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星降りの大鳥

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●星降鳥
 今年も、谷に大きな風が吹いた。
 それは星々輝く天高く、夜の帳を揺らし。空の輝き達をころりころりと落としていった。
 息を飲むような流星群の夜空。その中から、一際大きな輝きが、尾を引きながら谷間に降っていく。

 ――ほら見てごらん、『星降鳥』達だ。

 谷間の村に住まう者達が落ちて来る白い箒星――その大きな鳥達を指差した。
 よかった、今年も無事に来たんだねぇ、と用意してあったよく冷えた水や甘い果実を手に、村人達が白き星々が集まる広場へと駆けていく。
 昨日降り積もった真白い雪の中、鳥達はそっと身を寄せ合ってその歓迎を待ち構えていた。
 大きさばかりは人を丸呑みにできるほど。さりとて薄氷の色した瞳は理知を湛え、その真白き翼は夜の中でも輝くよう。同じく白く鋭い嘴も、無闇に誰かに向ける事もない。

 冬の晴れた、風が強く吹き荒ぶ日。
 夜空には星々が流れて、そして大地には星が降る。

 彼らは毎年この地に巣を作る。そして雪解けの春、孵った雛達が飛べるようになるまで、彼らはここの住人となる。
 切り立った崖肌は足場が悪く、脅威になる獣の牙も爪もない自然の砦。
 何よりも、村に住まう人々が彼らを幸運の星と呼んで守りにあたるのが大きい。過去に井戸が枯れた時に新たな水源を探し当て、またある時は迷子になった子供を連れ帰ってきてくれた。偶然かもしれず、また何か別の意図が彼らにもあるのかもしれない。それでも、彼らのおかげで落とさなくても済んだ命が沢山ある。
 この地に、村が出来たのが先か、それとも鳥達がいた場所に先祖が村を作ったのか。
 今、それを知るすべは無いけれど。
 それでも長きに渡り彼らは共に生きてきた。

 だから、星降りの夜の数日後。
 鳥達を狙ったワイバーンとその配下達に、村の人々は勇気を持って立ち向かわんとし――この谷間の村は滅ぼされる事となる。

●星を追う者
「おそらく鳥が村に着き、油断したところを狙うつもりの様子です」
 キディ・ナシュ(未知・f00998)が、大きな白い羽根を手に告げる。その大きさは彼女の背丈より少し短いか。そしてどうやらそれが、剣と魔法と竜の世界に棲息する、『星降鳥』と呼ばれる大鳥の羽根らしい。
 そこから推察される大きさは、確かにワイバーンの腹を満たすには丁度いいだろうか。
「ですが、鳥を先に逃がしても村が襲われます。だからといって、先に村人を逃せば異変を察知した鳥達がどこかへと飛んでいき――わたしたちの知らぬ場所で、ワイバーンに襲われてしまうでしょう」
 つまりは、この場で迎え撃つ他ないのだ。くるり、くるりと羽根先が円を描くように揺れる。
「幸い、襲撃の前日に村へ着く事が出来ます。ただその頃には既に、鳥達は敵の気配に怯えてしまっているようで……」
 だからまずは彼らと全力で遊び、その不安の心を取り除いてやって欲しいとキディは続けた。
 元より人懐っこい性格の彼らは、猟兵達にも警戒を抱く事は無い。一緒に遊んでやれば今感じているストレスも解消されるだろう。
 そして、あなた達が本当に彼らと心を通じ合わせられたのであれば。
「彼らを村の広場に集めて、守りやすくなるかもしれません」
 その為には遊ぶ以外にも何かしらの工夫が必要だろう。食料や翼や爪の手入れに語りかけ。他にも各自が得手としているもので挑んでみるのがいいだろうか。皆様の技術に期待しております、とグリモア猟兵は頭を下げる。

 毎年繰り返される穏やかな交流。
 それを踏み躙らせるわけには、いかない。
「それでは皆さま、行きましょう――谷間の村と、星降りの大鳥達を失わぬ為に」


砂上
 はじめまして、こんにちは。
 砂上(さじょう)です。

 今回の舞台はアックス&ウィザーズ。
 ワイバーンとその配下を無事に格好良く撃退し、村と大鳥を守って下さい。

 まずは鳥達と友達になる所から。内容はOP通り。判定は合わせや同じ状況に居る場合を除いて個別に行う予定です。

 尚、一章の判定結果により以降の内容が変動いたします。お気を付け下さい。

 それでは素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『怪鳥たちと空の旅を』

POW   :    怪鳥と力比べ勝負

SPD   :    怪鳥とスピード勝負

WIZ   :    怪鳥と仲良くなり空を飛ぶ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●空へ
 切り立った崖の高さは、村の周囲の木々を十本重ねてまだ足りぬ程。これでは只人が登ることは困難だろう。谷間の幅は端から端まで歩いておおよそ二十分程といったところか。
 緩やかに曲線描くような形をしたその谷底の、その中程あたり。小さな家々が立ち並ぶそこが、雪降る季節に大鳥と暮らす小さな村。

 説明を受けた村人達が、それならばと猟兵達を案内したのは、村の中央広場。積もったばかりの新雪が、陽の光に眩く反射する。その場所こそが、星降る夜に鳥達が降り立つ地だという。
 ピィ、と案内役の若者が小さな木笛を吹けば、高く美しいその音が谷間にこだまして。

 ――澄み渡る真昼の青空に、星が流れ落つ。

 大きな白い星、『星降鳥』があなた方の目の前へと、羽ばたき響かせ降り立った。
ジゼル・スノーデン
美しい鳥だな!
岬にも来てくれたらいいのに。というのは無理な話か。
鳥は自らの進む道にこだわるものだからな

ええと、まずは怖がらせないようにしなくては
小さく手を広げて害意がないことを示しつつ、そばに寄ろう
長旅だったのだ、怪我はないか?この寒い中、飛んできたのだ
鳥とは勇敢なものなのだな

あくまで慎重に、嫌がるそぶりがあるなら手を止めて、歌いながら羽繕いをしよう
星の如きその羽をみせておくれ
怪我があるようなら、シンフォニック・キュアでなおしておこう
大丈夫、お前たちも村の人も必ず守るぞ
わたしは守護者だ。
そういうのは、得意なんだ

私は飛べないから、共に空に舞い上がることはできないけど
飛ぶその姿を見せてくれ



●海の守り手、その歌声
「美しい鳥だな!」
 その巨大な星降鳥の一匹を目の前に、思わずジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)は感嘆の声を漏らす。
 渡り鳥達がその進む旅路を変えぬことは彼女もよく知っている。けれどもこの星が、住まう岬へで星達と降ってきたら良いのに――そんな事を思ってしまうのだ。
 さくり、と雪を踏みしめて近づく彼女を見つめる薄氷の瞳に怯えはない。広げられたその小さな手も、歩む速度も、決して己を害するものではないと見て取れたから。だからその場に穏やかに座り込むと、彼女に視線を合わすように頭を下げて待つ。
 それに安堵の笑みを浮かべながら彼女は躊躇いがちに、そっと手を伸ばした。
「怪我はないか? この寒い中、飛んできたのだろう」
 長旅への労りと果敢さを讃えながら、労わるように白き羽毛へと指先が触れる。暖かな空気をしっかりと含んだ柔らかなそれは、なるほどこの寒さの中を耐えて飛ぶに相応しい。
 白く艶やかな大きな翼は、確かに陽の光の下で見ても星のよう。されども、あちこちに小さな汚れや小枝が引っかかっている様子。
 それを一つずつ丁寧に取り除いていれば、旅の途中で何かに引っ掛けたのか、小さな傷が見えた。放っておいても治るような浅い傷。けれどそれをそのままにはしておけまいと、彼女が得意の歌を口ずさむ。
 しかして、それは優しく美しく。星降鳥も心地好さそうに目を閉じ、気持ち良さそうに羽震わせて受け入れた
「大丈夫、お前たちも村の人も必ず守るぞ」
 いつかの誰かが愛した、星降る岬。深き森にも似た、深海色の目を持つ彼女が灯火ともして守る場所。
 わたしは、守護者なんだ。だから。
「そういうのは、得意なんだよ」

 すっかり綺麗になってご機嫌の様子の星降鳥へ、遠慮がちにジゼルが声をかける。
 飛ぶ姿が見たい、と。
「私は飛べないから、共に舞い上がることはできないけど」
 なんて、言葉は通じないか。

 ――そう、諦めようとした時。

 大きく羽ばたきの音たてて、星が天へと登っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エール・ホーン
コミュ力と動物と話すで
まずは打ち解けよう

やあ、ボクはエール!
君の翼は大きくてとってもかっこいいね!
それに瞳もきらきらで綺麗だ

でもボクの翼もかっこいいでしょう!
この角だって大の自慢さ!
どんな場所もボクのパフォーマンスなら夢の舞台
くるりとはねてきらきらの光と笑顔で誘惑する

ああ、君には鋭い爪もあるんだなぁ!
良ければ手入れをしてもいいかい?

