0
アースクライシス2019③〜私のプリンは私のものだ!

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ヒーローズアース
🔒
#戦争
🔒
#アースクライシス2019


0




 ヒーローズアースにあるニューヨークの住宅街にて。
「あれ……? ねえメイドさん。僕のプリン知らない?」
「いえ……存じ上げませんね」
「そっかー。ねえお母さーん!? 僕のプリン食べてないー!?」

 ――そして、別の家では。
「おっ、お姉ちゃん! 冷蔵庫にあったプリン食べたでしょ!?」
「食べてないわよ……寝ぼけてあんたが食べちゃったんじゃないの」
「そんなわけないじゃん!!」

 次々と消える子供たちのプリン。その原因がオブリビオンの仕業であることに彼らは気づかぬまま、言い合いや喧嘩、さらに地味な復讐を始めてしまうのであった。



 グリモアベースに猟兵を呼び出したネルウェザ・イェルドットの片手には、ぷるぷると柔らかに揺れるプリンが一つ。
「やぁ、来てくれて有難う……ああ、これかい? あげないよ、私のだもの」
 ネルウェザはそう言って、猟兵の目の前でプリンを一口で平らげてしまう。そして空になった皿を見せびらかすように掲げながら、彼女はけらけら笑って話し出した。
「……さて、今回の任務はこうやってプリンが食われる前に、オブリビオンを倒すことだ」

 冗談めいた口調でネルウェザが語るのは、彼女が予知した事件について。
 ヒーローズアースのニューヨーク、その住宅街の冷蔵庫から『プリン』が消えるという話だ。何ともささやかで子供の悪戯のようなこの事件だが、オブリビオンが関わっている以上それを止めないわけにはいかない。
「楽しみにしていた甘いものが知らないうちに消えてしまうなんてかなり嫌だろう? 放っておけば人々の心は荒み、事件の首謀者の思い通りになってしまうかもしれない」
 そこまで言うと、ネルウェザはああ、と手を叩く。
「すまない。話の順序が逆だったね。この事件を引き起こすオブリビオン達は、かつてダストブロンクスを恐怖で支配した肥溜めの王『スカムキング』の命令で動いている。『プリンを盗め』なんて命令も、そいつの侵略作戦のひとつなんだよ」
 だからこそ猟兵に力を貸してほしい、とネルウェザは続ける。

 彼女が言うには、冷蔵庫からプリンを盗む者達は皆メイド服姿でニューヨークの家庭に潜入しているらしい。時に堂々と家政婦を演じ、時に忍者のように身を隠しながら様々な手でプリンを盗んでいく。それを阻止しつつ、撃退することが彼女の依頼なのだ。

「これから転送するのは、おやつのプリンを楽しみにしている子供が多く暮らしているマンション。オブリビオン達にとっては恰好の的になるだろうから、そこを迎撃してほしい」
 そしてネルウェザはグリモアを浮かべ、猟兵達に向き直る。
「それでは、健闘を祈るよ」
 ネルウェザは真剣な顔で――口元にプリンを小さくつけているのに気づいていない様子で、猟兵達を見送るのだった。



 マンションの一室、まだ子供達が帰ってきていないしんとした部屋。
 部屋の主の留守中に、メイドがせっせと家事をこなしていた。てきぱきと仕事を終えた彼女は突然台所へ向かうと、周囲に人がいないことを確認して冷蔵庫を開ける。
 そこには、ぷるんとした黄色のスイーツ――プリンが鎮座していた。


みかろっと
 こんにちは、みかろっとと申します。今回はヒーローズアースにて、プリンを守りオブリビオンを退治するシナリオです。
 こちらはアースクライシス2019の戦争シナリオで、一章での完結となります。プレイングは頂いた順にどんどんリプレイをお返しする予定です。
 皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
42




第1章 集団戦 『万能派遣ヴィラン隊』

POW   :    これより業務に移ります
【民衆もしくは敵に対して一礼と共に宣言する】事で【機能性を重視した業務用メイド服】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    業務の邪魔は許しません
【超高速移動からの目にも留まらぬ打撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    あらゆるニーズにお答えします
技能名「【全技能】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴木・志乃
私がプリンを食べたいんだけども
どーも、ヒーローのブラックです。戦闘は苦手です

事前準備できるんだったら冷蔵庫に罠仕掛けるんだけどねえ
プリンに接着剤つけるなり、踏んだら転ぶトラップ置いとくなりプリンとゼリーすり替えたり【罠使い】

UC発動
はーい罠引っ掛かったら即乾燥剤と大量のコショウを念動力で操り敵の喉目掛けてシュート
とにかく宣誓させたら負けだから猛攻仕掛けますよ

第六感で行動を見切り光の鎖と魔改造ピコハンで早業武器受けからのカウンターなぎ払い
オーラ防御常時発動
武器には毒塗っときます
触ったら危ないから私は念動力基本は操作!

必要なら油ぶちまけて転ばせる
ごめんあとで掃除するから!!!



