所、そしてそこに行く術も得た。
 捕らわれていた者達は安全な場所へ。
 子飼いの人攫いたちはどうなったかといえば、一つどころにまとめられ放置された。
 助けろと喚いてはいたが彼らが行ってきたことを思えば何がどうなってもそれは報い。
 運が良ければ、生き延びられるだろうから。
 そして猟兵達は――ヴァンパイアのいる場所へと、向かう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヴァンパイアの美食
 力を貸すと言った男が馬車を操る。
 馬車と言っても豪奢なものではなく。荷台に申し訳程度の檻があるだけだ。
 その馬車に『食材』として猟兵達は乗っていた。
 手は縛られているように見えるが、縄を軽く巻いているだけ。その端を握って誤魔化している程度だ。
 そして、屋敷へと到着し門が開く。
 馬車が進むのは庭園。殺風景な庭園の中に、ひどく華美に誂えられた席がある。
 それは誰かを招いて食事をするための場所だ。その先、ぐつぐつと煮えたぎる大鍋が見え。
「いました……」
 男がぼそりと落とす。
 すると、気づいたのだろう。待ちわびていたよとヴァンパイアは両手広げ近づいてきた。
 青白い顔に黒い調理服。にこにこと楽し気に笑っているがそれは決して人好きするようなものでは無い。ただ自分の欲を満たそうとするものの笑みだった。
 そのヴァンパイアはおや、と零す。
「いつもの顔が見えないが」
「あ、み、皆二日酔いで……」
「なるほど。よくあるやつだね」
 少しばかり焦る。だが男のどもった声をヴァンパイアは気にしない。なぜならその心はすでに逸っているからだ。
「では、さぁ」
 今回の食材の確認をしようとヴァンパイアは男へ檻を開けよと命じる。
「どれの臓でソースを作ろうか……焼き上げながらソースをかけて焼くのは……ああ、見定めてから決めよう」
 くつくつと喉奥で笑いながら、ヴァンパイアは食材を見る。その視線の強さがいつもと違うものだと、気づかずに。
「光栄に思いたまえ! お前たちは私の手によりこれより」
 素晴らしき料理になるのだよ!
 ――と、高らかに。高らかに、幸せそうに、悦にはいってヴァンパイアは言い放つ。
 が、ヴァンパイアに届いたのは食材ではなく猟兵達。
 ぎぃ、と見た目のわりに重い音が響いて――猟兵達はヴァンパイアの喉元にその刃届く場所へ立ったのだった。
アルノルト・ブルーメ
男が去るまで猶予があるようならば男が去るまでは『食材』のフリを
男が去る前に誰かしらを品定めするようであればその時点で行動を起こす
彼には悪いけれど、確実に終わらせることを優先させて貰おう

残念だけれど、君主催の晩餐は叶わないよ
だって、料理人がここで息絶えるからね

血統覚醒でヴァンパイア化し戦闘力を底上げ
先制攻撃で仕掛けてそのまま2回攻撃に

誓約書はViperのフックで引き裂いてしまおう
ブレイドも手首の返しで不規則に軌道を変えるViperで
叩き落として絡めとってあげるよ
攻撃により出血したらその血は拷問具の駆動に使い
彼に処される恐怖を少しでも与えられれば僥倖

補足
真の姿は血統覚醒と同じく瞳のみ真紅に変化する




 ああ、まだそこにここまで運んできた男がいる。では、これでという男にヴァンパイアは重い袋を投げ渡した。
 それを受け取り急ぎ、馬車にのった彼が離れていく。
「さて、今回は肉付きも良く……うぅん、良い物をもってきたな。珍しく」
 やればできるじゃないかとご機嫌のヴァンパイアの男。
 それが目の前に来た時――アルノルトは一つ息吐いて。
「残念だけれど、君主催の晩餐は叶わないよ。だって、料理人がここで息絶えるからね」
 その瞳は、真紅に染まる。ヴァンパイアとして覚醒したアルノルトの戦闘能力は跳ね上がる。
 しゅるりと手を戒めていたはずの縄は解け落ちた。
 一瞬、反応の遅れるヴァンパイアへとアルノルトは『毒蛇』の異名を持つワイヤーを躍らせる。
 それがヴァンパイアの片腕を捉え、掌で返せばその先端のフックがその身をひっかき手元に戻る。
「私の、この腕を!」
「ああ、利き腕はどっちかな。この血は使わせてもらうよ」
 と、そのフックの先の血に気付きアルノルトは己の拷問器具の駆動に使う。
「チッ! 材料ではないのか、こんな……! あの男もグルか!」
 懐から誓約書を持ち出すヴァンパイア。けれどその紙をも、アルノルトは再びワイヤーをしならせ、そのフックでひっかいて破る。
 鋭く睨んでくるヴァンパイア。けれどそれは恐れるものではない。
 そしてまた、ヴァンパイアもこの状況が自分を追い詰めるものではないと思っているのだろう。
 舌打ち落とす程度で己の優勢を確信していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィゴ・ストーム
悍ましい、忌まわしい、穢らわしい……この罪深い吸血鬼の所業は、どんな言葉を以ても表せないほど許すべからざる非道です。

