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アースクライシス2019③〜映画館ではお静かに

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019

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●占拠
 老若男女の悲鳴がニューヨークの街に響き渡る。それも一箇所ではなく、夥しい数の事件が発生していた。
「邪魔だ」
 どさりと地面に何かが投げ出される。人だ。
「やめてくれー! まだ彼女が中にいるんだー!」
「きゃー! 折角の試写会なのにー!」
 また一人、また一人と建物から一般人が追い出されていく。白い鎧を身に纏いニューヨークの空よりも蒼いマントをなびかせたオブリビオンの手によって。
「ああー! グッズを買わせてくれー!」
 そしてまた、財布を握り締めた一般人をオブリビオンが運んでいく。必要なスタッフは建物内に残されたまま――。

●予知
「皆様、ようこそおいでくださいました」
 真白のローブに身を包んだ涅・槃(空に踊る人工の舞姫・f14595)が皆を出迎える。
「緊急事態ですので早速説明致しますわね」
 ヒーローズアースのニューヨークに現れたオブリビオンの軍勢。それはダストブロンクスを恐怖で支配した「肥溜めの王」、スカムキングによって行われる侵略作戦だ。
「スカムキングは、卓越した暴虐センスにより『全米を恐怖に陥れる暴虐な作戦』を思いつき、配下のオブリビオン達に実行するように命令しています」
 この暴虐指令が遂行されると、アメリカ大陸全域の人々の正義を信じる心が弱まり、悪に平伏すようになってしまう。命令の実行を妨害し、人々の心を正しく導こう。
「現れるオブリビオンはそのスカムキングの配下となった、ジャスティスクルセイダーズです。そして狙うのは映画館の占領です」
 襲撃されているニューヨークの画像が映し出され、まさに建物から一般人が追い出されていた。経年劣化も甚だしい古びた映画館。周囲の屋台が慌てて避難していく。
「あまり時間がございません。どうか、よろしくお願い致します」
 転移準備が始まり、銃弾やレーザーや謎のエネルギー弾が縦横無尽に飛び交うヒーローズアースの空が広がった。


宮松 標
 どうも宮松 標です!戦争2本目!原則6名様の執筆になると思います。無駄に拘束される☆が現れませんように。
 さて、現在進行形で制圧中ですがオブリビオンたちが上映会ですかね?何を観るんでしょう。

 今回のシナリオには明確なプレイングボーナスが設定されています。その内容は以下の通りです。
=============================
プレイングボーナス……命令の実行を妨害する。
=============================
 特に問題はないと思います。ではボコボコにしちゃってください!
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第1章 集団戦 『ジャスティスクルセイダーズ』

POW   :    ジャスティス・クルセイド
【剣先】を向けた対象に、【天から飛来する十字型の光線】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    ジャスティス・グレートレイジ
【己の正義を妨害する者達への怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    ジャスティス・オーバードライブ
自身に【強大なる聖なる光】をまとい、高速移動と【聖剣からの光線】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:弐壱百

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●内部
 黙々とオブリビオンたちが上映の終わった部屋から順に観客たちを追い出していく。誰もいなくなった事を確認し、ぴたりと扉を閉ざす。不思議な事に、上映中の部屋には立ち入らない。
 正面ホール、各非常口、裏口。それぞれに見張りが立ち、最後の部屋の上映が終わるのを待っている。
 上映されているのは一番人気の最新作。上映時間は残り2時間半。扉が開かれるのが先か、オブリビオンを退けるのが先か。
栗花落・澪
な、なんでまた映画館…悪事には違いないけど…
映画館で騒ぐのはマナー違反だよ
僕が正しい礼儀作法ってものを教えてあげる!

自前の翼と、風邪魔法を宿した★Venti Alaによる【空中浮遊、空中戦】
万一余計な妨害を受けないよう常に【聞き耳】で周囲の音に警戒し
空中ジャンプも駆使して縦横無尽に動き回る

正義の意味履き違えてない?
そういうのはただのわがままっていうものだと思ってたけど

敵の足を狙っての、氷の【高速詠唱、属性攻撃】で
凍結による足止めを狙い
巨大化するならしたらいいよ
その分…的も大きくなるって事だからね

一般人を巻き込まないよう地上から離れ【指定UC】の全力魔法
体全体で、受け止めてもらいましょうか?


宮落・ライア
ほわーい?
無理やり追い出すのに、上映中はお静かにを守るのか……。

これは妨害と言うよりは、二時間以内にあいつ等を映画館から追い出せばいいのだな。
観客を追い出すオブリビオン。それを追い出す猟兵だな!

ふむ、あっちが上映中はお静かにを守るならこっちも守らなくては。
出来るだけ静かに排除する方法……

【ダッシュ】で突撃し、相手が技を出す前に抱きつく【怪力・グラップル】
そして【飢餓暴走】を使い、相手と接している部分から鎧ごと捕食する。
ある意味捨て身の鯖折り?【捨て身の一撃・力溜め・鎧砕き】

うむ!これなら映画館への被害はないな!


アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可

カッコいい見た目の割にはやることが…こまけぇな。まあ、ブッ飛ばすだけだがな!
今回は【アメイジングフューチャー】フォームで参戦。【アニマル・カーニバル】でケモノイド軍団を呼び出して、敵を撹乱してもらうぜ! 蛇に鷹にユニコーン、色々いるぜ!
先に俺が敵の前に飛び出して【存在感】を出して敵視を引くぜ。こっちに注意を引いている間にケモノイドの皆が暗がりから接近、俺の掛け声に合わせて敵陣に突っ込んでしっちゃかめっちゃかにしてもらうぜ!
後は敵を一体ずつブッ飛ばす。【アメイジング・ブレイク】で空の果てまで飛ばしてやらぁ!


羽堤・夏
アドリブ、絡み歓迎

あんたら…映画館ってのは家族で楽しんでる人もいるんだぞ!?
どんなに残酷なことしてるのか…わかってんのかぁ!
あと映画見に来るのって意外に大変なんだぞ!
春休み、夏休み、何度せがんだことか…絶対に許さん!!

劇場内に突撃し真っ先に追い出されそうな一般人を【かばう】
【カウンター】で【怪力】に物を言わせた拳骨を顔面目掛けて
叩き込んでやる!
「この映画館は…皆の憩いの時間はあたしが守る!」
あたしは中にいる人たちを片っ端からかばい、反撃
さらにコードで呼び出したハムスターゲリラアーミー
【動物使い】も合わせコマンド―に呼びかけ
白騎士達を劇場から押し出してやれ!
お出口あちらでございまーす!


ラモート・アンゲルス
「させないですよ。私がいる限り」
UC【蜘蛛の糸】を自分及び仲間等に放って敵の精神汚染に対抗するです。
私自身は一般市民の方々を逃しつつ、信仰の盾と白剣を構えて戦うです



 猟兵たちが降り立ったのは、映画館のあるストリートの入り口。ヒーローたちだけでなく警察関係者も多く動員され、避難が進められている最中だった。
「悪事には違いないけど……なんでまた映画館を……?」
 可憐な雰囲気で女性と間違われがちな栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が首を捻る。その隣でアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)はブッ飛ばすだけだと言いながらも、スケールの小ささに判然としない顔で歩く。
「カッコいい見た目の割にはやることが……こまけぇな」
 オブリビオンの考える事は解らぬとばかりに困惑する男性二人。それを尻目にずんずんと先へ進む、向日葵がトレードマークの女の子。羽堤・夏(防人たる向日葵娘・f19610)のそれは髪飾りではなく自前で生えているものだ。
「……絶対に許さん!!」
 かつて映画を見るのに、渋る親を相手取ってどれだけ大変な思いをした事か。そんな幼かった頃の自分を小さな観客に重ねて。
「要はこのオブリビオンたちを野放しにしたら巡り巡って世界が滅亡するって事だよ」
 三人の見上げる先には今まさに上映中の新作の看板。マフラーをなびかせた仮面のヒーローと、白い翼を持つ二人の少女が描かれていた。だが、悪役に囚われているのはヒーローの方である。

「上映後は無理やり追い出すのに、上映中はお静かにを守るのか……」
 隣のビルから宮落・ライア(ノゾム者・f05053)が映画館を見下ろすように裏口の様子を窺っている。オブリビオンの行動は相変わらず謎である。だが占拠を妨害するならば、上映が終わる前に追い出してしまえば良い。
「折角静かにしているのだから、このまま静かに排除する方法は……」
 無駄口を叩く事なく二人一組で非常口に一組、裏口には二組が見張っている。騒がれて応援が来るのは避けたい。そして映画館への被害もだ。どこから手をつけるか考えを巡らせた。

「さて、侵入したは良いけれど」
 どこから入り込んだのか、ラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)は屋根裏にいた。そこは古い看板やポスターなどが所狭しと置かれている。それらはどれも随分と埃が積もり、人の出入りがないことを示していた。
 鎧戸は経年劣化で隙間だらけになっていて、そこから漏れ差す陽光が充分な光量を持っていた。キラキラと塵の舞う空気はカビの胞子を含む香りがする。
 ここには何もない。さっさと階下に行くべきだろう。階段を探して進むと、人の気配を感じた。

「じゃ、とっとと引き摺り出して来るか!」
 アーサーがガラス張りのドアを睨みつけた。近付くにつれじわりと増す存在感に、オブリビオンたちが気付く。開閉機構が唸りを上げた。両者の間を隔てていたドアがするすると収納されていく。
「あの野郎……!」
 ぽっかりと口を開けた向こうに、オブリビオンが何かを小脇に抱えているのが見えた。べそをかいている一人の少年だ。手にはゲーム機と、充電器だっただろう長いコードが床まで垂れている。その先端は引きちぎられたようになっていた。盗電ダメ絶対。
「その手を離せー!」
「みんな力を貸してくれ!」
 子どもを抱えたオブリビオンに夏が殴りかかるのと、アーサーが【アニマル・カーニバル】でケモノイド軍団を呼び出すのはほぼ同時だった。
 夏の放った拳はオブリビオンの顔面を的確に捉え、兜がひしゃげてめり込んだ。衝撃で投げ出された少年は必死にもがいてその場を離れていった。
 ロビーの吹抜を鷹が舞い降りて視界を塞ぐ。足元では蛇が鎧の隙間に牙を立てた。他にも壁を小動物が駆け上がっては顔に飛びついたり、鎧を叩いたり耳元で嘶きを上げたりとやりたい放題だ。
「【アメイジング・ブレイク】ー!」
 そうアーサーが叫べば錐揉み回転しながらドアを水平にくぐっていき。
「お出口はあちらでございまーす!」
 夏の誘導でハムスターゲリラアーミーのハムスターたちがわっせわっせと運んでいく。

 表側で騒ぎが始まった。地上へ移動していたライアは地を滑るように疾駆する。まずは手近な非常口へ。表側に気を取られているオブリビオンの背後へ忍び寄る。
 風がぶわりとマントを持ち上げた。無防備な背を曝した隙に飛びつく。そして聞こえてくるのは金属を破断する音。
「お゛あ゛……っ」
 短い断末魔の声すら、その身の口腔内へと咀嚼した。

 慎重に近付けば、ダンボールの影に泣き疲れた子どもが眠っている。どこからか迷い込んだのだろう。優しく静かに声をかけて揺すり起こす。
「起きてください。ここは危険です」
「……ママ……?」
 幼い女の子だった。脱出方法を思案する間もなく、階下の扉が開かれる音が不気味に響く。

 どさりどさりと歩道へ積み上げられていくオブリビオンたち。その間澪は他から横槍が入らないよう映画館の上で周囲を警戒している。聞き耳を立てている元へ短い悲鳴のようなものが届く。
 そちらへ気を向けるよりも先に、搬出されたオブリビオンたちが意識を取り戻した。ふわりと地上近くまで高度を下げる。
「映画館で騒ぐのはマナー違反、だよね?僕がもう騒げないようにしてあげる」
 そう告げた後にこりと微笑んで少し離れた。口元から矢継ぎ早に紡ぎ出される詠唱。攻撃の意図を感じ、一体が飛び掛ろうとした。しかし足が動かない。魔法は既に発動していたのだ。詠唱は別の魔法。
「その状態で出来ることがあるのなら、すればいいよ。僕の魔法を受け止めてもらおうか」
 純白の翼を広げ、蒼空へと舞い上がる。それを追うように一体のオブリビオンが咆哮を上げた。
「うぉぉぉぉぁぁぁぁー!!」
 怒りの怨嗟が渦を巻きながら澪へと迫る。僅かに届かない。足はがっちりと氷によって留められているからだ。他の個体も続く。
「がぁぁぁぁッ!」
 その場にいるオブリビオンが全部巨大化した事を確認し、詠唱していた魔法を全力で放った。
「全ての者に光あれ」
 最大光量の浄化の光が降り注ぐ。
「―――!!」
 影どころか断末魔さえも浄化されて掻き消えた。

「……おなか……すいた……」
 呟いた言葉を置き去りにする勢いで裏口へと疾る。扉の小窓越しに表側の状況を透かし見ようとしているオブリビオンへ狙いをつける。そっと跳躍し、今度は頭を抱え込んだ。ぐしゃり、と兜ごと捕食する。
「少し様子を見……ひっ!」
 もう一体が振り返った。騒がれると困る。捕食途中の一体をそのままに、新たな獲物へと飛びつく。夥しい数の口が我先にと触れるものを咀嚼し始めた。

 一体のオブリビオンが何かを探るようにゆっくりと階段を登ってくる。二人は足音を立てないよう階段とは逆方向へと移動する。ぎしりと鳴った床はどこだったか。
「……猟兵だと?」
 階段を登りきり、辺りを見回し目を留めた。互いの間合いに彼女はいた。
「映画館を占拠など、させないですよ」
 ラモートは左手首の円盾『信仰の盾』をかざし臨戦態勢をとる。右手には白剣を構える。オブリビオンは大剣を構えて徐々に光を纏い始めた。
「私がいる限りね!」
 一気に踏み込んで剣を繰り出す。剣閃は的確に鎧の隙間へ滑り込んだ。更に別の継ぎ目に剣を差し込む。一瞬の出来事だった。

「これで全部、かな?」
「こちらも確認完了だ」
「さ、もうすぐ上映が終わるよ」
「スタッフさんも解放したね」
「迷子も送り届けました」
 オブリビオンを退治した後は館内をくまなく見て回り、他に異常はないか調べていた。ロビーで報告し合っていると、奥の方からどやどやと観客たちが退出してくる。
 その顔は歓喜と興奮に満ち溢れていた。口々に感想が囁かれ、シーンの解釈に議論が交わされる。どれだけ良い映画だったかが伝わってくる。
 観客たちが映画に没頭し、オブリビオンに占領されかけていた事に気付いていないようだと判断できよう。猟兵たちは、守りたかったものを守れたと安堵した。

●●●おしまい●●●

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月11日


挿絵イラスト