世界の平和にご奉仕するにゃん!
「あのー……やっぱり良くないんじゃないかニャ? だって、いっぱいケガしたり……死んじゃうニンゲンとか出ちゃうニャ」
おそるおそる言いかけた白猫――いや、白猫を思わせる獣人に、他の獣人たちが一斉に軽侮とあざけりの目を向けた。黒猫、茶猫、三毛猫、様々な毛並みをしているが、いずれもネコ型の獣人である。
獣人たちの背後には、おどろおどろしい魔法陣と神像、そして神像に捧げられていると思しき小さな供物――「黄金の招き猫」があった。
せわしなげに動き、何らかの儀式の準備をしていたらしい獣人たちは、その行動を止めて白猫に詰め寄る。
「またお前かニャ。なんでお前はいつも邪神様にちゃんとお仕えしようとしないニャ」
「そうニャ! 我らが偉大なる猫神UNYA様の御復活は何より重大な使命ニャ」
「そのためなら、ニンゲンどもなど、いくら死のうが構わないニャ。いや、むしろ絶滅させるべきニャ」
ギラギラと残虐に輝く瞳が白猫を囲み、中には威圧するように鋭い爪を見せつけてくるものもあった。
そのうちの一頭が、冷酷なまなざしで白猫を見つめる。それはもはや、仲間に対する視線ではなく、「狩り」の対象を見るそれだった。
「もうすぐ儀式が完成しようというのに、もし、お前が邪神様の復活儀式を邪魔立てしようとするなら……お前は敵ニャ。ここで殺すニャ!」
「そうニャ! 殺すニャ! ニンゲンどもに味方するような裏切り者は殺すニャ!」
騒然となった獣人たちに、白猫は慌ててブンブンと首を振る。
白猫は他の獣人たちよりも体も小さく、力も弱く、これだけの数の獣人たちに襲い掛かられたら数秒で跡形もなくなってしまうだろう。
「……わ、わかったニャ。これからは邪神様に頑張ってご奉仕するニャ……」
「ふん。わかればいいニャ。でも、もう次はないニャ」
小さくなって反省の言葉を述べた白猫に、獣人たちは忌々しそうに唾を吐きかけ、散って行った。
その後ろ姿を見ながら、けれど白猫は心の中でつぶやく。
(でも。……ニャーが生きてた頃のご主人さまは、優しかったニャ。ニャーが生きてた頃の世界はキラキラで、楽しかったニャ。それを……壊したくないニャ……護りたいニャ……)
白猫の目に、小さな光が宿った。
――それは、覚悟と決意の光だった。
「ねえねえねえ! ねえねえ!」
けたたましい声がグリモアベースに響く。驚いたように、彼女自身の操るシャボン玉がふわりと揺れてパチンと弾けた。
それは、ユメカ・ドリーミィ(夢幻と無限のシャボン玉・f18509)の興奮した声である。
「聞いて聞いて! UDCアースで、邪神復活の儀式が行われているらしいの!」
確かに重大な事件だが、しかし同時に、UDCアースではよくあることでもある。
何をそんなに興奮しているのか、と、周囲の猟兵たちは不思議そうな顔でユメカを見た。
「ああ、うん、わかってる。よくあることよね。ほんとはよくあってほしくはないけど。でも、ここからが違うの」
ユメカはいったん言葉を切り、自分を落ち着かせるように、大きく深呼吸した。
「あのね。……『優しいUDC』がいるんだって。その子は、これまで人間に危害を加えたこともないし、悪いこともしていないんだって!」
ほう、と猟兵たちは目を見開く。
例えば、シャーマンズゴースト。その種族はUDCではあるが、平和を願って人類に味方する勢力であり、同胞であり、友である。
しかしこれまでは、シャーマンズゴースト以外の友好的UDC――『UDC-P(Peace)』は発見されていなかった。
だが、今ここに、新たなUDC-Pの存在が予知されたというのだ。
「でもね、その子の身が、今、危ないの。他のヤバいUDCもその子を探していて、このままだと殺されちゃう!」
ユメカは早口で事情を伝える。それによると。
そのUDC-P、すなわち白猫の獣人は、自分の身の危険も顧みず、邪神復活儀式のために必要な「黄金の招き猫」を盗んで逃げ出したのだという。
それがなければ儀式は完成しないため、他のUDCたちは血眼で白猫を追いかけている。
「だから、みんなは、UDCたちより早く白猫ちゃんを見つけて、護ってあげて! そのあとは、UDC組織に白猫ちゃんをかくまってもらうといいわ。大丈夫、組織に渡したって、変な実験体とかにされちゃう、なんてことはないはずよ。だってそんなことしたら、もう猟兵と仲良くやっていけないもの」
ユメカはグリモアを出現させながら、猟兵たちを見回す。
「どんな相手でも、心を通わせることができるなら、やっぱりそれが一番いいとあたしは思うの。みんな、頑張って白猫ちゃんを助けてあげてね!」
天樹
こんにちは、天樹です。
今回の事件は、「UDC-P」すなわち友好的UDCの発見と保護が主眼となります。
第一章は白猫の発見を目的とした冒険、第二章は白猫を追ってきた獣人たちを相手に、白猫を護りながらの集団戦となります。第三章に関しての情報は後ほど。
では皆さんのご参加をお待ちしています。
第1章 冒険
『ネコはなにかを知っている』
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POW : 根性でひたすら街中を調査する
SPD : ネコの来そうなポイントに待ち伏せ、一瞬で捕まえる
WIZ : 監視カメラや猫ネットワークなどから潜伏場所を絞り込む
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白猫の獣人は猫そのものの姿に擬態し、街中を逃げ回っている。
それは孤独で死を賭けた、弱者なりの戦いでもある。
様々な手段を駆使して、邪悪なUDCたちより先に白猫を発見し、保護しなければならない。
邪神復活を阻止するというだけでなく、何よりも、その平和へ向けた、小さな、しかし必死な願いを護るために。――優しい心を護るために。
けれど白猫を見つけたとしても、彼女は怯えているかもしれない。簡単に猟兵の懐に飛び込んでくるとは限らない。
発見に全力を傾けるだけでなく、どうにかして怯えた白猫をなだめ、懐かせることも必要になるだろう。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【苦戦でも構いません】
こないだは兎を送ったと思いきや、
今度は白猫を保護しろ、ねぇ……
UDC組織も売れない探偵事務所みたいな事してんなぁ?
……あ、兎はアタシ他数人くらいの狭い話だったわ。
忘れてくんな。
気を取り直して、捜索するにしてもなぁ……
ある程度の『情報収集』はできてるんだろ?
それなら野良猫が一匹で逃げ込みそうな路地やら
建物の隙間に張り込んで、猫が通りかかるのを待つよ。
そして通りかかった猫を見つけ次第、
【縁手繰る掌】で手元に引き寄せ……あだだだっ!?
あっこらっ、引っ掻くなっての!
手当たり次第に引っ張るから柄が違う猫もいるし、
ちゃんと捕まえられるかねぇ……?
四王天・燦
Wiz
人ならざる女の子が好きなアタシ。
オブリビオンだから倒す理に苦しんできただけに今回の件に希望を感じる。
ついでに黄金招き猫を入手できれば完璧
猫のおやつ用の鰹を買っておこう。
寺社の境内・公園等で野良猫を探し、手土産&動物と話すで情報収集。
新参の雌白猫や、身を隠せる空家、猫社会の噂など聞き回ってから本格捜索
人の身で到達できない場所なら狐の姿に変身して行くぜ。
忍び足で白猫に接近。一定距離まで達したら「女の子の味方だ」と声をかけ鰹を投擲。
素直に己の性癖を言うし分かり合える可能性が嬉しいって伝えるよ。そして生きて欲しいから守らせてくれってな。
「事が済んだら招き猫をくれるともっと嬉しいぜ」
強欲さもポロリ
「こないだは兎ちゃんを送ったと思いきや、今度は白猫を保護しろ、ねぇ……。UDC組織も売れない探偵事務所みたいな事してんなぁ?」
建物の隙間を覗き込みながら、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は苦笑気味に長い髪をかきあげ、詠嘆する。
邪神復活に関わりかねないこの事件の重要さ、そして友好的UDCとのコンタクトという使命の大切自体はもちろん十分理解している。とはいえ、事件の表面だけを見ると、何とものんびりした、日常の合間の出来事に見えてしまうのも無理はない。
「なに、兎ちゃん!? 兎のUDCと接触があったのか?」
その言葉を聞き逃さずに、背後に効果線の入っているかのような勢いでぐいと近寄って尋ね返したのは、多喜と共に捜索活動を行っていた四王天・燦(月夜の翼・f04448)。その琥珀色の美しい瞳が、しかしギラリと輝いた。
「……え? あ、いや。それはアタシ他数人くらいの狭い話だったわ。忘れてくんな」
燦の剣幕に、思わず多喜も腰を引いて冷や汗を浮かべた。燦はそんな多喜の様子に、やや不承不承といった感で肩をすくめる。
……燦がそれほどまでに多喜の話に喰いついたのには理由があった。
(「オブリビオンだから倒す」……そんな悲しく切ない理だけに、今までは縛られてきたけど)
燦は胸中で決意を新たにする。これまでの、数々の思い出が脳裏に浮かぶ。ハーピーとの出会い、アルラウネとの触れ合い、マンティコアとの語らい、見習い雪女との邂逅……。
(今回の件は……アタシにとって希望だ。分かり合えるUDCがいるかもしれないってことは。そう、すべてではないとしても……)
きゅっと、探索用に用意してきた掌中の鰹を握りしめ、燦は強く頷く。
「人外の女の子と、堂々とイチャイチャできるかもしれないんだからっ!!」
「……あー、ごめん、声出てるよ。ってかそっち方面の人かー……」
おお見よ、多喜の力ないツッコミも耳に届かないほどに、燦は燃えている! 文字通り燦々と!
