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やがて朽ち果て、薔薇となり……

#ダークセイヴァー #同族殺し


 ここに、朽ち果てた女性の死体が一つ。
 足をトラバサミに挟まれ、胸から腹にかけては1本の銃剣が突き刺さり、多数の銃弾を撃ち込まれた痕のある、もの。
 それはすでに腐敗し、身体を茨が絡み上げていた。
 あとは骨と化すだけ……そう思われていた死体が、動き出す。
 トラバサミを引きずり、人としてはぎこちない歩き方。
 しかし、音もなく胸の銃剣を引き抜くと、途端に歩みを早めていった。
 茨の生える野原から離れて向かう先は、簡易なテントの並ぶ湖の畔。
 そこで彼女は、さらなる銃声に包まれる。
 それは、空に真丸の月が浮かぶ日の出来事だった……。

「皆さん、集まってくれて、ありがとうございます。
 ちょっと解決してほしい問題が、あるんです。」
 グリモアベースで猟兵達を前に、影山は少し考えながら話し始めた。
「えっと、とある領地に、人狼の兵隊が現れたんです。
 元々は吸血鬼を狩る狩猟者の集団……だったんです。
 でも、今彼らを率いてるボスは、動くものなら何でも殺すような狩猟者で……特に、赤いものを狙って撃つみたい、なんです。
 もう、今は彼らが寝泊まりしている湖の周辺にいた人達は、撃ち殺されてしまいました。
 だから、皆さんには、彼らを倒してもらいたいんです。」
 そう言って影山がゲートを開くと、けたたましい銃声の鳴り響く湖の畔につながった。
「あの、なんだか騒がしいんですけど、彼らを襲っているモノがいるんです。
 人の死体のようなんですけど、身体が茨でできていて……。
 多分、邪魔をしなければ、皆さんを攻撃することはないはず、です。
 なので、それと一緒に戦うと、いいと思います。
 皆さん、よろしくお願いします。」

 銃声に視線を向ければ、マスケット銃を構える人狼の群れと……銃剣を掴んで走る、茨の人間のようなもの。
 それは銃弾に怯むことなく駆け寄り、人狼の胸へと銃剣を突き立てて、次の獲物へと駆け出した。
 ……銃剣の形は、人狼の持つマスケット銃のものに似ている。


ヨグ
 ヨグです、ダークセイヴァーの同族殺し、第2弾となります。
 湖の畔の人狼たちを襲う茨人間、それと一緒に人狼たちを殲滅してください。

 ※誠に勝手ながら、11月の3、5、6日は私用により執筆ができません。
  もし、その時期にプレイングが流れた場合、再度送信していただけると幸いです。
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第1章 集団戦 『蜂起する銀狼軍』

POW   :    シルバーバレット
自身の【命】を代償に、【他の構成員を超強化。彼ら】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【銀の弾丸】で戦う。
SPD   :    決死の覚悟
【自ら頸動脈を切断する】事で【最終戦闘形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    抹殺の意思
【戦闘後の確実な死】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【高速連射形態】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
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御園・桜花
これなるは違いの分からぬ女

「あの方を転生させて差し上げたい…この世界では無理なのでしょうか」
新人猟兵はまだ、世界の法則の違いを理解できていなかった
人狼と戦う茨姫、に見えるオブリビオンを、助けたい、力になりたいと思ってしまった
「この群れを討伐できれば、あの方は健やかな転生ができるのでしょうか…」
エントの召喚使用し、茨姫のためにも早く銀狼部隊を討伐しようとする
『…おいでませ我らが同胞。その偉大なる武と威をもちいて、我らが敵を討ち滅ぼさん』
エントの地面から貫く根で人狼軍のみを貫かせ、茨姫と共闘する
そこそこえぐい串刺しが大量生産されるが、相手が死兵状態であり更に多勢に無勢でもあるので気にしない



「あの方を転生させて差し上げたい……この世界では、無理なのでしょうか。」
 死してなお、銃剣を掴んで人狼を突き刺す女性の屍……。
 まるでお話に出てくる茨姫のよう、と御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は呟いていた。
「この群れを討伐できれば、あの方は健やかな転生ができるのでしょうか……。」
 御国の故郷、サクラミラージュに現れる影朧であれば、人として転生できるだろう。
 しかし、ここはダークセイヴァー……茨姫も、過去の残滓でしかない。
「いいえ……無理と決まったわけではありません。」
 確固たる意志を持ち、御国は意識を集中する。
 ただ、茨姫を助けたい、力になりたい一心で。

「……おいでませ我らが同胞。その偉大なる武と威をもちいて、我らが敵を討ち滅ぼさん。」
 御国の祝詞と共に土を割って現れる、木の牧人であるエント。
「それでは、よろしくお願いします。」
 御国が見上げながらそう言うと、エントはその木でできた腕に力を籠め、一気に握りしめる。
 すると、茨姫を狙う人狼たちの足元から木の根が飛び出し、彼らを貫いていった。
「いつもながら、スプラッタな見た目になってしまいますね。しかし、」
 貫かれ、宙に浮いたまま、マスケット銃を御国へ向けてくる人狼たち。
 その弾が放たれた時、周囲を枯葉が舞い散り……辺りに、斬り刻まれた鉛が舞う。
「彼らは死兵も同然……気にかける必要はありませんね。」
 そうして、茨姫を狙う人狼を次々と貫く根。
 そんな人狼たちの心臓を丁寧に貫き、時に頸動脈を掻き切り、確実に絶命させていく茨姫……。
「……どれだけの恨みを持てば、あれだけの力で蘇るのでしょう。」
 背筋に寒いものを感じながら、御国はその様子を眺めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェスター・アーベント
心情/
無差別に赤を狩る者と、それを狩る者…憎しみに支配され闇に堕ち切っていれば、俺も奴らの仲間入りをしていたかも知れないな…。

戦術/UC【闇ノ誓約】使用
俺は茨人間を邪魔せず、助けるように立ち回り援護する。
「悪いが利用させてもらうぞ」
人狼の銃撃を『見切り』魔剣を『念動力』で操って『武器受け』して防ぎ【闇ノ誓約】を人狼達に食らわせてルール宣誓。
「射撃を禁ずる」
これで形勢は大きく茨人間側に傾くはず、俺は討ち漏らしや死角にいる個体を聖剣で『薙ぎ払い』駆逐していこう。
「何が奴を駆り立てる…お前も俺のように全てを奪われたのか…?」
救ってはやれない、ならせめて、その憎しみを解放してやろう。

