幻想の夜にワルツを
●ハロウィン・ダンス・ナイト
その夜、アルダワ学園では盛大な仮装パーティがそこここで開かれていた。
灯りの点る南瓜のランタンに、紙を切り抜いたコウモリやクモの巣なんかを飾り付けた壁や窓。
そして壁際のテーブルにはたくさんのお菓子が並ぶ。
さっくり焼き上げた中にほっくり甘い南瓜のペーストをたっぷり詰め込んだパンプキン・パイ。
ちょっぴり固めなパンプキン・プディングにはほろ苦なカラメルが掛かって大人味。
大きなお皿に山と盛られた色々な動物を模ったシンプルな型抜きクッキーだってチョコレートチップやココア、紅茶の葉をそれぞれに練り込み、違った甘みを提供してくれる。
冷えの忍び寄る夜にはホットワインをどうぞ。シナモンの香りがぽかぽかと身も心も、温めてくれるだろう。
ワインが飲めない方には葡萄の香りの紅茶は如何かな?
シルクハットを被った学生さんが悪戯っぽく笑って給仕してくれることだろう。
だけどパーティはそれで終りじゃない。
主役を張ったっていいほどのテーブル達が壁際の花になっているのは、広い部屋の中心に大きなスペースを空けてあるから。
「ねぇそこの魔法使いさん、踊りましょう?」
「はい、かわいい狼娘さん。喜んで」
フロアに響く音楽に合わせて、仮装したまま踊るのがこの場所における決まりごと。
仮装したまま、──オドルのが。
「愚かな」
「許せぬ」
「そんなに踊りたいのであれば、我が前に示せ、死のエンブを!」
ダンスに興じていた学生達の前に突如現れた災魔の群れによって、パーティは悲鳴に包まれた。
●楽しみ方はご自由に
儀式魔術【Q】の成功により、アルダワのハロウィンに関する古文書とその内容について知ることができた。
「もうみんな、知ってますよね?」
こんだけ賑わってんだし。そう言ってセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は緑色のマントを翻す。
かつてのアルダワ学園で行われた『装魔封災戦(そうまふうさいせん)』。人類が災魔の仮装をし災魔の拠点へと侵入した大規模な奇襲。それにより、多くの災魔が封印されたという。
現在も続くハロウィン・パーティは、その作戦の成功と勝利を祝って始まったのだ、と言われているそうだ。
「まあ、難しいことはいいんです。肝心なのは、未だにそのときの記憶を宿してんのか、蘇ったオブリビオン──災魔の中にゃ、仮装を憎むヤツらが居るってこと。そんでそいつらが折角の楽しいパーティをめちゃくちゃしちまう予知を視ちまったってことなんです」
彼の視た予知で現れるのは『精霊をアイした術士の亡霊』の群れだ。
「これまでも出逢ったことがあるひとも居るかもしんねーですね。けど、今回のヤツらはちょいと違いまして。特に仮装をしてるひとを狙ってくるんです。だから仮装は忘れずにね。おれ達猟兵の仮装はカンペキなんで。おれらがちゃんと仮装してりゃ、パーティ会場の他の学生サン達が襲われることはねーようですよ」
そして今回の敵の特徴は、それだけではない。
「──パーティを楽しみながら戦う。それができりゃ、敵は更に冷静さを欠いて隙だらけになるらしいんですよね。だからめいっぱい楽しんでくださいよ」
ね、と肩に留まった青い小鳥に微笑んで、セロはいってらっしゃいと猟兵達を送り出すのだった。
朱凪
目に留めていただき、ありがとうございます。
楽しむことがなにより大事。朱凪です。
まずはマスターページをご覧ください。
プレイングに書いて欲しいのは以下の3点です。
①どんな仮装か
SD持ってても必ずご記載ください。
また、その描写にこだわりがあり、そのままのリプレイ記載を求められる場合は『●』をつけてください。
例、『●夜色のドレス』など
②どんな風にパーティを楽しむか
ダンスを中心はもちろんのこと、ひたすら食べながら戦うのでも構いません。
③どんな戦い方をするか
今回については簡単で構いません。しかしさすがに書いてないのは採用できません。
募集期間は『公開時~11/3 8:29』となります。
短い期間になりますが、良ければどうぞ、よろしくお願いいたします。
では、パーティを楽しむプレイング、お待ちしてます。
第1章 集団戦
『精霊をアイした術士の亡霊』
|
POW : 『鈴生る月光の姿』で踊れや踊れ
【精霊の光球 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 『躍るエンブ』を我の前に示せ
【吹き荒れる精霊の焔嵐 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 『アナタのシセン』は我と共にある
【『精霊』が視線を 】を向けた対象に、【風鼬乱舞の塊(ウィンド・エッジ)】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:シキセヒロ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
仮装:華ロリな導師
ハロウィンってどうしてこんなに楽しいんだろう?
非日常だからかな、南瓜やお化けのモチーフが可愛いからかな
でも、今日はそんな単純な理由だけじゃない
か、可愛……!?ありがとう、ね
ヨハンはかっこいいし可愛いよね
一緒にこういうパーティーに来られて、とっても嬉しい
一緒にダンスとか……は乗ってくれそうにないかな
彼が持つカフェラテに目玉マシュマロを投入
ね、ヨハン
今日はいたずらをしてもいい日だって知ってた?
もっと君にいたずらしちゃおうかなっ
戦闘ではヨハンに前に出てもらおう
導師になりきってキョンシーを羽扇で操っている風に!
彼への高命中の技は武器受けで庇ってからカウンター
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
仮装:キョンシー
とりあえず
空気は読みます。読みましょう
隣の導師の人は楽しそうにしていますしね……
仮装は似合っていますよ。可愛らしい。
正直パーティーを楽しむというのは俺にとって天に届きそうなほど高いハードルなんですが。
まぁ、適当にそれらしい食べ物やら口にしておきますか
幽鬼を模した菓子や南瓜モチーフの物、様々ですね
おばけのラテアートが施されたカフェラテを手に、壁に背を預けておこう
戦闘は彼女に合わせて
俺は前に出て戦うのは得意ではないんですが……
まぁ、それっぽく。今回ばかりは操られているフリでもして、全力魔法で闇を繰る
屍人に屠られるというのも皮肉めいていていいでしょう
●死後の逢瀬
「わぁっ……!」
パーティの会場へと足を踏み入れたオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)は満面に喜色を浮かべた。
天井の高いホールに色とりどりの飾りつけ。シルクハットに付け髭の学生ケットシーが「ようこそ」恭しく挨拶をしてくれるから、彼女も笑顔でありがとうと返す。
──ハロウィンってどうしてこんなに楽しいんだろう?
非日常だからかな? それとも南瓜やお化けのモチーフが可愛いからかな?
──ううん。
今日はそんな単純な理由だけじゃない。彼女がちらりと盗み見るのは、彼女の一歩後ろについて来るヨハン・グレイン(闇揺・f05367)。
補褂に暖帽、そして額の札。キョンシーという、動く死体のモンスターなのだと言う。パーティに一緒に来てくれるだけでも珍しいのに、こんなにばっちり仮装もしてくれるなんて!