あのね、怯えないで聞いてほしい
もうすぐここにワイバーンがやってくる
彼らはきっと大きくて強い

この鋭い爪は君を
仲間を守る為の武器で、盾だ
力を貸してくれないかい

背伸びをしてその子を抱き締める
安心を、鼓舞を
撫でる手に込め

君と、それから君の大切なモノ
――きっと守ると約束するよ



●優しい絵本の配役少女
「やあ、ボクはエール! 君の翼は大きくてとってもかっこいいね!」
 それに瞳もきらきらしていて綺麗だ、と別の一羽に明るく話しかけるのはエール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)。その一羽が気を引かれたのはうっすらと通じる彼女の言葉に驚いたことと、陽だまりのような明るい声、そして何より。
「でもボクの翼も格好いいでしょう! この角だって、大の自慢さ!」
 ふふん、と自慢げに広げられた白い翼。星降鳥達と同じ色の、されど大きさも形も全然違うけれど、近しいものだと思ったらしい。
 その様子にエールはくるりと跳ねると、輝かんばかりの笑顔で君も一緒に! と手を差し出す。
 ――彼女のパフォーマンスが始まったのなら、例えどんな場所だろうとそこは楽しく美しい夢の舞台。そして本日のゲストは星の鳥。
 とん、とエールが雪の中を跳ねれば、その一羽もぴょんと飛ぶ。そうして一人と一羽で雪の中を踊っていれば、あっ、と彼女が声をあげた。
「君には鋭い爪もあるんだなぁ!」
 飛び上がった時に見えたそれを、よければ手入れをさせてくれないかと申し出れば拒むことなく足を彼女の方へ。ただし、傷をつけないようにそうっと。
 優しいその動きに、エールはますますその顔に笑顔を乗せた。任せて! と、すこし欠けた箇所は慎重にヤスリをかけ、植物の油が含まされた布でキュッキュと磨いていく。
「あのね、怯えないで聞いてほしい」
 手入れをしながら放たれた言葉は先程とは違い、真剣みを帯びて。そして、少しばかり固い。つられて、ピクリと星降鳥の爪が動いた。
 怯えさせたいわけじゃない。キュッと唇を噛んで、でもこれは伝えなくてはいけない事だと声は続く。
「もうすぐここにワイバーンがやってくる……彼らはきっと大きくて強い」
 だけどね。と磨き終えた爪をそっと撫でて、下ろす。
「この鋭い爪は君を、仲間を守る為の武器で、盾だ」
 真白いエールの、唯一色彩を持つ瞳が鳥を見上げる。
 目があった。そう思うよりも先に、体が動いていた。
 ぎゅう、と目の前のその子を抱きしめる。自分より大きな巨体へと、まるで親が子へとするように。自分がついてるから安心してほしいと、そして脅威に負けるなと、彼女の手は優しく撫でる。
「君と、それから君の大切なモノ――きっと守ると約束するよ 」
 だから、どうか力を貸して欲しい。
 彼女の言葉に答えるように、キュィ、と小さく星は鳴いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨宮・いつき
星降鳥、まるで神鳥のような美しさですね
このまま穏やかに、健やかに子を育んでほしいものです
「大丈夫。貴方達は僕達が守ります」
「僕達だけじゃなく、村の人達も、貴方達の無事を祈ってくれていますよ」

毛繕いをしてあげながら優しい音楽を聞かせてあげれば、
星降鳥達の不安も和らぐんじゃないでしょうか
【楽器演奏】と【パフォーマンス】には自信がありますのでっ
「そういうわけなので…さあ、出ませいっ」
【稲荷八百万】っ
毛繕い道具があれば村の人からお借りして、分身達に星降鳥の毛繕いをさせます
そして僕は【天狐の横笛】で星降鳥達に音楽と舞を捧げます
鳥が囀るような音色で、大丈夫、安心してねって想いを込めて



●狐の少年の銀笛と奉納舞
 神聖すら感じられるその美しき白の姿。
 ならばと雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)が振るう術は猫の手ならぬ、狐の手。
「さあ、出ませいっ」
 その掛け声に、ぽんぽんと飛び出すのは術者である、彼の小さな小さな分身たち。
 手のひらサイズと言えど侮るなかれ。村から借りてきた手入れ用の道具をそれぞれが確りと持ち、きりりと真剣な表情で耳とピンと立て。一列に並んで星降鳥へと行儀正しく一礼する。それからぴょん、とそれぞれが無駄のない動きで一斉にお仕事へと取り掛った。
 飛び乗ってきたその小さな分身たちに、最初こそ星降鳥も驚いた様子でいたけれど。その小さな者達はその大きさを活かし、絡まった羽や細かい汚れも丁寧に繕っていく。
 害をなすどころか丁寧で細やかなその手際の良さ。思わずうっとりと鳥も眼を細め出す。ふるりと、気持ちよさげに首をすくめたその動きに、何人かがわぁ、と羽毛に埋もれてしまったりもしていたが。
 そして何より。その間彼らへ奉げんと、いつきが奏でる銀の横笛と舞。穏やかな鳥の囀りにも似た音色と、美しい踊りは雪原を一瞬で真白き奉納舞台へと塗りかえた。
 ――大丈夫、貴方達は僕達が守ります。
 だから大丈夫、安心してね。猟兵達と、それからこの地に住まう村人達と、彼らの無事を願う人々の心。舞踊と調べに乗せられたその想いは、いずれ来る春の如しの暖かさでもって鳥達への不安を取り除いていく。
 このままどうか穏やかに、健やかに。この地で子を育んで、いずれまた旅立ちの季節へと。そうした彼らへの平穏を願う奉納が終わるころには、白い星の輝きはさらに増し。その翼は内より輝きを放たんばかりの艶やかさを放っている。
 心地よさに寝入ってしまった穏やかな星降鳥の姿を見ながら、いつきは上がる白い息を吐き出し、満足げに微笑んだのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サフィリア・ラズワルド
WIZを選択

『私ドラゴニアンだけど怖がったりしないかな?』と脅かさないように少しずつ近づきます。

『この子達もふもふだ…!おっきなもふもふだ!』と目を輝かせながら【優しさ】で『私とお友達になってください、あともふもふさせてください!』と握手を求めます。(相手に手はないけど)
【動物と話す】でなんとなく言いたいことは理解できます。
もふもふさせてくれたら『もふもふの羽…ちょっと羨ましいなぁ』と自分の翼をパタパタさせながら、お礼に羽繕いします。



●紫竜の
「この子達もふもふだ……! おっきなもふもふだ!」
 きらっきらと紫の瞳をこれでもかと輝かせ、サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)が少し離れた場所から熱い視線を星降鳥へと送る。
 けれど素直に近づけないのは、己が竜であったから。
 少しずつ、少しずつ。怖がらせないように、驚かさないように。彼女の歩みは慎重で、しかしてその表情には大きなもふもふへの期待が溢れんばかり。
 まるで初めて誰かと触れ合う子供のようなその姿に、群れの中で一番大きな、齢を重ねた一羽がのそりと近づく。動きは緩やかだが、その一歩一歩は広い。
 あっという間に彼女の目の前へと移動すると、待ち構えるように座り込んだ。
「わ」
 ぱち、ぱち、とその行動にサフィリアは瞬きを繰り返す。
 あと一歩踏み出して手を伸ばせば、いとも簡単に触れる近さ。唐突に近くなったその距離に、どうしたものかと星降鳥の瞳を見つめ、たっぷりもふもふな羽を見つめ、もう一度瞳を見つめ。
 よし、と両手を握りしめ決める小さな決意。
「わ、私とお友達になってください、あともふもふさせてください!」
 ばっ、と握手を求めるように彼女が差し出すその手。それを不思議そうに首を傾げて、鳥はクルルル、と喉を鳴らす。
 それが了承の意だと感じとれた彼女は、ぱっと顔を輝かせ。両手を広げてぎゅっと抱きついた。良質な毛布のような手触りに、暖かな空気を含んだそれは予想以上。
「後でお礼に羽繕いしますね!」
 でも、ちょっともふもふの羽……羨ましいなぁ。
 硬い鱗をに覆われた翼をぱたぱたと動かしながら、けれどその至福の感触に緩む頬のまま、そのもふもふを心行くまで堪能する。

 ああ、幸せ。

成功 🔵​🔵​🔴​

リィン・エンペリウス
星降鳥!ビーストマスターとしては是非お友達になっておきたい鳥さんだね。

よ~し、『ライオンライド』でライオンくんを呼び出し【騎乗】して星降鳥とスピード勝負をしようかな
星降鳥に【動物と話す】で目印になる木までの競争しようと提案するよ
【情報収集】【野生の勘】【地形の利用】を使って、木までの最短ルートを見つけて、勝負に絶対勝ってみせるよ!
大丈夫、スピード自慢のライオンくんの足なら空を飛んでの一直線の星降鳥にも勝てるはずさ。

勝負に勝ったら星降鳥と【動物と話す】でお話しして、君に勝った僕がこの村を、星降鳥達み~んなを守ってあげるよ!って伝えて安心させてあげるんだ。あ、それとお友達にもなってもらえるかな?



●動物使いの幼き妖狐
 リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)の競争に興味を惹かれたのは、少し体躯の小さな一羽。
 ビーストマスターとして是非お友達になっておきたい、と意気込む彼女が呼び出したのは黄金のたてがみが立派な獅子。その大きさは少女のふた周りもあるほど。
 空を真直ぐ、星のように駆ける鳥にだってこの子ならば負けはしない。よろしくねとその太い前足を軽く叩き、絶対に勝つ!と負けん気もたっぷり。
 さぁいざ勝負、と星降鳥を仰ぎみれば――

 ぶわっ、とその白い羽を膨らませ、キュイィと警戒の色を乗せた声を出していた。

 急に現れた巨大な四足のネコ科の生き物へ、本能的な警戒を露わにじりじりと、その足元の雪に線を描くように後ずさる。どうやらまだ少しばかり若いその個体、急な出来事には上手く付いていけない様子。キュイキュイィ、と繰り返されるそのか細い声に、近くにいた別の数羽も何事かとこちらへ視線をやってはぎょっとしたようにその薄氷の瞳逸らさず見守る姿勢を取った。
 けれどそれを無理に宥めたり追いかけるような無粋はしない。そんな反応すらも良くあることだと言わんばかりに、獅子はころりとその場で寝転がった。そもそも、敵対する意思も、傷つける意思もこれっぽっちもありはしないのだから。
 リィンの怖くないよの声も後押しに、後ずさるのをやめ、少しだけ迷ってからゆっくりと再び近づいてくる。
「お友達になってもらえるかな?」
 落ち着いた様子を見計らってから、そうっとかけた少女の言葉。それに返事をするように鳴く声に、もう怯えは無い。
 それじゃあ一緒に遊ぼう!と楽しげな声が雪原を駆けまわる。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

彼者誰・晶硝子
平和な日常は、永遠には続かないかもしれない
でも、その災害が取り除けるものなら、救いの手を差し伸べるわ
守れるのなら、ずっと続いて欲しい想いは確かだもの

小さな鳥とは毎日あいさつしているけれど、
こんなに大きな子ははじめて
ぎゅうっと抱きしめられるようなふかふかの羽毛、癒されるな…
なんて、わたしが癒されていてはいけないわね
旅の疲れがあるでしょう、星降鳥たち
少しでも疲れを癒して、そして仲良くなれたらうれしいわ

