8
フューチャー格闘プロレス伝ミストラルバウト

#キマイラフューチャー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー


0




●キマイラ有明(fromキマイラフューチャー)
「ブレーンバスターを切り返しての脇固め!」「グワーッ!」
「蟹鋏からのクロスヒールホールド!」「グワー」
「ハイキックから払い腰、そして逆十字!」「グワー!」
「片膝2.5秒フォール」「グワー!」
 プロレス会場として有名なキマイラ有明。
 今、ココは謎のスロット怪人軍団の襲撃を受けピンチに陥った!
「ロープに飛ばないなんて……プロレスじゃない!」
 団体のエースにしてカエルのキマイラ、フロッグ光晴がノックダウンした身体を起こして投げ込まれたマイクを持って叫ぶ。
「プロレスじゃない? 勘違いしていないか?」
 額に「U」という文字が書き込まれた覆面怪人がこれまた投げ込まれたマイクを持って肩をすくめる。どうやら彼が怪人軍団の頭目だ。
「我々Uの遺伝子を持つ男達――Uの一族がそんな八百長なんかするわけないじゃないか。プロレスファンの皆さん目を覚ましてください!」
 突然の八百長にどよめく会場。
 だが、彼はそれをものともせずリング中央で高々と人差し指を掲げた。
「プロレス嫌いなもの、この指とまれ」

●グリモアベース
「U系プロレスって知ってるか?」
 トラガン・ストイコブッチ(ブッチ軍曹・f04410)はつまらなそうにコーヒーに何か粉を入れて飲む。
「……マタタビだ、お前らも入れるか?」
 反応が無いことを悟るとケットシーのグリモア猟兵は話を続けた。
「昔、UDCアースの日本で流行った格闘系プロレスの一派だ。総合格闘技の隆盛と共に自然消滅したんだが……」
 コーヒーの湯気で髭をしなびかせながら、猫軍曹は本題に入る。
「何故か、キマイラフューチャーで復活して『Uの一族』と名乗って月一回のペースでプロレス団体を襲撃している。幸いにも襲撃直後の奴らと戦うタイミングで予知を得た。なので行ってもらいたい」
 ブッチ軍曹はコーヒーを飲み終えると。
「分かってる、これはプロレスってやつだ。既にショーと認知されたジャンルだ、だが怪人達は今も最強の夢を追っている。普通に格闘技で倒しても良いし、プロレスしてもいい……自分はプロレス知らんけどな。とにかくまあ、人は選ぶと思ってる」
 あっさり、ぶっちゃけた。
「分かったか、じゃあ装具を点検し、時計の時間を合わせろ。ゴングが待っている!」


みなさわ
 三本目のOPはみんなを置いてく勢いで作りました。
 どうもみなさわです、皆さんには格闘プロレスっていうニッチジャンルと相手をしてもらいます。
 純粋に格闘技を挑んでも良いですし、プロレスしても良いです。

●Uの一族
「Uの遺伝子を持つ者」と自負する、格闘プロレスが最強だった頃の夢を追い求める悲しき怪人たちです。その証として膝から脛、足の甲まで覆う防具「レガース」を身に着けています。
 また、「タカダマン」「フジワラマン」「スーパータイガーマン」などの名前を持つものが居ます、プレイングの冒頭で指名していただけるとひょっとしたら戦えるかもしれません。(指名者複数の場合は抽選となります)

●今回の技能とかユーベルコードについて
 まず敵のユーベルコードは無視しよう。次に自分のユーベルコードと技能で戦い方と対策を模索してください。臨機応変で済ますと多分負けます。

●真の姿について
 皆さん、自分の真の姿があると思いますが今回は「身体が光って7000万パワーがプラス」だけです。
148




第1章 集団戦 『スロットマシン怪人』

POW   :    プレジャー・プリーズ
自身の【刹那的な楽しみ】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    スリーセブン・スラッシャー
【頭部のスロットをフル回転しての連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ロスト・ロケット
自身の装備武器に【遺失技術製のロケットエンジン】を搭載し、破壊力を増加する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●キマイラ有明
「プロレス嫌いなもの、この指とまれ」
 額に「U」という文字を書かれた覆面を被った怪人が指を掲げた時だった。
「ほう、猟兵のお出ましか?」
 怪人は君達の姿に気づき、指を差す。
「猟兵だって!?」「やった、俺たちのヒーロー!」
「イエーガー!! イエーガー!!」
 会場に響き渡るイエーガーコールの中、怪人はマイクを掴むと。
「よろしい、ならば我々も本当の姿を見せてやろう」
 覆面の怪人の言葉に応えるように背後にいたスロット怪人軍団の身体に亀裂が入る。
「知っているかね? 我々怪人の中にはオーバーボディを身に着けているものも居ることを」
 金属の割れる音とともに現れるのは頭だけスロットマシンとなった、均整の取れた筋肉質の集団。皆、一様に黒のショートタイツにレガースのU系スタイル。
「まずはこのスーパー・スロット・マシン。略してS.S.マシンと勝負してもらおう、試合形式はシングルマッチ及びタッグマッチ。ルールはそちらに任せた、受けてみるか猟兵!?」
 マイクを叩きつける覆面怪人。
 盛り上がる会場。
 ――舞台は整った!
浅杜守・虚露
「マシンと言えばコレもいるじゃろう!のぉ!」
『リストラBOX』と書かれた人一人入れそうな鉄格子を引き摺って会場入り。服を脱ぎ捨てスパッツに膝パットリングシューズという出で立ちでリングに上がり、ユーベルコードを使用。
「至極簡単、『わしとお前、ギブアップした方が敗け』じゃ。相撲仕込みのおっつけと閂、間接技っちゅうもんをみせてやる」
閂からのフロントスープレックスや小手投げ風の崩しからの腕固め、おっつけで相手の腕を制しつつのチョークスラムなど相撲とプロレスの合わせ技を魅せつつ、最後はプロレスならではのサブミッション、アルゼンチンバックブリーカーでS.S.マシンからギブアップを奪っていく。



●1stBout 浅杜守・虚露(f06081)vsカッキーマン(S.S.マシン)
「マシンと言えばコレもいるじゃろう! のぉ!」
『リストラBOX』と書かれた鉄格子を持って一人の相撲レスラーが入場してきた。名は浅杜守・虚露。
 服を脱ぎ捨てスパッツに膝パット、リングシューズといういで立ちでリングに上がる彼に対してS.S.マシン達の反応は冷ややかだった。
「ミーヤマママママ、お前はUの一族がプロレスをやると思ったのか?」
 独特の笑いから一人前に出る、スロット怪人。
「それともプロレスをしたくなるように引き込むのか? 我々がどんなスタイルかも理解しないお前に?」
 構えるのは典型的なシュートスタイル、打撃に追い込む狙いだ。
「そうは思っちょらん、だからこそ――」
 だが柏手と共に鮮烈な衝撃波がリングを覆った。
「至極簡単、『わしとお前、ギブアップした方が敗け』じゃ。相撲仕込みのおっつけと閂、関節技っちゅうもんをみせてやる」
「ミーヤマママ……ユーベルコードをそう使うか」
 感心したS.S.マシンを別のスロット怪人が止める。
「よせ、カッキーマン! お前はストライカースタイル、関節技は不利だ!」
「止めないでくださいよ、タムラマンさん。奴は俺達のスタイルをあの鉄格子で侮辱した、だからこそ俺がやる。Uの遺伝子が本物であることを見せるんだ」
「カッキーマン……」
 S.S.マシンの決意を悟り、リングを降りるタムラマン、他のスロット怪人もそれに続く。
「つまらないところを見せてしまったな。改めて名乗ろう。俺の名はS.S.マシン――カッキーマン」
「――浅杜守・虚露」
 お互いが名乗ったのを確認すると虎のキマイラレフェリーが両者の間に入り、そして
『ファイッ!』
 ゴングを要請した。

 お互いが構える中、最初に動いたのはカッキーマン。切れの良いローキックが虚露の太腿を痛烈にヒットする。
 それでも相撲をバックボーンとした圧力をかける動きに怪人は組み付きを許してしまう。スタンディングでの腕の差し合い、取り合いの攻防。立った状態で腕を取るテクニック長じているキマイラの破戒僧が追っ付けからの閂へ移行し、腕関節を極め、相手の重心を上げればそこからフロントスープレックス。
 リングに仕込んである衝撃吸収他を兼ねているスプリングが跳ね、マットが音を立てる。すぐに怪人が受け身を取って亀の状態から猟兵の腕を引き込めば、脇固めを察知した虚露が前転。反応するカッキーマンも即座にポジションを変えて腕ひしぎ逆十字へと移行、それを破戒僧は立ち上がることで回避し、その場を離れた。
 ……会場がどよめきに支配された。

 勝負は一つの流れが出来つつあった。怪人がマシンガンのような掌底を繰り出せば。ぶちかますように身体を当て、小手投げから腕を決めようとする猟兵。また不用意に虚露が前に出れば圧し潰すようにがぶって首を極めネックロックへと持ち込むカッキーマン。
 打撃を如何にかいくぐり、投げて腕を極めていく。猟兵がそんな戦いを望めば。徹底的な打撃と、ネックロックを中心とした関節技を極めていく怪人。
 しかし、勝負の流れは怪人側に傾いて行った。
 痛烈なローキックが決まり、猟兵の膝が耐え切れず曲がる。豊富な攻め手を用意した虚露が唯一失念していたもの――相手の攻撃をどうするか。
 受ける決意があれば耐えきれた。徹底的に回避する考えがあれば、まだチャンスはあった。お互いの実力がほぼ拮抗していたが故、戦いに対する指向が、レスラーにおける受け身のスタイルを決めなかったことが勝負を分けた。
 鋭い大外刈りが力士を刈り、袈裟固めから腕を極める段階で猟兵の手が二回叩かれた。
 ゴングが鳴った。
 レフェリーが割って入り、虚露が身を起こしたとき、怪人は正座をしてリングに頭をつけるように礼をした。
 それはUの一族が対戦者に対して行う最大限の敬意であった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

クレイン・メニータイムズ
えっと、あの、ごめんなさい。腕なくてごめんなさい。足6本あるんですがその……私に人間用の技って決められるのでしょうか?動物用の技があるなら良いのですが。6本足に対応しているのでしょうか?

