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闇の中に消える

#UDCアース

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#UDCアース


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 昔、とあるショッピングセンターで、一人の女の子が行方不明になりました。
 両親も、警察も、ショッピングセンターの中をくまなく探しましたが、いくら探しても、女の子は見つかりませんでした。
 結局、女の子は見つからないまま、次第に忘れられていきました。

 それからしばらくして、ショッピングセンターは閉鎖されてしまいました。
 もう、女の子を探しに来る人はいません。両親も、警察も、もうここには来ません。
 ですが、本当は、女の子はずっと待っているのです。
 誰もいないショッピングセンターの中で、誰かが自分を見つけてくれるのを。

●闇へと消える
「皆様、お仕事ですわよ……っ」
 ぶるる、と一瞬震えてから、エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)が語りだした。
「今回の世界はUDCアース。日本という国が舞台になっていますわ」
 場所は関東北部のショッピングセンター。そこで、とある噂を聞きつけて忍び込んだ人間が、行方不明になっているという。
「その噂というのは、女の子の失踪事件がもとになっているんですの」
 一年ほど前に、事件の発生したショッピングセンターの中で、突如女の子が失踪する事件が発生した。その女の子は結局いまだに見つかっておらず、事件は謎のまま、ニュースを賑わすことも無くなっていた。
 だが、数か月前に、現場となったショッピングモールが経営不振の為閉鎖されてから、とある噂が立ち始めた。
「なんでも、女の子は実は既に死んでしまっていて、今も死体がショッピングセンターの中で、誰かに見つけられるのを待っている……っていうんですの!」
 そう語ったエリルが再度身体を震わせた。
「その噂を聞きつけて、肝試しっていうので敷地に忍び込んだ若者達が、失踪してるというわけですわね」
 この失踪事件には、当然UDCが絡んでいるのだとエリルは説明をつづけた。
「今回の噂……原因を突き止めれば、おのずと問題のUDCにも辿り着くはずですわ。そうなればもう、あとは怖くありませんわね! だって見つけたUDCを倒せばいいだけですもの! そうでしょう?」
 同意を求めるようにエリルが詰め寄った。
「さぁ、皆さま、いってらっしゃいまし! 気味の悪い事件も噂も、ぜーんぶはっきりさせちゃえば、怖いものなんてありませんわ! だから、頑張ってくるんですわよー!」
 そう言ってエリルのグリモアが輝いた。


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 今回の舞台はUCDアース。若干ダークでホラーな雰囲気を含んだ物語を、ぜひお楽しみください。
 今回は調査からのスタートとなります。オープニングで語られる通り、失踪事件を調べていくことで、今回の黒幕であるUDCに辿り着くことでしょう。
 皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『噂の深層』

POW   :    現場を虱潰しに調査し、情報収集を行います。

SPD   :    目撃情報の提供者などから詳しい話を聞き、情報の収集を行います。

WIZ   :    新聞・書籍・ネットなどの情報媒体から、情報の収集を行います。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エレクトゥス・レヴィン
行方不明の少女ねぇ……地道な調査って柄じゃあないんだが、これもUDC撃破の為か。
……今行くから、待ってろよ。

ひとまずは現場検証だな、UDCの正体や居場所に繋がる痕跡が無いか、虱潰しに確認していく。
奥に続く道や封鎖された場所なんかを見つけたら、「鍵開け」とかを使って念入りに調査するが、深入りしすぎないように注意しないと。

それと、当時の現場で女の子が好みそうな店舗やコーナーがあった場所を見つけたら、そこも重点的に調べてみるか。


アリア・ヴェルフォード
あくまで噂話ですが、もし本当に待っているのなら見つけ出してあげないといけませんね・・・たとえそれが死体であっても

【POW】
とにかくまず行ってみないことにはわかりませんね!
現場のショッピングモールに行ってみましょうか!
普通に探しても女の子じゃない何かが釣れるかもしれませんしまずは普通に全部回ってみましょう!
行く順番は勘(【第六感】)頼りで!



エレクトゥス・レヴィン(誓兵・f11060)は、廃れたショッピングセンターの前に立って溜息をついた。
「行方不明の少女ねぇ……地道な調査ってのは柄じゃあないんだが」
 これもUDC撃破の為だ、と自分に言い聞かせる。だが、その心中には、行方不明になった少女への想いも隠されていた。
(……今行くから、待ってろよ)
 その横顔を見ていたアリア・ヴェルフォード(謎の剣士X・f10811)はその思いを察したのか、同意するような口調でエレクトゥスに語り掛けた。
「あくまで噂話ですが、もし本当に待っているのなら見つけ出してあげないといけませんね」
 そこで一旦区切ってから、アリアは一瞬ためらい、すぅ、と息を吸ってから言葉を続けた。
「……たとえそれが死体であっても」
「……ああ」
 願わくば、そうであって欲しくはない。だが、所詮それは願望なのだ。
 エレクトゥスとアリアは、ショッピングセンターのドアを開けた。

 施設の中はしんと静まり返り、ガランとした空間が広がっている。
 壁にはスプレー缶による落書きが至る所に残されていたが、これは地元の不良連中や、行方不明になったとされる若者たちが書き残した意味のないものだろう。
 アリアはこれらの、手掛かりになりそうなものを手あたり次第に調査していく。
「普通に探しても、女の子じゃない何かが釣れるかもしれませんし!」
 とはいうものの、なかなか手掛かりと言えそうなものは見つからない。
「これじゃ埒があかないな……」
 そう考えたエレクトゥスは細い道や封鎖地区、少女向けの店舗が並んでいた地区を重点的に調べることしようと、そう考えたその時。

(ねぇ、どこへ行くの……)

 バッと二人が顔を見合わせた。そして、無言で頷き合う。
「女の子の声……でした!」
「あぁ。声のした方へ向かおう」
 アリアとエレクトゥスは、廊下を奥へと進んでいくことにした。
 閑散としたショッピングセンター内に、ひやりとした風が吹いた気がした。

(お願い……わたしを……見つけて……)

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


猟兵達がショッピングセンターへと足を踏み入れていた頃、星噛・式(赤水晶・f10488)と宿木・禅(断斬人・f10500)の二人は周辺の聞き込みを行っていた。
「ネットで噂になってたんだよ。あそこにゃ『出る』ってさ。けど、本当に行くとは思ってなかった」
「あいわかった。時間を取らせてすまなかったのぉ」
 行方不明になった若者の友人に礼を言う禅は、離れていく若者を見送りながら、ずっと背中に感じる重みに呆れたような声を上げた。
「話を聞くのはいいが少しはお主も手伝わんかい」
「こういう地味な調査は苦手なんだよなぁ」
 だるそうな口調の式に、禅もが溜息をついた。
 二人で行っているはずの聞き込みだったが、実態はほぼすべてが禅による調査となっているようであった。