そのためには、やっぱり汚れを落とすことからかしら
柔らかくて大きな布で、よりうつくしく拭いてあげよう
「きみに贈る祝福」でも、疲れを解してあげられるかしら

こんにちは、よろしくね
大丈夫、きっと守ってみせるわ



●あらたよとかくりよの娘
 鳥達が白き星とするならば、この娘は一日の始まりを示すかのような朝焼けの空。
 それは旅の途中に何度も鳥達が見た景色。暗闇が来て、そして去っていく。変わらぬと、不変であると誰もが思う日々の繰り返し。
 けれど、いつか来る、災いがその全てを終わらせてしまうのかもしれない。でももし、それ取り除けるのならば――わたしは救いの手を差し伸べてみせる。
 そんな決意を胸に、彼者誰・晶硝子(空孕む祝福・f02368)は彼らの羽毛に負けぬほどの柔らかで大きな布を手に、その汚れを拭っていく。よろしくね、とかけられた声に鳥たちも素直にその身を任せて、長旅の疲れを癒してもらっていた。
 しかしこのように大きな子は、常日頃から小鳥たちと挨拶を交わす彼女にとっても初めてのお相手。
「癒されるな……」
 触れればこちらがぎゅっと抱きしめられているかのような、上質のふかふかの羽毛。繊細な手つきで彼らを綺麗にしながらも、思わずそんな呟きが、ぽつりとこぼれ落ちた。
 今は明るい空から、陽の光が彼女に降る。それは煌めきながら真白の鳥を七色に照らし出し、鮮やかな祝福となりて、その旅の疲れと傷をすみやかに消し去っていく。
 仲良くなれたら、と思う彼女の心がその優しき色彩から伝わったのか。すっかりと綺麗になった星は、甘えるように夜明けへと頭を寄せた。
 娘は笑う。暗い夜ばかりは続かない、だって彼女自身がそれを示している。
「大丈夫、きっと守ってみせるわ」
 穏やかな日々。
 それがずっと続きますようにと、願う思いは確かに。

成功 🔵​🔵​🔴​

籠目・祷夜
ふむ、星降鳥…
動物は好きだ。ただ、相手が俺のことを好んでくれるかは不明だが

POWでじゃれ合うか
村人から餌を貰い鳥に与える
撫でてもいいか様子を伺いながら、餌や水をやる
どこを撫でると喜ぶのか村人に聞こう
「大丈夫だ。お前達を脅かすもの達は猟兵がどうにかしてやる」
「安心しろ」
じゃれつかれたら、じゃれつき返す
ふざけて強くつついてくるようであれば、同じように少し強く撫で付けて
村人に聞いた撫でると好きな箇所を撫でてやる

アドリブ、絡み歓迎



●マツリカの刀
 袋に目一杯入った林檎。村から貰ってきた赤く艶やかなそれを一つ取り出し、籠目・祷夜(マツリカ・f11795)は星降鳥へと無言で差し出した。
 お世辞にも愛想がいいとは言えない所作、けれども祷夜が彼らの事を思い遣るその、動物を愛する心に偽りはない。
 そんな青年の手から星降鳥は器用に嘴で林檎を受け取ると、シャクリと砕いて飲み込んで。それから再び、じっと彼の手元を覗き込む。どうやらもっと欲しいらしい。もう一つ、もう一つ、と乞われるままに差し出せば、次第に戯れるように彼の手元をつついてくる始末。
「ほら、もう無いぞ」
 空っぽの袋を見せればボスっと首を突っ込んで、そのままぐりぐりと彼へと袋ごとじゃれつき始める。
 果たして嫌われないかどうかという不安はあったが――どうやらそれは、杞憂に終わったようだ。
 刀を振るうための、その大きな手で星の頭の後を撫でてやればご機嫌そうに片足で雪をかく。
 首から上を撫でてやれば喜びますよ、とは林檎を貰った際に聞いた話。それに間違いはないようで、今度は袋を外して嘴の付け根を撫でてやれば、星降鳥は気持ち良さそうにその目を細め。お返しのつもりなのか、彼の黒い髪を毛づくろいをするかのようにチョイチョイと食んで遊び出す。
「大丈夫だ。お前達を脅かすもの達は猟兵がどうにかしてやる」
 静かに告げる声、言葉は少ない。けれど、言い切る口調に躊躇いも見られない。
 少し強く星降鳥を撫でてやれば、その白い羽毛がふわふわと揺れる。
 大丈夫、大丈夫だ。守ってやる。だから。
「安心しろ」
 その言葉に答えるように、一声高く星は鳴いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エトワール・フィラントゥ
*行動/WIZ
リラックスして頂く為に、鳥様方のお世話が出来ればと
(優しさ、コミュ力、動物と話すを活用)

まっしろ!これが雪…はしゃぐ気持ち抑え
怖がらせない様、鳥様が来るのを待って
鳥様の好む果物、あと持参した木の実を差出します

触れるのをお許し頂けたら…ブラシタイムでございます!
ブラシちゃんの出番です
ご立派な翼と爪、整えさせて下さいませ
痒い所はございませんか?…泥も塵も逃しませんわ

合間にお話しを
相槌でも頂けたら嬉しく

皆様は何方からいらしたのですか?
お疲れでしょう、大丈夫…私達がおりますの

私も星の名を頂いた身
…皆様の様に空は渡れませんが
私なりに皆様に笑顔をお届けできればと思いますの
*アドリブも歓迎です



●綺麗好きの星の子猫
 初めて見たその降り積もった雪の白さに、エトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)は年相応の声を上げ、そうになったのを、ぐっと堪えた。猟兵達の頑張りでようやく落ち着いてきた彼らを、また怖がらせてはいけない。
 そう思いながら彼女が用意した林檎や、いくつかの木の実を手に取ったところで――好奇心旺盛な一羽がひょいと彼女の手元を覗き込んできた。
「ご立派な翼と爪、整えさせて下さいませんか?」
 そう告げながら差し出された木の実を、ぱくりと嘴で摘んで飲み込めば、了承とも取れるように彼女の目の前で腰を落ち着けるその一羽。
 許可が出た――ならばと取り出すは、一本のブラシ。
 名付けてブラシちゃん。
 小さな手がそれを巧みに操っていく。引っ掛かりも、羽を抜いてしまう事もなく梳いていくそれに、しかして翼は整えられて艶やかさを増し、そして空気を含んでよりふんわりと柔らかく変わっていく。そしてもちろん、されてる側は気持ちが良さそうだ。
「痒い所はございませんか?」
 飛び跳ねた泥も、上空に舞っていた細かい塵すら一つ残らず、輝く紫水晶の瞳が確りと見つけて綺麗にしていく。
 そしてその作業の合間にも、少女はゆっくりと星降鳥へ話かける。

「皆様は何方からいらしたのですか?」
 嘴が示す方向は北――此処よりうんと寒いところから。
「お疲れでしょう、大丈夫……私達がおりますの」
 喉奥で鳴らす声は――うん、ありがとう。

 その優しさや、思いやりが、言葉の代わりに心を確かに通じあわせ。彼らの話す声は次第に楽しげに、やがてはまるで友達かの様に明るくなって。
「私も星の名を頂いた身です」
 皆様の様に、空は渡れませんけれど。
 エトワールという星を意味する名の少女がその優しい思いを紡ぐ。
「私なりに皆様に笑顔をお届けできればと思いますの」

成功 🔵​🔵​🔴​

オルハ・オランシュ
【WIZ】

わ、綺麗な鳥!
この村の人達は鳥と心を通わせているんだね
素敵……
私も仲良くなれたらいいな

まずはいちごジャムの香りで気を引いてみよう
どうかな?
私が働いてる店の売れ筋商品なの
気になるようなら食べてもいいよ
気に入ってもらえたら嬉しい

羽をはためかせたらもっと興味を持ってもらえるかも
君の羽とは色も形も違うけどね
その立派な羽、良かったらじっくり見せてくれる?
あっ……ちょっとだけそのままで、動かないで
見付けたほつれを慣れた手つきで直して
はい、もういいよ
羽が大きい分手入れも大変そう

気を許してもらえたら、この子と遊びたいな
そういえばまだ名乗っていなかったっけ
私はオルハ、よろしくね!



●ジャム屋の何でも屋さん
「わ、綺麗な鳥!」
 私も村の人たちの様に、仲良くなれたらいいな。
 そう思ったオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)が彼らに見せたのは、彼女が働くお店の売れ筋、イチゴのジャム。トロリとした赤色が瓶の中で艶やかに揺れる。蓋を開ければ漂う甘い香りに、興味を惹かれた一羽が気になるのかしきりに瓶を嘴でつつきだした。どうやら果物か何かだと思っている様子。
 その仕草に思わず肩揺らし、気になるなら食べていいよと差し出せば、その味も気に召したらしい。空になるまですっかり舐め取ってご満悦。
「気に入ってもらえたみたいだね、嬉しい」
 満足げな、けれども真っ赤に汚れた嘴周り。それを嬉しげに笑いながらも拭ってやる。
 さて、お次はどう興味を持ってもらおうか。少し考えて思い浮かんだのは、自分の翼をはためかせてみる事。色も大きさも正反対だけど、互いにお揃いのもの。ぱたぱた、と軽く動かしてみせれば、星降鳥も倣ってその大きな翼を、ばさりと音立てて羽ばたかせる。
 その段違いの風圧に、わぁと驚嘆の声を思わず上げてしまうものの、その中で彼女の緑の瞳がその翼の一箇所でぱちりと止まる。
「あっ……ちょっとだけそのままで、動かないで」
 見つけたのは、小さなほつれ。よくあるんだよね、と翼持つものとして慣れた手つきでそれを直す。きっと、こんな大きさじゃあ手入れも大変そうだ。
 もういいよ、と声をかけてあげれば、礼を言わんばかりにその大きな翼で彼女をやんわり包む。
 ――これは、気を許してもらったって事でいいのかな?
 だから、その大きな白い翼の下から、声をかけてみる。
「君。私と一緒に遊ぼう? あ、そういえば。まだ名前名乗っていなかったっけ」
 星降る大鳥との友好への期待を込めて、その声は明るく楽しく弾む様に。

「私はオルハ、よろしくね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロシュ・トトロッカ
わぁ、すっごーい!
大きな鳥の姿も雪に染まる村の景色も
まるで物語や動画の中の世界
この世界は憧れがいっぱいでどきどきしちゃうな

ね。とってもキレイなきみの羽、もっと見せてくれる?
スカイステッパーでとんとん空駆け
一緒に飛ぼうとにっぱり笑顔でお誘い
飛べる翼はないけれど
きっときみに追いつくよ
少しずつスピードを上げて息が切れるまで走っちゃおう!

