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アースクライシス2019⑥~ザ・ウェーブ・ボーイズ

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「皆さんお疲れ様でーす! 季節じゃないですが、海ですよー!」

 シーカー・ワンダーはパタパタと手を振り、スパム握りを頬張った。

 アトランティスのレディ・オーシャンが、世界を滅ぼす『大海嘯』の儀式を開始したとの予知が入った。
 儀式の開始と同時、ハワイ沖ではビッグウェーブが発生しており、アメリカ第七艦隊を初めとした国連軍やヒーロー・ヴィラン連合軍は、近づく事すら出来ない状況だ。しかし、これを乗り越えねばレディ・オーシャンの企みは阻止出来ない。

 そこで、ハワイの古代部族が代々伝わる『サーフィン魔法』を教えてくれることとなる。皆はこの魔法を教わり、部族の祈りが籠められたサーフボードを借り受け、ハワイ沖へと向かってもらうこととなる。

 当然ながら、ビッグウェーブには猟兵の到来を警戒しオブリビオンたちが防衛線を築いている。今回警備に駆り出されたのは、イケメンは何をしても正義と信じ切った外道ヒーロー軍団『イケメン戦隊『ブサメンハンターズ』』。彼らもまた『サーフィン魔法』の知識を授かっており、波乗りによってビッグウェーブを拡大を続けているようだ。

 時に、サーフィン魔法とは、サーフボードで乗りこなした波の勢いを変える魔法のこと。これにより猟兵がレディ・オーシャンのビッグウェーブを乗りこなして『波を止める』と意識すれば、自然とビッグウェーブは静まっていく―――という寸法だ。
 ただし、これはブサメンハンターズについても同様。彼らは『ビッグウェーブをより強く、より大きく』と願いながら波乗りしている。よって、今回は海上での特殊極まる魔術戦。サーフィン魔法同士での波の奪い合いということになる。

 サーフィン魔法の使い手同士の戦いは、ビックウェーブの高所を取った方に有利が傾く。そして、ブサメンハンターズは当然のようにユーベルコードをフル活用しての妨害行為を行い、ひたすら波の優先権を奪い取ろうとしてくるだろう。猟兵側はこれに抗い、ビッグウェーブの優先権を奪取・保持し続けて波を鎮める。海が沈静化した後、再度ビッグウェーブを起こそうと足掻くブサメンハンターズを殲滅すれば任務完了だ。

「あ、海に落ちないようにだけ注意してくださいね。海に落ちたら波の有利が奪われる上にもみくちゃにされて大変なことになってしまうので! いい波乗って来ちゃってくださーい!」


鹿崎シーカー
 ドーモ、鹿崎シーカーです。季節外れのサーフィン依頼。でも問題はありません。だってハワイは常夏だもの!

●サーフィン魔法
 このシナリオには、特別なプレイングボーナスがあります。今回のボーナスは『ビッグウェーブをサーフィンしながら戦う』です。

 サーフィン魔法とは、『サーフボードで乗りこなした波の勢いを変える』というもの。
 猟兵たちはハワイの部族から教えてもらい、サーフボードを貸してもらえるので、付け焼刃ながら使用できます。
 猟兵たちはこれによりビッグウェーブを鎮められます。一方のオブリビオンもアトランティスからサーフィン魔法の知識を奪っており、波に乗ってビックウェーブを大きくし続けています。
 サーフィン魔法の使い手同士の戦いは、ビックウェーブで高所を取った方が有利になる。そのため、猟兵が相手を上回るサーフィンテクニックで、有利な位置を取る事ができれば、徐々に波は鎮まっていきます。

●第一章『イケメン戦隊『ブサメンハンターズ』』(集団戦)
 イケメンは何をしても正義と信じ切った外道ヒーロー達。自分達以外をヒーローヴィラン問わずブサメンとして徹底的に非道に苛め殺し、女性は性処理の道具として非道の限りを尽くしてきた。己達こそ至高のイケメンであり全てが許されてると思っている。

 アドリブ・連携を私の裁量に任せるという方は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると助かります。ただし、これは強制ではなく、これの有る無しで判定に補正かけるとかそういうことはありません。

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 集団戦 『イケメン戦隊『ブサメンハンターズ』』

POW   :    スポーツイケメン「ボールで遊ぼう。お前が的な!」
【投げつけたボール 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【連続ボール攻撃から囲んでの集団リンチ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    高貴イケメン「堕とした女の数こそイケメンの力だ」
【レベル×1人の弄びオトした女性達 】の霊を召喚する。これは【心をずたずたにする罵詈雑言】や【顔を溶かす程の強酸の入った瓶】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    眼鏡イケメン「君は見た目だけでなく頭も悪いね」
自身の【眼鏡 】が輝く間、【隠し持った拳銃で】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レパル・リオン
夏!…じゃないけど大波!青空!だったら、乗りこなすしかないわね!!
そんな訳で水着で参戦よ!ノリと勢いで、大津波に立ち向かうわ!

ユーベルコード【猟兵放送!】
フィールドにカメラやモニターを召喚して、あたし達のサーフィンを生中継!みんなの応援で、あたし達のサーフィン力を高めるわ!

基本はアイツらに接近!サーフィンしながらの超回転で海水を巻き上げ、メガネや銃弾や瓶やボールを弾き飛ばすわ!

海に落ちそうなら最後の手段!出てきて、【青角馬之進路】!空中に虹の波を生み出し華麗なサーフィンを見せつけるわよ!


アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可

おーおー今度の相手もまた強烈だな…
つーか、そんなブサイク面で戦隊を名乗るのは諸先輩方に失礼ってもんだぜ!

サーフィン任務はもう何度かやってるから問題ねぇ。【騎乗】技能と【気合い】で波を制して、超高速で接近してぶっ叩くぜ!
今回は【ブーステッド・ソニックアーム】で黄色をぶっ飛ばしとくぜ。霊になったとはいえ、弄ばれた女性達には罪はねぇ。狙うのは原因たる黄色一匹で十分だ。大体マッハ10の高速ロケットパンチで、お星様にしてやるぜ!
この手の奴が良く言うセリフに「女は星の数ほどいる」とかあるし、星になれば選び放題だな、良かった良かった

真のヒーローは敵も幸せにするってことだな!


ツェリスカ・ディートリッヒ
【連携アドリブ歓迎】
【余/汝/彼奴or彼・彼女/名前呼び捨て】

まったく……顔が良ければ何をしても許されるなら、余は今頃アルダワの女王になっておるわ。
内面の釣り合わぬ美貌など、ただの虚影に過ぎんと教えてやる。

とはいえ炎使いの余にとっては厄介なフィールドだな。
地形の利用を応用して波に乗り、水魔法(属性攻撃)でサポートするか。
周囲の似非ヒーロー共は存在感をもって恐怖を与え、威圧して行動を阻害しよう。

切り札はヴィーヴルの栞で発動する『覇界断章・昂竜渦動』。
これで敵の乗る波を消し去ると同時に周囲の魔術を増幅し、強化された水魔法で思い通りの波を作り上げる。
あとは荒波で翻弄しつつ、華麗に魅せてやるだけだ。


ナギ・ヌドゥー
海の季節でもないし、
サーフィンする柄でもないんですよねぇ、頑張りますけど!
敵は如何にもサーフィン得意そうな顔だ(偏見)。

波の高い位置に居た方が有利というなら飛行して一番高い波に乗りましょう
UC「闇舞鋼装」発動
強化水着武装の姿に変身
飛翔能力で高い波を先取り
暗黒のオーラでボードを包み自身と一体化する事で乗りこなす

【ドーピング】【オーラ防御】常時使用
【第六感・野生の勘】で攻撃【見切り】
『波よ鎮まれ――凪となるのだ』
高波から念じながらイケメン共を攻撃
【殺気・呪詛・呪殺弾・制圧射撃】の弾幕で3人もろとも海の藻屑と消えてしまえ!