きらきら輝く若芽色の瞳はあまりにも雄弁で、ヨハンは小さく息を吐いた。
「確かに、パーティーを楽しむというのは俺にとって天に届きそうなほど高いハードルなんですが。とりあえず空気は読みますよ」
「えっヨハン、私の気持ちまで読めるの?」
「……」
──隣の導師の人は楽しそうにしていますしね……。
オルハの言葉を黙殺しつつ、彼は彼女の服装を改めて眺める。
キョンシーを操る導師に扮するのだ、と言っていたその衣装。深いスリットのある服には飾り模様の縁取りがされ、それは沓や手袋にも。ふわふわと揺れるスカートにたっぷりと使われた紺の布地はヨハンの帽子や補褂などにも使われていて、ふたりが共に仕立てを頼んだことが明らかで。
「まあ、あなたも似合っていますよ。可愛らしい」
「か、可愛っ……?!」
普通に感想を述べたはずのつもりが、オルハはぴょっ、と耳を立てて頬を染める。それから頬を両手で押さえ、ふやりと笑った。
「……え、えへへ。ありがとう、ね。ヨハンはかっこいいし可愛いよね」
「屍ですが」
「いいのっ! ……こうして一緒に仮装してパーティに来られて私、とっても嬉しいんだから」
緩やかな音楽の流れるホールを、だからまた彼の手を取って進んだ。
「なるほど。幽鬼を模した菓子や南瓜モチーフの物、様々ですね」
適当にそれらしいものを摘まんでおこうと彼らはテーブルの傍へと寄る。
──一緒にダンス、とか……。
学生達が踊る姿を眺めクッキーをひとかじり。ちょっと期待を籠めて隣を窺うけど、ヨハンは白いおばけがラテアートで描かれたカップを興味深そうに見つめていて、
──……は、乗ってくれそうにないかな。
ちょっぴりの苦笑と共にオルハはテーブルの上のお菓子を手にとって、彼のカップに──ぽちゃん。
「ぅわ」
それは目玉の模様を描いたマシュマロで、カップからじっとヨハンを見た。
「ね、ヨハン。今日はいたずらをしてもいい日だって、知ってた? もっと君にいたずらしちゃおうかなっ」
「知っていますかオルハさん。いたずらをしていいのは求められたときだけだと、!」
「『アナタのシセン』は──」
彼の反論は、ぼやりと現れた『精霊をアイした術士の亡霊』によって掻き消される。
「我と共にあるッ!」
「危ないッ!」
突如叩き付けられる風圧、幾多の見えぬ風の刃が襲うのを──オルハが庇った。羽扇の陰に仕込んだダガーで敵の攻撃を弾き飛ばした彼女の肩に、ヨハンが掌を乗せた。だからオルハは笑って振り返った。
「怪我はない? ヨハン」
「……だから『そういうところだ』と言っているんですよ」
「え? え?」
低く告げられた台詞は、怒っているというよりもなにかを耐えているみたいだった。理解が及ばずオルハはしゅんと耳を下げたけれど、息を吐いて首を振り切り替えを図るヨハンの横顔に、敢えて彼女は明るく告げた。
「わかった! 今日は私が導師でヨハンがキョンシーだから。がんばってね!」
「……」もちろん付き合いの長い彼女のこと。彼が前線での戦闘を得意とはしていないことなど百も承知だ。だからこそ、文句を言う気にもならない。
──まぁ、それでも。
今日くらいは。
そう思えば肩の力も少しは抜けた。『そういう』ひとだからこそ彼女は彼女なのだ、と思わなくもない。彼女の羽扇が揺れるに合わせ、彼は全力の闇魔法を練った。八つ当たりには丁度いいとさせてもらおう。
「──屍人に屠られるというのも皮肉めいていていいでしょう?」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルイーネ・フェアドラク
Trick or treat、ユハナ(f00855)
といっても、ここはお菓子だらけですね
無難ですが、吸血鬼の装いで
仮装なんて柄じゃないんですけどね
君はまた随分と愛らしい狼さんだ
尻尾がおそろいですね、ユハナ
甘い菓子はこどもに任せ
ホットワイン片手に彼の望むままテーブルを巡る
せっかくですから、
可愛らしいお嬢さんでも誘って踊ってきては?
おやおや
人見知りの仔狼に、仕方がないと笑って
リードはお任せしましょうか
どうやら彼らも私たちと踊りたいようですよ
無粋な敵とのダンスと洒落込みましょう
まあ、お相手は私ではなく触手たちですが
会場を荒らさぬよう気をつけて戦います
……君は、優しい子ですね
ユハナ・ハルヴァリ
ルイーネ(f01038)と
とり、とり…
仮装は狼男。銀色のもふ尻尾と耳
バランス取れなくて首が傾く
お揃い尻尾が嬉しい
ルイーネ、ルイーネ。すごいですね
賑やかです
目を引いたお菓子は、狼と蝙蝠の形取ったクッキー
たくさんは食べられないから、少しだけ
葡萄の香りの紅茶には目を瞬いて
ちょっと大人の振り、できますね
耳に響く音楽は心地良く
知らない人の顔をくるり見てからまた戻り
ルイーネの手を引っ張って踊りの輪へ
あんまり上手じゃ、ないけど
この方が戦いやすい
ターンと共に蹴散らして、氷花の中を滑るように
おいで、一緒に、踊りましょう
お祭りなのに。楽しくない君達は、少し、寂しいですね
海に沈む頃には、昔の事、忘れていたらいいのに
●雪狼と吸血狐
とてとて、と。
頭上の大きな『耳』にうまくバランスが取れず、いつにも増してつたない足取りで室内へとやってきたユハナ・ハルヴァリ(冱霞・f00855)はくいと隣に立つ男の長いマントを引いた。
「ルイーネ、ルイーネ。すごいですね。賑やかです」
深い海色の瞳に星々が宿る。ええ、とルイーネ・フェアドラク(糺の獣・f01038)も小さく応じて唇に笑みを刷いた。
「とり、とり……」
「はい、Trick or treat、ユハナ」
と、言っても。見回した室内の壁際には今夜中に食べ切れるのかと思えるほどの、
「ここはお菓子だらけですね」
トリートし放題の状況にルイーネは肩を竦めた。うまく魔法の合言葉を言えず、またその意味もしっかりと理解しているわけではないユハナは、ただ首を傾げる。傾げた拍子にまた、慣れない頭上の重みに頭が持って行かれそうになる。
さりげなくその後頭部に手を添えて、ルイーネは眼鏡を押し上げた。
「それにしても、君はまた随分と愛らしい狼さんだ」
冴える星明りの髪色に合わせた銀の『狼耳』と、揺れる尻尾。ぱ、と。浮かんだ喜色はおそらく、彼をよく知る者にしか判別できないだろう。
「お揃い、嬉しい」
「おや。確かにお揃いですね」
その頭の大きな三角の耳も、マントを羽織ってなお覗く、彼の長い赤錆の尾はもちろん自前のもので──つまり狐ではあるのだけれど、口にするほど無粋ではない。
「ルイーネのお洋服は、吸血鬼、ですか?」
「ええ、無難に。仮装なんて柄じゃないんですけどね」
「がら、ですか」