ヘトヘトになったらちょっと休憩!
その間も羽を手入れしたりふれあいは続けるね
嫌がらない様子なら楽器演奏を披露
ティンホイッスルで彼らの声を真似てみたり
民族音楽を演奏
疲れがおさまったらバウロンを抱えて
リズムを取りながら一緒に歩こう
トントン、タン
空舞うみんなに合わせて鳴らすよ



●南国少年はおとぎ話に憧れる
 見上げるほど大きな星の鳥。真っ白な雪に染められた小さな村。
 それはいつかデータ見た、憧れたおとぎ話の世界のよう。けれど、肌に感じる空気の冷たさも、冬の匂いも、目に映る全てが本物だと知らせてくれる。
「ね。とってもキレイなきみの羽、もっと見せてくれる?」
 とん、とん、とん、と空気を蹴って彼らの目線まで駆けあがったロシュ・トトロッカ(マグメルセイレーン・f04943)は、両腕を羽ばたかせるようにして空の散歩へ誘い掛ける。
 一緒に飛ぼう、と南国のお日様のようなにっぱりとした笑顔で笑いかけられた星降鳥は、その白く輝く大きな翼を広げて彼を追いかけるようにして空へと舞いあがった。
 飛べる翼は無いけれど、跳べる術なら持っている。それならきっと、並び立って空を行くことも出来る筈。
 空飛ぶ星へ追いつけと、大きく大きく跳ぶ少年。息切れするほどの全力で、けれども楽しそうに声上げて。星もそんな彼に速度を合わせ、時にはくるりと旋回しながら空の散歩を楽しんだ。
「もうだめ、休憩!」
 先に根をあげ座り込んだのは少年の方。ヘトヘトになって座り込む彼のに気付けば、星もゆっくりその横へと降り立った。
 走らぬ間はこんなのはどうだろう、と彼が取り出したのは小さな縦笛。吹き鳴らされるは星たちの声とよく似たその音色。まるで会話をするようかのように星が鳴けば、そこは一人と一羽の二重奏。
 そうして休憩のしながらの短い演奏会が終われば、そろそろまた遊ぼうか、ロシェは立ち上がる。けれど、星の興味は彼が持つもう一つの楽器、バウロンと呼ばれるフレームドラムへ注がれて。
「じゃあこちっも演奏するね」
 その視線に気付いた少年は、笑顔でそれを鳴らし始める。
 トントン、タン
 そのリズムに誘われ星は空へと舞い戻る。
 音は地と天を結び、共に暫しの散歩へと。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●崖に潜むもの
 声をかけ、触れ合って。そしてめいっぱい遊んだ、その翌日。
 皆が村で朝食を済ませ、一息ついた頃にそれは来た。
 暴力的なまでの咆哮は谷間全ての空気を揺らし、それは遠くにありても背筋が寒くなるほどの。
 けれども昨日の触れあいにより、鳥達は落ち着きを取り戻している。猟兵や村人たちの言葉を受けて広場に集まっている、筈だった。
 その恐ろしき声が二度目に響き渡ったその刹那。怯えた一羽が、恐怖のあまりに空に飛び出してしまう
 混乱状態にあるのだろうか。仲間や村人、猟兵達が声をかけようとも降りてくる気配は無い。ただ、でたらめに空を飛びまわり続けている。
 嗚呼、嗚呼。このままでは先に崖にぶつかってしまう。誰かが短い悲鳴をあげたその時。
 岩肌から飛ぶそれを掴まんと、ごつごつとした『手』がぬうっと生えた。それは咄嗟に身をひるがえした星降鳥の翼を掠め、しかしてその衝撃でもって彼を地へと落とす。
 生えてきた腕――否。岩肌へ擬態していたそれは、動くことによってその姿を見せた。頭の無い岩で出来た巨人。『荒ぶる山神』と呼ばれるオブリビオン。
 ワイバーンが命を下したその配下が、彼らを先に狩りに来たのかもしれない。もしくは挟み撃ちにでもするつもりだったか。どちらにせよ、崖から隆起するようにいくつも姿を現しては、落ちた星を追いかけんと崖から下りてくる。
 落下地点は幸いにも広場にほど近い場所。急げば下りてくる敵との間に割り込めるかもしれない。

 ――助けなければ。
籠目・祷夜
いかん!!
(全力で走る、走る、武器だけはしっかり持ってあとはなりふり構わず)
なんと凶悪な敵だ。必ず星降鳥を守ろう

敵と星降鳥の間に立つ
少し敵寄りに立ちたいところだかそんな余裕はないだろう
先手、剣刃一閃で敵の出鼻を挫く!
足があるようだが、足を狙って果たして移動を妨害できるかどうか。物は試しだ
敵は弱っているものを優先的に攻撃していく

もし、星降鳥を狙う姑息なやつがあれば、剣刃一閃で叩き斬ってやろう

アドリブ、共闘歓迎


ジゼル・スノーデン
助けなくては、な!

【WIS】で行動

落ちた星降鳥へと駆け寄りながら、カノープスを召喚する

「カノープス、光を放て。こっちに注目を集めろ」

やってくる山神たちの意識を、鳥ではなく私たち猟兵たちへと移させる
守護者を無視して、村と鳥に何かできると思ったか?

その間に、誰か鳥をなだめて村の広場まで誘導してくれないだろうか
できないまでも、鳥と敵との間に立ちふさがることはできるだろうし、村の方までは行かせずすむとおもう

あとは、風の力で攻撃しつつ、村や鳥に手を出そうとするやつの牽制に努める
流石に一人で注目を集めているのは厳しい
他の猟兵たちと協力したいところだ


雨宮・いつき
岩肌に擬態していただなんて…迂闊でした…!
今はとにかく、あの星降鳥を助けないと!
全力で墜落した星降鳥の元まで走ります

「九頭龍様!どうか力を!」
【龍神絵巻開帳】、星降鳥と一番距離が近い山神の間に九頭龍様を割り込ませて、
その山神に対しては締め付けで足止め、近寄ってくる他の山神達にはブレスで牽制をして貰います
派手に動いて、山神の意識を星降鳥から逸らしてください!

その間に、僕は墜落した星降鳥の傍へ
怪我をして自力で飛んだり歩いたりできなくなってるかもしれません
引きずる形になってしまいますが、少しでも広場の方へ移動させます!
「痛いかもしれないけど、我慢してくださいね…!」
他の人の助けも欲しいところです…!


サフィリア・ラズワルド
POWを選択

急いで星降鳥の元へ向かい無事を確認します。大きな怪我がなければ救出を仲間に任せて【空中戦】で敵の上を飛び回り気を引きます。

『こっち!こっちだよ!』

気を引かせるのが目的なのでまだ攻撃はしません。
星降鳥の救出が確認出来たら竜騎士の槍を敵の中心
に刺し【ドラゴニック・エンド】を放ちます。敵が残っていたら槍を回収して戦います。

『これ以上は進ませない、ここで全部止めてみせる』


エール・ホーン
お願い、あの子たちを傷つけないで
大丈夫、ボクたちがついてるから

届かなくても叫ばずにはいられない
攻撃を見切ってかばえるならそうする
ほら、大丈夫
ちゃんと守れたでしょ?そう笑って

攻撃は野生の勘と武器受けで止める
カウンターを狙えるタイミングを戦闘知識で見定め
少しでもマヒ効果を与えられたならその瞬間を逃さずに

重視するのはその場でもっとも効果的なもの
使うのは【一角獣座流星群】
ボクの友達は山神様にも負けないよ
だってほら
こんなにも美しくて、頼もしいんだから

敵だけじゃない
誇るようにそう胸を張ったのは
ぎりぎりの状況でも余裕に笑ってみせるのは
白き星に魅せるパフォーマンス
――大丈夫だよ
そうやって何度でも
星に語り掛ける


オルハ・オランシュ
あんなに怯えてたんだもの、今もすごく怖がってるはず……
早く助けなきゃ!

他の猟兵達としっかり協力するね
急いで向かって、敵に立ち塞がるような場所で迎え撃とう

あの子は無事だよね
怪我は後で絶対に治すよ
その前に悪い芽を摘んでおくから、待っててくれる?

なんて重い一撃なの……
力勝負じゃとても敵わないかな
それなら、力以外で勝負すればなんとかなるよね!

