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アースクライシス2019③〜守りたい物ほど守れはしない

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #デッドリーアロー #レッドバーニア

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 ヒーローズアースでは今も苛烈な戦争が続いている。
 アメリカ全土は今や世界を破壊と混乱で埋め尽くさんとするオブリビオンを押し留める防波堤なのだ。
 一方、戦争への対応に慌ただしいグリモアベースの一角に、場違いにも香ばしく穏やかな湯気が立ち込める作戦室があった。
「やあ、集まってくれて感謝する。まずは珈琲でも飲んで落ち着けよ。今日はモカの気分なんだが、諸君らの好みに合うかな?」
 作戦室の扉を開けると、そこにあるのはグリモア猟兵、枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)が呑気にコーヒーをドリップしている姿。
 集まった猟兵達に淹れたての珈琲を配膳しつつも、彼は言葉を続ける。
「おっと、悠長に話している暇はないんだったっけな。皆、飲みながらでいいから聞いてくれ」
 コーヒーカップが行き渡ったことを確認したマックスは、背後の大型ディスプレイに大都市の地図を表示した。
「諸君には急ぎニューヨークへと向かってもらいたい。俺からの依頼は"肥溜めの王"スカムキングの配下、デュランダル騎士たちの討伐だ」
 地図には補足文が添えられた赤いマーカーが大量に記されている。
 どうやらそれらはこの街に置かれたヒーロー達の拠点を示すもののようだ。
「俺の予知によれば、スカムキングはデュランダル騎士に『ヒーロー達の拠点を破壊せよ』という指令を与えるらしい。いくら屈強なヒーローでも、後方支援が無ければ一気に戦力が削がれちまうからな。だから諸君にはこの拠点を守ることも追加で頼みたい」
 デュランダル騎士達が狙うのは所謂、ヒーロー事務所や作戦室、研究所と呼ばれる場所だ。
 大都市なだけありこの街に住まうヒーローは数多く、その分拠点もニューヨークの各地に配置されている。
 その為、猟兵達は手分けして街を巡回し、デュランダル騎士がどの拠点を狙うかを予測して防御布陣を張ったり、襲撃地点に素早く急行するなどの行動が求められるだろう。
「最前線で戦うヒーロー達を救う為にもこの戦いは重要なものとなる。一同、気合を入れて臨んでくれたまえ。さあ、珈琲を飲み終わった奴からこのゲートをくぐってくれ。当分落ち着く暇は無いから、そのつもりで味わっての飲んでくれよ?」
 説明を終えたマックスは本体である青い鬼面を被り、その瞳に嵌め込まれた翠の宝玉を煌めかせる。
「星辰の導きに依り疾く為し賜え……送還術発動! さあ、無事に戻ってこいよ猟兵諸君! 珈琲のおかわりと今度店に出す新作のラスクを用意しておくからよ」


Naranji
 世界跳び越え♪ いつも助けてくれるよ♪
 風にその名をー呼んだならー♪
 イェーガー! イェーガー! イェーガアア♪ キミの胸に♪

 ……はい。大好きなヒーローズアースでの戦争にテンション爆上がりのMS.Naranjiです。
 初めましての方は初めまして。
 以前も参加して頂いた方は、また覗いていただきありがとうございます。

(以下、注意事項)
 =============================)
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「クライシスウォー2019」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 =============================)

●目的&プレイングボーナス
 敵には『NY中にあるヒーローの拠点を破壊せよ』という命令が下されています。
 これを妨害し、拠点を守るようなプレイングが記載されていた場合、ボーナスが得られます。

●デュランダル騎士について
 かつて正義の名のもとに、ヒーロー達に命を狙われるヴィランを守るために戦った騎士団です。正義の敵はまた別の正義、といったところでしょうか。
 しかしオブリビオン化した今、かつての正義は狂気に蝕まれ、無差別にヒーローを虐殺する暴徒と化しています。

●ヒーロー
 ヒーローの拠点への襲撃のため、現地のヒーローが登場する場合があります。
 彼らは戦闘には参加はせず、周囲の避難誘導をしたり、猟兵に情報を与えてくれたりします。
 もしかしたら、過去に私のシナリオに出てきたヒーローが再登場するかも?

●その他
 多くの方に御参加いただき、🔵がクリア必要数よりも遥かに多くなりそうになった場合、大変申し訳ありませんがプレイングを私の方で選んで採用させていただきます。
 その場合、よりプレイングボーナスをつけやすい方を優先して採用したいと思っています。予めご了承ください。
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第1章 集団戦 『デュランダル騎士』

POW   :    デストロイブレイド
単純で重い【量産型魔剣デュランダル】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ケイオスランサー
【魔槍】が命中した対象に対し、高威力高命中の【仲間のデュランダル騎士との怒濤の連携攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    不滅の刃
【量産型魔剣から放たれる光】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジャスパー・ドゥルジー
スマホや通信端末のIDを他猟兵達と交換
何かあればすぐに向かえるように
俺自身は地図で調べた拠点のうち一番でかい拠点に目星をつける
俺が騎士どもだったら一番成果をあげられる箇所を潰すからな

敵が急襲を仕掛けてきたら
腹にナイフ滑らせ流れた血で【イーコールの匣】
巨大な盾を作って攻撃を受け止めるぜ
あんたらの好きにはさせねェよ
俺を斃さねェ限り、後ろへ攻撃は届かせねェ

防御に力を使っちまってるから俺の武器はちゃちなナイフだけ
相手は鎧甲冑の騎士様だ
それにリーチもある
――最ッ高に滾るシチュエーションじゃねェか
攻撃を受けようと【激痛耐性】で距離を詰めて
鎧の隙間を縫うように狙いすました一撃を浴びせるぜ


津久根・麦穂
襲われる拠点…救援が間に合わない場所…
懐から【ブラスハート】を取り出すと
羅針儀の針はひとつの方角を指し示します。
そこを目指しましょう。

敵はひと目で強大な力を持つことが見て取れます。
まともにやったら私では敵いませんし、
あの剣で拠点も破壊されてしまうでしょう。
ここは【コカトリストラップ】の石化ガスを使いますか。
こんなもので倒せるとは思っていません。
表皮……いや鎧下の衣類でも構わない、
ほんの少し石化させれば十分です。
強力な一撃というのは全身を連動させた動きが不可欠なのです。
足の爪先から手の指先に至るまで、
どこか一箇所でも封じればそこで力は減衰します。
力任せの攻撃には搦め手を以て対抗しましょう。


四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
 誰かが俺を呼んでいる、風に助けを求めてる。
 ならば答える義理人情ッ! 世界を越えるは心意気ッ!
 勇蒸連結ジョウキングッ!勝手ながら到着だッ!

 という訳で防御力重視でユーベルコード発動ッ!カッコいいBGMと共にデュランダル騎士を巻き込みヒーロー着地を決めるッ!

 流石に数は揃っているなッ!ならば射撃戦と行こうッ! 射撃装備を【一斉発射】ッ!ヒーロー拠点よりもこちらに意識を向けさせるッ!

 当然、相手も接近してくる筈だ……そこが狙い目ッ!踏み止まっての射撃から急に【ダッシュ】での格闘戦にチェンジ、隙を突いて【グラップル】、敵の腕を掴み別の敵に向けて【怪力】で投げ飛ばすッ!




