PON☆PON☆PUMPKIN!!
「お菓子か悪戯か、さあ選んでくれ」
グリモアベースにて、ネルウェザ・イェルドットがにっこりと笑って手を差し出す。彼女はハロウィンの街を回る子供のようにお菓子をせがむが、その姿はいつもと変わらない普段着であった。
「これは”仮装してない人”の仮装さ。アリだろう?」
彼女はそう開き直る。だが当然、その腕にかかるバスケットには飴のひとつも入っていない。アリではなかったのである。
「……とまあ、ハロウィンに仮装しない奴はこうなるって話ね」
ネルウェザは苦笑して空のバスケットを下ろした。
「今回の任務もそう。仮装しない奴は相手にされないのさ」
グリモア猟兵が語るのは、アルダワ世界のハロウィンにまつわる話。
その昔決行された、装魔封災戦と呼ばれる作戦。仮装をした人類が災魔の拠点へ侵入し、多くの災魔を封印したという大規模な奇襲が行われたのだ。
アルダワ魔法学園におけるハロウィンとは、この作戦の成功を祝い勝利を称えるものなのである。
だが、災魔達も黙ってそんなイベントを見届けるほど大人しくはない。残る敗戦の記憶からか、ハロウィンを嫌悪する者達も多くいるのだ。
そして今年もハロウィンパーティは行われる。そんなイベントに盛り上がる学園へ、本能的な衝動に動かされた災魔達が襲撃を仕掛けてくるというのが、グリモア猟兵の予知なのだ。
「で、奴らが狙いたがるのが『仮装した人』ってわけ」
本能に従う災魔、つまり理性を失って襲い掛かってくる災魔達は、仮装を見れば挑発された闘牛の如く狙いを定めてくる。
更に料理を楽しんだり踊ったりとパーティーを楽しむ姿を見せれば、心の底から怒り狂って冷静さを失うことだろう。
学園に被害が及ばぬよう様々な手で災魔の気を惹き付け、パーティーを邪魔させずに倒してしまおうというのがネルウェザの依頼だ。
「というわけで! 猟兵の皆には仮装してアルダワに向かってもらうよ……とまあ、今はハロウィンだしその準備は大丈夫そうかな」
そして、念の為にと近くに置いていた大きな箱を引き摺って猟兵の前へと持ってきた。箱の中には猫耳のついたカチューシャやマント、付け羽などがぎっしり詰め込まれている。
「仮装の用意がないとかもうちょっと飾りたい人は持って行って構わないよ」
その中からおすすめ、と彼女が取り出したのは、生々しい目玉がずらりと連なるネックレス――のような何か。
けらけら笑って箱の中に戻すと、ネルウェザはグリモアを浮かべた。
「あぁ、そういえば。『お菓子か悪戯か』って言ったっけ……お菓子が無かったから、悪戯でいいかな?」
猟兵が転送される直前、彼女は悪い笑みと共に告げる。
「嘘だよ、ウソウソ。じゃ、宜しく頼むよ」
そんな声を最後に、猟兵の視界はふっと移り変わっていくのだった。
●
「ひよひよひよー!!!」
アルダワ学園のハロウィンパーティーに、ぽんぽんぽんと弾ける謎のひよこ。
大きなフライパンを中心に飛び出してくる災魔『ひよこーん』は、熱いふわふわの身体で学園を襲撃し始める。
ひよこーん達はパーティーの為に仮装した生徒たちに狙いを定める――が、それよりも派手な猟兵の仮装を見るなりすぐさま標的を変えて飛び掛かってきた。
学園には楽し気な音楽が響き、そこかしこに愉快な飾り付けや豪華な料理が並んでいる。これを楽しみつつ、ひよこーん達を撃退してしまおう。
みかろっと
トリックオアトリート!
こんにちは、みかろっとと申します。ハロウィンですね。ということで今回はハロウィンパーティーに襲い掛かる災魔を撃退しようというシナリオです。
是非、お好きな仮装で挑んでください。パーティーを楽しめれば楽しめるほど、このシナリオにおいては強者となります。
皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
第1章 集団戦
『ひよこーん』
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POW : ひよひよあたっく
【弾けたひよこーん】が命中した対象を燃やす。放たれた【不可視】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : ひよー、ひよひよー!
【鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ : ぱちぱちぽんぽん
【体内の熱】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
イラスト:Miyu
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
栗花落・澪
もーこの際他人の目は無視だ無視!
…いや、やっぱり女装は恥ずかしいけど(友人に着せられたスイーツドレス)
こうなったら全力で楽しむもんね!
初めはデザートを数個拝借しその甘さを楽しむ
お洒落で可愛いし、なによりおいしい…!
なにか隠し味でも使ってるのかな?(料理研究家脳)
敵が向かってきたら【火炎耐性+オーラ防御】で熱を防ぎつつ
そんなに遊びたいならダンスバトルしよ!
ひよこーんに負けないくらいのはじける笑顔で
周囲も魅了する【歌唱+ダンス】で攻撃回避
やっぱり音楽って楽しいなぁ
ひよこーんさんも楽しくはじけてる?
ふふ、ところでさー…トリックオアトリート
お菓子…くれるわけないからイタズラしちゃうね♪(指定UC発動)
ひよこーん達が真っ先に突撃したのは、何とも可愛らしい衣装に身を包んだ猟兵。
オラトリオの”少年”、栗花落・澪は苺色のリボンやフリルで彩られ、ふわふわのクリームを模した装飾が施されたスイーツドレスでアルダワ魔法学園に訪れていた。
「もーこの際他人の目は無視だ無視! ……いや、やっぱり女装は恥ずかしいけど」
友人に着せられたハロウィン衣装を気にしながらも、澪は首を振ってパーティ会場に目を向ける。
「こうなったら全力で楽しむもんね!」
飛んでくるひよこーんをひらりと避け、澪はデザートの並ぶテーブルへと駆けて行く。
やはりハロウィンパーティとあって、そこに並ぶスイーツは南瓜やおばけ、コウモリなどの可愛らしいデコレーションが施されていた。
勿論このパーティに並ぶお菓子は食べ放題。澪は早速小さな南瓜のカップケーキに手を伸ばし、ぱくっと一口頬張る。口に広がるのは見た目通りの甘いかぼちゃ味。そして不思議な香りと楽しい食感も混じり、澪の顔は思わずほんわかと緩んでいた。
「お洒落で可愛いし、なによりおいしい……! なにか隠し味でも使ってるのかな?」
澪が他のケーキやクッキーも楽しみながら頬に手を当てていると、ひよこーん達はその姿にぷくーっと憤ったように膨れて飛び掛かってきた。
「ひよっ!! ひよひよひよー!!」
そのふわふわの身体は触れずとも伝わる程に熱くなっている。
澪は咄嗟に盾となる気を纏い、コウモリのクッキーを片手に広いエリアへと移動した。
「そんなに遊びたいならダンスバトルしよ!」
ふんわりと広場でドレスの裾を広げる澪。ひよこーん達がそれを追ってぽんぽんと弾けるのに合わせ、彼はその場でステップを踏み始める。
会場で流れる音楽に乗って、澪は弾けるような笑顔を振りまいた。
「さぁ、今日はハロウィン! 甘いお菓子とジャック・オー・ランタン、暴れる迷子をご案内!」
パーティに参加していた生徒や住人達もわっと歓声を上げ、ひよこーんが跳ねる度にリズミカルな手拍子が響く。飾られた南瓜の灯りに照らされながら、澪はめいっぱい楽しむように舞い踊った。
「ふふ、ところでさー……トリックオアトリート! お菓子……くれるわけないからイタズラしちゃうね!」
我を忘れて飛び交う熱いひよこーんへにっこりと笑いかけ、澪は可愛らしいドレスの影から武器を出しユーベルコードを発動した。
「罪を背負いし者達に、清浄なる裁きを与えん」
――途端に澪を包む無数の花弁。白雪のように輝く鈴蘭が広場へ舞う。
「ひよーっ!?」
花弁が直撃すると、ひよこーんは風船のようにぱちんと弾けて消えてしまった。
澪が手を振るのに合わせて花弁が閃き、的確にひよこーんと狙い撃っていく。ぱちん、ぷちんと澪の周りからひよこーんの姿が消える度、ひよこーんの居た場所からは甘くて香ばしい香りが広がっていった。
向かってきたひよこーんを駆逐した澪へ、周囲の参加者の拍手と視線が集まる。
彼は笑顔で手を――振ろうとした瞬間はっとして自分の仮装を思い出し、思わずもじもじと顔を赤らめながらギャラリーに一礼するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
ぽんぽんぽん!
弾けるリズムにくるりとターン。
いつもは魔法学園の生徒、でも今日は南瓜の国から飛び出たプリンセス!
の、つもり。
さあさひよこーんちゃんたち!
踊ろう!騒ごう!
そっちは数が多いから―――
初手は『残像』すずもちょっぴり仲間を呼んじゃう
『情報収集』でとにかく
kawaii!食べ物を探したら
『地形の利用』でその食べ物を食べ踊る様に移動
相手の攻撃には『見切り』と袖口での『武器受け』
ひたすら踊って食べて楽しんで
上述の動きで『おびき寄せ』
愉快なひととき、とにかくパーティをずっと続けてたいけど
攻撃【UC】
今日の紙はパンプキンカラー!
気分はトリックアンドトリート!
どっちも欲しいのよプリンセス
アドリブ大歓迎
弾けるひよこーんが刻むリズムにくるりと回って、コイスル・スズリズムは会場へ飛び出す。普段魔法学園の生徒として過ごしている彼女も、今日に限っては南瓜の国のプリンセスだ。
「さあさひよこーんちゃんたち! 踊ろう! 騒ごう!」
愉快で華やかな衣装に身を包み、コイスルは飛び交うひよこーんに笑いかける。
手を広げパーティを楽しもうとする彼女へ、ひよこーんはぷっくり膨れて怒りを露わにした。
「ひよひよっ!!」
沢山のひよこの姿に、コイスルはふっとその場を瞬時に離れる。
「すずもちょっぴり仲間を呼んじゃうね」
少し悪戯めいた声でコイスルが駆けると、ひよこーんもそれに続いて飛び跳ねる。ひよこーんが突進を仕掛けようとしたとき、不意にコイスルのシルエットがふっと霞んだ。
「ひよっ!?」
会場にはコイスルの姿がひとり、ふたり――だんだんと増える彼女の残像がひよこーん達を惑わせていく。
どこへ飛んだものかとひよこーんがわさわさうろつく中、コイスルはパーティに並ぶテーブルを巡り回っていた。
「かっ、かわいいー!!」
カボチャのように可愛らしく飾られたシフォンケーキを手に取って、コイスルは別のテーブルへ。黒猫のクッキーや星屑のような金平糖に笑みを零しながら、彼女は踊るように会場のスイーツを食べ歩いていく。
流れる音に跳ね踊り、くるくる回って衣装を揺らす。追い付いてくるひよこーん達もひらりひらりと躱して、コイスルは会場の真ん中へと辿り着いた。
「パーティをずっと続けてたいけど……」
テーブルの無い開けたエリアにひよこーんを集めると、コイスルは途端に足を止める。甘い金平糖を飲み込んで、彼女は静かに呟いた。
「誰かに恋する時のよに誰かを待つよに深く甘く続いてく」
コイスルを囲み、熱いふわふわの体で飛び掛かってくるひよこーん。ユーベルコードを発動したコイスルは、両腕を広げて瞳を輝かせる。
「今日の紙はパンプキンカラー!」
南瓜のような鮮やかなドレスの袖口から、ばっと無数の紙片が飛び出す。柔らかな橙がひよこーん達に降りかかり、その膨れた体をぱちぱちと弾けさせていった。
「ひよひよひよーっ!?」
「気分はトリックアンドトリート! どっちも欲しいのよプリンセス」
辺りは出来立てのポップコーンのような温かさと香りに包まれる。きらきら輝く南瓜のドレスを揺らしながら、コイスルは再びスイーツの並ぶテーブルへ戻って行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
満月・双葉
おねーちゃんおねーちゃん、ポップコーン食べる?
おねーちゃんは仮装せずに居てね。
狙われずに死角に隠れといて。
そいで【暗殺】の要領で後はよろしく。
そいじゃ、ピエロの仮装で突撃だよ。
【ダンス】の要領でリズムに乗って【第六感】も頼りにバランスを取って玉乗り出来るかな?
攻撃は【野生の勘】で察知して、【オーラ防御】で防ぐよ
ダメージを負ってしまったら【激痛耐性】で無視して笑顔…は表情筋が死んでるからアホ毛がブンブンノリに乗って行くよ。
まぁまぁそんなに怒らずにほら、君も玉乗り……形状的に乗られる方か!
ははっ、冗談だよ…冗談だよー?
アドリブ歓迎
満月・双葉は会場に着くと同時にユーベルコードを発動する。
「力を貸して」
双葉の隣に現れたのは、彼女にそっくりな顔をした虹翼のオラトリオ――彼女の”姉”の霊。フルートを携え佇むその霊に向かって、双葉は近くのテーブルにあったポップコーンを差し出した。
「おねーちゃんおねーちゃん、ポップコーン食べる?」
しかし姉の霊は微笑んだまま首を傾げる。双葉はポップコーンを一旦下げ、テーブルの後ろへと彼女を誘導した。
「おねーちゃんは仮装せずに居てね。狙われずに死角に隠れといて」
姉は大人しく双葉の言う通り隠れる。普段着で目立たない彼女には、まだひよこーんの目は向いていないようだ。
そして双葉は姉に銃を渡して影から援護するよう頼むと、派手なピエロの仮装姿でひよこーんの方へと向かっていった。
「ひよひよっ!」
ひよこーんは仮装した双葉を見て彼女に狙いを定める。フライパンの上でもこもこの身体を熱く熱すると、彼等は勢いよく飛び出した。
双葉は近くにあった飾りに視線を移す。大きく丈夫なボールを見つけるとひょいとその上に乗り、会場に流れる音楽に体を揺らしながらサーカスのようなパフォーマンスを披露した。
「ひよーっ!」
ぽんぽん! とひよこーんが跳び、ボールの上の双葉に突撃する。だがその衝撃に反し双葉は笑顔を絶やさない。その代わり彼女の頭上に立つアホ毛がぶんぶんと激しく揺れ、そのテンションを表しているようだった。
「まぁまぁそんなに怒らずにほら、君も玉乗り……形状的に乗られる方か!」
丸っこいふわふわのひよこーんを指さして、双葉はボールからぴょんと跳び上がる。
ひよこーん達はボールのように乗られるのかと思ったのか、双葉から離れようと急に踵を返した。
双葉の足はひよこーんを踏みつけ――ずに、ふわりと離れた地点へ降り立つ。
「ははっ、冗談だよ……冗談だよー?」
ひよこーんたちが一斉に向かう、双葉の視線の先。そこには、テーブルの影に隠れていた姉がきらりと銃口を覗かせていた。
――ダダダダッ、と射撃音が響き、ひよこーん達は弾けて消えていく。
ポップコーンの香りが漂う中、双葉は姉の方へと駆け寄り互いを労うのだった。
成功
🔵🔵🔴
ファルシェ・ユヴェール
大粒の宝石で飾り付けた海賊衣装
黄金のネックレスや指輪を幾重にもゴッテゴテに身につけ
――そして中身は骸骨だった
(闇色真っ黒インナーに精巧な骨が描かれ、顔も骸骨仮面を被る)
そして小さな金貨を触媒にして黄金の騎士を喚び
海賊旗を手に付き従わせる
「我々を迎え入れる為の宴とは 殊勝な心掛けよ」
低く重厚な雰囲気に抑えた作り声
動作もどっしりめに、幽霊船の船長を演じつつ
通りすがりに粗野な仕草で手近な肉料理にフォークを突き立て
これ見よがしに齧ってみたり(おいしい)
「今宵は幽霊共も浮き足立っておる。宴を妨げるというのならば――」
手近なひよこーんにフォークを投げ(当たらない)
(戦闘は騎士がフォローしてくれるでしょう)
残るひよこーん達に立ち向かうのは、大粒の宝石や黄金のネックレス、豪華な指輪の数々に身を包んだ海賊姿――の、骸骨。ゴテゴテに飾り付けた衣装から覗く顔は白く不気味な仮面となっており、ぼんやりと薄暗い会場も相まって本当に骸骨が動いているようにも見えた。
その正体は猟兵、ファルシェ・ユヴェール。骨だけに見えるその体をよく見れば、彼が着ている闇色のインナーに細部まで拘った精巧な骨が描かれていたのだった。
「ひよひよひよっ!!」
ド派手な衣装に釣られ、フライパンに残っていたひよこーんは一粒残らずファルシェの方へと飛び出す。
するとファルシェは小さな金貨を取り出して、ユーベルコードを発動した。
「我々を迎え入れる為の宴とは 殊勝な心掛けよ」
にやりと笑うファルシェ。
ひよこーんの前に立ち塞がるのは、黄金の鎧を着た騎士達の姿だった。
ファルシェは大きな海賊旗を手にして、幽霊船の威厳ある船長を演じる。重く低く響く作り声で号令を掛ければ、騎士達は武器を取りひよこーんを迎撃した。
「ひよっ!?」
ぱちぷちっと弾けるひよこ。騎士達がその剣で災魔を蹴散らしていく中、ファルシェは海賊らしい粗野な仕草で近くの肉料理へ手を伸ばす。
彼は備えられていたフォークでぐさりと豪快にステーキを刺し、これ見よがしに齧ってひよこーんの方を見た。
――おいしい。
彼がもぐもぐと料理を味わっていれば、ひよこーん達はその姿にぷくっと体を膨らせ勢いよく飛んでいく。
「ひよひよー!!!」
ファルシェは肉を飲み込むと、怒りを露わにする災魔に向かってぴしっとフォークの先を向けた。どっしりと構える彼にひよこーん達は一瞬びくつくが、彼等の本能的な怒りは止まらない。
「今宵は幽霊共も浮き足立っておる。宴を妨げるというのならば――」
銀色の刃は彼の手を離れ一直線、迫ってきたひよこーんに突き刺さった。
――かと、思われた。
何に当たることもなく、からんと床に転がるフォーク。
ファルシェは誤魔化すように海賊旗を掲げ、騎士達に向かって号令を掛ける。
黄金の鎧が会場を駆け巡りひよこーん達を消し去ると、ファルシェは船長を演じたまま騎士達を褒め称えて笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