アースクライシス2019⑤〜エリア51潜入作戦
「緊急事態発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々と――しかし表情には微かな緊張を浮かべながら語りはじめた。
「ヒーローズアースのオブリビオン・フォーミュラ『クライング・ジェネシス』に率いられた、『知られざる文明』のオブリビオン達の大侵攻が始まりました」
これまで知られていなかった事だが、かの世界には地上以外にも宇宙や地下、海底、そして地球の中心などに様々な文明が存在した。「ジャスティス・ウォー」によって大きく疲弊したそれらの文明は、地上との往来を塞ぐことで独自に復興を遂げてきた。
「しかし現在、それら異文明に出現したオブリビオンが連合を組み、地上侵略を開始しています。これはヒーローズアース史上でも未曾有の危機と言っていいでしょう」
地上のヒーロー達も団結して侵略に対抗しているが、オブリビオン・フォーミュラに率いられたオブリビオン連合が相手では、あまりにも分が悪い。
この戦いの行方、そして世界の未来は猟兵達の活躍に託されたのだ。
「今回リムが依頼するのは、侵略宇宙人『プルトン人』に制圧されたアメリカのグルーム・レイク空軍基地――通称、エリア51への潜入作戦です」
宇宙文明「ラグランジュポイント」を支配したプルトン人は、そこを拠点にして地球に侵攻してきている。制圧されたエリア51は言わば地球侵略の前線基地であり、現在ここには地球侵略用の『1人用UFO』が次々と運び込まれている。
「このまま放置すれば、エリア51を起点として全世界にUFOの大群が襲い掛かり、全地球の制空権と制宙権が、クライング・ジェネシスに奪われてしまう事でしょう」
開戦からいきなりの大ピンチ――だが逆に考えればこれはチャンスでもある。
エリア51に忍び込み、UFOを奪う事ができれば、敵の本拠地である「ラグランジュポイント」攻略の為の移動手段を得る事が出来るからだ。
「現在、エリア51は1人用UFOに乗ったプルトン人の警備隊が巡回しています。この警備網を掻い潜り、UFOを奪取して基地から脱出するのが作戦目標となります」
取り得るプランは大きく分けて2つ。ひとつは警備に見つからないよう巧妙に潜入し、UFO格納庫から運び込まれたUFOを奪取するプラン。もうひとつは巡回中のプルトン人を闇討ちして、彼らの乗っているUFOを強奪するプランだ。
「前者であれば『敵に見つからない』、後者の場合は『気づかれる前に倒す』ための作戦や計画が重要になってくるでしょう」
警備のプルトン人一体の強さは、猟兵と比較して大したことはない。しかし発見されたり仕留め損なったりして騒ぎが起これば、作戦的には面倒なことになるだろう。
「プルトン人の乗ったUFOは、奪われたUFOを発見すると『UFOを破壊する破壊光線』を撃って攻撃してきます。地上人にUFOを奪われるくらいなら、ということでしょう」
奪ったUFOを破壊されないよう、追撃を躱しきってエリア51の圏外まで逃げ切れば、作戦は完了である。場合によっては潜入より帰還のほうが面倒かもしれない。
「この作戦で多くのUFOを奪取できれば、ラグランジュポイントに居座る宇宙のオブリビオンに逆侵攻をかけることも可能です。リムは皆様の活躍に期待しています」
そう説明を締めくくったリミティアは、手のひらにグリモアを浮かべると、戦乱の地となったヒーローズアースへの道を開く。
「アースクライシス2019、開戦です」
戌
こんにちは、戌です。
やって来ましたヒーローズアース戦争。ちょっと出遅れましたが、今回も奮ってシナリオを出していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回の依頼は宇宙のオブリビオンに制圧されたアメリカの空軍基地「エリア51」に潜入し、宇宙人の1人用UFOを奪取するのが目的となります。
このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を行うと判定が有利になります。
プレイングボーナス……敵に見つからない/気づかれる前に倒す。
ひっそり潜入して格納庫からUFOを奪うか、闇討ちして警備からUFOを奪うか。
基本的な方針としてはこの二択となります。UFOを奪取した後は、無事にエリア51を脱出してUFOを持ち帰るまでがミッションです。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『UFO奪取ミッション』
|
POW : 巡回中のプルトン人を襲ってUFOを奪取。強行突破で追手を振り切って脱出します
SPD : 巡回と巡回の間隙を縫って潜入しUFOを奪取。ハイスピードで追手を振り切って脱出します
WIZ : 綿密な潜入作戦を立ててUFOを奪取。頭脳的な作戦で追手を振り切って脱出します
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月凪・ハルマ
もう大分盗ってるとは思うけどなー……
まぁ、いざって時に数が足りなくても困るか
それじゃ今回も頑張ってUFO奪取といこう
◆SPD
【迷彩】で姿を隠し、【忍び足】で基地内に侵入
以降も両技能は使用し続ける
一度適当なコンピューターにアクセスして【ハッキング】
警備システムが自分に反応しないようプログラムを改竄
その後は適当な物陰に隠れ、プルトン人の巡回の流れや
操縦方法等の情報を確認
(【情報収集】)
ある程度情報が集まったら【瞬身】を発動
巡回中の敵が孤立する瞬間を狙い、【早業】で
【めだたない目立たない】様に【暗殺】を仕掛けUFOを奪取
その後は奪ったUFOを【操縦】して基地外へ
(敵からの攻撃は【見切り】で回避する)
数宮・多喜
【アドリブ改変歓迎】
だいぶ数も揃ってるとは思うけど、
もう一押ししときますかねっと!
施設内の通路を事前の『情報収集』で
抑えておいて、巡回ルートを予想するよ。
もう一つは警備のモニタールームの位置だね。
【陽炎迷彩】で姿を消して、音を立てないよう気を付けながらまずは警備室を目指す。
中に詰めているプルトン人どもを、
姿を消したまま背中から電撃の『マヒ攻撃』で無力化し、
セキュリティを『ハッキング』して格納庫までフリーパスにするよ!
後は時間との勝負。
『ダッシュ』で格納庫のUFOへ『騎乗』して、
巧みな『操縦』テクで華麗に逃げ出すよ!
「もう大分盗ってるとは思うけどなー……まぁ、いざって時に数が足りなくても困るか」
警備の1人用UFOが巡回するエリア51の様子を遠目に眺める、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)。すでに何度か同様のミッションを受けている彼にとっては、この光景ももはや見慣れたものとなりつつあった。
「それじゃ今回も頑張ってUFO奪取といこう」
「だいぶ数も揃ってるとは思うけど、もう一押ししときますかねっと!」
彼と同時に基地へ向かうのは数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)。
彼女もまた、何度もUFOの奪取を成功させてきた猟兵の一人。その表情に浮かんだ笑みは、油断ではなく確固たる自信の表れであった。
「迷彩機能、オン」
「それじゃ、いきますか」
ユーベルコード【陽炎迷彩】と、気配消しの術式を施した帽子「宵空」を使って、多喜とハルマは巡回に気付かれることなくエリア51内部への侵入を果たす。
まずは物陰に隠れながら巡回ルートの流れを確認し、事前に収集した情報と実際の基地の構造との間に齟齬がないかを確かめ、最適な経路を模索していく。
「まずは警備のモニタールームを目指そう」
「わかりました」
多喜の提案にハルマは帽子を目深に被ったままこくりと頷き、静かに先に進んでいく。足音ひとつ立てないその足取りは、化身忍者として洗練されたもの。
遅れを取るまいと多喜もまた、陽炎迷彩による透明化を維持したまま、音を立てないよう気をつけて基地の奥へと向かう。
「ここが警備室だね」
誰にも気付かれることなく、無事に目的の部屋まで辿り着いた多喜は、中に詰めているプルトン人どもの背後に近付き、指先からパチンとサイキックの電撃を放つ。
「ギェ……ッ」
透明な相手からの不意打ちに気付かず、感電してばたりと昏倒するプルトン人。
あっという間に室内にいた敵を無力化した多喜は、入り口で待機していたハルマを手招く。
「ここから警備システムのプログラムを改竄して……っと」
制圧の完了した警備室にて、ハルマは並んでいるコンピュータから適当なものを選ぶとハッキングを開始する。
キマイラフューチャーの謎の超技術で作られた、あらゆる機器にアクセス可能な超多目的スマートフォンの助けがあれば、大概のセキュリティには侵入できる。
「あたしも手伝うよ」
多喜もPSY・コントローラーを片手に、サイキックによるハッキングを開始。
異世界の超技術と超能力を駆使した2人の同時アクセスを受けては、エリア51の堅固なセキュリティもザル同然だった。
「これでよし。ここのシステムはもう俺達に反応しません」
「こっちも完了。格納庫までフリーパスにするよ!」
機械的なセキュリティをことごとく無力化させた2人の前には、敵の詳細な巡回ルートや、UFO格納庫へと向かう最短経路が表示される。
ここからは時間の勝負。敵が基地の異常に気付くまでに迅速に目的を果たすのだ。
「――集中しろ。もっと、深く……!」
警備室から飛び出すや否や、ハルマは【瞬身】を発動させて音もなく加速する。
狙うのは巡回中の敵が孤立する瞬間。残像が生じるほどの速度でUFOの死角に回り込んだ彼は、操縦席に乗っている標的の首筋を狙って忍者手裏剣を投じた。
「―――ッ!!?」
頸動脈をかき切られたプルトン人は、血飛沫を上げながら悲鳴もなく倒れ伏す。
一瞬の早業。これぞハルマの身体に染み付いた暗殺の妙技であった。
「そっちも上手くやったみたいだね」
死体を引きずり降ろしてUFOに乗り込むのと同時、格納庫の方角から一機のUFOが飛んでくる。その操縦席からひらひらと手を振っているのは多喜だ。
ハルマが巡回する敵からUFOを奪った一方、警備室から格納庫までの最短ルートをダッシュで駆け抜けていった彼女もまた、無事にUFOの奪取に成功したようだ。
「それじゃ華麗に逃げ出すよ!」
「はい」
基地の敷地外へ向かって飛んでいく2機のUFO。
操縦法はふたりとも巡回する連中から見て学習済みだ。
「ナンダ、アイツラ、持チ場ヲ離レテ……?」
「違ウ! 敵ダ! ゆーふぉーヲ盗マレタ!」
ようやく猟兵の侵入に気付いたプルトン人達は、慌てて追撃を開始する。
放たれるUFO破壊光線の雨。しかし2人は巧みな操縦テクニックと見切りのセンスを活かして、ひらりひらりと重力を無視した軌道で攻撃を回避していく。
「そんなんじゃ当たらないっての」
「残念でした。じゃあまたねっと!」
まんまと警備網をくぐり抜けて、ハルマと多喜は今回もUFO奪取を成功させたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヨナルデ・パズトーリ
侵略者は徹底的に叩き潰さねば、の
神の怒りという奴じゃて
事前に基地の地図の『情報収集』
『迷彩』で『目立ちにくい』様にし建物内という『地形を利用』
遮蔽物で敵を誤魔化し移動
『野生の勘』と『第六感』を駆使し警戒
敵が来たら一人なら気付かれない内に敵の口に『鎧無視攻撃』をぶちこむ
『先制攻撃』で騒がない内に無力化し複数ならやり過ごす