あ、あるんですか、さすが奥深いです。長年愛されていただけありますね。
ではバウンドモードでちょっとばねみたいになりますね。
たぶん、たぶんですが……私の世界で格闘術より射撃、剣術が磨かれたのは
私たちのような不定形の生物がいたせいなんでしょうね。

この状態はスピード特化になりがちですが、バネという特性は好みです。
どちらかと言えば力自慢ですからね。
ばね状の身体を使って超変則コブラツイストで頑張ってみましょう。



●2ndBout クレイン・メニータイムズ(f08752)vsヴォルクマン
「えっと、あの、ごめんなさい」
 まず謝罪から始まった。
「腕なくてごめんなさい。足6本あるんですがその……私に人間用の技って決められるのでしょうか?」
 ブラックタールであるクレインの肉体は腕の無い六本脚の人馬そのもの。確かに腕関節を極めることは難しい。だが……。
「大丈夫デース」
 S.S.マシン第二の刺客ヴォルクマンはロシア訛りの言葉と大きな掌で懸念を払拭した。
「ワタシ達Uの一族、関節無理なら蹴ればいいのデース。デスガ、ワタシもう一つテクニック持ってます」
 怪人が腰を落として構えた。
「アイ アム コマンドサンビスト」
「あ、あるんですか、さすが奥深いです。長年愛されていただけありますね」
「愛されていると言われて光栄デース、Uの一族を代表して礼を述べマース……そして六本の脚全て折りマース」
 物騒な言葉にブラックタールも戦闘態勢に移行する。そして服部と呼ばれる虎のキマイラのレフェリーがゴングを要請した。
 甲高い音がなった直後、リングに上がった芸術家見習いの身体が跳ねた。

「バウンドボディ――ユーベルコード!?」
 縦横無尽に跳ねるクレインの動きに怪人の頭のスロットが回る。
「たぶん、たぶんですが……私の世界で格闘術より射撃、剣術が磨かれたのは
私たちのような不定形の生物がいたせいなんでしょうね」
 跳ねまわる猟兵の中心で一人立ち尽くす怪人。しかし、ヴォルクマンのスロットが回転を止め「自己」「防」「衛」の出た瞬間。身を翻すように回転して放った裏拳がブラックタールを捉える。カウンターの一撃が本人のスピードも乗っていたこともあって人馬の巨体を大きく舞わせ、リングの上で跳ねる。
「ヴォルクとはロシア語で狼を意味シマス」
 倒れた人馬の脚を怪人が捕らえる。
「つまりアナタを肉食獣のようにハントするのデス」
 動物の脚にも関わらず正確に足首を極める。アキレス腱の切れる音をクレインは聞き、直後激痛が第六肢に走った。咄嗟にロープを掴む芸術家見習い。キマイラのレフェリーがブレイクと叫んで両者を引き離す。
 勿論、ヴォルクマンはこれに従う。ルールを守るのがUの遺伝子だからだ。

 戦いは続く。
 再びバウンドモードで跳ねまわる人馬に怪人は一本、また一本と足関節を極めて機動性を奪っていく。
 彼女もまた防御を失念していた、故に足を極められ傷ついて行くのだが幸いだったのがバウンドボディ故の伸縮性と弾力性がダメージを少なくしているところ。故に怪人の関節技も制限され、容易にギブアップをとることが出来なかった。
「アキレス腱、クロスヒール、膝固め、足首固め……何とか四本もぎ取りました、まだ戦いマスカ? ギブアップしても良いのですよ」
 ロシア訛りの口調で怪人が降伏を勧めれば。
「いいえ」
 応えるのは二本の脚のみで立ち上がる猟兵。痛みで立つのがやっとのはずだが、表情には出さず、支える残り二本の脚の硬さがそれを物語る。
「ワカリマシタ……デハ」
 ヴォルクマンが跳んだ、自らの両足で猟兵の胴体を補足する蟹鋏、そこから関節技を決めるつもりだろう、しかしクレインが待っていたのはそれだって。脚を左派まれた瞬間、上半身が柔らかく動き、相手の上半身をぶどうの蔓が巻き付くように絡めていく。
「ソンナモノ、簡単に……何!?」
 脱出しようと身体を動かそうとした怪人が驚愕する、バウンドモードの弾力性と伸縮性、そしてクレインの怪力がプラスされ。強烈に上半身を締め上げていく。
「ウオオオオオオオ!」
 咆哮を上げ、ロープに手を伸ばす怪人。しかし力及ばす、その身は発条のような身体に締め付けられ、四散する!
 レフェリーが頭上で両手を交差する。試合決着のゴングが鳴り響いた。
「どちらかと言えば力自慢ですからね」
 荒い息を整えつつ、ロープを掴んで立ち上がれば、四散したS.S.マシン怪人を見下ろし、彼女は一言そう答えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

草剪・ひかり
【POW判定】
まさか、この時代に「U」を継ごうとする連中が現れるなんて
これだからプロレスは楽しいよね!

まずはこの私、プロレスリングM.P.W.Cの「絶対女王」草剪ひかり!
普段通りの「魅せる」プロレスに拘って、まずはシングル戦で応じるよ!

筋肉質の覆面男と、伝説的美女レスラーの闘いに会場の熱狂間違いなし?
鋭いキックや関節技に爆乳を揺らして苦しむも
「魅せ」要素の強い(それでいて強烈な)ドロップキックや、背後からがっちり締め上げるスリーパーホールド、爆乳ボディアタックで猛反撃!

最後は得意のジャーマンスープレックスホールドで3カウント!
往年の新○対U○ンターの対抗戦の結果を、これから再現してあげるよ!



●3rdBout 草剪・ひかり(f00837)vsタカダマン
「まさか、この時代に『U』を継ごうとする連中が現れるなんて」
 リングに立ったひかりの顔は笑みに満ちている。
「これだからプロレスは楽しいよね!」
 彼女のUへ対するチャレンジ精神はS.S.マシン怪人達のUの遺伝子を強く刺激した。
「そこまで言うのなら」
 現れるのは怪人の中で唯一紫色のレガースを身に着けた男。
「タカダマンさん!」
「貴方が出るんですか?」
 タカダマンと呼ばれた怪人は強く頷きリングに入る。
「他の者と違い彼女は我々をリスペクトした。ならば我々も本気で行くべきではないのか? それがUの一族、だからこそ――俺が出る! 名前を聞かせてくれないか?」
「プロレスリングM.P.W.Cの『絶対女王』草剪ひかり!」
「草剪ひかりか! 俺はUの一族、S.S.マシン怪人――タカダマン。ルールは……」
 それ以上の言葉は要らなかった。もう二人の戦いは始まっていたのだから。
 三度目の戦いのゴングが鳴らされた。

 軽快なフットワークでリングを動く怪人に対し。重心を落とし、じりじりと間合いを詰めていく猟兵。ロックアップを試みようと腕を伸ばすひかり。しかし返ってきたのはミドルキック。
 揺れる上半身、機を逃さずタカダマンはローキックを叩きこめば女の膝が上がり、ローをいなす。流れるように叩きこまれるミドルキック。腕を前に寄せて胸筋とバストを強調する形でひかりが対応すれば痛烈な一撃が胸元へ叩きこまれ、ダウン。即座に怪人がリストを取れば、猟兵は上半身を起こして回避し、グラウンドでのヘッドロックへ。受けるタカダマンも反応が早い、ひかりの腰がマットにつく前に背中を押して逃れれば、足を胴体に絡めて締めあげる、ボディーシザース。
「あぁぁぁぁぁっ!!」
 胸を強調するようにのけ反れば、絶対女王は声を上げ耐えていく。痛みに耐えつつ猟兵が怪人の太腿へ肘を押し込んでクラッチを解き、立ち上がる。振り向けば相手も既に立ち上がって構えている。
 互いが互いを睨む中、会場を再びどよめきが支配した。

 次に攻めたのはタカダマン。掌打のワンツーを放てば、ひかりはそれを手で払うように受け捌き跳ぶ。矢のように突き刺さるのはドロップキック。基本にして技術の問われるその技を格闘プロレス相手に叩きこんだのだ。頭を打ち抜かれダウンを喫する怪人。猟兵が走り、立ち上がった相手の背後を取ると、スリーパーホールド。
 かろうじて腕一本差し込んだタカダマンがじっくりとロープへにじり寄り、ワイヤーを掴む。
 流れるような攻めに会場から重低音が響く。観客が地面を踏み鳴らす音だ。
 そんな中、ひかりがコーナーポストに上がれば、リングは最高潮。そしてコーナーへ向いたUの一族へダイビングボディアタック。ユーベルコードが織りなすクィーンズ・アブソリュートリィ・アーキテクツ!
「させるかぁ!」
 怪人が咆哮した。ボディアタックを受け止めると流れるように身体を捻り放り投げるようなフロントスープレックス!
 放物線を描いて女がリングを跳ねれば、衝撃を受け止めた男も膝を着く。
 お互いが立ち上がって走った!
 ここが決着の時を決めたタカダマンが右足を踏み込めば放たれるのは鞭のようなハイキック。しかしひかりはそれを両手でガードすると相手の足首をキャッチ。そのまま流れるように身体を滑り込ませ、怪人の左足を捻りあげていく――ドラゴンスクリュー!
「そんな古い技はもう見切っている!!」
 タカダマンが叫び、同じように回転する。お互いが噛み合った車軸の様に動けば、二人ともうつ伏せに着地。勝ったと思ったタカダマンが立ち上がった瞬間、胴体をクラッチする両腕に気付いた。
 もしドラゴンスクリューを受けきった場合、お互いがうつ伏せになる。但しその際に受けた側――怪人は背中をひかりに見せることになり、隙が生まれる。
 それを逃さない絶対女王ではなかった。

 放物線。

 見事なブリッジで放たれたジャーマンスープレックスにキマイラのレフェリーが滑り込む。
「ワン! ツー!」
 一回、二回!
「……スリー!!」
 三……回!!
 マットを叩く。ゴングが鳴り決着がついたことを会場に知らしめた。

「3カウントなんて聞くのは久しぶりだ」
 負けた怪人が笑ったように見えた、レフェリーに手を上げられ勝利をアピールしたひかりへタカダマンが近づくと
「いい試合だった。けど、あんまり胸を強調する必要は無い。俺達相手なら」
「Uの力、凄かったわ! リベンジはいつでもOKよ?」
「いや、リベンジは……出来ない」
 再戦を希望する怪人が首を振り、その横をすれ違うように歩く。視線の先には『U』の文字が書かれた覆面の男が座る本部席。
 覆面の怪人が竹刀を投げるとタカダマンは両腕を広げそれを待ち構える。
「竹刀……ごっつぁんです!!」
 爆発がして、紫色のレガースが転がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アノルルイ・ブラエニオン
このキマイラフューチャーで、ショーを蔑ろにする奴は許せん!
プロレスの流儀でリングに上がろう
ハイ・ファンタジーの刺客、覆面レスラー「エル・ロンド」として!
異種格闘にも挑むのがイェーガー!

入場時【サウンド・オブ・パワー】を大声で歌いながら入場する
自分自身を【鼓舞】するように
共感する対象全てというなら自分も含まれるはずだ!
ピンチの時は歌いながら立ち上がろう

直接攻撃はプロレス技のみ!
力比べを徹底して避け、SPDと【見切り】で回避、打撃技を的確に当てて体力を削る
隙あらば敏捷性を生かした華麗な空中殺法を狙う
フィニッシュホールドとしてエメラルド・フロウジョンを「ブルイネン・フロウジョン」という名で使うぞ



●4thBout アノルルイ・ブラエニオン(f05107)vsオブライトマン
「Uの一族に敗北は許されない」
 覆面の怪人が口を開く。
「何故なら、我々は最強を求め、総合格闘技によって地に落ちたプロレス最強という言葉を蘇らすのが使命。其の為にショーを否定し、敗者は……死を持って償う」
「だからと言って! このキマイラフューチャーで、ショーを蔑ろにする奴は許せん!」
 歌声が鳴り響き、困惑する会場の空気を変える、自分自身も含めて。
「Uの一族! ハイ・ファンタジーの刺客、覆面レスラーエル・ロンドが相手だ!」
「覆面レスラーか? どうして皆プロレスをしたがるのか……オブライトマン、行け!」
 覆面男の命令を受けて、大柄のS.S.マシン怪人がリングに上がった。

(訂正)

●4thBout エル・ロンドvsオブライトマン
 ゴングが鳴り、両者が距離を詰める。
 オブライトマンが大柄な体形を活かす投げ技を狙うかのようににじり寄れば、ギリギリで回避して、打撃を叩きこむエル・ロンド。
 展開を見れば、最初の戦いを連想させる動きであった。違うと言えば、猟兵が力比べ――組み合いを徹底的に避けた事。
 素早さに加えて攻撃を見切ることに徹すれば、Uの一族と言えど、ダメージを受けるのは免れない。
 だが、相手もUの遺伝子を持つ男。このままの流れでは終わることはない。それは早い段階で訪れた……。
 じりじりと体力を削り続け、オブライトマンの動きが止まったところに、エル・ロンドが空中殺法を仕掛けたのだ。自らの身を武器として人間爆弾、けれど怪人はそれを受け止めると体格に似合わないブリッジとそしてパワーで持って真後ろへ放り投げる――ベリートゥベリー!
 自分が仕掛けた勢いを逆に利用されマットに叩きつけられる猟兵。衝撃が呼吸が止まる。咳き込みながらもどうにか立ち上がったその腰に、今度は怪人の太い腕が回された。
 それは放物線と言うには乱暴すぎた、投げるというよりは放り投げる。圧倒的な膂力から発揮されるジャーマンスープレックス、またの名をベリートゥバック!
 レスリングの大技がエル・ロンドの後頭部から叩きつけられ、目の奥から閃光が瞬く。
 レフェリーが割って入る。強力な投げ技に猟兵がダウンしたと判断しカウントを始める。
 勝利を確信したオブライトマンがコーナーへと下がる、無情にもカウントは続く。けれどそれを遮るものがあった。
 歌声――サウンド・オブ・パワー。
 エル・ロンドのユーベルコードが意識を鮮明にさせ、身体を鼓舞し、戦意と戦闘力を上げていく。
 立ち上がる猟兵を見てレフェリーが試合を再開すれば、怪人は止めを刺そうと一気に距離を詰め、腕を伸ばす。
 刹那のタイミングだった、強化された戦闘力が感覚を引き上げ、ギリギリの見切りを発生させ、体格差を補うパワーを発揮させる。
「ブルイネン・フロウジョン!!」
 翠玉色の滝から落ちるような鮮やかさでオブライトマンを抱えたエル・ロンドが頭から落とす。
 衝撃を吸収するスプリングが仕込まれたリングが激しく音を立て、そして爆発が二人を包んだ。
 爆煙が会場内の空調で霧散したとき、立っていたのは覆面のレスラーだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カリー・ボーン
・心情:確かに格闘技もプロレスも面白いしなぁ……俺も武技には多少の心得はあるから挑戦してみよう。

・俺は昔ながらのプロレスも好きだから、まずは受ける。打撃は出来る限り体の丈夫なところで。関節や絞め、投げはポイントをずらして……要するに「だまし討ち」の応用だな。決定的なダメージや極めは回避しつつ隙を探ろう。

・「暗殺」を応用すれば相手の隙を狙うことも可能だろうか。俺は悪役が好きなんでね。隠し持っていたグルメツール(先割れスプーン)や噛みつきで反撃開始。相手が冷静さを失ったところでわざと技を受け「だまし討ち」でマサラアグニを噴射。決着はPKからのキャメルクラッチを選択。

・プロレスって面白いよな!



●5thBout カリー・ボーン(f06236)vsスズキマン
 初戦こそ勝ったが、次々と敗れていくUの一族。次にリングに上がった猟兵は頭にカレーをのせた男。
「まさか……」
「……残虐猟兵?」
 観客達のキマイラ因子の奥深くに根付いた何かがその姿にどよめく。だがそれを一陣の風が振り払う。
 風の向こうから現れるのはタオルを頭からかぶったS.S.マシン怪人スズキマン。今、一人の戦士としてリングに上がる。
 風がやみ、男達の視線が交錯した、それで十分だった。レフェリーを務める虎のキマイラが試合開始を要請すると、五回目の戦いが始まった。

 男達が白いマットに円を描くように動き始める、怪人がフットワークを利かして距離を詰めて張り手を叩きこめば、そのままタックルからテイクダウン。183.9cmの巨体をマットに叩きつけて、流れるようにアキレス腱固め。たまらず猟兵がロープに逃げる。
 レフェリーが二人を分ければ、再度スズキマンが掌底のラッシュ。コーナーポストまで追い込まれたカリーが尻もちを着くようにハーフダウンすれば、距離を取り走りこむように顔面を蹴る。ハードヒットにズルズルと体勢を崩していく。怪人が距離は取ればダウンカウントが鳴り響く。
 だが、カウントは思ったより速く中断された。
 立ち上がる多重人格者を睨むS.S.マシン怪人。
「お前、受け身取れるだろ?」
「だまし討ちの応用さ」
 プロレスにおける受けとは頑丈な身体で耐え抜く事ではない。打撃を身体の丈夫なところで受けとめ、投げ技を自ら投げられに行くことでタイミングをずらしてコントロールし、決定的なダメージを避ける。そうでなければショーと言われても、大怪我するのは必至。
 カリーという男はトレーニングの末に身に着けるそれを猟兵の技能で再現したのだ。勿論、怪人とてそれを黙ってみているわけではない、それならば受けられない技をすればいいだけ。KOを狙って顎先への掌底を振るったところで――。
「俺は悪役が好きなんでね」
 カリーの先割れスプーンがS.S.マシン怪人の額にカウンターで突き刺さった!
「反則だ!」
「でも、五秒以内なら許される」
 観客が騒ぐ中、猟兵は額を抑えて倒れているスズキマンに覆いかぶさるとその額に咬みつき始める。
「やっぱり残虐猟兵だー!!」
 反則プレイに場内が悲鳴で覆われる中、レフェリーが必死に割って入る。二人を引きはがせば、怒った怪人が猟兵の頬を張る。乾いた音が響き、カリーがたたらを踏む。
 直後だった、猟兵の口から炎が噴き出すのを。紅蓮の炎に身を焼かれ、怪人がその場に尻もちを着くとその胸元へ走りこんでのキック。そして倒れたスズキマンの顎を掴んでのキャメルクラッチ!
 メキメキメキと背骨から音がなる。耐える怪人に引き裂かんばかりに力をこめる猟兵。
「なあ……プロレスって面白いよな!」
「……ああ」
 カリーの問いにスズキマンが答えたとき、その胴体は真っ二つに引き裂かれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋縅・善蔵
プロレスも相撲も興業なんだから、八百長が有っても別に俺は構わんのだがね。
まぁ、本気勝負したいと言うなら受けて立とう。
戦場では走れなくなった者から死ぬ。プロレスをやるならリングの上こそが戦場だろう。
そして俺はCQCこそやるが、間接技は(やれるけど)やらない。総合格闘技スタイルであり、相手の力を利用して反す合気道スタイルだ。
守りこそが攻撃になる。相手の構えを見極め、俺のように力を反らしたり利用するものであればUCは封印。そうでないならリングの外まで殴り飛ばす。
「中々無い機会だった。もし再戦することがあっても負けてやるつもりは無いぞ」



●6thBout 緋縅・善蔵(f06737)vsフライマン
「プロレスも相撲も興業なんだから、八百長が有っても別に俺は構わんのだがね」
 戦いに備える善蔵の言葉を『U』の文字が刻まれた覆面男が否定する。
「興行であっても最強を目指す、それがUの一族。」
 スキンヘッドの男は肩をすくめて。
「まぁ、本気勝負したいと言うなら受けて立とう」
「ありがたい、ならこっちもUの一族の用心棒を用意しよう! フライマン、行け!」
 ボウルの一杯のヨーグルトをかけたパスタを食べていたS.S.マシン怪人が覆面怪人の言葉を聞くと頷き、パスタを平らげてリングに上がる。
「俺は他のUの遺伝子を持つ男より荒っぽいんでな、気を付けるんだな」
 190cmの戦場傭兵を睨む186cmのUの一族その肉体はサイボーグの様。
「喧嘩で鳴らした何とかって奴か?」
「飾り窓地帯でバウンサーをやっていた」
「ほう……」
 それだけで何かを悟った猟兵はワイドスタンスで応じる。
「CQB……いやCQCだな? 酔っぱらった奴らが良く使っていたよ」
 怪人が両手を握り、ファイティングポーズを取る。
 直後、ゴングが鳴った。

 先に動くのはフライマン、ローキックから始まり、ミドル、そしてボディへのワンツー。善蔵が左足を上げローをカットし、ミドルを受け流し、パンチの二連打を捌けば、至近距離から側頭部目掛けて肘を打つ。怪人が顎を引き、頭を前に出してダメージを最小限にすれば、そこから肩を掴んで頭突き一発! 思わずのけ反る善蔵。彼も負けじと頭突きを返せば、二人は距離を取って、お互いの様子を伺う。
 CQCと喧嘩殺法。今までの戦いとは別のスタイルに会場が静まり返る。
 キックボクシングをバックボーンにした喧嘩殺法を善蔵が受け流し、時には足を取る。けれど喧嘩も実戦、足を取られても立ち上がった怪人がローキックを牽制で膝に打ち込むと繋げるように顔面への掌底、対角線に打撃を散らすことで意識を逸らせ、受けに集中させない。
 守りこそが攻撃になると考え受けに徹する善蔵を、攻めることが勝利と重たい打撃で攻めていくフライマン。
 こうなれば戦いは二つしかない、膠着戦か……短い時間での一発KOか。
 だが戦いの女神は後者を選んだ。
 フライマンが左右のミドルキックで正中線の隙を作り、首相撲で善蔵の身体をコントロールしようとした時、戦場傭兵がその腕を払い脇を潜り抜け側面へと回り込むと、素手による超高速かつ大威力の一撃が怪人の顎を捉える。
 ユーベルコードの一撃がバウンサーをリングの外へと吹き飛ばせば、転落したS.S.マシン怪人が落下して爆発した
「中々無い機会だった。もし再戦することがあっても負けてやるつもりは無いぞ」
 勝利のゴングが鳴り響く中、善蔵が告げれば、試合を見守っていた覆面怪人は一言。
「再戦など無い」
 そう勝者へと告げた、足元の骸を視野にも入れず。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリストファー・レヴェック
なるほど、Uの系譜か。いいねぇ、そういう連中。俺は嫌いじゃねぇな。
結局、Uの連中ってのは受け身に自信がないチキン野郎どもの集まりだ。本当に強いプロレスってのは受けて受けて互いに光らせてそして勝ってもんだぜ。さあ、来いよ、本物のプロレスを魅せてやるぜ

相手の技は受けつつ、受け身をしっかりと取りダメージを抑える。関節技についてはすぐにロープエスケープをすることでプロレスの何たるかを見せる。その後エルボーやチョップ、ロープ併用のクロスチョップ、ジャーマンスープレックスや脚4の字固めでダメージを与えていきます。
ダメージを与えたらリング中央でRoyal pedigree敢行しスリーカウントを狙います。



●7thBout クリストファー・レヴェック(f04828)vsタムラマン
「なるほど、Uの系譜か。いいねぇ、そういう連中。俺は嫌いじゃねぇな」
 リングに立ち意気揚々と相手コーナーを見つめるのはクリストファー。
「結局、Uの連中ってのは受け身に自信がないチキン野郎どもの集まりだ。本当に強いプロレスってのは受けて受けて互いに光らせてそして勝ってもんだぜ」
 挑発にざわめくUの一族をS.S.マシン怪人の一人が止める。
「君は伝統派空手とフルコンタクト空手の違いが分からない人種なのか?」
 怪人の問いを無視し、猟兵はただ言い放つ。
「さあ、来いよ、本物のプロレスを魅せてやるぜ」
「……なら、こっちは本物のUを見せてやる」
 先程までと打って変わった異様な雰囲気の中、ゴングが鳴った。

 最初に仕掛けたのはS.S.マシン怪人タムラマン。放つのは膝の内側へのローキック。
「てめえ……」
 クリストファーの顔が歪む。構わずに怪人は、二度、三度、同じ個所にローキックを叩きこめば猟兵はたまらずにダウン。受け身を取って衝撃を吸収する。
 そこへタムラマンが相手の両足首を取ると重ねるようにクロスして相手の身体を回転、レスリングのテクニック、アンクルでポジショニングを奪いそのまま足首を固めていく。
 即座にクリストファーがロープに逃げれば。
「それがプロレスか?」
「プロレスの何たるかだ」
 怪人の問いに猟兵が答える。その言葉を聞くとタムラマンは技を解き、問い続ける。
「つまり、お前はずっとロープに逃げるんだな? サブミッションに耐えられる自信が無いんだな? レスリングが出来ないんだな? つまり……チキン野郎ってやつだね?」
 辛辣な言葉。クリストファーが立ち上がれば怪人も近づき、膝の内側へのローキック!
 今度は耐え切れずにダウンを喫してしまう。
 プロレスラーと言えど、受身の取れない技、ガードの出来ない技がある。相手の技を受けようとした猟兵に対してS.S.マシン怪人が放ったのはそれであった。プロレスでシュートを仕掛けるという言葉があるが、タムラマンの行動がまさにそれだった。「受け身が取れないチキン野郎」という発言に対して、怪人は行動で返したのだ。
「さて、仕返しは終わりだ。次は君の番だクリストファー。ウェイトを絞って動きが速い分、受けの耐久力の弱い俺を君が光らせてみろ」
「上等だ……やってやろうじゃないか!」
 立ち上がったクリストファーが笑い、そして走った。
 戦いはスタイルの違いを際立たせるものとなった、シュート志向で打撃、レスリング、サブミッションで攻めに行くタムラマンに対し、クリストファーが受けて、エルボーやチョップ等で一撃を叩きこめば、ウェイト差で怪人の身が揺れる。そこを大技狙いのクロスチョップを狙えば、タムラマンの蹴りが打ち落とし、掌底のラッシュでコーナーへ追い詰める。そこで怪人が大振りの掌底を放てば、かいくぐっての猟兵のジャーマン! だがクリストファーはフォールには行かずに足を取って四の字固めを仕掛けようと回転すれば、四の地固めの対策に余念がないUの一族が蹴って脱出する。
 両者が立ち上がったところで再びタムラマンが顔面への掌底をフェイントにタックルからテイクダウン、ステップオーバートゥホールドから腕を取ってのフェイスロック、元祖STF。
 流石にこれを外せないと見たレフェリー及び観客が指をさすシュートサインを出せば、クリストファーも耐えに耐えてロープまでにじり寄る。ワイヤーを掴んだ時会場を重低音が響いた。
 レフェリーが割って入り、怪人が離れる。猟兵が立ち上がるとお互いの視線が交錯した。
 タムラマンが再度のタックル。しかしクリストファーはそれを抱え込むようにがぶると両腕をリバースフルネルソンにクラッチ。
 Royal pedigree(ロイヤルベディグリー)! 単純で重いダブルアーム式のフェイスバスターにリングが一瞬、ひしゃげる。
 虎のキマイラのレフェリーが滑り込むと、頭の上で両腕を交差し、クリストファーを引きはがす。
 勝利を告げるゴングと共に怪人が爆発した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

己条・理鎖
本体である鎖を武器として持ち込みます。これは私の本体であり肉体の一部です。

シングルマッチを仕掛けます。
ゴングが鳴ったら【分身錬成】を使用し数字が「19」の分身を1体出して2体1での戦いに持ち込みます。
私はスピードタイプなので力比べは不利。ヒットアンドウェイで戦います。
鎖は絞め技や打撃に使用します。
【SPD】を活かして敵の攻撃を【見切り】回避し、避けきれない場合は鎖で【武器受け】やもう一人による妨害を行います。
決められそうなら一人が鎖で首を絞めてる間にもう一人がドロップキックをぶち込むコンビネーションで仕留めましょう。

卑怯?自分の肉体と技術だけで戦っています。何も問題ないです。



●8thBout 己条・理鎖(f05312)vsヤマザキマン
 理鎖のリングインを止めたのは意外な人物であった。
「こら、鎖は反則だ! リングには入れられない」
 虎のキマイラにしてレフェリーを務める男、名前は服部と言う。
「これは私の本体であり肉体の一部です」
 ヤドリガミの女の言葉にレフェリーは考え込んで。
「ひょっとして、ヤドリガミマン?」
「ヤドリガミです」
 理鎖が訂正する。
「ヤドリガミマンなら、仕方がない。OK、入場を認めよう」
「だからヤドリガミだと言っているのに」
 呟きながら渋々と入場するヤドリガミの女。
 リングに立つのはやはりS.S.マシン怪人。名はヤマザキマン。
「皆、シングルマッチを選んでいたが……君もシングルマッチでいいんだな?」
「ええ、構わないわ。鎖に関しても私の肉体なので許してくれるかしら?」
「構わないさ、自分の肉体であるならそれは拳と同じだよヤドリガミマン」
「――理鎖」
「失礼、では始めようか」
 短く訂正するヤドリガミの言葉に謝罪し、勝負は始まった。

『「数」は力です』
『増えたー!?』
 詠唱が紡がれた直後、場内の観客から驚きの声が上がった。
 それはゴングの鳴った直後に始まった、カミソリのようなキックを叩きこもうと踏み込んだヤマザキマン。しかし目の前に居るのは二人のヤドリガミ。
 分身錬成(ブンシンレンセイ)によって作り上げられた瓜二つの己条・理鎖。違いは右手の甲に刻印された19という数字。
「レフェリー!」
 S.S.マシン怪人が審判を見る。レフェリーが理鎖を見れば彼女は一言。
「ユーベルコード」
「ユーベルコードなら仕方がない……ファイト!!」
「なるほどユーベルコードなら自らの技、やるなヤドリガミマン」
 レフェリーが続行の意思を表せば、ヤマザキマンもファイティングポーズを取る。
「だから違うと言っているのに」
 訂正しつつも勝負は始まった。

 鋭く息を吐く音とともに繰り出されるのはヤマザキマンのカミソリのような蹴り。理鎖がそれを見切って鎖を投げれば、ダメージを最小限に抑えるために怪人は蹴りで打ち落とす。
 そこへ……背後から猟兵の分身が忍び寄り鎖で首を締め上げた。
 たまらずにロープに逃げる怪人。その様子を覆面怪人を筆頭としたUの一族が目をそらさず視線を送る。普通のプロレスなら抗議するなり、乱入するなりして加勢するのが流れだが、彼らはそれをしない。ゴングが始まれば手出しをしないのがUの遺伝子だと信じているからだ。
 勿論、黙って見てはいない。
 彼らの足元には血だまりが出来ていた。飛び出そうとする自分を抑えるため、短剣で自らの手を突き刺す彼らの血が。

 一方、戦いは進む。鎖を武器とする理鎖がS.S.マシン怪人に対して距離を保ち、鎖で着々とダメージを与えていく。対するヤマザキマンも鎖で締め技を狙ったときに蹴りを放ち、レスリングに持ち込むが、分身が妨害するので攻め切ることが出来ない。
 勝敗の天秤はおのずと二人いる猟兵側に傾いていった。
 鎖が怪人の腕に絡みつく。それをヤマザキマンが勢いよく引けば間合いが詰まる。そこで理鎖の背後を取って投げようと胴をクラッチした時、やはり分身が怪人の首に鎖をかけて動きを止める。
 好機と見たヤドリガミはロープを走り、その反動で勢いをつけてのドロップキック!
 プロレス未経験者と思えないほどの高い打点の蹴りが怪人を頭を貫き、ヤマザキマンの首が飛んだ。試合終了のゴングが鳴ったのはその直後だった。
 レフェリーが理鎖の腕を掲げる中、彼女は観客を見回し、口を開く。
「卑怯? 自分の肉体と技術だけで戦っています。何も問題ないです」
 その言葉に誰も答えることはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『機関車怪人』

POW   :    トレイン・フリーク
【時刻表】【鉄道模型】【鉄道写真】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    出発進行!
自身の身長の2倍の【蒸気機関車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    アクシデントクラッシュ
対象の攻撃を軽減する【高速走行モード】に変身しつつ、【煙を噴き上げながらの体当たり】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Uの歌
 全ての戦いが終わった時、それまで戦いの趨勢を見守っていた覆面怪人がリングに上がった。
「やはり、駄目だ。プロレスラーはUを理解しなかったリスペクトしなかった。プロレスから生まれたというのに」
 その言葉は何か悲しげだった。
「キマイラがメインストリームのこの世界。かつて世界の中心であった怪人は敵でしかしかなかった。だからこそ、総合格闘技の隆盛と共に廃れたUの遺伝子に俺は惹かれた」
 額に『U』と書かれた覆面を自ら剥ぐと現れるのは機関車怪人。
「志を共にする仲間とともに鍛え、かつての選手の名前を与え、彼らに追いつけ追い越せと俺達は理想を追った。だが、それは猟兵によって潰えた……いや違う!」
 鋼鉄で出来たボディに亀裂が走る。
「ここでお前達を倒し、Uの遺伝子が最強であることを、総合格闘技も全て倒せる最高のものだと証明して見せる!」
 はじけ飛ぶボディ、中から現れるのは鍛え抜かれた筋肉の鎧。
「勝負だ猟兵、この機関車怪人――マエダマンがお前達を倒す」
 構える怪人から自嘲の笑みが漏れた。
「ごちゃごちゃ言いすぎたな。一番強い奴をここで決めればいいんだ。言っておくが……俺はシュートを仕掛ける。受けて勝とうなんて思わないことだ」

 そこにいたのはただの怪人ではなかった、かつての何かを取り戻そうとする男であった。
アノルルイ・ブラエニオン
最強の者だけが評価される世界は窮屈だ
プロレスは違う
試合が終われば勝者だけでなく敗者も喝采を浴びるのだ

だから私は
エル・ロンドはお前達を認めない!

前回以上に攻撃を警戒
打撃技で牽制しつつ隙を伺う
【見切り】で回避と攻撃のタイミングを測る
【ダッシュ】で助走をつけた空中技を狙う
フィニッシュホールドは「アイグロス!」と叫んで放つスピアー

たとえ試合に負けても後に続く仲間達がいる
だから自分が負けても構わない
彼等が有利になるように

敗北時は自らマスクを取り
後に続く猟兵達のために
【サウンド・オブ・パワー】を歌おう
「聞けイェーガー!これが私の最後の情熱だ!」

最終的に自分の陣営が勝利できれば善い



●窮屈な世界
「最強の者だけが評価される世界は窮屈だ!」
 エル・ロンドが叫ぶ。
「プロレスは違う! 試合が終われば勝者だけでなく敗者も喝采を浴びるのだ」
 その言葉にこもったものは道違えた者への怒り。
「だから私は! エル・ロンドはお前達を認めない!」
「もう認めて貰おうとは思っていないさ、リストラBOX、チキン野郎……全て君達がやったこと、浴びせた言葉。それを――実力を以って否定する。Uの一族を作ったものとして!」
 失望せし怪人が構える。もう言葉では伝わらない。
 お互いがそれを悟った時、最初のゴングが鳴った。

 軽快なフットワークでマエダマンの周囲を回るエル・ロンド。牽制を兼ねた蹴りを放てば返ってくるのは軸足を払うような相手のローキック。
 スリップダウンした相手に対し、構えを崩さずに怪人が距離を詰めれば猟兵は後転から倒立で立ち上がり、再び距離を取る。
 一歩踏み込み、Uの一族が掌底を顔面に放てば、上半身を捻るウィービングからマスクマンのパンチ。一撃を耐えた怪人が打ち合いに持ち込もうと足を止めれば、深追いせずに下がるのは猟兵。
 アウトボクシングなエル・ロンドの動きに対して、重たい打撃のラッシュを持ち込みたいマエダマン。異なるスタイルを実現させるため、お互いが相手の攻撃を見切り、隙を伺い、一撃を与え、自分のステージへと持っていこうとする。それは打撃で組み立てる東洋系レスラーとルチャドールが繰り広げるルチャ・リブレの序盤の攻防戦を思わせるものだった。
 ボディへのワンツーから怪人がハイキックを叩きこむべく足を上げる。すんでの所で見切った猟兵が後方のロープへと走ると反動を利用してのボディアタック。対するマエダマンも身体を捻り、浮き上がるようなフライングニールキックで撃墜しようとし、お互いの身体がぶつかり合う。
 スプリングの仕込まれたリングが音を立て、落下した二人が転がる様に体勢を整えれば、先に動くのエル・ロンド。
「アイグロス!」
 叫んで放つのは全体重をぶつけるようなスピアータックル!
 けれど、マエダマンがタックルを受け止めて、腰を引き首に腕を回して体重をかけて動きを制する。レスリングにおけるタックル切りのテクニック――がぶり。
「何故だ? Uの一族からタックルを取るにはレスリングの経験が必要な事、お前には分かっていたはず?」
 首を極めながら問う怪人に荒い息とともに答える猟兵。
「たとえ試合に負けても……後に続く仲間達がいる。だから自分が負けても構わない……彼等が有利になるように」
「認めよう……君の考えを。敗者も喝采を浴びる世界を戦いを作り上げることを約束するために!」
 リスペクトを込めて、首を極めていたマエダマンがもう一方の腕をエル・ロンドの脇下に下から通して自身の手を相手の背中の辺りで固定。
「これはその礼として、プロレスの技でお前を倒す。十二のスープレックスの一つ! ハーフハッチ!!」
 後方へと見事なブリッジで叩きつけ、リングが揺れた。
 すぐにレフェリーが駆けよれば、続行不能と判断して本部席に向かってゴングを要請する。

 ゴングのなる中、怪人は次の戦いに備えて自分のコーナーへと歩いて行く。その時だった――歌声が響いたのは。
 振り向けばそこに居たのはマスクを脱いだアノルルイ・ブラエニオン(f05107)。サウンド・オブ・パワーが猟兵をそして観客を鼓舞していく。
「聞けイェーガー!これが私の最後の情熱だ!」
 会場からイエーガーを求める声がする。
 全方向から響き渡るイエーガーコールにマエダマンは猟兵のファイトスピリッツに敬意を持つと共に自らの道への窮屈さを感じ取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

マスクド・キマイラ
熱い感じで好きにやっちゃってください


↓なんかこういうノリ
マイク寄越せマイクっ!
俺がっ、お前にっ、一つっ!一つっだけ聞くぞっ!
ガチだとか、そんなんの前にっ!……道は違うかもしれねえがっ!お前等に、観客を沸かせるっ、盛り上げるっ、その想いはっ!熱い想いはっ、あるんだなっ!?
なら構わねえっ!誰になんと言われようと、俺はプロレスでっ!誰がなんと言おうとっ、お前等もっ、プロレスだっ!


受けて投げて跳んで沸かせる純正プロレスラー
コミュ力と熱さでアピールタイム
スライディング交えた機動で魅せ
捨て身の飛び技、高く美しいダイビングボディプレス

これが俺だっ、俺のプロレスだっ
見せてみろよ、お前の全部っ
その上で、勝つっ!



●相手を理解しないことへの代償
マスクド・キマイラ(f06313)がリングに立つとマイクを通し、ユーベルコードを紡ぎだす。
「俺がっ、お前にっ、一つっ! 一つっだけ聞くぞっ!」
「ガチだとか、そんなんの前にっ! ……道は違うかもしれねえがっ! お前等に、観客を沸かせるっ、盛り上げるっ、その想いはっ! 熱い想いはっ、あるんだなっ!?」
「…………」
「なら構わねえっ! 誰になんと言われようと、俺はプロレスでっ! 誰がなんと言おうとっ、お前等もっ、プロレスだっ!」
「……ああ、お前のような奴がいるから。結局はこうなってしまうんだろう」
 怪人の声には深い失望がにじみ出ていた。

 試合はマスクド・キマイラのスピーディなムーブから始まった、スライディングを交えたロープワーク、そしてそこからのドロップキック。
 それを片手で払う、マエダマン。
 負けじとキマイラが立ち上がれば次に狙うのは捨て身の飛び技、高く美しいダイビングボディプレス!
 だが、怪人はバックステップしてその場から下がれば、跳ねるのはマスクド・キマイラの肉体のみ。

 彼は聞いていなかったのだろうか? 怪人が技を受けないと宣言したことを。
 彼は聞いていなかったのだろうか? 彼が目指すのは最強の道であることを。
 そして彼は知ろうとしなかったのだろうか? Uの遺伝子というスタイルを。
 一人熱くマイクで語る時間があれば、それを対策に用いるべきだった。
 自分と共感することを望むのだったら、相手のスタイルを知るべきだった。

 どちらにしても、もう遅い。
 彼の首に巻き付いたUの一族の腕が頸動脈を締め、脳への血流を断っていく。これを糧に彼がどう変わるかは分からない。ただひとつわかることは彼の意識が闇に沈むという事だ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

己条・理鎖
最強とかに興味はないですがやることはやらなくてはいけませんね

分身は既に見られているので使いません
鎖もさっきの相手に掴まれて引き寄せられてしまったので、より強い相手であろう今回は使いません

肉体的に強力であろう敵に対抗する為に【降魔化身法】を使用して自身を強化します
あまり使いたくないですしデメリットもありますが仕方ありません
戦闘では回避重視のスピード戦闘で挑みます
【見切り】や【第六感】【残像】で回避しつつ【ダッシュ】による加速でのヒットアンドアウェイを行います
フィニッシュとしては【錬成カミヤドリ】で複製した鎖を相手を取り囲むように配置しそれをロープ代わりにしたドロップキックの連打を繰り出します



●やらなくてはいけないこと
「最強とかに興味はないですが」
 己条・理鎖(f05312)が続いてリングに立つ。
「やることはやらなくてはいけませんね」
「そうだな、お前には興味の無いことだけれども。俺には目指すところであり、そしてやらなくてはいけないこと……だから」
 マエダマンが構える。
「俺達は戦うんだ」
 シンパシーなど得るはずもない二人にあるのはたった一つの共通点。それを繋げるゴングが鳴った。

 理鎖の身体に何かが宿る、それは体内血流量を増加し、心身を引き上げるとともに全身の毛細血管を破壊する。
「ステロイドか!? ヤドリガミマン!!」
「違います」
 二つの言葉を一つの言葉で否定すると、ヤドリガミは化生の類を宿らせて、超強化した肉体で挑みかかった。
 一陣の風が吹き抜け、リングに残るのは血のライン。
「……速い」
 頬に一撃を受けた怪人がただ一言、口にすれば構えるのは掌を相手に見せる前羽の構え。空手における超防御スタイル。
 構わずに猟兵が挑みかかり姿が消えたと思うと、すかさず片手を突き出し、片足を上げ、残った腕と肩で頭部を守るムエタイガード。伸ばして手が相手を制すれば振り下ろされるのは鞭のようなローキック。だが、蹴り脚が太ももに叩きこまれた瞬間、その姿は掻き消えて背後から残像を駆使したヤドリガミが蹴りを打つ。
「させるか!」
 放ったのはトラースキック、空手で言う後ろ蹴り。蹴り脚と蹴り脚が交錯し、お互いに一撃を与えれば威力と反動で両者ともロープ際まで吹き飛ばされる。
 マエダマンが走る、自分が捨てたはずプロレスがロープの使い方を覚えていた。そんなことを心の中で自嘲しながら放つのは大車輪のような縦回転のニールキック!
 理鎖の引き上げられた身体能力が、感覚が、第六感すら引き上げ。風を切り裂くような鋭い蹴りをギリギリでよける、だがそれでも完全に避けることは能わず、蹴り脚で肩を切り裂かれ、鮮血がリングをさらに汚す。負傷に構わずに彼女はその場に飛べば、両足を持って相手の腹を踏みつけた!
 フットスタンプに呻き声を上げる怪人、だが猟兵は深追いせずに距離を取る。
 身で身を削る、早さとテクニックを競う攻防が再び始まった。

 もし、これが当てることで点数を得るポイント制の格闘技なら理鎖が有利だったろう。それくらい相手に攻撃を与えていた。だが、疲労の度合いはほぼ同じ。打撃の重さの差に加え、高速移動による高い運動量が体力を奪っていった。
 故に……次が、決着の一手。
 猟兵が降魔化身法の力で動いた、叩きこまれる一撃。それを腰を落とし顎を引き、額で受けとめた怪人は彼女の背後を取ると腰をクラッチ、そのまま後方に反り投げる。
「十二のスープレックスの一つ! ジャーマンスープレックス!」
「させない!!」
 努めて感情を声に出さない理鎖が初めて叫ぶ、生来の負けず嫌いの性格が絶体絶命を拒み姿を表す、その思いが限界を超えるピースに手をかけた。
 錬成カミヤドリ――二つ目のユーベルコードの使用。
 リングを鎖の牢獄が覆う。その中の鎖を一つを掴むとスープレックスから脱出し、反動を活かしてのドロップキック。
 勿論、タダではすまない、毛細血管からの出血はもはや血煙に近いほどの量。リングが血の霧に覆われていく中、鎖から鎖へと飛び移り次々とドロップキックを見舞っていく。
 濃厚な血煙が晴れ、鎖が飛び散ったとき、現れたのは怪人の顔面にドロップキックを叩きこむヤドリガミ、そのまま踏みつけるようにリングに叩きつければ、レフェリーが試合終了を告げる。
 勝利を確信し、膝を崩す理鎖、だがそれを支える腕があった――マエダマンだ。
「勝者は……立って勝ち名乗りを受けるものだ」
 ……膝を崩し、倒れる怪人。ヤドリガミが彼の言葉に従い右手を上げた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​


●それでも
 倒れた男が立ち上がる。
「まだだ……まだだ!!」
 負けたというのに立ち上がる。
「ここで引けない、退くわけにはいかない!」
 怪人が叫ぶのは意地。
「ヴォルクマン、タカダマン、オブライトマン、スズキマン、フライマン、タムラマン、ヤマザキマン……俺の理想に付き合って死んでいった者たちの為にも!」
 ただ一人、リングに立つ男は咆哮した。
「全ての猟兵と戦う!! 俺はUの! 一族! だから!!」
 そこにいるのは怪人ではなく、ただ夢を求めた男だった。
カリー・ボーン
・「選ばれし者の恍惚と不安と二つ我にあり」……とは誰の言葉だったろうか。U一族はもう一度選ばれるために蘇ったのか。さあ、夢の続きと行こうじゃないか。

・【SPD】で対応。残虐猟兵ファイトは無しで行こう……まあ、そうなると俺が不利極まりないが「正面から受ける」…それが夢追い人への礼儀だ。

・マエダマンは蹴りを主軸にそこからの投げ、そして絞めや関節技で決めにかかる。ならば、蹴りを受け止めて【猟兵三所封じ】を発動だ。抱えた膝への単純なエルボー、投げを狙いにくるならば倒れ込むようなアームブリーカーをカウンターで狙う。俺が出す三所封じ最期の技はUの象徴、チキンウィングフェイスロック。それでダメなら玉砕だな。



●夢の続き
 夢を求める男が居た、そして……。
「選ばれし者の恍惚と不安と二つ我にあり」
 夢に応えるのは頭にカレーをのせた猟兵カリー・ボーン(f06236)
「……とは誰の言葉だったろうか。Uの一族はもう一度選ばれるために蘇ったのか? さあ、夢の続きと行こうじゃないか」
「夢の続きか……叶うだろうか?」
 マエダマンがファイティングポーズを再び取れば。
「叶うさ……そのために来た」
 カリーもまた応える。
 夢の続き、肉体だけでなく心の戦い――Astral Boutが今始まる!

 戦いは怪人のローキックから始まった、足を上げてカットしていく猟兵、すぐにUの一族がミドルキックへコンビネーションを組み立てれば、腕を胸元に寄せて、パンプアップさせた大胸筋で受けとめる。
「貴様……シュートを仕掛けると言ったはずだぞ!?」
 失望と激高の篭ったミドルを連打するマエダマン、それを受け止めつつ、カリーが口を開く。
「……違う」
「なら、なんだと言うんだ!」
 ハイキック。頭部を薙ぐような一撃に頭のカレー(のオブジェ)が吹き飛ぶ。
「正面から受ける……それが夢追い人への礼儀だ!」
 衝撃にたたらを踏みながらもダウンだけはしない、相手に失礼に当たるから。それを知っているからこそ、怪人の心に何かが刺さる。
「う……うおおおおおお!」
 言葉に出来ない感情を右足に込め、マエダマンがミドルキックを振るう。
「マエダマン、お前は蹴りを主軸にそこからの投げ、そして絞めや関節技で決めにかかる。だから!」
 カリーが蹴り脚を受け止める。
「その力封じてやろう! 猟兵三所封じの一つ!」
 腕を振り上げれば、叩きこまれるのはエルボースタンプ! 膝から何か音が鳴った。
 支える力を失って崩れる身体を必死に支え、怪人が胴体にしがみつき反り投げる。
「十二のスープレックスの一つ! ウンターグルフ!」
 ウンターグルフ――またの名をフロントスープレックス。彼の場合、自らの身体を捻ることでダメージをコントロールすることが可能だった。だが……。
「猟兵三所封じの一つ! フライングアームブリーカー!」
 カリーが空中でクラッチを外し、腕を掴む。そしてマエダマンが捻りを入れるのを逆に利用して腕に荷重をかければ、全体重を乗せたアームブリーカーが怪人の肘を封じる!
 痛みに耐えて、Uの一族が身体を前転して脱出する。だが、猟兵三所封じ(リョウヘイミトコロフウジ)はまだ一つ残っていた!
「そしてこれは――」
 立ち上がる相手の背後から腕を後ろ手になる様に肘から自分の片腕を差し込んで、もう一つの腕で顎をロックする。
「まさか……!?」
 怪人の身体がDNAが何かを悟る!
「Uの象徴、チキンウィングフェイスロック!」
 顎をロックすることで首を極め、腕を封じることで肩を引っ張り、フェイスロックを確実に決めていく複合関節技。
 そしてUの遺伝子に刻み込まれた、象徴的な技。
 キマイラのレフェリーが指を差す、観客も見守る猟兵、怪人達の指を差す。
 シュートサイン! 関節技が決まったと万人が判断した。
 審判がマエダマンの腕を持ち上げて離す。
 一回、そのまま落ちる。
 二回、腕は上がらない。
 三回、腕が上がった……と思った瞬間、力を失ってだらりと垂れ下がる。
 レフェリーがゴングを要請した。レフェリーストップによる勝利だった!

大成功 🔵​🔵​🔵​


●夢は終わらない
「強い……これが猟兵」
 怪人は尚も立ち上がる。膝は笑い、片腕には力が入らない。けれど目に宿した炎は消えない。
「まだだ、この魂尽きるとも、俺は戦う……Uの一族として、Uの遺伝子を持つ男として」
 男はファイティングポーズを取った
プリンセラ・プリンセス
「誰ぞ来よ。――肉弾戦の時間です」
ペルソナチェンジに答えたのは次兄オズヴァルド。髪は結い上げられて後頭部に。服装は格闘家のような動きやすいもの。腕には黒剣の変化した巨大な手甲が装備される。雰囲気も粗野で豪快なものになる。
「プロレスとやらは知らんが、格闘戦だろうて。任せておけ!」
喧嘩殺法に近いスタイルで戦う。
「相手の技をあえて受けるか。気に入ったがプリンセラの体だ。悪いが避けるぞ」
「この小さい体格ではきついな。だが弱らせるくらいはさせて貰おうか!」
地獄の臼杵封じで時刻表、模型、写真を破壊する。
「これ以上はプリンセラのが持たんか。惜しいが後続に任せるとしよう。まぁ楽しかったぞ!」



●こんな戦いもあるだろう
「誰ぞ来よ。――肉弾戦の時間です」
 名前を捨てた王女プリンセラ・プリンセス(f01272)が何かを呼べば髪は結い上げられて後頭部に、腕には巨大な手甲。振る舞いも最初に口を開いた時より、荒々しさが目立つ。
「多重人格――さしずめ、この手の戦い向きの性格か」
「いかにも――今はオズヴァルド」
 プリンセラの声で名乗るその口調は豪傑たる相を連想させる。
「プロレスとやらは知らんが、格闘戦だろうて。任せておけ!」
「安心しろ、Uの一族は格闘の衆。相手にプロレスを強いることはない。己が好きなままで来るが良い」
 両者が構えれば、応ずるようにゴングが鳴った。

 お互いが繰り出すのは腹部への蹴り。交錯し、威力と反動で二人の距離が離れれば。
「そういうスタイルか? 気に入ったがプリンセラの体だ。悪いが避けるぞ」
「好きにすると良い。それくらいはできるだろう?」
 猟兵と怪人が言葉を交わせば始まるのは、ラフファイトをカットし、打撃を避ける攻防戦。
 オズヴァルドが頭の突起物を掴んで膝蹴りを試みれば、その膝を抱えて軸足を刈るのはマエダマン。怪人がグラウンドの攻防に行こうとしたところを猟兵が下から蹴り上げて制すれば、Uの一族はバックステップで距離を取る。
「この小さい体格ではきついな」
 オズヴァルドの戦い方に対してボディであるプリンセラの負担が大きいのか、呼吸は荒く深くなる。
「だが弱らせるくらいはさせて貰おうか!」
 小さな体が背後に回れば、その背中を押しつぶすように踏みつける。
「オブリビオンにあるという9つの急所。うち4つを封じさせてもらう!」
 次に怪人の身体を持ち上げれば、その両膝をリングに叩きつける!
「アレは……!?」
 観客のキマイラが立ち上がって声を上げれば。
「知っているのか?」
 と、隣のテレビウムが聞く。
「怪人には九つの急所があり、それぞれ『時刻表』『模型』『写真』と昔世界にあった物体になぞらえて名付けられている。彼女はそれを封じようとしているんだ!」
「マジかよ!?」
「マジキマイラ! ミーメイ書房をyondleでダウンロードで見たから分かる。俺は詳しいんだ!」
 そんなキマイラ達の言葉をオズヴァルドがマエダマンの身体をクラッチすればスープレックスへ行こうと反り投げる。
「させるか!?」
 怪人が足を引っかけて、スープレックスを崩せば潰れる二人。リングに仕込まれた衝撃吸収用のスプリングで二人の身体が跳ね。お互いがリングに転がる。
 再び間合いを取る両者。そしてオズヴァルドが口を開く。
「これ以上はプリンセラのが持たんか。惜しいが後続に任せるとしよう。まぁ楽しかったぞ!」
「!?」
 怪人が目を見開けば、先ほどの雰囲気は消え、そこにいるのは一人の王女。
「えーと……」
 審判を見る。虎のキマイラレフェリーは試合放棄と判断し、ゴングを要請した。
「……できれば、最後まで戦えるようにと伝えてくれ」
 ゴングの鳴り響く中、Uの一族が伝言を頼めば王女はコクリと頷いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

草剪・ひかり
【WIZ判定?】
※お色気、即興、キャラ崩し描写歓迎

一時よりはマシになったみたいですが、まだボロボロだね!>怪人
まぁ、負けを認めるまで戦い続ける覚悟らしいし仕方ないけど

私としては、そんなボロボロの相手と闘うのは嬉しくないな
そんなわけで、闘う前に、敢えて「敵に塩を送る」真似をするよ!

疲労困憊のマエダマンに気力注入!(ユーベルコード:精神力至上主義)
少しは疲れとダメージが抜けたかな?
これでまた存分に「U」の強さを発揮できる筈

あ、勘違いしないでね?
これから私の、そして「プロレス」の凄さとカッコよさを存分に魅せつけるんだから
その相手がボロボロのヘトヘトじゃ、私が弱い者いじめしてるみたいだからね!
(続く)


浅杜守・虚露
「リベンジじゃぁああ~!」
なんとも、他の猟兵が白星上げとるのに黒星状態で黙っとる訳にはいかん!もう一度勝負を挑むぞ。
まぁまずはリストラBOXを張り手で薙ぎ倒してオブリビオンに土下座じゃ、最初の非礼は詫びよう。闘う相手には礼儀を、じゃ。
足への攻撃は腰を落として崩れるのを避け 、タックルは足を後ろに引き、背中に張り手を叩き込んで潰していく。
相手の打撃は受け、力で押し潰すストロングスタイルと膝を着かない不倒(たおれず)の相撲、一度負けたからといって闘い方は変えんそれが『わしの闘い』じゃからの。
Uの一族に誇りを持つ相手なら、この意地、理解出来るんじゃないかの?
歯食いしばれ、わしの突っ張りはちと重いぞ?



●もう一度勝つために
 連戦の疲れが祟り、コーナーポストにもたれかかる怪人。
 実際に疲労困憊の上、猟兵三所封じでスープレックスも満足に放てない。そんな状況を放っておけない人物がいた。
「一時よりはマシになったみたいですが、まだボロボロだね!」
「望んで選んだ戦いだ、どうってことない」
 草剪・ひかり(f00837)の言葉に笑いながら答えを返すマエダマン。もう最初にあった凍れる何かは溶けてきたが、まだ足りないだろう。そのまま倒すか、それとも彼が目指したものに対して答えを示せるか……?
 それはさておき。
「私としては、そんなボロボロの相手と闘うのは嬉しくないな」
 近づいたひかりで手を振り上げると。
「そんなわけで、闘う前に、敢えて『敵に塩を送る』真似をするよ!』
 強烈な張り手が怪人の頬を打った。乾いた音が木霊し、会場が静まり変える。
「良いのか? スープレックス封印した方が勝てるだろうに?」
 Uの一族が問えば。
「あ、勘違いしないでね?」
 ひかりが否定する。
「これから私の、そして『プロレス』の凄さとカッコよさを存分に魅せつけるんだから。その相手がボロボロのヘトヘトじゃ、私が弱い者いじめしてるみたいだからね!」
「なるほど……だが、君の出番は後になりそうだな?」
 何かが壊れる音がした。二人が視線を向ければそこにあるのは壊れたリストラBOX。
「リベンジじゃぁああ~!」
 再戦を望むのは浅杜守・虚露(f06081)。その姿に怪人が笑ったような気がした。
「セコンドについてやれ、絶対女王なら所属選手を導くのも仕事だ、それに……さっきのは疲れるだろう?」
 コーナーポスト待機するマエダマンに対し、若干不満げな表情をひかりは見せるも、自分の役目を考え、虚露と入れ替わる様にリングを降りた。
「気を付けて、余り攻撃をもらいすぎないでね」
「まかせとけ~! 今度こそ、白星じゃ」
 意気揚々とリングの中央に向かうキマイラの破戒僧。直後、再戦のゴングが今鳴った。

 相撲は異種格闘技において有利か不利かと言われると一般的に不利と称されることが多い。それは競技の特異性が大きく関係している。
 だが、それは一般人においての話。猟兵と怪人では話が変わる。
 マエダマンもそれを理解しているのか、突進力を警戒してローキックを出足を止める。
「腰を落として、足に体重をかけるのよ」
 セコンドについたひかりの言葉に従って虚露が体重をかければ、その足は大木のようにリングに生え、蹴りを跳ね返す。
 返す刀で猟兵が圧力をかけて、差し合いに持ち込めば、体重差はマエダマンの体力を減らしていく。
 また体重をかけて相手を制圧するレスリングと重心を上げさせる動作が主体の相撲。お互いが自らの望む方向と重心を掛け合う結果。スタンドでの拮抗した展開が続いた。
「差し込む手を切って! そう!」
 随所でアドバイスする絶対女王の言葉を信じ、虚露がグラップリングを制しようとすれば、隙あらばスロイダーや首投げでダメージを削っていき、凌ぐマエダマン。
 決着はある一瞬のタイミングで起こった。
 一度負けたからといって闘い方は変えず、チャンスを待っていた猟兵の閂からの投げで二人の距離が離れたのだった。
 瞬間、宙を舞う怪人。大車輪をおもわせる縦回転のフライングニールキックが虚露を襲う。
「んどらぁ!」
 鬼手形を思わせる突っ張りがそれを撃墜した。体勢を崩すマエダマン、立ち上がったところにコーナーポストまで一気に寄り切ると――。
「歯食いしばれ、わしの突っ張りはちと重いぞ?」
 再度突っ張りを叩きこむ!!
 序盤だったら防げたかもしれない一撃。だがグラップリングによる体力の消耗。それ以上に相撲にかける虚露の意地が張り手を勝利の一撃へと磨き上げたのだった。
 コーナーポストにもたれかかり、ズルズルと身を崩していく怪人を見て、レフェリーは試合終了のゴングを要請した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草剪・ひかり
【POW判定】
※お色気、即興、キャラ崩し描写歓迎

そろそろクライマックス、かな?
惜しい気持ちはあるけど……
改めて「プロレスリングM.P.W.C」社長の草剪ひかり!
いざ「Uの象徴」マエダマンとの決戦へ!

序盤は敵手に敬意を表しUスタイル
私は普段あまりグラウンドしないし、「苦手」なアングルだけど
「できない」じゃなく「しない」だけ

女子としては重い肢体が繰り出す打撃の連携
隙を捉えての背後や四肢の取り合い
プロレスでは基本の様々の体勢からのスリーパーホールドや脇固め

普段の「色気過剰なパワーファイト」の私を見慣れたお客さんは目を疑いそう

でも“最期”は私の必殺右ラリアット、アテナ・パニッシャーに拘って決めたいよ!



●Mistral Bout
「そろそろクライマックス、かな?」
 名残惜しさを胸にしまい込み。
「改めて『プロレスリングM.P.W.C』社長の草剪ひかり!」
 今、M.P.W.Cの絶対女王がリングに立つ! 『Uの象徴』マエダマンとの決戦へ!
「改めて『Uの一族』機関車怪人――マエダマン!」
 対するは忘れ去られた「U」の姿に自分をダブらせた夢追い人。自らが信じたモノのために!
 二人が上半身を乗り出すように手を伸ばす、言葉はなく自然と身体がそう動いた。二人の手が握り絞められたとき――最後のゴングが鳴った!

 戦いが始まりファイティングポーズを取るマエダマン。対するひかりも同じようにシュートスタイルに構える。
 猟兵サイドが初めてUのスタイルを取った事で会場に走るどよめき。委細構わず、二人が近づけば、始まるのはローキックの撃ち合い。お互いの足を狙い、それを膝を上げることでカットし、次に踏み込んだ足でミドルキック。近すぎて打点がズレれば次に放つのは掌底の連打戦。お互いの掌の一撃を上手くカットし、先にタックルに行くのはマエダマン。ひかりが足を後ろに引き、首をクラッチしてタックルを受け止めればそのまま身体を回転、ネックブリーカー。すぐにサイドポジションに移行すればダブルリストロック狙いへ。肘を伸ばして極めようと力を込めれば、怪人がブリッジワークで逃れ、ロープに逃げる。
「タカダマンの時に気付いていたが、やはり『しない』だけだったか」
 ロープブレイクで離れる中、怪人が言い放てば。
「アングルだからね」
 返すのは絶対女王。
「それに知ってるでしょ? Uの原点が元々はスパーリングで使っていた技だってことに」
「……知っていたか、伊達に絶対女王は名乗っていないか」
 再び構えた怪人が笑みを浮かべたのは気のせいか。
「だからこそ!」
 ひかりが払い腰からスリーパーへの連携へ移行すれば。
「貴方にはプロレスラーであってほしかった!」
「俺はUの一族」
 首に回されるクラッチをはがして、腰を落としていたひかりの背後にマエダマンがスイッチすれば、亀になって防御に徹するひかり。その腕を怪人が取ろうとすれば逆に腕を取って脇固めを極めに行くが即座に怪人の身体が前転し、ロープに足をかけた。
「最強を証明するためにもプロレスに後ろを向けるしか道はなかった」
 吐露するにはマエダマン。
「それでも――!」
 ひかりがダッシュして右腕を振るう。得意のラリアットだ。マエダマンがそれをかいくぐり右腕ごと首をクラッチ。
「分かってる! だからこそ敬意を払ってくれたお前に俺は――Uのプロレスをする。十二のスープレックスの一つ」
 腕を拘束することで受け身を封じる、その技の名は――。
「デアボートスロイダー!」
 リングが揺れた、男が離れた。女は倒れたまま。レフェリーが駆け寄ってダウンカウントを取る。
「……終わった」
「終わって……ない!」
 ニュートラルコーナーで独白するマエダマンの言葉を女王が否定した。
 スープレックスに脳を揺さぶられながらも立ち上がる絶対女王。会場から重低音の振動が鳴り響く。観客が床を踏み鳴らす足音。
「プロレスは……3カウントなんだから!」
「ならば今度こそ!」
 叫ぶひかりに対して距離を詰め、大車輪キックを放つマエダマン。咄嗟に両腕でガードする女王。けれどすぐに怪人が立ち上がる。
 そこを狙って猟兵が一歩踏み出し、掌底のワンツー。立ち上がった直後で体勢が整わない怪人が咄嗟にピーカブースタイルでガードすれば。
「“最期”はこれだぁあああああああ!」振りぬかれる右腕。跳ね上げられるように側頭部を薙いだアテナ・パニッシャーにマエダマンの身体が宙を舞い、リングに叩きつけられた。
 すぐにひかりが覆いかぶさる。
 レフェリーが駆け寄る。
「ワン!」
 マットが叩かれる。
「ツー!!」
 二度目の音が聞こえる。
 怪人は肩を……。
「スリー!!!」
 上げなかった。
 ゴングが鳴った。

「……負けた」
「どう? これがプロレスよ!」
 倒れたままの怪人に絶対女王が見下ろして、応える。
「ああ、これがプロレスだ……かつてフランスと呼ばれた国にミストラルと言う風が吹くことがある。意味を知ってるか?」
 ひかりが首を振れば、怪人はただ一言。
「『見事』」と答え、立ち上がる。
「マエダマン!」
 絶対女王が呼べばマエダマンは振り返り。
「落とし前は付けないと行けない……そうだろう?」
 そう答えると自分のコーナーに立てかけていた竹刀を空高く投げ――。
「楽しかったぞ、ミストラルバウト」
 自らの身体を突き刺し、そして爆発した。

 男の夢はここに終わった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『ダンシングオールナイト!』

POW   :    フィジカルを活かしたパワーパフォーマンスで差をつけろ!

SPD   :    鋭くテクニカルなスピードパフォーマンスで魅せつけろ!

WIZ   :    秒刻みで組まれた精密なブレインパフォーマンスで圧倒しよう!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●プロレスは終わらない
 戦いは終わった。
 けれど、熱気はまだ収まらない。
 今のは抗争、イデオロギーの戦いであった。
 であるなら、次に望むのはお互いの全てを出す、そういう戦い。

 リングは戦うものを待っている。

(ここからは模擬戦です、対戦相手を極めても良し、フリーならば勝手にマッチングします)
草剪・ひかり
【POW判定】
※お色気、即興連携、キャラ崩し描写歓迎

怪人との闘いで精魂尽きそうだけど
まだまだこのリングからは降りられないね!

リング上でマイクアピール
この私、“絶対女王”草剪ひかりと闘いたい子はいないのかな!

名乗り出てくる相手が誰でも
真っ向からの王道プロレスで応戦

正直、強敵と闘った直後の連戦は苦しいけど
どんな状況でもそれなりの闘いを魅せるプロの矜持で
重い身体(特に胸元辺り)を激しく揺らすパワーファイトを展開

重量感溢れるボディアタック
見た目に似合わない浮遊感の豪快なドロップキック
そして「必殺技の古典」ジャーマンスープレックス!

苦しむ姿も、たとえ敗れても「女王」らしく
そんなファイトを魅せつけるよ!


浅杜守・虚露
オブリビオンは倒したといっても、まだまだ闘える奴はそこらにゴロゴロおるんじゃ。まだまだ盛り上がっていくぞぉ!そこのお前さん、わしといざ勝負じゃぁ!
対戦相手は問わんがわしは自分の腕っぷしでも魅せるだけじゃ。
リング上で組み合ってロープ際に押し込んで胸元に張り手。、相手の攻撃をひたすら受けてトドメに走ってきた所をチョークスラムで返すなどのストロングスタイルのプロレス、わしが言うなら横綱相撲でパワーアピールしていくぞ。
時には顔面踏みつけなんかの反則もやってちょっとしたヒールムーブも面白いのう。
ラストはヒーローが倒すのがええ。わしを倒すレスラーは誰かのう!ハッハッハッハッ!



●祭りの続き
「この私! “絶対女王”草剪ひかりと闘いたい子はいないのかな!!」
 いの一番に声を上げたのは草剪・ひかり(f00837)。
 怪人との激闘で疲労した様子も見せずに、マイクを握れば応えるのは。
「まだまだ盛り上がっていくぞぉ! 社長、わしといざ勝負じゃぁ!」
 浅杜守・虚露(f06081)が名乗り出る。
 先程までレスラーとセコンドとして共に戦った二人による対戦に盛り上がる場内。
 熱狂が蘇る中、再びゴングが鳴った!

 二人ともパワーファイトを信条とすれば、始まるのはそう手四つ!
 お互いが探る様に手を合わせれば、そこから始まる力比べ。普段ならば拮抗するかもしれないが連戦の疲れがまだ残るひかりの足を一歩、二歩と下がり、ロープ際へ。
 レフェリーがロープブレイクを宣告し、二人を離せば直後に炸裂するのは虚露の張り手。乾いた音が鳴り、受けた女王の大胸筋に支えられたバストが揺れる。
 胸元を抑えながら、ひかりが歩を進め、隙をついてのヘッドロック。今後はキマイラがロープまで逃げ、その反動を使って女王を押し出すと。自分もロープの反動で走り出す。
 両者の胸がぶつかるような、まさしく胸の張り合い。ひかりがロープを指させば自分は反対側へ。勝負に乗った虚露も差された方向へと走って、ロープに身体を預け、反発力で走る。お互いが接近したとき、絶対女王が宙を舞う!
 打点の高いドロップキックがキマイラの頭を捉える。受けたスモウレスラーはその巨体を宙に舞わせて、両腕でマットを叩くように受身を取れば、リングは激しく振動し、重低音を会場に鳴り響かせる。
 歓声の中、ひかりが倒れた虚露の脇から身体を入れれば、足を絡めるのはメキシカンストレッチ、拷問式グラウンドコブラツイストを連想させる関節技で女王が両腕で相手の上半身を押しつぶせば、豊満なバストも揺れ。会場は口笛もまざった草彅コール一色。
「ふんぬぅうううううう!」
 だが押しつぶされたキマイラも黙っちゃいない、気合の雄たけびと共に耐え抜けば。もう一度気合の一声と共に上半身を伸ばして、ひかりを吹き飛ばす。どよめきと驚きの混ざった場内で反撃を開始するのは虚露。
 体格さを活かしたバックフリップで女王の背中をマットに打ち付ければ、今度は相手の顔を踏みつけるヒールムーブ。ブーイングの中、悠然としていればその足を持ち上げられて、立ち上がったひかりが放つのは近距離からのアテナパニッシャー!
 会場がショートレンジのラリアットに騒然とする中、続いてコーナーポストに上がれば、ボルテージはMAX。
 だが、やられたキマイラも黙ってはいない。すぐに立ち上がって、コーナーポストまで迫れば大車輪のチョークスラム。
 激しくマットが揺れる音が鳴り響き、会場内に悲鳴が上がる。
 虚露がチャンスを逃さないとばかりにフォール。
「ワン!」 観客が声を上げる。
「ツー!!」女性ファンが悲鳴を上げる。
「スリ……」ひかりの絶叫が響き、見事なブリッジで3カウントを回避。
 虎のキマイラレフェリーが二人を分ければ、立ち上がった両者は距離を詰める。
 先に相手を掴んだのは虚露。のど輪から一気に持ち上げれば、逆に宙を舞ったのは持ち上げた本人。ひかりが身体を使ってアームホイップの要領で投げたのだ。
 両者が立ち上がる。キマイラの背中を女王がクラッチすれば。ファンのボルテージは上限突破。
 ジャーマンスープレックス!!
 体格差をものともしない見事なブリッジで虚露の肩と首を極める。
「ワン!」会場から声が響く。
「「ツー!!」」その声は重なり。
「「「スリー!!!」」」スリーカウントで最高潮になった。

 ブックとかアングルとかそんなものはもう関係ない。これがプロレスだ!
 そう言わんばかりのパワーに観客の興奮は止まらなかった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草剪・ひかり
【POW判定】
※お色気、即興連携、キャラ崩し描写歓迎
※出すぎと思われたらスルーしてください

三連戦は厳しいけど……やっぱ私が出なきゃ始まらないし、終わらない、かな?
相手は誰でも、猟兵は勿論、腕に覚えのある観客さんの挑戦も受けて立つよ!

初戦も含めれば一日に4戦目
さすがの私もバテ気味だけど

厳しい状態でもそれなりのファイトを魅せるのがプロだから
しっかり受けて相手の力を引き出してからがこちらの魅せ場!

得意のドロップキックや豊かすぎる肢体を密着させる締め技関節技で盛り上げたら
最後は必殺のアテナ・パニッシャー……で、決められないかも!?

その時はその時、勝者をしっかり祝福できてこその“女王”の貫禄だよね!


リゥ・ズゥ
プロレス。格闘技術を、学ぶのに、丁度いい。
実践、すれば、より、身につく。
リゥ・ズゥは、悪魔。此処では、悪役(ヒール)レスラー、ということ、か。
いいだろう。リゥ・ズゥのプロレスを、存分に、味わえ。
(変幻自在の身体は体格、リーチ、重心に左右されない人外のプロレスを披露します。
「捨て身の一撃」「怪力」での荒々しいパワーファイトに見せかけつつ、「早業」「カウンター」でのテクニカルな対応や「バウンドボディ」での柔軟な体を活かした脱出困難なサブミッション、「ロープワーク」「ジャンプ」での空中殺法すら駆使するパフォーマンスと実戦力を両立したファイトスタイルにより会場を興奮させてみせましょう)



●Mistralの風に乗って
「もう一本!」
 流れる汗を拭かず、息も絶え絶えの中。草剪・ひかり(f00837)がマイクを握った。
 まさかの四戦目にどよめく会場。
 誰かリングに立たないのかという声もでた、けれど……。
「私が出なきゃ始まらないし、終わらない、かな!」
 15年近くプロレスと過ごしてきた彼女だから感じ取ったものがある。それを悟ったギャラリーは絶対王者の次の言葉を待つ。
「相手は誰でも、猟兵は勿論、腕に覚えのある観客さんの挑戦も受けて立つよ!」
「ならば、リゥ・ズゥのプロレスを、存分に、味わえ」
 天井から何かが落ちてきた、ブラックタールの生命体を飛沫を散して黒い粘性の身体でマットを染めれば、徐々に形作るのは悪魔を思わせる造形。
「プロレス。格闘技術を、学ぶのに、丁度いい。実践、すれば、より、身につく」
 リゥ・ズゥ(f00303)がリングに立てば会場は歓声が上がる。
「リゥ・ズゥは、悪魔。此処では、悪役レスラー、ということ、か」
「いいよ! 悪魔でも何でも、相手してあげる!」
 草彅コールとリゥ・ズゥコールが会場を支配する中、おそらくは最後のゴングが鳴った。

 始まりはロックアップ。
 二人のマットを踏み込む足音をリングのスプリングが増幅して会場に力強さを響き渡らせる。
 お互いが力を、技を、比べつつ、徐々に腰を落とす。
 最初に仕掛けたのは草彅、首投げからヘッドロックに移行すれば、リゥ・ズゥが柔軟性を見せつけるようなヘッドシザースでその動きを食い止める。シザースから脱出したひかりが再度首投げを仕掛ければ、またもやヘッドシザース。そしてお互いに距離を取り、視線をかわす。
 会場に感嘆の声が上がる。
 次に仕掛けるのはリゥ・ズゥ。低いタックルから足首を取り倒すと、アキレス腱を極める。絶対女王がのけ反ってヘビー級バストを揺らしつつ、身体を横に起こして逃れれば、バウンドボディから培った柔軟性を活かして黒いカイブツが逆片エビ固めに移行。痛みに耐えるひかりがただ叫ぶ。
 会場内に響く、草彅コールの中、ロープに手を伸ばせば会場からは拍手が、絶対王者の精神力だけでなく、テクニックを見せるリゥ・ズゥへのそれはリスペクト。
 更にカイブツの攻撃は続く。巻き付くようなヘッドロックで絶対王者の頭を極めようとしたのだ。だがひかりは即座に前に押し出すようにロープへスルー。自分も走れば、反動で戻ってきた相手に打点の高いドロップキック!
 頭から落ちるリゥ・ズゥ、だがバウンドボディで跳ねるとそのまま後転、ロープまで行けば倒立状態から反動を活かしたハンドスプリング・バックエルボー! ブラックタール殺法が炸裂し、草彅がマットに沈む。
 動けないひかりを尻目にカイブツはトップロープへ、そして繰り出すは空中で全身を液状化しての超遠距離ムーンサルトプレス!
 リング中央まで黒い筆で書かれたようにラインが引かれた後、形態を人間に戻したリゥ・ズゥがフォールする。
「ワン!」
「ツー!」
「やぁああああ!!」
 自慢のバストをアピールするような高いブリッジで絶対王者がフォールを返す。
 先に立ち上がるのは草剪・ひかり。だが、その足取りは連戦の疲れもあって重い。
 それでも……それでも……プロレスをしたいから!
 飛び掛かるリゥ・ズゥにひかりの想いが込められたアテナ・パニッシャーがカウンターで叩きこまれる!
 受け身のスキルに差があるカイブツには首折り弾による打撃と跳ね上げられるように身体が舞う事でマットに叩きつけられる二段ダメージは未体験。瞳孔が開き、その場で天を仰ぐ。知っている人は知っているラリアットは打撃で行う投げ技なのだ。
 だが絶対王者も立ち上がれない、お互いがあおむけでスポットライトを眺める時間が続き、やがて這い上がる様に草彅がフォール。
「ワン!」観客のコールにも祈りがこもる。
「「ツー!!」」続くコールに願いがこもる
「「ス……アアーッ!!」」リゥ・ズゥのブリッジで跳ね上げられるひかりの身体を見て落胆の声が会場に響く。
 時間をかけてゆっくりと起き上がる黒いカイブツに悲鳴が上がり、逆転を期待する草彅コールが響く。
 だが、立ち上がるひかりを待っていたのはリゥ・ズゥの口から放つ黒い霧。
 まさかの毒霧でたたらをふむ、絶対王者に対してタイミングを取る様に足を踏み鳴らす黒いカイブツ。そしてブラックタール殺法の仕上げとばかりに放たれたのは発条のあるスーパーキック!
 蹴り脚が顎を捉えると同時にリゥ・ズゥが自らの軸足を叩けば、乾いた切れ味のある音が響き、続くのはマットに沈む重低音。
 倒れるひかりを改めてフォールすれば、会場からは歓声と悲鳴と奇跡の祈り。
「ワン!」会場から声が響く。
「「ツー!!」」その声は重なり。
「「「スリー!!!」」」選手、審判、観客、全員が祭りの終わりを今、悟った。

『22分37秒 体固めでリゥ・ズゥ選手の勝利です!』
 リングアナウンサーが勝者を告げ、服部と名乗る虎のキマイラが勝者の腕を上げる。
 その腕にもう一つの腕が加わった、その名は草剪・ひかり。
 女王だから、女王だからこそ。勝者を祝福すべく、その腕を取ってリゥ・ズゥを称えたのだ。

 かつて人が人として生きていた時代。
 とある国に吹いていた風を人はミストラルと言った。
 見事と意味するその風が今、時を経て、キマイラフューチャーの時代にも吹いた。
 色々なストーリーを経て、たどり着いたそれを――ミストラルバウトと人は呼んだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月25日


挿絵イラスト