黒の長い立て襟のマントに、赤いベストには金の飾り。白いスカーフに、よく磨きあげられた靴。牙は自前。
じっ、とルイーネの衣装を見つめるユハナに敢えて応えず、
「ユハナ。色々とクッキーがありますよ」
「クッキー。食べたい、です」
十六の男子に対する気の逸らし方ではなかったけれど、圧倒的に経験の足りない彼は素直に応じて手を伸ばす。抓んだのはココアの狼と、紅茶のコウモリ。かじると軽い音がして、素朴な甘さが広がった。
ホットワインのグラスを傾けながら紅茶のカップ雪狼へと差し出せば、礼を述べて受け取った雪狼が口許へと運ぶ。確かに香る葡萄に、ぱちりと思わず瞬きを数度。
「ちょっと大人の振り、できますね」
「ではせっかくですから、可愛らしいお嬢さんでも誘って踊ってきては?」
大人の振りついでに、とグラスを持つ手の指を、フロアの中心で踊る数人の姿へと差し向けて悪戯っぽいいろを瞳に宿せば、
「……」
ユハナは素直にカップをテーブルに置いてくるりとフロアを一瞥し、ルイーネを見て、それから彼の手を引いた。
「おやおや」瞬時に彼の意図を汲んだルイーネも咄嗟にグラスをテーブルに戻し、フロアの中心に引っ張り出してどこか満足気な人見知りな仔狼へと眉尻を下げて見せた。
「では、リードはお任せしましょうか」
「あんまり上手じゃ、ないけど」
くん、と軽く重ねた掌に籠めた力で伝わる進行方向。ステップ。
長い耳をくすぐる音楽は心地良く、穏やかな心持ちでユハナが瞬いたとき、ぴり、と目の前の吸血狐の気配が『警戒』の態勢に入ったのを感じ取った。
「どうやら彼らも私たちと踊りたいようですよ」
「許せぬ……!」
白い衣を泳がせ、アイする精霊を寄り添わせた亡霊が舞い降りる。
「仕方ありません。無粋な敵とのダンスと洒落込みましょう」
交わし合った視線は刹那、くるりと片手離してターンと共にユハナが祈れば、溢れ出る魔力。巻き起こった氷花の嵐は敢えて敵を襲わず、足許一面を氷花で覆い尽くした。この方が戦いやすい、と口の中だけでひとりごちて。
滑るように敵へと近付き、魔力を宿して白く蒼く光を纏う掌を、──差し出した。
「おいで、一緒に、踊りましょう」
「っ! 憎らしい……!」
亡霊がロッドを掲げると幾多の光弾が弾け飛ぶのを、ずるり、と。ルイーネに融合している触手が打ち払う。極力会場を荒らさないようにとの、彼の配慮。
ユハナは掌に氷の魔法を留めたまま、ほんのかすかに眉を寄せた。
「お祭りなのに。楽しくない君達は、少し、寂しいですね」
海に沈む頃には、昔の事、忘れていたらいいのに。ユハナのその呟きは──ルイーネには全く響きはしなかったけれど。それでも彼は微笑んだ。
「……君は、優しい子ですね」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エンティ・シェア
桜の柄と花を沢山あしらった、書生スタイル
白紙の紙を綴った魔導書にも、今日だけは桜の花模様を浮かばせて
パーティを存分に楽しもう
葡萄の香りの紅茶とは洒落ているが、食べてばかりも華がない
お相手がいれば一曲付き合って貰えると嬉しいね
あるいは…災魔の彼らに頼んでもいいかもね?
君達も一緒に楽しもうよと気軽に手を出していこう
勿論、煽っているつもりだよ。釣れない真似をしないで、乗ってきておくれ
手を取れようとも取れまいとも、華断を展開して攻撃を
折角のパーティなんだ。華々しさは必要だろう?
風の刃が私を裂こうとも、舞い散る橘が赤く色付くだけだ
余興の一つさ。何も、怖くないよと学生達に微笑んで
さぁ踊ろうか、災魔諸君!
ヴァロ・タハティ
※喋らせないで下さい
⚫仮装
黒猫の猫又
両手いっぱいの金平糖を抱え、とりーとに大忙し
大事にしている鉱石ランプも
今宵はぶきみにあやしく光ってる
⚫楽しむ
にゃーご!とばかりに現れて
モグモグサクサク、パンプキンパイで頬をふくらます
二又の尾っぽはゆらゆら、ゴキゲン
モグモグしたり、(金平糖を)とりーとしたり
ダンス……?
どうだろ、誰かが手をひいてくれるなら
ボクにも踊れるかなあ?
⚫戦う!
金平糖をこぼしながら
きゃーきゃーのたのた災魔から逃げるけど
逃げてるばっかじゃだめだって、急ブレーキ
にゃーおん!
えっと、ええと……(もたもた)
"タタリ"をおみまいするぞ~!
ヒトダマ?っぽく
ウィザード・ミサイルをえいや~ってするね!
都槻・綾
※アドリブ歓迎
SD仮葬
文昌帝君+蒼頡
学問の神+漢字の創始者
踊りに合う格好ではなし、と
幾ら食べても膨らまぬ腹を此れ幸いに
全種制覇を目指しつつ
食卓を渡り歩く
手にした酒精は温かく
葡萄の芳醇さの中、肉桂の香が覗く遊び心は
悪戯めいて楽しい
華やかな料理に紛れて
壁の花の一つになっていたけれど
軽快な三拍子
フロアを回る皆の足取りを眺めれば
心が浮き立って
無意識に体がリズムに揺れる
素敵に耀いていますねぇ
演奏で参加することが可能なら
ピアノを借りての生演奏
皆々様の楽しい時間に
少しばかり彩りを添えられたら嬉しく
やがて現れた災魔には
そっと笑んで花筐を贈る
宴を祝福するフラワーシャワーの如き花の幻想に紛れて
骸の海へお帰りなさい
夏目・サキ
仮装はSDでも着てるシスター姿
身内が用意したもので、サキは詳しく知らなかったり
正直、このパーティの由来とか、よく分かってない
でも、お菓子とか沢山食べられることは、把握してる、うん
言われたとおり、仮装?してきた
この服、なんだっけ……見覚え、あったけど
んー……ダンスは、興味なし
お菓子が大事
大きなお皿にパイとかクッキーとか色々確保しつつ、もぐもぐ
何かおすすめがあれば遠慮無く
戦闘はクロ頼み
『導きの黒狼』で呼んだクロに、横乗りして膝の上にお皿を置き、そのまま私は食事続行
クロが着けてる首輪の効果で、体は固定されてるから問題無し
クロは動き回って攻撃かわしつつ、適当に爪とか牙で応戦
もぐもぐ……クロ、がんばれー
クロム・ハクト
1.パンダのからくり人形と衣装取替っこ
包帯を巻いているので傍目にはミイラ系に映るかも
2.お菓子もぐもぐ
クッキーは出身世界で馴染みがない物は、これ何の形だ?なんて思ったり
ダンスは、あいにく先約(からくり人形)が居るんでね、と言
そもそもダンスの経験なんて皆無だ、誰かの足を踏むより勝手知ったる相手が良いだろう
それにこんな風に組むのも普段はない
それを楽しむのも悪くない
もし誰かと一緒に踊る事になったら
余り期待するなよ、と前置き
3.からくり人形と共に戦いのステップ踏みながら武器を振るう
荒っぽい誘いだな、普通に踊るよりはそっちの方が慣れてるが
焔嵐放たれたらUCで返す
そら、あんたも踊るといい
アドリブ・絡みOK
●装魔夜行
Trick or Treat!