UFO到達後は『メカニック』の知識で耐久性等を『見切り』自身が乗る以外の
物は追手を減らす為音を極力立てない様にしつつ『怪力』の『なぎ払い』で破壊
逃走中は『空中戦』の経験を活かし『地形を利用』し地表ギリギリを飛び
此方に来る敵の視界を煙の『属性攻撃』で『目潰し』し地面に叩きつける
「侵略者は徹底的に叩き潰さねば、の。神の怒りという奴じゃて」
我が物顔でエリア51の敷地内を飛び回るUFOの群れを、ヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)は遠目からじっと睨んでいる。
彼女はこの星にて崇められし古き死神。死を冒涜するオブリビオン――それも異星からの招かれざるマレビトに、好き放題させておく謂れはなかった。
(UFOの格納庫はこっちじゃな)
【第一之太陽再臨】により、ジャガーを模した黒曜石の鎧に身を包んだヨナルデは、目立たぬよう迷彩を施したダークネスクロークを纏ってエリア51に潜入する。
事前に米軍から提供された地図の内容を頭に入れておいたおかげで、何処へ向かえばいいのかは概ね把握できている。隠れられる遮蔽物の配置も。
「巡回、メンドクセエナア」
「文句言ウナ、キリキリ歩ケ」
近付いてくる巡回の敵が複数のときは、隠れたまま息を潜めてやり過ごす。
これは狩りだ。獲物に気付かれないように野生の勘と第六感を研ぎ澄ませ、気配を殺して移動する。そこがメキシコの森でも、最先端の軍事基地でも同じことだ。
「フアァ……眠イ……」
次にヨナルデの近くを通りがかったのは、欠伸をしている気の抜けたプルトン人。
他に仲間がいないと見るや、死神は即座に黒曜石の斧を構えると、肉食獣の瞬発力で遮蔽物の陰から飛び出した。
「!?」
仰天したプルトン人が声を上げるよりも速く、開かれた大口に斧刃が捩じ込まれる。一瞬のうちに絶命したソレにはもう一瞥もくれず、次の巡回が来る前にヨナルデは一気に基地の奥へと駆けていく。
「これはまた……ずいぶん沢山運び込んだものよな」
辿り着いた格納庫で彼女が見たものは、数百あるいは数千機にも及ぶ1人用UFO。
これら全てが、地球侵略のためにプルトン人どもが準備した兵器なのだ。
「動かすのは問題ない……それほど頑丈な作りという程でもないようだの」
コンコンと機体を叩き、メカニックとしての知識からUFOの操縦法や耐久性などを確かめていくヨナルデ。乗り込んで奪取できるUFOはひとつだが、どうせならもう少し数を減らしておくのもいいだろう。
「追っ手の"足"は、潰しておくに限るのう」
ぶおん、と豪快に、それでいて緻密な手さばきで斧を振るい、ヨナルデは格納庫に保管されていたUFOをなぎ払っていく。
完全に破壊するのには時間がかかるうえ、大きな音を出して警備を呼び集める恐れがある。しかし重要なパーツを破壊して飛べなくする程度ならできる。
短時間でできる限りのUFOを故障させた彼女は、逃走用に残しておいたUFOに飛び乗り、一目散にエリア51の敷地外へ向かって飛び立った。
「ウワッ?! 格納庫ガ滅茶苦茶ダ!」
「アイツガ壊シタノカ?! 追エ!」
遅れてUFOの破壊と奪取に気がついたプルトン人達は、慌てて追撃を始める。
ヨナルデは空中戦の経験を活かして地表すれすれの高度を滑るように飛び、後ろから迫る連中に向かって思い切り斧を振るった。
「ウオッ、前ガ見エネェ……ッ、シマッタ……ッ!!!?」
濛々と撒き起こった煙が、分厚い煙幕となって追っ手の視界を阻む。
ヨナルデに合わせて限界ギリギリの高度を飛んでいた彼らは、操縦を誤って互いに激突したり、高度を落としすぎて地面に叩きつけられていく。
大混乱に陥るプルトン人達をよそに、ヨナルデは悠々と離脱を果たしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
一郷・亞衿
そろそろ攻めに転じたい所ではあるけど……まあ、乗機の数が多いに越したことは無いか。さーて強奪強奪。
少し強引にいってみようかな。
基地から少し離れた場所で『未詳生物:オルゴイコルコイ』を発動。巨大なデスワームに砂地を掘り進ませて、地下から潜入するルートを新たに作っちゃおう。
まさかそんな所から攻めてくるとは思わないだろうし、まず見つからないはず。
強奪までの流れとしては、
1.他の人がUFOを奪って脱出し始めたらプルトン人たちが焦る
2.“焦燥”するプルトン人を狙い、床をブチ抜いてデスワームが出現する
3.開通した出口から出て、混乱に乗じて<ダッシュ>でUFOを強奪する
……という目算。上手くいくといいなあ。
レン・ランフォード
潜入となれば忍者の出番ですね、頑張ります!
予め「情報取集」し航空写真など格納庫までのルートを割り出しておきます
この際「ハッキング」もやむを得ないものとします
夜間「迷彩」を着こみ潜入
「地形を利用」し隠れながら「目立たない」よう格納庫を目指します
開けた場所にでる時は事前に「聞き耳」をたて警戒
夜目は効きます(暗視)が「第六感」や「野生の勘」も頼ります
「忍び足」で移動しながら必要なら「ダッシュ」
要所は【駆爪】も使用し「ジャンプ」
格納庫についたら【鬼丸兄弟】を使用し
25体は「時間稼ぎ」をしその隙残り25体と各々UFOに「騎乗」
UFOに乗った25体は追手に「空中戦」を仕掛け
私は脱出します
アドリブ等歓迎
「潜入となれば忍者の出番ですね、頑張ります!」
刻は真夜中。灰色の夜間迷彩を着込み、本領の見せ所だと意気込みを示すのはレン・ランフォード(近接忍術師・f00762)。予め航空写真などから制圧された基地の情報を集め、UFO格納庫までのルートを割り出しておくなど、下調べも万全である。
(情報のためにハッキングも仕掛けさせて貰いましたけど、やむを得ないですよね)
事態はヒーローズアースが滅びるか否かの瀬戸際。もしもバレても成果を挙げればお咎めになることは無いだろうと、少女は夜闇に紛れて潜入を開始する。
「そろそろ攻めに転じたい所ではあるけど……まあ、乗機の数が多いに越したことは無いか」
その背中を、基地から少し離れた場所より見送っていたのは一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)。彼女含め、すでに何度か同様の作戦を成功させている猟兵は何人かいるが、宇宙の敵に挑むための移動手段は多ければ多いほど有利なのが実情だ。
「さーて強奪強奪。少し強引にいってみようかな」
同じ手を繰り返せば向こうも警戒するだろうと、今回彼女が喚び出したのは【未詳生物:オルゴイコルコイ】。巨大なミミズ状の怪生物デスワームに砂地を掘り進ませ、地下から新たな潜入ルートを作ってしまおうという魂胆である。
一方で、夜陰に乗じて基地に忍び込んだレンは、隠密裏に格納庫に向かっていた。
(警備も厳しくなっているようですが、この程度なら……)
照明がなくとも夜目の効く彼女は、敷地内の遮蔽物を利用して身を隠しながら、巡回するプルトン人の目を盗んで音もなくエリア51を駆け抜ける。
「マタ侵入者ガ来ルカモシレナイ、気ヲ抜クナヨ」
「分カッテル、次コソハ捕マエテヤル」
1人用UFOに乗ってそんな会話を交わすプルトン人達は、たった今自分達の頭上を、レンが【駆爪】を駆使したジャンプで跳び越えていったのに気付いてもいない。
(……わたしたちを妨げられるものはない)
空中すらも足場に変えて、忍者らしい慎重かつ大胆な手際で警備を突破するレン。
常に野生の勘と第六感を研ぎ澄ませ、開けた場所に出るときは必ず聞き耳を立てるなど、警戒に関しても怠ってはいない。
「ここがUFOの格納庫ですね」
無事に誰にも気付かれることなく目的地についたレンは、並んでいる1人用UFOから適当なものを見繕いながら、今度はUFO奪取と脱出のための計画を発動する。
「式鬼顕現……かこんでぼーでたたく……」
懐から取り出した人型の符を辺りにばらまき呪文を唱えると、鉄の長杖を持った1.3mほどの二頭身の式鬼が、次々とその場に顕現する。
総勢50体からなる【式神・鬼丸兄弟】の群れは、主であるレンの命令に従って半数がUFOに乗り込み、残った半数は警備の目を引きつけるための時間稼ぎを始める。
「何ダコイツラ?!」
「何処カラ湧イテ来ヤガッタ!」
わらわらと格納庫から飛び出し、長杖をぶんぶんと振り回して暴れる25体の式鬼。
1体ずつの戦闘力はさほどでも無いが、予期せぬ数の侵入者の出現にプルトン人達は動揺を隠せない。警備が混乱をきたしている間にも、レンと残りの式鬼達はUFOを奪取して続々と空に上っていく。
「アアッ、UFOガ!」
「ヤベェゾ、スグニ追ワネエト……!?」
慌てて自分たちのUFOを動かそうとするプルトン人達は、その時ふと足元から微かな振動を感じる。最初は気のせいかと思われたほどの微動はすぐに大きな揺れと地響きに変わり、何かがヤバいと感じた時には全てが手遅れであった。
「行けデスワーム!」
ズガンッ!! と、轟音と地震と共に基地の床をブチ抜いて現れたのは、亞衿が召喚したデスワーム。正式名称・未確認生物『モンゴリアン・デス・ワーム』だった。
新たな潜入ルート作成のために基地の真下を掘り進んでいたソレは、レンが起こした騒ぎによって混乱したプルトン人の"焦燥"の感情に反応して襲い掛かったのだ。
「ナナナ、何ナンダ今度ハ?!」
「デケェ!!?」
未知なるクリーチャーの乱入に、プルトン人達の混乱と焦燥には拍車がかかる。
そこに容赦なく降り注ぐのはデスワームの口から吐き出される強酸性の毒液の雨。
たちまち上がる悲鳴と断末魔。彼らはもはや逃げるUFOを追うどころでは無くなっていた。
「まさかそんな所から攻めてくるとは思わなかっただろうね」
プルトン人どもを蹂躙し暴れまわるデスワームをよそに、開通した地下のルートからまんまと侵入を果たした亞衿は、混乱に乗じて格納庫に駆け込む。敵にこちらの相手をする余裕がないうちに、さっさとUFOを強奪して逃げるつもりだ。
「アアッ、マタUFOガ……ギャーーーッ!!」
敵の混乱はさらに加速する。地上のデスワームに加えて、空からUFOに乗った25体の式鬼までもが攻撃を仕掛けたからだ。1人用UFOに搭載されたUFO破壊光線は無論、プルトン人の乗るUFOにも有効であり、彼らの乗機は次々と撃墜されていく。
この攻撃の目的は猟兵を脱出させるための囮と時間稼ぎだが、UFO同士が戦って破壊されても敵の戦力が減るだけで、猟兵にとっては良いこと尽くめであった。
「上手くいって良かった……というか思ったより凄いことになったような」
目算が当たってひとまずほっとしながら、地上の混乱と惨状を見下ろす亞衿。
潜入と呼ぶには派手になってしまったが、もとより今回は強引にいくつもりだったし、敵戦力を削ぐこともできて結果オーライだろう。
「さあ、今のうちに脱出しましょう」
先んじて空に上がっていたレンのUFOが、基地の敷地外に向かって飛んでいく。
その後を追うように、亞衿は暴れるデスワームをエリア51に残したまま離脱するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鷹司・かれん
人格:花音
UFOか…花恋なら好きそうだね
好きな分冷静ではいられないだろうから、ここは僕の出番だ
僕は探偵として最低限の潜入捜査の心得は身に付けているしね
事前に基地の構造等の情報収集は済ませておく
その上で結構は夜だ
夜闇に紛れての忍び足で気づかれぬように潜入しよう
物陰から物陰へ
見つからないよう細心の注意を
小柄な僕の体なら通気ダクト等も利用できるかな?