 そんな気怠げな式を連れた禅が次に向かったのは公園だ。行方不明になった女の子と同年代の母親ならば、何か知っているかもしれないと踏んだのだ。
 禅は柔和な態度で主婦へと聞き込みを始めたが、対する式は、茂みに猫を見つけてそそくさと離れていってしまう。
「あぁ、やる気でねーなぁ」
 指を振ると、猫は興味津々な様子で式を見つめ、ゆっくりと歩み寄ってくる。
「子供も関わってる事件だし、早く見つけてやりたいんだが……どうもなぁ」
 猫は式の指に人懐っこくじゃれついてくる。その式に、背後から影が覆う。
「全く、戦闘に関しては一流だが、気分屋が乗らないと仕事をしないのは年相応と言ったところかのぉ」
 式が振り向くと、そこにはやはり呆れた様子の禅が立っていた。
「お、どうだった?」
「噂の発端、失踪した女の子は、両親と映画を観た直後に失踪したようじゃ」
「映画?」
「うむ、現場には映画館も併設されておったようじゃな」
 禅の言葉に、式が疑問の声を上げる。
「それが関係あんのかよ?」
「うむ、若者達の噂の中にあった『肝試しルート』には、決まって映画館が入っておるようじゃからな」
「ふーん。少なくとも、なんか関係はありそうだな。そうと決まりゃ、早速報告だ!」
 そんな式の様子に、やれやれ、という具合で見つめる禅。まるで祖父と孫のような二人は、他に調査を続けている猟兵達への元へと向かうのであった。
星噛・式
宿木禅と行動

「こういう地味な調査は苦手なんだよなぁ」

愚痴を言いながら書き込みをしている禅の背中にもたれかかる

戦闘となれば一流だが気分屋な所があり、また口下手なこともあり聞き込みなどの地味な調査を苦手とする

聞き込み相手を見つけては禅に話を振り自分は猫と遊んだらブラブラしている

「あぁ、やる気でねーなぁ。子供も関わってる事件だし早く見つけてやりたいんだがどうもなぁ」

そんな彼女も時折は大人よりは会話の簡単な子供相手に話を聞いているが収穫のほどは……


宿木・禅
星噛式と行動

現場周辺の主婦や失踪した若者達の仲間など思い当たる節から話を聞き調査を始める

年の功とも言うべきか式とは違い会話も上手くスムーズに話を聞き出している

「話を聞くのはいいが少しはお主も手伝わんかい」

そう注意するが式は禅の背中で愚痴を言っている時間が殆どだ

式がこういう調査を苦手とすることは禅も理解しているがそれとこれとは違うこと

「全く、戦闘に関しては一流だが気分屋が乗らないと仕事をしないのは年相応と言ったところかのぉ」

やれやれとため息をつきながら調査を続ける。側から見れば孫と祖父にしか見えないのがたまに傷



猟兵達がショッピングセンターへと足を踏み入れていた頃、星噛・式(赤水晶・f10488)と宿木・禅(断斬人・f10500)の二人は周辺の聞き込みを行っていた。
「ネットで噂になってたんだよ。あそこにゃ『出る』ってさ。けど、本当に行くとは思ってなかった」
「あいわかった。時間を取らせてすまなかったのぉ」
 行方不明になった若者の友人に礼を言う禅は、離れていく若者を見送りながら、ずっと背中に感じる重みに呆れたような声を上げた。
「話を聞くのはいいが少しはお主も手伝わんかい」
「こういう地味な調査は苦手なんだよなぁ」
 だるそうな口調の式に、禅もが溜息をついた。
 二人で行っているはずの聞き込みだったが、実態はほぼすべてが禅による調査となっているようであった。

 そんな気怠げな式を連れた禅が次に向かったのは公園だ。行方不明になった女の子と同年代の母親ならば、何か知っているかもしれないと踏んだのだ。
 禅は柔和な態度で主婦へと聞き込みを始めたが、対する式は、茂みに猫を見つけてそそくさと離れていってしまう。
「あぁ、やる気でねーなぁ」
 指を振ると、猫は興味津々な様子で式を見つめ、ゆっくりと歩み寄ってくる。
「子供も関わってる事件だし、早く見つけてやりたいんだが……どうもなぁ」
 猫は式の指に人懐っこくじゃれついてくる。その式に、背後から影が覆う。
「全く、戦闘に関しては一流だが、気分屋が乗らないと仕事をしないのは年相応と言ったところかのぉ」
 式が振り向くと、そこにはやはり呆れた様子の禅が立っていた。
「お、どうだった?」
「噂の発端、失踪した女の子は、両親と映画を観た直後に失踪したようじゃ」
「映画?」
「うむ、現場には映画館も併設されておったようじゃな」
 禅の言葉に、式が疑問の声を上げる。
「それが関係あんのかよ?」
「うむ、若者達の噂の中にあった『肝試しルート』には、決まって映画館が入っておるようじゃからな」
「ふーん。少なくとも、なんか関係はありそうだな。そうと決まりゃ、早速報告だ!」
 そんな式の様子に、やれやれ、という具合で見つめる禅。まるで祖父と孫のような二人は、他に調査を続けている猟兵達への元へと向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウイシア・ジンジャーエール
(オラトリオ特有の羽と花は隠して向かいます)

現地に向かいながら、アイテム「スマホ」で【情報収集】を。
スマホには新聞各社・雑誌出版社の公式アプリがずらり。
肝試しになるくらいなら、ネットでは噂話になっているはず。
新聞や書籍から、少女の死亡状況について確認します。
(映画に関する事があれば重点的に調べましょう)

現地に到着後、ユーベルコード「協力者の召喚」で【警察官】を召喚。
「協力して。現場に足を踏み入れるから、同行しなさい」
これで万が一、関係者や一般人に遭遇しても問題はありません。
召喚した警察官を連れそうように廃墟に入ります。


テラ・グゥスター
失踪事件、その現場は閉鎖されて廃れるのみと。まぁ肝試しには絶好、噂が流れれば人を食いたがるUDCにとって絶好の餌場にもなるってワケか。さっさと片付けねぇと。