ヨナルデ・パズトーリ
・・・こう心根が醜いと怒りも湧かず憐れみすら感じるのう
というかヒーローではないしヴィランとすら名乗れんレベルじゃろ・・・
ま、オブリビオンという事はきちんと因果応報報いは受けた後じゃろうし湧き出たのを対処するだけじゃな

『野生の勘』と『第六感』で波の動きを『見切り』ハワイ沖の波の動きや
『地形を利用』して波に乗る
其の際に自身の後ろに『高速詠唱』による『全力魔法』の『衝撃波』を放ち
スピード上昇
波を制する為に全力を尽くす

敵の銃は『野生の勘』で『見切り』『残像』で回避
『カウンター』で『高速詠唱』による煙の『属性攻撃』の『全力魔法』を
『範囲攻撃』で叩き込み『目潰し』しUCによる氷の竜巻叩き込む『二回攻撃』


大豪傑・麗刃
世の中重要なのは美形ではない!個性なのだ!
それを存分に教えてやるのだ!

とりあえずさっそくサーフィ

(どぼん)

……
落ちたと思った?残念!演出なのだ!
オープニングに落ちないようにと書いてあったので一応守るのだ!
(ユーベルコード発動のために第四の壁を破っていくスタイル)

さてこれで相手が「大笑いで脱力」「あきれて油断」「怒って平常心失う」等で本来の実力発揮できなくなったところで本格的に稼働。

とりあえず相手より上に行けばいいのだな。わたしの得意分野なのだ。変態は高い所が好きと昔から言うではないか。
そんなわけで念動力でボード動かしつつ海上をダッシュして高い所を取り、刀の二刀流で高所から一気に敵を斬る感じで。


栗花落・澪
経験と教わった知識
【ダンス】で鍛えた体幹をしっかり活かし
風魔法で体を支え安定させながらのサーフィン

なるほど、最低ですね
見た目は良くても心がちょーーーーブサイク(強調
ブサメンが人権得られないならあんた達もブサメンだからアウトだね

体重使いを工夫し大波の中でもスムーズな移動や方向転換
【聞き耳】で波音を聞けば水の動きもわかってくる

妨害してきたらそれも【パフォーマンス】に利用し
華麗なステップや宙返りで回避

手にはバトン状に小さくした★杖を持ち
すれ違いざま突然サイズを戻し
敵の眼鏡を狙って全力フルスイング

え、叩き割るつもりだったけど?

うるさいなぁ
いいから、反省、しろ!(銃弾ごと相殺する【指定UCの範囲攻撃】)


数宮・多喜
(一人称:アタシ、敵に対して:アンタ)

よっしゃ久々の水着解禁ー!
しかもサーフィンとか解ってるじゃねぇか!
ライダーである以上、波にも乗れなくてどうするってね!
自信満々で一気に沖まで繰り出すよ!

さっさとスタンダップして、一気に波を遡る。
飛んできたボールは『念動力』で軽くいなしつつ、
そのまま相手に投げ返すよ!
そうして注意をボールに『おびき寄せ』ている間に、
一気に波頭へポジショニング。
そこからダイナミックに『ジャンプ』して、
パフォーマンスを見せつけるよ!

滞空中にボールを投げつけられたら、
『衝撃波』で跳ね返し。
奴の近くに着水したと同時に
腹パンじみた【漢女の徹し】をぶち込むよ!
顔は避けたんだ、感謝しな!


羽堤・夏
アドリブ絡み歓迎
POW挑戦
『あたし・あんた・彼女・基本さん付け』

…んーとな。
あんたらより、近所のじいちゃんたちの方がイケメン?だったと思うぞ?
なんつーか…やってることがすっげー気持ち悪い!
だから防人のあたしがぶっとばーす!

【動物使い】でハムハムスクワッドに協力を求め
サーフボードに引っ付いてもらって…水かきでバランスをとってもらう。
一致団結、皆で波乗りさ!
これで波を鎮めながら【怪力】でバランスを抑えて一気にジャンプ!
飛んできたボールを【武器受け】【カウンター】拳で打ち返す!
ほーらバランス崩しちまえ―!

そうして低い位置に押し込んで、高所から大きくボードごと飛んでコード発動、あっつい拳骨受けてみろ!


ブルース・カルカロドン
アド・連携歓迎
口調:カタコト(『映画』以外の漢字はカタカナ)
『ボク・キミ・カレ・名前呼び捨て』

アトランティス、ハリウッドを戦場にした連中だっけ
手加減の必要はない、徹底的にやってしまおう

「さあ、サメ映画をハジめよう」

ボードに腹這いになって、敵にサーフィンで近づくよ
ボクはサメ映画に出演して、何度もサーファーを沈めてきた身
サーファーにサーフィンができるなら、サメにもできるさ

その後はあえて攻撃を受けて、ボードから落ちて相手の油断を誘う
波の中をこっそり【水泳】で泳いで足元に近づいて、巨大化してサーフボードもろともガブリ

イケメンだろうがなんだろうが、関係ない
死ぬときは死ぬのがサメ映画というものだからね


マリス・ステラ
「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る

ウェットスーツに身を包み髪を束ねてサーファースタイル

【風の通り道】を使用

「ヘーイ、僕のライティングはどうだーい?」
「ピッカー!」
「大波に立ち向かうばかりが勇気じゃないさ」

好き勝手な事を言っていますが、森の妖精達もサーフィン

攻撃をスリーシックスティーで回避
軽やかな波捌きで『存在感』を発揮
妖精達も軽快に波を鎮めるように

「妙に慣れていませんか?」

問いかけると、

「これは紳士の嗜みだよ、ベイビー」
「チュウー!」
「郷に入れば郷に従えさ」

好きにしてください
隙を見てエアリアルでトップに立つ
全身から放つ星の『属性攻撃』は重力の性質を帯びて敵を沈めます


ミア・ウィスタリア
イケメンは正義、確かにそうね。
でもぉ〜イケメンがぜぇぇぇったいに勝てないものって何か知ってる?
美少女よ!サーファー系セクシー美少女とか超アタシ向き案件だし、まとめてとっとと海の藻屑になりなさい!

際どいモノキニ着用。UCは海に入る時予め使用しておく。
わざとメガネイケメンから目立つ位置に陣取りボディラインをアピール(誘惑)
女は性奴隷なんでしょ?いいわ、どんどんちょうだいそういうの!
性欲どころか生命力まで根刮ぎ吸い尽くしてあげるから!

銃弾は勿論避けるけど、もし波の流れで良い感じに触れれるぐらいまで接近出来たら不意打ちでキスをして、その隙に眼鏡を奪い取るわ。
眼が3になったりしてね。3よ!?超ウケる〜!


オリヴィア・ローゼンタール
顔面が整っていることは悪行の免罪符足り得ません

水着に着替え、サーフボードに【オーラ防御】で水の加護を与える
波のうねりを【見切り】、鋭いターンや高いエアリアルを決めて大波を鎮める(存在感・パフォーマンス)
これだけ目立てばそろそろ現れますかね

ボールは聖槍で打ち返す(武器受け・カウンター)
中身の伴わない罵倒などそもそも聞き入れず(狂気耐性)、瓶は聖槍を【なぎ払った】際の【衝撃波】で粉砕し、ご自慢の顔に浴びせる
【属性攻撃】【全力魔法】【紅炎灼滅砲】で拳銃の弾丸を呑み込む
学校などない世界で育ったもので、お勉強はできませんが……その拳銃の弾より、私の破壊光線の方が多いというのは分かりますよ?


ティオレンシア・シーディア
『あたし・あなた・あいつ・○○クンorちゃんorさん』

わぁおわっかりやすいゲス野郎ども。
ブチのめすのに遠慮も躊躇もしなくていいから楽ねぇ。

サーフィン自体は初めてだけど、バランス感覚にはそこそこ自信あるのよねぇ。
波の流れを〇見切って○騎乗。○地形の利用の応用で○パフォーマンスに○ジャンプ組み合わせればいいかしらぁ?

クズどもの攻撃は○先制攻撃の●的殺で対処。
スタングレネードの〇投擲やイサ・ソーン・ニイドのルーンを刻んだ弾丸…妨害の手ならいくらでもあるわぁ。
あたし、早撃ち勝負ならそうそう負けたりしないわよぉ?

