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アースクライシス2019④〜愛しき女に上等な酒を

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019

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●掲示板
 モニュメントバレー(ユタ州南部からアリゾナ州北部)に突如現れた幾つもの洞窟から、「神鋼の鎧」を装備したオブリビオンが出現しました! この鎧は鋼神ウルカヌスの授けたものであり、敵はセンターオブジアースから地上に送り込まれた刺客なのです。
 鎧は聖地(モニュメントバレー)の中ではあらゆる攻撃への超耐性を持ち、物理的な攻撃はおろか、悪口などの精神攻撃や、毒やガスさえも遮断します。
 ただし必ず、どこかに「鎧の隙間」があります。

●グリモアベース
「お集まり頂きありがとうございます」
 トレンチコートに黒い中折帽、手の中のライターを一瞥して猟兵達の方へと向き直る。
「アースクライシス、皆さんも様々な戦場へ向かい奮闘なされていると思いますが、ここでまた予知の追加となります」
 掲示板の画面を鉄扇で指しながら概要を説明する。
「今回の戦場はモニュメントバレー、これ自体は然して問題では無いのですが、厄介な点が一つ」
 書かれてある通り、今回の敵は特殊な鎧を身に纏っているとのこと。それはモニュメントバレーという地の力を利用した魔術的な装甲。
「此方の物理的な力も魔術もオカルトにも例外なく耐性がある……そして、それを纏う敵の名は」
 ダブル・オー。かつては伝説のスパイと呼ばれた男であった。
「数々の兵器と乗り物を駆使し、撹乱しながら確実に一殺を行ってくる計算高い男です。鎧を纏う事で弱点でもある人間体故の脆弱性をカバーしていますね」
 こうして聞いていると勝利は困難に思えるが、ダブル・オーにも弱点がある。それは。
「彼が常に咥えている葉巻、これを鎧発動のスイッチにしているようで。あれを口から離せば、鎧に隙間……展開が解ける様なのです。更に奴は美女、酒、スリルな事が何よりも好き……と調べが入っております」
 鎧の展開を崩すには咥えている葉巻をその身から離させないといけない。勿論警戒もしてくるだろうが、なんらかの方法で奴の好きな物と絡め、気を惹いている内に葉巻を引き剥がせば此方の攻撃も充分に通るだろう、と。
「あくまで嗜好……葉巻が取れるのならば方法は問いません。さぁ皆さん……」
 ゲートを開け、サングラスに隠れる黒い瞳が猟兵達を映す、その感情を読ませぬ様に。

 ───よき、戦争を。

 何を思うかも明かさぬ男は薄ら笑いを浮かべながらグリモアベースを後にするのであった。


グラサンマン
 グラサンマンです。今回はアースクライシス④、モニュメントバレーでの戦いとなります。
 恒例の如く一章のみのシナリオです。
 プレイングボーナスは。
『どこかにある鎧の隙間』
 今回の場合はオブリビオンの咥えている葉巻をどうにか身から剥がせば鎧の隙間……効力が切れるというギミックとなります。美女、酒、ゾクゾクするようかスリルを好み、優先する属性があります。ここを突けば葉巻を引き離しやすくなります。
 優先するのは弱点を突くプレイングですが、これ以外にもお客様の考えた方法で上手く隙間を引き出して頂く事も可能です。

 皆様の格好良い自由なプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『伝説のエージェント『ダブル・オー』』

POW   :    ダブル・オーは二度死ぬ
自身が戦闘で瀕死になると【変装を解いた本人】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    『Q』特製秘密兵器
いま戦っている対象に有効な【偽装された秘密兵器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    落としのライセンス
技能名「【誘惑】【変装】【操縦】【破壊工作】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。

イラスト:蛭野摩耶

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は白金・ジュンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
美女の範囲がわからないんだけど…
まぁやれるだけやってみますか

