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アースクライシス2019②〜ファースト・ヴィジランテ

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #マニトゥ

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●ロサンゼルス、14番地区
 アトランティスの洪水兵器を操る『オブリビオン軍』と、国連軍・ヒーロー・ヴィランからなる『ロサンゼルス防衛軍』が戦いを繰り広げる中、14番地区は膠着状態を見せていた。

「フリーダムリーダーより、司令部へ! 援軍を要請する! 戦車かヘリをよこしてくれ!」
「お前らの担当地区は市街地だぞ、無茶を言うな!」
 兵士が無線にがなり立てれば、司令部から応答が返る。
「ヴィジランテが居るんだ!」
「ヴィジランテ……味方だろ?」
 無線から返ってくる言葉を兵士は否定する。
「違う、ファースト・ヴィジランテだ! オブリビオンだ!!」
 兵士の向こうには紫のマスクにコートを纏った最初のヴィジランテが自警団気取りのオブリビオンを率いて立っていた。
「ここは通さない、ヴィランを味方にする貴様らは敵だ!」
 信念とオリジン故、殺害も辞さない古き制裁者がストリートの中心に立ち、兵士へと言い放ちそして歩く。
「精霊は聞いている。昔、そうやって諫められなかったかと?」
 兵士の後ろより声が聞こえれば、続いてロケット弾がファーストヴィジランテに向かって飛んだ。
「うむ、対戦車ロケットはやはり人力が良い」
「……マニトゥ」
 兵士の言葉にロケットランチャーを持ったネイティブのヒーロー、マニトゥが笑い、手に持った得物への視線に気づく。
「ああ、近所で買ってきた。レクリエーション活動の名目で」
「俺は……ヴィラン共を決して許さない」
 爆炎がストリートを包む中、怒りに満ちた声がする。
「精霊は言っている、時間稼ぎと雑魚どもの一掃の為にもうひと働きだと」
「決して!」
「後は猟兵に任せよう!」
「Never!!」

●グリモアベース
「ザ・ファースト・ヴィジランテ、最初の自警団。みんなには彼を止めてもらいたいんだ」
 グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)が硬い表情で猟兵達を見る。
「知っての通りロサンゼルスはオブリビオン軍とロサンゼルス防衛軍がライトニングにやっている。だけど強いオブリビオンを排除できるのは兄ちゃん達だけだ、だから頼むんだ」
 ホワイトボードには『ファーストヴィジランテ(つよい)』『マニトー(ヒーロー)』『国連軍(いっぱい)』と汚い文字で書き込まれた戦場のマップがある。
「この通り、防衛軍は他のオブリビオンと交戦しているから流れ弾が飛んで来たり、雑魚が邪魔してきたりする。大変だろうけど頭よく頼むよ」
 少年が時計をいじればグリモアが開かれる。
「それじゃ行ってきて。そして終わらせるんだヒーローだった男の話を」


みなさわ
 激情は時として人を盲目にさせます。
 こんにちは、みなさわです。
 今回はヴィランを憎む古きヴィジランテのオブリビオンとの決着を。

●戦場
 14番地区と呼ばれる通りのど真ん中です、戦場は広く動きに制限はありませんが、周辺で防衛軍とオブリビオンが戦っているので巻き添えが飛んで来たりします。

●ヒーロー、オブリビオン、そして勇気ある人々
 ザ・ファースト・ヴィジランテ(オブリビオン):今回のターゲットです。

 マニトゥ(ヒーロー):防衛軍にて戦うヒーローです。主に雑魚退治と支援射撃に終始します。

 国連軍(人々):防衛軍の兵士です。主に雑魚への攻撃を担当します。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『ザ・ファースト・ヴィジランテ』

POW   :    ネヴァー・フォーギヴ
自身の【ヴィランを決して赦さない狂気にも似た信念】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    センス・オブ・ヴィジランス
技能名「【事前準備】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    キリング・トロフィー
いま戦っている対象に有効な【これまで自身が殺害したヴィランのアイテム】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミハエラ・ジェシンスカです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アイム・ネヴァー・フォーガット・ヴィランズ

「マニトゥ! 虐げられし一族の末裔なら俺の信念を理解できるだろう」
 ヴィジランテの銃が吠えれば、ネイティブのヒーローの姿はそこにない。
「精霊は言っている、怒りにとらわれし信念は時として盲目となる」
 跳び上がり体重を乗せたトマホークの一撃を振り下ろせばオブリビオンは銃で受けとめ、腹に蹴りを叩き込む。
「怒りだと! 許せというのかヴィランを! 奴らが手を握ると思うか! 違う! 決して違う!」
「だが、現実は我々は手を組んだ。今を生きるために……ファースト・ヴィジランテ、例えヒーローでもオブリビオンは要らない。過去は口伝として未来に伝われば十分だ」
 激情のヴィジランテが立ち上がろうとしたマニトゥの顎を蹴る。
「No!!」

 I,m never forgot villains. Never……Never!!
「俺はヴィラン共を決して赦さない……決して、決してだ!」
 古き男の銃口が今を生きる男へ向けられた。
アリソン・リンドベルイ
【WIZ 庭園守護する蜂軍団】
…私はヒーローになれないから。だから、貴方のような信念を凄いと思うの…それは本当よ?
『空中浮遊』で立体的に移動。『地形の利用』で遮蔽に隠れて、流れ弾は緑指の杖を振るって『オーラ防御』で逸していくわ。
ーーーマニトゥさん、だったかしら。近づくことができたら『救助活動、奉仕、医術、かばう』で前に出て、身を挺して庇う。
……それでも、殺すよりも生かすことを。傷つけるよりも、癒やすことを私は望むわ。貴方の正義も信念も、私は否定しない。ただ、目の前の誰かを助けるだけ。
けれど…。『庭園守護する蜂軍団』の発動条件を満たすか否か、その上で問うわ。…貴方の怒りは、誰かの命より重いの?


フェルト・ユメノアール
ヒーローもヴィランも今は関係ない
多くの人を救いたいと思う気持ちは一緒のはず、そうだよね?

とにかくマニトゥくんを助けなきゃ!
流れ弾に当たらないよう姿勢は低く、二人の元へ一気に駆け抜けるよ!
雑兵は『トリックスターを投擲』して牽制
止まる訳にはいかない!足を狙って動きを止めて、捕まらないよう横をすり抜ける!