【SPD】
忍び込んで失踪してるってんなら少なくともそれを知ってる奴が居るはずだ、そっちを当たろう。失踪者と一緒に現場に行った奴、噂を聞きつけた奴、もし帰って来られた奴が居れば何が起きたか断片的にでも訊き出せれば儲けだ。それに建物の管理会社、取り壊しなり居抜きなりで立ち入りはしてるだろうし変な噂立ってんなら対応もしてるはずだな。その辺から噂の出処を辿ってみりゃあ何か絡んでれば尻尾くらいは掴めるかもしれんしなぁ。
どうにか、してみよう。



 ウイシア・ジンジャーエール(探索者・f09322)は、現地に向かう道すがら、ネットでの検索を行っていた。
 今回の肝試しは、ネットで噂になっている――。ウイシアのその予想は的中し、いくつかのネット記事が、今回の現場の紹介をしているようだった。
「出る廃墟の歩き方……【閲覧注意】激ヤバ廃墟……うーん」
 仲間からの情報により、ショッピングセンター内の映画館が何か関わっているのではないかと調べてみるものの、今まで以上に踏み込んだ情報は出てこない。せいぜい危険スポットとして紹介されている程度だ。
「失踪者は決まって『声』に誘われるらしい。逃げ帰ってきた一人が証言した」
 テラ・グゥスター(生存こそ正義・f04573)が横から顔を出した。彼は独自に、肝試しに参加して帰ってきたとされる人物と接触していたようだ。その人物は、映画館の前でその声を聞いた瞬間、一目散に逃げたため難を逃れた、と回答したという。
「その声が、女の子の声だった、ってわけね」
 ウイシアが頷きながら、検索を続ける。少女の失踪事件に関して検索すれば、失踪時の状況として映画館という単語は出てくる。だが、それ以上の情報は見当たらない。
「あ、それとな。この噂……きっと出所は管理者自身だ」
 おそらく、管理者自らも『声』を聴いたのだろう。その体験談がどこからか広まったのだ。この件で、取り壊すかどうかの協議も行われているようだが、その『声』への恐怖から、どうにも二の足を踏んでしまっているらしい。
「それで現場は閉鎖されて廃れるのみと。まぁ肝試しには絶好、噂が流れれば人を食いたがるUDCにとって絶好の餌場にもなるってワケだな」
 テラはそう言うと、ぐっと拳を握りしめた。

「協力して。現場に足を踏み入れるから、同行しなさい」
 ウイシアは【協力者の召喚】で警察を召喚すると、内部へと足を踏み入れた。向かう先は映画館だ。

(来てくれたの?)

 声が聞こえた。

(うれしい)
(待ってた)
(はやく)

 近付けば近付くほど、声が何重にも、何方面からも響く。

(見つけて、わたしを……)

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ゆかりちゃん』

POW   :    「ただいま」「おかあさん、おとうさん」
戦闘用の、自身と同じ強さの【母親の様な物体 】と【父親の様な物体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
【炎上し始める捜索願いからの飛び火 】が命中した対象を燃やす。放たれた【無慈悲な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
【嗚咽を零した後、劈く様な叫声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 シネマコンプレックスのシアター3。かつて少女が最後に見た映画も、ここだった。
 少女は何も映っていないスクリーンの下に立ち、猟兵達に振り返る。
 その少女には顔がなかった。代わりにあるのは、1枚のチラシ。

(きてくれたね)
(もうすぐだよ)

 座席から声がした。そこに座っていたのは、座席を埋め尽くさんばかりの、顔のない少女達。

(一緒に行こう)

 その言葉を合図に、少女たちは一斉に立ち上がった。
ウイシア・ジンジャーエール
直感的に不気味さを感じる。神秘を体験したオラトリオとは対極の存在ね。
映画館の中に足を踏み入れたのなら、もう隠す必要は無いでしょう。
エレメンタルロッド「神秘の木」と共にオラトリオの羽と花を顕現。
戦闘中は常に浮いて戦います。

[オーラ防御][全力魔法][呪詛耐性]を活かしつつ[空中戦]を開始。

●SPD対抗
「暗い映画館の中で宙に浮く私を狙うとね、赤い炎が見えやすいのよ」

ビームシールド「花の盾」を左手に装着し、飛び火を払う。
[視力]でしっかり炎を見て回避、[第六感]も信じて動きましょう。

[カウンター]可能と判断した時は、ユーベルコード【天罰】で反撃。
武器を向けるだけなのに命中率が高いの。良い攻撃よね。



 その光景は、不気味だった。
(神秘を体験したオラトリオとは対極の存在ね)
 そう、ウイシアは心の中でつぶやく。
 もう隠す必要もないだろう。ウイシアは自身の武器『神秘の木』を取り出すと同時に、今までしまっていた背中の羽根と、花を現現す。
 ウイシアは羽根をはばたかせ、暗闇の中へと飛び上がった。

「どうしてそんな顔でわたしを見るの?」
 不意に、少女のうちの一人がウイシアを見上げた。顔に張り付いた捜索願いが、めらめらと燃え始める。
 それに感化されたかのように、周囲の少女達も彼女を見上げはじめ、ぽつぽつと炎が灯り始めた。
「暗い映画館の中で宙に浮く私を狙うとね、赤い炎が見えやすいのよ」
 多くの炎が、まるで導かれるようにウイシアへと飛んでいく。ウイシアは左手の「花の盾」で炎を払いながら、劇場の上空を飛び回る。暗いうえに障害物の少ない劇場の上空では、その炎は届かない。
 それでもなお飛来し続ける炎を盾で払った瞬間。一瞬、隙が出来た。ウイシアはそれを見逃さなかった。
「消えて」
 ウイシアが神秘の木を向けると、劇場内のどの炎よりも輝く、光の柱が出現した。
 その光に包まれて、少女たちが消えていく。
(あああ……)
(ごめんなさい、ありがとう……)
 光に呑まれていった少女たちが、そう言った気がした。

 光の柱が消えたと同時に、炎も消失していた。ウイシアは一息つき……次の目標へと目を向けた瞬間、目を疑った。
 気が付けば、空いていたはずの座席に、新しい少女たちが座っていたのだ。

 まだまだ、戦いは終わりそうになかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エレクトゥス・レヴィン
ああ、分かってた、分かってたよ……こうなるだろうってことはさ。
……うちに帰る時間だぞ、ガキども。

一歩も引かずに相対し、歩みを進めてなるべく多くの対象を範囲に引き込んでからUCのハイレート・スナイプカノンを使用し攻撃。
また「3度まで相手の攻撃を受け止める」誓約を立て、履行でき次第UCの甲型略式履行を利用して殲滅力の増加を図る。

起きろ審判者共、誓約の時間だ。

履行が完了するか、危険なダメージを受けていた場合は回避を優先して動く。
オレや味方の攻撃で空いた敵群の穴を利用したり、攻撃を放ちそうな敵群に砲撃を撃ち込んで妨害を図る等。

