アースクライシス2019⑧~巨大植物と恐竜の楽園
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ヒーローズアースで繰り広げられている戦争、『アースクライシス2019』。
各地で戦況が少しずつ進んでいる状況だが、モニュメントバレーにおいては、神鋼の鎧を纏ったオブリビオンを撃破したことで、猟兵達はこの地の制圧に成功していた。
その後、各自でオブリビオンが現れた洞窟の調査を進めていたのだが……。
「探索していた猟兵達の情報によると、洞窟の奥はパンゲア大空洞に繋がっていたそうね」
金髪エルフのグリモア猟兵、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)はグリモアベースで集まる猟兵達へと説明を行う。
パンゲアとは、かつて大陸が移動する前、現在ある大陸が巨大な一つの塊であったと想定される大陸の名前だ。
そのパンゲアの名がついた大空洞が地底に存在し、そこには巨大植物が生い茂り、恐竜が今なお生息しているのだという。
このパンゲア大空洞を探索することになるのだが……。
「センターオブジアースを目指す為、『鍵の石板』が必要なのだそうよ」
その石板は、上部が円形の長方形を思わせる形をしている。
これを必要数集めることで、センターオブジアースへの道が開かれるはずだ。
あちらこちらにこの石板は散らばっているようなのだが、どうやらとある巨大植物が生い茂る区画にこの石板が1枚あることが予知によって判明している。
「詳しい場所までは判らないけれど、植物に紛れるように地面に落ちていると思うわ」
ただ、この植物、時折、蔓触手を伸ばして近づく者に興味を示すことがあるらしい。
とって食うわけではなさそうなので、巨大植物に対しては多少気に留めながら探索する程度で大丈夫だろう。
「それより、空洞内で闊歩している恐竜の方が問題ね」
大空洞全体では、恐竜の大きさは3~30mとかなり幅広く、様々な種族が生息してはいる。
この区域では、植物が多いことからか、8~10m程度の首長竜や四つ足の草食竜が闊歩している。
区域内の移動、石板探索等において、この恐竜達は障害となってしまう為、恐竜達の対策を考えておきたい。
「大きく、強引に排除するか、隠れてやり過ごすか、何かしらの方法で懐柔してしまうかかしらね」
上手く恐竜達の対処ができれば、石板の発見にも近づくはずだ。
石板の内容も気になるが、それは二の次。
まずはこの探索に全力を尽くしたい。
「ちょっと大変だと思うけれど、よろしくお願いするわ」
セレインは最後にそう、猟兵達にこの大空洞の探索を願うのである。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
ヒーローズアースで繰り広げられている戦争に、力をお貸しくださいますよう願います。
こちらのシナリオは1章構成、冒険シナリオです。
巨大植物が生い茂り恐竜が住まう地底の大空洞、パンゲア大空洞を探索し、センターオブジアースに繋がる「鍵の石版」を探していただきますよう願います。
巨大植物はフレーバー要素ですので、お楽しみ要素もOKです。
ただ、恐竜の対処は判定要素となります。
探索の邪魔をしてくる恐竜を無力化するか、仲間にすることで、プレイングボーナスが付きますので、プレイングを手掛けるときにご配慮いただければと思います。
なお、リプレイは石板発見時に終了となるので、事後の行動描写はできません。ご了承くださいませ。
●執筆予定
現状は12日の執筆を予定しています。12日朝8時半までにプレイングを頂けますと幸いです。その後はできる範囲で採用させていただきます。
第1章公開後、プレイングの幅を広げる為の情報を加筆を致します。
ご確認の上でプレイングを頂けますと幸いです。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 冒険
『パンゲア大空洞の大冒険』
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POW : 探索の妨害となる恐竜を力づくで排除しつつ、正面から探索する
SPD : 見つからないように移動するなどして恐竜に邪魔させず、周囲の状況を良く確認し、探索を有利に進める
WIZ : 知恵を駆使して恐竜を懐柔あるいは排除し、探索の為の作戦を考案する
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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パンゲア大空洞。
アメリカ大陸の地下に、今なお巨大な原生植物や恐竜が生息している巨大な空間。
この地を探索する猟兵達は、地上を攻めようとするオブリビオン達がセンターオブジアースを目指すべく、上部が円形をした長方形型の『鍵の石板』を探している。
予知によれば、巨大植物が生い茂る区域の草むらのどこかに石板は落ちているらしい。
それを探す為には、原生している植物の間を潜り抜ける必要がある。
中には、蔓触手でつかみ取られたりする植物もいるかもしれないが、この区域の植物にはほぼ害はないので、上手くやり過ごしたい。
植物以上に対策が必要なのは、闊歩している恐竜達だろう。
