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釣りたいワカサギ、氷割る猪

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●せっかく釣る気で来たのに
 寒風吹きすさぶ、冬の凍結した湖上に男はやってきた。耐寒装備は完璧、この日に向けて調整した自慢の釣り竿もある。氷を割る準備も問題ない。
 今日は1日、ワカサギ釣りに明け暮れると決めてきたのだ。だというのに……。
「どっかーん!」
「……!!」
 大きな木槌を抱えた猪子槌が暴れているのである。おまけに、お供に棍棒鬼を引き連れて。
 やっていることといえば、湖に厚く張った氷へと、手にした木槌を叩きつけているのであった。猪子槌がどっかーんと叩いて音頭を取ると、お供の棍棒鬼もリズムよく棍棒で氷を叩く。
 この調子で暴れていれば、氷が全て割られてしまうのも時間の問題……というには湖は十分広い。飽きるほうが早いかも知れない。
 けれども、今日は釣る気まんまんで来た男にとっては、とてつもなく邪魔で仕方ないのだった。こんなに騒いでいてはワカサギも逃げるだろうし、釣るどころではない。
「お前ら、邪魔をしないでくれー! 雑用を片付けて、今日の休日を捻出するのにどれだけ苦労したと思ってやがる!」
 男の悲痛な叫びが、湖上に響いた。


「オブリビオンによる襲撃が発生しました。今は大した被害が出ていませんが、予断を許さない状況です」
 枦山・涼香(烈華なる黒狐・f01881)は、落ち着いた表情で告げた。言葉は真剣だが、実のところ本人もそれほど危険だと思ってはいない雰囲気だ。
「場所は、とある湖です。北方にあるこの湖は今の時期、完全に厚い氷に覆われていて、ふつうに上を歩けるようですね。この氷に穴を開けて釣り糸を垂らし、ワカサギを釣ることが湖の近くに住む村人たちの冬の楽しみであるとか。その場で素揚げにしたりするととても美味しいと聞きます。……いや、話がずれました」
 涼香によれば、木槌を振るう妖怪である猪子槌が、配下を引き連れて暴れているのだという。目的は判然としないが、近くにある村にでも向かわれるとことである。そうなる前に湖上で決着をつけておきたいというのだ。
「配下である棍棒鬼は、それほど統率が取れている様子ではありませんが、かと言って猪子槌を直接狙うことも難しいでしょう。まずは棍棒鬼を排除した上で、猪子槌を倒す必要があります」
 とにかく広い湖上だ。遮るものは何もない。ただし、足元には注意されたい。飛んだり跳ねたりで割れるような氷ではないが、槌や全力で棍棒を叩きつければ話は別である。
「くれぐれも注意してください。……寒中水泳をしたいというのならば、あえて止めはしませんが」
 それよりも、と涼香は続ける。
「今回は時間的に余裕もありそうです。無事オブリビオンたちを排除したならば、ワカサギ釣りに興じるのが良いかと思います。――場所が良ければ、結構簡単に釣れるらしいですよ?」
 寒いのだけは間違いないので、防寒対策は十分に。
 そう言って、涼香は丁重に頭を下げたのだった。


Oh-No
 こんにちは、Oh-Noです。

●目的
 邪魔な猪子槌にご退場いただき、ワカサギ釣りを堪能する。あるいは釣ったワカサギを料理していただく。

●シナリオの流れ
 1章:ボス取り巻きの排除
 2章:ボスの撃破
 3章:ワカサギを釣るぞー! 釣ったら食べるぞー!

●湖について
 かなり広く、氷も厚いので、ふつうに戦っている程度では湖に落ちたりはしません。湖水は大変に冷たいので、万が一落ちると風邪を引きそうです。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

オリヴィア・ローゼンタール
SPD
オウカ・キサラギ(f04702)と共闘
さて、今はまだイタズラ程度ですが……放って置くわけにもいきませんね
鬼退治と参りましょう

【守護霊獣の召喚】で黄金の獅子を召喚し【騎乗】
【属性攻撃】【破魔】で槍に聖なる炎を纏わせて破邪の力を増大
【ダッシュ】で敵陣へと突貫
【怪力】にて【なぎ払い】、【衝撃波】でまとめて吹き飛ばす
近づいてくる鬼は獅子の爪牙で引き裂き叩き潰す(【グラップル】【踏みつけ】)
伸縮性弾力性には【串刺し】で貫き、内から焼き滅ぼす

オウカさんが狙われれば【かばい】、
槍で受け流し(【武器受け】)体勢を崩したところを貫く(【カウンター】)


オウカ・キサラギ
SPD
オリヴィア・ローゼンタール(f04296)と共闘!
せっかくの楽しい釣りを邪魔するなんて許さないぞ!
特に美味しいお魚を捕るの邪魔するってのが許せない!

【属性攻撃】で爆発する玉をスリングショットで放つ。
ハンマーを振り回されたら困るから【スナイパー】で腕を狙ったり、足を狙ったりして【クイックドロウ】でどんどん撃っていくよ!
まずは氷を割られないように立ち回るね!

他には前線に立っているオリヴィアちゃんを【援護攻撃】で支援するよ!
オリヴィアちゃんの隙を狙う鬼を後ろからバーン!

もし近づかれたりこっちに攻撃が飛んで来たらダガーを使った【2回攻撃】で相殺するよ!
そのあとすぐに距離を開けて再び狙撃だー!



「今はいたずら程度とはいえ、放っておくわけにも行きませんね。鬼退治と参りましょう」
「ううん、楽しみにしていた釣り人を邪魔するなんて、それだけで許せないよ! 美味しいお魚を取るの邪魔するってところなんか、とくに!」
「あらあら」
 ぷんぷんと頭から湯気が出そうな勢いで怒っている、オウカ・キサラギ(お日様大好き腹ペコガール・f04702)の剣幕に、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は苦笑した。
「そうですね、釣り人の邪魔をしてはいけません。では、参りますね」
「うん、援護は任せて!」
 オリヴィアは駆け出すとともに、声高に叫ぶ。
「天来せよ、我が守護霊獣。邪悪を引き裂く爪牙となれ――!」
 呼びかけに応じて召喚されたのは、黄金に輝く獅子だ。並走しながら屈めた煌めく背に飛び乗って、一心同体となったオリヴィアと獅子は、いっそう加速する。
「――それっ!」
 その後背から、オウカはスリングショットを引き絞り、赤く輝く鋼球を次々に放つ。狙うは鬼の腕や足。鋼球は鬼の身体に当たった途端、炎を撒き散らして炸裂する。
「ガァァァァッ!」
 力任せに棍棒を氷の地面に叩きつけようとしていたところを邪魔されて、厭うように振り向いた鬼の眼前には、一足一刀の間合いまでオリヴィアが迫っていた。
「オイタは駄目ですよ」
 脇に構えた聖槍の黄金の穂先には、浄化の炎が宿る。突進の勢いに持ち前の怪力を乗せて、力ある槍を振るえば、穂先を叩き込まれた鬼はたまらずなぎ倒された。
 オリヴィアは弧を描いて向きを変え、今度は倒れた鬼を獅子で踏み潰そうと図るが、速度が落ちたところを別の鬼に狙われる。
 ――けれど、それは誘いでしかない。
「ボクのこと、忘れないでほしいな!」
 鬼の後ろに走り込みながら、オウカはスリングショットを3連射。オリヴィアを狙った鬼は、後頭部を撃ち抜かれて前につんのめる。
 その間に黄金の獅子は大きくバックステップ、加速するだけの距離を稼いで、すぐさま突撃に転じた。獅子の背上では、聖槍の白銀の柄を握りしめたオリヴィアが大きく腰を捻っており――。
「ハッ!」
 鋭い呼気とともに放たれた刺突が鬼の正中線を深く穿ち、聖槍が体内から不浄を焼く。槍を引き抜くと、鬼は崩れ落ちて白煙を上げて燃え盛った。
「倒れてた奴は、っと……、あれ?」
 オウカが最初に狙った鬼へと視線を向けると、倒れていたはずの鬼がいない。
 鬼は、すでに態勢を立て直していたのだ。白煙に紛れて、鬼が飛ばした怨念の塊がオウカを狙う。
「――オウカさん、右!」
「なんのっ!」
 オリヴィアの声で、弾着寸前に気付いたオウカは、逆手で抜いたダガーで怨念を弾く。
 すかさず鬼に獅子ごと飛びかかったオリヴィアが、獅子の巨体で鬼を地面に押さえつけた。そのまま獅子が鋭い爪を備えた前肢を何度か叩きつけると、鬼は力を失って大人しくなった。
「オリヴィアちゃん、助かったよ!」
「いえいえ、これくらいどうということはありません」
 スキのないコンビネーションで鬼を倒した二人は、次の敵へと狙いを定める。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

真宮・響
ワカサギ釣り、いいねえ。冬の風物詩だ。・・・でも余計な乱入者が現れたようだね?村の人達の安全の為にも一肌脱ごうか。奏(f03210)、瞬(f06558)、行くよ。

その力は侮れないね。金棒の受け止めは奏に、落ち武者の相手は瞬に任せて、真正面から怨念の塊で伸びた隙に【先制攻撃】【2回攻撃】で伸び切った的を竜牙で斬る。元に戻る時は必ずその動作の分隙が出来るものだ。それを狙うよ。


真宮・奏
むむ、楽しいワカサギ釣りの邪魔をする悪い奴は退治です!!・・・何か更に寒くなりそうな気がしますが。(いい笑顔で氷の魔力を漂わせる瞬(f06558)を見ながら)

私は痛そうな鬼の金棒を受け止めますね。【オーラ防御】と【盾受け】【武器受け】を使って、信念の盾を使用。金棒が地面について氷を割らないように断固として腕の一撃を止めて見せますよ!1


神城・瞬
氷のフィールドの上で僕の前に立つなんていい度胸ですね?逆に氷の地面で更に凍らせて差し上げましょう。覚悟。(いい笑顔で氷の魔力を漂わせている)


本体を凍らせたいところですが、召喚してくる落ち武者が厄介ですので、その対処をしましょう。【全力魔法】【高速詠唱】で氷晶の矢を落ち武者に撃ちます。刀や弓矢を持つ手を凍らせる勢いで。こちらにくる攻撃は【見切り】で対処したいですね。



「ワカサギ釣り、いいねえ。冬の風物詩だ」
「でも、楽しいワカサギ釣りだって、邪魔をするものが居ては楽しめません。そんな悪い奴はすぐに退治してしまいましょう!」
 ワカサギ釣りには絶好のロケーションだと楽しげに笑う真宮・響(赫灼の炎・f00434)の横で、真宮・奏(絢爛の星・f03210)は眦を釣り上げた。
 けれど真横から、真冬の凍気よりも凍える気配を感じて、すぐにボルテージが下がる。よくわからないが、いやむしろわかりたくないが、神城・瞬(清光の月・f06558)がやたらと楽しそうに薄く微笑んでいるのだ。それも、氷の魔力をダダ漏れにしながら。
「……何か更に寒くなりそうな気がしますが」
「同感だ。そうなる前に、邪魔者たちを片付けてしまおうか。ほら、村の人たちの安全のためにもね。奏、瞬、行くよ」

 暴れまわる鬼へと攻撃を仕掛けられる距離まで、3人は間合いを詰める。その位置から、瞬は冷え冷えとした声音で呼びかけた。
「このように氷に満ちたフィールドで僕の前に立つだなんて、その度胸を褒めて上げましょう。報奨は氷像化など如何? ……お覚悟を」
「グガッ? ……ガァァァァッ!」
 どうも鬼には何が瞬をそうさせているのかは伝わらなかったようだが、少なくとも敵意だけは伝わったようだ。
 鬼は氷の地面に金棒を突き立てると、何やら唱えだした。すると周囲に陰の気が漂い、手に弓矢、腰には刀を差した落ち武者の霊が現れ出て鬼に助力する。
(「氷像にするとは言ったものの、召喚された落ち武者に対処しないと厄介ですか」)
 対する瞬は思うところがありつつも、あくまで冷静沈着に対処を選ぶ。
「さて、これを見切れますか?」
 詠唱の声は早すぎて聞き取れない。一瞬で高まった魔力が、透き通った杖の先端へと込められて、煌々と輝きを放つ。
 振り上げた杖を鬼へと差し向けると、魔力が何十本もの氷の矢となって放たれた。
 それは雨のように鬼へと降り注ぐ。
 けれど鬼は、呼び出したばかりの霊を犠牲にして矢の雨を躱し、無理やり距離を詰めてきた。落ち武者の霊を排除するという目的は果たされたが、その突進を阻むまでには至らない。
 瞬の目前にまで詰め寄った鬼は、あまりに重そうな金棒を横殴りに振るう。
 そこで瞬を押しのけて、奏が前へと出た。
「大丈夫、任せてください。氷すら割らせませんよ!」
 奏が構えるのは、精霊の力が込められた盾。その盾に自らの信念を力に変えて重ね合わせ、揺るぎない防御へと高める。
 ――腹の底に響く、重い音が鳴った。だが、奏の位置は一歩も変わらない。鬼は無理矢理に怪力で金棒を振り抜こうとするが、奏はなお不動。体格だけを見れば、あまりに奇妙な均衡が生じた。
 ならばと鬼は、怨念の塊を伸ばして奏を排除しようとするが……。
「よくやったよ、奏。あとは任せな!」
 その瞬間を逃さず、赤光を残す斬撃が響の手から放たれた。斬撃は寸分違わず怨念の塊を斬り飛ばし、返す刀で鬼の首までもを討ち取った。
「残念、凍らせるのはまたの楽しみに取っておきますか」
「これ以上寒くなったら本格的に凍えちまう。勘弁しておくれよ」
 眼前で倒れ込んだ鬼の体躯を見下ろしながら肩をすくめる瞬を、響はそう笑い飛ばしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リィン・エンペリウス
ワカサギ釣りを楽しみにしている人達の場所を駄目にしようとするなんて許せないね。
なによりボクも楽しみにしているんだから急いで止めないとね!

まずは鬼退治だね。
ボクはビーストマスターだし、獣奏器の【楽器演奏】で、湖の周りにいる動物達に戦闘を手伝ってもらおうかな。鬼は力が強そうで攻撃が当たったら危険そうだから、素早い動きで回避が出来る子が来てくれるいいね。ボクの【野生の勘】で、ここには素早い子がいそうな気がするよ。

【動物と話す】を使って、きてくれた動物に他の仲間が攻撃しやすいように鬼の攻撃の囮役をする作戦を伝えるよ。
仲間の攻撃で敵がひるんだら、『ライオットアニマル』で一斉攻撃しようか!


リコリス・ミトライユ
絡み・アドリブ歓迎

寒中水泳は趣味じゃありませんし、お料理だって楽しみですし。
ここは、出来るだけ静かにしてもらわないと、ですよね。
うるさくする鬼にはめっ、ってします。

金棒を思い切り叩きつけられたら、氷が割れてしまうのなら、
金棒を持てないようにして差し上げます。
金棒を持っている手に向かって思いっきりパンチして、
<武器落とし>て、持てないくらい、痛くしてあげましょう。

それでも金棒を思い切り振りおろすなら、
金棒に向けて、【ペネトレイト・ブロウ】で思いっきり金棒を殴って、
へし曲げるか、吹き飛ばして差し上げるしかないようですね。

ちゃんと反省しましたか?
これに懲りたら、うるさくして迷惑かけちゃだめですよ。


エトワール・フィラントゥ
釣りが出来なくなれば皆様もお困りになりましょう
猪様方をおとめしませんと!

*準備
温かくして往きなさいと、持たされたふわふわのケープとブーツ
防寒対策はばっちりです

*戦闘
まあ!なんてまっしろな世界
これが雪?氷?え、下は湖なのですか?
…にゃ!つるりとしますっ…滑らぬよう注意しないと

氷を割らせてはいけません!
…エトワールは泳げないのでございます
強力な一撃や矢は武器受け、なぎ払いで受け止めて
緊急時は吹き飛ばしで退いて頂きます

ヒビが入った場合はユーベルコードで補強を
不思議な塗料ちゃんは行動妨害だけでなくコーティングにも使えますの

相手の動きをよく見て
猟兵様方と声を掛合い協力して戦います
サポートもお任せください



「釣りが出来ないとあっては、皆様もお困りになりましょう」
 ミニチュアに見える清掃用具を握りしめ、エトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)は小さな眉を寄せた。
 肩にふわふわしたケープを巻き付けて、足元はきっちりとブーツで防寒。温かくしていきなさいと持たせてくれた優しさが、エトワールを包んでいる。
「そうそう、ワカサギ釣りを楽しみにしている人達から場所を奪うなんて、許せないよ。なによりボクも釣りを楽しみにしているんだから!」
「それにお料理だって、楽しみですもの。静かにしていてもらわなきゃ困ります」
 リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)が素直に怒りの感情を発すれば、リコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)もまた同意を返す。
 小柄なふたりと、一層輪をかけて小さなひとりの組み合わせであった。平均年齢は10歳である。

 湖上で暴れる鬼たちといえば、ここに至るまでの猟兵たちの活躍でだいぶ数を減らしており、残るは1体だ。
「残る鬼も退治しなきゃいけないね。湖の周りに住んでいるみんな! 力を貸して!」
 リィンは抱え上げた獣奏器を奏で、メロディを通じて周囲に生きる動物たちへと語りかける。
 呼びかけに応えてくれたのは、3頭の白狼。雪に紛れて近寄ってきた狼たちをリィンは軽く撫で、頼みを伝えた。
「あの鬼をちょっとからかってさ、注意を引いてきてくれないかな。金棒で叩かれるなんてことのないように、無理はしなくていいからね!」
 すると、ウォンと短く吠えた1頭が真っ先に駆け出していく。その後に2頭も続き、鬼の足元をクルクルと駆け回ったあと、3方向へと散ってはまた戻るを繰り返した。
 苛ついた鬼は金棒を振り上げるが、どの狼を追うかと逡巡を見せた。
「鬼さん、こちら、でございます」
 その隙に、近づいたエトワールが鬼の肩口まで駆け上がっていた。エトワールの体躯は鬼の頭部程度しかないから、肩に立っても無理がない。
 鬼が小癪なケットシーを視界に納めようと首をひねったところへ、エトワールは大きく振りかぶったホウキをフルスイング。その鼻っ柱へと叩き込んだ。
 急所を打たれて悶える鬼は、無茶苦茶に金棒を振り回した。あまりにデタラメなフォームだから地形を破壊するほどの威力はないものの、それでも重い金棒が地面に当たれば、氷に亀裂が入る。
「まあ、氷を割るだなんて! ……エトワールは泳げないのでございます」
「あたしは泳げはしますけど、だからといって寒中水泳は趣味じゃありません」
 巻き込まれないように距離を取ったエトワールは、亀裂を見て背筋が寒くなる。リィンだって、こんな寒空の下に水の中へ落とされるなんてゴメンだった。
 ――だから、その金棒を持てなくしてあげる。
 白銀の世界にプラチナブロンドの髪を舞わせ、リコリスは鬼に迫る。直線的な鬼の動きを包むような円の動きで立ち回り、鬼の懐へと入り込む。
 そして小さな拳を握った左手を、金棒を持つ手の小指に向けて、折れよとばかりに叩きつけた。おまけとばかりに右手で追撃してワンツーを決めてから、間合いを取る。
 鬼は顔をしかめているが、未だ放していない金棒を振り上げて、リコリスを狙う。
(「……足りませんか。ならば」)
 リコリスは息を細く長く吐き出し、気を高める。その眼は、頭上へと振り下ろされる金棒を見つめていて。
「ちっちゃいからってナメると、痛い目見ますよ! ――打ち抜きますっ!」
 頭に当たろうかというタイミングで、捻りを加えた拳を斜め上に突き出す!
 その鋭い拳は、金棒をまるで飴細工のようにひん曲げた。信じがたいものを見た鬼は、瞳孔が驚きに見開かれている。
「今だ! よ~し、みんな! 敵を攻撃だ~!」
 すかさず、リィンが狼たちに号令を下す。リィンのユーベルコードの力を受けて、その身体を常ならぬ武器へと変えた狼たちは、鋭い爪牙を以て鬼を散々に引き裂いた。
 そうして全身を酷くやられた鬼は、すごすごと湖上から逃げ出していく。
「ちゃんと反省しましたか? これに懲りたら、うるさくして迷惑かけちゃだめですよ」
 その背中を、リコリスの響く声が追っていた。

 さて鬼が居ぬ間にと、エトワールは慌てて心もとないひび割れにモップがけをする。
(「……にゃっ! つるりとしますっ」)
 ちょっと慌てて慣れぬ氷上でスリップしたりもしながら、モップから染み出す不思議な塗料を氷の亀裂に塗りつけた。
「困ったときのお掃除術、その1!」
 亀裂に染み込んだ塗料は急速に固まっていき、氷の亀裂を強固に補修する。
 ――これで猪子槌を迎え撃つのに不安はない。

 当の猪子槌はといえば、ひたすら氷を割ることに夢中だったらしい。
「あれー? おかしいなあ、鬼のみんなどこに行っちゃったんだろー?」
 一緒に暴れていた鬼たちが、一人もいないことにやっと気づいた様子で、きょろきょろと周囲へ不思議そうに視線を飛ばしていた。
 けれど、すぐに鬼を見つけるのは諦めたようだ。
「でも、みんなが遊んでくれるんだよね! わたし、負けないよ!」
 湖上に残る猟兵たちに向け、大きな木槌を振り上げてにっこりと微笑みかけてきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『妖怪・猪子槌』

POW   :    どっかーん!
単純で重い【不思議な木槌】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    不幸になーれ!
【不思議な木槌を振ること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【不運なこと】で攻撃する。
WIZ   :    とっつげきー!
自身の身長の2倍の【うり坊】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

真宮・響
ふむ、敵の首領だね。なんだか気が合いそうな気がするけど、持っている得物からして、かなりの強者だね。本気でいくよ(真の姿解黒髪金眼になり赤いオーラを纏う)

木槌の対処は奏(f03210)に、うり坊の対処は瞬(f06558)に任せ、【目立たない】と【忍び足】で【不思議な木槌】の攻撃範囲から逃れながら、竜牙で攻撃。真正面に木槌の攻撃が来るようだったら【武器受け】で受けた上で【カウンター】を狙うよ。木槌を持つ腕を傷つけて、攻撃の邪魔が出来たら僥倖だね。


真宮・奏
むむ、何か通じる所がある敵ですが・・・人に害を及ぼすなら、対処せねばですね。力押しなら負けないです!!行きますよ~!!(真の姿解放。黒髪金眼になり青いオーラを纏う)

とりあえず得物の木槌が地面に激突すると皆さんが冷たい氷の湖に落下してしまうので、信念の盾を使った上で【オーラ防御】と【盾受け】、【武器受け】【拠点防御】で木槌の振り下ろしを阻止します!!被害を私だけに集中すべく、【おびき寄せ】も併用しますよ。


神城・瞬
何か響母さん(f00434)と奏(f03210)とそっくりな敵ですね。そっくりな分暴れ出すと手に負えない訳で。これ以上被害が広がる前に何とかしましょう(両目が赤くなり、銀髪になり、白いオーラを纏う)

私はうり坊の対処をしましょう。いささか大きすぎるので戦況が酷い事になる前に、【高速詠唱】で【全力魔法】で氷晶の矢でボスがうり坊に乗る前にうり坊を仕留めます。【2回攻撃】も使って、確実に仕留めますよ!!


オウカ・キサラギ
SPD
オリヴィア・ローゼンタール(f04296)と共闘!
あの鬼たちのリーダーがこんなにかわいい見た目とは思わなかったなぁ。
でも見た目に反して、あの木槌の威力はやばそうだ!


【力溜め】【シーブズ・ギャンビット】で高火力で速度のある一撃を狙うよ!
少しでも速度を上げるために、革鎧とグローブ、それとスリングショットを脱ぐけど
これ以上脱ぐのは寒いし恥ずかしいからヤダ!
直接打ち合うのはこっちが不利だから向こうの攻撃は【見切り】で回避を狙うよ!

もし向こうが疲弊してきたら【スナイパー】【2回攻撃】で【武器落とし】を試してみるよ!


オリヴィア・ローゼンタール
POW
オウカ・キサラギ(f04702)と共闘
足場を固めてくださった方がいらっしゃるのですね、ありがたいです
さて、鬼を率いていた大将にしては、随分と無邪気ですね……
木槌の一撃は、せっかく固めていただいた足場ごと砕かれそうですね、気を付けないと

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】【破魔】で槍に聖なる炎の魔力を纏い攻撃力増強
【怪力】にて槍を操り、木槌と打ち合う
腕力自慢のようですね、技比べといきましょう

敵の動きをよく観察(【視力】【情報収集】【学習力】)し、
地面に木槌を叩きつける前兆を予見すれば槍で介入して妨害する(【見切り】【カウンター】)
その一撃、振り切らせませんっ!


エトワール・フィラントゥ
遊びですか?
エトワールで良ければ喜んで

ワカサギ釣り競争は如何でしょう
氷割よりきっと面白いのでございますよ
さあさ、大きな槌さんには一休み頂いて…にゃあ!

お話を聞いてくれないなら仕方ありません
この世界からお引取り頂きますの

*戦闘
小柄な体形と自慢の脚力(ジャンプ)を活かして、陽動・抑制しますわ
皆様の援護もお任せを

あぁ!ですので割らないでくださいっ
・大槌の一撃は可能なら武器受け、なぎ払いで防ぎます
・不運…?氷で滑って転んだり、まさか穴が開いていたりっ?!
事前事故防止、出来ればよいのですが…周りには注意ですわ
・突進うり坊さまには、塗料ちゃんの出番です
進行方向にペタペタと
お足元にはお気を付けくださいませっ


リィン・エンペリウス
ん?あれが鬼達のボス…なのかな?あんなに大きな木槌で氷を叩かれたら…大変だね、急いで倒すよ!

今度はとにかくパワーがありそうな敵だし、再度獣奏器の【楽器演奏】を使って動物達を呼ぼうか。
彼・・・ん?彼女?のパワーに対抗できそうな攻撃力のある子で対抗しようか。どんな子が来てくれるか分からないけど・・・ボクの【野生の勘】を信じて呼び寄せるよ!

敵のどっかーん!攻撃はボクとその呼んだ子で受け止めて、氷を割らせないようにするよ。ボクと呼んだ子のパワーがあれば受け止められるはずさ!
受け止め、隙が出来たらボクと呼んだ子の【2回攻撃】で敵を攻撃するよ!



「あいつとは、なんだか気が合うような気がするんだよ」
「わかります、何か通じるところがあるんですよね。どうしてでしょうね……?」
 猪子槌に相対した響と奏は、敵に憎めない雰囲気を感じて首をひねった。
(「そうでしょうね、響母さんや奏にそっくりですからね」)
 瞬は、さもありなんとため息をつく。そして、暴れはじめたら手を付けられないのも似たようなものだろうと想像して、もう一つため息をついてから、口を開いた。
「とはいえ相手は暴れる気で満々のようですし、これ以上被害が広がる前に何とかしましょうか」
「そうだね。あんな大木槌を振り回すところからして只者じゃあない。本気で行こうか」
「人に害を及ぼすなら、対処せねばですね。それに、力押しなら負けないです! 行きますよ~!」
 いずれにせよ、倒さねばならない敵であり、侮っては大怪我する強敵でもある。3人は猟兵としての真の姿を垣間見せながら、それぞれの力で猪子槌に向き合った。

「お、来たね! わたしもうりちゃんを呼ぼうっと!」
 猪子槌が大木槌をぐるんぐるんと振り回してから勢いよく振り下ろすと、白煙が上がった。すぐに晴れたその中から現れたのは、つぶらな瞳をした巨大なうり坊の姿である。
(「あれに乗せて自由に暴れさせるには、いささか大きすぎますね」)
 銀髪赤目の姿となった瞬が、突き出した杖に魔力を込めて氷晶の矢を放つ。
 放たれた数多の矢は、猪子槌とうり坊を分かつように降り注ぐ。
「あっ、うりちゃん!」
「さあ、まだまだいきますよ」
 間髪入れず、突き出した杖に再度魔力を込める。白いオーラを纏った瞬は、今度はうり坊に杖の先を向けて、氷晶の矢を放った。
「むー、うりちゃんのお返しだー!」
 猪子槌は大木槌を振り上げて、瞬へと迫る。その一撃が振り下ろされれば、瞬は痛手を受けるだろう。また瞬が大木槌自体を躱したとしても、今度は湖上に張った氷が確実に割れるに違いない。
(「みんなで仲良く寒中水泳なんて、嫌ですからね」)
 だから、奏は自らに猪子槌の注意を引き付ける。
「力に自信があるんでしょう? だったら、私と力比べをしましょう! まさか逃げませんよね」
「いいよ、望むところだっ! とりゃーっ!」
 案の定、猪子槌は奏の誘いに乗ってきた。わかりやすい相手ではある。
 猪子槌が振り下ろす大木槌と、奏が掲げた盾が打ち合わされて、再び重い音が響く。だが、先ほど受け止めた鬼の棍棒よりも明らかに重く、奏は押され気味だ。
「でも、負けられません……!」
 黒髪金眼になっている奏は特訓で鍛えた力を、持ち前の負けん気と強い意志の力で引き出して、猪子槌を押し返す。奏の身体を包む青いオーラがその輝きを増すほどに、大木槌を押し返す力は強くなる。
「どうです!」
「むー、……もう1回だっ!」
 猪子槌を後ろに下がらせたところで、奏は勝利宣言。猪子槌は再度、殴りかかろうとするが。
「次はこちらの相手をしてもらおうか」
 気配を押し殺し、間近まで迫っていた響がその牙を剥く。大木槌を振るう細腕を食い千切るため、赤い光剣が奔った。
 猪子槌は大木槌を翻し、光剣を受けようとする。響は無理に打ち合うことは避け、得物同士が交わらぬ軌道に剣閃を逸らした。
 直後、響は返す刀で鋭角に光剣を振り上げる。今度こそ、猪子槌は大木槌で受けることは出来ず、身体を反らすのが精一杯だ。
 その腕を光剣が斬り裂いた。斬り飛ばすとはいかないが、浅くはない傷である。
「まずは僥倖といったところかね」
 飛び散った血を見た響は、金眼を輝かせて獰猛に笑った。

「あなたが足場を固めてくださったのですね。ありがとうございます」
「いえいえ、これがエトワールの仕事でございますから」
 猪子槌に仕掛けるタイミングを探りながら距離を詰めている最中、オリヴィアから思ってもみない感謝の言葉をかけられて、エトワールは恐縮した。
 鬼たちとの戦いで湖面に張った氷に多少のダメージは受けたが、エトワールが保護してくれたおかげで、心配せずに戦えそうだ。
 その傍らで、リィンとオウガの視線が猪子槌の姿を追っていた。
「あれが鬼たちのボス……でいいんだよね?」
「うん、間違いないよ。あの鬼たちのリーダーが、こんなにかわいい見た目とは思わなかったなぁ。でも見た目はかわいくとも、あの木槌の威力はやばそうだ!」
「あんなに大きな木槌で氷を叩かれたら……、うん、大変だね」
 先んじて仕掛けた猟兵たちと猪子槌との立ち回りを目にし、感想を漏らす。目前での打ち合いを見ていれば、痛いほどに威力のほどがわかる。
 あの大木槌をまともに受けるのは、そう容易いことではない。
「せっかく固めていただいた足場ごと、砕かれそうですね。気をつけませんと」
「パワーは間違いなくあるね。こっちも彼……、ん? 彼女? よくわからないけど、そのパワーに対抗できそうな子を呼んでみる」
 そう言って、リィンは獣奏器を構えた。実際のところ、どんな動物が呼びかけに応えてくれるかは判らないのだけれど、不思議と適切な子が呼べるだろうと野生の勘が告げていた。
「でしたら、このエトワールが多少の時間を稼いでみましょう」
 猪子槌はもう目前だ。
 エトワールは血を流しながら大木槌を肩に背負う猪子槌へと、勇気を出して話しかけた。
「貴方様は遊びたいのでしょう? エトワールで良ければ、喜んでお付き合いいたします」
「ふーん、次は君が遊んでくれるの?」
「ええ、ワカサギ釣り競争などは如何でしょう。氷をただ割るより、きっと面白いのでございますよ。さあさ、大きな槌さんには一休み頂いて……」
「えー、わたしそういうチマチマしたのキライ! よし、じゃあ君をどれだけ遠くに飛ばせるか試してみよう!」
 言うが早いか、猪子槌は大木槌をすくい上げるように振るった。
「にゃあ!」
 大慌てで飛び退ったエトワールの鼻先を、大木槌がかすめていく。
「避けるなよー。そら、どっかーん!」
 大木槌は続けざまに振り下ろされて、今度はエトワールを押しつぶそうと迫る。
 だがその眼前に、体格のいい灰色熊が割って入り、大木槌を受け止めてくれた。リィンの呼びかけに応えてやってきた熊である。
「またせたね、力自慢の子が来てくれたよ」
 リィンはどんなもんだいと言いたげに、軽く胸を張った。
 大木槌を掴まれてしまった猪子槌が動きを止めたところで、オウカが狙いを定める。
「そっちが力自慢なら、こっちはスピードで勝負だ!」
 一声吠えたオウカは一直線に猪子槌へと加速しながら、スリングショットを投げ捨てたばかりか、革鎧やグローブまで外してしまう。
 服を脱いで身軽になれば、さらに加速できるシーブズ・ギャンビット。だがこの寒空の下で脱ぐには、これが限界か。
(「これ以上は寒いし、恥ずかしいし、ヤダ!」)
 逆手に一振りのダガーを握りしめ、オウカはありったけの力を込めて、湖面の氷を蹴った。氷に噛み付いたブーツの底が力を余さず推進力に変えて、オウカは弾丸のように飛ぶ。
「な、なにされたの今?」
 オウカが猪子槌をかすめたのは一瞬だった。その間に着実に傷を与え、さらに距離を取る。猪子槌には身じろぎする時間すら与えない。
 斬りつけられた猪子槌は、むりやり灰色熊の手から大木槌を引き抜いた。
「もう、みんな湖に落ちちゃえ!」
「あぁ! ですので割らないでくださいっ」
 エトワールの悲鳴が響く中、猪子槌は誰かに叩きつけるのではなく、直接氷を狙って木槌を振るう。今度こそ、氷が割られるかと思われたが――。
「その一撃、振り切らせませんっ!」
 大きくしなった槍の穂先が大木槌の打面に突き刺さり、無理矢理に下から突き上げる。
 穂先に宿った煌々と燃え上がる聖なる炎が、オリヴィアの横顔を照らし出した。
「私とも力比べをしていただけますよね?」
 ニコリと笑い、槍を握る手にさらに力を込めて、大木槌ごと猪子槌を弾き飛ばす。
 氷上に投げ出された猪子槌は、大木槌を杖にしてゆっくりと立ち上がった。その表情は当初の無邪気なものとは打って変わって、極度に不満そうである。
「つまんない! うりちゃん、来て! ぶっ飛ばしてやるんだから!」
 再度呼び出したうり坊に今度こそまたがって、猪子槌は突撃を指示した。
 ――それが、猪子槌にとっての悲劇の幕開けとなった。
 うり坊を呼び出すところを見たエトワールが、猟兵たちと猪子槌の間に先ほどは氷上の補修に用いた不思議な塗料をペタペタと塗り終えていたのである。
「うり坊さま、くれぐれもお足元にはお気を付けくださいませっ」
 そう言われても、勢いのついたうり坊は塗料を避けられない。うり坊が塗料を踏むと、塗料は途端に固まってうり坊のつま先をガッチリホールド。その場にうり坊を固定した。
 当然乗っていた猪子槌は、為す術もなくうり坊の背中から投げ出され――。
「ふふん、隙あり、だよ!」
 放物線を描く猪子槌を狙って飛び出したオウカが、大木槌を握る手をダガーで素早く2回斬りつけて取り落とさせる。
 身一つで飛んだ先には、リィンとリィンが呼び出した灰色熊が待ち構えていた。
「オーライ、オーライ。さあ、君の力をボクに見せてよ!」
「ガァッ!」
 横でリィンが突き出した小さな拳を真似するように、灰色熊の凶悪な爪が生えた前足が振るわれて、猪子槌を氷上に叩き落とす。
「もっと楽しく遊べたら良かったのですけれど。……お引取りくださいませ」
 そして最後はオリヴィアの聖槍の穂先が猪子槌へと突き下ろされて、幕切れとなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ゆるり太公望』

POW   :    量より質。大物狙いの一本釣り!

SPD   :    質より量。とにかくいっぱい魚を釣る!

WIZ   :    釣った魚を料理したり、他の人の釣ってる姿をぼーっと眺めたり

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 邪魔者たちは去り、喧騒から開放された湖に静寂が戻ってきた。戦闘の合間に多少は太陽も昇り、すこし暖かくなってきてもいる。
 ――いや、それでも寒いことに変わりはないのだが。
 暖を取りたいのなら、薪などは周囲の森から手に入る。それだけでなく、温かい料理で腹の底から温まりたい気もする。
 ワカサギ釣りをするために、氷はどうしようか。猪子槌たちが割ったあとも使えるだろう。それとも穴を小さく開けなおそうか。
 一仕事終えたのだから、これからこの湖で何をしようとも自由だ。猟兵たちは思い思いに動き始めた。
真宮・響
やっと騒動が収まったね。全く、手間をかけさせたものだ。喜んで、ワカサギ釣りをさせて貰うよ。これでも旅暮らしが長いんだ。サバイバルも大分経験したから釣りは慣れたものだ。

アタシは4~7cmのワカサギを大量に釣るよ。一家の母としては子供達に一杯食べさせたいから量の方を選択するのは当然だ。奏(f03210)の釣った大物共々、瞬(f06558)に料理して貰おうか。きっと極上の味に違いないよ。あ、穴はそこら辺に一杯空いてるだろうからそれを使うよ。


真宮・奏
やっとワカサギ釣りが出来ますね!!(ぐぐっ)家族3人での釣りなら経験ありますが、戦友の皆様との釣りはきっと楽しいです!1張り切って釣りますよ。

穴はあらかじめ開いているのを使わせて貰いますね。折角なので大きいワカサギを狙いたいです!1(集中して釣り糸をたらす)釣れました!!結構大きくないですか?(16.5cm)釣ったワカサギは瞬兄さん(f06558)に料理して貰いますね。きっとお腹一杯おいしく食べれそうです。


神城・瞬
物騒な乱入者は片付きました。やっとワカサギ釣りが出来ますね。僕も釣りは出来ますが、響母さん(f00434)と奏(f03210)の釣る分で充分なワカサギが確保できると思うので、薪を集めて暖を拵えて、料理の準備をしておきましょう。

ワカサギが来たら、張り切って料理しましょう。作るのは串焼きと天ぷらとつみれ汁。家族だけではなく、戦友の皆様にもご馳走しましょう。この暖かい時間は、皆様との協力で、勝ち取ったものですから。


オウカ・キサラギ
オリヴィアちゃんと一緒だよ!(f04296)

たくさん食べるためにはその分ワカサギがいるよね!
だったら【第六感】でワカサギが釣れそうな場所を見つけて、あとは反応があれば魚かゴミか判断する前に【早業】でどんどん釣っていくぞー!
もし一緒に釣ってる人がいたらお話しながら釣りたいね!
邪魔者はいなくなったから、これで楽しく釣りができるね!

え?ワカサギの天ぷらがあるの?食べる食べるー!
みんなと一緒にお外でご飯なんて最高だね!
それに出来立てが美味しくないわけないもんね!
もう美味しすぎて際限なく食べちゃいそうだよ!【大食い】

食べ終わったら大きな声でごちそうさまだよね!
それが食材と作ってくれた人への礼儀だからね!


オリヴィア・ローゼンタール
WIS
オウカさん(f04702)と一緒に

オウカさんはワカサギ釣りにチャレンジされるようですし、
私は【料理】の準備をしておきましょうか
先に釣りをしていた男性に調理法を教えてもらいます(【コミュ力】【学習力】)
危ないところでしたね、鬼は退治したのでもう安全ですよ
お駄賃代わりと言っては何ですが、ワカサギのオススメの食べ方を教えていただけませんか?

まずは定番らしいテンプラというものを試します
洗って衣を付けて揚げて……簡単ですね
オウカさん、揚げたてが美味しいそうなのでこっちで食べましょう
ご一緒に戦った方々にもお裾分けを

残りは甘露煮とやらにしてみましょうか
日持ちもするそうですし、甘くて美味しそうです


リィン・エンペリウス
うん!やっとお邪魔な敵が退治できたね。
楽しみにしてたワカサギ【釣り】!いっぱい釣るぞ~♪

場所選びが重要だね。【野生の勘】に使いつつ時期的に日当たりのいい岸側の・・・水深6~7mくらいで水温が高い所にしようか。氷の厚さを確認しながらそこをドリルで穴開けするよ。
タックルは手返しよく感度重視の穂先に、電動リールで行こうか。あとは数釣りのお供のワカサギプッチンも忘れず・・・にかな?
この日のためにワカサギがい~っぱい釣れる餌も用意したよ。
このブルーチーズを食べさせた白サシを針につけて、先端と末端をハサミでちょちょっと切れば爆釣間違いなし!
他にも数釣り狙いの人がいたら餌を分けてあげようね。



「やっと騒動が収まったね。まったく、手間を掛けさせてくれたもんだ」
 武器を納めた響は、肩を大きく回した。酷い有様になる前に猪子槌や鬼たちを退場させて、ようやく一息ついたところだ。
「邪魔者さんたちも居なくなりましたし、やっとワカサギ釣りが出来ますね!」
「ああ、奏。さっそく釣りに行こうじゃないか」
「二人が釣りに行くのなら、十分なワカサギが釣れそうですね。僕は料理とかの準備をしておきますよ。たくさん釣ってきてくださいね」
 笑顔を見せてはしゃぐ響と奏の姿を見て、瞬もまた笑顔になった。自分自身も釣りはできるが、ここは裏方に専念することにして、二人を送り出す。
「はい、瞬兄さん。期待していてください。張り切って釣ってきます!」
 今日一番の笑顔で、奏は出かけていった。

「さて、年季を積んだサバイバル技術ってやつを見せてやるとしよう」
「私だって負けません」
 響と奏は、猪子槌が打ち割った湖面の氷の端に陣取って、さっそく釣りを始めた。
「お、君たちも釣り? いっぱい釣ろうね~♪」
「はい、頑張りましょう!」
 機嫌の良さそうなリィンが、通りがかりに挨拶をしていく。奏は手を振って応じた。リィンは立派な竿を手にしているものの、すぐに釣りの体勢に入るというわけでもなさそうだ。そのまま、辺りをきょろきょろと見渡しながら去っていく。
(「家族のみんなで釣りに行ったことならありますけど、他の方と釣りをするのもきっと楽しいです」)
 奏にとっては、それすらも胸が躍ることだった。

(「ふふ、勝負は場所選びから始まっているのだ。時期的には日当たり良好な岸側の……」)
 食材採りに慣れているリィンは、自分の知識と経験に野生の勘をミックスして場所を選ぶ。割れている氷で釣っている戦友たちも居た。そこでも、それなりの釣果は得られるだろう。
(「でも、やるならベストを尽くさないとね!」)
 自然食材に強いこだわりを持つリィンにとっては、これもまた真剣勝負である。
 同じ頃、オウカもまた氷上を彷徨っていた。
「オリヴィアちゃん、いってくるね!」
「オウカさん、いってらっしゃい。たくさん釣ってきてくださいね」
 先ほどそんな会話をオリヴィアと交わしてやってきたところだ。とにかく量だ。たくさん料理を食べるには、その分のワカサギがいる。
 己の胃袋を満たすために、第六感を頼りに食い意地をエンジンにしてオウカはベストポイントを探す。
「ボクの第六感がここが怪しいと告げている……! あれ?」
「この辺かな……、お?」
 そんな二人が、とあるポイントで顔を合わせたのは必然であったのかも知れない。
「じゃあ、一緒に釣ろうか!」
「そうだね、せっかくだもの」
 準備のいいリィンが持ってきたドリルで、氷面に手早く2つの穴を空ける。ちょっと離れた2つの穴は、背中合わせに座ってちょうどいい距離だ。二人は並んで準備を始めた。
「オウカはいっぱい釣りたい?」
「うん、もちろんだよ! だっていっぱい食べたいよね?」
「ふふふ、ならボクの秘密兵器を分けてあげようかな?」
「わあ、秘密兵器があるの?! リィンちゃん、ありがと!」
 リィンが取り出したのは、ブルーチーズを食べさせた白サシ。チーズの匂いに魚を集める効果があるらしい。

 一方、湖岸ではオリヴィアが、湖まで釣りに来ていた男を捕まえていた。
「こんにちは、危ないところでしたね。鬼は退治したのでもう安全ですよ」
「ああ、あんたらのおかげで助かったぜ。いや、そんなに生命の危険は感じてなかったんだが、なにしろ休日の楽しみをフイにされるところでな」
「じゃあやはり、これから釣りに行かれるのですね? ……その前に、少々お時間を頂いても構いませんか?」
「もちろん構わねえよ。助けてもらった恩があるからな。そんな薄情じゃねえさ」
「では、お言葉に甘えまして。ワカサギのオススメの食べ方を教えていただけませんか?」
「なんだ、そんなことかよ。そうさな、釣りたてなら刺身とか、お手軽に唐揚げとかかねえ。焼いて塩を振るだけでもイケるぜ」
「なるほど、シンプルな方がよろしいのでしょうか……?」
「せっかく釣りたてなんだから、鮮度を生かさねえとな!」
 快くオススメの料理法を教えてくれた気のいい釣り人を見送って、オリヴィアは準備を始める。
「うーん、定番だとか聞くテンプラを揚げてから、唐揚げでしょうか。そうだ、燃料を集めておきませんと」
「よかったら、こちらの薪を使いますか? 多めに集めて来ましたから」
 料理の算段をつけながら何があるかを確認していたオリヴィアに、森から戻ってきた瞬が声を掛ける。両手に提げた薪には確かに余裕がありそうだ。
「まあ、助かります。瞬さんはご家族の釣果待ちですか?」
「ええ、オリヴィアさんと同じですね。きっといっぱい釣ってきてくれますから、すぐに調理できるように準備しておきましょう」

 リィンとオウカのコンビは、騒がしく釣りに興じていた。
「反応があれば、即、引き上げる!」
 持ち前のすばしっこさで、早業を魅せるオウカ。失敗しても気にしない、チャレンジする回数で勝負だと、どんどんギアを上げていく。
「オウカは元気だねぇ」
 リィンはといえば、いい道具を揃えて効率重視。感度重視で選んだ穂先に、電動リールで次々と釣り上げていた。釣ったワカサギは、バケツの端に設置したトゲトゲに引っ掛けて……。
「ねえねえ、それ何!?」
 いつの間にか手元を覗き込んでいたオウカに聞かれて、見やすいように実演してみせる。
「こうやって引くと、針が外れるんだよ」
「へー、すごいねー!」
 楽しそうで何よりな2人であった。

 響と奏の親子組の方も、釣りを存分に楽しんでいるようだ。
「どうです、この大きさを見てください! 結構大きくないですか?」
 奏は数を捨てての大物狙い。できるだけ大物を狙いたいと、竿先に集中していた。その成果がでたらしい。
「いいじゃないか、アタシが釣ってるワカサギの倍はあるねえ。さすが奏だよ」
 響は微笑ましそうにそんな娘の様子を見ていた。
「でも、釣った数では全然勝てません」
「そりゃ、子供達にたっぷり食べさせてやらないといけないからね、当然さ。さて、そろそろ十分かね。瞬が待ちくたびれる前に戻るとしよう」

 材料のワカサギは、十分に集まった。料理の準備も整って、あとはお腹いっぱい出来たてを食べるだけ。
(「洗って、衣をつけて、揚げて……。簡単ですね」)
 ジュッ、っと小気味の良い音を立てて天ぷらが揚がる。
「オウカさん、揚げたてが美味しいそうですよ。いかがですか?」
「え、ワカサギを天ぷらにしたの? 食べる食べるー!」
 喜色満面のオウカが、さっそく口へと運んだ。
「お味のほどは?」
「うん、すっごく美味しいよ! それに、みんなとこうして一緒にお外でご飯だなんて、最高だもん! ほらほら、リィンちゃんも」
「ありがとね。いただきまーす」
 火の近くに集まって、歓談しながら食べていると幸せな気分になれた。瞬もとっておきの料理を皆に振る舞う。
「天ぷら以外に、串焼きや、つみれ汁もありますよ。さあ、響母さん、奏もどうぞ」
「瞬、ありがとよ。ほら奏、奏が釣った大物だよ。自分で食べるといい」
「うん、美味しい。瞬兄さん、さすがです」
 たっぷりと釣ったワカサギは、多種多様な料理に姿を変えて、つぎつぎと皆の胃袋に収まっていく。それでも食べきるまでには至らなそうだ。
「余ったワカサギは、甘露煮とやらにしてみましょうか……。日持ちもするそうですしね。あ、オウカさん、お腹いっぱいになりました?」
「うん、美味しすぎてすっごくいっぱい食べちゃった」
「それは何よりでした」
 と、満足のいく食事を終えたら、最後はみんなで揃って、
「「ごちそうさまでした!」」
 寒さも忘れられるくらい、楽しいひと時を猟兵たちは過ごしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日


挿絵イラスト