協力してくださった男性が安全圏に退避されるまでは、万一の事態に備えていつでも庇えるように身構えておきます。

物理的な攻撃は長剣で受け止めながら力を溜め、カウンターを狙います。
また隙をついてデュエリスト・ロウを仕掛け、目を閉じなさい、と宣告します。
人を食材と見るその目は罪業の塊です、もう何も見てはいけません!

猟兵の皆さんとは出来るだけ連携を取れるように努めます。
冒瀆に晒される人が二度とないように、しっかりと息の根を止めてやりましょう。


キファ・リドレッタ
(――そう。私を、食べるの。
どうぞ、出来るものなら。)

あの吸血鬼は、『毒』壺に等しいこの身を喰らうという。
触れたものをどろりと溶かす、この身を捌くという。
それはつまりこの皮膚に触れられるということ。
この身が旅の途中でなければ、それも良いと思ったのかもしれない、なんて、自嘲の笑みを浮かべて。

『金枝の罪』。頭に宿る食人花。
お前も、お前の操る剣も蝙蝠も、大花の蔓が相手をするわ。
どうか私に触らないで。
私を料理すると大言壮語を吐いたお前が、触れて溶ける様は見たくないの。
『早』く、触れられる前に殺さないと。

喋る事は出来ないから、必要なら空中に水の文字を綴るとするわ。




「悍ましい、忌まわしい、穢らわしい……」
 ぽつりと、零れた。
 これらの言葉では――いや、どんな言葉を以ても表せないほどに許すべからざる非道と、ヴィゴは思う。
 ヴァンパイアは手元に人の肉を断つためと思わせるような武骨な刃持つ剣をいくつも表し己が周囲に巡らせた。
「輪切りにして煮込んでやる!」
 その言葉にヴィゴは眉顰め、手袋を投げつける。
 それはヴァンパイアの胸元に当たり、ヴィゴは宣告する。
「目を閉じなさい――人を食材と見るその目は罪業の塊です、もう何も見てはいけません!」
 冒瀆に晒される人が二度と出ぬように――ヴィゴの想い込められた宣告に、ヴァンパイアは意味が解らぬというように声零した。
「はぁ? 食材が偉そうなこ、ぐぁっ!」
 ヴァンパイアは瞳を閉じない。その瞬間、その瞳へと強烈な痛みが走る。
 それは強者であるという奢り。目の前の物は食材であるという嘲りゆえのものでもあった。
「喰われるだけの、人間が、ァッ!! 大人しく、捌かれていろ!!」
 それは怨嗟の声だ。その声を静かにキファ・リドレッタ(最後の旅・f12853)は受け止めて、ただ。
 ――そう、と思う。
(「私を、食べるの。どうぞ、出来るものなら」)
 水毬に乗って揺蕩うて。しかしキファの身は『毒』壺に等しきもの。
 あの吸血鬼はこの身を喰らうという。
 あの吸血鬼は触れたものをどろりと溶かす、この身を捌くという。
 それはつまり――この皮膚に触れられるということ。
 この身が旅の途中でなければ、それも良いと思ったのかもしれない。
 そんな想いが心にふわりと現れ、キファは笑みを浮かべた。それは自嘲の笑みだったのだが、相手にとってはそうではなかったようだ。
「何を、嗤っている……!」
 少しばかり擦れた視界の中で捉えた姿に激昂する。
 ざわりと、かの影が蠢いて。その視界を補うように蝙蝠たちが飛び立つ。
 それに対するように金枝の罪――頭に宿る食人花が蔓を伸ばす。
 どうか私に触らないでとキファは淡い笑みを浮かべる。
 蒼い瞳は蝙蝠たちを捉え、大花の振り下ろす蔓がかき消していくのだ。
 見たくないの、と人魚の少女は――言葉にはしない。ただ、空にしゃぷんと音させて水で綴るのだ。
『私を料理すると大言壮語を吐いたお前が、触れて溶ける様は』
 見たくないの、と。
 あの吸血鬼に向けるキファのこの気持ちは一体、何と表せばいいのか。その名を得る前に、逸る心がある。
 触れられる前に殺さないと――その、キファの気持ちを汲んでだろうか。
 蔓のしなりは蝙蝠たちを打ち払い飛び越えて、彼の吸血鬼の身を打った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アール・ダファディル
御招き戴き恐悦至極、とでも言えば満足だろうか
乱入者でも歓迎してくれるのか、この茶番は
それはそれは……大層寛大な事で