そこまでだよ!
投擲攻撃でヴィジランテを牽制、二人を引き離して本格的な戦闘を開始
投擲物の中に『ワンダースモーク』を混ぜ、相手の視界を遮った所で一気に連続攻撃を仕掛ける!
でも、それだけじゃないよ
煙に紛れて気づかれないように【SPアクロバット】を頭上に召喚
そのまま急降下による一撃を決めるのが本当の狙いさ



●プライス・オブ・ソウル

 14番街を二つのシルエットが舞う。
 一人は大地を走り、もう一人を空を踊る。
 地形を利用し、雑魚をダガーで牽制し、走り抜ける先に居るのは――マニトゥ。
「そこまでだよ!」
 フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)の放ったダガーをヴィジランテが撃ち落とす。
 直後、周囲は煙幕に包まれ、道化師の蹴りがオブリビオンを吹き飛ばした。
「邪魔をするか! 猟兵よ!」
「ヒーローもヴィランも今は関係ない!」
 フェルトが古きヴィジランテへ飛び掛かれば身の軽さを活かした体術でオブリビオンを翻弄する。
 その間にアリソン・リンドベルイ(貪婪なる植物相・f21599)が、倒れているマニトゥの傷を診る。
「……大丈夫よ」
「精霊は知っている、かすり傷だと。だが今は君達が戦ってくれ。人には旗を持ち、前に出る存在が必要なのだ」
 トマホークを拾い、ネイティブのヒーローは笑う。
「……」
「出来ないと思ってるのか? 大丈夫だ、精霊は言っている。マスクを被れば、誰でもヒーローになれると……今、君が為せることを成せ」
 マニトゥの助言にアリソンは頷いた。

 ヴィジランテが蹴りを放ち間合いを作れば、自警団気取りのオブリビオンたちが一斉に射撃する。
 フェルトがバク転を繰り返し弾丸の雨から逃れれば、次に立つのは白き翼の少女。
「……私はヒーローになれないから。だから、貴方のような信念を凄いと思うの……それは本当よ?」
 オラトリオが炎の如き信念で動くオブリビオンへ語り掛ける。
「……それでも、殺すよりも生かすことを。傷つけるよりも、癒やすことを私は望むわ。貴方の正義も信念も、私は否定しない。ただ、目の前の誰かを助けるだけ」
「ならば、ここを去れ、若き者よ。ドブのような悪党を排除し、お前達が出来ないことをするために俺は居る」
 高潔なる意志はオブリビオンとなった今でもヴィジランテには羨望であり、自らが血に汚れてでも守る物に変わりない、故にアリソンを拒む。
「けれど……」
 古き者の周囲を47匹の巨大な蜂が羽音を鳴らし、包囲する。
「庭園守護する蜂軍団の発動条件を満たすか否か、その上で問うわ……貴方の怒りは、誰かの命より重いの?」
 オラトリオの問いに答える前にヴィジランテが蜂に呑まれていく。
 その惨状を見守ろうとしたアリオンの眼に閃光と毒々しい煙が映り込み、蜂達が次々と地に墜ちる。

「ビーキーパーは良い養蜂家だった、蜂で人が苦しむ様見るのを趣味としなければ」
 ブーツが蜂を踏みつぶせは外骨格は潰れ、白い内容物で街を汚す。

 Price of soul.
「魂には値段がある」

「人の苦しみを餌にする者と高潔なる魂を以って人に施さん者の命は同じか……違うだろう?」
 コートを貫いた針から注がれた毒を防ぐために血清を腕に刺せば、薬剤を注ぎ棄てる。
 その姿にオラトリオは思わず目を逸らした。
「だからこそ、悪貨たる俺の命はヴィランを駆逐する。このガスで、銃で、あらゆる方法で……お前は去れ、ここにふさわしくない」
 ヴィジランテの言葉は狂えども、触れえないものへの尊敬があった。だからこそ……。
「……いいえ、私はここに居る! 目の前の誰かを助ける為に」
 アリソンの魂は強く輝く。
 それがオブリビオンの心の眼を潰し、一瞬の隙を生み出した。

「カモン! SPアクロバット!」
 上空より声がすれば、道化師が宙を舞い、全体重を乗せてヴィジランテを踏みつけた。
「ぐっ!」
 落下の重さも相まって膝が折れるオブリビオン。
 すかさずフェルトが身を翻して顎を蹴り、流れるように追い打ちのナイフ――トリックスターを複数、投擲する。
「良い腕だ、若き道化師よ。だが所詮ガールスカウトだ」
 拳銃を引き抜き、全てのダガーを撃ち落としたヴィジランテが防衛軍に与する猟兵を称賛と皮肉のブレンドで返す。
「それでも結構! 多くの人を救いたいと思う気持ちは一緒のはず、そうだよね?」
「ああ、精霊もそう言っている」
 直後、ネイティブのヒーローが発射したロケットランチャーがヴィジランテを襲う。
 オブリビオンが走って爆風から逃れれば、待ち受けていたように道化師の白いステッキが顎を捕えた。
「多くの命を救うために彼女たちは戦っているんだ、ザ・ファースト・ヴィジランテ」
 フェルトの後姿を見て、ヒーローは呟き、兵士は武器を取って再び立ち上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

織部・樒

連携OK
ザフェルさん(f10233)と行動

お待たせいたしました、私たちも加勢します
それにしてもこれは……戦場が些か混沌としていますね

【高速詠唱】併用し、迅速に護法童子を召喚
ヴィジランテに向かう際は周囲の様子にも注意を払い
我々への流れ弾・雑魚の横槍は護法にいなしてもらいます
それが叶わぬなら【オーラ防御】【武器受け】を使い
錫杖にて受け流します
必要なら【火炎耐性】併用
ある程度邪魔が入らなくなってきたと判断したら
護法に合体してもらい、ヴィジランテへの攻撃をメインに
ヴィジランテの言動は可能な限り注意して見ておき
何らかの事前準備を始めたら此方も回避行動の準備
仲間にも声を掛けます


ザフェル・エジェデルハ
◎樒(f10234)と共闘
マニトゥには世話になったし、手を貸さないわけにいかねぇよな

【力溜め】をしつつ敵との距離を詰め、樒のユーベルコードの間から
奇襲するようにユーベルコードを撃ち込む
敵が不利な行動を取るのであればそれも逃さず利用する

敵の攻撃は【力溜め】と【武器受け】で防ぎ
防御成功後は【カウンター】から【鎧砕き】【部位破壊】を
最も攻撃の当たりやすいと判断した箇所へ仕掛ける

飛び交う砲弾やユーベルコード、雑兵の攻撃は
【第六感】で感知し、【オーラ防御】から【吹き飛ばし】て回避

街を守るヴィジランテだったんだよな…
信念が強すぎたが故のオブリビオン化だとしたら、不幸でしかねぇな
その因果を断ち切ってやる!!