 メイドは冷蔵庫の中、目的の皿へと手を伸ばす。
「……ん?」
 擬態は完璧、あとはプリンを手に取り食べるだけ――しかし、メイドはその行動を取ることができない。皿はしっかりと冷蔵庫に接着されており、一ミリたりとも動かすことが出来なくなっていたのだ。
「小癪な……」
 メイドは冷蔵庫に顔を近づけ、そのまま齧ってしまおうと口を開ける。重心を前方へと移した瞬間、彼女の身体はズドン! と大きな音を立てて床に転がった。よく見れば冷蔵庫の手前には何か罠のようなものが仕掛けられており、メイドはそれに気づいた瞬間警戒して辺りを見回す。
「どーも、ヒーローのブラックです」
 ”配信者”を演じる猟兵の声。メイドの死角から飛び出したのは、鈴木・志乃の姿だった。立ち上がろうとするメイドに狙いを定め、彼女はユーベルコードを発動しふわりと手を広げる。
「あたしは光そのもの。全ての生命の為に生まれてきた」
 志乃の手の先に浮かぶ大量の乾燥剤と粉胡椒は、一点に収束しメイドの喉目がけて襲い掛かる。そんなものを突然口に入れられたメイドは案の定激しく咳込み、そして目の前の志乃を睨みつけた。
「これより業務、に――ごほっ、移っ、げほげほっ」
 メイドは戦闘態勢に入ろうとするが、ユーベルコードを発動することもできずにただ立ち上がる。とにかく攻撃をと彼女が取り出したのは、鋭い銀のナイフだった。無駄のない素早い動きでひゅんひゅんとナイフを振り回し、志乃に切りかかっていく。
 ――が、志乃はそれを完全に見切った動きで躱し反撃した。
 メイドの背後に志乃が手を向ければ、念動力で操られた玩具のようなピコピコハンマーが瞬時に現れる。
「ぐッ……!!」
 ぴこっ、という可愛らしい音に反し、メイドの細い体にはまるで自動車に轢かれたような衝撃が叩き込まれた。更にハンマーに塗りたくられた毒がその身を蝕み、肉体に深いダメージを与えていく。
 続けて志乃の手元から淡く光る鎖が飛び出すと、メイドの右腕は大きく後ろへと吹き飛んだ。
「貴様ァァ!!」
 メイドは声を荒げて志乃へ飛び掛かる。
 しかし彼女が一歩踏み出した瞬間、その足はつるんと滑って間抜けに転がった。床にはいつの間にか、たっぷりの油が広がっていたのだ。
 志乃は瞬時に念動力で鎖を操りメイドを縛り上げ、ふうとため息をつく。

 そして、プリンを守り切った彼女の背後でバタンと戸の閉まる音がした。
「えっと……これは、何が……?」
 呆然として立っていたのは、おそらくこの部屋の住人であろう女性。
 志乃ははっとしてすぐに女性に簡単な説明をはじめ、そして台所の状況については素直に謝罪する。
「ごめんあとで掃除するから!!!」
 しかし同時に女性の後ろからひょこりと子供が顔を出すと、話を聞いていたのか笑顔で志乃に一礼した。
「……お姉ちゃん、僕のプリン守ってくれてありがとう!」
 志乃は笑って子供と目を合わせる。女性もぺこりと一礼して、床の事は気にしないでと志乃に微笑むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラスティベル・グラスラン
ええと……随分、かわいらしい侵略作戦ですねっ
プリンを盗む前には普通に働いていたり…
あのぅ、メイドさんすみません
一応ですけれど、プリンを諦めてもらえませんか?

交渉決裂の瞬間に【蜜ぷに召喚!】!
わたしの宿敵、アルダワ迷宮の災魔『蜜ぷに』を大量召喚して突撃させます!
ぷにぷにの彼らでお部屋を埋め尽くし、戦闘による被害(特に冷蔵庫を)を抑え
スピードを活かさせないようぎゅうぎゅうにします!

動きづらくなったところをわたしも突撃!
【怪力】で取り押さえ、ぼっこんぼっこん殴ります
プリンの無事を確認して…おまけに持参したわたしのプリンも冷蔵庫に置き土産
やりましたね『蜜ぷに』さんっ!我ら甘味同盟の勝利です!



 マンションの一室。こちらもまた、部屋の主の留守中にプリンを狙おうとするメイドが潜んでいた。
 駆けつけたソラスティベル・グラスランは冷蔵庫に近づくメイドに向かって、にっこり微笑んで声を掛ける。
「ええと……随分、かわいらしい侵略作戦ですねっ。プリンを盗む前には普通に働いていたり……」
 無反応のメイド。ソラスティベルは笑顔を崩さぬまま、さらに言葉を続けた。
「あのぅ、メイドさんすみません……一応ですけれど、プリンを諦めてもらえませんか?」
 詰め寄るソラスティベルにメイドは表情を変えず、静かに冷淡な視線を向ける。
「……私はあのお方の命令に従うのみ。他の者の指図など受けません」
 そう言ってソラスティベルから目線を外し淡々と冷蔵庫を開けるメイド。どうやら彼女に、猟兵の話を聞く気は一切ないらしい。

 ――交渉決裂。
 彼女がその中に手を入れる前に、ソラスティベルはユーベルコードを発動した。
「皆さんいきましょうッ!」
 その瞬間、アルダワ迷宮の災魔――『蜜ぷに』が台所いっぱいに出現する。
「勇気ト根性デ無敵プニ!」
「確実ニ、仕留メル、プニ」
「「最後ニ勝ツノハ、勇気アル者プニ――ッ!!!」」
 蜜ぷに達は一気に部屋を埋め尽くし、そのぷにぷにの身体で家具――特に冷蔵庫に密集して――を覆った。メイドは体勢を整えようとするが、広がる蜜ぷにの身体に足を取られ動きを鈍らせる。
「――これより業務に移ります」
 メイドはユーベルコードを発動してそう宣うと、纏う衣装を僅かに変化させる。