メイド服が汚れるのは時に気にしない
どうしても避けられない警備がいれば、忍び寄ってメイド式格闘銃術(術は使わないけど)で素早く延髄殴って意識を奪おう
UFOを奪取できたら、操作法を確認
追いかけるものには反撃せず、逃げることに専念しようか
「UFOか……花恋なら好きそうだね。好きな分冷静ではいられないだろうから、ここは僕の出番だ」
夜闇に浮かぶ基地の灯りとUFOの動きを遠目に確認しながら、そう呟いたのは鷹司・かれん(メイド探偵が見ています・f22762)に宿る人格のひとつ「花音」。
3つの人格の中でも主に捜査を担当する彼女は、事前に基地の構造を調べておき、決行に最適なタイミングを見計らうなど、入念な下準備を怠っていない。
「僕は探偵として最低限の潜入捜査の心得は身に付けているしね」
主人格の「花恋」、荒事担当の「花凛」と比較しても、今回の依頼に最適なのは自分だろうと自負を持って、花音は夜闇の中にその身を紛れさせる。
(ここまで来ると警備もかなり厳しくなっているね……)
夜陰に乗じて基地に忍び込んだ花音は、物陰から巡回の様子を窺う。
すでに他の猟兵からUFO強奪の被害を受けていることもあってか、警備の雰囲気にはピリピリした空気が漂っている。ネズミ一匹見逃すまいという厳戒態勢だが、彼女の灰色の脳細胞をもってすれば潜入ルートを導き出すことは不可能ではない。
(UFOの格納庫は向こうだね)
忍び足で物陰から物陰へと移りながら、巡回の隙を見計らって先に進む花音。
途中、警備の厳しいところに行き当たっても、事前に調べておいた基地の構造に関する知識が役に立った。
(ここを通れれば近道のはずだ)
施設内に張り巡らされた通気ダクトの入り口に身体をねじ込み、警備の目をかい潜る。小柄で線の細い彼女だからこそできる芸当だ。
埃っぽいダクトの中を進めば仕事着であるメイド服が汚れてしまうが"花音"は特に気にしない。表に出ているのが"花恋"であれば違う反応を示したかもしれないが。
猫のようにダクト内を進むことしばし、ついに格納庫の近くまで辿り着いた花音。
しかし敵もこちらの狙いがUFOだとそろそろ気付き始めているのか、周辺には警備の目が多く、これまでのようには避けられそうにない。
(なら仕方ないか。ここからは本気でいこう)
音もなくダクトから飛び降りた花音は、気配を殺しながら格納庫の前にいる警備の背後へと忍び寄る。一張羅のメイド服を翻しながら、繰り出すは【メイド式格闘銃術】――今回は銃は使わないので純粋な格闘術だが。
「グェ……ッ!」
延髄に鋭い打撃を叩き込まれ、一瞬のうちに意識を刈り取られるプルトン人。
他の警備がやって来る前にと、急いで花音は格納庫の中に入った。
「これがUFOか……操作法は……うん、そんなに難しくなさそうだ」
格納庫内にずらりと並んだ機体から適当なものに乗り込み、動かし方を確認。
未知のテクノロジーの産物ではあるが、幸いにして操縦自体はかなり簡易になっているようだ。飛ばすだけならすぐにでも問題はない。
「よし、それじゃあ脱出だ」
スイッチを入れてレバーを引くと、UFOは軽い振動音を立てながらふわりと宙に浮かび上がり、格納庫の外に飛び出していく。
「マタゆーふぉーヲ盗マレタゾ!」
「追エ追エ! 捕マエロ!」
奪われたUFOが飛んでいくのに気付いたプルトン人は、急いで自らもUFOに乗り込み追いかけ始める。次々と発射される破壊光線が、花音の乗るUFOを掠める。
「奪われるくらいなら壊してしまえだなんて、気の荒い連中だね」
花音は反撃せず、とにかく基地の外まで逃げ切ることに専念してUFOを操縦する。
追っ手の攻撃を巧みに躱し、不規則なジグザグ軌道で翻弄し、速度を上げる。
やがて追いつけないと判断したプルトン人達は、悔しそうに歯噛みしながら帰投していく。無事に逃げきった花音はほっと息を吐きながら基地を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ビードット・ワイワイ
星の彼方、見果てぬ空に居りし隣人
その者が力を貸すと言っておる
ならば力を行使するまで
それが我らの掴みし選択ゆえに
人間形態で行動
事前に基地内部の構造をハッキングや軍関係者からの
情報収集により入手。保管場所、及び警備するための
最適なルートを考察
それらを元に保管場所にたどり着くためのルートを作成
天井裏やダクト内部、エレベーターシャフト等の
死角をつき、人力で目をやるには難しき所を移動
機械なりし体躯であれば体をバラして移動するも容易
敵が移動した後に速やかに体を組みたて
音を立てぬ様にダッシュしUFOを奪取
逃亡時にUCを発動
呼び出したUFOに自身を回収させてヒーロー達の居る
回収ポイントへテレポート
(此処がエリア51か。事前に収集した情報との齟齬は無いようだ)
プルトン人に支配された基地へと次に潜入を果たしたのは、ビードット・ワイワイ(UFO TAKER・f02622)。現在は人間形態を取ったウォーマシンの彼は、瞳に偽装したカメラアイを静かに光らせる。
(ルートの修正は不要。我はUFOの保管場所に向かう)
予め軍関係者からの聴取やハッキングによって入手した基地内部の情報が、彼のデータベースには収められている。それに基づいて作成した敵の警備ルートやUFO保管庫の予測、保管庫に辿り着くためのルートに従って、ビードットは行動を開始する。
「モウ絶対ニ見逃サナイゾ、侵入者ドモ……」
これまで散々煮え湯を飲まされたことで、エリア51を巡回するプルトン人の警備はいつにも増して厚くなっている。一筋縄では突破できないことは容易に窺えた。
――だが、どんな厳重な警備にも死角はある。特に本来「人間が通る」ことを想定されていない経路については。
(機械なりし体躯であれば体をバラして移動するも容易)
人間形態を取っているとはいえ、ビードットはあくまでウォーマシン。その躯体を分解・変形させれば、天井裏やダクトの内部、エレベーターシャフト等といった、人間には通常通れないスペースにも潜り込むことが可能だ。
「異常ナシ!」
まさか敵がそんなところを通ってやって来るとは思っていないプルトン人達は、形通りの巡回と警備だけを行い、建造物の死角に潜むビードットには気付きもしない。
警備が通りすぎた後でひょこりとダクトの中から姿を現した彼は、素早く体を組み立てて元の人型に戻ると、格納庫に向かって音を立てぬようダッシュする。
(次の警備がここを通るまでに17秒。我の移動速度であれば間に合う)
事前に予測していたルートの通り。誰にも悟られぬまま警備網をかいくぐり、敵の保管庫へと辿り着いたビードットは、そこに運び込まれた大量のUFOを見た。
――残された猶予はない。間もなく警備がここにもやって来るはず。
それまでにUFOを奪取し、ここから離脱するにはどうすれば良いか。
「星の彼方、見果てぬ空に居りし隣人。その者が力を貸すと言っておる」
人間形態のビードットは一隻のUFOに目をつけて乗り込むと、急ぐ様子も慌てる風もなく点検確認を行った後、おもむろに天井を見上げる。
「ならば力を行使するまで。それが我らの掴みし選択ゆえに」
そして発動されたユーベルコードの名は【実行仮想破滅・未知との遭遇】。
フォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォン――。
奇妙な音を立ててエリア51上空に姿を現したのは、銀色に輝くUFO。
プルトン人が操るものではない。異星より来たりし"隣人"が、ビードットの呼び出しに応えて彼を迎えに来たのだ。
「オイ何ダアレハ?!」
「俺達ノゆーふぉージャ無イゾ!」
突如現れた未知のUFOに仰天するのはプルトン人達も同じこと。宇宙からの侵略者である彼らにとってすら、それはUFO(未確認飛行物体)であった。
フォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォンフォン――。
銀色のUFOの下方から照射される謎の光が、ビードットの乗る1人用UFOを包む。
重力を無視してふわっと浮き上がった彼の機体は、UFOの中に吸い込まれるように回収され――そしてUFOは現れた時と同様、唐突にふっと姿を消した。
基地から離れた、味方のヒーローが待つ回収ポイントへとテレポートしたのだ。
「何ダッタンダ今ノハ……」
未知との遭遇を経験したプルトン人は、ぽかんとしたまま暫く空を見上げていた。
彼らは結局、格納庫から1隻のUFOが消えていたことに、最後まで気付くことはなかった。
大成功
🔵🔵🔵
アンコ・パッフェルベル
UFOを奪取し、持ち帰る。字面は単調ですがむつかしいです。
ふふふーでも勝算はあるですよ。赤光刃で虚空にシジルを描く。
喚び出すのは72の魔神が一柱、フォラス。
また透明化が必要になったのでお願いしますです。
いつもすみませんです。あ、終わったら何か買ってきましょーか。
メリーランドに美味しいチキンサンドを売ってるお店があるのでそれにするです?…おっけー、そんじゃよろしくです!