あの剣にあの影――…どれも不愉快だ
周囲四方八方、庭園各所に糸を張り巡らせ行動阻害といこう
足元、腰丈、肩丈と敵の可動部に接触する位置に設置していく
折角の華美な誂もひっくり返し壊してやるか
「斬り捨てればいいと侮りたければ侮るといい」
【先見の繰糸】で攻撃を予期しつつ僅かでも注意を惹いてやる
捉えた刀剣は糸で捕え、二度と使えぬよう確実に刃を砕き折る

敵の意識が俺に向くようなら僥倖
隙に≪彼女≫…Echoでだまし討つ為の仕掛けを施そう
調度品のように装って
無害な人形がだまし穿つマヒ攻撃をさあ召しませ


玖・珂
案内してくれた者にヴァンパイアの攻撃が向かぬよう
その者が安全な場所へ退避するまでは射線を塞ぐ位置取りに

片手に胸を当てる仕草で糸雨を大仰に振ってみせ
城主へ挨拶をしよう
――お遭いでき光栄の至りでございます
攻撃は敵へ当たらずとも構わぬ
狙ったのは大鍋の破壊だ

誓約書、刀剣の飛来は
視力や第六感を駆使して糸雨で絡み取り防ぐが
地形を利用して席を盾にしても良いな
もう不要であろう?