●カース・アンド・エフェクト

 次にヴィジランテへと殺到するのは二人の若者。
 織部・樒(九鼎大呂・f10234)が高速詠唱から美しい童の姿をした神霊を呼び寄せている間に、ザフェル・エジェデルハ(流離う竜・f10233)が長柄の戦斧を両手に距離を詰める。
「護法! 頼みます」
 童子が護法の徒として一斉にヴィジランテに襲い掛かれば、竜の使い手に意識を向けていたオブリビオンは拳銃を連射しながら距離を取る。
「そこだ!」
 抜け出した先に回り込んだザフェルが斧を振るう。
 咄嗟、ヴィジランテが空を舞い、引鉄に力を込めた。
 ヤドリガミがオーラを込めた錫杖で、竜の若者が膂力を込めた斧で、それぞれ銃弾を受けとめれば、オブリビオンは空の弾倉を地面に捨て、新たな弾丸を装填する。

「お待たせいたしました、私たちも加勢します」
「マニトゥには世話になったし、手を貸さないわけにいかねぇよな」
「精霊は聞いている、タクシー来たなら紹介してくれないかと」
 ネイティブのヒーローが兵士から手榴弾を借り受け、銃を構えようとした自警団気取りの雑兵へと投擲する。
「貴様らも邪魔をするか」
 爆発音を背に、ヴィジランテは二人の猟兵を睨む。
「ならば、命を捨てる気で来い」
 戦いが始まった。

「街を守るヴィジランテだったんだよな……」
 護法童子と共にザフェルが斧を振るう。
 樒のユーベルコードが紡いだ童は梅雨払いとして、自警団気取りの雑兵の横槍を阻み、二人の背後を守り、戦いに専念させる。
「信念が強すぎたが故のオブリビオン化だとしたら、不幸でしかねぇな」
「不幸?」
 ヴィジランテが問い返すと同時に竜の使い手の懐に潜り込み、銃把をこめかみに叩き込む。
「これが不幸というのか!? オブリビオンであることが不幸なのか!?」
 続けざまに膝がザフェルの鳩尾を抉り、頭が落ちたところへ銃口を向け、撃鉄を下す。
「させません」
 すかさず樒の錫杖がヴィジランテの拳銃を叩き落し、銃声を響かせて暴発したピストルが地面を転がっていく。
「お前らに何が分かる……! 俺が知る以上の不幸を知ったとでもいうのか!」
 右手首を抑え、怨嗟の声を上げる古き男。
「知らねえよ」
 竜の使い手が斧を杖代わりに立ち上がり。ヴィジランテの腹を蹴って吹き飛ばせば、護法童子が合体し力を増して襲い掛かる。
「もし、教えてくれれば……いけない!」
 言葉を差し伸べようとしたヤドリガミが鼻腔につく独特の匂いに気づく。
「ガソリンです、逃げて!」
 瞬間、辺りが爆風と炎に包まれた。

「こんな炎の日だった」
 童子を焼き払い、拳銃を拾い上げ、ザ・ファースト・ヴィジランテが歩む。
「ヒーローなど居なかった、神など居なかった、そして法は無力だった……だから、俺がなるしかなかった」
 マスク越しでも伝わるのは狂気にも近い信念。
「その邪魔をするなら、ここで倒す!」
 煤だらけになりながら、二人の猟兵は互いの長柄を構える。
「それにしてもこれは……戦場が些か混沌としていますね……そして彼も」
 樒の言葉にああ、とザフェルが頷き
「それがあいつの心の中なんだろう――ならば」
 斧を構える。

 Cut off to Cause and effect
「その因果を断ち切ってやる!!」

 炎が踊る中、三つの影が走った。

 先を走るのは樒。
 護法童子を失い、頼るのは錫杖と術のみ。
 シャラン! と金属が踊る音が鳴り、杖が振るわれれば、ヴィジランテが銃で直接叩き落し、ヤドリガミの顔面に拳を叩きこむ。
 倒れ行く乳白色の髪に銃口を向ければ、その向こうより戦斧の刃が飛ぶ。
「貸しですよ」
「あとで返す」
 相棒の言葉にただ一言応えれば、ザフェルは足を踏み込み斧を持つ手を振りぬいた。
 防刃防弾のコートと言えど、衝撃は受けとめきれない。
 ヴィジランテが炎の向こうへと消えていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キリエ・ニール

…面白いじゃん
じゃあ僕は手数で対抗させてもらおう…か!

【ジャンプ】【空中戦】【衝撃破】の組み合わせ
衝撃波の多段噴射で空中を飛び回り、ワープ
壁キックと組み合わせ市街地を縦横無尽に飛び
【第六感】による察知で流れ弾を読み続ける

並行して数打から呼び出した刀剣の種類を打ち出す度に
ランダムに変更し、有効打になりうる刃を【学習力】で模索する

いくら有効なアイテムを出そうが…物量で押し通る!

…もし防御され切ったとしても、構わない
二段攻撃だってお手の物さ…255の刃が通らないのなら
僕の爪という刃を通す

【鎧無視攻撃】【手を繋ぐ】【串刺し】【カウンター】
刃幕と共に懐に飛び込み、手を掴み、義手の貫手
これで…どうだ!


栗花落・澪
★Venti Alaに風魔法を宿し
翼と合わせ【空中戦、空中浮遊】で低空飛行

Venti Alaは翼を狙われた時の保険
どちらかが無事な限り飛び続ける事が出来る
危ない時は障害物の影に避難し確実な接近を

【激痛耐性+オーラ防御】を纏い
砲弾は【聞き耳】で発砲音の方角とタイミングを聞き分け対処
UCは常に周囲を注視し発動の前触れを【見切り】回避
雑兵の妨害を受けないよう柔軟に高度変化

回避が難しい流れ弾は★爪紅の【投擲】で相殺

ボス戦は…事前準備が銃なら
縦横無尽に飛び回りながら【催眠歌唱】を響かせることで狙いをブレさせ翻弄
焦りは油断を生む
炎の【属性攻撃】と組み合わせた【指定UC】の【全力魔法】で
高温の輝きで攻撃