 ニューヨークに降り立った猟兵達は即座に行動に移った。
 持参したビークルに乗りこむ者。空へと飛び上がる者。静かに裏通りへと消える者。
 そんな中、津久根・麦穂(ストレイシーフ・f19253)はその場に立ち止まり、胸元のポケットから小さな羅針儀を取り出した。
「針の指す方向は……ありがとう。さあ、急がないと救援が間に合わなくなる」
 羅針儀の針は暫しの間くるくると回転し、麦穂が立つ大通りの先―この街で一番の高さを誇るセントラルタワーをピタりと指し示す。
「たしかグリモア猟兵さんの情報によれば、多くのヒーローが在籍する組合がある場所。やはりセントラルタワーが真っ先に狙われるとみて間違いないですね」
 羅針儀を懐にしまい歩き出す麦穂。とそんな彼の肩に、うすら白くひょろりと長い腕が絡みついた。
「気が合うねェ。俺もあのタワーが狙われると思ってたんだ。一緒にいこうじゃん?」
 ジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)はそう言って笑うと、麦穂の肩に馴れ馴れしく回した腕をほどき、彼に先んじて歩き出す。
「やれやれ、賑やかになりそうですね」


 ニューヨークの街が阿鼻叫喚に包まれたのは、それから程なくしてのことであった。
 何処からともなく現れた黒鎧の騎士達が、ヒーロー達の拠点を次々と襲い始めたのだ。
 そして当然、セントラルタワーも例外ではない。
 既にタワーの周囲には優に両手両足でも数えきれない程の黒が蠢いていた。
「はぁ、はぁ……ったく、数が多すぎんだよ!」
 デュランダル騎士達の怒号に負けまいとジャスパーが力強く悪態を吐き、自らナイフで腹に刻んだ傷跡をなぞっては血を辺りに振りまく。
 振りまかれた鮮血は地面に落ちると同時に巨大な盾となり、群がる魔槍を弾き返した。
「あんたらの好きにはさせねェよ。俺を斃さねェ限り、後ろへ攻撃は届かせねェ!」
 ジャスパーの防戦は壮絶であった。
 度重なる負傷と自ら刻んだ傷により耐えず激痛を感じているはずなのに、それでもその眼に揺蕩う闘志は絶える事がない。
 しかし、それもいずれは限界が来る。
 デュランダル騎士達の波状攻撃により、遂にジャスパーが張る防御網が掻い潜られてしまったのだ。
「クソッ、待て!」
 後ろに追い縋ろうとしたジャスパーを狙う穂先。
「危ない!」
 しかし間一髪の所で、煙幕を張りながら駆けつけた麦穂が彼を押し倒したことで事なきを得た。
 そして、そのままジャスパーを連れ立って縫うように敵軍を交わし正門の裏に身を潜める。
「お待たせしてすいません。策を張ることは出来ましたが、私ではまともにやっても彼らには敵いません。ジャスパーさんは何か手立てはありませんか?」
「あいにく力は防御に使っちまってるから、俺の武器はちゃちなナイフだけだ。一方の敵さんは大層な鎧甲冑の騎士様で、おまけにリーチ抜群の槍まで持ってやがる」
 元より血の気のない顔を更に蒼白にして唇をわななかせるジャスパー。しかし、その口元に浮かぶのは絶望ではなく、
「へへっ、最ッ高に滾るシチュエーションじゃねェか」
 さながら銀幕の主人公を演じているかのような狂喜だった。
 しかし、現実はそう甘くはない。じりじりと黒鋼の包囲網が狭まりつつある今、2人の命は風前の灯火だ。
 だがそんな状況にあっても尚、ジャスパーの不敵な笑みは耐えることが無い。
「それに、SOSならもう出してあるから心配すんなって。見るからに強そうだったからな、真っ先に番号交換しといてよかったぜ」

 ズンッッッ!!

 次の瞬間、セントラルタワーの正門前に雷が落ちた。
 いや、雷と見紛うほどの速さで、何かが落ちてきたのだ。
「誰かが俺を呼んでいる、風に助けを求めてる」
 もうもうと立ち込める粉塵は、着弾点にいたデュランダル騎士が粉々に砕かれ霧散したもの。
 視界の利かない靄の向こうで“ソレ”は雄叫びの如く汽笛を鳴らした。
「ならば答える義理人情ッ! 世界を越えるは心意気ッ!」
 続いてセントラルタワーに備え付けられたスピーカーから流れだす猛々しいメロディ。
 そして満を持して全身から噴き出す蒸気で靄を晴らし、
「勇蒸連結ジョウキングッ! 勝手ながら到着だッ!」
 赤銅色の装甲と巨躯を誇る正義の蒸気機関車、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)は高らかに名乗りを上げるのであった。
「待たせて済まないッ! タワーの視聴覚室に音楽データを送信するのに手間取ってしまった。だが俺が来たからにはもう安心だッ!」
 背後の二人に振り返ることなく親指を立ててみせると、綴は両腕を広げ、迫り来る魔剣の群れを真正面から受け止める。
「蒸騎構築(ジョークアップ)の硬さと馬力を……舐めるなッ!」
 そして両腕を広げたまま体を回転させ、所謂ダブルラリアットの要領で群がる騎士を弾き飛ばす。
 だがそれに怯むデュランダル騎士団ではない。弾き飛ばされた仲間を掻い潜り、第二陣が大剣を構え吶喊する。
「流石に数は揃っているなッ! ならば射撃戦と行こうッ!」
 それに対し綴がとった行動は一斉掃射。
 機体背面から展開した石炭型榴砲と掌から放つバリアシューター、更にはもう片方の手に大型ハンドライフルを握り強烈な弾幕をはることで、迫り来る騎士達を弾き飛ばしていく。
 更に不可思議な事に、弾幕の餌食となったのは突進していた者達だけではなかった。
 本来ならば即座に防御、もしくは回避行動に移れたはずの位置にいた者達も、突如体に走った『軋み』により、防御すること敵わず打ち倒されていたのだ。
「ふう、やっと効果が出ましたか」
 その光景に安堵の息をついたのは麦穂であった。
 彼は当初、煙幕を巻いて逃げ回りながらデュランダル騎士達を攪乱する任に就いていた。しかし、その時に用いたのはただの煙幕ではない。
「コカトリストラップ、石化ガスを煙幕に忍ばせました。表皮……いや鎧下の衣類でも構わない、ほんの少し石化させれば十分です。足の爪先から手の指先に至るまで、どこか一箇所でも封じればそこで力は減衰します」
「へぇ、やるじゃん。なら今のあいつらは動きが鈍くなってんだろ。それなら……」
 麦穂の言葉を聞き、ジャスパーの薄ら笑いが凶暴な笑みに変じる。
「さっきの借りをかえさせてもらうぜェ!」
 そう叫ぶや否や、ジャスパーはナイフを手に弾幕を掻い潜って駆けだした。
 そして、ライフル弾が掠めて怯んだ騎士に飛び掛かると、勢いのままに押し倒し、鎧に長い手足を絡みつかせる。
「ほォら、大人しくしろよ。痛いのは最初だけだ」
 ナイフの切っ先を鎧の胸と腕の間の僅かな隙間にあてがいそのまま容赦なく突き刺せば、騎士の体が一瞬ビクンッと痙攣し、そのままに度と動かなくなる。
「良い組技だッ! それならば俺も手本を見せようッ!」
 