トリケラトプス、ステゴザウルスのような四本脚のものや、環境適応の為か、やや小型化して10m程度になったブラキオサウルス、ティタノサウルスなどの首の長い恐竜が生息している。
それらは近づく猟兵達が珍しいのか、興味を示して近づいてくる。
こちらとしても珍しい生き物ではあるのだが、現在は戦争中とあって速やかに石板を回収するにはいささか邪魔な存在だ。
大きく、取ることのできる対策は3つ。
まずは、強引に恐竜を倒してしまうというもの。
力づくで数体ほど倒してしまえば、相手も恐れをなして逃げていくはずだ。そこからのんびり探すといいだろう。
次に、恐竜達に見つからないよう移動し、速やかに探索を進めるというもの。
見つからずに探すことができるので、探索を有利に進めることは可能だが、見つかった場合のリスクもそれなりに大きいので、周囲の状況をよく観察して探索を進める必要がある。
最後に、様々な知識、技能を駆使して恐竜を懐柔、無力化させてから探索を行うというもの。
いっそ恐竜と仲良くなったり、恐竜を一時的に眠らせたり、気を失わせたりすることで、恐竜をやり過ごす手段。
状況によるが、ある程度探索の時間が稼げるはずだ。
巨大植物と恐竜達の楽園。
果たして、猟兵達はその中でどんな冒険を繰り広げるのだろうか。
(※プレイング受付は、11月12日8時30分までの予定です。その後に受付分は間に合う分のみの対応となります)
鈴木・志乃
ちょっと強引だとは思うけど……
やっぱり、生物には炎が一番有効かなって思います。生物は炎を怖がるから。根元的恐怖ってやつです
松明にUCして点火
パフォーマンスの要領でぶんぶん振り回しながら見せつけて近づいて行きましょうか
必要なら全力魔法で炎巻き上げて嵐でも見せます。大炎上しないように調整はするけど
あと念動力で石、岩持ち上げて口に嵌め込んでやる。ちょっと我慢してね
植物も必要なら焼いちゃいますよ
必要なら、ね
むやみやたらな殺生は、私も好みではありません
石板は第六感を併用しながら根気強く探しましょう
手持ちのトランプで切り開いていくのも良いかなあ
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
視界が通らない場所で地面に落ちた石板を探す…って、凄く労力が掛かりそうですね
とはいえ良い方法も思い付きませんから地道に探しますか
恐竜に行き逢ったらUDC触手に毒属性を取込み、催眠ガスで眠らせます
当てもないので周囲の植物を観察しながら真っ直ぐ進みます
おや、恐竜が植物の蔦に絡め取られている…食べられたりはしないとのことでしたが一応助けておきましょうか
UDC触手を伸ばして植物の蔦を引き剥がします
この恐竜怪我をしているのですね、動物は専門ではないですが医術で治療しておきましょうか
君、石板を知りませんか?
…と言っても言葉は通じませんかね
バーン・マーディ
さて…ヴィランらしき事もするべきだろう
石板とやらを強奪せしめてみせようか
準備
大量の肉と野菜や果物を用意
ユベコ発動
デュランダル騎士団探索部隊出撃
周辺のマッピングと探索を命じ
恐竜を発見した時は気づかれぬように速やかに撤退し報告させる
対恐竜
【動物会話】使用
我はバーン
神である
お前達の生活を邪魔するつもりはない
(威嚇されるなら
良い
お前達もまた原始の覇者
ならば力を以て示そう
【カウンター・怪力】でぶつかり合う
今回は素手で不殺
相手が恭順を示すまで正面からぶつかり合い武を示す
その上で石板の場所や見た物について問い
ぶつかり合いは腹が減っただろう
(大量の食糧を置いて
では協力してくれるか
恐竜と騎士達とで探索再開
テラ・ウィンディア
探索任務か!
竜騎士たる者こういうミッションもこなさないといけないよな!
事前
探索する空洞についての伝承や情報については可能な限り収集する
恐竜…龍たちの住まう楽園ならばおれも龍と共に往かねばならないな!
なので小紅龍招来
紅龍に乗って探索開始
【空中戦】で飛びながら探索するぞ
対恐竜
紅龍
【属性攻撃】で上のテラと共に燃え上り威嚇
龍として易々と負けてたまりますかといわんばかりにキュアキュア威嚇
そして何より…言う事聞かないと上に乗ってる子供が…
テラ
所で恐竜ってドラゴンみたいなんだよな
…美味しいかな?(間違いなく捕食者の目と化している
紅龍
きゅあきゅあ(こいつがお前達を食しかねないから大人しくしなさい(遠い目
アテナ・カナメ
【心情】石版探しか。本当に冒険みたいね!楽しみだわ。でも植物や恐竜には気をつけなきゃ…
【作戦】正面から【二回攻撃】のヒートスタンプで恐竜を倒して、植物の方に向かって石版を探すわ!でも襲ってくる恐竜のみね。無闇に倒すのはあんまり好きじゃないし…もし恐竜が倒せないレベルだったら他の仲間のためにも私は【挑発】と【見切り】で囮になるわ!
そして植物の所にたどりついてもなんか蔓が巻き付いてきそうね…(絡み・アドリブOK)
大豪傑・麗刃
男の子が生涯一度はあこがれるものが3つある。
虫、乗り物、そして恐竜なのだ(個人の意見です)
そんな恐竜、ぜひとも見てみたいのだ。
んでわたしの甘いマスクの前には恐竜といえどもたちどころにひれ伏すに違いないのだ。
見事怪獣を懐柔してみせるのだ!
え?恐竜と怪獣は違う?別物?
……
襲ってくる植物を刀で切り払いながら堂々と進む。
んで恐竜に出会ったら。
やあ恐竜くん。会えると思っていたよ。
なぜなら恐竜と出会うのは。
今日!!
……
恐竜にギャグが通じるのか?
通じる。通じるのだ!!