●インパクト・オブ・ザ・スカイ

 炎の中を転がる様に脱出したヴィジランテ。
 猟兵の攻撃は休まることはなく、煙を突っ切って飛び込んでくる二つの姿。
 キリエ・ニール(勘頼りの放浪者・f00824)が衝撃波で空を舞い、空気の割れる音と共に市街地を縦横無尽に動く。
 対するオブリビオンはビルの非常階段を駆けあがって高さのハンデを殺し、銃火を以って反撃を加えた。
「危ない!」
 叫ぶや否やキリエが数打から刀剣を投射して鉛弾を撃ち落とし、次には文字通りの剣雨の如き無数の刃で反撃する。
「ダストデビルを思い出すユーベルコードだな」
 忌々し気に呟けば、古き男は屋上を走り隣のビルへと飛び移る。
「そいつはどうなったの!」
 白い髪のスペースノイドが追随し問いかけると
「遠くより女を切り刻んで悲鳴を聞く趣味の奴と酒が飲めるか?」
 返答は鉛弾と共に来た。

 屋上に鎮座する何かを被せたキャンバスを手をかけた瞬間、ヴィジランテの鼓膜を何かがノックした。
「ぐっ……!?」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が浮上し、催眠を織り交ぜた歌声でオブリビオンを現実から引き離して翻弄し、炎を喚ぶ。
「これで銃の狙いはつけられない……そうよね?」
「銃?」
 ヴィジランテが声の主をとらえきれないほどの認識の中、キャンバスを引きはがし
「俺が、銃だけで戦っていると思うのか!」
 三脚架に取り付けたネットランチャーのトリガーを引き、錘を取り付けた巨大な投網を二人へ向けて放った。

「ダストデビルをどうやって殺したか教えてやろう」
 網に絡まり、錘によって大地へと叩きつけられた二人の猟兵を見下ろすように、古き男が手榴弾片手に口を開く。
「こうやって、網で捕えたのさ。魔法も化学もないなら今ある武器で代用すればいい、そうやって戦ってきた。そして」
 左手に持っていたそれを手放せば、無数の破片をばら撒くであろう爆発物は地に這う猟兵の元へと転がり落ちんとした。
「させない!」
 咄嗟、mキリエのソードが手榴弾を切断し、空中で爆発させる。
 衝撃波で網を吹き飛ばしたスペースノイドは再び跳び上がり、さらに刀剣の嵐を叩き込む。
「いくら有効なアイテムを出そうが……物量で押し通る!」
 数で攻めるキリエに対し、ヴィジランテは正確な射撃で、刃を撃ち落とし、真正面から圧倒する。
「防御され切ったとしても、構わない!」
 スペースノイドが真正面から飛び込んでいく。
 オブリビオンは両手で銃を構え、照準を合わせ意識を集中させる

「全ての者に――」
 ――故に、もう一人の存在、澪による間隙を貫いた一矢を許す。
「光あれ!!」
 全力で放たれた、炎を帯びた輝きがビル屋上を覆い尽くす。
 全身を高熱で焼かれ、落ちていくヴィジランテに刃と共にキリエが追随する。
 反射的に放たれる銃撃を刃で切り抜ければ、銃を持つ手を掴み、義手の指先を刃代わりに突き刺そうとする。
「まだだ!」
 スペースノイドの腹に灼熱感が襲う、腹への銃撃で貫手はオブリビオンの脇腹を切り裂き、両者は大地へと叩きつけられた!

 二人の戦いを澪は上空から見守っていたが、直ぐにキリエを助ける為に降下を開始した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セシリア・サヴェージ
ヴィランを……悪を赦せない、その感情は理解できます。私もヴァンパイアを赦せと言われたら拒否するでしょう。
ですが、あなたのその感情は暴走し世界を破壊しようとしている。
その暴走は、私が止める。

流れ弾、雑魚の妨害……その全てをUC【闇の魔力】で受け止め敵に投げつけます。
これは所謂牽制攻撃……本命はもちろん暗黒剣です。
【ダッシュ】で素早く距離を詰めつつ、敵の銃撃は【オーラ防御】もしくは【武器受け】で対処。
相手は格闘による接近戦も得意なようですが、打撃を受けても【気合い】と【激痛耐性】で怯まずに【捨て身の一撃】を与えましょう。


六条寺・瑠璃緒
妄執、だね
ヴィランよりも厄介な存在になってしまって…不憫だね

流れ弾や雑兵が煩わしいな
UCを使用
雑多な攻撃を回避がてら飛翔してヴィジランテの懐へ飛び込む
嗚呼、避ける必要もなかったっけ…まぁ良いや
「君もヒーローだったんだろう?これ以上其の名を汚す前に眠ると良い」
Requiemの血刃で斬撃を
そのまま正面から斬り結ぶと見せかけて、足元からNocturneで絡め取る
敵の攻撃は視界に入れたくないからオーラ防御
当たらずとも、間近で暴力を向けられるのは良い気がしない
…赦してあげるけど

「人を許さないと、君自身が赦されないんだ。云っても解らないだろうけど」
催眠術の様に言い聞かせながら、血刃で吸血と生命力吸収を


石守・舞花
倒すべきものを倒す。それが、あなたに残った信念なのですね
それであなたの気が済むなら、いしがみさんはあなたにとっての悪になりましょう

巫覡載霊の舞使用
神霊体になり、飛んでくる流れ弾のダメージを軽減しながら戦います
当たったらガチでやばそうなやつは連れているワニガメに防いでもらいます

戦法は刀身に衝撃波を圧縮したシンプルな薙刀術
腕や脚を狙って【部位破壊】してしまえば、いくらアイテムを出したところでまともに戦えはしないでしょう

この人の命を体内の神石様の贄とするために、戦闘中【生命力吸収】します
悲しい正義の味方さん。皆があなたを忘れても、あなたの命は神石様の中で生き続けるでしょう
だから……おやすみなさい



●コンヴィクション・ア・モア・デンジャラスエネミーズ・オブ・トゥルース・ザン・ライズ

 熱と刃で刻まれた痛みが視界を狂わせる。
 だが、立たなくてはならない。
 でないと――誰が、怒りを以ってヴィランへと立ち向かわなければならないのだ。

「ヴィランを……悪を赦せない、その感情は理解できます。私もヴァンパイアを赦せと言われたら拒否するでしょう」
「吸血鬼に家族を奪われたか? 教えろ、殺してやる」
 セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)の言葉を依頼と勘違いし朦朧とした意識の中、ヴィジランテは問う。
「ですが、あなたのその感情は暴走し世界を破壊しようとしている」
「殺し……夢を……見ていたか?」
 現実に戻ったオブリビオンが呟きそして自嘲した。
「その暴走は、私が止める」
「いいだろう、止めてみせろ。俺が全てのヴィランを狩りつくす前に」
 セシリアの言葉を真正面から受け止めれば、ザ・ファースト・ヴィジランテは弾倉を交換し、銃を構えた。