補足/アドリブ歓迎


テリブル・カトラリー
「人狼達を襲う亡骸…あれは、いや、今は人狼を倒す事に集中しよう」

アレが何故人狼を狙うのか…
ともかく敵が他に注意を向けているのなら丁度良い。
手早く腕を【ガトリングアーム】に換装し、突撃。

ブーストで自身をふっ飛ばし、茨人間の近くまで滑走(スライディング)
しながら範囲内の人狼達、茨人間と茨人間が戦っている相手以外の
周囲の敵をガトリングガンで狙い(スナイパー)制圧射撃。

そのまま茨人間と戦っている人狼に向けて怪力でガトリングガンの銃口の先をねじ込み接射。一瞬茨人間を見やり…ガトリングを人狼達に向け直す。

アレを倒すにしろそうでないにしろ、
血に塗れた狩人達を殲滅する事が、最優先だ。



「無差別に赤を狩る者と、それを狩る者か……。」
 人狼たちへ斬りかかる茨姫を目で追いながら呟く、ヴェスター・アーベント(孤独な剣士・f09560)。
 すらりと腰の聖剣を抜き、その刀身に目を落とせば……自分を見つめる一対の瞳。
「憎しみに支配され闇に堕ち切っていれば、俺も奴らの仲間入りをしていたかも知れないな……。」
「だが、今はそうでないのだろう?」
 自身の腕をガトリング砲へと換装しながら、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)が言葉をかける。
「私たちはオブリビオンを狩る者だ。今は人狼を倒す事に集中しよう。」
「……ああ、そうだな。」
 言葉を受け、ヴェスターは茨姫の元へ駆け出していった。
 それを目で追っていたテリブルの視界に、人狼へ斬りかかる茨姫が映る。
「アレが何故人狼を狙うのか……。」
 少し考えるが頭を振り、ブーストを焚いて一気に人狼たちへ肉薄していった。

 茨姫へと放たれたマスケット銃の弾丸……それを防いだのは、宙に浮く一本の大剣だった。
「……悪いが、利用させてもらうぞ。」
 ヴェスターは念動力で大剣を操り、自身の元へ引き寄せて人狼の意識を引くと、手から黒い波動を放ちながら宣言した。
「射撃を禁ずる!」
 次の銃口を向けた人狼たちが、発射と共に腕から血を噴く。
 その様を見ても……人狼たちは、容赦なくマスケット銃を構えた。
「死を厭わぬ軍勢か、だが……。」
 茨姫は弾丸を縫って走り、人狼の胸へ銃剣を突き刺していく。
 血を吹き出す影響か、射撃の精度が悪くなっていた。
「これで形勢はあちらに傾くだろう。」
 ズザッ! と地面に大きなものが擦れる音に目を向ければ、テリブルが茨姫を狙う人狼の群れの中に飛び込んでいた。
 2mを超える巨体での突進に人狼たちは吹き飛ばされ、その群れへガトリングの弾丸を浴びせかける。
「人を、狩っていたそうだな。」
 死に瀕してなお銃口を向ける人狼へ向け、語り掛けるテリブル。
 ブーストを用いて一気に近づき、ガトリングの銃口をその口へつっこみ……撃ち放つ。
 吹き飛ぶ頭と血煙がはれた先に、茨姫の姿が見えるが、
「……血に塗れた狩人達を殲滅する事が、最優先だ。」
 そのまま視線を外し、他の人狼たちへガトリングを向ける。
 茨姫へと銃剣をつきだそうとした人狼へ弾丸を撃つが、致命傷を受けてもなお止まらない人狼。
 すかさず、横から現れたヴェスターが手にした聖剣で斬り払い……地に転がる人狼に、手にした銃剣を突き立てる茨姫。
「何がお前を駆り立てる……お前も俺のように全てを奪われたのか……?」
 すぐ横でつぶやいたヴェスターに応えることもなく、茨姫は次の人狼たちへと向かっていった。
 人狼たちの返り血で、身体に纏わりつく衣服が赤く染まっていく……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

村井・樹
オブリビオン同士での戦いですか
何故、同族同士で殺し合っているのか、この目で見て尚、理由は分かりませんが
私自身もこうしてメメ君の力も借りて戦っている身、彼……いや、彼女?と共闘するのも、吝かではございません

さあ、互いの目的を果たすとしましょう

第三の人格を発動

自らを犠牲にしても私達を討つという悲壮なまでの彼らの決意、見ているこちらにもひしひしと伝わってきます
……そしてそここそが、付け入る隙になる

相手がこちらに突撃して来ることを予測し、戦場に【罠使い、ロープワーク】で罠を仕掛けます
敵が茨人間に気を取られている間に【目立たない】よう、【忍び足】でそれを終わらせてしまいましょう

※アドリブ等大歓迎


霧島・絶奈
◆心情
勝っても負けても死滅する軍隊ですか…
走狗としては優秀なのでしょうが、生かすべき個を持たぬのであれば犬死です
その程度の輩に嬲り殺されたのですから、骨髄に徹するのも肯けます
…些少なりとも其の怨み、存分に晴らすと良いでしょう

◆行動
茨人との連携を意識し、邪魔はしない様に注意を払います

『暗キ獣』を使用
屍者の槍衾による【範囲攻撃】で戦線を押し上げ、機動力を生かした屍獣が側面や背後より遊撃

私は軍勢に紛れ【目立たない】様に行動
【罠使い】として持ち込んだ「魔法で敵を識別し起爆するサーメート」を設置

設置後は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



「オブリビオン同士での戦いですか。」
 顎に手を当てて思案しながら呟く、村井・樹(Iのために・f07125)。
「何故、同族同士で殺し合っているのか、この目で見て尚、理由は分かりませんが……。」
「ふむ、確かにオブリビオンとして諍いになる理由は、わかりませんね。」
 その隣で、特徴的な猫耳フードを目深に被った霧島・絶奈(暗き獣・f20096)が応えていた。
「とはいえ、彼女の戦う理由は解りやすいでしょう?」
「ええ、もちろん。自らを殺した武器を使うなど、恨みの篭もり方が違いますね。」
「ふふふ、では手助けといきましょう。」
 霧島が蒼白い燐光を浮かべて手を翳すと、屍人の軍勢が地面から身を起こし、足元から屍獣の群れが沸き起きる。
 その様を見た村井も、肩にとまる絡繰人形を撫で、
「私自身も、こうしてメメ君の力も借りて戦っている身。彼……いや、彼女?と共闘するのも、吝かではございません。」
 言葉だけが残り、二人の姿は屍人の群れに紛れていった。