あちこちで交わされる魔法の言葉に、ヴァロ・タハティ(キセキ・f05764)は大忙し。
いつものローブの代わりにすっぽりと彼の頭を覆ったのは黒猫さん、それもただの黒猫ではない、ゆらゆらご機嫌に揺れる尻尾は二又──サムライエンパイアでは猫又と呼ばれる類の妖だ。
にゃーご! とばかりに黒猫ローブにくっついたふかふかの両手を振り上げ、テーブルの陰から飛び出しては、彼自身の両手いっぱいの金平糖を差し出して歩く。
「おや、これはありがとうございます」
「言われたとおり、仮装? してきたら、お菓子をたくさん、食べられるんだ」
しゃらりと笠の飾りを揺らして都槻・綾(夜宵の森・f01786)は腰を折り、夏目・サキ(舞い散る桜の夢・f10909)は漆黒の頭巾の下でこっくりと納得の首肯を示しつつヴァロの手からお菓子を受け取る。サキにとっては大儀を担っていた奇襲作戦の残滓も、その程度の理解だ。だがまあ、特に支障はない。
──そもそもこの服、なんだっけ……見覚え、あるけど。
『身内』が仮装にと用意してくれたのは、首から下げたロザリオ、黒の頭巾に十字架のあしらわれた簡素なロングドレス。つい、とその生地を引っ張り首を傾げるサキは『シスター』という答えには辿り着かず、
──まあ、いいか。
第一の目的であり最終目的であるお菓子をいただくべく、壁際のテーブルへと向かう。
キミもどうぞ! と。言葉はなくとも差し出された色とりどりの星を見下ろして「え」クロム・ハクト(黒と白・f16294)は思わず、びかびか温かな光を振りまく鉱石ランプを首から下げた幼いシャーマンズゴーストを見下ろし、硬直した。
微妙な沈黙が流れたその場に、くすくすと綾が笑って助け舟を出す。
「分けてくださるそうですよ」
「、……ああ、あんたも来てたのか」
先の依頼で合わせたことのある顔を見つけて、クロムはやっと少し安堵し。そしてこくこくと肯きながら差し出され続ける金平糖を、ひとつ手に取る。
「あ、……ありがとう」
頭にぐるぐるに巻いた包帯が目に掛からないよう少しずらしながら、矯めつ眇めつ。視線を贈り主・ヴァロに遣り、──そして綾に助けを求めるようにそれを逃がした。
「……食べ物ですよ。お菓子です」
素早くその視線の意図を察して綾がそう伝えれば、そうなのかとクロムは星を口へと放り込む。あまい。星のトゲは舌の上でほろほろと溶けて欠けていく。
おいしい。と。クロムの瞳が語るのを見上げて満足気にヴァロがひょこひょこと他の参加者にも配るべく立ち去ろうとした後ろ姿を、けれど「おい」クロムが止めた。
「返すもんがなくて悪いが。配ってばっかりじゃなくて、良けりゃあんたも食うといい」
ぶっきらぼうに突き出すのは皿に盛りつけたパンプキン・パイといくつかのクッキー。ありがとう! ぴょっと顔を上げたヴァロからはそんな声が聞こえてきそうで。
早速パイを手にして、──さくっ!
パイ生地のバターをたっぷり含んだ風味の中から、パンプキンペーストの自然の甘みが頬を緩ませる。思ったよりもずっしり重さを感じない口当たりなのは、生クリームも含められているからかもしれない。
ぽろぽろと崩れ落ちるパイ生地を零さぬように四苦八苦しながら、それでも満ち足りた様子で舌鼓を打つ少年の傍で、改めてクロムは綾の衣装を見た。
「……あんたのそれは?」
仕立ての良い布、複雑な構造。良いものなのだろう、とは思えども、普段から彼が着ているものも負けず劣らず良いものに見えるし、広い世界を渡り歩いた──とはまだ言えないクロムには難しかった。
小さく綾は笑ってたっぷりと余裕のある両袖を持ち上げて見せる。
「ふたりとも、とある国の学問の神様だそうです」
「ふたり?」
「ええ。学問の神と、漢字の創始者──そのふたつの言い伝えを混ぜ合わせてみました」
それはいかにも知的探究心の旺盛な綾らしい格好だった。ただ素直に感心するクロムへ綾も穏やかな笑みを湛えたまま問う。
「あなたは木乃伊……いえ、交換ですか」
「ああ」
くい、と指先いくつか動かすだけでちょいと彼の陰から現れたいつもの熊猫は、いつもクロムが着ている衣類──のミニサイズを纏っていた。にっかりと開いた牙の並ぶ口許はどこか自慢気に見える。
そんなからくり人形にも微笑みかけてから、綾は手にしたホットワインのグラスを唇に寄せた。緩く立ち上る葡萄の香の中、包み込むようなシナモンの芳香が悪戯心めいていて楽しい、と思う。
少し顔を上げるだけで華やかな仮装姿がめいめいに三拍子に合わせ滑るように踊るのが見える。「素敵に耀いていますねぇ」自然と口角が緩み、拍子に合わせて身体が揺れた。
尾羽がふたつに分かれた鳥らしき形を模ったクッキーを眺めていたクロムはぴくりと耳を払って、クッキーをかじり告げる。
「踊らないのか?」
「踊りに適した格好でもありませんからね。もし許されるなら──」
伴奏をうたう鍵楽器をちらと青磁色の瞳が捉え、それから「あなたは?」と問いを返せば、クロムは指先繰って、に、と笑った。糸の先で白黒の熊猫がぴょいと跳ねて、少し余裕のあるパンツの生地を左右に抓んで軽く腰を折って見せた。
「あいにく先約が居るんでね」
そもそも、彼にダンスの経験なんて一切ない。誰かと共に踊って足を踏んづけてしまうくらいなら、勝手知ったる『相棒』がいいだろう──なんて、不器用な優しさ。
ダンスの輪の中へと消えていった彼の姿を、黒の猫又さんが憧れを吐息に乗せて見つめていた。
──誰かが手をひいてくれるなら、ボクにも踊れるかなあ?
周囲を見回してみるけれど、涼やかな目許の学問の神は既にその場を立ち去っていて、漆黒のシスターはすっかりダンスの輪に背を向けて、紫と橙色のペーストが乗ったタルトを食べている。明らかにダンスには興味が無さそうだ。
諦めようかと考えが過ぎったそのときヴァロの視界にふわりと、墨色に桜の浮かぶ袴が飛び込んできた。
「やぁそこの君。もしお相手をお探しなら、一曲付き合って貰えると嬉しいね」
差し出された黒の革手袋を辿るように視線を上げれば、燃えるような緋色の長い前髪の隙間から覗く、黄金の滲む常盤色の左目が道化じみてウィンクした。
白の襯衣に淡藤色の着物、そして浅葱色の外套。帽子に飾った桜の花が緋色の髪にも散って鮮やかに映える。一見するとサクラミラージュの桜の精かと見紛う書生姿であったけれど、共に髪を彩る南瓜の飾りが『ハロウィン』の仮装であることを示していた。
エンティ・シェア(欠片・f00526)だ。指先に遊ばせる小さな茶色の猫のぬいぐるみが更に彼が『私』であることを示していたけれど、ヴァロには判らない。
「君も飲んでみたかい? あの紅茶。葡萄の香りの紅茶とは洒落ているが、食べてばかりも華がないからね」
もしもまだなら、あとでもらってきてあげよう。舞台役者のような大仰な、それでいて不自然ではない動きですいと腰を折っていざなうその手。そこに満ちる謂れのない自信に、けれどヴァロは安心することができた。こくり! 肯いて手を乗せれば途端に泳ぎ出す演舞。
──わ……!