そこから先は猟兵達の一転攻勢であった。
 ジャスパーのナイフが、麦穂のトラップが、綴の火力……ではなくパワーボムやスープレックスといたプロレス技が次々と敵を蹴散らしていく。
 しかし、これはニューヨークでの戦いのほんの一幕でしかない。
 今もどこかでヒーローの拠点が襲撃を受けているこの状況を、猟兵達は果たして打開すことが出来るのであろうか。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

キング・ノーライフ
確かに家や拠点を破壊されると辛い、実質兵糧攻めか。
変な作戦の中に急に真面目なのを入れ込む辺り、
スカムキングという奴は中々厄介だな。

【ヴァーハナ】に乗り込み、【賢王の目】で信号等を交通網を破壊しない程度に【ハッキング】して出来るだけ最速【運転】で見回りつつ、SNS等で流れるデュランダルの目撃情報等も把捉して情報共有する。

そして敵を発見したらそのままヴァーハナで突っ込み、【デストロイブレイド】を誘い。間合いに入る直前で【ビルドロボット】で変形する事で間合いをズラす。そこから地形が破壊される前にジャンプし、飛び蹴りを食らわせる。
「騎士が意思なき暴力とは哀れな物よ、我が止めてやるか」


ユリウス・リウィウス
ふん、土地勘のない場所での防衛戦か。自分の足で探すというのはごめんだぞ。というわけでタクシーとやらを使って、運転手が知ってる限りのヒーロー事務所を回ってもらおう。

デュランダル騎士とは、まず血統覚醒して力を底上げし、「生命力吸収」「精神攻撃」「2回攻撃」「鎧無視攻撃」「鎧砕き」「恐怖を与える」を乗せた虚空斬を放つ。
デストロイブレイドは「盾受け」して滑らせ、受け流して直撃を避けよう。

どうせ一人じゃないんだろう。数に押されそうになったら亡霊騎士団と悪意の怨霊を使役して、押し返してみせる。

とにかく、守るべき場所が多い。効率的なナビゲートを運転手に頼もう。
その分チップははずむぞ。しっかりやってくれ。


エメラ・アーヴェスピア
複数の拠点防衛…また面倒ね…
でも、やらなくては大変な事になるわ
なら、私は私のやり方でやらせてもらいましょうか

防衛する建物は全てわかっているのかしら?
判っていないのなら【情報収集】から始める事になるけれど…判明したなら『ここに始まるは我が戦場』
数機ずつその場に送り込んで監視よ

敵が襲ってきたのならばその場のドローンを使った『歓待するは我が戦城』で魔導蒸気兵(『出撃の時だ我が精兵達よ』)を送り込むわ
同時に探す手段のない同僚さんが居るのならそちらに情報を送るわね
これなら瞬時に広範囲で対応は可能よ、最悪同僚さんが到着する為の【時間稼ぎ】になれば問題ないわ
私は動かず情報収集に専念よ

※アドリブ・絡み歓迎


紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎

【選択UC】による軍勢を展開。これを監視網として、【情報収集】、索敵を行いつつ、愛車【ナイン(改造スポーツカー)】を【運転】して巡回する。僅かな予兆があれば友軍に報告し、あるいは自分で直行する事で敵の作戦行動をなるべく早めに潰す事を第一目標とするであります。
接敵後は愛車を電脳魔術で収納してから、右手の【刹那】(2回攻撃,串刺し)と左手の【Sirius[K's]】(鎧無視攻撃,属性攻撃)の手数で勝負。敵の攻撃は直感と経験(第六感,戦闘知識)で回避。

「網にかかったでありますね――!」




 ニューヨークの中心街―マンハッタンを三台のビークルが駆け抜ける。
 一台はキング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)が駆る鳥のような意匠があしらわれた改造装甲車『ヴァ―ハナ』。
 そしてもう一台は紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)の改造スポーツカー『RX-9』。
 そして最後の一台はユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)が乗りこんだタクシーである。繰り返す。タクシーである。
「お客さん、なにもこんな物騒な日に弊社を捕まえなくてもいいんじゃないですか? ほら、また爆発が起きた。こんな日は家に帰ってワイフとカウチポテトするに限るんだが」
「そう言うなドライバー。至急、今爆発があった所に向かってくれ。その分チップならはずむぞ」
 タクシーの後部座席に座るユリウスの手元にあるのは携帯端末。解散前にとある猟兵から受け取った物だ。
「やはり、爆発が起こったのはヒーロー事務所がある地点か。……PS.私の蒸気兵で足止めはするが、長くはもたない。至急応援頼む、ねぇ」
 端末に送られてくるリアルタイム情報と要請文を確認しつつ、自身のやるべき仕事を確認したユリウスは、傍らに置いた二振りの黒剣に手を添える。
「ドライバー、オーダー変更だ。“大”至急向かってくれ」
「急かしますね、でしたらシートベルトを。飛ばせと言ったのはお客さんですから、ね!」
 言うや否や、タクシードライバーの右足が強く踏み込まれる。
 一般車ではありえない程の急加速をしたタクシーは、そのまま左側車線に飛び出し、向かい来る対向車を避けて最短距離を駆け抜けた。
 

「これでシヴィック方面のフォローはOKね」
 タクシーが掟破り地元走りを始めた頃、とあるヒーロー事務所のデスクでは、スチームパンク風のドレスを纏った少女がノートPCを静かに眺めていた。
少女の名はエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。今回のパトロール遊撃隊の情報統括を一手に引き受けた逸材である。
 ヒーローズアースに降り立った彼女が真っ先に行った行動は、グリモア猟兵が提示した地図の襲撃予想地点の全てにドローンを飛ばすことであった。
「複数の拠点防衛……思ったよりも面倒な仕事ね……。でも、やらなくては大変な事になるわ。なら、私は私のやり方でやらせてもらいましょうか」
 索敵ドローンから送られてくる情報を取捨選択し、必要に応じ市内を巡回する最も近くにいる猟兵へと報告する。
 そのような、本来ならば只一人では到底処理が追いつかない作業量を、しかしエメラは事もなげにやってのけていた。
『伝令!』
 とその時、装着するヘッドホンに通信が入る。
『こちら智華。カバリングアームズ達がヒーローの作戦指令室に向かう騎士の一団を発見したようであります。少々遠いでありますが、迎撃に向かえばいいでしょうか?』
 智華の独特な軍事口調に続き、ノートPCには彼女が操る歩行兵器・カバリングアームズが撮影した画像と各種情報が届く。
「ありがとう、位置情報を受け取ったわ。……ふむ、この位置ならキングさんにも応援を頼んだ方がいいわね。聞こえたかしら?」
『うむ、我に任せよ。不遜な奴らは我が須らく跪かせてやろう』
 続てヘッドホンの向こうから聞こえてくるのは自身に満ち溢れすぎた男の声。
「ええ、頼んだわ、智華さんも合流し敵を追い込んでちょうだい」
「了解であります!」
 短い通信を終え、再び街中に張り巡らした警戒網に目を走らせるエメラ。
 彼女の戦いは静かに、しかし確実に戦場を勝利に導いていく。


