●砂の翼竜
荒野の上で存在を誇示するように、同じ色の身体を身震いさせ、咆哮する。気づいた数少ない動物たちは怯え、その場から逃げ出すように走り出した。不満に思ったのか、どうか。唸り、身を捩り、尻尾で地面を叩く。最後に、翼を数度はためかせ、それしきり、動かなくなった。
何もない切り立った崖の上で。
まるで、何かを待つように。
●グリモアベース
「みんな竜ってどう思っとるじゃろ? 儂は悪させん竜は好きなんじゃが……」
まあ、場合によりけりじゃな、と、わらび餅を摘みながら、海神・鎮(わだつみ・しずめ)(ヤドリガミの戦巫女・f01026)がのんびりとぼやいた。
「と来れば、大体の依頼内容はわかるじゃろ?」
頷く者、少し首をかしげる者、反応を見渡して、鎮が一つ頷く。
「アックス&ウィザーズで翼竜……わいばぁん、と言うんじゃったっけ? それが荒野のどっかに現れたらしゅうてな。まあ、まだ何も悪さはしとらんのじゃが……」
わらび餅の嚥下に合わせ、言葉を切り、少し険しい表情で。
「大方、自惚れておるんじゃろうよ……退治してほしい。しかしなあ……正確な場所は分からんかったけえ、探索からせんといけん。長期の滞在になるけえ、まずは拠点の設営じゃな。下手を打つと意図せん遭遇、遭難、盗難、強盗、行き倒れ等々に遇いかねん危険地帯じゃから、準備と設営場所選び、警戒はしっかりのう?」
体力がある者は夜通しの番、素早く小回りが利く者は生活環境の改善、頭が良い、回る者はキャンプ場所を選ぶ、罠を張る等すると良いだろう。もちろん、他の有効そうな手足を考えるのも良いけえの、と付け加え。
「出来れば、この手で還してやりたいんじゃが、儂は皆の送りと迎えだけで精一杯じゃけ。宜しくな」
わらび餅を食べ終え、鎮は、猟兵を万全に送れるよう、準備をし始めた。
紫
●マスター挨拶
新米の紫と申します。鎮ともども、宜しくお願い致します。
不慣れゆえ、至らない箇所が多数あると思いますが、少しでも皆様の冒険のお手伝いを出来たらと思っております。
大枠は砂色の翼竜退治ですが、まずは異世界での危険なキャンプを思い切り楽しんで頂ければと思います。
第1章 冒険
『荒野のキャンプ』
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POW : 寝ずの番で警戒する
SPD : キャンプ技術や美味な料理で環境を整える
WIZ : キャンプ場所を探す、敵を誘う細工をする
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
逢坂・宵
まずはキャンプ地の決定ですね
理想は雨風が遮られ、適度な雨水の貯蓄環境があり、なおかつ安全で過ごしやすい横穴や岩陰ですが……
荒野だとさすがによくばれませんね
まず、生命維持に必要な水や食料を確保しつつ雨風をしのげるところを探して決めましょう
一時的な居住になっても構いません、一箇所にあるということは他の場所にも似た環境があるということです
ついでに罠を張れるような、開けた場所なども合わせて探しておけると良いですね
ああでも、自分や仲間の身が一番大事ですから
危なくなったらすぐ避難、これが鉄則です
さあ、楽しいキャンプのはじまりといきましょうか
(さて、まずはキャンプ地の決定ですね……)
見知らぬ地、或いは旧きヤドリガミとして知識を有しているのかもしれない。逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は濃宵の瞳に荒野を映し、思考する。理想は雨風が凌げ、雨水の貯蓄環境の構築できる横穴か、岩陰辺りではあるが……。
(この荒野で、そこまで欲張る訳にもいきませんね……となれば!)
まずは生命維持に必要な水や食料の確保だ。水場には自ずと生物が集まるだろうと、行動を開始する。乾いた風に筆を入れるように、闇色の髪が靡く。
本体であるアストロラーペを複製し、可能なレベルまで活用。時には風の精霊の噂に耳を傾け、驚くほどの短時間で、宵はオアシスと呼ばれる、小さな緑化地帯を見つけることに成功した。確認も含めて水に口を付ければ、水の清らかさが喉を潤し、熱を持った身体が心地よく冷えていく。
「ふむ、飲料としては申し分ないです。」
罠を張る空間も十分にあり、拠点としては、ほぼ想定通りだと安心する。束の間、すぐ、に生物の足音が聞こえて来来た。
まず目についたのは保護色となりうる体表の鱗。次にぶら下がった短い前足と、それに付随する鉤爪の様な鋭い爪、肉を食い千切る事に特化した、大きな口と鋸状の牙。水場に見慣れぬ輩が居ると気づくと、すぐさま雄叫びを上げ、宵に牙を向けた。総勢3体。
「ああ、これは……好都合と言うべきでしょうか?」
撤退と食料確保を天秤にかけながら、バックステップで初撃を回避。すぐさま穏やかな口調で呪文を紡ぐ。
「星は時には我々を導くためのしるべとなり、時には我々に光を与え、時には我々に災いをもたらす存在となる。さあ、始めましょう。」
上空に天星図を投影すると、周囲が星瞬く夜闇へと塗り替えられる。
「……宵の口と参りましょう?」
挑発と捉えた肉食の蜥蜴が激昂し、一斉に喉を鳴らし、獅子を狙って飛びかかる。強化された宵はもう一度後ろに下がりながら、3体の頭を杖で正確に、強く殴りつけた。
「上手く、行きましたか。」
胸を撫で下ろし、脳震盪を起こして倒れている蜥蜴3体の喉を手早く潰す。事が終わってから術を解除すると、太陽の暑さが戻ってきた。
「危なくなったらすぐ避難、ですね。」
何が現れるか分かったものではないと、用心を誓う。
さあ、楽しいキャンプの始まり、始まり。
大成功
🔵🔵🔵
ロー・オーヴェル
●1:キャンプ場の選定
場を決めないことには何も始まらない
なるべく見通しのよい平らな箇所がいいか
狭隘な場は襲われたときに逃げるのに支障になる
見通しがいいと逆に攻められ易いかもしれないが
その分危機から逃げやすいし周囲に罠も仕掛けやすい
交代で見張りをすれば大丈夫だろう
あとは水源に近い箇所くらいか
手持ちの水がいつまで持つか分らん以上補給源は必要だ
というわけで「いいか、よく聞け。ここをキャンプ地とする」
●2:もしすでにキャンプ場が誰かにより決定していた場合
料理はお世辞にも上手じゃないんでな…
強風が来ても崩れないようにテントの張りを工夫するとか
強風が来ても消えないように焚火の囲いを工夫するとかで協力しよう
「お、良い場所だな。原生生物が襲ってくるのも当然……か。お前さん、罠とか持ってるか?」
ロー・オーヴェル(人間のシーフ・f04638)は、倒れている蜥蜴を一瞥し、先客の宵に話しかける。
「ええ、それは考えている所です。所でローさん、お料理は?」
柔和な物腰で語る宵に、ぼさぼさの髪を軽く掻きながら、ローが気まずそうに答えた。
「いや、料理はお世辞にも上手じゃないんでな。そういうお前さんは?」
「……さて。食べられる物は作れると思いますが……物が蜥蜴ですし、ね?」
美味しくはならないだろうと暗に宵が伝える。長身の男が二人揃って調理はお手上げの様だ。
「まあ俺は、テント周りの整備をしよう。」
「お願いします。僕はこれの解体を試みます。」
会話を終え、ローは早速テント設営に取り掛かる。テント併設は大半が杭打ち作業だ。まず、テントの床になる布地を広げ、地面に敷く。手際良くロープを通すための杭の位置決めをし、ポールを置き、ロープを張る。最後にロープを微調整する。
「まあ、こんなもんか?」
軽く出来を確認するよう、テントを見上げる。これでは少し不安が残る。強風に煽られても倒れないよう、杭とロープの量は多めにした。
「後、必要なのは……火だよな?」
焚火を炊いておけば、或いは生物が怖がって寄り付かないだろう、何より、調理には欠かせない。とはいえ、このオアシスの資源を伐採するかは疑問が残った。
(……強風に負けないようなガワを作っておくか。)
地面を指で示すと上空から光が降り注ぐ。轟音とともに程よい穴が開く。次に採石。幸い、此処には大きな石は幾らでも転がっている。何度か往復し、円形に並べ、最後に軽く砂利を入れる。
「これなら大丈夫だろ……しかし、腹が減ったな。」
焚火炉の出来に満足しつつ、軽くぼやく。
仕事の対価は、いつだってカロリーだ。
成功
🔵🔵🔴
藤色・藤乃
おや、助太刀に参ったでありますが……
キャンプ地は既にばっちりでありますな!