 彼女は瞬時に動き出しソラスティベルに襲い掛かろうとする――のだが、同時に召喚された蜜ぷに達がその体積を増してメイドを抑え込んだ。
「このッ……!!」
 絡みつくぷにぷにを振りほどこうとするメイド。ようやっと体が蜜ぷにを突き抜けた瞬間、その腕はがしっ、と何かに掴まれた。
 メイドが目を見開いて腕を見れば、そこにはソラスティベルの姿。
 色白の細腕からは考えられない怪力で、ソラスティベルはメイドに拳を叩き込んだ。
「ぐぶッ!!」
 ソラスティベルは容赦なくメイドの身体を殴りつける。ぼこぼこにされたメイドは気を失い、そしてぴくりとも動かなくなってしまった。

 ソラスティベルは完全に戦闘不能となったメイドを床に下ろし、冷蔵庫の中身を確認する。そこには確かに、つやつやぷるぷるのプリンが存在していた。
「やりましたね『蜜ぷに』さんっ! 我ら甘味同盟の勝利です!」
 部屋を埋め尽くす蜜ぷに達と笑いながら、彼女は冷蔵庫の空いているスペースに自分が持参したプリンを追加で並べていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィオリナ・ソルレスティア
【WIZ】(共闘・アドリブ可)
「ちょっと予想の斜め上をいく暴虐指令ね」
放置する訳にもいかないので万能派遣ヴィラン隊を討滅する
■作戦
宅配業者を装いながらマンションの一室に踏み込みオブリビオンを殲滅
■行動
「ハロー、お届け物です」
と言いながら玄関の電子錠を[ハッキング]で開錠して難なく侵入
手にした段ボールを脇にどけてリビングへ
「随分と手癖の悪いメイドね」
プリンを手にしたメイドに[先制攻撃]で【フィンブルの冬】を発動
部屋ごとホワイトアウトさせて動きと封じつつダメージを与える
氷結耐性で耐えたとしても[高速詠唱]からの【アイオロスの刃】で切り刻む
「ええと、プリンは冷蔵庫に戻せばいいのよね」
凍ったのは秘密



「ちょっと予想の斜め上をいく暴虐指令ね」
 ――プリンを盗め。一見侵略行為とは何ら関係の無さそうなスカムキングの命令だが、だからといってそれを放置するわけにはいかない。
 フィオリナ・ソルレスティアはマンションのロビーへと辿り着くと、ダンボールやそれらしい制服などで宅配業者の格好をして近くの部屋のインターホンを鳴らした。

「ハロー、お届け物です」
 返事はない。だが扉の向こうに人の気配と物音があるのに気づくと、フィオリナは扉のロックを軽くハッキングして難無く部屋へと踏み入っていく。
 フィオリナは変装用に持っていたダンボールを部屋の隅に置いてリビングへつかつか歩いていった。警戒しつつ人の気配がする方へ慎重に歩いていけば、奥のキッチンで冷淡な顔をして冷蔵庫に触れるメイドの姿を発見する。

「随分と手癖の悪いメイドね」
 フィオリナは小さく呟きながら目を細める。メイドがプリンを手にする直前、それを阻止するべくフィオリナはユーベルコードを発動した。
「氷の檻に閉じ込めてあげる。氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!」
 驚き反応する暇もなく、メイドの視界は真っ白に染まる。途端に部屋は途轍もない冷気に包まれ、メイドは思わず身を縮こまらせた。
「な、何……何が起きている!?」
 わけも分からずその場に蹲るメイド。凍てつくような竜巻を上げながら白銀のドレスに身を包んだフィオリナは、さらにユーベルコード『アイオロスの刃』で追撃する。
「バラバラにしてあげるわ。切り裂け、風神の刃よ!」
「ひッ、嫌ぁあああッ!!!」
 凍り付くメイドは悲鳴をあげながらいとも容易く真空の刃に切り刻まれ、跡形もなく消えてしまった。

 フィオリナが力を解き部屋を元に戻せば、そこにはまだ無事のプリンだけが皿ごと床に置かれていた。
「ええと、プリンは冷蔵庫に戻せばいいのよね」
 フィオリナはそっと冷蔵庫へプリンを戻す。見れば、先程まで冷気に晒されていたそれに既にぷるぷるとした弾力はなかった。
 最早これはプリンと言うよりカスタードアイスと言った方が正しいのだろうが――帰ってくる子供には、秘密である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルセティ・ソルレスティア
【SPD】(共闘/アドリブ可)
「こっちの赤い扉にしようかな」
プリンを盗むなんてひどいよね。ボクもプリン大好きだよ
【行動】()内は技能
マンションの上層階に移動して子供がいそうな部屋へ
「新聞の集金だよー」
と言いつつクラロ・デ・ルーナでドアを吹き飛ばして入るよ
万能派遣ヴィラン隊を発見したら大声で叫ぶよ
「曲者だー、であえであえ」
技能レベルを強化されると厄介なのでWIZ型は封印して、
(先制攻撃)でクラロ・デ・ルーナだね。高速移動される前に吹っ飛ばしちゃうよ
メイドさんの態勢が崩れたら間髪入れずにイスベル・ウラーノを叩きつけるんだ
「よかった、プリンは無事だね」
部屋の惨状はともかく、プリンを冷蔵庫戻しておくよ