スリットの入ったセクシードレスに
腰元まであるウィッグを身につけ【指定UC】
…ぺったんこなのは流石に勘弁して
声もハスキーな女性系

この姿では僕の言葉全てが攻撃と同義

念のため【激痛耐性+オーラ防御】を纏いつつ
ダメよおじさま
折角のお召し物が汚れてしまいます
そんな物騒なもの使わないで…ね?
もっと平和に遊びましょう?
常に纏う甘い花の香りで【誘惑】

私、歌が得意なの
貴方のために一曲奏でさせて?
存分に愛を【催眠歌唱】で奏で
そっと手を絡め
上目で見つめながらその頬に優しく指を沿わせ…

ふふ、はい葉巻回収
ごめんあそばせ?【破魔の全力魔法(キラキラオーラ)】



「美女の範囲がわからないんだけど……まぁやれるだけやってみますか」
 モニュメントバレーに一人の美女……いや、青年、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が立つ。出迎えるは知る者ぞ知る伝説のスパイ……だった男。スーツ姿に葉巻を咥え澪を値踏みするように見つめていく。一方、澪の方は、スリットの入ったセクシードレスに腰元まであるウィッグを身につけ、その背丈も何時もより高い。
「(……叶夢の戯、この姿だから出来る格好。そしてそれは隙間を開く為だけじゃない)」
 この姿の真骨頂は澪の声自体にある。破魔を乗せた言霊はそれだけで攻撃となるのだ。
「(この姿もずっと保つ訳じゃない……!来ないならこちらから!)」
 脚を魅せる様にダブル・オーへと近寄っていく。まだ、まだ言葉に力を乗せるな、出来うる限り奴の意識を自身へ持っていくのだ。
「折角のお召し物が汚れてしまいます、そんな物騒なもの使わないで…ね?もっと平和に遊びましょう?」
 声に色気を、香りに甘い花を。来い……乗ってこい!この誘惑に抗うな!
『ほぉ……?良いねぇ……俺を討伐しに来たと身構えてみたらこんな美人に出逢えるとは、乗り気じゃあ無かったが来てみるもんだ』
 かかった。ニィ……と浮かべる笑みに手応えを感じ、そのまま畳み掛ける。
「ふふ……私、歌が得意なの。貴方のために一曲奏でさせて?」
『ほぉ?是非とも聴きたいね』
 その手に自身の指を絡め……上目遣いで愛【催眠歌唱】を奏でる。そのまま指を腕、頬と撫でる様に伝わせ……
「……ふふ、はい葉巻回収」
 そのまま葉巻へと手に掛ける。このまま下がり攻撃を……
『これはしてやられた、だが……』
「……!?」
 飛び退いた澪が地に片膝を着く。何をされた……?身体の痺れが澪の行動を制限する。
「聴いた筈じゃ……」
『聴いたし効いたさ、痛みはあれど永遠に聴いていたくなる程の魅力を感じたし俺の身体から鎧の力は消えた』
「…………」
『だが偽るのは宜しくない、俺は美女が好きなんだ』
 まさか……
『お前は……男だろう?』
 カランカラン!と銃が落ちる音が聞こえる、オブリビオンである男に澪の言霊は確かに届いた。だがそれと同時に彼の矜恃は澪自身をも見通していたのだった。
 痛み分けの戦場は始まったばかり

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ルトルファス・ルーテルガイト
『……快楽は好まないのかしら?』
「……知らんがな、直接聞いてくればいい。」
疑問が浮かぶロベリア(選択UC)とツッコむ青年

とりあえず、ロベリアにマフィア好みの色っぽい格好をさせてダブルオーに接触させる。
俺は万が一を考えて隠れて様子を見てる。
酒や物に毒なんて仕込まない、高い酒を用意するだけで大変だし、何より彼女に毒など不要だ。
ロベリアが際どい仕草で「誘惑」してムード高まって、キスをする(=葉巻をとる)瞬間、キスや触れる手足を介して「生命力を吸収」する「だまし討ち」が、美魔譲たる彼女の十八番なのだから…。
ついでに成功したら、俺も剣による「属性攻撃」で追撃する予定

(アドリブ連携絡み歓迎)


ミルク・ティー
……とにかく葉巻を取れば、いいんだよね?