敵の攻撃はぎりぎりまで引き付けたところで【見切り】を狙おう
【力溜め】から、一体でも多く巻き込めるように
【範囲攻撃】かつ【2回攻撃】を仕掛けるよ
速さには自信があるんだ
私の【早業】、見切らせないんだから

――あの子に手を出したことを後悔したって、もう遅いよ


エトワール・フィラントゥ
大変!すぐにお助けしますわっ

*戦闘
岩が動いて…此処から見ても随分大きい
それにもうこんな村の近くまで

まずは鳥様から気を逸らさなければ!目指すは攻入る岩様方のもと
陽動・錯乱させて引き留めるのです

駆け乍ら手短に身嗜みを整えて(猫の毛づくろい)
小さな体と、目立たない・野生の勘・ジャンプを活かして
岩々を跳びはね、すり抜け動き回ります

大きな振りと頑丈さからなる技ならば
塗料ちゃんで片手足だけでも抑えれば、動きをとめれるかも
(大きな振動は谷間の村へも影響がないとは限りませんし)
鎧砕き・吹き飛ばしで硬い岩も砕けるなら積極的に

…大丈夫
守りたいと、想いを同じくして下さる皆様がいる。だから
※無茶はせず連携を心掛けます


彼者誰・晶硝子
なんてこと
頼りないと自省は後に、今はひたすら星の元へ駆けよう
嗚呼けれど、わたしの脚では間に合わないだろうか
届くならば「きみに贈る祝福」をあの子に
きっと傷付いてしまった
それに、少しでも立て直せれば、その翼は力強く羽ばたいてくれるかも知れない
おいで、戻っておいで
きっと守るから

無情な敵には「うつくしきもの」で招いた同胞を
わたしは彼らの戦いの妨げにならないよう、村人や星降鳥の守りに徹しましょう
目の前の敵に集中している隙に、もしすり抜けて来た他の敵に不意打ちされないよう警戒も
その場合、宝石たちの攻撃は解除してでも全力魔法で立ち向かうわ

そして傷付いたひとたちにも癒しの光を
いつだって何度だって、祝福するわ


ロシュ・トトロッカ
お願い、レグルス!
呼び出したライオンに飛び乗って敵と星降鳥の間に割り込むよ!
爪で飛びかかって挑発
ほら、こっち!
弱いものいじめなんてみっともないよ?
星降鳥から十分に気をそらすか
だれかが安全なところへ逃がすまではけんせいを続けるね
他にかべ役がいれば協力して星降鳥を守るよ

踏みつぶそうとする足はしっかり見きわめて
飛んでとレグルスに指示
くずれた地形で足を取られないように気をつけなきゃ!
危うい人がいたら腕を引っぱってレグルスに乗せて一緒にジャンプ
大丈夫? 怪我してない?
星降鳥はもちろん守らなきゃだけど
きみのからだも大事だよ
なんて、ね!

さ、もうひと押しいくよ!
反撃は爪でバシッと決めちゃう!

アドリブ・絡み歓迎



 武器を手に取り、籠目・祷夜(マツリカ・f11795)が直走る。なりふり構わず、ただ間に合えとその意志持って新雪を蹴り進んでいく。
「カノープス、光を放て。こっちに注目を集めろ」
 その後を追いながら、呼び出したクラゲへとジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)が鋭く指示を飛ばす。それは宙を泳ぎ、山神達の注意を鳥から逸らさんとその内より光を放った。本来はその導は暗闇の中を灯されるもの。しかし此度は荒らぶる神々を猟犬達へと導くための灯となった。その示された道へと誘導された数体が、その進路を星ではなく猟犬たちへと向ける。
 けれどその道は険しけり。カノープスから放たれた吹き荒れる風は彼らの歩みを妨げ、積もった雪を巻き上げ吹雪となってその足を阻む。そう、今は阻めていればいい。あの子のところにも、村の方にも、決していかせてなどなるものか。
 ——あの子を助けたい。
 そしてその思いは誰もが同じ。
「大変!すぐにお助けしますわっ」
「あんなに怯えてたんだもの、今もすごく怖がってるはず……早く助けなきゃ!」
 光の錯乱に続けと、山神達が降り来る崖の方へと進路をとったのは、エトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)とオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)の二人。
 エトワールが駆けながらも素早く済ませた毛づくろい。身だしなみを整えると、その体は風の抵抗を減らして更に軽くなる。そうなってしまえば誰も彼女を捉えることなど敵わない。攻め入ってくるその岩の巨体の隙間を飛び跳ね動き回り、捕まえようと躍起になる彼らの腕から軽やかに逃げ回った。
 遠くから見たときも随分と大きく見えた山神達。彼らが伸ばしてくる大きな手の、指の隙間を抜けるように少女は跳ねて逃れて続く鬼ごっこ。
 これほどまで、近くに来ていたなんて。
「なんてこと……!」
 彼者誰・晶硝子(空孕む祝福・f02368)が己の頼り無さに唇を噛んだ。けれど反省するのは後。今はただ、傷ついてしまったあの子の元へ。
 前へと走る足の速さに自信はない。それにこの雪だ。間に合わないかも知れない。
 けれど、その夜色の手を伸ばして願う。どうか、あの子に祝福を!
 その願いに応えるかのように、彼女の内より出でし夜明けの光。それは真っ直ぐに、伏して動かぬ星を包み込んだ。
 ぐらりと、走る足が重くなるが構いはしない。何度でも何度でも、その傷が癒えるまで癒しの光は途切れる事なく放たれる。少しでもその傷を癒して、また力強く羽ばたけるようにと。
 ――おいで、戻っておいで。
 そう呼びかける光に、呼応するかのように。

 ばさりと、大きく翼が動いた。

 上空からその様子を見届けたサフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)はそっと息を吐き出す。
 良かった、無事だった。
 けれど、まだ油断は出来ない。星降鳥はその場から起き上がる事が出来ずに、よろめき倒れる。それでも飛んでいた時のような混乱は既に消え去ったのか、歩んだ数歩は確かに村の方へ。猟犬達が駆けて来る方へとほんの少しだけ、近づいた。
 ならばその手助けを。仲間達の陽動は効果的だがまだ少し足りていない。刺すような冷気はらむ冬の空、その中をサフィリアは飛ぶ。鳥へと迫り来る山神が、白く染められた地へと、その拳を叩きつけんとするのを邪魔するかのように、掠め行く。
「こっち! こっちだよ!」
 呼ぶ声はまるで鬼ごっこをするかのよう。まんまとその声に反応した数体を引き連れ竜の乙女は飛ぶ。まだ、彼らが鬼――まだ、まだ。
「お願い、レグルス!」
 ロシュ・トトロッカ(マグメルセイレーン・f04943)の友を呼ぶ声に現れたのは黄金の獅子。少年を背に乗せたのならば、その四つ足で大きく駆けて向かいくる山神の前に立ち塞がる。
 低く、太い吠え声一つ。凛々しく鬣ゆらして伸ばす前足には、鋭く大きな爪。横から大きく殴りつけるように土塊を抉り取っては距離を取る。
「ほら、こっち! 弱いものいじめなんてみっともないよ?」
 挑発まじりの少年の声。ちょこまかと、足元でうろつかれる不愉快さに、山神はその姿を捉えようとするが、レグルスがそれを許さない。ネコ科特有のしなやかさでもって跳躍し、しかしてその間合いを開けきらず。山神の意識を確りと自分達へと引きつける。
 痺れを切らし、ついにはその大きな足を上げ踏みつけようとするその巨人。けれどもそれすらお見通し。ロシュが獅子の背を軽く叩けばその後ろ足にぐっと力が込められて。岩の足が降ってくるその、ほんの一瞬手前。視界が黒く陰るその一時、一際大きく横へと跳びすさった。
 まるで爆発か何かが起こったかのように吹き上がる真白い雪が、砕かれ共に舞い上がる土と再び落ちてくる。その隙間を縫って走る黄金は、歪な足場も軽やかに走り抜けた。
 さぁ、もう一押し。
 未だ踏み抜いた足を地面より抜けずにいたままの巨人へ、咆哮と共に爪が突き刺さる。
「九頭龍様!どうか力を!」
 まさか岩肌に紛れ擬態していたなんてと、迂闊だったと眉根を寄せる雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)が光放つ巨大な龍を呼び起こす。九つの頭持つその白い龍は、星降鳥へと今まさに手を伸ばさんとしていた一体の山神をその身で締め付け、別の一体を尾で打ち払い、そのまま吐き出した滝の如きブレスにて押し流した。水は雪を深く抉り、大きな溝となりて他の巨人の足止めするに至る。
 突如として現れたその巨大な邪魔者に、たしかに山神達は攻撃の矛先を向けた。道塞ぐものを取り除かんと、伸ばされる腕。だが龍もその九つ全てで牙を剥いて立ち向かった。鋭い牙が岩に食い込み、首を振るいてその重き巨体を投げ飛ばす。
 巨体が雪上に転がり、ぶわりと真白く辺りの視界を染め上げた。
 ――お願いどうか、あの子たちを傷つけないで!
 あがる息に、それは空気を揺らす言葉にはならない。けれどもその分踏み出した足は確かにその子の元へと辿り着けた。未だ飛べずに雪の中にいる姿に、エール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)はまるで胸が締め付けられるような気持ちになる。
「大丈夫、ボクたちがついているから」
 そう声をかけた瞬間、舞う雪ごと岩が冷たい空気を切り裂く。咄嗟にそれへと反応できたのは彼女の野生の勘か。手にした盾が、確りと山神の拳を受け止めていた。その盾から放たれる優しき光は、天に輝く星の光。彼女と同じく角持つ幻獣の名を冠する星座のもの。それは悪しきものを突き刺し、痺れを持ってその動きを阻害する。
「ほら、ちゃんと守れたでしょ?」
 鈍り力の弱まったそれを押し返し、小さく笑ったその顔を、薄氷の瞳が見た。決して彼女に余裕があるわけではない。だが、その胸を張り誇るように笑うその顔からは微塵もそんなものは感じさせず。その身でもって白き星へと語りかける。
 ――大丈夫だよ。
 押されてバランスを崩した山神がどう、と音を立てて倒れこむ。そしてそのタイミングを、エールは見逃さない。
「頼んだよ、ボクの友達!」
 叫び、掲げる盾。その声に応じるは一角獣の群れ。その白く大きな巨体と鋭きツ角は神々しく。嗎き声は勇ましく、舞う雪を蹴散らすかのように空気を渡る。
 その蹄で雪を蹴り、起き上がりかけんとした山神へと突撃するその勢いは宗教画のように美しく、けれども確かな質量を持って生命宿りし岩を土へと返した。
 砕ける石の音。土の匂い。冬に似合わぬそれは土の上に広がり白を汚す。その上を駆けるは一人の剣士。
 仲間を倒されたことに気づいた一体へ、有無を言わさぬ刃が走り、その巨体支える足を一刀のもと切り抜いた。
 ぐらりと傾き崩れ落ちるその体をそのまま前に移動する勢いのまま躱し、振り返る。思惑通り、片足を失って仕舞えば移動力も落ちた様子。けれども、その大きな腕二本を使いて移動しようとするのは、果たして意地か、受けた命によるものか。
 否、そんなものはどちらだって構わない。彼の意思は星降鳥を守りきること。そしてその為には、まずこの敵の倒さねばなるまい。
 大きな岩肌の背の上を走る。凹凸はあるものの雪とは違い、踏み抜けば力を取られることなく前へと進める、目的地までの最短距離。最後の一歩、大きく力を入れ跳躍する。地へと落ちる勢いのまま振り下ろした先は、腕二本。
 ごとり、と切断された土の両手。落ち崩れた先から、その形を無くしていく。その土塊の中を、鍔に刻まれた茉莉花が、銀の刃と共に翻った。
 果たしてその魂の在処は何処にあったのかは分からない。
 けれども、その三度目の剣撃は荒ぶる山神のその命を斬り捨てた。