そう、燦は人外の少女たちとの触れ合い(色々な意味で)を好む女性だった。故に、先程の多喜の言葉にも耳聡く反応したのだ。
――それは性的指向であることは事実である。だが単なる恋情以上に、この世界に居場所のないオブリビオンを抱きしめてあげたいと願う燦の想いであることもまた事実だった。
これまでは、オブリビオンである以上、倒すしかなかった。それが世界の崩壊を呼ぶものであるのならば。
しかし、世界の破壊につながらないオブリビオン――UDC-Pの存在が知らされたことは、まさに燦にとって福音であったのだ。
(ま、気持ちはわからんでもないさ)
多喜はテンション高く捜索を再開した燦の後姿を眺め、小さく笑む。
(そうさ。大切に思う人、愛しく思う人と、オブリビオンだからって必ず戦わなきゃいけないなんて……滅ぼさなきゃいけないなんて、――辛い話だもんな)
多喜は己の胸中によぎった誰かの微かな面影を心の中でそっと抱き締め、そして少し寂しげに、静かに首を振った。
「……で、このあたりなのかい?」
振り返った多喜の問いに燦は狐耳をぴょこんと蠢かせて頷く。
そこは、町はずれの廃工場だった。
「ああ、そういう噂だ。見たことのない猫がこのへんをうろついてるってさ。もっとも、その子は白いのかって聞いたら不思議そうにしてたが」
燦のその情報には相当の確度があると言えた。なぜなら、それは同じ「猫」――野良猫から聞きだした噂だったからである。燦は動物と会話ができる能力者でもあった。無論、手土産の鰹も大きな効果を上げているのだが。
また、多喜のテレパスも、さすがに人間相手ほど明確に伝わってくるわけではないとはいえ、野良猫たちがでたらめを言っているわけではないらしいことは判断できていた。
「よし、それならこの辺で網を張って……いや、待て、あれじゃないかい!?」
多喜がはっと気づき、顔を向けた方向には、文字通り、工場の崩れかけたキャットウォークの上をとぼとぼと歩く、一匹の猫の姿があった。
その毛並みは純白……「だった」のだろう。けれど、逃避行の中でその毛並みは汚れ、みすぼらしくなってしまっていた。
「よし、ならアタシが行ってくる!」
燦は空中に身を翻すと、その身を変じる。五尾の狐へと。
そのまま身軽に工場の壁を駆け上ると、燦はそっと、猫を脅かさないように声をかける。
「やあ、元気なさそうだな。どうだい、美味しい鰹節があるぜ。一口味わってみないか?」
猫はびくりと体を震わせて、突然の訪問者を見つめる。
やがて、その綺麗な瞳に……恐怖の色が浮かんだ。
「……猟兵ニャ! 猟兵はニャーたちの天敵ニャ!!」
がたがたと小さな体を震わせて、白猫は毛を逆立てた。
そう。破滅の意思を持たない個体と言えどもUDC。それは猟兵を本能で識別し、――己の天敵であることを悟るのだ。
「えっ!? いや、違うんだ、ちょっと待って、話を聞いてくれ!」
燦の叫びも聞こえぬ風に、白猫は慌てふためいて逃げ出そうとする。だが、
「チビちゃん、ちょっと我慢しとくれよっ!」
次の瞬間、白猫の小さな体が何かに捕まれたように空中で静止していた。
――それは多喜の放ったユーベルコード、「縁手繰る掌」。相手を引き寄せるサイキックが白猫を捕縛し、多喜の元へと導いたのだ。
「あだだだっ!? あっこらっ、引っ掻くなっての!」
怯えて爪を振り回す白猫に傷だらけにされながらも、多喜はしっかりと白猫を掌中に収める。そこへ戻ってきた燦が、柔らかな声を掛けた。
「落ち着いてくれ、白猫。アタシたちはあんたの味方だ。……友だちになりたいんだよ」
「ニャー! ……ニャ? ……トモダチ?」
多喜の腕の中でジタバタと暴れていた白猫は、燦の言葉にふっと我を取り脅したように顔を向ける。それと同時に、多喜の優しさが腕の温もりの中から伝わってくる。
「ニャーを……ニャーを殺すのではないのニャ?」
「ああ、そんなことするもんか。今も言ったろ、友だちになりたいんだ。もちろんあんたさえ良ければそれ以上の関係でも……えへへ……」
「四王天サン、よだれ出てるよ……」
呆れたような多喜の言葉にはっと涎を吹き、燦は表情を取り繕う。
「ごほん、とにかく。……アタシたちは、あんたを護るために来たんだ。こうやってきちんと話ができる、それが、アタシにはとても嬉しいんだよ。……だから、あんたの命、護らせてくれないか。――友達として、さ」
「トモ、ダチ。……よくわからないニャ。ご主人さまとは違うニャ?」
「もちろんご主人さまでもいいぞ! そういう関係も……」
ドン、と無言で多喜に脇をつつかれて、燦はごほっと息を吐く。割といい一発が入ったらしい。
「だーかーら、話進まないだろ、四王天サン!」
「ご、ごめん、でも……」
だがそんな二人の姿を見て、白猫は安心したように表情を和らげた。
二人の掛け合いは、白猫の緊張をほぐすのにちょうどいい、優しく和やかな空気を作り上げていた。
「あー、それで、さ。アンタを護るために……」
改めて言いかけた燦の言葉を、再び多喜が無言で手で制した。
だが今度は、これまでのように、じゃれたツッコミではない。それは瞬時に変貌した、歴戦の戦士の挙措だった。
その雰囲気に、燦も悟り、工場の入り口に鋭い視線を送る。
そこには、数匹……いや、それ以上の猫が集まっていた。
猟兵ならずとも、一目でわかるだろう。その身体から発散する禍々しい雰囲気、敵意に、いや殺意に満ちた眼差しは、普通の猫ではないことに。
「ニャー……!」
白猫が怯えた声を上げる。
そう、それは白猫のかつての仲間……獣人たちだった。
「お客さんかい。どうやら、話はあとってことになりそうだね!」
「仕方がないな。……白猫、ここはアタシたちに任せて、あんたは逃げるんだ!」
多喜と燦の言葉に、白猫は戸惑う。彼女たちは、今出会ったばかりの自分のために、戦おうとしてくれているのだろうか。危険を冒して。
……それが、――トモダチというものなのだろうか……。
「さ、早く。……あと、全部終わったら、黄金の招き猫とやら、もらえると嬉しいぜ」
「四王天サン、それなんか不吉なフラグっぽいからやめてくんないかな……」
振り返らずに言う二人の言葉に、白猫は駆けだした。
彼女の胸の中には、不思議な感情が芽生え始めていた。暖かく、柔らかい気持ち。ご主人さまに対して持っていたものに近い、でもそれとも少し違う気持ち。
トモダチ。
その言葉を、白猫は逃げながら、何度も繰り返していた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
宇宙船の重要区画にペットが迷い込んで捜索に大騒ぎ…というニュースは見聞きしましたが、まさか探す側に回ることになろうとは
いえ、保護対象はオブリビオン…オブリビオン?
生命を護る為にも、彼らが一体どのような存在なのかを知る為にも早急に保護しなくてはなりませんね
街中に妖精ロボを放ち●情報収集
軒下や排水溝等狭い場所を中心に捜索
痕跡…白い抜け毛が発見できたらそちらを重点的に捜索
野生動物はテリトリーを持つもの、野良猫の縄張りを侵し喧嘩に巻き込まれた際に落とす可能性もあります
発見後は…
マタタビを付けたワイヤーアンカーでの●ロープワークで猫じゃらし…
馬鹿にするなと怒られそうなので様子を探りつつ使いましょう
秋月・信子
・SPD
友好的UDC…UDC-Pですか
私達「人」の中に邪神へ与する人が居るように、私達「人」へ与するUDCも居る…という事ですね
『…で、わざわざネコ一匹を捜すために私を呼んだわけ?』
【Esの影法師】で私の影から作り出した瓜二つの映し身、だけど性格は間逆で「姉さん」と呼ぶドッペルゲンガーが怠そうに悪態を付いてますが何時もの事です
『情報を整理すると「黄金の招き猫」を盗んで追われてる白猫ね…じゃ、二手に分かれましょ』
姉さんが言うには猫に擬態しているのであれば追う者も擬態している、白猫でなくても不自然な猫が居ればその付近に居るかも知れないと
発見したらROSETTAの翻訳機能【動物会話】で対話を試みます
「宇宙船の重要区画にペットが迷い込んで捜索に大騒ぎ……というニュースは見聞きしましたが……」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、その巨体を窮屈そうに折り曲げて排水溝を覗き込む。
「……まさかUDCアースの住宅街で探す側に回ることになろうとは」
然り、まさか星々の海を飛翔し宇宙を駆ける鋼の騎士が、住宅街の真ん中で、狭い路地や軒先、空き地の隅っこを、小さな猫を求めて探し回ることになろうとは。
もっとも、トリテレイアは狭隘な視点にとらわれるようなものではない。行動自体はコミカルに見えても、その目的は邪神復活の阻止であり、また友好的UDCとの接触、そしてその保護という崇高にして重大な使命だ。そう、たとえその白銀のボディが泥水に塗れ、雑草だらけ、ゴミだらけになろうとも。
「……探し物には向かない身体ですね」
トリテレイアは嘆じる。無論、細かい作業が苦手な自分の欠点は承知しており、故に、すでに手は講じている。が、だからといって任せきりにしてはおれず、自分自身も行動に移ってしまう律義さが彼らしいところかもしれない。
「いえ、手は多い方がいいですから」
秋月・信子(魔弾の射手・f00732)はそんなトリテレイアの姿を見て苦笑し、けれど好ましい視線を向ける。真面目に事態に取り組む彼の姿は、信子自身が苦労性気味な性格をしているだけに、微笑ましく映った。
「オブリビオンを保護する、というのも不思議な気はしますが、それだけに重要な任務と理解します……あ、こんなところにたばこの吸い殻が。あ、ガムのポイ捨てが」
ごそごそと猫を探しながら、ついでに御近所の清掃作業まではじめてしまっているトリテレイアを見て、信子はくすくすと笑い声を漏らした。本当に、苦労性と言う意味では、この巨人と自分は似た者同士かもしれない、と。
「……私達「人」の中に邪神へ与する人が居るように、私達「人」へ与するUDCも居る……という事ですね」
トリテレイアの背中にくっついた草の実を取ってあげながら信子はつぶやく。それに頷き、トリテレイアも自らの身をパンパンと叩いて土埃を落しながら立ち上がる。
「ああ、すみません。……確かに、シャーマンズゴーストの皆さんが存在するのですから、敵ではないUDCの出現も可能性としてはあり得たわけですね」
トリテレイアの言葉に、信子はやや考え込む。最近赴いたサクラミラージュでの事件のいくつかを想起して。
そこでは、オブリビオン――影朧は、転生という形で救済し得る相手だった。世界は違えども、もしかしたらオブリビオンとの関係性を、単純な敵味方でくくれなくなっている方向に、時勢は流れているのかもしれない……。
「で、あんたたちは何を世間話してるのよ」
「……あ、姉さん」
呆れたような顔つきで二人の後ろに立ったのは、信子のドッペルゲンガー。さらにその背後にぷかりと浮かぶのは、トリテレイアの放っておいた自律式妖精ロボだった。
奇しくも、トリテレイアと信子の二人は、自分本体以外の探査手段を有する、というところまで似た者同士だったわけである。
「まったく、わざわざネコ一匹を捜すために私を呼んだかと思えば、本人たちはのんびりと油を売ってるし」
「こ、これは申し訳ありません……」
『姉さん』すなわち信子のドッペルゲンガーの悪態にトリテレイアはその巨体を委縮させるが、信子本人は肩をすくめて苦笑し、トリテレイアにささやく。
「いつものことですよ、大丈夫です」
「聞こえてるわよ」
じろりと睨む「姉」を信子はさらりと受け流し、尋ねる。
「それで姉さん、何か収穫はありましたか?」
「あんた最近図太くなってきてるわね……まあいいわ。町はずれの廃工場の方に、なんだか気味の悪いネコが集まっていたって話よ」
なるほど、と信子は「姉」の慧眼に感心する。
直接の捜索対象は友好的UDCである白猫。しかし、その白猫を追いかける獣人たちがいる。白猫が猫に擬態しているのならば、追跡者たる獣人たちもまた猫に擬態している可能性が高いだろう。そして、獣人たちはその数が多いゆえに、人の目に立ちやすいはずだ。……信子の「姉」が考えたのは、そのような推理であり、そしてそれは的を射ていたらしい。
「確かに」
と、トリテレイアも自分の中のマップデータと照らし合わせ、首肯する。
「私の妖精ロボも、その方向に白い抜け毛が落ちているのを発見しました。そちらに白猫がいる可能性は高いかと」
猟兵たちは顔を見合わせて頷き合い、行動を開始した。
とぼとぼと、歩くものがある。小さな影を頼りなげに引いて。
それは、白猫の姿。
必死の逃走の末、辛うじて追跡者たちを撒くことに成功した白猫は、少しだけほっとした思いで、身を休ませることができる場所を探していた。
が、そこへ突然。
「いたわね! 白猫!」
激しい声が降ってきて、白猫はびくりと身を震わせた。
顔を上げた方向には、びしっとこちらを指差している、なんだか怖そうなニンゲンの女の子がいる。その隣にいるよく似たニンゲンは優しそうに見えるが。
「手間を掛けさせてくれたわね、さあそこを動かないでもらうわ!」
「ね、姉さん、猫さんが怯えますから……」
隣にいる優しそうなニンゲンがおろおろと声を掛けているが、どう見ても怖そうなニンゲンの方は警戒したほうがいい気がする。
白猫が腰を浮かし、逃げ出そうとした時。
おお、なんということか。
まるで天上の香りとも思えるほどの豊潤な芳しさを持った、陶酔と歓喜をもたらす何かが、白猫の前に投げかけられたのだ。
「……こ、これはいったい……何ニャッ?」
白猫の視界がピンク色に染まり、まるで綿菓子でできた雲に乗って春風のまにまに漂っているような、蕩けそうな感覚が総身を襲う。
「フニャ……フニャァ……」
思わず知らず、白猫の手足は踊り出す。その芳しい何かを追って、右に、左に、上に下に。とろんとした目つきとなり、腰が砕けて、その場でゴロゴロと転がりまわっている白猫には、猟兵たちが近づいてくることなど気にする余裕もなかった。
「……データにはありましたが、猫にマタタビとは実に効果的なものですね」
トリテレイアが、目の前で幸せそうな表情で転がっている白猫を見て感心したように呟く。
そう、白猫の行動を制したのは、トリテレイアが放ったマタタビ付きの猫ジャラシだった。
「ちょっと申し訳ない気もしますが……」
「そう? 喜んでるんだからいいんじゃない?」
信子とその姉も眼前の光景を興味深そうに見ながら近づくと、そっと白猫に声を掛けた。
「こんにちは、猫さん。お話をしてもいいですか?」
「フニャァ……ハッ!?」
信子の優しい声に、白猫は我に返る、が、その時は既に猟兵たちによって彼女は取り囲まれていた。
「ま、また猟兵……ニャ」
小さく首をすくめる白猫。先ほどの出会いによって、猟兵が必ずしも敵ではないようだということは理解していたが、それでも完全に警戒心を解くことはまだできていない。
「はい、猟兵です。あなたを護りに来たんですよ」
「護りに……。邪神様が復活されたら困るからニャ?」
「ええ、それもあります。ですが、それだけではありません」
白猫の探るような言葉に、トリテレイアは静かに言を返す。
「この世界を愛するという同じ気持ちを抱くものは友。そして友に対しては誠意を貫き信義を裏切らない。それが騎士たるものの姿だと、私は思っているからです」
「トモ……」
白猫は言葉を反芻する。
不思議な言葉だ。先ほどの猟兵たちも同じ言葉を使っていた。
よくわからないけれど、その言葉を繰り返すたびに、なにかが。胸の奥で何か、暖かくてふわっとした、でもとても強い気持ちが、溢れてくるような気がする。そんな言葉だ。
きっとそれは、――マタタビとかいう、さっきのいい匂いのものよりも素敵な何か、なのかもしれない。
「よくわからないニャ……。でも、確かに、ニャーは……この世界が好きニャ……。それがトモダチということなのニャ?」
「そうですね」
信子は柔らかな風のようにふわりと微笑む。
「そしてこれからもっといっぱい、あなたにはお友達ができますよ。友達は……ええ、素晴らしいものです」
――そうよね、はるちゃん、ひーちゃん、先輩。
信子が口中で微かに呟いた声を、彼女の「姉」だけが聞いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
十文字・武
逃げた白猫探しねぇ?
