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クレイジーフィッシュ・オン・アイス!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●氷漬けのフロア
 勇敢と無謀はいつも表裏一体だ。
 なぜって、そこはいつ凍死してもおかしくないほどの冷気で満たされているから。
 おまけに寒さに慣れてしまったオブリビオンがうようよ徘徊していて、スケートよろしく滑り倒している。
「なんか、『ちっこい鬼』みたいなやつと、『でっかい魚』みたいなやつがいるらしいんだけど、そいつ、寒さでよく覚えてないんだってさ」
「ん? ボクが聞いたウワサとちょっと違いますね……ボクは、凍りついた通路があって、地下へと坂になってて、絶叫マシンクラスの恐怖体験と寒さで凍えて、『小鬼』に追いかけまわされる……とか、なんとか……」
「えええ、私もソレっぽいの聞いたよ! なんかね、とにかくツララとか、氷の球とかが降ってくるの!」
 しかしこの手のウワサは、日常の挨拶程度に囁かれているのが常だ。
 三人は、楽しげに笑いながら、次のウワサ話に花を咲かせた。
「でも、ちょっと行ってみたいよね! スケート!」
「まあ、楽しそうではありますね」
「災魔に襲われるのは勘弁願いたいが……オレも興味はある」
 顔を見合わせて、一拍後、にんまりと笑い合う三人の、若い冒険心に火がついた。

●凍えるグリモアベース
 紺色の三白眼が炯々と眇められて、薄っぺらい体を丸め、寒さを紛らわせようとガタガタと貧乏ゆすりをする鳴北・誉人の、悪人ぐあいといったら……思わず苦笑が漏れるほどだった。
「おぅ、待ってたぜ」
 その悪人面とは裏腹に、気軽に手を挙げて挨拶する。決して機嫌が悪いわけではない誉人は、視た予知について話し出した。
「アルダワ魔法学校の地下迷宮に、氷漬けにされてるフロアが見つかったンだけどよ、その形状がちと問題ッつーか、なんていうか、ジェットコースター? ウォータースライダー、いや、水じゃねえからァ……アイススライダー? まあそんな感じで。
 で、迷路みてえに分岐しまくっていて――ただどんなルートを辿ろうが、ひとつのフロアにたどり着くんだけど、とにかく、どこに行こうが落ちて落ちて、滑っていく。
 どんな魔法がかかってんのか、さっぱりわッかんねえけど、飛行状態のヤツめがけて、どこからともなく氷の球が飛んできて撃ち落とされッから、滑った方がいいかもしンねえな。
 で、気付いたときにゃあ、ふってわいたようなグレムリンの大群に追いかけられてンだけど、」
「え?」
「んァ?」
「お、追いかけられるのか?」
 話を聞いていた猟兵の心配に、誉人はなんでもないように、あっけらかんとして答えた。
「ああ、おめえらを襲おうとして、追っかけてくンだけど、ソイツらもなすすべなく滑り落ちてくる。たぶん寒すぎて飛べなくなっちまったんじゃねえかな。いや、氷の球のトラップに引っ掛かったか――でも超絶元気そうだから、楽しんでるだけかもしンねえ。よくはわからん。
 まあ、滑り落ちてる間、グレムリンどもも手出しはできねえし、前向いてなきゃツララやら、デコボコやら、アクシデントに対応しきれねェかもしンねえからな。余所見すんじゃねえぞ」
 落ちてくるツララ、突き出ている氷の柱、壁にくっついている氷塊は岩のようで、ジャンプ台のように隆起している場所もある。
 そこをグレムリンに追いつかれないように滑り落ちてもらいたい。
「でだ、スライダーのゴールは、凍ったフロアだ。そこまで落ちりゃあ、追っかけてきたグレムリンどもと戦うことになンだろうけど、――今の段階で、視えたのはそんぐらいだ。
 とはいえ、このまま放っておいたら、ウワサを確かめようとした学園の連中に被害がおよぶ可能性もあるから、見過ごせねえ」
 仄青い球型のグリモアに、精緻な文様が浮かび上がる。
 寒さのため眉間に深く皺を寄せていた誉人だったが、それをほぐして、ようやく頬に笑みを浮かべた。
「じゃ、頼んだぜ」


藤野キワミ
年が明けまして、初笑いも終えて、仕事始めも済んで、すっかり日常が戻ってきました。藤野です。
初めましても方も、そうでない方も、体調崩してないですか?
大丈夫なら、さッ、どんとこーい!

さて、極寒のフロアで滑って落ちて戦いますよ。
氷上の血戦です。いや、言い過ぎかもしれません。
第一章ははっちゃけます。グレムリンのことはさておいて、スピード狂になってください。
二章三章はおいおい開示します。
一緒に行動される方がいる場合は、呼び方(f~)の表記があると迷子になりません。

それでは、よろしくお願いします!
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第1章 冒険 『氷上で舞え』

POW   :    障害物など気にせず、破壊しながら進む。

SPD   :    華麗に滑り、障害物を避けていく。

WIZ   :    魔法で滑りを調整したり、滑る向きを調べて障害物を避けながら進む。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

青葉・颯夏
ルーナ(f01357)と同行

今回はずいぶんと寒いわね
あなたのいつもの恰好じゃ凍えるからしっかり着込んでおきなさい
あたしもスノーウェアを着ておく
【氷結耐性】もあるから少しはましかしら

ルーナからの情報も活用しつつ、障害物を避けながら進む
【第六感】で最悪、障害にぶつかる前に察知できるはず


ルーナ・リェナ
颯夏(f00027)と同行

ううう、ほんっとに寒い!
着るのは好きじゃないけどさすがにいつものじゃ無理なのはわかる
動きにくいし、滑るときは颯夏の頭に乗ってく
これでも駄目そうなら膝の上ね

【地形の利用】で滑りやすそうなところを見つけ次第颯夏に教える
危なそうなのは【野生の勘】でわかるかな
あと、前に滑った人がいればその跡を【追跡】したり
とにかく早く滑ってグレムリンと戦う準備しなきゃ