 一方、エメラからの依頼を受けたキングは、ヴァハーナのハンドルを握り締め、忌々し気に舌打ちをする。
「変な作戦の中に急に真面目なのを入れ込む辺り、スカムキングという奴は中々厄介だな」
 こうしている今も後方支援が戦況に及ぼす影響は計り知れないということを実感するキング。
 もしもアメリカ全土で戦うヒーロー達が孤立することがあれば、きっとこの戦争に勝ち目はないだろう。
「我の世界を踏みにじろうとは大した度胸だっ!」
 静かに怒りを燃やしつつ、装着した片眼鏡で目の前の赤信号を一睨みすれば、信号は瞬く間に青色に変わる。
 超高度コンピューター内蔵モノクル『賢王の目』。既に町中の交通網をハッキングし掌握していたキングは、王の進軍を阻むものは何人たりとも許さないと言わんばかりに、ノンストップで指示された場所へと急行した。
「見つけたぞ下郎共」
 程なくして、彼の行く先に現れた黒鋼の群れ。
 キングはそれを見つけるや否や、ヴァハーナのアクセルを更に強く踏み込み軍勢に向かい真っすぐに突っ込んでいく。
 だがそれに気付かないデュランダル騎士ではない。猛スピードで突っ込んでくる装甲車を目にした一団は大剣を手に正面から迎え撃つ。
 そして遂に鋼と鋼がぶつかり合おうとした瞬間。
「行くぞヴァハーナ! 『ビルドロボット』!」
キングの体が運転席に吸い込まれ、瞬く間に装甲車と合体していくではないか。
 そして全長約3.5m、猛禽を思わせる嘴と爪をそなえた巨大ロボットとなったキングは即座に跳躍し、デュランダル騎士が振るうデストロイブレイドを飛び越え、突進の勢いのままに凄まじい蹴撃を見舞うのであった。
「騎士が意思なき暴力とは哀れな物よ……見るに堪えん。我が止めてやろう」
 アスファルトを焦がしながら停止するキングの巨体。彼はただの一撃で敵の前衛を半壊状態にまで追いやっていた。
 しかし、それでも尚退かないのはデュランダル騎士団の矜持のためか。
 隊長格と思われる一体が魔剣から放つ治癒の光と共に激を飛ばし、動ける者達を束ねあげ、戦陣を組みなおしていく。
「笑止! ならば猟兵、貴様の言葉をそのまま返そう。力なき意思しか持ち合わせない有象無象が、貴様の言う意思なき力を止められるか!」
 隊長格の叫びと共に、再び剣を振り上げ駆けだす騎士達。
 決して一方向から攻める事をせず、多方向から波状攻撃をしかける。多対一においてセオリーともいえる戦い方だ。
 しかし、彼らにとって一つ誤算があったとすれば、
「網にかかったでありますね――!」
 キングは決して単騎ではないということであった。
 RX-9で駆りつけた智華が軍服ワンピースを翻して彼らの間に割って入ると、手に持った2丁の銃―アサルトライフル『刹那』とレーザーライフル『Sirius』を横薙ぎに掃射する。
 それすらも耐え凌ぎ吶喊してきた者には、刹那の銃身下部に備え付けられた刃を突き刺し、零距離で再びの銃撃。堅牢な鎧さえも撃ち貫く鉛弾と熱光の暴力は、デュランダル騎士を一瞬にして消滅させた。
「遅くなりすいません。ここからは私も加勢するであります」
 キングに語り掛けながらも、智華の手は止まることを知らない。
 四方八方に散る騎士達に対し、その動きを上回る反応速度で銃口を向け、必要最小限の動きで打ち抜いていく。
「ちっ! たかだか1人が2人に増えただけだ。怯むな! 散開し数で叩き潰せ!」
 隊長による再びの回復と号令を受け、散開する騎士達。……だが、それが仇となった。
 並び立つキングと智華を標的に散開した騎士達が見つめる先は、当然その中心である一点。
 故に彼らは気づけない。背後から迫るもう一人、否、もう二人の援軍の存在を。

 ギャルッルルルル!!

 獣の唸りのような音をあげて戦場に飛び込んできた物。
 それは騎士達を跳ね飛ばしながら進む一台のタクシー。
 更に後部席のドアが勢いよく開いたかと思うと、二振り黒い剣を手にしたユリウスが飛び出し、神速の剣技でもってすれ違うデュランダル達を次々と斬り伏せる。
「……こちらも間に合ったようだな。いい仕事だエメラ」
 先に依頼されたシヴィック地区方面を1人で片付けたユリウスは、再びエメラからの指示を受け、今最も戦力が集まっているであろうこの場所まで誘導されたのだ。
「そしてドライバー、お前もな」
「いいや、貰った分の仕事を果たしたまでです」
 運転席から顔を覗かせるタクシードライバーを一瞥し、ユリウスは戦況を確認する。
 度重なる奇襲を受けたデュランダル騎士達は最早、回復も追いつかないほどの壊滅状態。
 あとは奴らを束ねる隊長格を仕留めるのみだ。
「何故だ! 何故我らが窮地に立たされる! 正義は、力は我らにあるというのに!」
「そんな事も分からぬか、痴れ者が。我は不死なる王……そして我らは救国の猟兵! 意思も力も貴様らより優っていた、それだけのことだ!」
 自身に満ち溢れた言葉はそのまま彼の力になる。キングは高らかに叫ぶと、その巨体で最後の雑兵を叩き潰した。
「認めない……俺は貴様を認めないいいいい!!」
 そして錯乱状態に陥った隊長騎士は、最後の力をふり絞って無謀な突進を仕掛け、
「頭が高い!」
「面倒事は……」
「これで終わりであります!」
 鋼の鉄拳、黒の斬撃、二丁の銃撃により一瞬にして灰燼と帰すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘンリエッタ・モリアーティ
へえ、同業狙いなんてやってくれる
『眼鏡型解析AI応龍』を使って狙われるであろう場所をまず解析、特定しましょう
『こんにちは、ボス』
――こんにちは、応龍
ここから私が最短で届く範囲で危険度の高そうな場所を調べて頂戴

特定できたなら窓ガラス打ち破って颯爽登場といきましょうか
こんにちは、ヒーロー。いいお天気なのに残念ね
ダークヒーロー・ウロボロスです
ご存知?なら結構。危ないから逃げてちょうだいね。

【黄昏】で強襲してくる鎧どもは皆殺しよ
『死樹の篭手』で相手をします
掴む壊す硬質だろうが引き裂いて殴りつけてただただただ暴力をぶちかます
同業の前だとやりやすくていいわ
――息つく暇も考える時間も与えるかよ
絶えて死ね。


アリシア・マクリントック
そうですね……私はシュンバーと一緒に巡回をして、マリアとは別行動にしましょう。これで単純に索敵範囲は2倍です。マリアは単独戦闘は難しいですが、私はユーベルコードを使えば一瞬で駆けつけることができます。遠吠えでもしてもらえばシュンバーが気づくでしょうから合図としてはそれでも良さそうですが、念の為防犯ブザーを改造した発信機をスカーフにつけておきましょう。
もしも同時に接敵ということになったら……私の方へ誘導してもらうしかないですね。

同時接敵のリスクもあるので交戦時は早期決着を意識して。馬上から積極的に敵の首を狙っていきましょう。


フィランサ・ロセウス
例えば大手を振って歩けないようなダークヒーローやヴィジランテだってヒーローには違いないし、
その人達が溜まり場にしていれば立派なヒーローの拠点よね?
だからまずは治安の悪い地域の酒場や廃墟にあたりを付けて【情報収集】、そういう場所がないか探しましょう

拠点を特定して、ヒーロー達と話す時間があれば襲撃に備えるように言っておくわ

敵が現れたら、この中に飛び込んで『愛の監獄迷宮』を発動!
これで敵は鉄格子に阻まれて破壊活動どころでないはずよ
後は私だけが自由にすり抜けられるこの迷宮の【地形を利用】して、【暗殺】【だまし討ち】で倒してあげる♪




 時間は少し巻き戻り、猟兵達がニューヨーク市内へと散開した直後。
 流れるような美しい金髪と碧眼の少女、アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は、愛狼マリアの首にスカーフを優しく巻きつけていた。
「さあ出来たわ。マリアはここから路地に入って。手分けしてデュランダル騎士を探すの。私はシュンバーと一緒に3ブロック離れた場所から路地に入るわ」
 マリアの首に巻いたスカーフには防犯ブザーを改造した発信機が付けられている。
 マリアが敵を見つけた場合は遠吼えで知らせてもらい、アリシアが急行するという手筈だ。
「でも、マリアだけじゃ戦闘は難しいし、私が着くまで耐え凌げるかしら」
「それなら、その狼さんは私について来てもらえますかー?」
 そう言って、軽い足取りで近づいてきたのはフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)だ。
「私ね、探す当てがあるんだけど1人じゃ心細いのー。凛々しくて格好いい狼さんがいれば心強いなー」
 どこか取ってつけたような愛想の良い笑顔を浮かべる少女に対し、僅かに警戒するアリシア。
 しかしフィランサは同じ旅団に所属する仲間であり、共闘すべき猟兵であると思い直し、アリシアは彼女の協力を承諾した。
「……分かりました。ではマリアをよろしくお願いします。マリア、私も足並みをそろえて遠吠えの聞こえる位置を保って進むから、何かあったらすぐに呼ぶのよ?」
 言外に同行者にも気をつけろという含みもいれた指示であったが、聡いマリアはそれに対し、ワフン! という返事で親友に了承の意を伝える。
「さあ、行きましょうマリアちゃん! 目指すはハーレムよ!」


 一方、摩天楼に隠れた裏通り。
 日照権と共にあらゆる活気と善意が奪われたかのような薄暗い道に、闇よりも暗い影が佇んでいた。
 黒髪痩身の身に黒の外套を纏い、遠目から見れば男女の判別すら難しいその者の名はヘンリエッタ・モリアーティ(Uroboros・f07026)。
 かつてはヒーローズアースの裏社会を生き抜いた謎多き女性である。
『こんにちは、ボス』
「こんにちは、応龍」
 解析AI『応龍』が内蔵された眼鏡型デバイスに指を当てると、ヘンリエッタは淡々と指令を飛ばす。
「ここから私が最短で届く範囲で危険度の高そうな場所を調べて頂戴」
『了解しました。解析中……ミッドダウン、並びにセントラルタワー周辺は既に猟兵が対応中。ブロードウェイから伸びる大通りも同様。対応優先度が高く現在地点から近いエリアはアップタウン方面でしょう』
「ありがとう。引き続きナビゲートをお願い」
『イエス、ボス』
 短く礼を述べるとヘンリエッタは踵を返し、繁華街に背を向けるようにして北を目指し歩き始めた。
「……同業狙いなんてやってくれる」
 誰に向けるでもなくぽつりと零した言葉に込められていたのは怒りか、はたまた敵に向けた感心か。
 そして、3人の猟兵はハーレムへと集う。


 フィアンサが言うハーレムとは、ニューヨーク市の北部に位置する地区名のことだ。
 ニューヨーク市内では比較的治安が悪い事で知られる場所(近年では改善傾向)であるが、フィアンサにはこの場所を目指す明確な理由があった。
「グリモア猟兵さんの地図にはチェックされてなかったけど、ハーレムとかリトルイタリーの旧マフィア街にもヒーローの拠点はあるのよ。ダークヒーローや、ちょっと“やんちゃ”なヴィジランテの溜まり場がね。公にはされていないから、見落とされてがちなんだけど」
 傍らを歩く狼にニコニコと説明しながら、通りを歩くフィランサ。
 ヒーローズアース出身であり、自らもダークヒーローである彼女が集めた確かな情報だ。彼女の気づきが無ければ、この地区の警戒は疎かになっていた事だろう。
「そして、中でも一ッ番有名なのがこの先の……」
 路地を曲がった先にあるレストラン、と言おうとしたところでフィランサは異変に気がついた。
 路地の向こうから聞こえてくるのは喧騒。そして、鉄と鉄が擦れあう不快な金属音。
「あら、私を差し置いてもう始めていたの? 抜け駆けはゆるさないんだから♪」
 言うや否やフィランサはステップ交じりに駆け出した。
 路地を曲がり、入り口が破壊されたレストランの前へと辿り着けば、そこにいたのは如何にも裏社会で生き抜いてきたような強面の男達と、彼らに斬りかかる甲冑騎士の群れ。
「さあ、さあ、さあ!  楽しい楽しいゲームを始めましょう!」
 感情を刺激する物(可愛らしい狼など)に対し無限の“愛”をぶつけたいという衝動を抑え続けていたフィランサは、やっとそれを解き放てるという喜色を隠そうともせず、ユーベルコードを発動させる。
 その瞬間、騎士達を取り囲むように鉄格子が出現し、彼らと襲撃されていた男達が隔てられた。
「楽しい楽しいアトラクションへようこそ。骨の髄まで楽しんでいってね!」
 傷つき倒れていた男の手からモンキーレンチを拾い上げたフィランサは、マリアの遠吠えを背に飛び掛かる。
 すると、どういう理屈か彼女の体は鉄格子をすり抜けて、すれ違いざまに1人の騎士の肘を鎧ごと破壊した。
 対する騎士達は狭い檻の中では思うように剣を振るうことが出来ず、結果として一方的に打ちのめされる結果となる。
「大丈夫ですか、マリア! ではなく、助太刀に参りました」
 とその時、マリアの声を聞きつけたアリシアが、愛馬シュンバーに跨り戦場に到着する。
 一先ずはマリアの無事に安堵するアリシアであったが、しかし既にヒーローやレストランの従業員に被害出てしまっている状況を見渡し、その端正な顔を悔しさに歪ませた。
「もう……もうこれ以上、私の目の届く場所での狼藉は許しません!」
 そして決意を力に変え、アリシアはシュンバーの手綱を振るい人馬一体となって駆けだす。
「成敗!」
 接近に要した時間は瞬き一つ分。アリシアはレイピア『凰剣ルシファー』を引き抜き、鉄格子の隙間から正確に鎧兜の喉元を貫いた。
 だが猟兵の到着により一方的な戦いになるかと思われたのも束の間、レストランの中から新たな雄叫びが上がる。
 見やれば、更に複数のデュランダル騎士達が、騒ぎを聞きつけレストランの中から進み出てくるではないか。
「くっ、まだ中にいましたか。それならあちらは私が……あれは!?」
 再び駆けだそうとしたアリシアであったが、彼女はデュランダル騎士に引きずられているダークヒーロー風の男を見て、動きを止める。
「人質とは……貴方達に騎士道はないのですか!」
 その問いに対し、デュランダル騎士は満身創痍のヒーローの喉元に剣を突き付ける事で答えた。もし、少しでも戦意を示したら、彼の命は一瞬で奪われてしまうだろう。
 だが次の瞬間、
「こんにちは、ヒーロー。いいお天気なのに残念ね」
 膠着状態を窓ガラスが砕け散る音が劈いた。
 思わずそちらに意識を向けたデュランダル騎士は、強烈な違和感に気付く。
 捕まえていたはずの男がいない。いや何より、男を捕まえていたはずの、腕が無い。
「ギッ!? ギャアアァ、ゲブッ!!」
 更に兜ごと顔面を叩き潰されたことで卑劣な騎士は訳も分からないままに絶命する。
 その様をレストランの窓を突き破り加勢した猟兵―ヘンリエッタは、冷ややかな眼で一瞥し、もう興味はないとばかりに助けたばかりの男に向き直った。
「はじめまして、ダークヒーロー・ウロボロスです。ご存知?」
「ウロボロス……まさか、あの犯罪王ウロボロスか!? いや、ウロボロス様でございましょうか?」
「知っているなら結構。危ないから逃げてちょうだいね」
 言葉こそ優しいものの、その声にも表情にも感情は一切こもっていない。
 そんな彼女の底知れない振る舞いから、男はこれから起こる惨劇の予兆を感じ取り一目散に逃げて行った。
「さて……随分と荒してくれたわね」
 他の怪我人たちも同様に去っていくおを確認すると、ヘンリエッタは悪逆共に向き直った。
「ここのシャワルマは美味しいって評判だったのよ」
 静かに歩みよるヘンリエッタの凄みに気圧されるデュランダル達。
 皆分かっているのだ。次に動いた者が標的になると。
 しかし退いたところで背後に待ち構えているのは銀狼を従えた女騎士と、鉄屑となった仲間を足蹴に恍惚を浮かべる狂戦士。
「償う手段はただ一つ。……絶えて死ね」
 そう、この時点で彼らの運命は決していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

デュナ・ヴァーシャ
補給を断つ、か……ふむ、良い考えだ。だが、それをさせるつもりはないがな。
権能を発動して雷迅なる神躰を強化したら、まず手近な高いビルの壁を駆け上がって屋上へと向かう。そこから都市を見渡し、敵の動向を探るとしよう。見つからなければ別のビルに跳び移って、そこから探す。

発見出来たら、ビルの屋上や壁を走ってその現場へ急行しよう。その勢いのまま飛び蹴りを食らわせて、その鎧を砕いてやるとしようではないか。
その後は格闘戦に移行する。速さと重さを兼ね備えた拳や蹴りで攻め立てていこう。相手の大剣は基本的には柔軟さを生かしてかわしていくが、地形破壊を狙って来たなら、その腕を殴りつける事で攻撃そのものを阻止するぞ。


支倉・新兵
襲撃阻止、ね…問題ない、来る傍から狙い撃たせて貰う

戦術ドローンを展開、更に大都市なら監視カメラには事欠かないだろう、ハッキングでジャックして索敵…俺自身はいつも通り、可能な限り狙撃銃の射程圏内を広く俯瞰出来る高所に陣取り、身を隠してドローンやカメラからの映像をデバイスで確認しつつ、狙撃体勢を取らせて貰おうか…同業者がいるなら余裕があれば情報共有もしたい所
猟兵もだけれどヒーロー達とも協力したい所…あの人達もどこかで戦ってるだろうしね

オブリビオンが射程圏内に入り次第、速やかに【跳弾狙撃】で狙撃
連携攻撃が得意みたいだけれど精々引っ掻き回させて貰おうか…入り組んだ市街のどこにいようが撃ち抜かせて貰うよ


サンディ・ノックス
別の正義を持っていた本来の彼らと話したかったな、なんて思う暇もないか

狙われる対象が多いね
多数のヒーローに影響が出るとこちらも困るし
主に複数のヒーローが共通して使う施設に向かおう
有名だろうから民間人に穏やかに尋ね【情報収集】
ヒーローの知人、エンジさんを見かけたら敵の出現情報や拠点のことが聞けるかな
声をかけられなくても彼を追えば戦場に辿りつける筈

情報を集めたら現場に向かいつつ胸鎧を基に全身黒の甲冑姿に変身
敵を確認したら即座にUC解放・夜陰発動
俺の黒騎士の力は悪意の魔力によるもの、その欠片をわけてあげる

それ以降はUCで攻撃、黒剣で攻撃を受け
朔を【投擲】して武器や体に絡め妨害
1体ずつ確実に仕留めていく




 場面は戻りセントラルタワー内部。
 先の戦いで防御網を潜り抜けタワー内部に侵入したデュランダル騎士達は、少数ながらも破壊の限りを尽くさんと暴れ回っていた。
 そして、そんな奴らを物陰から眺める影が一つ。
「参ったな。ここが一番高い建物だと思って来たのに、来て早々に敵が侵入してくるなんて」
 狙撃用ライフルを担いだ青年―支倉・新兵(狙撃猟兵・f14461)は予想外の事態に足踏みをしていた。
 このまま一階で戦おうにも、狙撃用装備しかない自分では勝ち目が薄い。かと言って下手に上層階にいこうとして気づかれてしまえば元も子もないし、なによりこの階の人々を見殺しにするようで目覚めが悪すぎる。
「……こんな時、あの人ならどうするだろうな」
 脳裏に思い浮かべるのは、かつてこの世界で共に戦ったヒーロー。彼もまた狙撃手であり、弓を用いた長距離戦術のみを武器に今日まで生き抜いてきた歴戦の戦士であった。
 今もこの世界の、いや、もしかしたらこの街のどこかで戦っているかもしれない男の事を思い出し、新兵は静かに決意を固める。
「うん、長所を活かそう。下手になれない戦いをしてやられたら、死んでも死にきれない」
 即決で会った。
 概念迷彩マントを念入りに着込んでいざ抜き足差し足、と歩き出そうとしたところで、新兵はまた別の見知った姿を目にして足を止める。
「うおおおおお!! バーニアナックル!!」
「援護するよ! 悪意に飲まれろ……!」
 デュランダル騎士に対し勇敢にも徒手空拳で挑む赤いコスチュームのヒーロー・レッドバーニアこと源藤・エンジ。
 そしてレッドバーニアの背を守り、背後から放つ黒水晶の魔弾で敵軍を牽制する青年は、猟兵のサンディ・ノックス(闇剣のサフィルス・f03274)だ。
 更に漆黒の甲冑姿に変身したサンディは、反撃を試みるデュランダル騎士に接近し、敵の反撃を手にした剣で次々といなしていく。
 そして今度はレッドバーニアは体勢を崩された騎士達との間に割って入り、
「オーバーフロー……バーニア・フレイル!
 巨大化した赤熱する腕でもって敵を一気に薙ぎ払った。
「はぁ、はぁ、また一緒に戦えて嬉しいよ。あの時の恩を返したいってずっと思ってたんだ」
「俺もだよ、元気そうでよかった。でも、ここ俺に任せてエンジさんはここの職員を守ってくれないかな。再開の挨拶も共闘も、皆を守り抜いてからだ」
 レッドバーニアは元より短期決戦型のヒーロー。防衛戦のような長時間の戦いには向かないと知っているサンディは、彼に一度退くことを提案するのだった。
「……了解。この施設の地下はシェルターになっているんだ。俺は今からそこに皆を誘導するから、サンディさんはここで奴らを食い止めてくれ」
 そうして短く言葉を交わして情報共有をした後、レッドバーニアは逃げまどう職員を先導し地下へと向かっていった。
 後に残るサンディはたった一人、デュランダル騎士達と相対する。
「別の正義を持っていた本来の彼らと話したかったな、なんて思う暇もないか」
 向けられる殺意にある種の悲しさを覚えつつ、彼は周囲に再び黒水晶を出現させた。
「俺の黒騎士の力は悪意の魔力によるもの、その欠片をわけてあげる」
 騎士が放つ悪意に触発され、水晶たちはそれとの同化を望み昂っていく。
 力の奔流に飲み込まれないよう気を張りながらも、サンディは強い決意でもって敵軍を睨みつけた。


「俺も加勢した方が良かったかな」
 サンディとレッドバーニアの共闘を柱の影から見守っていた新兵。
 そんな彼の背後に、巨大な影が雷のような速度で落下してきた。
「汝は戦士ではないのか? いつまでそうしているのだ」
 ビクゥッ! っとして振り向けば、そこにあったのは巨大トレーラー用のタイヤを無理やり人型に圧縮したかのような猛々しい筋肉の塊。
 彼女こそ逞しさと豊満さを兼ね備えた肉体美の女神―デュナ・ヴァーシャ(極躰の女神・f16786)その人であった。
「SOSを受け駆けつけてみれば、ふむ……どうやら建物に侵入した敵は少数。彼一人で大丈夫そうだな」
 耳を澄ますような仕草で館内のデュランダル騎士の数を認識したデュナ。
「しかし、ここを目指し集まる敵兵は多い。我は外で戦う者達に合流する。汝はどこか安全な場所に隠れていろ」
 あまりの突然の登場と接近に目を白黒させていた新兵が、ここでようやく現状を理解した。
 このデュナというスーパーヒーローは、この摩天楼の更に上から天井を突き破って一階まで降りてきたのだ。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は狙撃手だ。このセントラルタワーの屋上なら、俺の力が最大限に発揮できる。君ならひとっ跳びじゃないか?」
「……よかろう。肉体以外を武器とすることもまた人の子の戦い方だ。さあ、掴まれ」
 言うや否や、彼女は新兵の体を抱え込み、
「間近で魅せてやろう。神の肉体とはいかなるものであるかを」
「掴まれっていうか、掴まれてるんだけどぉぉ……っっっ!!」
 深く腰を落としてからの、跳躍!
 降下する際に開けた穴をくぐり抜け、数瞬の後にセントラルタワーの屋上に着地する。
 そして新兵をコンクリートの上に優しくおろし、武運を祈る、と声をかけた後にデュナは再び地上へと降下していった。
「……アーロンさんと戦ってた頃が懐かしい」
 揺れる視界をなんとか落ち着かせ、ふらふらと立ち上がった新兵。
 軽く走馬燈のような物も見えた気がしたが、ここで戦闘不能になったら彼に笑われる。本当に笑われる、腹を抱えて。
「それは御免被りたいな。さて……やるか」
 速やかに屋上の際まで移動し、迷彩マントを被って射撃の体勢をとる。
 淀みない一連の動作でスナイパーライフルの設置から起動確認までをこなしてスコープを覗き込めば、そこにはセントラルタワーに向かい来る敵の一団の姿があった。
「10人、タワーまであと200mってところかな」
 ドローンの計測を元に弾道を脳内で計算しつつ、リロード。
「射角が急すぎるけど……下で戦う皆の手は煩わせない。連携攻撃が得意みたいだけれど精々引っ掻き回させて貰おうか……入り組んだ市街のどこに逃げようが撃ち抜かせて貰うよ」
 自分自身に言い聞かせる決意表明。
 いざ狙撃となれば必ず有言実行させてきたのがこの男だ。
「弾道、入射角……オールグリーン。跳弾狙撃(リコシェスナイプ)!」


「補給を断つ、か……ふむ、良い考えだ。だが、それをさせるつもりはないがな」
 空気を切り裂きながらデュナの体は地上に向けて落ちていく。
 時折セントラルタワーの壁を駆けて更に加速し、ついには音の壁さえも突破したその肉体はさながら砲弾、否、ミサイルの如く。
「ハアアアアァッ!!」
 そして空中でドロップキックの体制をとったデュナは、階下にいる敵勢の、最も密集した地点を狙い『着弾』した。
 その瞬間、吹き荒れる突風と地形を変えるほどの衝撃が、並み居るデュランダル騎士達を粉々に吹き飛ばす。
 一説には、後にこの地を再建することとなる工事業者が地盤の心配をしたとかしなかったとか。
「我はデュナ。肉体を司る女神である。さあ、神罰の時だ!」
 そして彼女は土煙が晴れる間もなく、残る騎士達に素手で殴りかかる。しかし、デュナにとっては筋肉こそが鎧であり剣。
 振り下ろされる大剣を柔軟な体で避け、時にはブリッジの体勢で回避した状態から腕の力だけで跳びあがり、チョークスリーパーで鎧を砕くシーンすらあった。
 だが、ただやられるデュランダル騎士達ではない。
 先んじて戦っていた仲間の為に、常により多くの敵を引きつけ対峙していたデュナは、遂に四方八方を槍衾によって囲まれてしまったのだ。
「人の子には多勢に無勢は効果的かもしれんが、我に通じると思うたか?」
 高圧的な言葉で牽制しつつも、どの方向から刺突がくるかを油断なく警戒するデュナ。
 しかし、はるか上空から飛来した一発の銃弾がその戦況を覆す。新兵が放ったリコシェスナイプだ。
 1人の騎士に直撃した銃弾は、その鎧の曲線で大きく角度を変えて跳弾し、別の騎士に当たる。それがまた跳弾して別の騎士、また別の騎士へ。
 そして驚くべきことに、その中心にいたデュナの体には一切掠めることなく、多くの騎士達を撃り抜いてみせたのだ。
「これは……! ふっ、後で会った時は詫びをいれなければなあ!」
 銃弾が貫通こそしないため威力は低いが、正体不明の衝撃に見舞われた騎士達は大きく動揺し、その隙を突いたデュナのエルボーチャージによりあえなく弾き飛ばされる。
 こうして、猟兵達の文字通りの千切っては投げ、千切っては投げの活躍により、セントラルタワー攻防戦は遂に決着したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
アドリブ、他の方との絡み、連携OKです

同じ『正義』でも分かり合えない気持ち…?
そう言うのもあるのですネ…
あの方々にはあの方々の『正義』があるのですネ
でも…虐殺は良くない気持ち
なので何としても阻止しなければなりませんネ

オーラ防御と防具改造を駆使して柔らかいけど貫通性の少ないゴムのような大きな防御壁を作り攻撃に備えます
仲間が一緒に居る場合は仲間にも防御を施しますネ
お役に立てれば嬉しい気持ち

それから全力魔法で思いっきり攻撃するための準備を
スナイピングで的を絞って外さないように頑張りマス!

せめてもの手向けとして、綺麗な薔薇の中で眠ってくださいね


三寸釘・スズロク
アーロンのおっさん元気かねぇ
以前の事件での収集情報も元に彼の拠点に絞って急行
…あの人事務所とかあるんだっけ??
まあ事務所より自宅と家族を守ってて欲しい気持ちはある

こういう大規模乱戦は正直椅子の出る幕じゃねぇ…けど
推しヒーローの手助けくらいはしたいワケです俺も
守りたいものを守れって偉そうに言っちまった手前ね

『エレクトロワイヤー』スイッチオン、『バーゲスト』起動…!


敵の攻撃には人形を盾にしつつ、鉤爪と『Fanatic』の牽制射撃で騎士の群れを荒らして
【首なし人形の咆哮】…纏めて塵にしてやるよ!
拠点・味方を巻き込まない配慮は一応する
横着で悪いが電子制御で狙い撃つのも、偶には手っ取り早くていいだろ


水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
同時襲撃が始まってしまえば、各拠点の防衛で手一杯になるでしょう
情報統括、あるいは増援の出せそうな拠点から防衛したいですね
支援兵器開発をしている研究所の防衛に向かいます

敵は金属鎧ですか
行動妨害しながら各個撃破としましょう
UDCの触手に重力属性を取り込み、200本の触手で相手にかかる重力を大きくし動きを阻害します
動けなくなったら毒属性の触手で王水を生成して金属を溶かします
光で回復するのであれば金属属性で鏡を作って他の猟兵やヒーローへ反射させ、味方を回復してもらいます

防衛が落ち着いたら支援兵器からドローンを出して貰って情報収集、他の拠点や猟兵への情報連携と時間稼ぎを依頼します



 デュランダル騎士の大部隊はほぼ撃破され、残りは残党狩りのみ。
 しかし、まだ一か所の拠点が苛烈な襲撃に合っていた。その拠点の名は『WWW:インダストリー』。
各国のヒーローに技術提供と兵器を販売して支援を行う、ヒーロー社会における重要拠点だ。
故にこの拠点を守らんと、常にが交代で警護に当たっていたのだが。
「ちっ、炸裂矢がきれたか。予備はないのか!?」
「あなたの注文で作ったオーダーメイドなんだから在庫抱えてるわけないでしょう、デッドリーアロー 」
 この日の警備担当であった弓矢使いのヴィジランテ・デッドリーアローは窮地に達していた。
 前衛として戦っていたヒーロー達は軒並み戦闘不能となり、ついには狙撃手である彼が迫り来る敵兵たちをラボのゲートで迎え撃っていたのだが、それもそろそろ限界だ。
「こんなところで諦められるかよ……っ」
 しかし、デッドリーアローは諦めない。かつてオブリビオンに敗北し引きちぎられた心の弦は、猟兵との共闘を経て更に強固なものとなったのだ。
 しかし、デュランダル騎士達はラボの最終防衛ラインも突破し、もう目と鼻の先まで迫ってきている。
デッドリーアローは静かに最後の覚悟を決めようとした、その時。
「やっと見つけた!」
 迫る敵軍の背後から聞こえたのは喜色溢れる男の声と、問答無用にばらまかれたグレネード弾の発射音。そして巻き起こる無遠慮な爆発。
 ラボ目掛けて突撃していた騎士達は突然の背後からの強襲により散り散りに吹き飛ばされてしまった。
 そんな阿鼻叫喚を潜り抜けて、白衣の男がデッドリーアローの元へと駆け寄る。
「めちゃくちゃ探したぜアーロンさん! てっきり俺は家族を守ってるとばかり思ってさ。でも、間に合ってよかった」
白衣の男―三寸釘・スズロク(ギミック・f03285)は、ようやく見つけた仲間の肩を嬉しそうに叩いた。
「お前、どうしてここに!?」
「前に俺は言っただろ? 守りたい物を守れって。だから俺もそうした。こういう大規模乱戦は俺みたいな椅子の人が出る幕じゃないけど、推しヒーローの手助けくらいはしたいワケですよ」
 そう言って、へらへらと笑うスズロク。
「お前、少しは緊張感ってものを。……そうだったな、お前はそういうやつだった」
「懐かしくて涙が出そう? それならもう一つサプライズ。俺がただ一人で来るかと思ったかよ? こっちは急ごしらえの防衛チームを引っ提げて助太刀に来たんだぜ?」
 いつかどこかで聞いたセリフ。
 確か前に聞いた時も……スズロクの背後の空間に青い光が灯り、異界へと続くゲートが姿を現した。
「誘導ありがとうございます。お蔭で間に合いました」
「この拠点は私達が守ります。お役に立てたら嬉しい気持ち」
 送還術のゲートをくぐって現れたのは水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)とリヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)。
 二人は状況を確認すると素早く戦場に駆けだした。
 体勢を立て直し、再び陣形を組んで突撃するデュランダルの前に立ちふさがったのは怜悧だ。
 彼はその細身のどこに仕込んでいたのかという程の大量の触手をその身から溢れ出させ、迫る騎士達を絡め捕っていく。
 剣を振るい跳ね除けようとしても、液体金属製の触手には効果が無く、あえなく騎士の前衛軍団は無力化されてしまった。
「ふふ、触手ちゃんに過重力を纏わせました。見た目に依らず重いでしょう。そして……私の触手ちゃんはこういう事も出来るんですよ」
 言うや否や、触手から染み出す謎の液体。
 それは騎士達が纏う金属製の鎧を見る見るうちに溶かし、その中の生身に達すれば……。
「ぎっ、ギャアアアアアア!!」
 生きたまま体を溶かされる激痛と恐怖に耐えきらなくなったデュランダル騎士達の断末魔が轟いた。
一方、リヴェンティアはラボの二階の窓際に達すると、幾何学模様の光を放ちながら高速で電脳魔術を展開していく。
「同じ『正義』でも分かり合えない気持ち……そう言うのもあるのですネ。でも…虐殺は良くない気持ち。なので何としても阻止しなければなりませんネ」
 寂しげに言葉を漏らすも、しかし容赦はしてはならない。
 編み上げた魔力を青と紫の光としてその身に纏い、指鉄砲を階下の騎士達にむける。
「せめてもの手向けとして、綺麗な薔薇の中で眠ってくださいネ」
 指先に灯る薔薇の花。そこから撃ちだされた弾丸は狙い違うことなく騎士の鎧に着弾し、戦場を埋め尽くさんばかりに青と紫の薔薇の花が吹き荒れた。
『Rozen kreuz(ローゼンクロイツ)』、花弁の一枚一枚が威力を持ち、広範囲に爆発的な魔力をばらまくリヴェンティアの電脳魔術だ。
「さあ、残党狩りもあと一息だぜ。あんたももうひと頑張りしないとな!」
「偉そうに言ってくれる……だが、礼を言う。お蔭で今日はキャシーのところに帰られそうだ。ならば、俺も力を出し尽くす価値がある!」

 こうして猟兵達の活躍により、ニューヨークの街は守られた。
 ヒーローズアースを覆う戦乱はまだ耐える事はないが、前線で戦うヒーロー達は拠点の支えを得て、更なる力を発揮してくれるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年11月12日


挿絵イラスト