あたし魔道の類の才能絶無なんだけど…
どういう理屈なのかしらねぇ、このサーフィン魔法。



 海! 一面広がる青の水平から天高く立ち上がった大波の壁が、眩しい陽光の光を反射してキラキラと輝く。
 そして天災めいたビッグウェーブの頂点、横に広がったブルーウォールの中央には並び立つ三人の青年たち。サーフボードを足蹴にした彼らは三者三様の整った顔立ちに加え、水着にアロハシャツを羽織った姿だ。
 大波に乗る三人のうちど真ん中、クセのある黒髪に緑パーカーを羽織り、空色の海パンを履いた男が前髪をかき上げて精悍なスマイルを見せつけた。右手指先で回転させたビーチバレーのボールを右腕から肩へ通し左手の先に送り、手の平でつかんでポーズを決める!
「このフィールドは俺のカンバス! 流れる汗を絵の具の代わりに、スーパープレイの絵筆を振るう! スポーツイケメン、アスリートのアツシ!」
 左側! 長い金髪が潮風になびき、金糸を織ったアロハシャツが翻る。金粉めいた光を散らし、二人目が右手をうなじに当てた気障なポーズ!
「堕ちた女の数こそ勲章。乙女は俺を求めて金をはたく。この黄金よりも輝く美貌に夜も眠れぬ夢を魅て。高貴イケメン、純金のセイヤ」
 右側、押し上げられた眼鏡が太陽光にキラリと輝く。サーフボード上で一回転し、組んだ腕のうち片方を眼鏡に添えた男が鋭い眼光を飛ばした。
「君は果たして、僕の眼鏡に適う女か? レンズの奥に叡智の光。この目で女どもを見極める。眼鏡イケメン、探求のショウ」
『美の極致たる俺たちが、世の醜悪に裁きを下す! イケメン戦隊・ブサメンハンターズ!』
 SPLAAASH! 大波の左右がクジラめいて潮を噴き上げ、青空の下に虹を生み出す。
 遥か上空で繰り広げられた名乗りを見上げ、サーフボードに乗ったアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は、後方に向けた左手からジェット噴射しながらぼやいた。
「おーおー、今度の相手もまた強烈だな……」
 彼を挟んで両サイド、同じくサーフボードに乗ったツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)とヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)が頭痛を堪えるような顔で同意を示す。
「ああ、強烈なまでの阿呆じゃ。まったく……顔が良ければ何をしても許されるなら、余は今頃アルダワの女王になっておるわ」
「……こう心根が醜いと怒りも湧かん。いっそ憐れみすら感じるのう。……というか、ヒーローではないしヴィランとすら名乗れんレベルじゃろ……」
 そろって重い溜め息を吐く三人。その両サイドを幾条もの風が引き裂き、派手な水飛沫をぶちまける! ジェットスキーめいて海面を走る複数のサーフボードを乗りこなす猟兵たち。そのうち、丈の短いウェットスーツに水色のパーカーを羽織った数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は吹きつける風を全身に受けながら歓声を上げた。
「ヒャッホー! よっしゃ久々の水着解禁ー! しかもサーフィンとか解ってるじゃねぇか! ライダーである以上、波にも乗れなくてどうするってねぇ! そらっ!」
 押し寄せる超高波めがけ、SPLAAAAASH! 加速し、凄まじく急なビッグウェーブの坂を駆け上がってくる猟兵たち。彼女たちを見下ろし、眼鏡イケメンのショウは嘲笑的に鼻を鳴らして二人に話を振る。
「見たまえ二人とも。天下の猟兵様がまるでシャケのような有様じゃあないか」
「ははッ! 魚でも出来ることに必死になって、ダッセぇ! スポーツってもんをわかってねえな!」
「男も三人いるが……まぁ、失笑もののブサメンだ。読んで字の如く、足元にも及ばない。だが……」
 高貴イケメンのセイヤが、薄ら笑いを浮かべた唇を舌なめずりをする。
「悪くない女もいくらかいるな。ブサメンとイヌとサメは殺して、バカンスと行こうじゃないか」
「賛成だぜ、セイヤ! 早いもん勝ちだぜ? ショウもそれでいいだろ?」
「異論はない」
「っしゃあ!」
 スポーツイケメンのアツシがガッツポーズを決め、サーフボード上で半身になる。右腕と右足を突き出して伸ばし、左腕と左足を折り曲げて引き絞るスタイル! 似たような体勢を取る他の二人を一瞥したアツシは柳眉を逆立てた!
「ブサメンハンターズ、出撃だ! 行くぜ? ……スリー、ツー、ワン、GOッ!」
 SPLASH! 水を飛ばし、急勾配を直滑降するイケメントリオ! ロケットめいた速度で突っ込んで来る三人を見上げ、大津波を翔け上がる猟兵たちが一人、モンスターシャークのブルース・カルカロドン(全米が恐怖した史上最悪のモンスター・f21590)が大口を開けて咆哮!
「SHAAAAAAAARRRRRRRRK! ドーモ、ブサメンハンターズのミナさん。ブルース・カルカロドンです。さあ、サメ映画をハジめよう! レパル、サツエイカイシだ!」
「任せてちょうだい! レッツ・イェーガーズ・オン・エア―――っ!」
 ブルースの隣でレパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)が頬を膨らませて指笛を吹いた次の瞬間、彼女の真後ろで水柱が噴き上がった! 空に3×2の形で浮かぶ巨大なモニタが六枚、ヒョウ柄のプロペラ付きカメラが百台!
 ショウは眼鏡を押し上げ、浮遊カメラを見つめて爽やかに笑う。
「ほう、わざわざ僕らの雄姿を生放送してくれるのか。見目麗しい猟兵を犬のように這いつくばらせ、華麗な戦いに魅了された女どもを侍らせる。今夜の予定は決まったな」
 ショウが口角を吊り上げたまま、上着の裾を跳ね上げる! 水着の腰に巻きつけたベルト、そこに吊るしたホルスターから二丁拳銃を引き抜いて高所から銃撃! BRRRRRRRRRRR! マシンガンめいた速度で連射され、降り注いでくる銃弾を見上げた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は嫌悪に顔をしかめた。
「なるほど、最低ですね。見た目は良くても心がちょ―――ブサイクっ! ブサメンが人権得られないならあんた達もブサメンだからアウトだね!」
 両目を閉じて神経を両耳に集中! 斜め上から風切り音、足元から放射状に届く波の音。それらを聞き分けながら両足でサーフボードを操り、蛇行しながら急上昇! 途中で足元狙いの銃撃を跳躍スピン回避した澪は白翼を広げ、両目を開く!
「光あれ!」
 FLASH! 翼が発光し、数本のレーザービームを繰り出した! ショウはサーフボードごと跳躍して上下反転。華麗に一回転して真下へ銃口を向け、BRRRRRRRRR! 局所的豪雨めいた銃撃が空を仰ぐ澪を襲う! そこへサーフボードに乗って飛び出したオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)がインターラプト!
 銀髪をポニーテールにまとめ、白いビキニ姿となったオリヴィアは右手を頭上に伸ばした。赤熱する手の平!
「猛き炎よ、我が掌中に集い、万象を灰燼と化す破壊の奔流となれ!」
 CABOOOOOOOOM! 灼熱の光線が降り注ぐ弾丸をまとめて飲み込みショウへ一直線に迫る! 舌打ちしたショウは真後ろに発砲して加速し、灼熱の光線を置き去りにした。再度上下反転して津波の下方に着地。一回転し、上方の澪と並んだオリヴィアを見上げる。
「暑い夏に熱いビームか。そこはカクテルでも供して涼めるのが良い女というものなんだが?」
「失礼。学校などない世界で育ったもので」
 オリヴィアは澪とアイコンタクト。頷いた澪が身をひねってサーフボードの先を下に向けると共に、オリヴィアはレンズについた雫を指でぬぐい取った。
「お勉強はできませんが……まず、顔面が整っていることは悪行の免罪符足り得ないことは分かります。そしてもうひとつ」
 ショウのサーフボードが水めいた魔力をまとい、ビッグウェーブを駆け上がる! 彼に向けられたオリヴィアの手の平が再び赤光を放った!
「その拳銃の弾より、私の破壊光線の方が多いというのも分かりますよ?」
 BBBBBBBBOOOOOOOM! 高熱破壊光線が弾幕を張る! だがショウはサーフィン魔法の加護を受けたサーフボードを巧みに手繰り、上半身を素早く動かしてオリヴィアの光線を次々と回避していく。眼鏡の奥には余裕の表情!
「はっ。顔と体はいいが、頭は悪い。残念だが、趣味ではないな。射的の的になってもらおう!」
 乱射される光線の隙間を見切り、オリヴィアの脳天・喉笛・心臓・腹部を見据えて二丁拳銃を構えるショウ! その指が引き金を引く寸前、横合いから鳴り響いた銃声が彼の手から拳銃を弾いた!
 弾幕の外側、ショウの真横に追随したティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)が黒曜石じみた色彩のリボルバーを構えつつ糸目を開く!
「わぁお、わっかりやすいゲス野郎ども。ブチのめすのに遠慮も躊躇もしなくていいから楽ねぇ」
 弾倉を開いて排莢、逆の手に持った弾丸を素早く差し込んでリロード! ショウは舌打ちし、サーフボードごと宙返りした。弾かれた拳銃を空中でつかみ取り、サマーソルト回転しながら全方位掃射! オリヴィアの熱線とティオレンシアの銃撃をまとめて撃ち落とし、ショウは両足指でボードに食らいつく。足でサーフボードを振りかぶる!
「はッ!」
 THROW! サーフボードがジャベリンめいてティオレンシアの脳天へ飛んだ。ティオレンシアは流れるように上半身をのけ反らせて回避! 宙で身をひねったショウは体勢を立て直し、両足をティオレンシアの腹へ向け頭上に発砲! 流星じみた飛び蹴りだ! ティオレンシアは素早く上体を起こしてショウを見上げた。
「それで裏をかいたつもりかしらぁ? ざーんねんっ」
 ティオレンシアはガンベルトの裏腰から青い手榴弾を引き抜き、ショウへと放る。ショウは空中錐揉みを決め、手榴弾を明後日の方へ蹴り返して銃口をティオレンシアに突きつけた!
「その程度のカウンター、既に予測の範囲内だ。その足りない脳を吹き飛ばしてくれる」
「どうかしら。あたし、早撃ち勝負ならそうそう負けたりしないわよぉ?」
 笑うティオレンシアの手が閃いてBLAM! 弾かれた手榴弾が撃ち抜かれ、SMAAAAACK! 世界を白く染め上げる閃光と猛烈な爆音が膨れ上がった。両目を片腕で庇ったショウはドリルめいて回転しながらティオレンシアを飛び越え、彼女の後方に着水した自分のボードに落下!
「想定の範囲内だと言ったはずだ」
「あらそう? じゃあ後ろのその子も想定の範囲内かしらぁ?」
 直後、ショウの振り向きざま銃撃が横薙ぎの青いペイント線に跳ね返された! タブレット用ペンを手にしたミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)は、モノキニに押さえつけられたバストを揺らしながらペンを下段に振りかぶる!
「アタシ色に染まっちゃいなさい!」
「ふっ、お断りだ!」
 ショウは逆袈裟に描かれるピンクのラインを跳び下がり回避! ペン回しを決めたミアは虚空にペンを振り回して色とりどりの光弾を発射していく! さらにティオレンシアの銃撃で挟み撃ち。ショウは光弾を銃撃で撃ち落とし、サーフボードごと複雑軌道回転。弾丸を打ち払いつつ背後のティオレンシアの側頭部をサーフボード攻撃! ティオレンシアは屈み回避からの回転サイドキック!
「そぉれっ!」
 鋭い蹴りがショウのサーフボードを吹き飛ばす! プロペラ回転しながら飛ぶボードの上で、ショウは足元に銃をぶっ放し、反動で飛距離を稼いだ。ミアとティオレンシアの挟み撃ちから脱して着水する彼を橙色の光が照らす! オリヴィア!
「捉えました」
 BBBBBBBOOOOOOOM! 即座に襲い来る熱線の連射を、ショウはビッグウェーブを駆けのぼることで避ける。後方で爆発的に蒸発する海水! 真後ろに伸ばした腕の先、交互に火を噴く拳銃の勢いで加速し高波の頂上を目指すショウを、回り込んだ澪が真っ向から攻めかかった!
「勝負っ!」
「ノーエスケープか。面白い……!」
 ショウの輝く眼鏡が、澪の手に握られたバトンを確認。先端に星型のヘッドをつけたそれを振りかぶり、澪はためらうことなく直滑降! ショウは前傾姿勢で後方銃撃の手を緩めぬまま加速、加速、加速! 前門に澪、後門にオリヴィアの熱線!
「だがやはり君たちは馬鹿だ。この程度、乗り越えられぬ俺ではない!」
 澪とは既にワン・インチ距離! 澪は一瞬で巨大化した星型ヘッドの杖をフルスイングするも、ショウは流麗なブリッジで回避した。すれ違う一瞬、ショウは澪に得意満面の笑顔を向ける。
「顔面狙いとはセオリー通りな。俺の眼鏡でも割るつもりだったか?」
 ショウを見返る澪の横顔には敵意!
「え、叩き割るつもりだったけど?」
「ふん。テンプレート過ぎて吐き気がするな!」
 言い放ったショウは両手をサーフボードについてブレイクダンスめいた回転キックを繰り出した! 蹴り足が澪の背中に命中し、SMAAASH! 海に叩き込まれるオリヴィアの熱線へと吹っ飛ばす!
「仲間の熱線で焼かれるがいい!」
 オリヴィアが息を呑み、手を握って熱線掃射強制終了! だが既に放たれた光線が澪を焼却せんと飛んでいく。刹那、ティオレンシアがリボルバーの撃鉄を連打してファニングショット! 冴えた青色に輝く鉛弾は横合いからオリヴィアの熱線を次々と衝突・相殺してのけた。澪は無事だ!
「っとと!」
 上体を揺らしてサーフボードのバランスを取る澪。その真横を虹色の光芒を引いたミアがかすめ、澪の背中に二丁拳銃を構えるショウへと昇る!
「無駄無駄無駄よっ! そんな豆鉄砲、アタシに効くわけないじゃない!」
「それはどうかな?」
 片頬を吊り上げたショウは二丁拳銃の引き金を引いた。BRRRRRRRRRRRR! 星空じみたマズルフラッシュを見上げ、ミアは右手を振るって目前に五芒星を描く! 五芒星は虹色の星型バリアと化して銃弾を片っ端から跳ね返し始めた!
「イケメンは正義、確かにそうね。でもぉー……イケメンがぜぇぇぇったいに勝てないものって何か知ってる? 美少女よ! サーファー系セクシー美少女とか超アタシ向き案件だし、まとめてとっとと海の藻屑になりなさい!」
 時は数刻さかのぼってアツシ! 両手の甲に呼び出したバスケットボールを高速で回転させる彼の前には、ブルースと大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)! 飛沫を散らして突進してくる二者に、アツシは苦い笑みをこぼした。
「今日はツイてねえなぁ! 俺の相手は超ブサメンとサメ、後はブサイクばっかりとかさぁ!」
「何を言うのだ! 世の中重要なのは美形ではない! 個性なのだ! それを存分に教えてやるのだ!」