すれ違う紅いドレスが弧を描く。滑るように進むステップにも拍に合わせれば徐々に慣れていく。踊る人々の向こう側では、綾の指が鍵盤の上を踊るのが見える。何度目かのターンのときにクロムと視線が合う。笑う金色の瞳に、うまく『うれしい』を伝えることができただろうか。
もちろん、ダンスはすぐに邪魔が入る。
大皿にたくさんのお菓子を盛って楽しんでいたサキは空気が変わったのを感じ取り、
「……おいで、クロ」
振り返りもせずにぽつりと呟いた。彼女の隣の空間が瞬時大きくひずみ、そこから姿を現したのはサキの二倍もの体長の漆黒の狼。長い鼻面を下げて、掬い上げるようにして彼女をその背に乗せれば、艶やかな床をその大きな足が力強く蹴り、走り出した。
「憎い……! 憎い……!」
突如舞い降りた災魔達に生徒達は恐慌に陥り、ヴァロもきゃーきゃーとその混乱が伝播したかのように手を離してのたのたと右往左往する。ぽろぽろと色とりどりの星がその度に零れ落ちる。
微笑み崩さずエンティは白い亡霊達を見上げ──手を差し伸べた。
「やれやれ、無粋だね。折角のパーティだ、君達も一緒に楽しもうよ」
「楽しむ……? ふざけるな……!」
思惑通り、数体の亡霊が彼の挑発に乗ってロッドを掲げる。ぽぅ、と先端の宝石が輝いたかと思うと、無数の風の刃が四方八方から襲い掛かって来た。
「釣れないね」
残念だ、なんて笑って肩を竦めて嘯いて。開く魔導書も、今日ばかりは桜模様だったけれど。──ぱらぱらっ、と繰られていく白紙のページは、はらはらと淡く光を帯びて散り欠けて白い橘の花弁と成り、風の刃を包むように躍る。
それは、守るため、魅せるための力。
逃げ惑う学生達を護ることを最優先にした花弁達は淡く柑橘の香りを撒いて、けれど己自身には頓着せぬ空の箱は、「おや」はたと裂けた肌から散った幾多の赤が橘の花を塗り替えていることにようやく気付いた。
「余興の一つさ。何も、怖くないよ」
にこりと学生達に向ける笑みに、嘘はない。
そんなエンティの姿を見て。ききっ、とヴァロの足にも急ブレーキ。
そう、……逃げてるばっかじゃだめだ。じゃないと食べられる星だけではないなにかをたくさん、この手から零してしまうから。
「台無しにしてやる……!」
亡霊から伝わる怨嗟の声に、えっと、ええと……、どうすべきかと戸惑うけれど。今は猫又。楽しんで戦うことが、最善手だから。
──"タタリ"をおみまいするぞ~!
にゃーおん! と両手を掲げて放つ白炎の魔法の矢は、鋭く奔る『ヒトダマ』みたいに見えるだろうか。
幾多のユーベルコードが飛び交うフロアで、クロムも敵と対峙する。亡霊の傍に寄り添う精霊達が巻き起こす焔嵐が髪を耳を煽るのを、
「荒っぽい誘いだな」
まあ普通に踊るよりはそっちの方が慣れてるが、と。だらりと熊猫を操る十指を下ろす。強大な炎の蛇が丸呑みにするかの如き圧。──けれど、それだけだ。熱はそよ風みたいに頬を撫でただけ。
焔の中で瞼を伏せたクロムは、くい、と指を動かす。相棒が首を傾げる。
ダンスなんて形で相棒と組むことなど普段は当然ないから。それを楽しむ機会は悪くないものだったのに邪魔をされるのはやはり、面白くはない。
「そら、あんたも踊るといい」
がぱっ。と開いた熊猫の大きな口から、同じ焔嵐が解き放たれる。
散り散りの悲鳴を上げる亡霊達の中を、漆黒の獣が跳躍した。その鋭い牙が焔に怯んでいる亡霊の頸を咬み千切り、霧散させていく。
まるで伝説の一幕のような画。
けれどその巨狼の背に乗るシスターが、大皿でパイやらクッキーやらで口をもぐもぐしているものだから、全く絵にならない。
大きな音を立てつつもしなやかに着地した黒狼──クロとサキを背に、クロムは小さく口角を上げざるを得ない。
「まだ食ってるのか、あんた」
「ん……これもひとつの、パーティの楽しみ方。……クロ、がんばれー」
フロアの喧噪の中、綾はただ静かに変わらぬ三拍子を奏で続ける。その周囲を亡霊達が取り囲む。
「演奏を、やめろ……!」
「皆々様の楽しい時間に、少しばかり彩りを添えているだけですよ?」
「それが耳障りなんだ……!」
あわれな、と。唇だけが動いた。けれど象るのは淡く柔らかな笑み。片手を懐にくぐらせて抓み出すのは、五芒星、六芒星といくつかの文字の記された数枚の霊符。無造作にも思える動作でそれを敵の前、中空へと放った。
当然警戒した亡霊の腕がそれを払ったとき、──それが燃え上がるような鮮やかな赤や橙、黄色と言った幾多の花弁となり亡霊達を襲った。
「敬惜字紙……というところでしょうか。宴の祝福に紛れて、骸の海へお帰りなさい」
声もなく消えていく亡霊達の数は未だ多い。ふいと顔を上げれば、緋色の髪の男が桜と橘を振り撒いて高らかに笑うのが見えた。
「さぁまだまだ踊ろうか、災魔諸君!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
境・花世
ベティ(f05323)と
仮装は淑やかで凄惨な深紅の聖女服
身に着けた十字架は魔除けではなく、
闇に蠢く不思議を引き寄せるため
つかまえたよ、狼さん?
枷など構わずに手を取って
きみを連れ出す幻想の舞台
天使も魔女も亡者も、何もかもが混ざり合う夜
ゆるり甘い三拍子へと誘えば、
素直についてきてくれる銀の耳に笑って
けれど狼に牙の無いわけがない
奪われそうに激しいステップは
まるできみとわたしの戦いだ
譲らない、譲れない、この夜が更けるまで
けれど今は暫し休戦――と嘯いて
共にくるりと回るスピンターン!
さあ、無粋な邪魔者は先に倒して
早くふたりで続きをしよう
夢うつつの甘い馨で絡め取る呪縛
円舞が見たいならどうぞ、お墓の下で
ベスティア・クローヴェル
花世(f11024)と参加
擦り切れたロングコートを羽織り、手枷を嵌める
仮装の為とはいえ、手枷はあまりいいものじゃないな
これ位しないと狼男っぽくはないし、仕方ない
それじゃ、この物語のヒロインでも食べに行こう
手を引かれるままに踊り出てステップを刻む
主導権を奪うタイミングを見計らいつつ、導かれるままに
この私が大人しくエスコートされたままだと思わないことだ
しっかりと罠に嵌めて、頭から頂いてしまおう
狼とはそういう生き物だもの
スピンターンを決めたなら、ダンスの相手を炎槍へとチェンジして
今宵の相手を探しているなら慌てなくても大丈夫
この子達がしっかりとエスコートしてくれる
さぁ、命が燃え尽きるまで踊り明かそう
●扉を開いて
それはありていに言って、不思議な空間だった。
種々様々な姿が色鮮やかなお菓子をかじり、音楽に合わせて一律にフロアを滑る。
分厚いブーツの底で一歩を踏み出せば、両の手首に嵌った手枷の切れた太い鎖がじゃらりと音を立てた。ぴくりと狼の耳が反応するのは、それが自前のものだからだ。
ベスティア・クローヴェル(諦観の獣・f05323)がフロアを一望したとき、そのずしりと手枷の重み感じる手を深紅の聖女が取った。
「つかまえたよ、狼さん?」
悪戯気に笑う女の顔は見知ったそれ。
牡丹色の長い髪はベールに覆われ、マーメイドラインの深紅のドレスは美しく彼女に似合うとベスティアは素直に思ったけれど、女──境・花世(*葬・f11024)の象徴とでも言うべき右目の大輪の牡丹は眼帯に封印されていた。その眼帯の下から赤いペイントが垂れて覗いているのも、彼女らしい『物語』を感じる。
胸に下がる十字架は、魔を祓うためではなくて闇に蠢く不思議を惹き寄せるため。狼男であろうと、退けはしない。だから。
「一緒に踊ってくれるよね?」
花世が枷の填った手を両手で引いて幻想の世界へと踏み出すその先。鍵盤の前に座るこちらも見知った青みがかった黒髪を見付けて、小さく笑みを零して。ああきっと、この三拍子ならなにがあってもだいじょうぶ。
彼女の笑みの理由を知ってか知らずか、ベスティアもゆっくりと瞬きをした。
「ん、それじゃ、この物語のヒロインでも食べに行こう」
「あは、簡単に食べられると思わないで──このドレスが紅い理由を知っている?」
「それは、楽しみ」
挑むような瞳は、ふたりそろって同じいろ。
さあ、存分にあそぼう。天使も魔女も亡者も、なにもかもが混ざり合う夜に。
引いた手に素直に従って、周囲を確認するみたいに動くベスティアの銀の毛並の耳に花世はまた微笑みを零す。
滑り出しは順調。まるで練習でもしてきたみたいに息はぴったり。
けれど狼に牙がないはずもなくて。
「、?」
一拍の中に、ひとつ加えられたステップ。とと、た、た、とと、た、た。ほんの少し戸惑ったのはしかし、一瞬のこと。それくらいで揺らぐ花世ではない。
危なげなく合わせて、いかが? と見返してみたいつも通りの眠たげな半眼の奥の赤い瞳が、きらりと輝いた。
「この私が大人しくエスコートされたままだと思わないことだ」
「っ、」
──罠だった!