 砲火が響き、それに呼応するように自警団気取りのオブリビオン達がセシリアへと攻撃する。
 対抗するように防衛軍の兵士が牽制射撃に移るが、距離が遠く効果は薄い。
 しかし、暗黒を操る騎士には関係なかった。
 闇の魔力が銃撃を受けとめれば、質量の塊と変えてヴィジランテへ発射する。
 古き男が大地を駆け、人が居ない車を盾に逃れれば、それを追うように迫る影が二つ。
 咄嗟、銃で反撃するがオブリビオンの弾丸は神霊と化した二人を投下し、反対の建物のガラスを割った。
「君もヒーローだったんだろう?これ以上其の名を汚す前に眠ると良い」
 六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)のRequiemが刃となってヴィジランテへ迫れば、古き男は大地を蹴ってそれを掻い潜る。
「――!?」
 足に粘りつくものを感じたオブリビオンが足元を見た時には既に闇が足元に絡みついていた。
 楽曲をNocturneへと変えて
「音楽は聞くかい?」
 瑠璃緒が問えば
「火薬と血のオーケストラ程度だ」
 ヴィジランテは銃口を向ける。
 直後、その銃身の半分が失われた。

「倒すべきものを倒す。それが、あなたに残った信念なのですね」
 声の向こうには薙刀を構えた石守・舞花(神石の巫女・f17791)の姿。
「衝撃破砕ブレード……マスター・イアイの技だな」
 コートを翻せば、腰に差されているのは日本刀。
 影を切り裂き、そして薙刀の刃も受けとめる。
「俺が衝撃破砕剣を持ってないと思ったのか?」
 刃に込められた衝撃がぶつかり合い、激しい音を立てている中、舞花の手が伸びる。
「それであなたの気が済むなら、いしがみさんはあなたにとっての悪になりましょう」
「No!!」
 拒絶と共にヴィジランテが手を払った。
「望んで悪となるのか? 俺の為に悪となるのか? ふざけるな!」
 感情と共に刃を振るえば、それを打ち払う遠き未来の戦巫女。
「望んで闇に墜ちるのは俺だけで充分だ! 他の奴らを俺の道に行かせるか! その為に……その為に……」
 言葉に出るのは告解。
「俺はお前らが倒せないものを殺した」
「もう自分を赦してあげたらどうだい?」
 カウンターテナーを思わせる囁きが血の如き赤き刃と共に突き刺さった。
「……ぐっ!」
「人を許さないと、君自身が赦されないんだ。云っても解らないだろうけど」
 刃を通して、瑠璃緒が命を奪っていく。そして再び舞花の手がヴィジランテへ伸び、白い手が傷だらけの顔に触れた。
「悲しい正義の味方さん。皆があなたを忘れても、あなたの命は神石様の中で生き続けるでしょう」
「No……No……」
 それもまた命を奪う手。古き男から体温が奪われていきそして……
「だから……おやすみなさい」
「NO!!」
 振るった刃が全てを拒絶した。

「赦してもらおうとは思わない、心に残ろうとは思わない。あの日、あの時……俺は決めた」
 二人を振り払った直後、振るわれるセシリアの暗黒剣を日本刀で受けとめる。
「ヴィランにとっての怒れる恐怖となろう、奴らが闇に怯える時間を作ろうと」
「だったら、今振るっているのは何の刃なのです!」
 暗黒の騎士が刃を跳ね上げ、上段に構える。

 Convictions are more dangerous enemies of truth than lies.
「信念が真実にとって嘘よりも危険な敵になるのが分からないのですか!?」

 振り下ろされた暗黒の剣が白刃を叩き折り、ヴィジランテの左肩に食い込んだ。

 I will never forgive villains.never……
「俺はヴィランがしたことを決して赦さない」

 セシリアの腹を蹴り剣を引きはがせば、左肩を赤く染めてオブリビオンが立つ。

never!
「決してだ!」

 もう彼は信念と言う名の最も危険な敵でしかなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルネ・プロスト
ヴィランを許さないと宣いながら君が手を貸してるのはヴィランじゃないか
――君は一体『誰』の味方なんだ?

人形達は死霊憑依&自律行動
流れ弾や雑兵、敵の行動は森の友達に観測させる

敵UCの事前準備はルネのUCで運命の糸を通じて過去を観測、種を割るよ
可能なら運命の糸に干渉して事前準備の成果を台無しにできないかも試みる
無理でもルネ自身の運命を観測・干渉することで被弾率下げられるから無駄はないよ

ルネはナイトに騎乗して機動戦
諸々の回避はナイトのダッシュやジャンプで行う
ルネ達に照準つけられないよう戦場を駆け回り敵を翻弄するよ
攻撃はフェイントも交えつつ『悪意』による裂傷メインで
敵が隙見せたらチャージランスで敵を貫く


矢来・夕立

アイツみたいなの、一発で表現できる言葉がありますよ。
老害。
UDCアースの言葉ですね。
故郷にいたんじゃ“決して”知り得なかった概念です。

雑魚をゾロゾロ引き連れてきてくださってどうも。
お陰様で近づきやすいことこの上ありませんでした。
《忍び足》、【神業・否無】。

事前準備なんざ、ことが始まってからするもんじゃありません。
使える手駒がいない中で取る不利な行動も然り。
先に潰すなり、妨害するなり、無駄にさせてもらいます。
ただし一発限りですよ。暗殺ってそういうものですんで…

ウソですけど。

『牙道』で《だまし討ち》。
無策で退くとでも思いましたか。
傷の一つもくれてやらなきゃどっかの探偵に見せる顔が無いんですよね。


宇迦野・兵十

赫怒は強い。
強くて強くて、最後にはそれしか見えなくなる。
どんな国でもそれは一緒か。
ああ嫌だ。本当に嫌な話だ。

―危険地を【見切り】で回避して接近
 相手の攻撃は【見切り/武器受け】で捌き
 避けれない攻撃は【覚悟/激痛耐性】で受ける

弾丸驟雨の一騎駆けなんてのは戦場の華だが、
こんな街中でやるもんじゃないよ。

―ファースト・ヴィジランテの前で煙管を咥え、
 何気なく【コミュ力】で語りかけて

なぁ、お前さん。 

―【早業】で踏み込み、【戯事・灰落とし】

怒りも憎悪も悲しみも、それは今を生きる人のもんだ。
どんなに正しくても、死んだ人間がそれを振り回しちゃいけないよ。



●レイジ・アゲインスト・ザ・ヴィランズ

 自警団気取りのオブリビオン達が確保したビルへと、ザ・ファースト・ヴィジランテが大地と床を血で汚しながら駆け込んでいく。
 戦いには武器が必要だ、ここにはそれが確保してある……いや、これ自体が武器なのだ。
 転がり込んだ一室で応急処置をした後、再び銃を取ったヴィジランテが反撃に出向かんとドアに手をかければ、窓を破って宇迦野・兵十(きつねさん・f13898)が飛び込んできた!