お主が作る料理の味など知りとうも無いが
此れだけは分かるぞ
敵へ黒爪を突き立て生命力吸収
此れまで食した何よりも不味い


無事に戦闘が終わったならあの馭者を帰してやらねばならぬな
加担した事実は消えぬが……生きている意味は必ずあるのだ




「御招き戴き恐悦至極、とでも言えば満足だろうか」
 乱入者でも歓迎してくれるのか、この茶番はとアールは紡ぎつつ、その手で繰糸を操る――琥珀揺らめく繰糸を。
 ヴァンパイアは悪態付き、最初の余裕はどこへやら。
 蔦の一撃くらって伏した場所には、アールの仕掛けた繰糸が巡らされている。
「糸? こんなもの……!」
 それを断ち切ろうと己の剣を複数生みだす。
 しかし、ついとアールがその指引けば繰糸はヴァンパイアの可動域を狭める。
「斬り捨てればいいと侮りたければ侮るといい」
 しかし簡単に斬り捨てられるほど柔ではないとアールは言って。
「いや、柔か――操るはモノだけで無いと知れ」
 柔くて斬れないのだよと力抜いて振り落とされた剣の力を受け止めた。そして、その攻撃の終わりに逆に絡めとり刃を奪う。
 剣が振るわれる、その空気の振動を鋼糸で感じて、受けて。かわした攻撃は逆に、機となる。
 硬質な音をたて、アールの繰糸は捕らえた剣を砕いたのだ。
 まさかそんな糸にと瞳見開きアールを睨むヴァンパイア。
 しかしそれもアールの狙い通りなのだ。
 その隙に≪彼女≫、Echoがそうっと後ろから近づいて。愛らしい、無害な姿と裏腹に――重い、一撃を。
 その攻撃をヴァンパイアは咄嗟に自分の腕で庇いだてた。
 しかし思いの外、ふわふわしていそうな見た目であるのに強烈で。その腕は痺れをもって使い物にならなくなる。
 そこへ、私も挨拶させていただこうかな、と。
 片手に胸をあて、慇懃無礼に。そして珂が振るう強くしなやかな三本の鋼糸は僅かに、この世界の鈍い光を反射した。
「――お遭いでき光栄の至りでございます」
 ヴァンパイアを通り越し先へと向いたその鋼糸は、ふつふつと煮えたぎっていた大鍋をひっくり返した。
 じゅわりと大きな音と白い煙。煮えたぎるものにより、炎が消える。
 その様にああ、とヴァンパイアは色濃く気持ち滲む声を零した。
「折角の準備が!」
「もう不要であろう?」
 あれも、これもと珂が振るった鋼糸が周囲のものを薙ぎ払う。
 貴様、と唸るような声も涼やかに珂は聞き流し黒い瞳を向ける。
 その瞳に映ったのは先程破壊されて、再び作り上げた剣。
 ヴァンパイアの意志で動く剣。それを映す珂の、片方の瞳は藍色の花を咲かせていた。
「剣で貫きあぶってやろう!」
 捕らえたと。二ィと口端上げて笑うヴァンパイア。しかし剣突き刺さる場所に珂の姿はない。
 どこだときょろきょろと見回し、そして姿を捕らえて再び剣を向かわせる。
「お主が作る料理の味など知りとうも無いが、此れだけは分かるぞ」
 だがその剣を、珂は糸雨で防御し、刃を斬り滅ぼしヴァンパイアへと肉薄する。そして向けたのは五指を覆う鐵の装甲――黒爪。
 滑らかに動く間接、その先の鋭い指先が捉えたヴァンパイアの肉。
「此れまで食した何よりも不味い」
 吸い上げる生命力の、味。それは感覚的なものではあるが珂にとっては今までの何より、眉顰めるに値するものだった。
 このヴァンパイアに生きている意味はない。あの逃がしてやった、この場を離れた馭者とは違う。
 あの馭者も加担した事実は消えぬが――それでも。
 生きている意味は必ずある。
 あのような者をこれ以上出さぬためにもと、珂は一層、その黒爪をヴァンパイアの身へとめり込ませた。
 ぎゃあああと、醜い叫びがやけに耳につく。ヴァンパイアは今、やっと――己の身の危うさをその身に感じ始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

一文字・八太郎
食べる、という事の真髄――お見せ致そう

携帯食料を齧り【フードファイト・ワイルドモード】にて
相手の飛んでくる攻撃を叩き落とすでござる
足りなければ追加で二つ三つ齧って補給
多の猟兵達の活路になるように、相手の攻撃を引き受け
万が一の時には庇うことも是と

ついでに、用意された大鍋も、食事の席も全てぶち壊してやろうな

貴殿が作る料理は己のことしか考えられておらんようだな
大凡誰かに振る舞う事には向いてなかろう
他者の命をいただくという礼儀がまずなっとらん時点で
調理者としても食す者としても
何より料理に対して冒涜中の冒涜でござる、恥を知れ!

貴殿はもう二度と何も食えぬように
今ここで皆に倒されるのがが似合いでござるよ


斎部・花虎
【POW】
ははあ、成る程?
反吐の出る顔をして笑う事だな、ヴァンパイア
最後の晩餐たる食卓の、食材はおまえに相違ない

この身を縛る誓約書など知るものか
好きにおれにルールとやらを課せば良い
喩えそれでおれが斃れたところで
他の猟兵がおまえを隙なく喰らうだろうよ

髪が風を孕み膨らむ、肌を虎の縞が這う
瞳孔が縦に窄まって
獣の如き、それがおれのまことの姿

ルールを無視して肉薄し、呪符と小刀を投擲する
口が開いていればその中に突き立ててやるんだが
まあ留まればどこでも良い
それが叶えば己が影より醜い獣を引き摺り出す
――いらせられませ、闇御津羽
あれが貴殿の食餌ゆえ

