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カップル破局の危機? エクストリームデート!

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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「何がSNS映えする景色よ。もうやだ、上りたくない」
「お、俺もこんなキツいと思わなかったんだよ」
「ちょっと考えればわかるでしょ!」
「お前だって賛成したくせに!」
 ――ある者は高層ビルの外階段で。

「足痛い~!」
「つ、疲れた……」
「何でこのコース選んだのよ!」
「人に任せといて何だよその言い草!」
 ――ある者はロードバイクに乗って。

「無理、もう食えない」
「もうちょっとぐらい頑張りなさいよ、情けない」
「は? お前が挑戦してみたいって言ったんだろ?」
 ――ある者はラーメンの丼を前にして。

 キマイラフューチャーのとある街のそこかしこで、恋人たちの痴話喧嘩が勃発していた。その様子を見て、怪人は笑う。
「そうだそうだ、喧嘩しろ。恋人なんかにうつつを抜かさず、自分を磨き上げろ!」


「変な動画がね、恋人たちの間で話題になっちゃったみたい」
 少し困ったような声音で、カー・ウォーターメロンは話し始めた。
「カップル向けにね、『絶景スポット』って高層ビルの非常階段を紹介したり、『爽やかにサイクリング』って過酷なロードレースのコースを紹介したり、『仲良くシェアするランチ』って十人前ラーメンが出てくる屋台を紹介したりしてるんだ」
 普通に考えれば流行りそうもないデートコースだが、それらを「エクストリームデート」と称し、二人で困難を乗り越える事でより絆が深まるなどと謳っているという。
「でもこんなデートで満足出来る人なんて、ほとんどいないよね」
 結果としてカップルの喧嘩が増えている。くだらない内容だけに直に収束しそうなものだが、自分達は大丈夫だろう、とまるで絆を試すように挑戦してしまう者が多いようだ。
「まずはこのブームにストップをかけて。やり方は任せるけど、こんなデートは面白くないぞー! って証明してみるとか、もっとお洒落なデートを提案するとか、実際にこんなデートをしようとしてるキマイラを説得してやめさせるとか。どうにかエクストリームデートへの関心を削ぐ事が出来れば、変な動画を作った怪人達が姿を現すはずなんだよ」
 黒幕に協力する売れ残ったクリスマスのケーキ怪人は、とにかく数が多い。個々の戦闘力は低いが、動きを阻害したり、離れた対象を攻撃する手段を持つ為、少々厄介だ。
「でね、黒幕はアルパカマッスルっていうすごく頑丈な怪人だよ」
 妙なデートを提案し、恋人達が喧嘩するよう画策している。肉体を鍛え上げる事こそが至高と信じており、さりげなく筋肉が付きそうなデートが混じっているのは彼の趣味だ。
「こんな事で恋人達を別れさせた所で、筋肉に興味を持ってくれるわけでもないし何がしたいのかなー。なんていうかこの怪人、モテなさそうだね!」
 無邪気に笑い、カーはぺこりと頭を下げる。
「そんなわけで、キマイラの人たちが仲良く過ごせるよう、怪人をやっつけてきてね!」


宮下さつき
 宮下です。今年もよろしくお願い致します。
 こちらは怪人達が起こしたブームを阻止し、怪人を撃退するシナリオとなります。

●世界
「キマイラフューチャー」です。
 動画配信の際は自身で撮影する以外に、(危険な状況でなければ)周囲のキマイラに協力を仰ぐ事も可能です。
 猟兵の活躍を配信出来るとなれば喜んで手伝ってくれるでしょう。

●共闘について
 お友達と一緒の描写を希望の際は、お相手の名前かグループ名をご記入下さい。
 特定のお友達と一緒でなくてもまとめて判定・描写する事が可能ですので、支援特化猟兵さんも遠慮なくご参加ください。
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第1章 冒険 『危険なエクストリームスポーツ』

POW   :    危険なスポーツを容易くこなし、つまらない競技であると主張する

SPD   :    よりエキサイティングな、新たなブームを提案する

WIZ   :    危険性を説き、キマイラ達の目を覚まさせる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

毒島・火煉
【SPD】
人気者にならなくても、デートってこういうものってのを教えてあげなきゃね!
初動画、撮っちゃうよ!

「はーい!はじめまして!猟兵のカレンちゃんです!今回はカレンちゃんがサイコーなデートコースを紹介しちゃうよ!」

カップルに協力してもらってカレンちゃん考案デートを体験してもらって感想を聞くの!

「2人で困難を超えるのって確かに大事。でも2人で一緒に居られる時間を大切に出来なきゃデートじゃないし、恋人同士じゃないよね!エクストリームデート?そんな馬鹿馬鹿しいデートしてる暇があったら、2人の思い出増やそうよ!」

と視聴者達に呼び掛けながら怪人たちを挑発するよ。動画なら怪人たちもチェックするはずだし!



「ねえ、ここじゃない? あの動画の階段」
「お、じゃあ早速――」
 三十階以上はあるだろうか。周囲の建物よりひと際高く、素晴らしい景色が臨めるに違いないと、一組のカップルが手摺りに手を掛けたその時、
「はーい、はじめまして! 猟兵のカレンちゃんです!」
 鮮やかな梅重色の髪を揺らし、毒島・火煉が二人の気を引いた。動画配信は初めてだと言うが、持ち前のテンションの高さが活かされている。
「今回はカレンちゃんがサイコーなデートコースを紹介しちゃうよ!」
 丁度良い所にカップルが! と二人を誘えば、今上がろうとしていた階段の事はどこへやら、火煉の元へと歩み寄る。
「え、猟兵?」
「私達で良いの? 喜んで!」
「じゃあ早速行くよー!」
 あっさりと撮影への協力を協力を取り付けた火煉が向かった先は、電波塔の展望台。エレベーターのガラス窓から外を見やれば、先程の高層ビルが視界に入った。
「ちょっと寒そう、だね」
 離れた所から客観的に見れば、風を遮る建物が無い外階段は、いやに寒そうに見えた。恐らく金属製の手摺りも冷え切っているだろう。
 その後も火煉は、ロードレースでなく公園の並木道を散歩し、大盛りラーメンでなくお洒落なカフェに案内し、若者たちに人気のスポットを回るという極々普通のデートコースを提案し続けた。
「……で、どうだった?」
 普段と違うものを、刺激を求める彼らには物足りないかもしれない。だが、彼女は確信めいた笑みを浮かべる。
「なんか、普通に楽しかったなー。無理しなくても絶景だったし」
「私も、子供の頃に行った事のある場所なのに楽しかった。そういえば彼と一緒に来たのは初めてだったかな? 彼と居たから、新鮮だったのかも!」
 欲しい回答を得られた火煉は、カメラに笑顔を向けた。
「二人で困難を超えるのって確かに大事。でも二人で一緒に居られる時間を大切に出来なきゃデートじゃないし、恋人同士じゃないよね!」
 階段を上る事に費やすより、自転車を漕ぐ事に必死になるより、多過ぎる食事を無言で平らげる事よりも、二人の時間を楽しむ余裕を、と視聴者へ訴えかけた。
「エクストリームデート? そんな馬鹿馬鹿しいデートしてる暇があったら、二人の思い出増やそうよ!」
 正論である。これで思いとどまるカップルも多い事だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

神羅・アマミ
い…いかん!咎なき人々を守護する盾として、妾が身をもってエクストリームデートなどという危険行為を止めさせねば!

「えー、今日はぁー、話題のデートスポットを紹介してみようと思いますゥー、ウェヒ!」
色んな意味で危ない雰囲気から始まる配信動画!
死なない程度の高所から落下するアマミ!
ロードバイクで死なない程度の大事故を起こすアマミ!
電流爆破リングで死なない程度の大爆発を起こすアマミ!
だが、コード『緞帳』によりピンチになればなるほど彼女は最強に強まり、その歩みを止めることはない!

素人感丸出しな動画の質感も加わり「え…これヤバくない?」とショッキング映像100連発なノリから住民がドン引きしてくれたら御の字。



(「妾が身をもってエクストリームデートなどという危険行為を止めさせねば!」)
 咎無き人々を守護する盾を自称する神羅・アマミは唐紅の瞳に決意を燃やし、高層ビルを見上げた。
「えー、今日はぁー、話題のデートスポットを紹介してみようと思いますゥー、ウェヒ!」
 ここが話題のスポットらしい、と足を止める通行人も少なくなかったが、アマミがいつになく媚びた声色で話しながら階段を上がり始めると、キマイラ達は配信の邪魔をしないようにと道をあける。
「階段と言ってもあくまでも非常用ですからねぇー、金属製ですし、雨上がりは滑り易いので気をつっ」
 ――カンカンッガッ、カカカッ、ガン!
 彼女の動画は徐々に拓けてゆく景色が突如反転、回転し、激しい音と共に暗転した。うっかりカメラを転がしてしまっただけならばともかく、ちらちらとフレームインする着物や微かな鈴の音は、どう考えても彼女も一緒に階段を転げ落ちている。余談だが、ここ数日雨は降っていない。
 視聴者達が彼女の安否に不安を覚え始めた頃、配信が再開された。
「えー、次はこちら。ロードレースで人気のコースですゥ」
 アマミは何事も無かったかのようにロードバイクを走らせる。紅葉した木々の合間で髪を靡かせる少女の姿は美しく、見ている者を――
 ガシャァアアンッ!
 ――瞬時に、困惑させた。放送事故というか、本当に事故である。
 敢えて不利な行動を取る事で強化されるユーベルコードが理由の一つではあるのだが、彼女はその後も電流爆破リングで爆発を起こす等、デートなのかデスマッチなのかわからない紹介を続け、視聴者をパニックに陥れるのだった。少なくとも、これでエクストリームデートに良い印象を持った者は居ないだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨霧・結
エクストリームデート体験中の人にインタビュー、感想を動画にし配信
実際の体験者の声なら説得力あるし…カップルの仲裁、救出してあげたい
配信初めてですけど…26歳男子、結、頑張りまーす!

高層ビルの外階段、一度登り始めて疲れちゃうと大変!助けにいくわ!
窓清掃ゴンドラをお借りして、非常階段上がる疲れたカップルを救出
ゴンドラで上に上がりつつ、感想をインタビュー
大変、険悪になりそうだった等のワードを上手く聞きだす
ビルの頂上で、景色満喫して頂いたらエレベータで下りて頂く

「エクストリームデート、どうやらカップルが険悪になってしまう
危険なデートのようです…ラブラブカップルは行かないで頂戴ね?
以上、結でした!」



「下、騒がしくね?」
「喧嘩でもしてるんじゃない? 誰かさんみたいに上ろうって言ったヤツのせいで」
「はぁ? まんざらでもなかったクセに俺のせいかよ」
 写真撮影の為に携帯端末を操作しやすいよう、指出し手袋だったのが仇になった。冷えた指先を吐く息で温めながら階段を上る二人のムードは酷いものだ。
「配信初めてですけど……二十六歳男子、結、頑張りまーす!」
 恋人達のやり取りを知ってか知らずか、雨霧・結は階段を上る最中のカップルを目ざとく見つけ、ビルへと入る。
「高層ビルの外階段、一度登り始めて疲れちゃうと大変。助けにいくわ!」
 既に半分以上上ってしまった彼らは、今更下りるのも辛いだろう。非常階段の各階にある扉というのは基本的に防犯上、内側からしか開かない為、リタイアする事も出来ない。とはいえ、カップルの正確な位置がわからなければ、ビル内からの手助けは不可能だ。
 結は真っ直ぐ屋上に向かうと、清掃用ゴンドラを操作した。するすると二人を目指して降下する。
「こんにちは! 今、カップルに話題の絶景スポットの取材中なんですが――」
 ご一緒にいかがかしら、と声を掛ければ、二人は渡りに船と喜んだ。
「是非とも感想を伺いたいのですが、いかがでした?」
「ええー、最悪ですよぉ。風は強いし指はかじかむし、何この苦行って感じー」
「……悪かったよ」
 愚痴しか出てこない女性の隣で、恋人の男性はばつが悪そうにそっぽを向く。
「あら、これは不評だったという事でしょうか……?」
 恐る恐るといった態で結が尋ねると、決壊したように不満が噴出した。
「それはもう! 提案した彼氏にキレそうでしたもん!」
「二人で困難を乗り越え、なんて言葉に踊らされちまったっていうか。わざわざ自分達で困難に突っ込む必要無かったっすよね」
 そんなやり取りをいくつかした後、屋上に着いたカップルは見晴らしの良さを堪能した後、エレベーターで帰っていった。彼らを見送り、結は神妙な面持ちでカメラに向かう。
「エクストリームデート、どうやらカップルが険悪になってしまう危険なデートのようです……、ラブラブカップルは行かないで頂戴ね? 以上、結でした!」
 この配信は体験者の生々しい感想が話題となり、怪人達が投稿した動画への批判を生み始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
危険なスポーツをたやすくこなしでつまらないと主張する道で行くのだ。

で。
ラーメン十人前に挑戦してみるのだ。
これをひとりでたいらげて、こんなものをふたりでシェアとか少なすぎるとおおいに主張してみるのだ。

……
多くね?食べてるうちにのびない?
つーかわたしは人から常識ないとよく言われるが、そんなわたしでも、十人前をふたりで分けても5人前で、5人前をひとりで食べたら死ぬってさすがにわかるのだ。その倍なのだ。

だがわたしにも変態としての根性、プライドがある!
なんとしても平然と食べ切り、こんなのはつまらないことだと主張してやるのだ!

実食前にスーパー変態人発動させれば少しはマシになるか?

たぶん終了後画面外で死ぬ。


グロリア・グルッグ
旅団【鬼神軍】の仲間と連携します

SPD行動

「ハイクオリティな動画を撮ってエクストリームデートとかいうブームを終わらせてやりましょう」

私は電脳魔術士なのでそういう動画をより綺麗に撮って完成度を高める方向で行きたいと思います。
カレンちゃんがカップルの取材許可を取り付けてくれたらその方達を自然な感じで、かつドキュメンタリー風に撮影しましょう。
二人の時間を大切にするのはとても大事ですからね。

「ブームを起こすには繰り返し動画を投稿するのも有効なんですよね。いい感じのデート動画を沢山撮って、こっちをメジャーにしちゃいましょう!」

ついでにしれっと怪人の動画に低評価を付けまくっておきます。電脳ハッカーなので。


毒島・火煉
【グロリア・グルッグと参加】なんとお友達のりあっちがカレンちゃんの動画撮影してくれるっぽいので、もう一本撮っちゃうよ!
次のデートプランは王道テーマパーク系デート!電車、車での道のりからテーマパークの回り方、果ては夜の帰り際までを別のカップルに手伝って貰って案内しちゃいます!

あ、ついでにお洋服のコーデポイントとかもやっちゃうかも!デートだし、可愛い服やかっこいい服も重要なポイントのはず!
エクストリームデートの服装ってどうしても限定してくるから、やっぱりある程度気を使わないとクソダサいもんね!

さ、いい感じの演出、期待してるよん!りあっち!



「ラーメン十人前に挑戦してみるのだ。ひとりでたいらげて、こんなものをふたりでシェアとか少なすぎるとおおいに主張してみるのだ」
 街並みに似つかわしくない古風なリヤカーを模した屋台はそういったコンセプトなのだろうかと独り言ち、大豪傑・麗刃は席についてコンコンと小突いた。
「……多くね?」
 現れたのは、バケツを通り越してタライのようなサイズ感のラーメン。屋台の小さなテーブルを独り占めである。彼は、悟りを開いたかのような表情で呟いた。
「人から常識ないとよく言われるが、そんなわたしでも、これはわかるのだ」
 食べきったら死ぬ、と。

「ハイクオリティな動画を撮って、エクストリームデートとかいうブームを終わらせてやりましょう」
 そう意気込むグロリア・グルッグは電脳魔術士。日々研鑽を積む彼女には、動画の編集など朝飯前である。
「協力してくれる子、見つけたよ!」
 毒島・火煉は先程とは別のカップルに協力を仰ぎ、今回の企画の説明を行っている。行先はテーマパークと王道だが、移動から回り方、帰り際まで盛り沢山のプランだ。
「二人とも流行りを取り入れつつしっかり防寒対策してるところがポイント高いね! テーマパーク行くにしても、アトラクションの待ち時間を考えるとここ重要。エクストリームデートの服装ってどうしても限定してくるから、やっぱりある程度気を使わないとクソダサいもんね!」
 コーデポイントを語りつつ、さりげなくエクストリームデートの欠点を指摘するのは忘れない。すかさずグロリアはデート動画撮影の傍ら、火煉のコーデ講座といった映像を作り上げていく。
「ブームを起こすには繰り返し動画を投稿するのも有効なんですよね」
「いい感じの演出、期待してるよん、りあっち!」
 こうして怪人に対抗すべく、密着取材が始まった。

 熱々の湯気に鶏ガラスープの香りが漂う。それなのに食欲が減退するのは、やはり視覚的な面がよろしくない。
「だがわたしにも変態としての根性、プライドがある!」
 麗刃の艶やかな黒髪が逆立ち、全身が眩い光に包まれる。フードファイトも一種の戦いだと思えば、戦闘力を増強する技は有効なのかもしれない。咀嚼力や嚥下力でのごり押しである。
「……いやでもこれ、のびてね? 減ってる気がしないのだが?」

「あ、そっちじゃなくてこっちの車両で」
 火煉がモノレールに乗り込もうとするカップルをいざなったのは、ハート型の吊り革が並ぶ車両。とあるキマイラのアート作品らしいが、グロリアは構図に拘りながら、二人がはにかみながら吊り革を掴む様子を映画のワンシーンのように仕立ててゆく。ちょっとした特別感があるだけで、交通手段すらイベントになるのだ。
「あれ?」
 駅を出た火煉は、駅前の屋台で所属する旅団の団長である麗刃が特大ラーメンをすする様子が目に留まった。
「あちらも任務中のようですし」
 邪魔をしないようにと気遣うグロリアに促され、一行はテーマパークへと向かう。彼の孤独な戦いはまだ先が長そうだ。
 テーマパークに入場してからは、時折火煉が効率的な回り方や恋人向けのスポットをレクチャーするものの、カップルとはやや距離を置いて撮影をしている。
「二人の時間を大切にするのはとても大事ですからね」
「こっちがメジャーになるとイイね!」
 自然体の二人を撮影し、目指すのはドキュメンタリー風の仕上がり。寒空の下、手渡される温かい飲み物。冷たい風から庇うように風上に立つ男性。相手を思いやる小さな気遣いは、エクストリームデートの中では見られなかった光景だ。
 撮影は日が落ちるまで続き、イルミネーションの中を歩き、満足そうに笑い合いながら帰路へ着く恋人達の姿で締めくくられた。
 この動画は大きな反響を呼び、デートのバイブル的な扱いで拡散されてゆくのだった。
 更に、駅に向かう恋人達の背景に、屋台に突っ伏した男性――屍と化した麗刃だ――が映り込んでいた為か、同時期に投稿された彼の動画も脚光を浴びた事で、エクストリームデートの危険性を訴える者が多く見られるようになる。
 これらの猟兵達の動画によって、怪人達のブームは終わりを告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『売れ残ったクリスマスのケーキ怪人』

POW   :    恨みのローソク
【ケーキの飾りのロウソク 】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ふかふかボディ
自身の肉体を【スポンジケーキ 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    生クリームブラスト
【両掌 】から【生クリーム】を放ち、【ベトベト感】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「せっかく別れさせる事が出来ると思ったのにぃ……」
 目にいっぱい涙を浮かべ、箱からケーキが顔を出した。
「クリスマスは! 恋人達のお祭りじゃないのに!」
 サンタの飾りが載ったホールケーキは、いわゆる『ファミリー向け』である。
「デートなんてして家族と過ごさないから、ぼくたちが売れ残るのにぃー!」
 テーマパークの周囲に、売れ残ったクリスマスのケーキ怪人達が集まり始めていた。
雨霧・結
…ああ、泣いちゃってる……倒さねばならぬ敵とはいえ可愛そうだわ…

そうね!クリスマスは恋人たちへのお祭りじゃないわ…皆のお祭りよ
ホールケーキは『ファミリー向け』とか、そんなまさか…
私!1人でホールケーキ食べちゃいますし!クリスマス独りでしたし!
(…あれ、なんか悲しくなってきた……)
ほらっ、皆纏めて私が食べてあげるから、泣かないで!

なぎなたで自身の指を傷つけ【ブラッド・ガイスト】で、
どす黒い刃に変容させズバズバ斬る。【なぎ払い】も利用しズバズバ斬る
で、切った傍から食べる

賞味期限?知らないわ。貴方達が泣き止むなら食べる!食べたげる!
最後にまるまるした狼が転がってる…かもしれないけど…!

アドリブ超歓迎



「こうなったら力尽くで別れさせてやるぅー!」
 クリームがたっぷりの頭部をひょっこり覗かせ、半額シールの貼られた箱に入ったままぴょこぴょこと跳ねる売れ残ったクリスマスのケーキ怪人達が向かう先は、恋人達の聖地と化したテーマパーク。その見た目から何かのゆるキャラだと思われているのか、街のキマイラ達に混乱は無く、怪人達もパーク内のカップルにしか意識が向いていないのが幸いだ。
「うぅ、倒さねばならぬ敵とはいえ可愛そうだわ……」
 だが、ほだされている場合ではない。雨霧・結は塗装の剥げかけたバールのようなモノを握り直し、怪人を弾き飛ばす。
「あとちょっとでテーマパークに入れるのにっ」
 悲痛な声を上げる彼らに、結は優しく声を掛けた。
「そうね! クリスマスは恋人たちのお祭りじゃないわ、皆のお祭りよ」
 同意を得られると思っていなかったのか、怪人は目をしばたたかせる。目の前に居る物腰の柔らかいイケメンなぞ、当然恋人達の味方をすると思っていたのだ。
「大体ね、ホールケーキが『ファミリー向け』だとか……、私! 一人でホールケーキ食べちゃいますし! クリスマス独りでしたし! ……あれ、なんか悲しくなってきた……」
 恐らく自分達が売れ残った原因をカップルのせいにする怪人を諭そうとしていたのだろうが、話の雲行きが怪しくなってきた結は「とにかく!」と気を取り直す。
「皆纏めて私が食べてあげるから、泣かないで!」
 指先に走った小さな痛みも苦にせず微笑みかけ、黒い刃を一文字に薙いだ。怪人の体から離れた頭部が、ただのケーキのように宙を舞う。
「よくも、仲間をぉー!」
 結は弾丸のような勢いで伸びた怪人の拳を受け流すと、狼の如き瞬発力を以て空中のケーキを捕らえた。
 ぱくり。
 怪人達の攻撃の手が、ぴたりと止んだ。本当に食べるとは夢にも思わなかった彼らの驚愕に満ちた目を、結は真っ直ぐに見つめ返す。
「賞味期限? 知らないわ。貴方達が泣き止むなら食べる! 食べたげる!」
 彼に齧られ、本懐を果たしたとばかりに清々しい表情を浮かべた仲間の姿に、怪人達は考えた。ここで彼に食べられた方が幸せなのでは、と。
 結果、結は一人で複数の怪人を足止めする事に成功する。
 ――戦闘後、現場近くでは膨らんだお腹を押さえてぐったりとしている狼が目撃されたそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

グロリア・グルッグ
旅団【鬼神軍】の皆さんと

「廃棄されるケーキは悲しいですね……ちょっぴり同情しますが、それが世の中ってヤツなんですよ」

電脳魔術で仲間が戦いやすくなるように【時間稼ぎ】をします。
【一斉発射】で展開する大量のエレクトロレギオンに雷の【属性攻撃】を【高速詠唱】で乗せておき、敵にタッチしたら【マヒ攻撃】ができるように仕込んでおきましょう。
仲間とは別のターゲットにけしかけて、わーっと襲わせます。
ある程度レギオンを制御して、その個体を【誘導弾】として扱ったり敵の装甲に関係なく【マヒ攻撃】させるのは【鎧無視攻撃】ですね。

「これは世の真理なのですが、もしカップルが別れたら新しいファミリーも出来ないんですよね」


大豪傑・麗刃
【鬼神軍】のみんなと参戦。

……
い、今あまり動きたくないのだ正直。
でもまあ、腹ごなしの運動と思えば。

……
動きたくないのだ。

まあがんばって動くのだ。
さてケーキといえば切るものと昔から相場なのだ。
だからがんばって斬りまくるのだ!

ロウソクの炎?斬る!
伸びるスポンジケーキ?斬る!
生クリーム?斬る!

解決

幸いにも鬼神軍のみんながいろいろ援護してくれるみたいなので、解決できなくてもなんとかなるのだ!
あとみんながピンチになったらとりあえず斬って助けるのだ!

にしても動きたくないのだ。うぷ。


毒島・火煉
【鬼神軍で参加】
ケーキマジ美味しそうなんだけど!廃棄だなんて勿体ないよね…。ま、泣いてるけど容赦はなし!恋人同士の邪魔するならケーキカットの刑なんだから!
「カレンちゃんが美味しく食べてあげる!」
りあっちの電脳魔術でビリビリしてるケーキ達を攻撃します!
細かく綺麗にケーキカットのお時間だよぉ!
カットしたあとはちゃんと食べます!弾力のあるケーキなんて面白いし!食レポも忘れないよ!
ついでに戦闘シーンも動画に撮っておいて、1番最後に編集で、
「廃棄、勿体ないよね!ケーキ泣いてたし!こんなことが少しでも減るように、みんなも協力して!」
って呼びかけとくよ!ケーキと食材への配慮も出来るカレンちゃんなのでした!



「ケーキマジ美味しそうなんだけど! ね、廃棄だなんて勿体ないよね」
「ちょっ、待っ、今は背中叩かないで欲しいのだ」
 怪人ではあるがケーキを前にして気持ちが昂る毒島・火煉に対して、大豪傑・麗刃の表情は浮かない。ラーメンを平らげてから多少時間が経過したとはいえ、何せ十人前だ。腹ごなしの運動だと割り切って臨戦態勢に入ったものの、動きたくないと思うのも無理はない。
「廃棄されるケーキは悲しいですね……ちょっぴり同情しますが、それが世の中ってヤツなんですよ」
 火煉の言葉に同意しつつも、グロリア・グルッグは世の無情を説く。食品である以上は売れ残れば廃棄するしかない。だが、捨てられる側が納得出来るはずもなく。
「それでも、カップルを壊して、一つでも多くの仲間を食べてもらうんだーっ」
 決して別れさせたからと言ってケーキが売れるとは限らないのだが、思考がもはや八つ当たりに近い。彼らの怒りを体現するかのようにロウソクの火が燃え上がり、ごうと音を立てて放たれた。グロリアは眉一つ動かさずに電脳世界を展開すると、しなやかな指先で慰撫するように操作し、機械兵器を召喚する。
「時間稼ぎをします。カレンちゃんと大豪傑さん、お願いしますね」
 一斉に呼び出された兵器は何機かが炎に包まれるも、圧倒的な数で怪人に群がった。雷を帯びた攻撃に晒され、怪人達の動きが止まる。
「オッケー、任せて! 恋人同士の邪魔する怪人はケーキカットの刑なんだから!」
 麻痺を逃れた一体が辛うじて拳を伸ばすも、グロリアに届く前に火煉のダガーに阻まれた。視認する事すら困難な一撃が、弾力のある腕を切り落とす。
「細かく綺麗にケーキカットのお時間だよぉ!」
 器用にスポンジとクリーム、苺を全て堪能出来るように切り揃え、空になった箱で受け止めた。一つ摘まんでひょいと口に放り込めば、普通のケーキと変わらぬ甘みが口の中いっぱいに広がる。
「ふわふわなのに噛むともっちり! れーじんちゃんも食べる?!」
「いや、勘弁して欲しいのだ……」
 今なお消化しきれないラーメンに苦しんでいるのに、脂肪分の高いクリームなどもってのほかだ。燃え盛る炎を斬り、迫りくるスポンジケーキを斬り、柔らかなホイップクリームですら刀を振るい風圧で吹き飛ばすが、腹ごなしどころか動きたくないという思いは募るばかり。
「ケーキといえば切るものと昔から相場で決まっているのだ。だからがんばって斬りまくるのだ……うぷ」
 麗刃は仲間のピンチにはこの刀で助けるのだ、と気合いを入れてはみたものの、斬りつける度に漂う甘い香りに自身の胃の方がピンチかもしれない。
 そんな彼をお構いなしに火煉が食レポを続けていると、やはり食べて貰いたいという衝動に抗えないのか、怪人達の動きが見るからに鈍っていた。グロリアのエレクトロレギオンに因る誘導にも容易く引っかかり、自ら火煉に切られに行っているようにすら思える。その目に浮かぶのは、自分の味をどう評価されるかという、期待。
「――これは世の真理なのですが」
 未だ抵抗を続ける一部の怪人を見据え、グロリアが口を開いた。
「もしカップルが別れたら新しいファミリーも出来ないんですよね」
「はぅあっ?!」
 気付いていなかったのだろうか。丸い目をめいっぱい見開き、怪人達が慄いた。目先の事しか見えていなかった事実に膝を着き、項垂れている者すら居る。すっかり戦意を失った彼らを掃討するのに、さして時間は掛からなかった。
「りあっち、戦闘シーンは?」
「ばっちりですよ」
 怪人達のブームは阻止したが、キマイラ達に伝えたい事があるからと、彼らは再度カメラを手にしていた。グロリアの編集の下、キマイラフューチャーの皆へのメッセージが紡がれる。
「廃棄、勿体ないよね! ケーキ泣いてたし! こんなことが少しでも減るように、みんなも協力して!」
「食べられる分だけ、が良いのだ」
 賞味期限が近い物から買うだとか、たくさん売りたいのはわかるが無謀な量を生産するのはやめるだとか。そんなささやかな努力を、と呼びかけた。これらはクリスマスケーキに限らず、食品全般に言える事だろう。
「ケーキと食材への配慮も出来るカレンちゃんなのでした!」
 少しでも食べ物に対する意識が変われば、怪人となってしまった彼らへの手向けになるかもしれない。
 鬼神軍の猟兵達による活躍で、売れ残ったクリスマスのケーキ怪人はかなりの数を減らしたようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

雷陣・通
父ちゃんが言っていた
食べ物は残さず食べろと
でも……お前達には同情できない
だって……ラーメン十人前をしぇあらんち? とかして残させたんだから!

【POW判定】
食べ物への罪悪感とか色々と混ざった感情をこめて、ケーキを殴ります蹴ります
そして手刀で切り裂きます
「これで……お前達はショートケーキ怪人だ!」
こんなことで救われるか分からない、大体チョップで切ったらクリームがついちまう。
叩き切ったケーキ怪人のクリームを舐めて
「こんなに甘く切ない戦いは初めてだぜ」
改めて空手の構えを取るぜ!

(アドリブ、絡み、ケーキ塗れなどOK)


エスクルール・ラカーユ
そんな、僕の知らない所でこんなにも多くのケーキが残ってたなんて…。ママ、それなら1ピースと言わずもっと食べたかったよ!
……ここにはお菓子食べ過ぎても怒る人もいない=ケーキ食べ放題ってこと?やったぁ!じゃあしゃきしゃきっと倒しちゃおうか!

【賢者の影】を使う。質問内容は『君は賞味期限は切れててもお腹壊す位傷んでいない』。傷んでいるケーキ食べてお腹壊したくないしね
傷んでるのはダメージが行くだろうけど更に『全力魔法』で追い打ち

食べれるケーキは美味しく食べる。食べれる分だけ食べまくる!
……今食べ過ぎてこの後ご飯食べれなくなって怒られてもいいよ、僕は

※アドリブ歓迎



「ぼくたちだけでも、目的を果たすんだ!」
 売れ残ったクリスマスのケーキ怪人の最後の一団が、テーマパークに辿り着いた。彼らの行軍を阻むように、雷陣・通は正面ゲートの前に立つ。
「……父ちゃんが言っていた。食べ物は残さず食べろ、と」
 緑の瞳に静かな怒りを燃やして睨み付けるが、いきり立つ怪人の歩みは止まらない。弾力のある体が跳ねるように飛び上がると、赤々とした炎と共に、猟兵目掛けて一直線に落ちてくる。
「でも……お前達には同情できない」
 通は火球をバンテージを巻いただけの拳で散らし、カウンターで手刀を叩き込んだ。
「だって……ラーメン十人前をしぇあらんち? とかして残させたんだから!」
 売れ残った自分達の境遇を嘆きながら、残されるラーメンの事は考えなかったのだろうか。その身勝手な行いが、実直な彼には許しがたい。
 相手が徒手格闘ならばと距離を取り、怪人達は一斉にクリームを放つ。
「うぅ、でもラーメンは食べてもらえるだけマシだよぉ。ぼくたちは食べ物なのに、綺麗なまま捨てられていくのに!」
 だが、そのクリームは通には届かない。一陣の風が吹き荒れ、通を中心とした円を描くように地面へと落ちた。精霊術を行使したエスクルール・ラカーユは夜色の瞳を歓喜に潤ませ、思い出の中の母へと訴えかける。
「そんな、僕の知らない所でこんなにも多くのケーキが残ってたなんて……ママ、それなら一ピースと言わずもっと食べたかったよ!」
 それは母の愛故なのだが、六歳の子供に納得させるなど無理な話だ。
「一つ聞いて良いかな? 『君は賞味期限は切れててもお腹壊す位傷んでいない』」
「むしろまだ美味しく食べられるくらいさ!」
 問われた怪人は音も無く忍び寄った影に捕らえられるも、何事もなかったかのように解放された。つまりこの答えは真実。嬉しそうに口元を緩めれば、彼の頭に乗った精霊も心なしか嬉しそうに羽毛を膨らませた。
「そうか、まだ食べられるんだな……」
 フェイントで翻弄し、二段蹴りを極めれば破裂するように怪人から苺が飛び散る。まるで食べ物を粗末にしているかのような罪悪感に駆られつつ、通は手刀を繰り出した。
「これで……お前達はショートケーキ怪人だ!」
 その宣告に、怪人は声を震わせる。
「こんなのただのケーキだ……でも、それなら、クリスマスが終わっても食べて貰えるチャンスが……?」
 綺麗にカットされたケーキが宙を舞う様に、エスクルールは目を輝かせた。
「ここには、お菓子食べ過ぎても怒る人もいない……つまり、ケーキ食べ放題ってこと?」
 ケーキの鮮度に問題が無い事は『賢者の影』で確認済みだ。精霊を魔法の杖に変化させて応戦しつつ、キャッチしたケーキをそっと口に運ぶ。甘い生クリームとスポンジが口の中で解けるように溶け、じゅわりと染み出す苺の酸味。
 顔を綻ばせるエスクルールに通は「腹壊さないようにな」と声を掛けると、自身の手についたクリームを舐めとった。
「こんなに甘く切ない戦いは初めてだぜ」
 色々とないまぜになった感情を抱きつつ、改めて空手の構えを取る。父に教えられたのは、食べ物の事だけではない。
「じゃあしゃきしゃきっと倒しちゃおうか!」
 エスクルールも嬉々としてロングボウに矢をつがえた。最早周囲を取り囲む怪人がおやつにしか見えない。
「食べ過ぎるなよ」
「……この後ご飯食べれなくなって怒られてもいいよ、僕は」
「いいのかよ」

 いくつものケーキが猟兵達の胃に収まり、売れ残ったクリスマスのケーキ怪人は街から姿を消した。代わりに姿を現したのは、エクストリームデートの首魁。アルパカマッスルである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あんなふわふわなだらしない体をしているから、猟兵なんかに負けるんだ」
 盛り上がる筋肉。まつ毛の長い、つぶらな瞳。何ともシュールな容貌をした彼は、自らの肉体を誇示するように、一歩毎にポーズを決める。
 怪人アルパカマッスルは、テーマパークのエントランスを前に叫んだ。
「リア充なんか、嫌いだァーッ!」
 彼は思い悩む。こんなにも美しい体をしているのに、何故モテないのかと。
 ――肉体は頑丈だが、案外メンタルは脆いのかもしれない。
大豪傑・麗刃
【鬼神軍】のみんなとがんばるのだ。

ぬう。その筋肉実に個性的でうらやましいのだ。
見事な変態なのだ(ほめてます)
わたしは日頃人から変態とは呼ばれるがマッチョと呼ばれた事はないのだ。

だがマッチョでは勝てなくてもなんとかしないと。

それはそうと。相手は見つめる事で攻撃するらしいのだ。
ならば目には目を。埴輪は土偶なのだ。

わたしは日頃からブサイクブサイクと呼ばれるが、それも時としては武器になる!
こっちを見つめてこようとしたり、ポージングしたり、全身力ませている相手に近づいて、極限まで相手の顔にわたしの顔を突き付けてやる。

必殺!鬼神フラッシュ!!

しかしいつもながらこの技をやると自尊心がキリキリ痛む!


グロリア・グルッグ
【鬼神軍】
真の姿を解放
雷嵐鎧装を使い真の姿を強化
「余の砲弾と貴様の肉体、どちらが優れているか試してみるとしよう」

敵との距離を詰めて【零距離射撃】の砲撃戦を仕掛けます。
四つの砲を【怪力】【早業】で巧みに操り、電脳魔術の予測演算や【戦闘知識】【第六感】【野生の勘】で【見切り】した敵の攻撃に対して【カウンター】砲撃を叩き込む。
攻撃には【高速詠唱】【全力魔法】を乗せた雷の【属性攻撃】を纏わせた砲弾で【鎧無視攻撃】からの【マヒ攻撃】も狙っていきます。
常に威風堂々とした皇帝風の【存在感】で戦いますよ。
好機があれば四つの砲門全てを突きつけ【一斉発射】でぶちかます。
「余の雷鳴に打たれて死ぬがよい!」


雨霧・結
はい!ヒーローは後から遅れて登場するものでっす!
お花を摘みに行ってました
(訳:トイレに籠って元気になりました。後悔はしてない)

はぁ…モテないから、他責にするってどーいう了見?
素敵な肉体を持っていようとも、心がブサイクじゃダサいわよ
身体は鍛えてても、心がふにゃふにゃみたいね?
男の私から見ても、卑屈な男はタイプじゃない(真顔)
さて、他人の幸せを壊そうとする人を、通す訳にはいかないわ

【コミュ力】を駆使しメンタルをえぐる言動を【気絶攻撃】ばりに浴びせていく
真の姿を少し解放。周囲に冷気が漂い、歩いた所から地面が凍りついていく
【薄紅六花】を使用。氷の呪詛を纏わせた自身の黒爪で引き裂く

アドリブ、絡み等超歓迎



「見るがいい! この! 肉体を!」
 一歩毎に捻りを加えながら腹斜筋を見せつけてくる怪人アルパカマッスルに、大豪傑・麗刃は息を飲む。
「ぬう……その筋肉、実に個性的でうらやましいのだ。見事な変態なのだ」
「それ、褒めてるのか……?」
「褒めてるのだ。わたしは日頃から変態と呼ばれるが、マッチョと呼ばれた事はないのだ」
「お、おう……?」
 変態を褒め言葉と捉えて良いかはさておき、怪人は麗刃のペースに飲まれまいとやや背を丸め、気合いを入れた。逞しさを強調した、モスト・マスキュラーのポーズだ。
 そんな二人のやり取りの間にも、グロリア・グルッグは電脳世界を展開し、固定砲台の準備を整えていた。暴れるように蠢くプラズマが肢体を覆い、怪人を射抜く視線は峻厳さを孕む。
「余の砲弾と貴様の肉体、どちらが優れているか試してみるとしよう」
 閃光。一拍遅れて、耳を劈く程の轟音が響いた。グロリアの正確無比な砲撃は、全弾が怪人へと命中した。だが。
「くく……っ、それで終わりか?」
 塵煙が晴れると、そこには無傷の広い背があった。バック・ラット・スプレッドを決め、悠然と佇んでいる。
「次はこちらから行くぞ!」
 振り向きざまに放たれるビーム。即座に見切り、横へ逃れたグロリアに、怪人の
 拳が迫る。
 ガッ!
 骨に響くような鈍い音。しかし、吹き飛んだのは怪人の方だった。雨霧・結はバールのようなものを振り抜き、返り血を掃う。
「ヒーローは後から遅れて登場するものでっす!」
 鬼神軍に合流した彼は、少し照れたように小さな声で「お花を摘みに行ってました」と付け加えた。
「なるほど同志なのだ」
 全てを察した麗刃は、にこやかに親指を立てる。ラーメンとケーキ、物は違えど胃の限界突破を経験した仲間へ向ける温かな眼差しに、結も微笑みながら頷いた。
「え、何わかりあってんの?」
 大したダメージではなかったのか、怪人は立ち上がるなり新たな介入者にビームを撃つ。結は寸での所で跳躍すると、先程までの微笑は何処へやら、威嚇をする狼のように目を釣り上げた。
「はぁ……モテないから、他責にするってどーいう了見?」
 その温度差に、怪人も思わずたじろぐ。
「素敵な肉体を持っていようとも、心がブサイクじゃダサいわよ。身体は鍛えてても、心がふにゃふにゃみたいね?」
 彼の纏う雰囲気だけでなく、事実、周囲の温度も下がっている。真の姿を解放してにじり寄る結の歩いた跡に、薄い氷が張っていた。
「男の私から見ても、卑屈な男はタイプじゃない」
 絶対零度の声音と共に振り下ろした黒爪が、表皮を裂く。繁吹いた血が凍て付き、赤い花びらのように貼りつくが、まだ浅い。
「き、効かないな!」
 上腕三頭筋に力を入れ、グロリアの砲撃を、結の爪を弾く。少し涙目なのは、心へのダメージだろうか。鋼の肉体も、メンタルまでは守ってくれない。
 そんな怪人に、麗刃がずいと詰め寄った。
「な、なんだ……?」
 サイド・トライセップスの姿勢を崩さない怪人の背に、冷たい汗が流れる。鋼の筋肉を保っている間は、逃げるに逃げられない。迫力がある麗刃の四白眼がじりじりと迫り、そして――
「必殺! 鬼神フラッシュ!」
「んぶっふぉ!」
 渾身の変顔。予想だにしていなかった攻撃に、怪人も思わず噴き出した。
「それ本物のアルパカにやるなよ?! くっさいツバ吐かれるからな?!」
「おう、ご忠告痛み入るのだ……?」
 それにしても、いつやってもこのワザは自尊心がズキズキと痛む。少しばかりセンチメンタルになっている麗刃を余所に、怪人を見つめるグロリアが目を細めた。
「余の雷鳴に打たれて死ぬがよい」
 ドオォォオン!
 笑い転げて筋肉の弛緩した瞬間を、見逃してやるはずもない。至近距離で四つの砲門から放たれた紫電は、霹靂神の如き恐るべき速度と威力で怪人を地面へ叩き伏せた。
「さて、恋人達の幸せを壊そうとする輩を、どうするべきかしら」
「ヒッ」
 体勢を整える前に爪を振るう結に、怪人はなすすべもない。肉体を硬化しようにも、隙あらば変顔を披露しようとする麗刃が傍に控えている。
「いい加減その顔やめろ!」
「そちらも見つめて攻撃するのだから、目には目を、埴輪は土偶なのだ」
「それを言うなら歯には……ええい、何でいちいちツッコミ入れてやらねばならないんだ! お前も突っ込めよ!」
 精神的なダメージと疲労感が蓄積した怪人は、何処となく縋るような眼でグロリアを見やる。終始正攻法で戦ってくれている彼女への、僅かな期待。
「……何故、余がそのような事をせねばならぬ?」
 返ってきたのは、まるでゴミでも見るかのような視線。この日、一番心が折れた瞬間であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネレム・クロックワーク
まあ、此方にも見たことのない摩訶不思議な生物がいる、わ
ごきげんよう、アルパカマッスルさん?
それで貴方はアルパカなの?
それともただの筋肉なの?
生まれた時からその姿なの?
そもそも、もふもふと筋肉は生物学上混在することが可能なの?
わたしは、もふもふはもふもふ、筋肉は筋肉で方向性を統一するべきだと思う、わ
女性はもふもふが大好き、よ
逞しい男性も、魅力的だと思うの
混ざるから危険になるのよ
この場合も『混ぜるな危険』と言うのかしら?

その可愛らしい瞳からビームが発射される前に、動きを封じてしまおうかしら
【全力魔法】と星属性の【属性攻撃】【マヒ攻撃】を【高速詠唱】で魔導銃に装填
七星の力が、貴方の時に鍵をかける、わ



「人をコケにしやがって……!」
 地面を蹴って距離を取った怪人アルパカマッスルは、怒りからかいつも以上に血管を浮き立たせ、猟兵達を睨み付ける。
「ごきげんよう、アルパカマッスルさん?」
「っ、ここにも居たか!」
 新たに現れた猟兵を警戒し、即座にポージングを決めた怪人を気にも留めず、ネレム・クロックワークは慣れた所作でカーテシーをした。
「子供だからといって、手加減はしないぞ!」
 ネレムは小さな体に向けて落とされた踵をくるりと踊るようなステップで避けると、後退しながら魔導銃に魔力を篭める。
「それで貴方はアルパカなの? それともただの筋肉なの?」
「は? アルパカであり、筋肉だ!」
 さも当然とばかりの態度で間合いを詰め、繰り出された怪人の突きをいなしながら、彼女は思索に耽る。
「そもそも、もふもふと筋肉は生物学上混在することが可能なの?」
「戦闘中に考え事か?」
 怪人はネレムの撃ち出す弾丸を筋肉で弾き、組んだ両手を振り下ろすも、拳は地面を割るだけだった。
「わたしは」
 怪人の足元を転がり逃れた少女は、糸で吊るされた人形のようにふわりと跳ぶと、噴水の淵に降り立ち、言葉を紡ぐ。
「もふもふはもふもふ、筋肉は筋肉で方向性を統一するべきだと思う、わ」
「……は?」
 何か閃いた様子で語り出したネレムに、怪人はポーズを決めつつも呆気に取られたようにぽかんと口を開いた。
「女性はもふもふが大好き、よ。逞しい男性も、魅力的だと思うの。でも、でも……」
 意を決したように、言い放つ。
「混ざるから危険になるのよ」
「そんな! 可愛さと逞しさを併せ持つハイブリッドだぞ?!」
「そう、この場合も――『混ぜるな危険』と言うのかしら?」
「黙れ!!」
 すっかり頭に血が上った怪人は闇雲に拳を振るい始めるが、ネレムは一顧だにせず銃を構えた。グラスアイのように澄んだ鳶色の瞳が、怪人を捉える。
「その可愛らしい瞳からビームが発射される前に、動きを封じてしまおうかしら。『冱ゆる、夜の星標』」
 冷静さを欠いた怪人はあっさりと無数の星彩に晒され、動きを鈍らせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

毒島・火煉
【鬼神軍で遅れて参加】
「心折れてるとこ悪いけど、カレンちゃんの事忘れてない?」
影から飛び出して【早業】【目潰し】で相手の動きを一時的に封じるよ!

「そもそもマイナスな単語が出てくる時点で心がブサイクじゃん?更に言うならぁ、テーマパークにいるのカップルだけじゃなく、ちっちゃい子もいるんだよ?そういう配慮ができない時点でブサ男確定じゃん?」
ニヤニヤっと笑いながら伝えてみるね。

【おびき寄せ】これだけ煽れば多分カレンちゃんにむかって攻撃してくるはず。けど目潰ししてるからビームは打てないよね!
【蝕め我が愛】で攻撃するよ!
険悪にしてきたカップルの分もたっぷり愛をこめた一撃!耐えられるかなぁ?


グロリア・グルッグ
【鬼神軍】
真の姿と雷嵐鎧装を保ったまま戦います
また戦闘方法に騎兵走法を追加します

「なかなか打ちがいのある筋肉だ。褒めてつかわす。心行くまで余の砲弾を味わうがよいぞ」

【零距離射撃】による至近距離からの砲撃戦を基本とし、敵の動きを【見切り】ながら【第六感】等で狙いを定めて的確な【カウンター】を仕掛けていきます
また『騎兵走法』と【ジャンプ】等を合わせて【空中戦】も行い、あらゆる角度から砲撃を叩き込みましょう
攻撃には【封印を解く】でサイバーロッドを雷の精霊にし、砲身に纏わせることで【属性攻撃】の威力を高めて【鎧無視攻撃】【誘導弾】【マヒ攻撃】【一斉発射】等をぶち込みますよ



「なかなか打ちがいのある筋肉だ。褒めてつかわす」
「くそっ、また追い付かれたか」
 怪人アルパカマッスルは身体の自由を取り戻すが早いか逃走を試みるも、グロリア・グルッグが退いた分だけ距離を詰め、糸を針孔に通すかのような正確さで砲口を向ける。僅かな筋肉の動き、視線の動きから見切る鋭敏さはまさに第六感。全てが後手に回る恐怖に駆られながら、怪人も賭けに出た。踵を返し、グロリア目掛けて跳ぶ。
「心行くまで余の砲弾を味わうがよいぞ」
 苛烈な砲撃が怪人を襲った。だが勢いが衰える事は無く、彼女へ向かって一直線に落ちてくる。空中の不安定な姿勢で、鋼の筋肉を成したのだ。
「喰らえ!」
 怪人の飛び蹴りが極まる直前、ひゅん、と風を切る音がした。
「ぎゃああッ!」
 怪人が、地面へと落ちる。顔を抑えてのたうつ彼に、週末の予定でも尋ねるかのような気軽さで、毒島・火煉が声を掛けた。
「ねぇちょっと、カレンちゃんの事忘れてない?」
 ダガーをくるくると遊ばせながら、口元に挑発的な笑みを湛え、額を切られた怪人を見下ろす。
「ほんとさぁ、マイナスな単語が出てくる時点で心がブサイクじゃん? 更に言うならぁ、テーマパークってカップルだけじゃなくて、ちっちゃい子もいるんだよ? そういう配慮ができない時点でブサ男確定じゃん?」
 もはや返す言葉も無い。血が目に入り、睨み付ける事すら叶わない怪人は、跳ねるように起き上がると、地面を蹴った。壁を蹴り、視界が利かないと思わせないような立体的な動きで火煉へと迫る。
「目を潰されようと、研ぎ澄まされた筋肉さえあればこの通りだ!」
「ほう? ならば、余は星の海に生きる鎧装騎兵の戦いを見せてやろう」
「何?!」
 数々のポージングで身体能力が強化された怪人に拮抗する速度で、グロリアが肉薄した。怪人と異なり、彼女の走法は足場を必要としない。これ以上は無い最適なルートを弾き出し、実行出来る。
 グロリアは杖と呼ぶには小ぶりな精霊杖の封印を解き、砲身へと纏わせた。四つの砲台が、一斉に猛威を振るう。
「こんな、こんな所でやられるわけには……」
 稲妻の激流に押し流された怪人は、息も絶え絶えに這いつくばっている。
「さて、険悪にしてきたカップルの分もたっぷり愛をこめた一撃、耐えられるかなぁ?」
 両腕を広げた火煉の唇が、弧を描いた。紫色のオーラが生き物のようにぶわりと広がり、怪人を包み込む。恐らく彼が焦がれたであろう恋人達のそれとは似て非なる、紫紺の抱擁。
「『カレンちゃんのモノになって!』」
「うわあああああ!」
 オーラは屈強な肉体を押し潰すように収束し、やがて怪人の姿諸共消え失せた。

「それにしても、人騒がせな怪人でしたね」
「まったくだよ!」
 近隣の建物の中から見ていたキマイラ達の歓声に軽く手を振って応え、テーマパークの方を見やれば、仲睦まじく歩く恋人達の姿が見えた。彼らの幸せが守られた事を実感し、その場を後にする。
「折角だから遊んでく?」
「良いですね。普通にショッピングしたり、普通に買い食いしたり……」
「恋人と過ごすのも、友達と過ごすのも。やっぱ楽しくなくっちゃね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月19日


挿絵イラスト