なら、美女に扮して酒を飲ませ、る
酒を飲むのに、葉巻は吸えないから

そもそも、猟兵の前でそんな真似をするのはリスキーで……そんなのスリル以外の何物でもない、でしょ?

私は美女……というものに対して造詣が深いとは言えない
だから、メイクやヘアセット、衣類などはそう見えるよう、に事前に整えてもらう
初めて着る格好だけど……私の造形は見劣りなんかしない、もん

準備中に見たエージェントや美女が出てくる映画で「学習」した言動を駆使する

ねぇ?お酒飲んで見せてよ
私、男のひとの……喉仏が動く瞬間がすき、なの

対象が応じれば嚥下後に【選択UC】で「だまし打ち」攻撃する、よ



『快楽は好まないのかしら』
「知らんがな、直接聞いてくれば良い」
 ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は自身に寄り添う媚影の大精霊『ロベリア』と共に佇むダブル・オーの様子を伺っていた。ロベリアには奴が好みそうな胸元を強調し、身体のラインがわかりやすい……所謂イブニングドレスという物を着せている。そしてもう一人。
「…………とにかく葉巻を取れば、いいんだよね?」
 ロベリアと同じくドレスに着替えたミレナリィドール、ミルク・ティー(ヒトガタ操るメイド人形・f00378)が二人に確認を取る。
「あぁ、奴の気を逸らすには美女と酒、スリルという話だったが……」
 高い酒や毒を用意する時間も余裕も無かったしな……と言葉を続けながらミルクの方を見てみると。
「……それは酒か……?」
「うん……借りて、きた」
『良いじゃない、使える手が増えたわ』
 抱えた酒瓶とグラスをトレイに載せて準備万端とばかりにフンスっと鼻を鳴らせば。
『あらあら、ちょっとこっち向きなさいな』
 ロベリアに化粧を直されむぅむぅと鳴いている。
「もう良いか……?」
 溜息をつきながら急かすように言えばロベリアは好い男は余裕を見せる物よと流し、ミルクの化粧の仕上げに入る。
『出来た♪綺麗よ貴女』
「ん……ありがとう」
 準備は整った。手筈通りルトルファスはそのまま岩陰へ待機。ロベリアとトレイを持ったミルクがダブル・オーの元へと歩み寄る。
 演じている……という隙は見せない。自然体のままに話しかけ、対話に繋げていく。
「ねぇ?お酒飲んで見せてよ。私、男のひとの……喉仏が動く瞬間がすき、なの」
 ここに来る前……準備中に予習として見ておいたエージェントが活躍するドラマを見て勉強した台詞を精一杯の色気を出しながら言葉にする。
 二人の格好は勿論、ミルクが手渡したグラスを咄嗟に受け取ってしまい、そのまま酒を注がれてしまえば彼としては飲まざるを得ない。捨てる?そんな事できるわけが無い、自分はオブリビオンであると同時に、女が、酒が、スリルが好きなのだから。口をつける直前。
『葉巻、お預かりするわね?』
 ボディタッチからゆっくりと葉巻に手を伸ばしそのままダブル・オーから取っていく。気付かぬ男は気にせずにグラスの中の酒を口に含み。
『ふふ……良い顔するじゃない、好みよ……』
 頬に手を添えて唇を重ねる……
 あぁ、この瞬間、何物にも替え難い悦楽の時が男の身を包む。そして……それが終わりの引き金でもあるのだ。
 唇を離した瞬間、ダブル・オーの身に異変が起こる。膝に力が入らず、思わず膝を着いてしまう。途中から己が欲望に負け、葉巻を手放してしまった事に気づき、ロベリアを見るがもう遅い。
「喉、鳴ったね……」
 後悔させる暇は与えない。発言しようと唾を飲み込んだ瞬間、自身の体が軽さを覚える。
 なにがあった?咄嗟に手で銃を取り出そうとするも感覚が無い。
「……これで終わり」
 両の腕が落ちるのを見る。ミルクが繰り出した不可視の糸が切った……等、ダブル・オーには既に判別はつかない。
『さようなら』
 ロベリアの口付けで思考する体力をも奪われもう男に出来ることは無かった。
「ついでだ、これも受け取っておけ」
 背後から突き刺される剣は胸を貫き、トドメの一撃と成す。
 オブリビオンが最後に見た光景は最高の美女達の妖艶なドレス姿。悔いは、無いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
自分の名は秋山 軍犬、酒瓶片手に
伝説の『ダブル・オー』と一勝負しに来たっす