おまえなど獣の餌で充分だ




 ヴァンパイアの切り替えは、早かった。囲まれる前にと逃げられる場所を探す。
 ああ、あれは他より小さいから抜けられそうだ――そう、思ったのだろうか。
 ヴァンパイアは八太郎の方へと向かう。
「退け!!」
 荒げられた声。けれどそれは別段、怖れるものではない。
「食べる、という事の真髄――お見せ致そう」
 八太郎が袋から取り出したのはチュルチュル君。その封噛みきって口にすれば――ねこだいすきまっしぐらなお味――その味に全身の細胞は活性化して八太郎に巡る力は増していく。
 ヴァンパイアが操る剣が先行する。それを素早く動いて、八太郎は刃で叩き伏せた。
「貴殿が作る料理は己のことしか考えられておらんようだな」
 八太郎は静かに紡ぐ。
 貴殿の料理は大凡誰かに振る舞う事には向いてなかろうと。
 しかしヴァンパイアは声を荒げた。
「食材が! 私の料理に文句をつけるとははなはだ烏滸がましい!!」
 その声に八太郎はきゅっと眉寄せる。
 ヴァンパイアの放った言葉は八太郎の気を逆撫でするだけのものだった。
「他者の命をいただくという礼儀がまずなっとらん時点で調理者としても食す者としても」
 とんと軽やかに。
 八太郎は地を蹴って。その身低くし迫る。
 ヴァンパイアが大きな動きで剣を振る。けれどそれを八太郎は潜り抜け、肉薄する。
「何より料理に対して冒涜中の冒涜でござる、恥を知れ!」
 しゃん、と涼やかな音と共に凄烈に。
 八太郎の揮う刃はヴァンパイアのその脚を切断した。
 ぴしゃりと跳ねた血の色は酷く鈍い。
 バランスを崩し倒れたヴァンパイアは逃げる足の一方を失った。
「貴殿はもう二度と何も食えぬように、今ここで皆に倒されるのがが似合いでござるよ」
 ああ、あああと呻くヴァンパイアはそれでも、歯噛みして睨んでくる。
「似合い、だと? はは、おかしな、おかしなことを」
 薄っすらと浮かべた笑みはやせ我慢のようだ。
 はは、はははと乾いた声色。そして引き攣れた表情を浮かべている。
 その様を見て花虎は碧翠の眸をすぅと細めて。ははあ、成る程? と花虎は緩やかに紡いだ。
「反吐の出る顔をして笑う事だな、ヴァンパイア」
 最後の晩餐たる食卓の、食材はおまえに相違ない――そう言って踏み込む、花虎の姿は変わりゆく。
 白い髪を風が孕み膨らんで。色白の肌を虎の縞が這っていく。
 碧翠の中に潜む瞳孔は縦に窄まり、女の姿は獣の如きものへと変じた。
 それが花虎の、まことの姿。
 迫る花虎にヴァンパイアはどうにか懐から取り出した誓約書を向ける。
 ひらりと風に舞い上がったそれは、花虎の身にかさりと小さな音たてて触れた。
 その様を捉え、けれど花虎は止まらない。
 この身を縛る誓約書など知るものか――動くなという命など聞く気もない。
 触れた場所から走る痛みは絶大だ。握りつぶすか引きちぎるか。
 得体の知れない痛みは大きいが、しかし逆に意識を覚醒させる。
「好きにおれにルールとやらを課せば良い。喩えそれでおれが斃れたところで」
 他の猟兵がおまえを隙なく喰らうだろうよ、と。
 が、その足ではもう逃げる術もなく。
 肉薄し、獰猛に囁く。そして手の中で遊ばせた呪符、禍津日と小刀とをヴァンパイアへと向けた。
 狙いはその、喚いている口へ。
 しかし何かを感じたか、察したか。ヴァンパイアは口を閉ざし後へと逃げようとする。
 それなら、まあ。留まればどこでも良い。
 投げ放ったそれは腹の上。
「――いらせられませ、闇御津羽」
 己の影より引き摺り出す。
 花虎の足元にゆるりと、影の内より出る事許された醜い獣が伏せる。
 その醜い獣の意識を、ヴァンパイアへと向くように。
 花虎は遵えと示した。
「あれが貴殿の食餌ゆえ」
 ――あれを餐え、と。
 その言葉と同時に醜い獣は飛びかかる。
 牙をむけるのはその腹か。
「おまえなど獣の餌で充分だ」
 冷たく落ちる、その一言とヴァンパイアの凄惨なる悲鳴が重なった。
 ヴァンパイアの落とす声は、あたりに無為に響く。今までいくつも、同じような声を重ねて聞いてきただろうに。
 痛いだなんだと騒ぐ声は酷く滑稽で――そして意味もなく。ただ、それが途切れた時にはヴァンパイアは事切れていた。

 この世界でヴァンパイアが一人倒れたとしても、それですべてが変わるわけではない。
 けれど、人を攫い食材とするものは耐えた。それだけでも、きっと良き事なのだろう。
 惨憺たる光景は、冒涜の光景は――少なくともこの場ではもう起こらないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月24日


挿絵イラスト