2
アースクライシス2019④〜ビキニアーマー×2

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #マスター・ビキニアーマー #マイ宿敵

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ヒーローズアース
🔒
#戦争
🔒
#アースクライシス2019
#マスター・ビキニアーマー
#マイ宿敵


0




「みんなー集まってくれてありがとー!」
 君たちにお礼を言ったレティエル・フォルクエイン(オラトリオのサウンドソルジャー・f15293)は、ジャスティス・ワンさんからのお話はもう聞いてるかなと問うた。
「ヒーローズアースの世界が大変なことになってて、モニュメントバレーでは突然現れた洞窟から『神鋼の鎧』を装備したオブリビオンさんが現れたんだよ」
 この鎧は鋼神ウルカヌスの授けたものであり、敵はセンターオブジアースから地上に送り込まれた刺客なのだそうだ。
「それでみんなに倒してきて欲しいのは、黒いビキニアーマーの上からビキニアーマー型の『神鋼の鎧』を身にまとったおじいさんのオブビリオンだよ」
 その名をマスター・ビキニアーマーと言う。ビキニアーマー格闘術を極めた老武闘家で、生前は弟子思いの高潔な人物だったと言うもオブリビオンとしてよみがえったことで変質、今は戦いと強さをだけを求める修羅でしかない。
「しかも、そこに『神鋼の鎧』の力が加わるんだよね」
 この鎧は聖地であるモニュメントバレーの中ではあらゆる攻撃への超耐性を持ち、物理的な攻撃はおろか、悪口などの精神攻撃や、毒やガスさえも遮断するのだとか。
「あ、勿論完璧って訳でもないよ。耐性であってまったく効かない訳じゃないし、鎧の持つ護りの力にはどこかに必ず隙間があるみたいだから」
 ビキニアーマーとなれば一見隙間だらけどころか保護している場所の方が少ないが、それはあくまで鎧としての話。隙間以外の一見肌をさらしている場所も魔法的な力で保護されているらしい。
「それでね、このおじいちゃんの鎧の隙間、力の及ばない場所は、背中。ポールアクスの柄が接してる部分がそれに当たるみたい」
 上から鎧を装着すれば鎧が邪魔でポールアクスが外せないことを鑑みると、納得がいく場所のようにも思える。
「ポールアクスが邪魔だって思うなら、その辺りは問題のおじいちゃんに話して放ってもらうのが一番簡単かなぁ? このおじいちゃんビキニアーマー格闘術に強いこだわりを持ってるみたいだから、話の持って行きよう次第では自分からってこともあると思うよ」
 もちろん、ポールアクスごと破壊するつもりで攻撃してもらっても一向に構わないが、この場合、ポールアクスに当たることで一部の例外を除き威力の減退は免れないだろう。
「強い相手がさらに強くなるって言うのは厄介だけど、レティちゃんもしっかりサポートするから、どうかよろしくね」
 ぺこりと頭を下げると、レティエルはそのまま君たちを送り出すのであった。


聖山 葵
 うん、二枚重ねって最強に見えますよね。

 という訳で、今回もビキニアーマー格闘術を極めたオブビリオンと戦っていただくお話の模様です。


 このシナリオフレームには、下記の特別な「プレイングボーナス」があり、これにのっとった行動をすることで、戦いに有利になります。

=============================
 プレイングボーナス……どこかにある「鎧の隙間」を狙う。
=============================

 では、ご参加お待ちしておりますね。
114




第1章 ボス戦 『マスター・ビキニアーマー』

POW   :    ワシにうぬらの強さを見せてみせい!
【後の先の構えを取る自分 】に変形し、自身の【背の武器を使わないこと】を代償に、自身の【防御力と回避率およびカウンター攻撃】を強化する。
SPD   :    堅牢鉄壁・真・アーマー・ビット
自身が装備する【ビキニアーマーのパーツ 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    ビキニアーマー格闘術最終奥義『鎧包解脱求道拳』
【カウンター攻撃 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【光り輝く拳型のオーラ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。

イラスト:しゃかむに

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミュリエル・フォルクエインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティアナ・スカルデット
※絡み・アドリブ・連携歓迎