「今回はずいぶんと寒いわね」
「ううう、ほんっとに寒い!」
「いつもの恰好じゃ凍えるから、しっかり着込んでおきなさい」
「着るのは好きじゃない……けど、さすがにいつものじゃ無理なのはわかる……でもでも、動きにくいし……」
「あたしもスノーウェア着てきてるのよ、ちょっと我慢して」
「颯夏、頭に乗せてね」
「どこにいてもかまわないけれど、危なそうなら膝の上にいてね」
 ……という会話をしたのは、スライダーに突入する前だったか。
 青葉・颯夏はルーナ・リェナを膝に乗せて、お尻から伝わってくる冷たさと、びゅんびゅんぶち当たってくる凍った風と、想像以上のスピードに体が縮こまるようだった。
 【耐性】がついているとはいえ、寒いものは寒いし、冷たい。凍る。痛い。ちぎれる!
「そぉ、か……だいじょぶ?」
「うううう! はやいぃ……!」
 ここを耐えなければ、どうにもならないのは分かっている――そのとき、颯夏の【第六感】が働いて、ぐいっと左側へ体を傾ける――瞬間、右肩の先をツララが掠めていった。
「あぶっ……わわ、颯夏、なんか、左左!」
「そんっ、きゃあ!?」
 ルーナの【野生の勘】が冴え渡ったが、時すでに遅し。
 そこにあったのは、突然のジャンプ台っぽく隆起した氷の塊だった。
 浮遊感は一瞬。
 覚悟を決めて、来る衝撃にルーナは颯夏の服にしがみ付く。
 ドッ!!
 間もなくお尻から落ちて、したたかに打ちつけた。その衝撃は腰にまで到達。颯夏は泣きたくなった。
「ぁうう……ちょっと舌噛んだぁ……いたい……」
「うあ、大丈夫? て、ダメ! 危ない危ない危なーい!!」
 お尻の痛みに耐えて、ルーナの見つけてくれるルートを辿ろうとするが、なかなか舵取りは思うようにいかず、障害物に翻弄され続けた。
 寒いし冷たいし痛いし速いし、なんだか背後がギャーギャー喧しくなってきたし。
 せめてもの救いは膝の上にいるルーナが無傷で、賑やかにまくし立てていることだ。
 ルーナが地形を読んで知らせてくれるおかげで、直撃は避けられたし、デコボコの感触はバランスを取るため広げていた、左掌のみに感じた――そこを滑っていれば、お尻へのダメージは計り知れないものになっていただろう。
「とにかく、はやく滑り終わって、グレムリンと戦う準備しなきゃ! 颯夏、頑張って!」
「……帰ったら、あったかいもの、食べたいわ……」
「わたしに任せときなさーい! わああ! ツララふってくるよー!」
「まだあるの……? もう終わって……!」
 颯夏の懸命な滑走は続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クリスティーナ・ツァルリーノ
この私の華麗な滑りを見せて差し上げますわ!
って、きゃああああああああああああ!
思ったより滑ります!つるつるしますわ!
うぅー……転んでお尻を打ってしまいました……
寒いしお尻痛いし……何なんですのココ……
むぅぅぅ!もういいです!全部私の「ルーンソード」で
ぶった切っていきますわ!サーチ&デストロイですの!
このままボスの元までいっちゃいます!!
…………でもやっぱり寒いですわー!
あ、そうだ!【トリニティ・エンハンス】は炎を含めた3種の魔力
これを使えばきっと暖かいはずですわ!私あったま良いー♪
えへへー、なんかいけそうな気がして来ましたわ!



「この私の華麗な滑りを見せて差し上げま、って、きゃああああああああああああ!」
 クリスティーナ・ツァルリーノの絶叫がこだまする。
 ぎりぎりで降ってきたツララを躱して、バランスを崩したことろへ襲いかかるのは、デコボコゾーン!
「イダダダダダダ!!」
 まんまとお尻への強烈なダメージをくらってしまったクリスティーナは、予想外のスピードと滑りの良さに、呻いた。
「うぅー……痛いですわ……ッてい!」
 屹立する氷の柱を蹴っ飛ばして直撃を免れる。
「寒いしお尻痛いし……何なんですのココ……むぅぅぅ! もういいです!」
 絶え間なく襲いくるトラップの数々に、クリスティーナは、やけくそ気味に叫んだ。
 取り出したるは伝家の宝刀《ルーンソード》! この先のトラップをすべてぶった切る! と息まいた。その言を遂行する――ルーンが煌めいて、轟然たる炎を纏い横たわる氷塊を真っ二つに、一太刀で切り捨てた。
「サーチ&デストロイですわ! ……でもやっぱり寒いですわー!」
 お尻で滑り続けていることもあって、もう背筋がゾクゾクしてたまらない――が、そこでクリスティーナは閃く。
 コミックのように頭上で豆電球がピカーンと光ったかのように、彼女はピンク色の眼を輝かせた。
 【トリニティ・エンハンス】で、炎の魔力を増幅させ、自身を守る火炎の盾とする――
「これは……! 私、あったま良いー♪」
 思いつきであったが、なかなか。滑り落ちていく風による冷気は抑えられた。が、お尻の冷たさを遮ることはできなかった。
 しかし、ないよりマシ。
「えへへー、なんか、このままボスの元までいけそうな気がして来ましたわ!!」
 ビュンビュン行きます! とクリスティーナは、《ルーンソード》を構えなおした。

成功 🔵​🔵​🔴​

エリエール・アルストロメリア
さて、どうせ滑っている間は敵に対応できないわけですし、滑り降りてしまうことを優先してしまいましょう
幸い、どういうルートになろうとも終点は同じ、道を考える必要もないのですから、いかに消耗せずに進めるかが重要になるのでしょう
つまり、細かいことを考えずに、障害物をぶち抜いていけばいいのです
ランスを構えれば空気抵抗も減り、より速度を上げられるのではないですかね?
その勢いを利用すればつららなどは破壊しやすいでしょう
あとはデコボコやジャンプ台ですが、これも勢いで突破すればなんとかなるでしょう
考えるな感じるんだの精神で、一気に突破しますよ
力で解決する方が早いこともあるのです、ええ



(「どういうルートになろうとも、終点は同じ――となれば、さっさと滑り下りてしまうことを優先してしまいましょう」)
 エリエール・アルストロメリアは、《ドラゴンランス》を前のめりに構えて、空気抵抗をできるだけ少なくして、スピードに乗っていく。
 びょうびょうと凍った風が、耳を引き千切らんばかりに冷やしていく。
 勢いあるのみ!
 このスピードの中、あれやこれやと考える余裕はない。分岐のたびに、ただ氷の壁にぶつからないことだけを考えればいいのだ。
 いかに消耗せずに進めるか、省エネに徹することが重要になる――というのがエリエールの出した答えだった。
 背後に迫るのは、グレムリンの軍勢――なにやらぎゃいぎゃい騒いでいるが、エリエールの耳には強烈な風の音がぶつかって響き、よくは聞き取れなかった。
 しかし、グリモア猟兵が言うには、このまま滑り落ちている間は、襲ってくることはない。
 ならば、無視!
 こいつらを引き連れていくことは不本意ではあるが、今はなにも考えず、ゴールたるフロアまで滑走する。
 《ドラゴンランス》と一体化するイメージ――最速の一本の槍となり、勢いに任せれば、この先待ち構えているトラップなんぞ粉微塵にしてやる自信はある。
「っ!」
 カーブの先に躱しきれない氷塊。エリエールは渾身の力を込めて刺突して、粉砕した。
(「うん、いい感じ」)
 凍る空気を斬り裂いて、エリエールの赤瞳に飛び込んできたのは、細かく鋭いデコボコゾーン!
「いたっ、くぅ……!」
 スピードが上がっていて、衝撃もなかなかに強いものだったが、その分速く走り抜けることができた。
「このまま考えるな感じるんだの精神で、一気に突破しますよ、ええ」
 時には力で解決する方が、好手となることもあるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミサヲ・カリナ
WIZ
飛んでると撃ち落とされるなら潔く滑るとしかないよね。
折角ならどれくらいのスピードを出せるか試して見るのも面白うそうだ。
とはいえ、あまりスピードを出しすぎてちゃ障害物や分岐に対応出来なさそうだから、直線コースだけ飛ばしてみようかな。
何かあった時に直ぐ対応できるようフレスヴェルグ(ドラゴンランス)と一緒に、
「いざ行くよ!」
スピードを出し過ぎたり障害物が見えたら、フレスヴェルグを槍に変えて、特技[串刺し]で氷上や氷壁に槍を突き立ててスピードを調整しながら滑って行こう。
本気で不味い時だけ、【禍花の大輪】で障害物を壊すよ。