 次の瞬間、麗刃の顔面にバスケットボールが激突! ひっくり返って落水する麗刃に侮蔑的な笑みを浮かべたアツシはサーフボードから回転跳躍!
「ブサメンは沈んでな! 深海魚ぐらいなら友達になってくれるだろうよ! あとサメもだ!」
 上空からのダンクシュートが、身を反らして見上げるブルースの背中に突き刺さった。バランスを崩したブルースは横転し、落水! SPLAAASH!
「グワーッ!」
 悲鳴を後に残して沈むブルース。飛び込み前転で彼を飛び越えたアツシは、真下に滑り下りて来たサーフボードに着地! そこへ並をさかのぼりながら肩をグルグルと回す多喜が迫る! アツシは呆れたように溜め息を吐き、新たに召喚したバスケットボールを振りかぶった。
「だからさぁ、ブスはお呼びじゃないって言ってんだろ!」
「うるせえ! アタシはアンタ如きに値踏みされるほど、安い女じゃないんだよ!」
「そうかよ。なら死にな!」
 言い返す多喜にバスケットボール投擲! THROWWWWWW! ドリルの如き気流をまとって突撃してくるバスケットボールに多喜はオーラ揺蕩う片手をかざした。波紋めいた光を放つサイコキネシス!
「止まれっ!」
 多喜の命令を受けたバスケットボールは徐々に速度を緩め、虚空で停止。直後、アツシが空中停止したバスケットボールに回転ドロップキックを叩き込んだ! SMASH! 再加速したボールが多喜の顔面へ飛ぶ! 多喜はとっさの蹴り上げでバスケットボールを跳ね上げた!
「隙アリッ!」
 空中回転し体勢を立て直したアツシは腕を薙ぐようにして次のボールを投げ放った。円弧を描いたバスケットボールは途中で海面に落下し、コマじみた高速回転を経て多喜の腹へ飛翔!
「うおっ!?」
 両腕を振り回して体勢復帰せんとする多喜を襲う、ボディブローじみたバスケットボール! そこに羽堤・夏(防人たる向日葵娘・f19610)がインターラプト! サーフィンの勢いを乗せた鉄拳でボールを殴り、アツシの方へ打ち返す! アツシはサーフボードを横に向け、腰を落としてボールをキャッチ!
 アツシの手中で白煙を上げるボールを見ながら、夏はしかめっ面で告げる。
「……んーとな。あんたらより、近所のじいちゃんたちの方がイケメン? だったと思うぞ? なんつーか……やってることがすっげー気持ち悪い! だから防人のあたしがぶっとばーす!」
「はっ、こっちの台詞だブサイクその2! その首にチェーン巻いてジェットスキーで引きずりまわしてやるよ!」
 受け止めたボールを再度振りかぶるアツシ! その背後上方、水の壁をぶち破ってサーフボードに乗った麗刃が飛び出した。振り返るアツシに、麗刃は大口を開けて大笑!
「うはははははははははは! 落ちたと思った? 残念! 演出なのだ! 必殺の秘技!」
 二刀を振り上げた麗刃の髪が逆立ち、黄金色の輝きが全身を包む。弓なりに背中を反らせた麗刃の刀が同色のオーラをまとって燃え上がった!
「く、くれ……くれ……みかづきィッ!」
 SLAAASH! 二条の三日月型剣閃! 回転跳躍回避するアツシの真下、高波の表面が爆発して巨大化したブルースが顔を出した。地獄門めいて開く大口!
「SHAAAAAAAARRRRRRRRK! イケメンだろうがなんだろうがカンケーない。シぬときはシぬのがサメ映画というものだからね!」
「バカかお前! 殺られるのがイケメンならなぁ!」
 海水を飲み干して噛みかかるブルースの牙がアツシを粉砕しにかかる! だがアツシはボールをブルースの体内へ投げた。軌道上には、彼が海水ごと飲み下さんとするアツシのサーフボードだ!
「化けモンぶちのめすのもイケメンって、相場が決まってんだよッ!」
 高速回転するボールがサーフボードのど真ん中に衝突し、タケトンボじみた回転を生む! サメの上下顎に突き刺さったボードが咀嚼を阻止! 咬合を逃れたアツシはブルースの口内へ落下し、サーフボードに着地、しなる板を蹴って再跳躍して脱出した!
「SHAAAAAAAARRRRRRRRK! タノんだレパル!」
 顎力でサーフボードを砕いたブルースは頭を高波に突っ込ませた。その背中を疾駆したレパルが、虚空に投げ出されたアツシへとジャンプ! 握った両拳に陽炎じみたオーラが燃える!
「食らいなさい! イェーガーレパル・チーターヒーット!」
「ったく、今度は獣か!」
 舌打ちしたアツシは空中でボクサースタイルを取り、神速左ジャブラッシュを繰り出す! レパルが飛ばす両手のラッシュと激突し、空中に細かな衝撃波を乱舞させた。
「でりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃっ!」
「うらああああああああああああああああッ!」
 超高速滞空連打の応酬! レパルの二本腕をフル回転させた連撃を左拳ひとつでいなしきったアツシは、一瞬の隙を突いてレパルの鼻を殴打!
「うきゅっ!?」
 レパルが思わずのけ反り、連打を止めた。アツシの右ストレートがレパルの喉笛に、SMASH!
「うぎゅううううっ!」
「まだまだ! いいかワン公、パンチってのはなぁ!」
 アツシは左腕を腰だめに引き絞り、渾身のアッパーを振り上げる!
「こうやって打つんだよ!」
 SMAAASH! レパルの顎を殴り上げたアツシは、無防備になった胴体に前蹴りを叩き込んでふっ飛ばした。その先には波頭を目指す多喜と夏! 飛来するレパルに振り返った多喜はサーフボードごと反転!
「先行きな!」
「おうっ! 頼むぜみんな!」
 夏のボードにくっついたハムスターたちが必死の形相でバタ足を繰り返す。夏を背にした多喜が両手をかざし、青白いサイキックの波紋で障壁を展開! アツシが連投した大量のバスケットボールが連続激突するも押しとどめる!
「おおおおおおおッ! 通さないよッ!」
 一際早いバスケットボール投擲が障壁にストライクしSMASH! 両手の平を押し下げられる感触を奥歯を噛んで耐える多喜。その右隣を人影が突破した。とっさに振り向く多喜の後方、海面に刺さる大量のボールの上を素早く飛び移りながらアツシが昇る! そして夏の進行方向に滑り込んだ!
「行かせるかよッ!」
「いいや、通るっ! みんな、力を貸してくれっ!」
『キュ――――――ン!』
 ハムスターたちが一斉に鳴き、バタ足を速める。夏は右腕を引き絞り、アツシが投げつけたバスケットボールを鉄拳迎撃! 回転するボールの硬い表皮に肌を削り取られながらも、夏は腕を振り切ってボールを打ち返した!
「よっと!」
 アツシは返されたボールをかかと落としで海面に落とし、その上に乗る。足蹴にされたボールは水の如きオーラをまとい、アツシを支えた。型破りのサーフィン魔法! 夏は思わず舌を巻く。
「それがボード代わりかよッ……! 無茶苦茶だぜ!」
「無茶? なんにも無茶じゃねえ!」
 言いながら、アツシは両手に呼び出したバスケットボールを高速で連投! 連投! 連投! 夏は左右の拳を一心不乱に振るって防御するが、ボールのひとつが彼女の右脇腹を大きく抉り取った!
「ぐぅっ!」
 呻きながらも奥歯を噛みしめ、夏はひたすらに連打でバスケットボールを打ち返す。必死になってボードを支えるハムスターたち! アツシは流星群じみてボールを投げ続けながら狂喜に両目を光らせる!
「ははははははッ! 見たか! 天は人に二物も三物も与える。俺にはスポーツの才能、そしてハンサム顔に加えてサーフィン魔法ッ! お前たちは付け焼刃で習得したっぽいけど、その程度で俺の上を行こうってのは無謀じゃあないか!? 俺はとっくにサーフィン魔法を極めてる! 月とスッポンの実力差があるんだよ! 俺が月でお前たちがスッポンだァッ!」