餅は餅屋。猫のことなら猫に聞くのが一番だわな。
【カラバ侯爵領のユカイな仲間達】(ムテキ・サイキョー・カラバニャンコーズ)を使って、長靴猫の騎士団仲間を呼ぶべきだな。
猫ネッコワークに聞き込み開始!捜査は足で稼げ!
……見つけた子が美猫でもナンパすんじゃねぇぞ、お前ら?
ん、件の白猫ちゃんを見つけても、逃亡者ってんなら容易くはこっちを信用してくれんわなぁ、恐らく。
まぁ、そこはこのオレの【言いくるめ】でちょちょいの……え?ボスは解ってないニャって?
自分らの得意技【もふもふみゃーみゃーな癒し空間】で愛に包むべき?
くっ…なら、どっちが先にその子を落とせるか、勝負だ!
アドリブ連携歓迎です。
コトト・スターチス
平和を愛するしろねこさんをたすけるためにがんばります!
【WIZ】
データあつめなら電子の精霊のぼくにおまかせくださいっ!
失礼して町にある監視カメラを【ハッキング】させてもらいます!
ねこのきもちになりつつ、隠れやすそうな落ちつくところを中心に【情報収集】してとりまとめ、次に向かうところを予測してさきまわりします
しろねこさんに会えたら、安心させたいので『いやしのてのひら』で回復の【奉仕】をしますね
「ぼくは敵じゃありません、平和が大好きな辻ヒーラーですっ」
「あなたはぼくがお守りします。なにが襲ってきても、世界の平和をまもるために、ぜったい負けません!」
【コミュ力】で心にうったえて、落ち着かせたいですっ
「何っ、町はずれの廃工場付近に、奇妙な猫たちが!?」
十文字・武(カラバ侯爵領第一騎士【悪喰魔狼】・f23333)はその鋭いエメラルド色の目を爛々と光らせた。
彼の言葉に応じて、尻尾をピンと立てたのは、彼の呼びだした長靴猫の騎士団一党。勢ぞろいし、立てた尻尾を、今度は一斉に左にくるんと回す。
ちなみに、猫が左にくるんと尻尾を回すのは礼儀正しい挨拶のしぐさである。夏目漱石もそう言っているのだから間違いない。
……それはさておき、長靴猫騎士団が武に報告したのは、猫のネットワーク――ネッコワークを駆使して仕入れてきた情報。すなわち、廃工場の近くに奇妙な猫たちの群れが向かっていたということだった。
それはもしや、――目的である白猫を追うモノ、UDCの群れなのではないか、と長靴猫たちは意見を具申する。
「ぼくの調べた情報も同じなのですよっ!」
その傍らで、コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)が可憐な顔を紅潮させ、こくんと頷く。
「失礼ながら、町中の監視カメラをハッキングさせてもらいまして、情報を仕入れました。確かに、ちょっと怖い感じのねこさんたちがいっぱい、そちらの方へ向かっている様子が映っていましたよっ」
コトトは自他ともに認める猫大好き少女であり、故に猫を使役する武とは気が合っていた。が、そんなコトトでさえも、廃工場へ向かっていたという猫の集団には、悪意と邪気に満ちていることを認めざるを得なかった。
(あれがおそらく、しろねこさんをねらうUDCなのですね……。悲しいです……どうしてねこさんという可愛い生き物なのに、平和を望めないのでしょうか……)
人一倍平和を願うコトトは、寂しげなまなざしを浮かべて顔を曇らせる。
大好きな猫の姿をしているのに、それは世界の破滅をもたらすUDCであるという残酷な現実。
が、平和を求めるからこそ、今為すべきことはわかっていた。コトトは、両頬を軽く叩いて心を決める。
「平和を愛するしろねこさんをたすけるためにがんばる、今は、それが何よりたいせつですっ!」
気を取り直して言うコトトに、武も大きく頷く。
「ああ、たった一人で敵の集団に立ち向かう、そいつがどれだけ勇気がいることかはよくわかるぜ。力だけが強さなんじゃねぇ、その胸の中に燃える炎が本当の強さなんだからな……!」
拳をぐいと握って力説する武に、コトトはくすりと微笑む。大げさではあるが、彼の言っていること自体は間違いではない。無数の悪意の中の、たった一つの平和の願い。だからこそそれは何よりも美しく輝くのだと、コトトも知っている。
「……ふふ、熱血さんです。最終ダメージが二倍になりそうです」
「なんだそれ?」
「いえ、何でもないのです。では、行きましょう!」
不思議そうな顔の武を促し、コトトは走り出した。
その後ろ姿を見ながら、武はもう一度心の中でつぶやく。
(ああ、その白猫ってのは、自分の中の負の感情――恐怖や絶望や諦めに怯えながらも、まだ負けてねぇ。……そいつはすごいことなんだ。俺にはわかる。――時折、自分の中の悪食魔狼の食欲に誘われそうになる俺にはな……)
「……と、あれじゃねぇか?」
武は掌をかざして遠くを覗きこみながら、小さな白い影が走ってくる姿を目ざとく見つけた。
……それは確かに白猫だった。
彼女が再び獣人たちの襲撃を受けかけたものの、猟兵たちの援護を受けて逃げ出してきたところだということは、無論、武もコトトも知らなかったが。
「けがを、しているみたいですっ……!」
コトトはきゅっと唇をかみしめ、その痛々しげな姿を眺める。
そう、その白い毛のところどころには赤黒い血が滲み、牙や爪によって受けたと思しき傷が見えていた。
二度も獣人たちの襲撃を受けた白猫は、いかに猟兵たちの支援を受けていたとはいえ、無傷というわけにはいかなかったのだ。
白猫はその小さな身体の肩で息をし、ふらふらとよろめきながら、今にも倒れそうなほど儚げに見えた。あたかも、充満する悪意の前に、小さな祈りがかき消されてしまうかのように。
「だいじょうぶですっ!」
白猫が今にも倒れ伏そうとした時、駆け寄って行ったコトトが、その小さな体を抱きしめる。優しい願いを消してはならないと、暖かい祈りを失ってはならないと。
「ニャ……?」
驚いたように見上げる白猫の瞳を覗き込み、コトトは安心させるように言い聞かせる。
「ぼくは敵じゃありません、平和が大好きな辻ヒーラーですっ!」
「つ、辻……ニャ?」
難しい言葉を聞いてきょとんとする白猫。言葉で説明するのももどかしげに、コトトはユーベルコードを発動する。……それは、優しく温かい、癒しの掌。慈愛といたわりに満ちた、聖母の抱擁。
コトトの手に撫でられ、白猫はうっとりとした表情となり、その手に身をゆだねる。
コトト自身の疲労と引き換えの治癒ではあるが、何ほどのことがあろう、この小さな平和への願いを護れるのならば。
「ニャ……なんだか、身体の痛いのが、消えていく、ニャ……」
「それに、心も、だよな」
にやりと笑う武。そう、武も同時にユーベルコードを駆使していた。もふもふでみゃーみゃーな能力――ふわふわでころころな猫たちが一面を埋め尽くし、その愛らしく純粋無垢な姿による癒し空間に対象を包み込み、相手の緊張や恐怖を和らげる能力を。
人ではなく猫自身にそのみゃーみゃーな癒しは通用するのか、という感はなきにしもあらずではある。だが、仲間だったはずの多くの敵から追われて傷ついていた白猫にとって、猫――優しく温かい同族に包まれるという光景は、確かに心を癒すものであったのだ。
コトトと武、ふたりの猫好きの二つの癒しの能力によって、白猫の傷は急速に回復していく。コトトは人から与えられる信頼という贈り物を、武は同族との優しい触れ合いという贈り物を、それぞれ添えて。
「ニャー……ありがと、ニャ、――トモダチ、さん」
白猫は猟兵たちを見上げてぽつりとつぶやく。
もはや、怯えもなく疑念もなく、ただ信頼と友情に満ちた、まっすぐな瞳で。
その姿を見て、コトトと武は、にこりと笑みを浮かべる。
「はい、友だちですっ。だから、あなたはぼくがお守りします。なにが襲ってきても、世界の平和をまもるために、ぜったい負けません!」
コトトが優しさの中にもきっぱりと言い切る。その傍らで
「何? やっぱりボスよりも自分たちの得意技の方が効果的だったって? う、うるせー! 今回はたまたまなんだよ!」
……なんか揉めている武と長靴猫たちがいた。せっかくいい雰囲気だったのに。
「……えーと。あれはトモダチではないのニャ?」
「いえ、あれも友だちです。仲が良すぎるとケンカになることもあるんですよっ」
「むー、トモダチは難しいニャ……」
首をひねる白猫の可憐な姿に、コトトは慈母のように、ふわりと微笑んだ。
――かくして、猟兵たちは白猫の保護に見事成功した。
のみならず、怯えていた彼女の心に強い信頼を芽吹かせ、さらに、『トモダチ』という優しく温かく強いものを教えることにも成功したのだ。
単に白猫の身柄を保護するだけではなく、その傷ついた心をも受け止めてあげたこと。それはまさにUDCとの友好的接触という歴史的な出来事の主役となるにふさわしい。
だが、油断はできない。
敵は、もうすぐそこまで近づいているのだから……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ウェアキャット』
|
POW : 引っかき
【伸縮自在で鎌の刃のように伸ばす鋭い爪】が命中した対象を切断する。
SPD : 好奇心は猫を殺す
自身の【好奇心が旺盛過ぎる猫の本能】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : 猫騙し
【かしわ手を打つ動作】から【相手の意識の中に幻影】を放ち、【驚かせたり怯ませる事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:透人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ぞわりと背筋を総毛だたせるような悍ましい妖気を感じ取り、猟兵と白猫たちは周囲を見回す。
だが、無論、確認するまでもない。
周囲一帯は、既に獣人の群れに取り囲まれていたのだ。
白猫と、とてもよく似た姿の獣人……だが、そこにあるのはただ破壊の意思、ただ破滅の意図。
悲しいことに、猟兵たちには本質的に理解できてしまうのだ。この無数の群れの中に、平和を望んでいるのは、ただ一匹、この小さな白猫以外にはいないことを。
もう、白猫を逃がすことはできない。彼女の傷は癒されたものの、体力が限界に近付いており、逃走しきるだけの力はもう残っていないからだ。
ならば、と、猟兵たちは身構える。
そう、もはや、戦うしかない。
だが、獣人たちは集中的に白猫を狙ってくる。
無数の獣人の群れに対し、どう戦い抜くか、だけではなく、どのように白猫を護りながら戦うか、ということも大切だ。
白猫の命が失われたとしたら、たとえ獣人たちを全滅させたとしても、それは猟兵たちの敗北に他ならないのだから。
四王天・燦
「嫁に手を出すなよ」
間に入り、白猫に自己紹介し名前を聞く。
嫁とは絆の最上級と説明
「生前に会った人間の違いだ」
白猫と獣人を見比べ。
酷い人間がいることは謝り、もう少しだけ人間を見てくれと願う。
願い届かないなら「少し手荒にいく…ニャ」と妖魔解放。
猫又の魂を纏い性格も猫化
鰹を齧っておびき寄せ。
「欲しいニャ?」
好奇心を刺激し、だまし討ちで四王稲荷符をおでこにペタリ。精神攻撃&気絶攻撃ニャ
白猫へ突破されたら「猫又妖術!」と火炎衝撃波で牽制。
高速移動(四足歩行)で詰めて押し倒す
何れもトドメはくちづけや吸血で生命力吸収し、精気と魂を吸い尽くす(女の子限定)
爪攻撃は高速移動を活かし残像を薙がせる
刃物・苦痛は厳禁
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
よしよし、よく頑張ったな。
後はアタシ達に任せとけ。
だから……少しだけ、休んどけ。
お前らもなァ!
同じ種族だってんなら、攻撃よりも無力化を選べば
なんとかできる可能性はあるだろ。
さっきのトリテレイアさんの二番煎じに近いけど、
【弱点特攻作成】で猫の習性を呼び起こさせる!
白猫の目を塞いだ状態にして、
ふわふわしたボールのようなものを放り投げる。
集中してくれるならそれでよし、
そいつにゃ高圧電流が流してあるんでね!
思わず飛びついてくれたなら痺れてアウトさ。
他にも触ると弾けて催涙ガスを撒き散らしたり、
鳥餅が炸裂したり……
とにかく派手さと動きで『おびき寄せ』て、
一網打尽さ!