終始躊躇わず、徹底して数を減らすように行動しよう、そのための火力と誓約だ。



 エレクトゥスは、その光景を前に、ぎりりと歯を食いしばった。
「ああ、分かってた、分かってたよ……こうなるだろうってことはさ」
 一歩一歩。少女達に近付いていく。
「ただいま」
「ただいま」
「おかあさん、おとうさん」
 その少女達は誰に語り掛けるわけでもないように呟くと、背後から異形が現れた。大人の男女、だろうか。その顔は歪んだ笑顔をエレクトゥスに向け、少女を守るように襲い掛かった。
 1撃。歩み寄るエレクトゥスの頬を『おとうさん』の拳が強かに打ち付けた。
 2撃。『おかあさん』の金切り声が、エレクトゥスの肌を切り裂く。
 3撃。エレクトゥスの腹部に二人の脚がめり込む。
 だが、エレクトゥスは微動だにせず、少女達を一人ひとり見つめ返す。
「起きろ審判者共、誓約の時間だ」
 『誓約』は果たされた。3度までの攻撃は、彼の決めた誓約の履行とともに、彼自身のやるせない怒りにも炎を灯していた。
 エレクトゥスの武器が、限定昇華形態と呼ばれる形状に変化してゆく。同時に、照準がエレクトゥスの見つめた少女達一人一人に合わせられる。
「……うちに帰る時間だぞ、ガキども」
 激しい砲撃音が、劇場中に鳴り響いた。

 少女達の召喚した男女は、少女達の消滅と共に姿を消した。エレクトゥスは攻撃の手を緩めることなく、少女達に向かって砲撃を繰り返していく。
(そのための火力と誓約だ)
 頬に響く痛みが、彼自身にそれを実感させるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・グゥスター
邪神に魅入られ取り込まれたって所か…趣味が悪いな、全く。いいだろう、1人なのかぞれぞれ別なのかは知らんが、纏めて楽にしてやる。
【SPD】
数が多いからなぁ、とにかくまずは減らす事だ。鵺を召喚、前衛で攻撃・壁・囮として戦わせる。自分はマシンガン「クイックドロウ」「援護射撃」ネイルガン「スナイパー」レーザー「暗殺」で鵺や他の前衛猟兵の援護をメインに立ち回る。映画館の跡とは言えそれほど広くなく、座席もあって機動力は活かしにくそうだしなぁ…なるべく距離的な優位を保って戦いてぇ。
同情を誘うような声は一喝。お前らはもう死んでるんでなぁ…生者を脅かすような真似はどっちにとっても最悪だ。だから、倒してやる。



「邪神に魅入られて取り込まれたってところか……? 趣味が悪いな、全く」
 テラが少女達を見やりながら、悪態をついた。
 少女達は減ってもなお、気付けば増えている。それぞれに顔は無く、見分けはほぼつかない。
「1人なのかぞれぞれ別なのかは知らんが、纏めて楽にしてやる」
 そう言うと、彼は自身に傷をつけ、血を空気に晒す。
「力を貸せ、鵺」
 テラの血が、伝説の妖怪、鵺へと姿を変えていく。
 地に降り立った鵺はテラを守るように少女達に向かい、近付いてくる少女の喉元に食らいつく。周囲の少女達の顔が燃えはじめ、鵺を焼こうと炎を放つ、その瞬間。テラのマシンガンが少女達を撃ち抜き、消滅させた。
「とにかく、まずは減らすことだな」
 背後から迫る少女にネイルガンを放つと、テラは周辺を見渡した。
「いたい、いたい」
「こわいよ、くらいよ」
 映画館という立地を考え、距離を保った立ち回りをするテラの姿に、少女達が抑揚のない声で泣く。
「お前らはもう死んでるんでなぁ……。生者を脅かすような真似はどっちにとっても最悪だ」
 同情を誘うような言葉には、耳を貸さない。テラの意思に呼応するように鵺が少女を切り裂く。だが、間髪を入れずに別の少女が鵺へと近付いてくる。
 その少女を、テラのレーザーが貫いた。
「だから、倒してやる」
 テラが、厳しくも、どこか温かい言葉を投げかけた。