気付いたときにはもう遅い。更に拍の中に増やされるステップ。音楽は変わらないのに激しさを増していく足さばき。花世が合わせる途端に緩急をつけて元のスリーステップに戻す──かと思えば一拍の中に三つの動作を組み込んで。
それはまるで、
──きみとわたしの戦いだ!
口角上がったままの花世の至近距離で、ベスティアの涼し気な表情も変わらない。狙い定めた、主導権を奪うタイミング。しっかり罠に嵌めてから、頭から食べてしまおう。
狼とはそういう生き物だもの。
ベスティアの表情が雄弁にそう語るのに、もちろん花世も負けるわけにはいかない。白熱していくワルツにあるまじき運動量。優雅に滑るように、同時に激しく雨粒が屋根を叩くみたいに。
──譲らない、譲れない、この夜が更けるまで。
けれど。震える気配は見ずとも判る。視線を合わせたのは、どちらからだったろう。
「今は暫し休戦──」
「ん、了解」
片手離してふたり開いて、そのままもう片手も離してめいめいにスピンターン。ふわりと深紅のドレスと擦り切れた黒のロングコートの裾が躍り、彼女達はそのまま背を合わせるようにして囲む亡霊の群れを鋭い視線で射抜いた。
「『躍るエンブ』を我の前に示せ……!」
「やれやれ。無粋な邪魔者は手早く倒して、早くふたりで続きをしよう」
「同感」
短く返したベスティアは数十の炎の槍を周囲に喚び浮かべ、花世は眼帯を千切るように“王”を解放する。虚構と現実の境界が翳む馨は、今宵この場になんとも似合いだ。
あまく誘う香りに動きの大きく鈍る亡霊達へ、ベスティアの指先ひとつで流星群のような炎の槍が降り注ぐ。
「今宵の相手を探しているなら慌てなくても大丈夫。この子達がしっかりとエスコートしてくれる。──さぁ、命が燃え尽きるまで踊り明かそう」
「だけど、円舞が見たいならどうぞ、お墓の下で」
祈るように伏せた聖女の瞼の奥に慈悲などないことを、狼は知っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュカ・エンキアンサス
章お兄さん(f03255)と
狼男の仮装
踊るらしい
俺たちで
……踊るらしい(二度見した)
…(無表情の中にも若干の悲しみの色が満ちる
あのリュカさんって何だよ
どうせ踏むなら心が痛まない相手がいいし…ごほん
…お手をどうぞ?花嫁さん
ダンスは非常に下手
足は踏みまくるし踏まれまくる
ちょっとお兄さん、ちゃんとして。とか自分のことは棚に上げて悪態ついたり割と散々な結果になる
…こういう場でなければ、もうちょっといつもは仲もいいんだよ
最終的に敵が現れたら、焔嵐を絶望の福音できれいに回避して隠していたダガーで攻撃
…殺す動きなら、間違わないのになあ
ほら、こんなに滑らかだし
…本当、こっちのほうが息が合うから不思議なものだね
鵜飼・章
リュカさん(f02586)と
仮装は『幽霊の花嫁』
なにさその顔
きみが誘ってくれたんだよね…
おかしいと思った
僕もあのリュカさんが踊れる筈ないと内心震えてたよ
踊れなくてよかった…いや良くないよ
でも今日は花嫁さんだから
はい、喜んで
可愛い狼さん
微笑んで手を取ろう
…うーん足癖は全然かわいくないね
でも僕は大人だから
激痛耐性もあるから…
頑張ってリュカさんをリードしようとするけど
実は僕も雰囲気でダンスをしている
あっ…足踏んじゃった
ごめんね悪気はないんだ(蹴り返しながら
敵の光球が飛んできたら踊るように身をかわし
隠していた拷問具の針を投げて敵ごと貫こうか
やっぱり僕達のダンスはこうだよね
今度は息を合わせて仕留めようか
●おどりますか? ▷はい いいえ
行こう、お兄さん。
そこに至るまで彼は迷いのない足取りで進んできた。そう。その華やかで鮮やかな光景を目の当たりにするまでは。
「踊るらしい。俺たちで」
大きな黒い狼耳の揺れるフードの下で、たった今見たその光景から目を逸らしたがるみたいにリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)を見上げた。
そしてもう一度それ──ダンスフロアに視線を遣り、もう一度章を見た。
「……踊るらしい」
普段よりあまり大きくは動かないリュカの表情の中、大きな青い瞳の中にどこか僅か悲しみのようなものが滲む。心なしか、ふさふさした狼の尾も垂れがちに見える。
「なにさその顔……、きみが誘ってくれたんだよね……」
吐息と共に軽く首を傾げれば、色褪せ朽ちたベールがさらりと揺れる。白いスラックスを覆い纏うのは煤け破れた純白のドレス。レースの長手袋も綻びて、まるで墓から出てきたばかりの如き章の仮装は『幽霊の花嫁』。
落ち込んでいるわけではないけれど、完全に足に根が生えた狼へ、花嫁はやれやれと指を額に当てて嘆息した。
「おかしいと思った。僕もあのリュカさんが踊れる筈ないと内心震えてたよ」
「あのリュカさんって何だよ……」
それ、訊く? 章が軽く顎を上げて眼で問う。要らない、黙って。眇められたリュカの双眸が応えるから、章は口角を上げて肩を竦める。
──まあでも、そうだな。リュカさんが舞踏会に慣れているのも想像がつかないし。
踊れなくてよかった。──いや良くないよ。
胸中で納得してみたところで、自体はなにひとつ解決していない。否。解決などしないのだ。腹をくくって、踏み出すしか現状を打開する方法はない。
「……うん。どうせ踏むなら心が痛まない相手がいいし……ごほん」
「リュカさん今なにか言ったかな」
「気の所為だよお兄さん。信頼してるって意味だ」
「つまりなにか言ったってことだよね、それ」
章の異議は聴こえないふり。リュカは狼耳フードのケープを軽く払って、片手を差し出す。優雅に腰を折って恭しく──とできたら良かったけれど、いかんせんそんな仕種には一切の馴染みがない。
ほとんど突き出すみたいにぶっきらぼうに差し出された右手。
「……お手をどうぞ? 花嫁さん」
だからその台詞は、精一杯の努力の証。
「はい、喜んで。可愛い狼さん」