気合いの入ったギャグに通じぬものなどないのだ。
こうしてめでたく恐竜を仲間にし(たぶん)あとは石板の探索?立ち合いは強くあたってあとは流れで。
●
パンゲア大空洞。
今なお、原生植物や恐竜が生き残っている地底の大空洞へと、猟兵達は足を踏み入れる。
「探索任務か!」
黒髪をポニーテールとしたエルフの少女、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は今回の任務に当たり、この空洞についての情報を可能な限り収集してくるなど、気合を入れてやってきている。
「竜騎士たる者、こういうミッションもこなさないといけないよな!」
テラは目を輝かせて、この空間を見回す。
今回の依頼に関する思いは、猟兵によって様々。
「石版探しか。本当に冒険みたいね! 楽しみだわ」
赤く長い髪の少女の身体を借りたヒーローマスク、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)はアドヴェンチャー映画のようなこの空間での依頼に胸を高まらせる。
猟兵達が発見を求められているのは、「鍵の石版」。
なんでも、センターオブジアースへと目指す為に必要なものとのことだ。
「さて……、石板とやらを強奪せしめてみせようか」
神へと至った闇黒騎士、バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は自らの正義の為、ヴィランらしき事もするべきとその奪取を考えている。
「視界が通らない場所で地面に落ちた石板を探す……って、凄く労力が掛かりそうですね」
一見、普通の少年にも思える容姿をした水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は、何かいい方法はないかと思案する。
多重人格者である怜悧が現状、表に出ているのはロキという人格。その瞳で外目でも人格は判断できるらしく、今は緑色の瞳となっていた。
「……とはいえ、良い方法も思い付きませんから、地道に探しますか」
結局、手当たり次第に探す手段と取る怜悧。
そこで、アテナが懸念を示して。
「でも、植物や恐竜には気をつけなきゃ……」
石板を探すに当たり、障害となるのは植物と恐竜だというが……。
「男の子が生涯一度はあこがれるものが3つある。虫、乗り物、そして恐竜なのだ」
そこで、非常に癖の強い容姿と性格をした武人男性、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は、是非ともそんな恐竜を直に見てみたいと語る。
なお、彼の主張する男の子の憧れについては個人の意見ということなので、あしからず。
「んで、わたしの甘いマスクの前には、恐竜といえどもたちどころにひれ伏すに違いないのだ」
麗刃は恐竜を屈服させ、石板捜索をと考えているようだ。
「ちょっと強引だとは思うけど……」
一方、舞台役者と配信者、さらに猟兵と休みなく働くパフォーマー、鈴木・志乃(ブラック・f12101)はやっぱり、生物には炎が一番有効かなと、持論を語る。
「生物は炎を怖がるから。根元的恐怖ってやつです」
うまく、恐竜の恐怖を煽りながら、恐竜を退けられればと志乃は考える。
果たして、恐竜達はうまく猟兵達の思惑通りに動いてくれるだろうか。
●
このパンゲア大空洞はかなり広い場所のようだが、多少の暑さを感じさせた。
地底ということもあり、地熱がこの空洞の温度も上げているのだろう。
巨大な植物が生い茂る中、猟兵達は石板の捜索に当たるべく散開していく。
志乃は事前に言っていたように、用意した松明に【浄化の炎】を点火させ、それをぶんぶんと振り回しながら【パフォーマンス】して歩いていく。
すると、首だけでなく、尻尾も異様に長い見た目をした恐竜とでくわしたのだが、炎を振り回す志乃に近づくのを恐竜は躊躇う。
それでも邪魔するように立ち塞がる恐竜を威嚇する為、志乃は【全力魔法】で炎を巻き上げて嵐を起こす。
どうやら、その恐竜、尻尾が植物に引っかかっていただけのようだったが、志乃が近場の植物を焼くと自由になったようで彼女をじっと見つめてくる。
「あと……、これならどうでしょう」
【念動力】で近場に転がる岩を持ち上げた志乃は、その恐竜の口にはめ込もうとする。
しかし、ただならぬ力を感じた恐竜は恐れをなし、逃げ去っていった。
「むやみやたらな殺生は、私も好みではありません」
岩を元の場所へと戻した志乃は、障害を排除して先へと進む。
宛もなく、植物を見上げて歩いていた怜悧。
初めて見る原生植物を観察していた彼は、密林を感じさせる植物の間を歩いていく。
(「早速、いますね……」)
目の前を歩く四つ足の恐竜はこちらに気づいたらしく、こちらをジロジロと見つめてくる。
「邪魔するのであれば、仕方ありませんね」
複数いるそれらをやり過ごすべく、怜悧はUDC触手に毒を取り込み、催涙ガスでその恐竜を眠らせていく。
さらに、歩く怜悧は頭部から緩いカーブを描きながら後方に突き出しているコブが特徴的な恐竜に遭遇する。
それは、どうやら傍に生えていた植物の蔦にコブが絡んでしまい、動けなくなっていたようだ。
「おや、恐竜が植物の蔦に絡め取られている……」
一応助けようと、怜悧はUDC触手を伸ばして蔦を取り去っていく。
そして、その最中、蔦に絡まった際に体へと突き刺さった木の枝に気づいて。
「動物は専門ではないですが……」