長期滞在、住処が確保されたならば次は食の問題でありますか
長期的に保存を効かせるとなると、蜥蜴肉…は干した方が良さそうでありますな
スパイス、調味料の類は多少手持ちがあるでありますが、
この辺りで使える・食べられる植物がないか、周囲を忍び足で探してみるでありますよ
まあ、乏しい材料で食事を作るのは職業柄慣れているであります故!拙者にお任せあれ!
なまじ食料があると強盗に遭う可能性も高まるでありますから
人数も確保できてきたところで、見張りの強化を提案するでありますよ
野生動物を返り討ちに出来たら更に食料が増えることになるでありますし!
ぼやいたローに高いテンションで藤色・藤乃(夜に咲くから私は花火・f00761)が声を掛ける。
「成程、住処が確保されたならば次は食の問題でありますか! 道理であります!」
元気の良さに少し引きながらも、おう、と相槌を打つ。
「お前さん、得意か?」
「拙者にお任せあれ! 乏しい材料で食事を作るのは慣れているであります!」
忍者であると言いたいのだろう。自分の胸を軽く握り拳で叩く。
「長期滞在ですから、蜥蜴肉は干し肉にしたい所でありますね。」
手持ちの調味料、香辛料はあるにはあるが、多少心許ない。幸いというか、乾燥地帯である荒野ならば香辛料の確保も然程手間取りはしない筈だ。
「では、此方は囲炉裏の周辺に置いておきましょう。」
頭と胴体が切断された蜥蜴3匹を囲炉裏の隣に置く。
「人も増えてきたでありますね。であれば……」
「見張りの強化か?」
「そうなるでしょうね。」
「であります。考えることは一緒でありますね! 野生動物を返り討ちに出来れば食料も確保できます故、一石二鳥であります! しかし、食料の充実は敵も引き寄せるであります。拙者はとりあえず、調味料を仕入れてくるでありますよー。」
「分かった。その間はこっちで周囲を警戒しておく。」
「宜しくお願いするであります。」
「とはいえ、危ない様でしたら、すぐに引き返して下さいね?」
「有難うございます。ええ、ヤバくなったら逃げるか土下座でありますよ!」
宵の忠告にぐっと親指を立てる。
『出でよ、我が真の姿!……これが拙者であります!』
詠唱と共に少しパーツの膨らみ具合が違う分身を作り、走り出した。忍び足の名とは裏腹に、物音を立てない俊敏な動作で周囲を分身と共に手際良く探る。まずは信頼性の高い見知った物、唐辛子、胡椒に似た植物が無いかと、探し回る。そうして暫く、良く似た物を見つけると、少量を齧る。強い辛味と、僅かな果実感の甘み、舌を痺れさせる慣れ親しんだ味だが……。
「辛いであります! 」
当然の反応だった。辛さのあまり舌を出すと太陽の熱で辛いに痛いが混じっていく。ついでにカプサイシンと思われる成分による発熱発汗作用によって主に脇から控えめに言って若干の悪臭が漂う。幾つかを収集し、頭の地図と照合すると、軽く紙にメモを取った。帰りは最短のルートを辿り、拠点に戻る。
成功
🔵🔵🔴
白波・柾
キャンプの設置は……人手は足りていそうだな
それならば俺は調理に回るとしよう
蜥蜴ならばシンプルに焼くのがいい
皮を剥いで内臓を取り、香草で臭みをなくす
串に刺すか包みをしてたき火で焼けば、簡単蜥蜴焼きの完成だ
乾燥させれば、保存食にもなるんじゃないか
しかし、人数が増えると必要な食料も増える
……狩場でも探して罠なども張ったほうがいいだろうか
藤乃が採集から戻る少し前、白波・柾(正剣一刀・f05809)が拠点に来る。現状を見張り中の二人に聞いて、把握した。
「それならば、調理に回るとしよう。干し肉も良いが、蜥蜴ならシンプルに焼くのが良い。あらかた終わったら、見張りに加わるか、罠を作るか」
置かれた蜥蜴の肉の皮を剥いで内蔵を抜き出す、手持ちの香草を振りかけ、臭みをなくす。鮮やかな手付きで行われていく解体は、地味ながら独特の迫力がある。
「ただいまであります!」
3匹の蜥蜴肉の処理が終わった頃、藤乃が丁度、香辛料の採取を終えて戻ってきた。
「お帰り、で良いのか?」
「はい! もう調理を始めてるのでありますね! 手伝いは必要でありますか?」
屈託のない笑顔で返しながら収穫した唐辛子類の幾つかをテントのロープに吊るす。
「では、干し肉をお願いしたい。」
「了解であります。」
皮を剥いだ蜥蜴の肉を適当な厚さにスライスしていき、香辛料を馴染ませ、テントの近くに干していく。
柾は先程の肉を焼けるよう、手持ちの串に刺していく。とりあえずは1食分。余った肉はとりあえず全て干し肉にしようと考えながら、辺りの枯れ木を集めていく。
「火種は……と」
枯れ木を囲炉裏に入れ、腰を下ろす。座り心地は中々だ。手持ちを探る。火打ち石、火口、付け木が出てきた。火口をひとつまみ火打ち石に乗せ、火打金に何度か擦り合わせると、火種が出来た。すぐに息を吹きかけ、火種を広げると、付け木に移すため、息を更に吹きかけていく。付け木に炎が付くと、よし、と思わず声を上げ、すぐに囲炉裏の中に放り込む。後は常に薪を絶やさないようにするだけだろう。
「見張りのついでに薪集めも頼みたい所だな」
食事の時に皆に伝えようと考えながら、香草をまぶした肉を焼いていく。焼きが進む度に脂が炎の下に滴り、気分良さげに炎が踊る。
下準備は出来てきたが、必要な物資がもう少し。燃料が揃えば、後もう少しだ。
「狩場を探して罠も張りたいところだが……」
まずは腹ごしらえだろう。良い具合に焼けて来た蜥蜴肉を見て、皆を呼んだ。
「焼き上がった。一先ず食事にしないか。」
各々が返事を返し、囲炉裏の周りに集まって来た。
成功
🔵🔵🔴
ジェイクス・ライアー
住居に食料の調達と、拠点設営は順調なようだ。
さて、
あたりが明るいうちに拠点の周りに罠を張り、夜の警戒を怠らないように努めるべきだろう。
テントから少し離れた木々に、生き物が通ると音が鳴る仕掛けと生け捕りの罠を設置して備えておこう。
…ああ、それから、くれぐれも他の猟兵がこの罠に引っ掛かるようなヘマを起こさないように口添えも忘れずに。
一通りの夜の準備がすでに済んでいるようなら、私が寝ずの番を引き受けよう。若人たちはしっかり体を休めなさい。
焼けた蜥蜴肉を皆で囲んで食す。香草の爽やかな香りと、唐辛子の辛さが混ざり合い、舌が辛味と旨味の歓喜を伝え。ややジューシーさには欠けるが、エネルギー分としては申し分ない。
「どれ、私も一つ頂こうかな」
そんな中、ジェイクス・ライアー(素晴らしき哉・f00584)は傘を持って、いつの間にか、皆の食事に加わっていた。
「刺激的な味だね。ご馳走様。」
「どう致しまして。我ながら上手く調理出来たと思っている。」
柾の言葉に軽くははと笑い、周囲をゆるりと見渡した。
「後は、罠を張ってしまえば良いのだろう?」
細々とした不足はあるものの、それは順次補えば良い。
「何を隠そう、これだけは、精巧に作るのが得意でね」
テントから少し離れた木々を2度ノックすると、精巧な仕掛け罠が複製される。レプリカクラフト、こういった場面では便利なユーベルコードだろう。同じ様にもう一度2度のノック。カモフラージュされた大型のトラバサミが多数複製され、辺りにばらまかれた。
「最初のは生き物が通ると音が鳴るもの、2つ目は言わずもがな。他の場所にも幾つか設置してこよう。後で配置図を渡すから、引っかからないように。」
大丈夫だと言う気の緩みが、罠への誘惑なのだ。皆、良く知っているからこそ、一応の忠告を真摯に聞き入れた。ジェイクスは拠点の周囲に罠を複製し、都度、メモを取っていく。
「ふむ、通り道も設けた。これくらいで良いだろう。」