その前に、まずは、一緒に一杯
あいさつ代わりに上等なウイスキーでも

さて、勝負の方法っすけど…ん? 酒飲んだ時の隙?
狙わねっすよ? 言ったすよね、一勝負しに来たって

改めて、勝負方法はコイントス
コインの裏表を当てた方が相手を一発殴れる
負けた方は素直にくらう

ああ、葉巻は…
いや、アンタにゃ言うまでもねっすね、失礼

詫びにコイン投げる権利はアンタに

イカサマ? 無理っすね
この手の勝負で自分がスリルを感じるためのイカサマはしても
ただ、安全を確保する為だけのイカサマはしないっすよ
アンタは

良く言えばプライド、矜持
悪く言えば悪癖、病気っすね。



『ほぉ?真正面から来るか』
「自分の名は秋山 軍犬、伝説と名高い『ダブル・オー』と一勝負しにきたっす」
 秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)、三下口調に読めない表情。ダブル・オーはこの時既に警戒を最大限に引き上げていく。読ませない……というのは戦闘において定番でありながら基本の一つでもある。
「先ずは一杯……挨拶代わりにウイスキーでもどうっすか」
 罠か、この様な状況で杯を交わす等、罠以外の何物でもないだろう。
『良いねぇ、しかもとびきり上等な酒まで持ち込んでご機嫌じゃないか』
「ははは、どうせ飲むなら美味い酒と決めてるっす。それで勝負の方法は……っと」
 ここにきて軍犬はダブル・オーの視線、軽口を叩きながらも此方への警戒を強めている事に気づく。
「あぁ、酒の隙って奴っすか?狙わねっすよ。言ったっすよね?」
 ───一勝負しにきたって。
 グラスに注いだウイスキーを手渡し、毒が無い証明として自身で一口……
『ハハハっ!本当に酒飲みが目的かよ!この状況で!狂ってやがるぜ!!』
「最初からそう言ってるっす。さて、勝負方法はコイントス。シンプルに裏表を選び当てた方が相手を一発殴る……簡単でしょ?」
 ククク……と笑いながら渡されたウイスキーを一口で飲み干しグラスを軍犬に放る。グラスの毒、という可能性もあったがここまで煽られたのだ。乗る以外無いだろう。葉巻を投げ捨て自らの利を捨てる。こんなのがあったら面白く無いだろう?
「葉巻は……いや、アンタにゃ言うまでもねっすね、失礼。詫びにコイントスの権利はアンタに」
 軍犬から投げ渡されたコインを指で弾き……

 空を回転するコインを手の甲で抑える。
 表か、裏か

『俺がイカサマするとは思わなかったのか?出来るぜ?俺ならよ』

「無理っすね、この手の勝負で自分がスリルを感じるためのイカサマはしても、ただ、安全を確保する為だけのイカサマはしないっすよ」

「アンタは」

 軍犬が選び、ダブル・オーが抑えていた手をどける。

「良く言えばプライド、矜持。悪く言えば悪癖、病気っすね」
 ニィ……と嗤うダブル・オー。仕方ないではないか。
『俺はスリルが何よりも好きなんだからよ』
 軍犬の拳が顔面に触れるまで、彼はその笑みを崩す事は無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