【POW】
伝説のマスター・ビキニアーマー
ビキニアーマー格闘術を極めし武道家
ビキニアーマーを纏う者として
どこまで力が及ぶかわかりませんがお手合わせ願います
戦闘を始める前に一礼
直接な指導は受けておりませんが
受け継がれている格闘術は学ばせてもらっております
背中の大剣は抜かずに拳で対峙
『駆け抜ける嵐』を発動させて風を身に纏い戦闘力を増強
これがわたしの強さ
一気に飛翔能力で間合いをつめ
正々堂々と正面から拳と拳で語り合う

敵も弱点は把握してるみたいで
なかなか鎧を隙間を狙わせてもらえませんね

UCの効果が切れて戦闘終了
参りました

戦闘後に一礼
直接なご指導ありがとうございました



「伝説のマスター・ビキニアーマー」
 それが目の前にいるビキニアーマー格闘術を極めし武道家へのティアナ・スカルデット(ロンズデーナイト・f11041)の認識なのであろう。
「ほう、ワシを知るか」
 洞窟より飛び出し、腕を組んだまま立ち尽くしていた老武闘家はティアナに向き直ると少しだけ興味を覚えたらしく眉を動かし。
「ビキニアーマーを纏う者として、どこまで力が及ぶかわかりませんがお手合わせ願います」
「ふん、礼などまどろっこしぃと言いたいところだが、よかろう」
 一礼するティアナへ顔をしかめながらも、そこは戦いと強さを求める修羅。相手が現れたならその気をそぐこともなかろうとでもいうかの様に合わせて礼を返す。
「さぁ、かかってくるがいい。ワシにうぬの強さを見せてみせい!」
「はい。――幾億の星がさまよう蒼く果てない宇宙(ソラ) くもらせてゆく闇の彼方 凍り付くような強い風さえ その胸に輝く夢を消したりさせない」
 礼が終わるなり即座に後の先の構えに移行した老武闘家の声に応え、ティアナはアネモストロヴィロスから発生する風で全身を覆うと、参りますとだけ告げて地を蹴る。
(「これがわたしの強さ」)
「くっ」
 背に負う大剣は抜かず、拳を握り固めたティアナが得た飛翔能力により急加速、想定外の速さで距離を詰められたオブビリオンであったが、そこはビキニアーマー格闘術を極めし者。構えの助けも借りて、繰りだされた拳を弾き、いなす。
「拳、か。背の武器は使わぬのかと問うのは無粋であろうな?」
 その一点であればこの老武闘家も同じなのだ。
(「直接な指導は受けておりませんが、受け継がれている格闘術は学ばせてもらっております」)
(「と、言うことは馬鹿弟子共のいずれかの弟子か! されど、技の一つも学ぶ段階にないと見える!」)
 学んでいるなら、ビキニアーマー格闘術のUCを使う筈、と言うのがマスター・ビキニアーマーの見解であり。両者は無言ながらもまるで会話でもするかのように拳を繰りだしながら視線を交わす。
「それでワシに挑んでくるとは見くびられたもの、と言いたいところだが――」
 戦闘力を増強したティアナの拳は老武闘家が警戒するに値した。
「惜しい、ビキニアーマー格闘術の神髄を極めれば、どこまで上り詰めたものか」
 強さを求めるが故に。己と同じ技を使いこなすティアナの姿を想像したのであろう。
(「やはり弱点は把握済みですか」)
 一方、殴り合いながらティアナは顔をしかめていた。戦いの中に置いて無口で無ければ、なかなか鎧を隙間を狙わせてもらえませんねとこぼしていたかもしれない。
「っ」
 続く拳の応酬の中、単にいったん飛び離れただけでティアナが膝を突いたのは、ダメージと言うよりも他戦い続けた疲弊が理由であり。
「参りました」
「何?」
 唐突な降参宣言に老武闘家の眉が跳ねる。死合うつもりが中座で相手に負けを認められたのだ、無理もない。
「直接なご指導ありがとうございました」
「ふざけるな! ワシは稽古などつけた覚えはない! っ」
 最後まで戦えと殴りかかることができなかったのは、マスター・ビキニアーマービキニアーマーが感じ取ったからであろう。新手の出現を。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイ・アイオライト
ビキニアーマーってあれよね、アックス&ウィザーズにあるあの……っていうかそれ男が着る用に造られてないでしょ。
……ツッコんだらキリがないから早速戦いましょうか。

背中に弱点……一筋縄じゃいかなそうね。
まずは魔刀を構えて敵の攻撃は『見切り・第六感・早業』で回避、影のオーラで『オーラ防御』。
流石はビキニアーマーを纏ってるだけのことはあるわね……ってボソリと呟く。一方的に攻撃させてあげて、この程度の猟兵か、って思わせましょう。

得意げになった時が好機、【朧ナル潜影ノ従僕】は、敵の認知外から必ず攻撃するUC。後ろ、気をつけなくていいのかしら?
暗黒の暗殺者による背後からの『目立たない・暗殺』よ!


黒城・魅夜
ビキニアーマー格闘……
極限まで鍛え上げた肉体を武器に、さらに極限までの軽装で速さを担保した攻撃が真髄と見ました。
ですが、その素晴らしい格闘術を自ら裏切っていますね。
その斧です。それを武器にするなら、肉体だけでは戦えないという不信。斧の重みは速さを身上とする格闘術への背信。さらに、黒一色で統一されたあなたの中で、その銀の斧は色まで不調和。
さあ、その斧を捨てて、肉体だけで戦いましょう(誘惑)。

ビットを鎖の範囲攻撃で牽制、迎撃。
合間を縫って投げつけたカード、外したと見えましたか?
いいえ、それは、あなたが捨てた斧に反射跳弾し、あなたの背中を穿つもの。
防御力の落ちたあなたに止めの一撃を見舞いましょう。


甲斐・ツカサ
ビキニアーマー格闘術!を使うおじいちゃん!!
ビキニアーマー、斧と魔法の世界のコンテストで着た事があるけど、防具部分は少ないし、慣れてないと色々気になって動きがぎこちなくなっちゃうから、それを使いこなせるおじいちゃんは凄いよね!年の功だね!!(心の底からの本音)

悪口じゃなくて誉め言葉なら、ちゃんと聞いてもらえるかな?
でもホントにおじいちゃんは凄いと思うんだー!
だから、お互いに素手で戦おう!
オレも武器を放り捨てるから、おじいちゃんもね!

右拳に"風の指先"五指分を集中させて、真正面から!
でも、左拳の五指分は、分散させて背中を狙う!

離れた場所にも変幻自在に届く、それがオレの力、風の指先さ!


鈴木・志乃
…………えっ斧使う技なくない?
なんで斧背負ってんの?
えっえっえっ

いやだって斧背負う意味なくない? 使わないのに持つ意味ないじゃん
ああ分かった分かった、見た目そっちのが格好いいから持ってるだけだな
つまり斧は役立たず!ビキニアーマー格闘術とはなんの関係もない!
(第六感で相手の反応を見切り挑発を繰り返す。いや、実は単純な疑問も混じっている)

少しでも背中が空けば早業全力魔法UC
隙間から花火を突っ込んで焼き焦がす
念動力で花火押し付けてやろう……

ついでに油ぶちまけて着火してごうごう燃やせれば最高かな
必要あれば光の鎖で足払いを仕掛ける
オーラ防御常時発動


シズホ・トヒソズマ
※連携アドリブ可

持参したからくり人形2体(ヴァジラ姫と大帝巫)と操作糸を置き
徒手空拳で構えて
『お互い手持ちの武器は置き、拳で戦い合うとしましょう。ビキニアーマー格闘術とやらも、ぴっちりスーツヒーローの身として是非見たいですし』
と提案
人形の中にはリキッドメタルを仕込んでおきます

戦闘では◆グラップルを使った格闘で攻めつつもビキニビットや格闘をかわしつつ
後ろに退く位置を調整して、置いた人形らが敵の背中に来るように◆おびき寄せます

機を見てUCを発動
糸を使わずに動かした人形らの砲撃や符攻撃の◆一斉発射
ビットで止められてもその間にリキッドメタルを◆忍び足で進ませ
槍型にした液体金属で背中を◆串刺しにします


兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎

びきに……ビキニアーマー格闘術ってなんだ……???

え、この爺ちゃん何がどうなってそんな格闘術を…???
(未知との遭遇に思わずぽかん)


…はっ、茫然としてる場合じゃねぇ!
俺様は俺様にやれるようやるだけだ!
行くぞパル!

紙兎パルには【拠点防御・オーラ防御】で防御を頼む

「紙兎パル」の【念動力】で自身の動きを早くして貰いつつ
攻撃は【全力魔法】っぽく魔力の塊をビームっぽい感じに魔力放射!


隙を見て近づいた所で「紙兎パル」に協力して貰い【空中浮遊・ジャンプ】で背面へ
そこから背中へ【零距離射撃・全力魔法】なUCをぶつける!

背中の武器が有るなら、それごとぶっ壊しゃいいだけだ!
後の奴らも楽になるし!



「びきに……ビキニアーマー格闘術ってなんだ……?」
 兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)の頭をはてなマークの群れが飛んでいた。
「…………えっ、斧使う技なくない? なんで斧背負ってんの? えっえっえっ」
 老武闘家の背にある武器を見て先ほどの戦いを思い出し、軽く混乱するのは、鈴木・志乃(ブラック・f12101)。
「ビキニアーマーってあれよね、アックス&ウィザーズにあるあの……っていうかそれ男が着る用に造られてないでしょ」
 少し宙を見ていたレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)の平手が傍らの誰かを叩くように横に振られ。
「……ツッコんだらキリがないから早速戦いましょうか」
 短い沈黙を挟んで、レイが結論を出した直後であった。
「ビキニアーマー格闘……極限まで鍛え上げた肉体を武器に、さらに極限までの軽装で速さを担保した攻撃が真髄と見ました」
「え、この爺ちゃん何がどうなってそんな格闘術を……」
「ほう」
 放棄予定だったモノへ言及する黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)の言葉に、零時はぽかんとしたままであったが、不完全燃焼から不機嫌さを纏わせ立ち尽くしていたマスター・ビキニアーマーが初めて反応を見せる。
「ですが、その素晴らしい格闘術を自ら裏切っていますね」
「裏切る? 何が裏切るというのだ?」
 己が極めた格闘技をいったん認めておいての否定の言葉に、捨て置けない様子の老武闘家へと魅夜は再び口を開いた。
「その斧です。それを武器にするなら、肉体だけでは戦えないという不信。斧の重みは速さを身上とする格闘術への背信。さらに、黒一色で統一されたあなたの中で、その銀の斧は色まで不調和」
「そうそう、斧背負う意味なくない? 使わないのに持つ意味ないじゃん」
 魅夜の指摘に乗っかる形で志乃も疑問を口にし。
「ああ分かった分かった、見た目そっちのが格好いいから持ってるだけだな。つまり斧は役立たず! ビキニアーマー格闘術とはなんの関係もない!」
「さあ、その斧を捨てて、肉体だけで戦いましょう」
 答えを待たずして志乃が結論付け、反応を窺いつつ挑発交じりに断定すれば、魅夜は呼びかけ促す。
「ふっ」
「あ」
 短く笑った老武闘家の様子に方法は別ながら武装解除を狙った二人の試みの結果を先に察したのは、志乃であった。
「いかにも。これはワシが若き日に使っていただけの単なる記念品よ!」
 志乃の断定はよもやの大正解であったのだ。それはそれとして誘惑にも挑発にも動じた様子をほぼ見せないのは、神鋼の鎧が精神攻撃の類にも耐性と言う加護を与えているからであろう、だが。
「ビキニアーマー、斧と魔法の世界のコンテストで着た事があるけど、防具部分は少ないし、慣れてないと色々気になって動きがぎこちなくなっちゃうから、それを使いこなせるおじいちゃんは凄いよね! 年の功だね!!」
「む、それが解かるか!」
 続いた甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)の言葉には食い付きがまるで違っていた。偽りない本心からの言葉であったこともある。
「悪口じゃなくて誉め言葉なら、ちゃんと聞いてもらえるかな?」
 とも考えて居たようだが、まさにその通り。純粋な心からの称賛は精神攻撃ではないが故に鎧の耐性も全く意味をなさなかったのだ。先の二人の働きかけが参考になったのかもしれないが。
「でもホントにおじいちゃんは凄いと思うんだー! だから、お互いに素手で戦おう!」
 オレも武器を放り捨てるから、おじいちゃんもねと続け。
「そうですね。お互い手持ちの武器は置き、拳で戦い合うとしましょう。ビキニアーマー格闘術とやらも、ぴっちりスーツヒーローの身として是非見たいですし」
 これに持参したからくり人形2体と操作糸を置いたシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)が乗っかれば、よかろうと応じたマスター・ビキニアーマーは背のポールアクスをはずし、あっさり投げ捨てる。
「さぁ、死合うとしようぞ!」
「……はっ、茫然としてる場合じゃねぇ!」
 嬉々として呼びかける老武闘家の声で我に返った零時は地を蹴り。
「俺様は俺様にやれるようやるだけだ! 行くぞパル!」
 式神に呼びかけ、念動力で加速されつつも視線は構えたマスター・ビキニアーマーを捉える。
「一人では足らぬと見て数で押すか、それも良し」
 一方で老武闘家もツカサと零時を同時に視界に居れながら手を前に突き出し、円を描く。
「堅牢鉄壁・真・アーマー・ビットぉ!」
 マスター・ビキニアーマーの回す手の動きを追いかけるがごとく何もない虚空から生じたのは、夥しい数のビキニアーマーのパーツ。装備した品を複製するという性質に伴い、誕生した神鋼のビキニアーマーのパーツ達がすぐさま各々がでたらめの軌道を描き飛び。
「愚か者の骸を糧に咲き誇れ鋼の血華」
「えっ」
 ビットと化したパーツが狙ったのは、ツカサと零時のどちらでもない。カードを投げようとしていた魅夜は数多の鎖を放ち自らの間合いに入ってきたアーマー・ビットを迎え撃つ。
「背中に弱点……一筋縄じゃいかなそうね」
 人数では圧倒的に優位な猟兵たちに数多のビットと後の先の構えで抗す形を作り上げ、背を見せぬ様へレイは顔をしかめながらも魔刀を握る手に力を込める。
「どうした、小娘? うぬは来ぬのか?」
「仕掛ける隙を見せずに言うセリフ?」
 反論しつつも実際仕掛けられないのは、想定と齟齬があったからだろう。レイは当初マスター・ビキニアーマーに一方的に攻撃させ油断を誘うつもりだったが、この老武闘家の戦闘スタイルは後の先、つまりカウンターが主体の戦闘法なのだ。相手の攻撃を待つオブリビオンと攻撃させたいレイとで共に攻撃を待つこととなってしまった結果が、このお見合いの状況である。
「うぬ一人なれば誘いの隙を作ることも出来ようがな、今のワシはうぬ以外の相手もせねばならん!」
「次は私の番ですよ! やあっ!」
「はぁっ!」
 不本意なのは老武闘家も同じか。
「流石はビキニアーマーを纏ってるだけのことはあるわね……」
 自身と会話しつつもシズホから繰り出された攻撃を弾くさまを見せられて、レイはボソリと呟き。
「迂闊な奴よ! 往けぇっ、アーマー・ビットぉ!」
「させないぜ!」
 殴り掛かったばかりのシズホ向けて嗾けたビキニアーマーのパーツ群目掛け零時が魔力の塊をビーム状にして叩きつける。
「ぬぅ、面倒な」
 一人でも数を減らしておきたい所を阻害され、老武闘家は唸るが気を散らしているような余裕は与えられない。弱点である背中を晒すのを待ち構えている猟兵がいることもあるが。
「いくよ、おじいちゃん! 海を渡って星を越え、風は刻の果てまでも!」
 右拳から見えない風を放つ形でツカサが仕掛けていたのだ。
「ぐうっ、うおおおっ!」
 それでもマスター・ビキニアーマーは不可視の風に反応し、腕を交差させることで風を受け止めた。
「ふ、ぬはははは、この程度ワシの守りを崩すには至らぬわ!」
 哄笑し腕を下ろし。
「後ろ、気をつけなくていいのかしら?」
「それはどういう、ぐおっ」
 怪訝な顔で忠告してきたレイに問う途中で、老武闘家の背中に炸裂したのは、ツカサの放った左手分の不可視の風。
「離れた場所にも変幻自在に届く、それがオレの力、風の指先さ!」
「ぐ、ぬかった。後ろとはこれのこ……っ」
 呻きつつ聞き返そうとしたところで、今度は魅夜の投じたカードを身体を傾けることで躱す。
「油断も隙もない。ワシが手傷を負ったところを狙おうとはな」
「いいえ」
 すぐさまカードの軌跡を辿り老武闘家が問えば、魅夜は即座に否定を返した。
「それは、あなたが捨てた斧に反射跳弾し、あなたの背中を穿つもの」
「な……に?」
 マスター・ビキニアーマーが片手で己の背に触れ、微かに動きを止める。カードが突き立って出来た傷から流れた血が触れたのか、それとも。
「私の朧ナル潜影ノ従僕は、敵の認知外から必ず攻撃するのよ」
 忠告の際にレイが戦わせるべく喚び出した暗黒の暗殺者の手にした魔刀がその背へ今、突き立ったのか。
「ぐ、ぬ、うぅ、おのれぇ!」
 苦痛に顔を歪ませ、暗殺者の追撃を警戒して老武闘家が振り返るが、それは悪手であった。
「漸く背中を見せて私の出番ですか」
 ただこの時、少しでも背中が空くタイミングを待ち構えていた志乃は見逃さない。
「最後の想いを遂げて、おかえり?」
 全力で放たれた光の大花火は念動力で微調整されながら、突き進みマスター・ビキニアーマーの背へ命中した。
「ぐあああっ」
 身を焼かれ悲鳴を上げながらも身をよじり、老武闘家は前を向く。そのままでは他の猟兵達からも追撃を受けかねないと踏んだのであろう、だが。
「ありがとうな、パル!」
 この時、式神の助けも借りて大跳躍した零時は逆にマスター・ビキニアーマーを飛び越えて真後ろへ着地していた。
「背中の武器が有るなら、それごとぶっ壊しゃいいだけだ! が、無いならなお好都合!」
「しまっ」
 声で回り込まれたことを察すも再び振り向き直すには、遅すぎた。
「バカめ! 今までのはただのビームだ! ――そして、これから撃つのが本気の本気! 避けれるもんなら……避けてみやがれ!!」
「馬鹿な、ワシがこのような……ぐ、うぐわぁぁぁっ」
 回避も能わずモロに受けることになった老武闘家は吹き飛び。幾度となく地に跳ねながら転がって、何かにぶつかり、止まる。
「あら、凄い偶然」
 と口では言ってみたものの、シズホに驚きはない。戦いの中、最初に置いたからくり人形達であるヴァジラ姫と大帝巫がマスター・ビキニアーマーの後方へ位置取る形となる様に調整し誘導していたのだ。オブリビオンが吹き飛ばされて転がった先に人形達がお座りしていたとしても、不思議はなく。
「う、うぅ」
「貴方に意識と力を授けます、人形は操られるのみならず!」
 呻きながらも手をつき、起き上がろうとする老武闘家を見据えたままシズホは宣言し。
「まだだ、まだワシは、な」
 身を起こそうとしたマスター・ビキニアーマーは驚愕することとなる。操作糸の先に主人もないままにからくり人形達が動き始めていたのだから。驚愕に歪むオブリビオンの顔面に銃口が付きつけられて。
「終局ですね」
 人形達へ力を与えた負荷で口元からこぼれ出した血をしたたらせつつもシズホは笑顔を浮かべ。重なる銃声に倒れ込む符まみれの老武闘家は骸の海へと還り始めた。
「いや、仕込んでいたものは他にもあったんですけどね」
 再びただのからくり人形に戻ったヴァジラ姫と大帝巫に歩み寄ったシズホはリキッドメタルを回収すると、他の仲間達に振り返り言う。
「では帰りましょうか」
 と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月04日


挿絵イラスト