罠の設置を終えた頃には陽が少し傾き始めてきた。拠点に戻り配置図を渡すと藤乃はもう少し周囲を探索すると出ていき、柾は黙々と火の番、ローと宵は周囲を警戒しつつ、燃えそうな枯れ枝、木の葉を集めては、休憩のついでに柾へと渡していく。
陽が完全に落ちる前に、藤乃が胡椒の様な植物を見つけたと帰ってきた。肉が焼き上げる頃に、食事にしようと柾が昼間と同じ様に皆に声を掛ける。
「今夜は無事に越せそうだね。寝ずの番は私が引き受けよう。若人たちはしっかり休みなさい」
「いや、申し出は有り難いんだが、お前さん、俺とそう歳変わらないだろ?」
ローの的確な突っ込みに、これは一本取られたと、紳士は上品に笑った。この場合、ヤドリガミの年齢はどう換算すべきか、柾と宵が少しだけ悪乗りする。夜は和やかに更けていく。
ジェイクスが気を研ぎ澄ますのは、この和やかな時間が終わってからだ。
成功
🔵🔵🔴
第2章 冒険
『荒野の探索』
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POW : 荒野を虱潰しに強行軍で探索する
SPD : 標的の痕跡を探して追跡する
WIZ : 地形や気候、目撃情報から居場所を推理する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●襲撃
いつまでも動かない竜が居ると、野盗の集団が騒ぐ。昨日、水場で徒党を組んだ輩が居る、そっちを狙うべきだと主張する野盗に、警戒が強く、罠も多い、翼竜の方が安全だと、発見した野盗が声を荒げた。頭領に割れた支持を仰ぐと、本当であれば竜を狙おうと、住処に向かう。竜種が動かないから無力なのだと誤解するのは知能の低下故か。
その野盗の群れは、無残な死体を晒す羽目になった。竜は今度こそ、誰もが不満げだと思うように喉を鳴らすと、再び、切り立った崖の上で動かなくなった。
●追跡
「皆ありがとうなー! お蔭でキャンプ地の設営は上手く行ったけぇ」
5人の尽力のお蔭で、キャンプ地の基礎が出来たと、鎮が蜥蜴の干し肉を一欠片摘みながら、嬉しそうに話す。
「本番までは後一手じゃな。次は探索になるのう。竜の居場所を探らんと戦うことも出来んしのー。やり方は皆に任せるけー。」
大まかに体力に自信があれば虱潰しに荒野を探す、素早さに自信があれば痕跡を探る、頭を使うなら、地形や気候から居場所を推理すると良い。もちろん、他の行動を取ってみるのもありじゃけーと付け加えた。
「儂は皆の送迎で手一杯じゃけ。依頼には協力出来ん。宜しくな」
一転、真剣な表情をして、猟兵に頭を下げた。
佐之上・権左衛門
ワイバーンの捕食した痕跡などを捜して追跡と聞き耳、第六感と視力を活かして現在地をを割り当てる。目的地が洞窟だったら手持ちの暗視も使い、内部まで探索する。
「あいつらマナーがなってないからなぁ・・・でも飛んで移動したら特定はちと難しいか?」
ベースキャンプとしたオアシスに、紫煙を燻らせて佐之上・権左衛門(何処にでもいる冴えないおっさん・f00239)が辿り着く。
「ひどい所だな。いや水場周りは良く整備されているんだが……」
まあ、お似合いか、とシニカルに唇を釣り上げた。必要なメモ、食料、水を受け取った。まずは方角を決めるべきだが、何せ街道も、人影も見当たらないと来た。
「あちら辺りに何かある気がするな。」
第六感を頼りに板金入りのトレンチコートを揺らして歩き出した。実際あての付けようがない以上は、最適解の一つと言えるだろう。経路を誰にでも見えるよう、ある程度メモしながら、歩を進めていく。
そうして、随分と歩いた……気がする。
「……こっちはまずい、か」
オアシスの周辺で罠に引っかかっているのと同じ種類の蜥蜴が、群れを成しているのが遠目に見えた。見つからない様、方角を変える。
「まあ狩場としては、良いのか?」
溜まり場であれば良い狩場だと一応場所を記しておく。溶けそうになる身体に干し肉を一欠片、水を一口含んだ。
「!!」
サイバーレンズの集音機能が、複数の何かの移動音を捉えた。二足歩行型、亜人か人か、どちらにしろ、人数が多い。方角と位置を確認する。随分遠い。
「追いかけてみる価値はあるな……」
その場所の近くに辿り着く頃には、夕日が沈みかけていた。暗視ゴーグルで周囲を見渡すと、大きな竪穴に、複数の人間型の生物が居住していた痕跡が良く見える。刃毀れした斧、生物の頭蓋骨、焚火用の囲炉裏。しかし、夕日が沈みかける頃に、見張りの一人も居ないということは。
「そういうことなんだろうな……飛んで移動していたら特定はちと難しい、か。」
竜の仕業ならばそれが厄介だ。今日は此処までだと、愛用の銘柄に火を付け、ベースキャンプに帰還する。
成功
🔵🔵🔴
白波・柾
竜というものは、得てして洞窟の奥や山の上など
人があまり立ち入らない場所を住処とすることが多いが
さてどうしたものか
豊富な水源や木の実などがあるものの動物の姿をあまり見かけないエリアを重点的に調べていこう
動物は第六感が鋭敏だからな
何かある場所には立ち入らないのではないかと考える
うまくいけば竜に関する手がかりが得られるかもしれない
危険な状況に陥りそう、または嫌な予感がすれば可能な限り退く
退っ引きならぬ状況ならば戦闘もやむなし
剣刃一閃で攻撃しつつ、退却を大前提に
まだまだ本番じゃあないんだ
ベースキャンプも疎かにする訳にはいかない。火の番、見張り番、罠の再設置、捕獲した獲物の解体調理、安定した香辛料、香草の供給。やることは山ほどある。今の人員を多く割くのは得策とは言えず、探索の1日目は、権左衛門に任せる方針を取った。日を越せば、次は白波・柾(正剣一刀・f05809)の番だ。夕餉の会話を思い返す。
「では……壊滅したと?」
「多分だがな。だが、竜の仕業かは分からん。場所はこの辺りだ。と、そろそろ貰っても良いか?」
情報の共有は終わったと、権左衛門が返事を待たず、焼けた肉に齧りつく。
「ああ、情報、感謝する。明日は俺が行って見よう。見張り等、宜しく頼む。」
「分かった。」
そこで昨夜の回想を打ち切り、目を開く。
「俺達が拠点にしているのと同じ様な水場がまだ、ある筈だ。」
とはいえ、壊滅したという野盗らしき拠点の近くも立ち寄ってみるべきか。少なくとも生物が居たのであれば、水場が近くに有った筈だ。進路と大まかな探索時間を割り出し、日の昇らない早朝からベースキャンプを出立する。
途中までの道程は権左衛門の情報を参考にする。、注意深く周囲を見渡せば、擬態に長けた小動物が多く見える。
「此処か……」
アジトと思しき竪穴の前に辿り着く。聞いた通りのもぬけの殻だ。保存食らしき物が見当たらない辺り、よっぽどの見返りが期待出来たのだろう。
「……ふむ」
干し肉を1枚取り出し、良く咀嚼しながら、水を少し多く口に含む。小休止のついで、周囲を良く見渡してみる。そう遠くない場所に水場が僅かに見えた。歩を向ける方向は、どうやら決まった様だ。
距離にして徒歩30分ほど、少し不便にしたのは、彼らの知恵か、竪穴住居を捨てることを躊躇ったか。
「……違った様だな」
耳を澄ませば、そこかしこに小動物の活気が溢れているのが分かった。まだ時間はある。物はついでだと予定を変え、少し探索範囲を広げ、この水場の周囲を丹念に探っていく。
「む……?」
血痕が目に映る。追うか、否か。
「いや、止めておこう。」
危険は避けるべきだ。血痕のあった場所を紙に書き加え、キャンプへと引き返した。
成功
🔵🔵🔴
逢坂・宵
さて、御伽噺の竜というものはたいていひとけのない奥地に座すものですが
今回の竜はどうでしょうか
みなさんから得た情報をまとめて書き留めて