石守・舞花
みてください、和風美女ですよー
と、冗談はさておき
スリルでせめてみます

服装は敢えて私服の白パーカー
包丁を逆手に持ち、ブラッドガイストで殺戮捕食態になったワニガメ(でかくて凶悪な見た目)と一緒にホラー映画の殺人鬼っぽい演技で向かっていきます
「あははははっ」
撃たれても【激痛耐性】で痛みも感じないほど狂ったふりをして、血まみれのまま斬りかかります
驚いて葉巻を落とせばしめたもの、どうしても落とさないなら力ずくで葉巻を【部位破壊】です

撃たれたダメージはさすがにバカにならないので、攻撃が通れば【生命力吸収】させてください
変装解いたってムダです。いしがみさんもワニガメも腹ペコです



「見てください和風美女ですよー」
 と、冗談を零しつつ石守・舞花(神石の巫女・f17791)が狙うのは美女……の部分では無くスリルの部分。バンザイをしながら自身の美女……美少女っぷりをアピールする姿にダブル・オーも僅かに困惑している。
「美女では靡きませんか、仕方ないですね」
 白いパーカー、ポーチの中をまさぐる姿は可愛らしい少女にしか見えない。そう……その中から出した物を見るまでは。
 取り出した包丁を逆手に持ち、ブラッドガイストを発動させる。自身の手の甲を切り流した血液が包丁を赤く染めあげてその姿を巨大なワニガメへと変化させる。
 咄嗟に後方へと飛び、距離を取るダブル・オー。まだ慌てる時ではない、銃を構え目の前の少女の眉間を狙えば。
「あははははははははははははははは!!!」
 顔に自身の血を塗り高らかに吼える。焦点は常に眼前のスパイを捉えて離さない。
 舌打ちしながら銃を撃つも巨大なワニガメに阻まれる、当たっても物ともせずに此方へ駆けてくる。その姿はさながらホラー映画の怪物の様だ。ダブル・オーから見てみれば狂った少女にしか見えないが舞花自身は冷静に戦況を見ていた。白いパーカーというのも付着した血液を際立たせる為の仕込み、追い掛けられる恐怖というものは人間的思考を持つ者ならば効果も絶大だろう。
 笑いながらワニガメを振るう姿も力任せと見せかけながら葉巻を狙っている、それを読ませない為の演技でもあるが。
「いしがみさん捕まえちゃいましたぁ」
 僅かな隙、呼吸の為に開いた口にワニガメが襲う。噛み砕かれた葉巻……これで形勢は更に舞花の方へと傾いていく。
 ドンッ!!
 脇腹を噛まれ食い込まれる歯。これ以上は保てないとダブル・オーもその変装を解いて脱出しようとするが、これも読まれている。
「変装解いたってムダです」
 掴まれる本体、血塗れの少女が艶やかに嗤うその姿を見てダブル・オーは死期を悟りながら思う。
「いしがみさんもワニガメも腹ペコです」
 女はいくつになっても……

「いただきまぁす」
 怖いものだ……と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アテナ・カナメ
【心情】なんか、色んなスパイや怪盗の設定が入り混じった映画のキャラみたいね…ぱっと見敵には見えないけど…でもオブリビオンなら仕方ないわね。倒すわ!
酒は用意できるけど美女とスリルは…あっ。(自分の中の人に気づく)宛那、申し訳ないけどあなたの身体で色仕掛けするわ!大丈夫!あなたは綺麗で可愛いから!