 殺せと命じられた星はそこに転がっている。だけども、いくら指先を伸ばせども阻まれ届かない。
 ああ、憎らしや。憎らしや。
 思うように事が運ばない苛立ちに、山神達が足を踏みならす。雪に亀裂が走り、抉れて地を揺らす。その衝撃に、オルハは思わず手にした三叉槍を雪に差し込みその身を支えた。
「なんて重い一撃なの……」
 ちらりと見た星の所までは、幸いにもこの衝撃は伝わっていないようだった。その無事な姿に、その芽吹く若草の瞳は敵へと戻る。今飛べぬその怪我は、後で必ず治すから。だから待っていてね、と小さな呟きを風に乗せ、己の武器を両手で確りと構え直した。まずは、この悪い芽を先に摘んでしまおう。
 先程の一撃。倒れることはなかったが、これでは真正面から挑んだところで敵わない。
 ならば勝負はそれ以外で。雪を蹴って間合いを詰めるは二匹並んだ山神の元。飛び込んできたその少女へ、再び振り下ろされるは大きく重いその足。捉えたと、巨人がその勝利を確信する。けれどもそれが踏み抜いたのは柔らかな新雪のみ。衝撃で捲き上る雪はただ白く。彼女の姿は何処にもない。
「――あの子に手を出したことを後悔したって、もう遅いよ」
 その冷ややかな声は、巨人達の真上から。
 その一瞬に敵の体躯を駆け舞い上がったキマイラの少女が、三叉槍を振りかぶる。柄握る手に力を込め、体を捻って繰り出す一手は、斬撃の軌跡すら敵に見せることはない。その速度でもって穂先が当たった当たった箇所を抉り、砕き、粉砕する。その衝撃のまま、更に近くにいたもう一匹へと同じく一撃を。
 速度に自信があるが故の早業が二回。
 ただの岩の山になった上に少女は見事に着地する。けれど、そこに伸びる大きな腕。しかしそれはオルハに届く前に腕は不思議な色味で塗り固められ、その動きを止めてしまう。
「固めてポイでございます!」
 塗料を放ったエトワールがそのままモップちゃんにてがら空きの胴を打ち砕く。不自然な姿勢で固定されていた山神がぐらりと傾き、その場へと崩れた。その姿を見届けて、小さな少女は別の巨体へと塗料を塗りつけてはその動きを封じていく。手を、足を、固められてしまっては大ぶりの攻撃はその力の大半を失い、無理に動こうとすれば固められた部位の周囲に亀裂が入る。モップを振り回す少女を止めようにもその動きはくるくると俊敏に。動きの鈍った大きな腕では捉える事は難しい。
(大丈夫。彼らを守りたいと、想いを同じくして下さる皆様がいる。だから、)
 同じ星の名を持つ彼らを守る為にも、今は全力でこのお掃除を。アメジストの瞳に確かな決意を乗せて、モップに込める力は敵を討ち取る為にこそ!
 大きく横殴りに降り抜かれたそれは、岩を砕いて吹き飛ばした。

 猟兵達の足止めのおかげで、幾人かの村人達も星降鳥を助けんとやってきた。回復の術をかけられとといえど、墜落のショックからか星の動きは鈍い。立ち上がる事もままならず、急いて翼を動かそうとするのを皆で宥めては持ち寄った大きな布を繋いでそこへと乗せる。
「痛いかもしれませんが、我慢してくださいね」
 優しくそう声をかけたいつきが、せぇのと掛け声を出して、村人と共にその子を運んで行く。
 けれども、折角落としたその獲物。みすみす取られてなるものかと、巨人達は最後の力を振り絞り突撃せんと向かってきた。
 そこに吹くのは一陣の風。
「守護者を無視して、村と鳥に何かできると思ったか?」
 それはジゼルが呼び出したカノープスが示す風の道。星を狙う山神達は決してあの村へ導くものではない。ならば、お帰り頂こう。再び吹いた強き風、それは拒絶。害なすもの達を近づけんとするジゼルの思い。今一時この谷の守護者たらんとする少女はその誇りで持って力を振るった。近づけはさせまいと、山神の足を、岩の指を切り裂き、押し留める。
 そこへと力を貸すのは、晶硝子の呼び出した彼女の同胞たる宝石の鳥と猫。朝焼けと宵の星空、それぞれの空をその身に宿したうつくしきもの達は空を、地を、駆けて駆けてはその輝きを放ちて敵へと体当たり。陽の光を浴びて煌めくそれは、土塊でその身が汚れることなど厭わずに何度も何度も立ち向かう。否、そうして凛と立つ事こそが、きっと何よりも美しい。
 その間もジゼルと晶硝子自身は、星降鳥運ぶ村人達への道を守るようにと、その背に星降鳥と村を背に立つ。
 山神の体が大きくひび割れ、砕け散るまで風は吹きて宝石は踊り続ける。

 さぁ、いまのうちに早くその子を村へ。

 急ぎ足で村の広場へいつきと村人が星を抱え走っていく。
 星降鳥の救助が終わった事を、上からの攻撃で仲間を支援していたサフィリアは見届けた。
 紫の瞳が今度は戦場を見下ろす。残る敵の数は――ジゼルと晶硝子が戦っている二体だけ。他の箇所で戦っているもの達は丁度、それ以外を地に帰して行っているところだ。
 大きく大きく息をついき、ぐっと竜騎士の槍を掲げる。穂先に込めるは竜の力。
 ――鬼ごっこは、もうおしまい。
「二人とも、退いて!」
 空からかけられた声に、地にいた二人の少女はそれぞれの相棒に声をかけてその場から下がった。それを追って、山神達が動き追おうとするその瞬間。
「これ以上は進ませない、ここで全部止めてみせる」
 手にした槍を、三匹の中心目掛けて振りかぶる。目指すは、一番前へと出ている個体。それに竜騎士の槍が突き刺さった瞬間。
 巨大な竜の力が吹き上がる。咆哮上げたそれは山神の一匹を食い破り、近くにいた最後の一匹も叩き潰してかき消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●星を喰らうもの
 村に運ばれた星降鳥、どうやら命に別状はないらしい。良かったと、それぞれが安堵に胸を撫で下ろしたその時。

 空気を震わすあの声が、再び響く。

 それはもはや、遠くにあらず。
 大きな羽音を一、二度響かせれば猟犬達の視界が一瞬陰った。見上げれば、翼広げし赤き竜の姿――ワイバーンだ。

 辺りに散らばる土塊。けれども無事な村の様子。そしてその中にいる星降鳥の姿。金の瞳で見下ろすそれらは、使いに出した者達が破れた事を明白たる事実としてそこに在った。
 役に立たぬ配下へか、それとも抵抗する弱き者どもに対する怒りか。ワイバーンが怒りの声持って谷間を揺らす。
 ――なればこの爪と牙を持って、この血を赤く染め上げよう。抵抗する者達へ死の報復を与えたもう。

 怒りの咆哮を大きく叫び、猟兵達の元へと赤き竜は降りてくる。
 邪魔者を殺し、白き星々を喰らう為に。
オルハ・オランシュ
命に繋がる怪我じゃなかったみたいで良かった!
残るはあの竜だけ
ここで潰さなきゃ、他の子達まで襲われちゃう……
元凶は潰しておかなきゃね

トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化してから【力溜め】
見ての通り山神とは桁違いに強いはずだもの
高められる限界まで、力を高めていかなきゃ
それでも互角にも及ばないかもしれないけどね

一気に真下まで間合いを詰めて、三叉槍をなぎ払うよ
空を切るのは承知の上――!
元より【2回攻撃】のうち最初の1回はフェイントのつもりだから
2回目は【槍投げ】
上手く狙えそうなら、ワイバーンの目を狙おう

体勢を崩してもらえたら儲けもの
他の猟兵に畳み掛けてもらえないかな
この隙に、お願い!


雨宮・いつき
あの竜が親玉ですね…
村の人達も、星降鳥達も、絶対に守るって誓ったんです!
だから、好き勝手な真似はさせませんよ!
さっきの山神との戦いで九頭龍様も消耗していますが、もうひと踏ん張りしてください…!

自由自在に空を飛び回られては厄介です
けど体躯を活かした接近戦しか出来ないなら、まだやりようはある…!
戦闘に気を取られているワイバーンの視界から外れるように位置を取り、霊符を構えて術式の準備を
ワイバーンが攻撃のために地表近くまで降下してきたらチャンスです
【全力魔法】の【金行・封魔鉄鎖】!
たとえ1発目を避けられても【2回攻撃】で追い込みますし、
2発とも命中すれば大きく行動を制限できるはず…!


彼者誰・晶硝子
食は生きる為の糧…と聞くわ
君が生きるための行為を阻むのは、野生の掟からみたら、ひどいことなのでしょう
けれど、ひとには情というものがある
こちらも譲れないの…ごめんね

強力な攻撃が予想されるなら、回復で援護に勤めましょう
…星降鳥を救えたように、誰ひとり、零しはしない
深手を負ったひとを中心に回復
毒や行動不能も治療のユーベルコードで治るものかしら
できることなら、試みたいわ
効果が無いのなら、攻撃で気を逸らして、立て直す時間を稼ぎましょう

村の守護も忘れずに
村人や星降鳥の避難を呼びかけつつ、被害が行ってしまったらそちらにも回復を
勿論、何も被害が無いのが一番なのだから、攻撃の矛が向くなら身を呈してでも守りたい


エール・ホーン
武器受けやフェイント、見切りを使いながら
地道に力を蓄えていく
大きな一撃を与える為に

いざという時には、彼らの力を借りようと思っていた
だってされるがままなんて、ボクだったら悔しいと思うから
(悔しかったから。大事なものを守れないのは、とても、とても)

でも、傷ついた彼らに戦えというのは酷なのかもしれない
【ボクらの友情物語】を使うのは
彼にその意思があると感じた時だけ
その時は背に乗って空を翔ける
きっとボクよりもうんと高く、早く飛べる
怖くないよ、守るっていったでしょう?
どんな時もボクが君を庇うから
――今だ。と思った瞬間に
光の残像を使って最大威力で剣を奮う

君と一緒なら
こんな強そうな敵だって負ける気がしないね


ロシュ・トトロッカ
星降鳥が無事でよかった…
でも安心するにはまだ早いね
大丈夫、このまま守りきるよ!
ぼくたちがいる限り、ここは通してあげないんだから!