 フォルセティ・ソルレスティアはマンションの上層部、子供の三輪車などの遊具が廊下に置かれているフロアを訪れた。今は賑やかな声こそ聞こえないが、このフロアの部屋に子供が暮らしているのは間違いないだろう。
「こっちの赤い扉にしようかな」
 フォルセティはそう言って扉の前に立つ。彼はすっとユーベルコードを発動する構えを見せながら、にっこり笑って扉の向こうへ声を掛けた。
「新聞の集金だよー」
 ズガゴン! と、派手な光に衝撃音。
 放たれたクラロ・デ・ルーナはドアを吹き飛ばし、フォルセティの進路を拓いた。フォルセティがボロボロ――にしたのは彼だが――の玄関を進んで行くと、綺麗に整えられたリビングが視界に入る。しんとした部屋を見回すと、そこには呆然としてフォルセティと玄関を交互に見るメイドの姿があった。
 そして彼女の手の先、開かれた冷蔵庫の中には――黄色いスイーツの乗った皿。

「曲者だー、であえであえ」
 プリンを盗もうとしているメイドを見つけるや否や大声で叫び、フォルセティは箒を構える。一方メイドは真剣な顔で姿勢を変え、彼に飛び掛かろうとタイミングを狙っていた。
「――業務の邪魔は許しません」
 たんっとメイドが動いた――瞬間。
「放て」
 フォルセティは素早くクラロ・デ・ルーナで先制をとる。
 玄関を破壊した時と同じ光と音が閃くと、双方が高速の攻撃を放ったことで凄まじい衝撃が部屋に広がった。
「ぐぅッ!!」
 メイドはフォルセティに触れることなく床に叩き付けられる。大きな隙の生まれた敵へ、間髪入れずフォルセティが追撃した。

 彼の聖箒は部屋のベランダ――良く晴れた空へと高く掲げられる。
「星霜纏いし冷厳の天王。黄天より招くは無窮の霊氷」
 その詠唱の直後、ベランダの窓は巨大な何かによって突き破られた。
 メイドが大きな音に振り向けば、迫っていたのは部屋を埋め尽くすような氷塊――フォルセティのユーベルコード、『イスベル・ウラーノ』。
 そして断末魔を上げる間もなく、メイドはあっさりと圧し潰されていくのだった。

 フォルセティは台所へと駆け寄りプリンが無傷で残っているのを確認すると、そっと冷蔵庫の扉を閉める。
「よかった、プリンは無事だね」
 ほっと安堵するフォルセティ。部屋はだいぶ滅茶苦茶になってしまったが、プリンと世界の平和を守れたことを考えれば必要な犠牲――だったのかも、しれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

亜儀流野・珠
俺の好物だ。うまいよなプリン!
子供が楽しみにするのも分かるぞ!
……だがそれを奪う、と。
笑顔は消えるだろう。消えない傷を残すだろう。
ああ、大罪だ!急ぎ止めるぞ!

一室一室訪ねて調査だ。
メイド以外が出たならメイドが居るか、どこかで見たか聞こう。
メイドが出たならメモを取り出し尋問だ。
事件のこと、何か知らないか?
お前はここのメイドか?
というかもう倒していいか?オブリビオンなら見ればわかるしな!

戦闘は室内だし手早くだ!
手に持っていたメモの文字から鎖を作り出し縛り上げる不意打ちだ!奥義「綴り結い」。便利なもんだろう!
で、木槌「砕」で殴っておこう。縛り損ねても殴る。ただ殴る。
容赦は無い。何度でも言う大罪だ!



「うまいよなプリン! 子供が楽しみにするのも分かるぞ!」
 猟兵は狙われているスイーツの姿を思い浮かべてそう言いながら、マンションの中へと入っていく。そしてこの建物のどこかに潜むオブリビオンに向かって、宣戦布告するように言葉を放った。
「……だがそれを奪う、と。笑顔は消えるだろう。消えない傷を残すだろう。ああ、大罪だ! 急ぎ止めるぞ!」
 マンションの中を巡りながら、亜儀流野・珠は一つ一つ部屋を確認していく。
 インターホンを鳴らして中の住人を呼び出すと、彼女は早速メイドの居る部屋を探すべく聞き込み調査を始めた。
「うーん、知らないです」
「メイドさんねぇ……確か上の階にいたような」
「隣のお宅が雇っていたかしら……もうひとつ隣?」
 曖昧でも確かな住人の発言をメモに纏め、珠はフロアの一室へと辿り着く。彼女がそのインターホンを鳴らせば、ドアの向こうからはいかにも『メイド』といった風貌の女性が出てくるのだった。
「お前はここのメイドか?」
「はい。そしてこちらの家主様は只今留守でございます」
 首を傾げるメイドに、珠はメモを片手に問い詰めていく。
「事件のこと、何か知らないか? 最近子供のおやつを盗む酷い奴がいるとウワサなんだが……」
「さあ……存じ上げませんね」
 メイドは表情を動かさない。だが、彼女が明らかに部屋の中を気にしているのはすぐに分かった。珠はメイドの瞳をじっと見つめつつ、ちらりと部屋の中を覗く。

 ――そこには、ぷるんと輝くプリンがスプーンと共にテーブルの上に置かれているのが見えた。
「……あのプリンは?」
 その言葉に、メイドははっとして後ろを振り向く。そして急いでプリンの方へ駆け出した瞬間、珠はユーベルコードを発動した。
「万の言の葉に縛られろ!」
 放たれた『綴り結い』は素早くメイドを拘束する。外見や雰囲気、行動からオブリビオンであることを確信した珠は、木槌『砕』を取り出すと容赦なくメイドへと殴りかかった。
「何度でも言う――大罪だ!」
 珠が殴打を続ければ、メイドはきゅうと気絶して動かなくなる。
 そしてテーブルの上のプリンを冷蔵庫に戻すと、珠はメイドを外へと引き摺っていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

スカル・ソロモン
マンションか、手分けをした方が良さそうだ。私は家政婦として堂々と来る敵メイドに標的を定めて待ち構える。
敵メイドが来る前にユーベルコードを使って偽物のプリンを作り、一階のエレベーターホールに置いておく。
私は物陰から様子を窺おう。
上手く敵が偽プリンに引っかかったら戦闘開始だ。
「食べるのは良いがね。それ、中身が茶碗蒸しなんだ」

敵の攻撃に対しては再び偽プリンを大量に作り出し、一気に投げつけよう。そして敵がそれらの真贋を判別する一瞬の隙を突いて攻撃だ。もし敵が判別せず全て偽物として破壊しようとしたら、
「いいのか? 一つくらいは、本物があるかもしれないのに」
そう言って揺さぶろう。なに、嘘はついていないさ。



 マンションに潜むオブリビオン達。だが、メイドとして擬態しているのであれば外出することがあったり、そもそも住み込みでなかったりする者もいるだろう。スカル・ソロモンはマンションの中ではなく、『外から来るメイド』に狙いを定めていた。
「理念、骨子、材質、技術、経験、年月――その全てを再現する」
 彼はユーベルコードを使用し、メイド達が盗もうとしているスイーツ――にそっくりな物体を作りだす。
 そしてスカルは一階のエレベーターホールへと歩いていく。無人の管理人室の前、備えられた小さな台へと皿を置くと、スカルは近くのロッカーの影に身を潜めた。

 様々な住人がホールを通りすがる。仕事へ向かう会社員、買い物帰りの主婦――そして、エプロンドレスに身を包んだメイド。
 スカルが見つめる中、メイドは管理人室前のプリンに気が付き首を傾げて近づく。
「……一応、これも処理しておきますか……」
 メイドは少し不審に思いつつも、そのプリンに手を付けた。親切に添えられたスプーンですくい、一口頬張る。
「――!!!」
 メイドは混乱する。皿の上の姿からは想像もつかないような食感、味、そして中に紛れるエビや銀杏。
 驚きつつもごくりと飲み込むメイドの背後、潜んでいたスカルが立ち上がって声をかけた。
「食べるのは良いがね。それ、中身が茶碗蒸しなんだ」

 メイドは咄嗟に振り向く。
「よくも……騙しましたね……業務の邪魔は許しません……!!」
 スプーンを片手に持ったまま、メイドは目にも留まらぬ速さで拳を構えスカルの方へ駆ける。その瞬間スカルは更にユーベルコードを発動し、メイドを大量の偽プリンで迎え撃った。
 視界を埋め尽くすぷるぷるに、メイドは思わず跳び退がる。そして、彼女は鬱陶しそうに小さなスプーンで偽プリンを薙ぎ払おうと腕を振りかぶった。
「いいのか? 一つくらいは、本物があるかもしれないのに」
 スカルの言葉にメイドの体が固まる。この中に本物があるのなら、それも盗まなければならないのだろう。
 動揺を見せたメイドに、スカルは容赦なく杖を叩き込む。打撃が鳩尾にクリティカルヒットした瞬間、メイドは肺の中の空気を残らず吐き出して吹き飛ばされた。

 そしてスカルは倒れ込むメイドを見下ろしながら、ひとつのプリンを手に取る。
 周囲に撒き散らされたプリンもどきとは違って、彼の手元にあるそれはぷるぷるつやつやとした姿、そしてまろやかな甘い香りを漂わせていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鍋島・小百合子
WIZ重視

主のおらぬ間に食べ物を略奪せんとは忘恩にも程がある行いじゃ

「ローズ殿…この力を使わせてもらうぞ!」
UC「戦場迷宮陣」発動
まんしょんという戦場全体に薔薇の迷宮を作り出して敵冥土が逃げられないようにし、事前に購入したぷりんを迷宮の出口に配置し敵冥土を焚きつける
「安物のぷりんで満足するとはやはり盗人は卑しいものよ!希少なぷりんの味も知らぬとは不幸この上ないのう!」
うまく誘導できたら迷宮の出口にて潜伏し敵冥土を迎撃
迷宮内の罠を活用しつつ薙刀による一撃を叩き込む(なぎ払い、範囲攻撃、鎧砕き、咄嗟の一撃併用)
敵の攻撃には残像を用いた回避か懐の小太刀での武器受けで防御

他の猟兵との連携・アドリブ可



 奉仕する者でありながら、主の留守を狙い食べ物を盗む。そんな忘恩にも程がある行為に、鍋島・小百合子は憤った様子で顔を顰める。
 そして、そんなメイドを追い込み撃退する為、小百合子はとある少女から贈られた力――ユーベルコード『戦場迷宮陣』を発動した。
「ローズ殿……この力を使わせてもらうぞ!」
 マンション向かって力を振るえば、辺り一面が植物で覆われていく。
「我が声に従い、戦場を纏う迷宮の罠よ、現れよ!」
 美しい花々で誘い、鋭い棘で行く手を阻む薔薇の迷宮。そしてマンションの出入り口、小百合子は自身が事前に購入し用意していたプリンを目立つように置いて身を潜め、大声を上げる。
「おお、こんな所にぷりんが! 誰が置いたのかのう?」
 迷宮に小百合子の声が反響する。その瞬間、マンションの上階からカンカンカンと足音が響きだした。
 音の主は――案の定、プリンを狙うメイド。
 彼女は迷宮のトラップに掛かったのか、既に肌や衣装に傷を負っているようだ。だがそれでもメイドは全速力で、これ見よがしに堂々と揺れる黄色のスイーツに狙いを定め駆ける。

 小百合子は物陰から飛び出し、姿を現したメイドに向かって薙刀を振るった。
「――ッ!」
「安物のぷりんで満足するとはやはり盗人は卑しいものよ! 希少なぷりんの味も知らぬとは不幸この上ないのう!」
 メイドはすかさず身を丸めそれを受け止める。懐からナイフを取り出し投げ放つが、命中を確信した瞬間小百合子の姿――残像は霞んで消え去った。
 舌打ちをして猟兵の姿を探そうとするメイド。その死角、小百合子は薔薇の影から薙刀の一撃を叩き込む。
 身体強化か元からの丈夫さか、彼女は切断されることなく刃を受け止めながら迷宮の壁へと吹き飛ばされていった。
 ――ぐさり、とメイドの胸を鋭い矢、迷宮のトラップが貫く。
「ぐっ、ぁあああッ!!!!」
 メイドの顔は歪み、途端に脂汗を噴いた。痛みに震える手で銀のナイフを構えようとするが――もう既に遅い。
 小百合子は間合いを詰め、再び薙刀を振る。その一撃は先ほどの奇襲とは違い、鎧をも砕く重みを纏っていた。

 メイドは身体を横一線に切り裂かれ、劈く様な悲鳴を上げて動かなくなる。
 静かになったマンションの入り口。薔薇の迷宮を解きながら、小百合子は囮にしていたプリンを拾い上げふうと息をついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネメシス・インフィニー
【心境】
「プリンはストロー派。異論は認めない。」



【行動】

アリスラビリンスにいたプリンのゆかいな仲間たちがいれば楽だったかもしれないねー。
『存在感』を消して、部屋の一室に隠れて犯行の瞬間を狙って『グラップル』+『マヒ攻撃』うさ~。
ホールドアップ。猟兵だーー。

ユーベルコード:ウサギの腕は世界を狩るを発動うさ。
その悪い腕いただきうさ~。
盗みをする悪い腕は冥土に不要うさ~。

防御はオーラ防御発動だよー。
「メイドは冥土におかえりー。」

【その他】
他猟兵との絡みやアドリブはOK



「プリンはストロー派。異論は認めない」
 ネメシス・インフィニーはそんな持論をぽそり呟きながらマンションの一室へと入っていった。中は静かで人の気配はほとんどない。
 見えるのは家事をこなすメイドの姿のみだ。

 ネメシスは存在感を消し、こそこそと部屋の奥へと隠れていく。メイドは一瞬物音に首を傾げたが、そのまま台所へと向かっていった。
 メイドは真っ直ぐ冷蔵庫を目指し、そして目的のプリンへと手を伸ばそうとする。
 犯行の瞬間をしっかりと目撃したネメシスはばっと飛び出し、そしてメイドに素早く飛びついた。
「んなッ!?」
「ホールドアップ。猟兵だ――」
 ネメシスはふわふわの腕で組み付く。メイドは驚きつつも慌ててネメシスを振りほどこうとするが、その体は痺れ思うように動かない。
「その悪い腕いただきうさ~。盗みをする悪い腕は冥土に不要うさ~」
 そんなのんびりとした物騒な言葉の直後、ネメシスのユーベルコードが発動する。
「おいらの必殺うけてみるさ」
 メイドが状況を理解する前に、ネメシスの右手はひゅんと振り抜かれた。
「――え?」

 可愛らしいウサギの姿からは想像もつかないような手刀が、今まさにプリンの方へ伸ばされていたメイドの腕をすっぱりと切断した。ぼたり、と床に落ちた自分の腕を二度見して、メイドはみるみる顔を青ざめさせる。
「こ、いつッ!!!!!」
 メイドは冷や汗を垂らしながら、健在するもう片腕でナイフを振るう。だが、麻痺によって鈍る攻撃がネメシスに命中することはなかった。
 ピンクの身体はふわりとメイドの身体を離れ、そして再び右手が振り上げられる。
「メイドは冥土におかえりー」
 すぱっ、と。
 ネメシスの手刀が命中し、メイドの頭が真下へと落下する。呆然とした顔が床に転がり、そして声を上げる間もなく絶命してしまった。

 ネメシスはぽふっと着地すると、プリンの無事を確認する。
「……スプーンかー」
 そこには無傷でぷるんと輝く甘味。しかし皿に添えられている食器に少し残念そうな目を向けながら、ネメシスはそっと冷蔵庫を閉めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アララギ・イチイ
プリンを盗めない様にすればいいのねぇ
……よし、この手段で行きましょうかぁ