闇に光る三日月のような無数の瞳。それは妖気と殺気に満ちた猫――獣人たちの瞳。
ぎらりと燃え上がる貪欲な輝きが、白猫を射すくめる。
それは最早、仲間に対する眼差しではなく、敵でさえなく。単なる獲物――それだけだ。
「ニャ……!」
白猫の総身の毛が逆立ち、恐怖と戦慄を物語ったとき。
「おっと、そこまでにしてもらおうか」
凛と響き渡る声と共に、四王天・燦(月夜の翼・f04448)の流麗な姿がすっくと立ちはだかる。獣人たちと白猫の間に。それは決して揺るがぬ城塞の如く堅牢にして頼もしく、白猫の目には映った。
「――アタシの嫁に手を出すな!」
「……四王天サン、せっかくかっこよく決めたのに、なんでそうなるのさー!」
隣で数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は頭を抱える。どうした星のめぐりあわせなのか、多喜は誰と行動しても、そしてどんな場面でも、どうもツッコミ役に回ることが多い。数少ない(?)良識派猟兵としては逃れられぬ定めか。
「ニャ? ヨメって何ニャ?」
きょとんとして白猫が小首をかしげる。その可憐な姿を横目で視界に収め、内心ではハートを撒き散らかしながら身をよじりたくなるほどのきゅんきゅん感に襲われつつ、あくまで燦は凛々しい外見を保つ。ある意味すごい。
「嫁とは……最上級の絆のことさ。さっきは自己紹介もできなかったな、仔猫ちゃん。アタシは四王天燦。よければその可愛い名前を教えてくれないか?」
「ニャーは……生きていたころは、ご主人さまに、『もふ』って呼ばれてたニャ。もふもふだからって言ってたニャ」
「フッ、そうか、よく似合っている名前だよ……ぐはぁっ」
「四王天サン、鼻血鼻血ーってか血ぃ吐いた!?」
攻撃力の高い『もふ』の答えに、燦は戦闘前から大ダメージだ! そしてそれをいちいちツッコまないといけない多喜の胃痛も大変だぞ! がんばれじょうしきじん!
「ま、まあそれはさておき」
取り繕えているのかいないのか、燦は血を拭きながら改めて獣人たちの群れに向き直る。
そこに燃えている憎悪と怨念の炎に、燦はふと、悲しげに長い睫毛を伏せた。獣人たちの表情の奥には、拒絶と否定の感情しかないと読み取れたがゆえに。
(もしかしたら、生前に出会えた人間の差が、ここまで事態を悪化させてしまったのかな……。『もふ』が純粋なのは、良い主人に巡り合えたからだとするなら、この子たちは、きっとその反対に……)
燦がその愛を注ぐのは、何も友好的UDC――『もふ』のみではない。
でき得ることなら、すべてのUDCと手をつなぎたいのだ。……可愛い女の子に限るが。
「なあ、お前たち」
と、燦は獣人たちに呼びかける。そこにせめてもの糸口がないものかと。
「悪い人間に、出会ってたのか? ……そいつらから、酷い目に遭わされてたのか? もしそうなら、アタシが代わって謝る。……ごめんな。でも、もう少しだけ、広い目で人間を見てくれないか。もう少しだけ、人間に時間をくれないか。この通りだよ」
素直に頭を下げる燦を見て、多喜は見直したように笑みを浮かべた。優しい穏やかな笑みを。
(なるほど、四王天サン、あんたは確かに本物だ。その想いは、まぎれもない真実の誠意。ふふ、テレパスを使わなくても、わかるよ。たいしたもんだね。……けど)
多喜はふっと顔を曇らせる。燦のその想いは届かないと、知っていたから。
そう、オブリビオンはその存在自体が見合いを、希望を、世界を憎む。そのようにあるべくして形作られた存在なのだ。たとえ憎まずとも、受け入れることはできず、共に歩むことも、できない。
――魚が陸に恋い焦がれても、そこで生きていくことはできぬように。獣が空を想おうとも、そこで存在を謳歌することはできぬように。
果たして、獣人たちには、燦の言葉は届かなかった。無防備な燦のその姿に、今しも従事員が無慈悲に爪を立てようとした時。
「『もふ』ちゃん、目ぇ閉じてな!」
多喜の声が響き、同時に――
白くて丸くてころころしたものが、獣人たちの間をさっと通り抜けた。
「ニャニャッ!?」
獣人たちは思わず振り返り、そのものを一斉に追いかけ始める。
が、それだけではない。追いかけて行った先で……
「フニャ!?」「ニャニャ!?」
獣人たちが弾かれたようにひっくり返る。
さもあろう、その丸いもの――ボールには、電流が仕掛けてあったのだから。
それは猫の習性を利用した多喜のユーベルコード、相手の弱点を突く恐るべき能力! ……結果的には球ころがしという可愛い形で発動しているとはいえ。
多喜は先程トリテレイアと合流した時に彼の話を聞き、白猫――『もふ』がマタタビに強烈な反応を示したことを知った。獣人には獣の、猫の習性が色濃く残っているのだと悟った多喜の、鮮やかな無力化攻撃だった。
「……痺れたニャ」
「何であんたまで罠にかかってんだよ四王天サンーっ!?」
せっかくシリアスだったのに。多喜はボールに構って痺れている燦に半泣きになりながら突っ込む。がんばれじょうしきじん。
「……いや、アタシも猫又モードになってたもんだから……」
魔性の能力を自らに憑依させることができる燦は、相手に呼応して自らも猫又を憑かせていたのだ。そこにボールが転がってきたのだから、じゃれついても仕方がないというものだ。そういうことにしておこう。
だが、さすがは猫又。ただの獣人とは一味違う。他の痺れた獣人たちより一足先に回復した燦は、軽捷にその身を躍らせ、まだボールを追いかけている獣人たちの中に舞い降りた。
「ほーら、鰹節だニャ。欲しいニャ?」
多喜のボール攻撃によって既に本能が刺激されまくっていた獣人たちは、もうほとんど猫と化している。そこへ鰹節の香ばしい香りが示されたのだからたまらない。
「それをよこすニャー!」「こっちにもよこすニャ!!」
嵐のような勢いで襲い掛かってきた獣人たちに対し、燦はひらりひらりと身をかわしながら閃光のような素早さで一撃を見舞っていく。獣人たちの額にふわりと舞うそれは『四王稲荷符』――精神攻撃を封じた手製の霊符。
その霊撃の前に、獣人たちは次々と意識を失い、倒れていく。
「あんたたちも――アタシの中で、アタシと共に。それが、あんたたちがこの世界で生きていける唯一の道なら」
倒れた獣人の少女を優しい目で見降ろすと、燦はそっとその身体を抱き上げる。金色の瞳がふと、微かに揺れた。
灰色の髪が風に舞い、獣人少女の顔に影を落とす。
怨みを、憎しみを。哀しみを。怒りを。それらをすべて、追憶の中へ。
燦の艶めいた唇が、そっと獣人少女に触れたとき。
静かにその魂は、安らげる場所へと還って行った。
「――あくまで傷つけることなく、か」
多喜は眩しそうな目で燦の姿を見やる。
せめて怒りと悲しみを抱いたまま消えることだけはないようにと。
その燦の気持ちは、多喜にはよくわかるから。
(そうさ、少しだけ――休んどけ。休める場所を手に入れたのなら、な)
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
WIZ
世界を憎まず、疎まれないUDC……
寂しく感じてしまうのは、私があっち側の存在だからね……
私が救うのは貴女のお友達の方だけど
大丈夫、貴女も守るわ
守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
『挽歌・二重水鏡』で私と同じ強さと技能を持つ
アイリスとナルを召喚
私とナルで【属性攻撃】
水属性で牽制しつつ周囲を濡らし
幻影に惑わされても、雷属性で全員を麻痺させるわ
ナル:ボク達は【電撃耐性】で安心だしね♪
アイリス:私は【オーラ防御】を展開して白猫を守るわね
アイリスも攻撃する余裕ができたら
3人がかりの【誘惑・催眠術】で残りを魅了。
麻痺して動けない子も含めて全員
体の隅々まで愛しながら【生命力吸収】よ
「そう……私と、どこか似たような猟兵もいたのね」
ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は、やや離れた場所からその光景を眺め、静かに呟いていた。
ある意味では似ていて、しかし。
本質的には全く異なるもの、でもあるかもしれない――。
「私が救うのは貴女のお友達の方だけど。……大丈夫、貴女も守るわ」
ドゥルールは白猫の姿を振り返り、淡々と言う。
「ニャ……トモ、ダチ?」
ドゥルールのその声は、つい先ほど「トモダチ」という言葉を覚えたばかりの白猫にとっては、大きな驚愕を伴うものだった。
トモダチとは、同じ世界に生き、同じ世界を護ろうと思い、そのためには己の危険さえ顧みぬもの。――そう白猫は理解していたのだし、だからこそ、そんな「トモダチ」がいるこの世界は素晴らしいのだ、と改めて感じてもいたのだった。
だが、今、ドゥルールは、獣人たちのことを白猫の「トモダチ」だといった。
それは白猫の把握していた「トモダチ」の、どの概念にも当てはまらない。
あの獣人たちは、この世界を憎み、破壊しようとし、そしてそれに反対する白猫を殺そうとしていたのだから。
「みんなは、ニャーの、トモダチなのニャ……?」
おそるおそる白猫は問う。必死で答えを捜そうと考え込みながら。
「それは貴女自身が決めることよ。……でも」
ドゥルールはふっと微かに相貌を崩し、言葉を継ぐ。
「『あいつらなんか友達じゃない』なんて言うようなら――とも思ったけど。そこに迷うことができるだけ、確かに貴女は無垢なのかもね。負の思い出だけに染まらないでいられるのだから」
「ニャ……」
白猫は思い出す。獣人たちは白猫をいじめていたけれど。バカにしていたけれど。嘲笑っていたけれど。
……それでも、鍋の底の最後の肉のひとかけらを奪いはしなかった。皿の底の一口のミルクを奪いはしなかった。寒い夜の片隅の寝床を奪いはしなかったのだと。
それは、もしかしたら。――ともだちと呼べる何か、「だった」のかも、知れないと。
「ニャーは……ニャーのしたことは、だめなことだったのかニャ……?」
「それも、貴女自身が決めることよ。……でも」
ドゥルールは耳を垂らして悲しげな表情を浮かべる白猫に静かに言う。その瞳に、影を抱き留める闇のような慈愛を宿して。
「純粋な善意だけのさっきまでの貴女の魂より、ほんの一滴の迷いと後悔がブレンドされた今の貴女の魂の方を、私は魅力的だと思うわ」
ドゥルールの言葉は難しく、今の白猫にはわからない。けれどいつか、分かるときが来るのかもしれない……。
「その『いつか』を護らないとね。じゃ、行くわよ、アイリス、ナル!」
『任せて!』
ドゥルールの呼びかけに応じ、現れ出でたのは金属生命体の姉弟。吸血姫の指揮の下、逆巻く激流が呼び出され、攻撃態勢に入ろうとしていた獣人たちを襲う。
「ニャニャーッ!?」
猫は本能的に自分の身体が濡れることを嫌がる生きもの。単なる属性攻撃という以上に、その「水」の攻撃は効果的だった。逃げ腰になる獣人たちに対し、さらなる追撃をドゥルールは仕掛ける。
「びしょびしょね、うふふ。とろとろに濡れちゃったら、……次は体の芯まで痺れちゃう。これも、お約束よね……」
艶めいてささやくドゥルールの声と同時、閃電が走り、雷光が迸る。
「フニャニャーッ!!?」
十分に濡らされたところに電撃を受けたのだからたまったものではない。獣人たちはバネ仕掛けの人形のように飛びあがり、ふらふらとよろめいて、バタバタと倒れ伏していく。
「さあ、それじゃ……」
倒れた獣人少女たちに、しゅるりと衣服を脱ぎ捨てながらドゥルールは近づいて行く。その瞳に妖しい輝きを宿し、その唇に凄艶な笑みを浮かべて。眩いほどに白い素肌と、その輝きに充たされた柔らかな肉が、空気さえ蕩けそうな薫りに包んで。
獣人少女の体にそのしなやかな指先を伸ばしていきながら、けれど。
ドゥルールはふと痛々しげに言葉を零した。見えないはずの背後の白猫の姿を、瞳ではなく心で見つめながら。
「――世界を美しいと感じ、世界を優しいと讃え、世界を護りたいと願うあの子の姿を、私は……寂しいと感じてしまう。あなたたちも、本当はそうだったのではなくて? あなたたちの中に在って同じ価値観を持てなかった彼女自身も寂しかったでしょう、でも、あなたたちも、本当は……彼女に置いて行かれたことが――寂しかったのではなくて?」
ドゥルールの声が聞こえていたはずはないのに。
気を失っている獣人少女の瞳から、微かに涙がこぼれたように、見えた。
それはただ単に、先程の水の攻撃の滴が流れ落ちただけだったのかもしれない。けれど。
涙を流すオブリビオンがいても、世界にそれを咎めさせはしないと――ドゥルールは長い影を揺らめかせながら呟いていた。
成功
🔵🔵🔴
十文字・武
アド連携歓迎
あぁ、そうだろうさ
異端は常に排除される。あぁ、解ってる
同種でなく、輩でなくば、喰らってしまえ。それでお終い
生きる者として、極当たり前だろうさ
だがなぁ……オレ達異端が常に狩られるだけの獲物と思うんじゃねぇぞ?
周囲を囲まれている状況は最悪に近いが
好機とは自ら作り出すもの
火力担当を支援し状況を劣勢から覆す
騎士団仕込みの【戦闘知識・団体行動】にて戦場盤面を把握
UC【悪喰魔狼と笛吹き男】起動
周辺無機物は既に障害ではなく、オレの顎だ【だまし討ち】
高火力猟兵と白猫の周囲から敵を排除。時間を稼げ
なぁ、白猫……例え同種から弾かれたとしても、生きていかなきゃな?
オレ達はまだこうして生きているんだから
トリテレイア・ゼロナイン
形式的なものではありますが、言っておきましょう
…お引き取り願えますか?
この方の保護と邪神復活阻止の為
貴方達を排除させて頂きます
戦場にUCを白猫を囲う様にコの字型の防御重視で展開
空白の辺の位置に立ち塞がります
上左右背後からの攻撃は壁で塞がれ私のいる位置へ攻めこまざるを得ますまい
殺到する獣人に向け格納銃器での●なぎ払い掃射で数を減らしつつ弾幕で攻撃の移動ルートを制限することで、攻撃タイミングと位置を●見切り●武器受け●盾受けで白猫を●かばい防御後、●怪力●シールドバッシュで質量弾として群れに叩き返します
(白猫に)
…辛ければ目を閉じ、耳を塞いでいても良いでしょう
どちらを選ぶかは貴女の意志次第ですが
仮に、獣人たちがいくばくかの哀切を寄せられるべき存在であったとしても。
彼女たちはオブリビオン、在るだけで世界を崩壊に導き、すべての命を憎み、喰らい尽くさずにはおられぬ性質を持つものであることに変わりはない。
ゆえに、迷いなく、仮借なく、これを排除することもまた、正しい猟兵の姿である。
全ての生きとし生けるもののために、すべての輝く未来のために。……「明日」を必ずもたらすために。猟兵が戦うのはそのためであるのだから。
「……一応、形式的なものとはいえ、お伝えはしましたが」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は冷静に呟く。その声の中には、提案が拒絶されたことへの失望もなく、また怒りもない。
「……『お引き取り願えますか?』と。――ですが、返ってきたのは恫喝と挑発だけでした」
「ま、そうでしょうね。それでも申し出ずにはいられないところが騎士ってやつっすか、先輩? いや、オレも騎士なんスがね」
機械の騎士と並び立つもう一人の騎士、十文字・武(カラバ侯爵領第一騎士【悪喰魔狼】・f23333)もまた、和解案が一蹴されたことに意外そうな顔も残念そうな顔も見せない。
「相手は女性ですからね、UDCとはいえ。手荒な真似をせずに済むのなら、それに越したことはありませんでしたが――しかし、白猫さんの保護と邪神復活阻止が何よりのプライオリティを有します。それもまた、騎士の務めと言えるでしょう」
そう告げてから、トリテレイアはチカチカとセンサーアイを瞬かせる。それは、人であれば『照れ』の感情表現に類似した動作プログラムであるといえるかもしれない。
「……ところで、私はあなたに先輩と呼ばれるようなものではありませんよ、十文字様。騎士でありたいと願う者にすぎず、それに比べてあなたは正規の騎士であるのですから」
「いや、大したもんだと思うっすよ、そこまできちんと色々考えられるのは。騎士ってのはそういうもんだと俺も思いますし、だから、あなたは騎士の先輩っす」
互いに互いを尊敬するという、騎士としてのあるべき姿を二人ともに自覚せず行っている姿は、ある意味微笑ましくもあった。だが、武は続いて語気を強める。
「恥ずかしい話ッスが、オレの場合は騎士道とかナントカの話じゃねぇ、もっとシンプルです。……こいつら、気に食わねぇ」
武は緑色の瞳を燃えがらせ、迫りくる獣人の群れを睨みつける。迫る暴威に為すすべもなく小さな善意が蹂躙されてよいはずがない。傲慢な悪意に小さな勇気が否定されてよいはずがないのだ。
「あぁ、確かにそうだろうさ。異端は常に排除される。あぁ、解ってる。同種でなく、輩でなくば、喰らってしまえ。それでお終い……生きる者として、極当たり前だろうさ。だがな……」
ひとりごちながら、ぎり、と武は歯を食いしばる。眼前に迫る魔性の群れと、自分たちが背後に守る白猫の姿。
――それは、何処か、自分に似ていた。己の中に宿る強大な魔性にいつ喰らわれるかと日々慄きながら、それでも立ち向かい続ける自分の姿に、どこか似ていると……そう、武は感じていた。
だからこそ。だからこそ、武は赦さない。許せない!
「だがなぁ……オレ達異端が常に狩られるだけの獲物と思うんじゃねぇぞ!?」
武の叫びは、何処か、狼の遠吠えに、似ていた……。
「気負わずに、十文字様。先ほどの打ち合わせ通りに。あなたならできますよ」
トリテレイアは武の様子を気遣いながら、自らのユーベルコードを発動させた。
攻勢電磁障壁発振器射出ユニット(バリアジェネレーターランチャー)――それは瞬時にエネルギー障壁を展開し、トリテレイアたちと白猫の周囲を囲い込む。
単に白猫を護るだけなら、全周を囲ってしまえばいい。だが。
「……貴方達を排除させて頂きます」
トリテレイアの冷酷な宣告が響く。然り、邪神崇拝者たるUDCの排除もまた、誰かがやらねばならぬこと。世界のために、未来のために。
ゆえに、トリテレイアはエネルギー障壁の囲みを、一か所だけ開けていた。トリテレイア自身が守る前面のみを。
獣人たちが攻め込んで来ようとすれば、ここから以外にはあり得ない。
が、獣人たちは単なる獣ではない。人の知能を持つ獣だ。トリテレイアの巨体から放たれる威圧感に獣としての本能が畏怖を感じ、同時に、攻め込んで来いと言わんばかりの布陣に人としての知能が警戒感を覚えている。
獣人たちは障壁の廻りをうろつきながら、困惑したように躊躇っている。
「……なるほど、そう単純ではない。では、次のプランに移行しましょう、十文字様!」
そう、獣人たちは障壁の廻りをうろつきまわっている。
すなわち――ジェネレーターユニットの廻りをだ。
ゆえに、――「それ」は効力を発揮する。
「飢えたる餓鬼よ! 暴食たる闇森の獣よ! 終末の宴に応じ顕れよ!!」
そう、武の詠唱によってもたらされるユーベルコードに。
その効果は、『無機物を、敵に喰らいつく、血に飢えた無数の狼の顎に変換し、操作する』――すなわち。
武は、トリテレイアのユニットたちをことごとく餓狼の群れに変じせしめたのだ!
煌めく牙が剥きだされるのは、今や獣人たち。殺意の塊をぶつけられるのは、今や獣人たちだ。無数の狼が、獣人たちの喉笛めがけて飛び掛かる!
無論、獣人たちも、ユーベルコードを使うほどの魔性。ただ牙の前に伏すばかりのはずはない。鋭い爪や幻影による回避で、狼たちを迎撃していく。
だが、もとより、狼たちは主戦力にあらず。獣人たちの意識をそちらに向けるための囮。
冷たい音を立てて開いて行く。トリテレイアのハッチ、銃器を格納していたハッチが。
銃口は獣人たちに向けられ、そして。
……火花が散った。
「……見せなかったのですか」
トリテレイアがぽつんと尋ねる。
武は、白猫の目を塞いでいた手をどけながら、小さく苦笑した。
彼は、見せなかった。同族の滅びを、その死を。酸鼻たる光景を。
「さーせん、先輩。……でも、やっぱりこの子にはまだ……辛い光景を見てほしくないって、オレ思うんす」
「いくらかわいい子でも、永久にケージの中に入れて守ってあげることはできない。時として現実を見せてあげることこそが優しさという場合もあるでしょう」
「そっすね。でも、……ここに来るまでに、この子はもう十分に辛い思いをしましたよ。だから、今はこれでいいんじゃねぇかなって。オレはそう思うんっす。……へへ、やっぱ騎士の資格ないっすかね」
肩をすくめる武の背を、トリテレイアはそっと叩く。感情の見えづらい機械の巨人の、しかし確かな優しい手触りで。
「いいえ、十文字様。あなたは獣人たちに激しい憎悪を向けながら、しかもその憎悪に飲まれませんでした。敵の死に快哉を叫ぶよりも先に、白猫さんの身を案じました。それは輝かしい騎士の証だと私は思いますよ」
機械騎士の信実な言葉に、青年騎士は照れたように髪をかきあげる。
不思議そうに見上げる白猫に、武はつぶやいた。
「なぁ、白猫……例え同種から弾かれたとしても、生きていかなきゃな? オレ達はまだこうして生きているんだから……」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
秋月・信子
・SPD
流石に数が多すぎますね…姉さん
『分かってるわ。白猫が私を警戒してるみたいだから護衛は信子、任せたわ』
ええ、こっちは任せてください
『じゃ、私は影で作ったニセモノの「黄金の招き猫」で【挑発】するわ。コイツら、裏切り者の始末の他に盗まれた物の回収も目的でしょうからね。ある程度【おびき寄せ】たらワザと落とすけど、影の中は白猫探しで使わずじまいだったマタタビエキス入りの液体手榴弾、焙烙玉”彩”。ブービートラップで群れがへべれけになった隙に別の手榴弾で爆殺するわよ、いいわね?』
ええ…でも姉さん、本当は元仲間が倒されるのを猫ちゃんに見せたくないんでしょ?
『…さ、始めましょ』
※アドリブ、アレンジ歓迎
コトト・スターチス
心をオニにして、わるねこさんと戦います!
まずしろねこさんを守るように『せいなるほのお』54個をまきちらしますっ
敵が近づいてきたらほのおを動かしてけん制しますよっ
ぼくはしろねこさんのなるべく近くで、いつでも攻撃をかばえるように備えておきますね
「あなたはぜったいぜったい、ぼくたちが守りますっ!」
わざとほのおの少ない所をつくって、そこに敵をさそいだして、むかえうちます!
ねこだましの幻影を【見切り】、メイスをフルスイングしてがつんと【気絶攻撃】しながら遠くへ【吹き飛ばし】ますっ
一度におそってくる敵を少なくしながら、確実に倒していきたいです
もし誰か(特にしろねこさん)がケガしたら、ほのおで回復しますねっ
「かなしいです……かなしいですけど」
コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)は、蒼い瞳に決意をみなぎらせて、きゅっと拳を握りしめる。
「心をオニにして、わるねこさんと戦います!」
猫が大好きなコトトにとって、猫獣人たちとの決戦は、でき得るならば避けたかった決断。けれど同時に、避けることはできないとわかってもいた決断だった。
獣人たちを退けない限り白猫は守れない。そして白猫を護ることこそが、人類とUDC-Pとの未来――平和な未来へとつながっていくのだと理解していたから。
「ニャー……」
不安そうに声を漏らす白猫を見返り、コトトはにこっと天真爛漫な笑顔を見せる。
怯えを消し去り安心を与える、その可憐な笑顔こそが、人を癒すヒーラーとしての、コトトの何よりの面目躍如かもしれない。
「心配しないでください、あなたはぜったいぜったい、ぼくたちが守りますっ!」
『……ですって。まあ、護らなきゃいけないのは確かだし、護衛は信子に任せたわ』
コトトの言葉を傍らで聞きながら、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)がドッペルゲンガーとして呼びだした彼女の「姉」が信子に語り掛ける。
「姉さんは?」
『荒事の方を引き受けるわよ。……私は白猫に警戒されてるみたいだから』
くすっと微笑み、信子はドッペルゲンガーの横顔を見つめる。自分と同じ顔、しかし、ちょっと捻くれても見せる、意地っ張りな横顔を。
「実はショックでした? さっき怯えられたの」
むー、と、無言のまま信子を横目で睨むドッペルゲンガー。肯綮に当たっていたことを確認し、信子はまたくすりと笑った。
『……つまんない話は置いといて、行くわよ……これの出番ね』
ドッペルゲンガーはやや強引い話を打ち切ると、掌中に輝くあるものを示して見せ、ニヤリと笑む。
猟兵たちが顔を上げたその向こうには、生き残りの獣人たちがじわじわとその包囲を狭めつつあった。
脱兎のように飛び込んできた一人の影に、獣人たちはその猫目を見開く。
その相手――信子のドッペルゲンガーは、一瞬立ち止まると、ひらりと手をかざして、何かを獣人たちに見せつけた。
「ニャニャッ!? まさかニャ!?」「ニャ!! きっとそうニャ!!」
獣人たちは一斉に毛を逆立てて色めき立つ。
おお、それこそ、白猫によって奪われた邪神召喚儀式のための供物、獣人たちの至宝、「黄金の招き猫」に違いないではないか!
裏切り者である白猫を粛正することも必要だが、宝物を奪い返すことも同じように重要事項だ。それがなければ邪神様の復活は果たせないのだから。
『ふふ。猫さんこちら、手のなる方へ、ってね』
からかうように歌うその声に誘惑されるように、獣人たちの半数がドッペルゲンガーを追って走り出す。その光景を見て、ドッペルゲンガーは美しい唇の端を上げて笑む。
(ま、計画通りかしらね)
敵をおびき寄せるのは信子の、そしてドッペルゲンガーの得意の手法。
まんまとそれにつられた相手を流し見ながら、ドッペルゲンガーは再び走り出す。
追いつかれないように、かといって離し過ぎないように、相手を吊り出す絶妙の間合いを保ちながら。
ドッペルゲンガーにつり出されたのは半数の獣人。
残りの半数は、なおも白猫の命を狙って飛び掛かろうとしている。
単なる獣ではなく、人の知能も備えた獣人の厄介なところだ。ここで全員が宝物を追って白猫を逃がすことはできないという、最低限度の状況判断が出来てしまう。
もっとも、それは猟兵たちの予期していたことでもあった。
「のこりはんぶん、ですね。ではそちらはぼくが引き受けるのですっ!」
コトトはその様子を見て頷くと、凛と響く声で詠唱を開始した。
「『ひっさつ! いやしとさばきのファイアーですっ!』」
コトトの鈴を振るような声とは裏腹に、その声が呼び出したのは凄絶な紅蓮。
燃え上がる炎の渦が號と逆巻き、天を射したかと思うと、流星雨のように虚空から降り注いで無数の火炎弾と化す。
「ニャニャーッ!?」
獣人たちは慄きながら周囲を見回す、僅か一瞬で彼女たちは完全に炎に包まれ――
いや。
獣人たちの眼は、一か所だけ、炎の渦に包まれていない場所を見つけた。
その空間めがけ、獣人たちは疾駆する……が。
「まっていましたよっ!」
そこに待ち受けていたのはコトトだった。
無論、一か所だけ炎のない空間を作り、獣人たちをその場所へと誘導したのだ。
「ニャーっ!!」
獣人たちは爪を光らせ、唸り声を上げてコトトへ飛び掛かる。その身体が宙空で朧に滲み、陽炎のように揺らめく。獣人の幻影能力だ。しかし。
「見切りましたっ!」
コトトの眼力は相手の実体を見逃さない。それは燃え上がる炎が照らし出す影! 影があるものが実体だ!
踏み込んだステップと共に、コトトのメイスが唸りを上げて風を切る!
ガツン! と音を立てながら、獣人たちが空の彼方へ次々と打ち出されていく。
「ニャーッ!?」「ニャニャーッ!!」
煌めくお星さまになりながら、獣人たちは糸を引くような叫びを残して消えていった。
9㎜パラべラムの軽快な発射音が響く。
コトトの火炎陣とメイスホームランをかいくぐって白猫に接近しようとする僅かな獣人を、信子はサブマシンガンの面制圧射撃で怯ませ、身をすくませていた。
足元に激しく立った土埃に、獣人たちは追い返され、結果コトトのホームランの餌食となる。
「ニャー……」
彼女たちの姿をどこか物悲しげな瞳で見つめる白猫をちらと見やり、信子は「姉」の行動に思いを馳せる。
単に獣人たちを倒すだけならいくらでも方法はあった。わざわざドッペルゲンガーが敵の誘い出しを行う必要もなかったのだ。
けれど。
(……本当、不器用なんですから、姉さんは)
信子は「姉」の心中を慮り、静かに優しい笑みを漏らしていた。
『……この辺でいいかしらね。……ほうら、お望みのものよ』
獣人たちを引きつけ、十分な距離を稼ぐことができたと判断したドッペルゲンガーは足を止めると、掌中にしていた「黄金の招き猫」を無造作に放り投げた。
「ニャニャーツ!? 乱暴にするニャーッ!」「返すニャ―!!」
獣人たちは慌てて飛び掛かり、招き猫を受け取ろうとする。――が。
獣人たちが一斉に招き猫に群がった、その瞬間に、派手な音を立て――『招き猫』は破裂した。
そう、それは当然、本物の招き猫ではなかった。
信子が影を使って造り出していたダミーに他ならない。
……のみならず。
そのダミーの中には、潜んでいたのだ。恐るべき兵器が。
その名を――マタタビエキス。
白猫自身が先ほどマタタビでメロメロになってしまったように。獣人たちにも同じく、マタタビエキスは絶大な効果をもたらした。
ふらふらと、踊るように、くらくらと、酔ったように。ごろごろと、居眠りするように。
破裂と同時に撒き散らされたマタタビエキスは、効果覿面、獣人たちを夢幻の世界へと導いていた。
『……ま。こういうのは私の仕事よね』
その獣人たちの姿を冷たく見下ろして。
ドッペルゲンガーは、手榴弾のピンを引き抜いた……。
遠くからゆっくりとドッペルゲンガーの姿に、信子とコトトは手を振りながら駆け寄った。
「あっ、怪我してますか? ぼくが癒してあげますねっ」
目ざとくドッペルゲンガーの傷を見出したコトトに、ドッペルゲンガーは苦笑する。
『私はドッペルゲンガーよ。こんな傷なんか……』
「いいえ」
コトトはにこっと微笑んで、ドッペルゲンガーの手を取る。ふわりと優しく、春風のように。
「心があれば、痛いのですよ。痛いのならば、癒すのです。それがぼくのお仕事なのですっ」
それはコトトの力であるとともに、コトトの想い。痛い人を痛くなくしてあげること、それが彼女の夢であり生き方。
雪のように白く燃えがる炎が口づけるようにドッペルゲンガーの傷を柔らかく包み、癒していく。その姿を見ながら黙している「姉」に、信子は寄り添うように、思いを抱きしめる。
(ええ、姉さんは優しい心を持っている。今の戦い方だって――元仲間が倒されるのを猫ちゃんに見せたくなかったから、ですもの。……そうですよね、姉さん?)
『……ま、いいけどね。なら、とりあえず片は付いたようだし、私はこれで消えるとするわ』
ぶっきらぼうに言い放ったドッペルゲンガーの元へ、そのとき。
とことこと、白猫が歩み寄った。
彼女の顔を見上げ、白猫は嬉しそうな笑みを浮かべ、言った。
「ありがとニャ、――トモダチさん」
その言葉に、珍しく「姉」の頬が赤く染まるのを、信子は微笑ましい思いで見つめていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 日常
『UDC-P対処マニュアル』
|
POW : UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す
SPD : 超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す
WIZ : UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
かくして猟兵たちは見事に、友好的UDC――UDC-Pとの接触とその保護に成功した。
大きく伸びをしたり、深呼吸をしたりしながら、猟兵たちは安堵の思いを満喫する。
……だが。事件はまだ終わってはいなかった。
「あとはUDC組織に彼女を引き渡すだけ……くしょん!」
「どうしたの、風邪? ……くちゅん!!」
「はくしょん! 何だ、俺もくしゃみが……」
「私はなんだかさっきから目がしょぼしょぼして……」
「鼻水が……」
一斉に体の不調を覚え始めた猟兵たちは、顔を見合わせ、同時に結論に至る。
「……猫アレルギーだこれー!?」
そう。残された大きな課題があった。
猫アレルギー。
それも、ただの猫アレルギーではない。いわば、UDCとしてのユーベルコードの暴走に近いもの、ともいえるかもしれない。
普通の猫には何でもない人や、どんな種族、それこそウォーマシンやサイボーグなどでさえも、くしゃみ・鼻水・目の充血などを起こさせる、恐るべき猫アレルギーなのだ!
これを何とか解決しないと、UDC-Pの研究に手を付けることはできない。
猟兵たちは知恵を絞り、この恐るべき『UDC猫アレルギー』にどのように対処すべきか、その方法を考えてほしい。この場で完全解決できずとも、その方向性を見つけ出すだけでも十分だ。
白猫は猟兵たちにすっかり懐き、トモダチだと思っているので、できることは何でも協力してくれるだろう。
十文字・武
ぶえぇっくしょい!っくしょうめぇっ!
バにゃにゃ!ニェコきひびゃんにしょびょくすびゅ、このオレびゃニェコアベブビーだびょぉ!?(馬鹿なっ!猫騎士団に所属するこのオレが猫アレルギーだとぉ!?)
(こりゃ、いかん。くしゃみ・鼻水・涙・以下略が止まらん!?ここはアレだ!【カラバ猫のペンダント】で、長靴猫カラバ本国に通信!アレもってこい、アレ!!こいつはどうしても見捨てられん!確かあった筈だろ?その昔、カラバを襲った猫神さま『にゃんごっど13世』の『ニャンコアレルギー波~ニャンニャンだってアレルギー~』を封じた結界兵器が!騎士団召集!1時間と保たんが、せめてこの場で誰か解決策を思いつくまででも抵抗しろ!)
トリテレイア・ゼロナイン
(症状:光学センサーの霞み、センサーアイの異常発光、くしゃみの挙動)
まさかアレルギーとは…
これまで多くのUCを目の当たりにし
何でもアリだと認識していましたがその認識もまだ甘かったようですね
UCの暴走に近いのなら
発動の条件が分かれば制御の一助となるかもしれません
リラックスや緊張状態だったり、食事をしたり、遊んだり…
様々な行動をする白猫と共に過ごし無事なセンサーで彼女のバイタルサインを●情報収集
その時のアレルギー症状の程度からUCを用いて行動、状態と症状の相関関係を●見切ります
敵は兎も角、女性のバイタルを診るのは承諾を得て行いたいですね
身体を張るのは慣れているのでお気になさら…(くしゃみの電子音)
「ぶえぇっくしょい! っくしょうめぇっ! ……バにゃにゃ!ニェコきひびゃんにしょびょくすびゅ、このオレびゃニェコアベブビーだびょぉ!?」
ここではリントの言葉で……人間の言葉で話せ。と、通常ならば誰かのツッコミが入るところだろう。
だが、現状では他人にツッコミができるような余裕がある者はいない。何しろ、全員が彼――十文字・武(カラバ侯爵領第一騎士【悪喰魔狼】・f23333)と同じ症状に悶絶しているのだから。
「……ちなみに今の発言は『馬鹿なっ!猫騎士団に所属するこのオレが猫アレルギーだとぉ!?』という翻訳でよろしいですかピーッブブーッ? ……あ、これは失礼」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の声にもまた、8bit機のBEEP音のような奇声(?)が時折まざる。
白猫のもたらしたおそるべき『UDC猫アレルギー』は、たとえウォーマシン相手であっても容赦なくその症状を発生させるのだ。それは単なるアレルギー反応ではなく、一種のユーベルコードであるらしかった。
「ニャー……みんな、どうしちゃったニャ?」
そんな猟兵たちの姿を見て、白猫が不安そうに尻尾をだらりと倒す。自分以外の全員が突如不思議な行動をとり始めたのだから無理もないだろう。
(……ということは、ピーッ。白猫様自身はまだ、自分の中のユーベルコードが暴走している、ということを理解できていないようですねブブーッ……)
トリテレイアは白猫の様子を観察し、なんとか判断を下す。初めて経験する症状に四苦八苦しながら。
(意図して行使しているわけではないから制御もできない。何かしらの発動条件が分かればそれを制御する道が開けるかもしれませんがピピーッ……しかし、この状態ではプガーッ)
トリテレイアは錯綜するノイズに思考をまとめ切ることができず、首を振る。BEEP音程度ならまだいいが、光学センサーがかすみ、異常発光を起こしてもおり、まともにマルチ解析ができる状態ではないのだ。
そしてそれは他の猟兵たちにしても同様だった。症状を完全に抑えるのは難しいとしても、せめて最低限度の観察や思考ができる状態にならなければ、対応を考えるスタートラインにすら立ちようがない。
「ぞぜらら! オレにまかせれくららいぜんばい! びゃあらっくじょぉぉぉい!!」
「今の発言は『それなら! オレに任せてください先輩! はっくしょん!!』という翻訳でよろしいですかピピーッ?」
トリテレイアの翻訳に、武は赤く充血した目をぐいとぬぐいながら頷いた。クシャミと鼻水とその他もろもろの症状に、頭の中がグラグラになりながらも、武は己が為すべきこと、為さねばならぬことをしっかりと捉え、決して見失うことはない。
(だってよ、こいつはどうしても見捨てられねぇ! こいつは、仲間に追われて一人になりながらも、自分の信じる正しいことのためにつき進んできたんだ。怖いのに、寂しいのに、それでもここまで、頑張ってこいつは来たんだ。それなのに……)
武は決意に満ちた表情で、きゅっと胸のペンダントを握りしめる。それは『カラバ猫のペンダント』。
「ぞぜだどぢ! ぜっがぐでぎだどどだちど、ごんだごどでぶれあえあいあんでががじいごご、見過ごしておけるが―!!」
毅然とした声はまさしく凛々しい騎士団長のものに他ならない。たとえ鼻声でその言葉が明瞭ではなかったとしても、それは武の騎士たる価値をいささかも傷つけるものではないのだ。
「今の発言は『それなのに! せっかくできた友達と、こんなことで触れ合えないなんて悲しいこと、見過ごしておけるか―!』でよろしいでしょうかピピーッ? ……ええ、私も同感ですよピピーッ」
トリテレイアも我が意を得たりと目を光らせる。
己の信念を貫く者に敬意を払い、恐怖の中から勇気を振り絞るものを讃え、その未来を護るために戦うもの。――人、これを称して、騎士という。
トリテレイアは今、この若き騎士の中に、熱く燃え眩く煌めく高潔な魂を見た。たとえ鼻水だらけでも。
「アレもってこい、アレ!! あの結界兵器を!」
武が通信機であるペンダントに向かって叫んだのは、長靴猫カラバ本国への支援要請だった。
時を置かず、長靴猫たちの一群がわっせわっせと押し寄せる。彼らが運んできたものは、水の詰まった幾つものペットボトル。……のように見える儀式祭具。
そう、かつてカラバ王国では恐るべき猫神が襲来し、全土の民に強制アレルギー症状を起こさせようとしたという恐怖の歴史があったのだ。その攻撃を一時的にではあるが防いだのがこの結界である。水の入ったペットボトルが猫避けになるというのはただの迷信だとか言ってはいけない、これはあくまでも神聖な祭具である。
ペットボトル(祭具)がずらりと立ち並び、そこに充たされた水(聖水)に光が反射する。
輝きは次々とペットボトル(祭具)を繋ぎ合わせて一つの形を作り上げていく。……肉球の形をした聖なる結界を。
その光に取り囲まれたとき、猟兵たちは、驚いたように顔を見合わせる。これまでよりもいくらか、猫アレルギーの症状が緩和されたことを実感したのだ。
「よし、さすがにゃんごっど13世の襲撃をも防いだ結界だぜ! これなら多少は落ち着いて考えることが出来そうだ。つっても、一時間くらいしか持たねぇけど……っくしょん!」
「いえ、お見事です、十文字様。十分以上の支援といえるでしょうピポーッ」
完全に「UDC猫アレルギー」の症状を抑えることができたわけではなく、あくまで「緩和」であるため、相変わらずくしゃみや鼻水は出る。とはいえ、先ほどに比べればかなりましな状況になっていた。
(しかし、興味深いですね。獣人たちは猫の邪神UNYAとやらを信奉していたようですが……そのにゃんごっど13世なる猫神と、何らかのかかわりがあるのでしょうかピピーッ? ……だとすれば、十文字様は遠い歴史の彼方から、白猫様と、ある意味では縁があったと言うことになるのかもしれません。……ふふ、運命などと、非論理的な考えかもしれませんが)
無論それは何の確証もなく、ただトリテレイアの心に浮かんだ漠然とした連想に過ぎないものではあったが。
「ニャー……みんな、少し元気になったニャ?」
猟兵たちの姿を見て、白猫が少し安心したように耳をぴんと立てる。
その姿を見て、トリテレイアのセンサーアイは小さく光った。
(ふむ……先ほど、皆さんのアレルギー症状の激しかった時に怯えていた白猫様と、今こうして少し安心した白猫様。感情の変化はありましたが、ユーベルコードの効果自体に変化はないようです。もう少し深い分析が必要かもしれません。それとも、感情の変化は直接的なキーではないのでしょうか……ピピーッ)
まだ有効な対処方法は見いだせない。それでも、白猫の少し嬉しそうな顔を見て、まずは一歩前進、とトリテレイアは判断した。
……ピピーッ。
BEEP音という名のくしゃみはまだ止まらないけれど。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
四王天・燦
WIZ
「えっちができない!」
(もふが人と触れ合えるようにしないと)
動揺で台詞と心情が逆になる。
落ち着くべく瞑想
カッと開眼し天啓を語る。
「血清…もふの血を投与して耐性を作るんだ!とりあえず唾液で試そう。もふ、キスしようぜ♪」
許されたら激しいキス
でも不特定多数に投与できないので没。
もふが力を掌握すべき問題だ
もふと座禅を組んで瞑想。
心穏やかに力と向き合う。近所が夕食に秋刀魚を焼いても―
…猫又とワーキャットを宿すアタシがご近所さんを襲撃
バタバタ付き合うぜ。
無意識下の防衛本能が働かないくらい人を好いてもらうのさ
UDC職員にお願い二つ。
もふの生前を探って欲しい。
家族と会っても赦されるさ
あと黄金の招き猫くれ
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
困った……マジで困った!へくちゅん!
何がどうと言う訳でもないけど、
これって下手すると猟兵であることが簡単にバレちまうんじゃねぇか!?
マズいって!オブリビオンやその手下に見つかったら……
……ん?そうだよ、「猟兵だけ」が発症するんだろ?
それなら、一緒に来てもらったりすることで
目覚めたばかりとか、自覚がない猟兵を探す手助けになるかも!
さすがに道具扱いするつもりはないよ。
当面は安全を確保しつつ身体検査して、
発症のメカニズムと対症療法を探せばいいさ。
その発症メカニズムを応用すりゃいい!
……見つかるまではどうするかって?
『気合い』入れて『優しさ』をもって接するしかないんじゃね?
「えっちができない!! (もふが人と触れ合えるようにしないと!!)」
「四王天サン本音と建前が逆だそれー!?」
四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、自分の傍らにいたのが、テレパスである数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)であったという運命に感謝すべきだろう。さもなくばポリスメン案件一直線になるところだった。
「……いや、逆とかより前に、そもそも本音の方の内容からして、それもどうかと思うよあたしゃ……」
多喜が疲れたように頭を振る。苦労人ここにあり。だがまだまだ苦労してもらう。
「ニャー……えっちって、何ニャ?」
「って、もふちゃんもそうやって飢えた狼の前に生肉を投げ込むようなことをー!?」
きょとんとした顔で無邪気に尋ねるもふを、多喜が泡を食って制しようとする、が、それより速く動いた者が。
「うふふふ、教えてあげるよぉ、じっくりたっぷり……」
「四王天サンもいい加減落ち着こうなー?」
もふの手を取ろうとした燦が、突如バチバチと輝く光に包まれる。一瞬骨まで透けて見えた気がする。これぞ多喜のサイキックエナジーツッコミだ!
「あばばばばばっ!?」
盛大に痺れた後、ぷしゅー、と煙を吐いて沈黙する燦。
「ニャ!? 大丈夫ニャ、トモダチさん……じゃなくて、ヨメさん?」
「うん今大丈夫になった! すごい大丈夫!」
秒で完全復活する燦。それどころかさらにパワーが漲っている。なお、もふは『嫁』という言葉を間違って理解したままだということを付言させていただこう。それも燦のせいなのだが。
「とにかく! 今はもふちゃんのこれにどう対処するかだろ!?」
「はっ、そうだった。それが解決しなければえっちができ……」
「最初にループするなー!?」
なんやかんやループを繰り返しながら、それでも燦と多喜は考える。もちろん燦としても、真面目にもふのことを案じ、その幸福たるべき行く末のために力を尽くそうとしていること自体は確かであるのだから。
それは多喜もまた同じ。彼女は風を友とし二輪を乗り回す活動的な面と、ナースとして人々の病苦を救わんとする清廉な面がある。元より情に篤く義にもろい多喜としては、白衣の天使たる姿もその紛れもない本質といえるだろう。
「血清……ってのはどうかな。もふの体液を投与して耐性を作るんだよ」
「お、いいね、四王天サン。病理学的にも悪くない発想だよ」
燦のアイディアに、多喜は膝を打って感心する。燦が次の言葉を吐くまでのわずかな間だけ。
「じゃあまず唾液から試してみようか! さあもふ、熱く烈しいキスを……」
「それが狙いかーい!!」
はいサイキックエナジーツッコミ。もう何度もループしながら見た光景なので、もふも、もう驚かない。
「くっ……よく考えてみたら、不特定多数に投与できるわけじゃないから没だな、これは」
「先に思いついてくれないかねえ……あたしのサイキックだって無尽蔵じゃないんだし……とはいえ」
疲れたように、というか実際疲労感で溢れながら、多喜は肩を落とす。が、すぐに真顔を取り戻し、頷いた。
「……そうだね、受け手であるあたしたちというよりも、このユーベルコードの発信者であるもふちゃんの問題なんだ」
「ああ、もふが力を掌握できればいいんだ。そのためにはまず、何事にも動じない心が必要だな」
香ばしく、芳しく、人の心を蕩けさせ、天上へといざなうような匂いが漂ってくる。
「ニャ、ニャー!? これは一体何ニャ!?」
その本能の源泉までも直撃するような香りに目を丸くして動揺するもふ。
それは、脂の乗り切った秋刀魚を炭火でじっくりと焼いている匂いだった。
『動かずにじっとしているんだよ』という約束をした上での試練。果たして、もふはこれに耐えうるのか。
もちろん、この場にいきなり秋刀魚が用意できるわけはない、これは、相手の弱点を再現する多喜のユーベルコード『弱点特攻作成(カニングクラフト)』により制作された複製である。なあに、戦争幹部戦ではないのだからいくらユーベルコードを使おうが問題ない。
そわそわとし出したもふを見、多喜は心の中でエールを送る。
(負けるな、もふちゃん。どんな誘惑にも耐える強い心を養えば、きっとユーベルコードを制御できるように……)
「いただきまーす!!!」
「あんたが先に負けてどうすんだよ四王天サン!!」
……四王天燦の身には、猫又とワーキャットの魂が宿っているのだった。
つまり、普通の猫より二倍誘惑に弱いというわけである。論理的だ。
……作戦失敗。
「……ダメじゃん!」
「おかしい、こんなはずでは……」
脱力して突っ伏す多喜と、腕を組んで首をひねる燦。
だが、そんな二人の姿を眺め、もふは尻尾をパタパタと上機嫌そうに振りながらくすくすと笑いだした。
「面白いニャ。ヨメさんたちを見ていると、なんだか……なんだか、昔のご主人さまのお家にいたころを思い出すニャ。みんないつも楽しそうにしていたニャ」
その言葉を聞き、多喜と燦は顔を見合わせる。
もふの昔の主――もしかしたら、それに起因する何かがユーベルコードの鍵になっているのではないかと感じて。
「……もふちゃん、もし良かったら教えてくれないかい? 昔のご主人さまってどんな人だったのか、そして、どうしてお別れしてしまったのか」
「捨てられた……ってわけではないよな、今でももふはその人のことを好きなんだから」
「ニャー……」
尋ねられ、もふは少し寂し気なまなざしを空の彼方へ向ける。
少しの沈黙ののち、もふは、ぽつりぽつりと言葉を零し始めた。
「……ニャーのご主人さまは、女の子だったのニャ。ニンゲンの年齢はよくわからないけど、今考えると、多分まだ小さい子だったと思うニャ……」
もふは少しずつ伝える。小さく元気で活発な女の子。もふをとてもかわいがってくれた女の子。元気すぎてよく失敗し、お父さんやお母さんによく怒られていたけれど、最後はみんないつも笑顔だった。そんな子のことを。
けれど。
病の影が音もなく忍び寄り、少女の快活な命の炎を無慈悲に吹き消していく。
毎日、少しずつ弱っていく少女の姿を、もふはただ見つめていることしかできなかった。
最期の瞬間まで、少女はもふに笑顔を見せ、そしてそのまま、少女はただの思い出へと姿を変えていった……。
「ニャーは、よく分からなかったニャ。でも、どうしてご主人さまの元気がなくなっていくのに、ニャーには何もできないのかニャって思ったニャ。ずっと、思っていたニャ……」
もふ自身も、少女を喪った悲しみで食欲を失い、やがて後を追うように逝ったという。
「……そっか」
多喜は微かに目を閉じる。
(『何もできなかった』……大切な人が少しずつ弱っていくのに、何もできなかった。それがもふちゃんをUDCとした無念か……)
「違うぞ、もふ」
そっともふを抱きしめていた燦の姿は、今はただ優しく穏やかに。
「その子は最後まで笑顔だったんだろ? なら、それが、もふがその子に『してあげたこと』なんだ。笑顔を与えることが。もふは、何もできなかったんじゃない。とても素敵なことを、していたんだよ……」
成功
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コトト・スターチス
ふえぇ、ねこアレルギーはたいへんです!
なんとかできればいいのですが…へくちっ(ずびずばー)
【WIZ】
とりあえず『ねこへんしん』して真の姿になりますっ
(黒猫耳尻尾と天使の翼が生える)
「改めまして僕はコトトですっ! よろしくですにゃーっ♪」
挨拶したら、メイスの力で戦いの傷を癒しつつ、皆さんの猫アレルギーの症状を少しでも和らげられるか試してみますにゃ!
そして、しろねこさんにいろんなねこごはん(人が食べてもOKなもの)をプレゼントして、一緒に味わって楽しみたいですにゃー!
一緒に過ごしながら、どういう時に僕の症状が出やすくなるのかを実体験して【情報収集】しますっ
そこに何かカギがあるかもしれませんにゃーっ
「ふえぇ、ねこアレルギーはたいへんです! なんとかできればいいのですが……へくちっ」
コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)は可愛らしいくしゃみを漏らしながら一生懸命考える。仲間の猟兵が張ってくれた結界のお陰で、多少その症状は緩和されているが、それも、もう長くは持たないという。
(むむむー。せっかくおともだちになれたしろねこさんなのですから、もっといっぱい、お話したり遊んだりしたいですよね……。ならばっ!)
コトトは頷くと、己の中の己自身と向き合う。心の鏡に映った自分の姿、それは黒猫の耳と尻尾を生やした、可憐さと共に神聖さに充たされた姿。
そしてその背からは、光輝く神々しい翼が大きく翻っていた。
心の鏡に映ったコトトの姿は、今、現実にもその姿を顕現させる。
――これこそがコトトの真の姿、『聖天使猫モード』に他ならない。
その神威を持って、コトトはふわりと舞うように翔び、周囲の猟兵たちの症状を癒し、体調を回復させていく。陽の光の中、優しい吹雪のように踊る羽の白さは幻想のように流麗だった。
「ニャー……!」
白猫はその美しさに思わずぽかんと口を開け、呆然と立ち尽くす。
「あなたは……神さまなのニャ? 猫の神さま?」
「ちがいますにゃ」
コトトはにっこりと微笑み、しかし首を振る。
「僕はコトトですにゃ。ただそれだけですにゃ。そして……」
コトトは真っ直ぐに白猫を見つめ、優しく微笑む。その内面を覗き込むような瞳で。
「そして、きっとしろねこさんにも、同じようなことができるはずですにゃ」
「え……ニャーにも……?」
驚愕して耳をぴくりと蠢かせた白猫に、コトトは微笑む。
「僕は僕の願うことをしているだけですにゃ。しろねこさんが願うことは、僕と同じ癒しの力ではないかもしれませんにゃ。でもきっと、しろねこさんには『何か』ができるはずですにゃ。だって……」
言葉を切り、コトトは一瞬目を閉じる。出会ってからのことを思い出すように。その記憶を抱きしめるように。
「……だって、しろねこさんのなかには素敵な勇気があるからですにゃ」
「そんな……そんなこと、ないニャ……」
コトトの言葉に、しかし白猫はうなだれた。尻尾が力なくだらんと垂れ、その小さな体はより頼りなさげに、儚げに見えた。
「ニャーは……みんなから、いつも役立たずだって言われてたニャ。さっき、トモダチさんたちが戦って、ニャーを助けてくれた時も、ニャーは何にもできずに、ただ震えてただけニャ。それに……」
白猫は微かに睫毛を震わせる。真夜中の三日月を思わせるその瞳は、人知れず夜露に濡れたように、潤んでいた。
「それに……前のご主人さまが弱っていった時も、ニャーは何もしてあげられなかったニャ。苦しそうだったのに、辛そうだったのに、ニャーは何もしてあげられなかったのニャ。……ニャーは……ニャーは、何もできないのニャ」
コトトは、うつむく白猫の頭にそっと手を伸ばした。
ふわりと揺れる毛並みに掌を置き、優しく撫でる。
白猫の体温とコトトの体温とがその中で一つに溶け合い、柔らかに揺れた。
「ニャ……?」
不思議そうに顔を上げる白猫に、コトトは静かに言葉をかけた。
「そうですか……しろねこさんは、『何かがしたかった』のにゃね。前のご主人さまが亡くなった時も、UDCになってからも、そしてさっきの戦いの時も、しろねこさんは自分が『何もできない』と思っていた。それが……しろねこさんの中の奥ふかく、ずっとずっとふかいところにあった気持ちなのにゃね」
「ニャ……」
コトトの言葉を、白猫はまだよく理解できてはいない。けれど、その声は、白猫をただ甘やかすのではなく、かといって無論責めるのでもなく、ただひたすら真正面から相手に向き合ってくれている、そんな言葉だということはわかった。……真摯に相手のことを想い、見つめてくれる眼差しだということは、わかった。
――そして、それが『トモダチ』というものなのだ、ということも。
「……では、まず一緒にごはんを作りますにゃ」
「ごはん、ニャ?」
唐突な提案にきょとんとした白猫の顔を見、コトトはにっこりと微笑んで、頷いて見せる。
「はい、いっぱい、ねこごはんを作りましょうにゃ、美味しいものを。それも、「何かできること」の一つですにゃ。何も難しいことばかりではないのですにゃ」
「……わかったニャ。やってみるニャ」
白猫が少し元気を取り戻したように耳をピコピコと動かし、意欲を見せる姿を、コトトはにっこりと微笑んで見つめていた。
成功
🔵🔵🔴
秋月・信子
・WIZ
…くしゅん!
どうにかしな、いと…くしゅん!
(…ったく、こいつもあんたも手のかかる子ね)
そう頭に語りかけるのは、モフちゃんからお友達認定された気恥ずかしさから今は影に戻って【影の助言者】になってる姉さんです
(この子、今まで野良だったんじゃない?その所をモフから聞いたら風呂にでも入れて綺麗にしてやんなさい。シャンプーは猫用でちゃんと乾かたらブラッシングもするのよ、わかってるわね?)
だったら、姉さんも出てきて一緒にやりません?
(…構いすぎるとますます懐かれちゃうし…)
だったら、意識を私と交代してなり代わりません?
(ふ、ふん…そこまで言われると仕方ないわね…じゃあ、言葉に甘えさせて貰うわよ)
「『――形象、開始。 ――構造、解析。 ――骨子、形成。 ――形象、完了。……』」
朗々と響くは秋月・信子(魔弾の射手・f00732)の詠唱。凛然として迷いなく、決意に満ちた玲瓏の美声が最後の結句を紡ぐ。
「『――ロールアウト、魔銃……解凍!!』」
そのユーベルコードこそ、信子の秘技――『魔銃、解凍(デビルズ・エニー・アザー・ウェポン)』。相手に対して有効な魔銃を生成するものだ。今や、信子の手には、巨大なシルエットのマジックウェポンがその威容を現す。
「ニャ……そ、それは一体、何ニャ……?」
全身の毛を逆立てた白猫・もふが思わず後ずさりする。己に破滅をもたらすであろうという恐ろしい予感に慄きながら。
そう、もふの感覚は当たっていた。それこそ、猫型獣人であるもふにとって、もっとも有効な攻撃を行いうる魔銃に紛れもない……!
「水鉄砲よ! さあおとなしくシャワーを浴びなさい!!」
「ニャー!! シャワーは嫌ニャ! 濡れるの嫌ニャ―!!」
「あったかいぬるま湯だから! 水じゃないから!」
「嫌ニャ―!!!」
どたばた。
猫はシャワーが嫌いなものである。
泣き顔になりながら逃げ回るもふを、信子が水鉄砲を片手に追いかけ回す。いや、正確には、今、信子の体を操っているのは彼女の「姉」――ドッペルゲンガーなのだが。
『この子、今まで野良だったんじゃない? 風呂にでも入れて綺麗にしてやんなさい。シャンプーは猫用で、ちゃんと乾かたらブラッシングもするのよ、わかってるわね?』
少し前、くしゃみの連続で涙目になっている信子に、ドッペルゲンガーはその内面から語り掛けていた。
「くしゅん! ……確かに、猫アレルギーの対応には、こまめのシャワーと丁寧なブラッシングも効果があると聞いたことが……くしゅん!」
『……ったく、こいつもあんたも手のかかる子ね』
嘆じるドッペルゲンガーの声に、信子は涙を拭きつつ、けれどくすりと微笑んだ。
ドッペルゲンガーは今、実体ではなく信子の影に戻っており、そこからあれやこれやと指示を出しているのである。なぜなら。
「……ふふ。もふちゃんに「トモダチ」って呼ばれたの、そんなに恥ずかしかったですか?」
「……!」
図星を刺されてうろたえる「姉」の姿が、実体はなくとも、信子には鏡を見るように明瞭に感じ取れる。
『そっ! そそそそんなこと!』
「だったら姉さんがまた外に出て来て、もふちゃんをお風呂に入れればいいじゃないですか」
『へ、変に構いすぎたら……ますます懐かれちゃうじゃない!』
「手のかかる子」というのは姉さんも同じだなあ、と思いつつ、信子は次善の案を示す。
「だったら、意識を私と交代して成り代わりません?」
しばしの沈黙、やがて、
『ふ、ふん…そこまで言われると仕方ないわね…じゃあ、言葉に甘えさせて貰うわよ』
「姉」の表情が目に浮かぶようで、信子はまたくすっと微笑んだ。
――そして今に至るというわけである。
「さあ追い詰めたわよ、おとなしくシャワーを浴びてきれいになりなさい! せっかく可愛い顔してるのに、もったいないんだから!」
「ニャ……? ニャーは、……可愛いのニャ?」
きょとん、とこ首を傾げて訪ねてくるもふに、ドッペルゲンガーは思わず本音が零れてしまったと口を抑える。が、覆水盆に返らず綸言汗のごとし、一度言ってしまったことは取り戻しようがない。ドッペルゲンガーは開き直ったように、ようやく本音を口にした。
「……ええ、可愛いわよ。だから、もっときれいになったほうがいいわ」
「ニャー……」
もふは少し黙り込むと、耳をぺたりと寝かせる。寂しそうに。
「みんな、そうやっていろいろニャーのためにしてくれるニャ。でも、ニャーには、みんなに何もしてあげることがないニャ……」
ついと指を上げると、ドッペルゲンガーはもふのおでこをチョンとつついた。不思議そうな顔をするもふに、ドッペルゲンガーは肩をすくめる。
「ええ、さっきから聞いてれば、どうもそれがこの事態の原因のようね。あんたは、自分の無力さが哀しかった。自分も他の人に何かしてあげたいと思っていた。何かしたい、何かできないかという焦りが、あんたの中の力を暴走させてしまっていたのよ。でもね」
ドッペルゲンガーは言葉をつづけ、もふは真剣にその声に聞き入る。もふにとっては難しい話だ。けれど、それでも。十分理解はできなくても、もふは真剣に、一生懸命にその話を受け止めようとしていた。
そんなもふの姿を見、ドッペルゲンガーは微かに笑む。
「……でもね。あんたがここにいるってこと自体が、素晴らしい奇跡なのよ。何もそれは、あんたが珍しいUDC-Pだから、というだけの話ではないわ。ひとつの命がそこにあるということは、それだけで、世界が一つの命のぶんだけ大きくなったということなのよ。あんたは、いるだけで世界を大きくしてあげているの。これほどすごいことをしているんだから、それ以上に焦る必要なんてないのよ」
もちろん、それ以上に他の人に何かをしてあげたいというのも素晴らしい気持ちだ、けれどそれはゆっくり自分の中で育てていけばいいのであって、急ぐことではない、とドッペルゲンガーは続ける。
「……ふふ、どうやら、多少は納得できたということかしらね」
周囲を見回すドッペルゲンガー。そこには、UDC猫アレルギーの症状から回復した者たちの姿があった。
……もふは、己の暴走した力を、なんとか抑え込むことができたのだ。
ドッペルゲンガーの、そしてこれまでにかかわってきたすべての猟兵たちの、言葉と心と行動によって。
「……ありがとニャ。――ちょっと怖いけど、とっても優しいトモダチさん」
春の陽だまりのような笑顔でにこっと微笑むもふに、ドッペルゲンガーは首まで赤くなって慌てて首を振る。
「ななな何を言っているの。私は秋月信子であって、決してその姉ではないわ!」
……バレバレすぎる。
そんな彼女の姿を、もふも、そして周りの猟兵たちも、微笑ましい視線で見つめていた。
こうして、友好的UDCをめぐる事件は解決を見た。
なお、もふの持ち出した「黄金の招き猫」は、これを欲していたある猟兵に与えられた。もっとも、その招き猫が重要なのは、多くの呪詛を蓄える依代としてであった。UDC組織が入念に浄化をし、呪詛を祓った今となっては、それはただの安っぽいメッキの招き猫にすぎなくなったのだが。それでもその猟兵が喜んだかどうかは本人しかわからないだろう。
UDC組織に引き取られていくもふは、猟兵たちに精いっぱい手を振り、猟兵たちもこれを穏やかな表情で見送る。これからも必要があれば、いや必要がなくても、いつでも彼女には会えるだろう。
……なぜなら、それがトモダチというものなのだから。
離れていく車の中から、もふは身を乗り出し、満面の笑顔で、明るく叫んだ。
「トモダチさん! ニャーは、ニャーはこれからも、いっぱい……世界の平和にご奉仕するニャ!」
大成功
🔵🔵🔵