そんなわけで透明化して潜入です。
目標まで直で向かっても良いですけどー…。
格納庫から離れた地点の警報を作動させて揺動です!
ライターとか見つけたらそれで。無ければ何か壊すです。
そしたらUFO盗んで時空弦で追手を落としながら逃走です!
「UFOを奪取し、持ち帰る。字面は単調ですがむつかしいです」
プルトン人による厳重な警備が敷かれたエリア51を遠くから眺めながら、アンコ・パッフェルベル(想い溢れるストライダー・f00516)は手にした双剣を弄ぶ。
なるほど、あの警戒網の中に忍び込み、目的の物と一緒に脱出するのは簡単なことでは無いだろう。しかし彼女は気負った風もなくふふふーと笑う。
「でも勝算はあるですよ」
両手に携えた赤光刃・ダブルウェディングを振るい、刃の軌跡で虚空に印章(シジル)を描く。顕すのはソロモン王の伝説に謳われし72の悪魔が一柱、フォラス。
その権能は人を雄弁にし、長寿を与え、財宝や失せ物を見つけ出し――そして人を透明にする力を持つという。
「また透明化が必要になったのでお願いしますです」
シジルの中から現れた悪魔に、隣人のような気さくなノリでお願いするアンコ。
彼女のユーベルコード【共に乗り越える仲間達】は、こうした神話・伝説に登場する生物や動物を呼び出して協力してもらう能力なのだ。
「いつもすみませんです。あ、終わったら何か買ってきましょーか。メリーランドに美味しいチキンサンドを売ってるお店があるのでそれにするです?」
悪魔をチキンサンドで買収しようとする少女。悪魔召喚士なら仰天しそうだが、意外にも悪魔フォラスは重々しく首肯した。「ビッグサイズで」と注文を付けて。
「おっけー、そんじゃよろしくです!」
交渉を成立させたアンコの姿が、悪魔の権能によってふっと消失する。
透明になった少女はフォラスにお礼を言うと、さっそくエリア51に向かった。
(目標まで直で向かっても良いですけどー……)
肉眼もカメラの目も欺く悪魔の力により、難なく基地に潜入を果たしたアンコ。
彼女は少し考えてから、UFOの運び込まれた保管庫に行く前に、そこから離れた地点にてくてくと向かうと、おもむろに赤光刃を振りかぶる。
(ライターとか見つかったらそれで良かったんですけど。無ければ仕方ないです!)
ケーキナイフとサーバーの形をした双剣をさっと一閃すれば、赤い斬撃の軌跡が基地の設備を破壊する。たちまち鳴り響く警報に、慌ただしくなる警備達。
「侵入者ダ!」
「アッチニ居ルゾ!」
武装したプルトン人の警備兵の集団が、アンコが騒ぎを起こした場所に殺到する。
しかしそこにはもうアンコはいない。透明化したまま警備とすれ違った彼女は、警備網が一箇所に偏った隙をついて、手薄になった格納庫に悠々と忍び込んでいた。
「これがUFOなのですね。おひとつ頂いていくのですよ」
保管されていたUFOの一隻に乗り込むと、長居は無用とばかりに飛び立つ。
流石にフォラスの力でもUFOごと透明化はできないが、ここまで来れば後は全速力で逃げるだけだ。
「オイ、アッチヲ見ロ!」
「シマッタ!!」
彼方に飛んでいくアンコのUFOを見たプルトン人達は、ようやく自分達が陽動に騙されたことを理解して、悔しそうに歯噛みしながら後を追いかける。
数機のUFOがこっちに近付いてくるのに気付いたアンコは操縦席から身を乗り出すと、獲物を近接武器の赤光刃から遠距離用の時空弦・タキオンハープに変形させる。
「ソノゆーふぉーヲ返セ!」
「これはもうわたしの物なのです!」
光の弦を爪弾けば、澄んだ音色とともに放出されるタキオン粒子が、衝撃波となってプルトン人のUFOに襲い掛かる。
「ギャーーーッ!?!?」
あえなく撃墜され、煙を引いて落ちていく敵には目もくれず。
アンコは無事にエリア51の敷地外まで逃げ切ることに成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
★Venti Alaに風魔法を宿してふわりと僅かに空中浮遊
羽音や足音で気付かれないように
極力体を小さくして低空飛行すれば視界に入りづらい筈
息を殺して粘り強く警備員の人数や巡回ルートを把握
隙を見つけたら障害物を利用し可能な範囲の移動を
極力格納庫の真ん中あたりに来たら【指定UC】
風の【高速詠唱、属性攻撃】と組み合わせる事で
花弁が運ばれる範囲やルートを調整し
床を伝わせるように甘い香りをばら撒き【催眠】の【範囲攻撃】
眠らせれば追手の数も減らせるだろうし
その間に奪わせてもらうね
操作はゲームの見様見真似になるけど…
敵の攻撃は【聞き耳】で警戒、対処し
追ってくるようなら雷の【高速詠唱、属性攻撃】で撃墜
(ここまで来ると、警備もだいぶ厚くなってきたね)
物陰にて息を殺しながら、巡回するプルトン人の動きを観察するひとりの少年。
UFO奪取作戦に参加した猟兵のひとり、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は現在、エリア51の敷地内にて警備の網をかいくぐる隙を探っていた。
「異常アルカ?」
「イヤ、無イ」
「油断スルナヨ」
猪に似た面をつき合わせ、物々しい様子で言葉を交わしながら、基地を巡回するプルトン人の警備員達。敵も相当にこちらを警戒しているのが分かる。
澪は粘り強く彼らの人数や巡回ルートを把握して、交代や移動のために持ち場からいなくなるタイミングを狙って全速力でその場を駆け抜ける。
風の魔法を宿した靴「Venti Ala」には小さな翼が生え、空中を浮遊する力を彼に与える。地面すれすれの位置をふわりと僅かに浮遊すれば、足音や羽音は立たない。
限りなく無音で、かつ目立たぬよう極力体を小さくしながら、澪は少しずつ基地の奥地へと進んでいく。
(格納庫の真ん中はこの辺り……かな)
息が詰まるような長い潜伏のすえ、ようやく目的の場所に辿り着いた澪。
地球侵略用の1人用UFOが大量に保管されたここはエリア51を制圧するプルトン人の警備網の中心でもあり。同時に澪のユーベルコードを使うには最適の場所だった。
「おやすみなさい。良い夢を」
甘く優しい香りと共に、解き放たれたのは【Berceau de fleurs】の花吹雪。
風の魔法との合わせ技によって、格納庫の床を伝うように基地中に広がっていくその花弁は、安らかな眠りをもたらすユーベルコードである。
「ン……ナンカ、イイ匂イ……」
「急ニ……眠クナッテ……Zzz……」
風に運ばれてきた花の香りを嗅いだプルトン人は、何が起こっているのかも分からないまま、次々に眠りに落ちていく。この間に澪は近くにあった1人用UFOに乗り込むと、急いで発進準備を整える。
「操作はゲームの見様見真似になるけど……」
幸いにして操縦はそこまで複雑なものでも無いらしい。エンジンを起動させて操縦桿をぐいっと引くと、ふわりと浮かび上がったUFOは格納庫の外に飛び出していく。
「Zzzz……ハッ!? 待テー!!」
目を覚ました警備員が慌てて追いかけてくるが、その数は少ない。【Berceau de fleurs】の催眠が効いているようで、ほとんどのプルトン人はまだ眠っているようだ。
「待てと言われて待つやつはいないよね」
澪はUFOを操りながら耳を澄まして追っ手の動きを警戒し、破壊光線が発射される寸前にさっと機体を回避させる。すかさず反撃に放つのは、魔力を込めた雷の矢。
「お返しだよ」
「ギェッ!?」
電撃を受けたプルトン人のUFOが、ぷすぷすと煙を上げて墜落していく。
無事に追っ手を退けた澪は、そのまま基地の敷地外へとUFOを飛ばすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:アノン
見つかるなって…イマイチ苦手なんだが
UDCを纏って黒狼の姿をとると、風属性を取り込み圧縮空気の足場を作って空中を高速移動
野生の勘で敵の少ないルートを選ぶ
見つかったらUDCに雷属性を取り込み、雷撃で気絶攻撃だ
光や音で敵が集まって来るからとにかく急いでUFOの所までいくぜ
「操作とか…出来ねェ…」
UFOには乗らず、UDCを触手のように伸ばして数台のUFOを掴むと空中を駆けながら脱出するぜ
追っ手は雷撃を一発撃って、落とせなければそのまま逃げる
やっぱオレは暴れる方が楽しいぜ…
「見つかるなって……イマイチ苦手なんだが」
潜入というあまり得意とは言えない依頼を頼まれ、ふうと小さくため息を吐いたのは、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)に宿る人格のひとつ「アノン」。