 ――赫怒は強い。
 強くて強くて、最後にはそれしか見えなくなる。

 振り向きざまの弾丸を潜り抜け兵十は思う。
 どんな国でもそれは一緒であり、そして――
「嫌な話だ」
 狐は一足一刀の間合いに踏み込んだ。

「なぁ、お前さん」
 咥えた煙管から煙を吹きかければ、鯉口を切り、同時に撃鉄を起こす音が重なる。
「怒りも憎悪も悲しみも、それは今を生きる人のもんだ」
 抜刀した刃が防弾防刃加工の施されたコートを断ち切り、肉へ食い込む。
 そして臓腑へ届く刹那のタイミングで兵十の腹にも衝撃が伝わり、鉛が身体の中で暴れた。
 互いに立つこと叶わず倒れれば、狐は痛みに耐え、口を開く。
「どんなに正しくても、死んだ人間がそれを振り回しちゃいけないよ」
「だが……」
 先に立ち上がったのはオブリビオン。
「死者の想いを生者が背負うのは重い……だからこそ、俺は、今ここに居る」
 揺れ動く心の天秤を怒りで縫いつければ、ヴィジランテは部屋を出た。

「アンタみたいなの、一発で表現できる言葉がありますよ」
 階段を上る途中、背後より声が聞こえヴィジランテが振り向いた。
「老害」
 切り裂かれたコートの隙間を縫って矢来・夕立(影・f14904)の脇差が肋の隙間より腎を貫く。
「――ッ」
 激痛の余り、口は動くが息は止まり、言葉は出ない。
「違う世界の言葉ですね、故郷にいたんじゃ“決して”知り得なかった概念です」
 柄を捻って空気を入れようとすれば、裏拳がこめかみを打ち、眼鏡が吹き飛ぶ。
「――がぁっ!」
 獣の様な声を上げ、オブリビオンの胴を銀のような金属が包みこんだ。

Psy-nium
「精神感応金属……準備が良いですが、もう無駄でしょう?」

 夕立が脇差を拾い、懐の千代紙で紅を拭ってそれを見せる。
「だが暗殺は一回限り、そうだろう?」
 荒い息の中、ヴィジランテは銃を構える。
「ええ、そうです――とも!」
 影が動き、銃が火を吹く。
 夕立の右肩を鉛が貫き脇差を落とせば、オブリビオンの狙いは赤茶色の瞳が通る一点、眉間へ。
「ああ、これ……ウソです」
 影の騙りと共に紅が踊った。
 血を拭った千代紙は棒手裏剣に折られ、牙となって兵十が斬った腹へ刺さる。
「無策で退くとでも思いましたか」
 痛みを無視しヴィジランテの頭を掴めば膝を顔面に突き刺す。
「傷の一つもくれてやらなきゃ、どっかの探偵に見せる顔が無いんですよね」
「探偵気取りのヴィジランテなら知っている……まだ青臭い――か!」
 夕立の顎をオブリビオンの拳が打ち抜き、脳を揺らす。
 すかさず、ヴィジランテが銃を構えれば、影は既に闇に消えていた。
「……仕事をすませたということか」
 鼻血を拭い、過去の男は屋上へと上がっていった。

 屋上に居たのはルネ・プロスト(人形王国・f21741)。
「ヴィランを許さないと宣いながら君が手を貸してるのはヴィランじゃないか」
 少女の言葉が正しくオブリビオンの矛盾を刺す。
「――君は一体『誰』の味方なんだ?」
「誰の味方でもない、ヴィランの敵。人だろうがオブリビオンだろうがヴィランは全て殺す」
 ヴィジランテが銃を構え、ルネが人形を繰る。
「――とらえた!」
 先に動いた人形遣いが十糸を介して運命の糸に干渉し先手を奪おうとした時、脳裏に移った光景に少女が固まる。
「……本気なの?」
「言ったろう、オブリビオンだろうがヴィランを殺すと」
 怒れる古き男が引鉄に力を込める。
「その為なら、このビルに爆弾を仕掛けるくらい当然だろう」
 銃弾を避け、ルネが半人半馬の騎兵人形に乗れば距離を取った。
 ――作戦を考えなければならない。

「どうした? 時間稼ぎか?」
 オブリビオンの挑発の中、騎兵人形の機動を駆使して、銃弾を避ければ人形遣いが鎌を振るう。
 ヴィジランテが悪意を込めた刃を掻い潜り、その鎌を掴まんと手を伸ばす。
 咄嗟、人形が床を蹴り高く跳ねると、屋上の柵へと降り立った。
「見抜かれたな」
「ルネを巻き込んで、ビルを爆破。君のやり方は無茶苦茶だな」
「そうしないと勝てなら、それを選ぶ……昔からのやり方だ!」
 古い男が走れば、再び騎兵人形が飛ぶ。
「どうした、本当に時間稼ぎか!」
「ああ、その通りだ!」
「そういうこった」
 ルネがもう一つの未来の実現を確信し答えれば、声は別の方から聞こえてきた。
 視線を向けた時、既に兵十が間合いに踏み込んでいた。
 ――抜刀一閃!
 精神感応金属で守られたヴィジランテの身体は再び傷をつけることは叶わないが、体勢を崩すことが出来る。
「――いま!」
 すかさず、ルネがランスチャージでオブリビオンの負傷した肩を貫けば、そのまま床へと叩きつけるように押し倒す。
「まだだ!」
 立ち上がろうとする、ヴィジランテ。
 しかしその手には一本の千代紙――白の牙道が杭のように撃ち込まれていた。
「爆弾はこっちで細工しておきました」
 夕立がボタンを片手に立つ。
「派手に逝ってください」
 ルネが騎兵人形を繰れば、それに皆が飛び移り、ビルを駆け降りる。
 彼らの背後で怨嗟の叫びと激しい爆発音が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヨナルデ・パズトーリ
UCを持たず技を鍛え立ちあがった最初の男、か
苛烈さも嘗ての惨状を思えば仕方あるまい