 このアイススライダーのトラップに、「飛行状態の者に氷の球が飛んできて撃ち落とされる」というものがある。
 滑ってこいということなのだろうか――ミサヲ・カリナは、しかしそれに逆らうでなし、素直に滑り落ちることを選んだ。
 しかも、どれほどスピードに乗って滑れるかという、冒険心が疼いている。
 だが、うっかりスピードを出しすぎて、トラップに対応できないなんてことになれば、元も子もない。
「よし、直線だけ試してみよう! いざ、行くよ!」
 極寒のスライダーへ!
 いくつものツララが降ってきて、砕け散った破片が頬を掠める――が、それどころでないくらいに寒さが勝つ。
 これは思った以上に凍える――ミサヲは、それでも万事に備えて、《フレスヴェルグ》と共に滑走する。
「わああああ!」
 お尻を削られるような感覚が、ミサヲを襲う。
 デコボコゾーンの襲来だったが、彼は冷静に槍型に変形させた《フレスヴェルグ》を、氷道に突き立ててスピードを落とす。
 瞬間、背後が騒がしくなった。
 振り返らなくても、分かる。グレムリンの大群だ。
「なるほど! そういう仕掛けか!」
 スピードに乗って滑走し続けるなら、やつらは脅威ではないが、一たびスピードが落ちると一気に追いつかれてしまうのではないか。
「なら、スピードを上げるだけのこと」
 身を伏せて、しっかりと前を見据えて、ヘアピンカーブに突入した。
 ぐうっと重力にひっぱられアールのついた壁を滑走、バランスを取りながら、壁を削るように槍を突き立てスピードを少し落とす。
「っ……!」
 コーナーを抜ける、瞠目し、なにも考えられないまま瞬時の判断で、ミサヲの手は確実に《フレスヴェルグ》を操り、ぎりぎりのところで氷塊を躱した。
 そこでまたもや分岐する。適当に右側のルートを選び、落ちてくるツララを槍で防ぎながら、集中力を途切れさせないようにスピードをコントロールすれば、
「おお、っと……! ここは!」
 見下ろす限り、氷の柱も氷塊もないただの通路だ。ガリガリと床を削っていた槍の切っ先を上げて、体勢を低くした。
「僕の腕の見せ所だね」
 もう誰にも止められない好奇心を抱えて、ミサヲはぐんぐんスピードを上げて滑り落ちていく!


 そして、現れたのは、ぽっかりと空いた、奈落への穴。
 ミサヲは瞬時に理解した。
 これが、スライダーの最終地点。
 この先で、背後のグレムリンどもと戦うことになるのだ、と。 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『グレムリン』

POW   :    スパナスマッシュ
【巨大なスパナ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ツールボックス
いま戦っている対象に有効な【分解用の工具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    ハイドアンドシーク
自身と自身の装備、【アイコンタクトをとった】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが降り立ったそこは、なにもない――光る玉がぷかんぷかんと浮かぶだけの、なにもない広間だった。
 天井を見上げれば、大きな穴がひとつふたつみっつ……けっこうな数が空いている。
「おわっちまったなー!! 楽しかったか!?」
 やけにハイテンションなグレムリンは、大きなスパナをぶんぶん振りまわして、凍った羽をばたつかせて、嬉しそうに飛んでいる。
「楽しかったんなら、次はオレたちの相手してくれよ! ここまで一緒に来れたヤツいなくって!」
 よくしゃべるグレムリンの後ろには、十四体のグレムリン――合わせて、十五体。
「……アレ? なんか少なくなってない?」
「スライダーにハマったヤツがいて、ワンスモアーアゲイーンって戻っていったからじゃない?」
 ガビーン(古)とショックを受けるグレムリンは、一時放っておくとして。
 グレムリンの大群は、やる気まんまんにスパナを掲げて見せた。
青葉・颯夏
ルーナ(f01357)と同行

……今、ものすごく機嫌が悪いの
だからおとなしくやつ当たられなさい

ルーナとか他の猟兵は巻き込まないようにするけど
念のために警告はしておくわ
問答無用と【先制攻撃】で花風を撃ち込んだ後、グレムリンに接近
《弓曳落星》に雷の【属性攻撃】をのせて【範囲攻撃】
近くにいる敵には《絃凛》で切断を狙う

……動いてないと寒いのよ


ルーナ・リェナ
颯夏(f00027)と同行

う、颯夏がめっちゃ怒ってる
回れ右して逃げたいくらいだけどそうもいかないよなぁ……

炎だと解凍しちゃいそうだからソルはおやすみ
それとなーく颯夏からは距離とって、イエロを呼び出して攻撃
早く終わらせないともっと怖くなりそう


エリエール・アルストロメリア
さて、15体…まあ、他に滑ってきた猟兵もいるわけですし、私だけで倒さないといけないわけでもありませんからなんとかなるでしょう
それはさておき、ここは防御力重視で【龍光覚醒】を使っておきましょうか

「さあて、我に殴られたい奴から前に出るがいい」
戦術としては、数の多いところに飛び込んで、なぎ払いでまとめて殴っていくとしようか
こういう無茶をするために防御力を重点的に上げたのだからなあ
戦える数を早く減らすことで被害を減らし、結果的に体力を温存する
そして、受けて耐えて倒すことで、グレムリンたちが満足すればそれはそれでよかろうよ
倒せる、と判断したら【ドラゴニック・エンド】も容赦なく叩き込んでいくが