彼はどちらかと言えば存分に暴れられる依頼のほうが好みだが、とはいえ一度引き受けたからには投げ出すつもりも無い。苦手分野とはいえやりようはあるのだ。
「やれるだけの事はやってみるか」
まずは黒く玉虫色に光る液体金属のUDCを纏い、人型よりも潜入に適した姿へ。
黒い狼へと変身したアノンは続けて風の力を取り込み、圧縮空気の足場を作る。
(これなら足音も立たねえだろ)
空中にできた足場に乗って、俊敏に闇夜を駆ける黒狼。細かいことは分からずとも、研ぎ澄まされた獣の感覚と野生の勘は、敵の少ないルートを本能的に導き出す。
(向こうから敵の匂いを感じる。進むならあっちだな)
苦手という自己申告が嘘かと思えるほど順調に、基地内を進んでいくアノン。
だが、この能力には、長く使い過ぎれば変身者の理性を弱めるというリスクがある。限界を見誤れば身も心も完全なる獣と化し、狂気のままに暴れだすだろう。
そういう意味では、確かにあまり潜入向けとは言い難い能力であった。
「ン? 今、何カ動イタヨウナ……」
(ちっ、見つかったか)
理性弱化の影響が現れだしていたのか、それとも敵の警戒が強まっていたのか。
格納庫まであと少しの所で、アノンは警備のプルトン人に気取られてしまう。
彼の行動は迅速だった。身に纏うUDCに雷の力を取り込み、雷光を放ちながらプルトン人に飛び掛かり、黒狼の牙から雷撃を送り込む。
「ギャァッ!?」
バチッ! と激しい放電音と閃光と共に、悲鳴を上げて気絶するプルトン人。
音と光に気がついて、付近にいた警備が集まってくる気配がする。
ここからは強行突破だ。隠密の事は考えず、ただ真っ直ぐにUFOの格納庫を目指してひた走る。
「やっと着いたぜ……」
格納庫にたどり着いた瞬間、アノンは纏っていたUDCを脱ぎ捨て、人の姿に戻る。
敵が追いついてくる前にUFOを奪取しようとするのだが、ここで問題がひとつ。
「操作とか……出来ねェ……」
操縦席にはよく分からないボタンとかレバーがずらりと並んでいるが、どれをどう動かせばこの変な機械が動くのか、彼にはさっぱり理解できなかった。
やむを得ずアノンは液体金属のUDCを今度は触手のように伸ばして、近くにあったUFO数台をまとめて引っ掴む。とにかく強引にでも持ち帰ろうという算段だ。
「逃サネエゾ、コラ!!」
触手でぐるぐる巻きにしたUFOを運びながら、空中を駆けて脱出を図るアノン。
流石にそんな強引さでは追っ手に追いつかれるのは無理もなく、破壊光線を構えたプルトン人のUFOが目前に迫る。
「うるせェ!」
「ギャァッ!?」
再び放たれた雷撃が直撃し、敵のUFOは煙を上げて墜落していく。
しかし追っ手はすぐにまた現れるだろう。後方からは新たな機影が近付いている。
ここで相手をしてやりたくても、今は余計な荷物が邪魔だ。
「やっぱオレは暴れる方が楽しいぜ……」
ぼやきながらも逃走に専念することにしたアノンは、風を操りスピードを上げてエリア51から脱出する。敷地の外に出てしまえば、もう敵は追ってこなかった。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
【ブラッディ・フォール】で「時計の国の少年アリス」の「狂える時計ウサギ」のうさ耳とドレス姿へ変化。
物陰に隠れながら【念動力】で周囲の状況を探りつつ慎重に進み、巡回してる敵を発見次第、敵がこちらを認識する前に【フェイタル・ショータイム】で時間を停止。操縦席に侵入し、魔槍【串刺し、早業、怪力】で声もあげさせないまま仕留めるわ。敵が複数いたり、仕留めるのに時間が掛かりそうな場合は【サディスティック・メルヘン】で口を塞いで拘束。
無力化した上で可哀想だけどそのまま放置かしらね?
後は奪取したUFOを使い、追撃を【フェイタル・ショータイム】でやり過ごしたり撃墜させて帰還するわ。
上手く操縦できるかしら…?
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ」
基地の物陰に身を隠しながら、静かに詠唱を紡いだのはフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)。【ブラッディ・フォール】を発動した彼女の衣装は紅から純白のドレス姿に変化し、頭にはぴこりとウサギの耳が揺れる。
「これで準備完了ね。それじゃあ行きましょうか」
一見すればあまり潜入向きには見えないその格好は、かつてアリスラビリンスで戦ったオウガ「狂える時計ウサギ」の力をその身に宿した証であった。
(向こうの角を曲がった先に敵がいるわね……)
フレミアは念動力をソナーのように活用して、物陰から周囲の状況を探る。
巡回するプルトン人を発見すれば、物音を立てぬよう慎重に進みながら、相手を間合いに捉えたところで【フェイタル・ショータイム】を発動する。
「何カ異常ハアッタカ?」
「イヤ、問題ナ―――」
通信を交わしていたプルトン人達の動きが、突然凍りついたように止まる。
フレミアが使った力は時間停止。相手に認識されないまま、白いドレスを翻して操縦席に侵入した彼女は、魔槍「ドラグ・グングニル」の穂先を心臓に突き立てる。
「――――」
停まった時の静寂で、プルトン人は声も上げられないまま、静かに絶命した。
「一度に動かせるのは一機だけなのよね」
続いてフレミアが召喚したのは【サディスティック・メルヘン】。騒ぎを起こさせないよう手早く無力化するため、メルヘンチックな装飾の拷問具がもうひとりのプルトン人に襲い掛かる。
「――モガッ!?!?」
時間が動きだした瞬間、プルトン人はいつの間にか拷問具に口を塞がれて拘束されているのに気付き、愕然としながらじたばたと暴れる。当然、その程度でユーベルコードの拷問具は外れないし、声を上げられなければ仲間を呼ぶこともできない。
「可哀想だけどそのまま放置かしらね?」
もともと相手は容赦する必要のない侵略者、殺さないだけでも寛大な措置だろう。
串刺しにした仲間の骸と一緒に、無力化したプルトン人をぽいとUFOの外に放り出すと、フレミアは入れ替わりにすとんと操縦席に腰を下ろした。
「上手く操縦できるかしら……?」
初めて見る奇妙な機械を前にして、やや覚束ない手付きで操縦桿を引いてみると、UFOはガタガタと不安になる鳴動を起こしたものの、ふわりと宙に浮かび上がる。
1人用として作られているためか、操縦はかなり簡略化されているようだ。こうした物に馴染みの薄いフレミアでも、少し動かせばすぐにコツを掴むことができた。
「これなら何とかなりそうね」
フレミアはほっと息を吐くと、そのまま奪取したUFOの進路をエリア51の外に向けて、最大速度で発進させる。
「アノゆーふぉー、持チ場ヲ離レテルゾ!」
「盗マレタンダ、逃ガスナ!」
飛んでいくUFOを目ざとく発見したプルトン人が、すぐさま追撃を開始する。
まだ「狂える時計ウサギ」の力を宿したままのフレミアは、後方から追ってくる敵のUFOに気付くと、再び【フェイタル・ショータイム】を発動する。
「撃チ落トシテヤル―――」
破壊光線を発射する寸前のタイミングで、停まったプルトン人達の時間。
ただひとりこの空間で自由に動ける吸血姫は、不慣れな手付きで操縦席のスイッチをぽちっと押す。
「たぶん、撃つのはこれよね?」
U発射された光線はプルトン人達のUFOに命中すると、彼らの機体をバラバラに分解してしまう。UFO破壊光線、目的が限定されているだけに凄まじい威力である。
「―――アッ!? ナンデェェェェェェ?!」
再び時間が動き始めると、プルトン人達はなぜ自分たちが撃墜されているのかも分からぬまま、ひゅるるるると重力に引かれて地上に落ちていく。
呆気に取られた顔をしている彼らに、上空から微笑みながらひらひらと手を振ってから、フレミアはエリア51からの帰還を果たすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
【九尾化・魔剣の巫女媛】封印解放…。
可能であればアメリカ軍からエリア51の地図を入手…。
【呪詛、高速詠唱、情報収集】による探知呪術で警備の位置や格納場所を把握…。
地図と併せて警備の動きを確認し、九尾化で強化した凶太刀の力で高速化して素早く警備を潜り抜けてUFOを奪って逃げるよ…。
……これ、どうやって動かすんだろう…?
「きゅー」(面白がって周囲のスイッチをぺしぺし押してたら偶然起動させた仔竜)
…とにかく、早く脱出だね…。追撃してきたら、無限の魔剣で弾幕を張って迎撃したり、破壊光線をアンサラーで反射【呪詛、オーラ防御、武器受け、カウンター】で跳ね返して切り抜けるよ…
「きゅ~♪」
ミラ、楽しんでる…?