【選択UC】使用よぉ
【捨て身の一撃】の全力で生命力をプリン1点に注いでプリンを疑似生命体に変換、このUCは注ぎ込んだ生命力に応じて戦闘能力、飛行能力を獲得するわぁ
というわけで、プリンを盗みに来たらプリン本体に戦ってもらうわぁ(たぶん体当たりやドリル状に変化してプリンドリルアタックなんて技を使うと予想

ただ、プリン単独では厳しいでしょうから、戦闘人形のフギン(ランスによる【串刺し】攻撃)・ムニン(バルカンを打撃武器の様に扱い【なぎ払い】攻撃)に援護させておきましょうかぁ
私は生命力すっからかん、だろうから空き部屋で休んでいるわぁ



 アララギ・イチイは誰もいない部屋の台所で、ひとり冷蔵庫を開く。ひんやりとした箱の中、皿に乗るプリンの姿を確認するとアララギはユーベルコード『変換術・百鬼夜行群』を発動した。
 プリンはアララギの生命力を注ぎ込まれ、そしてぷるんとひとりでに揺れる。冷蔵庫の中でぽよんぽよんと元気に跳ねるプリンを一旦鎮め、アララギは扉を閉め立ち去って行った。

 しばらくして、メイドが買い物袋を抱え部屋へ戻ってくる。彼女はそれをリビングに置いて息をつくと、台所へと足を運んだ。
「これより業務に移ります」
 勿論、狙うのはよく冷えたプリン。メイドは冷淡な瞳で冷蔵庫に触れると、躊躇なくその扉を開け放った。
 ――と同時。
 冷気が流れ出るとともに、ぷるぷるした何かがメイドに向かって飛び出す。
「うわぁっ!!?」
 それは間違いなく、冷蔵庫に保管されていたおやつのプリンであった。素早く身を躱したメイドの視線の先、それは生き物のように跳ねまわり、メイドに狙いを定めてぎゅるぎゅると身を回転させ始める。
「な、何です……!?」
 プリンは高速で回転しながら、尖らせた身で突進――名づけるならプリンドリルアタックだろうか――し、メイドの頬を掠める。
 メイドは食器棚から一本のスプーンを取り立ち向かう。動いていようとプリンはプリン。食べてしまえばこちらのもの――。
 だが、彼女の背後。プリンに気を取られていたメイドの死角から、二体の戦闘人形『フギン』と『ムニン』が現れる。
 プリンがギュンと突進するのに合わせ、人形ムニンのバルカン砲が打撃を叩き込んだ。メイドはそれに気づいて防御しようとするが、前後二方向からの攻撃を同時に防ぎきることができない。
「うぐッ!!!」
 集中攻撃を喰らったメイドはその場に倒れ込んだ。そしてすかさず槍を持った人形フギンが跳び上がる。
 フギンが容赦なくその刃先で貫けば、メイドはぶるりと一瞬体を震わせて動かなくなってしまった。

 そして、隣の空き部屋。生命力を空にしたアララギは静かな部屋で体を休めていた。
 フギンとムニンが彼女の元へと帰還すると、人形の後ろにはぽよぽよ跳ねるプリンがくっついてきているのが見える。
 アララギはプリンを拾い上げ、ユーベルコードを解いてごく普通のスイーツへと戻す。そしてプリンを皿へ戻し、元あった部屋の冷蔵庫の中へと仕舞うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・ユメノアール
子供のささやかな幸せを奪うなんて許せない!
みんなの笑顔を守るため、プリン泥棒をやっつけるよ!

そこまでだよ!
プリンを盗もうとした敵メイドに『トリックスターを投擲』し牽制、プリンを堅守!
おやつの恨みは恐ろしいって事を教えてあげる!
『クイックドロウ』で素早く手札を揃え、戦闘を開始
キミをお菓子な世界にご招待!カモン!【SPショコラビット】!

ショコラビットに『動物使い』でお菓子を投げての援護をお願い
ボクは接近して『トリックスター』で攻撃を仕掛ける!
とっておきの手品を見せてあげるよ!
手に持った『ハートロッド』を白鳩の姿に戻し、敵の顔の周りを飛び回らせ視界を塞いだ隙に『カウンター』の一撃を繰り出す



「子供のささやかな幸せを奪うなんて許せない!」
 フェルト・ユメノアールはマンションの一室、メイドが冷蔵庫に触れるその瞬間にばばんと駆けつける。
「そこまでだよ!」
 そう叫ぶも、メイドは全く表情を変えないまま冷蔵庫の中へと手を伸ばす。
 プリンが奪われれば、子供達の笑顔も消えてしまう。フェルトはメイドに向かってダガー『トリックスター』を投げつけ、プリンに触れさせまいと牽制した。
「ちッ!!」
 メイドは冷蔵庫から離れダガーを躱す。その隙にフェルトは素早くカードを揃えると、ユーベルコードを発動した。
「キミをお菓子な世界にご招待! カモン! 【SPショコラビット】!」
 フェルトの詠唱とともに現れたのは、小さく可愛らしい兎『ショコラビット』の姿。ショコラビットはぽぽんとお菓子を作りだし、次々にメイドの方へ投げ放っていく。
「おやつの恨みは恐ろしいって事を教えてあげる!」
 甘い香りが辺りを包む中、フェルトもトリックスターを手にして瞬時にメイドとの間合いを詰めていった。