 茨姫が次の人狼へ向かう……その瞬間、人狼たちの銃口が彼女を捉え、鉛玉が撃ち放たれる。
 しかし、それを間に立つ屍人が受け止めた。
「さぁ……些少なりとも其の怨み、存分に晴らすと良いでしょう。」
 姿なき霧島の言葉が聞こえたかどうか。
 屍人たちは茨姫の動きを邪魔せず、確実に盾となり弾丸を受け止めていく。
 そのまま確実に相手を突き殺す茨姫に対し、何を思ったか……人狼たちは自らの頸動脈を掻き切り、銃剣を構えて突進していく。
「自らを犠牲にしても彼女を討つという、悲壮なまでのあなたたちの決意。見ているこちらにも、ひしひしと伝わってきます。そして……」
 いつの間にか、茨姫と人狼の間に立つ村井の呟き。
 笑みすら湛えた彼の顔を見た時、人狼たちは足元に張られたロープに引っかかり、つまずいていく。
「そここそが、付け入る隙となる。」
「ええ、その通り。」
 霧島の言葉に合わせ、屍獣たちが人狼たちを狙い、噛みつく。
 しかし、そちらへ向かおうとした茨姫を、屍人が押し返し……次の瞬間、屍獣もろとも人狼たちがテルミットの炎に包まれた。
「勝っても負けても死滅する軍隊……走狗としては優秀なのでしょうが、生かすべき個を持たぬのであれば、犬死です。」
「さぁ、互いの目的を果たしましょう。」
 すぐに収まった炎に、村井と屍人が道を開けると、茨姫は黒焦げた人狼たちの胸を銃剣で貫いていく。
 彼らはすでに動かないが……そうしなければ、また起き上がってくると言いたげに。
「……その程度の輩に嬲り殺されたのですから、骨髄に徹するのも肯けます。」
 姿を現した霧島は、その様を眺めて呟いていた。

「しかし……彼女の恨みはこれで解けるのでしょうか。」
「さぁ……そればかりは何とも。」
 村井の問いに答えられる者は、この場にはいなかった……茨姫の口は、すでに存在してすらいない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エウロペ・マリウス
行動 WIZ

元は吸血鬼を狩る者達とはいえ、
罪無き人々に、その牙を向けたならば、それはただの略奪者
問答無用だね

同族殺しが何故力をキミ達に振るうのかは、
復讐、というところかな

ボクはそれに手助けする詠唱を以て応えようか

『闇を穿つ射手がつがえしは白銀の矢 白き薔薇を持たぬ愚者を射貫く顎となれ 射殺す白銀の魔弾(ホワイト・フライクーゲル)』

『空中浮遊』しつつ、『空中戦』と『オーラ防御』で回避と防御で戦闘を行うよ
氷の『属性攻撃』を『高速詠唱』
『誘導弾』で同族殺しを援護するとしようか

復讐は何も生み出さないとは、よく言うけれど
復讐することでしか癒えない傷というものは、確かに存在するとボクは思うよ


リーヴァルディ・カーライル
…ん。同じ吸血鬼狩りとして、
思うところが無いわけでは無いけれど…。
何の罪も無い人々を害するのなら、容赦はしない。

第六感が同族殺しの殺気を感じたら離脱するように心掛け、
“写し身の呪詛”で赤い衣を纏う残像を召喚して囮にする

…主は赤い物を優先して狙うみたいだけど、さて。
配下も上手く釣られてくれるかな…?

今までの戦闘知識を基に敵の死角を暗視して見切り、
自身は存在感を消して目立たないように【血の疾走】を発動

死角への転移と同時に怪力任せに呪力を溜めた大鎌をなぎ払い、
生命力を吸収するオーラで防御を無視する呪属性攻撃で仕留めるわ

…出来るならば、オブリビオンになる前に出会いたかったわ。
…眠りなさい。安らかに…。



 猟兵達の手助けもあり、人狼たちの姿はかなり減ってきている。
 彼らは少しずつ、一際大きなテントへと追い込まれていった。
「元は吸血鬼を狩る者達とはいえ……。」
 そのテントの影から茨姫を狙う人狼たちを見て呟くのは、エウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)。
「罪無き人々に、その牙を向けたならば、それはただの略奪者。」
「……ん。同じ吸血鬼狩りとして、思うところが無いわけでは無いけれど。」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が呟くように、人狼病により強化された体躯によって、吸血鬼を狩る者たちは確かにいた。
 しかし、足元に転がる遺骸を眺め、
「……何の罪も無い人々を害するのなら、容赦はしない。」
「問答無用、だね。」
「うん、いくよ。」
 言葉と共に、二人は戦場へ飛び出した。

 所々、即席のバリケードをたて、物陰からマスケット銃で茨姫を狙う人狼たち。
 彼らの目は、向かってくる茨姫へと向いていた。
「闇を穿つ射手がつがえしは白銀の矢、白き薔薇を持たぬ愚者を射貫く顎となれ……。」
 その上を飛ぶエウロペ。
 頭に咲く氷の薔薇と同じ、氷でできた魔力の矢が周囲に生み出されていく。
「射殺す白銀の魔弾(ホワイト・フライクーゲル)」
 頭上から降り注ぐ、氷の矢。
 無防備なその頭を貫き、そこへ茨姫が飛び掛かり、人狼の胸を貫いていく。
「同族殺しが何故力をキミ達に振るうのかは、復讐、というところかな。……おっと」
 死を目前に、上空のエウロペに気が付いた人狼たち。
 最期の力で銃口が上空を向くと、白いエウロペの横に浮かぶ、動く赤い衣。
「……主は赤い物を優先して狙うみたいだけど、さて。」
 上空に赤い衣を纏う幻影を生み出したリーヴァルディ。
 狙い通り、動き回るそれを狙って銃弾が放たれていた。
「……よし、じゃあ。」
 リーヴァルディの左眼が赤く輝くと、物陰にいた人狼の背後に転移する。
 持ち前の怪力で呪力の篭もる大鎌を振るうと、人狼の胴が切り離されていた。
「……出来るならば、オブリビオンになる前に出会いたかったわ。」
 人狼たちへ目を落とし、少しの祈りと共に呟く。
「眠りなさい。安らかに……。」
 瞬間、背筋を冷たい殺気が襲う。
 振り向きざまに跳び離れると、リーヴァルディの斬り倒した人狼の胸を銃剣で貫く茨姫がいた。
 自身が狙われたのではないと胸をなでおろすと、隣にエウロペが降りてきた。
「復讐は何も生み出さないとは、よく言うけれど。」
 最後の人狼を……その前から動かない人狼を刺殺した、茨姫を見ながらエウロペは呟く。
「復讐することでしか癒えない傷というものは、確かに存在するとボクは思うよ。」
「……そう、だね。」

 動くものがいなくなった湖の畔……突然、大きなテントから大音量の銃声が鳴り響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『赤の狩猟者』

POW   :    もっと、『赤』を魅せてくれ
【鮮血を求める狩人】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    おっと、そこは危ないよぉ?
【敵の足下】から【トラバサミ等の罠】を放ち、【対象の脚部に噛みつかせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    ねぇねぇ、もっとオレと遊んでよ!
【重火器による無差別射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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「あー……なんだ? オレっちの兵隊死んでるじゃん。」
 大きなテントの入り口を重火器で吹き飛ばし、現れた狩人はそう呟く。
 すぐに飛び掛かる茨姫……だが、視線も向けずに手にした重火器を撃ち放つ狩人。
「へぇ、お前がやったわけ? すげえじゃん。」
 顔のあった場所に咲く、赤い薔薇を銃弾が貫き、吹き飛ぶ茨姫。
 その足についていたトラバサミを狩人が認め、
「あれ、それオレのじゃん……あっはははは! そうか、お前か!」
 銃口を向けながらゲラゲラと笑う狩人。
「一番最初に見つけた奴だ! そうだ、兵隊たちに嬲らせてやったもんなぁ!」
 ……無防備に笑っているように見えるが、周囲を冷静に眺めまわす狩人の視線。
 猟兵達の姿も認め、その銃口を油断なく向けてくる。
「お仲間も連れてきたってか。オレっちを殺せると思ったら大間違いだぜぇ!」
御園・桜花
「これでは茨姫が転生を待たずに殺されてしまいます!」

UC『神々の悪戯』使用
茨姫の手を掴み自分が茨姫の前に出る
もう片方の手に持った軽機関銃で【制圧射撃】して少しでも茨姫が撃たれる可能性を減らしながら赤の狩猟者の行動を阻害を試みる
茨姫を掴んだ手は体の後ろ側に回して棘から直接血が滴るのは見えないようにするが、軽機関銃撃ちまくっているので居場所自体はもろばれ

「貴女を苦しめ殺した相手は倒すから…例え貴女が貴女自身の残滓だとしても、私は貴女に救われて欲しいんです」


エウロペ・マリウス
あぁ
そうやって、愉しげに、誇らしげに
人を嬲ったと嗤うのですね

行動 WIZ

『オーラ防御』にて、身を固めつつ、
武器であるコキュートスを氷の結晶の花弁へと変化させる

「万物すべて、氷華舞う白き世界にて廃せよ……凍獄の秘術(アルブスメルム・アルス・マグナ)」

重火器による無差別射撃は確かに脅威ですが、
性質上、連射が利くものではないですし、広範囲で無差別攻撃となると、それが顕著となるでしょう

ですから、まずは地に着いた状態で『挑発』
相手の攻撃の開始タイミングを、
自身の攻撃範囲へ踏み込めるまで『言いくるめ』と『時間稼ぎ』で調節し
相手の攻撃が発射されると同時に、
『空中戦』と『空中浮遊』で回避を試みましょう


村井・樹
……分かってるよ『紳士』、俺の出番って事だろ?

てめぇがこの辺牛耳ってるボスか
ああ、お前の部下は皆犬死にしちまったよ
さあ、さっさと構えな
【存在証明】を誇示

さあ、俺を見ろ
俺の目を見ろ
俺の瞳に宿る赤を見ろ
他に何も見えなくなればいい

相手は狼、噛みつくことは常套手段だ
ヤツの罠が俺の足に噛みつこうとも、それぐらいは予想の範囲内だ

だが、お前はどうだ?
捕まえた相手に、後はその手の物騒なモンで仕留めてやるだけの相手に、逆にその喉笛かっ切られる覚悟くらいはしてるんだろうな?

【罠使い】の俺ならこれを外すくらい容易だ
悦に入ってるやつの背に、偽メメを回り込ませて【騙し討ち】をしてやる

※プレ外の言動等大歓迎



「てめぇがこの辺牛耳ってるボスか。」
「そうだぜぇ? お前らに殺された兵隊の、なぁ。」
 怒気をはらんだ村井の言葉も、どこ吹く風な狩人。
 表に出ている人格……執行者たる【俺】の思うままに言葉を続ける。
「ああ、お前の部下は皆犬死にしちまったよ。」
「だろうなぁ、あいつららしい死に様だぜ!」
 あっはははは!
 そう、笑い……ただ、嗤う。
「あぁ……そうやって、愉しげに、誇らしげに、人を嬲ったと嗤うのですね。」
 不快感を露わに呟くエウロペへ、手持ちの重火器を突き付け、
「だったらなんだ? 俺っちはやりたいようにやるだけだぜ!」
 突如、茨姫の吹き飛んだ辺りへ向ける。
 ……が、そこにいるのは薔薇ではなく、
「あん?」
「貴方を許すわけにはまいりません。茨姫のためにも。」
 桜の精、御園。
 その手に掴まれた茨姫は姿を消し、見失った狩人は嗤う。
「ひゃははは! お前ら、どんだけあれの肩を持つんだよ!」
 ひとしきり嗤い……、
「……めんどくせえ、消えな。」
 冷静に言い放つと共に、火薬と鉛の暴力を解き放った。

 狩人の一斉射撃、それに合わせて動いたのはエウロペだった。
「万物すべて、氷華舞う白き世界にて廃せよ……凍獄の秘術(アルブスメルム・アルス・マグナ)」
 エウロペの武器、氷を模したロッドが結晶となり、狩人の視界を白い雪の結晶が飛び交う。
 放たれた銃弾は全て受け止められ、狩人の頬を結晶が掠っていった。
「……やるじゃねえか。」
「ええ、あなたも、ですね。」
 頬を垂れる血を舐めとると、途端に後ろへ銃口を向ける狩人。
 遅れて視線を向ければ、村井の赤い瞳が目に入る。
「さあ、俺を見ろ。俺の目を見ろ。」
「……てめえの力か。」
 村井の言いくるめ、催眠術。
 見つめる狩人の瞳も赤く染まり、トリガーにかかる指に力が入らない。
「そうだ、俺の瞳に宿る赤を見ろ、他に何も見えなくなればいい。」
「そう、かよ!」
 急に飛び退るような動きを見せる狩人。
 少し、ほんの少しだけ、村井の足に力が入る……瞬間、トラバサミがその足を挟み込んだ。
「ひゃは! そこはあぶねえぜぅおう!」
「させません!」
 狩人の瞳が元に戻り、勝ち誇った狩人の体を横から弾丸が掠めた。
 そちらを見れば、御園が軽機関銃を乱射しながら駆け寄ってくる。
「貴方を生かしておいては、茨姫が浮かばれません!」
「ちっ! どいつもこいつも!」
 慌てて狩人は銃口を向ける。
 ……と、御園の軽機関銃を持っていない手から、血が滴るのが目についた。
 その手に握るのは、茨の絡む指で
「ひゃはは! そこかぁ!」
 御園の後ろ、手を引かれた茨姫へと放たれる弾丸は、
「……やはり、赤を狙うのですね、本能のままに。」
 エウロペの放つ白い結晶に阻まれる。
 さらに、狩人の後ろから声が響いてきた。
「捕まえた相手に、後はその手の物騒なモンで仕留めてやるだけの相手に、何をぐずぐずしていやがる?」
「んだと!?」
 トラバサミにかかる村井の、嘲るような言葉に向き直り、
「逆に……その喉笛、かっ切られる覚悟くらいはしてるんだろうな?」
「上等だテメェ! ……ぐあ!」
 新たな弾倉に付け替え、銃口を村井へ向けた瞬間……後ろから斬りかかる、絡繰人形のメメ。
 足を斬られてバランスを崩した狩人へ、さらに軽機関銃を乱射しながら突進する御園と茨姫。
「……例え貴女が、貴女自身の残滓だとしても。」
 乱射の音が止むと同時に御園が茨姫の手を放すと、銃剣の刃が煌めく。
「ぐああああ!」
「私は、貴女に救われて欲しいんです。」
 どさ……狩人の左腕が斬り落とされる。

「テメェら……許さねぇからな!」
 しかし、狩人は動きを止めずに重火器を乱射する。
「皆さん退いてください、援護します。」
「はい!」
「ああ、その方がよさそうだ。」
 エウロペの結晶が盾となり、御園は茨姫と共に距離をとり……村井はいつの間にか、エウロペの横にいた。
「おや、トラバサミは?」
「罠使いの俺なら、あれを外すくらい容易だ。それに、」
 茨姫の足についているものを見つつ、
「使うと解っている罠ほど、対処のしやすいものはないさ。」
「ふふ、そうですね。」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴェスター・アーベント
心情/
そうか、貴様か…貴様が元凶か!
この苦しみに満ちた世界を加速させる罪人め、貴様はこのヴェスターが討つ!

戦術/UC【終焉ヲ齎ス黒】で攻撃
「報いを受けろ」
基本戦術は右手の聖剣と空中に浮遊し『念動力』で操る魔剣による攻防一体の剣技。
敵の動きを『見切り』聖剣の『武器受け』で攻撃をいなしながら、『念動力』により操った魔剣を用いて【終焉ヲ齎ス黒】を『カウンター』で叩き込み敵を跡形も無く『なぎ払う』
傷を受けたら『怪力』を以って鋭く聖剣で斬りつけ、暗黒の力で生気や魔力を『吸血』し『生命力を奪い』受けた傷を癒しながら敵を殲滅するまで地形を壊しながら戦う継戦能力と破壊力に長ける戦術で追い詰める。

アドリブ歓迎


テリブル・カトラリー
もしやとは思ったが、そうか。
…まぁ、戦う理由は増えた。

戦闘知識、汎用機関銃の制圧射撃で敵の動きを阻害しつつ
地面をブーストで滑走(スライディング)。
獣を狩る、吸血鬼を狩る、それで満足できなかったか。
……オブリビオンに言っても仕様がないか…

茨人間で敵の意識が逸れた瞬間に【スリーアーム】発動(早業、物を隠す)
腕を換装し、自身を吹き飛ばし敵に接近。

銃口の位置を見切りガントレットで銃撃を武器受け、
強引に近付き殴りかかりフェイント、UCの冷凍ガスを浴びせ属性攻撃。
そんなに赤が好きなら、自分の赤を見ていろ

鈍った所に、クイックドロウ。
ラストデザートで弾丸を叩き込む


霧島・絶奈
◆心情
狩人が知性と言う武器を捨てたら、其は狩られる獣に成り果てる行為でしょうに…
…ああ、成る程
狩るのに飽きて、狩られる気持ちを味わってみたいと言うわけですね
なら、遠慮無く…

◆行動
引き続き茨人と連携

『二つの三日月』を召喚し戦闘
攻撃の際は茨人を巻き込まない様に注意させます

私は巨人の影に隠れ【目立たない】様に行動
【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵にだけ反応する毒のトラバサミ」を設置
…因果は廻る輪の様なものです
生きる為にでは無く、ただ娯楽として他者を辱しめた貴方は、其の報いを受けるべきでしょう

設置後は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


リーヴァルディ・カーライル
…ん。なるほど、おおよその事情は把握したわ。
偶然とはいえ敵討ちの場に居合わせたんだもの。
手を貸してあげるわ、茨の君。

先の戦闘同様に“写し身の呪詛”の呪力を溜めた“血の翼”を広げ、
存在感のある赤い残像を生じながら空中戦を行い囮になる

今までの戦闘知識を基に敵の殺気を暗視して攻撃を見切り、
怪力任せに大鎌をなぎ払うカウンターで銃撃を迎撃する

…堕ちた狩人。血に飢えた獣ね。至極、読みやすい。

第六感が好機を捉えたら【血の魔線】を発動
両手に繋いだ生命力を吸収する無数の魔糸を巡らせ、
目立たないように敵を拘束して同族殺しを援護できないか試みる

…後の面倒は私達がみてあげる。
貴女は貴女の本懐を果たすが良い。



「……ん。なるほど、おおよその事情は把握したわ。」
「もしやと思ったが、そうか。」
 淡々と事態を飲み込んだ、リーヴァルディとテリブル。
 猟兵達の前では、片腕の狩人と茨姫がお互い武器を持ちながら対峙している。
「……まぁ、戦う理由は増えた。」
「俺はてめえらと戦う理由はねえ!」
 殺意というより、ただ殺す目標としてのテリブルの視線を感じ、狩人は叫ぶ。
 その様子に、クスクスと笑う霧島。
「何がおかしい!?」
「くっくっく……いえ、狩人が知性と言う武器を捨てたら、其は狩られる獣に成り果てる行為でしょうに……と。」
 ふと、気が付いたように言葉を続ける
「……ああ、成る程。狩るのに飽きて、狩られる気持ちを味わってみたいと言うわけですね?」
 霧島の嘲りに、さらに言葉を返すかと思えば……狩人は突然、空を見上げた。
 その目が見つめるのは、丸い満月。
 ……あまりにも無防備な姿に、茨姫が走る。
「まて!」
 嫌な予感にヴェスターが駆け寄りつつ、魔剣に念動力を乗せて間に割り込ませる。
 それは、狩人が雄叫びと共に重火器を構え、撃ち放つのと同時だった。
 大剣ごと茨姫を吹き飛ばした狩人……その姿は、人というより獣に近いものに変わり、血走った目で獲物を探している。
「……とうとう、人ですらなくなったか。」
「ええ、そのようですね。」
 襲い来る狩人に対し聖剣を構えるヴェスターに、一つ目の巨人を召喚した霧島が応じていた。

 一方、吹き飛ばされた茨姫へブースターを吹かして回り込み、受け止めたテリブル。
「まったく……獣を狩る、吸血鬼を狩る、それで満足できなかったか。」
「……堕ちた狩人に言っても、仕方ないわ。」
 いつの間にか、すぐ上にいたリーヴァルディ。
 血の翼を広げて飛びながら呟く言葉に、テリブルはため息と共に茨姫を降ろす。
「ああ、オブリビオンに言っても仕様がなかったな。」
「……偶然とはいえ、敵討ちの場に居合わせたんだもの。手を貸してあげるわ、茨の君。」
 その申し出に、わずかながら動きを止め……茨姫は狩人へ向かっていった。

「グルアアアア!」
 雄叫びと共に銃口を向け、撃ち放つ狩人。
「……速いな。」
 間一髪、一歩の踏み込みで躱すヴェスター。
 目の前の狩人は銃を持たない左腕を振るう……斬り飛ばされたはずの腕は、獲物を引き裂く歪な爪へと変わっていた。
「だが、それだけだ!」
 その爪はヴェスターの聖剣に弾かれ、頭上から振り下ろされた浮遊する魔剣に吹き飛ばされる狩人。
 すぐに体勢を立て直し、血走った目を向けると……空に赤い動くもの。
「ガアァ!」
 一蹴りで跳び上がり、歪な爪を振るう。
「……血に飢えた獣ね。至極、読みやすい。」
 リーヴァルディの姿を斬り裂くが、そこにあるのは残像に過ぎない。
 宙に浮き無防備になった狩人に、ゆらりと振り上げられた巨人の腕が振り下ろされる。
「ですので、遠慮無くやらせてもらいましょう。」
「行くぞ。」
 巨人の影で姿の見えない霧島の言葉に続き、飛び掛かる人影。
 火薬の炸裂の勢いで吹き飛ばされてくるテリブルへ向け、狩人は目ざとく銃口を向けた。
「グルルァ!」
「そんなに赤が好きなら、」
 放たれる弾丸は重厚なガントレットで弾き飛ばし、無理やり近づき殴りつけ……、
「自分の赤を見ていろ。」
「ガ、グガァ……!」
 テリブルの拳は狩人の目の前で止まり、腕に仕込まれた冷凍ガスが顔に浴びせかけられる。
 凍り付く痛みに顔を押さえ、叫ぶ狩人。
「この苦しみに満ちた世界を加速させる罪人め、報いを受けろ。」
 鋭く踏み込んだヴェスターの聖剣が腹を割き、念動力に動かされた魔剣が上から叩きつけられる。
 地面を抉る勢いで振り下ろされ……歪な爪ごと腕を斬り飛ばす。
「グ!?」
 気圧され、後退る狩人の足を捕らえるトラバサミ。
「因果は廻る輪の様なものです……生きる為にでは無く、ただ娯楽として他者を辱しめた貴方は、其の報いを受けるべきでしょう。」
「……後の面倒は、私たちが見てあげる。」
 仕掛けにかかった狩人に、クスクスと霧島の笑い声が耳に響く。
 さらにその体を、血で編み上げた糸が幾重にも拘束したリーヴァルディ。
「貴女は、貴女の本懐を果たすが良い。」
 ふらりと……その言葉に導かれるように、茨姫が歩み出る。
 狩人の前へ、ゆっくりと歩み寄る茨の姿……顔のあるべき場所に赤く咲いた薔薇が、目に留まる。
「アアアアアアアア!」
 彼女はただ無言で、銃剣を狩人の心臓に突き立てる。
 その手が銃剣から離れた時、狩人の身体は黒い塵となって崩れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『共棲者』