「これがエリア51の地図……」
「更新されたばかりの最新版です」
アメリカ軍から提供された地図と、彼方に見える実際の基地の様子を見比べながら、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は潜入ルートの確認を行っている。
自国と世界の危機とあれば、アメリカ軍も協力は惜しまない様子で、格納庫の位置を含め、内部の構造についてはかなり詳細な情報を得ることができた。
その情報を元に璃奈自身が探知呪術を展開し、警備の位置や運び込まれたUFOの在り処を把握することで、目的地に向かう最適なルートを絞りこむ。
「我々が力になれるのはこの程度ですが……どうかお気をつけて」
「ん、任せて……」
協力した兵士にこくりと頷くと、璃奈は【九尾化・魔剣の巫女媛】を発動する。
封印されていた力を解き放ち、その身に莫大な呪力を纏った彼女は、妖刀・九尾乃凶太刀をすらりと鞘から抜きながら空に舞い上がる。
「行ってくる……」
手にした魔剣・妖刀の力を増強するのが巫女媛の特性。それにより強化された凶太刀には、使い手を超音速にまで高速化させる呪力が宿っている。
巫女と妖刀、ふたつの力が生んだ相乗効果によって、璃奈の身体は稲妻のごとき速さで空を翔け、宇宙人に制圧されたエリア51に突入する。
(素早く警備を潜り抜けて、UFOを奪って逃げるよ……)
璃奈の目的は明確。頭の中に叩き込んだ地図の情報と併せて実際の警備の動きを確認し、巡回の僅かな隙間や警備がよそ見をした瞬間を狙って、一気に突破する。
音をはるか彼方に置き去りにした巫女媛の瞬速を捉えられるプルトン人はここにはおらず、せいぜいが風の仕業としか思っていない。
警備網を翔け抜けた璃奈はあっという間に目的の格納庫まで辿り着くと、ずらりと並べられた1人用UFOの操縦席に飛び込んだ。
「……これ、どうやって動かすんだろう……?」
後はこれを操縦して逃げるだけ、なのだが。座席の周りに幾つもあるレバーやスイッチの中から、どれをどう操作すればこの円盤は飛ぶのか、璃奈には分からない。
困ったように首を傾げていると、彼女の影の中からひょこりと1匹の仔竜が顔を出す。
「あ、ミラ……」
「きゅー」
知らないモノに興味を惹かれたのか、面白がって周囲のスイッチをぺしぺしと叩きだす仔竜ミラ。すると偶然にもそのどれかが起動スイッチだったらしく、それまでピクリともしなかったUFOが突然ふわりと浮かび上がった。
「え……?」
「きゅー?」
思いもよらぬ幸運に、璃奈も仔竜も揃って目を丸くする。
しかし何にせよ、これで目的のUFOは奪取できたわけだ。
「……とにかく、早く脱出だね……」
何が起こったのか分かっていない仔竜を肩に乗せて、璃奈は操縦桿を握りしめる。
レバーの向きに合わせて動きだしたUFOは、格納庫を飛び出してエリア51の外へ。
だが、これまでは潜入に気付けなかったプルトン人達も、黙って見逃しはしない。
「待テー!」
「捕マエロー!」
後方から近付いてくる追撃部隊のUFO。高速化した巫女媛の璃奈よりも遅いこの機体では、残念ながら振り切ることは難しそうだ。
「呪われし剣達……我らに仇成す全ての敵に悉く滅びと終焉を……!」
じりじりと距離を詰めてくる敵に璃奈が放ったのは、巫女媛の力により顕現する無限の魔剣。呪力を帯びた剣の弾幕が、プルトン人のUFOを次々に撃ち落としていく。
「ギャーーーッ!?」
「オノレ、ヨクモ!」
僚機を撃墜されたプルトン人が、苦し紛れにUFO破壊光線を放つ。
璃奈はすかさず魔剣アンサラーを抜いて光線を受け止めると、その剣に宿る"報復"の魔力によって攻撃を反射する。
「何ダトーーーーッ?!!」
UFO破壊光線に目標の敵味方を区別する機能など無い。跳ね返ってきた光線に自分のUFOを破壊され、そのプルトン人は愕然としながら墜落していった。
「きゅ~♪」
「ミラ、楽しんでる……?」
操縦席のガラスに張り付いて外を眺めながら、可愛らしい鳴き声を上げる仔竜。
緊張感がほぐれるのを感じながらも、無事に追撃を切り抜けた璃奈は、そのまま安全な場所まで帰投するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
神元・眞白
【SPD/割と自由に】
UFO。話は聞いたけど中々面白そうな乗り物。
説明書も中にあるみたいだし、もらったら返す前に楽しまないと。
動き始める前に地図を確認。見通しがいい場所はチェック。
大体分かったら目立たない様に相手の姿を観察しながら孤立した1人を追跡。
服を借りられれば一番だけど難しいなら少しお昼寝してもらって、ね。
多分個室だったりロッカーはその辺りにありそうだしその辺りで。
それとなくもらえそうなUFOを見つけたら逃げる方向と反対方向へ
1つUFOを飛ばしてみて、飛んだのを見たらちゃんとした方向に飛ぼう。
少しの時間飛べれば大分離れると思うし、それまではなんとか逃げよう
「UFO。話は聞いたけど中々面白そうな乗り物」
物静かな声と表情に、どこか弾むような感情を滲ませるのは神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)。その手には米軍から貸与されたエリア51の地図がある。
「説明書も中にあるみたいだし、もらったら返す前に楽しまないと」
見取り図や構造に目を通して、見通しがいい場所はチェック。
大体分かったところで、彼女はさっそくUFO奪取のために行動を開始する。
(すごい。たくさん飛んでる)
ひっそりと基地に忍び込んだ眞白は、巡回するプルトン人のUFOに目を丸くする。
これまでに何度も猟兵の侵入を許しているためか、敵の警備も強化されているらしい。それでもなおUFOの奪取を阻止できていない辺り、情けない話ではあるが。
(こっちは危ない。向こうから行こう)
事前に把握しておいた通り、見通しがよく発見されやすい場所はなるべく避ける。
UFOの入って来れないような細道や裏道を使い、目立たないように密やかに警備の様子を観察する。
(……孤立した。チャンス)
ふと、巡回のグループの中から離れていく1人のプルトン人を見つけ、眞白は見つからないようこっそりと追跡を始める。
(服を借りられれば一番だけど難しいなら少しお昼寝してもらって、ね)
プルトン人と眞白では体格が大きく異なるうえ、特に頭部の作りが違う。
変装のために服を奪っても、すぐに見破られるのがオチだろう。
そこで眞白は相手が人気のない場所に入り込んだところで戦術器「飛威」と「符雨」を起動させ、一気に奇襲を仕掛けた。
「ウヌッ!? 侵入者……モガッ!!!」
声を上げて他の警備を呼ばれる前に、符雨の放った符が敵の口を塞ぐ。
すかさず飛威がナイフを構えて肉迫し、峰で側頭部を叩いて昏倒させた。
「お疲れ様、二人共」
忠実なる戦闘用人形達を労いながら、眞白は倒れたプルトン人の持ち物を検める。
するとポケットの中から1枚のカードキーが出てきた。おそらく基地の関係者でなければ通れない場所を開けるキーだろう。
「これは使えそう」
カードキーをしまって、倒れたままのプルトン人はその辺の空き部屋のロッカーへ押し込む。事前に確認しておいた基地の地図が、ここでも役に立った。
――こうして眞白は、警備のきつい表通りをスルーして、誰にも気付かれることなく格納庫に辿り着く。そこには誰も乗っていない無人のUFOがずらりと並んでいる。
(これならもらえそう)
静かに心躍らせる眞白だが、ここで無策のまま初めて乗るUFOを飛ばしても、すぐに捕まってしまうだろう。まずは1つ練習用に適当な機体を選び、逃げる予定のコースとは反対方向に飛ばしてみる。
「……うん。ちゃんと動いた」
ふわりと浮かんだUFOが高度を上げる前に、操縦桿を固定しながらぴょんと飛び降りる。無人となったUFOは、そのまま一直線にあらぬ方向へ飛んでいった。
「マタ侵入者ダ!」
「追イカケロ!」
眞白が飛ばしたそのUFOを、敵が乗っているものと勘違いしたのはプルトン人達。
すぐさま追跡部隊を編成すると、逃げていくUFOを血眼になって追いかける。そこには誰も乗っていないとは露ほども思わずに。
(今のうちに。少しの時間飛べれば大分離れると思うし、それまではなんとか逃げよう)
眞白は新たなUFOに乗り込むと、今度こそちゃんとした方向に飛ぶ。
敵が囮に夢中になっている隙に、少しでも距離を引き離すためだ。
「アッ、シマッタ?!」
プルトン人達が囮を撃墜し、それが無人機だと知った時にはもう遅く。
正反対の方向に飛んでいく眞白のUFOはすでに基地のはるか彼方、どう足掻いても追いつけない距離にまで遠ざかっていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
⚫︎
【UFO🛸】
ゆうふおの回収はいよいよ大詰め!
ぼくも順長にいけば10機集められそう!
さぁ!自分用……じゃなくて、みんなの為に回収しよう!
【潜入】
UCで準備した機械はこれ!
今までの潜入から、敵の警備体制から施設、周囲の地図まで網羅した!
『拾玖年度版!エリヤ伍拾壱完全案内盤!』
これまでの潜入の成果をここで試すよ!
ナビゲーションで敵の位置を把握しながら、ゆうふおまでの最短にして安全な道筋を割り出して、安全に進めるように隠れて潜入するね!
手薄になるタイミングで機関銃で牽制しながら、ゆうふおを奪取!そのまま破壊光線で壁を壊して脱出!
あとの脱出ルートも、相手が追いにくい森林や渓谷を選んで、脱出!
「ゆうふおの回収はいよいよ大詰め! ぼくも順長にいけば10機集められそう!」
敵に占拠された基地に意気揚々とやって来る、ハイカラなメイド姿の少女。
これまでに数々のエリア51潜入作戦に参加し、幾つものUFOを回収してきた国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)は、今回も自信満々だった。
「さぁ! 自分用……じゃなくて、みんなの為に回収しよう!」
メカニックとしての本音(?)が若干漏れている気もするが、それはそれ。
宇宙の敵に挑むためのUFOは、1機でも多いことに越したことは無いのだから。
「今回準備した機械はこれ!」
【超高精度近未来観測機構・甲】により、予測した状況に有効な超機械を作り上げることのできる鈴鹿。彼女が持っていたのはタブレット端末にも似た案内盤だった。
「今までの潜入から、敵の警備体制から施設、周囲の地図まで網羅した! 『拾玖年度版! エリヤ伍拾壱完全案内盤!』」
鈴鹿の知識と経験とテクノロジヰの粋を結集した、エリア51の内部を丸裸にするスペシャルな案内版。まさにこの作戦のために開発された超機械である。
「これまでの潜入の成果をここで試すよ!」
サクラミラージュで今をときめく超技術機械技師は、自信たっぷりの表情で案内盤のスイッチを入れると、エリア51への潜入を開始した。
(ゆうふおの仕舞ってある格納庫はあっちだね)
案内盤に表示される基地の構造図や敵の配置を確認し、警備の死角となる物陰に隠れながら先に進んでいく鈴鹿。この正確無比なナビゲーションと彼女の天才的頭脳があれば、UFOまでの最短にして安全な道筋を割り出すのは容易い。
(14秒後にあそこの警備が交代するから、その隙に直進。次の曲がり角で7秒待機して、巡回が通り過ぎるのを待つ、っと)
秒刻みでの寸分狂いない警備体制の把握。至るところに敵の目が光っているはずの基地内を、彼女はまるで空き家を行くがごとくすいすいと通り抜ける。
このエリア51に潜入するためのノウハウの全てが、この『拾玖年度版! エリヤ伍拾壱完全案内盤!』には詰まっているのだ。プルトン人と米軍は涙目必至である。
(よし到着! ここからは一気に行こうかな!)