得心しないところは残っているけれど、今日は花嫁さんだから。そんな想いで章はその手に指先を乗せた。
だけど。
「っ、……うーん……足癖は全然かわいくないね」
思い切りブーツで踏み付けられた足に痛みはほぼ感じないとは言えど、思わず吐息のひとつも零したくなるというものだ。だってそれは、踊り始めてたった数分で既に片手を超えている。
「可愛くなることは望んでないからいいんだよ、お兄さん」
反省の欠片も窺えない。リュカからすると踊れないことは事前申告しているわけだし、不可抗力だ。章としてもそんな想いを想像することはできる。仕方がない。僕は大人だし痛みには強いし。
──頑張ってリードしないとな。
と、固めた決意はとても立派ではあったのだが。
「いた。ちょっとお兄さん、ちゃんとして」げし。脛を蹴る。
「あっ踏んじゃったごめんね、悪気はないんだ」げし。蹴り返す。
「こっち、お兄さん。逆」ぎり。腰をつねる。
「違うよリュカさん。フロアよく見て」ぎち。肩を握りつける。
……結果は、ひどいあり様だった。
ひとつ良かった点をあげるならば──それでも彼らはそんなやりとりをすら、厭うてはいなかったところだ。周囲に亡霊達がちゃんと現れてくれたのだから。
敵がロッドを掲げる──そのときには既に、リュカの双眸は数手先の未来を視る。
視線が交錯したのは刹那、湧き起こる焔嵐の軌道からリュカはもちろん、章も危なげなく飛び退った。同時に章が放つ幾多の針。
「こんなもの──、!」
身を捻り僅か位置をずらす。それだけで避けられるはずのその攻撃は、唯一の逃げ場にダガーを抜いたリュカが滑り込むことで不可避となる。射ち放たれた超速の勢いのまま針は敵の身体を攫い、壁に叩き付け縫い止めた。
鴉の群れが黒い羽根を散らす中、油断なく次の標的へと視線を定めるリュカは小さく息を吐いた。
「……殺す動きなら、間違わないのになあ。ほら、こんなに滑らかだし」
「やっぱり僕達のダンスはこうだよね」
自然と互いの死角を消し、章も苦笑を返す。
「今度も息を合わせて仕留めようか」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雨糸・咲
f09129/ユルグさん
今宵の衣装はサーベル片手の女海賊
ご馳走とお酒は後ほど、と
素敵な海賊お兄さんに目配せし
ブーツの踵を鳴らしフロアへ
さぁ、いざ――
構えから息合わせ披露する剣舞
だって海賊ですもの
お上品な円舞より
こちらの方が相応しいでしょう
それとも、これではお気に召しませんか?と
亡霊さんへ悪戯に笑って
舞の合間に突き出す剣へ精霊の力乗せ
波飛沫の如く弾けて散る虹で攻撃
宝物を手にするまでの共同戦線です、なんて
風切る刀身に過る七色が
ほら
パーティを盛り上げるにはちょうど良い
俄仕込みにしては結構サマになってます?
ふふ
先生の教え方が上手なんですよ
余裕の動きにさすがと視線で賛辞を送り
応えるステップで愉快な夜へ
ユルグ・オルド
咲(f01982)と
お伽噺から漕ぎ出して乗り込むのは海賊姿
葡萄酒に後ろ髪ひかれつつ
置いてかれそうな背を追って
お祭り騒ぎだ、楽しまなきゃネ
口角上げたら振り抜いて
円を描いた一閃にいらえ
干戈を鳴らして踊ろうか
違いないね
お淑やかなばっかじゃ眠くなんだろ
海ばかりと言わず陸に地図を地下まで暴いて掌中に
海賊だもの欲張りなんだって嘯くのも上機嫌
咲うように光が躍れば
応えて呼ぶのは錬成カミヤドリ
剣の舞に添えたなら幾重にも鳴らして
お手を拝借と詰め寄ろう
逃げずに受けてよ、興の向くまま
いつかの勝負は先の楽しみ
んふふ、そうね、大海賊も夢じゃアない
降参だと片手挙げたら踏み込んでターン
軽いステップと言葉を踏んだら夜の涯てまで
●剣戟の舞
シナモン香る葡萄酒は未だ、名残惜しいけれど。
ご馳走とお酒は後ほど。
少し振り返った飴色の瞳がそう告げるのに、その瞳が楽し気に輝くのに、まさか遅れを取るわけにはいかない。
「あー、そうネ。海賊の宴は戦いのあとッて決まってるよね」
──お祭り騒ぎだ、楽しまなきゃ。
にぃ、と三角帽子の陰で浮かべるのは略奪者の笑み。ユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)の視線の先で、ブーツの踵高らかに鳴らし、腰布を閃かせて雨糸・咲(希旻・f01982)が跳ぶ。
「さぁ、いざ──」
抜いたサーベルは亡霊のローブを斬り裂いて、その白を赤へと染め上げた。ぐらりと大きく傾いだその瞬間を見逃さず、ユルグも鍔のない刃を振り抜いた。精霊が悲鳴を上げるような表情を浮かべて、声が出るよりも早く塵と消える。
もちろん、まだまだ亡霊達は浮かび上がってフロア中へと怨嗟を振り撒く。
ふぅ、とひと息ついて同じく三角帽子をくいと押し上げる咲。ふたり揃いで扮するは冒険と浪漫をこよなく愛する海賊だ。じゃらじゃらと音を立てる首飾りや、衣装の装飾がユルグに比べて僅かばかり控えめなのにだって、意図がある。
「憎い、憎い、憎い」
「奇襲などと卑怯な手を選んだ貴様らが、踊り祝うなど許せぬ……!」
災魔達に残っているのはかつての怨恨。そんなことは今のアルダワ学園にはもちろんのこと、ユルグと咲にも関係ない。
関係はない、が。
ふたりは笑んだ。
「いいね、マージで幽霊船に乗り込んだッて思えそう」
「だって海賊ですもの。宴は踊るもの……けれど、お上品な円舞よりこちらの方が相応しいでしょう」
しゃんッ、と。刃が一閃する音だけが残った。銀の軌跡が尾を引く姿はまさしく剣舞。霧散した亡霊の向こう側にいた別の個体へと、咲は悪戯っぽく唇に笑みを刷く。
それとも、これではお気に召しませんか? と。
問いに応えるのは亡霊ではなく、もうひとりの海賊だ。
「違いないね。お淑やかなばっかじゃ眠くなんだろ」
幽霊船に眠る財宝をすべて奪い尽くしたなら、次は海ばかりと言わず陸に地図を地下まで暴いて掌中にしよう。例えばそれが災魔の拠点であったのならお気の毒さま!