だが今此の時、オブリビオンに組みするならば敵でしかないさな

戦場という『地形を利用』し瓦礫を流れ弾への『盾 受け』止める物に利用したり
『野生の勘』と『残像』を駆使し避ける

雑魚は現場到着迄は『迷彩』で『目立たない』様『暗殺』の要領で気配を
消し移動
戦中は『範囲攻撃』に巻き込む形で対応

UC『高速詠唱』で発動
高速飛行『空中戦』で肉薄
『零距離射撃』『全力魔法』を『高速詠唱』でぶちこみ『傷口をえぐる』様に
『怪力』の『鎧無視攻撃』の『二回攻撃』

攻撃は『野生の勘』でアイテム使用タイミングを『見切り』『高速詠唱』の
『全力魔法』で妨害


六六六・たかし
【アドリブ歓迎】

ヴィランを許せないと言うその気持ち、俺にはわからなくはない。
そういう者たちから誰かを守るために猟兵をやっているわけだからな。
だがな、ヴィジランテ。
今この時、この状況においてこの世界におけるヴィランはお前なんだ、悲しいことにな。
納得は出来ないだろう、だがお前はここで倒されてくれ。


【POW】

ヴィジランテに真っ向から突撃していく。
周囲の攻撃は[激痛耐性]や[オーラ防御]、かかしの[かばう]で防いでいく。
ざしきわらしフォームに変身し「たかしブレード」で切り裂く。

デビル!たかし!ストラッシュ!!!


お前がオブリビオンじゃなければ、もしかしたら猟兵になっていたのかもな…。


河津・跳太郎
吾輩、ヴィランの実験体にされた強化人間でありました
もし助けが来ずにあのままだったら
どこかに売り飛ばされて
ヴィランをやっていたかもしれないであります

仇敵に対する憎しみが高じて
ヴィランになってしまうダークヒーローもいるであります

ヒーローもヴィランも
何かのきっかけで道を違えてしまっただけで
みな一人の人間に違いは無いでありますよ
大切なのは「その人の行動を見る事」だと思うであります

どんな理由があっても
いまロスの街を脅かしているザ・ファースト殿は
間違っているであります!

・戦闘
今まで封印していたUCを使用
超スピードで事前準備を乗り越える
強化人間の短い寿命がさらに縮もうとも
吾輩ここで人々の盾となるであります!



●フー・ア・ユー?

 俺は何になりたかったんだっけ?
 仕事を辞めて聖職者にでもなろうかと言ったら、誰かが笑っていた。
「   、今までの仕事、後悔しているの?」
「そんなことはないさ、ただ他の生き方を知りたいのさ」
 けど、そんなものは無かった。
 全てを奪われ、立ち向かい、そして果たすべきことを終えたとき。
 俺はなりたいものなれないと知った……。

 瓦礫を跳ね除けヴィジランテが一歩、又一歩と踏み出す。
 遠目には三名の猟兵の姿。
 背後から自警団気取りの野郎どもが銃を打ち鳴らす中、男は銃を抜き、三つの影は距離を詰めた。

「UCを持たず技を鍛え立ちあがった最初の男、か」
 ヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)がジャガーを模した黒曜石の鎧に身を纏う。
「マン・ジャガーの鎧」
 忌々し気に呟くオブリビオンの手には円錐形の頭を持った戦槌。
「苛烈さも嘗ての惨状を思えば仕方あるまい」
「奴のせいで何人もの人々が心臓を抉られた!」
「だが今此の時、オブリビオンに組みするならば敵でしかないさな」
「殺す!」
 過去に縛られし男に対し、今を生きる神は黒曜石の斧を片手に空を飛んだ。

 互いに戦場という地形を利用し、流れ弾を避け、肉薄すればぶつかり合う斧と戦槌。
「その鎧で何人もの心臓を抉った……?」
「何を言っておる?」
 過去に縛られた言葉への問いに答えなど返らず、返ってくるのは鉛弾。
 即座に全力で魔術を放ち相殺すれば、次に振るうのは斧での斬撃。
 ――しかし。
「割れたじゃと!?」
 視界に移るのは戦槌とのぶつかり合いによって割れた黒曜石の斧。
 鋭さに勝るが欠けやすい黒曜石の特徴――そこに外力の集中する円錐状のハンマーを叩き込まれたのだ。さらに……。
「スペイン人の神父に祝福された特別製だ、文明のように滅びろ」
「させぬ!」
 再び戦槌を振り上げたヴィジランテに対し、神は魔力の奔流にて相手の身を吹き飛ばす。
「そこまでして……何と戦っているのじゃ、お主は」
 ヨナルデは荒い息を整えると共に、自らのユーベルコードの選択の胸を痛めた。
 使えば、使うほど、あのオブリビオンは過去を思い出し、それに縛られていく……。

 立ち上ろうとしたヴィジランテの前に和装の蛙が立つ。
「吾輩、ヴィランの実験体にされた強化人間でありました」
 河津・跳太郎(🐸負けるなピョン太ここにあり・f18965)の言葉へオブリビオンが耳を傾ける。
「もし助けが来ずにあのままだったら、どこかに売り飛ばされてヴィランをやっていたかもしれないであります」
「良かったな、助けが来て」
「仇敵に対する憎しみが高じて、ヴィランになってしまうダークヒーローもいるであります」
 跳太郎が刀を抜けば、ヴィジランテも銃を構えた。
「俺がそうだと?」
「…………」
 古き男の問いに答えは帰ってこなかった、もう互いに動き出しているのだから。

「ヒーローもヴィランも何かのきっかけで道を違えてしまっただけで、みな一人の人間に違いは無いでありますよ!」
 自慢の跳躍力で翻弄し、刀を咥えて突進するミュータント。
「そうだ、人間だ。だから、俺でも殺せる」
 銃身で突撃を受け流せば、蹴りを放ち間合いを作る。
「大切なのは『その人の行動を見る事』だと思うであります」
 左右に跳ね、遅れて銃弾が大地を穿つ中、尚も跳太郎は叫ぶ。
「その後も続くであろう、血の惨劇を見守れというのか!!」
「誰もそうは言っておらぬ!!」
 刃と銃身がぶつかり合い、お互いの顔が迫る。
 一人の怒りと信念に狂った男。
 一人は使命を持って戦う男。
 互いが膂力を以って、跳ね除ければ、ミュータントヒーローは刀を右手に持った。
「どんな理由があっても、いまロスの街を脅かしているザ・ファースト殿は間違っているであります!」
 跳太郎の姿が赤に染まる。
 それは封印していた技、短いであろう自らの命の灯火を燃やす赤、そして――。
「それを防ぐためなら吾輩ここで人々とザ・ファーストの盾となるであります!」

 ――怒りの赤。

 赤鬼と化したヒーローの刃が特殊金属で止血した腹を金属ごと切り裂き、ヴィジランテの足元を鮮血で染める。
「盾はいらん」
 直後、対高速戦闘用に事前に仕込んであった対人地雷のワイヤーに跳太郎の足が引っかかり、爆風で吹き飛ばされる。
「俺が弾になると決めたんだ。お前らのようなヒーローを殺す人の悪意を潰す弾丸に」
 古き男の言葉はとぎれとぎれにミュータントの鼓膜を鳴らしていた。

 四方から銃撃が降り注ぐ中、フードの男が歩いてくる。
「たかし、ここはオラが食い止めるべ」
「ヴィランを許せないと言うその気持ち、俺にはわからなくはない」
 自らを襲う悪意をデビルズオーラと四六七・かかしが護る中、六六六・たかし(悪魔の数字・f04492)がデビルスロットドライバーにメダルを投入する。
「そういう者たちから誰かを守るために猟兵をやっているわけだからな」
 Devils number Standby!
「だがな、ヴィジランテ」

 six
 六!

「今この時、この状況においてこの世界におけるヴィランはお前なんだ、悲しいことにな」

 Zero
 0!

「納得は出来ないだろう、だがお前はここで倒されてくれ」

 Zero
 0!

「納得か……俺には一番遠い言葉だ」
『№600! Takashi! Zashiki=Warashi!!』
 ざしきわらしを思わせる少女がたかしの首にしがみつけば、その姿は鎧武者を思わせる風体へと変わり、たかしブレードを逆手に持って走る。
「だが、倒されるわけにはいかん!」
「デビル! たかし!! ストラッシュ!!!」

 弾丸一つ!
 斬撃一つ!
 交錯一つ!

「お前がオブリビオンじゃなければ」
 たかしの右肩が螺旋に貫かれ、たかしブレードを落とす。
「マスターたかし……」
 五一五・まなざしの心配する声を耳にたかしが呟く。
「もしかしたら猟兵になっていたのかもな……」
 その背後では腹を薙がれ、ヴィジランテが血を流し倒れていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミハエラ・ジェシンスカ

かつての英雄が歪み切ったものだ
良いだろう
貴様は正義として、私は悪として
共に使命に殉じるとしよう

フォースレーダーによる【情報収集】で周辺状況を把握
常に敵味方の行動や射線を【見切り】つつ立ち回る
ヤツがそれらを利用してくる可能性も念頭に入れる

【悪心回路】起動
真っ向から【殺気】をぶつけ【捨て身の一撃】を以って斬り捨てる
隠し腕を展開し追撃【2回攻撃】

私とて殺す為の機械だ
ヤツのやり方を間違っているとは言えん
だがそれを決めていいのは貴様でも我々でもない

「最初に立ち向かった者(ザ・ファースト・ヴィジランテ)」よ
貴様の後に多くの者が続き、これからも時代を作っていく
貴様は既に使命を果たしたのさ……羨ましい事にな



●ザ・ファースト・ヴィジランテ

 ヴィジランテが立ち上がる、自らの生き方の為に。
 狙撃をしようと構える防衛軍の兵士をネイティブのヒーローが手で制する。
「精霊が言っている、彼を見送るのは――悪で在れる者だと」

「かつての英雄が歪み切ったものだ」
 ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)がオブリビオンとなった今のヴィジランテの姿を見下ろし、呟いた。
「良いだろう、貴様は正義として、私は悪として――共に使命に殉じるとしよう」
「正義はジャスティス・ワンにくれてやれ」
 古き男は自嘲の笑みを浮かべ、最後の弾倉を銃へ叩き込んだ。

 ――Man with a mission.
「俺は使命に生きるだけだ」
 互いの使命を賭けた戦いが終わりの始まりだった。

 ヴィジランテの拳銃が火を吹き、フォールンセイバーを一本吹き飛ばす。
 ミハエラのもう一本の理力剣が数々の血を吸った銃を斬り飛ばせば、日本刀が閃きウォーマシンの手首を剣ごと斬り落とす。
「悪といったな!」
 日本刀を捨て、体格差をものともしないパンチがミハエラを顎を跳ね上げ、蹴りが骨に等しい骨格に叩き込まれる。
「ならば、何をしたか言ってみろ! 俺が殺す、ヴィランなら! 必ず!」
「勘違いをするな」
 細身の金属でできた拳がヴィジランテの眉間を貫き、身を翻せば顔を抑えた男の側頭部を蹴り飛ばす。
「私とて殺す為の機械だ、オマエのやり方を間違っているとは言えん」
 ストリートを転がる様に倒れていく古き男を見下ろすように、落としたフォールンセイバーを拾い上げる。
「だがそれを決めていいのは貴様でも我々でもない」

 ――NO!!
「違う!!」

 ヴィジランテの絶叫が木霊した。
「法は何も助けちゃくれなかった! 司法はドブに染まっていた! 誰も決める事なんて出来なかった! だから     は死んだんだ!」
 立ち上がり、自分が切り落としたウォーマシンの手首が握っていた理力剣を持てば、刃を顕現させる。

 I will never forgive villains.never
「俺はヴィラン共を決して赦さない……決して!」

 ――NEVER!!
「決してだ!!」

「――決着を付けよう」
 ミハエラが悪心回路の枷を外した。

「NEVER!!」
 ヴィランを決して赦さない心が身体のリミッターを外し、堕ちたフォースナイトへと迫る。

 The first vigilante.
「最初に立ち向かった者よ」

 二つの理力剣がぶつかり合い、互いのその身をせり出し相手を睨む。
 赤い光がシェード越しに灯り、赤に染まった白目がマスク越しに映った。
「貴様の後に多くの者が続き、これからも時代を作っていく」
「NEVER!!」
 同じタイミングで剣を跳ね上げ、二人が踏み込めば――
「貴様は既に使命を果たしたのさ」
 ミハエラが展開した隠し腕に握られたフォースセイバーが最初に立ち向かった者の胸を貫いた。
「……羨ましい事にな」
 理力剣を引き抜けば、そこにあるのは骸ではなく、薄汚れた一つのマスク。
 時代に取り残された騎士はそれを取ることもなく、背中を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月06日
宿敵 『ザ・ファースト・ヴィジランテ』 を撃破!


挿絵イラスト