(ありがとう)
 消えていく少女が、そう言った気がした。

成功 🔵​🔵​🔴​

星噛・式
SPDで対応
宿木禅と行動

子供の姿を見た彼女は嫌悪感を隠しきれなかった

「子供の姿をした怪物なんて趣味悪いぜ」

普段は有無を言わせずに怪物を斬る彼女だが子供の姿に躊躇いがあった

「化け物ってのはわかってる、わかってるが……子供は斬れねぇ」

ミラージュにより分身を作り敵を撹乱し回避し続ける

だが野太刀を姿となり彼女の武器として振るっていた禅より説得される

飛んでくる飛び火を"見切り"一瞬にして怪物を叩っ斬る

「すまん…、来世こそは子供として幸せに産まれてこいよ」

自分で斬った怪物達に手を合わせ願う


宿木・禅
星噛式と行動

野太刀の状態で式の手の中で子供の姿をした怪物を前にして禅は焦っていた

式が怪物といえど子供を斬れないことは知っていた

式は敵の攻撃を回避するだけで攻撃しようとしない

「まずいのぉ、攻撃は当たらずともこっちから仕掛けない限り勝てん。かといってわしが1人でやるのもこやつは納得せんだろうしのぉ」

「式、お主が子供を斬れぬのは知っているが相手は怪物、ここで斬らねば次の犠牲者を生む。また、新たな子供が犠牲となるぞ」

禅の言葉に説得され怪物を始末する式

「子供を斬れないのは弱点でもあり、美点でもある。怪物といえど子供を躊躇いもなく斬るような奴に未来はない」



 その部屋に入った瞬間、その光景を目にした式は嫌悪感を露わにしていた。
「子供の姿をした怪物なんて……趣味悪いぜ」
 敵は、あくまでオブリビオンだ。それは式も理解している。そうあるはずであったのに、少女たちを前にした式の心はざわめいていた。
「化け物ってのはわかってる、わかってるが……!」
 少女たちは顔の張り紙を燃え上がらせ、式へと炎を飛ばし始める。鮮やかだが、その分不気味な炎だ。
 式はその炎を、幻影を用いてやりすごす。その瞬間、一太刀を浴びせる隙が生まれたが、手に携えた野太刀を振るおうとはしない。
「くっ……」
「なにをしておる! やり返さんか!」
 禅の声が響いた。だが、式は苦い顔のまま首を振るう。
「……子供は斬れねぇ」
 式にとって、子供に刃を向けるという行為は、忌避されるべきことだったのだ。たとえ、それがオブリビオンであったとしても。
 少女たちに狙われ防戦一方の式は、未だ無傷ではある。だが、一向に相手への攻撃を行うことのできない式に、禅が案じた。
(まずいのぉ……かといってわしが1人でやるのも、こやつは納得せんだろうしのぉ……)
 ならばこそ、それが役目なのだと、禅は意を決した。
「式! お主が子供を斬れぬのは知っている!」
 その声は届いているはずだが、式は反応した素振りを見せず、腕は動かないままだ。
「ここで斬らねば次の犠牲を生む!」
「……!」
 ハッとした表情を浮かべる式に、禅が続ける。
「また、新たな子供が犠牲となるぞ!」
「…………!」
 式の握る腕に、力が籠った。
 わなわなと震える腕のまま、太刀を構える。
「……」
 小さく、式が呟いた。
 少女たちの炎が、式を取り囲み、全身を焼き尽くそうと燃え上がる。
 だが、その炎の中に式と禅はいない。
「すまん……」
 式は、既に少女を斬り伏せる間合いの中のいた。
「すまん……!」
 一閃。
 斬り伏せられた少女たちは、声もなく霧散し、消えてゆく。
「来世こそは……子供として幸せに……生まれて来いよ」
 式は手を合わせ、少女たちに祈りを捧げ、禅はそれを見届ける。
(子供を斬れないのは弱点でもあり、美点でもある……)
 だから、それで良いのだと、禅は心の中で呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リネット・ルゥセーブル
……これが一人二人であれば、呪い<おもい>としても価値が在ったのだろうけれど。
これでは粗悪なデッドコピーじゃないか。
さっさと処分するに限る。

【目立たない】よう【忍び足】で戦場に侵入。
ある程度的に近寄った所でテトラを投げやり、【呪詛】を乗せて「愁訴不定の無色」を発動。
『君の悲しみも、君の想いも、総て紛い物に過ぎない』
真実は君たち一人ひとりにあるだろうが、事実は其れだけだ。

返されるであろう呪詛に対しては【呪詛耐性】で乗り切る。
「愁訴不定の無色」で無力化しきれなかった分は「謂れなき呪詛返し」で一人ずつ潰していく。

いつだって世界は報われなくて残酷なものだ。
だから、無理にしがみつかず、楽になるといい。



 戦場を眺め、リネット・ルゥセーブル(黒ずきん・f10055)が呟く。
「……これが一人二人であれば、呪い<おもい>としても価値が在ったのだろうけれど……これでは粗悪なデッドコピーじゃないか」
 少女達はすべて、同じような行動をする。その姿が、リネットにとっては退屈なものに感じられた。
「さっさと処分するに限る」
 そう言ったリネットは、黒いローブとともに劇場の闇に溶け込むのだった。

 気付けば、少女達の姿は最初よりも大分減っていた。もはや勝敗はついたといっても良いだろう。それでも少女達は、ひるむでも、怯えるでもなく、ただただ一定の、感情のない動きを取り続ける。
 そんな少女のうちの一人の側頭部に、なにか柔らかいものが飛びついてきた。
 それは『テトラ』という名の、猫の人形だった。
『我が罪を以てかの者を断罪する。其は繋がれる鎖を破壊せし者。其はその芯にあるべき糸を失いし者。地よりも深く、穿て』
 瞬間、闇の中から声が響き、テトラを受け取った少女がじわりと闇に呑まれ始めた。
「君の悲しみも、君の想いも、総て紛い物に過ぎない」
 金色の瞳が、闇の中から少女達を睨みつける。
「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
 少女達が、両手を目と思しき位置に構えて泣き始めた。その泣き声とともに耳を貫くような叫びを身に受けたリネットは、ローブを深く被り、目を見開く。そして、少女達の呪詛を受け流してゆく。
「そうだ。いつだって世界は報われなくて、残酷なものだ」
 声がやんだ。リネットは床に落ちていたテトラを掴み、少女達へと放り投げる。
「だから、無理にしがみつかず、楽になるといい」
 少女達が消えてゆく。そうして、一人だけが残された。

「……わかっていたの。わたしはもう『帰れない』って……」
 その少女は既に戦う力を失っていた。その身体も、ゆっくりと消滅していく。
「それでも、誰かに見つけてほしかった」
 綻んだ指で、少女はスクリーンを指さした。
「泣いていたら『ゆかりちゃん』達が慰めてくれて……」
 腕が闇に消えた。
「それから、間違いに気付いたの。でも、もう遅かった」
 身体が半分以上失われた。少女は最後の力を振り絞る。
「お願い。あの人を止めて。わたしが呼び出したあの人を」
 そして、闇の中へと、消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』

POW   :    焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD   :    灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その古い神は、元来、人を愛する神であったという。
 だが、ある時、その愛すべき人を誤って喰らってしまった時、すべては狂い始めた。
 古い神は人の味を知ってしまった。そして、その味に酔いしれる自らの愚かさを。

 苦悩と葛藤の末、神は自ら命を絶ったが、その欲望と葛藤の意思は、今もまだこの世界に渦巻いていたのだ。

 それは、ただの偶然であった。
 偶然、そこにいた少女を、その意思の欠片が見つけてしまっただけだった。
 少女は、誰にも知られないままその意思に喰われ、喰われた少女の『誰かに見つけてほしい』という想いは、図らずも、その神を現代に蘇らせるために必要な人の肉を、この場に引き寄せてしまったのだ。

 こうして儀式は完成してしまった。
 古き神『灰霞の剣』は今ここに顕現する。

 スクリーンから闇が漏れ、昏い炎と共に、劇場全体を覆いはじめた。
 猟兵達は、その古き神討伐へ向かい、それぞれ武器を構え始めた。
リネット・ルゥセーブル
下衆め。
神の類は人間よりも余程俗だと聞いたことはあるが、呪い<おもい>にもならない食欲によってのみ狂うのは最早畜生の類だ。
私諸共沈める必要もない。一人で狂って一人で死ぬといい。

人形に結ぶ操り糸をバウンド・ロール(鋼糸)に置換。ついでに呪いの糸を一本混ぜ込む。
これにより、人形だけでなくその操り糸も【盾受け】として使える。
【フェイント】も織り交ぜ、焔や灰には被弾しないように。もし敵の動きが単調ならそれを【学習】し、【見切る】ことも考える。

剣による攻撃が直撃しそうになったら操り糸で受ける。切断されるかもしれないが、切断したということは呪いに触れたということだ。

君には暫くサンドバッグになってもらう。



「Ooooo……!」
「下衆め」
 天井を渦巻く『灰霞の剣』を見上げ、リネットは呟いた。
「神の類は人間よりも余程俗だと聞いたことはあるが、呪い<おもい>にもならない食欲によってのみ狂うのは、最早畜生の類だ」
 リネットは人形を引き寄せると、繰り糸を鋼糸へと代える。
「私諸共沈める必要もない」
 灰霞の剣が、リネットへ向かい剣を降らせた。だが、その剣は人形とリネットの間に伸びる鋼糸によって阻まれる。
 リネットはそのまま人形を灰霞の剣に密着させると、不定形な灰霞の剣の身体に人形が沈み込んだ。その瞬間、灰霞の剣の身体が歪み始めた。
「一人で狂って一人で死ぬといい」
「EEEeeeeee!!」
 灰霞の剣がもがき苦しむ。体が形をうまく保てず、忙しなく形を変えていく。沈み込んだ人形に続いている一本の糸が、リネットの呪いを灰霞の剣に注ぎ込んでいたのだ。
「我が罪を以てかの者を断罪する。其は裁きを下す者。其は自らの理にて自らの臓を貫く者。地よりも深く、穿て」
 一際大きな鼓動の後、急速に灰霞の剣の動きが止まる。
「君には暫くサンドバッグになってもらう」
 そう言うと、リネットは灰霞の剣から人形を引き抜いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウイシア・ジンジャーエール
発言部分ではない=知らない。邪神や少女の心情を察する事はありません。

「ねえ、あなた発声器官はどこ? 脳や心臓はあるのかしら?」
知識欲が刺激されアドレナリンと共に[オーラ防御][全力魔法][激痛耐性][呪詛耐性]が自然と溢れ出ます。

【花通り】で[視力][暗視]補強。

●WIZ対抗
「散って。アドラムス!」
【天罰(アドラムス】攻撃。
武器を向け対象固定、高い命中力を持つUC。
[空中戦]で距離を取り攻撃を仕掛けます。

「当たらなければいいんでしょ!」
焔・灰は[第六感]で回避し[逃げ足]で距離を取る。
剣は【花の盾】で防ぎ[早業]で[カウンター]。
一か所に留まらずヒット&アウェイの要領で狙われにくくする。



「ねえ、あなた発声器官はどこ? 脳や心臓はあるのかしら?」
 仲間の猟兵の力によって動きを止めた灰霞の剣に、ウイシアが聞く。今彼女にあるのは、純粋な知識欲だ。
 だが、その知識欲が、自然とウイシアの全身に魔力を滾らせていく。
「Guuuuu……!」
 狂った神は当然、答えない。ウイシアも、明確な答えを求めている様子ではないようだ。【花通り】と呼ばれる暗視ゴーグルをかけると、再び上空へと舞い上がった。
「散って。アドラムス!!」
 ウイシアが杖を灰霞の剣へと向ける。生まれた光の柱が、灰霞の剣を貫く。
「Gyaaaaaa!!」
 拘束を解いた灰霞の全身が燃え上がる。天井を燃やし、生まれた灰が鋭利な剃刀の様に降り注ぐ。
「当たらなければいいんでしょ!」
 ウイシアは盾を構えながら宙を舞う。持ち前の第六感と機動力を生かし、灰をかいくぐる。
「もう一度!」
 接近したウイシアが杖を向けると、再び光の柱が灰霞の剣を貫いた。攻撃が命中したことを見届けると、ウイシアは再び飛行速度を上げ、その場から離れていく。
 ざわざわと身体を不定形に歪ませる灰霞の剣の中央。10の目がギョロギョロと周囲を見渡し、逃げていくウイシアを捉えた。即座に闇の中から生まれた剣がいくつも射出される。
「……っ!!」
 飛来する剣をウイシアが盾で受ける。その一撃は、彼女の身体を切り裂くことこそ不可能であったが、彼女は羽根の動きを止めてしまう。ウイシアはその即座に体勢を立て直し、再度杖を向けた。
「消えて!」
 一際大きな光の柱が、新たに射出しようとしていた剣ごと、灰霞の剣を灼く。このウイシアによるヒット&アウェイの戦い方は、灰霞の剣に着実なダメージを与えていた。
 だが、まだ戦いはこれからだ。敵はいまだ、十分な体力を残しているように感じられた。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・グゥスター
古い神、ねぇ…こうなっちまえばただの害悪、世界に仇なす悪いモノでしかないな。てめぇの由来も何も知った事か、暗い所へさっさと還れ。
【SPD】重視
見たとこ実体が無いかあっても少ないタイプか?エネルギーやサイキック能力の無い俺じゃあ相性は悪そうだな。ここは攻撃でダメージを与えるより引き付けとUCでの能力封じに徹した方が賢そうかね。
炎や灰が広がってる所にマシンガンで散らすように射撃、眼みたいに見える所(恐らく実体)目掛けて釘を撃ち込みUCの発動を狙ってみる。
戦場は変わらず劇場内…狭いと炎や煙、灰が広がると逃げ場がなくなって不利か。膠着して長引きそうなら劇場の扉壊して外に出る事も考えねぇとな。



「古い神、ねぇ……」
 テラは炎や灰の広がる戦場に向かってマシンガンを放ち、猟兵達を援護していた。その行動によって、炎や灰が広がりすぎないように散らしていたのだ。そんな行動の最中、テラは灰霞の剣を見返した。
「こうなっちまえばただの害悪、世界に仇なす悪いモノでしかないな」
 テラは、今回の敵が実体を持たない、あるいは持っていたとしても極端に小さいUDCであるという予測を立てていた。彼の所持する武器は実弾を中心としており、実体を持つものにより効果の高いものであった。
 ならば、と彼は直接攻撃には出ずにサポート役を買って出たのである。
「炎や煙、灰が広がると逃げ場がなくなって不利か……よし」
 テラは膠着状態になった場合の脱出を考え、出入り口に向かってマシンガンを放つ。派手な音が劇場内に響いた。
 その音が灰霞の剣の注意を引き、10の瞳がテラを追いはじめた。不定形の身体を伸ばし、テラを囲む。
「来たかっ!」
 灰霞の剣は自らの闇の中から巨大な剣を引き抜き、テラ目掛けて振り下ろす。
「おぉっと……!」
 テラが身体を捻り、剣をかわす。振り下ろされた剣が床を切り裂いた。切り裂かれた床の傷口からは、灰燼の炎が噴きあがる。
「てめぇの由来も何も知った事か」
 この瞬間は、テラにとっても好機であった。眼前に、おそらく実体であろう瞳を捉えた。
「おおおっ!」
 テラがネイルガンを瞳へと突っ込む。勢いよく放たれた黒い釘が、瞳に深々と打ち付けられた。
「EEEEEEEEEeee!!!」
 灰霞の剣が悶える。続けざまに灰色の釘、深紅の釘がそれぞれ撃ち込まれる。
「古き呪詛の儀、その一端を顕現せよ!」
「Ahhhhhhhh!!」
 三種の釘が、灰霞の剣の身体を蝕む。直後、床から噴きあがっていた炎が音もなく消えてゆく。テラの呪詛の儀が灰霞の剣の力を一時的に封じることに成功したのだ。
「暗い所へ……さっさと還れ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

エレクトゥス・レヴィン
さっきのよりはよっぽど蹴りやすそうなのが出てきたな、散々食っておいてまだ食い足りねぇと見える。
食われるのはお前の方だ、覚悟しろ。

【POW重視】

「隙ができたな、畳みかけるとするか!」

真の姿の開放を条件に誓約し、即座に履行することで一時的にすべての制限を取り払った状態で行動する。

攻撃を【見切り】ながら全力で接近して回し蹴りを放ち、同時に【一斉発射】の応用で脚部から内蔵火器のための特殊炸薬を放出。
そのまま着火剤代わりに【捨て身の一撃】でUCをぶっ放して敵の身体をまとめて吹っ飛ばしてやる。



「隙ができたな、畳みかけるとするか!」
 行動を阻害された灰霞の剣を前に、エレクトゥスの全身が変化していく。
「履行、完了……!」
 エレクトゥスの武装が、次々と解放されていく。真の姿となることを誓約とすることで、制限を解除したのだ。
「いくぜっ!!」
 エレクトゥスが一直線に灰霞の剣へと向かっていく。未だ動きの取れない灰霞の剣に、重い跳び蹴りが炸裂した。そのまま体重を乗せ、灰霞の剣の身体を踏み台にすると、もう一方の脚で回し蹴りを放つ。
 このままの勢いで攻撃を続けようとしたその時。エレクトゥスは異様な雰囲気を感じ、飛び退いた。
「……っ!?」
 呪縛から解かれた灰霞の剣の姿が、灰色の焔を纏いながらぐんぐんと大きくなってゆく。真の姿を開放したエレクトゥスに反応して、敵もまた自身の強化を始めていたのだ。
「上等だ。よっぽど蹴りやすくなったぜ……!」
 灰霞の剣から焔が噴きあがる。蛇のようにうねる炎がエレクトゥスを飲み込もうとするが、エレクトゥスは軽いフットワークでかわしながら、再び敵へと肉薄しようとする。
 だが。蹴りを入れようとした瞬間、エレクトゥスの身体が炎の渦に捕らわれた。
「ぐ、ぐあああっ!!」
 苦悶の声を上げるエレクトゥス。灰色の焔の中で、身体が燃え上がる。
「散々食っておいて、まだ食い足りねぇと見える……!」
 ぎりり、と歯を食いしばり、持てる力を込めて灰霞の剣へと蹴りを放つ。
「食われるのはお前の方だ……覚悟しろ」
 瞬間、脚部から内蔵された特殊炸薬が飛び出した。
「存分に……味わっていけ!!」
 爆音がシアター中を響かせた。エレクトゥスの放った特殊炸薬は、自身ごと巻き込む激しい爆発を発生させていたのだ。
「GUAAAAAA!!!」
 燃え上がる炎と爆発に、灰色の焔が霧散してゆく。
「はぁっ……流石に堪えたが、身体の一部だけでも吹っ飛ばせたろう」
 炎の中から飛び出したエレクトゥスは、未だ炎の中にある灰霞の剣を見上げるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

田抜・ユウナ
*アドリブ歓迎

助太刀に来たわ!
‥‥なんて見得を切るのはガラじゃないので、《目立たない》ようにコッソリと入り込み、闇に紛れて【レプリカクラフト】で罠を設置する。

仕掛けるのはスクリーン。映写幕に形状記憶合金を仕込んで、熱を持っている物体が近付くと巻き付くようにしてやる。
敵は炎を操るうえに、現在進行形で燃えている。この状態で銀幕に近付けば、間違いなく拘束されるでしょう。
もちろん、映写幕自体もコーティングして、簡単には脱出できないように強化しておくつもり。


成果を見届けたら、誰にも気付かれないままにシアターを後にする。



 戦場は炎に包まれ、戦いは激しさを増す。田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)はそんな戦場にこっそりと入り込んだ。
(助太刀に来たわ!……なんて見得を切るのはガラじゃないものね)
 ここに来た目的は、もちろん猟兵としての責務を果たすこと。だが、ユウナは派手に戦うことよりも、陰ながら味方を支えることを選んだのだ。
 闇に紛れ、スクリーンに触る。そこに形状記憶合金を張り巡らせる罠を仕込んだのだ。
(この状態なら、きっとうまくいく……)
 灰霞の剣が、炎の中から黒い身体をうねらせながら現れる。これまでの猟兵との戦いで、着実なダメージは与えられている様子だが、まだ戦うだけの力は十分に残っているようだ。
「Uuuuuu……」
(……見つかった!)
 灰霞の剣が、ユウナを捉えた。全身から灰燼の炎が噴きあがり、体内から刃が生まれる。
「Goaaaaa!」
 スクリーンに向かって、灰霞の剣が這い寄ってくる。炎がユウナを包み込もうとしたとき。突如スクリーンが歪み、まるで灰霞の剣を取り込むかのように巻き付き始めた。
「熱を帯びた物体を拘束する罠よ。簡単には脱出できないわ」
 巻き込まれた灰霞の剣が罠に巻き込まれ、スクリーンに激突する。幕がひしゃげ、ところどころが裂け始める。
「……これは?」
 そのスクリーンの裂け目から白い何かが転げ落ちた。
 ユウナが拾い上げたそれは、骨だった。
「まさか……」
 スクリーンの裏、音響の置かれた空間に、犠牲者達の骨が残されていたのだ。裏を覗かなければ、どれだけの犠牲者の骨が残っているかは伺い知れない。だが、その存在はこの怪物によって命を奪われた人々がいることを、生々しく物語っていた。
「UoooOOO!!」
 灰霞の剣は、罠から抜けようとしていた。だが、その動きによって、罠はより深く締め付けられていく。
「映写幕にも細工をしたわ。簡単には脱出できないわよ」
 ユウナはそう言うと、後のことを残った猟兵達に任せ、その場を後にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

イグナーツ・シュテークマン
【連携OK・アドリブOK】

実体を持たぬ炎の神か……悲しき意思を宿した炎よ、我が炎を以て照らし、焦がし、消し去ってくれよう。

「あらゆるものを喰らい貫く獣の刃よ、今ここに顕現せよ!」
三角形を描くように右手で三度、フィンガースナップ。
ドゥロック式魔闘術の神髄は、詠唱を排した魔法陣の構築にあり!
こちらを切断しにかかる炎や灰、はたまた剣を、こちらの魔法で生み出した炎の弾丸によって消し飛ばしてくれよう。

己はかつて人を愛した善き神だったのだろう。
しかし、人を喰らった時点で人を守ること能わず。
大人しく、残滓も残さずに消え去れば幸せだったものを。
全く、想いというものは度し難いものだ。


萬場・了
よう!盛り上がってるかよ、そろそろクライマックスじゃねえか??
ふひひ、神様も余計なもんお残ししちまいやがって。

〈見切り、逃げ足、第六感〉の技能で攻撃を避けつつ呪いのカメラで敵を撮影するぜ。こんな時じゃねえと映画館でなんて撮れねえからな!

なに、タダでってわけじゃねえ。
かわりに俺の作品【膨張する暗黒】上映してやるからよ。ヤツにもたっぷり〈恐怖を与える〉ぜ!
さっきスクリーンはダメになっちまったからな…コイツ(ブラウン管TV)で勘弁してくれよ?
サイズは小せえけど、なんと!飛び出す体感型ホラーってヤツだ!おもしれえだろ?

さて、もう満腹か?もっと喰ってけよ!テメェの〈生命力吸収〉してどんどん増えるからよ!



戦いは終局を迎えようとしていた。灰霞の剣は、猟兵達の度重なる攻撃に力を失い始めていたが、燃え尽きそうな身体をシアターに延焼させて、猟兵達を迎え撃たんと、暗く、昏く燃え上がっていた。
「よう!盛り上がってるかよ、そろそろクライマックスじゃねえか??」
 萬場・了(トラッカーズハイ・f00664)が狂気的な笑みを浮かべながら灰霞の剣を見上げる。
「ふひひ、神様も余計なもんお残ししちまいやがって」
 それは、未練だったのかもしれない。狂ってもなお人を愛したいが故か、それとも、他に得難い禁断の美味故か。今となっては知るすべもない。
「実体を持たぬ炎の神か……」
 イグナーツ・シュテークマン(炸裂する指弾・f00843)はそんな神に、憐みにも近い感情を抱いていた。
「悲しき意思を宿した炎よ、我が炎を以て照らし、焦がし、消し去ってくれよう」
 イグナーツがポケットから右手を抜き、顔の前で指を揺らす。三度空中に三角形の図形が描かれた時、イグナーツの指の先の空気が膨張した。
「あらゆるものを喰らい貫く獣の刃よ、今ここに顕現せよ!」
 イグナーツの指が描いた軌跡が魔法陣となり、炎が生まれ出でる。暗く燃え上がる炎とは対照的な、輝く炎だ。
「それはまるで機関銃のようにってな!」
 イグナーツが指を鳴らすと、炎は無数の弾丸となり灰霞の剣へと放たれる。
「ふひひっ、いいねいいねその画角ぅ!明暗のバランスもバッチリだ!」
 了は降りかかる炎の剣を避けながら、二人の姿をカメラで撮影する。
「こんな時じゃねえと映画館でなんて撮れねえからな!」
 撮影を続けながら、了がスクリーンを背に灰霞の剣へと向き直る。
「なに、タダってわけじゃねえ。かわりに俺の作品上映してやるからよ」
 いつの間にか、了は古めかしいブラウン管テレビを抱えていた。床にそれを置くと、コンセントを刺すまでもなく電源が付き、荒い砂嵐が画面を埋め尽くす。
「さっきスクリーンはだめになっちまったからな……コイツで勘弁してくれよ?」
 ザァーっと一定の音を立てていた画面に一瞬、何かが映った。何度か点滅を繰り返すと、次第に映像が鮮明になっていく。
 画面の中央にあるのは、古井戸だった。たったそれだけの映像だが、ざわざわと空気が張り詰めるような緊張感が走る。
 突如。画面からズルリと何かが這い出してきた。
「…………!!!」
 それはどす黒い、呪われた触手であった。触手は灰霞の剣に絡みつき、徐々に大きくなっていく。
「サイズは小せえけど、なんと! 飛び出す体感型ホラーってヤツだ! おもしれえだろ?」
「恐怖とは無縁のような神であろうがな」
 好機とばかりにイグナーツは再び指を振り、新たな魔法陣を作り上げる。
 生命力を吸収された灰霞の剣に、再び炎の弾丸が放たれ、灰霞の剣の身体を貫いていく。
「GYAAAAAAA!」
 悶える灰霞の剣の姿に、イグナーツは息をついた。
「己はかつて人を愛した善き神だったのだろう……しかし、人を喰らった時点で人を守ること能わず」
 憐憫の眼差しで、瀕死となった神を見つめる。
「もう満腹か? もっと喰ってけよ! テメェの生命力吸収してどんどん増えるからよ!」
 了はお構いなしに灰霞の剣を締め上げていく。それに比例して、触手は大きく膨れ上がっていく。もはや、この邪神に抗うだけの力は残されていない。
「大人しく、残滓も残さずに消え去れば幸せだったものを」
「ふひひっ、今度はお残し無しだぜぇ? ぜーんぶ、喰らっちまいな」
 ギリギリと締め上げられた灰霞の身体が、弾けた。
 黒い火の粉が舞い、シアター中を燃やしていた炎が収束していく。
 十の水晶のような目が炎の中から転げ出て、粉々に砕け散る。
「Ah……A……a……」
 そして邪神は、闇の中に消えた。

 スクリーンの裏には、犠牲者達のものであろう骨が残されていた。骨毎喰らわれた者もいたのだろうが、それでも大小混ざり合った様々な骨の山は、犠牲者の多さを物語っていた。
 そんな中、どの骨にも混ざっていない小さな頭蓋骨が、猟兵達を、スクリーンの裏から見つめるように置かれていることに気が付いた。
 猟兵達は直感する。これがおそらく、少女の遺骨なのだろう。
 こんなに近くで、誰からも気付かれず待ち続ける気持ちは、どんなものだったのだろうか。それを推し量ることは出来ない。
 だが、最後に彼女は見つけられ、家族の元へ帰る事が出来た。それだけが唯一の救いであったのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト