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かつて悲鳴は虚空に消えて

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●響き渡る悲鳴
「いいですよ、あなた。すごく、いい!」
「ああ! 至高の芸術品を提供してくれた、あなたに感謝せずにはいられない!」
 暗く、湿った小さな部屋で。貼り付けたような笑顔の男が、愉悦の声を漏らす。
 ここは地下室だろうか。あるいは別の部屋なのだろうか。
 窓らしきものは見当たらない。昼か夜かもわからない。
 光源となるのは、ぼんやりとした血のように赤い蝋燭の灯りだけ。

「あっ……、たっ、―――がっ」
 声にならない"うめき" が、少女"だったもの" から漏れる。
 赤みを帯びた銀色の光が動くたびに、ぴちゃり、ぴちゃりと何かが滴る。
 柔らかなものと硬いものを削ぎ別けて、作りあげたそれを男はうっとりと眺めた。
 その光景は、まだ年端もいかない少年が、蝶を、蛙を捕まえて遊ぶ様に似ていた。

 少女だったものは見た。男の目が虚ろに淀んでいる様を。
 それは、どこも見てはいないのだと今際の刻みにて理解した。

 誰かが止めるまで、惨劇は終わらない。
 誰かが止めるまで、悲劇は終わらない。

 一体誰なら、私を救えたのだろうか。
 その問いに答えられる誰かは、その問いの答えとなる誰かは、そこにいなかった。

●グリモアベースにて
「集まってくれてありがとう。早速だが、君たちには、とある館に向かって欲しいんだ」
 グリモア猟兵の天通・ジン(AtoZ・f09859)は猟兵たちに向けて、どこか影のある表情で笑う。白と赤の宇宙服に身を包んだ彼は、まさしく誰もがイメージするスペースノイドそのもの。宇宙戦闘機乗りたるもの、どんなときでも爽やかに、快活に。物事を冷静に俯瞰できなくては、宇宙空間での戦闘に耐えられない。だが、そんな彼とて、君たちと同じ人間、あるいは同じ猟兵に違いない。普通の感覚の人間が、この事件の予知を見て眉を顰めないことはないだから。

「目標はダークセイヴァー世界の、とある山裾に立つ館。おそらく、そこにオブリビオンがいるはずだ。えー……っと、この地図を見て欲しい。この山の周辺にはいくつもの村が点在していて、そこで子供の誘拐事件が多発していた。その中心にあるのが、この館。他にもいくつかの状況証拠があって、……まず、誘拐の元凶がいるとみて間違いない」
 君たちに地図と、館の外観写真を示しながら、極めて朗らかな声で説明を続ける。
「そこには、少なくとも一人の若い男――主人だね、が幾人かのメイドと一緒に住んでいるらしい。主人は、礼儀正しい客人ならいつでも歓待してくれる、朗らかで社交的な性格なんだってさ。主人が犯人なのかはわからないけど、鍵を握る人物なことは間違いない」

「だから、館を調査して欲しい。その方法は……説明するまでもないよね」
「――もちろん、君たちの自由ってコト」
 ぱちりとウィンクして、ジンは微笑む。言うまでもない、それは信頼の証。

「少なくとも、誘拐された子供たちがどこかに運び込まれているはずなんだ。場所や、痕跡はかならずあるはず。たとえば、力自慢なら不審な場所を壊してみるとかさ。何か仕事を請け負ったふりをして、屋敷内部をこっそり調査するのもいいな。必要があれば、現地である館のほかに、近くの村で調査することもできる。外部で上手く情報を手に入れられれば、何か館内部の捜索に役立つ手だてが見つかるかもしれない」
「館の住人とどう接するかは君たちの判断に任せる。上手く話ができれば、重要な情報が聞き出せるかもしれない。ただ、面と向かって誘拐のことを知りませんかと尋ねるのはオススメしない。主人か従者、あるいは彼ら全員がオブリビオンの可能性だって、十二分にあるからさ。決定的な証拠がなければ、面と向かったところで不利になるのは君たちだ。どこかで技能や、知恵を使う必要があるね」

「要するに、得意分野を活かして欲しいってことさ。自由な発想ができる君たちだから、俺は依頼するんだよ」
 他に何か質問はと、ジンは君たちに水を向けた。

「突入したあとどうなるか――は、正直断言できない。現地で柔軟に対応して欲しいってのが正直なトコ。……けど、おそらくは戦闘になるはずだよ」
 誰とどのように戦うかは実際に突入しないとわからないと猟兵は語る。戦闘が一回で済むとは限らない。凄惨な事件が予見される。後味の良い戦いになるとは限らない。心して準備して欲しいと。

「人命は救えるのか――も、やはりわからない。希望を持って戦うことを止めるつもりはないけど、保証するものではない。実は、最後の誘拐から何週間か経っているんだ。望みは、薄いかもしれない」
 ジンの、その青い瞳を曇らせて、拳を握りしめる様を君たちは見てもおかしくない。

「もしかしたら、過酷な戦いになるかもしれない。俺が戦いを手伝えないのは心苦しいけど、君たちならできるって信じてるよ」
 星のグリモアを輝かせて、宇宙から来たグリモア猟兵は信頼のまなざしを向けた。


隰桑
 三作目となります。
 はじめまして、あるいはお世話になっております。
 隰桑(しゅうそう)と申します。
 微力ながら、皆様の冒険を彩るお手伝いをさせていただけたら光栄です。
 皆さんのキャラらしく、それでいて活発に動くリプレイを目指しております。

●依頼について
 館の調査→集団戦闘→ボス戦闘の依頼となります。

 依頼の雰囲気はダークな感じ。どのような敵が現れるかについては、皆様の調査の結果を待つことにしたいと思いますが、だいたい雰囲気はお察しのことと思います。そういう依頼です。攫われた子供の救出は成功条件に含まれず、グリモア猟兵が申しました通り、望み薄です。結末は皆様のプレイング次第です。

●プレイングについて
 自由に送っていただいて結構です。隰桑への気兼ね、遠慮は不要です。
 得意なこと、やりたいことを書いてください。
 皆様の自由な発想で、事件の解決を。

 あわせプレイング歓迎しております。
 複数人の場合は名前(呼び方・キャラIDなどあると嬉しいです)
 団体様の場合はそれに加えて人数がありますと、迷子が減るかと思います。

 逆に誰かとプレイングを一緒にしてほしくないソロ希望の方は、その旨記載していただけますと助かります。記載ない場合、どなたか別の参加者の方と同時に採用、リプレイに反映することがあります。

 それでは、熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『悪趣味な博物館』

POW   :    正面から堂々と入る、窓を割って入る

SPD   :    窓や裏口から侵入、関係者を装って潜入

WIZ   :    関係者から屋敷の情報を得る、屋敷の図面を入手

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シエラ・アルバスティ
SPD

「この仕事受けるね、転送よろしく」

最小限の会話でグリモアベースから転送依頼
館に向かって精霊槍『シルフィード』と【クレイジー・アトモスフィア】の力を駆使した【ダッシュ】で最速で館に潜入する

潜入段階では【目立たない】と【迷彩】併用

館の住人を発見し次第『魔糸』で拘束して手を当てながら【風の声】を使い強制的に脳から情報入手
オブリビオンなら【風ノ爪痕】で急所を狙い即座に【暗殺】
民間人なら魔糸に雷属性を付与し気絶させる

悲劇の開催予定地へと館に来た加速法で障害を【穿孔滅牙】で破壊しながら最短の直線で突き進む
現地到着し次第『猟兵バッグ』にある発信機を起動し猟兵の皆へ位置伝達

「奇跡は狙って起こす物だから」



●調査の嚆矢
 転送があって、間もなくのこと。

 館のなかに、白い髪をした人狼の少女がいた。それは、最速の猟兵のひとり、シエラ・アルバスティ(自由に生きる疾風の白き人狼・f10505)である。ジンの転送のあと、先駆けとばかりに彼女は直ちに駆けだした。突風を纏う精霊槍『シルフィード』を持った彼女の侵入を阻めるものはいなかった。開いた窓のわずかな隙間から、風はひらりと舞い込んだ。

「さて……悲劇の場所を探さなくちゃ。――とりあえず、あっちかな」
 考える前に動くタイプの彼女は、何もかも考える前に屋敷に潜入していた。廊下の奥をぐるりと見まわし、気の向くままに風が吹く。走る。走る。走れ。走れ。赤い絨毯を踏みしめて、その足跡が残るよりも早く、彼女は部屋を探す。

「――どこだ、どこだ。どこだ!」
 一階、二階、幾つもの扉を開けた。壁に不審な影はないかと見た。廊下に飾られた白い陶磁の壺の影も調べた。だが、見つからない。不審な入り口を、見つけることはできなかった。不自然なことに、想定していた民間人、家人の影もなかった。それはある意味、接敵姿勢を取っていた彼女にとって幸運なことだったのかもしれない。加えて、探索の途中からどこかねっとりとした重さを背中に感じていた。それはひりつくようで、警戒心を想起させるに十分だった。

「ここは、退くしかないか」
 書斎らしき部屋に据えられていた、香しい冬咲の花々が植えられた植木鉢を壊さぬようにもとの位置に戻して、悔しそうにシエラは呟く。長居すると危険、狼の力を持つ彼女の本能がそう囁き、それに従った。ひらりと身を起こし、窓の外へ。他の猟兵へ情報を持ち帰ることも、重要な任務であるのだから。奇跡を起こすには、未だ足りない。だがいずれ届くはず、そう信じて。

●Interval-1
「――――はて」
 館の中を一陣の風が駆け抜けたあと、彼女が最後にいた書斎に立つ男がいた。窓際に置かれた植木鉢を眺めて、傍に革張りの本を置く。張り付いたような笑みは、不自然なほど穏やか。彼の心中を誰が測れるだろうか。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

子どもの誘拐…ですか。あまりいい気分はしませんね。
一刻も早くこの依頼を片付けなくては……。

いきなり館に乗り込むのもどうかと思いますし、まずは周辺の村で聞き込みを行って、館の情報を得られないか試みます。
「あの屋敷について、何かご存知のことがあれば何でも教えていただきたいのですが」
誘拐被害にあった方もいらっしゃるかもしれません。
新たな犠牲者が増える前になんとかしたいというこちらの思いを伝えれば、少しは情報が得られるかも。
とはいえ、屋敷にいる人間にどこから情報が漏れるかわかりませんし、あまり目立つ行動は控えましょう。有益な情報が得られたら他の猟兵たちに共有後すぐに村から退避を。



●急がば回れ
「あの屋敷について、何かご存知のことがあれば何でも教えていただきたいのですが」
 付近の村で、そう訪ねて回る赤い瞳の男の姿があった。猟兵、有栖川・夏介(寡黙な青年アリス・f06470)は、つかめない表情で村人から情報を集める。

「いんやぁ……おらはそういう屋敷のこと、聞いたことないべさ」
(※ いいえ、私はそういう屋敷のことは聞いたことありません)
「んだずぅ。そんな屋敷あっだっげっか?」
(※ そうですね。そんな屋敷あったか、隣の人に同じく聞いたことないです)

「あだな山ば住むあんちゃんがおるなんちゅー話、聞いだことないべさ」
(※ あんな山に住む男性がいるなんて、きいたことないですね)

「おらは見だよ。オダマキの花を咲かせたあんちゃんだべさ。飴ちゃんくれたず。親切だったけなー」
(※ 僕はお兄さんなら見たよ。オダマキの花を咲かせたお兄さんが飴をくれたんだ。親切だったなー)

「可愛そうなこっだず。あん子のいっけなかのあんず様ば、おえね」
(※ いなくなったのは可愛そうなことです。被害者の家族の案ずる様は見るに堪えないないですね)
「んだども、珍しくばないっけな。さだねぇこったず」
(※ しかし、珍しいことではありません。仕方のないことです)
「こんなざえごにはおらんけども、酷い奴さにおさめられち村よかましよな」
(※ こんな田舎の村にはいませんが、オブリビオンに直接支配された村よりマシです)

 有栖川はほうぼうの村々を歩き回って、多くの村人に聞いて回ったが、ほとんどが同じ反応であった。『館を知らない』という不自然な情報こそあったが、それ以上ではなかった。彼の調査は慎重であり、だが着実に進んでいった。そうでなければ、彼は被害者の両親たちには会えなかっただろう。

「あの子は、人懐っこい良い子でした。ちょっとやんちゃだったけど、そこが可愛くて」
 そう涙して語ったのは被害者となったひとりの少女の母親である。ダークセイヴァーの片田舎、他の世界からしたらボロに近い服を着ていても、母親は母親である。我が子を思う心に、世界は関係ないのだから。
「同じように子供がいなくなる事件が多発しています。何か関係があるかもしれない……そのために、領主様から調査を命じられ、調査しているんです。私個人としても、繰り返さないために、何が起こったのかを解き明かしたいんです」
 身分に関しては作り話を交えながら、有栖川は母親の心を着実に開いていった。
「居なくなったのは、日中で……ほとんど目をかけていなかったんです。きっと、野犬か何かに襲われて――」
 事件の発生に関する情報は、捗々しいとは言えなかった。他の被害者家族も同様。
 状況証拠から犯人を特定するのは困難と言わざるをえなかった。

「ですが、収穫はありました。まずひとつめ。村人たちがそろってそんな館を知らないと言っていても、【男性の目撃情報はあった】こと。ふたつめ、事件は白昼堂々行われており、【子供を騒がせずに攫う手段を持っている】こと。みっつめ、【素直な子供より、少し言いつけを守らなかったり、やんちゃだったりする子が被害に】あっていること」
 ダークセイヴァーの村の大通りの隅に座って、有栖川はぼんやりと思考を纏めていた。薄緑の前髪越しに、赤い瞳が見ているのは、にこやかに遊ぶ子供たち。表情は変わらず、だが心は決まっている。守らなくてはならない。

「少なくとも、館の主人は黒か、黒寄りのグレーでしょう。そして、その能力は子供に言うことを聞かせられるもの。……やんちゃな子供なほど効果のでるもの」
 どこまで意味があるのかはわからない、だが必ず意味があるはず。
 確信をもって、有栖川は仲間のもとへと戻っていった。

●Interval-2
「買い出しご苦労様」
 にこやかな声で、館の主人は従者に告げた。従者は何も答えない。
「報告は? 何か不自然なこと、気になることはあったかい?」
 従者は黙って首を振った。男は、そうかと頷いた。
「うーん、誰か探ってるのかと思えばそうでもない。館にネズミが入ったかもと思ったけど、私の勘違いだったかもしれないね」
 下がっていいよと声をかけて、館の主人は再び本を開く。

 男の跳ねた黒髪には、オダマキの花が咲いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェイス・レス
「人命救助は優先されない、こういう汚い仕事は傭兵の仕事だ。」

屋敷に入る前に情報を集める。
望みは薄いだろうが可能性は棄てきれない。他にも仲間が居ればその猟兵に情報を渡す。

屋敷には客人として入る。そして屋敷の人間が出来るだけ集まって居るときに誘拐事件の話題を出す。

「ここ最近、誘拐事件が多発しているらしい。まったく物騒な話だな、主人?」

その際、違和感を発した人間に、分からなければ主人に影の追跡者に追跡させる。当りならばいずれ証拠を手に入れられるだろう。外れなら影の追跡者の対象を変える。
自分は屋敷の住人それぞれに誘拐事件の話題を振り反応を探る

「必ず子供は見つけ出す、例え死んでいてもな」


天星・零
栗花落さんと連携

ユーベルコード【変幻自在の影の住人】を使い栗花落さんに偽装させ【情報収集】を試みる。
自分はその間栗花落さんと行動

侵入した場合、【追跡・世界知識】などを用いて【情報収集】を試みる。また、勘も頼りにする他に住人を警戒し【第六感】を使っておきつつ、影や暗がりなど死角となるところでの行動を心がける


また、住人に見つかりそうな場合の対処で栗花落さんの対処までで不可能な場合、人格を入れ替えたあと【オルタナティブ・ダブル】で自分(零)が囮になって気を引いて、2人を逃したあとユーベルコード解除して合流
理由は影の住人と同じく


零や別人格の夕夜の話し方はステシ参照
零は感情を表に出さず常に微笑んでいます


栗花落・澪
零(f02413)と連携

零が影の住人で作った僕(【礼儀作法】所持)を客として入り口に向かわせたら
館の人達の意識を集めてくれている間にUC発動で
裏口が開いていれば裏口
難しい場合【飛行】で高いところの窓から侵入を図るね
(零は頑張って運びます)

無事に侵入に成功したら一旦UC解除
【視力、聞き耳】使用で子供達の痕跡や証拠を探る
特に隠し部屋のありそうな家具の裏側や屋根裏
地下通路の存在などは要注意

館の住人に見つかりそうな場合
可能な限り物陰や死角に隠れ対処
それも不可能そうな場合は再度零に触れUC発動

※影の住人の来客理由が必要な場合
旅人を偽り、道中獣に襲われ疲れてしまったので
少しだけ休ませてほしい、ということに


セリオス・アリス
自分の、あるいは誰かの悦楽の為に拐って玩ぶ
吐き気がするほどご立派な趣味だ
…させるかよ

殴って終わらせられねえなら
最低限の『礼儀作法』はあるし正面から客人として突撃
旅芸人だと偽り一晩の宿をと門を叩く
「旅暮らし故十分な謝礼が出来ない事、どうかご容赦を。せめてもの礼に歌を贈りましょう」
『歌唱』に『誘惑』を乗せて披露


餓死させる気じゃなけりゃ一応の食事は運ばれるだろう
迷子を装って厨房に突撃
顔と声でメイドを『誘惑』
迷子防止に見取り図をもらえないか頼み込み
怪しい食事があったら後をつけたい

他にも怪しい場所がないか『第六感・聞き耳』で調べ

見つけたら敵が来ても構わない
UCで癒してやる
簡単に死なせねえよ!

アドリブ歓迎


天之涯・夕凪
【POW】
主人は礼儀正しくしていれば招き入れてくれるそうですので、正面から参りましょう
礼儀正しさと慎重さを友として、相手の胃の中に入っていることだけは忘れずに行動しましょう
決して、己の内にある怒りだけは気取られないように…

時刻は夕暮れ頃が適切でしょうか
館を訪れ、一晩の宿をお願いできないか申し出ます
上手く潜入できたのなら、主人に礼を述べつつ、雑談からその嗜好を探りましょうか
ヒントが得られれば重畳
その他、主の動き…特にメイドを連れずに行う行動は可能な範囲で後をつける等探りを入れます
私だと隠密で足を引っ張るようでしたら、他の得意な方にお願いをして

誘拐の被害に遭われた方が、何事も無いと良いのですが…



●夕暮れの屋敷
 自分たちは旅芸人の一座だと名乗る集団が、館の扉を叩いた。先頭に立つのは、セリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)である。黒鳥を思わせる美しく長い黒い髪の彼は、やがてやってきた館の主人のにこやかな笑みに対し、宿泊の依頼を優雅な礼と共に願い、さらにこう申し出たのだ。
「旅暮らしゆえ十分な謝礼が出来ない事、どうかご容赦を。せめてもの礼に歌を贈りましょう」
 シンフォニアの慈しみに満ちた歌声は、人の心に訴える普遍的な力を持つ。館の主人は相変わらずの笑貌を一層深めて、歌い終えたあとには猛烈に拍手をしてみせた。
「いや、素晴らしいですね。これほどの歌声の持ち主は、世界にそうそうおりますまい。旅芸人というのも、本当のことなのでしょう。なればどうして疑いましょうか。どうぞお入りなさい。一晩の宿のお代は、たった今いただきました。しかし願わくば、もう少し話を聞かせていただきたい」
 セリオスの答礼にあわせて、一同あわせてお辞儀をしまして。自称旅芸人の一座、四人の猟兵は館の内へと入り込んでいった。

●調査の開始
 四人の猟兵たちは、ぽかぽかと明るい暖気で満たされた談話室に通された。
「今家の者に肉料理を作らせていますから、しばらくお待ちくださいね」
 などと笑顔で伝えた館の主人は、来訪者をじろじろと眺めてふぅむと唸る。その様子を怪訝に感じて、天之涯・夕凪(夜空の端にて・f06065)は口を開いた。
「ご主人、どうされました? 私たちに、何か不審なことでもおありですか」
「ああいえ、これは失礼。皆さま、容姿に優れた方ばかりで、いささか圧倒されてしまいましてね。護衛の方も、――失礼、戦うものとしてある種の美しさがあると言えるでしょう。羨ましく思うんですよ。ほら、私はいかんせんこのように……うだつの上がらない外見ですので」
 なるほど、そうかもしれないと夕凪は納得した。彼ら四人の内訳は、ダンピールが二人、女性と間違われるほどの美貌のオラトリオの少年、そしてフル・フェイスの機械兵。容貌の中央値は満点に近く、平均値だって明らかに高得点。だが、少しひっかかりを覚えた。猟兵とオブリビオン以外の者は、猟兵の外見に違和感を感じない。――もしかしたら。
「はは、ご主人は口がお上手なんですね。一座でも花形のセリオスはよく褒められるのですが、私は裏方が多く、そう面と向かって褒められてしまうと少し照れてしまいます。その口回り、うだつが上がらないなんて御謙遜でしょう。さては、数々の女性を泣かせてきたのではありませんか?」
 これは申し訳ないと和やかに謝る主人は、いささか苦笑する。
「そんなことはないんですよ。昔から、とんと女性にモテたことはありません。好かれるのは、子供ばかり。――ええ、本当に、昔から。ずっとです」
「あなたは優しい人ですねって言われたり?」
 少し弄るようなセリオスの言動に、むしろ機嫌良さそうに、そうなんですよと主人の返答。時代を問わず、どこの世界も男女の仲は変わらない。一見、和やかな歓談にすら見えた。――だが、セリオスと夕凪は着実に手掛かりを得ていた。事前の調査で仲間が集めた情報と照らし合わせても、黒幕はほぼ、間違いない。あとは、決定的な瞬間を抑えるだけ。

 彼らの思惑を他所に、重たげな金属鎧と骸骨のようなフル・フェイスのヘルメットから地獄の炎を思わせる声がした。
「子供といえば、――ここ最近、子供の失踪事件が多発しているらしい。まったく物騒な話だな、主人?」
 それは、フェイス・レス(人間の戦場傭兵・f11086)のもの。彼の問いを聞いて、今まで話を進めていたダンピールの二人は、わずかに身体を強張らせる。おそらく黒幕は――そして、今ここで疑念を抱かせるのは不味い――。

 だが。美貌の猟兵の予想はある意味裏切られた。主人は笑みを崩さぬまま、そうですね怖いですねなどと同意してみせたのだ。質問した当のフェイス・レスは、「そうか」と頷いてそれきりだんまり。――だが。
「誘拐されるような子供どころか、嫁すら私にはいませんから。不謹慎かもしれませんが、心配はいらないんですけどね」
 それに続いた言葉は、まさしく決定的な証拠であった。

 幾らかの会話をそのあとも交わし、主人は部屋を先に出て行った。
 彼の最後の言葉は、「では、しばらくお待ちくださいね」であった。
 
「おまえ、ヒヤヒヤさせるなよ。戦いになるかと思ったぞ」
 主人が立ち去ったのを確認して、セリオスがフェイス・レスの鋼鉄の胸甲を小突く。
「その方が早いと判断した。何も問題は起こっていない」
 にべもなく答える猟兵に、そりゃそうだけどさと長髪のシンフォニアは肩をすくめて。
「まあまあ。それより、ちゃんと追跡してるんですよね?」
 間に立つように夕凪が任務の内容へと立ち返る。
「ああ、問題な――ム?」
「ん、どうした?」
 尻切れトンボとなったフェイス・レスに、セリオスがその意図を尋ねた。フェイス・レスのユーベルコード【影の追跡者】で、館の主人を追跡する手筈になっていたことは、セリオスにとっても夕凪にとっても既知のことである。
「書斎らしき部屋に入った。が、そこから先が追跡不可能となった。――入り込めない」
 ダークセイヴァー世界特有の、何かの加護だろうか。扉の隙間を潜り込むことはできない様子。どうするかと思案していた三人に、今まで一度も発言していなかった、琥珀色の髪のオラトリオが声を放った。
「心配ないよ。君たちが気をひいてくれたおかげで、僕たちで追跡できてる」
 それは、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の姿に相違ない。だが同時に、天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)でもあった。正しく言うなら、彼のユーベルコード【変幻自在の影の住人(ドッペルゲンガー)】。

●話は少し遡る
 四人――正確には、三人と影一つが屋敷に入ったのとほぼ同時に、館の屋上に、白い羽のオラトリオと、彼に抱きかかえられる形で金髪の少年が着地した。オラトリオの髪は、瞳は琥珀色で、見るものに知性と優しさを感じさせる。落ち着いた雰囲気をした金髪の少年の瞳は、それぞれ金と葡萄酒の赤のオッドアイ。それは、澪と零に違いない。
 それはまさしく作戦通りの展開だった。館の主人の注意を、正面から入る集団が惹きつける。その間に、澪と零が潜入する。単純だが、効果のある作戦だった。隊を別ける行動は、往々にしてその連絡手段が問題となる。しかし、それは零のユーベルコードが解決した。【誰かと全く一緒の姿、口調になれる影の住人】の霊を召喚することができる、【変幻自在の影の住人】というユーベルコードで澪を作り出し、正面組に同行させた。遠隔操作となれば精密さは損なわれるかもしれないが、今回は戦闘が目的でないから問題ない。

「別に栗花落さんじゃなくて、僕でもよかったんですけどね」
「見た目女の子の方が警戒心下げられるって言われちゃったもんね」
 それを言ったのは、セリオスだろうか、それとも夕凪だろうか。もちろんその作戦意図がわかっているから表には出さないが、女の子扱いされるのには少し不満げな澪だった。

 館の中を、零が屋根裏部屋を窓越しに覗く。
 誰もいないと確認して、澪と共に潜入開始。
「さて、シエラさんの報告だと、――館には誰もいないとのことですが」
 報告通り。館の中に、人の影は形もなかった。二人は慎重に進んでいく。部屋の端を、時には壁に耳を当て、そろりそろり。痕跡を見つけてやろうと上から順に。見つかる心配は、かなり低いはずだ。仲間が惹きつけていてくれているはずだから。それでも、油断はせずに若い猟兵たちは進んでいく。廊下で不意の鉢合わせなどないよう、物陰に隠れ、こっそり、こっそり。
「これは、どういうことだろう。セリオスさんは、誘拐された子供が生きているなら、厨房には証拠があるはずだ――って言ってたけど、食材すら、見当たらないよ」
「ええ、誘拐された子供のぶんがないのは、――理解できるとしても、主人やメイドのぶんがないというのはおかしいです」
 澪と零は顔を見合わせる。厨房は、文字通りもぬけの殻であった。判断に困るからと言って、猟兵たちは立ち止まらない。これは決して決定的な証拠ではないのだ。

 そして残された最後の部屋。館の主人の書斎に二人は辿り――そのとき。
 笑い声が聞こえた。それに続いて、ぶつぶつとつぶやく声。
「新鮮な素材がようやくやってきてくれたと思いましたが、――これは、早く準備しないと逃してしまいますね。ふふ、ふふふ……」
 張り付いたような笑みをした、オダマキの花を髪に咲かせたオラトリオ。館の主人だった。彼はずかずかと二人の方へと歩いてくる。今は物陰に隠れているが、――回避は難しい。ならば。
『――彼の者に守護の祝福を』
 その祈りは、確かに聞き届けられた。たちまち澪と零の姿は掻き消えて、透明に。ユーベルコード【共暝の祈り(キョウメイノイノリ)】、それは友を守る願いでもある。ただし、透明になるだけで物音や体温は消えない制約がある。零と澪はじっと体を寄せ合い、耐える。館の主人の虚ろな視線と目をあわせないようにしながら。祈りは、館の主人にも届いたのだろうか。二人は、主人がそのまま書斎の方へと進む様を見た。
 ――黙って見ていることもできます。
 ――だがそれでは、チャンスを逃すよ。追跡には、零の助けが必要。
 目線だけで会話。この窮地に、澪が積極的に動いたのは憧れのあの人ならこういう場面できっと大胆不敵に動くだろうと思ったから。零が慎重になったのは、彼が零であるがゆえ。"もう一人" なら、違っただろう。

 ――ギィ、と書斎の扉を主人が両手で開けた。
 その隙間に潜り込むように、小さな猟兵たちは潜入した。

●書斎にて
 書斎の様子は、先行潜入した最速の猟兵の報告にたがわず、平凡だった。
 しかし、館の主人は迷わず、平凡なはずの壁へと向かう。

 まず、壁に描かれた風景画を時計回りに90°回転。

 次に窓際に置かれた植木鉢を、傍の机の上の特定の場所に動かす。
 すると、書棚からガタンと小さな音が鳴る。

 最後に書棚の最上段の赤い本を引く。
 たちまち書棚が動き出し、壁に大きな穴が現れた。

 主人が何やら指を動かすと、机の上の植木鉢が窓際へとふわふわと戻っていく。
 彼は頷いて、壁の穴へと入っていった。
 その十秒後、書棚はすっかり穴を隠し、部屋は元通りになっていた。

 その様子を、書斎の隅で小さく隠れた澪と零は漏らさず目撃していた。
 それゆえに、仲間に連絡したのだ。

「心配ないよ。君たちが気をひいてくれたおかげで、僕たちで追跡できてる」
「敵のアジトは、この先です」
 館の主人をこれ以上追跡するのは拙速に感じられたし、なにより不要とわかっていた。
 あとは戦うのみ――不思議な確信が、小さな猟兵たちの胸には宿っていた。
 そしてそれは間違っていない。

●扉を抜けた先で
 隠し扉を抜けた先で、猟兵たちは悪を見た。
 その先には、小さな部屋がひとつだけあって、迷う余地など何もなかった。
 誰が敵かなど、もはや迷う意味がなかった。

 にこやかな笑みを浮かべる主人。
 その先には、無残な姿の、少年だったもの。
 とても、生きているようには思えない。
 生を願うことの方が、むしろ残酷かもしれない。

「それが、あなたの子供に対する態度ですか」
 猟兵たちの気持ちを代表するように、内に秘めていた感情を解き放つのを、必死に抑えながら、夕凪が尋ねた。しかし、いかに抑えようと咎人を捉えた銀の瞳は雄弁である。悲しみと怒りに満ちたそれは、炎のように揺れていた。

「私は、ただ芸術を見たいだけなのです。その証拠に、血の一滴とて無駄にしていない」
 人体に詳しい人間がいれば、通ずるかもしれない。血管を傷つけずに筋肉を取り分け、腱を骨から削ぎ、漿膜の内から臓器を取り出す困難さを。おそらく、彼は本気でそう思っているのだろうことも。

「ですが、――邪魔されるわけにはいきません」
 どこか見下すような邪悪な目が、オダマキの花を咲かせたオラトリオの――いや、堕天使の顔に浮かんだ。戦いはもはや避けられない。猟兵たちは、その覚悟を決めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●前哨戦と彼は言う
「しかし、これだけの人数の敵を相手取るのは、骨が折れますね」
「――さあ、出番ですよ。あなたたち。私を守りなさい。できますね?」
 張り付いたような笑顔が小さな部屋の暗がりに向けられた。
 ゆらゆらと揺れるようにして、それらは現れた。

 メイド服を着た子供たち。十体はいるだろうか。
 その出自は、おのずと明らかである。
 普段、彼がどう扱ってきたのかも。

「――そうか。"そうした" のか」
 冷酷に吐き捨てるのは、フル・フェイスの戦場傭兵。
「その容姿の端麗さ、おそらく実在の肉体と霊体が混ざり合っているのでしょう」
 薄緑の髪をした咎人殺しは観察する。
「正気はもはや残っていないですね。唯一の慈悲は解放してあげることです」
 と探索者にして霊園の管理人の少年は断言した。

 各々の武器を持ち、猟兵たちは対峙する。
 邪悪を打ち倒すために、まずは目の前の哀れな残影を相手どらなくてはならない。
天星・零
栗花落さん(f03165)と連携

A…生命を愛した赤い目の黒猫の魔法
B…変幻自在の影の住人


【第六感・情報収集】で部屋に生存者(まだ息をしている者)がいないかを見たり、部屋の状況を把握

・少年または見つけた生存者が息がある場合


Aを使い治癒、回復を試みる
回復中は専念できるように栗花落、Bを敵に化かして攻撃してもらう

・被害者の中に生存者がいない場合
Bを敵に化かして撹乱しつつ、自身も武器『Øやマフェットスレッド』を用いて敵対象を攻撃

『僕の友達や協力者を傷つけるやつはたとえ犠牲者だとしても許しません』
指定技能以外も使える場面があれば使用します
Aの霊の口調‥一人称はアッシュ、二人称お前、-だ、だぞ、だな


栗花落・澪
零(f02413)と連携
呼び方→天星さん

【視力】で生存者や障害の有無と位置を大まかに把握

こんな悲しい戦いは
あまり気が乗らないけど…
仕方ないね

【空中戦、ダッシュ】で敵の周囲を高速移動し注意を引きつけ
【全力魔法、UC】で殲滅、目眩し狙い
時折【歌唱、破魔、催眠】で隙作り

万一生存者がいる場合
敵の隙を突いて可能な限り抱えて飛び
UCで牽制しながら零の元へ運ぶ

敵の技は【見切り、オーラ防御、UCでの相殺】

生きる方が辛いと言うなら諦める
欠片でも生きる意思が残っているのなら
迷わず助ける道を選ぶよ

殲滅動作を主体とし
生存者の息が戻ったら時折【癒しの歌(UC)】による回復補佐
零に攻撃が向かいそうな場合はすぐに警告


有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

幼い子どもを誘拐・殺害し、あまつさえその死体をこのように扱うとは……なんて悪趣味な。
彼らに罪はありませんが……せめて安らかな眠りを。
処刑人の剣を手に【覚悟】を決めます。
「彼らの悪夢を終わらせる」

できるだけ動いて、相手の注意をひきつけます。
攻撃は【絶望の福音】で回避。
他の猟兵たちの攻撃が当たりやすくなるよう配慮して動きつつ、こちらも相手の動きの隙をついて、処刑人の剣でその霊体ごと切断します。
「おやすみなさい。……次は、よい夢がみられますように」

諸悪の根源を…一刻も早く潰さないといけないな……。


セリオス・アリス
★アドリブ歓迎

目を閉じ開く
深く息を吸う
腸が煮えくり返るような感情を無理やり沈めて剣を構える
まずは『属性攻撃』で『先制攻撃』

憐れな元子供に眉を寄せ目を目を眇る
絡み付く手は無理に振り払わず
「大丈夫だ、終わらせてやる」
目の前の相手にだけ聞こえる程の音量で
「歌声に応えろ、力を貸せ――」
囁くように望みを叶える呪い歌を歌い
憐憫すら燃き尽くすような
もっと激しい怒りの青い炎で、敵の手を燃やす

一気に距離を詰め斜めに剣を振り下ろしその勢いで回転しながらもう一回『属性攻撃』をのせた『二回攻撃』

もう二度とあのムカつく野郎の言うことを聞かなくてすむように
きっちり終わらせてやる


天之涯・夕凪
【POW】
生きていればそれだけで、血は一滴も無駄にはならない。
血を無駄にしない。それは誇るものではありません。
生きていれば至極当然のことです。
生命に美しさを見いだせない者が、美を語るのはお止めなさい。

血統覚醒で戦闘力を上げ、なるべく早急に彼女たちの解放を目指します。
苦しむことなく、安らぎを。
聖痕に【祈り】を込めて、彼女たちを浄化できたら。

彼女たちが傷ついた分は、私も背負いましょう。
彼女たちが心で流した血は、私が流しましょう。
【激痛】など些細なもの。
全ての攻撃は【捨て身】同然に。
どうか、良い夜を__貴女方の悪夢は引き受けるから。
そして、

この血の全ては、『彼』を倒す。
ただそれだけのために。



●そこに救いはあるのだろうか
「天星さん……やっぱり、ダメかな」
 わらわらと現れた残霊たちを余さず観察する様を見て、澪は天星に尋ねる。それは、わずかな希望を探すための、人間として当然の思い。しかし、打ち砕くように、零は黙って首を振った。腐食で青紫色に爛れた皮膚、血の気のないまま宙を見る眼球、ずるずると引きずるような歩き方。健常に見える部分は、よくよく見れば実体を伴わない。判断は明瞭。残霊たちは、手遅れである。そんなこと、一目でわかったはずなのに。合理的なだけなら、彼らを指さし笑うかもしれない。しかし。生命を愛する魔法を使う彼もまた、生命を決して愛するがゆえに。胸に下げられた十字架が、まるで濡れているように重々しく光る。
「そっ、か……。仕方、ないね」
 落胆を隠せない澪。その様子を、気持ちを、残霊は歯牙にもかけずに襲い掛かる。
「オ、――オ、――――オお、―――タ―――、お前モ……」
「……僕たちも?」
「――ッ! 聞くな、栗花落さん!」
 幾体かの残霊が、大きく息を吸う様が、見えた気がする。澪は、一瞬その言葉の先を聞こうと、立ち止まる。零の静止は間に合わない。
「――――ス――――、私とぉオオ、同ジニ、なレぇッェエエエ!」
「あいツに、サレ―――――――ケ――――――、コトォオオオ――!」
「オ前、――テ――――、――モォオオオオオオオオオ!」
 金切り声とでも形容すべき絶叫は、悲観と絶望に満ちていた。それは空気を劈いて、猟兵たちの体を打つ。一体ではない、二体、三体。それは輪唱にも似ていた。残霊たちのラメントは、若き猟兵たちの心を穿つ。
「――――ッ!」
 必死に堪える澪と零。一斉に叫びだした残霊を前にうかつに前に出られない。彼らを止めてやらなくてはならないというのに。耐えるだけで精一杯。どうにか隙を見つけられたら。

●与えられる救いとは
 ――ザクリ。と柔らかなものが斬り落とされる音がした。
「――私たちにできることは、彼らの悪夢を終わらせること」
 ただ一つに特化した武器は、時さえ得れば万能の武器を遥かに凌駕する。有栖川・夏介の持つ武器のひとつ、処刑人の剣はまさしくその典型であろう。「切断する」ただその一点に特化した武器は、何もかも、その因果宿業一切を断つ。音を立てて、一体の残霊が地に沈んだ。哀れな子供の姿をしていたそれが伏したことを、咎める猟兵はいない。みな、気持ちは同じだったから。
「おやすみなさい。……次は、よい夢がみられますように」
 その足は止まらない。肉塊と見まごう、土気色をしたおぞましい腕が、手が、彼に伸びても、それが向かう先に緑髪の処刑人はいない。その赤い瞳は、すべてを見通すように。絶望の先の未来を見ていた。ユーベルコード【絶望の福音】で、残霊たちの攻撃を見躱し、また一体の残霊が崩れ落ちる。溶けるようなその残骸に、微かな憐れみの言葉をかけながらも。慈悲深き処刑人は止まらない。

「ああ、ああ、アあ、アアアアアアアァアァァァァアアアァ!!!」
 残霊たちは絶叫する。それは、彼らが本来持っていなかったはずの、持つ必要のなかった思いであるのに。彼らに残されたのは、それだけなのだとばかりに吠える。恨み、痛み、悲しみ、そしてそれを他者に好んで分け与えようなどと、正常なら誰が思うだろうか。にもかかわらず、彼らはそうするように作られてしまった。
「どうシテ、どうシテェエ!? にくイ! 痛イ! 悲シいィイイ!!!」
 哀歌は止まらない。残霊たちは自らを歌い続ける。

「大丈夫だ、終わらせてやる」
 黒き美髪のセリオスは、両目を閉じて息を吸う。
「歌声に応えろ、力を貸せ――」
 猟兵すべてを威圧する怨嗟の歌声など、まるで微風と同じように。彼めがけて放たれる、異形の手を厭わずに。なされるがままに掴まれてもなお、彼は落ち着いていた。
 彼の口から生まれ出でるのは、望みを叶える呪い歌。囁くような歌声が、狭い部屋を覆いつくし、聞くべきものの耳――それが耳としての機能を残していなかったとしても――に届く。憐憫すら燃き尽くすように、激しい怒りの青い炎が、絡みつく手を、歌う残霊を燃やし尽くす。青い炎に包まれながら、美声のシンフォニアは残る残霊へと駆ける。たちまち距離を詰めて、純白の剣で霊を斬る。その剣閃は、星の瞬きのように光り、小部屋の暗闇に消えた。
「――俺の望みのままに」
「――もう二度とあのムカつく野郎の言うことを聞かなくてすむように、な」
その青い瞳には、悲しみの影は映らない。終わらせてやると、決めたから。

 歌声が小さくなっていく。猟兵たちの、慈悲で満ちた刃が、無慈悲に刈り取っていったから。あまりのあっけない様に、当惑の声が残霊たちから漏れた。
「どう、シて……? 私、たチ、何モ――して、ナイ……」
「痛い、痛イ、助ケて……助ケテ……」
 憐れみを乞うように、残霊が一人の猟兵の目に向けられた。
 ――あなたなら、わかってくれるでしょう?
 そう問われた気がして、銀の瞳の夕凪は、残霊に向けて頷いた。残霊たちの顔が、わずかに華やいだように見えたので、夕凪は悲しそうに笑う。
「あなたたちが傷ついた分は、私も背負いましょう」
「あなたたちが心で流した血は、私が流しましょう」
 彼の祈る気持ちは、からだに刻まれた聖痕を通じて力にかわる。銀の瞳が、赤く光る。それはユーベルコード【血統覚醒】。心が拍動する音がした。こめかみに熱を感じた。肺を熱い何かが満たしていた。視界が、ちりちりと輝いている。それは、夕凪に流れるダンピールの血が、その本性をむき出しに暴れだした証拠。
 ――祈れ。ダンピールは銃を構えた。
 ――祈れ。優男は、迫る手を避けようともせずに。
 ――祈れ。咎人殺しは純白の聖銃の撃鉄を引いた。
 ――祈れ。目元の黒子が、悲しそうに歪んだ。
 ――祈れ。残霊たちが、菫の花びらが舞う中で、安らかに眠らんことを。

 肉塊が、子供たちだったものが、白く、赤く、青く、はらはらと舞う。
 どうか良い夜を、と願いながら。

「――ありがとう」
 最後の一体を、虚空から出でたΦの刃が貫き、すかさず薄紅色の鎌が首を落とした瞬間に、どこからかその声は聞こえた気がした。その残された本当の声が響いた一瞬は、はかなく虚空に消え失せて。残されたのは、死骸とすら呼べない残骸と、奥に立ち尽くす男。そして、枷をつけられ、無残な有様の少年。
 饐えた臭いで満ちた小部屋での戦いは、次なる局面へと動き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『子ども遣い『チャイルドマン』』

POW   :    理不尽な言いつけ
【攻撃】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    財産喰らい
自身の身体部位ひとつを【対象の親もしくは同じくらい信頼している人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    操り人形
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【一時的に幼い頃の姿】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はステラ・リトルライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そしてたどり着く
「これはこれは、見事なものですね」
 かちかちと、どこか無機質さを感じさせる拍手が、部屋の最奥に立っていた男から発された。本気で褒めているのかどうか、さっぱりつかめない表情。いくら彼が自らの心情を隠そうと、猟兵たちの働きで彼が追い詰められているのは明白。そのはずなのだ。

「ねえ、そんなに強いあなたたちを傷つけたくはありません。大人しく、降伏してはもらえませんか。私は、あなたたちを無傷で芸術としたいのです」
 にこにこと張り付いた笑顔のまま、館の主人は猟兵たちに語り掛ける。
 彼の手に持った燭台の火がゆらゆらと揺れている。

「人が自由に生きることこそ、無駄のない生命の使い方です」
「生命に美しさを見いだせない者が、美を語るのはお止めなさい」
 ふつふつと沸き立つヴァンパイアの血を見え隠れさせながら、赤銀の瞳のダンピールは凍てつくほどに冷酷な、怒りに滾る瞳を向ける。

「違いねーな。こんなカビの生えた場所に閉じ込めて、お前にいいようにされる生命に、芸術もくそもあるかってんだ」
「それに」
荒くれた口調で、青い瞳のダンピールは吐き捨てる。

「――――そもそも、つまんねー冗談だぜ。誰がお前に負けるって?」
 ぴしりと純白の剣を撓らせて、回答かわりの斬撃が飛んだ。
 主人の手のあった火が、その斬撃波で消えた。

「――ですが、皆さんどうかお気をつけて」
「奴はきっと、まだ攻撃手段を見せていません」
 敵のにこやかな笑みが暗闇に溶けていくのを眺めながら、寡黙な処刑人は警戒を促す。悪を前にして怒りに飲まれることなく、緑髪の青年は状況を俯瞰していた。

「有栖川さんの情報の中には、相手の意思を奪う手段があるかも……ってのがあったよね。そして、まだあいつは、その正体を見せていない」
 琥珀色の天使はそれに同意するように頷いた。おそらく、彼が自信満々なのはその洗脳能力に自信を持っているからだろう――そう応じる。

「――それから、被害者の男の子。何か様子が変です。もしかしたら、今までの残霊とは違うかもしれません」
「それって、もしかして救えるってこと?」
 金の髪した少年は、友の問いかけに首を振った。
「わかりません。――しかし、何よりもあの男を倒せば、機会はあるかも」
 柔和な笑みを浮かべながらも、油断なき声でそう答えた。未だ顔を出していない銀の髪した相棒の出番も近いかもしれない。覚悟を決めながら。

「ならば、私たちは倒すことに専念するのみ……ということですね」 
 処刑人の、鮮血を思わせる赤い瞳がまばたきをして、そのあとには覚悟のみが残った。

「よろしい。あくまで抵抗をするというのなら、残念ですが、私も戦うことにしましょう。ですが安心なさい。負けたとしても、あなたたちは芸術となれるのですから!」
 ほの暗い底から響くように、館の主人――オブリビオンの声がこだました。

 今こそ、悪と決着をつけるとき。
有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

……俺達を芸術にしたいなどと笑わせる。
悪趣味な芸術につきあう気はない。

それにしても、少年はまだ助かるかもしれない…?
こんな私でも、救える命があるのなら。
「そのためにも、貴方はここで処刑します」

『神殺のナイフ』を構え、敵を殺す【覚悟】を決めます。
敵の攻撃は動きをよくみて回避し、【カウンター】攻撃。
敵が隠し持っている洗脳能力には特に警戒しないといけませんね。
洗脳能力で少年や我々を使って攻撃してくるかもしれない…。
そうなる前に【第六感】で敵の不穏な動きを察知したら、他の猟兵たちへも注意を促しつつ【咎力封じ】で敵の攻撃を封じます。

貴方の芸術はここで終わりです。


天星・零
栗花落さんと連携

零『ふふ、地獄ですら勿体無い。輪廻転生しないように‥』
夕夜「魂ごと無に帰してやるよ。」


零で接近しつつØを武器の特性を活かし、敵に振る瞬間に人格を変えて刃の射程を伸ばして【だまし討ち】

以後戦闘は夕夜に

Punishment BlasterとØで戦闘を行う【第六感・追跡】で敵をマークし、前者で砲撃しつつ、Øで近接、可能なら【零距離射撃】
少年から気をそらす

全ての攻撃に【鎧無視攻撃】

変幻自在の影の住人で少年の姿に
WIZ攻撃を使われたら影の住人にそのフリをさせる
隙ができたところで【だまし討ち】で主人を攻撃してもらう

戦闘後可能なら、生命を愛した赤い目の黒猫の魔法で少年と仲間を回復

アドリブ歓迎


栗花落・澪
零(f02413)と連携
呼び方→天星さん

ねぇ、オダマキの花言葉知ってる?
『愚か』っていうんだよ

同じ種族として許せない
あの子は僕の末路でもあったかもしれないから

花だけ刈り取って大事に育ててあげるから
さっさと地獄にでも落ちてくれる?(鎌を取り出しにっこり)

【空中戦、見切り、オーラ防御】で敵の周囲を高速移動しながら技を回避
【全力魔法、UC】で敵の足元崩しや目眩し狙い
隙を狙い鎌で【薙ぎ払い、範囲攻撃】

SPD…基本冷静対処
母を出された場合忘れてるトラウマが蘇る危険があるので要警戒
POW…行動制限系は従わない
WIZ…UCで一掃
(少年が操られた場合【歌唱、催眠】で戦闘回避)

可能なら戦闘後に少年の回復


フェイス・レス
アドリブ歓迎
いい加減センスのない芸術家気取りに引導を渡す必要があるよな?

【コミュ力】で相手を挑発

自分の記憶が無いことを利用して【財産喰らい】の攻撃を引き受ける。記憶が無いから誰の頭部に変形しようと問題無し、容赦なく破壊する。

【理不尽な言いつけ】に関しては鉄塊剣でも盾にして攻撃を喰らわないようにしながらアサルトウェポンで攻撃する。

【操り人形】は死体なら破壊するだけだが恐らく被害者の男の子を操り人形にしてくる筈だ。或いは気絶した他の猟兵仲間か。
そうなると盾にされ攻撃出来ない可能性も十分ある。そうなったら鉄塊剣を盾に近づき操り人形に組み付き抑えつけて後は他の猟兵に任せるか。冴えないやり方だな・・・


セリオス・アリス
★アドリブ歓迎

芸術だなんだと言い腐るその姿に
昔…自分を捕らえていた仇の姿がダブる
嗚呼、ああ…吐き気がしそうだ

柄をぎゅっと握って膝を曲げ
靴に風の魔力を込めて旋風を発生

どんな敵でも殴ればいずれ死ぬ

【青星の盟約】を歌い

さっさとブッ倒して
あの子供の生死を確認するとしようか
旋風を破裂させ『ダッシュ』で『先制攻撃』
刃を上に跳ね上げた勢いで一回転し着地と同時に『二回攻撃』

敵の攻撃は余り気にせず突っ込む
そりゃ見切れるなら『見切る』が…
激痛に耐性がある訳でもねえ
死にたい訳でもねえ
ただ…死んだような生より
派手に生きたいだけだ!
『カウンター』で『鎧を砕く』レベルの重いヤツを叩き込む

お前の言う芸術的な死は論外だけどな


天之涯・夕凪
【POW】
少年が救える可能性があるなら、なるべく早急に片をつけたいですね
聖痕や刻印といった近接武器で攻撃しつつ接近
極限まで近づいたのなら、敵に噛みつき『吸血』
ユーベルコード≪喰済≫を発動します

その際、噛みついた『傷口をえぐ』って、『捨て身の一撃』覚悟で血肉も噛み千切り
それは飲み干さずに、床に吐き捨てます
性格が悪いですが、意趣返しというやつです
貴方の血も肉も、無駄になってしまいましたね

死が芸術だと言うのなら、喜びなさい
散々芸術と妄評して遊んだ――“それ”が貴方の受けるべき報いです

……、
貴方も、自分自身のそのままの姿を受け入れて、
そうして良い点を伸ばせば、きっと美しくなったと――

私は、思いますよ



●オブリビオンの悪意
「……俺達を芸術にしたいなどと笑わせる。悪趣味な芸術につきあう気はない」
 邪悪な存在と相対しその醜悪さを目の当たりにした今、漆黒の外套を纏った有栖川・夏介(寡黙な青年アリス・f06470)は内なる殺意を確固たるものとした。その覚悟に応えるように、彼が握る『神殺のナイフ』の刃は鋭く光る。

「違いない。なら、やることはひとつ。さっさとブッ倒そうぜ!」
「星に願い、鳥は囀ずる。――さあ歌声に応えろ、力を貸せ!」
 有栖川の言葉に頷いて、同時に駆けだしたのは暗黒の髪をした詩人、セリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)。彼の透き通るような歌声が響くと共に、靴の魔導蒸気機構が動き出す。魔力の高まりにつれ、きゅるきゅると音が鳴り白い蒸気が噴出し、やがて弾けるようにして走り出す。それはあたかも持ち主を旋風と為して。邪悪のもとへと吹き抜ける。男へ振り上げるようにして純白の剣を振るう。
「その意気だ。きっちり、処刑する!」
 有栖川はセリオスの言葉に同意してみせて、セリオスに続けてナイフを振りかぶる。
「野蛮ですねぇ。いきなり近づいて、傷つけようだなんて。芸術のなんたるかを理解していないと、言わざるを得ませんね」
 館の主人は二人の様子に慌てることはなく、しかし不気味な笑顔のままで。
「うーん……まずは、――あなたから」
 オブリビオンの邪な目が、後方の有栖川に向けられる。セリオスの白刃をゆらりと躱しながら、館の主人の手は、巨大で、醜悪な白いウサギの顔へと変化していた。
「――ッ!」
 一瞬、有栖川の動きが止まる。その一瞬を、オブリビオンは見逃さない。ばくりと兎頭が彼の肩を噛んだ。寡黙な青年がなぜ立ち止まったのか、それを知るのはこの場で当人だけだろう。確かなことは、有栖川は敵の攻撃を受けてしまったということ。
「命令します。『私を守りなさい』――さあ、ちゃんとできますか?」
「誰が、そんなこと! ―――――ぐっ」
 抵抗する有栖川。当然だ。どんな猟兵がオブリビオンに命令されて素直に従うだろうか。だが、それを見た館の主人は歪んだ笑顔を見せる。どうしたことか。効果はてきめん。からんからんと神殺の刃が床に当たって音をたてる。心臓を抑えるようにして、有栖川がうずくまる。
「――おい、有栖川!」
「命令を、――守らないと、――ってこと、か」
 攻撃を躱されたセリオスが二の太刀を放ち、それを白兎の頭が抑え込む。攻撃しながらも、セリオスは戦友へ声をかけた。激痛に苛まれながらも有栖川は冷静だ。息を整えながら、自らの症状を得心したように漆黒の処刑人は同胞へ、自らの推理を伝える。
「何か引き金があるはずだ。おそらく、攻撃を食らうのが――不味い! 避けろ!」
「攻撃を食らうなって、簡単に言ってくれるぜ!」
 有栖川が回復するまで、館の主人の攻撃を向けさせるわけにはいかない。迅速に、果敢に攻める黒髪の詩人に醜悪な兎頭の腕が自らに迫るのを、手に持つ白い剣が見切って受け止める。有栖川の推理はおそらく正しい。そして、あの醜悪なオブリビオンがさらなる手を持っていないとも限らない。それらを避けつつ鎧を砕くには、未だ機を得られない。もう少し、隙ができれば。

「ここからは、僕たちの番。二人だけにいい格好させられないからね――」
 それは、凜とした声。
「――――ね、さっさと地獄にでも落ちてくれる?」
 二人の戦いに続くように、オブリビオンに背後から大鎌を振るうのは、悪魔ではなく天使、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)である。オーラを翼に纏わせて、高速接近。にもかかわらず、まるでふわりと舞うような優雅さすら感じさせた。
「ふふ、地獄ですら勿体無いですよ。輪廻転生しないように――」
 友に答えるその声は、虚空より出ずる刃を持った、金色の髪の少年から発されていた。
「――魂ごと無に帰してやるよ」
 その姿は銀の髪に変わっていた。澪とタイミングをあわせるように、その刃――Φが伸びた。片手に収まるほどの刃だったはずのそれが、今や頭身にも見合うほど。それが澪の鎌と同時に迫り、二人の連携は必殺の構え。ひとつの誤算を除いては。
                        ・・・・・・・
「困りましたねぇ。今手を離せません。――そうだ。守ってください」
 若き猟兵たちは、瞬間、刃を引いた。いや、退かざるをえなくなった。
 それは、小さなしもべだった。自らを引き裂いたはずの刃を持って、まるで感情のかけらも見せず、ぎちぎちと揺れる腕は、操り人形と呼ぶ他ない。だが、それは肉の体を持っていた。生皮が割かれ、黄色い脂肪に覆われた赤い筋肉が見える。筋ばった漿膜に囲まれた線維が包む腱の先には、生白い骨が露出している。それはまさに、解体途中の少年の姿。残霊になっていなかった理由は単純、なぜなら生きているから。

「……許せない」
 澪が歯を食いしばる音が聞こえた。それは普遍的な感情なのか、同じ種族としての同情か。あるいは、自らの運命に重ね合わせての感慨か。せめて戦いを避けたいという思いを歌に乗せるも、過去より蘇った巨悪の技を打破するためにはただの癒しの歌では届かない。それは、猟兵が己の本分を以て戦わなくてはならない存在。
「――ちっ。零のやつ、面倒な相手を俺に押し付けやがって」
 荒ぶる口調は、銀色の髪の少年夕夜のもの。今までの丁寧な零の面影は今やない。哀れな操り人形の位置を見て、それを避けるように骸骨頭の銃、Punishment Blasterを呼び出し館の主人へ狙いを澄ませて砲撃を加える。だが、庇うように操り人形の少年は、その砲弾を食い止める。
「――そこっ! 香り高く舞い遊べ、"Orage de fleurs" !」
 眠らせずとも、せめて無効化を。鎌とおなじ薄紅色の花びらが、澪の命によって舞い吹きすさび、少年の動きを止める。その一撃は、慈愛に満ちていた。

「よくやった。ならば、――後は俺が引き受けよう」
 地獄を思わすその声が、少年へと迫る。顔貌見えぬフェイス・レス(人間の戦場傭兵・f11086)は、鉄塊剣で抵抗を防ぎ、重装の鎧をまとったその体躯を以て、少年の残骸を抑えかかる。単純な質量は、細かな理屈を凌駕する。小さな体でいくら抵抗されようと、戦場傭兵の背負う重みを軽々に排除できようはずがない。
「――冴えないやり方だがな」
 自嘲するように漏らしながらも、彼の体は鋼鉄のようにして動かない。彼には覚悟があった。そして、勝つために手段を択ばないのが、傭兵というもの。
「その行動は、邪魔ですねぇ……」
 オブリビオンが、僅かな苛立ちと共に、まだ変化していない腕をフェイス・レスへと向ける。それは、有栖川・夏介を襲った白兎頭を呼び出す動き。

 ――だが。

「な、なぜ私の【財産喰らい】が!? なぜ変わらない!」
「……腕を突き出しても、何もならんぞ」
 戸惑う邪悪と、呆れた声の傭兵。過去を持たない孤独な男に、呼び出せる信頼は存在しない。少なくとも今、それを持っていなかった。だが、彼は一人ではなかった。

「差し出してくれているのですから、その腕をいただきましょう」
「――なっ!?」
 大口を開けて、犬歯をむき出しにしてみせるのは長身のダンピール、天之涯・夕凪(夜空の端にて・f06065)。その宣言通り、変貌しない邪悪のかいなを食いちぎり、その血を飲み込むことなく吐き捨てる。床に赤が広がった。過去から蘇った赤色を睥睨して、首を振る。それは、ユーベルコード【喰済】の発動条件であるはずだった。だが、彼はそれを選ばなかった。
「これもひとつの意趣返しというやつです」
 貴方の血も肉も、無駄になってしまいましたね、と嘲笑う夕凪。

「死が芸術だと言うのなら、その無駄を喜びなさい。散々芸術と妄評して遊んだ――」
「―――― “それ” が貴方の受けるべき報いです」
 耐えがたい苦痛に、悶える声が地下室に広がる。
 その床に広がった赤は、すでに褪せ始めていた。


●悪意の終焉
「もう理解したでしょう。――貴方の芸術はここで終わりです」
 夕凪の一撃は戦況逆転の嚆矢となった。それを宣言するように、有栖川の冷たい声が響く。その手には、処刑人の縄紐。撓り音をたてて、男の翼を、腕にまきついて動きを封じる。ユーベルコード【咎力封じ】。発動条件の厳しいそれは、一度発動すれば絶大な力を持つ。今や、邪悪の能力は封じられた。

「つまり、もう後先気にする必要なんてないわけだ」
 黒鳥は、その美貌と美声を裏切るように、どう猛な笑みを浮かべる。まるで青い彗星が空を駆けるように、ぐっと拳を強く握りしめ、有栖川と自分を苦しめた白兎の腕を殴り砕いた。それは単純な論理、どんな敵でも殴ればいずれ死ぬという言葉の体現。
「――いや、もともと気にしてなかったか?」
 砕いたあとで、ふと首をかしげてぽつりとつぶやくのだった。

「いいね、詩人の人と処刑人の人! なら俺はこうしてやるぜ!」
「――さぁ、悪夢の時間だ。影の住人は何もかもを奪い去ってしまうぜ。せいぜい、気をつけるんだな!」
 ユーベルコード【変幻自在の影の住人】で呼び出されたのは、今まさにフェイスレスに抑えられているはずの操り人形と化した少年。影の住人が化けたそれは、零――いや、夕夜とタイミングをあわせて、その体を前後から挟むように虚空の刃で貫いた。

「貫かれたお前は動かぬ標的に違いない。ハッ、射的場にもなかなかない。良い的だな」
「――センスのない画家に、引導を渡してやろう」
 少年を抑えながらも、片腕で自動小銃型のアサルトウェポンを操作、フル・オートで放たれた銃弾がぱらぱらと音を立てて館の主人の体に風穴を開けていく。熱を帯びて吐き出される金属製の空薬莢が、彼の鎧に落ちて小気味良い金属音を鳴らす。
 銃弾の雨が降りやんだあとで、オブリビオンの様相はまるで野ざらしにされて幾年も立ったボロ布も同然だった。だが、その眼光の異様さが残っていた。まだ、何かを残していている――猟兵たちに緊張が走る。過去より蘇った邪悪に、いくつ奥の手があるかなど、猟兵に測れようはずがない。

「まだ、私は――ッ! 満足していない! 私は、作りたりな――ッ!」
 それは、薄紅色の一閃。清鎌曼珠沙華の煌めきは、一瞬だった。
「オダマキの花言葉って、知ってる?」
「――『愚か』っていうんだよ。知ってたかどうかなんて、もう答えは聞けないけどさ」
 憐れみすら感じさせない残酷な笑みを少年が浮かべると同時に、ことり、と語る言葉の途中で首が落ちた。それは、唾棄すべき存在の終焉に他ならなかった。

「終わりました、か」
 回復能を持つ猟兵たちが、操り人形にされていた少年のもとへと駆けよる。彼らに回復を任せて、夕凪はひとり過去の邪悪の亡骸に目を向ける。

 ……
 貴方も、自分自身のそのままの姿を受け入れて、
 そうして良い点を伸ばせば、きっと美しくなったと――

 長身の咎人殺しの弔いの念が最後に至る前に、思索は明るい声に途切らされた。
 かつてこの部屋で助けを求めた少年の声は、誰にも届かなかった。
 だが、今は違う。
 他者を害することでしか美を見いだせない邪悪は打ち破られて。
 歓喜の声が、部屋を満たした。

 それはまぎれもなく、猟兵たちが勝ち取ったものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日


挿絵イラスト