【作戦】とりあえずマントをつけずに水着美女としてウイスキーの瓶を持ちつつ敵に近づくわ。「ねーえ、私と一緒にお酒のまなーい(赤面してぎこちなく)」と誘惑して相手が動きを止めたらその隙に葉巻を奪ってそのままバーニングパンチよ!
(絡み・アドリブOK)


ローズ・ベルシュタイン
WIZ判定の行動
アドリブや他猟兵との共闘歓迎

■心情
神鋼の鎧ですか、なかなか厄介な代物ですわね。
ですが、どんな鎧でも万能ではありませんわ。
必ず隙を突いて倒してしまいましょう。

■行動
相手は美女がお好きな様なら、私が囮になりましょうかね。
【誘惑】で敵の興味を誘い、油断させますわね。
その後に、【スナイパー】で『プリンセス・ローズ』を使い
敵の葉巻を狙って【部位破壊】し、葉巻を落とさせますわね。

その後は、【2回攻撃】で即座に連続攻撃し
【気絶攻撃】や【マヒ攻撃】で敵の動きを止めつつ戦いますわね。

敵の攻撃に対しては、私のユーベルコードで相殺し
相殺出来なかった分は【盾受け】や【武器受け】で防御しますわ。



「なんか、色んなスパイや怪盗の設定が入り混じった映画のキャラみたいね……」
 燃えるヒーローマスク、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)
「そして神鋼の鎧ですか、形という概念が無い鎧とはなかなか厄介な代物ですわね」
 靡く橙色の髪を抑えながら、敵の様子を伺うのはローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)
「ぱっと見は敵には見えないけれど……」
「見た目に騙されてはいけませんわ、オブリビオンはオブリビオン、きっちり倒しきりませんと」
「えぇ!頑張るわ!」
 作戦はこうだ。ローズとアテナ、彼女達は誰しもが認める程の美女……と言っても決して過言では無いだろう。自身の容姿を利用し、ダブル・オーを誘惑。アテナが葉巻を奪取、ローズがその補助を受け持ち、葉巻を奪えた段階で二人で攻撃に移る……シンプルにして最大限の効果を求めるという攻め向きの戦術だ。
「問題は如何に誘惑をするか……ですわね」
「酒はあるけど……これ持って酔わせる?酒好きらしいし」
「グラス持てば付け入る隙もできますか……やってみましょう」

 気配の元の方へと向くダブル・オー、そこに立っていたのは見目麗しい少女と、際どい水着姿の少女。一人が気品高い美しさだとしたら、もう一人は色気に溢れた艶やかさ。
「ね、ねーえ、私と一緒にお酒のまなーい?」
「(宛那、ごめんね……貴女の身体で色仕掛けするわ。だ、大丈夫よ!貴女は綺麗で可愛いのだから!)」
 誰に言い訳しているのか、アテナは赤面しつつぎこちない笑みを浮かべながら話しかける。
「(大丈夫でしょうか……ここは)」
「ごきげんよう、戦闘の前に……一杯お付き合い頂けないでしょうか」
 ローズのフォローもあり、ダブル・オーも次第に警戒を解いていく。マスクをした少女、少なくとも演技をしているにしてはぎこちなさ過ぎる。この後押しもあって杯を受け取るぐらいには誘いに乗ってきたのだ。
 口につける為葉巻を指でずらそうとした瞬間……
 ───弾ける様な音と共に火花が爆ぜる。
 それは銃弾が銃身に弾かれる音。ダブル・オーは全ての警戒を解いていた訳では無かった。そのまま銃口をローズへと向け……
「バァァァァニング───」
 ……る事は叶わず。
「パァァァンチッッッ!!!!!」
 一瞬でも意識から外してしまっていた。確かにこの鎧はあらゆる攻撃に耐性を持つが……