スカイステッパーで空を駆け上がり
相手が飛んでる時も遠慮なく一撃、当てにいくよ!
ガチキマイラで腕を変化させて噛みつく
届かなくてもめげずに相手の動きを見てもう一度!
狙えるなら翼を狙って見る
うまく飛べなくなれば他のみんなも攻撃しやすくなるかも!
ワイバーンが弱ってきたら
思い切って相手の頭上まで飛び上がって
上からの攻撃も狙ってみる
届けぇ――!

痛いのは苦手だし、振り下ろされる爪にはひるみそうになるけど
でも、守るためならこのくらい平気。負けないよ!

※アドリブ・絡み歓迎


ジゼル・スノーデン
【WIZ】で

やっときたか
わたしたちを最初から狙ってくれるとは潔いな
では、あとはあれを倒して。星を守ろう

カノープスを継続召喚
できれば風で、赤き竜のバランスを崩して、地面に叩き落としてやりたいところ
それは無理でも、風の力で主に翼を狙った攻撃をさせる
途中、私たちを無視して村を襲いに行こうとするなら、【注目を集める光】でこちらに惹きつける。行かせるものか

星は諦めるんだな
お前があれを欲しがって足掻くたび、わたしたち猟兵の牙がお前を阻むだろうよ
そっとしておくべきものを食い散らかそうとすれば、報いもあるということだ


サフィリア・ラズワルド
POWを選択

私も竜騎士の端くれ、竜言語(ドラゴンロア)は理解できるし話せる

竜言語で『配下に手伝ってもらわなきゃ獲物も狩れないの?そんな奴が強いわけないよね』と挑発して【存在感】をアピールします。敵の攻撃に【空中戦】と槍で応戦しつつワイバーンダイブの準備に動いたところで地面に降りて攻撃が始まったのと同時に【白銀竜の解放】でドラゴンになり真上に向かって青い炎を放ちます。

『貴方に謝らなきゃ、私も狩りを手伝ってもらってるの、でも貴方と違うのは皆は配下じゃなくて仲間だということと全員がとっても強いってこと』

アドリブ歓迎です。


エトワール・フィラントゥ
*戦闘
引き続き陽動役として駆け回ります
他に陽動の方がいれば近過ぎず離れ過ぎずで協力して
皆様の援護はお任せを

【身だしなみチェック】で毛並を整え
予測がお得意ならそれを利用し
【グラフィティスプラッシュ】で足元で注意を引いてみます

ご立派な翼と尻尾、
もっとツヤキラな鱗にしては如何でしょう

沢山動いて撒いて…避けられても、それで
当てるだけが方法ではありませんの
キラキラ塗料ちゃんはエトワールに勇気と元気をくれるのです
※お掃除は後で責任持ってします、っ

急降下は反撃チャンス?
良く見て、勘でも見極められるなら
爪は避けるか武器受けで
衝撃波は吹き飛ばしで対抗を

空を渡る翼がなくても
光求める声あれば
どこ迄も、駆けつけますわ



 落ちた星の無事に安堵するも束の間、飛来するその竜。

 ――ここで潰さなきゃ、他の子達まで襲われちゃう。

 オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)は星喰らいの赤き飛竜を確と見据えた。
 ぐっと力を込めて三叉槍を握れば、火の粉に似た魔力が咲いて散る。駆け出した一歩は風に運ばれるように軽い。けれど、思考は澄み渡った水のようにどこまでもクリアだ。性質の違う三つの魔力が、彼女の中を流れ流れてその力を膨らませていく。
 けれど、まだ。まだだ。力はまだ解き放たない。もっと限界までとその力をその身に留める。
 そうして襲い来る星喰らいに、振るう三叉槍。その穂先が竜の尾を弾く。ガキンッ!と硬質な音がして、力負けしたオルハの体が後方へと吹き飛ばされた。幸いにも、積もったばかりの雪が転がる彼女の身を二度三度柔らかく受け止め大したダメージには至らない。
 外見通り、あの山神達とは比べのにならぬほどの強靭さ。互角というにはまだ、程遠い。けれども。
 ――その一撃にて、確かに掴んだものはあった。少女は、空へ戻ろうとする飛竜を見ながら、強く手にした槍の柄を握り締める。まだ巡らした魔力は放ってはいない。じわり、じわりとその力を溜め込み、次の一手へ思案を巡らせる。あの星喰らいをいかにして地へ落とすかの算段を。
 再度、地にいる猟兵達目掛けて突撃せんとした飛竜。だがそれは、視界に煌めく塗料に阻まれた。
 丹念にブラシで身だしなみを整え終わった、その黒く艶やかな毛がふわふわと揺れ踊りて。エトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)が雪のキャンバスに、まるでモップがけをするかのように描くその煌めく彩り。動く竜の足元へ、そして少しでも高度が下がればその尾と翼へ。素早く少女が色を撒く。上空より白き地面を見渡す竜にとってみれば余りにも目障りな色とその少女の動き。
 痺れを切らし、小さな体を塗料ごと吹き飛ばさんと竜の尾が振るわれる。強く叩かれた雪が、まるで小規模な爆発を起こしたかのように辺りに飛び散った。
「ご立派な翼と尻尾、もっとツヤキラな鱗にしては如何でしょう」
 だけどもそれは、小さな黒い星を吹き飛ばすには至らない。悲鳴の代わりに提案かけて、キラキラと塗料が舞う。寸でのところで尾を引いた竜が警戒するかのように上げる唸り声。幼き猫人の動きを、確かに上から読み切っていた筈だった。なのに何故、当たらない。
「当てるだけが方法ではありませんの」
 そう、キラキラと輝くこの塗料は攻撃だけをするものではない。それは少女に巨大なものへと立ち向かう勇気を、そしてより素早く動いていける元気をくれ大事なもの。
 これが終われば責任もってお掃除をしなければ。ほんの少し汚すことへの罪悪感を抱えながらも、彼女の攻撃は止まらない。
 それに対し低く旋回して回り込もうとする飛竜。立塞がるのは黒き星と対照的な白い人影。エール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)は星空に棲まう天馬の力持つ剣でその飛竜の道を遮った。
 ふるわれた剣から放たれる光。それから逃れるように上昇した飛竜の動きにも油断せず、両手で剣を握る。今、全力持って振りぬく為ではない。その力を使う時を見極めんと、その薔薇色の目の奥に力を溜め続ける。
 彼女の後ろにいるのは、傷つけられ、その命を奪われんとしていた彼ら。
(悔しかったから。大事なものを守れないのは、とても、とても)
 一方的に奪われてしまう。その歯がゆさを、エールは知っている。
 だからこそ。彼らの意思を無視し、共に戦って欲しいなんて言えやしない。
 上から振りかぶられた大きな爪を、剣でいなす。大丈夫、戦える。そのための力を、自分だって、そして仲間だって持っている!
 ――気に入らない。小さな弱き生き物の分際で竜種へ歯向かうなど、到底気に食わぬ!
 怒りに任せ、大きく吠えて振り下ろされんとする竜の前足。それを横から紫銀が穿った。エールを狙った一撃の狙いは見事に外れ、元は山神だった岩を砕く。
『配下に手伝ってもらわなきゃ獲物も狩れないの? そんな奴が強いわけないよね』
 竜言語、ドラゴンロアと呼ばれるそれを流暢に口に乗せながら、サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)は竜殺しの槍先を竜へと向ける。
 鱗の翼に大きな尾。そして頭部に生えた角が語らずとも示す。彼女が何であるかを。だが、飛竜はその叡智にて識る。彼女は竜であるが、己達とは違うのだと。それを識ってしまう。
『ほざけ! 出来損ないの擬き風情がッ!』
 鼓膜震わすその侮蔑混じりの罵倒を、明確に聞き取れたものが、竜騎士が彼女の他に居なかったのは幸いといえただろうか。
 構わずに鋭く飛んだ少女のなびく髪と槍が、空へと銀描く。しかし竜と人の体格差で戦うには少々荷が重い。槍と爪で競り合っても、ぐっと力をかけられては容易く押しのけられる。けれども地上からも攻撃は止むことはない。オルハの三叉槍が、エトワールのキラキラ塗料ちゃんが、エールの剣が。それぞれが、それぞれの位置で竜からの攻撃を防いでは仕返しにと小さな攻撃を繰り出していた。
 彼女らと、飛竜。
 防ぎ、躱し、跳ねて、飛んで。互いに道譲らぬ攻防戦。
 攻撃は効果が薄そうであれば意味が無いか?
 否。次に繋げられるのであれば、それは立派に意味を持つ。