無事にUFO格納庫の目前までたどり着いた鈴鹿は、案内盤をしまい込むと両手に二挺の機関銃――双式機関銃「ナアサテイヤ」と「ダスラ」を構える。
入り口の付近で警備に当たっているプルトン人は1人だけ。もちろん警備の手薄になるタイミングを見計らってここまで来たのだ。
「よーし、行くよ!」
トリガーを引けば、鳴り響く発砲音。完全なる不意打ちを食らったプルトン人は、反撃や防御するよりもまず泡を食って思考が硬直してしまう。
「ナッ、何ダッ、侵入者ッ?!」
いつの間にここまで潜入されていたのか。動揺のあまり即時の行動に移れない警備を弾幕で牽制しつつ、鈴鹿は格納庫の内部に突入する。
「あった!」
そこに運び込まれていたのはもはや見間違うはずもない1人用UFO。
付近の警備が駆けつけてくる前に、さっさと奪取してしまおう。
鈴鹿は颯爽とその操縦席に乗り込むと、慣れた手付きで機体を浮上させ――。
「破壊光線、発射!」
ドォンッ! と放たれた閃光が格納庫の壁を破壊し、脱出口を作り上げる。
仰天しているプルトン人達をよそに、鈴鹿は悠々とその穴から外に飛び出していった。
「マ、待テ、逃ゲルナー!」
プルトン人達もすぐさまUFOに乗り込んで追いかけて来るが、鈴鹿の作った超機械に抜かりはない。基地の周辺の地形まで網羅して、相手が追いにくい森林や渓谷を通る脱出ルートをすでに割り出していた。
「またね!」
地形に阻まれて追いつけない連中にひらひらと振りながら、鈴鹿は無事にエリア51を脱出するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
羽月・姫香
ホンマやったら巡回に紛れ込みたいんやけど、流石に猪頭はなぁ…
それなら、今回は正攻法で行かせてもらおかっ☆
【忍法・無月】…まずは姿を隠し、【忍び足、闇に紛れる、目立たない】ようにしつつ、巡回の死角を【見切り】忍び込むでっ☆
とはいってもあっちも血眼になって探してるやろうから…もし感づかれそうになったんやったら<南洋手裏剣>を使って【早業、咄嗟の一撃、毒使い、暗殺、投擲】で無力化せなあかんな
で、『ゆーほー』を動かさなあかんのやけど…ウチこない複雑なカラクリって苦手なんよね…
ここは【第六感】に頼るしかないみたいやなぁ…
「えっと、ここをこうして…多分これ押したら動くやろっ!?」
(※アドリブ等歓迎)
(敵の拠点への潜入……忍の面目躍如……ってところやろか?)
【忍法・無月】によって己の姿を隠し、闇に紛れて音もなくエリア51に忍び寄るのは羽月・姫香(災禍呼ぶ忍・f18571)。熟達の忍者である彼女にとって、この種の依頼はその技量を存分に発揮する機会でもあった。
(ホンマやったら巡回に紛れ込みたいんやけど、流石に猪頭はなぁ……)
相手が宇宙人でなければ、変装の腕前も見せられたところなのだが。
体格も容貌も地球人類と異なる種族に化けるのは、やはり難しい。
(それなら、今回は正攻法で行かせてもらおかっ☆)
確かな自信に裏打ちされた奔放な笑みを浮かべながら、足音を立てることなく静かに、密やかに。隠れ身の術を使った姫香の姿は誰にも捉えられることはない。
基地のすぐ近くまで近付いた彼女は、巡回している見張りの死角となる位置を見切り、気配を殺したままするりと内部に忍び込んだ。
「モウコレ以上、ヤツラノ好キ勝手ニサセルナ!」
「侵入者ハ見ツケ次第殺セ!」
基地に入ってからも、中には大勢のプルトン人が巡回に当たっている。その警備の厳重さは、もはや数え切れないほどのUFOを猟兵に奪い取られた恨みもあるようだ。
(あっちも血眼になって探してるなあ……)
同情はしないが、少々厄介ではある。姫香は油断しないように気を引き締めなおすと、物音等から位置を悟られぬよう、息を潜めて基地の奥に向かう。
(もうちょっとで『ゆーほー』のある所のはずなんやけど……あの猪が邪魔やなあ)
警備網の隙間をくぐり抜け、時には敵の鼻先を掠めながら進むこと暫し。
姫香の前にはUFO格納庫の入り口と、それを警備するプルトン人が立っていた。
ここで警備がどこかへ行くのを待っていたら日が明けかねない。意を決した彼女はポーチから西洋手裏剣を取り出すと、目にも留まらぬ早業で投げつけた。
「グェ……ッ!!?」
とてつもなく奇怪な形状をした手裏剣は、狙い過たずに警備の首筋に突き刺さり。
くぐもった悲鳴を上げたプルトン人は、刃に塗られていた毒により瞬時に昏倒した。
「これでよしっと。で、『ゆーほー』を動かさなあかんのやけど……」
警備を無力化して格納庫に入ると、そこには未知のテクノロジーで作られた1人用UFOが鎮座している。それを見上げる姫香の表情はとても渋い。
「ウチこない複雑なカラクリって苦手なんよね……」
とりあえず操縦席らしい所に座ってみるものの、ずらっと並んでいるボタンやレバーのどれを動かせばこのヘンテコな円盤が飛ぶのか、まるで理解できない。
ここは最後の手段。忍者として猟兵として培われてきた、第六感に頼る時である。
「えっと、ここをこうして……多分これ押したら動くやろっ!?」
何となく目についたレバーを引いたり、重要そうなボタンをぽちっと押したり。
直感の赴くままにいじくり回していると、不意にUFOがゴゴゴゴと鳴動を始める。
「ほら動いた! 後はこのまま外に出て――」
姫香がぱっと喜色を浮かべたのもつかの間、ゴゴゴゴゴゴゴと唸り声を上げながら浮かび上がったUFOは、まるでジェットコースターのような勢いで急発進し、誰かが格納庫に開けた穴から夜空にすっ飛んでいった。
「何ダアレハ?! マタ盗マレタノカ?!」
「アノすぴーど、マサカゆーふぉーノりみったーヲ解除シテ!?」
明らかに異常なスピードで飛んでいくUFOを見たプルトン人達は、慌てて追跡するもののまったく追いつけない。どうやら姫香はUFOをあちこち弄っていた際に、知らぬまま押してはいけないボタンも押してしまっていたらしい。
「これ、どうやって止めるんやぁっ!?」
振り落とされないよう操縦席にしがみつきながら、ボタンをぽちぽちする姫香。
結果的に追っ手を振り切れたのは怪我の功名だが、このままではいずれ大惨事である。
――最終的にはピンチによって研ぎ澄まされた第六感により、姫香もUFOも事なきを得たことをここに報告しておく。全ては終わりよければ全てよし、である。
大成功
🔵🔵🔵
月宮・ユイ
アドリブ◎
*器に<誘惑の呪詛>宿し呪:呪詛操るヤドリガミ
侵略に使われぬ様、一隻でも多く奪取しておきましょう。
見つからない事を第一に行動。
[マーレ・マキナ]電脳魔術<呪式ハッキング>も用い、
出来るだけ事前に基地の見取り図等<情報収集>共有
潜入ルートを確定。
《人型変異》
<知識>ブラックタールの情報基に体を液状生命体に変える
人型では通れない場所や隙間からも侵入でき、
足音もないので潜入には有効なはず。
戦闘が必要な時は<早業>で奇襲覆い尽くし、
動きと外部への連絡封じ<生命力吸収の呪>で捕食、暗殺する
<操縦方早業学習>
脱出時も目立たない事を第一に行動し、
攻撃には[ステラ]で盾生成、受け逸らし逃走を優先
「『マーレ・マキナ』電脳魔術起動、呪式ハッキング開始」
エリア51から少し離れたエリアにて、月宮・ユイ(捕喰連星・f02933)は電脳デバイスを片手に電脳世界を展開し、基地の情報を収集していた。
異界にて開発された呪物兵器のコアを本体とする彼女は、この世界の技術水準を遥かに上回る存在。最新鋭の軍事基地のセキュリティだろうと何程のものではない。
基地の見取り図から警備の状況、すでに潜入を果たした仲間との情報共有も含めて、万全な情報を事前に集めたうえでの潜入ルートを確定する。
今回の作戦目標はプルトン人が基地に運び込んだ1人用UFOの奪取。
これを見過ごせば、地球全体の制空権、制宙権が脅かされることは必定。
「侵略に使われぬ様、一隻でも多く奪取しておきましょう」
物静かな表情に決意を秘めて、準備を完了したユイは作戦を開始する。
「(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。対象情報取得……全情報適用)変異開始……」
基地に近付いていくユイの肉体が変化していく。これまでに収集した情報を基に、ブラックタールの体質に類似した液状生命体のボディへと。
ヤドリガミの人型作成能力を発展拡張させた【人型変異】により、彼女は自らの姿と能力を自在に変えることができるのだ。
(人型では通れない場所や隙間からも侵入でき、足音もないので潜入には有効なはず)
液状化したユイの身体は地面を這うようにして進み、巡回するプルトン人の警備隊からも気取られることなく、安々と基地への潜入を果たした。
この身体が役に立つ場面は無数にある。閉じたドアの隙間や通気用のダクト、果ては床下や天井裏など、そこに僅かでもスペースがあれば潜伏・侵入できるのだから。
(あれは……)
事前の潜入ルートに沿って基地の敷地内を調査していると、UFOに乗って巡回を行っている1人のプルトン人の兵士に目が留まる。
近くに他の警備がいるような気配はない。奇襲を仕掛けるなら絶好の機会だ。
ユイは液状の身体を活かして音もなく壁を這い上がると、高い位置からUFOの操縦者目掛けて、覆いかぶさるように飛びかかった。
「ッ!!?!?」
突然の奇襲を受けたプルトン人は、目を丸くして声を上げようとする。
だが液体に顔を覆われているせいで声が出ない。通信で仲間に危機を伝えようとしても、ユイの身体はプルトン人の全身を覆い尽くし、完全に動きを封じてしまう。
(さようなら)
ユイは為す術のない獲物にそう告げると、兵器たる自らの呪を送りこみ、その骨肉から生命力の一片に至るまでを喰らい尽くしたのだった。
「これで目的の物は手に入りましたね」
操縦者の捕食吸収を終えたユイは人型変異を解除して元の姿に戻ると、無人となった1人用UFOの操縦席にすとんと腰を下ろす。彼女の兵器としての高い学習力をもってすれば、操縦方を身につけるのに大した時間はかからない。
「では、脱出しましょう」
すぐにUFOを操れるようになったユイは、潜入時とは異なる帰還ルートを辿る。
目立たないように高度を落とし、敵に発見されないことを第一にして。
「ン……オイ、アレヲ見ロ!」
「シマッタ、イツノ間ニ!」
プルトン人達がようやく気付いた時には、ユイのUFOはすでに遠ざかっていた。
何とか足止めしようとUFOから破壊光線を放っても、その距離からではほとんど狙いが定まらないうえ、僅かな命中弾も彼女が生成していた防盾に阻まれる。
己を構成する連星型共鳴コアのひとつ、星剣『ステラ』から次々と新たな盾を創生しながらも、ユイはあくまで逃走を優先して反撃を行わなかった。
「今宵はこれで十分です」
無傷のままにUFOを奪取した少女は、少し満足げな笑みを口元に浮かべながら、闇夜の中に姿を消したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
…作戦は理解した。まぁ、任せてくれ
この手の潜入任務は何度もこなしてきた
俺にとっちゃ、寝て起きるのと大差ないことだ
素早く、正確に、誰にも見つからずに
そう、幽霊のように…後には何も残さないぜ
まずは【ハッキング】でシステムに侵入、見取り図を入手する
UFOまでの最短ルートを選定してっと───
セット、『Dilution』
何に集中するかって?んなもん『走る』ことに決まってるだろ
それ以外は何も考えず、何もしないんだよ
それだけで俺は誰にも干渉されないし、知覚されなくなるんだから
UFOに乗り込んだら、今度は『操縦』に専心することで再発動する
悪いね、最初から最後まで、誰にも見つかるつもりが無いよ
ゴースト、だからな
「……作戦は理解した。まぁ、任せてくれ」
グリモアベースでのミーティングを受け、そう自信ありげに応じたのは、ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)。彼は猟兵であると同時に、数々のミッションで腕を鳴らした元フリーの非合法工作員だった。
「この手の潜入任務は何度もこなしてきた。俺にとっちゃ、寝て起きるのと大差ないことだ」
潜入先はエイリアンに占拠されたエリア51。ターゲットはUFO。
世界最大国家の軍事基地が相手だろうと、余裕の笑みを口元に浮かべて。
「素早く、正確に、誰にも見つからずに。そう、幽霊のように……後には何も残さないぜ」
その得意げな宣言が真実であることを、彼はすぐに証明してみせる。
「まずはUFOまでの最短ルートを選定してっと――」
現地に赴いたヴィクティムは、サイバーウェアとしてその身と一体となった電脳デバイスを操り、エリア51のシステムへのハッキングを仕掛ける。
同様の手口を以って潜入に臨んだ猟兵は他にもいた。その際の痕跡をバックドアとして利用しセキュリティを突破、基地の見取り図を入手するまで1分30秒。
目的のブツが運び込まれた格納庫の位置と経路を割り出すのに30秒。
僅か2分で突入準備を整えた彼は、いよいよ本番の潜入作戦を開始する。
「セット、『Dilution』」
大脳に埋め込んだデバイスのプログラムを起動し、基地に向かって駆け出す。
選定したルートに従って最短かつ最速で。警備のことは考えないで一目散に。
一見、それは無謀な突入のようにしか思えない。なにせ彼は足音を消すような工夫も、姿を隠すような装備も使わず、ただ「走っている」だけなのだから。
――だが、一見無謀な行為にも関わらず、彼の疾走は誰にも止められない。
(走れ。走れ。走れ)
ヴィクティムの思考はそれひとつに染まっている。他の事は何も考えていない。
異常なまでの集中と没頭。それが維持されている限り、彼のユーベルコード――Stealth Code『Dilution』は起動し続け、その存在を完全なる不可知とする。
警備のプルトン人のすぐ隣を走り抜けていっても、彼らは何も気付かない。誰にも干渉されないし、知覚されない――其れはまさに幽霊(ゴースト)。
それは機械的な"目"に対しても同じことであり、基地内に仕掛けられた膨大なカメラとセキュリティの数々は、彼が格納庫に辿り着くまでまったくの無反応であった。
「――こいつがUFOか」
目的地に到達すると"走る"事をトリガーにしていた『Dilution』の効果は途切れる。
没頭状態から浮上したヴィクティムはすぐさま目的の機体に乗り込むと、今度は"操縦"に専心することでユーベルコードを再起動させる。
「スペースシップワールドの宇宙船に比べりゃシンプルなもんだな」
初めて触る乗り物ではあるが、操縦方法そのものは大して複雑ではない。
すぐに飛ばし方を理解するとUFOを浮上させ、やはり隠密行動などは考えずに、エリア51の敷地外に出る最短コースをすっ飛ばしていく。
「悪いね、最初から最後まで、誰にも見つかるつもりが無いよ」
其処に何もないかのように機体ごとヴィクティムの存在を秘匿する『Dilution』。
白昼堂々、基地の上空を過ぎ去っていく不審なUFOに、目を留める者はいない。
「ゴースト、だからな」
まさしくそれは、突入前に本人が宣言していた通りに。
素早く、正確に、誰にも見つからずに、彼はミッションを完遂したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
潜入とハッキングなら得意分野だよ。まかせてよ。
自分に迷彩レイヤーをかけて、見つからないように潜入するよ。
基地内の地図とUFOの位置は事前にハッキングをかけて入手済みだからね。
UFOを見つけたら、アナロジーメタモルフォーゼとハッキングの技術を使って、完全迷彩と清音化をかけて目立たないように飛べるよう、改造。
ハッチを開けると気付かれちゃうから、ファデエフ・ポポフゴーストでUFOごと屋外にワープ。そこからは自動運転で仲間の基地に向かうよう、動かすよ。
これを何回も繰り返して、格納庫のUFOを奪取するよ。疲れたらぼくもUFOに乗って離脱だ。
「潜入とハッキングなら得意分野だよ。まかせてよ」
そう言ってにっこりと笑いながら、この依頼を引き受けたのはアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)。その表情にあるのは確かな自信。
相手は最新のテクノロジーが導入された宇宙基地。目的は宇宙からやってきたエイリアンの宇宙船。どちらも電脳魔術士である彼女の実力を存分に振るえる相手だ。
「基地内の地図とUFOの位置は入手済みだからね」
さっそく現地に赴いたアリスは、バーチャルキャラクターである自身の身体に迷彩レイヤーをかけて、見つからないよう偽装しながら基地内に潜入する。
事前に行ったハッキングによって情報収集は万全。その足取りに迷いはなく、途中で巡回のプルトン人とすれ違っても慌てることはない。
「侵入者ハ居タカ?」
「イヤ、異常無シダ」
「気ヲ抜クナヨ……」
彼らもこれまでに何度も猟兵の潜入を許し、UFOを奪取されていることから、警戒レベルを最大まで引き上げて警備に当たっているようだ。
しかし彼らがどんなに頑張っても、目と鼻の先に潜んでいるアリスの迷彩を見破ることは出来なかった。
「見つけたよ」
難なく格納庫までやって来たアリスは、そこにずらりと並んでいる1人用UFOを見る。一般にイメージされやすい円盤型からロケット型まで、その形状は様々だ。
「このまま飛ばしたらちょっと目立っちゃうね」
そう考えた彼女はウィザードロッドに似せた情報端末の杖を振り、【アナロジーメタモルフォーゼ】を発動。物質の情報を自在に分解・再構成する自らの力を以って、保管されたUFOの改造に着手する。
求めるのはステルス性能の向上。機体表面には目視だけでなく電波やレーダーも欺く完全迷彩を施し、飛行時の音で気付かれないように静音化もかける。
同時に改造された機体が誤作動を起こさないように、搭載されたコンピュータにもハッキングをかけてフライトシステムを最適化しておく。
「あとは自動運転機能もつけて……これで完成だね」
完全ステルス仕様に生まれ変わったUFO群を見回して、すこし満足そうなアリス。
後はこれを無事に仲間の元まで持ち帰るだけ。ひょいと1機のUFOに乗り込んだ彼女は、再び杖を振って【ファデエフ・ポポフゴースト】を発動する。
「ハッチを開けると気付かれちゃうからね」
誰にも見つからずにUFOを格納庫から出すために、自身の身体ごと機体を量子化し、座標情報をずらして瞬間移動。本来は攻撃を回避するためのユーベルコードだが、応用すればワープとしても利用できるのだ。
「あとは自分で飛んでいってね」
無事に格納庫の外にワープしたところで、アリスは操縦席からぴょんと降りる。
改造したUFOには仲間のいる基地に向かうよう自動運転機能を設定してあるので、彼女が操縦しなくともひとりでに動く。
無人のUFOがプログラムした通りに飛んでいくのを確認できれば、あとは格納庫に引き返して同じことの繰り返し。人知れず改造されたUFO群は誰にも気付かれないまま、エリア51から次々と運び出されていく。
「こんなところで十分かな。ちょっと疲れちゃった」
やがて、当初よりも随分と閑散とした格納庫を見回して、アリスは額の汗を拭う。
全てとはいかずともこれだけのUFOを奪取できれば、成果としては十分だろう。
依頼を果たした情報妖精は、最後に残しておいた1機の改造UFOに乗り込んで、悠々と基地から離脱する。勿論、誰にも発見されることもなく。
のちに格納庫を確認しに来たプルトン人は、あれだけあったはずのUFOがごっそりと無くなっている惨状に、さぞかし仰天したことだろう。
――こうして、占拠されたエリア51から数多くのUFOの奪取に成功した猟兵達。
この大きな戦果はすぐに、プルトン人の本拠地『ラグランジュポイント』に向かう次なる作戦に活かされることになる。
大成功
🔵🔵🔵