「貴様、よくもぬけぬけと……!」
術士の亡霊の感情の昂ぶりに応じて精霊の視線がユルグを捉え、途端に風刃が乱れ飛び彼を斬り裂いた。しかし。
「海賊だもの欲張りなんだ、仕方ないでしょ」
挑発はお手のもの。彼はどこまでも楽し気に口角をつり上げて、咲へと視線を向ける。彼女はちょっぴりおどけるように肩を竦めて見せた。
「宝物を手にするまでの共同戦線です、なんて」
精霊の力は敵だけのものではない。抜いて繰り出す切っ先に精霊の意識を集めて喚び起こす奇跡は、波飛沫の如く散る、虹の津波。導くように振るう刀身に七色が映れば、
「ほら、パーティを盛り上げるにはちょうど良いでしょう?」
「そンなら俺も」
“己”を額の前に立てて瞼を伏せる。祈りと共に虹の津波が呑んだ亡霊達の周囲に虚空から生えた幾多の刃が浮かび上がり、同じようにその虹を映し込む。それら自体も踊るが如く、高く干戈を打ち鳴らした。
しゃりぃん、しゃりぃん、しゃりぃん。
反響し重なり合って増幅する鋼の音が場の空気を支配する。
「さァお手を拝借。──逃げずに受けてよ、興の向くまま」
あとは瞬きをひとつ。
刃は過たず敵を穿つ。
敵の数がかなり減ってきたのを見てとって、咲はユルグへと振り向き小首を傾げて見せる。
「どうですか? 俄仕込みにしては結構サマになってます?」
「んふふ、そうね、大海賊も夢じゃアない」
いつかの勝負は先の楽しみとユルグが嘯けば、くるりと手首でサーベルを回して、彼へと咲は切っ先を突き出した。
ひょうッ──、と音が頬を鋭く掠め、彼の背後に迫っていた亡霊の手を貫いた。微動だにせず余裕の微笑みを崩さなかった彼へ『さすがです』と称賛の視線を送りつつ、咲は刃を鞘へ納める。
「ふふ、先生の教え方が上手なんですよ」
「やれやれ、降参だよ」
片手を軽く振って、そしてバックステップからのターン。決められた振り付けのように大きく振り抜かれた腕の先、湾刀が敵の喉を一閃すれば、咲もふわりコートを揺らして再び演武を舞う。
月の夜はまだ、明けない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朝沼・狭霧
ベイメリア(f01781)と
大正ロマンな和風メイドの仮装で
あまりハロウィンっぽくはないですが
ベイメリアがこの前これが似合うと言ってくれたので
「ベイメリアはお誘いありがとう。とても楽しいわ」
それにしても今日のベイメリアはなんだか
男装もあいまってとても凛々しいですね
ちょっとドキドキ
最初は普通に、ダンスを楽しみます
少し久しぶりだけど上手く踊れるかしらね?
災魔が出現したら、ベイメリアと踊りながら
【鈴蘭の嵐】で周囲に鈴蘭の花びらを出現させて
災魔を攻撃
「貴方たち、踊りを邪魔するようならパーティの盛り上げ役になっていただきましょうか?」
バックミュージックが災魔たちの
悲鳴にかわったことに満足しながら踊ります
ベイメリア・ミハイロフ
狭霧さま(f03862)と
紅中心に白、差し色に金の
深紅の映える騎士姿で
今日はわたくし、エスコートいたしますよ
狭霧さまは、大正のメイドさんスタイルが
とても気品があってお綺麗でいらっしゃいます
さあ、狭霧さま、いえ狭霧お嬢さま
ダンスを楽しみましょう
ちょっと緊張しつつ
男性役となってダンスをリード
さすがは狭霧さま、音楽の先生なだけあって
リズムを取るのもダンスも完璧でいらっしゃいます
災魔が現れたらRed typhoonにて
狭霧さまと息を合わせて花びらを散らせ
ダンスをしながら攻撃を
ダンスの邪魔は誰にもさせはいたしませんよ!
むしろ共に踊られてはいかがです?
それが叶わぬようでしたら、悲鳴と共にご退場願いましょう
●白と赤のリバイバル
あのときのソーダの色の着物には鈴蘭の模様。濃紺の袴と白いエプロンで色合いを引き締めて、ブーツをこつりと踏み出す。
「お誘いありがとう。とても楽しいわ」
あんみつの代わりにパンプキン・パイやクッキーに舌鼓。
朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)が心からの礼を述べれば、今宵はいつもの紅のシスター服がそのまま騎士の衣装へと変化したかのような、凛々しくも神聖さを思わせる佇まいで、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は恭しく一礼した。
「ありがたき幸せ……でございます」
さらりと流れる金の髪はひとつに結って、鮮やかな紅薔薇を差してある。輝く碧の瞳が悪戯っぽく光るのに、思わず狭霧はどきどきしてしまう。
「それにしても今日のベイメリアはなんだか、男装もあいまってとても凛々しいですね」
その言葉に己の姿を見下ろして、それからベイメリアは狭霧へと視線を移し、無垢な笑顔を向けて両の手の指を組んだ。
「狭霧さまは、大正のメイドさんスタイルがとても気品があってお綺麗でいらっしゃいます。やはりわたくしの見立ては間違っておりませんでしたね」
「ふふ、ありがとうございます」
彼女が似合うと言ってくれたから着てみようと思えたのだ。期待に副うことができて嬉しいと共に感じる安堵に頬が緩む。
そんな彼女に、ベイメリアはそっと狭霧の手を取った。
「今日はわたくし、エスコートいたしますよ。さあ、狭霧さま、いえ狭霧お嬢さま。ダンスを楽しみましょう」
決して強引ではなく、それでもリードしてくれるベイメリアに狭霧も笑み返す。
「少し久しぶりだけど……上手く踊れるかしらね?」ちょっぴりのそんな不安はあるけれど、紅薔薇の騎士と一緒ならばきっと大丈夫。
優雅な三拍子が響き渡るフロアの中心に歩み出て、手を取り合って。
顔を見合わせたなら互いにふふりと笑い合ってしまうけれど、滑り出す足に躊躇いも戸惑いもない。
本当はベイメリアも少し、緊張していたけれど。ゆったりとした音楽に身を任せているうちにそんな強張りもどこかへ消えてしまった。
「さすがは狭霧さま。音楽の先生なだけあって、リズムを取るのもダンスも完璧でいらっしゃいます」
「そうですか? だとしたら嬉しいです」
くるり、ふわり。
ターンの度に袴が風を孕んで広がって揺れる。そのとき伸びやかな三拍子の中に、短い悲鳴が混ざったのを聞き逃がさない。ふたりが視線を走らせると同時に、次々に白いローブの亡霊達がフロアへと浮かび上がってきた。
他の猟兵達も、迅速に戦闘行動へと移行する。
だけど。
くるり、ふわり。
ベイメリアと狭霧はダンスを止めない。なぜならこの災魔達は、パーティをより楽しみ続けることでより隙が生まれるのだ──というのはもしかしたら、彼女達にとって口実でしかなかったかもしれないけれど。
「貴方たち、踊りを邪魔するようならパーティの盛り上げ役になっていただきましょうか?」
「ええ、ダンスの邪魔は誰にもさせはいたしませんよ!」
重ねた掌に互いの祈りを籠めれば、彼女達を包み込むように広がり舞い散る、白と赤。
ベイメリアは勝利を確信した笑みを浮かべて、災魔へと宣する。
「むしろ共に踊られてはいかがです? それが叶わぬようでしたら、悲鳴と共にご退場願いましょう」
彼女が言葉を紡ぎ終えるや否や、鈴蘭と深紅の薔薇の無数の花弁が、ふたりへと群がる亡霊達へ襲い掛かった。
めまぐるしいほどの花嵐。時折飛んでくる風の刃をターンで避け、ときには身体を逸らし、例え身を裂いたとしても手を離すことはなく。
彼女達は、踊り続けた。
周囲に響くのは鳴り止まぬ三拍子の伴奏と、災魔達の悲鳴。そして後者は、二曲、三曲──と数えていくうちに消えていき、そしてまた、温かな喝采と笑い声がフロアに満ちていった。
「他愛もありませんでしたね、ベイメリア」
「はい、狭霧お嬢さま」
無傷、とはいかない。それでも彼女達を含めた猟兵達はみなパーティを楽しみ続けていたからこそ、被害は驚くほど少なかった。
また一曲。音楽が最後の余韻を残して消えていく。
緩やかに足を止めたベイメリアは問う。「手当をいたしましょうか」だから狭霧は笑って肯いた。
「では、あと一曲、踊ったら」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