アストロラーベを使用して位置関係を把握しつつ
簡素な地図にいたしましょう
これがあればみなさまの行動の助けにもなるのではないでしょうか
僕たちと同じように竜にも飲食は必要ですから
食物は狩に行くとして、水ばかりはどこにでもあるというわけではありませんから
最低でも水源の近くにいるのではないでしょうか
湧き水とかね
なおかつ人の近寄らない奥地……
そして、視界が自分にとって有利である場所……
そう、たとえば洞窟や崖の上など
図体が大きいですから、狭いところには巣を作らないのでは
情報整理を引き受けた宵は、持ち帰られた情報を検証し、時にはアストロラーペを用いて、より詳細な地図を制作し、皆と共有していた。それは柾が帰ってきた日も同じだ。
「血痕ですか」
「ああ、どう思う?」
「引き返したのは正解かもしれませんね。」
暫し考え、もし人が死んで埋葬もされていないなら、未練が残る。魂亡き亡霊となってしまう可能性も有るだろう。
「明日は僕が行ってきましょう。」
「お前さん、何処に居ると踏む?」
探索担当の刻限を陽が落ちるまで、と決めている以上、自動的に夕餉の時間は情報共有の時間だ。間髪入れずに質問したローに、宵は軽く夜空を見上げて答えた。
「……そうですね、崖上か洞窟、体長が僕のスケールと一致するなら、後者の可能性は低いでしょう。」
「ついでだ、空を飛べる奴が、わざわざ洞窟や地中に籠もる理由はあるか?」
小型中型、宝物を守っているなら有り得る話ではある。だがどうも、今回は様子が違いそうだ。
「……なるほど。」
「明日は俺も同行したい。人数も一人増えた訳だし、二人抜けてもこっちは大丈夫だろう?」
何とか回してみよう。柾が答えると、ローは内心、胸を撫で下ろした。
(いや、バレバレだろう……)
権左衛門には魂胆が見透かされていたようだ。
出立の時間と、探索方法を夜の内に打ち合わせた。計測、地図は宵が、主な体力仕事、視認観測は基本的にローが担当する。主に高所を重視し、望遠鏡で都度覗きながらの探索が今日の探索だ。主な探索場所は血痕のあった場所にしようということで落ち着いた。これは宵の提案だ。
「危険は人数が多い時に排除したいでしょう?」
「最もだ……」
柾が出立したのと同じ時間帯に、ベースキャンプを出る。周囲を入念に探索しながら、もう一つの水場まで到着する。宵は複製したアストロラーペで、時間を掛けて、より詳細な地図へと仕上げていく。
「何か見えますか?」
「この先は崖が多そうだ。進路は間違ってなかったみたいだな。」
望遠鏡を一旦仕舞う。倍率を逆算し、宵がとりあえず大体の地形を書き記した。
「では、血痕を追ってみましょう。」
てんてん、てんてん、凝血した赤を追う。
成功
🔵🔵🔴
ロー・オーヴェル
空を飛べる奴が地中に居るわけないし
洞窟内のような箇所だと外の様子が伺い知れない
洞窟内に来た奴をごちそうさまするタイプなら別だが
崖等の高所であれば飛ばずともこの荒野を一目で睥睨できるはず
『食べ物』を探しに頻繁に空を飛ぶ必要もない
てことで『崖等の高所』に居ると踏んで
望遠鏡等を使用して荒野にそれらしい箇所がないか探索
ベースキャンプを起点にしてある程度の地図は手持ちの道具で作成する
該当箇所が沢山ある場合は「一番高い崖」を近づいて竜の痕跡がないか入念に調査
できれば誰かと一緒に探したい
一人で行って危険に遭うのも嫌だし
同じような目星をつけてる奴がいたら同行を持ち掛けるし
いなければ……死なない程度に一人で探索
欲を掻くのは悪いことなのか、そうしなければ生きられぬと知っても、己を律せよと言うのか、人を虐げて何が悪い。虐げる奴等が居るからこうなった! 食い詰めて盗みをすることの何が悪い。人が生きようとするのは本能だ! まだだ、まだ。イキタリナイ。シナナイ、シンデナルモノカ。オノヲカカゲロ、セイジャヲクラエ!!
暗い眼窩を怪しく光らせ、頤を不愉快にカタカタ鳴らし、自分勝手な怨嗟を撒き散らす。転がった肉を肉食獣が見逃すはずもなく、朽ちて乾いて骨になった野盗の成れの果て。ここは剣と魔法の世界、アックス&ウィザーズ。弔われなければ、アンデッドが頻出してもおかしくはない。
「何だ、ありゃあ……」
「馴染みはありませんか? 僕も有りませんが。」
岩陰から、骸骨の様子を探る。
「多分、見るのは初めてだな……貧民街(こきょう)でも、滅多にはお目にかかれねえ。」
動揺を掻き消そうと、煙草に火を付け、一気に煙を肺まで循環させる。つまり一応の埋葬は誰かがするのだろう。計5体のスケルトンが無差異に斧を振り回し、打ち下ろす。あの目には恐らく、何も映っていないだろう。勿論、互いの連携など皆無だ。
「……イケそうだな。撹乱を任せても良いか?」
「止めの宛はあります?」
「そうだな、煙草はどうだ? 香の変わりにはもってこいだろう?」
早くも吸いきったのか、箱からもう一本を出してみせる。
「不健全な弔いですね。柾さんの言葉が気になったので、予め、香草を幾らか貰っておきました。宜しければお使い下さい。煙草よりは随分良いかと。」
「有り難い。背中は任せる。」
2本目を軽く口に銜えながら、モノトーンの上着を1枚脱ぐと、全速力で駆け出す。スケルトンの反応が僅かに勝ったが、複製されたアストロラーペが横殴りに獲物を持った関節部を砕く。ヒュウと上機嫌に口笛を吹き、1体の頭をダガーの柄で砕く。返す刀で近場の一体を力任せに叩いた。呆気なく頭蓋が粉砕されるが、流石のスケルトンも現状を認識し、3体目が斧を唐竹に振り下ろす。
「……送ってやるから、ちゃんと還りな。」
カウンター気味に横に凪いだダガーが、スケルトンを積み木の様に崩す。重量物のアストロラーペが、残った残骸を潰して圧縮する。奥に居るもう一体に突っ込み、追撃。頭蓋をかち割った。宵を狙うもう一体を逃すまいと、更に速度を上げ、背後から柄で殴りつけた。ポルターガイストのように動く亡骸全てに香草を振りかけ、愛用のマッチで火を付けると、辺りが少し清浄な空気に包まれた。
「……見事な手際でした。お疲れ様です。」
「柄でもねえ。」
吐き捨てて、望遠鏡で辺りをもう一度調べる。一際高い崖が見えたが……。
「遠いな。」
手負いが水場に向かって逃げてきたと考えるのが妥当だろう。
「一度、戻りましょう。」
提案に頷く。2本目を靴で消火し、上着を着直した。ローは早くも3本目を口に銜え、ベースキャンプの帰路に着く。
大成功
🔵🔵🔵
八尾・空子
無害な野生動物を【誘惑】して呼び寄せて【動物と話す】でつい最近起こった変化。翼竜の痕跡、居場所等の情報を集めるとしようか。
後は周辺地図を見て妾の【第六感】が反応した所へ誘惑した野生動物に妾の代わりに危険が無い程度に探索をお願いするとしようかの。
探索は誘惑した動物達に任せて妾は拠点で【聞き耳】でも立てながら周囲を警戒しつつのんびりとしておる。
万が一戦闘になったら【フォックスファイア】を【高速詠唱】【二回攻撃】【衝撃波】と組み合わせて戦闘を行うぞ。
高い崖を見つけたが遠い。どうするか。ローが宵の作った地図を広げ、お馴染みとなった相談をしていると、八尾・空子(妖獣 五尾の空狐・f06432)がそれならばと口を開く。
「一つ良い考えがあるのじゃが……任せてみる気はあるかのう?」
確証が得られるのならばと、同意を得られた所で気分を良くし、寝床に着いた。
「そろそろ始めるかのう。」
のんびりと緑のある方に歩を進め、誰も居ない方に話しかけると、幾らかの小動物が空子のそばに寄ってくる。
(危ないところがあるよ、怖いところがあるよ)
(近付いちゃだめだよ、人が居るのは珍しいね)
(何か用?)
「少し頼みたいことがあるのじゃが」
(嫌だよ、逃げなきゃ殺されるの。怖い怖い竜が居るの。)
(竜がいるの、鳥みたいな翼を畳んで、ずうっと動かないの)
(いっぱいいっぱい何かがしんだんだって。)
ごねようかとも考えたが、機嫌を損ねて情報が得られないのはもっと不味い。追跡は早々に諦めた。
「むう……どの辺りか分かるかのう?」
(とっても高い高い崖の上、一杯崖のある所の、切り立った崖の上。)
(いっぱいオアシスに逃げたって。)
(僕らももっと遠くに逃げたいよ、でも駄目なの。)
(安全な場所は少ないから。)
無害な動物は臆病だ。そうでなくても、天敵に狩られることを恐れている。
「うむ、分かった。礼を言うぞ。急に呼んで悪かったのう」
(そう思うなら、あれを無くしてほしいな。)
(そうそう、窮屈だよ、あいつらが来ないのは良いけどね)
「うむ、もう少しだけ辛抱してくれんか? ちゃんと片付けるからのう、もう少しだけ、な?」
(約束だよ。)
用事は終わったと、一目散に去っていく。
「ふうむ……」
顎に手を当て暫し。発見したと言う崖と、彼らの情報は一致する。小動物たちは臆病だが正直だ。協力こそ仰げなかったものの、収穫は大きかった。足りない分の確証は。
「女の勘、というやつじゃな。」
はったりと度胸とも言い換えられる。ただし、妙な確証があるのも確かだ。
「聞こえてるんだが……どうだった?」
ローの呼びかけに、動じること無く笑顔を作る。
「もう少し確証が欲しい所じゃが、9割方、そこで間違いないじゃろうて。」
「お前さん……実際に行く気は無いのか。」
ローが呆れ気味に紫煙を吐いた。
「最大限の成果じゃろう。1割の外れと天秤にかけた、最後の推しとしてはのう?」
誤魔化すように片目を瞑りながら、言い切った。
「女狐かよ……」
「見てのとおりじゃ、そう褒めるでない。」
「分かった、分かった。」
話していると頭が痛くなりそうだ、厄介なタイプと結論付けて、ローはお手上げとばかり、話を打ち切った。次の日は竜の討伐にあて、ありったけの食料と持てる限りの水の用意を進めていく。
準備が終われば、大仕事前の、暫しの休息と洒落込もう。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『ワイバーン』
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POW : ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:小日向 マキナ
👑17
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●魔力を食む。
その翼竜は動かない。荒野の岩として、そこへ一体化するように。
ただ、何かを待つように、乾いた崖の上に鎮座する。
魔法の心得が有るものならば、その手の魔力資源が枯渇していると、すぐに分かるだろう。背に当たる陽光すら、この竜にとっては動力源。動く必要はない。この行為を維持出来るならば。動けば当然、この蓄電は維持されないだろう。動く理由は一つのみ。
挑むが良い。退屈させるな。語りかけるように、住処を侵した者を睥睨し、傲慢に目を細める。嬉しそうに喉を鳴らし、翼をゆっくりと広げた。
●大仕事。
「皆のお蔭で翼竜の位置が割り出せたけー! ありがとうな! 長期滞在もそろそろ終わる頃合いじゃな。いよいよ竜とのご対面じゃの。しかし……」
翼竜が思った通りの思考だったと鎮が頭を抱えた。
「悪させん竜は好きなんじゃがな……少しくらいは期待しとったんじゃけど……放って置くとその内飛び立って、そこら中食い荒らす輩じゃったな……好戦的じゃし……」
退治の重要性を再度伝える為、主に出すであろう被害を予測する。
「まあ、こっちは実際の戦闘にはあんまり関係ないけ、安心してなー。少し予知してみたんじゃが。」
この翼竜の持つユーベルコードは計3つ。
力に任せた急降下からの爪の一撃から毒を持った尾による突き刺しの2連撃を行うワイバーンダイブ。
素早く飛び上がり、自分の眼下にいる対象の攻撃を予測し、回避する飛竜の知恵。
急降下から咆哮と共に衝撃波を放ち、爆風により対象の動きを一時的に封じるワイバーンブラスト。
ワイバーンブラストは魔力を使った攻撃みたいじゃなーと最後に付け加えた。
「当然強敵じゃけど……何があってもちゃんと連れて帰るけー、宜しくな。」
不安を掻き消す様に、最後に明るく笑った。
アネット・レインフォール
●心情
ふむ…。好戦的だが、だからと言って自信過剰なタイプでも無さそうだ。
一言で表すなら「知恵者」と言った所か。
厄介だが慎重になるばかりでは決定打を与えられないし、ここは大胆に行こう。
●基本
【POW】
※他に猟兵がいる場合は連携も検討する
【残像】で移動&攪乱しつつ黒剣を力任せに叩き込む。
刃が通らない場合は【力溜め】も併用し、【生命力吸収】で長期戦に耐えられるよう身構えを。
攻撃部位は分散するように見せかけて、逃がさないよう翼の同じ個所を集中的に狙う。
余力があれば【デュエリスト・ロウ】で「飛ばないこと」をルールとして試す。
野盗の装備類が現地に残っていれば牽制かルール破り用途に使わせてもらおう。
(無駄な争いを必要とせず、着実に地盤を固めつつ、住処を侵すことを許さない。知恵者だな。)
翼竜が翼を広げて見せている間に、アネット・レインフォール(剣の家庭教師・f01254)は砂色の竜をそう評し、愛用のマフラーを靡かせ、駆け出した。
残像で撹乱しつつ、四肢、頭、翼、各所を軽く斬りつけ、感触を試す。流石に偽の剣撃では鱗に傷一つ付かず、徐々に徐々に翼へと収束させていく。その際もフェイント気味に、各部位を浅く斬りつけることも忘れない。
「ここだっ!」
力を入れた実の一閃は、翼竜の鱗を裂くには至らなかった。軽く舌打ち。攻撃の手を緩めず、合間に口で手袋を外し、手袋を投げ付ける。
「地に足を付けろ。」
身じろぎすらしなかった、翼竜はその言葉に反応するように、飛び上がった。生体構造として翼がある相手に、このルールを守らせることは難しい。呪いは効果的に発揮されず、少ないダメージを与えるに留まった。それは何より黒剣に蓄えられた、微量な生命力が物語っている。
「……来るか!」
攻撃の手を一旦止め、高速で上昇していく翼竜を警戒する。咆哮。真上から襲う刃物の如き剛爪を、その目と耳で捉えることが出来た。猛攻による消耗がなければ、身体の反応も間に合っていただろう。一瞬の遅れ、致命的な隙。
(不味い……ッ!)
ぐいと、背の衣を誰かが引っ張る感触。身体が勝手に宙に浮く。間合いから逃れ、辛うじて難を逃れた。追撃の尾から逃すように、軽く放り投げられる。
「……ただで帰るつもりはない。まだ、動けるな?」
「礼を言う。勿論だ。」
白衣白髪のヤドリガミの語りかけに、黒剣に蓄えた生命力で体力を補完する。侮っていた訳ではないが、アネットは活を入れ直し、構えを取る。
「恩義に報いよう。」
成功
🔵🔵🔴
白波・柾
ついに現れたか……
やっと探し出したんだ
ただで帰るつもりはない
無論、奴も俺たちをただで帰らせてはくれないだろうが
さあ、尋常に―――勝負だ
基本は可能ならヒットアンドアウェイ
正剣一閃で攻撃
猟兵仲間とは敵の行動の特徴、負傷状態等を含めて声かけ等で情報共有
連携がなければ勝てない敵であることは明白だ
俺は俺の役目を果たすべく、前衛としてアタッカーの役割をこなそう
ただし無理はせず、危険と判断したら退き、いけると判断すれば畳み掛ける
臨機応変に、柔軟に対応していこう
強敵であるのだから油断はできない
先陣を切ったアネットをフォローしつつ、手を考える。鱗は頑強、動きは俊敏、飛行速度も同様と来る。翼を持った大型生物は厄介極まりない。
(が、アネットは目で追えている。対応も速い。頼もしい限りだ。)
連携がなければ勝てないのは明白。此方の手札は積極的に切らねばならない。長期戦は不味いが、頑丈さを考えれば、そうならざるを得ない可能性も高い。
「不安要素ばかりだな。」
嫌になる。独りごちて刀を逆手に構えた。不幸中の幸いと言うべきか、飛膜は若干脆いようだ。アネットの付けた刀傷が幾つも残っている。
「叩き落としたければ……か。良いだろう。」
どう取り繕おうと貴様は強者だ。多勢ではあるが、こう行こう。いざ尋常に。
「勝負だ。」
己の全てを賭け、使える札が無くなろうと、増やしてみせよう、仕留めてみせよう。この身一振り、それを信条とするが故。
「狙いは翼! 合わせ、頼む!」
「心得た。」
アネットの合意と共に、加速。残像を作りながら、アネットと剣を交え、虚実を互いに変化させ、斬撃を何合も、何合も重ねていく。煩わしいと思ったのか、咆哮。口が開く前に情報を共有し、後退。開戦から再び、嬉しそうに喉を鳴らす。
「その僅かな隙を」
逃すと思うな。防具解除。腰を低く落とし、上段に刀を平行に構え、片手を軽く添える。戦闘で高揚した精神を利用した、瞬間極度集中。僅かな時間、世界が酷く遅れて見える。
穿て……
地を蹴る。
穿て……
飛び上がろうとする目標を見据え。
穿て!
「……貴様の為の、俺の一刀だ―――良く味わえ。」
正剣一閃。翼竜が飛び上がる直前、飛膜に確かな穴が一つ、刻まれた。
成功
🔵🔵🔴
八尾・空子
ふむ、動物たちと約束してしまったしの。交わした約束を守らぬのは妾の沽券に関わる。ぬしに恨みは無いが死んでもらうとするかの。
【フォックスファイア】を使用
【高速詠唱】で発動の隙を減らし【第六感】で相手の行動にあたりをつけつつ12個の狐火を逃げ場のないように包囲射出し【フェイント】を交えつつ【二回攻撃】で攻撃してゆくぞ。
【ワイバーンブラスト】に対しては【第六感】で回避。若しくは【衝撃波】で相殺を狙ってみるするかの。
形勢不利とみたらさっさと撤退する。命あっての物種じゃしな。
「若人は元気じゃのう。あやかるぞ?」
前線を維持し、撹乱し、注意を引き続けるアネットと柾を見て、後衛に陣取った八尾・空子(妖獣 五尾の空狐・f06432)が緊張感の無い口調で呟くと、高速で呪文を紡いでいく。危険を察知したのか、体勢を崩した翼竜が、空子の方を向く。
「天狐地狐空狐赤狐白狐稲荷の八霊、五狐の神の光の玉なれば」
計12の篝火が彼女の周りに出現し、仄かに照らす。翼竜が彼女に向かうのを、前衛が食い止める。
「誰も信ずべし心願を以て空界蓮來高空の玉神狐の神、鏡位を改め神寶を於て七曜九星 二十八宿……」
徐々にそれらは大きくなり、敵の移動を予測し、囲むように配置する。
「まだか!」
食い止め、注意を引き続けるにも限界がある。柾が限界が近いと伝える。幸い、アネットは生命力吸収で多少はマシの様だが、それでも辛いことには変わりない。
「もう少しじゃ、焦るでない!」
声を荒げるが。集中は切らさず、ゆっくり、ゆっくりと狐火を練り上げる。
「稲荷秘文 慎み白す! ……動物たちと約束したからのう。」
育ち上がった大きな狐火が、12方向から一斉に竜を追って収束する。
「ぬしに恨みはないが、死んでもらうとするかの。ああ、離れんと巻き添えにするぞ?」
手加減できる相手ではないからのう、とその言葉が届く前に、飛び退くのが見えた。焼かれ、苦悶の咆哮が聞こえるも、飛び上がったのが見えた。
「……最大火力なんじゃがな。後は燃やし続けてみるしかなかろうて……」
指先で数度、虚空を切り、狐火に分解と追撃の指示。だが、目が届かない場所まで追うことは出来なかった。
「この辺りかの、む……!」
耳を傾けるまでもない、急降下の風切り音、すぐさま、狐火を向かわせる。宛が外れた。敵の動きを見て次を……
「飛び退け!」
柾に促されるが、術の制御に相当の神経を費やしている空子には無理な相談だ。
「無茶を言うでない!」
次の瞬間、咆哮が耳をつんざく。どうにか制御とは違う字を指先で切り、風の法術で同時に放たれる衝撃波の軽減を試みた。
「間に合ったか、の……地に転がるなど久しぶりかもしれんな。ただで起きたりはせんが、のう?」
相殺はしきれなかったが、威力は最小限度に留められ、小さな爆風に身を軽く転ばされる。飛ばされている最中、狐火へ再指示。再び砂色の身体を灼熱に染めていた。
「しかし、厳しいのう……」
今回は助かったが、そう何度も続きはしないだろう。沽券は大事だが、それは生命維持が最低限の条件だ。引き際を考えながら、戦場を眺めると、空子は再び、狐火を操り始めた。
成功
🔵🔵🔴
佐之上・権左衛門
生きる為に殺して食らうのは自然の摂理。
まぁそれは仕方ない。
俺等だってそうだし、これからもそうなんだろう。
だが少しばかりやり過ぎだ。
お前さんに恨みはないが狩らせて貰うぜ。
愛用のグレートアクスで単身ワイバーンに突貫、『二回攻撃・鎧砕き・範囲攻撃』でその命を削りにかかる。
空に逃げられても左手指に仕込んだピアッシングニードルで『傷口をえぐる・串刺し』による対空砲火を。
回避はワイバーンダイブを想定してちょこまかと不規則に動きながら戦う。
「生きる為に殺すのは自然の摂理。まあそれは仕方ない。」
いつかと同じ様に紫煙を燻らせながら、佐之上・権左衛門(何処にでもいる冴えないおっさん・f00239)は灼熱と化した戦場で、ふらりと愛用のグレートアクスを片手に提げる。
「俺らだってそうだし、これからもそうなんだろう。」
草の残っている煙草を放り投げ、軽く踏みつけて消化する。
「だが少しばかりやりすぎた。お前さんに恨みはないが……」
サイバーレンズの奥の目が戦意にギラつく。ぶらさげていたグレートアクスを両手に持つと、一部の人工筋肉が軋みを上げた。構え、強化された神経系を一気に励起させていく。
「狩らせてもらうぜ。」
板金入りのトレンチコートの重量を物ともせず、周囲の事などお構いなしに高速で突貫する。
「暫く好きにやらせてもらう。そっちはそっちで頑張ってくれよ?」
返事など待たずにグレートアクスで勢い良く頭を叩く。発生した遠心力を殺さず、回転から跳躍、上から叩き付けた。余裕を見せていた翼竜が、初めて悲鳴じみた唸り声を上げる。頑強な鱗が一部剥がれ、下の皮膚が顕になり、確かな刀傷が刻まれた。
「頭はこんなもんだろう。」
動きを止めること無く前足を同時に薙ぎ払い、回り込み胴体を横に引っ掛ける。たまらず空へ逃げようとする翼竜を。
「逃さねえよ。」
掌を宙空に向け、ロック。関節内臓の超硬質のセラミックニードルを連続で射出。大きく開いた傷口全てを的確に抉っていく。何時の間にか炎が纏われていたのは、多分空子がやったのだろう。
怒り狂いながら地面に落ちた大型生物を総出で追撃し、着実に損傷を広げていく。
「……」
噛みつき、薙ぎ払い、それらを確実に避けながら、細かに位置を変える、その時を見極める。
「そろそろかな?」
咆哮、咆哮。怒りに猛る翼竜が、炎に包まれたまま、その身をもたげて空に飛び上がる。
「捕まえてみな……!」
急降下からの爪撃は、絶えず動く権左衛門を捉える事はなく、空振り、地にその爪痕を残す。生命の危機を感じた翼竜が、怒りに狂っていく。
大成功
🔵🔵🔵
ロー・オーヴェル
高い崖の上に居を構える
「つまり、自分が何かを見下ろすのは好きだが、自分が何かに見下ろされるのは嫌いってトコかね」
いい感じに傲慢な性格だな
既に開戦済だし
味方が敵に攻撃して出来た隙や
敵が味方に攻撃して出来た隙を活用して【シーブズ・ギャンビット】で攻撃
戦闘中は上記の隙が効果的に活用できるよう
敵の視線が届きにくい位置を逃さず保てるよう極力留意し
敵の動きを観察する
可能ならば上記観察で判明したことを
共に戦う者たちにも伝達
それで対策を打たれるかもしれないが……その時はまた考える
名乗りを上げて真正面から堂々となんて
騎士様のような性格はしてないんでね
シーフはシーフらしく……というより俺は俺らしくやらせてもらうさ
「……ああ、やっぱそうなんだな。」
戦況を常に把握しながら、敵の目を掻い潜りつつ、隙が出来れば奇襲を繰り返していた、ロー・オーヴェル(スモーキークォーツ・f04638)は、岩陰に身を隠し、生命危機に怒り狂う翼竜を盗み見ながら、自分の考えは間違えてなかった様だと、煙草を携帯灰皿で潰しながら、改めて口にする。
「自分は見下ろすのは好きだが、見下されるのは嫌いってコトか。良い感じに傲慢だな。反吐が出そうだ。」
観察で得た情報は都度共有の方針だったが、権左衛門の猛攻のお蔭で、狙える箇所が随分増えた。もう少し攻めに手を回せそうだ。判断し、愛用のダガーを翻した。
「生憎と、小奇麗な戦い方は知らないんでね。」
翼竜の眼前にあえて身を晒し、噛み付こうとしてきた翼竜に上着を投げつける。牙が皮膚を掠めそうな、ミリ単位で見切りながら、一瞬の視界潰し。もう少し砂があれば、或いはそちらを使っていたか。或いは気にも留めない可能性があるか。衣を振り払うように首を左右に振る翼竜が、ローを捕捉するのが一瞬遅れる。
「虚仮にされる気分はどうよ? 愉快だろう?」
理解していない可能性が高いが、逆上を誘う様に語りかけながら、背に登ったローが、柾が開けた飛膜の穴をダガーで思い切り良く一閃し、穴を広げる。翼を引き裂かれる痛みに、身をよじる。
「おまけだ。受け取っとけ。」
落ちる前にもう一方の飛膜を狙って跳躍、逆手のダガーが、狙い通りに小さな穴を開けた。大きく口を開け、脅すように咆哮。空へと身を投げ、睥睨する。
「まだ飛べるのかよ……」
我ながら良い一撃を入れたと自負しているが、呆れた頑丈さだ。辟易する。
「だが、もう一押しってトコか?」
後は我慢比べだ。煙草が切れる前に終わることを願いながら、ローは再び、戦場を静かに駆け抜ける。
成功
🔵🔵🔴
ティエル・ティエリエル
「ようやく、ワイバーンの位置が特定できたんだね。これからが本番だよ!」
むぅ、悪さをしないなら……そっとしておいてあげてもよかったんだけど……
戦闘では相手の周りをうろちょろと飛び回って敵の意識をこっちに引き付けるんだ!
避けれそうにないワイバーンブラストによる衝撃波と爆風は防御が得意な味方の後に隠れさせてもらおうかな?
もちろん、その後はボクに任せておいてよ!ボクのユーベルコードの出番だよ!
ワイバーンの攻撃で傷ついた仲間の周りを忙しく飛び回って【小さな妖精の輪舞】を使ってどんどん癒していくよ☆
翅から舞い散る妖精の粉は荒野でだってキラキラ光って見えるんだから♪
「むぅ、悪さをしないなら、そっとしておいてもよかったんだけど……」
何処かで聞いた様なぼやきだが、当事者として考えるなら、彼女の方が正当性は高いだろう。ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は臆すこと無く、滞空中の翼竜の高度まで、20cmもない妖精の体躯を羽ばたかせ、飛び上がった。冷静さを取り戻そうと飛び上がったのだろう、しかし飛膜にダメージを負った分、随分と調子が悪いようだ。翼竜は煩わしげに、小さな訪問者を追い払おうと頭を振り、噛み付こうとするが、ティエルも必死に攻撃を避ける。
「当たらないよーだ! ノロマのウスノロトーカゲっ!」
ご丁寧にまぶたを下に引っ張って、舌を出す。挑発の意を介したのか、煩わしさが上回ったのか、ひらひらと飛び回る小さな体を吹き飛ばすかのように、咆哮。音圧が衝撃波となってティエルを軽々と吹き飛ばす。
「わわわっ!」
空子が己の元に飛んできたティエルを見て、それをフォローした。
「大丈夫かえ?」
「ありがとっ! 皆はどうかな?」
「ふうむ、まあ妾は見ての通りじゃが……他は疲れておるじゃろう。あの挙動だからのう。それで?」
「防御は得意かな?」
「ぬし……まあ良かろうて。形勢は随分傾いたようじゃしのう……」
中々見所がありそうな妖精である。空子は此方に分があると踏んでいる様だ。戦場にまだ居るのがその証拠だろう。
「完全な無効化となると、骨が折れそうじゃが……さて」
妖精を探し、羽ばた翼竜を目にし、どの術にするかをさっさと決める。
「単純なのにするかのう。」
計九つ字を切りながら、同字数の呪文を紡ぐ。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前。護法調伏、ここに奉る!」
急降下、咆哮から発射される衝撃波に調伏の魔力を合わせ、相殺。爆風から護法で身を護る。
「随分と、軽くなっておるのう。痛かったかえ、熱かったかえ?」
良い気味じゃ、と愉快そうに目を細めていると、背後に居たティエルがひょっこりと顔を覗かせる。
「ありがとっ、それじゃ、ちょっと行ってくるねー!」
「やれやれ……調子が少し狂うのう。」
仕事の代価は鱗粉とした。何せ、強い癒しの魔力が籠もっている。
「使うのは勿体無いからのう。」
僕に任せてと言わんばかりの勢いで皆の方に飛んでいくティエルを見ながら、鱗粉を適当な巾着に詰めた。
「ボクの翅の粉には傷を癒す力があるんだよ☆ それじゃあ、いっくよー! みんな治っちゃえ♪」
言葉とともに妖精の粉を皆に振りまいていく。体力が戻ってくる感覚に皆が思わず感嘆して声を漏らした。
「有難い!」
前線で注意を引きながら高速移動を続ける柾、アネット、権左衛門には、生き返るような心地だっただろう。
「さあ、もう少しだよ。がんば……って。」
反動で倒れたティエルを、ローが一旦、安全な場所に移動させた。
成功
🔵🔵🔴
逢坂・宵
さて、ついに見つけましたか
この場の主人にふさわしく、強大な敵です
一瞬たりとも油断はなりませんね
彼も生きるために必要なことを成しただけなのでしょうが
僕たちも僕たちの生活を守り、テリトリーを整える責任があるのです
貴殿と僕たち、どちらが強いか比べましょう
ワイバーンダイブが一番厄介そうですね
一度外せば次も当たらないとはいえ、命中率はそれなりでしょう
しかし、翼を負傷してしまえばその精度も落ちるはず
その時が好機です
僕は能力的にも前衛を張るタイプではありませんから
前衛や仲間の援護に回りましょう
後ろから戦況を確認しつつ
声かけで情報の共有をしていきながら
エレメンタル・ファンタジアで応戦しましょう
後衛に目を向けた翼竜が怒りに唸る。手負いの獣ほど恐ろしい物は無い。空子の隣で一瞬たりとも油断ならないと、皆の援護に回っていた逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は冷静に様子を観察し、気を引き締める。
「形勢は此方に有ります、か。さて、如何しましょうか。」
「妾だけでは火力が足りんからのう。もう一計と行きたい所じゃ、どうかのう?」
「五行は火と風くらいしか使い物になりませんしね……良いでしょう。攻め時と見ます。」
「丸焼きかのう?」
「ええ。美味しく焼けると良いのですが。」
「ぬし、この地で料理などしておらんかったろうに……。」
参考文献がありませんでしたからね、と柔和な笑みを浮かべ、詠唱を紡ぎ始める。
「風は時には我々を導くしるべとなり、火は我々に知恵を与え、時には我々に牙を剥く災禍となる。プロメテウス、エウロスの2神の名の下に、集い給え……」
前線の皆に足止めを願い、魔力を練り、精霊を呼び寄せる。
「廻れ、廻れ―――天離れ。風は渦を成し、炎はとぐろを巻いて、災禍の牙をもって荒れ狂え。同胞への怒りをもって、報復を為すが良い……さあ、始めましょう?」
(制御放り出しおったな! 全く……!)
制御など出来ぬと言わんばかりに、精霊に全て任せきったようだ。あれだけ同胞を食われていれば制御など出来たものではなかったろうが、処理する側としは舌打ちする他無い。
「妾の時の比では無いぞ、退け!!!」
精霊魔法は埒外だが、それぞれが人格を持った五行と考えれば空恐ろしい。事実、呼び寄せられた炎の竜巻は雷すら伴い、翼竜を巻き込んでいく。しかも、数え切れぬ程の怒りと、明確な殺意がはっきりと伝わってくる。
おのれ。よくも。食らってくれたな。許すまじ。殺すべし。同胞の恨み。この手で晴らしてくれよう。機会に。感謝する。
「生きるために必要なことを成しただけなのでしょうが、僕たちも僕たちの生活を守り、テリトリーを整える責任があるのです。そしてそれは、彼等も同じ。ええ、先程彼がおっしゃった通り、やりすぎた結果が此方です。」
魔力を食むとは、直接精霊を殺すことと同義だ。少量なら当然、問題はない。もっと言えば、それらを更に喰らえば、何の問題もない。
「貴殿とどちらが強いか、比べてみましょう。」
翼竜を炎の竜巻が飲み込む。空子が周囲に簡易の結界を張り、どうにか被害を最小限に食い止めたものの、そのダメージは大きい。苦悶の咆哮が、風炎の檻の中から聞こえてきた。
「大莫迦者が……!」
流石に制御を放り出す術師など放っておけぬと、空子が宵に拳骨を食らわせた。
「何をするんです!」
「見てわからんか! 叱りつけておる! 操りきれん術を全力で暴走させるなど、ぬしは阿呆か! いや阿呆じゃろうて。阿呆を真面目に叱る妾も阿呆じゃな……」
筋は良いが、出来の悪い弟子を持ったような感覚を束の間、味わいながら、空子は頭を痛めた。
凪いでいく風炎から、翼竜が再び顔を出す。飛膜は焼き切れ、あちこちに火傷を残し、大きな擦過傷に肉が抉れ、傷口が焼き切られ、然し、まだ健在であった。
「……どう致しましょう、か?」
「呆れた頑丈さじゃ、やはり妾も阿呆じゃったのう。」
幸い、骨格のみを残した翼ではもう飛べないらしい。死力を尽くした咆哮が、二人の耳をつんざいた。
成功
🔵🔵🔴
アネット・レインフォール
◆心
やれやれ…先ほどは皆に助けられたな。
斬撃が効果薄――ならば、内側に響くまで叩くのみだ。
(清槌に換装し)…使わせてもらうぞ?
※攻撃や連携は仲間と合わせる
◆技
攻撃はPOWで【鎧砕き/力溜め】を併用したものを主とする。
出血部位には葬剣、無傷の箇所には清槌と切り替えて対処。
【残像】を使い常時移動することで攪乱と陽動を。
狙われていそうな他の仲間がいるようなら懐のナイフを投擲し注意を引く等のフォローも行う。
◆体
敵が宙に浮き攻撃のモーションを取ったら【武人覚醒】で八相に構えて
喉笛に喰らいつくかの如く【カウンター】を狙う。
もし逃亡の気配を感じたら葬剣を鋼糸状にし、岩に縛るか引き寄せるなどして時間稼ぎを。
ロー・オーヴェル
【真の姿を開放】
恰好は変わらないが幽霊のように
灰色に光るぼうっとした姿
終盤を迎えたなら変に守りに出る必要もない
一気に詰みまでいかせてもらうぜ
「この『灰色の幽霊』が、お前さんを本当の幽霊に変えてやるよ」
真の姿で能力を高めてのダガーによる二回攻撃で終わらせる!
自分や仲間の観察で急所はだいたい判明しているはず
それがわかればそこを一気に
また不明な際は頭部や心臓部(と思われる)箇所への一撃
煙草の煙が空に溶けて消えるように
お前さんも満喫してきた空に還るんだな
「とはいえ……もうその翼で空を駆けることは、もうできない」
そうすれば地上に住む俺たちの気持ちもわかるだろ
……わかったところで、やり直しはできないがね
続いての衝撃波を防ぐように、アネット・レインフォール(剣の家庭教師・f01254)が割り込んだ。
「そこはまだ浅かったな?」
軽く跳躍し、花の文様が刻まれた清槌で頭を横殴り、強打によって発動箇所を強引にずらす。
「先程は皆に助けられたからな、次は此方の番だ……!」
残像を残すほどの高速移動。大仕事も、もうすぐ終わり。敵の動きから俊敏さは失われ、空に逃げる術も失い、残るはその質量と重量と、頭のみ。
「おー、剣士様は頑張るね。相乗りさせてもらおうか。」
ロー・オーヴェル(スモーキークォーツ・f04638)も観察を完全に打ち切り、攻勢に出る。
「注意を引く……でかいのを頼みたい。」
「オーケー。ま、宛はある。」
流石に疲労がじわじわと身体を蝕んできている。顔には出さずアネットが頼むと気楽な返事が返ってきた。
「信頼しよう。」
「俺みたいなのに、そいつは禁句だな。……狙いは決まってる。」
気安い返事と真面目な表情。額を2度ほど指で叩く。役割分担は決まったようだ。
「心得た。合わせてみせよう。」
そうでなければ、ウェポンマスターの字が廃る。正直な柾と違って、ローの動きは読み辛い。虚を突くという一点に特化した、礼儀をかなぐり捨てた闘法。あれに合わせるのは、骨が折れそうだ。しかし。
(面白い。)
やってみせよう。再度残像を作り出し、精神を少しずつ集中させていく。宛は此方にもあるが、制約上、乱発は好ましくない。
(何せこいつはまだ、制御に難がある。)
それでも、一撃分程度ならば躊躇わない。何時でも使えるよう、精神を統一しつつ、翼竜の目を欺き、傷口を抉り、追い込んでいく。焼け爛れた鱗を狙って尻尾を切断する。地が飛沫を上げて飛び散るが、それが肌に触れるより早く、その場から離れ、清槌に切り替え、強打。武器の切替には刹那ほどの遅れもなく、字に相応しい鮮やかさで、翼竜を翻弄していく。
一方のローはその様子を見据え、機を伺う。徐々に徐々に、その身体は変化していく。肉体が失われたような、灰色の灯火が人の形を象った、亡霊の様に。
翼竜が痛みに悶え、首を軽く振るのを好機と捉え。
『見せよう――剣戟の極地の一端を!』
「この『灰色の幽霊』が、お前さんを本当の幽霊に変えてやるよ。」
権左衛門が付けた頭の刀傷を更に抉るように、八相の構えからの渾身の唐竹割り、更に、亡霊となったローの短剣が、揺らめくような軌道を描き、振り抜かれる。真の姿が開放されたローの剣閃は、アネットにも目を見張る物があった。
脳に損傷を負った翼竜は悲鳴を上げ、その場に倒れ伏す。マッチで軽く煙草に火を付け、紫煙を燻らせる。
「……煙草の煙が空に溶けて消えるように、お前さんも満喫していた空に還るんだな。」、
楽しかったか、空は。そりゃあ、楽しいよな。ローの姿は何時の間にか、平常時に戻っていた。誰だって一度は焦がれるだろう。あの抜けるような青空に手を伸ばして、飛び回ることを夢に見る。その先の結末は大体が決まっている。
「空を駆けることはもう出来ないだろうが……そうしていれば、地上に住む俺たちの気持ちも分かるだろう。……わかった所で、やり直しは出来ないがね。」
或いは来世……それを信じるほど、ローの精神は未熟ではなく。煙草の煙だけが、この竜に対する弔いだった。
終わったら宴と行きたい所だが生憎の荒野だ。味気のない蜥蜴肉と少しの水が……
「待つのじゃ、約束を果たしておらん。」
「は……?」
「動物たちと約束したからのう……あそこにばら撒いていた罠は外すと、のう?」
「そーそー! 聞いたけど、可哀想だよ! こんな所で必死に生きてるのに!」
「約束は守らねばな……」
「仕方ないでしょう。」
「約束か……約束なのだな?」
「帰るなんて言ったら、同じ愛煙家として、どうかと思うしな?」
「煙草、もう切れるんだが……」
最後のダメ押し、重要な情報を貰った恩人だ。頭の栄養源は不足はどうにか堪らえよう。
「手が震えるんだが、そこは勘弁してくれよ。」
大仕事を終えて、猟兵達は最後の後片付けのために、険しい荒野の道を再び辿る。風が和やかに、その姿を見送った。
成功
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