怜悧は刺さった枝を丁寧に取り去り、【医術】を使って治療へと当たっていった。
テラは竜騎士らしく、全長2.5mほどある小紅龍を呼び寄せていて。
「恐竜……龍たちの住まう楽園ならば、おれも龍と共に往かねばならないな!」
その背に騎乗するテラは、植物が生い茂る地帯を進んでいく。
石板も探さねばならぬこともあり、ある程度高度を下げて飛んできたテラは程なく、首長竜と出くわしてしまって。
「キュア、キュアキュア」
目の前の恐竜に対し、紅龍は炎の【属性攻撃】で、上のテラと共に燃え上がり威嚇する。
相手が龍とあれば、やすやすと負けてたまりますかと言わんばかりに紅龍が威嚇するのも止む無きことではある。
ただ、それ以上にテラがその竜に興味を示して。
「ところで、恐竜ってドラゴンみたいなんだよな。……美味しいかな?」
明らかにテラの目は、肉食恐竜と同じ捕食者の目である。
「きゅあきゅあ」
遠い眼をして、紅龍が目の前の竜を諭す。
――こいつがお前達を食しかねないから、大人しくしなさい。
こくこくと頷いたその竜は、すごすごとこの場から立ち去って行ったのだった。
中には、やや血の気の多い恐竜と出くわしてしまったメンバーもいたようで。
「来たれ、我に忠を尽くし者達よ」
バーンはユーベルコード【叛逆の組織「デュランダル」】を使い、デュランダル騎士団探索部隊を出撃させる。
彼は周囲のマッピングと探索を命じていたのだが……。
「……そうか」
騎士からの報告を受け、バーンはそちらへと動き出す。
恐竜を発見した騎士はそれに見つかることなく撤退し、バーンまで報告へと戻ってきていた。
それは、首長の恐竜。ブラキオザウルスを思わせるが、実物よりはかなり小さい。
それでも、10m程あれば威圧感は十分なのだが、バーンは恐れることなくそいつへと向かっていく。
「我はバーン。神である」
名乗りを上げた彼は【動物会話】を使って、敵意がなく、生活圏を侵す気がないことを示す。
しかし、野生の生物がはいそうですかと納得するはずもないだろう。
睨みつけてくる恐竜へ、バーンも仕方ないと割り切って。
「良い。お前達もまた原始の覇者。ならば、力を以て示そう」
構えを見せたバーンは武器を抜かず、徒手空拳で武を示さんとする。
恐竜はその長い首をうねらせて噛みつき、またはその体躯で突撃を行ってきた。
それに対し、バーンは正面から【カウンター】として、その頭に【怪力】叩き込む。
それで、恐竜は勝てない相手だと察したらしく、恭順のポーズをと頭を下げてみせたのだった。
アテナもまた3本の角を生やす恐竜と遭遇しており、威嚇されていた。
基本的に、こちらに向かってこない恐竜は見逃していたアテナ。
「無闇に倒すのはあんまり好きじゃないけれど、さすがに威嚇されては……ね」
突進してくる恐竜に対し、正面から戦いを挑むアテナは高く飛び上がって。
「ヒィィトスタンプ!」
一度、炎を纏ったキックを食らわせてから、近場の植物を足場にもう一度蹴りを食らわせた。
顔面に火傷を負い、恐竜は動きを止めてしまったようだ。
最悪、他の仲間の為に足止めも考えていたアテナだったが。
「さすがに、そこまでは必要ないかしら」
恐竜は威嚇を続けていたが、動かぬこともあってアテナもその場を立ち去ることにしたようだった。
そして、麗刃。
「見事、怪獣……もとい、恐竜を懐柔してみせるのだ!」
他のメンバーから、恐竜と怪獣は違うとツッコミが入っていたらしい彼は巨大植物の間を歩いていく。
時折、彼に興味を示して伸びてくる蔓触手を、麗刃は『サムライブレイド』でばっさばっさと切り払いつつ、胸を張って堂々と進む。
すると、正面に剣竜とも称される骨質の板が背中を覆う恐竜と、麗刃は出くわして。
「やあ、恐竜くん。会えると思っていたよ」
なんだと言わんばかりに視線を向けてくる恐竜へ、麗刃は自信満々に言い放つ。
「なぜなら、恐竜と出会うのは……今日!!」
恐竜にギャグが通じるのかという疑問など、麗刃の中では当の昔に解決している。
――通じる。通じるのだ!!
気合の入ったギャグに通じぬものなどない。
渾身の一言を言いきった麗刃に対して、恐竜は思いっきり突撃してそれに応えて見せたのだった。
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一度、恐竜と遭遇した猟兵達は、さらに石板の捜索に当たる。
紅龍に乗り、植物の間を飛び回るテラ。
その真下を、全身をぼろぼろにしながら、なぜか恐竜と仲良くなった麗刃が地面を見回しながら歩く。
あちらこちらを歩きつつ、蔓触手が巻き付く植物に行く手を遮られるアテナ。
そこを通りかかった志乃が手持ちの『魔法のトランプ』で蔓触手を切り裂き、先へと進む。
「君、石板を知りませんか? ……と言っても、言葉は通じませんかね」
傷ついた恐竜の手当てをしていた怜悧の傍には、大量の肉と野菜、果物を貰い、満足げに歩く恐竜の姿。
その周囲には、騎士達を従えて歩くバーンの姿があって。
「ならば、我が聞こう」
彼は怜悧の傍にいた恐竜へと【動物会話】の技能を使い、石板の場所を聞くのである。
大成功
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シホ・イオア
恐竜ちゃんは別に悪いことしてるわけじゃないし
戦闘はしたくないなぁ。
隠れるのはピカピカしてるので無理
飛んでやり過ごすか
動物会話で意思疎通ができないかチャレンジ
生まれながらの光を使って癒しを行えば
敵対だけは避けられるんじゃないかな?