POW   :    Embraced by wild roses
【勢い良く生え茂る茨】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    One is nine
自身の【左胸の短剣】が輝く間、【茨】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    Would you like to
【絡繰る踊り】を披露した指定の全対象に【共に踊りたいと思わせる】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑8
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 ただ、静寂が支配していた。
 茨姫は何も語らず、ただその体を揺らしている。

 武器を手放した彼女からは、放たれていた殺気を感じられない。
 絡み付く茨も、少し萎れたようにも見える。
 ……何もしなくとも、彼女は崩れていくことだろう。

 少なくとも、彼女に言葉は聞こえているようだ。
 心安らかに逝かせるのも、一興だろう。
エウロペ・マリウス
復讐は果たされた、というわけですか

行動 WIZ

このまま逝くというのならば
私はそれを見届けるのみです
『慰め』を用いて
ただ一言、万感の思いを込めて
お疲れ様、と伝えましょう

あなたがその姿に堕ちる前に救いたかった
復讐を遂げて朽ち果てていく
その姿は、救えなかった猟兵としての私の罪

とはいえ、茨姫に謝罪するのは、ただの自己満足
消えゆく姿を、眼に、胸に焼き付けて、
己への戒めとしましょう


ヴェスター・アーベント
心情/
終わった…だが、何も戻りはしない。
俺の家族も、茨の彼女も、失ったモノは何一つ戻る事はない…討つべきを果たした今、彼女はただ消え行くのか…。

行動/寄り添う言葉
「俺も君と同じように全てを奪われた、そして奪った仇を討ちその全てを奪った…だが何も戻りはしなかった」
剣を納め、ただ静かに横へ並び、その茨の手に手を重ねる。
「失ったモノは戻らない、失った時は返らない…だが忘れない事は出来る。
俺はお前を忘れない、茨の流した涙を背負い、この剣で必ずや闇に閉ざされたこの世界に光を取り戻す…約束しよう」
重ねた手から暗黒の力で優しく『生命力を吸収』し、彼女を送る。
そして小さな墓を作り、祈りを捧げよう。

アドリブ歓迎


村井・樹
……湿っぽい空気だな
そういうのなら、俺はパスだ
『不良』にそういうのは似合わねぇ
それは俺の仕事じゃねぇ

修羅双樹を発動

そこの女は『紳士』、お前が介錯しとけ
最後の最後、そいつが消え去るまで、ずっとだ
お前の方が得意だろう?

俺は少々外す
用事があるからな
何、そう遠くにはいかねぇさ

近辺を散策し、先の狂った人狼が残した罠や銃器が無いかを探しとく
【ロープワーク】で手繰り寄せたり、偽メメを使った【フェイント】も交えて、不発になっていた罠を作動、無効化した所で処分してやる

全く、手間がかかって仕方ない
おい、そっちの首尾はどうだ?
終わったんなら……今日の仕事はこれで終いだ
さっさと退散するぞ

※アドリブ等大歓迎


霧島・絶奈
◆心情
転生の無いこの世界では、死は永遠の憩いに過ぎないのでしょう
それでも、どうか安らかに…

◆行動
静かに『茨の君』の最後を看取りたいと思います
せめて彼女の最後が穏やかなものである様に、なけなしの【優しさ】を籠めて【祈り】を捧げましょう

「復讐は何も生まない」と…
訳知り顔でそう嘯く輩も居るでしょう
ですが貴女の戦いは、貶められた己の尊厳を取り戻すためのもの…
貴女は見事、己の尊厳を取り戻したのです
私は其れを肯定し、祝福しましょう

赤い薔薇の葉の花言葉を御存じでしょうか?
「あなたの幸福を祈る」…です
黄泉へと赴く貴女に送るには適切ではないかもしれませんが…
それでも私は貴女の旅路がより良きものである事を祈ります


リーヴァルディ・カーライル
…ん。驚いた。まだ意識が残っていたのね。
正気を失いその手を血で染める前に…と思っていたけど、
どうやら無用の心配だったみたい。

…暴れる気が無いならば、じっとして。
貴女がさ迷うこと無く逝けるようにしてあげる。

第六感が殺気を感じない限り、私から手出しはせず、
万が一、他の猟兵が攻撃しようとしても止めに入る

…最期に、何か遺言はある?
大切な人への伝言ぐらいなら聞いてあげるけど…。

“葬送の耳飾り”に魔力を溜めて
茨姫の声が聞こえないか試み、
何か他に伝えたい事がないか確認した後、UCを発動
両手を繋いで彼女の魂が昇天するように祈りを捧げるわ

…さようなら茨の君。
願わくば、その魂に安息が訪れる事を…。



「復讐は果たされた、というわけですか。」
 静寂を破るエウロペの呟きに、ゆっくりと顔を向ける茨姫。
 そのまま頷くように頭を下げるのを見て、
「……ん、驚いた。まだ意識が残っていたのね。」
 リーヴァルディは手にしていた大鎌を握る力を緩め、言葉を続ける。
「正気を失い、その手を血で染める前に……と思っていたけど、どうやら無用の心配だったみたい。」
「ええ、何よりです。」
 目深に被ったフードの下で、霧島の口元が笑みの形に変わる。
「……だが、何も戻りはしない。」
 ヴェスターの言葉に、猟兵達は顔を向ける。
 その目は深い悲しみを湛え、
「俺の家族も、茨の彼女も、失ったモノは何一つ戻る事はない……討つべきを果たした今、彼女はただ消え行くのか……。」
 その言葉を止めるものはいなかった。
 事実、その通りだった……この湖の近くの住人も死に絶え、茨姫もこのまま……。

「……湿っぽい空気だな。そういうのなら、俺はパスだ。」
 一人、背を向けたのは村井だった。
 が、その場には柔和な笑みを浮かべた、もう一人の村井が残っている。
「『不良』にそういうのは似合わねぇ、それは俺の仕事じゃねぇ。」
「ええ、心得ていますよ。『紳士』である私にお任せを。」
 後ろ向きに手を振り、不良が歩き去る。
 残された紳士へ、霧島が言葉をかける。
「あなた自身、なかなか興味深いですが……もう一人はどうしました?」
「あぁ、周囲を見回っていますよ。先の狂った人狼が、罠などを置いていないかと、ね。」
「なるほど。」
「私の役目は、彼女の介錯……。」
 と、ここで静かな殺気を感じ取った村井が、少し慌てて言い直す。
「ああ、リーヴァルディさん、そういう意味ではありません。心安らかに、彼女が逝けるように見守るつもりです。」
「……そう。」
「不要な苦しみがあるなら、手を下す……それだけの事です。」
「なら良かった、同じことを考えていたのね。」
「解っていただけたなら何より。さて、」
 ここで村井は広げた手で茨姫を指し、
「皆さんは、彼女に伝えたいことがあるでしょう?」
「……そうだったな。」
 ヴェスターが茨姫へと振り向いた時。
 茨姫を前に、涙を浮かべるエウロペの姿があった。

「お疲れ様。」
 ただの一言、だがエウロペの想いの篭もった一言。
 復讐を遂げ、自身も朽ち果てていく茨姫への贖罪。
 今の茨の姿へと堕ちる前に救えなかった……その事への謝罪。
 目を閉じ、祈りを捧げたエウロペの頬を、熱いものが流れる。
 ……その頬を、冷たいものが触れる。
 目を開ければ、涙を拭う手を伸ばした茨姫が顔を覗き込み、コクリと頷く。
「ありがとう……本当は、ボクが慰めるべきなのに。」
 もう一度頷く、茨の姫。
 大丈夫、ありがとうと言いたげに。
 その横から、霧島の優しげな声が響いてきた。
「『復讐は何も生まない』と……訳知り顔でそう嘯く輩も居るでしょう。ですが、」
 それには殺戮を好む獣の面影はなく、
「ですが貴女の戦いは、貶められた己の尊厳を取り戻すためのもの……貴女は見事、己の尊厳を取り戻したのです。」
 聖女として、そして異端の神としての、慈愛の篭もる声だった。
「私は其れを肯定し、祝福しましょう。」
 茨姫も、その言葉に祈るように手を組む。
 腕に絡む茨の葉は黄色く変わり、その手はかろうじて合わせているだけだった。
 その手を力強く、崩れぬように繊細に支えたヴェスター。
「俺も君と同じように全てを奪われた、そして奪った仇を討ちその全てを奪った……だが、何も戻りはしなかった。」
 語るのは自身の過去……所属した吸血鬼に抗う騎士団と、それを滅ぼした吸血鬼にとどめを刺した、ヴェスターの過去。
「失ったモノは戻らない、失った時は返らない……だが、忘れない事は出来る。」
 萎れ、落ちた葉を1枚、拾い上げる。
 そして、ヴェスターは聖剣へと手をかけ、
「俺はお前を忘れない。茨の流した涙を背負い、この剣で必ずや闇に閉ざされたこの世界に光を取り戻す……約束しよう。」
 力強く、言葉をかける。
 茨姫も、その言葉に頷いていた。
「……最期に、何か遺言はある?」
 リーヴァルディは自身の耳飾り、葬送の耳飾りと呼ばれる死者の声を聞くものへ魔力を込める。
「大切な人への伝言ぐらいなら、聞いてあげるけど……。」
 考えているのか、茨姫は動きを止め……ゆっくりと、首を振った。
 しかし、リーヴァルディの耳飾りは思念を受け取っていた。
『思い残すことはない。ありがとう。大丈夫。』
「……そうか。」
 途切れ途切れだが、確かに聞こえた思念。
 と、茨姫は突然バランスを崩し、ヴェスターが抱えると……その体は、すっかり軽くなっていた。
 骨と乾いた茨……だが、顔に当たる場所には真っ赤に咲く薔薇。
「……ゆっくり、眠るといい。」
 苦しみを味合わぬよう、溢れる生命力をやさしく吸収するヴェスター。
 そして、茨姫の手をとったリーヴァルディが魂を手繰り寄せ……精霊として解き放つ。
 オブリビオンとしてではなく、人としての最期を。
「……さようなら、茨の君。願わくば、その魂に安息が訪れる事を……。」
 リーヴァルディの呟きが響き、茨姫だった亡骸は骨と茨と……1輪の薔薇となって崩れた。

「……これでいいか。」
 ヴェスターの手で簡単にだが埋葬し、小高くなった土に赤い薔薇が揺れていた。
 小さな墓ができたところで、周りを見回っていた村井が戻ってきた。
「全く、手間がかかって仕方ない……おい、そっちの首尾はどうだ?」
「万事、順調ですよ。貴方が気にして私を置きましたが、その必要はないほどに。」
 紳士の村井が重なり、元の一人へと戻る。
 バリバリと頭を掻き難しい顔をしながらも、埋葬された墓へと手を合わせる村井。
「どうも、こういうのは得意じゃねえな。」
「ふふ……ですが、気持ちは伝わったでしょう。」
「……どういう事だ?」
 訝し気に聞く村井に、霧島はニヤニヤとした笑みを口元に浮かべながら、墓の上で揺れる薔薇を示す。
「赤い薔薇の葉の花言葉に『あなたの幸福を祈る』という物があります。黄泉へと赴く彼女に送るには、適切ではないかもしれませんが……。」
 そして手を合わせて祈りの形を作り、
「それでも私は、彼女の旅路がより良きものである事を祈ります。……あなたが、道に落ちる石を除けたように。」
「はぁ? ……あぁ。」
 立ちあがり、ぷいっと背を向けて歩き出す村井。
「……あぁ、落ちてるトラップの事か。」
「ちっ、終わったんなら帰るぞ。」
「照れなくてもいいのですよ?」
「うるせーな! さっさと退散するぞ!」
 ずんずんと歩いていくのを追いかける声……。

 最後に残ったエウロペが、墓に祈りを捧げていた。
 茨姫が朽ち果て、消えていく様を思い出しながら……。
 次こそは、彼女のような人を出さないように。
 そう心に誓い、その場を後にする。
 後には、1輪の赤い薔薇だけが残され、風に揺れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月19日


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🔒
#ダークセイヴァー
🔒
#同族殺し


30




種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロルフ・ロートケプヒェンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はメルヒェン・クンストです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト