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深紅

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 フフフ、今年の冬バラも綺麗に咲いたわね。
 天候が良かったのと……肥料が合っていたのかしら。
 去年の青いバラも素敵だったけど、やっぱりバラは紅い方がいいわね。
 だって、「ルージュ」っていうくらいですもの。
 唇に彩りを乗せるなら、瞼に真っ赤に焼き付くような。赤。
 それが好いわ。

 それじゃ、あとでバラを摘んでおいてね。今年のルージュを作るから。


「急ぎの任務をお願いしたいのです」
 開口一番、グリモア猟兵のジョルジュ・ドヌールは貴方たちにそう告げた。
 ここはグリモアベース、全ての可能性が華開く場所。そのブリーフィングルームの一室に緊急招集された猟兵たちを前に、黒衣を身に纏ったグリモア猟兵は彼が視た予知の内容を映し出す。

 ジョルジュは自身のグリモアを解き放つと、右目に埋め込まれた義眼を通じて予知夢を投影し、任務の内容をかいつまんで説明していく。

「ヴァンパイアに支配された世界、ダークセイヴァー。その世界の一隅を支配するとあるオブリビオンの領地を解放するのが今回の目的。この地を支配するのは『薔薇の君』と称される若きヴァンパイア。紅いバラを好むことからそう名づけられたヴァンパイアは、配下の『異端の騎士』に命じて自身のバラ園を護らせています」
 ――本来であれば厳重な警護に護られて猟兵たちも手出しができないのですが。
 そう前置きして、彼は次の句を継ぐ。
「薔薇の君はバラを刈り取り、自身の唇を彩るための口紅を精製しようとしています。その作業に掛かり切りとなっている今なら、あるいは」
 警備が手薄になっているのではないか、というのだ。

「彼女が愛でるバラは、文字通り領民の生き血を養分として育つ魔性の華です」
 あのバラ園がある限り、罪もない人々の血が流れることになる。
 ――それは、猟兵として許すことは出来ない悪行です。

 絞り出すように告げると、グリモア猟兵は目を伏せて首を振った。


かもねぎ
 こんにちは、かもねぎです。四季咲きのバラは庭園を彩る華として人気ですね。
 ですが、その華がもし、人の生き血を吸って育つものだとしたら……ぞっとしない話だと思いませんか?

 今回のシナリオは、人の生き血を啜って色鮮やかに咲くバラ園の破壊が最終目的となります。この地を支配するのはヴァンパイアに魂を売り渡した反逆の騎士。そしてそれに付き従う獣の群れ。そのいずれもが血に飢えた忌むべきオブリビオンの産物です。
 バラ園を警護する敵を排除し、人々の犠牲の上に成り立つ花園を壊滅させてください。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●白銀の園に紅映えて
 ゲートを抜けてダークセイヴァー世界に降り立った猟兵たちの眼前には、小高い丘の上に広がるバラ園が遠目に見えた。

 其の偉容を以って領民たちを威圧するかの如くに聳え立つ門柱からは左右にぐるりと蔓バラの垣根が巡らされており、その高さは2.5メートルほど。蔓バラは、冬の最中にも拘わらず深い緑の葉を茂らせており、その合間に手のひらほどの赤い花を無数につけている。花びらの一枚いちまいは根元から次第に紅を深くしてグラデーションになっており、縁は白く淡雪に舞う血飛沫のようにスッと色が抜けていく。見るものの目を捉えて離さないそれは、なるほど、魔界の薔薇と言うべきものだった。

 そんなバラ園をしばらく猟兵たちが観察して見て取るには、グリモア猟兵の予知に視えた通り、確かにバラ園の警護は普段よりも手薄なようであった。垣根の手前には外周を右回りと左回り、それぞれに練り歩く狼と馴鹿の合いの子にも似た『暗闇の獣』の姿が見える。
 また、垣根の向こう側の様子は茂った葉が邪魔をして全容を伺い知ることはここからでは難しいようだが、幾匹かの獣が、これもまた外周と同じような様子で角を揺らしているのが見えた。
摩訶鉢特摩・蓮華
紅と白がグラデーションになったバラ、とても綺麗って、そう思う。でもそれは人の血を吸って咲いたもの。そんなのは許せない、人として許してはいけない。だからこの花園は絶対に、蓮華が壊す。

でも蓮華一人では無理だから、できれば他の人たちと協力したい。右回りと左回りの暗闇の獣が一番離れた所で各個撃破したい。

できるだけ絶望の福音で相手の動きを確認。
爪攻撃は、その爪を弾き返すように怪力で鉄塊剣を振るう。
咆哮は、敵からできるだけ離れる。剣が届くなら口に剣を突き入れる。
敵が透明なら、攻撃される地点を予測して先手攻撃。

自分がフリーなら味方の援護。攻撃されそうな人をかばったり
敵に追撃をかける。


ルビィ・リオネッタ
相棒の紫音(シオン)と連携

薔薇が妖艶なほど美しいのはその下に…?
「花は花だもの。この花に罪はないわ」

・戦法
シオンと分担して獣に対処
アタシはまず索敵に専念するわね

目立たない能力と『不可視の女王』を一時的に使って気付かれないよう空に上がる。疲れすぎないよう臨機応変に解除・再発動
上空から俯瞰して状況確認
相手が同じように姿を隠していても、聞き耳で気配を感じるようにするわ

シオンに手ぶりで合図して、曲がり角や死角で獣を不意打ちできる状況を作る
アイツの剣は至近距離で避けられる代物じゃないもの

相棒の攻撃と同時にアタシも急降下して『暗殺・早業・先制攻撃・マヒ攻撃』で後ろから仕掛けるわ

「こっちの首は貰ったわ♪」


六道・紫音
血を吸う紅き薔薇…なんとも面妖な、まさに物の怪がなす業か。
まぁいい、それを手練れが守っているならば…俺の剣を高める糧にするまで。
「お前達の薔薇が血で華やかに咲くように、俺の剣はお前達の死で輝きを増す!」

・戦法
相棒ルビィと連携
初手はルビィと合わせ、隠密で忍び寄り相棒の合図を待ち1匹を怪力で一刀両断に。
「このまま拍車をかける!」
恐らくすぐ気づかれる、なので集まって来る獣に単騎駆けで斬り込み、怪力を発揮し鎧無視効果で弱点を狙い捨て身の一撃で最大威力を引き出した陸之太刀《絶佳》を放って獣の軍勢を斬獲。
そのまま見切りと残像で反撃を紙一重に回避しながら獣を斬り伏せ続ける。
「理を解さぬ獣に我が太刀は躱せん」



「いくらオブリビオンが罪深い存在だからといって、この花そのものに罪があるわけじゃないわ」
 ――艶めくほど色鮮やかな紅と緑、白のコントラストを眼下に捕らえながら、ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は口の中で呟く。彼女は、小さな体躯を活かして上空からバラ園の様子を偵察していた。見め麗しいフェアリーの外見とは裏腹に、過酷な過去を持つ彼女は情に流されずに事実を事実として受け止める冷静な目を持っていた。

 その彼女が気配を殺して空より寄って見れば、遠目には垣根とそれを護る獣の姿だけが見えていたが、更にその垣根の内側には一辺60ヤードほどの……ほぼ正方形に近い庭園の中央に品よく金の装飾が施された純白の椅子とテーブルが置かれたガーデンテラスが設えられていた。
 同時に庭園の奥側には庭師小屋と思しき木板造りの小屋が建てられているのが見えた。その周囲を警護するかのように、庭園の垣根の中には、外を護る2体に加えて更に3体の闇の獣が植栽の間を闊歩していた。

 偵察から戻ったルビィはふぅっと息をついて『不可視の女王』を解除すると、自身が得た情報を行動を共にする猟兵たちに共有する。
「垣根の向こう側もバラの垣根が幾重にもなっていて、その間に遊歩道のような小路が作られているみたい。中央にはテラスが、更にその奥には小屋があったけど――バラが邪魔で真っすぐにそこまで行くのは難しいかもね」
 その情報をもとに、猟兵たちはオビリビオンの配下らを攻略する算段を話し合う。

「庭園の内側にも3体の『暗闇の獣』がいるの?外の獣たちがなるべく離れたタイミングで個別に撃破したいけど……中から増援が来ると面倒そう」
 その言葉とは裏腹に、摩訶鉢特摩・蓮華(紅蓮眼・f09007)は淡々と感想を答えるかのように状況を分析する。
「出来れば手分けして時間を掛けずに倒したいかな。いくらバラが綺麗だからと言って、人の血を吸って咲くような、そんなものは許しちゃいけない」
 ――だから、この花園は必ず自分が壊す。そう語気を強めて宣言した蓮華の姿を、ルビィは「ふぅん……そんな考え方もあるのね」と目を細めて見つめる。

「鮮血を吸って華やかに咲く薔薇か、なんと面妖な。だが、それもこれも些末なこと。手練れが居るのであれば、全て俺の剣を高めるための糧としてくれよう」
 ルビィを相棒として認める若き剣士、六道・紫音(剣聖・f01807)は手にした『宝刀《皇月》』を雪原照らし返す陽光に翳し、その波紋を撫でながら嗤った。剣の道に魅入られた美丈夫である紫音は、その強さを磨き上げる機会を得たとばかりに歓喜に震えていた。
「それなら、獣の相手はあなたが中心にお願い。蓮華はそれを援護する」
「紫音の剣はとっても速いんだから。あんなオブリビオンの手下なんて朝飯前よ」
「いいだろう……心得た」
 話がまとまり頷き合うと、他の猟兵たちもそれぞれ手筈を整えたようだった。
 改めてルビィが『不可視の女王』を使って先行すると、二人も足音を立てぬよう庭園に向かう。


 腰に下げた刀に手を添えながら、紫音はその機会を待っていた。ルビィをして「避けること能わず」と言わしめるその一刀は快刀乱麻を断つが如し。
 ぐっと腰を落としてその力を膝にため込んだ紫音の耳に、頭上から「今よっ!」とルビィの声が届く。――しゃりん、と鈴の音にも似た僅かな音を残して抜いた煌めきは、流星の軌跡を残して赤きフレアを噴き上げる。

 ごとり――と丸太のような前脚が一本、地に落ちて。
 じくじくと歪な薔薇を咲かせる。

「グアアアアァァァァ!!」

 獣ははじかれたように咆哮すると、血飛沫を肩口から飛ばしながらも残った腕を叩き付けるように振るい、眼前の紫音へ爪を立てようと掴みかかる。

「ぬっ――まだ動くか!」
「危ないっ!」
 爪の一撃を刀で弾いて凌ぐ紫音。だが、我武者羅に暴れ回る獣が撒き散らす鮮血が片目に入ってしまったその刹那、大きく顎を開けた獣が噛みついては喉笛を食いちぎろうと肉薄する――。
 そこへ、ざりざりと神経を摺り下ろすような音を立てて、手にした『鉄塊剣』を獣のがばりと開いた口にねじ込みながら、蓮華がその身を挺して紫音を庇う。少し先の未来を覗き見る彼女の異能、『絶望の福音』でこの展開を先読みした彼女は殺気を頼りに敵へ食らいつく。視力を失ったからこそ研ぎ澄まされた肉体感覚を武器とする蓮華は、怪力を発揮して牙をへし折りながら跳ね上げた『鉄塊剣』の勢いそのままに『暗闇の獣』を大きく吹き飛ばす。

 薔薇の垣根に投げ出されて全身を荊に切り裂かれた『暗闇の獣』は、尚も猟兵たちへ殺気を尖らせていたが、それが体制を整えるのはルビィが許さなかった。
「お疲れさま。その首、貰うわね♪」
 歌うような声音と共に突き立てたダガーは、その小ぶりな刃からは想像も出来ない程鮮やかに獣の首と胴を切り離すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミーナ・ヴァンスタイン
人の命を持て遊ぶ吸血鬼に死を。

獣達へ二丁拳銃を構え【2回攻撃】を行う。
「まずは番犬からお掃除しないとね?」

相手が姿を消したら【聞き耳】で物音のするほうへ横薙ぎに銃を連射し【薙ぎ払い】ます。
「姿は消せても実体があるなら当てられるわよ、お馬鹿さん」

攻撃が来たら【視力】と【聞き耳】を使い【見切り】【残像】で舞うように回避します。
「暴力的な子達ね。飼い主のしつけが悪いのかしら?」

一度見た攻撃には【断罪撃】を使用し【怪力】のままに蹴りや拳を叩き込み、相殺させる。
「それはもう見飽きたわ」

味方が危ない時は【援護射撃】で、敵の隙を突き【毒使い】の麻痺毒を塗ったナイフを投擲します。
「あら、余所見は危ないわよ?」


緋翠・華乃音
確かに今までに見た事の無いくらい綺麗な薔薇だ。
……その薔薇を1つ咲かせるのに、一体幾つの命を犠牲にしたのやら。

自身の「視力」「暗視」で敵が視認出来る範囲且つ、身を隠すのに適した場所に潜伏。
開戦の狼煙代わりに「スナイパー」の技能を用いて「先制攻撃」の狙撃を行う。
その後は味方猟兵の「援護射撃」に徹する。
「早業」でリロードを行いつつ「見切り」で敵の行動を把握。
透明になられても足音や気配、匂いや息遣い、風の流れ、地面をよく観察して見切る。
仮に前線を突破し射線を潜って来た敵が居たのなら狙撃を終了させ、近接戦闘に移行。ナイフ、ダガー、二挺拳銃、鋼糸などの多彩な武器を使い分け、速度と技術を生かして応戦。



「表の番犬のお掃除は私に任せていただけますか」
 ミーナ・ヴァンスタイン(罪人殺しの聖女・f00319)は手にした二丁拳銃に魔力を通すと、何時もと変わらぬ『イレイザー』と『バニッシャー』の重みをその掌に感じていた。戦場傭兵として数多くの戦場を渡り歩き星の数ほどの生き死にを目の当たりにしてきたミーナに取って、人の命はいずれも掛け替えのない尊いもの。だからこそ、それを持て遊ぶオブリビオンの所業は赦すことが出来なかった。
 非道を前に聖職者としての穏やかな顔はすっと鳴りを潜め、そこには敵を討つための戦士としての貌があった。

「君の得意は拳銃なのか。それならば俺は狙撃でそれを援護しよう」
 愛用の『Nil admirari』に緋翠・華乃音(ambiguous・f03169)は手を這わせ、仲間から得た情報を咀嚼していく。敵の配置と周囲の地形そして味方の戦力を分析すると、華乃音は、辺りに舞う雪を見ながら自身の装備を装備を白くカモフラージュする。俺は向こうの丘の茂みに隠れるから――と、狙撃に適した場所をミーナへ指し示すとザクザクと雪を踏んで彼は自ら定めたポイントへ進む。


「グアアアアァァァァ!!」
 遠くで、獣が吼えた。

「始めたか。それならばこちらも動くとしよう」
 雪原にポツン、ポツンと疎らに生えた木立の影に伏せて、華乃音はスコープを覗いていた。レティクルの十字の向こうには、仲間の獣の叫びを聞きつけて、顔を上げて耳を聳てる獲物の姿が。

 ――プシュ、と空気が抜けるような音を立てて、長く一文字に伸びた銃身から吐き出された弾丸がしんとした雪原を切り裂いて飛ぶ。
 その精度ゆえに一分のブレさえも許さないそのスナイパーライフルから放たれる銃弾は必中。眼を上げれば米粒ほどにしか見えぬ距離で放ったその狙撃を、だが華乃音は外れる可能性など一顧だにせぬ素振りで、素早く次の弾丸を装填にかかる。
「命中、しただろ」
 こともなげに言い捨てた銃口が狙いを付けた先には、なるほど、鼻づらに傷を負って狼狽える黒い獣の姿があった。

「あら、よそ見してると危ないわよ?」
 遠くの丘の影で、キラッとスコープが一瞬だけ光を照り返した。直後、『暗闇の獣』は顔面に銃撃を受けて意識を飛ばす。その隙を逃さず、ミーナは滑るように獣の懐に潜り込むと二丁拳銃を横薙ぎに乱れ撃つ。足元の悪い雪原でもなお、残像さえ見えるほどの速度で蝶のように舞う彼女の攻撃はフラメンコの様に細かいステップを刻んでいく。

 『血に餓えた叫び』を放って一足飛びに距離を取ると、敵は一旦バラの垣根の向こうへ姿を隠そうとする。獣と言えどオブリビオン故に知恵が回るのか、眼前のミーナが銃使いだと見て取ってどうやら弾切れを待つ算段のようだった。

 だが。
「残念。私の辞書にリロードの文字は無いのよ」
 無慈悲な魔力弾を雨あられと降らせると、辛抱しきれなくなった暗闇の獣が飛び出てくるタイミングを見切って、ミーナは【断罪撃】をその鳩尾に叩き込む。
 ――呼吸が止まり、オブリビオンの巨体が浮く。

 そこへ。

「避けられるものなら――」
 避けてみろと華乃音が放った【離束銃雨】が流星雨となって獣のこめかみを横から弾く。分厚い頭蓋骨を貫いて、銃弾は過たずオブリビオンの脳を破壊する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

加賀宮・識
人の血でできた薔薇なんてゾッとする。半分は同じ種族だと思うと吐き気がしてきた。

【POW】
垣根が邪魔だ。視界をまず広げたい。

戦う仲間が側にいるなら注意を促し一撃を放つ。
気づいた敵が襲ってきたら【ブレイズフレイム】を放ち一掃する。
敵を一掃できたら焔は消す。
あまり焔は無駄にはできない。
うまくいったようなら、花園壊滅にもう一撃する為に

(他のお仲間さんとの共闘大歓迎です)


ジャン・クロニエミ
「いやぁ、おっさん花の好さとかさっぱりでなぁ。でも人の血が肥料とあっちゃ、気味は悪いよなぁ」

気分のいいもんじゃないし、薔薇ごとバッサリ斬っちまうかね。
見るからに敵は近接型だ。おっさんもそっちのほうが得意だし、一気に距離を詰めちまおう。
おっさんこれでも早業、剣の速さには自信があるよ。相手が攻撃しようとしてきた瞬間に、首と胴を二回攻撃で切り裂いて、出鼻をくじいてやろう。
当たったら痛そうだし、基本は回避していくかね。難しそうなら念動剣で受け止めようか。
向こうが強力な攻撃を叩き込んで来ようとしたら、そいつを二の太刀で受け止めて、そのまま返してやろう。
なに、おっさん昔から第六感ってのには好かれてるんだ。


アルバ・ファルチェ
綺麗な花には棘がある、美しさの代償は他人の命…それを見て見ぬふりは出来ないね。

狼の姿が混じるなら、犬笛は耳障りにならないかな?
犬笛で【おびき寄せ】、囲まれないよう【地形を利用】して応戦しよう。

直撃を食らうと危なそうだから、【第六感】も駆使して【見切り】…当たらないよう【祈ろう】か。

隙があれば【カウンター】を仕掛けてもいいけど攻撃はあまり得意じゃないんだよね。
仲間がいたら率先して【かばう】よ。
『盾の騎士の誇りにかけて』ね。
…合間に治療もしたいけど、あれもこれもと欲張ると中途半端になるから、僕は『守ること』を最優先にさせてもらうよ。


白銀・雪斗
人の生き血でバラを育てる、か……悪趣味な
警護が手薄な、この機を逃す訳にはいかないな

攻撃は【雪風斬】使用
精霊の力で風を纏い素早く攻撃を繰り出す
このスピードについてこれるか?

まずは静かに敵に近づき、敵が背を向けている等、チャンスがあれば『先制攻撃』で不意打ち
戦闘音で敵が集まるかもしれないので、背後を取られたりしないよう注意
共に戦う猟兵には協力を惜しまない

素早さと手数で攻める
ダガーで素早く『2回攻撃』し、攻め立てよう
敵が複数居る場合、なるべく一番弱った個体を狙い数を減らす
敵の攻撃動作をよく見て『見切り』で回避したり、雪盾の『盾受け』でダメージを軽減
隙を突いて『カウンター』を狙う
敵は全て蹴散らす……!


ヴェルベット・ガーディアナ
バラは綺麗だと思うけど誰かの血を吸って咲いたそのバラを素直に綺麗だなんて思えないな…殺した人達のことを肥料としか見ていないその思考は大嫌いだよ。
強烈な攻撃は【絶望の福音】で
未来を読んで回避するよ。
シャルローザで【フェイント】を駆使しながら獣を翻弄しつつ戦う。

シャルローザ…今日もボクの為に戦ってね…



殺風景にも見える銀世界の絨毯に彩りを添える深紅の薔薇は、確かに美しく、猟兵たちの目を惹いた。だが……。

「いくらバラが綺麗だとは言っても、誰かの血を吸って咲くだなんて……それを素直に愛でる気持ちにはならないね」
 ヴェルベット・ガーディアナ(人間の人形遣い・f02386)が「おお、寒い」と身に着けたコートの襟を立ててファーに顔を埋めれば、加賀宮・識(焔術師・f10999)もそれに同調する。
「人間の血を吸って成長する薔薇だなんて。そんな物を愛でるオブリビオンと、半分は同じ血が流れていると思うと吐き気がする」
 ヴァンパイアへの嫌悪感を隠そうともせず、識はそう吐き捨てる。
 無理もないことだろう。彼女は親類縁者を同族に襲われて失っている。そんな識に、オブリビオンを理解しろという事自体が無体な話であった。

 ジャン・クロニエミ(フォースナイト・f10018)は紫煙をくゆらせながらぼやいていた。
「おっさん歳だからなあ……この寒さは骨身に堪えるねぇ」
 気だるげに呟いて、雪の照り返しに目が眩んでは帽子を被りなおしてバラ園を見遣る。
「花の好みとかそういった事はさっぱり分からないけど」
 ――それでも、人の血が肥料とあっちゃ、気味は悪いよなぁ。
 肩をすくめると、「バッサリ切り落としてしまうかねぇ」と手にした念動剣に意思を通わせると柄からは淡い紫のフォースが漏れ出す。

 以前に同じ任務で顔を合わせた仲であるアルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)と白銀・雪斗(白雪の鷹・f00725)は互いの無事を喜びつつ、新たな任務に気を引き締めていた。
「他人の命を代償に美しく咲き誇る華……か。見て見ぬふりは出来ないね」
 護るべき人々がバラの下に犠牲になった姿を思い浮かべてアルバが渋面を浮かべると、雪斗も「警備は確かに手薄だな。この隙を逃す訳にはいかない――」とその身に風の精霊の力を纏わせる。


 事前の打合せに沿って、左右に散開した猟兵たちは首尾よく見張りの『暗闇の獣』をそれぞれ打ち倒したようだった。哨戒の目が無くなり、オブリビオンが垣根の外を窺い知る術が無くなったタイミングを見計らって五人は一丸となって突撃する。

 庭園の中は荊が畝となっており、足を取られれば棘に身を苛まされる。
「おっさんが先頭を斬っていくからね、しっかり着いてきなよ!」
 ジャンがその身上に違わぬ素早い剣閃で薔薇を排除しながら、背にした猟兵へ叫ぶ。数の利を活かしつつ包囲殲滅を目標と定めた猟兵たちは、薔薇の垣根を切り捨てながら中央のテラスを目指す。
 突然の襲撃に浮足立つ獣たちは、闖入者の姿を認めて迎撃に向かうも、彼我の距離も敵襲を察知するタイミングもバラバラに足並みが揃わなければ薔薇の垣根を迂回して三々五々の遭遇戦となる。


「まだ視界が悪いな。敵に包囲されないためにも、先ず垣根を取り払ってしまおうか」
 識が詠唱と共に身を切ると、その傷口から【ブレイズフレイム】が炎の渦となって周囲を焼き払う。噎せる程の熱気と共に広く辺り一帯を焼き払った紅蓮の焔は、まさに彼女に跳びかからんとするオブリビオンを一瞬ひるませ、同時に薔薇の垣根をバチバチと爆ぜさせながら白い灰へと燃やし尽くす。

「怪我は無いか、識?手伝おう」
 風の精霊の加護を受けた雪斗の手には、『Hepatica』が輝いていた。雪景色に雪割草の意匠は良く映えたが、一方でその刀身は白く照り返して太刀筋を非常に見えづらいものにする。
「このスピードにはついてこれまい……もう、逃がさない!」
 低い前傾姿勢から伸びあがるように逆手に持ったダガーを振り上げると、そのまま身を捻って重力の勢いを活かしてばっさりと斬り捨てる。神速で繰り出す雪斗の【雪風斬】をその身に受け、暗闇の獣はその胸に剣弁を咲かせてどうと倒れ伏す。


 その背後では、アルバ、ヴェルベットとジャンの三人が二匹の獣と相対していた。一匹がその身を透明にして隠しながら牽制を繰り返す一方で、敢えて姿を現した残りの一匹が単純で重い【血塗られた爪】を薙ぎ払うように振るう。
「まったく、なまじ片方が見えるだけにそっちに意識が取られてしまうねぇ」
 どこか気の抜けたような物言いを崩さぬまま、ジャンは念動剣を器用に手首で返しながら獣の攻撃を弾き、逸らし、返していく。常人離れした第六感で巧みに致命傷を避けるジャンではあったが、二匹の獣に集中攻撃を受けてその身に細かな傷が重なっていく。

「二匹の動きを止めないと……このままだと押されてしまうね」
 獣ならではの野性的な連携を盾でなんとか押しとどめながら、アルバは苦戦を感じていた。こんな時に兄がいてくれれば、もしかすると事態を打開してくれたかもしれないが……そんなことをチラと思いながらこの場を切り抜ける方法に想いを巡らせる。
 ――もしかして、犬笛で動きを止められないかな?
 そんな考えに至ると、アルバは距離を取って『Voce del Re Lupo』を息の限り吹き鳴らす。人には聞こえない周波数で放たれた犬笛は、確かに『暗闇の獣』の耳を打ち、その動きを止めるのだった。
「盾の騎士の血にかけて、護ってみせるよ」
 そう改めて誓いなおすと、翼と十字の意匠を施された美しい白銀の盾を構えてアルバはジャンとヴェルベットを庇うように立塞がり、姿を現した一体を盾で強かに打ち据える。

「ボクと一緒に踊ろうよ♪」
 ヴェルベットはその十指でシャルローザを繰りながらテラスの石畳をワルツの如き滑らかな足捌きで撫でていく。犬笛で動きが止まった獣を翻弄するようにヴェルベット自身とその人形――シャルローザでコンビネーションを繰り出して踊りは続く。
 その意図を裏側に隠しながら、ワンフレーズ。そしてもう一度。

 やがて、二匹の獣はヴェルベットに釣られる形で左右に並び。
「今だよ、クロニエミさん!」
 ヴェルベットはこの機とばかりにミルクティーの髪を躍らせて叫ぶ。

「ヴェルベットちゃん、やるねぇ。完璧だよ」
 さんざん甚振ってくれたねぇ、お返しだ。そう風に言の葉乗せて、断ッ!と足を力強くジャンは踏み込む。
「師曰く「剛に対する柔は凡百の兵法。剛は同等の剛を以て制する」だとさ」
 二匹ともまとめて、叩ききってやるよ。
 澄みきった殺意と共にジャンが念動剣を振るうと、ズ……と鈍い音がして、地滑りのように獣たちの上半身と下半身が決別した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「随分と勝手をしてくれたようだな。『あの御方』からこのバラ園を預かる身として、貴様らを生かして帰すわけには行かぬ。その血を以って薔薇を彩る礎となれ……」
 ひたり、ひたりと。新雪の上に墨汁を垂らすかの様にその身から闇を零しながら騎士は猟兵たちを敵と認めて歩み来る。
 かつてはこの地を護る領主の近衛だったとも噂されるその騎士は、領民たちの血を集めて『あの御方』に献上する支配者として――人ならざる者に身を窶した代償として得た『骸の海』の無尽にも思える力を行使する。
ジャン・クロニエミ
「あらら、また強そうなのが出てきたもんで。おっさん歳だからさぁ、お手柔らかに頼むよ」

それなりに強そうだしねぇ、無理に押し込むのはやめて、後の先を取りに行こうか。
敵の初太刀に、いきなり三の太刀をぶつけよう。
出鼻をくじいて、下手な攻撃はカウンターの餌食になることを頭に入れさせて、攻勢に出辛くさせることを狙おう。
敵が攻めることを躊躇するなら、そこにこっちから斬り込むとしようか。
向こうの攻撃には三の太刀を重ねたり、念動剣で反らしたり、素直にかわしたり、徹底的に思考を惑わせてやろうかね。
斬るとしたら、鎧の関節あたりがいいかねぇ。動作性を維持するために、多少薄くなってると思うんだよなぁ。



 『暗闇の獣』を切り伏せた刀身の血糊が乾かぬそのままに、ジャンは『異端の騎士』へと相対する。わざわざ猟兵たちに声を掛け、名乗りを上げてから向かってくるその様子からは、自身が持つ業への自信が見て取れた。

「いやぁ、参ったね。これまた随分と強そうな御仁が出てきたもんで」
 ――おっさん、これでもいい歳だからさ。連戦ってしんどいんだよね。
 そう、愚痴をこぼしながらジャンは相手の力量を推し量る。
 相手が手にした黒剣は、長さ身の丈程の幅広な鋼の両手剣であり……その重さで敵を押し切るための物に見えた。
「それなら、無理に押し切るのは上手くないよねぇ」
 味方の猟兵らを護るように、ザクリと雪を踏んで彼は一歩前へ出る。重さと間合いはオブリビオンに利があるが、速さと切味は自身が有利。そう判断したジャンは、一足で敵の懐まで飛び込める間合いを測り、ジリジリと距離を詰める。

 先ほどの剣戟の余波を受けた薔薇が一輪、ポトリと落ちて。

「貴様から血祭りにあげてくれる!」
 騎士が反動を付けて振りかぶった大剣のその懐に、ジャンは走り込む。
(斬れるなど当然。神速を貴べ――だったか。そもそも『斬る』ことすら難しいって言うのに)
 頭によぎるのは師の言葉。彼に剣を伝え、力の振るい方を教え、道を示した師の振舞いが思い起こされる。そして、積み重ねた修練はその意を汲んで、流れるように意識を越えてジャン自身を神速の域に昇華させる。
「触れられぬ剣には剛剣も柔剣も敵いはしない!」
 柄を打ち当てて敵の大剣を跳ね上げると、そのまま勢いを殺さずに念動剣で騎士の左膝、全身を守る鎧のその関節を狙って斬り下ろす。

 ――膨!と念動剣の刀身を包むジャンのサイキックエナジーが一際大きく輝くと、異端の黒騎士のその身が紫焔に包まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーナ・ヴァンスタイン
「あら、今頃ご到着とはうたた寝でもしてたのかしら?」
相手を挑発するように微笑みながら、二丁拳銃を構えて【2回攻撃】で撃ち込む。
「さぁ、蜂の巣にしてあげる」
光の精霊の力が込められた【破魔】の光弾は邪悪なものを【マヒ攻撃】とな
「闇の眷属には、ちょっとキツかったかしら?」

敵の攻撃は【視力】【聞き耳】で【見切り】【残像】で後ろへ回避しながら、銃撃で撃ち落としたり牽制します。
「あらあら、強引ね」

敵の装甲を一点を狙い打ち込み続け【鎧砕き】を狙います。
「どんなに硬い装甲でも、撃ち込み続ければ壊れるものよ」

一度見た攻撃には【見切り】【断罪撃】を使用し【怪力】の拳や蹴りで相殺する。
「その技はもう効かないわ!」


ショーン・ブラッド
確かにこの花達は美しく特殊な魅力も感じられる、しかし、花とは笑顔で見るものだ。このような悲しみに溢れたこの場所をこのままにしては置けない。

ドラゴンスライムを先行させ『先制攻撃』を行い、『挑発』する。
相手の攻撃は『勇気』『掃除』『激痛耐性』で致命傷になりそうな攻撃は回避や爪で受け流しながら様子をうかがう。
隙を見て〔生まれながらの光〕を本体にある額にある刻印から解き放ち敵を浄化させる。
「我が魅力を消滅するまで感じるといい」



「アナタがこの薔薇園の管理人?うたた寝が過ぎるんじゃないかしら」
 のんびりしている間に、番犬たちは始末したわよ――とダンピールの聖者はオブリビオンに向けて微笑む。次はアナタの罪を、消し飛ばしてあげる……そう語り掛けるミーナの姿は、まるで戦場のマリアであるかの様。

「外の獣をやったのは貴様か」
 向き直った騎士の殺気は、それ自体が研ぎ澄まされた刃の様にピリピリとミーナの身を切る。それを、「あらあら――そんなに殺気を放っていては華も枯れてしまいます」強引な殿方は嫌われますよ……?と意に介さぬ風に受け流す彼女。
 ふと見ると、そんなミーナの足元に小さなピンクの影が一つある。

「成程、アレがこの地の支配者か。ミーナ、我も力を貸してやろう」
 そう言って胸を張るのはショーン・ブラッド(聖なる仮面・f00186)。
 ピンクの布地に可愛らしいクマのワンポイントがあしらわれた女児用の下着の姿を持つ、ヒーローマスクだ。故有って今はパンダに取り憑いている。なぜ、パンダは頭に彼自身を被っているのか……それは余人の窺い知るところではない。大切なことは彼が正義を愛し、勇気に満ちたヒーローであり――知己であるミーナに加勢するために颯爽とこの寒風吹きすさぶ庭園に現れたということである。

「確かに……この薔薇は妖しくも美しい魅力を持っているな。だが!」
 花は笑顔の上に在るべきもの。断じて悲しみ溢れるこのバラ園を赦すことは出来ぬ……と断罪して、ショーンは敵へ『ドラゴンスライム』を嗾ける。
「我が援護する。ミーナ、ぬかるでないぞ」
「心強いわ。さぁ、蜂の巣にしてあげる!」

 背後からの支援を受け、ミーナは破魔の魔力を籠めた光弾を立て続けに二丁拳銃から撃ち込む。リロードの隙も無く、ドラゴンスライムからの支援を受けながら攻め立てるミーナの攻撃は、確実にオブリビオンの身体を射抜いてゆく。光弾が当たった個所は痺れたかのように騎士の身体を灼き、その動きを鈍らせる。

「小賢しい真似をっ……」
 大剣での攻撃では銃撃の速度に対応しきれぬと悟ったか、異端の騎士は体術を組み合わせて拳と体当たりのコンビネーションでミーナを吹き飛ばす。そこへ、千尋の薔薇と化した大剣が、鮮血の花吹雪を舞わせてミーナとショーンを纏めて切り刻む。

「ぐぅっ……なかなかやるな!!」
 身を苛む激痛に歯を食いしばりながら、ショーンは受けた傷を『生まれながらの光』で癒す。暖かな光にショーンとミーナの身体が包まれると、丹田の奥底から力が湧くかのような感覚と同時に二人の傷は見る間に塞がっていく。
「――思ったよりも強敵だな」
 次はややもすると危ないかもしれぬ、そう呟いて荒い息を吐く彼の消耗は存外に激しく見えた。

「大丈夫よ、次は……無いわっ」
 頬にわずかに残った血を手の甲で拭い取ると、ミーナは改めて構える。
 魔力を練りあげてはキッと眼光鋭くオブリビオンを睨みつけると、爆発的な加速を経て一気に騎士の足元まで滑り込む。
 彼女の思いがけず素早い奇襲を受け、身を護るバラの花びらを密にして花の盾とすると、異端の騎士は咄嗟にミーナの拳を手にした盾で防ごうとする。

 だが。

「その技はもう効かないわ!」
 ミーナが咆哮と共に魔力を籠めた拳を盾に叩きつけると、その【断罪擊】はオブリビオンが構えた盾もろともにその鎧に穴を穿つ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティアリス・レイン
ドラゴンランスをドラゴン形態にした状態でその背中に騎乗して戦います。

わるいヴァンパイアがいるって聞いて急いできたよ!
「やっと、見つけたー!」

なんだか悪そうなひとがいるから、あれがヴァンパイア?
「じんじょーに勝負!」

バトルアックスをかまえてとつげき!
「ひっさつの一撃!」

あいてのこうげきはドラゴンをあやつって回避するよ!
「あわわ、あれは痛そう。よけて、ユーちゃん!」
よけられないなら、斧を盾にして少しでも衝撃を逸らすよ!

切り札は、ドラゴンを加速させてからランス形態に戻して【捨て身の一撃】で【突き刺し】て必殺の【ドラゴニックエンド】を撃ちます。
「ユーちゃん、突撃ッ!」
「ドラゴニックゥ……エンドォ!」



 猟兵の放った衝撃波は、ハラハラと薔薇の花を吹雪と変えて新雪を巻き上げる。苦悶のうめき声を上げてたたらを踏む『異端の騎士』は、受けた衝撃を転じて後方へステップを踏んだ。追撃とばかりに間隙を埋める猟兵たちの前に、身の丈3メートルはあるだろうか……巨大な黒毛の軍馬がバラの垣根を越えて横やりに立塞がる。

「来たか」
 己が使役獣の鐙を踏んで騎乗すると、オブリビオンの騎士は猟兵たちを高見から睥睨する。

 ティアリス・レイン(小竜に乗る妖精騎士・f12213)もまた、『なんでも屋 アンダー』の仲間と共にこの地へ赴いていた。
「わわっ、ずいぶんと遅くなっちゃった。わるいヴァンパイアは……あれ?」
 自身の相棒たる小竜に跨って駆け付けると、既に猟兵たちとオブリビオンの戦闘は始まっていた。見れば、フェアリーである彼女からすれば天を衝くほどの巨大な軍馬が、味方をまさに踏みつぶさんと高く嘶いて前脚を掲げている。

「危ないっ……いくよ、ユーちゃん、突撃ッ!」
 味方の窮地を察して小さな竜騎士は、その身に誰よりも大きな勇気を抱いて捨て身の突撃を試みる。手にした槍は風を纏って人が扱うほどのそれとなり、手の中に重みを増して鋭く切っ先が光る。

 ──ドシュッ……。

 天空から急角度で狙いすましたティアリスの一撃は、軍馬の太腿に深々と突き刺さった。

 不意の痛みに耐えかねて大きく身をよじる軍馬とその背のオブリビオンに、【ドラゴニック・エンド】が牙を剥いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルビィ・リオネッタ
シオン(紫音)と連携するわ

「紫陽花は土で色を変えるわ。この花は血で色を変えた。要は育てる人次第ね。…この薔薇が白いままでも、存在すら許されないのかしら…」

思った事をぽつりと口にするわ

・戦闘
先手を取る為に
聞き耳をたて目立たないよう視力を生かし偵察

『死の舞踏』で命中率の高い攻撃を仕掛けるわ
狙いは騎士の武器を叩き落とすこと

攻撃は当たらなければ無意味ね♪
騎士の攻撃を視力で見て、見切り・空中戦で回避し、武器受けで受け流す

速さを生かし(先制攻撃・早業・暗殺)フェイントを織り交ぜ、光の力を込めて相手の武器を落とさせる(属性攻撃・武器落とし・マヒ攻撃・鎧無視攻撃・衝撃波)

「シオン、いつもの馬鹿力で頼んだわよ」


六道・紫音
相棒ルビィと共に
「刀は何かを斬る事しか出来ない、だが何を斬るかは使い手に委ねられる。このバラもそれと同じ、我らはこのバラを魔性たらしめる鬼を斬るのだ」

・策
ルビィ連携
相棒が騎士の武器を落とした瞬間、攻勢に出る。

・移
『残像』を伴いながら『ダッシュ』で一足飛びに駆ける《縮地》にて、刀の間合いまで素早く距離を詰める。

・攻
「任せろ、ルビィ!」
『鎧無視効果』で弱点を狙い『怪力』を発揮して膂力を増し『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中した【参之太刀《雲耀》】を『二回攻撃』で連続発動して斬り伏せる。

・防
相手の動きを『第六感』と『見切り』で見極めて紙一重で回避し残心のまま即座に『カウンター』で攻勢に転じる。



 ルビィは迷っていた。
「紫陽花は、その根を張る土で色を変えるわ。この花は、血を吸って色を変える」
 果たして、花に罪はあるのか。薔薇は白く純潔を保ったままでも、魔性の花というだけで存在が許されないものか──。
 バラ園の外周を護る『暗闇の獣』を撃破した彼女と紫音は先に内部へ突入した猟兵たちを追って垣根の間を駆ける。

「迷うな。迷えばその隙に付け入られるぞ」
 紫音は傍らを飛ぶ相棒の逡巡を肌で感じていた。その躊躇いを肩代わりするかの様に、彼は一歩を踏み出しながら声を掛ける。
「刀は何かを斬る事しかできない……だが、何を斬るかはその使い手に委ねられる」
 バラも同じだ。我々は、バラを魔性たらしめる鬼、オブリビオンを斬るのだ──そう自分にも言い聞かせるかのように、背中を預ける小さな妖精に若き剣聖は覚悟を語る。

「……そうね。それじゃ、シオン。いつもの通り頼んだわよ」
「任せろ、ルビィ!」
 その瞳に迷いなき思いを宿し、二人はオブリビオンへ対峙する。

 彼らが戦場へたどり着いたとき、戦況は膠着していた。
 軍馬を呼び出した異端の騎士は、馬による突撃を盾に大剣を振るい、容赦なく猟兵らを追い詰めていく。大ぶりな攻撃の隙を埋めるように軍馬がその額に装着した銀面の角を差し入れて、騎士が体勢を立て直す間を稼ぐ。単純な連携ではあったが、騎士の剣戟は猟兵を両断するに十分であり、軍馬も騎士も体力を残した状態であれば……猟兵たちへ与える圧力は、その重みだけで生中な覚悟でこの場に臨んだ者へ死の恐怖を与える程であった。

「アタシにも、その大剣が当たるものかしら?」
 当たらない攻撃は無意味──、そう嘯きながらルビィは華麗に舞う。覚悟を決めた妖精は風を読んで剣の軌跡を見切ると、誘うような動きで騎士の視線を釘付けにする。
「ちょこまかと小うるさい羽虫風情が……!」
 苛立ちを募らせる騎士の引手に力が籠り、その羽根諸共に両断せんとばかりに振り下ろした太刀の攻撃をひらりと躱し。
「アンタの遅い動きじゃ、アタシのワルツには着いてこられないようね♪」
 光を纏ったフェアリーアックスで強かに騎士の右手首を打ち付ける。

 ──カラン。

 テラスのタイルに、乾いた音がして深紅の刀身が転がる。

 よくやった──。
「一瞬の刹那……」
 紫音は相棒が作り出した千載一遇の好機を逃さずに、一足飛びに雪を踏む。
 ブルルッと嘶いて軍馬が蹄を蹴りだすのを「遅いッ!」と一刀の下に弾き、飛び込むのはオブリビオンの懐深く。
「獲ったのは俺だ!」
 気合一閃。吐息の熱すら感じられる程の距離から放った【参之太刀《雲耀》】は、未だに痺れを残す右の手首と肘を切り落とす。

 両断されたその切り口からは、どろりとタールのような黒い闇が白いキャンバスに滲みを遺した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白銀・雪斗
バラ園を守る騎士か。
強敵……といった雰囲気だな。
だが、ここで負ける訳にはいかない。
油断せずに戦い、必ず勝利を掴もう。

索敵する必要があるならば素早く、だが慎重に。
使用ユーベルコードは、光の『属性攻撃』の【Arrow of Light】。
私は共に戦う猟兵が動きやすいよう、弓による『援護射撃』を行う。
光の精霊も味方してくれている、援護は任せてくれ。

出来るだけ、武器を持つ部位を狙ったり、騎士が軍馬に騎乗したら、馬の脚部を狙い、動きを阻害(『マヒ攻撃』)しよう。
その動き、阻害させて貰うぞ。

もし自分が狙われたら『見切り』で避けるか、雪盾の『盾受け』でダメージを軽減。
隙を見て『カウンター』を仕掛ける。


摩訶鉢特摩・蓮華
さーて、次の相手が押っ取り刀で駆けつけて来たみたいね。たとえどんな敵だろうと蓮華たちが必ず倒してみせる…って…えっ、何この騎士!? すっごくカッコイイかも…! ちょっと胸キュン…ってダメダメ!しっかりするの蓮華!
「みんなの為にも…絶対にあなたを倒してみせる…!」

だけど涙がでちゃう…女の子だもん(意味不明)

他の人と攻撃タイミングを合わせて、仲間とは別の方向から攻撃するよ。
「そっちにばかり気をとられてていいのかな?」

敵がフォーリングローゼスを使用して武器を手放した瞬間を見計らってブレイズフレイムをお見舞いするね。
「このピンチをチャンスに変えて! 今、必殺の…ブレイズフレイム!」


アルバ・ファルチェ
流した血が力になるというのなら、流さなきゃいいだけだよね。
…全部を抑え切るのは無理だろうけど、僕が居る限り最小限にしてみせる。

【かばう】【おびき寄せ】【挑発】で標的を僕に集中させたい。
そのあとは【盾/武器受け】【見切り】を駆使してダメージは受けないように気をつけるよ。
【第六感】や【戦闘知識】も役に立たないかな?
…役に立つよう祈るしかないか。

仲間の攻撃に有効打がでないようなら、【カウンター】からの【鎧砕き】を狙ってみるのもいいかも?
ただこれは余裕があったらだね。
僕が1番にやるべき事は『仲間の身を守る事』だからね。
それを蔑ろにして危険に晒すのは本意じゃないよ。


ヴェルベット・ガーディアナ
血のようなバラの花びらは綺麗だとさえ思ってしまうけれどそれはみんなを傷付けてしまうから…ボクはその度にみんなの傷を癒すよ。「生まれながらの光」を使うよ。


加賀宮・識
「ナニを守っているんだ? かつては騎士、だったんだろう?」

先ほどとは違い慎重に間合いをとる。あまり近づくと一撃でやられてしまいそうだ。

タイミングを見計らい、周りに注意を促してから【巫覡載霊の舞】を放つ。

敵からの攻撃は軽減されているとはいえ、衝撃波を放ちながら避け隙あらば【鎧砕き】も打ち込む。

「どんないかなる理由があろうとも、容赦はしない」



「流した血の一滴がバラの糧となるならば……僕がそれを堰き止めてみせる」
 アルバがその手に掲げた白銀の盾が、雪を照り返して輝く。それは翼のように軽く、全てを包み込む慈愛の十字架となって猟兵たちを護る大いなる力となる。

「──ッ!!」
 もはや痛みからか声を出す事すら侭ならぬ様子のオブリビオンの騎士は、切り落とされた腕の断面を闇で塗り固めて三度、立ち上がる。利き手は断たれ、自慢の長剣は彼方へ投げ出されている。だが、満身創痍の身でありながら尚、その戦意は折れることなく切っ先を猟兵たちへ向けていた。

「我が血もその全てを糧として……貴様らを、殺す」
 そう絞り出した騎士の左手には、刃渡り20センチに満たない程のナイフが一本。
 その刀身に血の汚泥が纏わりつくと、刃は全ての光を喰らいつくす花弁となってアルバを襲う。

「先ず【ブラッドサッカー】の贄になるのはお前か」
 猟兵たちを庇うように前に出たアルバへ異端の騎士が視線を向けると、黒薔薇は三筋の竜巻となって彼を襲う。触れるもの全てを切り刻む花の乱舞と、馬の蹄、そして黒き騎士の突撃。その全てが白き騎士に牙を剥く。
(……そうだ、僕を狙ってくるといい。その全てを防ぎきってみせる)
 アルバは攻撃の矛先が自身に向いたことを確認すると、刹那の間合いで攻撃を見切り、あるいは受けながら立ち位置を変えて回り込めば味方と合わせて黒騎士らを挟み込むような形に移動する。

「いつまでも、避け切れるとは思うなッ!」
 異端の騎士は地に倒れ伏した闇の獣らの血を吸い上げると、それもまた花びらと変えてアルバへ襲い掛かる。
「さすがにっ──オブリビオンだけあってやるものだね」
 身をよじって致命傷を避けたアルバではあったが、頬にはぱっくりと傷が華を咲かせていた。

 開いた傷から血の一滴がうっすらと滲み、溢れる──はずだった。

「光の精霊よ、力を貸してくれ!」
 畳みかけるように傷を負ったアルバへ蹄を繰り出す軍馬の、その機先を制して放たれた一本の矢がその太腿を貫く。それは雪斗が狙いすました【Arrow of Light】による一矢であった。
「さすがにこのバラ園を守る騎士だけあって、強敵だな」
 ──だが、だからと言ってここで負けるわけにもいかない。その決意は瞳の奥に凛と輝いていた。それはあるいは、自然の理から外れ生者の生き血を啜るバラに対する彼女なりの怒りだったのかもしれない。

「まずは左脚。次は……右だ」
 すぅっと目を細めて光の矢が軍馬の足を留めたことを確認すると、ダメ押しとばかりに光条が次々と馬を貫いていく。瞬きにも満たぬ刹那に放たれた矢の雨は、漆黒の軍馬の肉を穿ち、鮮血を散らす。それはまた、同時に光輝く柵となって黒騎士からアルバを隔てる護りとなるのだった。

「エルフ風情が小癪な真似を……」
 行く手を阻む矢ぶすまを薙ぎ払いながら、オブリビオンは雪斗を睨みつける。


「バラがみんなを傷つけるなら、ボクはその度にそれを癒してみせるよ」
 雪斗が放った矢がオブリビオンらを釘付けにした隙を見計らって、ヴェルベットがアルバへと駆け寄る。祈りと共に彼女が放った【生まれながらの光】が、時計を逆回しに回したかのようにアルバの傷を瞬時に癒していく。聖なる業に包まれた傷は瞬く間に塞がり、滲んだ血は、もう、その痕跡を残していない。

「よしっ、アルバさん。もう大丈夫だよ」
 奇蹟を起こした代償からか少し青ざめた顔で、しっかりと意思の光を宿してヴェルベットはアルバへ笑いかける。それは、ダークセイヴァーを覆う闇を打ち払いたいと願う彼女の心からの優しさの表れだった。

「どんなにバラが綺麗だといっても、やっぱり人を傷つけるような……そんなものをボクは許すことが出来ないんだよ」
 だから、一緒にあの敵を打ち倒そう──。
 そう呼びかけて彼女は猟兵たちを勇気づける。


「そこまでして、ナニを守っているんだ?かつては……あなたも騎士だったのだろう?」
 馬は倒れ、バラの花弁も萎れてみすぼらしくくすんだ様に勢いを失っていく。それでもまだ立ち上がる異端の騎士を見つめながら、識は頭をよぎった疑念を口に出す。

 その言の葉を聞きとがめ、異端の騎士は識に嘲るように返す。
「痴れたことを。我は今も昔も騎士の誇りを捨ててはいない。主君に仕えること、そして主君の為に力を奮うことこそが騎士の誉れではないか」
 ──そして、自らの主君は『あの方』であると言外に匂わせて。
「なればこそ、貴様らをここで帰しては此処を任された御心に背くことになる」

 脚を衝いて倒れた軍馬を送り還すと、その生命を自らに取り込んでオブリビオンは活力を取り戻す。見れば、先ほど切り落とされたはずの右腕は、漆黒の闇に覆われて異形の腕と化している。

「……そうか」
 それならば、容赦はしない──。
 闇に堕ちた騎士の歪んだ覚悟を理解して、識もまた覚悟を決める。

(あれほどの攻撃を受けて尚、ここに来て更に力が増しているように思えるな。油断すると一撃でこちらがやられてしまいそうだ)
 慎重に敵の様子を見定めると、識は【巫覡載霊の舞】を放つ。それは神霊体へとその身を換え、遠距離から薙刀での躍るような斬撃を繰り出す攻防一体の業。
 命を削って繰り出す彼女の奥義は、死力を振り絞るオブリビオンの鎧を一枚、また一枚と剥ぎ取っていく。さながら二つの命の協奏曲にも似た調べは、力と力がぶつかり合う衝撃を伴奏に続いていく。


 はふ、と息を呑んで蓮華は嘆息した。
「なに……この騎士。すごく……カッコいい、かも!?」
 歪にねじ曲がった矜持とはいえ、死を賭して戦う騎士の姿に彼女は感動を覚えていた。それはこの場においては些か緊張感が無いものであったかもしれないが、心を偽ることを知らない蓮華にとっては素直な本心。
 そこには憧れにも似た恋心すら、あったかも知れない。
(だけど……涙が出ちゃう。女の子だもん)
 猟兵とオブリビオンは相いれないもの。その運命を悲恋に擬えて、彼女は心の中で涙する。恋した相手をこの手で討たなければならない。
 それもまた、猟兵としての宿命。

(だから、今。私のこの手で)
「このピンチをチャンスに変えて……」

 ザッと雪を散らして、オブリビオンが猟兵たちから距離を取る。
「この身全てを徒花と変えて……」

「今、必殺の……」
「今ここで、貴様らを……」

「ブレイズフレイム!」
「フォーリングローゼス!」

 爆音と共に、周囲一帯が白く雪を舞いあげて視界を閉ざす。その中で、一つの影が天高く飛び上がる。互いに大技を放って相手を見失い、動きが止まるその一瞬。

「蓮華ちゃん、クラーッシュ!!」
 それを先読みして跳躍した蓮華の、重力を乗せた渾身の一撃が異端の騎士を、今度こそ叩き潰した。

 パキリ、と乾いた音がして、漆黒の鎧が粉々に砕ける。その奥には人の肉は無く、力を失った呪詛にも似た意思の残滓がサラサラと灰になって舞い散ってゆく。
 『紅蓮の薔薇園』を支配するヴァンパイアの使徒は、猟兵たちの活躍によってここに討たれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『紅蓮の薔薇園』

POW   :    薔薇を刈り尽くす、置き物を破壊する。

SPD   :    薔薇園を駆け抜ける、騒音を出す。

WIZ   :    薔薇を燃やし尽くす、派手な魔法を使う。

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

摩訶鉢特摩・蓮華
他の人が言ってたように、バラには何の罪もないと思う。彼らはただ一生懸命に生きて、そして咲いているだけ…でもだからと言って水代わりに人の血を使ってバラを咲かせようなんて非道な行いを許すわけにはいかないの。これはバラ園の主に対する蓮華たちからの明確な拒絶の意志!だから―
「この庭園のバラ全て…燃やすよ」

ブレイズフレイムを使用してバラ園のありとあらゆるものを全て焼き払う。


白銀・雪斗
バラに生き血を与えたのはヴァンパイア。
このバラも、好きで魔性の花になった訳では無いのかもしれないな。
……この花たちに罪は無くとも、残してはおけない。
(深紅の花弁を一撫でし)眠って貰うぞ。

(傍らに飛ぶワシミミズクの《凪》を杖に変化させ)
これ以上、領民の血がバラの糧になるのは許さない。
火の精霊よ――全てを焼き尽くす炎の嵐を此処に具現せよ!
【エレメンタル・ファンタジア】で炎による『属性攻撃』の嵐を起こし、『範囲攻撃』で纏めて燃やしてしまおう。
術の行使中は、暴走しないようにしっかり集中。
一輪たりとも残しはしない……!


加賀宮・識
薔薇には罪は無く、ただ咲いていただけだと言われても…それでもこの薔薇達を残す訳にはいかない。

【WIZ】

先の宣言通りに何も残らないように、燃やしてしまおう。

園を破壊している仲間達がいるなら、その様子を確認しながら
手の甲から肘まで一気に傷をつけ【ブレイズフレイム】を放つ。

跡形もなく燃やそう。
この場所が焔で浄化できる事を祈りながら。


ネラ・イッルジオーネ
花は綺麗ですが、気味の悪い薔薇は燃やします。

敵に見つかりづらい場所から『全力魔法』でユーベルコード『ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア』を唱えて、火と風属性を使って、薔薇園を燃やしつつ、一緒に放った風属性でその炎を広げます。

派手に燃やし尽せば、敵側も何か動いてくると思いますね。


アルバ・ファルチェ
この薔薇園を潰せばあとは終わり、なんだよね。

じゃあ狼姿で走り回ろうか。
走りながら薔薇を前足で、後ろ足で、口で花を散らす。

ユーベルコードは周りに人が居ると危ないから1人の時にだけ、ね。

この薔薇も、全て誰かの犠牲の上に咲いてるんだよね…。
散り行く花は、魂の欠片なのかな…儚くて、綺麗で、哀しい……。
ごめんね、僕には何も出来ないけど、せめて魂の安らぎを願うから……【祈り】を込めて天に遠吠えを。

二度と、こんな事は繰り返させない。
いつかこんな事を仕出かしたヴァンパイア本人も、どうにかする事が出来たらいいんだけど、ね。

ヴァンパイアに相対すれば…その時は【覚悟】を決めてかからなきゃ、ね…。


ヴェルベット・ガーディアナ
この花園もこれでおしまい。
今度は誰からも愛でられる花におなり。
薔薇の為に犠牲になった人は安らかな眠りを…そして新たな生には幸せがありますように…。
ボクからのせめてもの餞だよ。
【輪廻に導く光】



●花に罪は無かれども
 『異端の騎士』が倒れた今、薔薇園は静寂に包まれていた。
 いつしか降り始めた雪が、激闘の痕を白く塗りつぶしていく。闘いのあとの上気した身体をきりきりと包む寒風の寒さに少し震えながら、猟兵たちは話し合う。

「これで終わったのですか?」
「うん、そうだな。後は薔薇園をきれいに燃やし尽くしたら、それで任務も完了だ」
 ネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)がどこか実感の無い様子で呟くと、雪斗はそれに応えてほっと息を吐く。安堵した表情の雪斗に対し、ネラは淡々と、少し冷めたようにも見える微笑みを返す。
「そうですか。それなら、少し休んだら作業をしましょう。この薔薇は気味が悪いです」
 神の器として受けたネラは、感情を顔に出すのがあまり得意ではない。だが、自身の髪を彩る黒薔薇の髪飾りと眼前の深紅の薔薇を見比べた時に、やはりその朱に心穏やかならぬものを感じて顔をしかめる。そんな複雑な表情のネラを横眼に見て、雪斗は心配げに眉根を寄せるのであった。

「呪われた花園も、これでおしまいだよ」
 ヴェルベットも傷ついた猟兵たちを癒しながら想いを吐露する。肩に積もる雪を払いながら白く曇る息を手のひらに当て、「早く帰って温かいスープが飲みたいな」と彼女は零す。そんなヴェルベットを、あとひと踏ん張り、頑張ってしまおう──と隣に立つ識が元気づける。
「罪もない薔薇はただ咲いていただけと言われても……やっぱりこの薔薇園は残しておくわけにはいかないな」
 だから、跡形もなくキレイに燃やし尽くしてしまおう。識は改めて決意する。

「みんなの言う通り、このバラには罪は無いよ。彼らは彼らなりに、ただ一生懸命に生きて──そしてその命を咲かせているだけ」
 許せないのはその命を咲かせるために、水代わりに人の血を使うような……そんな非道な行いそのもの。それと、それをさせたこのバラ園の主だよ──!
 想いのままに心の内をさらけ出すと、感極まったのか蓮華は腕をぶんぶんと振って行き場のない怒りを発散させる。

(この散りゆくバラの花もまた、誰かの魂の欠片なのかな……)
 アルバは薔薇園を駆けながら一人想う。
 前脚で、後ろ脚で、牙で。花弁を吹雪と舞わせながら、薔薇園を彩る為の犠牲となった顔も知らない誰かを悼む。その命の儚さに想いを馳せる時、チクリと棘が刺さったような痛みが彼の心に血の球を浮き上がらせる。
 アルバがバラ園をぐるりと駆けて周囲を確認するも、辺りには動物の気配一つ見えなかった。余りにたくさんの死に彩られ、この場に息づく生命の息吹は呪われた薔薇だけ。闇の眷属たる獣たちや異端の騎士は、いつの間にか塵へと化したようだった。
 黒く地面に陰を残す面影のみを見て一帯の安全を確認すると、猟兵たちは手分けしてバラ園を燃やし尽くす手筈を整える。

●白煙一条たなびいて
 ヴェルベット、識、アルバは庭師小屋を中心に外周の垣根を焼き払っていく。アルバが手折って集めた枝葉を中心に、ヴェルベットと識が自身のユーベルコ―ドで火を放つ。

「この地に斃れし全ての命に──」

「──この光が死を超えて」

「──行く手を照らす暁の星となり」

「──この焔が全てを浄化する赦しとなり」

「──魂に安息をもたらす癒しとなり」

「やがて、輪廻に導かんことを──」

 三人の声は自然と重なり合って祈りとなり、バチバチと生木の爆ぜる音と共にいつまでも、いつまでも音の無い雪原に吸い込まれていく。天高く真っすぐに伸びる白い煙は、墓標のように遥か彼方からでも目にすることができた。

●全て灰塵と帰す
 蓮華とネラ、雪斗もまた薔薇園のテラスに立って居た。周囲のぐるりを囲う垣根に煙が上がり始めたのを合図に、彼らもまた主もなく咲く花々を無に帰すためにその力を解放する。

「蓮華はこの血に懸けて魔性のバラを否定する──!」
 腕を裂いて噴き出す真紅の鮮血が淡く桃色に色づいた花弁の縁を染めると、やがてメラメラと炎を上げる。彼女の内心を代弁するかのように蓮華の腕から滴る血の一滴いってきが薔薇の垣根を朱色に塗りつぶし、存在そのものを拒絶する紅蓮の業火となって周囲を焼き尽くす。
 明々と燃え上がる焔は、蓮華自身の命を削って燃え上がる生命の鼓動でもあった。

「このバラも、好きで魔性の花と呼ばれるようになった訳でも無いのかもしれないけど」
 ──それでも、罪が無いと言ってこの場所を遺しておく訳にはいかない。
 だからせめて未練なくこの手で消し去ろうと胸に決意を秘め、雪斗は何も知らずに咲き誇るバラの花弁をひと撫でして「おやすみ」と語り掛ける。
 風の精霊よ……と呼びかける声に応えて、雪斗の頭上を旋回していたワシミミズクの『凪』が彼女の肩に留まり、光り輝けばその手の中に一本の杖として収まる。手にした杖をぎゅっと握りしめると、雪斗はゆっくりと歌うように詠唱を始める。
「──火の精霊よ、全てを焼き尽くす炎の嵐を此処に具現せよ!」
 力ある彼女の言葉に応えて巻き起こった焔の渦は、風の力を受け一層激しく燃え盛る。

「黒き幻想の名において、『来世ニ導ク光』『終焉ヲ迎エル影』の現身として今ここに裁きを下す」
 ネラが手にした長杖『ラプソディ・デッラ・ルーナ』に魔力を籠め、清らに詠唱を始めると金に眩く光るその輝きに白銀の粒子が舞う。
「天翔ける奇蹟。集いて満ちるは栄光の槍。邪悪な魂に渾沌の審判を」
 粉雪のように舞う魔力の欠片は彼女の意のままに光を増すと、やがて無数の炎の槍となって蔓薔薇へ降り注ぐ。墓標の様に突き立つ炎が弾けると、周囲一面が火の海となって悪しきバラを浄化する。
「ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア」
 静かにネラが詠唱を終えると、一陣の風がびゅうと吹き降ろして炎を舐めるように広げていった。

●それは新しい命の為に
 ──アオオオォォォーン……。

 アルバが、追悼の鐘の音にもにた余韻を残して天に吼えた。
 それは、庭園の下に眠る無数の死者を悼んで。

 ぶすぶすと、わずかな煙を残して灰がちになった庭園は鼠色した絨毯を敷き詰めたようで、この地に魔性の薔薇が咲き誇る庭園があったとはとても見て取れぬ様相であった。

 ォォォォン──。
 遠い山に遠吠えが木魂すれば、ヴェルベットを始め猟兵たちも自然と手を組み、十字を切って犠牲となった者たちの霊へ祈りを捧げる。

 やがて煙もぶすんと立ち消えて辺りに静寂が戻ると、猟兵たちは顔を上げ、各々が世界へ帰還の路へ就く。

 熱で溶けた雪の下には、春を待ってほころび掛ける、種。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月19日


挿絵イラスト