 ごぼり、と白く雪が動いた。

 竜の飛ぶ先を塞いで作った一つの道。潜んでいたのは巨大な九頭龍。彼女らはその姿を見てぱっと道を開けた。雪にも負けぬ真白の体をうねらせて、牙並ぶ顎は九つ。口を開けばそれぞれが鋭い牙で、星喰らいの体へ突き刺さんとする。だけれど――ほんの少し間に合わない。逃れるように身を捻りて空へ帰らんとする竜の翼に、それは掠める程度に終わってしまう。牙と牙がぶつかる音が雪中に響くが、負けじと首を伸ばして飛竜の足へ、尾へ喰らいつこうと首を伸ばす。
「あの竜が親玉ですね……」
 雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)の眼鏡の奥、青い瞳が悔しげに空を見上げる。旋回しながらも、こちらの様子を伺う赤き姿はそこにあった。
 呼び出していた九頭龍からも、先程の戦闘からの疲労が色濃く滲み始めている。いくつかの首は毒持つ飛竜の尾や鋭い爪の後ろ足に打たれ、今にも地へと伏しそうなほど。
 その痛ましい姿にいつきは歯噛みする。けれども、まだ諦めるわけにはいかない。
「村の人達も、星降鳥達も、絶対に守るって誓ったんです!」
 その叫びに答えるようにして九頭龍が力を振り絞ってその九つの首をもたげる。動かせば痛むであろう大きな口をあけ、そこから放たれるは全てを押し流さんとする水流のブレス。好き勝手な真似などさせてなるものか。術者の意志を乗せ、それは右側の翼へと強くぶち当たる。
 ぐらりと、空中でその身を揺らがせ、けれどもまだ地に落ちぬその飛龍の姿。そこへ一陣の風が強く吹きつけた。
「わたしたちを最初から狙ってくれるとは潔いな」
 光る体をゆらりと揺らしながら、ジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)のカノープスが飛竜が体勢を整えんとするのを妨害する。そのクラゲの揺れる姿からは考えられぬ程の強い風が、右から左、またその逆から。決して止まず、絶えず。隙あらばその翼を切り裂かんと、鋭さを持って吹き荒れる。
 さあ落ちろ。お前の道はこの地にある。
 導を灯す彼女が示すはこの大地。翼を正しく広げることも叶わず傾いた赤色が、バランスを欠いたままその高度をぐっと下げた。
 そこへ届けと、空気を蹴って翔け上がる南国の風。
「ぼくたちがいる限り、ここは通してあげないんだから!」
 空を泳ぐように跳ぶロシュ・トトロッカ(マグメルセイレーン・f04943)の腕が音を立てて獣のものへと変わっていく。その強靭な前足が、竜の足を強く掴んで離さない。硬い竜麟を爪が貫き、骨が軋む。その痛みから振りほどこうともがく飛竜の翼を、逃さずカノープスの風が貫いた。翼が空気を叩く音に、雑音が混じりて赤が傾く。
 狂ったように振り回される尾に殴られぬようにと、より強くしがみつくロシュ。先程の星が無事で良かったとは思うものの、今ここで飛龍を倒さなくては心からの安心など出来ようも無い。
 大丈夫、このまま守りきってみせる……!
 彼がその思いを胸に獣の腕に力を込め、竜の足をへし折らんとしたとの時だった。

 地へと落ちつつあった竜の喉から、今までと比べ物にならぬほどの叫びが発せられた。

 それは強い衝撃を伴って周囲へ撒き散らされ、雪を、岩を、そして猟兵達を巻き込み爆風を起こす。あまりの威力に、皆が攻撃の手をその瞬間止めてしまう。何より至近距離でその声を聞いたロシュはその手を竜の足から手放した。宙を蹴って雪の大地へ落下する事はなんとか防いだが、竜は遠く空の上。
 離れて戦っていたお陰か、村を巻き込まずに済んだ。けれど、まだ誰しもその衝撃から立ち直ってはいない。そんな猟兵達を見下ろして、嘲笑うかのように飛竜が羽ばたき、その視線を村の方へと遣る。
 ――だめだ、このままでは……!
 よぎる不吉な未来を塗り替えるように、希望に満ちた朝焼けの光が差した。
「君が生きるための行為を阻むのは、野生の掟からみたら、ひどいことなのでしょう」
 助けた星を送り届けた際に、決して外に出ないようにと注意喚起を促していたあわいを宿す宝石娘。より村に近い所からは離れず、星達の守護に努めようとしていたお陰か、先ほどの衝撃波の被害は少ない。その彼者誰・晶硝子(空孕む祝福・f02368)の内より発せられる美しい光。しあわせあれ、とまるでさざめき歌うようにして願われる光。それは数多に散り、しかして猟兵達の傷を見る間もなく癒してく。
 食べる事は、生きる為の糧。
 ならば飛竜が星達を喰らう事も、きっと自然の摂理。
 けれど人の情は、それをただ受け入れる事は出来ない。例え天秤の傾きが平行では無いと知っていても、それに抗わない事は出来ない。
「こちらも譲れないの……ごめんね」
 そっと零された煌めきはその光を増して溢れ出る。一度に多くの人を癒そうとするのであれば、その疲労は逃れられない枷となって晶硝子の背に乗った。重くなる体を気力で支え、仲間達の負った傷を全て癒せと照らし続ける。山神達からあの星を確かに救えたように、今度も誰ひとりとして零しはしまいと。
 ならば、癒しの力が巡り切るその前に殺してしまえと竜は飛ぶ。癒し手を、村を、星々を。全て潰していまえばいい。その上で己は生きるのだと。破れた片羽だって、食べて、眠って、月日が経てば癒える筈。猟兵達がその身を起こす前に、皆殺してしまえと飛竜は滑空する。
「行かせるものか!」
 立ち上がりながら、ジゼルが叫ぶ。
 カノープスから飛竜へと、光の道が照らされる。飛ぶ道筋を、向かう先を刻み込む導の灯。朝焼けの中を飛んだそれは、飛竜の目を確かに焼いた。
「星は諦めるんだな」
 例え生きる為だとしても、何かの命を奪おうとするのならばその報いはある。手下である山神を倒された時点で、竜は星をそっとしておくべきだった。それを食い散らかそうと足掻くのならば――守護者たる彼女が、そして猟兵の牙がそれを阻むだけだ。
 朝焼けの癒しの光が全て行き渡ると同時に、カノープスが放つ光が風に変わる。けれどまだ、揺らぐ竜の巨体を地に落とすには至らない。だが、最初の勢いを失っている事は、誰しもが見て取れた。
 ならば、もう一度。
 青いその瞳は光を失わず、空と赤色を映し。ロシュが再び空へと跳ぶ。高く、高く、飛竜の頭上へと泳ぎつかんとその跳躍は前回よりもずっと早く。
「届けぇー!!」
 二度目の獣の腕が、飛竜の喉へと噛み付いた。

 これでもう竜はその恐ろしき声で空気を震わす事は出来ない。

 けれども、それ以外は未だ健在。枯れた音を鳴らす喉を振り、ロシュを振り払うと急降下を始める。最早その瞳に理性はなく、怒りに濡れて猟犬達への憎悪のみを滾らせている。
 そこへ薄桃がかった金糸が間合いを詰めた。構えた三叉槍を握りしめたオルハが大きく薙ぎ払う。だけどもそれは何の手応えも彼女に伝えず空を切った。その一撃を浴びぬ為に、ほんの少し動きを鈍らせた竜。その瞳が、少女の緑の瞳とかち合う。
 芽吹きの色は、何一つ冷静さを失ってはいない。
 そう、全ては承知の上。
 体を捻り、ずっと溜め込んでいた力を持って、己の獲物を全力で投擲する。それは滾る炎の熱さをもって、流れる水のように宙を舞い、そして鋭き風をきり――竜の目を貫いた!
「お願い!」
 どうか此の隙に。その声で飛んだのは竜の少女。内に秘めた力を解放し、その血に目覚める。長く使えば人の命は終わりを迎え、いずれ竜となり、人でなくなるのだとしても。
 ――擬きと言われても、私は私。
 白銀の鱗持つ一匹の竜へと変化した彼女が上空より炎の吐息を吐きつける。その熱に身をよじる飛竜へ、少女の声が降る。
『貴方に謝らなきゃ、私も狩りを手伝ってもらってるの、でも貴方と違うのは皆は配下じゃなくて仲間だということと全員がとっても強いってこと』
 最早それに答える術など持ち得ない。よろめき、それでもその矜持が許さぬのか地へとまだ落ちぬその竜へ、地より吹き出た鎖の群れが迫り来る。
 一体どこからと、その半数を回避した飛竜は視界を巡らせた。そこには、地に霊符を押し付け術を展開するいつきの姿。
 煮えた頭を埋め尽くすのは、ただただ邪魔するものを切り裂いてやるという破壊衝動のみ。だから二度目の鎖は避けきれず、遂にそれは地へと墜つ。
 けれどまだ終わりでは無い。
 強者としてか、それとも飽くなき生への執着か。例え地に落ちようともその目をギラつかせ、太い尾を振り回し、鋭い爪と牙を近づくものへと突き立てんとする。
 ギチギチと魔術の鎖が音を立て、飛竜の力と拮抗する。
 ――星の声がエールへと聞こえたのは、その最後の時だった。
 ぱっと村を振り返る。確かに感じるその意思に、呼ぶ。
「さあ、行こう?――ボクと一緒に」
 大丈夫、怖くないよ。
 約束を決して違わないその想いに、友は応じた。
 現れた白き星。それは昨日エールと遊んだ、約束をした子。大きく白い翼を広げ、その背に少女を乗せ。高く早く彼は飛ぶ。

 さぁ、これこそがフィナーレ。今こそ終幕の時。

 彼女が振るった天馬の剣が、光の残像を最大威力で放ちて。星喰らう赤き飛竜の命を終わらせた。

●また、春の日に
 高く、高く。背に友を乗せた星が飛び上がって勝利をうたう。
 その声を聞いた他の星たちも空へと飛び上がり、少し遅れて村人たちが、わっと飛び出してくる。お疲れ様、有難うと口々に告げるその声に猟犬たちは迎え入れられる。
 冬の晴れ空。青い空を舞う星々も、村人たちの笑顔。
 全て零す事なく守りきったその誉。
 さぁどうぞ、と暖かなスープが振舞われ、各自がその疲れを癒していく。
 飛んでいた鳥たちも暫く後に降りてきたならば、その感謝と愛を暖かくふんわりとした羽毛で皆を包んで伝えた事だろう。

 エトワールは綺麗さっぱり、雪に塗った塗料を剥がして一息つく。
 また白くなった雪の大地。そこにポツリと佇む小さな黒い星の側へ、一つの星が舞い降りた。礼を告げるように鳴くその子へ、彼女はにこやかに笑いかける。
 例えこの身に空を渡る翼が無かろうとも、光求める声があるのならば。どこ迄も、何処へだって。必ず駆けつけますわ、と約束を交わす。

 ――いつか、いつか、また会いましょう。
 ――世界が違うのだとしても、結んだ友情はきっと解けはしないから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月17日


挿絵イラスト