「さて……」
 冷たくなったお尻をさっと一払い、追ってきたグレムリンどもを見渡す。
 三十個の目が爛々と輝いて、エリエールらを見ている。一人で相手をするには厄介な数だ。
 しかし、彼女のほかにも、あのスライダーを滑り下りてきた猟兵もいるのだ。手分けをすればなんとかなるだろう。
「……今、ものすごく機嫌が悪いの」
 エリエールは、眉を上げて小さく驚いた。
「う、颯夏がめっちゃ怒ってる……」
 静かに怒る颯夏の傍を飛んでいるルーナの、怯えたような、呆れたような、なんとも言い難い苦笑を見て、それほど深刻なものではないのかと推察。
「おとなしくやつ当たられなさい」
 スライダーでよほどな目に遭ってきたのだろうか。エリエールは、思案しかけたが、今はグレムリンどもが先決だ。
「内に眠りし龍の光よ、ここに目覚めよ」
 スケートリンクのような氷漬けのフロアに、燦然と輝くエリエールの龍光は、彼女の肉体を強靭に守る盾となる。
(「回れ右して逃げたいくらいだけどそうもいかないよなぁ……」)
 怒れる颯夏をちらりと見やるルーナは、エリエールの自己強化を見守って、そろりと友のそばから離れながら、
「じゃあ、わたし、あっちの方からやっつけてくる、ね……?」
「そうね、少し離れておいた方が良いかもしれないわ――巻き込まないようにするけど」
 ぶわっと颯夏の足元から颶風が巻き上がる。
「気をつけておいてね」
 彼女は、エリエールをちらりと一瞥して、花風を纏う。
 エリエールも、颯夏の様子を理解してルーナとは反対方向へ駆け出し、三点からグレムリンの群れを覆うように展開した。
 フロアに漂う冷気をかき混ぜるように、問答無用のラナンキュラスの嵐が吹き荒れる!
「うぎゃー!! さむ! イタ! なにすんだ、コノ!」
「――我に殴られたい奴から前に出るがいい」
 がらりと雰囲気が一変したエリエールの本気が垣間見える――ガチガチと歯の根が合わないグレムリンどもが、折り重なって文句を垂れているところへ突撃した。
 《ドラゴニックアームズ》を一閃させ、一撃のうちに薙ぎ払う!
「どこからでもかかってこい、我が遊んでやろう」
 エリエールは赤瞳に、斬られた痛いと喧しく騒ぐグレムリンを一喝、隙なく構える。
 その混乱に乗じて、グレムリンに接近するのは、颯夏だ。
 先刻の花弁に斬り刻まれた個体へ、《絃凛》を巻きつけ更なる傷を負わせ静かにさせた。
「イエロ、そいつを喰らいつくして!」
 弱ったグレムリンに噛みついたのは、ルーナの喚び出した【凍竜(イエロ)】だった。生命力を根こそぎ奪い取られたグレムリンは、喚声を上げる間もなく絶命した。
 早く終わらせないと、颯夏はもっと怖くなるのではないだろうか――ルーナは心配するが、寒さを紛らわすために大きく動き回る颯夏の心は、徐々に落ち着き始めている。
 それもこれも、こうして颯夏の八つ当たりに付き合ってくれたグレムリンのおかげだ。否、感謝すべきではないと改めて、《弓曳落星》から放電する無数の矢を解き放った。
 そのすべてが、口ぐちに喚き散らしているグレムリンどもへ飛来!
「ギャー!! シビレル!」
「アババババ!」
 耐えきれず膝をつき、そのまま息絶えるものもいるほどの威力だったが、雷撃を躱したグレムリンの、巨大なスパナの一撃をひらりと身軽に回避している――エリエールだ。
「遅い」
「コレならどーだよ!」
 ぐるんぐるんとスピンしながらスパナを振り回して近寄ってくる別のグレムリンへ、《ドラゴニックアームズ》で応戦。
 わざわざ防御を固めてやったのだ。グレムリンどもの「遊び」に全力で付き合えば、満足するのであれば、それはそれで構わない。
 次々に打ち下ろされる巨大なスパナを躱し、受け流し、時折直撃した――ヒットした喜びをエリエールの前で爆発させたのは、愚か極まりなかった。彼女の《ドラゴニックアームズ》で激烈に殴打され、倒れ伏した。
 エリエールは、赤瞳を滾らせる。
「その程度では我を討ち取るなんぞ、不可能」
「くっそー!」
 口惜しいとグレムリンは、殴り倒れた同胞の背中を踏みつけて、こちらへドライバーを投げつけてくる!
 やつの傍らには口を大きく開けたツールボックスが転がっている――そこから出してきたのだろう。
「ウラっ! ウラっ! 刺され!」
 すっ、すっ――と彼女はドライバーを難なく躱して、そいつに肉薄。
「観念しろ、往生際が悪いぞ」
 耐えて機を見て反撃する準備はできていた――が、彼女の渾身の一撃は、なにかに躓いて外れてしまった。
「わーいわーい! 成功したー!!」
 今までいなかったグレムリンが、氷の上で腹を抱えて笑っている。透明になってエリエールの足元でうずくまっていたようだ。
「小癪な……!」
 次の瞬間、極寒の花嵐が吹き荒れて、笑い転げるグレムリンに【凍竜】が噛みつき生命力を奪い取る――二人のコンビネーションは、颯夏の機嫌が悪かろうがルーナが怯えていようが、崩れることはなかった。
「もう大丈夫? 平気?」
「……動いてないと寒いのよ」
「え……ん? もしかして、寒くって機嫌が悪かったの? さっきのアレでお尻が痛かったから、とかじゃなくて?」
「それもあるわ」
 ツツっと視線をそらした颯夏は、
「ほ、ほら、おしゃべりはあとよ、あなたも手伝って」
 なんだか釈然としなかったが、いつもの颯夏に戻っていたから結果オーライ。
 ルーナは七色の翅を震わせ、グレムリンどもを数える。
 あと十体――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クリスティーナ・ツァルリーノ
UC【トリニティ・エンハンス】で先ほどと同様にあったまりつつ、攻撃力をアップアップ!ですわ!
相手の巨大なスパナを真っ向から【ルーンソード】でぶった切ってやりますの!
このお尻の冷たさに対する怒りとかトリニティ・エンハンスの魔力とかを剣に込めた【属性攻撃】の前に、敵は無し!ですわ!
乙女のお尻の恨み、思い知らせて差し上げます!!


ミサヲ・カリナ
(氷の坂を滑り終わり)これは思った以上にどうして中々…。
もう一回上から滑りたい…!!今度はスピード重視で!

*行動
よし、坂は滑り終わったからもう普通にしてても平気かな?
グレムリンは残り10対。
一匹一匹相手にするのは厳しそうだから、まずは【禍花の大輪】で自分に近いグレムリンから体力を削って行きたいね。
爪や工具で攻撃を受けたら[武器受け]で受け、コードを使ってきたら[範囲攻撃]と【七星七縛符】で攻撃を封じられないか試してみよう。



「手繰るは深淵への花送り」
 ラナンキュラスの花弁が猛威を振るう中、猛勢に拍車をかけるのは、新たな花びらの渦――禍花の大輪を咲かせて凍る空気をかき混ぜた。
 一瞬にして凍てつくフロアに花筵を広げたのは、ようやく普段通りに羽を震わせ、滞空するミサヲだった。
 スライダーのスピードの興奮はまだ冷めていないし、なんならもう一度挑戦したいし、それが叶うならもっとスピードを出して最速で走り抜けたい!――という欲求を、理性で押しとどめる。
 どうしても思い出しては頬が緩んでしまうが、今は眼前の敵集団に集中しなければならない。
 ぎゅっと奥歯を噛みしめて、牡丹を撒き散らす!
 花弁にまみれ、斬り刻まれ、倒れるものがいた――グレムリンどもへのダメージは確実に溜まっているようだ。
 いかんせん数が多く、少しでもミサヲの近くにいるグレムリンどもの体力を奪うつもりで花嵐を巻き起こしたが、それは良い方へ転がった。
「乙女のお尻の恨み、思い知らせて差し上げます!!」
 牡丹の混乱に乗じてクリスティーナは、炎を纏いながら疾駆!
 火炎を纏わりつかせた《ルーンソード》を上段に構えて、息をつかせないままに一刀両断。
 返し刀で、屠ったグレムリンの奥にいた敵を斬り伏せる!
 冷たい空気をも一緒に切り裂くように、轟然とうねる魔力の奔流は、グレムリンの金瞳を燃やし尽くしていく。
「クッソー! よくも! オレの仲間を!」
「わああ! そのセリフ、カッコよすぎじゃない!?」
「だろ!? 一回言ってみたかった!」
「きいいいい! お黙りなさい!」
 キャッキャとはしゃぎ出したグレムリンどもと一喝したクリスティーナは、まだ冷たいお尻を気にして、《ルーンソード》を燃え盛らせる。
「順番にぶった切ってやりますわ! 私の炎の前に敵は無し! ですわ!」
「うおおお、そのセリフもカッコいい!!」
 全然懲りていないグレムリンに、クリスティーナが奔る!
 しかし次の攻撃は、ギャーギャー騒ぎながら躱されてしまった――だけでなく、巨大なスパナがクリスティーナの眼前に迫りくる!
「……――っ!?」
 反射的に目を瞑って、きたる衝撃に備えていたが一瞬後に襲ってきたのは、耳障りな金属のぶつかる甲高くざらついた音だった。
 ギイイィィィン!
 槍状《フレスヴェルグ》でスパナを弾き飛ばし、弾丸のように宙を奔り、バランスを崩したグレムリンを突き刺し穿って、黙らせた。
「僕たちと遊ぼうと言ったのは、そっちだろ、集中したらどうだい?」
 すっかり心を落ち着かせて、最善の手を尽くすことだけに頭を回し始めたミサヲだった。
「オレたちが真剣にオマエらを殺そうとしてないってこと?」
 ギランと金瞳が不穏に輝く――瞬間、大輪の牡丹が吹き荒れる。
 細かな傷を受けたグレムリンどもだったが、ミサヲに集中して工具ボックスの中から、キリを、プラスドライバーを、ハンマーを一斉に投げつけてきた!
「工具は投げるものじゃあないだろう!」
 ひらりひらりと躱し、ときに弾き受けて、ミサヲも【護符】を広範囲に投げ、グレムリンどもに貼り付けてやろうとした。
 これでグレムリンどもの攻撃手段を減らすことができれば御の字――そう思っていたが、それは叶わなかった。
「残念でしたー! このノーコンヤロー!」
 ケケケケケ! 神経を逆なでする笑い声に、ミサヲの眉がぴくっと痙攣。
「よそ見厳禁! もう一息ですわ!」
 喊声を上げ、クリスティーナの炎を纏った剣がグレムリンを屠り捨てる。
「……そうだね! たたみかけるよ!」
 気持ちを切り替えて、牡丹の花嵐を起こした。
 あと四体――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

青葉・颯夏
ルーナ(f01357)と同行

あなたたちのせいで寒いわ痛いわで大変だったわ
身体を動かしてるからいくらかましにはなったけど
そもそもあなたたちが出なければこんなことにはならなかったのよ
早く片をつけて温泉にでも入りたい……

ルーナ、いつものでいくわよ
4体の位置を確認してから花風を撃って
ルーナとは別の、手近な1体へ《雪紐》を向かわせる
からかった報いは受けてもらうわ


ルーナ・リェナ
颯夏(f00027)と同行

颯夏のご機嫌は戻ってきたけどまだちょっと怖いかも
いつものにこにこ颯夏になってもらうにはここから出ないと駄目かなぁ

あ、うん
いつものだね
炎出しても平気そうだし颯夏の花びらが散ったら
いちばん弱ってるグレムリンにソルで攻撃
温泉はわたしも入りたいなぁ



 耳障りなグレムリンの笑い声を掻き消すように猟兵たちの、怒涛の攻撃は止まない。
「ルーナ、」
 颯夏の呼び声に、ルーナは小さく返事をする。
 友の機嫌は戻ってきたとはいえ、まだいつもの柔らかく笑んでくれる颯夏ではなく、まだ頬は固く冷えている――少し、ほんの少しだが、まだ怖い。
「いつものでいくわよ」
「あ、うん。いつものだね、オッケー!」
 しかし彼女は努めて明るく応えた。
 しぶとく逃げ回り、からかい倒してくるグレムリンども位置を確認――颯夏は、四体ともを巻きこめるように狙いを定める。
「いい加減、もう逃がさないわ」
 ぶわりと舞い上がる、凍てつく花風に巻かれて、グレムリンどもは悲鳴を上げ、早々に一体が力尽きて倒れ伏した。それを横目で見ながら、己はなんとか逃げようと飛び立っていたが、その傷ついた体では颯夏の風から逃れることは出来ず、耐えきれなくなって地に落ちて動かなくなった。
 凄まじいまでの花びらの嵐が、やがて熄むころにはグレムリンは息も絶え絶えで、花嵐に巻き込まれないように少し離れていたルーナだったが、すいっと軽やかに《ソル》を駆ってグレムリンへと肉薄。
 息をするように自然な所作で槍へと変身させた《ソル》を構え、騒ぎまくるソレへと突き込む!
「ウワアア! あぶねえええ!」
 ヒイヒイ言いながらも、ルーナにドライバーを投げつけてくるが、彼女はひらりひらりと舞うように躱した。
「ちょっとは大人しくしててよね……!」
「それはオレのセリフだー!!」

 一方で、ルーナから離れたところで、《雪紐》を手繰る颯夏に向かってグレムリンが大声で文句を垂れていた。
「ちょっとマテ! オレたちが何をしたっていうんだよ! 一緒に遊んだ仲だろ!?」
「なにふざけたことを言ってるの。あなたたちのせいで、寒いわ痛いわで、とっても大変だったわ」
 《雪紐》を向かわせる颯夏は、メガネを押し上げた。
(「身体を動かしてるからいくらかましにはなったけど……」)
 こっそりと胸中で付け足したが、金髪赤瞳のからくり人形の歩みは止まらない。
「そもそも、あなたたちが出なければ、こんなことにはならなかったのよ」
 その様子の一部始終を見せられていたグレムリンは、「ヒー!!」と甲高い声で叫んで、じたばたとツールボックスを漁り始めた。
 が、遅い。
「あたしたちをからかった報いは受けてもらうわ――覚悟なさい」
 黒紅色の剣を手にした《雪紐》がグレムリンの背後から、その小さな体を一切の躊躇なく刺殺した。
「アレ? ん? ゲ! もうオレだけじゃん!」
 仲間の断末魔を聞いて、最後まで生き残ったグレムリンはおたおたと慌てふためく。しかしその手に握られているスパナは、敵意を持って先ほどから対峙しているルーナに向けられていた。
「待って、なあ、空飛ぶ仲間として、話を、」
「うっさーい! あんたなんかと仲間になった覚えはない!」
 ルーナは、ラズベリー色の双眸をキッと尖らせて、疾風のごとき速さで無合いまで詰め、赤く燃え盛る刃を突き込む!
「ウガ! アああァァ!」
 グレムリンは轟然と燃え盛り、ルーナに爪を立てようと手を伸ばしてきたがそれは、彼女に届くことなく燃え落ちた。

 ふう。

 溜息をついた颯夏の肩から力が抜けたのを見て、ルーナは彼女の頭の上に降り立った。
 ようやく訪れた静寂に、二人は目を合わせて、ふふふと笑い合った――その時。
 天井に空いている無数の穴の一つから、真っ黒い影が落ちてきた。
 一瞬後、地響き。
 それは、新たなる戦いの幕開けを意味している。
(「いつもの、にこにこ颯夏になってもらうには、早くここから出ないと駄目かなぁ)」
 息をつく間もなく、新たなオブリビオンが姿を現して、颯夏は目をとじて天――とはいえ穴のあいた天井が広がるだけだが――を仰いだ。
「早く片をつけて温泉にでも入りたい……」
「温泉いいねぇ。わたしも入りたいなぁ」
 すっかり体の芯まで冷えてしまった二人は、ここにはない温泉を夢想した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『骸の海のダンクルオルテウス』

POW   :    噛みつき
【噛みつき 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    尾撃
【尾っぽ 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    影化
【輪郭のぼやけた影 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠秋冬・春子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 どっすん! どっすん! と活きが良い重厚感たっぷりの跳ねっぷりに、猟兵たちは開いた口が塞がらなかった。
「デカい……!」
 それはあまりにも巨大な黒い影。
 太い牙、黄緑色に不気味な光を放つ双眼――そしてボールのように丸い丸い巨躯を、ばいんばいんと跳ねさせる。
 その姿から、きっと水の中だと最大限に力を発揮できるのではないだろうか。
 そう邪推してしまうような、魚型オブリビオン。
 だが、猟兵の推測をよそに、巨大魚は、ビチビチとした抵抗をやめて、その氷上で止まった。
 思いのほか気に入ったのか――それともただただ順応しただけか。
 それは判然としなかったが、ただ分かっていることはある。
 これを討たなければ、学園の生徒たちに被害が出るということだ。

 魚、否、骸の海のダンクルオルテウスは牙を剥いて、猟兵たちへ威嚇する咆哮をあげた。
ルーナ・リェナ
颯夏(f00027)と同行

あいつを倒せば帰れるんだよね
温泉入って美味しいものいーっぱい食べようね

はじめはフェイントを掛けながらソルを槍にして攻撃
颯夏が囮になってくれてるうちに目立たないように地形の利用をしながら
敵の死角に入る
あいつが颯夏しか見なくなったら
鎧無視攻撃で串刺しを狙うよ


青葉・颯夏
ルーナ(f01357)と同行

これが元凶……
ルーナ、あと少しよ
帰ったら温泉に行くからね

花風を撃ったら雪紐を向かわせる
攻撃を警戒して、基本は一撃離脱
敵がぼやけた影になったらできるだけ動かずに
弓曳落星を一斉射撃
ルーナに攻撃が行かないように注意を引いておく
それでも無理だったらかばう




「これが元凶……」
 どっすん! どっすん!
 二度跳ね、どういうことだか氷の上をスイスイ滑り――泳ぐように移動するダンクルオルテウスに、颯夏は眼鏡を押し上げた。
「あいつを倒せば帰れるんだよね」
 七色に光る蜻蛉の翅を震わせて、ルーナがスっと颯夏の元を離れる。
「ルーナ、あと少しよ。帰ったら温泉に行くからね」
「温泉入って、美味しいものいーっぱい食べようね」
 二人でこくんと頷き合って、散開。
 ルーナは、ダンクルオルテウスの目の前を飛び回りフェイントをかけながら、槍型にした《ソル》を奔らせた。
 災魔の注意がルーナに向いたその一瞬で、ラナンキュラスの花弁が吹き荒れた。
 花風――タンペット・ドゥ・フルール。
 颯夏の美麗で凶悪な花弁たちは、ダンクルオルテウスを無残に微塵に刻もうと猛威を振るった。
「あなたの相手はわたしが務めます」
 《雪紐》を向かわせながら、颯夏が声を上げる。
 存分に気を引きつけられたなら、ルーナが死角から攻撃する――二人の鉄板のコンビネーションを決める手筈だった。
 輪郭がぼやけ始めたダンクルオルテウスだったが、それは己の傷を癒すためのものではなく、己を高め瞬殺するための前準備――その予兆を見逃さなかった颯夏は、その場に止まり、弓弦をギリギリと引いた。
「させない」
 《弓曳落星》の一斉射撃によって、矢だけを追わすように仕向ける――果たして、その目論見通りになった。どすんどすんと豪快に跳ねて矢を食い、尾びれを振るためにその場で高速スピン!
「……意外と芸達者じゃないの」
 うっそりと呟いた。
 そんな颯夏が矢面に立ち、ダンクルオルテウスの気を引き続けたために、ルーナは自由に動くことができた。
 魚のスピンは初めて見た――が、今はそれどころではない。
(「いくよ、ソル!」)
 槍型に変形したドラゴンに胸中で声をかけ、外殻を刺し貫く鋭い突きを放つ!
「……ッ!?」
 串刺し――とまではいかなかったが、緋色の穂先が魚の外殻にめり込んで、深い傷を負わせた。

「ぐうぉぉぉおお――!!」

 形容しがたい低い低い叫び声を上げたダンクルオルテウスは、その痛みを感じているのだろうか――もだえるようにルーナを尾で叩き落そうと、強烈な尾撃!
「ルーナ!」
 それを寸でのところで躱して、ルーナは颯夏に無事を知らせ、魚にはお返しとばかりに、ひらりと舞い上がり電光石火の刺突を見舞う!
 ダンクルオルテウスはもう一度苦悶の叫びをあげて、ギチギチと牙を打ち鳴らした。
「もー!! はやく温泉に入りたいのにー!! このお魚め!」
 びったんびったんと氷上を跳ねる災魔にはルーナの声なんぞ聞こえてない――のだろうか、もう一度、ぼんやりとぼやけ始める。
「しつこいわね、ほんと。イヤになっちゃう」
 颯夏は花風を巻き起こして、荒れ狂う花の奔流は、ダンクルオルテウスを一息に飲み込んだ。
 この冷え切った体を温め癒すには、もはや温泉しかないのだ。
 二人の切なる願いを乗せて、否、断ち切って、巨魚は咆哮を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クリスティーナ・ツァルリーノ
ふふふ、オブリビオンの癖に無駄に活きがよいお魚さんですこと!
でしたら私が美味しく料理して差し上げますわ!
まあ、私料理したことないのですが……。
それはともかく!私の【ダークブレイブフレイム】で漆黒の炎の槍を沢山お魚さんに撃ち込んで串焼きにしてあげますわ!
お魚ですもの、きっと火を通せばいい筈!
それに影に姿を変えたって、炎で照らせばまた姿を現しますわ!多分!