食べ物で釣るのは……お茶菓子くらいなら持ってるけど、食べる?
捜索は自分の目だけじゃなく現地の動物たちの話を聞いたりして
情報収集もしつつ進めたい。
説明は石板の絵を描いてみれば伝わるかな?
月宮・ユイ
アドリブ◎
*器に<誘惑の呪詛>宿す呪:呪詛操るヤドリガミ
地下に広がる世界、ですか。
<第六感>含め知覚機能強化<情報収集>
石版が何らかの力を有している以上痕跡を探し追跡
恐竜は行動範囲も広いので、植物の生育具合等を調査
石版の影響があれば何か見つかるはず
▼対恐竜
《縛鎖》<念動:ロープワーク>
攻撃には鎖を壁の様に張り巡らし盾とし受け、縛り拘束
<動物と話す:動物使い・誘惑>
押さえた後説得、或いは懐柔(少し位触っても平気かしら)
ついでに恐竜達の野生の勘頼り、
何か気になる物がなかったか尋ねてみる
▼対植物
蔓触手に鎖で対応、友好的に対応できれば…
…あら、より興味を惹いてしまいましたか?
害がないなら良し、です
ユーフィ・バウム
※アドリブ・連携歓迎
事前に【世界知識】で現地情報を確認
蛮人らしく、力を示しましょうか
原生している植物の間を潜り抜け、
正面から探索、恐竜を排除します
武器ではなく【グラップル】を基本とした肉弾戦
【力溜め】た【怪力】の拳を叩き込み無力化させます
オブリビオン以外は殺したくないので、
無力化にとどめたいですね
10mほどの恐竜相手には飛び上がる【空中戦】も
効果的でしょうか
恐竜の攻撃は【オーラ防御】にて凌ぎますよ
何体か無力化したら、【動物と話す】を試みる
分かるでしょう?私たちにはかないません、邪魔をしないで
話はできなくても、恐れをなしてくれれば。
恐竜がいなくなった後、仲間と協力して
石板の捜索をしていきましょう
織部・樒
ザフェルさん(f10233)と行動
アドリブOK
これは凄い……所謂密林、ですね
石板捜索
ザフェルさんと協力して植物の蔓に注意しながら移動
UCで動物に協力を依頼、或いは【動物と話す】で
石板らしきものがないか聞くなど【情報収集】し、
粗方情報が揃ったところで陰陽道にて【失せ物探し】
石板のありかを割り出して進みます
恐竜対策
UCや【動物と話す】等にて動物たちに偵察を依頼
恐竜に効くなら【動物と話す】で縄張りを荒らすつもりがない事、
石板(こんな形のこういうものといった感じで)を探している事を説明、説得
可能なら一緒に捜索を依頼
話すのが無理ならUCや【動物使い】で他所で音を出してもらうなどし
その間に通り抜けます
佐伯・晶
地底で今も生き続ける恐竜か、浪漫だね
世界の危機じゃなければ
空からのんびり観察したいんだけどね
最悪飛んで逃げられるように女神降臨を使用
探検感の無い恰好だけど背に腹は代えられないよ
植物の生え方に気を付けながら探すよ
石板の影響を推測できるかもしれないし
空から見れば明らかに繁茂してるところとかあれば
注意して探してみよう
種類としては中生代の植生なのかな
蔦に襲われたら
石から創った使い魔で石化させ
動きを止めて圧し折るよ
恐竜は多機能ゴーグルのサーモグラフィも使って
できるだけ鉢合わせ無いように気をつけて進もうか
もし襲い掛かって来たら
神気と使い魔で麻痺させて
無力化もしくは追い払うよ
命のやり取りをする理由はないしね
フェルト・ユメノアール
巨大植物に巨大恐竜!巨大だらけの空洞探索なんてロマン溢れるね
なんだかワクワクしてきたよ!
よーし、気分はトレジャーハンター!石板探し頑張っちゃうよ!
『トリックスター』を手に、邪魔な植物を切り開きながら巨大植物の森を進む
うーん、問題は恐竜だよねー
オブリビオンじゃないから傷つけるような真似はしたくないし……
上手くやり過ごす方法は……そうだ!
ボクは手札からスペシャルゲストをご招待!
カモン!【SPキグルミミック】!
キグルミミックの効果で周囲の土や石を身に纏い、擬態
ボクは石だよー怪しくないよーと恐竜たちをやり過ごす
それでもダメだった時は、『ワンダースモーク』で煙に巻いて逃げるよ!
ミルケン・ピーチ
WIZでいくよー
幼女ボディのぺしぇで出撃
ここは草食さんが多いみたいだから、ミルケン特性桃のスーパーピーチを持っていくよ
恐竜さんとあったら、スーパーピーチをあげて餌付けしつつ、【動物と話す】で説得
「意地悪しにきたんじゃないよー、探し物があるの、手伝ってくれる?」
説得を聞いてくれなかったら【催眠術】で大人しくしてもらったり、暴れたら【スペシャルピーチドロップ】で抑えつけるけど、できれば仲間にして一緒に探索したいな
頭の上に乗って高い所から辺りを探そう!
あれ、なにこれ…うわわ、やめてー!
うー、蔓に捕まっちゃったよぉ…え、今度は何…うわー!(どしーん)
恐竜さんが蔓を食べて助けてくれたんだね!
ありがとー!
ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と行動
古代の生き物ってのはこんなにデカかったのか…
すげぇな
恐竜は出来るだけ回避
【地形の利用】で恐竜が直前に通ったと思われる道を避け、
恐竜の気配を【第六感】で感知したら身を潜ませる
遭遇してしまった場合は樒の力を頼るともに
【コミュ力】で敵意や悪意がないことを示す
恐竜に通じるか分からんが、物は試しだ
懐柔出来ない場合はユーベルコードで力を示す
恐竜の足元を陥没させ、バランス崩した隙に【騎乗】し
頭部まで登ってガツンと一発殴る
石版は辺りの状況を【情報収集】しながら探索
蔓触手を伸ばしてくる植物がある辺りにありそうだよな
何か変な感触がする植物があったら、その辺りの地面を
重点的に探してみるか
闇之雲・夜太狼
ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!
いざ、不思議の森探索!
まずは選択UCで、手の平に乗るサイズの俺の分身を作って……
いくよ!俺の、俺による、俺のための!パンゲア大空洞探検隊!
森を進みながら、分身たちにはあちこちに散らせて【情報収集】させよう
いろいろ面白そうな情報ばっかり持ってこないでよ!
俺が探してるのは石板なんだからさ~
恐竜が近付いてきたら、自分は狼になって身を潜めるよ
逆に分身は、その内一人を俺の本来の大きさにして、
身振りで気を引きながら【逃げ足】を活かしつつ【おびき寄せ】てもらおう
本当は俺も遊びたいんだけどね~
石板は俺の【第六感】頼りに探せないかなぁ
●
パンゲア大空洞へ、さらに新手の猟兵達が姿を現す。
現状、巨大原生植物が生い茂る地域では、まだ石板の発見には至っていないようだ。
「地下に広がる世界、ですか」
誘惑の呪詛を宿す器物のヤドリガミの少女、月宮・ユイ(捕喰連星・f02933)が呟く。
そこに広がるのは、精一杯地上に向けて成長して大きな葉を広げる巨大原生植物に、己の存在感を示す巨躯の恐竜達だ。
「これは凄い……所謂密林、ですね」
「古代の生き物ってのは、こんなにデカかったのか……。すげぇな」
2人で参加の乳白色の髪に金髪のヤドリガミである織部・樒(九鼎大呂・f10234)と、ワイルドさを感じさせる長身男性のザフェル・エジェデルハ(流離う竜・f10233)がそれぞれ感想を口にする。
この地で、巨大植物や恐竜達をやり過ごしながら、石板を探すことになるのだが……。
一通り、この大空洞について【世界知識】で調べていた銀髪ツインテールのユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)はというと。
「蛮人らしく、力を示しましょうか」
彼女はやや力技での探索を考えている様子だ。
ただ、他メンバーは恐竜との交戦を望まぬ者も多いようで。
「恐竜ちゃんは別に悪いことしてるわけじゃないし、戦闘はしたくないなぁ」
長い青髪に水色の蝶の羽を持つシホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)は難色を示し、やり過ごす為の方法を考える。
近場にいた紫色のゴーグル型ヒーローマスクのミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)は、幼女ボディの花園・ぺしぇを借りての参加。
「ここは草食さんが多いみたいだから……」
彼女は自身の特製の桃『スーパーピーチ』を餌として与え、対処することにしていた。
「世界の危機じゃなければ、空からのんびり観察したいんだけどね」
地底に今も生き続ける恐竜に、金髪少女の姿をした佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は浪漫すら感じている。
そんな彼女(中身は男性のようだが、それはさておき)は最悪、恐竜から逃げられるようにと、ユーベルコード【女神後輪】によって可憐なドレス姿となっていた。
「探検感の無い恰好だけど、背に腹は代えられないよ」
巨大植物や恐竜に囲まれている中では動きづらさも感じる衣装だが、これが彼女はベストだと判断したようである。
ともあれ、良くも悪くも、何が待ち受けるかはわからない場所には違いない。
「巨大植物に巨大恐竜! 巨大だらけの空洞探索なんてロマン溢れるね」
この状況に、ピンクの髪の道化師少女、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)はワクワクして居ても立ってもいられないようで。
「よーし、気分はトレジャーハンター! 石板探し頑張っちゃうよ!」
気合を入れる少女の傍には、紫がかった黒髪と赤目の人狼、闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)が駆けつけていて。
「ライアーヒーロー『クライウルフ』参上! 俺が来たからには、お遊びはここからだよ!」
――いざ、不思議の森探索!