「なるほど、やはりそうですか」
 冷静な声はアツシの背後上空からだ! ボールを投げつつ肩越しに振り向いたアツシの目に、逆光を受けた黒い人影が飛び込む。
 それは波頭に立つナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)! 黒い革ベルトで締め付けたモノクロームの上着に、ドクロ柄の海パン姿の彼はサーフボードもろとも漆黒のオーラを身にまとった。
「如何にもサーフィン得意そうな顔だと思っていたんですよね。偏見ではありますが」
 ナギの背中から噴き出すドス黒い肉と骨の塊が主の両腕に絡みつき、ガトリングガンの形を為した。空洞の骨で作られた銃口をアツシに向けると、不気味な水音を立てながら肉のバレルが高速回転し始める! 薬物の影響で血走った両目が邪悪にまたたいた。
「けれどそれもこれまでだ。海の藻屑と消えてしまえ!」
 GRRRRRRRRRRRRR! 暗黒の奔流がアツシの背中めがけて放たれる! アツシは前後反転しながらバスケットボール三つを投げた。高速横回転する三つの硬球は着水するなり渦潮を巻き上げてナギの掃射をガード! 指骨じみた銃弾を絡める激流を飛び越え、アツシはナギに飛び蹴り!
「そらよッ!」
 ナギは掃射を止め、骨肉のガトリング腕をクロスしてキックを防いだ。両足とボードを繋ぐ黒いオーラが膨らみ、波頭から吹き飛ばさんとする蹴りのインパクトに耐える! 四肢に闇を注ぎ込みながら、ナギは強く念を練り上げていく!
(波よ鎮まれ。凪となるのだ)
 ZZZZOOOOOOOM……! 重低音を立て、緩慢に背丈を縮め始めるビッグウェーブ。アツシを打ち払ったナギは再度銃口を突き出しながら言い放つ! 彼の背中がまたしても骨のトゲを無数に生やした肉塊を生成し、四つの生体ガトリング腕を作り出した!
「あいにくと、付け焼刃のサーフィン魔法で十分なんだ……この事件を収める分には!」
 GGGLLLLLRRRRRRRRRRRR! 六門のガトリングガンがナギの前方全てをカバーするように黒の弾丸奔流をまき散らした! 高貴イケメンのセイヤはその内に二本を華麗なサーフィンテクニックで掻い潜り、悠然と微笑みながら上着の左肩を右手でつかんだ。
「ハッ、流石ブサメン。優美さの欠片もない攻撃だ」
 勢いよく上着を脱ぎ捨てたセイヤの全身に、黄色い女性のゴーストが複数まとわりついて凝縮! 閃光を放ち、一瞬にして黄金の鎧と化す!
「特別に見せてやる。イケメンの美しき戦いというものをな」
 突き出したセイヤの両手の平が炭酸飲料めいて泡立ち、黄金色の水流を発射! SPLAAAAASH! 高所から押し寄せる硫酸を見上げたマリス・ステラ(星を宿す者・f03202)の星型の瞳が片方光った。
「主よ、憐れみたまえ」
 ウェットスーツを着用し、長い金髪をポニーテールにまとめたマリスの周囲がFLASH! 一瞬の光が消えたそこには水着を着てサーフィンするリスやモモンガ、ネズミ! 小さなサーファーたちが口々に騒ぎ始める。
「ヘーイ、僕のライティングはどうだーい?」
「ピッカー!」
「大波に立ち向かうばかりが勇気じゃないさ。じゃ、露払いよろしく」
 押し寄せる硫酸を前に、マリスの背後に隠れる小動物たち。小さく溜め息を吐いたマリスは、左手を前にかざして小さく唱えた。
「我思う、故に我あり」
 マリスの瞳が輝きを増し、彼女の全身を光輝で包む! 刹那、マリスの左掌を中心に黄金色の光がバリアめいて開き硫酸の放水を真正面から受け止めた! SPLAAAAASH! きらきらと酸の飛沫を散らしながら激流を昇るマリスの真上に、金色に塗り固められたサーフボードが飛び出す!
 セイヤとマリスの視線が交錯した次の瞬間、セイヤの前方から飛来する紅蓮の極光! 真紅の全身アーマーをまとったアーサーが燃える左拳を振りかぶって飛翔したのだ! 彼のベルトから機械音声!
『Select……BURN ACTION!』
「プロミネンス・インパクトぉぉぉぉぉぉぉッ!」
 繰り出される業火のパンチを、セイヤは腰のひねりを加えた右フックで迎え撃った。CRAAASH! 空を焼く赤と金の二色! 拳と拳で競り合いながら、セイヤは余裕且つ挑発的に微笑む。
「こっちはヒーロー気取りのブサメンか。顔を隠しているあたり、自分の顔の出来くらいは理解できていると見える」
「そっちこそ、そんなブサイク面で戦隊を名乗るのは諸先輩方に失礼ってもんだ、ぜッ!」
 アーサーが拳を押し込み、振り切る! SMASH! わずか後方に跳ね飛ばされたセイヤはサーフボードごとなんなく着水。そこへアーサーの急降下右ストレートが襲撃をかけた!
「はァッ!」
「ふっ……」
 意味深に笑んだセイヤは片腕を掲げてアーサーの鉄拳をガード! 反動で下がったアーサーはアーマー背面から炎を噴射し、セイヤへ高速最接近! 黄金ガントレットの両手を固めた彼に真っ直ぐ殴りかかった! セイヤのジャブにより相殺されると同時、二者は高速拳打の応酬を開始!
「ハハハハハハハハ! この俺をブサメンと言い張るか! そういうことは、自分の顔を晒してから言えッ!」
 顔面狙いの一撃を右裏拳で押しのけたセイヤがアーサーの鼻面に拳を繰り出す! 黄金のパンチはアーサーの頬を掠め、彼のフルフェイスヘルムから白煙を上げさせた。セイヤはアーサーのクロスカウンターを身を反らして回避! 追撃の蹴り上げを左手で受ける! 肉を焼くような音!
「ちっ!」
 アーサーは蹴り足を引っ込め、もう一度ラッシュを仕掛けた。同じくラッシュで迎え撃つセイヤ! 二人の拳がぶつかり合うたび、アーサーの拳が白い煙を上げ黒く変色・表面を融解させ始めた。
「クソッ、その鎧も硫酸かよッ! 女がどうとか言いながら女の力に守られてるっつーのも考え物だな!?」
「負け惜しみは女の一人や二人落としてから言いたまえよ、ヒーロー君? 俺の女たちが、こぞって俺を守るのさ。イケメンだからな!」
 アーサーの左ブロウを紙一重でかわし、セイヤは連続ジャブをアーマーの胴体に叩き込む! 命中するたびに飛び散る金色の雫。さらに溶けかかったアーマーの鳩尾に右拳で抉る!
「ぐっ……!」
 SMAAASH! 殴り飛ばされ大きく後退するアーサー! セイヤは突き出した両手の平から硫酸を放射した。アーサーは前傾姿勢を取り、両腕で頭を庇う。直後、彼の目の前で水の壁が噴き上がり、硫酸の波をシャットアウト! 片眉を吊り上げるセイヤの後ろに回り込むツェリスカ!
「全く、口を開けば二言目にはイケメンだのと女だのと……内面の釣り合わぬ美貌など、ただの虚影に過ぎんと教えてやる」
 手にした分厚い魔導書がひとりでにめくられ、マリンブルーの光を放つ! ページに栞を挟んだツェリスカは振り上げた手に大型の魔法陣を開いた。中央から広がった平たい渦が魔法陣をオーバーライド!
「荒ぶるは嵐の波浪! 真言轟く神威の大海!」
 ツェリスカがホイールソーじみた渦を投擲! セイヤはクラウチングスタートめいた低姿勢から両手を真後ろに向け、硫酸を噴出してブーストダッシュを決めた。彼の数ミリ頭上を突き抜ける水の丸鋸! セイヤは右手を前に引き戻し、かぎ爪じみて折り曲げる。ツェリスカは栞を引き抜いた!
「剣よ!」
 刹那、セイヤが猛スピードでツェリスカの真横を突破した! SCRATCH! セイヤの後方で、ツェリスカの手中に現れた大剣が腹部分を引き裂かれて溶解。ツェリスカ自身は無傷だ! つまらなそうに鼻を鳴らしたセイヤは気を取り直して面を上げる。次なる狙いは波頭へ向かうマリス!
「なかなか好みのルックスだったが、残念だ。その顔を溶かさなきゃいけなくなるというのは!」
 右手指を銃の形にし、指先から硫酸弾を撃ち出す! マリスの後頭部めがけて飛翔する二条の黄金線。その前に飛び込んだヨナルデが黒曜石の戦斧を振り回して雫を払った! 再度戦斧を薙いで放った暴風がセイヤを襲う! BLOWWWWWWW! セイヤのボードが急減速!
「っと、これは……」
「ツェリスカ、アーサー! 波は制する。こやつは任せるぞ!」
 暴風の反動でビッグウェーブの上部へ流されていくヨナルデを見上げ、ツェリスカは海面に手を触れる。一瞬海面に現れる魔法陣!
「任された。征け!」
 ツェリスカの周囲が爆ぜSPLASH! 撃ち出された水の槍が八本、押し流されるセイヤを貫かんとする! セイヤは右手首から硫酸を噴射しながらの裏拳でこれらを打ち払い、左手から黄金放水! ツェリスカは海面に押し当てた指に力を込め、水の壁を生み出して防御!
「囲え!」
 ツェリスカが命ずると同時、水の壁左右がカーテンめいてセイヤを円形に囲い込む。空を見上げるセイヤの視界に、大型機械砲を携えて宙を舞うアーサー!
『Select……BURST ACTION!』
「レイシューター・フルバーストッ!」
 極太の光線が水の包囲網に突っ込み、CABOOOOOOOOM! 派手な爆発と水蒸気を吹き上げた。津波の表面を這いあがるスチームから顔を庇ったヨナルデは、衝撃波を放ってサーフボードを加速。波頭めがけて一直線に翔け上がる彼女の首がガクンと引き寄せられた!
「ぐぁッ!? なっ……!」
 目を剥くヨナルデの耳元に、ぼそぼそとした怨嗟が響いた。彼女の首を後ろから捉えたのは黄色い女ゴースト! 水蒸気の奥へと伸びた亡霊の胴体に引っ張り出されたのはセイヤ! ワイヤーアクションめいてヨナルデに迫る!
「おおっと、女の癖に俺をスルーするのか? 頂けないな」
「三下め……!」
 ヨナルデは握った黒曜石の戦斧を振るいゴーストを切断殺! 幽霊の牽引を失ったセイヤはさして気にも留めず泡立つ両手を握りしめ、鋭いシャドーボクシングを連続で打つ! 飛び交う硫酸の雫弾!
「ふんッ!」
 ヨナルデは戦斧をプロペラめいて振り回して突き出し、硫酸弾をまとめて防ぐ。勢いのままに波を駆け上がったセイヤは、回転する斧の中央めがけて華麗な飛び蹴りを繰り出した! SMASH! 戦斧を弾き飛ばし、そのまま逆の足でヨナルデの胸を蹴り上げに行く! ヨナルデは辛うじて腕を差し込む! 硫酸が彼女の腕を焼く音!
「悪い子には、お仕置きしなくちゃあな」
「よう吠える……! 女を軽んじ、独善のままに男を駆逐して恥じぬその態度! 今に天誅を下してくれる!」
「やってみればいい。女の身で、出来るならな!」
 セイヤが蹴り足を振り上げ、ヨナルデを上空へ吹き飛ばした! 状況判断したナギはすかさず三本のガトリング射線をセイヤに集中! 襲い来る黒い奔流を、セイヤはターンジャンプからの着地、前後開脚で潜り抜ける! 上空に放り出されたヨナルデは、海面を離れて回る自分のサーフボードに手をかざした。
「侮るな! 妾と対なす者、戦友にして好敵手にして兄妹だった者! 神である事に囚われ壊れ妾が過去へと送った伴侶! 翼ある蛇よ!」
 ヨナルデの手の平とサーフボードが翡翠色に発光! ボードの表面を黒曜石の鱗が覆い尽くし、左右に白い翼を広げる。ヨナルデのサーフボードはひとりでに羽ばたくと戦闘機の如く飛翔! 空中で急なカーブを描き、ヨナルデの足元に舞い戻った!
「一息に行くぞ。今日一時の相方ではある。じゃが今はその力を貸してもらう!」
 ヨナルデの声に応じて力強く羽ばたくボード! すぐさま津波の海面にハードランディングし、そのまま波頭を駆け上がり飛ぶ! 散った水飛沫が陽光を反射し、ヨナルデの周囲でまたたいた。セイヤは大きく背を逸らしてナギの弾幕を避け、叫ぶ!
「ショウ! 頂上に陣取るブサメンと緑髪のチンチクリンをやれ!」
「世話の焼けることだな、セイヤ!」
 遠くセイヤの声を受けたショウはジグザグ軌道を描いてビッグウェーブを駆け上がる! その左右を挟むミアと澪! ミアは両二の腕でバストを挟み、挑発的に強調!
「あららー? こんな美少女を捨て置いて、一体どこに行くつもり?」
「悪いが、日常茶飯事なのでね。そして幼女は趣味ではない。有名大学を飛び級してから出直してきたまえ」
 ショウが眼鏡を押し上げた直後、澪が星型ステッキで横一閃! ブリッジ回避したショウが繰り出すブレイクダンスめいた回転キックを二人はわずかに距離を取って避け、ミアがタブレット用ペンの先からピンクの光弾を撃つ! ショウは前転跳躍回避! 着地した彼の後頭部に澪がステッキで殴りかかった!
「やああああああッ!」
「甘い!」
 サーフボード上で前転しかわすショウ! 跳ね上がった銃口が澪のこめかみにBLAM! 背を逸らした澪の額に弾丸が横一文字の傷をつけた。ショウは後方水面に銃撃した反動で飛び膝蹴り! 澪はとっさの肘撃ちでこれを相殺! その隙にミアがペンを逆袈裟に振るう。
「それ、ズバァーッと!」
 ショウは蹴り足を引っ込めてジャンプ。彼の足元を不可視の剣閃が走る! 浮き上がったショウを狙うナギの有機ガトリングガン!
「隙アリです。食らえ……!」
「機関銃と撃ち合いとはな」
 GRRRRRRRRRRRR! BLAMBLAMBLAM! 互いの銃口から噴出する弾丸たち! ヨナルデは空中で身をひねって銃撃を回避。そのまま大きく息を吸い、真っ黒い煙をショウに向かって吹きかけた! BFOOOOOOOOM!
「一旦退くわよっ!」
「んっ!」
 ミアと澪がショウから離れた直後、彼が黒い霧に包まれる! ショウは手団扇を振るも煙は晴れぬ! 刹那、ショウの左ももに痛みが走った!
「ぐぉッ!」
 サーフボードに膝を突いたショウの左ももが抉られて血を吹いた。眼鏡の光が彼の瞳を覆い尽くす。感情の読めぬ表情で、ショウは後方に銃をぶっ放した! サーフボードが加速し、煙を突っ切って波頭から空へ躍り出る! 刹那、ショウの真後ろから飛び出すもうひとつの影! 煙を斬り裂いたミアはショウの背中を一気に急襲。そのまま振り向きかける彼のうなじにキスをし、眼鏡を剥ぎ取った!
「ぬおッ!?」
「あはははは! もーらいっ!」
 無邪気に笑ったミアがショウを追い越す。彼女の体に渦巻く桃色の霧がショウにもまとわりつき、甘ったるい匂いで鼻孔を強制的に麻痺させた。顔を手で押さえるショウ。その遥か後方で、ティオレンシアはオリヴィアに何かを放る!
「オリヴィアちゃん、これ」
 オリヴィアがティオレンシアから投げ渡された物体をつかむ。それはルーン文字が刻まれた銃弾! 魔弾を強く握り込んだオリヴィアの手の甲に、青白く縦一直線のラインが走った。氷を意味するイスのルーン!
「思いっきり使っちゃっていいわぁ。あのゲス野郎に目にモノ見せてやりましょう?」
「わかりました。ティオレンシアさん、お借りしますっ!」
 オリヴィアは毅然たる眼光を輝かせると、白翼を広げて急加速! ルーン文字の浮いた手で水面を引っかきながら、見上げる先は霧散した煙の向こうで宙を舞うショウ!
「顕現せよ、氷の絶対牢獄。時すらも凍てつかせる永劫の縛鎖となれ!」
 オリヴィアは白い冷気を噴出させた手を下段から振り抜く! そこから海面が放射状に白く染まって瞬間凍結! 一直線に波頭に走った冷気は跳ね飛んだ水飛沫をも氷河へと変え、ショウのサーフボードを絡めとる。食品サンプルめいて空中に固定! 顔をぬぐうようにコンタクトへ切り替えたしたショウは瞬時に状況判断! 前後反転し、サーフボードから氷河を低姿勢ダッシュで駆け下りる!
「腹立たしい。このような子供だましに後れを取るとは!」
 疾走しながらオリヴィアへ二丁拳銃を乱射! だが割り込んだティオレンシアが銃を撃ち返して反撃し、弾丸を片っ端から撃ち落として行く!
「言わなかったかしら? あたし、早撃ち勝負には自信があるの。それともうひとつ」
 BLAM! ティオレンシアの銃撃がショウの足元に突き刺さり、新たなルーン文字を刻み込む! 縦一本の線に斜めの線。停滞を示すルーン・ニイドの紋章が光輝き、ショウを動画じみて強制停止! 妖しい微笑みを浮かべるティオレンシア。薄く開かれた彼女の目には、ショウを照らす眩い白光と天突くブリザードの大竜巻が映り込んだ! 澪とヨナルデ!
「幼女がどうとか大学がどうとか……うるさいなぁ! いいから、反省、しろぉっ!」
「まずはお主からじゃ。安心するが良い。あとの二人もすぐ向かうッ!」
 大きく広がった澪の翼が白炎に燃え、羽ばたくと同時に白いフェニックスを解き放つ! 対するヨナルデは吹雪をまとった黒い戦斧を振り下ろした! BOOOOOOOOOM! 二重螺旋を描く吹雪の大竜巻と白炎の不死鳥が動きを止められたショウの背中へと襲いかかり、諸共に大爆轟を引き起こした! 凄まじい熱気と冷気が一緒くたになって広がった。ミアが滞空する二人の背中にサムズアップ!
「グッジョーブ! ぷふっ!」
 片手につまんだ眼鏡を揺らし、噴き出すミア。脳裏には、3字型の目になったショウの顔が映っていた。他方、白い爆発を横目にしたセイヤは目を見開く!
「おいおい……やられちまったのか? ショウ」
 嘆息するセイヤはサーフボードごとバク宙! その目前を水の剣閃が突っ切り、津波の頂点を斬り抜いた。大剣を携えたツェリスカが獄炎をジェット噴射しながら迫る!
「お仲間は一人やられたようじゃな。次は汝の番よ! 数多の者を軽んじるその厚顔、この場で焼き払ってくれる!」
「気の強い女は嫌いじゃないが……今は鬱陶しいな!」
 目をギラつかせたセイヤがツェリスカに硫酸を放出した! ツェリスカは水面に大剣を走らせ、斬り上げで水を巻き上げる! 金色の放水を防御し、合図!
「アーサー!」
「ああ」
 前後反転するツェリスカとバトンタッチしたアーサーが、セイヤに特攻をしかける! セイヤは両腕を交叉し、勢いつけて開いて再放水! 蛇行サーフで潜り抜けるアーサーの装甲やサーフボードに強酸の飛沫がかかり、煙を上げた。
「まだ理解できていないのか。お前に俺は殴れないと!」
「別に、殴れないわけじゃないけどな……霊になったとはいえ、弄ばれた女性達には罪はねぇ。お前一人をぶっ飛ばせば済むって話だ」
「ふっ、無理な相談だ」
「どうだかな」
 きらりと光るアーサーのアイシールド。次の瞬間、空を斜めに引き裂いた光芒がセイヤの脛を打ち鎧を破壊! 体勢を崩し、目を見開くセイヤを見下ろしたマリスが光の弓を引く! 星の瞳はツェリスカを見据えていた。
「決めます」
「わかった」
 ツェリスカが大剣を海面へと突き刺すと、その地点を中心に魔法陣が大きく広がる! ツェリスカは火の粉めいた光を散らし、赤光を腕から剣へと流し込んだ!
「昂ぶるは雌竜の栞! 猛り狂える魔導の嵐! 顕現せよ、ヴェルトツァウバー・ヴィーヴル!」
 刹那、魔法陣を中心に青白い大竜巻が広がった! 吹き荒ぶ魔力の暴風がビッグウェーブをさざ波だたせ、かき混ぜ、荒れ狂わせる! 激しくうねる水面はセイヤを捕らえて体勢を崩させ、波頭に立つマリスを天へ跳ね上げた! マリスを追って吹き上げる青の奔流に小動物たちがサーフ!
「……あなたち、妙に慣れていませんか?」
「これは紳士の嗜みだよ、ベイビー」
「チュウー!」
「郷に入れば郷に従えさ」
「好きにしてください」
 投げ槍に答えたマリスは激しく回転! 反射的に放たれるセイヤの硫酸弾をスリーシックスティーでかわし、光の矢を彼に引いた。
「主はあなたと共に。寝所に花を敷き詰め、眠るように祈り、導きたまえ。かの者達を安住の地へ」
 SHOOOOOT! 祈りの詠唱と共に撃ち出された星の輝きが、セイヤの胸元を捕らえて鎧を粉砕! 元の水着姿へ引き戻す!
「なん……だと……!?」
「これでよし、ですね」
 後ろ髪を払うマリス。一方セイヤの全身が重量を増し、動きを止めた。その背に肉迫するアーサー!
『Select……COUNT ACTION! 3……2……1……!』
「骸の海の向こう側まで……ぶっ飛べええええッ!」
 振り返りかけたセイヤの横ヅラに、SMAAAAAAASH! 音速を超えた鉄拳が撃ち込まれ、彼を空へと吹き飛ばす! 顔半分の骨を粉砕されたセイヤは青空の彼方へと飛び、爆発四散! アツシが思わず目を剥いた!
「セイヤああああああああああッ!」
 SPLAAAAASH! アツシの目前で波しぶきが立つ! 飛び出したブルースの頭上で麗刃が回転!
「ふはははははははははは! サメ映画奥義、三日月サメぇぇぇぇぇぇッ!」
 乱射される三日月型の斬撃がアツシを襲う! アツシは無理矢理理性を取り戻し、バスケットボールを連投して斬撃を相殺! だが止まらず波を駆け下りて迫るブルースが大口を開く!
「イケメンはシなないってアレはウソさ。このウミがキミのオブツダンだ!」
「ふざけろ!」
 アツシは下段からボールを投げ上げブルースの鼻面を打ち据える! のけ反ったブルースは、しかしヘッドバンギングめいて噛みつき海面をぶったたいた! SPLASH! 跳ね上げられた水飛沫とともにアツシが浮遊! そこへ麗刃の飛び蹴り!
「でいりゃあああああああッ!」
「ごはッ!」
 砲弾めいて吹き飛ぶアツシを見、ブルースは空へと吠えた! 追撃の合図だ!
「タキ! ナツ! レパル! イマだッ!」
 空にサンサンと輝く太陽に三つの黒点! 徐々に大きくなるそれは―――ブルースに呼ばれた三人だ! 波頭から跳躍した彼女たちはサーフボードを蹴って二段ジャンプ、そこから急降下パンチを仕掛ける! 先行したのは翼を広げる夏! 引き絞った拳が太陽めいて燃え上がる!
「行くぜ! あっつい拳骨、受けてみろおおおおおおおッ!」
 隕石じみた一撃が空を見上げるアツシの顔面に、SMAAASH! めり込んだ顔面から炎が膨らみ、小爆発を引き起こした。顔から黒煙を上げて落下する彼の真下を駆け抜けた多喜は、前後反転して掌底を引き絞る。陽炎めいたサイキックオーラをまとう手!
「海! といえばサーフィンもあっけど……ビーチバレーもかかせないよなっとぉッ!」
 真っ直ぐ斜め上に撃ち出された掌底がアツシの背骨を無惨に粉砕! そのまま斜めに吹き飛ばされたアツシに迫る第三手! レパルは空中前転から飛び蹴りを繰り出した! 蹴り足が獅子の頭部をかたどり、虹の波の上を滑って一気に急降下!
「青角馬之進路……からのっ! レパル・カミカゼキーック!」
 虹色の流星と化したレパルがアツシと虚空ですれ違う! 胴体に風穴を開けられたアツシは、爆破された顔面から断末魔も上げられないまま爆発四散! 爆風が津波の表面を撫でると同時に、ビッグウェーブがしぼんでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月13日


挿絵イラスト