ヒメル・ヴィーゼ
(もふもふ防寒着を着込んでおく)
遅れちゃったけど加勢するわ!
ち、ちょっと氷滑るに手こずっちゃったの…。

うう、そのトゲトゲの牙とヒレは可愛くない…。
…それに武器として凶悪そう、あまり近づきすぎないようにしつつ対処したいわ。

ユーベルC『レオンハート・ライド』で呼び出たライオンさんに、走ったり、あえて滑ってもらったりしながらスピードで惑わしてもらいたいわ。
私は武器『ヒメルの尾:フォース』で、エネルギーを放って戦う。
他の人の動きを手助けする使い方でもいいわね(技能:援護射撃)

近くに寄られたら、思い切り尻尾で叩いて距離を離すわ(技能:なぎ払い、吹き飛ばし)

※アドリブ、他の方との絡み:歓迎



 咆哮し、ビチビチと跳ね回っていたダンクルオルテウスの様子を見ていたクリスティーナは、ふふふとにんまり笑った。
「むだに活きが良いお魚さんですこと!」
 コレがただの魚であればどれほどよかったか――悲しいかな、コレはオブリビオン、所作がいくらコミカルに見えても、それは破壊力満点の牙や巨大な尾びれでもって、攻撃してくるのだ。
 それでもクリスティーナは、黒々と燃え盛る炎槍を出現させて、その切っ先のすべてをダンクルオルテウスへ向ける。
「今から私が美味しく料理して差し上げますわ!」
 焼き魚なんていかがでしょう! と彼女は炎槍を操り奔らせる!
(「まあ、料理したことなんてないのは、ヒミツですわ……!」)
 やった方がいいのはわかっているが、機会がなかったのだ。
 クリスティーナだって、本気を出せば焼き魚の一匹や二匹、ちょちょいのちょいで出来上がるはずだ!
 という自己肯定に成功――その隙だらけの巨躯に、一切の容赦なく槍を突き立て穿孔!
 しかし、その外殻は思いのほかに硬く、穂先は弾き飛ばされ、凍てついたフロアに次々と突き刺さった。
 一瞬の制御が外れた、その隙をつくようにダンクルオルテウスの輪郭がぼやけ始める。
 まずい。
 こうなってしまうと魚の独壇場が出来上がってしまうかもしれない。それは阻止しなければならない。
 クリスティーナは急いで黒炎の制御を取り戻す。轟々と火力を上げ、漆黒に燃え上がる凄烈な槍は、まるで助走をつけるように宙に舞い上がった。
「さあいきますわよ! 私の漆黒の炎で、串焼きにして差し上げますわ!」
 凍てつくフロアに足を取られないように、ぐっと踏ん張り、烈気を漲らせ迸らせたクリスティーナは、風のように存分に槍を振るい、射し貫き、猛然たる炎で荒らした。
「……まあ、しぶといですわ! まだ焼き上がりませんの!」
 呆れたように声を上げてみたが、彼女は油断をしているわけではなく、次の一手を確実に決める算段を立てる。

「――ぃゃぁぁあああ! ぶみゃッ!?」

 そこへ、文字通り落ちてきたのは、ヒメル・ヴィーゼだった。
「すごい声でしたけど、大丈夫……?」
おそるおそる声をかけたクリスティーナだったが、ヒメルの案外平気そうに立ち上がった姿に気を取り直した。
「心配ありがとう! でも大丈夫だよ! 遅れちゃったけど、加勢するわ!」
 あのアイススライダー内のデコボコやツララに悪戦苦闘してきたヒメルは、ダンクルオルテウスの姿を見て、目を眇めた。
「うう、そのトゲトゲの牙とヒレ、全然可愛くない……!」
 黒猫のような姿の彼女は、災魔から距離を取った。それらは実に見た目が凶悪で、警戒心を抱かせるに十分すぎるほどだ。
「……力を貸して、ライオンさん!」
 ヒメル言下、レオンハート・ライドが発動し、ぬいぐるみが召喚された。
 もふもふの防寒着を着こんであるヒメルと相俟って、両雄並び立つ――というよりも、もふにゃん並び立つ。
 しかしぬいぐるみと侮るなかれ、機械内蔵で殺傷能力と可愛さを併せ持つ最強の獅子なのだ。
「頼んだよ!」
 頭を撫でてライオンに声をかければ、ぐんっと一気に加速し走り出した。
 ヒメルは長い尾を形どるオーラを揺らめかせ、一気に収斂、戸惑うダンクルオルテウスへと放出!
 ぐさぐさと尻尾が突き刺さり、変幻自在に戻ってくる《ヒメルの尾》とライオンへと標的を変えた巨魚の、狙いすました尾撃が、高速スピンとともに放たれた。
 しかしヒメルはライオンを巧みに駆って、高い跳躍によって躱してみせる。
「あっぶなーい! でもまだまだ行くよ!」
 仕返しにヒメルも、渾身の力で尾を振り下ろしダンクルオルテウスを叩き、ライオンを滑走させ十分に距離をとったところへ、タイミングをはかっていたクリスティーナが漆黒の槍を打ち出した。
「どんどんいきますわよ!」
 血気盛んに高笑いをあげるクリスティーナへ、頷いてヒメルはライオンを駆る。
 ぐさりと刺さった燃える槍を嫌がるように身をよじる巨魚へ、ヒメルは駄目押しの、フォースエネルギーを照射した。
「ううう、やっぱり、ぜんぜん、かわいくない!」
 ぎょろりとした緑の双眸が、ヒメルを見つめ、彼女はたまらず肌を粟立たせた。
「ライオンさん! いこう!」
 白煙を噴いたヒメルは、もう一度ダンクルオルテウスへと挑みかかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・マジック
冬を呼ぶオブリビオンか、なかなか風流だね。全面スケートリンクってのも凝った趣向で嫌いじゃないよ。だけど、このままだと暖房代が高くつくし、そろそろ春を呼ぶとしようか……!
さぁ、ボクの手妻をご覧あれ!