夜太狼も仲間達に続き、胸を張って巨大植物の中を歩き始めたのだった。
●
巨大原生植物が生い茂る中、石板の探索を進める猟兵達。
ずんずん進むユーフィは、植物の下を潜り抜けていく。
その行く手に立ち塞がる四足歩行の恐竜の群れ。
草食竜とて、縄張りに入るなどして刺激すれば、全力で攻撃してくる厄介な相手だ。
「オブリビオン以外は殺したくないので、無力化にとどめたいですね」
普段は大剣を操ることも多いユーフィだが、今回は武器を持たずに正面からそれらに対して【グラップル】で殴り掛かっていく。
肉弾戦に臨むユーフィは恐竜達の突進を【オーラ防御】で凌ぎながらも、【力を溜め】た【怪力】の拳を打ち込む。
さらに、巨大な相手とあって、ユーフィは高く飛び上がって【空中戦】を仕掛け、頭に強く殴り掛かる。
そうして、何体かを無力化した彼女は、恐竜達へと【話しかけて】。
「分かるでしょう? 私たちにはかないません」
この場にはユーフィしかいないが、後からくる猟兵も踏まえてのことだろう。
強さを示すことで、恐れをなした恐竜達はその場から立ち去ってしまったのだった。
巨大原生植物の間を進めば、普段はお目にかけない猟兵……人間達の姿に植物達も興味を示していたのだろう。中には、蔓触手を伸ばしてつかみかかろうとする植物もいた。
ユイはそれらにすぐ気づき、特に慌てる様子もなくゆっくりと振り返って。
「……あら、より興味を惹いてしまいましたか?」
少しばかり、体をその先端で触れられていたが、植物はすぐに蔓触手を引っ込めてしまう。
しかしながらも、問題は目の前からやってくる剣竜である。
ステゴサウルスなど、背に大きな剣板をいくつも生やしている種族だ。
明らかにユイを威嚇してきていたそいつの突撃に対し、彼女は鎖を壁のように張り巡らす。
恐竜の体を受け止めたユイは、そのまま相手の体を縛りつけて拘束していく。
そうして、少しだけその体を覆う鱗を触りつつ。
「少し話を聞いてもらってもいいですか?」
その態勢で、ユイは【恐竜に話しかけ】、【誘惑】してみる。
そうして、懐柔を試みつつ、ユイは恐竜達の野生の勘頼りと、何か気になる物を見なかったか尋ねるのである。
晶もまた巨大植物の蔓触手に絡まれかけていたのだが、彼女は石から創った妖精型の『使い魔』の力でその蔓触手を石化させ、動きを止めてからへし折っていく。
「えっと、恐竜は……」
『多機能ゴーグル』を装着した晶はサーモグラフィによって、恐竜との鉢合わせぬよう気を付けて進む。
それでも、中には2本足で思った以上に速く距離を詰めてくる恐竜もいて。
「……なら、仕方ないね」
纏う『神気』と使い魔の力で相手の体を、晶は一時的に麻痺させる。
「命のやり取りをする理由はないしね」
その恐竜が動けぬうちに、晶はその場から立ち去っていくのだった。
別方向を歩いていた夜太狼はユーベルコード【CALL:M4(コール・メニーミニミニミー)】を使っていて。
「いくよ! 俺の、俺による、俺のための! パンゲア大空洞探検隊!」
手の平に乗るサイズの自身の分身を50体ほど作り出し、石板の捜索をしつつ恐竜の強襲にも備えていた。
程なく、のそりのそりと近づいてくる背に無数の棒状の突起を生やした恐竜。
それを察した夜太狼は見つからぬようにと狼の姿に変身し、草むらに身を潜める。
逆に、分身1体を自身本来の姿を取らせて囮とし、【逃げ足】を活かして相手を【おびき寄せ】てもらう。
「本当は俺も遊びたいんだけどね~」
今回は石板探しが優先と、夜太狼は後ろ髪を引かれながらも割り切っていたようだ。
投擲用のダガー『トリックスター』を手にしたフェルトは、邪魔な植物を切り開いて巨大植物の群生地を進んでいく。
「うーん、問題は恐竜だよねー」
フェルトの行く手にも、やはり恐竜が歩いている。鎧竜と呼ばれる種族だ。
「オブリビオンじゃないから、傷つけるような真似はしたくないし……」
なんとかうまくやり過ごす方法はと、しばらく唸っていたフェルトがそうだと何か思いつく。
彼女がカードバトルさながら、手札から取り出したカードより呼び出したのは……。
「カモン! 【SPキグルミミック】!」
現れたスマイルパペット・キグルミミックの効果で、フェルトは周囲の土と石を身に纏って擬態する。
(「ボクは石だよー、怪しくないよー」)
その恐竜はかすか残る人間の匂いを感じて近くまでやってきたものの、すぐに興味をなくしてその場から去っていく。
最悪、『ワンダースモーク』で煙に巻いて退避もフェルトは考えてはいたが、そのアイテムの出番はなさそうだった。
こちらは、樒・ザフェル組。
2人は共に行動しながらも、極力恐竜を避けて移動を行っていた。
ザフェルが【地面の足跡などをチェック】し、直前に通ったと思われる道を避けて進む。
また、樒がユーベルコード【鳥獣召喚】によって呼び出した翼竜や恐竜に助けを得て。
「恐竜がいない場所を教えてもらってもいいですか?」
そうして、空からと地面から、合わせて偵察を頼む。
「恐竜に恐竜の居場所を尋ねるって、どうなってるんだ……?」
「まあ、この場に合う動物は恐竜しかいなかったってことですね……」
呆れるザフェルに樒は真顔で返す。
ただ、元々いるはずもない恐竜がこの場に現れれば、逆に警戒して恐竜達が近づいてきてしまう。
「やれやれ、仕方ないな」
その接近を【第六感】で察したザフェルは、草むらに身を潜めてやり過ごそうとする。
「いや、ここは私が行きましょう」
樒がそこで、やってくる四足歩行の恐竜の前に出る。
その恐竜は、背に多数の角を生やしており、それを見せびらかすように歩いているようにも見えた。
「すみません、話を聞いてもらってもいいですか?」
樒はその【恐竜と話す】ことができないかと呼び掛ける。
すると、恐竜もこちらの主張を理解したようで、話を聞く態勢に入ってくれたようだ。
そこで、ザフェルも姿を現し、【コミュ力】を活かして敵意や悪意がないことを示そうとする。
さらに、樒も縄張りを荒らすつもりがないことを主張し、石板を探していることを伝えていく。
「さて、どうなるか……」
念の為にと、ザフェルは懐柔できない場合にも備えてはいた。
恐竜の足元に長柄の両刃戦斧『Evren』を叩きつけて地面を陥没させ、バランスを崩した隙に【騎乗】して頭部を……。
そんなことをザフェルは考えていたが、その必要はなさそうだ。
「どうやら、敵意がないことは理解してくれたようです」
樒の話に、安堵するザフェル。
恐竜の了承を得た2人は、その場を通り過ぎていくのである。
少しばかり、困っていたのはシホだ。
小さいフェアリーである彼女だが、何せ常に体が光っている為にどうしても目立ってしまうのだ。
幸い、この近場に翼竜などが生息していない為、高く飛べば逃れられそうではあるが……。
「話を聞いてくれそうな恐竜はいないかな?」
周囲を見回していたシホが発見したのは、他の場所で肉食恐竜から襲われたのか、傷ついて逃れてきた2本足の恐竜。
シホはその恐竜の後ろ側へと飛び、聖なる光を発してその傷を塞いでいく。
程なく、再び立てるまでに回復した恐竜の頭へとシホは近づいて。
「……お茶菓子くらいなら持ってるけど、食べる?」
持っていた『ティーパーティセット』から、お菓子を取り出すシホ。
大きさが違いすぎる両者だが、彼女の気遣いは相手もわかってくれたようだった。
最後に、ミルケンは用意していたスーパーピーチを上げた【恐竜へと、語り掛けて】みる。
「意地悪しにきたんじゃないよー、探し物があるの、手伝ってくれる?」
ミルケンはその首の長い恐竜へと問いかけた。
一応、通じはしていたようだが、どうしようかなと言わんばかりの態度を見せたこともあり、ミルケンは【催眠術】を使って懐柔する。
最悪、ユーベルコードでの押さえつけも考えていたが、うまく手なずけられたようで、ミルケンは嬉しそうに一緒に探索を進めることにしたようだった。
●
それぞれ恐竜を対処した猟兵達は、巨大植物の原生林での探索を進めていく。
いつしか、ユーフィ、フェルトは合流し、協力しつつ原生林を歩いていたいた。
「種類としては、中生代の植生なのかな」
その近くでは、晶が植物に注目しながら、その生え方に気を付けながら石板捜索を進める。
石板の影響があるのかなと考え、晶は捜索していたのだが……。
「あれ、なにこれ……うわわ、やめてー!」
首長竜の頭に乗って捜索していたミルケンは、巻き付いてきた蔓触手に絡まれてしまった様子。
ただ、そこは同行していた恐竜がその蔓触手を食べてくれたことで、ミルケンは拘束から逃れて。
「ありがとー!」
彼女は嬉しそうに、お礼を返していた。
「石版の影響があれば、何か見つかるはず」
ユイもまた、石板が力を有することで、植物が異常に生育している可能性を示唆していた。
石板の痕跡を探していたユイは、小型の人間を発見する。
それは夜太狼の分身で、彼らは様々な恐竜や植物の目撃情報ばかりを持ち帰ってきていて。
「いろいろ面白そうな情報ばっかり持ってこないでよ! 俺が探してるのは、石板なんだからさ~」
残念ながら、夜太狼の【第六感】はうまく働いてくれなかった様子だ。
少し離れた場所では、樒・ザフェルコンビは恐竜から聞いた情報を元にして、捜索を進めていた。
「蔓触手を伸ばしてくる植物がある辺りにありそうだよな」
ザフェルの勘はかなり冴えている。
見慣れぬ物に蔓触手を伸ばして反応を示す植物が、石板に興味を示さぬはずがない。
「恐竜もそう言っていますね」
同行していた恐竜から、樒もそんな情報を得ていて。
彼らは周囲の【情報を集め】つつ、探索を進める。
樒はさらに陰陽師として【失せ物探し】し、石板のありかを割り出していく。
「ん……」
ザフェルがその時気付いたのは、2体の植物が伸ばす蔓触手が届きそうで届かない場所の草むら。
そこには、確かに板状の物が落ちていた。
ほぼ同じタイミング、キラキラと煌めきながら飛来してきたシホもその石板を発見する。
「あった、あったよ!」
少し遅れて、バーンも到着して。
「一足遅かったようだな」
折角、それらしき情報提供を得たのにと、彼は少し残念がっていたのだった。
大成功
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