 素早い斬撃。ショコラビットのお菓子で思うように動けないメイドは反撃をと銀のナイフを取り出す。
 キン、と金属音が響き火花が散る。双方の刃は高く弾かれ、フェルトはダガーを一度下げ『ハートロッド』を手に取った。
「とっておきの手品を見せてあげるよ!」
 ハートロッドは瞬時に白鳩へと姿を変える。鳩がばさばさばさっと翼を羽搏かせ飛び掛かると、メイドは思わず目を瞑り後退った。
 その隙を突き、フェルトはメイドの懐に潜り込む。

 至近距離からの一撃。白く細い首――無防備な急所を確実に貫けば、フェルトのトリックスターは一瞬のうちにメイドの息の根を止めた。

 静かになった台所。見れば、プリンは無事に冷蔵庫の中で鎮座している。フェルトはにっこり笑ってショコラビットが作ったお菓子をプリンの横に少し添えると、ぱたんと冷蔵庫を閉めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
いや、子供のおやつ盗むなんて立派な罪だろ!?

空き部屋を借り、冷蔵庫の中に【料理】の腕前を活かして作ったプリンをたくさん用意してメイドが盗みにくるのを待ち構える。
そしてメイドが罪もないプリンに手をかけようとしたら物陰から飛び出して戦闘開始。
奴のスピードを【見切り】、こっちに攻撃を仕掛ける瞬間を見計らって【カウンター】で【料理の鉄刃】を【二回攻撃】で繰り出しX字に切り裂く。

戦闘が終わったら、お騒がせしたお詫びに隣の部屋の家族と子供達に作ったプリンを持っていく。
「ちょっと作り過ぎちゃったからさ。よかったら食べてくれよな」



 ウィーリィ・チゥシャンは人の住んでいない部屋を借りて潜入する。最低限の家具だけが揃う殺風景な一室で、彼は自らプリンを製作し始めた。

 台所にはふんわりと甘い湯気が立ち、換気に開けた窓からは外を通る子供が何だ何だと覗きこんでくるのが見える。彼等が親に連れられ去っていく頃、ウィーリィは鍋の火を止め小さなカップへと注いでいった。
 丁寧に小分けされたプリンは冷蔵庫へと入れられ、冷やし固められていく。
 大量のプリンが詰められたその部屋へ、コンコン、とノックが響いた。
「御免くださいませ――」
 ウィーリィは返事をせず物陰へ隠れて気配を消す。そして玄関のドアがガチャリと開くと、一人のメイドが慎重に一歩一歩と入ってきた。
「留守、でしょうか?」
 ひたひたと足音が響く。彼女が向かうは、甘い香りの漂うキッチン――の、冷蔵庫。
 先程まで窓からプリンの湯気を流していたからか、メイドは冷蔵庫の中にプリンがあると確信していたようだ。
 メイドが冷蔵庫を開けば、そこにはウィーリィお手製のプリンがずらり。
「……これより業務に移ります。こんなものを野放しにしていてはスカムキング様の計画に支障が出ますからね」
 そう呟き、メイドの手が出来立てのプリンへと伸びる。その瞬間、隠れていたウィーリィが勢いよく飛び出しメイドに向かっていった。
「待ち伏せですか……ッ!」
 メイドは素早く体勢を整え戦闘の構えを見せる。ウィーリィが包丁を振るい不意を突こうとするが、その刃はひゅんと空を切った。
「これは私達の仕事なのです。邪魔をしないで頂けません?」
「いや、子供のおやつ盗むなんて立派な罪だろ!?」
 ウィーリィの言葉に、メイドは鬱陶しそうに目を細める。そしてメイドはナイフを取り出し、踏み出した。
 一瞬で間合いを詰め、斬りかかる。
 しかしウィーリィはそれを見切り、ひらりと躱してユーベルコードを発動した。
「研ぎ澄まされた刃と技に、料理出来ないものはない!」
 ――一撃、二撃と素早く振り抜かれた大包丁。
 メイドがすぐさまナイフの斬撃を繰り出そうとしたその時、彼女は一瞬遅れて深い悪寒を感じぶるりと震えた。
「……え?」
 メイドの身体は大きくX字に切り裂かれ、そして崩れ落ちる。

 ウィーリィがふと窓を見ると、響いていた声や戦闘音に何事かと集まる住人の姿があった。幸いメイドの骸は窓からは死角になっているようで、住人たちはただただぽかんとウィーリィを見つめている。
 ウィーリィは騒がせてしまったお詫びにと、冷蔵庫で冷やしていたプリンを盆に並べて住人のいる方へと出ていった。
「ちょっと作り過ぎちゃったからさ。よかったら食べてくれよな」
 すると、住人の後ろにいた子供達がわぁっと表情を明るくしてウィーリィの周りにわらわら集まる。スプーンを差し出せば子供達はすぐにプリンを頬張り、そして美味しいと笑みを零した。



 マンションに潜んでいたメイド達は皆猟兵によって倒され、スカムキングの命令は遂行されずに終わった。
 これにて、一件落着。子供たちは甘いプリンを幸せそうに頬張りながら、楽しみにしていた午後のひとときを存分に満喫するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月04日


挿絵イラスト