 葉巻という付属品には適応されない!
 纏う炎が葉巻を焦がし、消し炭にする。そのまま打ち抜かれる顔面。
 まだだ!変装を解き本体が引き出される。落としのライセンスを持って彼女達の動きを止め……
「させませんわ」
 突き刺さるオレンジの薔薇、それは儚き不壊の薔薇。ここでUCを相殺されてしまっては……
「もぉぉぉいっぱぁぁつ!!!!」
「そこですわっっ!!!」
 顔面にアテナの拳、腹にプリンセス・ローズの麻痺弾が撃ち込まれ。吹き飛ばされ遠くの巨岩に激突。めり込まれた身体は力無く地へと落ちて行くのみ。

「ふぅ……上手くいきましたわね」
「さ、トドメを刺しに行こうか!」

 えぇ、と返し、昏倒しているダブル・オーの元へと向かう二人。その後ろ姿は美しくも可憐な、力強き女傑の雰囲気を醸し出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

おやおや、こりゃまた渋いナイスミドルじゃないのさ。
カブに乗ったままライダースーツ姿で乗り付け、
ヘルメットを脱いでふぁさっと髪をなびかせる。
しかしここは暑いねぇ、この黒いスーツじゃ蒸れちまう。
だから、ちょっと失礼するよっと!

ダブル・オーの目の前で大胆にも『早着替え』!
赤い水着姿になって、
誘う様にウィンク一つ飛ばしてやろうじゃないの。

そうしてアタシ自身に注意を『おびき寄せ』たなら
その隙に【縁手繰る掌】を発動。
すまないね、アタシはアンタみたいなナイスミドルも嫌いじゃないけど……
その葉巻だけはいけ好かないんでね!
くすね取らせてもらったよ!

後は電撃の『衝撃波』でぶっ飛ばす!



 モニュメントバレー、佇むダブル・オーの前に一台の赤いカブが止まる。ヘルメットに黒いライダースーツ。エンジンを止めマフラー音が次第に小さくなっていく。ヘルメットを取れば焦げ茶の髪を靡かせる美女、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)がそこに現れる。
「おやおや、こりゃまた渋いナイスミドルじゃないのさ。敵にしておくのは勿体無い」
 スラリとした脚、スーツごしでもわかる無駄のない身体のライン。彫りの深いワイルドな顔立ちは一目見れば記憶に残る美人である。ダブル・オーはこの後、戦闘になると分かっていても見惚れてしまっていた。
「しかしここは暑いねぇ、この黒いスーツじゃ蒸れちまう……」
 多喜はそう言いながら見せつける様にライダースーツのファスナーを下げていき。
「だから、ちょっと失礼するよっと!」
 早着替えの要領でライダースーツを脱げば、赤い水着姿の多喜が登場する。予想していた通りだ。程よい筋肉に脚線美、無駄な物が無いパーフェクトなボディはダブル・オーの好みにクリティカルだ。誘う様にウインクをされてしまえば如何なる罠だとしても乗らずにはいられない。その思考、注意力の散漫こそが彼女の狙いであり決定打となる。
「すまないね、アタシはアンタみたいなナイスミドルも嫌いじゃないけど……」
 瞬きをしている内に距離を詰める。縁手繰る掌は多喜とダブル・オーの物理的距離をゼロにし……
「その葉巻だけはいけ好かないんでね、くすね取らせてもらったよ!」
 その間数秒もあっただろうか。多喜の手にはダブル・オーが咥えていた葉巻が掴まれていた。
「流石、そこで笑うなんて、アンタも好きだねぇ」
 ダブル・オーは笑う、有利を奪われ相手は猟兵……ここで勝つなんて分の悪い賭けみたいなものだ。だがそれで良い、このスリルこそが……

 彼が求めていたものなのだから。

 秘密兵器を召喚しようと陣を張ろうとしたその時……
「やらせないよ」
 雷が乗った衝撃波がダブル・オー意識を刈り取る。せめてこの美女を自身の手で抱き上げたかった……消えゆく意識の中、最後の最後まで己が欲に忠実な男であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月11日


挿絵イラスト