〇WIZ
緩急をつけたウィザード・ミサイルを複数飛ばします。
1本はオブリビオンの周囲を旋回させ、囮にすると共にオブリビオンの動きを誘導します。
残りは囮の1本よりも遅いスピードで飛ばし、オブリビオンを攻撃させます。

基本的に距離を取り、近づいたら距離を離す退き撃ちで戦います。
ウィザード・ミサイルは威力よりも、正確さと本数を重視します。



 アリス・マジックは、ダンクルオルテウスの巨体にウィザード・ミサイルを容赦なく撃ち込んだ。
 アリスの魔力を注ぎ込んだ、魔炎の矢だ。大雨のように降らせる射撃は、魚の硬い鱗を突き破り、あるいは弾き飛ばされた。
 そして、ダンクルオルテウスが影へと溶けるように輪郭が曖昧になっていく――それは、魚の諸刃の剣だ。
 アリスは、再び矢を創り出し、魔力を織り込み燃え上がらせる。
「さぁ、ボクの手妻をご覧あれ!」
 縦横無尽に走るのは囮として放たれた炎の矢だ。果たして魚はそれを目で追い、体もつられて氷上を滑るように回転していた。
 今にも食らってやろうと、歯をギチギチと打ち鳴らしている。
 でもそれって歯の根が噛み合ってなくて、ギチギチ鳴ってるわけじゃあないよね、とアリスは苦笑を禁じ得なかった。
「冬を呼ぶオブリビオン……ってところかな。なかなか風流ではあるけれど」
 フロア全面がスケートリンクになっているというのも、アリスに好感を抱かせる。
 ともあれ、正気を失ってただただ速く動くものを追いかけるだけのダンクルオルテウスは、魔炎を噴く矢へと注意を向け続けていた。
 この状況を狙っていたとはいえ、これほどまでに素直に従ってくれるとは――彼女は、残りの炎の矢を操る。
 囮として放った矢よりもスピードを緩め、確実に突き刺さるようにアリスはコントロールする。
 攻撃するために突き進んでいく矢たちは、巨魚の背を射抜く!
 その全ての矢に気づくことがなかったのは、それほどまでに囮の矢に夢中だったのか、続く猟兵たちとの戦いの中で、弱ってきているということなのだろうか。
 アリスは、見極めようとダンクルオルテウスの様子を見た。
 防御する力が高まったとはいえ、その衰弱には勝てなかった――次々に射られ燃えていく。
「いい加減、このままだと暖房代が高くつくし、そろそろ春を呼ぶとしようか……!」
 まずは、ボクの炎であったかくなってもらおう――アリスは、弱り果てたダンクルオルテウスへ、三度ウィザード・ミサイルを、驟雨の如く降り注がせた。
 しかし、魚の意地が炸裂する。まだまだ戦えるというアピールなのか、己を鼓舞するためなのか――あいにくとオブリビオンの考えることは、毛ほども理解できなかったが、ダンクルオルテウスは、その場で、

 どっすん! どっすん!

 と二度跳ねた。
(「きっと空元気ね」)
 アリスは、胸中でひとり呟くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

輝夜・レナ
変な形のやつね?まぁいいわ。
こいつがボスだっていうならぶっ飛ばすだけよ。
悪いけど、アタシの悲願のために死んでもらうわ!

【バトルデータ・インストール】で格闘戦モードに移行。
「それじゃ、ファイナルバトル開始よ!覚悟なさい!」

飛び込み蹴りからしゃがみ弱P強Pと繋いで623+強Pの【アトミック・パンチ】よ!
「思いっきりぶっ飛びなさい!アトミック・パンチッ!」

隙を見て大技でフィニッシュよ!
飛び蹴りからの乱打技を一気に叩き込む【ワールドエンド・マキシマム】!
「これで終わりよ!ワールドエンドッ!マキシマムッ!ドラァイブッ!!」

ボスを倒したのを見たらステータスの実績を確認するわ。
「ふぅ。まだまだ先は長いわね」



「悪いけど、アタシの悲願のために死んでもらうわ!」
 まさに虫の息のダンクルオルテウスへ単騎飛び出したのは、流離のボスハンターと名高い輝夜・レナだ。
 その大層奇妙な形のオブリビオンを目にして、やや眉根が寄ったが、レナは気を取り直して、その身に【バトルデータ・インストール】を開始――まもなく完了した。
 格闘ゲームシステムのラッシュコマンドが明確に閃く!
「それじゃ、ファイナルバトル開始よ! 覚悟なさい!」
 どんな見かけであろうと、眼前の奇怪な魚がフロアボスとして、この氷上に君臨するのであれば、全力でぶっ飛ばすのみ。
 どったんばったんと跳ね回していたダンクルオルテウスの、実に無防備な横腹へ、まずは強烈な蹴撃を一発見舞う!
 レナの怒涛のラッシュは、すでに始まっている。
 蹴撃が終わって着地した瞬間、蹲み込んで強弱をつけた拳打の連撃、息をつく暇もなくコンボが決まり、仰け反っている魚へ、レナはぐぐっと脚へ力を溜める――そして、垂直へ飛び上がると同時に繰り出されたのは、堅く握られた拳。
「思いっきりぶっ飛びなさい!」
 その巨体が浮き上がるほどの威力で放たれた、強烈なアッパーが決まる!
 低く唸るダンクルオルテウスは、体勢を崩しかける――が、負けじと高速で体を翻す。
 着地しかけていたレナの眼前に迫るのは漆黒の尾びれ!
 躱す隙はない、防御を固め、来る衝撃に出来得るかぎりの耐える準備を。
 それらを反射的に判断したレナは、即座にガードを固めていた。
 体への衝撃は最小限に抑えられ、レナは鋭く呼気、攻撃のために緩んだダンクルオルテウスへと、跳躍した。
「これで終わりよ!」
 烈声を上げ、飛び蹴りからのコンボが炸裂!
 着地と同時に放たれた左右のフック、左アッパー、右ストレート、その力を利用した流れるような回し蹴り!
「ワールドエンドッ! マキシマムッ! ドラァイブッ!!」
 咆哮するレナの猛ラッシュに、ダンクルオルテウスはどうすることもできず、ただ低い断末魔を上げて、わずかな命を削ぎ落とされて、その場に倒れ伏した。
 猛威を振るった黒い尾びれは、力なく氷の上に落ちる。
 幽韻と静まり返るフロアに、わずかな音すら消え去ったとき、レナはおもむろに、己のステータス実績を確認し始めた。
 手癖のようにささっと見たが、赤瞳を陰らせて、少し肩を落とす。
「……そう、まだまだ先は長いわね」
 しかし、悲観しているわけではない。次がある――世界は、多くの世界は、今この瞬間も脅威にさらされているのだ。
 そしていつか――きゅっと唇を引き結んだレナは、ダンクルオルテウスの亡骸に背を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト